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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】断裁機
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/20 20060101AFI20220617BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B26D7/20
B26D1/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019516016
(86)(22)【出願日】2017-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2017032082
(87)【国際公開番号】W WO2019049233
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-08-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】桑原 良成
(72)【発明者】
【氏名】西村 理
(72)【発明者】
【氏名】綱脇 聡
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-103983(JP,U)
【文献】特開2011-136394(JP,A)
【文献】特開2008-142790(JP,A)
【文献】特開2009-113150(JP,A)
【文献】特開2008-87079(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179380(WO,A1)
【文献】特開昭62-152632(JP,A)
【文献】特開昭59-129636(JP,A)
【文献】特開平10-180683(JP,A)
【文献】特開2005-177950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/20 - 7/26
B26D 1/00 - 1/08
B42C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製本物を断裁するための断裁機であって、
前記製本物を断裁する断裁刃と、
前記断裁刃の刃先を受けるとともに前記断裁刃が断裁位置をとると前記刃先が押し付けられる刃受け部と、を備え、
前記断裁刃は、前記刃受け部に対して近づく移動方向に沿って前記刃受け部から間隔をあけた非断裁位置から前記断裁位置に移動して前記製本物を断裁し、
前記刃受け部の延設方向の一方側を前記移動方向に沿って移動させることにより前記刃受け部の前記延設方向の一方側と前記断裁刃の前記刃先の間の前記移動方向に沿った第1距離を調整する第1調整部と、前記刃受け部の前記延設方向の他方側を前記移動方向に沿って移動させることにより前記刃受け部の前記延設方向の他方側と前記断裁刃の前記刃先の間の前記移動方向に沿った第2距離を調整する第2調整部とを有する調整機構を備え
ことを特徴とする断裁機。
【請求項2】
前記第1調整部は、第1モータと、前記刃受け部の一方側及び前記第1モータを連結する第1連結部と、を備え、
前記第2調整部は、第2モータと、前記刃受け部の他方側及び前記第2モータを連結する第2連結部と、を備え、
前記刃受け部の一方側及び他方側は、前記第1モータ及び前記第2モータの回転によって前記断裁刃の前記刃先に対して近づき又は遠ざかる
ことを特徴とする請求項1に記載の断裁機。
【請求項3】
製本物を断裁するための断裁機であって、
前記製本物を断裁する断裁刃と、
前記断裁刃の刃先を受けるとともに前記刃先が押し付けられる刃受け部と、
前記刃受け部の一方側と前記断裁刃の前記刃先の間の第1距離を調整する第1調整部と、及び前記刃受け部の他方側と前記断裁刃の前記刃先の間の第2距離を調整する第2調整部とを有する調整機構と、
記刃受け部を支持するベース部と、を備え、
前記第1調整部は、第1モータと、前記刃受け部の一方側及び前記第1モータを連結する第1連結部と、を備え、
前記第2調整部は、第2モータと、前記刃受け部の他方側及び前記第2モータを連結する第2連結部と、を備え、
前記第1連結部は、前記ベース部の一方側に設けられた第1偏心カムを備え、
