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特許7090310調理食品を分類するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及び調理食品を陳列するための方法
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  • 特許-調理食品を分類するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及び調理食品を陳列するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】調理食品を分類するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及び調理食品を陳列するための方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20220617BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220617BHJP
【FI】
G16H20/00
A23L5/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017225396
(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公開番号】P2019096089
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501163705
【氏名又は名称】株式会社ドクターミール
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕美
(72)【発明者】
【氏名】小野 高尚
(72)【発明者】
【氏名】田所 奈美
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-258567(JP,A)
【文献】特開2017-59169(JP,A)
【文献】特開2012-203834(JP,A)
【文献】特開2006-195943(JP,A)
【文献】特開平11-42221(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131939(JP,U)
【文献】登録実用新案第3092881(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0072233(US,A1)
【文献】伊原啓晃,複数要因を総合的に考慮した夕食レシピ推薦システムとその評価,情報処理学会研究報告 マルチメディア通信と分散処理,日本,情報処理学会,2014年03月03日,Vol.2014-DPS-158, No.32,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食材を調理して作られた調理食品を分類するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記処理は、
複数の食材と各食材の重量とを示す情報を少なくとも含む調理食品レシピデータを記憶装置から読み出す処理と、
前記記憶装置から読み出した前記調理食品レシピデータに基づいて、食材を複数の群にグループ分けするための食材分類におけるいずれの群に、前記調理食品が属するかを決定する決定処理と、
決定された群を示す情報を出力する処理と、を含み、
前記決定処理は、
前記調理食品レシピデータに基づいて、前記調理食品を構成する複数の食材が属する群を、食材が属する群を示す食材分類データを参照して判定し、
複数の食材と各食材の重量とを示す前記情報に基づいて、前記調理食品における各食材の熱量に関する値を、食材の重量から食材の熱量に関する値を計算するためのデータを参照して計算し、
前記調理食品を構成する複数の食材が属する群のうち、前記食材の熱量に関する値の合計が最も大きい群を、前記調理食品が属する群として決定する
ことを含む
コンピュータプログラム。
【請求項2】
食材の重量から食材の熱量に関する値を計算するための前記データは、食材に対応付けられた4群点数法における1点重量である
請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
複数のエリアに区分けされた陳列什器と、
複数の前記エリアそれぞれが、食材を複数の群にグループ分けするための食材分類におけるいずれの群に対応するかを示す表示と、
前記陳列什器に陳列された複数の調理食品と、
