(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】モノレール用運搬車
(51)【国際特許分類】
B61B 13/02 20060101AFI20220617BHJP
B61B 13/04 20060101ALI20220617BHJP
E01B 25/10 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B61B13/02 A
B61B13/04 Z
E01B25/10
(21)【出願番号】P 2019166092
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】301061632
【氏名又は名称】株式会社モノテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000134981
【氏名又は名称】株式会社ニッカリ
(73)【特許権者】
【識別番号】520242399
【氏名又は名称】九州電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】文野 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山本 武
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-315637(JP,A)
【文献】特開2001-199329(JP,A)
【文献】特開2008-021162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/02
B61B 13/04
E01B 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台と、該載置台を駆動するための駆動源とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記載置台に対し、人員を乗せる座席と、物資を載せる荷台とが取替え可能とされ、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ上端部を回動軸にして下端部が回動自在となるように上下方向に延設される当接レバーを含み、
該当接レバーは、前記下端部が前記モノレールに設けられた当接ポイントに当接することで、前記停止ブレーキを作動させるように回動するよう構成され、
前記バランサは、前記当接レバーの下端部に対して、幅方向の外側且つ上下方向の上側に配置されたことを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項2】
載置台と、該載置台を駆動するための駆動源とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記載置台に対し、人員を乗せる座席と、物資を載せる荷台とが取替え可能とされ、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ下端部を回動軸にして上端部が回動自在となるように上下方向に延設される操作レバーを含み、
該操作レバーは、前記上端部が操作されて回動することで、前記停止ブレーキの作動および解除を切替えるように構成され、
前記バランサは、前記操作レバーの前記下端部の直下に配置されることを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項3】
載置台と、該載置台を駆動するための駆動源とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記載置台に対し、人員を乗せる座席と、物資を載せる荷台とが取替え可能とされ、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレールの敷設方向に沿う前後方向の長さの略中央部において、上下方向に延びる仮想の前後方向基準に対し、前記載置台および前記バランサが前側であり、前記駆動源が後側に配置されたことを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項4】
載置台と、該載置台を駆動するための駆動源と、前記載置台に取付けられ人員を乗せる座席とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記座席の周囲に、荷台を構成する荷台形成部品が着脱可能とされ、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ上端部を回動軸にして下端部が回動自在となるように上下方向に延設される当接レバーを含み、
該当接レバーは、前記下端部が前記モノレールに設けられた当接ポイントに当接することで、前記停止ブレーキを作動させるように回動するよう構成され、
前記バランサは、前記当接レバーの下端部に対して、幅方向の外側且つ上下方向の上側に配置されたことを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項5】
載置台と、該載置台を駆動するための駆動源と、前記載置台に取付けられ人員を乗せる座席とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記座席の周囲に、荷台を構成する荷台形成部品が着脱可能とされ、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ下端部を回動軸にして上端部が回動自在となるように上下方向に延設される操作レバーを含み、
該操作レバーは、前記上端部が操作されて回動することで、前記停止ブレーキの作動および解除を切替えるように構成され、
前記バランサは、前記操作レバーの前記下端部の直下に配置されることを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項6】
載置台と、該載置台を駆動するための駆動源と、前記載置台に取付けられ人員を乗せる座席とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記座席の周囲に、荷台を構成する荷台形成部品が着脱可能とされ、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレールの敷設方向に沿う前後方向の長さの略中央部において、上下方向に延びる仮想の前後方向基準に対し、前記載置台および前記バランサが前側であり、前記駆動源が後側に配置されたことを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項7】
座席および荷台のうちの少なくとも一方と、駆動源と、を有して、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ上端部を回動軸にして下端部が回動自在となるように上下方向に延設される当接レバーを含み、
