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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】吐出装置、及び吐出システム
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20220617BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20220617BHJP
   F04C 2/107 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/00
F04C2/107
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021004550
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】翁 昂平
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-104821(JP,A)
【文献】特開2014-217795(JP,A)
【文献】特開2014-23972(JP,A)
【文献】特開2006-82069(JP,A)
【文献】特開2005-254206(JP,A)
【文献】特開2008-55248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
F04C 2/08-2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に設けられた流動体収容部に導入された流動体を吐出可能な吐出装置であって、
前記流動体収容部に対して流動体を導入する流動体導入部と、
前記流動体収容部の内部に配置される内部部材と、
前記流動体収容部の内部から外部にエアを排出するエア排出部と、を有し、
前記流動体導入部が、前記流動体収容部の内部に連通した流動体導入口を有し、
前記エア排出部が、前記流動体収容部と連通したエア排出路を有し、
前記エア排出路が、前記内部部材を介して前記流動体導入口に対して反対側において前記流動体収容部に連通したエア排出部入口と、前記エア排出部入口に対して前記流動体収容部の周方向及び軸線方向のいずれか一方又は双方に外れた位置において前記流動体収容部の外部に連通したエア排出部出口と、を有すること、を特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記内部部材が、前記流動体収容部の内部において軸線方向に延びる軸状のものであること、を特徴とする請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記エア排出部入口が、前記流動体導入口に対し、流動体を吐出するときに重力方向上側となる位置に設けられていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記エア排出部入口を介して前記流動体収容部から前記エア排出部に入る空気の流入方向と、前記エア排出部出口から排出される空気の排出方向とが、交差あるいはねじれの関係にあること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記エア排出部の少なくとも一部が、複数の構成部材を分離可能に組み合わせたものとされており、
前記エア排出部を構成する前記構成部材の一部又は全部を他の構成部材から分離することにより、前記エア排出路が開放されること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項6】
駆動部と、
雄ねじ型の軸体によって構成されたロータと、
前記ロータを挿通可能であって内周面が雌ねじ型に形成されたステータと、
前記ロータが前記ステータの内側において自転しつつ、前記ステータの内周面に沿って公転するように偏心回転可能なように前記駆動部と前記ロータとを動力伝達可能に接続する接続部と、を有し、
前記接続部が、前記内部部材として、前記流動体導入部の内部に配されていること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の吐出装置が複数、互いに前記ケーシングが近接するように配され、
各吐出装置の前記流動体導入部及び前記エア排出部が、近接する他の吐出装置のケーシングから離れた位置に配されること、を特徴とする吐出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出装置、及び吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されている回転容積型ポンプのような吐出装置が提供されている。特許文献1の回転容積型ポンプは、駆動機から入力された回転動力を伝達するためのドライブシャフトを備える動力伝達機構部と、ドライブシャフトから回転動力を受けて作動するポンプ機構部と、流動体が流出入する内部空間を有する収容体とを備えたものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3221980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した従来技術の回転容積型ポンプのような吐出装置においては、流動体が流出入する内部空間などにエアが残留したまま流動体を吐出させるための吐出運転を行うと数々の問題が生じる。例えば、内部空間などにエアが残留したまま流動体を吐出すると、吐出された流動体にエアが気泡として混入してしまう。上記特許文献1の回転容積型ポンプのように接着剤などの流動体を吐出させて線状に塗布する場合には、中途で接着剤が途切れた箇所が生じた状態(塗布線切れ)になる懸念がある。また、吐出装置が吐出運転を行っている間は、内圧の影響によりエアが圧縮されて縮小するが、吐出運転を停止するとエアに作用していた内圧が低減してエアの体積が膨張する現象が生じる可能性がある。このような現象が生じると、エアの体積膨張の影響によって流動体が押し出され、いわゆる液だれが発生する懸念がある。
