(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】異物付着防止装置
(51)【国際特許分類】
B08B 17/02 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
B08B17/02
(21)【出願番号】P 2021576413
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2021025946
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/027512
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507030863
【氏名又は名称】株式会社セシルリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】柳川 敏治
(72)【発明者】
【氏名】尾山 圭二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】山下 桂司
(72)【発明者】
【氏名】神谷 享子
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0138989(US,A1)
【文献】特開平09-220549(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157343(WO,A1)
【文献】特表2018-509886(JP,A)
【文献】国際公開第2015/092850(WO,A1)
【文献】特開2009-243160(JP,A)
【文献】特開平11-269838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/00
B08B17/00
A61L 2/00
C02F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を水中構造物の窓面に対して照射する発光部と、
前記照射光の前記水中構造物内部への漏洩を防止可能な遮蔽部と、を有し、
前記照射光は、405~412nmの波長域においてピークを有し、
前記照射光は、前記窓面外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L未満である場合には、照射強度が25Wm
-2以上の光であり、
前記照射光は、前記窓面外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上である場合には、照射強度が25Wm
-2~100Wm
-2の範囲内の光であ
り、
前記窓面外部とは、前記水中構造物の外部であり、前記水中構造物の通水箇所を含む領域である、異物付着防止装置。
【請求項2】
前記照射光の照射により、前記窓面への付着生物又はバイオフィルムの付着が抑制される、請求項1に記載の異物付着防止装置。
【請求項3】
前記照射光の照射により、前記窓面への鉄を含む化合物により形成される皮膜の付着が抑制される、請求項1又は2に記載の異物付着防止装置。
【請求項4】
前記遮蔽部は、前記照射光の前記水中構造物内部への漏洩が防止される閉状態と、前記窓面が前記水中構造物内部から視認可能となる開状態と、の間で、前記窓面に対して開閉可能に設けられ、
前記閉状態の場合にのみ前記照射光が照射される、請求項1~3のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【請求項5】
前記発光部は、制御部と、センサ部と、を有し、
前記センサ部は、前記開状態及び前記閉状態を検知可能であり、
前記センサ部により、前記開状態が検知された場合には、前記制御部は、前記照射光の照射を停止する制御を行い、
前記センサ部により、前記閉状態が検知された場合には、前記制御部は、前記照射光を照射する制御を行う、請求項4に記載の異物付着防止装置。
【請求項6】
前記遮蔽部は、前記閉状態を保持可能なロック機構を有し、
前記ロック機構は、前記照射光の照射時に前記閉状態を保持し、前記照射光の非照射時に、前記閉状態の保持を解除する、請求項4又は5に記載の異物付着防止装置。
【請求項7】
前記発光部は、複数のLED発光素子を含むLED発光パネルを有し、前記窓面の少なくとも半分の面積に対して前記照射光を照射する、請求項1~6のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【請求項8】
前記遮蔽部は、前記窓面に対して広がる円錐形状を有し、
前記発光部は、前記円錐形状を有する前記遮蔽部の頂点部に配置され、前記窓面に対して前記照射光を照射する点光源を有する、請求項1~6のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【請求項9】
