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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】棒状化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/04 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
A45D40/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018035351
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019150080
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】岩本 久雄
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩二
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-130612(JP,U)
【文献】特開2009-208844(JP,A)
【文献】特開2012-005769(JP,A)
【文献】特開2004-229704(JP,A)
【文献】米国特許第06200047(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/02~40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の内筒と、
上記内筒の一端の外周面に相対的に回転自在に取り付けられる、略円筒状の外筒と、
上記内筒に相対的に回転自在に配設され、上記内筒の回転に伴って上記外筒内を、軸方向に進退自在に動く保持体と、を備え、
上記内筒は、内周面に雌ねじ部が形成され、
上記保持体は、一端の外周面に上記内筒の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成され、他端に、棒状化粧料を保持する有底筒状の保持部が形成され、
上記外筒に、上記保持部の底部を止着する段部が形成された棒状化粧料容器であって、
上記外筒の内周面に、上記段部から上記保持部が前進する方向に延びるリブが形成され、
上記リブの先端部分が平面視円弧状に形成されており、
上記保持部の外周面に、上記外筒のリブに対応する配置で上記リブが入り込む凹形状を有する凹部が形成されており、
上記保持部の底部が上記外筒の段部で止着した状態において、上記外筒のリブが上記保持部の凹部入り込んで係合することを特徴とする棒状化粧料容器。
【請求項2】
上記保持部の外周面に形成された凹部が、雄ねじ部側に向かって裾広がりとなる開口形状である請求項1記載の棒状化粧料容器。
【請求項3】
上記内筒、外筒および保持体のいずれもが合成樹脂成形品である請求項1または2記載の棒状化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い勝手のよい棒状化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リップカラーやアイカラー等の棒状化粧料を収容する容器として、例えば、図8および図9に示すような、外筒30、内筒31、保持体32の3部材を主として構成されるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このものは、外筒30の内周面に突設した環状凸部33に、内筒31の外周面に穿設した環状溝34が係合されており、上記外筒30内に挿入された保持体32が、外筒30の隔壁36に貫設した貫通孔37を貫通し、保持体32の雄ねじ部35は上記内筒31の内周面に形成された雌ねじ部38に螺合されている。そして、外筒30に対し内筒31を相対的に回転させると、保持体32に保持させた棒状化粧料39を円滑に繰り出すことができ、少ない部材で簡単に組み立て可能であるため、多用されている。なお、図8において、符号40は、外筒30および内筒31に外装された袴筒であり、符号41は、袴筒40の上端の外周面に着脱可能に装着されるキャップである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭62-21228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記図8および図9に示す棒状化粧料容器は、少ない部材で簡単に組み立てることができ、使い勝手がよいという利点があるものの、図8に示すような、保持体32が繰り出されていない初期位置において、繰り出し方向とは反対の向きに内筒31を誤って回転させると、内筒31の内周面に形成された雌ねじ部38が保持体32の化粧料保持側の雄ねじ部35を乗り越えて回転してしまい、雌ねじ部38と雄ねじ部35の一方または両方のねじ山が潰れてしまうため、繰り出す方向に内筒31を回転させたとしても、内筒31が空回りして棒状化粧料39を繰り出すことができない、という問題が生じている。特に、棒状化粧料容器を構成する各部材が合成樹脂成形品のような比較的撓みやすいものである場合に、この問題が生じやすい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、棒状化粧料を保持する保持体が繰り出されていない初期位置において、誤って保持体を繰り出し方向と反対の向きに内筒を回転させようとしても、容易に回転させることができず、しかも、少ない部材で簡単に組み立てることができ、使い勝手がよい棒状化粧料容器の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、