該当接レバーは、前記下端部が前記モノレールに設けられた当接ポイントに当接することで、前記停止ブレーキを作動させるように回動するよう構成され、
前記バランサは、前記当接レバーの下端部に対して、幅方向の外側且つ上下方向の上側に配置されたことを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項8】
座席および荷台のうちの少なくとも一方と、駆動源と、を有し、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、
前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置され、
前記モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ下端部を回動軸にして上端部が回動自在となるように上下方向に延設される操作レバーを含み、
該操作レバーは、前記上端部が操作されて回動することで、前記停止ブレーキの作動および解除を切替えるように構成され、
前記バランサは、前記操作レバーの前記下端部の直下に配置されることを特徴とするモノレール用運搬車。
【請求項9】
前記載置台と前記駆動源との配置において、前記載置台の後方に前記駆動源が並んで配置されている請求項1ないし請求項
6の何れかに記載のモノレール用運搬車。
【請求項10】
前記載置台の後方に前記駆動源が並んで配置され、前記バランサが前記載置台および前記駆動源の下側に配置された請求項1ないし請求項
6の何れかに記載のモノレール用運搬車。
【請求項11】
座席を有し、該座席が取付けられる載置台を有し、
前記載置台と前記駆動源との配置において、前記載置台の後方に前記駆動源が並んで配置されている請求項7または請求項8に記載のモノレール用運搬車。
【請求項12】
座席を有し、該座席が取付けられる載置台を有し、
前記載置台の後方に前記駆動源が並んで配置され、前記バランサが前記載置台および前記駆動源の下側に配置された請求項7または請求項8に記載のモノレール用運搬車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノレール用運搬車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のモノレール用運搬車は、例えば、山地における人員(作業者)を輸送するために用いられる。この特許文献1のモノレール用運搬車は、座席支持台と、該座席支持台上に固定される座席と、駆動源(DCモータ)とを含む台車本体を備えて、台車本体は座席に人員が着座して、駆動源によってモノレールに走行自在とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記モノレール用運搬車では、座席支持台に座席が固定されているため物資は載せられず、このため汎用性が悪かった。
【0005】
そこで本発明は、汎用性が高いモノレール用運搬車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、載置台と、該載置台を駆動するための駆動源とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、前記載置台に対し、人員を乗せる座席と、物資を載せる荷台とが取替え可能とされたことを特徴とする。
【0007】
上記本発明のモノレール用運搬車によれば、座席と荷台とが取替え可能であるから、座席と荷台とを交換することで、運搬対象としての人員と物資とを運ぶことができて、汎用性を高くすることができる。
【0008】
本発明は、載置台と、該載置台を駆動するための駆動源と、前記載置台に取付けられ人員を乗せる座席とを備え、モノレールを軌道とするモノレール用運搬車であって、前記座席の周囲に、荷台を構成する荷台形成部品が着脱可能とされたことを特徴とする。
【0009】
上記本発明のモノレール用運搬車によれば、運搬対象としての人員を乗せる座席の周囲に、荷台を構成する荷台形成用部品が着脱可能に設けられているので、人員を乗せたり、あるいは荷台形成用部品を座席の周囲に取付けることにより荷台を取付けることができたりするので、汎用性を高くすることができる。
【0010】
本発明では、前記載置台と前記駆動源との配置において、前記載置台の後方に前記駆動源が並んで配置されている構成を採用できる。
【0011】
上記構成によれば、駆動源を載置台の後方に配置した分だけ載置台を低くできるので、モノレールに対するモノレール用運搬車の重心を低くすることができ、安定性がよい。
【0012】
本発明では、前記モノレールの幅方向一方側に前記駆動源が配置され、前記モノレールの幅方向他方側にバランサが配置された構成を採用することができる。
【0013】
上記構成によれば、駆動源とバランサの重量により、モノレール用運搬車の重量バランスを、モノレールに対して均等に合わせることができる。
【0014】
本発明では、モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ上端部を回動軸にして下端部が回動自在となるように上下方向に延設される当接レバーを含み、該当接レバーは、前記下端部が前記モノレールに設けられた当接ポイントに当接することで、前記停止ブレーキを作動させるように回動するよう構成され、前記バランサは、前記当接レバーの下端部に対して、幅方向の外側且つ上下方向の上側に配置された構成を採用できる。
【0015】
上記構成によれば、バランサが当接レバーに干渉することがなく、したがって、停止ブレーキを確実に操作できる。
【0016】
本発明では、モノレール用運搬車を前記モノレールに対して停止させる停止ブレーキを備え、該停止ブレーキは、ブレーキの作動および解除を切替えるべく、前記モノレールの幅方向他方側に設けられ、且つ上端部を回動軸にして上端部が回動自在となるように上下方向に延設される操作レバーを含み、該操作レバーは、前記上端部が操作されて回動することで、前記停止ブレーキの作動および解除を切替えるように構成され、前記バランサは、前記操作レバーの前記下端部の直下に配置された構成を採用できる。
【0017】
上記構成によれば、バランサが、操作レバーの下端部の直下に配置されているので操作レバーを操作する際に邪魔にならず、しかもバランサの幅方向の大きさを抑制できる。
【0018】
本発明では、前記モノレールの敷設方向に沿う前後方向の長さの略中央部において、上下方向に延びる仮想の前後方向基準に対し、前記載置台および前記バランサが前側であり、前記駆動源が後側に配置された構成を採用できる。
【0019】
上記構成によれば、モノレール用運搬車の載置台およびバランサと、駆動源との重量バランスを、前後方向基準に対し、均等に合わせることができる。