【0005】
かかる懸念を解消すべく、本発明者らは、一軸偏心ねじポンプなどのように、流動体が流出入して収容される空間(以下、「流動体収容部」とも称す)の内部にシャフトやジョイント等の柱状部材が存在している吐出装置において、流動体収容部に入ったエアの排出(エア抜き)を確実に行うための構成について検討した。その結果、流動体収容部の内部にシャフトなどの柱状部材が存在している場合は、流動体収容部の周方向所定箇所に設けられた流動体の導入口(流動体導入口)に対し、柱状部材を介して周方向反対側からエアを排出するための構成(エア排出部)を設けた構成にしなければ、エア抜きが不十分になる懸念があることを見いだした。
【0006】
しかしながら、上述した構成とした場合、流動体導入口とエア排出部との位置関係が限定されてしまう。そのため、エア抜きを重視した場合、例えば吐出装置の配置の自由度が低くなってしまうといった制約条件が加わってしまうという問題があるとの知見に至った。
【0007】
そこで本発明は、ケーシングの内部において流動体が流出入する流動体収容部におけるエア抜きを十分に行えると共に、流動体導入口とエア排出部との位置関係の自由度の高い吐出装置、及び吐出システムの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の吐出装置は、ケーシングの内部に設けられた流動体収容部に導入された流動体を吐出可能な吐出装置であって、前記流動体収容部に対して流動体を導入する流動体導入部と、前記流動体収容部の内部に配置される内部部材と、前記流動体収容部の内部から外部にエアを排出するエア排出部と、を有し、前記流動体導入部が、前記流動体収容部の内部に連通した流動体導入口を有し、前記エア排出部が、前記流動体収容部と連通したエア排出路を有し、前記エア排出路が、前記内部部材を介して前記流動体導入口に対して反対側において前記流動体収容部に連通したエア排出部入口と、前記エア排出部入口に対して前記流動体収容部の周方向及び軸線方向のいずれか一方又は双方に外れた位置において前記流動体収容部の外部に連通したエア排出部出口と、を有すること、を特徴とするものである。
【0009】
本発明の吐出装置は、流動体導入部に対して連通するように設けられた流動体導入口と、エア排出部入口とを有する。また、エア排出部入口は、流動体導入部の内部に配された内部部材を介し、流動体導入口に対して反対側において設けられている。そのため、流動体導入口から流動体と共に流動体導入部にエアが流入した場合に、エアは、内部部材を反対側にあるエア排出部入口を介して流動体導入部から排出される。本発明の吐出装置は、このような構成とされているため、流動体導入部に流入したエアを、エア排出部入口を介して十分排出することができる。
【0010】
また、本発明の吐出装置は、エア排出部が、エア排出部入口から排出されたエアの通路となるエア排出路を備えている。さらに、エア排出路は、エア排出部入口に対して流動体収容部の周方向及び軸線方向のいずれか一方又は双方に外れた位置において、流動体収容部の外部に連通したエア排出部出口を有する。従って、本発明の吐出装置は、エア排出部出口を流動体導入口の位置に拘束されることなく、流動体収容部の周方向及び軸線方向のいずれか一方又は双方に外れた位置に設けることができる。
【0011】
(2)上述した本発明の吐出装置は、前記内部部材が、前記流動体収容部の内部において軸線方向に延びる軸状のものであること、を特徴とするものであると良い。
【0012】
かかる構成によれば、流動体収容部の内部に流入したエアを、流動体収容部の軸心位置において軸線方向に延びるように配置された内部部材の外周を回り込んで、流動体導入口の反対側に設けられたエア排出部入口に到達するように移動させ、十分に排出させることができる。
【0013】
(3)上述した本発明の吐出装置は、前記エア排出部入口が、前記流動体導入口に対し、流動体を吐出するときに重力方向上側となる位置に設けられていること、を特徴とするものであると良い。
【0014】
かかる構成によれば、流動体収容部の内部に流入したエアをより一層確実に流動体収容部の外部に排出させることができる。
【0015】
(4)上述した本発明の吐出装置は、前記エア排出部入口を介して前記流動体収容部から前記エア排出部に入る空気の流入方向と、前記エア排出部出口から排出される空気の排出方向とが、交差あるいはねじれの関係にあること、を特徴とするものであると良い。
【0016】
かかる構成によれば、流動体導入部から流動体収容部に入った空気を、流動体導入部に対して反対側の位置とは異なる方向に排出させることができる。
【0017】