を有する調理食品陳列構造によって調理食品を陳列するための方法であって、
コンピュータが、複数の食材と各食材の重量とを示す情報を少なくとも含む調理食品レシピデータに基づいて、前記調理食品を構成する複数の食材が属する群を、食材が属する群を示す食材分類データを参照して判定し、
前記コンピュータが、複数の食材と各食材の重量とを示す前記情報に基づいて、前記調理食品における各食材の熱量に関する値を、食材の重量から食材の熱量に関する値を計算するためのデータを参照して計算し、
前記コンピュータが、前記調理食品を構成する複数の食材が属する群のうち、前記食材の熱量に関する値の合計が最も大きい群を、前記調理食品が属する群として決定し、
複数の前記調理食品それぞれは、複数の前記群のうち、前記調理食品の属する群に対応するエリアに陳列される、
ことを含む、調理食品を陳列するための方法。
【請求項4】
複数の前記エリアは、
4群点数法における第1群に対応する第1エリアと、
前記4群点数法における第2群に対応する第2エリアと、
前記4群点数法における第3群に対応する第3エリアと、
前記4群点数法における第4群に対応する第4エリアと、を含み、
前記表示は、前記第1エリアが前記第1群に対応することを示す表示と、前記第2エリアが前記第2群に対応することを示す表示と、前記第3エリアが前記第3群に対応することを示す表示と、前記第4エリアが前記第4群に対応することを示す表示と、を含み、
前記調理食品の属する群は、前記第1群、前記第2群、前記第3群、及び前記第4群のいずれかである
請求項3に記載の調理食品を陳列するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理食品の分類に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を栄養学的特徴から分類する方法として、例えば、4群点数法における食品分類などが知られている。4群点数法は、食品を栄養的な特徴によって4つのグループに分け、バランスの良い食事がとれることを目的にした食事法である。
【0003】
4群点数法では、食品を、第1群、第2群、第3群、第4群という4つのグループに分けた食品分類が用いられる。第1群には、乳、卵などが含まれ、第2群には、魚、肉、豆などが含まれ、第3群には、野菜、芋、果物などが含まれ、第4群には、穀類、油脂などが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-92261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
4群点数法における食品分類のような一般的な食品分類は、食材の分類である。このため、一般的な食品分類では、惣菜のように複数の食材を調理して作られた調理食品を分類できるわけではない。
【0006】
ここで、総菜のような調理食品を食事としてとる際にも、食品のバランスのバランスが良いことが望まれる。したがって、例えば、複数の惣菜を店舗で購入する際には、栄養的に偏りがないように、バランスよく総菜を選ぶことが望まれる。しかし、一般の消費者にとって、調理食品に含まれる個々の食材の食品分類を把握した上で、バランスがとれるように複数の調理食品を選ぶことは、必ずしも容易ではない。
【0007】
特許文献1は、調理済み食品を、主たる栄養成分別にグループ分けすることを開示している。特許文献1では、調理済み食品は、主に糖質源となる食材を主体とした調理済み食品の第1の食品グループと、主にタンパク源となる食材を主体とした調理済み食品の第2の食品グループと、主にビタミンやミネラル源となる食材を主体とした調理済み食品の第3食品グループとに分けられている。
【0008】
特許文献1は、調理済み食品を、主体となる食材で分類することを開示しているにすぎず、主体となる食材をどのようにして決定するのかの指針を開示していない。例えば、特許文献1において、肉じゃがは、第2の食品グループに属しているが、肉じゃがは、第1の食品グループに属する肉も主体的な食材として用いられている。このため、肉じゃがを、第2の食品グループへグループ分けするのは適切でないこともありえる。このように、特許文献1の開示からは、複数の食品が主体的に用いられている調理食品が、いずれのグループに属することになるのか、明確な指針は得られない。
【0009】
また、特許文献1では、調理食品の名称で、グループ分けがされているが、同じ名称の調理食品でも、調理法によって、何が主体的な食材であるかが異なることがあるため、調理食品の名称によって、調理食品を一律にグループ分けすることは適切でないことがある。
【0010】