前記第2連結部は、前記ベース部の他方側に設けられた第2偏心カムを備える
ことを特徴とする断裁機。
【請求項4】
前記第1連結部は、前記第1モータの出力軸と前記第1偏心カムのシャフトとの間に架け渡された第1ベルトを備え、
前記第2連結部は、前記第2モータの出力軸と前記第2偏心カムのシャフトとの間に架け渡された第2ベルトを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の断裁機。
【請求項5】
前記製本物を下側から支持するベース部を備え、
前記刃受け部は、前記ベース部の上面に固定されている請求項1または請求項2に記載の断裁機。
【請求項6】
前記刃受け部は、ゴム部材により形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の断裁機。
【請求項7】
前記第1調整部が前記第1距離を調整するための第1設定値と、前記第2調整部が前記第2距離を調整するための第2設定値とを入力する入力部を備え、
前記第1調整部は、前記入力部により入力された前記第1設定値に応じて前記第1距離を調整し、
前記第2調整部は、前記入力部により入力された前記第2設定値に応じて前記第2距離を調整する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の断裁機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本物を断裁するための断裁機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の断裁機として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この断裁機は、上下方向に非断裁位置と断裁位置との間を往復運動する単一の断裁刃と、製本物を載せて位置決めするためのテーブルと、を備える。この断裁機では、作業者が、製本物をテーブルに載せて位置決めして、断裁刃を上方の非断裁位置から下方の断裁位置へ移動することで製本物の端部を断裁する。そして、作業者が、製本物を天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に回転して、それぞれの位置で断裁刃を往復運動することで、製本物の天辺端部、地辺端部および小口辺端部を断裁する。これにより製本物の端部が綺麗に揃って、製本物の体裁が整えられる。
【0003】
別の従来の断裁機として、例えば特許文献2に記載されたものがある。この断裁機は、三方断裁機と呼ばれており、上下方向に非断裁位置と断裁位置との間を往復運動する単一の断裁刃と、製本物を載せて位置決めするためのテーブルと、このテーブルを回転するための回転機構と、を備える。この断裁機は、製本物を供給機構によってテーブルに供給し、テーブルに位置決めされた製本物を回転機構によって天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に回転して、それぞれの位置で断裁刃が往復運動することで、製本物の天辺端部、地辺端部および小口端部を断裁する。
【0004】
また、別の従来の断裁機として、例えば特許文献3に記載されたものがある。この断裁機は、断裁刃と、断裁刃の刃先を受ける刃受け部と、刃受け部の位置を調整する調整機構と、を備える。調整機構は、刃受け部を断裁刃の刃先に向けて近づき又は遠ざかることで、刃受け部の位置を調整する。そこで、製本物の断裁が不完全なときに、調整機構で刃受け部の位置を調整することで、製本物を完全に断裁できる。
【0005】
特許文献3の調整機構は、刃受け部を水平方向に対して平行に維持して移動する。しかし、断裁刃の全領域に渡って製本物の断裁が不完全なことは少なく、断裁刃の片側の領域のみで製本物が不完全に断裁されることが多い。上述の通り、特許文献3の調整機構は、刃受け部を水平方向に対して平行に維持して移動するので、製本物が不完全に断裁される領域だけでなく、完全に断裁される領域でも、刃受け部が断裁刃に近づく。そのため、特許文献3の調整機構を用いると、製本物が完全に断裁される領域で、断裁刃が刃受け部に不必要に食い込むので、刃受け部の寿命が短くなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-066347号公報
【文献】米国特許第7493840号明細書
