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特許7090292補機クラッチの故障を検出するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】補機クラッチの故障を検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/12 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
F16D25/12 E
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020013015
(22)【出願日】2020-01-29
(62)【分割の表示】P 2015204154の分割
【原出願日】2015-10-16
(65)【公開番号】P2020097413
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-02-25
(31)【優先権主張番号】62/067,417
(32)【優先日】2014-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/850,981
(32)【優先日】2015-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519123825
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・トッド・ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ダニエル・クッテンクラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ジョン・ウォルフ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・クレイグ・メリンガー
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-213724(JP,A)
【文献】実開昭59-179227(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/12
F16D 27/14
B60K 25/02
F01P 7/08
F01P 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力システム(106、506)のクラッチシステム(104、504)が負荷(110、510)に接続されている時間間隔の間、および負荷(110、510)に接続されていない時間間隔の間、前記動力システム(106、506)の前記負荷(110、510)を駆動するように構成されるエンジン(106、506)の動力出力を動力センサで測定するステップと、
前記エンジン(106、506)の前記動力出力が、少なくともゼロでない指定の時間
間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることを判定するステップと、
前記動力出力が、少なくとも前記ゼロでない指定の時間間隔で、前記ゼロでない指定の出力以上にあることを判定することに反応して、前記動力出力の1つまたは複数の減少に対して前記エンジン(106、506)の前記動力出力を監視するステップと、
前記エンジン(106、506)の前記動力出力が少なくとも指定の閾量だけ減少しないことに反応して、前記クラッチシステム(104、504)が故障モードにあるものとして同定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあることを同定することに反応して制御信号を発生するステップをさらに含む請求項1記載の方法であって、記憶装置(528)を制御して、前記クラッチシステム(104、504)のクラッチ(108、508)の故障についての情報を自動的に記憶すること、出力装置を制御して、前記動力システム(105、506)の操作者にラッチ(108、508)の故障について自動的に警報を出すこと、通信装置(532)を制御して、前記動力システム(105、506)の保守作業を自動的に計画すること、または、前記動力システム(105、506)を第1の動作モードから第2の異なる動作モードに自動的に制御することのうちの少なくとも1つを行うために、前記制御信号を発生する、方法。
【請求項3】
前記エンジン(106、506)の前記動力出力が、少なくとも指定の頻度で、少なくとも前記指定の閾量だけ減少しないことに反応して、前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあることを同定するステップが生じる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記エンジン(106、506)の前記動力出力が、少なくとも前記指定の閾量だけ減少するが、前記指定の頻度よりも少ない頻度であることに反応して、前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあることを同定するステップが生じない、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記エンジン(106、506)の前記動力出力を測定するステップおよび前記エンジン(106、506)の前記動力出力を監視するステップの両方が、前記動力出力の統計値を計算するステップを含み、前記統計値が前記エンジン(106、506)の前記動力出力の標本の平均値を含む、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2014年10月22日に出願した米国仮出願第62/067,417号の優先権を主張し、その開示全体を参照によって本明細書に援用する。
【0002】
実施形態は補機クラッチを有する車両および他の動力システムに関する。他の実施形態は補機クラッチの診断および関連する制御に関する。
【背景技術】
【0003】
車両および他の動力システムは、補機の負荷を選択的に駆動するための補機クラッチを含む場合がある。「補機クラッチ」は、動力システムのエンジンまたは他の原動機を被駆動負荷に選択的に接続して動力システムを動かす(動力システムが車両の場合)、または発電する(動力システムが発電機の場合)ためのクラッチ以外のクラッチを指す。例えば、車両(例えば、トラクタトレーラ、運搬トラック、および他の鉱山車両、軌条車両、自動車など)の中には、熱交換機構としてエンジンの前面に配置されたラジエータファンを使用するものがある。ラジエータファンは、典型的にはベルトまたはドライブシャフトを使用してエンジンに機械的に連結され、固定速度比で駆動される。ラジエータファンは、エンジンの熱を外部環境へ伝達するラジエータを冷却する。燃料のうちのある割合はラジエータファンに動力を与えるために燃焼されるので、動力システムの中には、クラッチ(例えば、可変流体クラッチ)を使用して、全力での冷却が必要でないときには全出力より低い出力でファンを動かすものがある。しかしながら、クラッチが故障した場合、ファンは全出力のみで駆動される、すなわち、ファンは停止するか、または全出力で駆動されるかのどちらかとなるようにクラッチシステムは構成される場合がある。この結果として、クラッチが故障しなかった場合に比べて燃料効率のレベルが低くなり、これは、クラッチが故障していることを確認するまで続き、それは車両のオーバーホールまで確認できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7866959号明細書
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、システムは、動力システムのクラッチシステムと動作可能に連結するように構成された制御器を備える。クラッチシステムは、クラッチ、およびクラッチによって駆動される負荷とを含む。制御器はさらに、クラッチシステムがゼロでなく最大出力より小さい中間出力で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第1の出力動力と、クラッチシステムが最大出力で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第2の出力動力との差を決定して、差が指定の閾値より小さいことに反応して、クラッチの故障を示す制御信号を発生するように構成される。
【0006】
例えば、別の実施形態では、システムは、ラジエータファン、およびラジエータファンを駆動するように構成された流体クラッチを有するクラッチシステムを有する車両を備える。クラッチシステムは、流体クラッチが故障するとフルオン動作モードになるように構成される。システムは、クラッチシステムと動作可能に連結するように構成された制御器をさらに備える。制御器はさらに、クラッチシステムがゼロでなく最大出力より小さい中間出力でラジエータファンを駆動するように制御されるときの車両の第1の出力動力と、クラッチシステムが最大出力でラジエータファンを駆動するように制御されるときの車両の第2の出力動力との差を決定して、差が指定の閾値より小さいことに反応して、クラッチの故障を示す制御信号を発生するように構成される。
