(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】食材茹で機
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
A47J27/14 F
(21)【出願番号】P 2018090163
(22)【出願日】2018-05-08
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591147546
【氏名又は名称】株式会社メイトー
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】大岩 政敏
(72)【発明者】
【氏名】古田 哲
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-174945(JP,A)
【文献】特開2006-174942(JP,A)
【文献】特開平9-262181(JP,A)
【文献】特開2001-112618(JP,A)
【文献】特開平6-217882(JP,A)
【文献】特開2003-290035(JP,A)
【文献】特開平11-128065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14-27/18
A23L 7/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状をなし、内部に茹で湯が貯留される複数の湯槽と、
該湯槽の下方に配置され該湯槽を加熱する加熱手段と、
連通管を介して該湯槽と接続され、内部に貯留された湯若しくは水を該湯槽に供給する湯水供給槽と、を備えた食材茹で機であって、
前記湯水供給槽は、その底壁が、前記湯槽の底壁よりも下方に形成されるとともに、
前記連通管は、一方の端部が前記湯槽の底壁に接続され、他方の端部が該湯槽の底壁よりも下方の位置で前記湯水供給槽に接続されており、
前記湯槽内に貯留された茹で湯を、前記湯水供給槽の底壁もしくはその近傍位置に接続された排出用の導管を通じて外部排出可能に構成されていることを特徴とする食材茹で機。
【請求項2】
前記湯槽の周壁上部には、前記湯水供給槽の水面よりも高い位置に、前記湯槽内の茹で湯の一部を前記湯水供給槽に向けて排出可能な切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の食材茹で機。
【請求項3】
前記湯槽に挿入される容器は、食材を収容する収容部が、多数のパンチング孔が穿設された穴あき材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の食材茹で機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、麺類(例えば、そば、うどん、ラーメン、スパゲッティー等)等の食材(食品)を茹でるための食材茹で機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に示すように、内部に茹で湯が貯留される湯槽と、この湯槽の下方に配置され湯槽を加熱する加熱手段と、を備えた食材茹で機がある。
この食材茹で機では、湯槽を囲むように湯水供給槽としての熱交換器が設けられており、熱交換器から延設させた補給水導入管の端部を湯槽の内部に挿入して、この補給水導入管を介して熱交換器内の湯若しくは水を湯槽内に補給する。
【0003】
このように構成された食材茹で機では、湯槽内に貯溜された茹で湯を排出する際、補給水導入管を利用していたが、補給水導入管の端部開口は、湯槽の底壁よりも上方に位置しているため、湯槽内の茹で湯の一部が排出されずに槽内に残ってしまう問題があった。
【0004】
これとは異なる排出方法として、補給水導入管を利用せず、別途の排出管を湯槽の底壁に接続し、かかる排出管を通じて湯槽内の茹で湯を排出することも考えられるが、複数の湯槽がある場合には、それぞれの湯槽に対して排出管を設けなければならず設備の複雑化を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような事情を背景とし、複数の湯槽を備えている場合でも、簡素な構成で各湯槽内の茹で湯を良好に外部に排出することが可能な食材茹で機を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して本発明は、有底筒状をなし、内部に茹で湯が貯留される複数の湯槽と、
