(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】保険金算定装置、保険金算定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20220617BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2020126739
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2020-10-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月30日に、三井住友海上火災保険株式会社が、MS&AD 三井住友海上 News Releaseにて、中野嵩士、服部成治、丸山倫弘、荒木敏行が発明した「浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定する保険金算定装置及び方法」について公開した。 令和2年3月23日に、Arithmer株式会社が、AERA、第33巻14号通巻1790号、第17~18頁、朝日新聞出版にて、中野嵩士、服部成治、丸山倫弘、荒木敏行が発明した「浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定する保険金算定装置及び方法」について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】517332845
【氏名又は名称】Arithmer株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399106192
【氏名又は名称】三井住友海上火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中野 嵩士
(72)【発明者】
【氏名】服部 成治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 倫弘
(72)【発明者】
【氏名】荒木 敏行
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-086007(JP,A)
【文献】特開2020-101941(JP,A)
【文献】特開2002-117475(JP,A)
【文献】特許第6813865(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定する保険金算定装置であって、
前記浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに前記対象物件の住所の入力を受け付ける入力部と、
前記水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、前記対象物件の住所での前記浸水害時の水深を推定する推定部と、
前記水深の推定結果に基づいて、前記対象物件に対する前記保険金の支払額を算定する算定部と、
を備える保険金算定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記対象物件の住所に基づいて、前記水深実測情報の中から前記複数セットの実測住所及び実測値を選択する、請求項1に記載の保険金算定装置。
【請求項3】
前記入力部は、顧客による水深の自己申告の入力をさらに受け付けるものであり、
前記水深の自己申告の値
と前記水深の推定結果とを比較
して、前記自己申告の値と前記水深の推定結果との差分が許容範囲外である場合にエラーを出力する比較部をさらに備え
、前記許容範囲は、前記保険金の支払額の算定結果が変わらない範囲である、請求項1又は2に記載の保険金算定装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記対象物件の建物情報の入力をさらに受け付けるものであり、
前記算定部は、前記水深の推定結果及び前記対象物件の建物情報に基づいて前記対象物件の浸水高を認定し、前記浸水高に基づいて前記保険金の支払額を算定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の保険金算定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記複数セットの実測住所に対応する推定モデルに実測値を入力して解析エリアに対する境界条件を推定し、該境界条件に基づいて流体解析を実行することで前記解析エリア内での水深分布を解析する、請求項1から4のいずれか一項に記載の保険金算定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記複数セットの実測住所及び前記対象物件の住所を含むよう解析エリアを設定する、請求項5に記載の保険金算定装置。
【請求項7】
前記解析エリアの境界で流出入する水流に関する境界条件及び該境界条件に対する前記解析エリア内での水深分布の複数セットを含む訓練データから前記複数セットの実測住所での水深値を抽出して機械学習モデルに入力し、前記水深分布に対応する境界条件を正解データとして使用して前記推定モデルを生成する学習部をさらに備える、請求項5又は6に記載の保険金算定装置。
【請求項8】
前記学習部は、前記解析エリアに対する複数の境界条件を定め、前記複数の境界条件のそれぞれに対して前記流体解析して前記解析エリア内での水深分布を算出して、前記訓練データを作成する、請求項7に記載の保険金算定装置。
【請求項9】
浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定する保険金算定方法であって、
保険金算定装置により、前記浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに前記対象物件の住所の入力を受け付ける段階と、
前記保険金算定装置により、前記水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、前記対象物件の住所での前記浸水害時の水深を推定する段階と、
前記保険金算定装置により、前記水深の推定結果に基づいて、前記対象物件に対する前記保険金の支払額を算定する段階と、
を備える保険金算定方法。
【請求項10】
浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定するために、コンピュータに、
前記浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに前記対象物件の住所の入力を受け付ける手順と、
前記水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、前記対象物件の住所での前記浸水害時の水深を推定する手順と、
前記水深の推定結果に基づいて、前記対象物件に対する前記保険金の支払額を算定する手順と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定する保険金算定装置、保険金算定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
台風、豪雨などにより発生した水災により建物が浸水害を被った場合にその損害に対して保険金を支払う保険契約がある。従来、保険金の支払額は、調査員が現地に赴いて対象物件の浸水高を測定し、その測定結果に基づいて早見表を参照して決定していた。しかし、複数の対象物件のそれぞれについて浸水高を測定しなければならない。浸水箇所が広範囲の場合、工数が増え、保険金の支払いまでに長期間を要するなどの問題がある。例えば特許文献1には、上空画像を取得し、これに含まれる特徴に基づいて浸水エリアを特定し、そのエリア内の契約者を特定する契約者特定装置が開示されている。
特許文献1 特開2020-042640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の契約者特定装置は、浸水の程度を特定するものではない。そのため、保険金の支払額を必ずしも素早く決定できるといえるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定する保険金算定装置であって、浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに対象物件の住所の入力を受け付ける入力部と、水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定する推定部と、水深の推定結果に基づいて、対象物件に対する保険金の支払額を算定する算定部と、を備える保険金算定装置が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定する保険金算定方法であって、浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに対象物件の住所の入力を受け付ける段階と、水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定する段階と、水深の推定結果に基づいて、対象物件に対する保険金の支払額を算定する段階と、を備える保険金算定方法が提供される。
【0006】
本発明の第3の態様においては、浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定するために、コンピュータに、浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに対象物件の住所の入力を受け付ける手順と、水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定する手順と、水深の推定結果に基づいて、対象物件に対する保険金の支払額を算定する手順と、を実行させるプログラムが提供される。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る保険金算定装置の構成を示す。
【
図2】本実施形態に係る保険金算定装置の機能構成を示す。
【
図5】本実施形態に係る保険金算定方法のフローを示す。
【
図11】水深実測情報に基づいて推定される境界条件の一例を示す。
【
図12】境界条件に基づく対象物件の住所での水深の推定結果の一例を示す。
【
図14】浸水高から保険金の支払額への換算表の一例を示す。
【
図15】本実施形態に係るコンピュータの構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1に、本実施形態に係る保険金算定装置1の構成を示す。保険金算定装置1は、浸水害を被った対象物件に対する保険金の支払額を算定するコンピュータ装置である。本実施形態に係る保険金算定装置1は、さらに、流体解析の解析エリアに対する境界条件を推定する推定モデル7を生成する。ただし、保険金算定装置1とは別のコンピュータ装置が、推定モデル7を生成することとしてもよい。保険金算定装置1は、プロセッサ2、入力デバイス3、主記憶デバイス4、補助記憶デバイス5、及び通信モジュール8を備える。
【0011】