したがって、上記の課題の解決が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、複数の食材を調理して作られた調理食品を分類するための処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。前記処理は、複数の食材と各食材の重量とを示す情報を少なくとも含む調理食品レシピデータを記憶装置から読み出す処理と、前記記憶装置から読み出した前記調理食品レシピデータに基づいて、食材を複数の群にグループ分けするための食材分類におけるいずれの群に、前記調理食品が属するかを決定する決定処理と、決定された群を示す情報を出力する処理と、を含む。
【0012】
(2)前記決定処理は、複数の食材と各食材の重量とを示す前記情報に基づいて、前記調理食品における各食材の熱量に関する値を求め、前記調理食品を構成する1又は複数の食材が属する群のうち、属する前記食材の熱量に関する値の合計が最も大きい群を、前記調理食品が属する群として決定することができる。
【0013】
(3)本発明の一実施形態は、複数のエリアに区分けされた陳列什器と、複数の前記エリアそれぞれが、食材を複数の群にグループ分けするための食材分類におけるいずれの群に対応するかを示す表示と、前記陳列什器に陳列された複数の調理食品と、を有し、複数の前記調理食品それぞれは、複数の前記群のうち、前記調理食品の属する群に対応するエリアに陳列され、前記調理食品の属する群は、前記調理食品を構成する1又は複数の食材が属する群のうち、属する前記食材の熱量の合計が最も大きい群である調理食品陳列構造である。
【0014】
(4)複数の前記エリアは、4群点数法における第1群に対応する第1エリアと、前記4群点数法における第2群に対応する第2エリアと、前記4群点数法における第3群に対応する第3エリアと、前記4群点数法における第4群に対応する第4エリアと、を含み、前記表示は、前記第1エリアが前記第1群に対応することを示す表示と、前記第2エリアが前記第2群に対応することを示す表示と、前記第3エリアが前記第3群に対応することを示す表示と、前記第4エリアが前記第4群に対応することを示す表示と、を含み、前記調理食品の属する群は、前記第1群、前記第2群、前記第3群、及び前記第4群のいずれかであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は調理食品分類システムの構成図である。
図2図2はデータベースを示す図である。
図3】調理食品の分類決定手順を示すフローチャートである。
図4】調理食品陳列構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.調理食品分類システム]
【0017】
図1は、調理食品を分類するためのコンピュータシステム10を示している。システム10は、食材を分類する食品分類に即して、調理食品を分類する処理を実行する。
【0018】
図1のシステム10は、プロセッサ11と記憶装置13とを有するコンピュータを備える。コンピュータは、インターネット等のネットワーク上のサーバであってもよいし、システムのユーザが所有するコンピュータであってもよい。ユーザが所有するコンピュータは、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットである。コンピュータは、他の装置に組み込まれていてもよい。他の装置は、例えば、印刷装置である。印刷装置は、例えば、調理食品の分類結果を含む情報を印刷することができる。印刷装置は、例えば、調理食品の容器に付されるラベルなど調理食品の名称を示す媒体に情報を印刷することができる。
【0019】
プロセッサ11は、記憶装置13に格納されたコンピュータプログラム21を実行する。コンピュータプログラム21は、調理食品を分類する処理をコンピュータに実行させる。調理食品を分類する処理については後述する。記憶装置13は、後述のデータベース31,33,35を備えている。データベース31,33,35の一部又は全部は、他の装置、例えば、ネットワーク上のサーバに格納されていてもよい。
【0020】
実施形態において、記憶装置13は、調理食品のレシピデータベース31を有している。レシピデータベース31には、調理食品がどのような食材をどの程度の量を用いて作られたかを示す調理食品レシピデータが登録されている。調理食品レシピデータは、例えば、図2(a)に示すように、調理食品名31aに、各調理食品を構成する食材及び食材重量31bが対応付けられたデータである。実施形態において、調理食品レシピデータは、調理の仕方を含んでいる必要はないが、調理の仕方を含んでいてもよい。レシピデータは、例えば、入力装置15から入力され、レシピデータベース31に保存される。入力装置15は、コンピュータに直接接続されたキーボード・マウスなどの入力機器であってもよいし、ネットワーク経由で接続された端末であってもよい。記憶装置13に保存されるレシピデータは、ユーザによって手入力されたデータであってもよいし、コンピュータが、データベースからネットワーク経由で読み出したデータであってもよい。
