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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】転倒抑制装置
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/00 20060101AFI20220617BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
F16M13/00 P
F16F15/08 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018001599
(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公開番号】P2019120358
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000101905
【氏名又は名称】イイダ産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506190005
【氏名又は名称】株式会社安震
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】原田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】杉田 規久男
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-259655(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/125231(JP,A1)
【文献】特開平07-217702(JP,A)
【文献】特開平06-346578(JP,A)
【文献】実開昭60-139942(JP,U)
【文献】米国特許第5439307(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0091692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 13/00-13/08
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部材とともに用いられ、基台に設置された設置物の転倒を抑制する転倒抑制装置であって、
前記設置物が載置される第1の緩衝部材と、
前記第1の緩衝部材と前記基台との間に配置される第2の緩衝部材と、
前記第1の緩衝部材と前記第2の緩衝部材との間に配置される支持プレートと、を備え、
前記第1の緩衝部材は、前記接着部材を収容する収容部を有し、
前記収容部は、上下に開口する連通構造を有し、前記連通構造は、前記設置物に対して前記第1の緩衝部材を接着し、かつ前記第1の緩衝部材が支持される前記支持プレートに対して前記第1の緩衝部材を接着するように前記接着部材を収容可能に構成される転倒抑制装置。
【請求項2】
前記第1の緩衝部材は、前記設置物を載置可能な環状部を有し、
前記収容部は、前記環状部に取り囲まれている請求項1に記載の転倒抑制装置。
【請求項3】
前記環状部は、第1環状部と、前記第1環状部の内周側に配置される第2環状部と、前記第1環状部と前記第2環状部とを接続する接続部と、を備え、
前記収容部は、前記第1環状部と前記第2環状部との間に位置する請求項2に記載の転倒抑制装置。
【請求項4】
前記環状部は、無端環状を有する環状部を含む請求項2又は請求項3に記載の転倒抑制装置。
【請求項5】
前記第2の緩衝部材は、自己粘着性を有するゲル状材料から構成される請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の転倒抑制装置。
【請求項6】
前記第1の緩衝部材は、前記支持プレート側に向けて突出する突出部を有し、
前記支持プレートは、前記突出部が挿入される挿入部を有し、
前記突出部が前記挿入部に挿入されることで、前記第1の緩衝部材が前記支持プレートに位置決めされる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の転倒抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置物の転倒を抑制する転倒抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設置物の転倒を抑制する転倒抑制装置としては、制振パッド等の緩衝部材を備えた構成が知られている(特許文献1)。このような転倒抑制装置は、接着部材を用いて設置物(脚部)に接着する施工が行われる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/125234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように接着部材を用いて転倒抑制装置を設置物に接着する施工を行う場合、接着部材の位置や容量等のばらつきを抑えることで、転倒抑制装置の性能のばらつきを抑えることができる。