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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】スロットルグリップ装置
(51)【国際特許分類】
   B62K 23/04 20060101AFI20220617BHJP
   B62K 11/14 20060101ALI20220617BHJP
   F02D 11/02 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B62K23/04
B62K11/14
F02D11/02 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018136734
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020011681
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】大城 幸男
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-100584(JP,U)
【文献】特開昭63-008088(JP,A)
【文献】特開平09-303565(JP,A)
【文献】特開2000-006873(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104401439(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 23/04
B62K 11/14
F02D 11/02
G05G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルパイプの先端側に取り付けられ、運転者による回転操作が可能とされたスロットルグリップと、
前記ハンドルパイプ内に取り付けられるとともに、前記スロットルグリップの回転に連動して回転し得る連動部材と、
磁気を生じた部材から成り、前記連動部材に取り付けられて当該連動部材と共に回転可能とされた磁気部材と、
前記ハンドルパイプ内に取り付けられるとともに、前記連動部材の回転に伴って変化する前記磁気部材の磁気を検出することにより前記連動部材及びスロットルグリップの回転角度を検出し得る回転角度検出手段と、
を具備し、前記回転角度検出手段で検出された前記スロットルグリップの回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能とされたスロットルグリップ装置であって、
前記ハンドルパイプ内に浸入した水を外部に排出し得る水抜き部を有することを特徴とするスロットルグリップ装置。
【請求項2】
前記ハンドルパイプにおける前記スロットルグリップの基端部近傍の位置に固定されたケース部を具備するとともに、前記水抜き部は、前記ハンドルパイプにおける前記ケース部が固定された部位に形成された第1貫通孔と、前記ケース部の底面における車両進行方向とは反対方向に形成された第2貫通孔とを有することを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項3】
前記ケース部は、前記スロットルグリップの基端部に形成された鍔部を収容し、当該鍔部の回転を案内する案内部と、前記第1貫通孔から排出された水を受ける受け部とを有し、前記第2貫通孔は、前記受け部に形成され、前記受け部で受けた水を外部に排出可能とされたことを特徴とする請求項2記載のスロットルグリップ装置。
【請求項4】
前記水抜き部は、前記ハンドルパイプの先端に形成された切欠きを有して成ることを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項5】
前記ハンドルパイプの先端部に固定された固定部材と、
該固定部材に取り付けられたバランサと、
を有するとともに、前記固定部材は、前記切欠きから排出された水を流通させ得る流通溝が形成されたことを特徴とする請求項4記載のスロットルグリップ装置。
【請求項6】
前記バランサは、前記ハンドルパイプの先端に対して所定寸法のクリアランスを有した状態で前記固定部材に取り付けられ、前記流通溝を流通した水が当該クリアランスを介して外部に排出可能とされたことを特徴とする請求項5記載のスロットルグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルグリップの回転操作に基づいて車両の駆動源が制御されるスロットルグリップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の二輪車においては、スロットルグリップの回転角度をポテンショメータ等のスロットル開度センサにて検出し、その検出値を電気信号として当該二輪車が搭載する電子制御装置等に送るよう構成されたものが普及されるに至っている。そして、かかる検出信号に基づき電子制御装置が所定の演算を行い、その演算結果に基づいてエンジンの点火時期、吸気バルブ若しくはスロットルバルブの開閉が制御されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スロットルグリップと連動して回転する連動部材と、連動部材に取り付けられた磁石と、磁石からの磁力の変化を検出することによりスロットルグリップの回転角度を検出可能な磁気センサと、スロットルグリップに対して初期位置に戻る方向に付勢するリターンスプリングとを具備し、これら連動部材、磁石、磁気センサ及びリターンスプリングがハンドルパイプ内に配設されたものが開示されている。