【0021】
実施形態において、記憶装置13は、食材分類データベース33を有している。食材分類データベース33には、調理食品の材料となる様々な食材が、所定の食材分類におけるいずれの群に属するかを示す食材分類データが登録されている。実施形態においては、食材分類として、4群点数法における食品分類が用いられる。
【0022】
食材分類データは、例えば、図2(b)に示すように、食材名33aに、その食材が属する群33bが対応付けられたデータである。ここでの群33bは、4群点数法における第1群、第2群、第3群、第4群のいずれかである。実施形態の食材分類データベース33では、食材名33aに、その食材の1点重量33cが対応付けられている。1点重量33cは、4群点数法における1点重量である。4群点数法では、食品のエネルギー80kcalを1点という単位で表す。1点重量は、1点(80kcal)分に相当する食材の重量である。
【0023】
例えば、牛切り落とし肉の1点重量は、30gである。食材の重量と1点重量とから求められる点数は、食材の熱量(カロリー)を示す。例えば、90gの牛切り落とし肉は、3点である。3点は、240kcal(80kcal×3点)の熱量があることを示す。
【0024】
実施形態において、記憶装置13は、調理食品分類データデータ35を有している。調理食品分類データベース35には、調理食品の属する群を示す調理食品分類データが登録される。調理食品の属する群は、システム10によって決定され、調理食品分類データベース35に登録される。
【0025】
調理食品分類データは、例えば、図2(c)に示すように、調理食品名35aに、調理食品の属する群33cが対応付けられたデータである。ここでの群は、4群点数法における第1群、第2群、第3群、第4群のいずれかである。調理食品名35aには、他のデータ35cが対応付けられていてもよい。他のデータは、例えば、後述のラベル200において、調理食品の分類表示202とともに印刷される表示203,204を示す情報を含むことができる。
【0026】
[2.食品分類処理]
【0027】
図3は、調理食品を分類する処理の手順を示している。図3に示す処理は、コンピュータプログラム21をコンピュータが実行することにより行われる。ステップS11において、プロセッサ11は、群を決定する対象となる調理食品のレシピデータを選択する。レシピデータ選択は、例えば、ユーザ操作によって、レシピデータベース31に登録されている調理食品名を選択することによって行われる。ステップS12において、選択されたレシピデータが、レシピデータベース31から読み出される。
【0028】
なお、ステップS11では、レシピデータ選択に代えて、レシピデータに相当するデータのユーザ入力を受け付ける処理を実行してもよい。入力されたレシピデータは、レシピデータベース31に追加登録され、ステップS12において、調理食品の属する群の決定のため、レシピデータベース31から読み出される。
【0029】
ステップS13において、プロセッサ11は、読み出したレシピデータに含まれる複数の食材それぞれが属する群を判定する。ここでの群は、4群点数法における第1群、第2群、第3群、第4群のいずれかである。ステップS13では、食材分類データベース33を用いて、レシピデータに含まれる各食材の群が判定される。例えば、レシピデータに含まれる食材が、じゃがいもである場合、食材分類データベース33の参照により、じゃがいもは第3群に属するものと判定される。
【0030】
ステップS14において、プロセッサ11は、読み出したレシピデータに含まれる複数の食材それぞれの点数を計算する。ここでの点数は、4群点数法における1点重量に基づく点数である。ステップS14では、ステップS13では、食材分類データベース33を用いて、点数が計算される。例えば、例えば、レシピデータに含まれる食材が、じゃがいもである場合、食材分類データベース33の参照により、じゃがいもの1点重量は110gであることがわかる。また、レシピデータにおけるじゃがいもの重量が400gである場合、じゃがいもの点数は、3.7(小数点2位以下を切り上げ)であると計算される。
【0031】