【0007】
一実施形態では、システム(例えば、補機クラッチの故障を検出するためのシステム)は、動力システムのクラッチシステムと動作可能に連結するように構成された制御器を備える。クラッチシステムは、クラッチ、およびクラッチによって駆動される負荷を含む。制御器は、クラッチシステムが負荷に接続して、負荷の第1の出力で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第1の出力動力と、クラッチシステムが高位の第2の出力で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第2の出力動力との差を決定するように構成される。制御器は、差が指定の閾値より小さいことに反応して、クラッチの故障を示す制御信号を発生するように構成される。
【0008】
別の実施形態では、方法(例えば、補機クラッチの故障を検出するための方法)は、エンジンの動力出力を動力センサで測定するステップを含む。エンジンは、クラッチシステムが負荷に接続される時間間隔の間、動力システムの負荷を駆動するように構成される。本方法はまた、エンジンの動力出力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることを判定し、動力出力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることを判定することに反応して、動力出力の1つまたは複数の減少に対してエンジンの動力出力を監視するステップを含む。本方法はまた、エンジンの動力出力が少なくとも指定の閾量だけ減少しないことに反応して、クラッチシステムが故障モードにあるものとして同定するステップを含む。
【0009】
別の実施形態では、別の方法(例えば、補機クラッチファンの故障を検出するための方法)は、動力システムの負荷が第1の指定の出力以下で動作するように指示するステップを含む。動力システムは、動力システムのクラッチシステムが負荷と接続されている時間間隔の間、負荷を駆動するように構成されたエンジンを含む。本方法はまた、負荷が第1の指定の出力以下で動作しているときに、エンジンの動力出力を動力センサで測定するステップと、動力システムの負荷が高位の第2の指定の出力以上で動作するように指示するステップと、負荷が第2の指定の出力以上で動作しているときに、エンジンの動力出力を測定するステップと、第1の指定の出力以下で負荷が動作している間のエンジンの動力出力と、第2の指定の出力以上で負荷が動作している間のエンジンの動力出力との間の差に基づいて、クラッチシステムが故障モードにあるものとして同定するステップとを含む。
【0010】
図および明細書において、同様な部品には対応する番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による、補機クラッチの故障を検出するためのシステムの概略図である。
図2】一実施形態による、補機クラッチの故障を検出するためのシステムの概略図である。
図3】一実施形態による、補機クラッチの故障を検出するための方法のフローチャートである。
図4】エンジンのコーストダウン速度を示すグラフである。
図5】監視システムの一実施形態の図である。
図6図5に示すクラッチシステムを監視するための方法の一実施形態のフローチャートである。
図7】一例による、時間にわたって測定された図5に示す原動機の統計値の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態では、システムは、動力システムのクラッチシステムと動作可能に連結するように構成された制御器を備える。クラッチシステムは、クラッチ(例えば、補機クラッチ)およびクラッチによって駆動される負荷を含む。例えば、動力システムは車両であり、クラッチは流体クラッチであり、負荷はラジエータファンまたは車両の他のファンである場合がある。クラッチシステムは、流体クラッチが故障するとフルオン動作モードになるように構成される。すなわち、流体クラッチは、正常な動作では、ファンを最大出力、ゼロ出力(停止する)、および最大出力とゼロ出力との間の1つまたは複数の中間出力(例えば、最大出力の完全に可変な割合、または最大出力の50%または25%などのステップ)で駆動するように構成される。しかし、故障モードまたは固着モードにあるときには、流体クラッチは、最大出力で(停止のときはゼロ出力で)ファンを駆動するのみで、いかなる中間出力でもファンを駆動しない。制御器はさらに、クラッチシステムが中間出力でファンを駆動するように制御されるときの車両の第1の出力(例えば、車両馬力)と、クラッチシステムが最大出力でファンを駆動するように制御されるときの車両の第2の出力との間の差を決定するように構成される。
【0013】
出力はファンの実際の出力の(部分的な)関数である。クラッチによってファンが実際に最大出力で駆動されるとき、車両の出力は、ファンが実際に中間出力で駆動される場合よりも小さい。車両のエンジンまたは原動機がファンに動力を与えるので、ファンが最大出力で動作するようにクラッチを接続すると、車両の出力は、ファンが小出力で動作するようにクラッチを接続するときに比べて、減少する。
【0014】
したがって、クラッチが故障していなければ、車両の2つの動力出力の間の差は比較的大きいが(ファンが実際に中間レベルで駆動されるときの車両の出力動力から、ファンが実際に最大レベルで駆動されるときの車両の動力を引いたもの)、クラッチが故障してフルオン状態になっていると、車両の2つの動力出力の間の差は比較的小さい(システムが中間レベルで動作するように指令しているにもかかわらず、ファンが実際には最大出力で駆動されるときの車両の出力動力から、ファンが実際に最大出力で駆動されるときの車両の出力動力を引いたもの)。動力出力の差は、クラッチが故障モード、すなわちファンが最大出力状態で固着している固着モードにあるかを判定するために調べることができる。
【0015】
制御器はさらに、差が指定の閾値より小さいことに反応して、クラッチの故障を示す制御信号を発生するように構成され、この閾値は、クラッチが正常に動作しているときの比較的大きな(車両の動力出力間の)差とクラッチが故障したときの比較的小さな差との間で選ばれる。下記で説明するように、この制御信号は、クラッチが故障すなわち固着の状態にあることを示すことができ、1つまたは複数の補修行為を実施するために使用することができる。
【0016】
図1は、監視システム100の実施形態を示し、この監視システム100は、動力システム106(例えば、車両または定置発電機)のクラッチシステム104と動作可能に連結するように構成される制御器102を備える。クラッチシステム104は、クラッチ108(例えば、流体クラッチ)、およびクラッチを介して動力システム106のエンジンまたは原動機によって駆動される負荷110(例えば、ラジエータファン、ブロワファン、または他のファン)を含む。制御器はさらに、クラッチシステムがゼロでなく最大出力より小さい中間出力116(本明細書では低位の指定の出力とも呼ぶ)で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第1の出力動力112と、クラッチシステムが最大出力118(本明細書では高位の指定の出力とも呼ぶ)で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第2の出力動力114との間の差を決定するように構成される。制御器は、差が指定の閾値122、または指定の量(例えば、図7に示す指定の量712)より小さいことに反応してクラッチの故障を示す制御信号120を発生するように構成される。クラッチシステムは、クラッチが故障するとフルオン動作モードになるように構成される場合がある。
【0017】
一態様では、動力システムの動作状態により、動力システムが負荷を最大出力で駆動する必要がないモードで動作している場合には、制御器は制御信号を発生するだけの場合がある。例えば、負荷を最大出力で動作させないモードで動力システムが動作している場合、出力動力間の差がたとえ閾値を超えなくても、制御器は制御信号を発生しない場合がある。周囲温度が低い場所、エンジンの温度が比較的低い時間(例えば、エンジンを冷却するためにファンを必要としない)など、エンジンを冷却するためにファンを動作させる必要がない状態で動力システムが動作しているときに、この状態が生じることがある。
【0018】
図2を参照すると、動力システム106は、クラッチ108を駆動するエンジンまたは他の原動機124を含むことができる。動力システム106はまた、クラッチおよび/またはエンジンを制御するために構成される制御装置126を含むことができる。本明細書で示す動力システムは、本明細書で説明するエンジンを表すことができる。制御器102は、制御装置126と動作可能に連結されて、クラッチが現在どのように指令されているか(例えば、クラッチは最大出力で負荷を駆動するように制御されているか、またはクラッチは中間出力で負荷を駆動するように制御されているか)についての制御装置126からの情報を(例えば、CANネットワークまたは他の通信経路128を介して)受信するように構成することができる。
【0019】