【0020】
本発明では、前記載置台の後方に前記駆動源が並んで配置され、前記バランサが前記載置台および前記駆動源の下側に配置された構成を採用できる。
【0021】
上記構成によれば、載置台と駆動源を前後に配置することで、モノレール用運搬車の高さ寸法を低くすることができ、しかも載置台と駆動源の下側にバランサを配置することで、重心を低く設定できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のモノレール用運搬車によれば、座席と荷台とが取替え可能であるから、座席と荷台とを交換することで、運搬対象としての人員と物資とを運ぶことができるから、モノレール用運搬車の汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る運搬車のうち、座席を装着した状態の上方からの斜視図である。
【
図5】同座席を取外した状態の上方からの斜視図である。
【
図6】同座席と前把手部の下方からの斜視図である。
【
図14】同荷台を装着した状態の上方からの斜視図である。
【
図16】本発明の第二の実施形態に係る運搬車の正面図である。
【
図17】同荷台形成部品を台本体に組立てる状態の上方からの斜視図である。
【
図18】同荷台形成部品を台本体に組立てた上方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るモノレール用運搬車を、図面を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、第一の実施形態におけるモノレール用運搬車1は、例えば、山地に敷設されるモノレール(単軌道)2に走行可能に構成される。モノレール2は杆状であって断面が矩形に形成されている。モノレール2は、山地において、複数本の支柱の上部に設けられている。モノレール2の下部には、モノレール2の軸心方向に沿うラック2aが形成されている。なお、モノレール用運搬車1は単に運搬車1と称する。
【0025】
運搬車1は、人員を乗せる座席3と、物資を載せる荷台4(
図10から
図15参照)とが取替え可能とされている。以下は、人員を乗せる座席3を搭載した形態として、運搬車1の構成を説明する。
【0026】
運搬車1は、
図1ないし
図5に示すように、モノレール2上に配置されるベース5と、ベース5上の前部に配置された座席3と、ベース5上の後部に配置されたガソリン式のエンジン(駆動源としての一例)6と、エンジン6の駆動を伝達するためのプーリ装置7と、プーリ装置7からの駆動を伝達するためのギヤボックス8と、ギヤボックス8からの駆動を受ける駆動ローラ装置9と、駆動ローラ装置9の駆動を停止させるためのブレーキ装置10と、緊急時にブレーキ装置10の代わりとなる緊急ブレーキ11と、エンジン6に対して幅方向のバランスを取るべく配置されるバランサ12と、を備える。
【0027】
図3に示すように、ベース5は、モノレール2の軸心方向に沿った(前後方向に延びる)板状に形成されている。すなわち、ベース5は、幅方向で且つ軸心方向に沿った一方側体5A(右側)、および他方側体5B(左側)を備えている。一方側体5Aおよび他方側体5Bは、それぞれ前後方向に沿う平板部材13,14と、平板部材13,14の前後に配置された前傾斜部材15および後傾斜部材16とを備える。また、ベース5は、両平板部材13,14の前方上部に渡した板状の前連結部材18と、前傾斜部材16の後方上部に渡される板状の後連結部材19によって、強固に連結されている。
【0028】
図4に示すように、ベース5は、他方側体5Bの平板部材14の下方に、モノレール2の幅方向他方側に向けて延長される板状の延長板17を、さらに備える。この延長板17は、平板部材14と同様の前後方向の長さを有し、モノレール2の下方まで延長されている。
【0029】
平板部材13,14には、前後一対の、前転動ローラ20および後転動ローラ21が配置されている。具体的に、前転動ローラ20、後転動ローラ21は、一方側体5Aおよび他方側体5Bどうしの平板部材13,14に、モノレール2と直交する方向(幅方向の軸)の横軸22,23によって取付けられている。また、前転動ローラ20は、平板部材13,14の前端部に配置され、後転動ローラ21は、平板部材13,14の後端部に配置されている。また、前転動ローラ20および後転動ローラ21の外周面は、モノレール2の上面2bに当接する。なお、前転動ローラ20および後転動ローラ21は非駆動である。
【0030】
ここで説明の便宜上、駆動ローラ装置9の構成を説明する。駆動ローラ装置9は、前記延長板17に配置される。駆動ローラ装置9は、後述するギヤボックス8からの駆動力が伝達される駆動ローラ24と、駆動ローラ24の前側に配置されて、駆動ローラ24回りにベース5が回転してしまうのを抑制する機能を有した抑制ローラ25を備える。
【0031】
駆動ローラ24および抑制ローラ25は、延長板17の上下方向途中の前後方向に配置され、モノレール2の下方にあって、それぞれ互いに前転動ローラ20および後転動ローラ21の直下に配置されている。
【0032】
駆動ローラ24は、後述するギヤボックス8における出力軸を回転中心とした駆動横軸27回りに回転自在とされる。抑制ローラ25は、駆動横軸27の前側に配置された非駆動横軸28回りに回転自在とされる。駆動横軸27、非駆動横軸28は、延長板17にあって片持式に配置される。
【0033】
駆動ローラ24および抑制ローラ25の外周面は、モノレール2のラック2aに噛合される。駆動ローラ24および抑制ローラ25の駆動横軸27、非駆動横軸28の高さ方向については、抑制ローラ25が駆動ローラ24よりも高く配置されている。すなわち、高さの違う分だけ抑制ローラ25の径が駆動ローラ24の径よりも小径に形成されている。
【0034】
以下の説明において、運搬車1における方向基準を、モノレール2に噛合する駆動ローラ24とする。すなわち、運搬車1の前後方向における基準として、運搬車1の前後方向長さの略中央部に設定される仮想の前後方向基準を、駆動ローラ24の駆動横軸27を通って上下に延びる基準軸線と定義する。運搬車1の高さ方向(上下方向)における基準として、運搬車1の高さ方向の略底部に設定される仮想の高さ方向基準を、駆動ローラ24の駆動横軸27を通って前後方向に延びる基準軸線と定義する。この高さ方向基準は、モノレール2の下方に設定される。運搬車1の幅方向における基準として、運搬車1の幅方向の略中央部に設定される仮想の幅方向基準を、駆動ローラ24の幅方向中央を通って上下に延びる基準線と定義する。
【0035】
前記座席3は、運搬車1の前後方向基準において前寄りに配置され、幅方向基準においては、左右対称位置に設定されている。座席3は、腰掛け32と背もたれ33とを一体化して形成されている。
【0036】
ベース5には、