前記窓面は、前記水中構造物における点検用の窓部である、請求項1~8のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物付着防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水中に設置される水中構造物、例えば、火力発電所、原子力発電所等の発電施設における海水系統の設備には、設備点検のためのガラス又はアクリル製の点検窓が設けられている。このような水中構造物及びその点検窓に対しては、フジツボ類やイガイ類等の付着生物やバイオフィルム等の異物が付着しやすいことが知られている。点検窓に異物が付着した状態では、点検窓から外部を視認し難く、水中構造物の点検を行うことが困難である。このため、点検窓には、ワイパーを回動させることで上記異物を除去するスクレーパが設けられている場合がある。
【0003】
しかし、上記スクレーパでは、点検窓に強固に付着した異物を完全に除去できない場合がある。このため、水中機器の窓面に対して紫外線を照射することで、窓面に対する生物の付着を防止する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術は、光を透過させる光学窓に対して紫外線を照射することで、生物の付着及び成長を防止する技術である。しかし、紫外線は人の目に対して有害であるため、人の目に触れる外部に漏洩することは好ましくない。また、付着生物やバイオフィルム以外に、鉄化合物により点検窓表面に皮膜が形成されることも今回、発明者らの検討により明らかとなった。しかし、上記皮膜の形成を防止する方法は開示されていないのが現状だった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、安全性を確保し、かつ水中構造物の窓面に対する異物の付着を防止する異物付着防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、照射光を水中構造物の窓面に対して照射する発光部と、前記照射光の前記水中構造物内部への漏洩を防止可能な遮蔽部と、を有し、前記照射光は、405~412nmの波長域においてピークを有し、前記照射光は、前記窓面外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L未満である場合には、照射強度が25Wm-2以上の光であり、前記照射光は、前記窓面外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上である場合には、照射強度が25Wm-2~100Wm-2の範囲内の光である、異物付着防止装置に関する。
【0008】
(2) 前記照射光の照射により、前記窓面への付着生物又はバイオフィルムの付着が抑制される、(1)に記載の異物付着防止装置。
【0009】
(3) 前記照射光の照射により、前記窓面への鉄を含む化合物により形成される皮膜の付着が抑制される、(1)又は(2)に記載の異物付着防止装置。
【0010】
(4) 前記遮蔽部は、前記照射光の前記水中構造物内部への漏洩が防止される閉状態と、前記窓面が前記水中構造物内部から視認可能となる開状態と、の間で、前記窓面に対して開閉可能に設けられ、前記閉状態の場合にのみ前記照射光が照射される、(1)~(3)のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【0011】
(5) 前記発光部は、制御部と、センサ部と、を有し、前記センサ部は、前記開状態及び前記閉状態を検知可能であり、前記センサ部により、前記開状態が検知された場合には、前記制御部は、前記照射光の照射を停止する制御を行い、前記センサ部により、前記閉状態が検知された場合には、前記制御部は、前記照射光を照射する制御を行う、(4)に記載の異物付着防止装置。
【0012】
(6) 前記遮蔽部は、前記閉状態を保持可能なロック機構を有し、前記ロック機構は、前記照射光の照射時に前記閉状態を保持し、前記照射光の非照射時に、前記閉状態の保持を解除する、(4)又は(5)に記載の異物付着防止装置。
【0013】
(7) 前記発光部は、複数のLED発光素子を含むLED発光パネルを有し、前記窓面の少なくとも半分の面積に対して前記照射光を照射する(1)~(6)のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【0014】
(8) 前記遮蔽部は、前記窓面に対して広がる円錐形状を有し、前記発光部は、前記円錐形状を有する前記遮蔽部の頂点部に配置され、前記窓面に対して前記照射光を照射する点光源を有する、(1)~(6)のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【0015】