一実施形態では、動力システム106は車両(例えば、鉱山運搬トラック)であり、制御器102は、車両のスロットルが全開のときの車両の第1の正味の動力出力(例えば、第1の正味の馬力)として第1の出力動力を決定し、車両の第2の正味の動力出力として第2の出力動力を決定するように構成される。一態様では、車両の操作者がスロットルペダルを完全に踏み込むときなど、スロットルがそれ以上進むことができない位置または設定まで作動されるとき、スロットルを全開にすることができる。車両の第2の正味の動力出力は、スロットルが全開ではないが、ゼロではない設定または位置にあるときに決定することができる。正味の動力は、ファンに動力を与えるために使用される、車両のエンジンまたは原動機が発生する動力の量と言うことができる。制御器は、動作前検査試験モードに対して構成することができ、ここでは、制御器は、車両の操作者が試験モードを要求しているかどうかに反応して、車両のスロットルを全開するように、操作者に(例えば、ディスプレイ、スピーカ、光などの制御器の出力装置を介して)指示するように構成される。車両のスロットルを全開にすると、車両のエンジンの出力動力を増大することができる。
【0020】
制御器は、第1の安定した正味の車両の動力出力(例えば、馬力)を、既定値(100%最大出力より低い)のファンの速度指令とともに記録する。次いで、制御器は、ファンを最大出力で動作させることを指令し、第2の正味の車両の動力出力を記録する。制御器は、この2つの間の差を指定の閾値(例えば、図7に示された指定の量712)と比較する。指定の閾値または量は、周囲条件および/または既定値の速度指令に基づくことができる。例えば、標高が低く、周囲温度が低く、および/またはファンの既定の速度が速い場合よりも、標高が高く、周囲温度が高く、および/またはファンの既定の速度が遅い場合の方が、指定の閾値または量は小さい。差が閾値より小さければ、その差は、クラッチが固着して、その結果、ファンの出力を下げるように指令されるときでも、エンジンはファンを駆動し続けることを示すことができる。(例えば、クラッチの故障を記録したり、車両の操作者に知らせたりするなどのために)制御信号を発生することができる。
【0021】
システム100の別の実施形態では、動力システムは車両(例えば、鉱山運搬トラック)であり、負荷はファンである。また、周期的、定期的に(例えば、1日に1度、または1週間に1度)、車両のスロットルが全開ではあるが、車両ではファンによる最大冷却を必要としないときの車両の第1の正味の動力出力として、第1の出力動力を決定し、第1の正味の動力出力が決定された後、ファンを最大出力で駆動するようにクラッチシステムを制御し、ファンを最大出力で駆動するようにクラッチシステムを制御した後、車両の第2の正味の動力出力として、第2の出力動力を決定するように制御器は構成される。
【0022】
例えば、システム100は、クラッチが故障して100%全力動作のみになっているときを決定するためにリアルタイムで監視するように構成することができる。一実施形態では、制御器102は、車両が100%スロットルの指令状態にあるが、車両の熱状態は全力の冷却を必要としないときを監視するように構成される。その監視は周期的に、例えば、1日に1度または1週間に1度、行うように計画することができる。可能な場合には、制御器は、ファンの指令が所与の閾値より小さいときに定常状態の正味の車両の動力出力を記録する。一旦、良好な車両の平均の出力動力が記録されると、制御器は、エンジン(または制御装置126)に指令を送信してファンの全速度を要求する。一旦ファンの全速度が指令されると、制御器は別の平均の定常状態の正味の車両の出力動力を記録する。システムは、クラッチの状態が変化するときの出力動力間の差が最小の閾値を超えるか、すなわち、差が閾値より小さいかどうかを見つける。差が閾値より小さい場合、制御信号を発生する(例えば、故障が記録される)。
【0023】
制御信号102は、機械を制御して、クラッチの故障についての情報を自動的に記憶すること、機械を制御して、動力システムの操作者にクラッチの故障について自動的に警報を出すこと、機械を制御して、動力システムの保守作業を自動的に計画すること、または動力システムを第1の動作モードから第2の異なる動作モードに自動的に制御することのうちの少なくとも1つを行うように構成することができる。
【0024】
システムの別の実施形態では、制御器102は、第1の時間間隔での第1の平均として第1の出力動力を決定し、第1の時間間隔または第2の時間間隔での第2の平均として第2の出力動力を決定すること、ある時間間隔での複数の事例での差を決定すること、ならびに、それらの差の事例の中に、その時間間隔で指定の閾値を超えると決定されたものがないことに反応してクラッチの故障を示す制御信号を発生することを行うように構成される。
【0025】
例えば、システムは、車両(または、他の動力システム)の全出力動力において連続的に監視するように構成することができる。ここで、制御器102は、最大平均正味出力動力(例えば、馬力)を追跡するように構成される。全力の冷却が必要でないとき、ファンのクラッチは部分速度で回転する方がよく、正味の出力動力は、クラッチが全速で回転するときより高くなる。制御器102は、適切な時間間隔(例えば、30秒から5分の範囲)にわたって平均された最小および最大出力動力(例えば、馬力)を追跡するように構成される。クラッチが適切に作動していれば、最小と最大との間の差は指定の閾値(例えば、50hp)を超えるはずである。十分長い時間間隔にわたって指定の閾値を超えなければ、非制限的な故障がクラッチを検査するために記録される(または、保守を知らせる他の手段がとられる)。エンジンが、初期の全出力動力の要求に全力の冷却の必要がない状態(例えば、燃料供給または乗員の交代のための一時停止後の温度の低下)にあるときに、制御器102はクラッチの故障を検査するように構成される場合がある。
【0026】
制御器102は、ファンのクラッチが回転を止めないようにする様々な動作状態に基づく制御信号を発生しないように構成することができる。これらの動作状態のいくつかは、周囲温度が連続して高い、車両室内の空調を常時つけている、システムがファンを強制的に動かすように構成されている、ことである。同様に、周囲温度が非常に低い場合にはクラッチの故障の検出はできず、このような状態では機能を働かなくする必要があり得る。
【0027】
ファンのクラッチにパーセント指令が(例えば、制御装置126から)利用可能であれば、ファン全力時の正味の動力出力および閾値より低いファンの正味の動力出力を、最小および最大に対して記録するようにこの同じ機能を修正することができる。それらを両方更新するたび、ファンの健全性を評価するために比較することができる。
【0028】
図3は、一実施形態による、補機クラッチの故障を検出するための方法300のフローチャートである。方法300は、制御器(例えば、下記で説明する制御器502)が、ソフトウェアの指示、または制御器の回路内でハードウェア的に行われる指令の下で行うアルゴリズムの動作またはステップを表すことができる。302において、ラジエータファンのクラッチを制御することができるかどうかに関して決定がなされる。例えば、クラッチを手動で接続することができる場合、クラッチを制御することができる。その結果、方法300のフローは304の方へ進むことができる。しかしながら、クラッチを手動で接続できない場合、方法300のフローは306の方へ進むことができる。
【0029】
304において、原動機のエンジン出力を監視して、出力が、少なくとも指定の時間間隔で、(例えば、指定の出力以上で)出力が安定しているときを決定する。例えば、制御器は原動機の動力出力を監視して、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、原動機が少なくとも指定の動力出力の閾値を(例えば、馬力または他の単位で)発生するときを決定することができる。原動機が、少なくとも閾の時間間隔の長さで、指定の動力出力の閾値を超える動力出力を発生するのに反応して、方法300のフローは308の方へ進むことができる。
【0030】
308において、負荷(例えば、ラジエータファン)は、低位の指定の出力(例えば、50%)以下で動作するように指示される。低位の指定の出力は、負荷の最大可能出力より低い出力とすることができる。負荷が低位の指定の出力以下で動作しない場合、方法300のフローは304の方へ戻る。負荷が低位の指定の出力以下で動作する場合、方法300は310の方へ進むことができる。
【0031】
310において、負荷(例えば、ラジエータファン)は、高位の指定の出力以上で動作するように指示される。高位の指定の出力は、低位の指定の出力よりも高い出力とすることができる。一実施形態では、高位の指定の出力は負荷の最大可能出力である。次いで、原動機の出力を監視することができる。例えば、上記のように、負荷が高位の指定の出力以上で動作するように指示した後、原動機のエンジン出力(例えば、発生した馬力またはトルク)を監視し、1つまたは複数の統計値を計算するために使用することができる。エンジン出力が、少なくとも指定の量だけ減少する場合、このエンジン出力が減少しないことが、クラッチが接続位置で固着していることを示すことができる。その結果、方法300のフローは、上記で説明する312の方へ進むことができる。その一方、エンジンが少なくとも閾量だけ減少する場合、エンジン出力のこの変化は、クラッチが接続位置で固着していないことを示すことができる。その結果、方法300のフローは304の方へ戻ることができる。任意に、方法300の動作を終わらせることができる。312において、故障したクラッチに対して不具合を記録することができる。例えば、負荷のクラッチが固着していることを示す記録をすることができる。あるいは、本明細書で説明するように、1つまたは複数の他の対応行為または補修行為を312において実施することができる。