かかる従来のスロットルグリップ装置によれば、主な構成部品をハンドルパイプ内に配設するので、ハンドルパイプ内のスペースを有効活用することができ、装置全体を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-280303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のスロットルグリップ装置においては、ハンドルパイプ内のスペースを有効活用することができるものの、ハンドルパイプ内に水が浸入した場合、当該ハンドルパイプ内に配設された構成部品が浸水して不具合を生じてしまう虞があるとともに、特に、回転角度検出手段やその基板が浸水してしまうと、電気的不具合を生じてしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ハンドルパイプ内に浸入した水を円滑且つ確実に外部に排出させることができるスロットルグリップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルパイプの先端側に取り付けられ、運転者による回転操作が可能とされたスロットルグリップと、前記ハンドルパイプ内に取り付けられるとともに、前記スロットルグリップの回転に連動して回転し得る連動部材と、磁気を生じた部材から成り、前記連動部材に取り付けられて当該連動部材と共に回転可能とされた磁気部材と、前記ハンドルパイプ内に取り付けられるとともに、前記連動部材の回転に伴って変化する前記磁気部材の磁気を検出することにより前記連動部材及びスロットルグリップの回転角度を検出し得る回転角度検出手段とを具備し、前記回転角度検出手段で検出された前記スロットルグリップの回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能とされたスロットルグリップ装置であって、前記ハンドルパイプ内に浸入した水を外部に排出し得る水抜き部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記ハンドルパイプにおける前記スロットルグリップの基端部近傍の位置に固定されたケース部を具備するとともに、前記水抜き部は、前記ハンドルパイプにおける前記ケース部が固定された部位に形成された第1貫通孔と、前記ケース部の底面における車両進行方向とは反対方向に形成された第2貫通孔とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のスロットルグリップ装置において、前記ケース部は、前記スロットルグリップの基端部に形成された鍔部を収容し、当該鍔部の回転を案内する案内部と、前記第1貫通孔から排出された水を受ける受け部とを有し、前記第2貫通孔は、前記受け部に形成され、前記受け部で受けた水を外部に排出可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記水抜き部は、前記ハンドルパイプの先端に形成された切欠きを有して成ることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のスロットルグリップ装置において、前記ハンドルパイプの先端部に固定された固定部材と、該固定部材に取り付けられたバランサとを有するとともに、前記固定部材は、前記切欠きから排出された水を流通させ得る流通溝が形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のスロットルグリップ装置において、前記バランサは、前記ハンドルパイプの先端に対して所定寸法のクリアランスを有した状態で前記固定部材に取り付けられ、前記流通溝を流通した水が当該クリアランスを介して外部に排出可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ハンドルパイプ内に浸入した水を外部に排出し得る水抜き部を有するので、ハンドルパイプ内に浸入した水を円滑且つ確実に外部に排出させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、ハンドルパイプにおけるスロットルグリップの基端部近傍の位置に固定されたケース部を具備するとともに、水抜き部は、ハンドルパイプにおけるケース部が固定された部位に形成された第1貫通孔と、ケース部の底面における車両進行方向とは反対方向に形成された第2貫通孔とを有するので、ハンドルパイプに形成された第1貫通孔が外部に臨んでしまうのを回避することができ、第1貫通孔から異物等が浸入してしまうのを防止することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ケース部は、スロットルグリップの基端部に形成された鍔部を収容し、当該鍔部の回転を案内する案内部と、第1貫通孔から排出された水を受ける受け部とを有し、第2貫通孔は、受け部に形成され、受け部で受けた水を外部に排出可能とされたので、ケース部にスロットルグリップの回転時の案内機能を具備させつつハンドルパイプ内の水を外部に排出させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、水抜き部は、ハンドルパイプの先端に形成された切欠きを有して成るので、ハンドルパイプ内の水を当該ハンドルパイプの先端側から良好に排出させることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、ハンドルパイプの先端部に固定された固定部材と、該固定部材に取り付けられたバランサとを有するとともに、固定部材は、切欠きから排出された水を流通させ得る流通溝が形成されたので、切欠きを介して流出したハンドルパイプ内の水が流通溝を介して外部に排出することとなり、固定部材が水の排出を阻害してしまうのを防止することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、バランサは、ハンドルパイプの先端に対して所定寸法のクリアランスを有した状態で固定部材に取り付けられ、流通溝を流通した水が当該クリアランスを介して外部に排出可能とされたので、切欠き及び流通溝を介して流出したハンドルパイプ内の水が流通溝及びクリアランスを介して外部に排出することとなり、バランサが水の排出を阻害してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るスロットルグリップ装置を示す3面図
図2図1におけるII-II線断面図
図3図1におけるIII-III線断面図
図4】同スロットルグリップ装置の主要構成部品を組み付けた状態を示す斜視図
図5】同スロットルグリップ装置におけるハンドルパイプを示す4面図
図6】同スロットルグリップ装置における連動部材を示す4面図
図7】同スロットルグリップ装置における選択部材を示す4面図
図8】同スロットルグリップ装置における連動部材に選択部材を取り付けた状態を示す斜視図