以下の表1は、肉じゃがAのレシピデータと、ステップS13における食材分類判定結果、レシピデータに含まれる各食材の1点重量、ステップS14において計算された各食材の点数(小数点2位以下を切り上げ)を示している。
【表1】
【0032】
なお、ステップS14においては、熱量に関する値として点数を計算したが、熱量を直接示す値を計算してもよい。熱量は、例えば、食材の重量と食材の単位重量当たりの熱量とに基づいて計算することができる。
【0033】
ステップS15(決定処理)において、プロセッサ11は、各食材の点数(熱量に関する値)に基づき、調理食品の食品分類を決定する。例えば、肉じゃがAのレシピデータの場合、第1群に属する食材の点数の合計は0であり、第2群に属する食材の点数の合計は6.7であり、第3群に属する食材の点数の合計は5.9であり、第4群に属する食材の点数の合計は5.5である。ステップSS15では、点数の合計が最も大きい群が、調理食品である肉じゃがAの属する群として決定される。肉じゃがAの場合、第2群の点数の合計である6.7が最も大きい。したがって、肉じゃがAにおいては、第2群が熱量の観点から優位な群であるとして、肉じゃがAの属する群は第2群として決定される。ステップS15において決定された群は、調理食品分類データベース35に登録される。
【0034】
肉じゃがAのレシピでは、各食材の重量で比較すると、第2群に属する食材(牛切り落とし肉)の重量の合計は200gであり、第3群に属する食材(じゃがいも、玉ねぎ、青ねぎ、しらたき)の重量の合計は1015gであって、第3群の合計重量が最も大きい。したがって、食材重量を重視する観点からは、肉じゃがAにおいては第3群を最も優位な群として判定することもできる。ただし、栄養学的には熱量を重視するほうがより適切であるため、本実施形態では、食材熱量を重視し、肉じゃがAが属する群は第2群であると判定する。このように熱量を重視することで、肉類のように重量が少なくても熱量の大きい食材を適切に考慮して、調理食品の分類を判定することができる。なお、点数の合計が同じ群が複数ある場合には、合計重量が最も多い群を調理食品の属する群として決定すればよい。
【0035】
ステップS16において、プロセッサ11は、決定された群を示す情報を出力する。出力は、調理食品の容器に貼付されるラベル等へ群を示す情報(例えば、文字)を印刷することであってもよいし、群を示す情報の画面出力であってもよいし、群を示す情報のネットワーク出力であってもよい。なお、ステップS15までの処理で得られた情報は、一旦、調理食品分類データベース35に保存され、ステップS16においては、調理食品分類データベース35から読み出した情報を出力してもよい。
【0036】
図1は、ラベルプリンタのような出力装置17からラベル200が出力される例を示している。ラベル202は、調理食品名表示201のほか、調理食品の群を示す分類表示202も含む。消費者は、調理食品に付されたラベル202の分類表示202を見ることで、調理食品がいずれの群に属するものであるかを容易に認識することができる。ラベル200は、調理食品に使用されている材料の表示203を含んでもよい。
【0037】
ラベル200は、調理食品の熱量(カロリー)の表示204を含んでもよい。熱量の表示204は、調理食品全体の熱量(点数)の表示であってもよいし、調理食品における各群の点数の合計の表示であってもよい。例えば、肉じゃがAのためのラベル200であれば、群毎の点数表示204においては、第1群は0、第2群は6.7、第3群は5.9、第4群は5.5であることが表示される。群毎の点数の表示(熱量に関する表示)があることで、消費者により詳細な栄養学的な情報を提供することができる。また、群毎の点数表示204は、4群点数法の知識のある消費者に対して、特に有益な情報となる。
【0038】
さて、同じ名称の調理食品であっても、レシピが同じであるとは限らない。表2に、肉じゃがAとは異なる肉じゃがBのレシピデータと、肉じゃがBについてのステップS13における食材分類判定結果、肉じゃがBのレシピデータに含まれる各食材の1点重量、肉じゃがBについてステップS14において計算された各食材の点数(小数点2位以下を切り上げ)を示している。
【表2】
【0039】
肉じゃがAでは、牛切り落とし肉の重量が200gであり、じゃがいもの重量が400gであったのに対して、肉じゃがBでは、牛切り落とし肉の重量が100gであり、じゃがいもの重量が500gである。その他の食材については、肉じゃがAと肉じゃがBは共通している。
【0040】
さらに、表3及び表4に、食材重量が異なる八宝菜C,Dのレシピデータを示す。
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