【0032】
302において方法300の説明に戻ると、負荷を手動で制御できる場合、方法300のフローは306の方へ進むことができる。306において、原動機のエンジン出力を監視して、少なくとも指定の時間間隔で、出力が指定の出力以上にあるときを決定する。例えば、制御器は原動機の動力出力を監視して、原動機が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、少なくとも指定の動力出力(例えば、馬力またはトルクの指定の量)の閾値を一度発生するかを判定することができる。クラッチシステムが自動的に接続するように動力および時間間隔の指定の閾値を設定することができる。例えば、指定の動力出力の閾値は十分に大きくすることができ、指定の時間間隔は十分長くすることができて、確実に、原動機を熱くして、クラッチシステムが自動的に接続して原動機を冷却することができる。原動機が、少なくとも閾の時間間隔の長さで、指定の動力出力の閾値を超える動力出力を発生するのに反応して、方法300のフローは314の方へ進むことができる。
【0033】
314において、エンジンのフィルタをかけた出力の統計的な代表値が生成される。例えば、クラッチが接続して負荷を作動させる前の時間間隔での原動機524のエンジン出力(例えば、発生した馬力またはトルク)は、統計値を計算するために使用することができる。一態様では、この統計値は、エンジン出力の標本の平均値、中央値、または他の計算値として計算することができる。例えば、エンジン出力が30秒毎に1度(または別の頻度で)測定される場合、統計値は、上記の指定の時間間隔で原動機が発生したエンジン出力の平均値として計算することができる。原動機のスロットルが指定の設定以上にあるとき、30秒毎に1度の標本抽出したエンジン出力の平均値として統計値を計算することができる。例えば、原動機のスロットルが最大の設定(または別の設定)にあるとき、30秒毎に1度の標本抽出したエンジン出力の平均値として統計値を計算することができる。
【0034】
一実施形態では、原動機が斜面を移動する間、クラッチが変化状態(例えば、接続状態と接続していない状態との間)にあることを示すように、エンジン出力の統計値が少なくとも指定の閾値(例えば、最小の馬力の差)だけ減少することを、314で生成した統計値が示すかどうかに関して、少なくとも12時間毎(または別の時間間隔)に1度、決定がなされる。統計値が少なくとも指定の閾値だけ減少している場合には、変化している統計値は、クラッチが適切に動作して必要なときにクラッチを接続し、他の時間には接続を外していることを示すことができる。その結果、方法300のフローは306の方へ戻ることができる。統計値が減少していなければ、統計値は、クラッチが適切に動作しておらず、故障している可能性があることを示すことができる。
【0035】
318において、故障したクラッチに対して不具合を記録することができる。例えば、負荷のクラッチが固着していることを示す記録をすることができる。あるいは、本明細書で説明するように、1つまたは複数の他の対応行為または補修行為を318において実施することができる。
【0036】
別の実施形態では、システムは、クラッチの状態の情報が得られないときに、動作前ファンクラッチ検査を行うように構成される。一態様では、検査は、動力システムの温度が低いときに、かつファンが最大出力に指令されるようには予想されないときに行われる。確認するパラメータの例としては、流体温度が低い(指定のレベルより低い)こと、エンジン温度が低いこと、油温が低いこと、空調がオフの位置にあること、および/または車両が少なくとも5分間アイドル状態にあることが含まれる。可能ならば、動力システムは、電気負荷(例えば、トラクションモータを駆動するためのオルタネータの電気負荷)を取り除くために休ませておく。定格エンジン速度を指令し、次いでアイドルエンジン速度を指令する。ファンクラッチが故障してフルオン状態かどうかを決定するためにコーストダウン速度が評価される。より詳細には、ファンが故障してフルオン状態であれば、エンジン速度は、ファンが中間出力にあるとき(図4の軌跡「A」参照)よりもずっと速く下がる(図4の軌跡「B」参照)。
【0037】
クラッチの状態の情報が得られないときの動作前ファンクラッチ検査の別の態様では、システムは、1つまたは複数のすぐ上で考察したのと同じパラメータが確認される。車両は、制御器102が平均動力出力をとらえるのに十分長く安定してエンジン全負荷で走行される。操作者は、車内の空調のスイッチを入れてファンを全力にするように指令するなどの入力を始めることを指令される。操作者がファンクラッチを全力にするように指令したときに、制御器は負荷の低下を見つけるように構成される。
【0038】
別の実施形態は、エンジン停止時の減速検査に関する。これは、車両を運転した終わりに行われる。エンジンを停止させるとき、エンジン速度を監視する。ファンクラッチが完全に固着している場合、低位の設定のときよりもずっと速くエンジン速度は落ちる。
【0039】
図5は、監視システム500の一実施形態を示す。システム100、500は動力システムのクラッチシステムを監視することができるという点で、システム500は、図1に示したシステム100と同様であるかもしれない。システム500は制御器502を含み、制御器502は、制御器102を表し、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、特定用途向け命令セットプロセッサなど)を含む、かつ/またはこれらと接続するハードウェア回路を含むことができる。制御器502は動力システム506のクラッチシステム504と動作可能に連結されている。クラッチシステム504は、図1に示すクラッチシステム104を表すことができ、クラッチ508(例えば、図1に示すクラッチ108)および負荷510(例えば、図1に示す負荷110)を含むことができる。図示の例では、負荷510はラジエータファンであるが、その代りにブロワファンまたは他のファンを含むことができる。動力システム506は、車両のエンジンまたは原動機524(例えば、図2に示すエンジンまたは原動機124)を含むが、その代りに燃料を消費して仕事を行う(例えば、動力出力を発生する)車両、定置発電機、または他のシステムを表すことができる。動力システム506はまた、クラッチ508および/または原動機524を制御するように構成される制御装置526を含むことができる。制御装置526は、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、特定用途向け命令セットプロセッサなど)を含む、かつ/またはこれらと接続するハードウェア回路を表すことができる。本明細書で説明するように、制御器502は、1つまたは複数の有線接続および/または無線接続によって制御装置526と通信可能に接続することができて、制御装置526を介して、クラッチ508、負荷510、および/または原動機524の動作を制御器502が制御することを可能にする。制御装置526は制御装置126を表すことができる。
【0040】
制御器502は動力システム506の動力出力を監視する。制御器502は、1つまたは複数の有線および/または無線接続によって、動力センサ512と通信可能に接続することができる。動力センサ512は、原動機524が発生したトルクまたは馬力として、原動機524の動力出力を測定する。一実施形態では、動力センサ512は、原動機524の軸と接続した動力計とすることができる。クラッチ508が故障した(例えば、負荷510を作動させる位置で固着して、原動機524が発生した動力出力の少なくともいくらかが負荷510を回転させている)かどうかを判定するために、制御器502は、クラッチシステム504の異なる状態での動力システム506の動力出力を監視することができる。
【0041】
図5に示すシステム500を続けて参照して、図6は、図5に示すクラッチシステム504を監視するための方法600の一実施形態のフローチャートを示す。方法600は、制御器502が、ソフトウェアの指示、または制御器502の回路内でハードウェア的に行われる指令の下で行うアルゴリズムの動作またはステップを表すことができる。602において、ラジエータファンのクラッチを制御することができるかどうかに関して決定がなされる。例えば、いくつかのクラッチシステム504では、クラッチ508は負荷510と自動的に接続される、または接続を外されて、それぞれ、負荷510を作動させる(例えば、原動機524によって生じた運動で回転させる)、または負荷510の作動を止める(例えば、原動機524によって生じた運動での回転を止める)。クラッチ508は、原動機524の温度が指定の温度の閾値を超えるのに反応して自動的に接続して、負荷510が空気を引き入れて原動機524を冷却することを開始することができる。クラッチ508は、その温度が温度の閾値を超えていないことに反応して自動的に接続を外すことができる。