内筒と、
上記内筒の一端の外周面に相対的に回転自在に取り付けられる外筒と、
上記内筒に相対的に回転自在に配設され、上記内筒の回転に伴って上記外筒内を進退自在の保持体と、を備え、
上記内筒は、内周面に雌ねじ部が形成され、
上記保持体は、一端の外周面に上記内筒の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成され、他端に、棒状化粧料を保持する有底筒状の保持部が形成され、
上記外筒に、上記保持部の底部を止着する段部が形成された棒状化粧料容器であって、
上記外筒の内周面にリブが形成され、
上記外筒のリブに対応する配置で上記保持部の外周面に凹部が形成されており、
上記保持部の底部が上記外筒の段部で止着した状態において、上記外筒のリブが上記保持部の凹部に係合する棒状化粧料容器を第1の要旨とする。
【0007】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記保持部の外周面に形成された凹部が、雄ねじ部側に向かって裾広がりとなる開口形状である棒状化粧料容器を第2の要旨とする。さらに、本発明は、それらのなかでも特に、上記内筒、外筒および保持体のいずれもが合成樹脂成形品である棒状化粧料容器を第3の要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明の棒状化粧料容器は、上記外筒の内周面にリブを設けるとともに、上記外筒のリブに対応する配置で上記保持部の外周面に凹部を設けることにより、上記保持部の底部が上記外筒の段部で止着した状態において、上記保持部の凹部を上記外筒のリブに係合させるようにしたものである。
【0009】
この棒状化粧料容器によれば、保持体の底部が外筒の段部で止着し、繰り出されていない初期位置において、誤って内筒を繰り出し方向とは反対の向きに回転させたとしても、外筒のリブが保持部の凹部に係合しているため、回転させようとすると、外筒のリブと保持部の凹部との係合により抵抗を受ける。したがって、そのまま誤った向きに回し続けるには、この係合による抵抗よりも大きな力が必要であるため、ユーザーが誤った向きに回すことを防止できる。これにより、内筒の内周面に形成された雌ねじ部および保持部の化粧料保持側の雄ねじ部が無理に押し潰されることが防止され、常に、繰り出し方向の向きに内筒を回転させ、棒状化粧料を円滑に繰り出すことができる。
【0010】
また、本発明の棒状化粧料容器は、基本的に、内筒と、その一端に相対的に回転自在に取り付けられる外筒と、上記内筒に相対的に回転自在に配設され上記内筒の回転に伴って上記外筒内を進退する保持体という、3部材で構成されているため、組み立てが簡易であり、製品コストの低減が図られている。
【0011】
本発明の棒状化粧料容器のなかでも、特に、上記保持部の外周面に形成された凹部が、雄ねじ部側に向かって裾広がりとなる開口形状であるものは、上記外筒のリブと保持部の凹部との係合が、よりスムーズかつ確実になされるため、好適である。
【0012】
また、本発明の棒状化粧料容器のなかでも、特に、上記内筒、外筒および保持体のいずれもが合成樹脂成形品であるものは、従来、初期位置において、内筒を繰り出し方向と反対の向きに回転させることにより、ねじ山が潰れるというトラブルが生じやすいものであったことから、本発明の効果が顕著である。しかも、棒状化粧料容器全体の軽量化が図られており、携帯に便利である。そして、棒状化粧料を使い切った後には、リサイクル樹脂として容易に廃棄できるため、利便性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態の説明図であり、(a)はその平面図、(b)は保持体が最も繰り出された状態を示す(a)のA-A’断面図、(c)は保持体が繰り出されていない初期位置の状態を示す(a)のB-B’断面図である。
図2】上記実施の形態に用いられる外筒と保持体を説明する部分的な分解斜視図である。
図3】上記実施の形態に用いられる外筒の説明図であり、(a)は上記外筒の、図1(a)のA-A’方向の断面図であり、(b)は上記外筒の、図1(a)のB-B’方向の断面図である。
図4】上記実施の形態に用いられる外筒の、部分的な説明図である。
図5】上記実施の形態に用いられる内筒の、図1(a)におけるA-A’方向の断面図である。
図6】上記実施の形態に用いられる保持体の説明図であり、(a)は上記保持体の、図1(a)におけるB-B’方向の断面図であり、(b)は(a)のC-C’断面図である。
図7】上記保持体における凹部の変形例を示す部分拡大図である。
図8】従来の棒状化粧料容器の一例を示す説明図である。