(9) 前記窓面は、前記水中構造物における点検用の窓部である、(1)~(8)のいずれかに記載の異物付着防止装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、安全性を確保し、かつ水中構造物の窓面に対する異物の付着を防止する異物付着防止装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る異物付着防止装置1を示す構成図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る異物付着防止装置1aを示す構成図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係る異物付着防止装置1bを示す構成図である。
【
図4】本発明の第4実施形態に係る異物付着防止装置1cを示す構成図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る発光部の一部の構成を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る遮蔽部の構成を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例における付着板への生物付着状況を示す写真である。
【
図8】本発明の一実施例における付着板への生物付着状況を示す写真である。
【
図9】水中構造物の窓面に対し、異なる照射強度の光を照射する試験の概要図である。
【
図10】水中構造物の窓面に対し、異なる照射強度の光を照射した試験結果を示す写真である。
【
図11】水中構造物の窓面に対し、異なる照射強度の光を照射した試験結果を示す写真である。
【
図12】水中構造物の窓面に対し、特定の照射強度の光を照射する試験の概要図である。
【
図13】水中構造物の窓面に対し、特定の照射強度の光を照射した試験結果を示す写真である。
【
図14】水中構造物の窓面に対し、特定の照射強度の光を照射した試験結果を示す写真である。
【
図15】水中構造物の窓面に対し、特定の照射強度の光を照射した試験結果を示す写真である。
【
図16】水中構造物の窓面に対し、特定の照射強度の光を照射した試験結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に制限されず、適宜変更が可能である。
【0019】
[第1実施形態]
本実施形態に係る異物付着防止装置1は、
図1に示すように、水中構造物100の点検用の窓部である点検窓面110に対する、異物の付着を防止する。水中構造物100としては、特に制限されないが、例えば火力発電所、原子力発電所等の発電施設における海水系統の設備(フィルター、スポンジボール洗浄装置、除貝装置)等が挙げられる。これらの設備には、例えばフィルターの逆洗等の運転状況を確認するための点検用の窓が設置されている。
【0020】
水中構造物100としては上記に制限されず、取水管路、ロータリースクリーン、バースクリーン、ドラムスクリーン、マッセルフィルター、ネットスクリーン、取水ポンプ、循環水ポンプ、循環水管、熱交換器、復水器、軸受冷却水冷却器、潤滑油冷却器、LNG気化器、発電機、放水管路、水車、インペラ、バルブ、回転軸、導水管路、ろ過槽、膜、ダム、船舶、造船所における船体、バラスト水タンク、バラスト水導入・排出管、ポンプ類、水産養殖設備、水産試験場、水産設備、水族館、魚介類飼育水槽における水槽、配管、ポンプ類等であってもよい。
【0021】
水中構造物100の周囲の海水、淡水、又は汽水に対しては、水中構造物100の防食目的で、鉄イオンが注入される場合がある。例えば、発電所の復水器には、復水器細管の腐食を防止するため、復水器周囲の海水、淡水、又は汽水に対して硫酸第一鉄等の鉄イオン源を注入する注入装置が設けられる場合がある。上記注入装置は、初期運転時は例えば2価鉄イオン濃度0.3ppm×6時間/日、又は2価鉄イオン濃度1.0ppm×2時間/日となるように、2価鉄イオンを注入する。上記注入装置は、通常運転時は例えば2価鉄イオン濃度0.1ppm×6時間/日、又は2価鉄イオン濃度0.5ppm×1時間/日となるように、2価鉄イオンを注入する。しかし、点検窓面110外部の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上である場合、点検窓面110に対し、付着生物又はバイオフィルム等だけでなく、上記鉄イオンに起因する鉄を含む化合物により鉄皮膜が形成され、設備点検のための視界が損なわれる可能性がある。
【0022】
点検窓面110を構成する材料としては、光透過性を有する部材であれば特に制限されず、例えば、石英ガラス、ソーダガラス等のガラスや、アクリル、ポリ塩化ビニル等の光透過性樹脂等が挙げられる。上記点検窓面110には、例えば点検窓に付着した異物を除去するためのスクレーパ111が備えられている。スクレーパ111は、ハンドルを回転させることで、点検窓の外部(水中側面)に備えられたワイパーを回動させ、点検窓の外部表面に付着した異物を除去するように構成されている。しかし、スクレーパ111のみでは、強固に点検窓面110に付着した異物を除去し、設備点検のための視界を確保することが困難な場合がある。
【0023】
本実施形態に係る異物付着防止装置1は、
図1に示すように、発光部20と、遮蔽部30と、を有する。発光部20は、405~412nmの波長域においてピークを有し、照射強度が25Wm