【0042】
しかしながら、他のクラッチシステム504では、クラッチ508は手動で負荷510に接続する、または接続を外すことができる。このようなクラッチ508はまた、自動的に接続する、または接続を外すことができるが、また、使用者が、ペダル、スイッチ、ボタンなど(図示せず)の入力装置を作動させることに反応して、手動で接続する、または接続を外すこともできる。
【0043】
クラッチシステム504を手動で制御することができる(例えば、手動で負荷510に接続する、または接続を外すことができる)場合には、方法600のフローは614へ進むことができる。その一方、クラッチシステム504を手動で制御することができない(例えば、システム504の正常な動作中、クラッチ508は自動的に接続する、または接続を外す)場合には、方法600のフローは604へ進むことができる。
【0044】
604において、原動機524のエンジン出力を監視して、出力が、少なくとも指定の時間間隔で、指定の出力以上にあるときを決定する。例えば、制御器502は原動機524の動力出力を監視して、原動機524が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、少なくとも指定の動力出力の閾値(例えば、馬力またはトルクの指定の量)を一度発生するかを判定することができる。クラッチシステム504が自動的に接続するように、動力の指定の閾値および指定の時間間隔を設定することができる。例えば、指定の動力出力の閾値は十分に大きくすることができ、指定の時間間隔は十分長くすることができて、確実に、原動機524を熱くして、クラッチシステム504が自動的に接続して原動機524を冷却することができる。原動機524が、少なくとも閾の時間間隔の長さで、指定の動力出力の閾値を超える動力出力を発生するのに反応して、方法600のフローは606の方へ進むことができる。
【0045】
一実施形態では、制御器502は、原動機524によって発生することができる利用可能な動力のすべてが、原動機524によって確実に出力されるように構成される。原動機524は、原動機524が発生することができる動力出力(例えば、馬力)の最大量を規定または指定するエンジン定格をもって、製造または提供することができる。エンジン定格は上記の指定の出力とすることができ、制御器502は、少なくとも指定の時間間隔で、原動機524の出力が原動機524のエンジン定格に等しい(例えば、出力と定格が同等である、または0.5%、1%、2%、5%などの測定誤差の範囲内にある)かどうかを、604において決定する。一態様では、方法600のフローは、エンジン出力が、少なくとも指定の時間間隔で、指定の出力以上になければ、または指定の出力以上に達するまで、604を超えては進まない。
【0046】
一実施形態では、動力センサ512は原動機524のそのときの負荷を測定することができ、原動機524の出力を指定の出力(例えば、エンジン定格)にするために、原動機524に加わる負荷および/または原動機524から取り除かれる負荷の量を、制御器502は決定することができる。一態様では、制御器502は、原動機524のそのときの負荷が指定の範囲内かどうかを判定することによって、原動機524に加わる負荷または原動機524から取り除かれる負荷を決定することができる。この範囲は、下の負荷限界から上の負荷限界まで広げることができる。下の負荷限界は、原動機524が負荷下にある(例えば、原動機524がアイドリングしている)ことに関連づけることができる原動機524のゼロでない、より小さい量の負荷を表すことができ、上の負荷限界は、原動機524がそれ以上動かせなくなる(例えば、原動機524を停止させる)ことがあり得る、原動機524のより大きな量の負荷を表すことができる。
【0047】
制御器502は、動力出力が指定出力以上にあるかどうかを判定することができる。任意に、原動機524の速度は、原動機524の動力出力を決定するために調べることができる。センサ512は、タコメータなどの速度センサとすることができ、原動機524にかかる負荷は、原動機524の目標速度に達するまで、増大または減少させられる。制御器502は、原動機524が高位の指定のエンジン速度で動作するまで、原動機524により速いエンジン速度(例えば、原動機524が軸を回転させる速度)で動作するように指示することができる。そのときに、原動機524のエンジン速度が異なる低位の指定のエンジン速度に下がるまで、制御器502が冷却システム(例えば、空調システム)または動力システムの他の電気負荷などの負荷を作動させることなどで、動力システムには電気負荷がかけられる。エンジン速度が高位の指定のエンジン速度から低位の指定のエンジン速度まで落ちる前に動力システムにかけられた電気負荷の量は、原動機524の動力出力を表すことができる。例えば、エンジン速度を減少させる、より大量の電気負荷は、原動機524のより大きな動力出力を表すことができ、一方、エンジン速度を減少させる、より少量の電気負荷はより小さな動力出力を表すことができる。制御器502および原動機524は、原動機524の動力出力を監視するために、閉回路式で動作することができる。
【0048】
606において、原動機524のエンジン出力を監視する。例えば、クラッチ508が接続して負荷510を作動させる前の時間間隔での原動機524のエンジン出力(例えば、発生した馬力またはトルク)は、統計値を計算するために使用することができる。一態様では、この統計値は、エンジン出力の標本の平均値、中央値、または他の計算値として計算することができる。例えば、エンジン出力が30秒毎に1度(または別の頻度で)測定される場合、統計値は、604と関連して上記で説明した指定の時間間隔で原動機524が発生したエンジン出力の平均値として計算することができる。原動機524のスロットルが指定の設定以上にあるとき、30秒毎に1度の標本抽出したエンジン出力の平均値として統計値を計算することができる。例えば、原動機524のスロットルが最大の設定(または別の設定)にあるとき、30秒毎に1度の標本抽出したエンジン出力の平均値として統計値を計算することができる。
【0049】
604と関連して上記で説明した指定の時間間隔の後、エンジン出力は監視し続けることができ、統計値は計算し続けることができる。例えば、クラッチ508が自動的に接続するようになる時間間隔中のエンジン出力は、原動機524に対する第1の統計値または第1の統計値のセットを計算するために使用することができ、この時間間隔の後のエンジン出力は監視され続けて、第2の統計値または第2の統計値のセットを計算するために使用することができる。第2の統計値または第2の統計値のセットを計算するために使用されるエンジン出力は、原動機524が異なるスロットル設定で動作することによって変わり得る。
【0050】
608において、エンジン出力が少なくとも指定の頻度で、少なくとも指定の量だけ減少するかどうかに関して決定がなされる。例えば、エンジン出力がたびたび減少して、クラッチ508が接続状態で固着していないことを示すかどうかを判定するためにエンジン出力は監視される。
【0051】
図7は一例による、時間にわたって測定された原動機524の統計値700、702を示す。統計値700、702は、30秒毎に1度(または別の頻度で)測定された出力動力の平均値などの、原動機524の出力動力の平均を表すことができる。統計値700、702は、時間、または計算された統計値の数を表す水平軸704、および統計値の大きさ(例えば、馬力)を表す垂直軸706とともに示される。
【0052】
統計値700、702は、統計値700、702が基準線または現状値708から減少した値710まで、少なくとも指定の量712だけ、少なくとも指定の頻度で減少するかどうかを判定するために調べることができる。統計値700、702の基準線または現状値708は、606で計算した統計値の値を表すことができる。代わりに、基準線または現状値708は、統計値700、702の平均値または中心値を表すことができる。
【0053】
統計値700に関しては、制御器502は、統計値700が異なる3度の回数714、716、718で、少なくとも閾量712だけ下降したと判定することができる。制御器502は、これらの714、716、718のときが生じる頻度を調べて、統計値700が、指定の頻度より多い割合で、少なくとも閾量712だけ減少するかどうかを判定することができる。一態様では、指定の頻度は12時間毎に1度または他の頻度とすることができる。714、716、718のときが少なくとも12時間毎に1度以上生じる場合には、統計値700は、クラッチ508が正常に動作している(例えば、クラッチ508は固着せず、負荷510を作動させる、または作動を止めさせる必要に応じて接続する、および接続を外すことができる)ことを示すことができる。例えば、統計値700の減少は、原動機524の出力が減少しており、それは、クラッチ508が負荷510に接続し、エンジン出力の一部が負荷510を駆動するために使用されていることによって生じていることを示すことができる。統計値700のその後の増大は、クラッチ508が負荷510との接続が外れ、エンジン出力が負荷510をもはや駆動していないことに反応して増大していることに起因して、出力が増大していることを示す。
