(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】コンテナ用の折り畳み可能な枠体及びそのためのヒンジ付き部材
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20220617BHJP
B65D 88/52 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B65D88/12 N
B65D88/52
(21)【出願番号】P 2020518619
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(86)【国際出願番号】 HU2018050018
(87)【国際公開番号】W WO2019064036
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(73)【特許権者】
【識別番号】520106622
【氏名又は名称】イプゴ・ユーロプ・コルラートルト・フェレレーシュシェーギュー・タールシャシャーグ
【氏名又は名称原語表記】IPGO EUROPE KFT.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ロベルトゥス・ヨアネス・ファン・デル・ベルフ
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4848618(US,A)
【文献】特開2005-153868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0029510(US,A1)
【文献】特開昭57-175549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266666(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102009805(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
B65D 88/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッド(45,56,67,74)で作製された多角形の基部マウント(2)と、
スタッド(4a5,5a6,6a7,7a4)で作製され、前記基部マウント(2)に対して平行であり、且つ前記基部マウントと同数の角を有する多角形の上部マウント(3)と、
を備えるコンテナ用の折り畳み可能な枠体(1)であって、
前記基部マウント及び上部マウント(2,3)は、前記スタッド(45,56,67,74,4a5,5a6,6a7,7a4)同士の接続部に設けられるコーナーブロック(4a,5a,6a,7a,4t,5t,6t,7t)に対してヒンジ(8,9,10,11,12,13,14,15)で取り付けられた、同じ長さの支柱(A,B,C,D)によって互いに接続され、
前記支柱(A,B,C,D)は、少なくとも2つの同じ長さのセクション(S1,S2)によって構成され、
隣り合うセクション(S1,S2)は、ヒンジ付き部材(20,200)によって互いに結合され、
前記隣り合うセクション(S1,S2)の少なくとも1つには、内部空洞が設けられ、
前記ヒンジ付き部材(20,200)は、
第1セクション(S1)の空洞内に移動可能に配置されるスライドブロック(22,222)に接続された第1ブッシュ(23,223)と、
第1ブッシュ(23,223)と共通の軸(t)を有し、隣り合う第2セクション(S2)の内部空洞内に少なくとも一部が配置されるロック部材(25,225)に固定された第2ブッシュ(21,221)と、
前記第1
ブッシュ及び第2ブッシュ(21,23,221,223)内に設けられたヒンジピン(24,224)と、
を備え
、
前記支柱(A,B,C,D)に組み入れられた前記ヒンジ付き部材(20,200)の前記スライドブロック(22,222)及び前記ロック部材(25,225)の少なくとも1つは、前記支柱(A,B,C,D)の方向(T)に沿って移動可能であり、
少なくとも1つのセクション(S1,S2)の内部空洞内には、前記スライドブロック(22,222)又は前記ロック部材(25,225)の移動を制限するためのガイド(27,227a,227b)の各々が固定され、