図9】同スロットルグリップ装置における連動部材に選択部材を取り付けた状態を示す斜視図
図10】同スロットルグリップ装置における収容部材を示す3面図
図11図10におけるXI-XI線断面図
図12】同スロットルグリップ装置における台部材を示す3面図
図13】同スロットルグリップ装置における台部材を示す斜視図
図14】同スロットルグリップ装置におけるフレキシブル基板を示す2面図
図15】同スロットルグリップ装置におけるフレキシブル基板を示す斜視図
図16】同スロットルグリップ装置におけるフレキシブル基板を示す斜視図
図17】同スロットルグリップ装置における台部材にフレキシブル基板を取り付けた状態を示す斜視図
図18】同スロットルグリップ装置における台部材にフレキシブル基板を取り付けた状態であって配線を接続した状態を示す斜視図
図19】同スロットルグリップ装置における収容部材に台部材及びフレキシブル基板を取り付けた状態を示す斜視図
図20】同スロットルグリップ装置における収容部材に台部材及びフレキシブル基板を取り付けた状態を示す断面図
図21】同スロットルグリップ装置における収容部材に台部材及びフレキシブル基板を取り付けた状態を示す断面図
図22】同スロットルグリップ装置における別体部材を示す3面図
図23図22におけるXXIII-XXIII線断面図
図24】同スロットルグリップ装置における収容部材に別体部材を取り付けた状態を示す斜視図
図25】同スロットルグリップ装置における固定部材を示す2面図
図26図2におけるXXVI-XXVI線断面図
図27】同スロットルグリップ装置における磁気部材を示す斜視図
図28】同スロットルグリップ装置における磁気部材を示す3面図
図29】同スロットルグリップ装置における保持部材を示す4面図
図30】同スロットルグリップ装置における保持部材を示す斜視図
図31】同スロットルグリップ装置における保持部材に磁気部材を保持させた状態を示す斜視図
図32】同スロットルグリップ装置における保持部材に磁気部材を保持させた状態を示す斜視図
図33】同スロットルグリップ装置における保持部材及び磁気部材を別体部材内に組み付けた状態を示す断面図
図34図33におけるXXXIV-XXXIV線断面図
図35】同スロットルグリップ装置におけるケース部材を示す3面図
図36】同スロットルグリップ装置におけるケース部材の下部ケースを示す平面図及び斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットルグリップ装置は、図1に示すように、二輪車のハンドルパイプH(ハンドルバー)に取り付けられたスロットルグリップGの回転角度を検出し、その検出信号を二輪車が搭載するECU等電子制御装置に送るためのもので、図1~4に示すように、スロットルグリップGと、連動部材1と、選択部材2と、第1付勢手段S1と、第2付勢手段S2と、収容部材3と、磁気センサ4(回転角度検出手段)と、別体部材7と、保持部材8と、固定部材10と、ケース部Cとを有して構成されている。
【0021】
スロットルグリップGは、図1に示すように、車両のハンドルパイプHの先端側に取り付けられ、運転者による回転操作が可能とされるとともに、初期位置から所定方向に正回転及び当該所定方向とは逆方向の逆回転が可能とされている。本実施形態に係るスロットルグリップGは、図2、3に示すように、例えば硬質樹脂から成る基部材Gbの外周面に軟質樹脂や合成ゴム等から成る把持部材Gaが固着して構成されている。
【0022】
連動部材1は、ハンドルパイプHの内部に配設されるとともに、スロットルグリップGの正回転及び逆回転に連動して回転し得る筒状部材から成るもので、図6、8、9に示すように、一端部に一体形成された被係合部1aと、長手方向に貫通した挿通孔1bと、一端部に一体形成された当接部1cと、他端部に突出形成された取付部1dとを有して構成されている。被係合部1aは、スロットルグリップGの基部材Gbと係合し得る部位から成り、当該被係合部1aを介してスロットルグリップGの回転操作力が伝達され、連動部材1を軸周りに回転させ得るようになっている。
【0023】
さらに、本実施形態に係る被係合部1aは、第2付勢手段S2の一端が係止されるようになっている。なお、被係合部1aとは別個の被係合部を形成し、その別個の被係合部にて第2付勢手段S2の一端を係止するようにしてもよい。また、本実施形態に係る被係合部1aは、一対の当接部1cのうち一方の当接部1cを径方向及び軸方向に延設した部位とされているが、当接部1cとは別個の部位から成るものであってもよい。
【0024】
貫通孔1bは、連動部材1の軸方向に形成され、内部に収容部材3の軸部3bが挿通可能とされている。当接部1cは、連動部材1の一端部から径方向及び軸方向に突出した一対の突出形状部から成り、当該連動部材1の回転に伴って選択部材2の被当接部2a(図7~9参照)と当接可能とされている。取付部1dは、連動部材1の他端部から軸方向に突出した一対の突出形状部から成り、図33、34に示すように、磁気部材Mを保持した保持部材8が取付可能とされている。
【0025】
選択部材2は、連動部材1に組み付けられてハンドルパイプHの内部に配設された円環状部材から成り、図7に示すように、被当接部2aと、取付溝2bと、取付孔2cと、挿通孔2dとを有して構成されている。被当接部2aは、選択部材2の一方の面から突出形成された一対の突出形状部から成り、連動部材1の当接部1c及び先端部材9に形成されたストッパ部(不図示)と当接可能とされている。
【0026】
取付溝2bは、第1付勢手段S1の一端部が嵌合して取り付けられる溝形状から成るとともに、取付孔2cは、第2付勢手段S2の一端部が挿通して取り付けられる孔形状から成るものである。挿通孔2dは、選択部材2の中央に形成された貫通孔から成り、図2、3に示すように、連動部材1を挿通可能とされている。しかして、選択部材2は、連動部材1に組み付けられるとともに、一方の面側に第1付勢手段S1の一端部が取り付けられ、他方の面側に第2付勢手段S2の一端部が取り付けられるよう構成されている。
【0027】
第1付勢手段S1は、スロットルグリップGが正回転したとき、連動部材1を初期位置に向かって付勢するためのバネ(捩りコイルスプリング)から成り、一端部が選択部材2に形成された取付溝2b(連動部材1側)に固定されるとともに、他端部が別体部材7に形成された係止部7aに固定されるようになっている。すなわち、第1付勢手段S1は、連動部材1における外周面において選択部材2と別体部材7との間に介在して取り付けられている(一端が連動部材1側である選択部材2に係止されるとともに他端が別体部材7に係止されている)のである。なお、本実施形態に係る第1付勢手段S1は、捩りコイルスプリングにて構成されているが、他の付勢手段としてもよい。また、第1付勢手段S1は、図4に示すように、一端側がカバー部材D2にて覆われるとともに、他端側がカバー部材D1にて覆われている。
【0028】
第2付勢手段S2は、スロットルグリップGが逆回転したとき、連動部材1を初期位置に向かって付勢するためのバネ(捩りコイルスプリング)から成り、一端部が選択部材2に形成された取付孔2cに固定されるとともに、他端部が連動部材1に形成された被係合部1aに固定されるようになっている。すなわち、第2付勢手段S2は、連動部材1における一端部側において当該連動部材1と選択部材2との間に介在して取り付けられているのである。なお、本実施形態に係る第2付勢手段S2は、捩りコイルスプリングにて構成されているが、他の付勢手段としてもよい。
【0029】
本実施形態に係る選択部材2は、上述の如く第1付勢手段S1の一端部及び第2付勢手段S2の一端部がそれぞれ取り付けられるとともに、スロットルグリップGが正回転したとき、第2付勢手段S2の付勢力を連動部材1に付与させずに第1付勢手段S1の付勢力を連動部材1に付与させ、スロットルグリップGが逆回転したとき、第1付勢手段S1の付勢力を連動部材1に付与させずに第2付勢手段S2の付勢力を連動部材1に付与し得るよう構成されている。
【0030】
具体的には、連動部材1と選択部材2とは、図8、9で示すように組み付けられており、スロットルグリップGが初期位置(回転操作前の状態)にあるとき、連動部材1の当接部1cは、選択部材2における被当接部2aの間に位置している。そして、スロットルグリップGを正回転させると、連動部材1の当接部1cが被当接部2aと当接して押圧するので、選択部材2が同方向に回転することとなり、第1付勢手段S1による付勢力が連動部材1を介してスロットルグリップGに付与されることとなる。このとき、連動部材1及び選択部材2が共に回転するので、第2付勢手段S2による付勢力は付与されない。
【0031】
一方、スロットルグリップGを逆回転させると、連動部材1の当接部1cは、被当接部2aの間で移動するだけで当該被当接部2aと当接しないので、連動部材1の回転に伴う選択部材2の回転は行われない。また、選択部材2における被当接部2aの一方の縁部は、当該選択部材2が逆方向に回転しようとすると、先端部材9のストッパ部(不図示)と当接して回転が規制されるようになっている。これにより、連動部材1が回転しつつ選択部材2の回転が規制されるので、第2付勢手段S2による付勢力が連動部材1を介してスロットルグリップGに付与されることとなる。このとき、選択部材2は回転しないので、第1付勢手段S1による付勢力は付与されない。
【0032】
収容部材3は、ハンドルパイプH内に取り付けられ、フレキシブル基板5が取り付けられた台部材6及び磁気センサ4を収容するもので、図10、11及び図19~21に示すように、台部材6及び磁気センサ4を収容する収容部3aと、ハンドルパイプH内における軸方向(ハンドルパイプHの延設方向)に直線状に延設した軸部3bと、別体部材7の嵌合部7b(図24参照)と嵌合可能な嵌合部3cと、被係止部3dとを有して構成されている。
【0033】
収容部3aは、磁気センサ4が形成されたフレキシブル基板5及び台部材6を収容可能な収容空間α1を有した有底部材から成り、その底部3eの外側中央から軸部3bが一体的に突出形成されている。なお、収容空間α1には、磁気センサ4が形成されたフレキシブル基板5及び台部材6が収容された状態で樹脂等の防水材が充填されるようになっている。また、収容部3aの開口側(軸部3bの形成部位と反対側)には、ネジ孔a1が形成されており、図3に示すように、当該ネジ孔a1とハンドルパイプHに形成されたネジ孔Hcとを合致させてネジn1を挿通させることにより、収容部3aがネジn1で螺着されてハンドルパイプH内の所定位置で固定されるようになっている。
【0034】
軸部3bは、連動部材1の挿通孔1bを挿通可能な部位から成り、その突端部には、ピン孔3baが形成されている。この軸部3bの突端部には、図2~4に示すように、先端部材9が取り付けられ、ピン孔3baにピンを挿通させることにより当該突端部に先端部材9が固定して組み付けられている。かかる先端部材9によって、軸部3bに対して挿通された連動部材1等が先端部から抜けてしまうのを防止することができる。
【0035】
嵌合部3cは、収容部3aの一端(軸部3bが形成された側の端部)から軸方向に延設された突出形状から成り、収容部3aの周方向に対して複数(本実施形態においては2つ)形成されている。そして、嵌合部3cが別体部材7に形成された嵌合部7bと嵌合することにより、収容部材3に対する別体部材7の相対的回転を防止し得るよう構成されている。
【0036】
被係止部3dは、台部材6の係止部6e(図12参照)が係止する係止孔から成るもので、被係止部3dと係止部6eとでスナップフィットを構成している。すなわち、係止部6eは、台部材6の両側面にそれぞれ形成された係止爪から成り、台部材6を収容部材3内に挿通させると、係止部6eが撓んだ状態となり、被係止部3dの位置に達すると、係止部6eが復元して被係止部3dに係止し得るようになっている。なお、スナップフィット(snap-fit)とは、金属や樹脂などの結合部に用いられる機械的接合手段の一種であり、材料の弾性を利用して嵌め込むことにより固定する接合形態をいう。
【0037】
磁気センサ4(回転角度検出手段)は、連動部材1における回転軸の延長線上の位置に配設されたセンサから成り、ハンドルパイプH内に取り付けられるとともに、連動部材1に取り付けられた磁気部材Mから生じる磁気の変化を検出することにより、連動部材1及びスロットルグリップGの回転角度を検出可能とされている。具体的には、磁気センサ4は、磁気部材Mの磁場変化(磁束密度の変化)に応じた出力電圧を得ることができるもので、例えばホール効果を利用した磁気センサであるホール素子(具体的には、磁気部材Mの磁場(磁束密度)に比例した出力電圧を得ることができるリニアホールIC)等により構成されている。