【0054】
制御器502は、統計値700が、少なくとも指定の頻度で、少なくとも閾量712だけ減少することを判定することができる。その結果、制御器502は、クラッチ508が固着していないことを判定することができ、方法600のフローは604の方へ戻って原動機524の出力の監視を続けることができる。任意に、方法600を終わらせることができる。
【0055】
その一方、統計値700が、少なくとも指定の頻度の割合で、少なくとも閾量712だけ減少しない場合、統計値700は、クラッチ508が固着していることを示すことができる。その結果、方法600のフローは610の方へ進むことができる。
【0056】
統計値702に関しては、制御器502は、統計値702が少なくとも閾量712だけ下降していないと判定することができる。その結果、統計値702は、クラッチ508が固着していることを示すことができる。クラッチ508が固着すると、原動機524の出力は少なくとも閾量712だけ減少しない。なぜなら、クラッチ508が固着すると、負荷510を作動して原動機524によって動力が与えられ続け、原動機524の出力は、少なくとも、指定の頻度と少なくとも同程度に速い頻度で、少なくとも閾量712だけ減少することがない。統計値702は、指定の頻度と少なくとも同じ速い頻度で、少なくとも閾量712だけ減少しないので、方法600のフローは610の方へ進むことができる。
【0057】
610において、クラッチ508は故障したクラッチとして同定される。クラッチ508が固着して、負荷510が原動機524によって動力を与えられ続けているということで、制御器502は、クラッチ508が故障していることを判定することができる。612において、1つまたは複数の補修行為を実施することができる。制御器502は、クラッチが故障していることを示す制御信号120を発生することができる。制御信号120をシステム500の記憶装置528(図5に示す)へ伝えて、クラッチの故障についての情報を自動的に記憶することができる。記憶装置528は、読出し専用コンピュータメモリ、ランダムアクセスコンピュータメモリ、または別のタイプのメモリを表すことができる。任意に、制御信号をシステム500の出力装置530(図5に示す)へ伝えて、クラッチの故障について動力システムの操作者に自動的に警報を出すことができる。出力装置530は、ディスプレイ、スピーカ、または操作者に情報を伝えることができる他の装置を表すことができる。任意に、制御信号を、送受信回路(例えば、アンテナ、モデム、および/または関連する回路)などの通信装置532を介して、操作盤外の場所に伝えて、動力システムの保守作業(例えば、修理および/または点検)を自動的に計画することができる。遠隔の場所で制御信号120を受信すると、任意に、クラッチシステム504の修理および/または点検のために動力システム506の計画を変更させることができる。任意に、制御信号を制御装置526に伝えて、動力システムを第1の動作モードから第2の異なる動作モードへ自動的に制御することができる。例えば、制御装置526は、制御信号を受信するのに反応して、自動的に原動機524を止める、または原動機524のスロットルを指定の設定(例えば、アイドル)に設定することができる。方法600の動作は、604の方へ戻ることができる、またはその動作を終わらせることができる。
【0058】
602の説明に戻ると、クラッチ508を制御することができる場合、方法600のフローは614の方へ進むことができる。614において、原動機524のエンジン出力を監視して、出力が、少なくとも指定の時間間隔で、指定の出力以上にあるときを決定する。例えば、制御器502は原動機524の動力出力を監視して、原動機524が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、少なくとも指定の動力出力の閾値を一度発生するかを判定することができる。原動機524が、少なくとも閾の時間間隔の長さで、指定の動力出力の閾値を超える動力出力を発生するのに反応して、方法600のフローは616の方へ進むことができる。
【0059】
616において、負荷510(例えば、ラジエータファン)は、低位の指定の出力以下で動作するように指示される。低位の指定の出力は、負荷510の最大可能出力より低い出力とすることができる。例えば、負荷510が、2000RPMで動作できるファンの場合、616において、負荷510はこの最大速度の50%より高くない速度、すなわち1000RPMより速くない速度で動作するように指示することができる。あるいは、最大可能出力の45%、40%、35%などの別の低位の指定の出力を使用することができる。一実施形態では、制御器502は制御信号を負荷510に伝えて、負荷510の出力を制御することができる。
【0060】
618において、原動機524のエンジン出力を監視する。例えば、上記のように、負荷510が低位の指定の出力以下で動作するように指示した後、原動機524のエンジン出力(例えば、発生した馬力またはトルク)を監視し、1つまたは複数の統計値を計算するために使用することができる。
【0061】
620において、負荷510(例えば、ラジエータファン)は、高位の指定の出力以上で動作するように指示される。高位の指定の出力は、低位の指定の出力よりも高い出力とすることができる。一実施形態では、高位の指定の出力は負荷510の最大可能出力である。あるいは、高位の指定の出力は、低位の指定の出力より高いが、負荷510の最大可能出力より低く、例えば、最大可能負荷の95%、90%、85%、80%などとすることができる。任意に、高位の指定の出力は、低位の指定の出力の105%、110%、115%、120%、150%、200%などとすることができる。
【0062】
622において、原動機524のエンジン出力を監視する。例えば、上記のように、負荷510が高位の指定の出力以上で動作するように指示した後、原動機524のエンジン出力(例えば、発生した馬力またはトルク)を監視し、1つまたは複数の統計値を計算するために使用することができる。
【0063】
624において、エンジン出力が少なくとも指定の量だけ減少するかどうかに関して決定がなされる。例えば、負荷510を低位の指定の出力以下で動作するように指示した後に監視されたエンジン出力は、負荷510を高位の指定の出力以上で動作するように指示した後に監視されたエンジン出力と比較することができる。エンジン出力が、少なくとも指定の量(例えば、図7に示す指定の量712)だけ減少しない場合、このエンジン出力が減少しないことが、クラッチ508が接続位置で固着していることを示すことができる。負荷510の出力を減少するように指令された後でさえ(これによって、クラッチ508は接続を外されて原動機524はもはや負荷510に動力を与えないはずだが)、原動機524が(クラッチ508が接続状態で固着して)負荷510に動力を与えるので、エンジン出力は減少することができない。その結果、上記のように、方法600のフローは610の方へ進むことができる。
【0064】
その一方、エンジン出力が少なくとも閾量だけ減少する場合、エンジン出力のこの変化は、クラッチ508が接続位置で固着していないことを示すことができる。例えば、クラッチ508が完全に接続した位置で固着していないときは、負荷510に出力を減少するように指令すると、原動機524の出力は増大することができる。原動機524は負荷510に動力を与えるので、負荷510の出力が減少すると、負荷510に動力を与えるために使用されるエンジン出力はより少なくなるので、原動機524のエンジン出力は増大する。負荷510の出力が増大すると、負荷510に動力を与えるために使用されるエンジン出力はより多くなることによりエンジン出力は減少する。エンジン出力が少なくとも閾量だけ増大する場合、クラッチ508は接続位置で固着していない可能性があり、方法600のフローは614の方へ戻ることができる。任意に、方法600の動作を終わらせることができる。
【0065】
一実施形態では、システム(例えば、補機クラッチの故障を検出するためのシステム)は、動力システムのクラッチシステムと動作可能に連結するように構成された制御器を含む。クラッチシステムは、クラッチ、およびクラッチによって駆動される負荷を有する。制御器は、クラッチシステムが負荷に接続して、負荷の第1の出力で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第1の出力動力と、クラッチシステムが高位の第2の出力で負荷を駆動するように制御されるときの動力システムの第2の出力動力との差を決定するように構成される。制御器は、差が指定の閾値より小さいことに反応して、クラッチの故障を示す制御信号を発生するように構成される。
【0066】
一態様では、クラッチシステムは、クラッチの故障に反応してクラッチが負荷に完全に接続するように構成される。
【0067】
一態様では、動力システムは車両であり、負荷はラジエータファンであり、クラッチは流体クラッチである。
【0068】
一態様では、動力システムは車両であり、制御器は、車両のスロットルが全開のときの車両の第1の正味の動力出力として第1の出力動力を決定し、車両のスロットルが全開ではないときの車両の第2の正味の動力出力として第2の出力動力を決定するように構成される。