【文献】特開2008-30131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、刃受け部の位置を適切に調整できる断裁機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る断裁機は、
製本物を断裁するための断裁機であって、
製本物を断裁する断裁刃と、
断裁刃の刃先を受けるとともに前記断裁刃が断裁位置をとると前記刃先が押し付けられる刃受け部と、を備え、
前記断裁刃は、前記刃受け部に対して近づく移動方向に沿って前記刃受け部から間隔をあけた非断裁位置から前記断裁位置に移動して前記製本物を断裁し、
前記刃受け部の延設方向の一方側を前記移動方向に沿って移動させることにより前記刃受け部の前記延設方向の一方側と前記断裁刃の前記刃先の間の前記移動方向に沿った第1距離を調整する第1調整部と、前記刃受け部の前記延設方向の他方側を前記移動方向に沿って移動させることにより前記刃受け部の前記延設方向の他方側と前記断裁刃の前記刃先の間の前記移動方向に沿った第2距離を調整する第2調整部とを有する調整機構を備える。
【0009】
好ましくは、
前記第1調整は、第1モータと、前記刃受け部の一方側及び前記第1モータを連結する第1連結部と、を備え、
前記第2調整部は、第2モータと、前記刃受け部の他方側及び前記第2モータを連結する第2連結部と、を備え、
前記刃受け部の一方側及び他方側は、前記第1モータ及び前記第2モータの回転によって前記断裁刃の前記刃先に対して近づき又は遠ざかる。
【0010】
好ましくは、
さらに、刃受け部を支持するベース部を備え、
第1連結部は、ベース部の一方側に設けられた第1偏心カムを備え、
第2連結部は、ベース部の他方側に設けられた第2偏心カムを備える。
【0011】
好ましくは、
第1連結部は、第1モータの出力軸と第1偏心カムのシャフトとの間に架け渡された第1ベルトを備え、
第2連結部は、第2モータの出力軸と第2偏心カムのシャフトとの間に架け渡された第2ベルトを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る断裁機は、刃受け部の位置を適切に調整できる。そのため、製本物が完全に断裁される領域で、断裁刃が刃受け部に不必要に食い込むことがないので、刃受け部の寿命が長くなる。また、断裁刃が傾いて取り付けられた場合でも、刃受け部の位置を適切に調整できるので、断裁刃を取り付け直す必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る断裁機を概略的に示す斜視図であり、製本物が製本物供給ユニットの製本物積載テーブルから送り出される前の状態である。
図2図1の断裁機を示す斜視図であり、製本物が回転テーブルユニットのテーブル上において位置決めされる状態である。
図3】本発明に係る断裁機の断裁工程を説明するための平面図であり、(A)は断裁ユニットが待機位置に配置され、(B)は断裁ユニットが断裁位置に配置されている。
図4図3の断裁工程を示す側面図であり、(A)は図3(A)に対応し、(B)は図3(B)に対応し、(C)は断裁刃が非断裁位置から断裁位置に配置されている。
図5】刃受け部を示す正面図であり、(A)及び(D)は刃受け部が水平方向に対して平行な方向に配置されており、(B)及び(C)は刃受け部が水平方向に対して傾斜する方向に配置されている。
図6】タッチスクリーンの設定画面を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明に係る断裁機について説明する。
【0015】
[断裁機]
図1および図2に基づいて、断裁機の構成について説明する。
断裁機は、製本物1を順次送出する製本物供給ユニット2と、製本物供給ユニット2から製本物1を所定の位置で受け取って位置決めし、それを保持して所定の角度ずつ回転させ、天断裁位置、小口断裁位置および地断裁位置の3つの位置に配置する回転テーブルユニット3と、回転テーブルユニット3に対して近づき又は遠ざかる方向に移動可能に配置される断裁ユニット4と、を備える。断裁ユニット4は、回転テーブルユニット3に近づき、製本物1の天辺縁部1a、地辺縁部1bおよび小口辺縁部1cをそれぞれ断裁するための断裁位置と、回転テーブルユニット3から離れた待機位置との間で移動するように構成されている。
【0016】