図5で示すような載置台34が設けられ、座席3は載置台34に取付けられている。ここで、載置台34の構成を説明する。載置台34は、一対の縦部材35と、一対の横部材36と、一対の傾斜部材37とを備える。また、載置台34は、運搬車1の幅方向基準において、左右対称位置に設定されている。載置台34は、前後方向基準よりも前方に配置されている。また、載置台34は、ベース5の平板部材13,14の上に配置されており、具体的には、平板部材13,14の前寄り上方に配置される。また、載置台34は、載置した座席3を、概ね前転動ローラ20、後転動ローラ21の間に配するように配置されている。また、載置台34は、その下方に空間38を形成するように、平板部材13,14の高さ方向から、所定高さ空けて配置されている。
【0037】
縦部材35は、前連結部材18に立設され、断面矩形に形成された杆状部材であって、幅方向に離間した位置に一対であり、平行に配置されている。横部材36は、縦部材35の上端から後方に向けて延長され、断面矩形に形成された杆状部材であって、縦部材35と同様、幅方向に一対で、平行に配置されている。傾斜部材37は、横部材36の後端から後向きに斜め下方に配置され、また後連結部材19に接続されている。傾斜部材37は断面矩形に形成された杆状部材であって、横部材36と同様、幅方向に一対で、平行に配置されている。このように載置台34は、縦部材35、横部材36および傾斜部材37を備えており、ベース5上に対し、載置台34の内側で空間38(
図3、
図4参照)を備える。
【0038】
図5で示すように、縦部材35には、横方向(幅方向)で前後に平行に離間した椅子部材40,41が連結されている。椅子部材40,41は、断面矩形に形成された杆状部材であって、縦部材35の幅方向の領域を含めて、縦部材35から幅方向両側に突設されている。そして、座席3は、横部材36および椅子部材40,41に載置されている。座席3が縦部材35および椅子部材40,41に載置されることで、座席3は略水平状態を保持している。
【0039】
このように、載置台34は、座席3が載置される台本体と、該台本体をベース5の上方に支持する支持部とを備える。前記台本体としては、横部材36および椅子部材40,41を含み、前記支持部は、縦部材35、傾斜部材37を含む構成である。
【0040】
図6で示すように、座席3の下部に下方に向かう雄ねじ42が複数個所だけ設けられ、椅子部材40,41には雄ねじ42を挿通する上下方向の孔43が形成され、孔43に雄ねじ42を挿通して、雄ねじ42に対して、椅子部材40,41の下部からナット44(
図4参照)を締付けることで、座席3が椅子部材40,41に着脱自在に固定される。つまり、座席3は、台本体に着脱自在に固定されている。
【0041】
また、椅子部材40,41のうち、幅方向一方側(人員が腰掛けた場合の座席3の左側)には、運搬車1を前進、または後退させるための前後の操縦レバー45が配置されている。また、操縦レバー45は、前進、後退、およびその間の操作解除位置に切替え自在である。
【0042】
椅子部材40,41には、座席3に乗った人員の保全のための後横把手部46が形成されている。後横把手部46は、各椅子部材40,41に立設された縦バー47,48と、座席3を回避して座席3の前方側を囲うよう縦バー47,48の上部に連結された後横把持バー49とを備える。
【0043】
踏板31は、前傾斜部材15に取付けられている。踏板31は、座席3よりも前方、且つ下方に配置されている。踏板31は、幅方向に所定間隔を有した一対の脚乗板50を備える。脚乗板50の下方にモノレール2が配置されている。踏板31は、脚乗板50の前後にあって脚乗板50から立設された脚滑り防止板51と、一対の脚乗板50どうしの中央に配置した境界板52とを、さらに備える。前方の脚滑り防止板51の上端からは、さらに前方に向かうフランジ53が一体的に形成されている。
【0044】
そして、フランジ53には、人員の保全ための前把手部54が形成され、前把手部54はベース5の前端部に配置される。前把手部54はフランジ53の幅方向両側から立設された縦バー55と、両側の縦バー55の上端から渡された横バー56とを一体的に備えている。なお、座席3と踏板31との高さ位置については、座席3よりも踏板31の方が低く配置されている。
【0045】
縦バー55は、フランジ53に着脱自在に構成される。具体的に、
図3に示すように、縦バー55の下端に幅方向横長の取付部材57が一体的に形成され、取付部材57の幅方向両側に、
図3で示す雄ねじ58が取付けられ、フランジ53には雄ねじ58に挿通する上下方向の孔59が形成されている。そして、孔59に雄ねじ58を挿通し、フランジ53の下方から雄ねじ58にナット60を締付けることで、フランジ53に前把手部54が着脱自在に固定される。
【0046】
図7に示すように、エンジン6は、運搬車1の前後方向基準よりも、後部に配置されるとともに、幅方向基準に対して幅方向一方側にずれて配置されている。エンジン6は空間38より上方に配置され、幅方向基準において、左側に配置され、座席3の幅方向一方側の端より基準側に配置されている。また、前後方向基準に対し、座席3は前方に、エンジン6は後方に配置されている。また、エンジン6は、座席3の後方側で、高さ基準に対して概ね同じ高さに配置されており、座席3の後方に並んで配置されている。エンジン6は、載置台34における傾斜部材37の後方に配置されるとともに、傾斜部材37と直角な方向に配置され、且つ後方ほど上方になっており、前傾斜部材15、後傾斜部材16上に配置されている。なお、エンジン6は、踏板31よりも高さ方向上方に配置されている。
【0047】
つまり、運搬車1の前把手部54、踏板31、座席3、およびエンジン42における前後の配置としては、前側から前把手部54、踏板31、座席3、エンジン42となっている。
【0048】
図4に示すように、プーリ装置7は、プーリ本体(外殻体)61と、プーリ本体61の内部であって、エンジン6の駆動を伝達するための遠心クラッチ62、遠心クラッチ62から離間したプーリ63と、遠心クラッチ62とプーリ63に巻回されたベルト64とを備えている。
図5に示すように、プーリ装置7は、エンジン6の側方、すなわちエンジン6に対して幅方向一方側から、座席3の下方に下傾斜して配置されている。
【0049】
プーリ装置7は、前後方向基準に対し、後端部となる遠心クラッチ62が後方に配置され、前端部となるプーリ63が前方となるよう配置されている。また、プーリ装置7は、前端部が座席3の下の空間38の幅方向一方側の側方に位置し、後端部がエンジン6の幅方向一方側の側方に位置する。
【0050】