【0069】
一態様では、第1の出力動力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上の出力にあることに反応して、制御器は動力システムの第1の出力動力を決定するように構成される。
【0070】
一態様では、記憶装置を制御して、クラッチの故障についての情報を自動的に記憶すること、出力装置を制御して、動力システムの操作者にクラッチの故障について自動的に警報を出すこと、通信装置を制御して、動力システムの保守作業を自動的に計画すること、および/または、動力システムを第1の動作モードから第2の異なる動作モードに自動的に制御することのうちの少なくとも1つを行うために、制御器は制御信号を発生するように構成される。
【0071】
別の実施形態では、方法(例えば、補機クラッチの故障を検出するための方法)は、エンジンの動力出力を動力センサで測定することを含む。エンジンは、クラッチシステムが負荷と接続される時間間隔の間、動力システムの負荷を駆動するように構成される。本方法はまた、エンジンの動力出力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることを判定するステップと、動力出力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることを判定することに反応して、動力出力の1つまたは複数の減少に対してエンジンの動力出力を監視するステップを含む。本方法はまた、エンジンの動力出力が少なくとも指定の閾量だけ減少しないことに反応して、クラッチシステムが故障モードにあるものとして同定するステップを含む。
【0072】
一態様では、本方法はまた、クラッチシステムが故障モードにあることを同定することに反応して制御信号を発生するステップを含み、記憶装置を制御して、クラッチの故障についての情報を自動的に記憶すること、出力装置を制御して、動力システムの操作者にクラッチの故障について自動的に警報を出すこと、通信装置を制御して、動力システムの保守作業を自動的に計画すること、および/または、動力システムを第1の動作モードから第2の異なる動作モードに自動的に制御することのうちの少なくとも1つを行うために、その制御信号を発生する。
【0073】
一態様では、エンジンの動力出力が、少なくとも指定の頻度で、少なくとも指定の閾量だけ減少しないことに反応して、クラッチシステムが故障モードにあることを同定するステップは生じる。
【0074】
一態様では、エンジンの動力出力が、少なくとも指定の閾量だけ減少するが、指定の頻度よりも少ない頻度であることに反応して、クラッチシステムが故障モードにあることを同定するステップは生じない。
【0075】
一態様では、エンジンの動力出力を測定するステップおよびエンジンの動力出力を監視するステップの両方は、動力出力の統計値を計算するステップを含む。統計値は、エンジンの動力出力の標本の平均値を含むことができる。
【0076】
別の実施形態では、別の方法(例えば、補機クラッチファンの故障を検出するための方法)は、動力システムの負荷が第1の指定の出力以下で動作するように指示するステップを含む。動力システムは、動力システムのクラッチシステムが負荷と接続されている時間間隔の間、負荷を駆動するように構成されたエンジンを含む。本方法はまた、負荷が第1の指定の出力以下で動作しているときに、エンジンの動力出力を動力センサで測定するステップと、動力システムの負荷が高位の第2の指定の出力以上で動作するように指示するステップと、負荷が第2の指定の出力以上で動作しているときに、エンジンの動力出力を測定するステップと、第1の指定の出力以下で負荷が動作している間のエンジンの動力出力と、第2の指定の出力以上で負荷が動作している間のエンジンの動力出力との間の差に基づいて、クラッチシステムが故障モードにあるものとして同定するステップとを含む。
【0077】
一態様ではまた、本方法はまた、動力システムの負荷が第1の指定の出力以下で動作するように指示するステップの前に、エンジンの動力出力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることを判定するステップを含む。
【0078】
一態様では、差がゼロでない指定の閾量を超えることに反応して、クラッチシステムが故障モードにあるものとして同定するステップは生じる。
【0079】
一態様では、負荷が第1の指定の出力以下で動作しているときのエンジンの動力出力から、負荷が第2の指定の出力以上で動作しているときのエンジンの動力出力への減少を、差が含むことに反応して、クラッチシステムが故障モードにあるものとして同定するステップは生じる。
【0080】
一態様では、負荷が第1の指定の出力以下で動作しているときのエンジンの動力出力を測定するステップ、または負荷が第2の指定の出力以上で動作しているときのエンジンの動力出力を測定するステップのうちの1つまたは複数は、動力出力の統計値を計算するステップを含む。統計値は、エンジンの動力出力の標本の平均値を含む。
【0081】
一態様では、本方法はまた、クラッチシステムが故障モードにあることを同定することに反応して制御信号を発生するステップを含む。記憶装置を制御して、クラッチの故障についての情報を自動的に記憶するために制御信号を発生することができる。
【0082】
一態様では、本方法はまた、クラッチシステムが故障モードにあることを同定することに反応して制御信号を発生するステップを含む。通信装置を制御して、動力装置の保守作業を自動的に計画するために制御信号を発生することができる。
【0083】
一態様では、本方法はまた、クラッチシステムが故障モードにあることを同定することに反応して制御信号を発生するステップを含む。動力システムを第1の動作モードから第2の異なる動作モードに自動的に制御するために、制御信号を発生することができる。
【0084】
一態様では、本方法はまた、クラッチシステムが故障モードにあることを同定することに反応して制御信号を発生するステップを含む。出力装置を制御して、動力システムの操作者にクラッチの故障について自動的に警報を出すために制御信号を発生することができる。
【0085】
上記の説明は、すべての点で例示的であることを意図されており、制限的なものではないことを理解されたい。例えば、上記の実施形態(および/またはそれらの態様)はお互いに組み合わせて使用することができる。加えて、本主題の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を、開示された主題の教示に適合するように多くの修正を行うことができる。本明細書で説明された材料の寸法とタイプは、開示された主題のパラメータを規定するように意図されているが、それらは決して限定するものではなく、例示的な実施形態である。したがって、説明された主題の範囲は、特許請求の範囲が権利を有する均等物のすべての範囲とともに、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、用語「含む(including)」および「において(in which)」はそれぞれ、用語「備える(comprising)」および「ここでは(wherein)」の表現を簡単にした同等の表現として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」などは、単に符号として使用され、その物体に数的な要件を課すことを意図していない。
【0086】
本明細書で説明した実施形態は、特許請求の範囲で列挙した本発明の要素に相当する要素を有するシステム、構造、および方法の例である。本明細書は、特許請求の範囲で列挙した本発明の要素に同様に相当する代替要素を有する実施形態を、当業者が作製および使用することを可能にする。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の文言と相違ない構造、システム、および方法を含み、さらに、特許請求の範囲の文言と実質的に相違ない他のシステム、構造、および方法を含む。本明細書では、特定の特徴および実施形態のみを図示および説明をしたが、当業者には、多くの修正および変更が想到することができる。添付の特許請求の範囲は、このような修正および変更のすべてを包含する。
【0087】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
動力システム(106、506)のクラッチシステム(104、504)と動作可能に連結するように構成された制御器(102、502)と、クラッチ(108、508)を有する前記クラッチシステム(104、504)と、前記クラッチ(108、508)によって駆動される負荷(110、510)とを備えるシステム(100、500)であって、前記クラッチシステム(104、504)が前記負荷(110、510)に接続して、前記負荷(110、510)の第1の出力で前記負荷(110、510)を駆動するように制御されるときの前記動力システム(106、506)の第1の出力動力と、前記クラッチシステム(104、504)が高位の第2の出力で前記負荷(110、510)を駆動するように制御されるときの前記動力システム(106、506)の第2の出力動力との差を、前記制御器(102、502)が決定するようにさらに構成され、前記制御器(102、502)が、前記差が指定の閾値より小さいことに反応して、クラッチ(108、508)の故障を示す制御信号を発生するように構成される、システム(100、500)。
