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特許7090350生体モニタリングシステム及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】生体モニタリングシステム及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220617BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20220617BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20220617BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61B5/00 101R
A61B5/00 102C
A61B5/113
A61B5/08
A61B5/0245 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020059357
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154025
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-11-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515111819
【氏名又は名称】株式会社シェアメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】峯 啓真
(72)【発明者】
【氏名】道海 秀則
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-069101(JP,A)
【文献】特開2007-061587(JP,A)
【文献】特開2007-283071(JP,A)
【文献】特開昭53-092578(JP,A)
【文献】特開2007-151979(JP,A)
【文献】特開2006-102013(JP,A)
【文献】特開2017-169745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/113
A61B 5/08
A61B 5/0245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体装着器からの振動データを収集して分析するモニタ分析サーバを有する生体モニタリングシステムであって、
前記モニタ分析サーバは、入力された前記振動データを周波数帯域で分離し、当該分離した振動データから特定の振幅変化パターンを抽出し、当該抽出した振幅変化パターンの回数に基づいて心拍数又は呼吸数を推定するものであり、
当該分離した帯域が100Hz未満の振動データについて、心拍とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、前記回数を推定心拍数とし、前記特定の範囲を下回ると前記回数を徐脈心拍数とし、前記特定の範囲を上回ると前記回数を頻脈心拍数とすることを特徴とする生体モニタリングシステム。
【請求項2】
モニタ分析サーバは、分離した帯域が100Hz以上で1000Hz未満の振動データについて、呼吸とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、前記回数を推定呼吸数とし、前記特定の範囲を下回ると前記回数を徐呼吸数とし、前記特定の範囲を上回ると前記回数を過呼吸数とすることを特徴とする請求項1記載の生体モニタリングシステム。
【請求項3】
モニタ分析サーバは、呼吸数、呼吸波形の継続時間、波形間隔の長さから1回の換気量を推定し、心拍波形が測定不能で呼吸波形が測定可能の区間をいびき波形の区間とし、いびき波形があって呼吸波形がない場合は、当該いびき波形の区間を無呼吸時間とすることを特徴とする請求項1又は2記載の生体モニタリングシステム。
【請求項4】
生体装着器は、
振動を検知し、振動信号を電気信号に変換する圧電素子を有するセンサ部と、
変換した電気信号を振動データとしてモニタ分析サーバに送信する通信部を有する機械部と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の生体モニタリングシステム。
【請求項5】
生体装着器からの振動データを収集して分析するモニタ分析サーバで動作するプログラムであって、
前記モニタ分析サーバを、入力された前記振動データを周波数帯域で分離し、当該分離した振動データから特定の振幅変化パターンを抽出し、当該抽出した振幅変化パターンの回数に基づいて心拍数又は呼吸数を推定するものであって、当該分離した帯域が100Hz未満の振動データについて、心拍とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、前記回数を推定心拍数とし、前記特定の範囲を下回ると前記回数を徐脈心拍数とし、前記特定の範囲を上回ると前記回数を頻脈心拍数とするよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
モニタ分析サーバを、分離した帯域が100Hz以上で1000Hz未満の振動データについて、呼吸とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、前記回数を推定呼吸数とし、前記特定の範囲を下回ると前記回数を徐呼吸数とし、前記特定の範囲を上回ると前記回数を過呼吸数とするよう機能させることを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