-2以上の照射光を、点検窓面110に対して照射する。これにより、点検窓面110に対する付着生物又はバイオフィルム等の異物の付着が抑制される。上記照射光は、点検窓面110の外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上である場合には、照射強度が25Wm
-2~100Wm
-2の範囲内に調整される。これにより、点検窓面110に対する付着生物又はバイオフィルム等の付着に加え、鉄を含む化合物により形成される皮膜の付着が抑制される。遮蔽部30は、光照射部21を被覆可能であり、人の目に対して有害な照射光が、水中構造物100の内部に漏洩することを防止する。なお、水中構造物100の通水箇所は、
図1に円筒形状で示した水中構造物100の一部の内側である。水中構造物100の点検者は、例えば点検窓面110を介して上記通水箇所を視認することで、水中構造物100の運転状況を点検できる。本明細書において、「水中構造物外部」とは、水中構造物の外部であり、上記通水箇所も含む概念である。また、「水中構造物内部」とは、水中構造物100の内部であり、かつ点検窓面110に対する点検者側の領域を意味する。即ち、上記通水箇所は「水中構造物内部」の概念には含まれない。
【0024】
図1(A)は、照射光の水中構造物100内部への漏洩が防止される、遮蔽部30の閉状態(以下、単に「閉状態」と記載する場合がある)を示し、
図1(B)は、点検窓面110が水中構造物100内部から視認可能となる、遮蔽部30の開状態(以下、単に「開状態」と記載する場合がある)を示す。遮蔽部30は、水中構造物100の点検時以外は閉状態が保持される。
【0025】
上記付着生物は、初期幼生の間は海中を浮遊しており、付着期幼生になると、適当な付着物に付着して成体に変態する生物であって、イガイ類やフジツボ類を例示できる。
【0026】
イガイ類とは、イガイ科(Mytilidae)の二枚貝類の総称であり、例えば、ヒバリガイなどのヒバリガイ亜科(Modiolinae)、イシマテ等のイシマテ亜科(Lithophaginae)、キザミガイ、ホトトギスガイ等のキザミガイ亜科(Crenellinae)、イガイ、カワヒバリガイ、ムラサキイガイ等のイガイ亜科(Mytilinae)等が含まれる。また、フジツボ類とは、甲殻類(Crustacea)、まん脚亜綱(Cirripadia)、及び完胸目(Thoracica)に分類されるものの総称であり、例えば、タテジマフジツボ、アメリカフジツボ、アカフジツボ、サンカクフジツボ、オオアカフジツボ、サラサフジツボ、イワフジツボ、シロスジフジツボ、及びヨーロッパフジツボなどを含むフジツボ型亜目(Balanomorpha)に属するものが含まれる。
【0027】
上記バイオフィルムとは、水中構造物の点検窓面等の窓面の表面に、微生物によって形成される構造体である。バイオフィルムは通常は膜状であって、微生物が分泌した多糖等の細胞外高分子物質(EPS, extracellular polymeric substance)を含む。また、バイオフィルムには、微生物の遺骸、排泄物、糞、棲管等が含まれていてもよい。ここで微生物とは、細菌類、真菌類、藍藻類、原生動物等に属する生物が例示できる。また、付着珪藻類、緑藻類、褐藻類、紅藻類等の微小藻体、カイメン類、ヒドロ虫類、クラゲ類、管棲多毛類、コケムシ類、ヨコエビ類等の幼生もこれに含まれる。
【0028】
上記鉄を含む化合物は、水中の鉄イオンが酸化されて生じる化合物であり、上記鉄を含む化合物により、点検窓面110の表面に皮膜が形成される。水中の鉄イオンは、水中構造物100の防食目的で水中に注入される場合がある。上記鉄を含む化合物としては、例えば、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe2O3)、オキシ水酸化鉄(FeOOH)、水酸化鉄(Fe(OH)2)、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)等が挙げられる。点検窓面110に対して上記照射光を照射することで、上記皮膜の形成が抑制される理由については明らかではないが、例えば、以下のような理由が考えられる。上記鉄を含む化合物は、海水中で負に帯電しており、点検窓面110は正に帯電しているため、静電的な引力が働き、点検窓面110に対して上記鉄を含む化合物が沈着して皮膜が形成される。しかし、上記照射光が照射されることで、点検窓面110の正の帯電が抑制される結果、点検窓面110に対する上記鉄を含む化合物の沈着が抑制されると考えられる。
【0029】
発光部20から照射される照射光は、405~412nmの波長域においてピークを有する。波長が380nm以下の紫外線は付着生物の抑制効果があるものの、海水中での透過率が低い問題がある。照射光の波長を上記範囲とすることで、好ましい付着抑制効果が得られる。照射光は、400~420nmの波長域においてピークを有することが好ましい。照射光の波長は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、上記以外の波長域を含んでいてもよい。例えば、400~440nmの波長域の光を含んでいてもよい。