プロセッサ2は、1又は複数の中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ(MPU)、及びグラフィックスプロセッサ(GPU)であり、プログラム6を実行することにより、コンピュータ装置に保険金の支払額を算定する機能及び推定モデル7を生成する機能を発現させる。これらの機能を発現した保険金算定装置1の機能構成については後述する。
【0012】
入力デバイス3は、水深実測情報及び対象物件情報の入力を受け付ける装置である。入力デバイス3は、キーボード、CD-ROMドライブ等を介して水深実測情報を読み取り、保険金算定装置1を使用する管理者が有する対象物件情報を読み取る。読み取られた情報は、主記憶デバイス4に記憶される。また、別のコンピュータ装置により推定モデル7を生成した場合には、入力デバイス3は、記憶デバイスに記憶された推定モデル7を読み取り、補助記憶デバイス5に展開する。
【0013】
主記憶デバイス4は、保険金算定装置1(プロセッサ2)が保険金の支払額を算定する際に使用する水深実測情報、対象物件情報等のデータ、推定モデル7を生成する際に使用する訓練データ等のデータを一時的に記憶する装置であり、1又は複数のスタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)等の一時記憶デバイスであってよい。
【0014】
補助記憶デバイス5は、ハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置を含み、プログラム6及び推定モデル7を記憶する。補助記憶デバイス5は、推定モデル7を生成するための訓練データ、流体解析において使用する地図データを記憶してもよい。
【0015】
通信モジュール8は、ネットワークを介して外部サーバと相互に通信する装置である。通信モジュール8により、例えば、流体解析のための地図データを外部サーバから入手することができる。
【0016】
図2に、本実施形態に係る保険金算定装置1の機能構成を示す。保険金算定装置1は、プロセッサ2によりプログラム6を実行することにより、入力部11、推定部12、学習部13、比較部14、及び算定部15の機能を発現する。
【0017】
入力部11は、入力デバイス3を介して入力される水深実測情報及び対象物件情報を受け付ける。
【0018】
図3に、水深実測情報の一例を示す。水深実測情報は、調査員が浸水害を被った現地に赴いて浸水害時の水深(地面からの水面の高さ)を実測して得られた情報であり、Nセットの実測住所X
i,Y
i及びその住所での水深の実測値H
i(i=1~N)を含む。セット数Nは、1以上の任意の整数であり、本実施形態ではN≧3とする。実測住所は、本例では、経度X
i及び緯度Y
i(i=1~N)に読み替えられている。
【0019】
図4に、対象物件情報の一例を示す。対象物件情報は、保険契約の対象である物件に関する情報として、契約番号、被保険者の氏名、保険契約の対象物件の住所X
k,Y
k、保険の対象、建物情報、浸水害の申告、保険金振込口座に関する情報を含む。対象物件情報は、1セットに限らず、複数セットの対象物件に関する情報を含んでよい。対象物件の住所は、本例では、経度X
k及び緯度Y
kに読み替えられている。なお、他の対象物件の住所等を表す場合には、添え字kを他の記号lなどに置き替える。
【0020】
保険の対象は、「建物のみ又は建物及び家財」又は「家財のみ」の別を含む。保険の対象により同じ浸水高(床上からの水面の高さ)でも保険金の支払額が異なることから、この情報に基づいて水深の推定結果(又は浸水高)から保険金の支払額を算定する際に使用する換算表を変える。
【0021】
建物情報は、戸建又はマンションの別及び階数を含む。個々の建物により床高が異なることから水深の推測結果から浸水高への換算もそれぞれ異なるところ、本例では、戸建又はマンションのそれぞれで一律に換算することとしている。そこで、この情報に基づいて、水深の推定結果を浸水高に変換する際に使用する変換表を変える。
【0022】
浸水害の申告は、被保険者が自ら申告する浸水害の状況を含む。本例では、推定部12による水深の推定結果の妥当性を確認するのに使用される。水深の推定結果が不当の場合、浸水害の申告に基づいて保険金の支払額を決定してもよい。
【0023】
保険金振込口座は、保険金を支払うための被保険者の口座に関する情報であり、口座名義、金融機関番号、及び口座番号を含む。
【0024】
推定部12は、水深実測情報に基づいて、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定する。ここで、推定部12は、後述する推定モデル7を用いて、水深実測情報に含まれるNセット(例えば、3セット)の実測住所及び実測値に基づく境界条件を用いて流体解析を実行することで対象物件の住所での浸水害時の水深を推定する。推定部12による水深の推定の詳細については後述する。
【0025】
学習部13は、解析エリアの境界で流出入する水流に関する境界条件及びその境界条件に対する解析エリア内での水深分布の複数セットを含む訓練データに基づいて、推定モデル7を生成する。ここで、学習部13は、訓練データに含まれる水深分布を機械学習モデルに入力し、その水深分布に対応する境界条件を正解データとして使用して推定モデル7を生成する。学習部13による推定モデル7の機械学習の詳細については後述する。なお、境界条件は、単位区画を形成する境界面上での水流に関するパラメータであり、例えば境界面を水流が流出入する際の流速である。ただし、境界条件は流速に限定されず、例えば水流量などであってもよい。
【0026】