前記スライドブロック(22,222)及び/又は前記ロック部材(25,225)には、ストッパー(26,226a,226b)が設けられている、
コンテナ用の折り畳み可能な枠体(1)。
【請求項2】
前記ヒンジ付き部材(200)は、前記支柱(A,B,C,D)の方向(T)の周りに回転可能である、請求項1に記載のコンテナ用の折り畳み可能な枠体(1)。
【請求項3】
前記スライドブロック(22,222)及び前記ロック部材(25,225)の少なくとも1つに、前記ガイド(27,227b)が設けられていることを特徴とする、請求項
2に記載のコンテナ用の折り畳み可能な枠体(1)。
【請求項4】
軸(T)を中心として前記ヒンジ付き部材(200)と前記支柱(A,B,C,D)との相対的な角度位置を有し、前記第1
セクション及び第2セクション(S1,S2)の外壁(S1a,S2a)間の最小距離(L1)が、前記軸(T)と前記ヒンジピン(224)の軸(t)との距離(L2)より小さいことを特徴とする、請求項
3に記載のコンテナ用の折り畳み可能な枠体(1)。
【請求項5】
前記スライドブロック(22,222)に、ラッチヘッド(F)が設けられていることを特徴とする、請求項
4に記載のコンテナ用の折り畳み可能な枠体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドで作製された多角形の基部マウントと、スタッドで作製され、基部マウントに対して平行であり、且つ基部マウントと同数の角を有する多角形の上部マウントとを備えるコンテナ用の折り畳み可能な枠体に関する。前記のマウントは、スタッド同士の接続部に設けられるコーナーブロックにヒンジで取り付けられた、同じ長さの支柱によって互いに接続されている。支柱は、少なくとも2つの同じ長さのセクションによって構成され、隣り合うセクションは、ヒンジ付き部材によって互いに結合されている。ヒンジ付き部材は、スライドブロックに接続された第1ブッシュと、第1ブッシュと共通の軸を有し、スライドブロックに固定された第2ブッシュと、第1及び第2ブッシュ内に設けられたヒンジピンとで構成されている。少なくとも1つのスライドブロックには、スライドガイドが設けられている。
【背景技術】
【0002】
この数十年に渡って、コンテナは、輸送中の積み込みにかかる費用を避けることによって商業輸送の費用が大幅に削減できるため、海上輸送、鉄道輸送においてはほぼ独占的に、道路輸送においては部分的に使用されている。貨物コンテナをある車両から別の車両に移すことは、安価且つ迅速な解決策である。コンテナは、港からトラックや列車に直接移すことができる。コンテナは、物品の種類に関係なく、長距離輸送や大量の貨物の輸送に適しているため、その使用はよく広がっており標準化されている。
【0003】
コンテナの使用が急速に増加した結果、空のコンテナのために保管場所を確立することが必要になった。多くの空のコンテナを一時的に保管するには、港に新たな投資が必要である。一方、空のコンテナは物品を満載したコンテナと同じ輸送容量を有するので、空のコンテナの輸送はコンテナ輸送の効率を低下させる。過去数十年に渡り、その問題を解決するためのいくつかの試みが行われてきた。その結果、折り畳み可能なコンテナが作製された。折り畳み可能なコンテナは、折り畳まれた状態では、輸送に必要なスペース及びその特定のコストを大幅に削減する。
【0004】
そのような解決策は、例えば米国特許出願公開第20160039603号明細書に開示されている。この解決策に係る折り畳みコンテナは、折り畳んだ後に積み重ねることができる。このコンテナは、床板と、屋根板と、背板と、前板と、長手方向の側壁とを備える。側壁は、長手方向の長さに沿って半分に分割され、それらに共通する端部がピボットヒンジによって互いに結合されている。コンテナが折り畳まれる時、最初に、前板を構成する部材と背板とが床板に向かって折り畳まれる。長手方向の側壁は、その中央部のヒンジによって床板に整列しようとする一方、吊り上げ装置によって保持された屋根板が下げられる。このコンテナは、その逆の順序で組み立てられる。この解決策の主な欠点は、組み立てられたコンテナの長手方向の側壁帯を強固且つ確実に固定するために、分割された部材を構成する複雑で扱いにくい固定手段を必要とすることである。
【0005】