製本物供給ユニット2は、その上に製本物1のスタックが置かれる製本物積載テーブル24を備えている。回転テーブルユニット3および製本物積載テーブル24の間には搬送路25がのび、搬送路25の排出端は回転テーブルユニット3に隣接する一方、供給端の側部が製本物積載テーブル24に隣接している。
【0017】
製本物供給ユニット2は、また、製本物積載テーブル24から製本物1を、1冊ずつ、搬送路25上まで、製本物の搬送方向に対して直角方向に送り出す製本物送出機構を備えている。製本物送出機構は、製本物積載テーブル24の両側から搬送路25を横切って、搬送路25に直角にのびる一対のエンドレスベルト39と、エンドレスベルト39の両端が掛け渡されたローラー40a,40bを有している。一対のエンドレスベルト39には、実質上逆U字形状の支持バー44が取り付けられ、支持バー44には、その長さ方向に間隔をあけて吸引ヘッド43が下向きに取り付けられている。こうして、一列の吸引ヘッド43が、モータ41の駆動によって、搬送路25に直角な方向に沿って、製本物載置テーブル24および搬送路25の間において往復運動するようになっている。
【0018】
製本物供給ユニット2は、さらに、搬送路25上において、製本物送出機構から受け渡された製本物1を、搬送路25に沿って回転テーブルユニット3まで搬送する製本物搬送機構を備えている。製本物搬送機構は、搬送路25の上方において、搬送路25に沿ってのび、フレーム38に回転運動可能に支持されたエンドレスベルト45を有している。エンドレスベルト45は、フレーム38に取り付けられたモータ46によって回転駆動される。エンドレスベルト45には、チャック47が吊り下げ状態で固定され、チャック47は、モータ46の駆動によって、搬送路25上を、製本物積載テーブル24およびテーブル10の間において往復運動するようになっている。
【0019】
こうして、製本物積載テーブル24上に置かれた製本物1が、一冊ずつ、一列の吸引ヘッド43によって吸着された後、搬送路25上まで、製本物1の搬送方向に対して直角方向にその背1dを先頭にして送り出される。この位置において、製本物1はチャック47によって把持される。このとき、チャック47の面33が製本物1の地1bに当接する。そして、一列の吸引ヘッド43による吸着が解除されて、製本物1がチャック47に受け渡される。その後、チャック47は、搬送路25上を回転テーブルユニット3に向かって移動し、製本物1の天1aが第2の垂直板32に当接したとき、運動を停止する。それによって、製本物1は、テーブル10上における天地方向の位置決めがなされる(図2)。
【0020】
回転テーブルユニット3は、基台9と、製本物1の天辺縁部1a、地辺縁部1bおよび小口辺縁部1cを除いた部分の下面を支持する上面を有し、その上に製本物1が置かれる長方形のテーブル10と、テーブル10の上面に置かれた製本物1を位置決めする位置決め手段と、を備えている。
【0021】
この実施例では、位置決め手段は、テーブル10の一側縁に配置された、製本物1の背1dが当接する第1の垂直板30を備えている。第1の垂直板30は、テーブル10の下面に取り付けられたスライド駆動機構(不図示)に連結されている。また、位置決め手段は、製本物1の天1aが当接する第2の垂直板32を備えている。第2の垂直板32は、基台9に支持されたモータ34によって回転駆動される送りネジ35に取り付けられている。こうして、第1および第2の垂直板30,32はそれぞれテーブル10に対して近づき又は遠ざかる方向に運動可能になっていて、製本物供給ユニット2から送出される製本物1のサイズおよび受取位置に対応して、予め決定された位置に静止している(図1)。
【0022】
位置決め手段は、さらに、テーブル10を挟んで第1の垂直板30に対向して配置された、製本物1の小口1cに当接する第3の垂直板31を備えている。第3の垂直板31は、第2の垂直板32と同様、基台9にモータ36によって回転駆動される送りネジ37に取り付けられ、テーブル10に対して近づき又は遠ざかる方向に運動可能になっている。第3の垂直板31は、テーブル10上に製本物1が置かれたとき、製本物1に近づく向きに、製本物1の背1dが第1の垂直板30に当接し、かつ第3の垂直板31が小口1cに当接するまで移動する。これによって、テーブル10上に置かれた製本物1の背および小口方向の位置決めがなされる(図2)。
【0023】