前記ギヤボックス8は、本体(外殻体)65と、本体65の内部に配置された減速機構(図示せず)とを備える。そして、減速機構はプーリ装置7におけるプーリ63(エンジン6)の駆動を受けるよう構成され、本体65は下部に向けて延長されている。ギヤボックス8はエンジン6の下側に配置され、エンジン6に対して前方、且つ下方に配置されて、両者を幅方向一方側で連結するよう、プーリ装置7が配置される。また、ギヤボックス8は、プーリ装置7の内側であって、モノレール2の外側に配置され、且つ他方側体5Bの平板部材14の側方に隣接するよう配置され、ギヤボックス8は、幅方向基準で幅方向一方側にずれて配置されている。ギヤボックス8の出力軸は、モノレール2の下部において横方向に配置され、出力軸には駆動ローラ24が連結されている。
【0051】
運搬車1の速度が速すぎる場合、例えば、ベルト64が何らかの理由によって切断された場合などで速度が速すぎる場合に、運搬車1をモノレール2に対して停止させる緊急ブレーキ11が設けられている。緊急ブレーキ11は、ギヤボックス8に重ねられるようして、ギヤボックス8に接続されている。
【0052】
運搬車1を、通常の状態で停止させる前記ブレーキ装置10が設けられている。ブレーキ装置10は、ギヤボックス8の駆動を停止させることで、駆動ローラ装置9のうちの駆動ローラ24の駆動を停止させるよう構成されている。このブレーキ装置10は、運搬車1の幅方向基準において幅方向他方側(右側)に配置されている。ブレーキ装置10は、ブレーキ機構部66と、当接レバー67と、操作レバー72とを備える。
【0053】
ブレーキ機構部(停止ブレーキ)66は、運搬車1の前後方向基準において後方に配置されるよう、載置台34の下側(空間38)に配置され、幅方向基準においては、幅方向他方側に配置される。また、ブレーキ機構部66はエンジン6より前方において、ベース5に固定されている。
【0054】
座席3、エンジン6、ブレーキ機構部66、踏板31との配置において、ベース5の上の前方に座席3、後方にエンジン6が並んで配置され、座席3とエンジン6の間の下方にブレーキ機構部66が配置され、座席3の下方かつ前方で、ブレーキ機構部66の前方に踏板31が配置されている。また、座席3の後方側において、幅方向基準に対して一方側にずれてエンジン6が配置され、他方側にずれてブレーキ機構部66が配置される。
【0055】
ブレーキ機構部66は、横軸方向に沿った回動体70と、回動体70をカバーするカバー体71とを備える。回動体70は、ベース5と載置台34の空間38を介してギヤボックス8に連結されており、ギヤボックス8の駆動を制動するように構成されている。このように、回動体70をベース5と載置台34の空間38に配置することで、運搬車1のコンパクト化を図ることができる。
【0056】
当接レバー67は、回動体(回動軸に相当する)70の外側端部に配置され、回動体70から径方向に延びる杆状体から構成されている。当接レバー67は、モノレール2の幅方向他方側において、上端を起点として回動体70周りに、水平方向に沿うよう前後方向に揺動自在に構成されている。
【0057】
当接レバー67の上端部(回動体70側)は、座席3とベース5の間の且つ下側で、しかも座席3の後方に配置され、当接レバー67の下端部は、ベース5の下側で、且つ抑制ローラ25の後方に配置されている。当接レバー67は垂直位置でブレーキ解除位置となり、運搬車1の走行中に検出器(当接ポイント)に下端部が当接して、回動体70の上端部に対して下端部が前方または後方に配置することでブレーキが作動状態に切替わる。
【0058】
図8に示すように、ブレーキ装置10は、人員が座席3に腰掛けて直接的に把持することができる操作レバー72と、操作レバー72と回動体70とを連結するリンク機構73を備えている。操作レバー72は幅方向基準において、座席3に対して幅方向他方側に配置されている。操作レバー72は、載置台34の台本体の幅方向他方側に取付けられ、幅方向基準に対して幅方向他方側において、座席3よりも幅方向外側に配置されている。また、操作レバー72は、当接レバー67の前方、且つ上方に配置されている。
【0059】
操作レバー72は、椅子部材40,41に配置した横軸74に、回動自在に固定されている。また、操作レバー72は、横軸74を介して前進用ブレーキ位置A1と、後退用ブレーキ位置A2と、前進用ブレーキ位置A1および後退用ブレーキ位置A2の間のブレーキ解除位置とに切替え可能とされている。
【0060】
リンク機構73は、幅方向基準において幅方向他方側であって、座席3の下側に配置されている。回動体70と横軸74とは、リンク機構73を介して接続されている。リンク機構73は、横軸74および回動体70に連結された小リンク75,76と、小リンク75,76間に接続され小リンク75,76よりも大きな大リンク77とを備えている。小リンク75,76および大リンク77は、横方向のピン78,79を介して接続されている。
【0061】
ところで、モノレール2用の前記支柱に、前進用、あるいは後退用の検出器(当接ポイント)が設けられており、操縦レバー45の前進位置において、杆状の当接レバー67の先端下端部が前進用の検知器を当接すれば、当接レバー67は、正面視して、回動体70周りに時計方向に回動し、リンク機構73を介して操作レバー72が後退する方向に位置する。また、操縦レバー45の後退位置において、杆状の当接レバー67の先端下端部が後退用の検知器に当接すれば、当接レバー67は回動体70の反時計方向に回動し、リンク機構73を介して操作レバー72が前進する方向に位置する。
【0062】
図2、
図9に示すように、バランサ12は、一方側体5Aの側部から横方向に延びる延長材80と、延長材80の先端に取付けられて複数枚からなるウエイト81とを備える。バランサ12は、前後方向基準よりも前方に配置され、幅方向基準に対して幅方向他方側に配置されている。延長材80は一方側体5Aの平板部材13から横方向に延びる。また、ウエイト81は、延長材80の先端において、複数枚からなる薄板部材によって構成される。バランサ12を構成する薄板部材は、前後方向に長く形成されている。バランサ12は、操作レバー72の横軸74の直下位置である。バランサ12は、当接レバー67の前側に配置されている。バランサ12は、杆状の当接レバー67の先端の外側、且つ当接レバー67の先端部の上側に配置されている。また、バランサ12は、ピン78の直下に配置されている。このようにして、高さ方向基準においては、載置台34およびエンジン6が上側であり、バランサ12が下側に配置されている。
【0063】
バランサ12、踏板31、座席3、エンジン6、ブレーキ機構部(停止ブレーキ)66の配置において、バランサ12に対し、前側に踏板31が配置され、上側に座席3が配置され、後側にブレーキ機構部66、エンジン6が配置されている。また、バランサ12の上側に踏板31とブレーキ機構部66が配置され、さらに上側に座席3とエンジン6が配置されている。なお、バランサ12の幅方向基準に対する幅方向他方側へのずれ量は、エンジン6の幅方向一方側へのずれ量よりも大きなずれ量である。座席3に対しては、後方の幅方向一方側にエンジン6、下方の幅方向他方側にバランサ12、および停止ブレーキが配置されている。