モニタ分析サーバを、呼吸数、呼吸波形の継続時間、波形間隔の長さから1回の換気量を推定し、心拍波形が測定不能で呼吸波形が測定可能の区間をいびき波形の区間とし、いびき波形があって呼吸波形がない場合は、当該いびき波形の区間を無呼吸時間とするよう機能させることを特徴とする請求項5又は6記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を利用した生体モニタリングシステムに係り、特に、安価な生体装着器を用いて生体データにおける1つの振動データから心拍数、呼吸数、換気量等を遠隔分析できる生体モニタリングシステム及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の生体データをモニタする装置では、生体データを取得する装置が複雑になり、それらを安価に構成することができず、モニタリングシステム全体のコストアップとなっていた。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開平04-028345号公報「生体モニタ装置」(特許文献1)、特開平05-095914号公報「生体情報処理装置とそのモニタ装置」(特許文献2)、特開2004-121360号公報「生体電位検出装置及び生体情報システム」(特許文献3)がある。
【0004】
特許文献1には、生体モニタ装置において、寝具に圧電素子を設置し、特定の周波数成分を抽出して、心拍数、呼吸数、寝返りをモニタすることが記載されている。
特許文献2には、病院の入院患者等を管理するモニタ装置で、寝台に帯状に設置された圧電素子で患者の心拍、呼吸の変化を検出し、電気的な信号に変換して出力することが記載されている。
【0005】
特許文献3には、生体電位検出装置において、心電図測定のために、衛生面と防水性を考慮し、生体の電位を検出するディスポーザブル生体電極パッド、その生体電極パッドにより検出された生体電位信号を処理する信号処理部を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平04-028345号公報
【文献】特開平05-095914号公報
【文献】特開2004-121360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のモニタリングシステムでは、生体データを取得する装置を安価にしてシステム全体のコスト低減を図ることが難しいという問題点があった。
【0008】
尚、特許文献1~3には、生体装着器から取得した1つの振動データから心拍数、呼吸数、換気量を分離して推定し、安価な生体装着器で全体のシステムを構築することについての記載がない。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、生体装着器の圧電素子から得られる振動データを送信し、モニタ分析するクラウドサーバで当該振動データから心拍数、呼吸数、換気量を分離して推定し、安価な生体装着器でシステムのコストを低減できる生体モニタリングシステム及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、生体装着器からの振動データを収集して分析するモニタ分析サーバを有する生体モニタリングシステムであって、モニタ分析サーバが、入力された振動データを周波数帯域で分離し、当該分離した振動データから特定の振幅変化パターンを抽出し、当該抽出した振幅変化パターンの回数に基づいて心拍数又は呼吸数を推定するものであり、当該分離した帯域が100Hz未満の振動データについて、心拍とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、当該回数を推定心拍数とし、特定の範囲を下回ると当該回数を徐脈心拍数とし、特定の範囲を上回ると当該回数を頻脈心拍数とすることを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記生体モニタリングシステムにおいて、モニタ分析サーバが、分離した帯域が100Hz以上で1000Hz未満の振動データについて、呼吸とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、当該回数を推定呼吸数とし、特定の範囲を下回ると当該回数を徐呼吸数とし、特定の範囲を上回ると当該回数を過呼吸数とすることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記生体モニタリングシステムにおいて、モニタ分析サーバが、呼吸数、呼吸波形の継続時間、波形間隔の長さから1回の換気量を推定し、心拍波形が測定不能で呼吸波形が測定可能の区間をいびき波形の区間とし、いびき波形があって呼吸波形がない場合は、当該いびき波形の区間を無呼吸時間とすることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記生体モニタリングシステムにおいて、生体装着器が、振動を検知し、振動信号を電気信号に変換する圧電素子を有するセンサ部と、変換した電気信号を振動データとしてモニタ分析サーバに送信する通信部を有する機械部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明は、生体装着器からの振動データを収集して分析するモニタ分析サーバで動作するプログラムであって、モニタ分析サーバを、入力された振動データを周波数帯域で分離し、当該分離した振動データから特定の振幅変化パターンを抽出し、当該抽出した振幅変化パターンの回数に基づいて心拍数又は呼吸数を推定するものであって、当該分離した帯域が100Hz未満の振動データについて、心拍とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、当該回数を推定心拍数とし、特定の範囲を下回ると当該回数を徐脈心拍数とし、特定の範囲を上回ると当該回数を頻脈心拍数とするよう機能させることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記プログラムにおいて、モニタ分析サーバを、分離した帯域が100Hz以上で1000Hz未満の振動データについて、呼吸とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、当該回数を推定呼吸数とし、特定の範囲を下回ると当該回数を徐呼吸数とし、特定の範囲を上回ると当該回数を過呼吸数とするよう機能させることを特徴とする。
また、本発明は、上記プログラムにおいて、モニタ分析サーバを、呼吸数、呼吸波形の継続時間、波形間隔の長さから1回の換気量を推定し、心拍波形が測定不能で呼吸波形が測定可能の区間をいびき波形の区間とし、いびき波形があって呼吸波形がない場合は、当該いびき波形の区間を無呼吸時間とするよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、モニタ分析サーバが、入力された振動データを周波数帯域で分離し、当該分離した振動データから特定の振幅変化パターンを抽出し、当該抽出した振幅変化パターンの回数に基づいて心拍数又は呼吸数を推定するものであり、当該分離した帯域が100Hz未満の振動データについて、心拍とみなされる振幅変化パターンを抽出し、当該振幅変化パターンの1分間の回数が特定の範囲内であれば、当該回数を推定心拍数とし、特定の範囲を下回ると当該回数を徐脈心拍数とし、特定の範囲を上回ると当該回数を頻脈心拍数とする生体モニタリングシステムとしているので、1つの振動データから心拍数と呼吸数を推定できるので、システム全体を安価に構築できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本システムの概略図である。
図2】生体装着器の構成ブロック図である。
図3】振動データ分析処理のフロー図である。
図4】心拍数推定処理のフロー図である。
図5】呼吸数推定処理のフロー図である。
図6】モニタ端末の表示画面例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る生体モニタリングシステム(本システム)は、生体装着器の圧電素子で検出された振動データをブルートゥース(登録商標:BT)又は5G(第5世代移動通信システム)の2つの通信方式でモニタ分析処理を行うクラウドサーバに無線通信し、通信された振動データをクラウドサーバが周波数の帯域で分離し、分離した振動データから特定の振幅変化パターンを抽出し、当該抽出した振幅変化パターンの回数に基づいて、心拍数、呼吸数を推定し、更に呼吸停止期間を計測し、推定換気量を演算するものであり、1つの振動データから心拍数と呼吸数を推定できるので、システム全体を安価に構築でき、医療現場、患者自宅、作業環境、畜産、警備等の幅広い分野で、生体モニタデータを遠隔測定により分析でき、種々の用途に利用できるものである。
【0021】
[本システム:図1
本システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本システムの概略図である。
本システムは、図1に示すように、モニタ分析サーバ1と、生体データベース(DB)2と、ネットワーク3と、モニタ端末4と、生体装着器5a,5b(単に「生体装着器5」と記載することがある)と、基地局6と、中継端末7とを備えている。
【0022】
モニタ分析サーバ1と、モニタ端末4と、基地局6と、中継端末7とは、ネットワーク3に接続し、生体装着器5aは基地局6を介して、生体装着器5bは中継端末7を介してネットワーク3に接続する。生体DB2は、モニタ分析サーバ1に接続している。
【0023】
[本システムの各部]
[モニタ分析サーバ1]
モニタ分析サーバ1は、クラウドサーバであり、生体データを収集し、生体DB2に記憶すると共に生体データの分析を行う。
モニタ分析サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備え、記憶部12に記憶された処理プログラムを制御部11で実行することで、生体データの収集と分析の機能を実現している。生体データの分析処理の詳細は後述する。
【0024】
[生体DB2]
生体DB2は、収集された生体データを生体装着器5の機器識別子(機器ID)毎に記憶する。
また、生体DB2は、生体データの分析結果も記憶する。
【0025】
[ネットワーク3]
ネットワーク3は、インターネットを想定しており、5G通信用の基地局6が接続し、5Gの無線通信を可能にしている。
また、ネットワーク3には、有線でモニタ分析サーバ1、モニタ端末4、中継端末7が接続している。
【0026】
[モニタ端末4]
モニタ端末4は、パーソナルコンピュータ又はタブレット端末であって、モニタ分析サーバ1に対して、生体データの分析の指示を入力部から入力して送信し、モニタ分析サーバ1から受信した分析結果を表示部に表示する。
【0027】
[生体装着器5:図2
次に、生体装着器について図2を参照しながら説明する。図2は、生体装着器の構成ブロック図である。
生体装着器5は、図2に示すように、センサ部50aと、機械部50bとを備え、人体の胸部等に装着されるものである。
センサ部50aで検知された振動信号が電気信号に変換されて、機械部50bに振動データとして入力され、送信されるようになっている。