八宝菜Cでは、むきえびの重量が100gであり、豚こま切肉の重量が100gであるのに対して、八宝菜Dでは、むきえびの重量が50gであり、豚こま切肉の重量が50gである。その他の食材については、八宝菜Cと八宝菜Dは共通している。
【0043】
表3及び表4では、八宝菜C,Dそれぞれについて、ステップS13における食材分類判定結果、レシピデータに含まれる各食材の1点重量、ステップS14において計算された各食材の点数(小数点2位以下を切り上げ)を示している。
【0044】
表5は、肉じゃがA,B及び八宝菜C,Dについて、第1群から第4群までの各群に属する食材の点数の合計を示している。
【表5】
【0045】
表5に示すように、肉じゃがAでは、第2群の点数が最も大きいのに対して、肉じゃがBでは、第3群の点数が最も大きい。したがって、肉じゃがという同じ名称の調理食品であっても、肉じゃがAは第2群の調理食品として分類され、肉じゃがBは第3群の調理食品として分類される。
【0046】
また、八宝菜Cでは、第2群の点数が最も大きいのに対して、八宝菜Dでは、第3群の点数が最も大きい。したがって、八宝菜という同じ名称の調理食品であっても、八宝菜Cは第2群の調理食品として分類され、八宝菜Dは第3群の調理食品として分類される。
【0047】
このように、本実施形態によれば、レシピデータに基づいて調理食品を分類するため、同じ名称の調理食品であっても、レシピの違いに応じて、調理食品が属する群が異なるものとなる。したがって、レシピの違いに応じて、適切に調理食品が分類される。
【0048】
[3.調理食品陳列構造]
図4は、例えばスーパーマーケット又は百貨店などの店舗において、総菜のような調理食品を販売するために用いられる調理食品陳列構造を示している。陳列構造は、陳列什器100を有する。陳列什器100では、例えば、容器に小分けされた調理食品が陳列される。陳列什器100は、容器に小分けされる前の調理食品がまとめて載せられたトレイが陳列されるものであってもよい。
【0049】
陳列什器100は、複数のエリアに区分けされている。図示の陳列什器100は、大きく、4つのエリアA1,A2,A3,A4に区分けされている。4つのエリアA1,A2,A3,A4は、例えば、陳列什器100内に立設された壁部によって区分けされている。4つのエリアA1,A2,A3,A4は、例えば、4群点数法における4つの群に対応している。陳列什器100は、各エリアA1,A2,A3,A4がいずれの群に対応しているかを消費者が認識できるように示す表示D1,D2,D3,D4を備えている。
【0050】
図示の陳列什器100において、第1エリアA1は、第1群に対応している。第1エリアA1近傍には、第1エリアA1が第1群に対応することを示す第1表示D1が設けられている。第1表示D1は、例えば、「第1群」の文字を含む。
【0051】
第1エリアA1内には、第1群に属する調理食品F11,F12,F13が陳列されている。第1群に属する調理食品F11,F12,F13は、その調理食品F11,F12,F13を構成する1又は複数の食材が属する群のうち、属する食材の熱量(点数)の合計が最も大きい群が第1群である調理食品である。調理食品が属する群は、例えば、図3に示す手順によって決定される。調理食品F11,F12,F13を収納した容器には、調理食品の属する群を示す分類表示202を有するラベル200が貼付されている。調理食品F11,F12,F13に付されたラベル200には、第1群であることを示す表示202が含まれる。
【0052】
図示の陳列什器100において、第2エリアA2は、第2群に対応している。第2エリアA2近傍には、第2エリアA2が第2群に対応することを示す第2表示D2が設けられている。第2表示D2は、例えば、「第2群」の文字を含む。
【0053】
第2エリアA2内には、第2群に属する調理食品F21,F22,F23が陳列されている。第2群に属する調理食品F21,F22,F23は、その調理食品F21,F22,F23を構成する1又は複数の食材が属する群のうち、属する食材の熱量(点数)の合計が最も大きい群が第2群である調理食品である。調理食品F21,F22,F23を収納した容器には、調理食品の属する群を示す分類表示202を有するラベル200が貼付されている。調理食品F21,F22,F23に付されたラベル200には、第2群であることを示す表示202が含まれる。
【0054】
図示の陳列什器100において、第3エリアA3は、第3群に対応している。第3エリアA3近傍には、第3エリアA3が第3群に対応することを示す第3表示D3が設けられている。第3表示D3は、例えば、「第3群」の文字を含む。
【0055】