国際公開第9928215号は、同様の解決策を開示しているが、組み立てられたコンテナの長手方向の側壁帯を強固且つ確実に固定するために、複雑な固定具を必要としない。しかしながら、この解決策の欠点は、無許可の人物が、組み立てられたコンテナの固定具に容易にアクセスできるため、安全でないことである。
【0006】
米国特許第4848618号明細書に係るコンテナでは、折り畳み可能な長手方向の側壁を固定する手段がコンテナの内側にあるため、コンテナが適切に閉鎖されていれば、無許可のアクセスは不可能である。この解決策の欠点は、まず、固定具を開放するために、折り畳まれるコンテナに人が入らなければならないことであり、このことは、適切な予防策が取られているとしても危険である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
耐荷重枠体と、側壁と、通常短い側壁に配置された貨物扉とで製造される輸送コンテナの使用が広がるにつれ、貨物輸送以外でのコンテナの使用も利用され始めている。従来の枠体を備える一方で、ドアと、側壁に設けられる窓と、仕事や居住空間用にカスタマイズされた他の補助デバイスとが装備されるコンテナは、仮設、パレード用の建物、及び一時的又は永久的な居住システムの建造に適している。このようなコンテナを組み合わせることによって、迅速な設置のためのコンテナ組立体を建造することも可能である。このような目的のコンテナにおいても、折り畳まれた状態で空のコンテナの輸送と未使用のコンテナの保管とを達成して、コンテナの利用効率を大幅に向上することは、同様に重要である。
【0008】
しかしながら、迅速且つ安全にコンテナを設置できるようにすることだけでなく、無許可の人物が、コンテナの内側又は外側のいずれかから手によってコンテナのヒンジや固定手段にアクセスしたり、固定を解除したりすることを防ぐことに基本的要求があるので、これらのコンテナのための最先端の技術解決策は、達成可能とは考えられない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、固定部材及びヒンジ部材が、設置されたコンテナの使用者にはアクセス不可能であり、機械的な力によってのみ固定を解除することができる折り畳み可能なコンテナ枠体を提供することにある。コンテナ枠体は、異なる目的のため、例えば、物品を輸送するため、側壁、屋根板、床板、及び貨物扉である硬い外郭を備えてもよいし、仕事や居住設備のため、屋根パネル及び床パネルに加えてドア及び窓又は他の開口部を有する側壁を備えてもよい。しかしながら、枠体自体は、例えば、コンテナ(vessel)の輸送及び保管の用途、又は枠体上にいかなる外郭も必要としない用途では、側壁、屋根板、及び床板なしで、使用可能である。
【0010】
また、更なる目的は、迅速且つ容易に設置及び固定することができるとともに、コンテナ枠体の固定の解除及び折り畳みの両方を迅速、簡単、経済的、且つ安全にするコンテナ枠体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、スタッドで作製された多角形の基部マウントと、スタッドで作製され、基部マウントに対して平行であり、且つ基部マウントと同数の角を有する多角形の上部マウントと、を備えるコンテナ用の折り畳み可能な枠体を提供することによって達成される。基部マウント及び上部マウントは、スタッド同士の接続部に設けられるコーナーブロックに対してヒンジで取り付けられた、同じ長さの支柱によって互いに接続されている。支柱は、少なくとも2つの同じ長さのセクションによって構成され、隣り合うセクションは、ヒンジ付き部材によって互いに結合されている。隣り合うセクションの少なくとも1つには、内部空洞が設けられている。ヒンジ付き部材は、第1セクションの空洞内に移動可能に配置されるスライドブロックに接続された第1ブッシュと、第1ブッシュと共通の軸を有し、隣り合う第2セクションの内部空洞内に少なくとも一部が配置されるロック部材に固定された第2ブッシュと、第1及び第2ブッシュ内に設けられたヒンジピンとを備える。
【0012】
第2セクションの内部空洞内に設けられたスライドブロックは、支柱の第2セクションに固定されている。
【0013】
少なくとも1つのセクションの内部空洞内には、スライドブロックの移動を制限するためのガイドが固定されている。スライドブロックには、ストッパーが設けられている。
【0014】