【0030】
照射光の照射強度は、点検窓面110外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L未満である場合には、25Wm-2以上である。照射光の照射強度は、点検窓面110外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上である場合には、照射強度が25~100Wm-2の範囲内である。上記照射強度は、点検窓面110外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上である場合には、25~50Wm-2の範囲内であることが好ましい。なお、上記照射強度はメイワフォーシス株式会社製 Pyranometer LI-200の計測値として得られる値である。これにより、点検窓面110に対する異物の付着が好ましく抑制される。点検窓面110外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上であり、かつ照射光の照射強度が100Wm-2を超える場合、鉄を含む化合物により形成される皮膜の付着を抑制できず、逆に光酸化作用により鉄皮膜の形成を促進する恐れがある。照射光の照射強度が25Wm-2未満である場合、十分な付着生物の付着抑制効果が得られない可能性がある。光の照射時間は特に制限されず、持続的であってもよいし、断続的であってもよい。断続的である場合、所定時間における照射強度の平均が上記範囲内であることが好ましい。
【0031】
発光部20は、例えばLED光を照射するLED照射装置であってもよいし、水銀ランプや蛍光管等であってもよい。中でも、LED照射装置であることが好ましく、LEDを照射する光ファイバや複数のLED発光素子からなるLED発光パネルを有することが好ましい。本実施形態に係る発光部20は、光ファイバを有する。
【0032】
発光部20は、光照射部21と、本体部22と、を有する。本体部22は、光照射部21から照射される光を制御する制御部(図示省略)を有する。本体部22は、
図5に示すように、筐体部221の内部に収容され、固定部222により固定される。なお、
図5(A)は本体部22及び筐体部221の正面図を示し、
図5(B)は同様に左側面図、
図5(C)は同様に右側面図を示す。また、発光部20は、センサ部40を有していてもよい。
【0033】
光照射部21は、光ファイバ23の出射口であり、光照射部21から照射される照射光は、点検窓面110の少なくとも一部である、照射領域L1に対して照射される。本実施形態において、照射領域L1は点検窓面110の一部の円状の領域である。
図6(C)に示すように、光照射部21から照射される照射光Lcは、出射口から多少の広がりを有して点検窓面110に到達するが、点検窓面110の面内にのみ照射される。上記照射領域L1により、光照射部21を被覆する遮蔽部30に照射光が照射されることで劣化する恐れが無く、遮蔽部30を構成する材料の選択の余地を広くすることができる。
【0034】
本体部22は、照射光としてのLED光を照射可能なLED点光源の照射装置である。このような本体部22としては、特に制限されず、従来公知のものを使用できる。本体部22は、
図5に示すように、LED光を点光源として照射する投光レンズ220を有する。上記投光レンズ220から照射される照射光は、光ファイバ23を通じて光照射部21に伝達される。
【0035】
本体部22は、制御部(図示省略)を有し、投光レンズ220から照射されるLED光の照射を制御可能である。上記制御部は、例えば、後述するセンサ部40と通信可能に構成され、センサ部40により開状態が検知された場合には、LED光の照射を停止する制御を行い、センサ部40により閉状態が検知された場合には、LED光を照射する制御を行う。これにより、発光部20から照射されるLED光が水中構造物100内部に漏洩することを確実に防止でき、異物付着防止装置1の安全性を向上できる。
【0036】
センサ部40は、本体部22の制御部と有線又は無線で通信可能に構成され、例えば後述する遮蔽部30の扉部31の内側に配置される。センサ部40は、遮蔽部30の開状態及び閉状態を検知可能なセンサであれば特に制限されず、例えば磁気センサ、感圧センサ、超音波センサ、静電容量センサ、測距センサ等、対象との接触又は近接を検知できる公知のセンサが使用できる。
【0037】
筐体部221は、本体部22を収容する。筐体部221は、固定部222により固定される。筐体部221は開閉可能な蓋部を有し、上記蓋部は固定部222により固定される。
【0038】