第3エリアA3内には、第3群に属する調理食品F31,F32,F33が陳列されている。第3群に属する調理食品F31,F32,F33は、その調理食品F31,F32,F33を構成する1又は複数の食材が属する群のうち、属する食材の熱量(点数)の合計が最も大きい群が第3群である調理食品である。調理食品F31,F32,F33を収納した容器には、調理食品の属する群を示す分類表示202を有するラベル200が貼付されている。調理食品F31,F32,F33に付されたラベル200には、第3群であることを示す表示202が含まれる。
【0056】
図示の陳列什器100において、第4エリアA4は、第4群に対応している。第4エリアA4近傍には、第4エリアA4が第4群に対応することを示す第4表示D4が設けられている。第4表示D4は、例えば、「第4群」の文字を含む。
【0057】
第4エリアA4内には、第4群に属する調理食品F41,F42,F43が陳列されている。第4群に属する調理食品F41,F42,F43は、その調理食品F41,F42,F43を構成する1又は複数の食材が属する群のうち、属する食材の熱量(点数)の合計が最も大きい群が第4群である調理食品である。調理食品F41,F42,F43を収納した容器には、調理食品の属する群を示す分類表示202を有するラベル200が貼付されている。調理食品F41,F42,F43に付されたラベル200には、第4群であることを示す表示202が含まれる。
【0058】
図4に示す陳列構造によれば、陳列什器100が、食品分類の各群に対応するエリアA1,A2,A3,A4に区分けされており、各エリアが対応する群の表示D1,D2,D3,D4があるため、消費者は、調理食品がどの群に属するかを、容易に把握することができる。したがって、例えば、消費者は、エリアA1,A2,A3,A4それぞれから所望の調理食品をピックアップすれば、第1群から第4群までの調理食品をバランスよく購入することができる。
【0059】
また、各調理食品には、調理食品が属する群を示す表示202が付されているため、消費者は、群を示す表示202によっても、調理食品の属する群を確認することができる。各調理食品に、調理食品が属する群を示す表示202が付されていると、店舗スタッフは、各調理食品を複数のエリアA1,A2,A3,A4のいずれに陳列すればよいかを容易に認識でき、陳列構造の構築が容易となる。なお、陳列構造において、調理食品に付された表示202がある場合には、陳列什器に付された表示D1,D2,D3,D4を省略してもよい。各調理食品が適切なエリアA1、A2,A3,A4に陳列されていることで、各調理食品の表示202が、各エリアと群との対応を示すものとなる。
【0060】
陳列構造においては、同じ名称の調理食品が、複数のエリアA1,A2,A3,A4にわたって配置されていてもよい。例えば、肉じゃがAが第2群に対応する第2エリアA2に陳列され、肉じゃがBが第3群に対応する第3エリアA3に陳列され、八宝菜Cが第2群に対応する第2エリアA2に陳列され、八宝菜Dが第3群に対応する第3エリアA3に陳列されていてもよい。例えば、消費者が、肉じゃがと八宝菜を購入したいと考えた場合に、肉じゃがAと八宝菜Cとを選択してしまうと、購入する調理食品が第2群に偏ってしまう。しかし、第2エリアA2にある肉じゃがAと、第3エリアA3にある八宝菜Dと、を選ぶことで、バランスの良い選択となる
【0061】
複数のエリアA1,A2,A3,A4それぞれは、さらに、小エリアB1,B2,B3に区分けされていてもよい。小エリアB1,B2,B3は、例えば、調理食品全体の熱量の大きさの違いに対応しており、第1小エリアB1は、熱量が高い調理食品に対応し、第2小エリアB2は、熱量が中程度の調理食品に対応し、第3章エリアB3は、熱量が小程度の調理食品に対応する。陳列什器100は、各小エリアB1,B2,B3が対応する熱量の大きさ(高、中、低)を示す表示E1,E2,E3を有している。このように、小エリアB1,B2,B3に区分けされていることで、消費者による調理食品の選択が容易となる。しかも、小エリアが熱量の大きさに対応していることで、摂取熱量に配慮したい消費者にとって有益である。
【0062】
なお、小エリアB1,B2,B3は、熱量の大きさで区分されている必要はなく、調理食品の分類以外の観点から区分されていれば足りる。例えば、小エリアB1,B2,B3は、調理食品に含まれる塩分の量によって区分されていてもよいし、調理食品に含まれる葉酸の量によって区分されていてもよい。
【0063】
[4.変形]
【0064】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 調理食品分類システム
21 コンピュータプログラム
100 陳列什器
図1
図2
図3
図4