【0064】
上記のように、運搬車1では、ベース5上に、座席3、エンジン6、プーリ装置7、ギヤボックス8、ブレーキ装置10、緊急ブレーキ11、およびバランサ12が配置され、ベース5には、前転動ローラ20および後転動ローラ21が配置され、駆動ローラ24および抑制ローラ25は、延長板17を介してモノレール2に噛合する構成である。
【0065】
上記構成の運搬車1において、座席3に人員が腰掛け、脚乗板50に両脚を乗せる。そしてエンジン6を駆動すると、操縦レバー45の前進位置において、エンジン6の駆動がプーリ装置7に伝達され、プーリ装置7の駆動が、ギヤボックス8の減速機構に伝達されて出力軸が駆動し、出力軸から駆動ローラ24に伝達され、駆動ローラ24がモノレール2のラック2aに噛合し、前転動ローラ20および後転動ローラ21がモノレール2の上面2bに当接して、運搬車1がモノレール2を軌道として走行する。
【0066】
また、走行中には、ラック2aに抑制ローラ25が噛合していることにより、駆動ローラ24回りにベース5が回転してしまうのを抑制する。なお、ベース5の前傾斜部材15、後傾斜部材16は、モノレール2の上下方向の傾斜に干渉しないように構成されて形成されるが、モノレール2の上下方向の傾斜は、水平面に対して45°で特定されている。このようにして、前傾斜部材15、後傾斜部材16がモノレール2の傾斜に干渉しないように設定されている。操縦レバー45の後退位置では、プーリ装置7、減速機構、駆動ローラ24が逆回転し、運搬車1が後退する。ブレーキ装置10、緊急ブレーキ11については、前述のとおりである。
【0067】
また、運搬車1の走行の際、人員が前把手部54の横バー56を掴むことで、運搬車1の横揺れや縦揺れに対し、人員の保全ができる。また、後横把手部46により運搬車1の横揺れや縦揺れに対し、人員の保全ができる。そして、運搬車1が前進するとき、座席3に腰掛けた人員の後にエンジン6が配置されているから、エンジン6の駆動に伴う廃棄ガスの吸引が回避できる。
【0068】
運搬車1において、載置台34およびバランサ12とエンジン6との配置では、前後方向基準において、載置台34およびバランサ12が前側であり、エンジン6が後側に配置されている。このことから、エンジン6を載置台34の後側に配置した分だけ載置台34(座席3)を低くでき、運搬車1の重心を高さ方向基準(モノレール2)に対して低くすることができるので、安定性がよい。
【0069】
運搬車1において、幅方向基準では、幅方向一方側に大重量のエンジン6が配置され、プーリ装置7、ギヤボックス8、および緊急ブレーキ11もまた、幅方向一方側に配置されている。幅方向一方側にエンジン6等が配置されているだけでは、運搬車1の幅方向基準において重量バランスの均等が合わせられない。しかしながら、この運搬車1では、幅方向他方側にバランサ12、ブレーキ装置10が配置されており、エンジン6等とバランサ12等によって、運搬車1の幅方向基準における重量バランスを均等に合わせることができ、モノレール2に対する安定性が良好である。
【0070】
さらに、高さ方向基準において、載置台34およびエンジン6が上側であり、バランサ12が下側に配置されているから、運搬車1における載置台34およびエンジン6と、バランサ12との重量バランスを均等に合わせることができ、モノレール2に対する安定性が良好である。また、ベース5は、前傾斜部材15および後傾斜部材16を備えているから、モノレール2の上下方向の傾斜に干渉しない。
【0071】
ところで、運搬車1は、当接レバー67を備えており、当接レバー67を操作するために上方に向けたピン78を備えている。そして、ピン78の直下にバランサ12が配置され、またバランサ12は、当接レバー67の先端に対して、外側且つ上側に配置されている。この構成では、バランサ12がピン78の直下に配置されているので、当接レバー67を操作する際に邪魔にならず、バランサ12が運搬車1の停止に干渉せず、当接レバー67により運搬車1の停止を確実に操作できる
【0072】
以上、人員を乗せる座席3を搭載した形態として、運搬車1の構成を説明していた。しかしながら、前記したように人員を乗せる座席3と、物資を載せる荷台4とが取替え可能とされている。
【0073】
図10ないし
図13に基づいて、荷台4の説明をする。荷台4は平面視して矩形の底板85と、底板85の四方に立設される側板W1,W2,W3,W4とを備える。
図13に示すように、底板85は側面視して、椅子部材40,41に載置される上段部86と、フランジ53に載置される下段部87と、上段部86および下段部87を連続する段付部88とを備える。下段部87は、段付部88を介して、上段部86よりも上下方向において低く設定されている。
【0074】
荷台4は、載置台34に対して着脱自在に取付けられる。荷台4は、載置台34よりも前方側にまで形成されている。具体的には、踏板31の上に配置され、ベース5の前端部まで形成される。荷台4は、載置台34上の部分が浅く形成され、載置台34の部分が深く形成されている。
【0075】
上段部86の底には、雄ねじ90が形成されており、椅子部材40,41の孔43(
図5参照)に挿通され、椅子部材40,41の下部からナット91を締付けることで、上段部86が椅子部材40,41に着脱自在に固定される。また、下段部87には、雄ねじ90が形成され、フランジ53の孔59(
図5参照)に雄ねじ90を挿通し、フランジ53の下方から雄ねじ90にナット91を締付けることで、フランジ53に下段部87が着脱自在に固定される。
【0076】
側板W1,W2,W3,W4のうち、幅方向の側板W3,W4の上端は、上段部86から下段部87へ向けて傾斜されている。前後方向の側板W1,W2の幅方向は、座席3と同程度の長さ寸法である。また、荷台4は、底板85および側板W1,W2,W3,W4を保護するための枠体93を備える。
【0077】
また、底板85には、上段部86と下段部87とを有することにより、上段部86と下段部87とに均等に物資を載せることができ、しかも、下段部87が上段部86より低い位置にあるから、物資を載せた運搬車1の重心を低くすることができる。
【0078】
そして、場合によって、人員ではなく物資を運搬しようとする際には、座席3と荷台4とを交換する。このとき、
図5で示すように、座席3のみを交換し、踏板31は交換しない。また、荷台4と交換する場合には、前把手部54を取外す。
【0079】
すなわち、物資を運搬しようとする際には、座席3の下部に設けた雄ねじ42からナット44を緩めて座席3を椅子部材40,41から外す。また、前把手部54は、縦バー55の下端に設けられた取付部材57の雄ねじ58からナット60を緩めることで、前把手部54を外す。
【0080】