比較部14は、推定部12による水深の推定結果と、被保険者により申告された浸水高とを比較する。比較部14は、比較の結果、水深の推定結果と、申告された浸水高とが所定の範囲内にない場合は、エラーを出力する。
【0027】
算定部15は、推定部12による水深の推定結果に基づいて、対象物件に対する保険金の支払額を算定する。その際、算定部15は、対象物件の建物情報に基づいて水深の推定結果を対象物件の浸水高に換算し、浸水高に基づいて保険金の支払額を算定してもよい。算定部15による支払額の算定の詳細については後述する。
【0028】
図5に、本実施形態に係る保険金算定装置1により実行される保険金算定方法S100のフローを示す。
【0029】
ステップS102では、入力部11により、流体解析において使用する地図データの入力を受け付ける。地図データは、
図6に一例を示すように、浸水害を被った災害エリアの標高マップを含み、衛星を用いて測定されたマップ、ドローンを用いて測定されたマップ、又は、それらの組み合わせであってもよく、建物を含んだ標高マップであってもよい。入力部11は、外部サーバから地図データを入手する又は事前に補助記憶デバイス5に記憶された地図データを読み出し、主記憶デバイス4に展開する。
【0030】
ステップS104では、入力部11により、水深実測情報の入力を受け付ける。水深実測情報は、Nセットの実測住所X
i,Y
i及びその住所での水深の実測値H
i(i=1~N)を含む(
図3参照)。本例では、Nは3以上の数値である。水深実測情報は、管理者により入力デバイス3を介して入力され、プロセッサ2は、これを主記憶デバイス4に展開する。
【0031】
ステップS108では、推定部12により、水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値を選択する。本実施形態では、3セット(ここでは、N=3)の実測住所Xi,Yi及び実測値Hi(i=1~3)を選択する。ただし、選択される数は3セットに限られるものではない。
【0032】
ステップS109では、推定部12により、解析エリア99を設定する。解析エリア99は、
図7に示すように矩形状エリアに定められ、ステップS108で選択された実測住所及び後述する対象物件の住所X
k,Y
kを少なくとも含むよう設定される。なお、解析エリア99は、水深実測情報に含まれる全セットの実測住所X
i,Y
i(i=1~N)及び選択可能なすべての対象物件の住所(例えば、X
l,Y
l)を含むよう設定してもよい。
【0033】
ステップS110では、学習部13により、3セット(ここでは、N=3)の実測住所Xi,Yi(i=1~3)を用いて、任意の住所での水深を算出する流体解析のための境界条件を推定する推定モデル7を生成する。なお、境界条件とは、解析エリア99の境界で流出入する水流の量に関する条件である。境界要件を、流体解析モデルに入力することにより解析エリア99内での水深分布を算出することができる。
【0034】
図8に、学習部13による推定モデル7の機械学習S110のフローを示す。
【0035】
説明の便宜上、
図9に示すように、4つの境界面のうち、2つの境界面(左側面及び上側面)を水流の流入面とし、他の2つの境界面(右側面及び下側面)を流出面とする。流出面については物理量(流速及び水深等)の空間勾配をゼロに設定し、自由に流出するものとする。また、流入量が同じであれば全体の水深の分布はあまり変わらないと考えられるため、2つの流入面のうち、一の流入面(左側面)の流速U
0は固定値とし、他の流入面(上側面)の流速U
BCのみを可変とする。流速を固定または可変する面は、上記の逆でも問題ない。なお、上記の境界条件の設定方法は一例であって、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば2つの流入面を両方とも可変としてもよく、流出面についても他の境界条件を設定してもよい。また、流入面を1面、あるいは3面としてもよい。
【0036】
ステップS112では、学習部13により、訓練データを生成する。まず、学習部13は、上述の可変の境界面の流速を境界条件として設定する。
【0037】
次いで、学習部13は、上で与えた境界条件(流速UBC)に対して流体解析を実行する。すなわち、学習部13は、後述する浅水方程式により与えられる流体解析モデルに境界条件を代入し、解析エリア99内での水深分布hを算出する。なお、水深分布hは、解析エリアを分割して得られる複数の区画のそれぞれにおける水深値の集合として与えられる。学習部13は、境界条件(流速UBC)及びこれに対して算出された解析エリア99内での水深分布hをセットにして記憶する。
【0038】
そして、学習部13は、境界条件の値を変化させて上記の手順を複数回繰り返し、複数セットの境界条件及び解析エリア99内での水深分布hを含む訓練データを作成する。
【0039】
このように、訓練データは、対象物件の住所での水深を推定する際に使用する流体解析と同じ解析により作成される。それにより、水深分布を流体解析で解析するための境界条件を適切に推定する推定モデル7を生成することができる。
【0040】
ステップS114では、学習部13は、ステップS112で作成した訓練データを使用して推定モデル7を生成する。学習部13は、訓練データに含まれる水深分布hからステップS108で選択された実測住所(Xi,Yi)での水深値hi(=h(Xi,Yi))を抽出してこれらを機械学習モデルに入力し、水深分布hに対応する境界条件UBCを正解データとして使用して推定モデル7を生成する。なお、機械学習モデルとしては、例えばニューラルネットワークを採用することができる。