固定部222は、例えばネオジム磁石等の磁石を有する公知のマグネットホルダであり、人力では動かせない程度、例えば800N程度の力で強固に対象物を固定できる。固定部222は、操作部223により磁力の切り替えが可能である。操作部223により、筐体部221の蓋部の固定が解除されると、本体部22のLED光の照射が停止されるように構成してもよい。これにより、本体部22の投光レンズ220からLED光が照射されている状態で、誤って筐体部221の蓋部を開けて本体部22を操作することがなくなるため、異物付着防止装置1の安全性を更に向上できる。
【0039】
遮蔽部30は、
図1に示すように、扉部31と、枠部32と、開閉機構33と、を有する。遮蔽部30は、上記に加えて、
図6に示すように、把持部34と、ロック機構35と、窓部36と、を有する。なお、
図6(A)は遮蔽部30の閉状態の上面図、
図6(B)は遮蔽部30の開状態の正面図、
図6(C)は遮蔽部30の閉状態の右側面図をそれぞれ示す。
【0040】
扉部31は、開閉機構33を介して枠部32と接続され、点検窓面110に対して開閉可能に設けられる。扉部31が枠部32に当接している状態が閉状態であり、扉部31が開閉機構33により回動して、枠部32から離隔した状態が開状態である。開閉機構33としては、蝶番等の公知の開閉機構が用いられる。
【0041】
扉部31は、
図6に示すように、枠部32に対向する面に凹部を有する部材である。
図6(B)に示すように、扉部31の前面には、光照射部21が接続される。光照射部21から照射されるLED光は、
図6(C)に示すように、扉部31の前面側から、点検窓面110に向けて照射される。LED光は、閉状態における扉部31の凹部と、枠部32とで囲まれた領域の中で照射され、点検窓面110に到達するため、水中構造物100内部へ漏洩することがない。
【0042】
枠部32は、扉部31と対応する形状を有し、点検窓面110の周囲を取り囲むように配置され水中構造物100に固定される。枠部32と、扉部31とは、閉状態において当接して固定される。閉状態における扉部31と枠部32との間には、パッキン等の部材が配置されていてもよい。これにより、扉部31と枠部32との間からLED光が漏洩することを防止できる。扉部31及び枠部32の材質としては、特に制限されず、樹脂や金属等の材質を用いることができる。
【0043】
把持部34は、扉部31の開閉操作を行うためのハンドルである。ロック機構35は、閉状態の扉部31と枠部32とを固定し、閉状態を保持可能な機構である。ロック機構35としては、特に制限されず、パチン錠等の公知の施錠可能なロック機構が用いられる。
【0044】
ロック機構35は、LED光の照射時には閉状態を保持し、LED光の非照射時に、閉状態の保持を解除することが好ましい。例えば、本体部22に作動用の電源を供給する通電装置又は電源装置と、ロック機構35とを連動させ、ロック機構35の閉状態の保持が解除されると、本体部22への通電が遮断されるように構成することができる。これにより、開状態の場合にはLED光が照射されることがないため、水中構造物100内部へのLED光の漏洩を確実に防止できる。
【0045】
窓部36は、扉部31の前面に設けられ、遮蔽部30の閉状態において遮蔽部30の内部を確認可能な窓部である。窓部36は、通常は開閉不能であるように固定具等によって固定される。
【0046】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0047】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る異物付着防止装置1aを示す図である。
図2(A)は遮蔽部30aの閉状態を示し、
図2(B)は遮蔽部30aの開状態を示す。
【0048】
異物付着防止装置1aは、発光部20aと、遮蔽部30aと、を有する。発光部20aは、本実施形態において、複数のLED発光素子を含むLED発光パネルを有する。発光部20aは、単一の発光素子に依存することなく、発光部20a全体としてLED光の照射強度等の調整が可能である。また、個々のLED素子の出力を低く保つことにより、装置の長寿命化が期待できる。発光部20aは、光照射部21aの一部を発光させることも可能である。
【0049】
光照射部21aは、LED発光パネルである。光照射部21aは、例えばパネル枠に配置される複数のLED素子と、導光板及び反射シートを含む。複数のLED素子からパネル中心に向けて照射されたLED光は、導光板及び反射シートによりパネル全面から均一に照射される。本体部22は、光照射部21aに対して電力を供給すると共に、出力を制御する制御部を有する。光照射部21aと本体部22とは、電力線及び通信線により接続される。
【0050】
本実施形態において、光照射部21aから点検窓面110に照射される照射光の照射領域L2は、
図2(B)に示すように、点検窓面110の少なくとも半分の面積である。これにより、点検窓面110における異物の付着が防止される面積を、第1実施形態と比較して広く確保できる。このため、水中構造物100の点検をより好ましく行うことができる。
【0051】
[第3実施形態]
図3は、本発明の第3実施形態に係る異物付着防止装置1bを示す図である。
図3(A)は遮蔽部30bの閉状態を示し、
図2(B)は遮蔽部30bの開状態を示す。