そして、荷台4においては、上段部86の雄ねじ90を、椅子部材40,41の孔43に挿通して、椅子部材40,41の下部からナット91を締付ける。また、下段部87の雄ねじ90をフランジ53の孔59に挿通し、フランジ53の下方から雄ねじ90にナット91を締付ける。これにより、フランジ53に下段部87が着脱自在に固定される。また、前後方向の側板W1,W2の幅方向は、座席3と同程度の長さ寸法であるから、荷台4は、座席3と同様に確り固定される。これによって、座席3、前把手部54を外し、座席3と荷台4と交換して、
図14、
図15に示すように組立てることができる。
【0081】
この運搬車1によれば、座席3と荷台4とが取替え可能であるから、座席3と荷台4とを交換することで、運搬対象としての人員と物資とを別々に運ぶことが可能で、したがって、汎用性を高くすることができ、利便性がよい。この場合では、例えば、山の上から山の下までモノレール2を敷設し、最初に山の下から上に人員を送り、山の上および下に人員を配置して、山の上から下、山の下から上に荷物を運搬する場合である。
【0082】
上記構成によれば、エンジン6を荷台4の後方に配置しているから、載置台34を低くでき、モノレール2に対する運搬車1の重心を低くすることができ安定性がよく、荷台4には側板W1,W2,W3,W4が設けられているから、運搬車1がモノレール2を走行したとしても、物資が安定する。
【0083】
本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0084】
例えば、駆動源としてエンジン6を挙げたが、駆動源としては、モータであってもよい。ウエイト81は、延長材80において複数枚からなる薄板部材によって構成されるが、この薄板部材は、例えばエンジン6等の重量によって枚数を増減させてエンジン6等とウエイト81との重量バランスを合わせることができる。
【0085】
また、上記実施形態では、バランサ12は、操作レバー72の横軸74の直下位置、当接レバー67の前側に配置、および当接レバー67の先端の外側、且つ当接レバー67の先端部の上側に配置されている。しかしながら、バランサ12は、特定の領域に設ける必要はなく、エンジン6等の配置位置によって、上下、左右、あるいは、幅方向に位置ずれさせることもあり得る。但し、バランサ12は、当接レバー67に干渉しないように配置される。
【0086】
また、座席3と荷台4との交換の際には、後横把手部46を取外してもよい。また、座席3と後横把手部46とは一体的に構成することもでき、この場合では、座席3、後横把手部46、および前把手部54を荷台4と交換する。座席3と椅子部材40,41の取付け構造や、前把手部54とフランジ53との取付け構造は、上記に限定されることはない。例えば、上記実施形態では、孔と雄ねじとを挿通させ、雄ねじにナットを締結して、上下、左右方向の揺れを抑制したが、上下、左右方向の揺れを抑制するものであれば、特にその手段は問わない。
【0087】
上記実施形態では、ブレーキ装置10は、操作レバー72と当接レバー67とを備える場合について説明したが、操作レバー72と当接レバー67のうち、何れか一方であってもよい。
【0088】
次に、
図16ないし
図19を参照して、第二の実施形態における運搬車1を説明する。
図16に示すように、第二の実施形態における運搬車1もまた、載置台34と、載置台34を駆動するための駆動源、即ちエンジン6と、人員を乗せる座席3とを備えている。第二の実施形態にける運搬車1では、載置台34、エンジン6、座席3の構成や、その他の運搬車1を構成する部品は、上記第一の実施形態における運搬車1と同様である。
【0089】
第一の実施形態における運搬車1では、座席3および前把手部54を取外して、物資を載せる荷台4(例えば、
図10参照)を設置していたところ、第二の実施形態における運搬車1では、座席3を設置し前把手部54を設置したままの状態で、
図17で示すように、座席3の周囲に荷台100が設置されている。この荷台100は、荷台100を構成する荷台形成部品101を、着脱手段102を介して、座席3の周囲に着脱可能とした構成である。
【0090】
ここで、荷台100を構成する荷台形成部品101について説明する。荷台形成部品101は、前把手部54の縦バー55の前に立設される前パーツW5と、座席3の右側に配置される右パーツW6と、座席3の左側に配置される左パーツW7とを備える。これら前パーツW5、右パーツW6、および左パーツW7は、板状に形成されている。
【0091】
前パーツW5は矩形の板状に形成され、前把手部54の縦バー55の前に配置されて、一対の縦バー55を左右で覆うように配置されている。また、前パーツW5の両側には、右パーツW6、左パーツW7を取付けるための保持片103,103が後方に向けて配置されており、保持片103,103は上下方向に離間して配置されている。
【0092】
また、前パーツW5は、縦バー55が設置されるフランジ53上に立設されるとともに、縦バー55に対し、抱え部材104を介して着脱自在に取付けられている。抱え部材104は、縦バー55の背面から接触する半円部材105と、半円部材105の左右両側に形成されて前パーツW5の裏面に当接する重ね片106とを備える。重ね片106と前パーツW5とには、前後に対向するねじ孔106aが形成され、前パーツW5の外側(前側)から、ねじ孔106aにねじ107が螺合されている。抱え部材104は、縦バー55と前パーツW5に対し、上下に離間して配置されている。そして、縦バー55に前パーツW5を取付けると、
図16および
図18に示すように、前パーツW5の上側には、前把手部54の縦バー55の上部一部と、横バー56が露出した形態となっている。
【0093】
図17、
図18に示すように、右パーツW6は、前部108と中間部109と後部110とから板状に形成されている。前部108は、踏板31の脚乗板50の右端部に立設され、保持片103,103が上下に重ねて取付けられる。保持片103,103の板面と右パーツW6の板面に孔108aが形成され、前部108の外側から、孔108aにノブボルト112が螺合されて、前パーツW5と前部108(右パーツW6)とが着脱自在に固定されている。
【0094】
着脱手段102としては、抱え部材104、前パーツW5のねじ孔106a、ねじ107、保持片103,103であり、また、右パーツW6の板面に形成された孔108a、およびノブボルト112である。
【0095】
中間部109は、踏板31の脚滑り防止板51から後方へ向かう、左右方向のフランジ113に立設され、また、中間部109は、フランジ113から椅子部材40の下側に配置された領域を含む。ここで、フランジ113から椅子部材40の下側に配置された領域を、椅子部材40に上下方向で係止する係止部109aと称する。
【0096】
後部110は、前後の椅子部材40,41(例えば、