【0041】
ステップS120では、推定部12により、3セット(ここでは、N=3)の実測住所Xi,Yiにおける実測値Hi(i=1~3)に基づいて、解析エリア99内の任意の住所での水害時の水深を推定する。
【0042】
図10に、推定部12による水深解析S120のフローを示す。
【0043】
ステップS122では、推定部12により、推定モデル7を用いて解析エリア99に対する境界条件(流速U
BC)を推定する。
図11に示すように、3セットの実測住所X
i,Y
iにおける実測値H
i(i=1~3)を推定モデル7に入力することで、解析エリア99に対する境界条件が推定される。
【0044】
ステップS124では、推定部12により、ステップS122で推定された境界条件(流速U
BC)に基づいて流体解析を実行する。流体解析モデル(浅水方程式とも呼ばれる)として、式(1)の運動方程式及び式(2)の連続の式が使用される。
【数1】
ここで、uは流速ベクトル(ただし、位置の関数)であり、hは水深、h
0は標高、gは重力加速度である。式(1)の右辺第1項は水流に加わる重力を表し、第2項τ
ωは水流が流れる表面の粗さを表し、第3項τ
bldは建物による抵抗を表す。推定部12は、流体解析モデルに境界条件を代入し、数値解法により2つの方程式を連立して解く。それにより、
図12に示すように、解析エリア99内での水深分布hが算出され、これに基づいて解析エリア99内の任意の住所での浸水害時の水深が得られる。
【0045】
このように、解析エリア99に対する流体解析を実行することで、実測住所の情報が反映された推定モデル7を生成することができる。そして、推定モデル7を用いることで解析エリア99における境界条件を容易に決定することができる。そのように推定された境界条件に基づいて流体解析を実行して解析エリア99内の水深分布を解析する。
【0046】
ステップS125では、入力部11により、対象物件情報の入力を受け付ける。対象物件情報は、保険契約の対象物件の住所X
k,Y
k、保険の対象、建物情報、浸水害の申告等を含む(
図4参照)。対象物件情報は、管理者により入力デバイス3を介して入力され、推定部12に送信される。なお、1セットの対象物件情報に限らず、複数セットの対象物件情報を入力してもよい。または、推定部12により、事前に主記憶デバイス4に記憶された対象物件情報の中から1又は複数セットの対象物件情報を選択することとしてもよい。本実施形態では、1セットの対象物件情報(対象物件の住所X
k,Y
k)を選択する。
【0047】
なお、ステップS125の処理は必ずしもこのタイミングで行なう必要はなく、ステップS130の前の任意のタイミングで行なうものであればよい。
【0048】
ステップS130では、算定部15により、水深の推定結果及び対象物件の建物情報に基づいて対象物件の浸水高を認定する。
【0049】
図13に、水深から浸水高への換算表の一例を示す。算定部15は、対象物件の建物情報から保険の対象を読み取り、対象が建物のみ又は建物及び家財の場合に
図13の上の換算表、対象が家財のみの場合に
図13の下の換算表を用いる。さらに、算定部15は、対象物件の建物情報から戸建又はマンションの別及び階数を読み取り、換算表にあてはめて、水深の推定結果から対象物件の浸水高に換算する。本例では、保険の対象の別に関わらず、また対象物件が戸建又はマンションであるかに関わらず、対象物件が平屋建(1階建)の場合に床高を60cmと見なし、対象物件が2階建の場合に床高を350cmと見なして、一律に水深を浸水高に換算する。ただし、対象物件が3階建以上の場合には、保険の対象が家財のみの場合に浸水高0cmと認定し(すなわち浸水を認定しない)、保険の対象が建物のみ又は建物及び家財の場合に床高を350cmと見なして、一律に水深を浸水高に換算する。
【0050】
個々の建物により床高が異なることから水深から浸水高への換算もそれぞれ異なるところ、このように保険の対象の別に従って換算表を変えつつ、建物の階数に応じて一律に水深を浸水高に換算することで、短い期間及び少ない工数で浸水高を認定することができる。なお、本例では、戸建又はマンションに関わらず共通の換算表を使用することとしたが、異なる換算表を使用してもよい。このように、水深の推定結果に加えて対象物件の建物情報に基づいて対象物件の浸水高を認定することで、浸水高に基づいて保険金の支払額をより適切に算定することができる。
【0051】
ステップS132では、比較部14により、対象物件の住所での水深の推定結果の妥当性を確認する。本実施形態では、ステップS130で水深の推定結果から換算された対象物件の浸水高の妥当性を確認する。比較部14は、対象物件情報から被保険者による浸水害の申告を読み取り、申告された浸水した最上階の階数及び浸水高に基づいてステップS130で換算された浸水高と比較する。申告された浸水高と換算された浸水高との差分が許容範囲内である場合、比較部14は、水深の推定結果は妥当(OK)と判定して次のステップS134に進む。差分が許容範囲外である場合、比較部14は、水深の推定結果または申告の値が誤っているおそれがある(NG)と判定し、エラーを出力する(ステップS135)。なお、差分の許容範囲は、例えば、その差分があったとしても保険金の支払額が変わらない範囲としてよい。
【0052】
ステップS134では、算定部15により、ステップS130で換算された浸水高に基づいて保険金の支払額を算定する。算定部15は、
図14に示す換算表を用いて、浸水高から保険金の支払額を換算する。本例では、浸水した最上階の階数及びその最上階の浸水高に応じて保険金の支払額が定まる。
【0053】