【0038】
磁気部材Mは、磁気を生じた部材から成り、連動部材1に取り付けられて当該連動部材1と共に回転可能なものである。本実施形態に係る磁気部材Mは、保持部材8に保持されるとともに、当該保持部材8を介して連動部材1の取付部1dに取り付けられている。具体的には、磁気部材Mは、図27、28に示すように、少なくとも先端側が着磁された円筒状の樹脂部品から成り、軸部3bを挿通する挿通孔Mcが中央に形成されるとともに、基端側に第1被係止部Ma及び第2被係止部Mbが形成されている。なお、磁気部材Mは、本実施形態の如く着磁させた樹脂部品の他、永久磁石であってもよい。
【0039】
一方、保持部材8は、図29、30に示すように、磁気部材Mと略同一の径寸法とされた円筒状部品から成り、軸部3bを挿通する挿通孔8dが中央に形成されるとともに、連動部材1の取付部1dを嵌入させて連動部材1と係止可能な第1係止部8aが形成されている。また、保持部材8は、磁気部材Mの第2被係止部Mbを嵌入させて係止可能な係止凹部8bと、磁気部材Mの第1係止部Maに嵌入して係止可能な係止凸部8cとを有して構成されている。なお、これら係止凹部8b及び係止凸部8cは、磁気部材Mと係止可能な第2係止部を構成している。
【0040】
そして、磁気部材Mの第1被係止部Maに保持部材8の係止凸部8cを嵌入させつつ保持部材8の係止凹部8bに磁気部材Mの第2被係止部Mbを嵌入させることにより、図31、32に示すように、保持部材8に磁気部材Mを保持させることができる。このように、磁気部材Mを保持した保持部材8の第1係止部8aに対して、連動部材1の取付部1dを嵌入させることにより、図33、34に示すように、連動部材1、保持部材8及び磁気部材MをハンドルパイプH内における軸方向に組み付けることができ、連動部材1の回転に伴って、保持部材8及び磁気部材Mが一体として回転可能とされている。また、収容部材3の軸部3bは、連動部材1の挿通孔1b、保持部材8の挿通孔8d及び磁気部材Mの挿通孔Mcにそれぞれ挿通して組み付けられるので、連動部材1の回転に伴って、連動部材1、保持部材8及び磁気部材Mが一体として軸部3bを中心として回転可能とされている。
【0041】
しかして、スロットルグリップGが正回転するのに伴って連動部材1が同方向に回転すると、保持部材8を介して当該連動部材1に取り付けられた磁気部材Mも同方向に回転する。これにより、その回転角度によって磁場が変化するので、当該回転角度に応じた磁気センサ4の出力電圧を得ることができ、当該出力電圧に基づき連動部材1の回転角度(即ち、スロットルグリップGの回転角度)を検出することが可能とされている。このように検出されたスロットルグリップGの回転角度は、二輪車に搭載されたECU(エンジン・コントロール・ユニット)に対して電気信号として送信され、送信されたスロットルグリップGの回転角度に応じて車両のエンジン(駆動源)が制御され得るようになっている。
【0042】
一方、スロットルグリップGが逆回転するのに伴って連動部材1が同方向に回転すると、保持部材8を介して当該連動部材1に取り付けられた磁気部材Mも同方向に回転する。これにより、その回転角度によって磁場が変化するので、当該回転角度に応じた磁気センサ4の出力電圧を得ることができ、スロットルグリップGの逆回転を検出することができる。このように、スロットルグリップGの逆回転が検出されると、二輪車が具備する所定の機能を作動又は非作動とすることができるようになっている。本実施形態においては、走行速度を一定に保持する定車速保持装置(オートクルーズ装置)を備えた二輪車に適用されており、スロットルグリップGを逆回転(初期位置からスロットルを全開させる正回転の方向とは逆方向の回転操作)させると、当該定車速の保持制御を停止(キャンセル)させ得るよう構成されている。
【0043】
ここで、本実施形態に係る磁気センサ4は、図14~16に示すように、所定の電気回路が形成されたフレキシブル基板5に形成されるとともに、フレキシブル基板5は、図17、18に示すように、台部材6に取り付けられている。台部材6は、ハンドルパイプH内に取り付けられた収容部材3の収容空間α1に収容される部品から成り、図12、13に示すように、突出部6aと、延設部6bと、保持部6c、6dと、係止部6eと、突出部6fとを有して構成されている。
【0044】
また、本実施形態に係る台部材6は、ハンドルパイプHの径方向に延びる端面6aaと、ハンドルパイプHの軸方向に延びる延設面6baと、端面6aaと延設面6baとの間に位置する連結面6abとが一体形成されている。すなわち、図12において、突出部6aの左側端面が端面6aaを構成し、右側傾斜面が連結面6abを構成するとともに、延設部6bの上面が延設面6baを構成しているのである。
【0045】
フレキシブル基板5は、台部材6の端面6aaから延設面6baに亘って屈曲しつつ取り付けられたもので、図14~17に示すように、台部材6の端面6aaに位置する第1部位5aに磁気センサ4(回転角度検出手段)が取り付けられるとともに、延設面6baに位置する第2部位5b及び連結面6abに位置する第3部位5cに磁気センサ4と接続された電気回路が印刷等にて形成されている。なお、第3部位5cには、図16に示すように、電気回路に接続されたコンデンサd等が形成されるとともに、第1部位5aには、図17、18に示すように、端面6aaに形成された位置決め突起6acと嵌合可能な嵌合凹部5aaが形成されている。
【0046】
また、本実施形態に係るフレキシブル基板5は、少なくとも第1部位5aと第3部位5cとの境界部、及び第2部位5bと第3部位5cとの境界部が撓んで台部材6の形状(端面6aaから連結面6abを介して延設面6baに至る形状)に沿って折り曲げ自在とされている。さらに、フレキシブル基板5の第2部位5bには、図18に示すように、磁気センサ4の検出信号を外部に送信し得る複数の配線h(電気コード)が半田等にて接続されるとともに、台部材6の延設面6baには、配線hを案内して保持し得る保持部6c、6dが一体形成されている。すなわち、保持部6c、6dは、それぞれ台部材6の延設面6baにおいて所定寸法離間した一対の突出形成から成り、その離間部に配線hが位置決めされつつ保持されるようになっている。