製本物供給ユニット2のチャック47における製本物1の地1bに当接する面33が、また位置決め手段の一部として機能し、第2の垂直板32とともに製本物1の天地方向の位置決めを行う(図2)。
【0024】
テーブル10の下面には、垂直な回転軸12が突設され、この回転軸12は、基台9に取り付けられた軸受け13によって回転可能に支持されている。回転軸12には、モータ14が連結され、このモータ14の駆動によって、テーブル10が回転するようになっている。
【0025】
また、テーブル10の上方であって回転軸12に対向する位置には、プレス板15が昇降運動可能に配置され、このプレス板15は、製本物1から間隔をあけた待機位置と、製本物1をテーブル10に押しつけるプレス位置と、を移動するようになっている。プレス板15は、基台9に支持されたピストン-シリンダ装置16に、プレス位置においてテーブル10および製本物1とともに回転可能に取り付けられ、ピストン-シリンダ装置16の駆動によって待機位置およびプレス位置の間において往復運動する。
【0026】
プレス板15は、位置決め手段30,31,32,33による製本物1の位置決めがなされた後、プレス位置に移動し、製本物1をテーブル10上に固定する。プレス板15がプレス位置に配置された後、位置決め手段の第3の垂直板31およびチャック47(面33)は、製本物1から離れ、製本物1の回転運動を妨げないようになっている。
【0027】
断裁ユニット4は、フレーム17を備えている。フレーム17にはベース部18が取り付けられている。ベース部18は、断裁ユニット4が断裁位置に配置されるとき、回転テーブルユニット3のテーブル10上に置かれた製本物1の天辺縁部1a、地辺縁部1b又は小口辺縁部1cを下側から支持する。
【0028】
ベース部18の上方における刃受け部19に対向する位置には、断裁刃20が昇降運動可能に配置される。断裁刃20は、刃受け部19から間隔をあけた非断裁位置と、刃先を刃受け部19に押しつける断裁位置をとるようになっている。フレーム17には断裁刃駆動機構21が取り付けられ、断裁刃20を、断裁位置と非断裁位置との間において往復運動させるようになっている。
【0029】
断裁ユニット4は、断裁刃20を受ける刃受け部19を備えている。刃受け部19は、ベース部18の上面に固定されている。刃受け部19は、例えば、ゴム部材からなる。
【0030】
ベース部18の上方に固定板22が昇降運動可能に配置され、製本物1から間隔をあけた非固定位置と、製本物1をベース部18に押しつける固定位置とに移動するようになっている。固定板22は、固定板駆動機構23によって、固定位置および非固定位置の間において往復運動する。断裁刃20が非断裁位置から断裁位置に運動するとき、固定板22が固定位置に配置され、断裁刃20が断裁位置から非断裁位置に運動するとき、固定板22が非固定位置に配置されるようになっている。
【0031】
回転テーブルユニット3および断裁ユニット4の間には、2本の送りネジ5が間隔をあけて水平に配置される。送りネジ5は、別のフレーム(メインフレーム)38に固定された支持部材(不図示)に回転可能に取り付けられ、断裁ユニット4のフレーム17が係合している。送りネジ5は、フレーム38に取り付けられたモータ6の駆動軸に連結され、モータ6によって送りネジ5が回転駆動される。そして、送りネジ5およびモータ6によって、移動機構56が構成される。この移動機構56によって、断裁ユニット4が、送りネジ5の軸方向に沿って、断裁位置と待機位置との間において運動する。
【0032】
また、回転テーブルユニット3、断裁ユニット4および移動機構56(モータ6)等の動作を制御する制御ユニット(制御部)7が備えられる。制御ユニット7は、製本物1が天断裁位置、小口断裁位置および地断裁位置に配置される度に、断裁ユニット4が待機位置から断裁位置に移動して製本物1の天辺縁部1a、小口辺縁部1cおよび地辺縁部1bをそれぞれ断裁するように制御する。さらに、制御ユニット7には、タッチスクリーン70が接続されており、作業者はタッチスクリーン70を介して動作の設定ができるようになっている。
【0033】
[断裁工程]
図3及び図4に基づいて、製本物1の天辺縁部1aを断裁する工程について詳細に説明する。