ところが、このような接着部材を用いた施工が煩雑であり、転倒抑制装置を設置する効率を低下させる一因となっている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接着部材を用いた施工を効率的に行うことのできる転倒抑制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する転倒抑制装置は、接着部材とともに用いられ、基台に設置された設置物の転倒を抑制する転倒抑制装置であって、前記設置物が載置される緩衝部材を備え、前記緩衝部材は、前記接着部材を収容する収容部を有し、前記収容部は、上下に開口する連通構造を有し、前記連通構造は、前記設置物に対して前記緩衝部材を接着し、かつ前記緩衝部材が支持される支持面に対して前記緩衝部材を接着するように前記接着部材を収容可能に構成される。
【0007】
この構成によれば、緩衝部材は、接着部材が収容される収容部を有するため、接着部材を形成する塗布材の塗布量や接着部材を配置する位置を規制することができる。
上記転倒抑制装置において、前記緩衝部材は、前記設置物を載置可能な環状部を有し、前記収容部は、前記環状部に取り囲まれていることが好ましい。この構成によれば、収容部に収容された接着部材は、環状部によって取り囲まれるため、外部から接着部材を視認し難くなる。
【0008】
上記転倒抑制装置において、前記環状部は、第1環状部と、前記第1環状部の内周側に配置される第2環状部と、前記第1環状部と前記第2環状部とを接続する接続部と、を備え、前記収容部は、前記第1環状部と前記第2環状部との間に位置することが好ましい。この構成によれば、収容部の容量や位置を容易に設定することが可能となる。
【0009】
上記転倒抑制装置において、前記環状部は、無端環状を有する環状部を含むことが好ましい。この構成によれば、接着部材を形成する塗布材の塗布量や接着部材を配置する位置を規制する収容部の機能を高めることができる。
【0010】
上記転倒抑制装置において、前記緩衝部材を第1の緩衝部材とした場合、前記第1の緩衝部材と前記基台との間に配置される第2の緩衝部材をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、第2の緩衝部材によって転倒抑制効果をより高めることが可能となる。
【0011】
上記転倒抑制装置において、前記第2の緩衝部材は、自己粘着性を有するゲル状材料から構成されることが好ましい。この構成によれば、第2の緩衝部材の免震機能を高めることができる。
【0012】
上記転倒抑制装置において、前記第1の緩衝部材と前記第2の緩衝部材との間に配置される支持プレートをさらに備えることが好ましい。この構成によれば、第2の緩衝部材及び支持プレートによって転倒抑制効果をさらに高めることが可能となる。
【0013】
上記転倒抑制装置において、前記第1の緩衝部材は、前記支持プレート側に向けて突出する突出部を有し、前記支持プレートは、前記突出部が挿入される挿入部を有し、前記突出部が前記挿入部に挿入されることで、前記第1の緩衝部材が前記支持プレートに位置決めされることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、支持プレートと第1の緩衝部材との相対位置のばらつきを抑えた施工を容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接着部材を用いた施工を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の転倒抑制装置の使用状態を示す正面図である。
図2】転倒抑制装置を示す分解斜視図である。
図3】第1の緩衝部材を示す平面図である。
図4】第1の緩衝部材を示す底面図である。
図5】第1の緩衝部材を示す斜視図である。
図6】転倒抑制装置の使用状態を示す断面図である。
図7】第1の緩衝部材の使用状態を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、転倒抑制装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、転倒抑制装置11は、例えば床等の基台71に設置される設置物72の転倒を抑制する装置である。転倒抑制装置11は、設置物72を支持するように基台71上に配置される。本実施形態の設置物72は、脚部72aを有するため、脚部72aを支持するように転倒抑制装置11を配置しているが、脚部72aを有しない設置物の場合、設置物の底面を支持するように転倒抑制装置11を配置することもできる。
【0018】
図2に示すように、転倒抑制装置11は、設置物72が載置される第1の緩衝部材21を備えている。本実施形態の転倒抑制装置11は、第1の緩衝部材21と基台71との間に配置される第2の緩衝部材31と、第1の緩衝部材21と第2の緩衝部材31との間に配置される支持プレート41と、第2の緩衝部材31の外周に沿って配置される壁部材51とをさらに備えている。
【0019】
<第1の緩衝部材21>
図2図5に示すように、第1の緩衝部材21は、後述する第1の接着部材を収容する収容部22を有している。収容部22は、上下に開口する連通構造を有している。本実施形態の第1の緩衝部材21は、複数の収容部22を有している。