【0047】
係止部6eは、既述のように、収容部材3の被係止部3dと係止可能なもので、収容部材3に台部材6を固定するためのスナップフィットを構成する。かかるスナップフィットによって、収容部材3内に台部材6が収容された状態で当該収容部材3及び台部材6が係止される。なお、本実施形態に係るスナップフィットは、収容部材3に形成された係止孔及び台部材6に形成された係止爪にて構成されているが、収容部材3に形成された係止爪及び台部材6に形成された係止孔にて構成されるものとしてもよい。また、突出部6fは、図19に示すように、台部材6が収容部材3内に収容された状態で当該収容部材3の開口から突出した部位から成る。
【0048】
しかして、収容部材3内に台部材6がスナップフィットにて固定されると、図20、21に示すように、フレキシブル基板5の第1部位5aに形成された磁気センサ4が収容部材3の底部3e(底面)と対向して配置されるとともに、軸方向に亘って第2部位5b及び第3部位5cが配置されることとなる。しかして、収容部材3の収容空間α1がハンドルパイプHの軸方向に細長い空間であっても、磁気センサ4及びフレキシブル基板5を効率よく配設することができる。
【0049】
別体部材7は、図24に示すように、収容部材3に取り付けられ、保持部材8及び磁気部材Mを収容する収容空間α2を有するもので、図22、23に示すように、第1付勢手段S1の他端を係止し得る係止部7aと、収容部材3の嵌合部3cと嵌合可能な嵌合部7bと、連動部材1及び収容部材3の軸部3bを挿通させ得る挿通孔7cとを有した略円筒状部材から成る。すなわち、別体部材7は、一方の開口端側(図22の左端側)に第1付勢手段S1の他端を係止する溝形状の係止部7aが形成されるとともに、他方の開口端側(図22の右端側)に収容部材3の嵌合部3cと嵌合する嵌合部7bが形成されているのである。
【0050】
そして、ハンドルパイプH内において、別体部材7の嵌合部7bが収容部材3の嵌合部3cと嵌合(図24参照)して組み付けられるとともに、第1付勢手段S1の他端が取付溝7aに取り付けられることにより、図2、3に示すように、第1付勢手段S1、別体部材7及び収容部材3(収容部3a)がハンドルパイプH内における軸方向に併設されるようになっている。
【0051】
しかして、収容部材3の収容部3aにおける収容空間α1に磁気センサ4(回転角度検出手段)が取り付けられるとともに、別体部材7における収容空間α2に磁気部材Mが位置するので、磁気部材M及び磁気センサ4(回転角度検出手段)は、収容部材3の底部3eにより画成された空間(収容空間α1及び収容空間α2)にそれぞれ配設されることとなり、底部3eを隔てて磁気部材Mと磁気センサ4とが対峙するようになっている。
【0052】
また、本実施形態に係る別体部材7の嵌合部7bは、収容部材3及び別体部材7が嵌合状態(すなわち、図24に示すように、別体部材7の嵌合部7bが収容部材3の嵌合部3cと嵌合した状態)のとき、ハンドルパイプHの軸方向及び径方向に対してガタが生じた状態とされている。すなわち、別体部材7の嵌合部7bと収容部材3の嵌合部3cとは、軸方向及び径方向に対して所定のクリアランスを持って遊嵌されているのである。
【0053】
ハンドルパイプHは、中空状の金属製部材(アルミ材又は鉄材)から成り、図2、5に示すように、第1の水抜き部を構成する切欠きHaと、第2の水抜き部を構成する第1貫通孔Hbと、取り付けネジn1を挿通させるネジ孔Hcと、ケース部Cの位置決めのための凸部Caa(図35参照)を挿通させる位置決め孔Hdと、取り付けネジn2を巣通させるネジ孔a2と、を有して構成されている。なお、第1貫通孔Hb、ネジ孔Hc(2つ)及び位置決め孔Hdは、ハンドルパイプHの周方向に亘って等間隔に形成されるとともに、切欠きHaは、ハンドルパイプHの先端に形成されている。
【0054】
固定部材10は、図2、3に示すように、ハンドルパイプHの先端に取り付けネジn2にて固定されるとともに、バランサBを取り付けネジn4にて取り付けるためのもので、図25に示すように、取り付けネジn2を挿通させるネジ孔a3と、取り付けネジn4を挿通させるネジ孔a4と、流通溝10aとが形成された部品から成る。かかる固定部材10をハンドルパイプH内に固定させると、図26に示すように、流通溝10aとハンドルパイプHとの間に空隙が生じるので、切欠きHaから排出された水を先端側に向かって流通させ得るようになっている。
【0055】
バランサBは、ハンドルパイプHの先端に取り付けられる錘部材から成るもので、取り付けネジn4によってハンドルパイプHの先端に取り付けられるようになっている。また、本実施形態に係るバランサBは、図1~3に示すように、ハンドルパイプHの先端に対して所定寸法のクリアランスtを有した状態で固定部材10に取り付けられ、流通溝10aを流通した水が当該クリアランスtを介して外部に排出可能とされている。
【0056】
しかして、ハンドルパイプHに形成された切欠きHa、固定部材10に形成された流通溝10a及びバランサBのクリアランスtは、ハンドルパイプH内に浸入した水を外部に排出し得る水抜き部(第1の水抜き部)を構成している。すなわち、ハンドルパイプH内に侵入した水は、切欠きHaから排出され、流通溝10aを流通した後、クリアランスtから外部に排出されるのである。
【0057】
ケース部Cは、ハンドルパイプHにおけるスロットルグリップGの基端部近傍の位置に固定されたもので、図35、36に示すように、上部ケースCa及び下部ケースCbを合致して構成されている。上部ケースCaは、位置決め孔Hdに挿通してケース部CをハンドルパイプHに対して位置決め可能な凸部Caaが形成されるとともに、下部ケースCbは、案内部Cbb及び受け部Cbcが形成されている。
【0058】
案内部Cbbは、図2、3に示すように、スロットルグリップG(基部材Gb)の基端部に形成された鍔部Gbaを収容し、当該鍔部Gbaの回転を案内する空間から成る。受け部Cbcの底面における車両進行方向とは反対方向には、第2の水抜き部を構成する第2貫通孔Cbaが形成されている。第2貫通孔Cbaは、受け部Cbcで受けた水を外部に排出可能とされている。また、受け部Cbcは、ケース部CがハンドルパイプHに固定された状態において、第1貫通孔Hbを覆う空間から成り、第1貫通孔Hbから排出された水を受けるよう構成されている。