先ず、図3(A)及び図4(A)の通り、製本物1の天辺縁部1aが断裁刃20と平行に配置されるように、回転テーブルユニット3がテーブル10を回転して、製本物1を天断裁位置に配置する。このとき、断裁ユニット4(断裁刃20)は、製本物1の天辺縁部1aから離れた待機位置に配置されている。また、図4(A)の通り、断裁刃20は、製本物1の上方の非断裁位置に配置されている。固定板22は、製本物1の上方の非固定位置に配置されている。
【0034】
次に、図3(B)の通り、移動機構56によって、断裁ユニット4が、断裁刃20の延設方向20aに対して直角する移動方向56aに移動する。そして、断裁ユニット4が待機位置から断裁位置に配置される。このとき、断裁刃20は、製本物1の上方の非断裁位置に配置され、固定板22は、製本物1の上方の非固定位置に配置されている。そして、図4(B)の通り、固定板駆動機構23によって、固定板22が下方の固定位置に移動して、製本物1をベース部18に押し付ける。その後、図4(C)の通り、断裁刃駆動機構21によって、断裁刃20が、刃受け部19に対して近づく移動方向20bに移動する。そして、断裁刃20が非断裁位置から下方の断裁位置に移動して、刃先200を刃受け部19に押しつける。これによって、製本物1の天辺縁部1aが断裁される。
【0035】
そして、断裁刃駆動機構21によって、断裁刃20は、刃受け部19に対して遠ざかる移動方向20bに移動する。そいて、断裁刃20は、製本物1から離れた上方の非断裁位置に移動する。さらに、固定板駆動機構23によって、固定板22は、製本物1から離れた上方の非固定位置に移動する。上記と同様の工程を経ることで、製本物1の地辺端部1bも断裁される。
【0036】
[刃受け部の調整機構]
図5に基づいて、刃受け部の調整機構の構成について説明する。
図5及び図4の通り、断裁機は、刃受け部19の位置を調整する調整機構60を備える。刃受け部19は、延設方向19aに延設される。調整機構60は、第1及び第2モータ61,62と、刃受け部19の一方側191及び第1モータ61を連結する第1連結部71と、刃受け部19の他方側192及び第2モータ62を連結する第2連結部72と、を備える。刃受け部19の一方側191及び他方側192は、延設方向19aの両側に配置される。ベース部18は、刃受け部19を着脱可能に支持する。ベース部18は、刃受け部19の延設方向19aに延設される。
【0037】
第1連結部71は、刃受け部19の一方側191に設けられた第1偏心カム63を備える。第1偏心カム63は、ベース部18の一方側181に設けられた長穴183に取り付けられるため、長穴183を介して、ベース部18に対して回転及び移動できる。長穴183は、延設方向19aに延設される。第1連結部71は、第1偏心カム63のシャフト630と第1モータ61の出力軸610に架け渡された第1ベルト64を備える。第1モータ61と第1偏心カム63のシャフト630とは、断裁機のフレーム(不図示)に固定される。そのため、第1モータ61、第1偏心カム63のシャフト630及び断裁刃20の刃先200が、断裁機のフレームに固定されるので、それぞれの間の距離は、常に一定である。一方、第1モータ61の出力軸610が回転すると、第1偏心カム63が回転して、ベース部18の一方側181(刃受け部19の一方側191)が断裁刃20の刃先200に近づき又は遠ざかる移動方向19bに移動する。そのため、刃受け部19の一方側191(ベース部18の一方側181)及び断裁刃20の刃先200の間の距離は変動する。
【0038】
第2連結部72は、刃受け部19の他方側192に設けられた第2偏心カム65を備える。第2偏心カム65は、ベース部18の他方側182に設けられた第2偏心カム65と同じ大きさの穴184に取り付けられるため、穴184を介して、ベース部18に対して回転できる。第2連結部72は、第2偏心カム65のシャフト650と第2モータ62の出力軸620に架け渡された第2ベルト66を備える。第2モータ62と第2偏心カム65のシャフト650とは、断裁機のフレーム(不図示)に固定される。そのため、第2モータ62、第2偏心カム65のシャフト650及び断裁刃20の刃先200が、断裁機のフレームに固定されるので、それぞれの間の距離は、常に一定である。一方、第2モータ62の出力軸620が回転すると、第2偏心カム65が回転して、ベース部18の他方側182(刃受け部19の他方側192)が断裁刃20の刃先200に近づき又は遠ざかる移動方向19bに移動する。そのため、刃受け部19の他方側192(ベース部18の他方側182)及び断裁刃20の刃先200の間の距離は変動する。
【0039】