【0020】
第1の緩衝部材21の形状は、全体として板状であり、平面視の外形は円形状である。第1の緩衝部材21は、設置物72を載置可能な環状部23を有している。環状部23は、第1環状部23aと、第1環状部23aの内周側に配置される第2環状部23bと、第2環状部23bの内周側に配置される第3環状部23cとを有している。第1の緩衝部材21は、第3環状部23cの内周側に配置される中央部24をさらに有している。本実施形態の中央部24は、支持プレート41(下方)に向けて突出する突出部24aを有している。
【0021】
第1の緩衝部材21は、第1環状部23a、第2環状部23b、第3環状部23c、及び中央部24を隣り合う部分で接続する接続部25を有している。接続部25は、第1環状部23aと第2環状部23bとを接続する第1接続部25aと、第2環状部23bと第3環状部23cとを接続する第2接続部25bとを有している。接続部25は、第3環状部23cと中央部24とを接続する第3接続部25cをさらに有している。第1接続部25a、第2接続部25b、及び第3接続部25cは、それぞれ単数であってもよいし、複数であってもよい。第1接続部25a、第2接続部25b、及び第3接続部25cは、第1の緩衝部材21の形状を安定させるという観点から、それぞれ複数であることが好ましい。
【0022】
収容部22は、第1環状部23aと第2環状部23bとの間に位置する第1収容部22aと、第2環状部23bと第3環状部23cとの間に位置する第2収容部22bと、第3環状部23cと中央部24との間に位置する第3収容部22cとを有している。
【0023】
第1収容部22aは、第1環状部23aに取り囲まれている。第2収容部22bは、第2環状部23bに取り囲まれている。第3収容部22cは、第3環状部23cに取り囲まれている。
【0024】
第1収容部22aは、第1接続部25aにより区画される複数から構成されている。第2収容部22b及び第3収容部22cについても、それぞれ第2接続部25b及び第3接続部25cにより区画される複数から構成されている。
【0025】
次に、第1環状部23a、第2環状部23b、及び第3環状部23cに共通する構成について単に環状部23として説明する。環状部23は、無端環状を有している。環状部23は、周方向において部分的に幅寸法(平面視で径方向の寸法)を大きく設定してなる拡幅部Wを有している。拡幅部Wは、第1の緩衝部材21の中央側に向かって突出する形状を有している。第1環状部23aの拡幅部Wには、第1接続部25aが接続されている。第2環状部23bの拡幅部Wには、第2接続部25bが接続されている。第3環状部23cの拡幅部Wには、第3接続部25cが接続されている。
【0026】
第1の緩衝部材21は、樹脂系材料又はゴム系材料から構成することができる。第1の緩衝部材21は、ゴム系材料から構成されることが好ましい。ゴム系材料としては、ブチル系加硫ゴム材料を好適に用いることができる。
【0027】
<第2の緩衝部材31>
図2に示すように、第2の緩衝部材31の形状は、全体として板状であり、平面視で円形状である。第2の緩衝部材31は、非粘着性を有していてもよいし、自己粘着性を有していてもよい。第2の緩衝部材31は、粘弾性を有する高分子材料から構成することができる。第2の緩衝部材31は、自己粘着性を有するゲル状材料から構成することが好ましい。
【0028】
ゲル状材料は、各種高分子材料(有機高分子材料)から構成することが可能であるが、耐久性等の観点から、ポリウレタンゲルが好ましい。ポリウレタンゲルは、ポリオール成分とイソシアネート成分とを含有するウレタン原料から得られる。ポリオール成分としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール、多価アルコールとポリカルボン酸とのヒドロキシル末端反応生成物であるポリエステルポリオール、及びポリカーボネートジオール類が挙げられる。イソシアネート成分としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートモノマー、及びそれらのプレポリマーが挙げられる。
【0029】
ポリオール成分及びイソシアネート成分は、それぞれ単独種を用いてもよいし、ポリオール成分及びイソシアネート成分の少なくとも一方について複数種を用いてもよい。
ウレタン原料には、必要に応じて、可塑剤、触媒、耐候安定剤等の添加剤を含有させることもできる。可塑剤は、硬度を調整するために用いることができる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)等)、安息香酸エステル、及び脂肪酸エステルが挙げられる。触媒としては、例えば、アミン系触媒、及び有機金属系触媒が挙げられる。触媒としては、ウレタン化反応による樹脂化を促進するという観点から有機金属系触媒が好ましい。耐候安定剤は、ゲル状材料の熱、光、又は水による劣化を抑制するために用いることができる。耐候安定剤としては、例えば、酸化防止剤(フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等)、光安定剤(ヒンダードアミン系等)、及び加水分解防止剤(カルボジイミド系等)が挙げられる。