軸を中心としてヒンジ付き部材と支柱との相対的な角度位置を有し、第1及び第2セクションの外壁間の最小距離は、軸とヒンジピンの軸との距離よりも小さい。
【0015】
また、スライドブロックに接続された第1ブッシュと、第1ブッシュと共通の軸を有し、スライドブロックに固定された第2ブッシュと、第1及び第2ブッシュ内に設けられたヒンジピンと、によって構成されるヒンジ付き部材であって、少なくとも1つのスライドブロックに、スライドガイドが設けられている、ヒンジ付き部材を提供することによっても目的は達成される。
【0016】
少なくとも1つのスライドブロックには、ストッパーが設けられている。
【0017】
スライドブロックには、ラッチヘッドが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、添付の図面を参照して、詳細に開示される。
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係る折り畳み可能なコンテナ枠体の好適な実施形態を示す透視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る折り畳み可能なコンテナ枠体における、直立状態の1本の支柱を示す透視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るヒンジ付き部材の好適な実施形態を示す図であって、ヒンジ付き部材がセクションS1,S2に挿入され、開放状態にある図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す本発明に係るヒンジ付き部材であって、コンテナ枠体の支柱に組み入れられ、開放状態にある図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す本発明に係るヒンジ付き部材であって、支柱の閉鎖状態を示す図である。
【
図6a】
図6aは、本発明に係るヒンジ付き部材の更なる実施形態としてのヒンジ付き部材であって、閉鎖状態を示す図である。
【
図6b】
図6bは、本発明に係るヒンジ付き部材の更なる実施形態としてのヒンジ付き部材であって、組み入れられ閉鎖状態を示す図である。
【
図6c】
図6cは、本発明に係るヒンジ付き部材の更なる実施形態としてのヒンジ付き部材であって、開放状態を示す図である。
【
図6d】
図6dは、
図6cに示したヒンジ付き部材の更なる実施形態を示す図であって、ロッキングヘッドが設けられた図である。
【
図7】
図7は、折り畳まれた状態の枠体の支柱を示す図であって、設置前又は折り畳み後の、上部マウントを除いて1つの支柱だけを描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1では、本発明に係る折り畳み可能なコンテナ枠体1の好適な実施形態を、透視図で見ることができる。コンテナ枠体1は、通常、多角形(図示の実施形態では長方形)の基部マウント2と、基部マウント2に対して平行な面に配置された長方形の上部マウント3とを備える。マウント2,3は、正方形、又は複数の角を有する多角形、或いは無数の角を有する多角形(すなわち円形)であってもよいが、基部マウント2及び上部マウント3の形状は、常に同じである。例えば、正六角形の基部マウント2に対する上部マウント3の形状は、同様に正六角形である。マウント2,3のコーナーは、コーナーブロック4a,5a,6a,7a,4t,5t,6t,7tによって形成され、それらによって、コンテナ枠体1は、車両の荷台に対して持ち上げられたり、固定されたりすることができる。したがって、コーナーブロック4a,5a,6a,7a,4t,5t,6t,7tは、有利に(advantageously)標準化されている。上部マウント3の上部スタッド45,56,67,74と、基部マウント2の下部スタッド4a5,5a6,6a7,7a4とには、コーナー部材が、それぞれのマウント2,3の縁部に沿って接続されている。図示の実施形態において、マウント2,3は、図に示したように、コーナー部材4a,5a,6a,7a,4t,5t,6t,7tにおいて、支柱A,B,C,Dによって互いに接続されている。支柱A,B,C,Dはそれぞれ、下端部においてヒンジ8,9,10,11によって基部マウント2に接続されるとともに、上端部においてヒンジ12,13,14,15で上部マウント3に接続されている。ヒンジ8,9,10,11,12,13,14,15の軸は、本実施形態において互いに平行であり、全ての実施形態においてマウント2,3の平面に対して平行である。