【0052】
異物付着防止装置1bは、発光部20bと、遮蔽部30bと、を有する。発光部20bは、本実施形態において、第1実施形態と同様、点光源のLED光を照射する光ファイバを有する。遮蔽部30bは、点検窓面110に対して広がる円錐形状を有する扉部31bを有する。点光源である発光部20bの光照射部21bは、
図3に示すように、円錐形状を有する扉部31bの頂点部に配置される。
【0053】
本実施形態において、光照射部21bから点検窓面110に照射される照射光の照射領域L3は、
図3(B)に示すように、点検窓面110の全面を含む領域である。これにより、点検窓面110の全面に対する異物の付着を防止することができ、水中構造物100の点検をより好ましく行うことができる。また、点光源を用いた簡易な構成によって上記を実現できる。
【0054】
[第4実施形態]
図4は、本発明の第4実施形態に係る異物付着防止装置1cを示す図である。
図4(A)は遮蔽部30cの閉状態を示し、
図4(B)は遮蔽部30cの開状態を示す。
【0055】
異物付着防止装置1cは、発光部20cと、遮蔽部30cと、を有する。発光部20cは、発光部20aと同様、複数のLED発光素子を含むLED発光パネルを含む。従って、異物付着防止装置1cは、第2実施形態に係る異物付着防止装置1aと同様の構成を有し、同様の効果が得られる。
【0056】
光照射部21cは、LED発光パネルである。LED発光パネルは形状自在に構成でき、光照射部21cは、点検窓面110に対応した形状を有する。このため、光照射部21cから点検窓面110に照射される照射光の照射領域L4は、
図4(B)に示すように、点検窓面110の全面を含む領域である。これにより、点検窓面110の全面に対する異物の付着を防止することができ、水中構造物100の点検をより好ましく行うことができる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
上記実施形態では、水中構造物100の窓面を、点検窓面110として説明したが、上記に限定されない。上記窓面は、点検用以外の用途を有していてもよい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は以下の実施例の内容に限定されない。
【0059】
<1>付着板の屋外浸漬試験
本実施例では、広島県水産海洋技術センターの敷地内の海中に、塩ビ製付着板を5kgの重りを付けて水深2mの深さに浸漬させ、ロープと金属チェーンを用いて海中に固定した。海上に設置されたLED光源から防水チューブにより被覆された光ファイバを用いて、上記浸漬させた海中の付着板に対してピーク波長405nmのLED光を照射した。また、比較用にLED光を照射しない付着板についても同様に浸漬試験を行った。
【0060】
LED光源として、株式会社ユーテクノロジー社製、ハイパワーLED光源を用いた。各付着板における光ファイバ射出口からの距離10cmにおける照射強度が1000Wm-2となるよう、付着板のLED光の照射強度を調整した。
【0061】
<2>LED光の照射による付着生物又はバイオフィルムの付着状況
<1>の浸漬試験開始から1か月後及び2か月後の付着板に対する付着生物又はバイオフィルムの付着状況を確認した。
図7は、試験開始から1か月後の付着状況を示す写真であり、
図8は、試験開始から2か月後の付着状況を示す写真である。
【0062】
図7、
図8において、左から順に、光照射なし、及びピーク波長405nmのLED光を照射した付着板の写真を示す。右側の目盛りは、光ファイバ射出口からの距離(cm)を示す。
図7、
図8から明らかなように、ピーク波長405nmのLED光が照射された付着板には、付着板の上部に配置される光ファイバ射出口から放射状に照射されるLED光の照射範囲において、付着生物やバイオフィルムが付着していない結果であった。これに対し、LED光が照射されない付着板には全面的に付着生物やバイオフィルム等が付着している結果が明らかであった。
【0063】
<3-1>水中構造物の点検窓面に対するLED光の照射試験1
硫酸第一鉄注入装置を備える石炭火力発電所の復水器における除貝装置の点検窓(アクリル樹脂製)を新品に交換し、該点検窓に対して、照射強度がそれぞれ異なる3種類のLED光を照射した。具体的には、
図9(A)、(B)に示すように、点検窓面110を遮光板Sで4区画に分割し、そのうち3区画に対して、照射強度がそれぞれ25Wm
-2、50Wm
-2、200Wm
-2のピーク波長405nmのLED光を連続照射し、試験区とした。照射領域Lは、
図9(A)に示す、それぞれ約40mm×40mmの領域であり、点検窓面110における照射強度がそれぞれ上記照射強度となるようにした。LED光源としては、LEDモジュール SRDB-40UV40-405(ユーテクノロジー株式会社製)を使用し、光照射部21と点検窓面110との間隔が100mmとなるようにした。また、同一の除貝装置の他の点検窓を同時期に新品に交換して対照区とした。
【0064】
図10は、上記試験開始から11週間経過後の上記試験区を撮影した写真であり、