該湯槽の下方に配置され該湯槽を加熱する加熱手段と、
連通管を介して該湯槽と接続され、内部に貯留された湯若しくは水を該湯槽に供給する湯水供給槽と、を備えた食材茹で機であって、
前記湯水供給槽は、その底壁が、前記湯槽の底壁よりも下方に形成されるとともに、
前記連通管は、一方の端部が前記湯槽の底壁に接続され、他方の端部が前記湯槽の底壁よりも下方の位置で前記湯水供給槽に接続されており、
前記湯槽内に貯留された茹で湯を、前記湯水供給槽の底壁もしくはその近傍位置に接続された排出用の導管を通じて外部排出可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、湯水供給槽と湯槽を接続する連通管を利用して、湯槽内の茹で湯を抜き出し、外部に排出することができる。連通管の一方の端部は、湯槽の底壁に接続されているため、排出の際、湯槽内の茹で湯の一部が排出されずに内部に残ってしまうことを防止することができる。
【0009】
連通管は、湯水供給槽の内部に貯留された湯若しくは水を湯槽に供給する補給管としての機能も有している。本発明では、連通管の一端が湯槽の底壁に接続される構成であるため、連通管は必然的に湯槽の下方に配置される。このため本発明では、連通管を流通する湯若しくは水が、湯槽の下方に配置された加熱手段により加熱された後、湯槽に導入される。すなわち加熱手段近傍における熱交換面積が広がり、装置としての熱効率を高めることができる。本発明では、湯水供給槽内の水が十分に温められていない場合であっても、湯槽内に導入される水の温度は連通管内で高められるため、湯槽内の茹で湯の温度が必要以上に低下してしまうのを防止することができる。
【0010】
有底筒状の湯槽を複数備えた本発明の食材茹で機では、使用する湯槽内の茹で湯のみを加熱手段を用いて加熱沸騰させれば良い。このため、湧きが早く、また少量の食材を茹でる場合に燃料の使用量を抑えることができる。一方で、各湯槽の容積が小さいため、貯留された茹で湯に濁りが生じやすい。このため本発明では、前記湯槽の周壁上部の、前記湯水供給槽の水面よりも高い位置に、前記湯槽内の茹で湯の一部を前記湯水供給槽に向けて排出可能な切欠部を形成することができる。
このようにすれば、茹で湯の一部がかかる切欠部を通じて流出し、これに代わる新たな湯若しくは水が湯水供給槽から湯槽内に補給されるため、湯槽内の濁りの悪化を抑制することができる。
【0011】
ここで切欠部を湯水供給槽の水面よりも高い位置に設けたのは、この切欠部から、湯水供給槽内の温度の低い湯若しくは水が直接、湯槽内に流入するのを防止するためである。本発明では、連通管を通じて加熱された湯が湯槽内に導入され、湯槽内の茹で湯の温度が必要以上に低下してしまうのを防止することができる。
【0012】
また本発明では、前記湯槽に挿入される容器の、食材を収容する収容部を、多数のパンチング孔が穿設された穴あき材で構成することができる。
湯槽に挿入される容器の収容部を、ステンレス製ワイヤーを編んだ網材で構成することも可能であるが、開口比率が高いため、収容部内に一旦進入した噴出流が収容部外に逃げ易く、例えば麺類を茹でた場合に、湯槽で麺類が回転する動きが止まり易い。これに対し収容部を、多数のパンチング孔が穿設された穴あき材で構成した場合には、網材に比べて収容部における開口比率が低くなり、収容部内の噴出流が外に逃げ難くなるため、麺類をより速い速度で回転させることが可能となり、その結果、茹で時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の食材茹で機を示した図で(a)はその平面図、(b)は正面図である。
【
図2】
図1のII-II部位に対応する断面図である。
【
図3】
図1のIII-III部位に対応する断面図である。
【
図4】(a)は湯槽配置部を構成する部材を上面方向から示した斜視図である。(b)は同部材を底面方向から示した斜視図である。
【
図5】湯槽配置部の上部を拡大して示した断面図である。