【0021】
図2では、説明を容易にするために、同じ設計を有する支柱A,B,C,Dのうち支柱Aのみが、本発明に係る折り畳み可能なコンテナ枠体1の起立位置で示されている。支柱A及び支柱B,C,Dは、同じ長さの2つのセクションS1,S2によって構成される。支柱Aにおいて、セクションS1の長さは、ヒンジ12と分割線Oとの間で測定され、セクションS2の長さは、ヒンジ8と分割線Oとの間で測定される。一方、支柱Bなどにおいては、例えば、ヒンジ13と分割線Oとの間、及び、ヒンジ9と分割線Oとの間で測定される。2つのセクションS1,S2は、少なくとも部分的に中空の管、例えば図示の実施形態においては中空の閉鎖されたセクションであることが好ましい。
【0022】
図3は、本発明に係るヒンジ付き部材20の好適な実施形態を示す透視図であって、ヒンジ付き部材20がセクションS1,S2に挿入され、開放状態にある図である。この位置において、コンテナ枠体1は、輸送のために折り畳まれた状態にある。ヒンジ付き部材20には、ロック部材25に固定された第1ブッシュ21(図示の実施形態では一対の第1ブッシュ21)が設けられている。ロック部材25は、支柱AのセクションS2内に固定されている。ピボットピン24は、一対のブッシュ21の穴に設けられ、一対のブッシュ21間の第2ブッシュ23によって囲まれて、スライドブロック22に固定されている。スライドブロック22の底部には、ストッパー26が設けられることが好ましい。ガイド27は、支柱AのセクションS1に固定されたスライドブロック22に沿って、ストッパー26とピボットピン24との間でスライドされてもよい。
【0023】
図4では、
図3に示す本発明に係るヒンジ付き部材20が、支柱AのセクションS1,S2に組み入れられて、開放状態にあるところを見ることができる。ヒンジ付き部材20は、同様に支柱B,C,Dに取り付けられている。ヒンジ付き部材20のガイド27は、セクションS1の内部に位置決めされて固定され、
図5に示すように柱Aの閉鎖状態では、セクションS2の端面V2から突出するロック部材25の部分Kの少なくとも一部又は好ましくは全体が、セクションS1の端面V1とガイド27との間に収まり、柱AのセクションS1,S2の端面V1,V2が、互いに寄りかかるようになる。その結果、
図5に示す位置では、支柱AのセクションS1,S2は回転することができない。すなわち、支柱Aは、閉鎖され且つロックされた位置にあるので、ヒンジピン24を軸として折り畳まれることができない。
【0024】
図6a及び6bは、本発明に係るヒンジ付き部材20の更なる実施形態として、開放状態にあるヒンジ付き部材200を示している。ヒンジ付き部材200は、穴227fb内をT方向に移動可能であり、且つ図示されていないセクションS1の内部に固定(例えば溶接)された制限部材227bの穴227fb内で軸Tを中心として回転可能である円筒形のスライドブロック222を備えている。同様に、円筒形のスライドブロック225は、セクションS2の内部でT方向に移動可能であり、且つセクションS2に固定(例えば溶接)されたガイド227の穴227fbと同じ軸を有する穴227fa内で軸Tを中心として回転可能である。好適な実施形態において、スライドブロック222,225のいずれか一方は、それぞれのガイド227a,227bに固定され、他方は、移動可能であってもよい。スライドブロック222,225のうち移動可能な一方には、穴227a,227fbの直径よりも大きい外径を有するストッパー部材226a,226bが設けられている。第1ブッシュ221と、第2ブッシュ223と、軸tを有するピボットピン224とによって互いに接続されたスライドブロック222,225で構成されるヒンジ付き部材200は、
図6bに示すセクションS1,S2の閉鎖状態では、セクションS1,S2の内部に全体として位置し、セクションS1,S2の外壁S1a,S2aと軸Tとの最短距離L1は、軸Tとピボットピン224の軸tとの距離L2よりも小さい。
図6bに示す状態では、ヒンジ付き部材200のスライドブロック222,225の全ての点が軸tを中心として回転するとともに、支柱AにおけるセクションS1,S2の全ての点が点Pを通る線を中心として回転して、スライドブロック222,225及びガイド227a,227bが固定される(すなわち、支柱Aがロックされた位置にある)ので、支柱AのセクションS1,S2は、ピボットピン224を中心して回転することができない。