【0059】
しかして、ハンドルパイプHに形成された第1貫通孔Hb、及びケース部Cに形成された第2貫通孔Cbaは、ハンドルパイプH内に浸入した水を外部に排出し得る水抜き部(第2の水抜き部)を構成している。すなわち、ハンドルパイプH内に侵入した水は、第1貫通孔Hbから排出されて受け部Cbc及び案内部Cbbに至り、第2貫通孔Cbaから外部に排出されるのである。
【0060】
本実施形態によれば、ハンドルパイプHの径方向に延びる端面6aaと、ハンドルパイプHの軸方向に延びる延設面6baと、端面6aaと延設面6baとの間に位置する連結面6abとが一体形成された台部材6と、台部材6の端面6aaから延設面6baに亘って屈曲しつつ取り付けられたフレキシブル基板5とを有し、フレキシブル基板5における台部材6の端面6aaに位置する第1部位5aに磁気センサ4(回転角度検出手段)が取り付けられるとともに、延設面6baに位置する第2部位5b又は連結面6abに位置する第3部位5cに磁気センサ4と接続された電気回路が形成されたので、ハンドルパイプH内の細い空間に基板(フレキシブル基板5)等の構成部品を容易に配設することができる。
【0061】
また、本実施形態に係るフレキシブル基板5は、少なくとも第1部位5aと第3部位5cとの境界部、及び第2部位5bと第3部位5cとの境界部が撓んで台部材6の形状に沿って折り曲げ自在とされたので、フレキシブル基板5を安定して台部材6に取り付けることができ、台部材6に対するフレキシブル基板5の取り付け作業を容易に行わせることができる。
【0062】
さらに、フレキシブル基板5の第2部位5bには、磁気センサ4(回転角度検出手段)の検出信号を外部に送信し得る配線hが接続されるとともに、台部材6の延設面6baには、配線hを案内して保持し得る保持部(6c、6d)が一体形成されたので、ハンドルパイプH内の細い空間に配線hを効率的に延設させることができる。
【0063】
またさらに、収容部材3及び台部材6にそれぞれ形成された係止部6e及び被係止部3dにてスナップフィットを構成し、収容部材3内に台部材6が収容された状態で当該収容部材3及び台部材6がスナップフィットにて係止されたので、台部材6を収容部材3に対して位置決めさせつつ確実に固定させることができるとともに、収容部材3内に台部材6及びフレキシブル基板5を容易に取り付けることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る台部材6は、収容部材3内に収容された状態で当該収容部材3の開口から突出した突出部6fを有するので、突出部6fを指で摘んで台部材6を収容部材3に容易に取り付けることができる。
【0065】
加えて、本実施形態によれば、磁気部材Mを保持した保持部材8を有するとともに、当該保持部材8を介して磁気部材Mが連動部材1に取り付けられたので、径方向の寸法が小さい磁気部材Mを用いる場合であっても保持部材8にて磁気部材Mを確実に保持させることができ、ハンドルパイプH内の細い空間に磁気部材M等の構成部品を容易に配設することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る保持部材8は、連動部材1と係止可能な第1係止部8aが形成されるとともに、磁気部材Mと係止可能な第2係止部(係止凹部8b及び係止凸部8c)が形成されたので、保持部材8による磁気部材Mの保持、及び磁気部材Mを保持した保持部材8の連動部材1に対する取り付けを確実に行わせることができる。
【0067】
さらに、磁気センサ4(回転角度検出手段)を収容した収容部材3と、収容部材3に取り付けられ、保持部材8及び磁気部材Mを収容した別体部材7とを具備するとともに、磁気部材M及び磁気センサ4は、収容部材3の底部3eにより画成された空間(収容空間α1及び収容空間α2)にそれぞれ配設されたので、別体部材7内にて磁気部材Mの回転を円滑に行わせつつ収容部材3内の磁気センサ4(回転角度検出手段)に対する防水又は防塵を図ることができる。
【0068】
またさらに、本実施形態に係る収容部材3は、ハンドルパイプH内における軸方向に延設した軸部3bを有するとともに、保持部材8及び磁気部材Mは、当該軸部3bを挿通可能な挿通孔(8d、Mc)をそれぞれ有し、連動部材1の回転に伴って当該軸部3bを中心として回転可能とされたので、外径形を別体部材7及び内径側を軸部3bによって保持部材8及び磁気部材Mの回転時の案内を行わせることができ、保持部材8及び磁気部材Mを一体的に安定して回転させることができる。
【0069】
また、本実施形態に係る連動部材1は、軸部3bを挿通可能な挿通孔1bを有するとともに、スロットルグリップGの回転に伴って連動部材1、保持部材8及び磁気部材Mが軸部3bを中心として回転可能とされたので、別体部材7及び軸部3bにより連動部材1、保持部材8及び磁気部材Mの回転時の案内を行わせることができ、スロットルグリップGの回転に伴って、連動部材1、保持部材8及び磁気部材Mを一体的に安定して回転させることができる。
【0070】
加えて、磁気センサ4(回転角度検出手段)を収容した収容部材3と、収容部材3に取り付けられ、磁気部材Mを収容した別体部材7とを具備し、収容部材3及び別体部材7がハンドルパイプH内における軸方向に並設されるとともに、付勢手段(第1付勢手段S1)は、その一端が連動部材1に係止されるとともに他端が別体部材7に係止されたので、第1付勢手段S1の付勢力によって磁気部材Mと磁気センサ4との相対位置がずれてしまうのを抑制することができるとともに、磁気センサ4に過大な負荷が伝達されてしまうのを抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る別体部材7は、略円筒状部材から成り、一方の開口端側に付勢手段(第1付勢手段S1)の他端を係止する係止部7aが形成されるとともに、他方の開口端側に収容部材3と嵌合する嵌合部7bが形成されたので、別体部材7に対する第1付勢手段S1の係止と、収容部材3の嵌合とを確実に行わせることができる。
【0072】
さらに、本実施形態に係る嵌合部7bは、収容部材3及び別体部材7が嵌合状態のとき、ハンドルパイプHの軸方向及び径方向に対してガタが生じた状態とされたので、ガタによって別体部材7に付与された過大な負荷を吸収させることができ、過大な負荷が収容部材3内の磁気センサ4に付与されてしまうのを回避することができる。
