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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】立て看板
(51)【国際特許分類】
   G09F 7/18 20060101AFI20220617BHJP
   G09F 15/00 20060101ALI20220617BHJP
   G09F 7/02 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G09F7/18 Y
G09F15/00 L
G09F7/02 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018019020
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019138933
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391045336
【氏名又は名称】オリジン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
(72)【発明者】
【氏名】津野 英範
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-020175(JP,A)
【文献】登録実用新案第3213921(JP,U)
【文献】登録実用新案第3155354(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/00-7/22
15/00
E01F 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
看板両側の縦枠間に、上桟および中桟をねじ止めして裏板囲みの掲示枠を枠組みし、掲示枠より下を両縦枠で脚部としてある立て看板において、これら縦枠と上桟及び中桟は、主部形材とそれを覆うカバー形材とが開閉可能に合体する複合形材であり、主部形材は、いずれも枠組みの主となる強度となるように形成されるとともに裏パネルが掛け止められる形状に形成されており、前記カバー形材は、前記主部形材の前面側を被覆する略チャンネル形であり、開閉可能な結合のため主部形材の外部側に軸受けが、カバー形材の外部側端にはそれに嵌る軸部が形成され、主部形材とカバー形材との開閉間に、カバー形材の開閉角度の規制をする開閉保持装置が内蔵され、さらに、左右両縦枠において、脚部ではカバー形材が常時「閉」に結合保持されるよう、掲示枠の下端位置にカバー形材が上下に分断される切れ目を設けるとともに、常時「閉」のためのロック装置を具備してなることを特徴とする立て看板。
【請求項2】
前記開閉保持装置は、主部形材に対してカバー形材が開閉するのに伴いデッドポイントを越えて交互に反転するピンばねが要所ごとに圧縮に配置してなり、主部形材には、その開閉に伴いピンばねの基端軸が横へ往復する幅広溝を設け、且つ幅広溝の両端に、それぞれピンばねの転倒の軸押えとなり、転倒の支点ともなり得る突縁部を設け、該軸押えと支点との二点支持が転倒の制約となることにより、ピンばねがデッドポイントを越える移動と転倒を交互とするよう規制され、引いてはピンばねの転倒限度を受けてカバー形材の開閉角度が規制されるように、カバー形材にピンばねの先端が弾力で常時突きかかる連係溝を設けことを特徴とする請求項1記載の立て看板。
【請求項3】
前記ロック装置は、脚部の下端に嵌着する脚キャップに、主部形材に嵌る差込固定片と、カバー形材の開閉先端部に内接する差込並列片とを突設してなり、差込並列片がストッパーとしてカバー形材の開きが阻止されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の立て看板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に屋外で広告や宣伝、告知等に使用される立て看板(ポスタースタンドとも称する)であって、詳しくはアルミ押出形材で組み立てられる立て看板に関する。
【背景技術】
【0002】
立て看板は、部材にアルミ押出形材が使用されるものが多く、例えば、左右一対の縦枠の間に上桟と中桟を設けることにより上部に四角い窓枠を有する本体フレームと、窓枠に嵌る額縁様フレームとからなるものであった。なお、額縁様フレームは、裏パネルを囲ったもので、それにポスター等を挟む透明板付きであって、各4辺に透明板をばねの力で押え止める開閉片を具備したものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の立て看板は、ビスポケットを有する上桟と中桟に縦枠からビスを螺入するため、ビス頭部が縦枠の側面に体裁悪く露出していたり、背面に組立金具が露出するなどしており、しかも額縁様の枠組みが別途に具備されるので、特別付けたように重装備に目立つ存在であり、殊にポスター交換頻度の高い繁華環境では、現代が求めるシンプル且つスマートな公共空間、商業空間を表出する妨げとなっておりこの点で改善の必要性があった。