第1偏心カム63のシャフト630の中心と第2偏心カム65のシャフト650の中心とを結ぶ基準線100は、断裁刃20の延設方向20a(水平方向)に平行である。上記の通り、第1偏心カム63のシャフト630及び第2偏心カム65のシャフト650は、断裁機のフレームに回転可能に固定されているので、基準線100は移動しない。
【0040】
第1モータ61及び第2モータ62は、制御ユニット7に接続される。制御ユニット7は、第1モータ61の出力軸610及び第2モータ62の出力軸620の回転量を制御する。これにより、調整機構60は刃受け部19の位置を調整する。
【0041】
第1及び第2モータ61,62の出力軸610,620をそれぞれ同じ量で回転すると、ベース部18の一方側181及び他方側182(刃受け部19の一方側191及び他方側192)は、それぞれ同じ量で移動方向19bに移動する。一方、第1及び第2モータ61,62の出力軸610,620をそれぞれ異なる量で回転すると、ベース部18の一方側181及び他方側182(刃受け部19の一方側191及び他方側192)は、それぞれ異なる量で移動方向19bに移動する。
【0042】
図5(A)では、刃受け部19は、水平方向(基準線100)に平行な方向に配置されると共に、断裁刃20の刃先200に近い。図5(B)では、刃受け部19は、水平方向(基準線100)に傾斜する方向に配置されると共に、刃受け部19の一方側191が断裁刃20の刃先200から遠く、刃受け部19の他方側192が断裁刃20の刃先200に近い。図5(C)では、刃受け部19は、水平方向(基準線100)に傾斜する方向に配置されると共に、刃受け部19の一方側191が断裁刃20の刃先200に近く、刃受け部19の他方側192が断裁刃20の刃先200から遠い。図5(D)では、刃受け部19は、水平方向(基準線100)に平行な方向に配置されると共に、断裁刃20の刃先200から遠い。
【0043】
図6の通り、タッチスクリーン70に表示される設定画面には、刃受け部19の一方側191及び他方側192のそれぞれに対応して、「+」ボタン、「-」ボタン、第1及び第2表示部70a,70bが設けられている。「+」ボタン及び「-」ボタンを通じて、作業者は第1及び第2モータ61,62の回転量に対応する値を入力する。すなわち、作業者が「+」ボタン及び「-」ボタンを押すことで、第1及び第2表示部70a,70bに表示される値が増加及び減少する。そして、第1及び第2表示部70a,70bに表示される値に応じて、制御ユニット7は、第1及び第2モータ61,62の回転量を制御する。それにより、刃受け部19の一方側191及び他方側192の位置が調整される。
【0044】
その結果、本発明に係る断裁機は、刃受け部19の一方側191及び他方側192の位置を調整できる。そのため、製本物1が完全に断裁される領域で、断裁刃20が刃受け部19に不必要に食い込むことがないので、刃受け部19の寿命が長くなる。また、断裁刃20が傾いて取り付けられた場合でも、刃受け部19の位置を適切に調整できるので、断裁刃20を取り付け直す必要がない。
【0045】
別の実施形態では、第1及び第2ベルト64,66ではなくリンク部材が、第1及び第2偏心カム63,65と第1及び第2モータ61,62とを連結してもよい。断裁時に製本物1が立設される実施形態では、断裁刃20の延設方向20aが垂直方向に配置されるので、断裁刃20の延設方向20aに平行な基準線100も垂直方向に配置される。別の実施形態では、三方断裁機ではなく、作業者自身が製本物1を回転して、製本物1を天断裁位置、地断裁位置および小口断裁位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 製本物
18 ベース部
181 ベース部の一方側
182 ベース部の他方側
183 長穴
184 穴
19 刃受け部
191 刃受け部の一方側
192 刃受け部の他方側
19a 刃受け部の延設方向
19b 刃受け部の移動方向
60 調整機構
61 第1モータ
62 第2モータ
63 第1偏心カム
64 第1ベルト
65 第2偏心カム
66 第2ベルト
71 第1連結部
72 第2連結部
20 断裁刃
200 断裁刃の刃先
20a 断裁刃の延設方向
100 基準線
7 制御ユニット
70 タッチスクリーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6