図11は、同様に試験開始から11週間経過後の上記対照区を撮影した写真である。
図10、
図11における矢印Wは、水流の方向を示す。
図10、
図11の点検窓における白い箇所は、フジツボ類Bが付着した箇所である。
図10、
図11に示すように、海水が滞留しやすい水流Wの上流側にフジツボ類Bの付着が多く発生した。試験区を示す
図10では、点検窓の左半面における、25Wm
-2、及び50Wm
-2の光の照射領域L付近では、フジツボ類B及びバイオフィルムの付着が抑制されていた。また、200Wm
-2の照射領域Lで厚い黄色の水酸化鉄皮膜の形成が確認された。25Wm
-2、50Wm
-2においても水酸化鉄皮膜の形成は確認されたが、ごく薄いものであり、鉄皮膜の形成が抑制されていた。また、照射領域L以外の点検窓面110には、バイオフィルムが付着していた。これに対して、対照区を示す
図11では、点検窓の左半面においてフジツボ類Bの集中付着が生じていた。また、全面が厚いデトライタス(その内部に存在するバクテリアによりバイオフィルム化すると考えられる)で被覆されていた。このため、405nmのLED光の照射強度を25Wm
-2~100Wm
-2の範囲内とすることで、付着生物及びバイオフィルムの付着を抑制できると共に、鉄を含む化合物により形成される皮膜の付着を抑制できる結果が確認された。
【0065】
<3-2>水中構造物の点検窓面に対するLED光の照射試験2
硫酸第一鉄注入装置を備える石炭火力発電所の復水器における除貝装置の2つの点検窓(アクリル樹脂製)に対して、照射強度がそれぞれ50Wm
-2、200Wm
-2のピーク波長405nmのLED光を連続照射し、試験区とした。具体的には、照射領域Lは
図12(A)、(B)に示す直径50mmの円形の領域(点検窓からの出光面では直径60mm)であり、点検窓面110における照射強度がそれぞれ上記照射強度となるようにした。LED光源としては、波長405nmLED光源 UFSL-501-08UV-UT(ユーテクノロジー株式会社製)を使用し、光照射部21と点検窓面110との間隔が100mmとなるようにした。試験区の点検窓は試験開始前に清掃を行い、同時期に清掃を行った点検窓を対照区とした。
【0066】
図13は、上記試験開始から8週間経過後の照射強度を50Wm
-2とした試験区の照射領域L付近を撮影した写真である。
図14は、同様に上記試験開始から8週間経過後の照射強度を200Wm
-2とした試験区の照射領域L付近を撮影した写真である。
図15は、同様に上記試験開始から38週間経過後の照射強度を200Wm
-2とした試験区の照射領域L付近を撮影した写真である。
図16は、同様に上記試験開始から38週間経過後の対照区を撮影した写真である。50Wm
-2の試験区を示す
図13では、照射領域Lにおいて水酸化鉄皮膜の形成は確認されたが、ごく薄いものであり、鉄皮膜の形成が抑制されていた。また、バイオフィルム等の付着も起こらなかった。200Wm
-2の試験区を示す
図14では、照射領域Lにおいて水酸化鉄皮膜Iの形成が確認された。また、200Wm
-2の試験区を示す
図15では、
図10の200Wm
-2の照射領域Lと同様の厚い黄色の水酸化鉄皮膜の形成が確認された。
図13~
図16の照射領域Lにおいて、付着生物及びバイオフィルムの付着は起こらなかった。照射領域L以外の箇所では、フジツボ類Bが付着した場合があった。これに対して、対象区を示す
図16では、全面にフジツボ類、又は付着藻類の付着が認められた。このため、405nmのLED光の照射強度が50Wm
-2である場合、付着生物及びバイオフィルムの付着を抑制できると共に、鉄を含む化合物により形成される皮膜の付着を抑制できる結果が確認された。また、照射強度が200Wm
-2である場合、50Wm
-2である場合と比較して厚い水酸化鉄の皮膜が形成される結果が確認された。
【符号の説明】
【0067】
100 水中構造物
110 点検窓面(窓面)
1、1a、1b、1c 異物付着防止装置
20、20a、20b、20c 発光部
30、30a、30b、30c 遮蔽部
35 ロック機構
40 センサ部
【要約】
安全性を確保し、かつ水中構造物の窓面に対する異物の付着を防止する異物付着防止装置を提供する。
照射光を水中構造物100の点検窓面110に対して照射する発光部20と、照射光の水中構造物100内部への漏洩を防止可能な遮蔽部30と、を有し、上記前記照射光は、405~412nmの波長域においてピークを有し、上記照射光は、前記窓面外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L未満である場合には、照射強度が25Wm-2以上の光であり、上記照射光は、前記窓面外部の水中の2価鉄イオン濃度が0.1mg/L以上である場合には、照射強度が25Wm-2~100Wm-2の範囲内の光である、異物付着防止装置1。上記照射光の照射により、点検窓面110に対する付着生物又はバイオフィルム、若しくは鉄を含む化合物により形成される皮膜の付着が抑制される。