【
図6】本実施形態における茹で湯排出時の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本発明の一実施形態の食材茹で機で、その上部に設けられた湯槽配置部12と、湯槽配置部12の前側に設けられた操作部16と、湯槽配置部12の後側に位置し、付帯装置を内部に収容する装置収容部14と、を備えている。
本例では、装置収容部14の内部に給水装置18が収容され、また装置収容部14の上部にはカラン20が設けられている。
【0015】
湯槽配置部12は、茹で湯を内部に貯留する複数(本例では6つ)の湯槽22と、内部に貯留された湯若しくは水を各湯槽22に供給する湯水供給槽28とを備え、各湯槽22はそれぞれ連通管30(
図2参照)を介して湯水供給槽28と連通する。なお、湯水供給槽28の上向きの開口は、蓋部26で覆われている。
【0016】
図2に示すように、湯槽22には、麺類等の食材が収容された容器としての麺籠Yが挿入される。湯槽22は、上向きに開口した有底円筒形状をなし、1つの麺籠Yが挿入可能な大きさとされている。
【0017】
湯槽22内の下方位置には、略円錐形状の、噴流を発生させるための噴流板31が配設されている。噴流板31には麺籠Yの底部の位置に対向させて噴流孔32が設けられている。この噴流板31は、上方へ噴出する噴出流を形成して、噴出流を麺籠Y内の食材に集中的に接触させ、これを撹拌して解きほぐすものである。
【0018】
湯槽22の底壁22aには、複数の加熱突起34が下向きに配設されている。加熱突起34は、後述する燃焼室24における高温ガスを再燃焼させるとともに熱効率を向上させるものである。
【0019】
図4は、湯槽22および湯水供給槽28を一体に接合させた、湯槽配置部12を構成する部材を示した斜視図である。各湯槽22を取り囲むように湯水供給槽28が形成されている。湯水供給槽28は、平面視矩形枠状の深底部35と、深底部35よりも内側に位置する浅底部36とを備えている。深底部35の底壁35aには排出用の導管45が接続されている。なお、湯水供給槽28の上部外周には、その前方および左右の側方に、樋状の余剰水受け部44が設けられ、その底壁44aには排出用の導管46が接続されている。
図4(a)における50は、底壁44aに形成された開口で、導管46と連通する。
【0020】
図2に示すように、深底部35はその底壁35aが、湯槽22の底壁22aよりも下方に形成されている。湯槽22と湯水供給槽28とを連通させる連通管30は、一方の端部が湯槽22の底壁22aに接続され、他方の端部が湯槽22の底壁22aよりも下方の位置で湯水供給槽28の内周壁35bに接続されており、湯水供給槽28内の湯若しくは水は、連通管30を通じて湯槽22内に導入される。
【0021】
図3に示すように、湯水供給槽28は、連通管37を介して給水装置18に接続されている。給水装置18は、タンク38と、タンク38の内部に組み付けられたボールタップ39を備えている。ボールタップ39は、フロート40と、フロート40の昇降に連動して開閉する給水弁41と、タンク内吐水口42とを備えている。ボールタップ39には図示を省略する給水管が接続されており、フロート40の下降により給水弁41を開いてタンク内吐水口42から吐水を行い、またフロート40の上昇により給水弁41を閉じて給水停止する。給水装置18は、このようにタンク38内の水面Hの高さを制御しながら、連通管37を通じて湯水供給槽28に水を供給する。
そして湯水供給槽28の内部には給水装置18から水が貯留されることとなり、また各湯槽22の内部には連通管30を通じて湯水供給槽28からの水が供給される。
【0022】
図4に示すように、各湯槽22の周壁上部および湯水供給槽28の周壁上部には、それぞれ切欠部57および58が形成されている。これら切欠部57,58は、槽内に貯留された湯若しくは水の一部を槽外に排出するためのものである。
例えば
図5に示すように、湯水供給槽28の周壁上部では、切欠部58の底面を越えて溢れ出た水は、余剰水受け部44に受け止められ、
図3で示す導管46により外部に排出される。
【0023】