【0073】
またさらに、磁気部材Mを保持した保持部材8を有するとともに、当該保持部材8を介して磁気部材Mが連動部材1に取り付けられ、且つ、連動部材1の回転に伴って磁気部材M及び保持部材8が別体部材7内で回転可能とされたので、保持部材8によって連動部材1に対する磁気部材Mの取り付けを確実且つ安定して行わせることができるとともに、別体部材7により保持部材8及び磁気部材Mの回転時の案内を行わせることができ、保持部材8及び磁気部材Mを一体的に安定して回転させることができる。
【0074】
加えて、本実施形態によれば、ハンドルパイプH内に浸入した水を外部に排出し得る水抜き部(切欠きHa、流通溝10a及びクリアランスtにて構成される第1の水抜き部、及び第1貫通孔Hb及び第2貫通孔Cbaにて構成される第2の水抜き部)を有するので、ハンドルパイプH内に浸入した水を円滑且つ確実に外部に排出させることができる。
【0075】
また、ハンドルパイプHにおけるスロットルグリップGの基端部近傍の位置に固定されたケース部Cを具備するとともに、水抜き部(第2の水抜き部)は、ハンドルパイプHにおけるケース部Cが固定された部位に形成された第1貫通孔Hbと、ケース部Cの底面における車両進行方向とは反対方向に形成された第2貫通孔Cbaとを有するので、ハンドルパイプHに形成された第1貫通孔Hbが外部に臨んでしまうのを回避することができ、第1貫通孔Hbから異物等が浸入してしまうのを防止することができる。
【0076】
さらに、本実施形態に係るケース部Cは、スロットルグリップGの基端部に形成された鍔部Gbaを収容し、当該鍔部Gbaの回転を案内する案内部Cbbと、第1貫通孔Hbから排出された水を受ける受け部Cbcとを有し、第2貫通孔Cbaは、受け部Cbcに形成され、受け部Cbcで受けた水を外部に排出可能とされたので、ケース部CにスロットルグリップGの回転時の案内機能を具備させつつハンドルパイプH内の水を外部に排出させることができる。
【0077】
またさらに、本実施形態に係る水抜き部(第1の水抜き部)は、ハンドルパイプHの先端に形成された切欠きHaを有して成るので、ハンドルパイプH内の水を当該ハンドルパイプHの先端側から良好に排出させることができる。特に、本実施形態によれば、ハンドルパイプHの先端部に固定された固定部材10と、該固定部材10に取り付けられたバランサBとを有するとともに、固定部材10は、切欠きHaから排出された水を流通させ得る流通溝10aが形成されたので、切欠きHaを介して流出したハンドルパイプH内の水が流通溝10aを介して外部に排出することとなり、固定部材10が水の排出を阻害してしまうのを防止することができる。
【0078】
また、本実施形態に係るバランサBは、ハンドルパイプHの先端に対して所定寸法のクリアランスtを有した状態で固定部材10に取り付けられ、流通溝10aを流通した水が当該クリアランスtを介して外部に排出可能とされたので、切欠きHa及び流通溝10aを介して流出したハンドルパイプH内の水が流通溝10a及びクリアランスtを介して外部に排出することとなり、バランサBが水の排出を阻害してしまうのを防止することができる。
【0079】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばフレキシブル基板に代えて板状の基板(プリント基板等)としたもの、連動部材1に直接、磁気部材Mを係止させて保持部材8を具備しないもの、第1付勢手段S1の他端を収容部材3に係止させて別体部材7を具備しないものであってもよい。また、磁気センサ4に代えてスロットルグリップGの回転角度を検出し得る他のセンサ(磁気を使用しないセンサ等)としてもよい。
【0080】
さらに、本実施形態においては、スロットルグリップGを正回転及び逆回転の両方可能とされているが、スロットルグリップGが正回転のみ可能なものに適用してもよい。正回転及び逆回転の両方可能なものであっても、例えば、スロットルグリップGの逆方向の回転により、イモビシステムやスマートエントリシステムにおける認証開始、エンジンを始動させるスタータの作動、ハザード等の緊急時点灯手段の作動等を行わせるものとしてもよい。なお、適用される車両は、本実施形態の如く二輪車に限定されるものではなく、ハンドルパイプHを有した他の車両(例えばATVやスノーモービル等)に適用してもよい。また、適用される車両は、エンジンを駆動源とするものに限らず、モータ等を駆動源とするものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
ハンドルパイプ内に浸入した水を外部に排出し得る水抜き部を有するスロットルグリップ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 連動部材
1a 被係合部
1b 挿通孔
1c 当接部
1d 取付部
2 選択部材
2a 被当接部
2b 取付溝
2c 取付孔
2d 挿通孔
3 収容部材
3a 収容部
3b 軸部
3c 嵌合部
3d 被係止部(スナップフィット)
3e 底部
4 磁気センサ(回転角度検出手段)
5 フレキシブル基板
5a 第1部位
5aa 位置決め溝
5b 第2部位
5c 第3部位
6 台部材
6a 突出部
6aa 端面
6ab 連結面
6ac 位置決め突起
6b 延設部
6ba 延設面
6c 保持部
6d 保持部
6e 係止部(スナップフィット)
6f 突出部
7 別体部材
7a 係止部
7b 嵌合部
7c 挿通孔
8 保持部材
8a 第1係止部
8b 係止凹部(第2係止部)
8c 係止凸部(第2係止部)
8d 挿通孔
9 先端部材
10 固定部材
10a 流通溝
G スロットルグリップ
Ga 把持部材
Gb 基部材
Gba 鍔部
H ハンドルパイプ
Ha 切欠き
Hb 第1貫通孔
Hc ネジ孔
Hd 位置決め孔
C ケース部材
Ca 上部ケース
Cb 下部ケース
Cba 第2貫通孔
Cbb 案内部
Cbc 受け部
M 磁気部材
B バランサ
S1 第1付勢手段
S2 第2付勢手段
D1、D2 カバー部材
t クリアランス
n1、n2、n3、n4 取り付けネジ
h 配線
α1 収容空間
α2 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36