[実施態様2]
前記クラッチシステム(104、504)が、前記クラッチ(108、508)の故障に反応して前記クラッチ(108、508)が前記負荷(110、510)に完全に接続するように構成される、実施態様1記載のシステム。
[実施態様3]
前記動力システム(106、506)が車両であり、前記負荷(110、510)がラジエータファン(110、510)であり、前記クラッチ(108、508)が流体クラッチ(108、508)である、実施態様1記載のシステム。
[実施態様4]
前記動力システム(106、506)が車両(106、506)であり、前記制御器(102、502)が、前記車両(106、506)のスロットルが全開のときの前記車両(106、506)の第1の正味の動力出力として前記第1の出力動力を決定し、前記車両(106、506)の前記スロットルが全開ではないときの前記車両(106、506)の第2の正味の動力出力として前記第2の出力動力を決定するように構成される、実施態様1記載のシステム。
[実施態様5]
前記第1の出力動力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることに反応して、前記制御器(102、502)が前記動力システム(106、506)の前記第1の出力動力を決定するように構成される、実施態様1記載のシステム。
[実施態様6]
記憶装置(528)を制御して、前記クラッチ(108、508)の故障についての情報を自動的に記憶すること、出力装置(530)を制御して、前記動力システム(106、506)の操作者に前記クラッチ(108、508)の故障について自動的に警報を出すこと、通信装置(532)を制御して、前記動力システム(106、506)の保守作業を自動的に計画すること、または、前記動力システム(106、506)を第1の動作モードから第2の異なる動作モードに自動的に制御することのうちの少なくとも1つを行うために、前記制御器(102、502)が前記制御信号を発生するように構成される、実施態様1記載のシステム。
[実施態様7]
動力システム(106、506)のクラッチシステム(104、504)が負荷(110、510)と接続されている時間間隔の間、前記負荷(110、510)を駆動するように構成されたエンジン(106、506)を含む前記動力システム(106、506)の前記負荷(110、510)が、第1の指定の出力以下で動作するように指示するステップと、
前記負荷(110、510)が前記第1の指定の出力以下で動作しているときに、前記エンジン(106、506)の動力出力を動力センサで測定するステップと、
前記動力システム(106、506)の前記負荷(110、510)が高位の第2の指定の出力以上で動作するように指示するステップと、
前記負荷(110、510)が前記第2の指定の出力以上で動作しているときに、前記エンジン(106、506)の前記動力出力を測定するステップと、
前記第1の指定の出力以下で前記負荷(110、510)が動作している間の前記エンジン(106、506)の前記動力出力と、前記第2の指定の出力以上で前記負荷(110、510)が動作している間の前記エンジン(106、506)の前記動力出力との間の差に基づいて、前記クラッチシステム(104、504)が故障モードにあるものとして同定するステップと
を含む方法。
[実施態様8]
前記動力システム(106、506)の前記負荷(110、510)が前記第1の指定の出力以下で動作するように指示するステップの前に、前記エンジン(106、506)の前記動力出力が、少なくともゼロでない指定の時間間隔で、ゼロでない指定の出力以上にあることを判定するステップをさらに含む実施態様7記載の方法。
[実施態様9]
前記差がゼロでない指定の閾量を超えることに反応して、前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあるものとして同定するステップが生じる、実施態様7記載の方法。
[実施態様10]
前記負荷(110、510)が前記第1の指定の出力以下で動作しているときの前記エンジン(106、506)の前記動力出力から、前記負荷(110、510)が前記第2の指定の出力以上で動作しているときの前記エンジン(106、506)の前記動力出力への減少を、前記差が含むことに反応して、前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあるものとして同定するステップが生じる、実施態様9記載の方法。
[実施態様11]
前記負荷(110、510)が前記第1の指定の出力以下で動作しているときの前記エンジン(106、506)の前記動力出力を測定するステップ、または前記負荷(110、510)が前記第2の指定の出力以上で動作しているときの前記エンジン(106、506)の前記動力出力を測定するステップのうちの1つまたは複数が、前記エンジン(106、506)の前記動力出力の標本の平均値を含む前記動力出力の統計値を計算するステップを含む、実施態様7記載の方法。
[実施態様12]
前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあることを同定することに反応して、記憶装置(528)を制御して、前記クラッチ(108、508)の故障についての情報を自動的に記憶するために制御信号を発生するステップをさらに含む実施態様7記載の方法。
[実施態様13]
前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあることを同定することに反応して、通信装置(532)を制御して、前記動力システム(105、506)の保守作業を自動的に計画するために制御信号を発生するステップをさらに含む実施態様7記載の方法。
[実施態様14]
前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあることを同定することに反応して、前記動力システム(106、506)を第1の動作モードから第2の異なる動作モードに自動的に制御するために制御信号を発生するステップをさらに含む実施態様7記載の方法。
[実施態様15]
前記クラッチシステム(104、504)が前記故障モードにあることを同定することに反応して制御信号を発生するステップであって、出力装置(530)を制御して、前記動力システム(106、506)の操作者に前記クラッチ(108、508)の故障について自動的に警報を出すために前記制御信号を発生する、ステップをさらに含む実施態様7記載の方法。
【符号の説明】
【0088】
100 監視システム
102 制御器
104 クラッチシステム
106 動力システム
108 クラッチ
110 負荷
112 第1の出力
114 第2の出力
116 中間出力
118 最大出力
120 制御信号
122 閾値
124 原動機
126 原動機
128 通信経路
300 補機クラッチの故障を検出するための方法
302 ラジエータファンのクラッチに指令することができるか?
304 必要な最小時間の間、全力馬力で安定しているか?
306 必要な最小時間の間、全力馬力で安定しているか?
308 ラジエータファンの指令<=50%
310 数秒間、100%指令。最小馬力差が観測されるか?
312 固着したラジエータファンのクラッチの故障記録
314 全開スロットルでのフィルタをかけられた馬力の統計値を書き込み
316 少なくとも12時間毎に1度、斜面での安定した馬力の統計値が、ファンクラッチの状態が変化していることを示すのに必要な最小の馬力差の変化を有しているか?
318 固着したラジエータファンのクラッチに対して故障を記録
500 監視システム
502 制御器
504 クラッチシステム
506 動力システム
508 クラッチ
510 負荷
512 動力センサ
526 制御装置
528 記憶装置
530 出力装置
532 通信装置
600 クラッチシステムを監視するための方法
602 ラジエータファンのクラッチを制御することができるか?
604 エンジン出力が、少なくとも指定の時間間隔で、指定の出力以上にあるときを決定する
606 エンジン出力を監視
608 エンジン出力が少なくとも指定の頻度で、少なくとも指定の量だけ減少するか?
610 クラッチの故障を同定
612 補修行為を実施
614 エンジン出力が、少なくとも指定の時間間隔で、指定の出力以上にあるときを決定する
616 ラジエータファンが指定の出力以下で動作するように指示
618 エンジン出力を監視
620 ラジエータファンが指定の出力以上で動作するように指示
622 エンジン出力を監視
624 エンジン出力が少なくとも指定の量だけ減少するか?
700 統計値
702 統計値
704 水平軸
706 垂直軸
708 基準線または現状値
710 基準線または現状値から減少した値
712 閾量
714 閾量だけ減少したとき
716 閾量だけ減少したとき
718 閾量だけ減少したとき
A 軌跡
B 軌跡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7