【0030】
<支持プレート41>
図2に示すように、支持プレート41の形状は、全体として板状であり、平面視で円形状である。支持プレート41は、第1の緩衝部材21の突出部24aが挿入される挿入部41aを有している。第1の緩衝部材21の突出部24aが支持プレート41の挿入部41aに挿入されることで、第1の緩衝部材21が支持プレート41に位置決めされる。支持プレート41は、金属材料から構成することができる。支持プレート41は、ステンレス鋼から構成されることが好ましい。
【0031】
<壁部材51>
図2に示すように、壁部材51の形状は、無端環状であり、平面視で円環状である。壁部材51の内周は、第2の緩衝部材31の外形よりも大きい。壁部材51は、第2の緩衝部材31を取り囲むように配置される。壁部材51は、樹脂系材料、ゴム系材料、又は金属系材料から構成することができる。壁部材51は、ゴム系材料から構成されることが好ましい。ゴム系材料としては、ブチル系加硫ゴム材料が好適に用いられる。
【0032】
<施工方法>
次に、転倒抑制装置11を用いた転倒抑制構造の施工方法について説明する。
図6に示すように、転倒抑制構造の施工方法では、まず第2の緩衝部材31、壁部材51、及び支持プレート41を基台71上の所定の位置に配置する。次に、壁部材51の外周側に沿って第2の接着部材M2を形成するための塗布材を塗布することで、第2の接着部材M2を配置する。なお、第2の接着部材M2の配置については、省略することもできる。ここで、壁部材51は、第2の接着部材M2と第2の緩衝部材31が接触することを回避する目的で配置されるため、第2の接着部材M2の配置を省略する場合は、壁部材51についても省略することができる。
【0033】
次に、支持プレート41上に第1の緩衝部材21を配置する。このとき、第1の緩衝部材21の突出部24aを支持プレート41の挿入部41aに挿入する。
続いて、図6及び図7に示すように、第1の緩衝部材21の収容部22(本実施形態では、第1収容部22a)に第1の接着部材M1を形成するための塗布材を塗布することで、収容部22内に第1の接着部材M1を配置する。第1の接着部材M1は、シリコーン系弾性接着剤から構成されることが好ましい。
【0034】
上記のように、第1の緩衝部材21は、第1の接着部材M1が収容される収容部22(第1収容部22a)を有するため、第1の接着部材M1を形成する塗布材の塗布量や第1の接着部材M1を配置する位置を規制することができる。
【0035】
次に、第1の緩衝部材21に設置物72(脚部72a)を載置する。このとき、第1の緩衝部材21の第1収容部22aに配置されている第1の接着部材M1は、設置物72の脚部72aに接触するため、設置物72に対して第1の緩衝部材21が接着される。また、第1の緩衝部材21の第1収容部22aに配置されている第1の接着部材M1は、第1の緩衝部材21が支持されている支持面、すなわち支持プレート41の上面に接触するため、支持プレート41の上面に対して第1の緩衝部材21が接着される。
【0036】
上述した実施形態によって発揮される作用効果について以下に記載する。
(1)転倒抑制装置11は、設置物72が載置される第1の緩衝部材21を備えている。第1の緩衝部材21は、第1の接着部材M1を収容する収容部22を有している。収容部22は、上下に開口する連通構造を有している。収容部22の連通構造は、設置物72に対して第1の緩衝部材21を接着し、かつ第1の緩衝部材21が支持される支持面(支持プレート41の上面)に対して第1の緩衝部材21を接着するように第1の接着部材M1を収容可能に構成されている。
【0037】
この構成によれば、第1の緩衝部材21は、第1の接着部材M1が収容される収容部22(第1収容部22a)を有するため、第1の接着部材M1を形成する塗布材の塗布量や第1の接着部材M1を配置する位置を規制することができる。従って、第1の接着部材M1を用いた施工を効率的に行うことができる。
【0038】
(2)第1収容部22aは、第1環状部23aにより取り囲まれている。この場合、第1収容部22aに収容された第1の接着部材M1は、第1環状部23aによって取り囲まれるため、外部から第1の接着部材M1を視認し難くなる。従って、転倒抑制装置11を装備した設置物72についての外観を良好に保つことができる。
【0039】
(3)環状部23は、第1環状部23aと、第1環状部23aの内周側に配置される第2環状部23bと、第1環状部23aと第2環状部23bとを接続する第1接続部25aとを備えている。第1収容部22aは、第1環状部23aと第2環状部23bとの間に位置している。この場合、第1収容部22aの容量や位置を容易に設定することが可能となる。従って、例えば、第1の接着部材M1の過不足を回避したり、設置物72に対応した第1収容部22aに容易に設定したりすることができる。
【0040】
(4)環状部23(例えば、第1環状部23a)は、無端環状を有している。この場合、第1の接着部材M1を形成する塗布材の塗布量や第1の接着部材M1を配置する位置を規制する収容部22(例えば、第1収容部22a)の機能を高めることができる。従って、より精度の高い施工を効率的に行うことができる。
【0041】