【0004】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、裏板にポスター等の着脱が容易でありその保持が確実となることはもちろん、組立をシンプルにすることによりスマートさがあり美的に優れ、さらに組立てが容易でその組立の作業性が良くなり、部材数が少なくコスト安な構造に適する立て看板を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、この発明は、看板両側の縦枠間に、上桟および中桟をねじ止めして裏板囲みの掲示枠を枠組みし、掲示枠より下を両縦枠で脚部としてある立て看板において、これら縦枠と上桟及び中桟は、主部形材とそれを覆うカバー形材とが開閉可能に合体する複合形材であり、主部形材は、いずれも枠組みの主となる強度となるように形成されるとともに裏パネルが掛け止められる形状に形成されていることを特徴とする立て看板を提供する。
【0006】
さらに、前記カバー形材は、前記主部形材の前面側を被覆する略チャンネル形であり、開閉可能な結合のため主部形材の外部側に軸受けが、カバー形材の外部側端にはそれに嵌る軸部が形成され、主部形材とカバー形材との開閉間に、カバー形材の開閉角度の規制をする開閉保持装置が内蔵され、さらに、左右両縦枠において、脚部ではカバー形材が常時「閉」に結合保持されるよう、掲示枠の下端位置にカバー形材が上下に分断される切れ目を設けるとともに、常時「閉」のためのロック装置を具備してなることが好ましい。
【0007】
立て看板を上記のように構成したから、ポスター等を取り換えるときには、開閉範囲が保持装置により規制されるため、カバー形材を指掛けで開きやすく軽いタッチ様に閉じを設定しておくことができ、また、開いた角度が不用意に閉じることなく保持されるために、ポスター等の取替作業を容易になし得る。また、カバー形材は切れ目で上下に分断され開閉は掲示枠等の範囲において限られる使用となるため、脚部のカバー形材は都合よく閉じに常時保持される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、額縁様フレームを別途に取りつける必要がなく、本体の組立みだけで掲示枠がシンプルに備わり、しかも、開閉保持装置によりカバー形材の規制限度で開閉ができるので、限度を調整しておくことによりポスターなどの取替えが容易となり、また、その固定も確実となり、外観が同一の形材の統一により美的であり組立も容易で、その製作の作業性が良く、加えてビス等がカバー形材の閉じで隠れて見栄えがすっきり良くなり、特に脚部では体裁よく常時閉じに保持されるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の立て看板の斜視図である。
図2図1のA-A線矢視の断面図である。
図3】B-B線矢視の断面図である。
図4】ピンばねの正面図である。
図5】開閉保持装置を説明する複合形材の断面図である。
図6図5に示す幅広溝の拡大断面図である。
図7】ロック装置の説明のため脚部とそれに嵌着する脚キャップを向かい合わせに示す斜視図である。
図8】脚キャップの向かい合わせ正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明については、「立て看板」とは、一枚を単位としており、二枚合わせの拝み状をはじめ、支え材付き傾斜型、座部付き直立型等、多様な立て型として実施されるものとする。次に記す実施例は、二枚合わせの拝み状である場合であって、2枚の看板P、Pが上端のヒンジ金具10により開閉可能に連結される。
【実施例
【0011】
図面は一実施例を示したもので、その立て看板Pは、複合形材からなる縦枠1,1と、その間に挟まれビス止めで掲示枠2を枠組みするための上桟3及び中桟5からなるもので、これで不可欠な額縁機能の掲示枠2と立て掛けの脚部1a、1aを具備するので全体が統一しスマートである。それぞれの組立部材は、強度の中心となる主部形材7とその表面を被覆するカバー形材9とが合体する複合形材(図5 符号6)であって、下端には単独パイプ形材からなる下桟11が補助的に架設される。また、縦枠1,1には脚部1a,1aとの境界にカバー形材9を上下に分断する切れ目12,12が設けられる。なお、両下桟11、11間には、セパレート兼用の重し受けの枠体が掛けられる。
【0012】
中桟5以上の高さに枠組みされる掲示枠2の中に裏パネル13が納まっており、使用ではこれにポスター等17が透明板19の上から押え止められる。掲示枠2の各辺部材(縦枠1、上桟3、中桟5)にはその押えとなるカバー形材9が合体しているが、透明板19に対する圧接を避け、軽く押えるように製作上調整し得るよう、カバー形材9の開閉保持装置33が内蔵される。
【0013】
縦枠、上桟、中桟としての各複合体構造は、いずれも主部形材7の上にカバー形材9が強固に被される合体構造である。主部形材7は、強度上中空ではあるが、断面で背後部内隅に裏パネル13が掛かる段差凸部21を有し、背後部外隅にはビスポケット状に軸受け23が設けてある。また、上桟3と中桟5には、縦枠1との連結のため内部に(部材の厚み抑制のため)上下対の配列にねじポケット25,25を設けてある(図2参照)。したがって、左右縦枠1,1と上桟3及び中桟5は、主部形材7同士により強固に枠組み構造を保持する。