【0025】
図6cにおいて、支柱AにおけるセクションS1,S2に設けられたヒンジ付き部材200は、開放位置、すなわちコンテナ枠体1が折り畳まれた位置で示されている。
図6bに示す閉鎖位置とは異なり、軸tが支柱AにおけるセクションS1の外壁S1aの面よりも外側に位置していることが見て取れる。この位置の変化は、枠体1を折り畳んでいる間又は設置している間に起きる。
【0026】
図6dに示されるヒンジ付き部材200は、
図6cに示されるヒンジ付き部材200の更なる実施形態であり、ロッキングヘッドFが設けられ、支柱Aは開放位置にある。ロッキングヘッドFの幅Ffは、セクションS1,S2の内部サイズFsよりも小さい。そのため、支柱Aが閉鎖されている場合、すなわち閉鎖位置にある場合、ヘッドFは、セクションS1,S2の空洞(例えばセクションS1,S2で使われているような中空形状の空洞)に収まる。セクションS1,S2が軸Tに向かってヒンジピンの軸tを中心として180°回転した後、ヒンジ付き部材200は、軸Tを中心として180°回転することができるとともに、セクションS1,S2の端部を位置合わせすることができる一方、ロッキングヘッドFは、支柱Aの内側に収まる。
【0027】
本発明に係るコンテナ枠体1を設置するために、折り畳まれたコンテナ枠体1は、意図する設置場所に運ばれる一方、少なくとも2つ(好ましくは複数)の折り畳まれたコンテナ枠体1が、1つの展開されたコンテナ枠体1の位置、又は1つの従来型のコンテナの容積内に輸送されてもよい。
図7に示すように、輸送位置では、支柱A及び支柱B,C,Dは折り畳まれた位置にあり、支柱のヒンジ付き部材は開放状態にある。
【0028】
コンテナ枠体1は、
図1に示すコーナーブロック4t,5t,6t,7tに結ばれたロープによって、巻上げ機(例えばクレーン)で吊り上げられる、又は、他の適切な方法で(例えばリフト機(リフトトラック)で上部マウント3を持ち上げることによって)、吊り上げられるべきである。上部マウント3が持ち上げられる時、支柱A,B,C,DのセクションS1,S2は、ヒンジ8,9,10,11,12,13,14,15を中心として回転し、支柱A,B,C,Dが軸Tに沿うように位置決めされるとともに、セクションS1,S2は、ピボットピン24,224の軸tを中心として互いに回転する。その持ち上げは、ストッパー26,226a,226bがガイド27,227a,227bに接触するまで続けられる。
図3に示された実施形態に係るヒンジ付き部材20が適用される場合、上部マウント3が下げられると、互いに接触しているセクションS1,S2は、上部マウント3を持ち上げることなしに再び折り畳むことができない閉鎖された支柱A,B,C,Dを形成する。
図6aに示される実施形態に係るヒンジ付き部材200が使用される場合、ストッパーがガイド27,227a,227bに接触した後、ヒンジ付き部材200は、軸Tを中心として
図6bに示される位置まで、すなわち180°回転され、ヒンジ付き部材200の全長が、セクションS1,S2の内部で且つ全体としてそれらの延長部内に配置される。その後、上部マウント3が下げられると、互いに接触するセクションS1,S2が、閉鎖され且つロックされた支柱A,B,C,Dを形成する。
【0029】
その後、コンテナ枠体1には、必要に応じて、マウント2,3を覆う/充填する側壁及び/又は枠部材/屋根部材が設けられてもよい。側壁には、窓やドア開口部を設けてもよい。また、組み立てられたコンテナ枠体1は、横並びに設置されたり、用途に応じて積み重ねたりしてもよい。
【0030】
従来技術の解決策に関連する本発明に係る折り畳み可能なコンテナ枠体1の利点は、一旦設置されると、その固定部材及びヒンジ部材が、コンテナ枠体1の使用者には利用できず、機械的な力のみによって固定を解除することができ、異なる輸送目的のため、例えば、硬い側壁、ドア、窓、他の壁(例えば、限定されるものではないが、輸送、保管用の屋根パネル、床パネルを含む)に任意で設けられる点である。また、コンテナ枠体は、カバーを部分的又は完全に必要としない用途に使用することができる。コンテナ枠体1の輸送、設置、固定、固定の解除、折り畳みは、同様に迅速、簡単、経済的、及び安全である。