(5)上述した本発明の吐出装置は、前記エア排出部の少なくとも一部が、複数の構成部材を分離可能に組み合わせたものとされており、前記エア排出部を構成する前記構成部材の一部又は全部を他の構成部材から分離することにより、前記エア排出路が開放されること、を特徴とするものであると良い。
【0018】
かかる構成によれば、エア排出部を構成する構成部材の一部又は全部を他の構成部材から分離してエア排出路を開放させ、エア排出路の内部を清掃したり、メンテナンスを施したりすることが可能となる。
【0019】
(6)上述した本発明の吐出装置は、駆動部と、雄ねじ型の軸体によって構成されたロータと、前記ロータを挿通可能であって内周面が雌ねじ型に形成されたステータと、前記ロータが前記ステータの内側において自転しつつ、前記ステータの内周面に沿って公転するように偏心回転可能なように前記駆動部と前記ロータとを動力伝達可能に接続する接続部と、を有し、前記接続部が、前記内部部材として、前記流動体導入部の内部に配されていること、を特徴とするものであると良い。
【0020】
かかる構成によれば、駆動部とロータとを動力伝達可能に接続するための接続部の存在によらず、流動体収容部におけるエア抜きを十分に行えると共に、流動体導入口とエア排出部との位置関係の自由度の高い吐出装置を提供できる。
【0021】
(7)上述した課題を解決すべく提供される本発明の吐出システムは、上述した本発明の吐出装置が複数、互いに前記ケーシングが近接するように配され、各吐出装置の前記流動体導入部及び前記エア排出部が、近接する他の吐出装置のケーシングから離れた位置に配されること、を特徴とするものである。
【0022】
かかる構成によれば、流動体導入口やエア排出部の存在を考慮して複数の吐出装置の間隔を調整する必要がなく、その分だけ各吐出装置のケーシング同士を十分近接するように配置することができる。従って、上述した構成によれば、エア抜きを十分に行えると共に、コンパクトな構成の吐出システムを提供できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ケーシングの内部において流動体が流出入する流動体収容部におけるエア抜きを十分に行えると共に、流動体導入口とエア排出部との位置関係の自由度の高い吐出装置、及び吐出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る吐出システムを示す正面図、(b)は(a)に示した吐出システムの右側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る吐出装置の構造を示した断面図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4図3のB-B断面図である。
図5図2の吐出装置を構成する第一ケーシング部を示す斜視図である。
図6】変形例に係る第一ケーシング及び第一封止支持部材を示す側面図である。
図7】(a)は図6の第一ケーシングの平面図、(b)は図6の第一ケーシングに同図に示した第一封止支持部材を組み込んだ状態を示す平面図である。
図8】第一変形例に係る吐出装置の構成を示した説明図である。
図9図8の吐出装置を用いて構成した吐出システムの変形例を示す説明図である。
図10】第二変形例に係る吐出装置の構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る吐出システム10、及び吐出装置20について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、先ず吐出システム10及び吐出装置20の構成について説明した後、吐出装置20が備えているエア排出部100及びこれに関連する構成、吐出システム10における吐出装置20の配置、吐出装置20におけるエア抜き作業の作業工程について詳細に説明する。
【0026】
≪吐出システム10、及び吐出装置20の構成について≫
吐出システム10は、例えば、主剤及び硬化剤からなる二液性接着剤等の流動体を、複数の系統(本実施形態では第一系統12及び第二系統14の二系統)で供給及び混合し、吐出するものである。図1に示すように、吐出システム10は、吐出装置20,20と、混合ユニット40を備えている。
【0027】
吐出装置20は、第一系統12用のもの、及び第二系統14用のものとして同一のものが用いられている。吐出装置20は、回転容積式のポンプによって構成されている。本実施形態においては、図2に示すように、吐出装置20は、いわゆる一軸偏心ねじポンプによって構成されている。吐出装置20は、ケーシング50の内部に、ロータ52、ステータ54、及び動力伝達機構56等を収容した構成とされている。ケーシング50は、金属製で筒状の部材であり、長手方向一端側に第一開口部60が設けられている。また、ケーシング50の外周部分には、第二開口部62が設けられている。第二開口部62は、ケーシング50の長手方向中間部分においてケーシング50の内部空間に連通している。
【0028】
第一開口部60及び第二開口部62は、それぞれ吐出装置20をなす一軸偏心ねじポンプの吸込口及び吐出口として機能する部分である。吐出装置20は、ロータ52を正方向に回転させることにより、第一開口部60を吐出口、第二開口部62を吸込口として機能させることができる。また、メンテナンス等のためにロータ52を逆方向に回転させることにより、第一開口部60を吸込口、第二開口部62を吐出口として機能させ、ケーシング50の内部空間等の洗浄等を行うことができる。