一方、湯槽22の周壁上部に形成された切欠部57は、その底面が湯水供給槽28の水面Iよりも僅かに高い位置に形成されている。通常、食材を茹でる際には湯水供給槽28内の湯若しくは水よりも、湯槽22内の茹で湯の温度が高く、これに伴い湯水供給槽28内の水面Iよりも湯槽22の水面Jが高くなる。本例では、この状態で湯槽22内の茹で湯の一部が湯水供給槽28内に溢れ出るように、また湯水供給槽28内の湯若しくは水が湯槽22内に流入しないように、切欠部57が形成されている。
また、
図5に示すように、食材を茹でる際に湯槽22の上縁部を乗り越えて溢れ出た茹で湯は、蓋部26の上面を流れ、余剰水受け部44を経て導管46により外部に排出される。
【0024】
図2,3に示すように湯水供給槽28の内側には、各湯槽22の下部を取り囲むように囲繞壁47が形成され、各湯槽22の下方且つ囲繞壁47の内側に燃焼室24が形成されている。燃焼室24では、各湯槽22の下方に、湯槽22の底壁22aを加熱する加熱手段としての燃焼バーナ49が配設されている。本例の場合、各湯槽22に対応して6つの燃焼バーナ49が配設されている。燃焼バーナ49は、図示を省略するガス供給管により供給されるガスを燃焼させるものである。
図1(b)に示すように、操作部16にはこれら燃焼バーナ49の点火・消化および火力の調整を行なう操作摘み17が、燃焼バーナ49の数に対応して設けられている。
なお、囲繞壁47の内側には、加熱された際に遠赤外線を放射可能なジルコニアセラミックス等からなる遠赤外線放射体47aが固着されている。
【0025】
図2,3に示すように、囲繞壁47の上部は、湯槽22の下部を囲繞するように、湯槽22と湯水供給槽28との間に延設され、囲繞壁47と湯槽22との間には第1煙道部51が形成され、囲繞壁47と湯水供給槽28との間には第1煙道部51に連通された第2煙道部52が形成されている。
【0026】
そして、湯水供給槽28と食材茹で機10の各側壁11(
図2参照)との間、および装置収容部14の内部には第2煙道部52に連通された第3煙道部53が形成されている。
各煙道部を流通した燃焼ガスは、装置収容部14に形成された複数の排気口54(
図1(a)参照)より外部に排出される。
【0027】
麺籠Yは、
図2に示すように、平面視略円形状で上方に開口する上下に長い収容部60と、収容部60の上端部から上方に突設された柄62を備えている。
食材としての麺類を収容する収容部60は、湯槽22の内部に浸漬可能な大きさで、下方に至るに従ってその断面形状を縮小させている。収容部60の上部には、他部よりも外径が大きな円環状のリング部63が形成されている。
この収容部60は、ステンレス製ワイヤーを編んだ網材で形成することも可能であるが、本例では、多数のパンチング孔64が穿設された穴あき板で構成されている。また材質としてはステンレスに限らず、他の金属材料や樹脂等を使用することも可能である。
【0028】
以上のように構成された食材茹で機10の作用について説明する。
まず、各湯槽22および湯水供給槽28が、水で満たされた状態で燃焼バーナ49に点火する。なお、本例では6つの湯槽22を備えているが、その一部だけを使用する場合には、使用する湯槽22の直下の燃焼バーナ49だけを点火すればよい。これにより湯槽22の底壁22aおよび加熱突起34が加熱される。また各囲繞壁47の遠赤外線放射体47aも温められて遠赤外線を放射し、湯槽22を温める。
【0029】
燃焼バーナ49による燃焼で生じた燃焼ガスは、
図2,3の矢印で示すように、第1煙道部51および第2煙道部52を通って第3煙道部53に入る。高温の燃焼ガスは、各煙道部を流通する過程で、熱交換により湯水供給槽28内の水を温める。そして、熱交換により熱を奪われ温度低下した排ガス(燃焼ガス)は、装置収容部14の上部に設けられた排気口54から外部に排気される。
【0030】
一方、湯槽22の内部では、噴流板31の下方の水が加熱沸騰し、噴流孔32からは上方に噴出する噴出流が生じる。ここで、湯槽22内に、麺類が入った麺籠Yの収容部60を挿入すると、収容部60の底部及び周壁に形成されたパンチング孔64を通じて内部に進入した噴出流が、収容部60内の麺類に接触して伝熱を行うとともに、麺類を撹拌させる。このようにして所定時間、茹でられた麺類は、麺籠Yごと茹で湯から引き上げられる。
【0031】