ステップS136では、算定部15により、算定を継続するか否か判断する。対象物件情報がまだ残っている場合、ステップS125に戻り算定を継続し、残っていない場合、フローを終了する。本例では、対象物件情報(他の対象物件の位置Xl,Yl)が残っているため、ステップS125に戻ってそれに対する保険金の支払額に対する算定を継続する。
【0054】
本実施形態に係る保険金算定装置1によれば、浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに対象物件の住所の入力を受け付ける入力部11、水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定する推定部12、水深の推定結果に基づいて、対象物件に対する保険金の支払額を算定する算定部15を備える。水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所における実測値並びに対象物件の住所から、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定することで、短い期間及び少ない工数で対象物件に対する保険金の支払額を算定することが可能となる。
【0055】
本実施形態に係る保険金算定方法によれば、浸水害時の水深を実測した実測住所及び得られた水深の実測値のセットを含む水深実測情報並びに対象物件の住所の入力を受け付ける段階、水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所及び実測値に基づいて、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定する段階、水深の推定結果に基づいて、対象物件に対する保険金の支払額を算定する段階を備える。水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所における実測値並びに対象物件の住所から、対象物件の住所での浸水害時の水深を推定することで、短い期間及び少ない工数で対象物件に対する保険金の支払額を算定することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態に係る保険金算定装置1は、推定モデル7を生成するとともにこれを用いて水深解析を実行するものとしたが、これに代えて、別のコンピュータ装置が推定モデル7を生成し、これを用いて保険金算定装置1が水深解析することとしてもよい。
【0057】
なお、本実施形態において、推定モデル7の生成に際し、水深実測情報に含まれる実測住所の全てを用いて生成する必要はない。例えば、学習部13により、水深実測情報に含まれる複数セットの実測住所の一部に基づいて複数の推定モデル7を生成し、推定部12が、複数の推定モデル7から複数の境界条件を推定し、それらの複数の境界条件を平均化し、平均化された境界条件を流体解析モデルに代入して水深の推定を実行するものでもよい。
【0058】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0059】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0060】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0061】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0062】
図15は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0063】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0064】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0065】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0066】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0067】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0068】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0069】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0070】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0071】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0073】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0074】
1…保険金算定装置、2…プロセッサ、3…入力デバイス、4…主記憶デバイス、5…補助記憶デバイス、6…プログラム、7…推定モデル、8…通信モジュール、11…入力部、12…推定部、13…学習部、14…検証部、15…算定部、99…解析エリア、2200…コンピュータ、2201…DVD-ROM、2210…ホストコントローラ、2214…RAM、2216…グラフィックコントローラ、2218…ディスプレイデバイス、2220…入/出力コントローラ、2222…通信インタフェース、2224…ハードディスクドライブ、2226…DVD-ROMドライブ、2240…入/出力チップ、2242…キーボード。