図5参照)の右端に渡して立設されるとともに、座席3の腰掛け32、背もたれ33の一部と、後横把手部46(縦バー47,48)との間に配置されている。なお、背もたれ33は後方に向けて傾斜して形成されており、背もたれ33の一部とは、背もたれ33の前部である。
【0097】
右パーツW6の上面について述べると、右パーツW6の上面前部は、前パーツW5の上面と略同一高さであり、後方に向かって上傾斜して、後部110では、後横把持バー49の上面より低く、背もたれ33の上面と略同一高さである。また、右パーツW6の板面には、右パーツW6の操作用の長孔114が形成されている。
【0098】
左パーツW7は、右パーツW6と左右対称形状であって、右パーツW6と同様の構成である。右パーツW6が台本体の右端部に立設されるのに対し、左パーツW7は台本体の左端部に立設される。
【0099】
このように、荷台形成部品101では、前パーツW5は抱え部材104によって縦バー55に強固に着脱自在に支持され、右パーツW6および左パーツW7は、ノブボルト112を介して前パーツW5に接続されている。そして、右パーツW6および左パーツW7の、前部108は、踏板31の脚乗板50の端部(台本体の左右)に立設され、中間部109は、踏板31の脚滑り防止板51から後方へ向かうフランジ113に立設される。また、中間部109は、フランジ113から椅子部材40の下側に設置され、後部110は、前後の椅子部材40,41に渡して立設されるとともに、後部110は、座席3と後横把手部46との間に配置されている。
【0100】
このように、右パーツW6および左パーツW7は、ノブボルト112を介して前パーツW5に接続されているのみであるが、右パーツW6および左パーツW7では、中間部109はフランジ113から椅子部材40の下側に、椅子部材40に上下方向で係止する係止部109aを備えているから、上方への移動はない。また、後部110は、座席3と後横把手部46との間に配置されている。このため、後部110については、中心側への移動や側部への移動も制限される。
【0101】
第二の実施形態による運搬車1によれば、座席3が設けられているので運搬対象としての人員を乗せることができる。また、荷台100を構成する荷台形成部品101が、座席3周りに着脱可能に設けられている。このため、荷台形成部品101を座席3の周囲に取付けることにより、荷台100を取付けることができ、人員の代わりに荷台100を取付けて物資を載せれば、その分だけ運搬車1としての汎用性を高くすることができる。
【0102】
また、前パーツW5は、前把手部54の縦バー55に取付けられるから、縦バー55を外す必要がない分だけ、前パーツW5の取付けが楽である。また、座席3を取外すことなく、後部110は、座席3と後横把手部46との間に配置されていることから幅方向の中心側への移動や、幅方向の側部への移動も制限されるので、特別な装置によって中心側への移動や側部への移動を規制する必要がない。
【0103】
また、物資を運搬する際には、座席3の腰掛け32や、その前方下部にある脚乗板50が荷台100の底部となり、右パーツW6および左パーツW7が荷台100の側部となり、前パーツW5が荷台100の前部となり、座席3の背もたれ33が荷台100の背部となる。また、前パーツW5の上側には、前把手部54の縦バー55の上部一部と、横バー56が露出した形態となっているので、物資を運搬するのに際し、前側でのストッパとして機能する。
【0104】
運搬車1に荷台100を設置するタイミングとしては、当初から荷台100を設置しておいてもよく、この場合では、座席3も設置されているから、人員を乗せることもできる。そして、運搬車1において、人員を乗せて山の上で人員が降り、荷台100に物資を載せて、山の下に物資を運ぶことができ、さらに山の下から山の上に運搬車1を運んで座席3に人員を乗せて、山の上から山の下まで降りることが可能である。
【0105】
また、運搬車1では、前パーツW5においてはねじ107を外し、右パーツW6および左パーツW7ではノブボルト112を外すことで、前パーツW5、右パーツW6および左パーツW7を外すことができる。したがって、例えば人員のみを山の下から山の上に運搬したり、あるいは山の上から山の下に人員を運搬したりする際に、前パーツW5、右パーツW6および左パーツW7を外せば、座席3に人員が乗せられる。
【0106】
あるいは、山の上に人員を配置したうえで、物資を山の下から山の上に運搬し、山の上で物資を降ろして、人員を座席3に乗せて、山の上から山の下まで降ろすことも可能である。その他の運搬車1の作用は、上記第一の実施形態と同様である。
【0107】
第二の実施形態では、荷台形成部品101は、前パーツW5、右パーツW6および左パーツW7を別々に備えた。しかしながら、前パーツW5、右パーツW6および左パーツW7を一体物として扱うことができる。すなわち、前パーツW5に対して、右パーツW6、左パーツW7を一体化した態様であり、この場合では、着脱手段102は、縦バー55に対する抱え部材104、前パーツW5のねじ孔106a、ねじ107であればよい。
【0108】
第二の実施形態では、右パーツW6、左パーツW7の上面は傾斜するよう配置された。しかしながら、右パーツW6、左パーツW7、および前パーツW5の上面は、例えば、背もたれ33の最上部と平行に配置することもできる。
【0109】
また、前パーツW5は、前把手部54の縦バー55に取付けられる構成を挙げた。しかしながら、前パーツW5を取付ける際、前把手部54を取外すこともできる。この場合の着脱手段102としては、縦バー55が設置されるフランジ53に、強固に立設される手段を設ける。
【0110】
また、右パーツW6、左パーツW7の設置の際に、後横把手部46を取外すこともできる。この場合では、座席3によって、右パーツW6、左パーツW7の中心側への移動は抑制できるが、側部への移動を規制するものがないので、側部への移動を規制する部材を設ける必要がある。
【0111】
第二の実施形態では、右パーツW6、左パーツW7は、座席3が載置される台本体に固定されていないが、右パーツW6、左パーツW7を台本体に固定するものであってもよい。
【符号の説明】
【0112】
1…運搬車、2…モノレール、3…座席、4…荷台、5…ベース、5A…一方側体、5B…他方側体、6…エンジン、7…プーリ装置、8…ギヤボックス、9…駆動ローラ装置、10…ブレーキ装置、12…バランサ、13,14…平板部材、15…前傾斜部材、16…前傾斜部材、17…延長板、18…前連結部材、19…後連結部材、24…駆動ローラ、31…踏板、34…載置台、35…縦部材、36…横部材、37…傾斜部材、40,41…椅子部材、42…雄ねじ、43…孔、44…ナット、45…操縦レバー、46…後横把手部、50…脚乗板、53…フランジ、54…前把手部、55…縦バー、57…取付部材、58…雄ねじ、59…孔、60…ナット、61…プーリ本体、67…当接レバー、70…回動体、78,79…ピン、80…延長材、81…ウエイト、85…底板、90…雄ねじ、91…ナット