(5)転倒抑制装置11は、第1の緩衝部材21と異なる第2の緩衝部材31をさらに備えている。第2の緩衝部材31は、第1の緩衝部材21と基台71との間に配置されている。この場合、第2の緩衝部材31によって転倒抑制効果をより高めることが可能となる。例えば、第1の緩衝部材21が吸収する振動領域と、第2の緩衝部材31が吸収する振動領域とにより、転倒抑制装置11が吸収する振動領域を拡大させることで、転倒抑制効果を高めることが可能となる。
【0042】
(6)第2の緩衝部材31は、自己粘着性を有するゲル状材料から構成されることが好ましい。この場合、第2の緩衝部材31の免震機能を高めることができる。従って、転倒抑制効果をより高めることが可能となる。
【0043】
(7)転倒抑制装置11は、第1の緩衝部材21と第2の緩衝部材31との間に配置される支持プレート41をさらに備えている。この場合、第2の緩衝部材31及び支持プレート41によって転倒抑制効果をさらに高めることが可能となる。
【0044】
(8)第1の緩衝部材21は、支持プレート41側に向けて突出する突出部24aを有している。支持プレート41は、突出部24aが挿入される挿入部41aを有している。転倒抑制装置11は、第1の緩衝部材21の突出部24aが挿入部41aに挿入されることで、第1の緩衝部材21が支持プレート41に位置決めされる構成を有している。この場合、支持プレート41と第1の緩衝部材21との相対位置のばらつきを抑えた施工を容易に行うことが可能となる。従って、個々の転倒抑制装置11の発揮する性能を安定させることができる。
【0045】
(変更例)
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・第1の緩衝部材21の突出部24a、及び支持プレート41の挿入部41aを省略してもよい。
【0046】
・第1の緩衝部材21における突出部24aは、環状部23に設けることもできる。この場合、支持プレート41の挿入部41aの位置についても変更すればよい。
・第1の緩衝部材21を構成する材料と、第2の緩衝部材31を構成する材料とは、同一の材料であってもよい。
【0047】
・支持プレート41を省略してもよい。すなわち、第1の緩衝部材21と第2の緩衝部材31とが接するように積層してもよい。この場合、第1の緩衝部材21は、第2の緩衝部材31の上面を支持面として支持され、第1の緩衝部材21と第2の緩衝部材31とを、第1の接着部材M1により接着することができる。
【0048】
・第1の緩衝部材21の環状部23は、無端環状を有しているが、有端環状に変更することもできる。
・第2環状部23b、第3環状部23c、及び中央部24の少なくとも一つを省略してもよい。
【0049】
・第2環状部23b、第3環状部23c、及び中央部24の少なくとも一つに載置される設置物72に適用することもできる。また、設置物72に対応して、収容部22の位置や収容部22の形状を変更することもできる。
【0050】
・上記実施形態では、第1収容部22aのみに第1の接着部材M1を配置しているが、第1収容部22a、第2収容部22b、及び第3収容部22cから選ばれる少なくとも一つの収容部に第1の接着部材M1を配置することができる。また、第1収容部22aを複数の収容部から構成する場合、その複数の収容部の少なくとも一つに第1の接着部材M1を配置することもできる。第2収容部22b及び第3収容部22cについても、それぞれ複数の収容部から構成する場合についても同様に少なくとも一つに第1の接着部材M1を配置することができる。
【0051】
・拡幅部Wの寸法を調整することで、拡幅部Wを接続部25として併用させることもできる。
・設置物72の底面(脚部72aの底面)と、第1の緩衝部材21の上面との間にさらに接着層を設けることもできる。この接着層についても、シリコーン系弾性接着剤から構成されることが好ましい。
【0052】
・環状部23における拡幅部Wを省略してもよい。
・第2の緩衝部材31を省略してもよい。
・第1の緩衝部材21、第2の緩衝部材31、壁部材51、及び支持プレート41の外形は平面視で円形状に限定されず、例えば、四角形状等の形状に変更することもできる。
【0053】
・床に固定された設置用台を基台として設置物72を設置してもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)上記転倒抑制装置と、前記接着部材とを有する転倒抑制構造。
【0054】
(ロ)上記転倒抑制装置を用いて転倒抑制構造を施工する施工方法であって、前記収容部に前記接着部材を形成するための塗布材を塗布する工程を備える転倒抑制構造の施工方法。
【符号の説明】
【0055】
11…転倒抑制装置、21…第1の緩衝部材、22…収容部、22a…第1収容部、22b…第2収容部、22c…第3収容部、23…環状部、23a…第1環状部、23b…第2環状部、23c…第3環状部、24…中央部、24a…突出部、25…接続部、25a…第1接続部、25b…第2接続部、25c…第3接続部、31…第2の緩衝部材、41…支持プレート、41a…挿入部、51…壁部材、71…基台、72…設置物、72a…脚部、M1…第1の接着部材、M2…第2の接着部材、W…拡幅部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7