図9】従来の棒状化粧料容器の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明を実施させるための形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態の棒状化粧料容器を上から見た平面図であり、図1(b)は、そのA-A’断面図を示し、図1(c)は、そのB-B’断面図である。ただし、図1(b)においては、保持体3が最も上に繰り出された状態を示し、図1(c)においては、保持体3が繰り出されていない初期位置の状態を示している。これらの図からわかるように、この棒状化粧料容器は、袴筒12とキャップ21で構成された容器本体の内側に、棒状化粧料を繰り出すための、外筒1と、内筒2と、保持体3とを備えたものである。
【0016】
より詳しく説明すると、上記外筒1、内筒2および保持体3は、いずれも合成樹脂製の一体成形品からなっている。上記外筒1、内筒2および保持体3を構成する合成樹脂の材料としては、各種の熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン等のポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、各種のエラストマー等があげられる。なかでも、PPが耐薬品性の点で、好適である。
【0017】
上記外筒1は、略円筒状で、図8図9に示すものと同様、その内側に、保持体3の保持部13底部を受けるための段部8と、保持体3の雄ねじ部7を挿通させるための貫通孔9とが設けられている。そして、上記段部8より上側の、外筒1の内周面に、互いに対向する配置で2つのリブ15が設けられている。なお、図2においては、後述する保持部13の凹部14とリブ15との関係が理解し易いように、外筒1を縦に割った状態を部分的に示している。
【0018】
図3(a)および図4に示すように、上記外筒1は円筒状に形成されており、その内周面に形成されたリブ15は、段部8から上部開口6側に向かって伸びており、この例において、リブ15の厚みは0.6mmに設定され、長さ3.7mmに設定され、幅1.6mmに設定されている。また、外筒1には、図3(b)に示すように、その内周面に保持部13の底部を止着する段部8が形成されており、下部開口20近傍には、内筒2の外周面に穿設された環状凸部5と係合するための、係合孔4および係合凹部17が形成されている。
【0019】
上記外筒1におけるリブ15の厚みは、対応する凹部14と確実に係合することができるとの観点から0.3~2mmが好ましく、より好ましくは0.3~0.8mmである。また、リブ15の長さは、外筒1の段部8から上部開口6(開口の高さが周方向に異なっている場合には、最も低い箇所)までの長さ(図3(a)においてhで示す)の1/3以下であることが好ましく、より好ましくは1/4以下である。具体的には、2~10mmが好ましく、より好ましくは3~5mmである。リブ15の長さが長すぎると収容した棒状化粧料に接触し、棒状化粧料が破損する。これを避けるためには、予め棒状化粧料にリブ15に対応する凹部を設ける等の工夫が必要となる。しかし、一般に、棒状化粧料はデリケートであるため、凹部等を設けるとその部分を起点に容易に破損する可能性があるため、棒状化粧料に凹部等を設けることは好ましくはない。リブ15の幅は、破壊強度と表側へ与える影響の大きさの兼ね合いから、1~5mmであることが好ましく、より好ましくは1~2.5mmである。ただし、外筒1の壁肉厚が厚ければ表側へ与える影響を小さくできるため、リブ15の幅をさらに広げ破壊強度を高めてもよい。
【0020】
上記外筒1に設けられたリブ15の形状は、後述する保持部13の凹部14と係合することができればどのようなものであってもよく、上記の例のような先端部分が平面視円弧状に形成されていなくてもよい。ただし、このように先端部分が平面視円弧状に形成されている場合には、これらが係合する都度に余計な摩擦を生じさせずにすみ、各部材の耐久性が高まるため、好適である。
【0021】
一方、上記内筒2は、図1に示すように、その上部が、上記外筒1の下部に入り込み、その下部が、袴筒12の内側に一体的に固定されるようになっている。なお、符号18および19は、いずれも袴筒12の内周面に当接し、内筒2に袴筒12を取り付けるための環状凸部である。そして、図5に示すとおり、上記内筒2の上端部分の内周面には、雌ねじ部10が形成されており、保持体3の外周面に形成された雄ねじ部7と螺合するようになっている。また、上記内筒2の外周面に穿設した環状凸部5が外筒1の下方に穿設された係合孔4および係合凹部17と係合することにより、外筒1に対し回転自在に取り付けられている(図1(a),(b)参照)。
【0022】
そして、上記内筒2の内側に設けられる保持体3は、その一端(図では上側)に、棒状化粧料11を保持する有底筒状の保持部13が形成されており、その反対側に、上記内筒2の雌ねじ部10と螺合する雄ねじ部7が設けられている。上記保持部13の外周面には、その対向する位置に2箇所の凹部14が形成されており、上記保持部13の底部が上記外筒1の段部8で止着した状態において、上記外筒1のリブ15と係合するようになっている。
【0023】
図6(a)は、図1(c)に示された棒状化粧料容器における、保持体3の縦断面図である。なお、図6(a)では、雄ねじ部7のねじ山が示されていないが、これは、図2で示されるとおり、雄ねじが全周にわたって形成されていないことに基づいている。そして、保持体3の保持部13に設けられた凹部14は、外筒1に設けられたリブ15の形状に対応するように、リブ15よりやや大きい形状(この例では、長さ4mm、幅1.8mm)に設定されている。
【0024】