【0014】
カバー形材9は、ねじ頭部が隠れるよう主部形材7に半分程度被さるカバー状の断面チャンネル形であって、その一端に主部形材7の軸受け23に嵌る軸部27が形成されている。そこで、透明板19に対して先端が開閉され、「閉」においてその下にポスター等17が押え止められる。この開閉いずれの位置をも一定角度に停止保持されるように、主副間にピンばね31を介在して開閉保持装置33が構成される。これによりポスターなどの取替えが容易となるが、主部形材7とカバー形材9との合体が強固ともなる。なお、34は、閉じにおいてカバー形材9が突きあたる補助的ストッパー片である。
【0015】
ピンばね31は、ピンの両端部を向かい合わせに反転屈折してなる低い山形であって、下端が主部形材7において反転中心となる基部軸31aであり、反転先端31bがカバー形材9に対する(連係溝38での)突き先となり、連係溝38には突き対象の掛止部42が形成される。開閉保持装置33は、ピンばね31がデッドポイントを越えて開閉いずれの時点にもカバー形材9にばね附勢力α、βが及ぶようにしたものであるが、それがカバー形材9の閉じのモメントSa、開きのモメントSbとして働き、同時にピンばね31が転倒角度停止で閉じと開きの限度(ストッパー)ともなる。つまり閉じ限度、開き限度が設定される。そして、この閉角度位置、開角度位置の角度保持は外部からは分からない秘密の内部構造になることに特徴がある。さらに、その構造を説明する。
【0016】
ピンばね31は、ピンの屈曲成形部材であって(図4)、上下に弾力が安定して働くように基部軸31aが長い山形底部であって、主部形材7には、前記軸受け23から離れた上端に基部軸31aが移動可能に係合する巾広溝37を設けるとともに、その開口両側に突縁部39,41を形成することにより、両端に基部軸31a、31aを保持するポケットが形成される。そこで、ピンばね31は、一方の突縁部39(41)に係るとともに他方の突縁部41(又は39)に受けられる傾斜をなし、その傾斜体勢がXクロス状に相互に変化し(図5)、カバー形材9の閉じ(実線)、と開き(二点鎖線)の位置が設定されることになる。
【0017】
なお、開閉保持装置33は、軸部27の中心と巾広溝37の両端をそれぞれ通る両仮想線La、Lb上がデッドポイント位置として変位する。
【0018】
図5において、主部形材7にカバー形材9が合体しているが(実線,符号6)、このとき、ピンばね31が先端31bで外側デッドポイントLaを越えて内側へ(α方向へ)ばね力でカバー形材9を押しているため、その力によりカバー形材9には軸部27を中心とする閉のモメントSaが働く。しかし、ピンばね31の転倒は突縁部39、41で規定されるため、カバー形材9は、先端31bに対する連係溝38との引かりで開き不能となるので「閉」に保持される。つまり、カバー形材9は、ポスター押えの丁度その位置T(図5)で停止する設定とされる。したがって、押えが過度でないため、開く操作ではカバー形材9の先9aに指掛けしやすい。
【0019】
次に、この「閉」の状態から、カバー形材9をピンばね31の弾力に抗して開くと(図5の二点鎖線参照)、カバー形材9には、仮想線Lbを先端31bが左に越えると同時に、ピンばね31は、カバー形材9を「開」に附勢(β)する。また、ピンばね31が反対傾斜(二点鎖線)になるため、カバー形材9は、軸部27を中心とする「開」のモメントSbが働くがピンばね31は、突縁部39、41に受けられて転倒が停止するため、先端31bで連係溝38と係合していることでカバー形材9を一定の開き角度に停止する。この開きが保持されることで都合よくポスター等17を取り換えることができる。
【0020】
縦枠1にはカバー形材9を脚部1aから分離するためそれに切れ目12が設けている。ロック装置43は、開閉が上下相互に影響しないよう、脚部45の下端に着脱するキャップ46でカバー形材9の開きを停止するようにしたもので、キャップ46には、脚部45の主部形材7に篏合する差込固定片47とカバー形材9に内接する差込並列片49とを突設し、端部片の先端に差込並列片49に掛かる突起29が設けてある。したがって、キャップ46を取り付けてあると、カバー形材9が一体接合状態になり、主部形材7との合体が固定的に保持される結果開きが不可のロック状態となる。なお、頭キャップ50は、カバー形材9の開閉に支障のない構造を取ることができる。
【符号の説明】
【0021】
P 立て看板
La、Lb デッドポイント位置を示す仮想線
1 縦枠
2 掲示枠
3 上桟
5 中桟
6 複合形材
7 主部形材
9 カバー形材
12 切れ目
13 裏パネル
17 ポスター等
19 透明板
21 段差凸部
23 軸受け
27 軸部
31 ピンばね
31a 基部軸
31b 先端
33 開閉保持装置
37 幅広溝
38 連係溝
39,41 突縁部
43 ロック装置
46 脚キャップ
47 固定片
49 並列片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8