麺類が茹でられている間、
図5で示すように、湯槽22の切欠部57からは茹で湯の一部が湯水供給槽28に流出する。そして、これを補うように湯槽22の底壁22aに接続された連通管30を通じて新たな湯が湯槽22内に導入され(
図2参照)、湯槽22内の茹で湯の濁りが悪化するのを抑制する。
【0032】
また、清掃のために湯槽22内の茹で湯を排出する場合には、図示を省略する給水管の開閉バルブを閉じた状態で、排出用の導管45に接続された開閉バルブ66を開くと、
図6に示すように湯槽22の底壁22aに形成された開口23を通じて湯槽22内の茹で湯が連通管30内に流れ込み、湯水供給槽28の側に向けて流通する。そして、湯水供給槽28内の湯とともに導管45を通じて外部に排出される。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、湯水供給槽28と湯槽22とを接続する連通管30を利用して、湯槽22内の茹で湯を抜き出し、外部に排出することができる。連通管30の一方の端部は、湯槽22の底壁22aに接続されているため、排出の際、湯槽22内の茹で湯の一部が排出されずに内部に残ってしまうことを防止することができる。
【0034】
連通管30は、湯水供給槽28の内部に貯留された湯若しくは水を湯槽22に供給する補給管としての機能も有している。本実施形態では、連通管30の一端が湯槽22の底壁22aに接続される構成であるため、連通管30は必然的に湯槽22の下方に配置される。このため本実施形態では、
図2に示すように、連通管30を流通する湯若しくは水が、湯槽22の下方に配置された燃焼バーナ49により加熱されたのち湯槽22に導入される。すなわち本実施形態の食材茹で機10では、燃焼バーナ49近傍における熱交換面積が広がり、装置としての熱効率を高めることができる。本実施形態では、湯水供給槽28内の水が十分に温められていない場合であっても、湯槽22内に導入される水の温度は、連通管30内で高められるため、湯槽22内の茹で湯の温度が必要以上に低下してしまうのを防止することができる。
【0035】
また本実施形態では、湯槽22の周壁上部の、湯水供給槽28の水面Iよりも高い位置に、湯槽22内の茹で湯の一部を湯水供給槽28に向けて排出可能な切欠部57を形成している。湯槽22を複数備えた本実施形態の食材茹で機10では、各湯槽22の容積が小さいため、貯留された茹で湯に濁りが生じやすいが、湯槽22の周壁上部に切欠部57を形成することで、茹で湯の一部が切欠部57を通じて流出し、これに代わる新たな湯が湯水供給槽28から湯槽22内に補給されるため、湯槽22内の濁りの悪化を抑制することができる。
【0036】
また切欠部57を湯水供給槽28の水面Iよりも高い位置に設けているため、切欠部57から温度の低い湯水供給槽28内の湯若しくは水が直接、湯槽22内に流入するのを防止することができる。その結果、湯槽22内には、連通管30を通じて加熱された湯が導入されるので、湯槽22内の茹で湯の温度が必要以上に低下してしまうのを防止することができる。
【0037】
また本実施形態では、湯槽22に挿入される麺籠Yの収容部60を、多数のパンチング孔64が穿設された穴あき材で構成している。このため、収容部60を、ステンレス製ワイヤーを編んだ網材で構成した場合に比べて、収容部60における開口比率が低くなって、収容部60内に進入した噴出流が収容部60外に逃げ難くなるため、収容部60内において麺類をより速い速度で回転させることが可能となり、その結果、茹で時間を短くすることができる。
【0038】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまでも一例示である。例えば本発明の食材茹で機には、麺類以外の食材を適用することも可能である等、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々変更を加えた形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 食材茹で機
22 湯槽
22a 底壁
28 湯水供給槽
30 連通管
35a 底壁
45 導管
49 燃焼バーナ(加熱手段)
57 切欠部
60 収容部
I,J 水面
Y 麺籠(容器)