【0029】
ステータ54は、ゴム等の弾性体、又は樹脂等によって形成された略円筒形の外観形状を有する部材である。ステータ54の内周壁66は、n+1条(nは自然数)で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ステータ54は、2条で多段の雌ねじ形状とされている。また、ステータ54の貫通孔68は、ステータ54の長手方向のいずれの位置において断面視しても、その断面形状(開口形状)が略長円形となるように形成されている。
【0030】
ロータ52は、金属製の軸体であり、n条で単段あるいは多段の雄ねじ形状とされている。本実施形態においては、ロータ52は、1条で偏心した雄ねじ形状とされている。ロータ52は、長手方向のいずれの位置で断面視しても、その断面形状が略真円形となるように形成されている。ロータ52は、上述したステータ54に形成された貫通孔68に挿通され、貫通孔68の内部において自由に偏心回転可能とされている。
【0031】
ロータ52をステータ54に対して挿通すると、ロータ52の外周面70とステータ54の内周面66とが両者の接線で密接した状態になり、ステータ54の内周面66とロータ52の外周面70との間に流体搬送路72(キャビティ)が形成される。流体搬送路72は、ステータ54やロータ52の長手方向に向けて螺旋状に伸びている。
【0032】
流体搬送路72は、ロータ52をステータ54の貫通孔68内において回転させると、ステータ54内を回転しながらステータ54の長手方向に進む。そのため、ロータ52を回転させると、ステータ54の一端側から流体搬送路72内に流体を吸い込むと共に、この流体を流体搬送路72内に閉じこめた状態でステータ54の他端側に向けて移送し、ステータ54の他端側において吐出させることが可能である。
【0033】
動力伝達機構56は、駆動部74から上述したロータ52に対して動力を伝達するためのものである。動力伝達機構56は、動力伝達部76と接続部78とを有する。動力伝達部76は、ケーシング50の長手方向の一端側に設けられている。また、接続部78は、中間部64に設けられている。接続部78は、動力伝達部76とロータ52とを動力伝達可能なように接続する部分である。これにより、ロータ52はステータ54の内側において自転しつつ、ステータ54の内周面に沿って公転するように偏心回転可能とされている。接続部78は、従来公知のユニバーサルジョイントや、カップリングロッド、スクリューロッドなどによって構成されている。そのため、接続部78は、駆動部74を作動させることにより発生した回転動力をロータ52に伝達させ、ロータ52を偏心回転させることが可能である。
【0034】
混合ユニット40は、吐出装置20,20から供給されてきた流動体を混合して吐出するものである。混合ユニット40は、ミキサ部42を備えている。ミキサ部42は、例えばスタティックミキサ、モータ等の駆動源から動力を受けて作動する駆動スクリューを備えたダイナミックミキサ等によって構成される。本実施形態では、ミキサ部42は、スタティックミキサによって構成されている。
【0035】
≪エア排出部100及びこれに関連する構造について≫
上述した吐出装置20は、外部から流動体と共に流入したエアを排出するためのエア排出部100を備えている。以下、エア排出部100及びこれに関連する構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0036】
図2図3に示すように、エア排出部100は、吐出装置20のケーシング50のうち、動力伝達機構56が収容されている部分に設けられている。具体的には、ケーシング50は、第一ケーシング部50a、第二ケーシング部50b、第三ケーシング部50c、及び第四ケーシング部50dを有する。また、ケーシング50は、第一ケーシング部50a及び第二ケーシング部50bの間に第一封止支持部材102を有すると共に、第二ケーシング部50bと第三ケーシング部50cとの間に第二封止支持部材104を有する。
【0037】
第一ケーシング部50a及び第二ケーシング部50bは、それぞれ動力伝達機構56、及び駆動部74が収容される部分である。第三ケーシング部50cは、第一ケーシング部50a及び第二ケーシング部50bの間に設けられる部分である。また、第四ケーシング部50dは、ロータ52やステータ54からなるポンプ機構55が収容される部分である。エア排出部100は、ケーシング50を構成するこれらの部分のうち、第一ケーシング部50aをなす部分に設けられている。
【0038】
第一ケーシング部50aの内部には、外部から供給された流動体が収容される流動体収容部110が設けられている。流動体収容部110は、ポンプ機構55が収容される第四ケーシング部50dに連通しており、第一ケーシング部50aに供給された流動体を流体搬送路72に供給可能とされている。また、流動体収容部110の内部には、接続部78(内部部材)が配置されている。接続部78は、流動体収容部110の略軸心位置に配置された柱状のものであり、軸線方向に延びるように配置されている。
【0039】