上記保持部13に設けられた凹部14の深さは、対応するリブ15(図2参照)と確実に係合することができるとの観点から、リブ15の厚みとほぼ同じであることが好ましく、具体的には、リブ15の厚みより0.1~0.2mm大きいことが好ましい。また、通常、保持部13の側壁16の厚みは薄いため、凹部14の深さを好ましい範囲に設定すると側壁16を貫通するおそれがある。このため、この例では、図6(a)のC-C’断面図である図6(b)に示すように、凹部14を設ける部分の側壁16’を保持部13の内周面側に突出させて、他の部分に比べて肉厚にしている。しかし、側壁16の厚みと凹部14の深さによっては、側壁16’を他の部分に比べて肉厚にしなくてもよい。そして、凹部14の長さおよび幅は、いずれもリブ15の形状に対応するものであることが好ましく、具体的には、凹部14の長さはリブ15の長さより0.1~0.5mm長いことが好ましい。また、凹部14の幅はリブ15の幅より0.1~0.5mm長いことが好ましい。
【0025】
したがって、上記構成によれば、外筒1に対し内筒2を相対的に回転させる(具体的には袴筒12を回転させる)ことにより、保持体3に保持される棒状化粧料11が繰り出されるようになっている。また、棒状化粧料11が繰り出された後に、上記とは逆方向に内筒2を回動させることにより、保持体3に保持される棒状化粧料11が繰り下げられ、初期位置に戻すことができる。
【0026】
そして、上記保持体3が繰り出されていない初期位置にある際に、繰り出し方向とは逆の向きに内筒2を回転させようとすると、外筒1のリブ15と保持部13の凹部14との係合により抵抗を受ける。したがって、そのまま内筒2を誤った向きに回し続けるには、まずこの係合による抵抗よりも大きな力が必要であるため、ユーザーが誤った向きに回すことを防止できる。その結果、内筒2の内周面に形成された雌ねじ部10と保持部13の雄ねじ部7の最も上方(化粧料保持側)にあるねじ山が無理に潰されることが防止され、常に、繰り出し方向の向きに内筒2を回転させると棒状化粧料を円滑に繰り出すことができる。また、操出機構を、外筒1、内筒2および保持体3という、少ない部材で構成しているため、組み立てが簡易であり、製品コストの低減が図られている。そして、上記外筒1、内筒2および保持体3のいずれもが合成樹脂成形品であるため、従来、初期位置において内筒2を繰り出し方向とは反対に回転させることにより、ねじ山が潰れるというトラブルが生じやすいものであるにも関わらず、これを確実に防止することができる。また、棒状化粧料容器全体として軽量化されているため、携帯に便利であり、しかも棒状化粧料11を使い切った後には、リサイクル樹脂として容易に廃棄でき、利便性にも優れている。
【0027】
なお、上記実施の形態では、外筒1、内筒2および保持体3が合成樹脂によって形成されているが、外筒1、内筒2および保持体3は、合成樹脂からなるものに限られない。例えば、外筒1、内筒2および保持体3がいずれも金属からなるものであってもよいし、金属と合成樹脂とを組み合わせてなるものであってもよい。しかし、外筒1、内筒2および保持体3のいずれもが合成樹脂成形品であると、従来、初期位置において内筒2を繰り出し方向とは反対に回転させることにより、ねじ山が潰れるというトラブルが生じやすいものにも関わらず効果的にトラブルを防止でき、棒状化粧料容器全体の軽量化と、リサイクル樹脂として容易に廃棄できるという利便性とを兼ね備えたものとなる。
【0028】
また、上記保持部13に設けられた凹部14の形状は、リブ15と係合することができればどのようなものであってもよく、リブ15と同じ形状あるいは相似形状である必要はない。例えば、図7に示すように、凹部14の形状は、雄ねじ部7側に向かって裾広がりになっていてもよい。凹部14が、このように雄ねじ部7側に向かって裾広がりとなる開口形状であると、裾広がりになった部分がリブ15と係合する際のいわばガイドとなり、よりスムーズにリブ15と係合することができるため、好適である。なかでも、広がりの程度が、広がる両辺の延長線が交わる角度θとして30~90°であることが、ガイド効果と確実な係合とのバランスに優れるため好ましい。また、上記凹部14の裾広がり部分が、保持体3の縦方向の中心線(図7において、仮想線αで示す)に対し左右対称に開いているものが、ガイド効果と確実な係合とのバランスに優れるため好ましい。
【0029】
さらに、上記実施の形態では、棒状化粧料容器が、袴筒12およびキャップ21を備えているが、外筒1および内筒2の形状によっては、備えなくても差し支えない。しかし、袴筒12を備えると、内筒2の回転操作がしやすくなる点で好ましい。また、キャップ21を備えると、棒状化粧料11を確実に保護できる点で好ましい。
【0030】
また、本発明においては、上記棒状化粧料11として、口紅、リップクリーム、スティックアイカラー等の化粧料があげられるが、この他にも薬用リップクリーム等の薬剤も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、使い勝手のよい棒状化粧料容器として、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0032】
1 外筒
2 内筒
3 保持体
8 段部
13 保持部
14 凹部
15 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9