【0028】
センサ部50aは、人体に貼付可能な圧電素子を有している。圧電素子は、人体の振動を検知して検知した振動信号を電気信号に変換して機械部50bの制御部51に出力する。
また、センサ部50aに体温を検知する体温計を備えるようにしている。
【0029】
ここで、センサ部50aの圧電素子で検知された振動信号を電気信号に変換し、振動データ(心拍数、呼吸数等の振動が混在したデータ)として機械部50bがモニタ分析サーバ1に送信して、モニタ分析サーバ1で心拍数、呼吸数等のデータに分離して推定するようにしているので、生体装着器5のセンサ部50aの構成を簡易にでき、システム全体のコストを低減できるものである。
【0030】
機械部50bは、制御部51、通信部52、位置検出部53、電池54等を備えている。機械部50bの各部及びセンサ部50aは電池で駆動され、センサ部50aで検知された振動データは制御部51に入力され、通信部52から送信する。その送信に際して位置検出部53で検出された位置情報も付加される。
【0031】
位置検出部53は、例えば、GPS(Global Positioning System)装置である。
通信部52は、5G通信用のSIM又は/及びBTの通信部(BT通信部)である。通信部52として、SIM又はBT通信部の一方を備えていてもよく、両方を備えていてもよい。
図1に示す生体装着器5aは、通信部52が5G通信用のSIM通信部であり、生体装着器5bは、通信部52がBT通信部である。
通信部52の通信用SIMは、5Gに限定するものではなく、4G(第4世代移動通信システム)であってもよい。
【0032】
[基地局6]
基地局6は、生体装着器5aからの生体データの5G通信を受信してネットワーク3を介してモニタ分析サーバ1に送信する。
【0033】
[中継端末7]
中継端末7は、生体装着器5bからの生体データのBT通信を受信してネットワーク3を介してモニタ分析サーバ1に送信する。中継端末7は、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン等の端末装置が想定される。
【0034】
[本システムの動作]
[データ送信処理]
生体装着器5aのセンサ部50aの圧電素子で振動を検知して電気信号(振動データ)に変換し、機械部50bが、検知した振動データ、検知した体温データ、GPSの位置データ、時刻データを機器IDと共に5G通信で送信する。
基地局6は、生体装着器5aからの5G通信のデータを、ネットワーク3を介してモニタ分析サーバ1に送信する。
【0035】
また、生体装着器5bからのセンサ部50aの圧電素子で振動を検知して電気信号(振動データ)に変換し、機械部50bが、検知した振動データ、検知した体温データ、時刻データを機器IDと共にBT通信で送信する。
生体装着器5bは、屋内で使用されることを前提として、BT通信を行う省電力タイプであるので、位置検出部53のGPS機能を備えていない。
【0036】
中継端末7は、生体装着器5bからのBT通信のデータを、中継端末7の機器IDを付与してネットワーク3を介してモニタ分析サーバ1に送信する。
中継端末7が、BT通信のデータを送信する際に、当該機器の設置場所を示す情報も付加して送信するようにしてもよい。
【0037】
モニタ分析サーバ1は、ネットワーク3から生体データ等を受信すると、生体DB2に記憶する。生体DB2では、生体装着器5の機器ID毎に、時刻データ、振動データ、体温データ、位置情報がある場合には位置データを記憶する。
【0038】
[分析処理:図3
そして、モニタ分析サーバ1は、1つの振動データから心拍数、呼吸数、換気量等を解析する。振動データには、様々な振動が含まれており、周波数としては、全体が例えば、0~1000Hzの範囲となっている。
具体的には、図3に示すように、モニタ分析サーバ1の制御部11が以下に示す分析処理を行う。図3は、振動データ分析処理のフロー図である。
【0039】
つまり、制御部11は、図3に示すように、心拍や呼吸等の様々な振動を含む振動データを読み込み(S1)、振動データを通過帯域フィルタによって帯域100Hz未満と100Hz以上に分離し(S2)、帯域100Hz未満の振動データについて、振幅変化のパターン回数で心拍数を推定する処理を行い(S3)、帯域100Hz以上1000Hz未満の振動データについて、振幅変化のパターン回数で呼吸数を推定する処理を行う(S4)。
【0040】
[心拍数推定処理:図4
次に、振動データから心拍数を推定する処理について図4を参照しながら説明する。図4は、心拍数推定処理のフロー図である。
例えば、生体が正常成人安静時の場合、帯域100Hz未満、60~100回/分の一定の周期で観察される波形(振幅変化のパターン)を抽出して、1分当たりの回数を推定心拍数と定義する。尚、1分間で60回以下は徐脈、100回以上は頻脈となる。
【0041】
具体的には、図4に示すように、モニタ分析サーバ1の制御部11は、帯域が100Hz未満の振動データから心拍とみなされる波形(振幅変化パターン)を抽出する(S11)。
次に、抽出した振幅変化パターンの回数が1分間に60回以上100回未満であるか否かを判定し(S12)、60回/分以上100回/分未満/分の場合(Yesの場合)、当該振幅変化パターンの回数を推定心拍数とする(S13)。
【0042】
判定処理S12で振幅変化パターンの回数が1分間に60回未満であれば(60回/分未満)、当該振幅変化パターンの回数を徐脈心拍数とする(S14)。また、判定処理S12で振幅変化パターンの回数が1分間に100回以上であれば(100回/分以上)、当該振幅変化パターンの回数を頻脈心拍数とする(S15)。
【0043】
[呼吸数推定処理:図5
次に、振動データから呼吸数を推定する処理について図5を参照しながら説明する。図5は、呼吸数推定処理のフロー図である。
例えば、帯域100~1000Hz、10~24回/分の一定の周期で観察される波形(振幅変化パターン)を抽出して、1分当たりの回数を推定呼吸数とする。1分で9回以下は徐呼吸、25回以上は過呼吸となる。
【0044】
具体的には、図5に示すように、モニタ分析サーバ1の制御部11は、帯域が100Hz以上1000Hz未満の振動データから呼吸とみなされる波形(振幅変化パターン)を抽出する(S21)。
次に、抽出した振幅変化パターンの回数が1分間に10回以上24回以下であるか否かを判定し(S22)、10回/分以上24回以下/分の場合(Yesの場合)、当該振幅変化パターンの回数を推定呼吸数とする(S23)。
【0045】
判定処理S22で振幅変化パターンの回数が1分間に9回以下であれば(9回/分以下)、当該振幅変化パターンの回数を徐呼吸数とする(S24)。また、判定処理S22で振幅変化パターンの回数が1分間に25回以上であれば(25回/分以上)、当該振幅変化パターンの回数を過呼吸数とする(S25)。
【0046】
[換気量・いびき分析処理]
呼吸波形測定不能であって、心拍測定可能な区間は、睡眠時無呼吸状態として呼吸停止時間を計測する。
また、1回の呼吸において、吸う動作の開始から吐く動作の終了までの時間を個人で平準化して推定換気量とする。正常成人は、400~500mlである。
具体的には、呼吸数、呼吸波形の継続時間、波形の間隔の長さから、正常成人の換気量を参考に1回の換気量を推定する。
【0047】
また、心拍波形が測定不能で呼吸波形が測定可能な区間は、いびきの振動が大きくて心拍を検知できない区間とし、当該区間の前に同様の心拍波形があれば、いびき波形区間とし、いびき波形を定義する。いびき波形の継続時間、回数を測定し、いびき波形があって呼吸波形がない場合には、その時間を無呼吸時間として測定し、いびき時間の長さ、無呼吸時間、最大心拍数、頻度から、いびき・無呼吸症状の重症度を推定する。
【0048】
[モニタ端末表示画面:図6
次に、モニタ端末4における表示画面について図6を参照しながら説明する。図6は、モニタ端末の表示画面例を示す概略図である。
例えば、図6に示すように、モニタ端末4の表示画面には、生体装着器5の機器ID(BitID)と患者名をセットに、振動データの心拍数又は呼吸数の変化(回数の変化)と体温の変化を表示している。心拍数又は呼吸数のいずれかは選択可能で、切り替えることができる。図6では、患者名としているので、本システムを医療機関の施設等に適用した例である。
尚、図6の表示画面を中継端末7に表示させるようにしてもよい。
【0049】
[心電図]
また、医療機関で、患者の身体の適正な位置に生体装着器5を複数装着することで、24時間測定できるホルター心電図として利用することができる。
モニタ端末4又は中継端末7での表示画面では、人体を模したシェーマ図を表示して生体装着器5の装着位置とチャネル番号の(+,-)の電極を表示し、更に心電図の波形を表示するようにしている。
【0050】
[本システムの応用現場]
本システムを病院、高齢者施設の患者モニタリングに利用すると、医療・福祉の現場で活用できる。
特定の施設での利用になるため、生体装着器5は、BT通信用の機器(生体装着器5b)を用い、中継端末7は各部屋に設けられ、ネットワーク3に接続している。
また、在宅での患者モニタリングに利用すると、患者自宅で活用できる。この場合も、BT通信の生体装着器5bを用い、部屋には中継端末7が設けられている。
【0051】
また、本システムを建設作業員、交通作業員のモニタリングに利用すると、作業環境管理に活用できる。この場合、建設作業員等は屋外で作業するので、5G通信用の生体装着器5aを用いるものである。
また、本システムを以下の用途への応用の場合も、5G通信用の生体装着器5a又は生体装着器5bを用いるものである。
本システムを畜産のモニタリングに利用すると、畜産業に活用できる。
高齢者のモニタリングに利用すると、見守り、警備の現場で活用できる。
従業員の睡眠状態のモニタリングに利用すると、健康保険、予防医学に活用できる。
【0052】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、圧電素子を備える生体装着器5からの1つの振動データから心拍数、呼吸数、換気量をモニタ分析サーバ1が分析し、モニタ端末4に表示出力しているので、簡易な生体装着器5を用いて1つの振動データから心拍数、呼吸数、換気量等を分析できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、生体装着器の圧電素子から得られる振動データを送信し、モニタ分析するクラウドサーバで当該振動データから心拍数、呼吸数、換気量を分離して推定し、安価な生体装着器でシステムのコストを低減できる生体モニタリングシステム及びそのプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0054】
1…モニタ分析サーバ、 2…生体データベース(DB)、 3…ネットワーク、 4…モニタ端末、 5,5a,5b…生体装着器、 6…基地局、 7…中継端末、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部、 50a…センサ部、 50b…機械部、 51…制御部、 52…通信部、 53…位置検出部、 54…電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6