また、第一ケーシング部50aにおいて、第三ケーシング部50c側の端部は、第一封止支持部材102及びシール部材106により、封止されている。具体的には、第一封止支持部材102は、リング状に形成された部材である。第一封止支持部材102は、第一ケーシング部50a及び第三ケーシング部50cにおいて、両者が接触する部分を座繰りすることにより形成された嵌込部120に嵌め込まれている。また、シール部材106は、第一封止支持部材102の軸心位置に設けられた開口部に嵌め込まれている。シール部材106には、軸状に形成された動力伝達部76が差し込まれている。これにより、動力伝達部76が一端側において回動自在に支持されると共に、第一ケーシング部50aは、第三ケーシング部50c側の端部において閉塞されている。なお、動力伝達部76は、第二ケーシング部50bと第三ケーシング部50cとの間に設けられた第二封止支持部材104及びシール部材107によって他端側(駆動部74側)において回転自在に支持されている。
【0040】
図5等に示すように、第一ケーシング部50aの周部には、流動体導入部108が設けられている。流動体導入部108は、流動体収容部110の内外に連通した流動体導入口108aを有する。これにより、流動体導入部108を介して流動体収容部110の内部に流動体を導入可能とされている。
【0041】
エア排出部100は、流動体収容部110の内部から外部にエアを排出する部分である。エア排出部100は、第一ケーシング部50aに対して第一封止支持部材102を分離可能に組み合わせることにより形成されている。具体的には、エア排出部100は、流動体収容部110と連通したエア排出路130を有する。エア排出路130は、上述した第一ケーシング部50aにおいて、嵌込部120を構成する第一座繰部122の底面124に形成された溝126と第一封止支持部材102とを用いて形成されている。
【0042】
図5等に示すように、溝126は、樋状に形成されており、その中間部分において外部に開放された形状とされている。エア排出路130は、嵌込部120に嵌め込まれた第一封止支持部材102によって溝126の開放部分を閉じることにより、エアが通過可能な周方向排出路132を構成している(図4等参照)。また、図5に示すように、周方向排出路132は、第一封止支持部材102を取り外すことにより、溝126を外部に開放できる。周方向排出路132は、流動体収容部110の周方向に延びるように形成されている。本実施形態では、周方向排出路132は、流動体収容部110の周方向に中心角が約90度の円弧をなすように延びている。また、エア排出路130は、周方向排出路132の一端側にエア排出部入口134、周方向排出路132の他端側に連通した軸線方向排出路136を介して外部に連通したエア排出部出口138を有する。
【0043】
エア排出部入口134は、周方向排出路132の一端側において流動体収容部110に連通した開口である。エア排出部入口134は、流動体収容部110の内部に設けられた柱状の接続部78を介して流動体導入部108に対して反対側において開口している。すなわち、エア排出部入口134は、流動体導入部108に対して周方向に対向する位置に設けられている。また、エア排出部入口134は、流動体導入部108に対し、流動体を吐出するときに重力方向上側となる位置(ポンプ機構55とは反対側/駆動部74側)に設けられている。
【0044】
軸線方向排出路136は、周方向排出路132の他端側に連通した通路である。軸線方向排出路136は、周方向排出路132の他端側において、第一ケーシング部50aに対して軸線方向に延びる孔を設けることにより形成されている。
【0045】
エア排出部出口138は、軸線方向排出路136の終端部に連通するように形成された開口によって構成されている。エア排出部出口138は、第一ケーシング部50aに対して軸線方向に対して交差する方向(本実施形態では略直交する方向/流動体収容部110の径方向)に延びる孔を設けることにより形成されている。エア排出部出口138の内周面には雌ネジが形成されている。これにより、外周部に雄ネジを備えたネジ軸を有する封止部材140をエア排出部出口138に着脱し、エア排出部出口138を開閉可能とされている。
【0046】
エア排出部出口138は、一端側にエア排出部入口134を有する周方向排出路132の他端側の位置に設けられている。そのため、エア排出部出口138は、エア排出部入口134に対して流動体収容部110の周方向に外れた位置にある。また、エア排出部出口138は、周方向排出路132の他端側において、流動体収容部110の軸線方向に形成された軸線方向排出路136の終端部に連通するように設けられている。そのため、エア排出部出口138は、エア排出部入口134に対して軸線方向に外れた位置にある。
【0047】
エア排出路130は、エア排出部入口134を介して流動体収容部110からエア排出部100に入る空気の流入方向と、エア排出部出口138から排出される空気の排出方向とが、ねじれの関係となるように各部が構成されている。また、流動体導入部108から流動体収容部110に対して流動体と共にエアが導入される方向と、エア排出部出口138から排出される空気の排出方向とが、ねじれの関係となるように各部が構成されている。
【0048】
≪吐出システム10における吐出装置20の配置について≫
吐出システム10は、上述したように第一系統12用の吐出装置20(以下、「吐出装置20A」とも称す)と、及び第二系統14用の吐出装置20(以下、「吐出装置20B」とも称す)とを備えている。吐出装置20は、上述したように、流動体導入部108とエア排出部出口138とが周方向に外れた位置(本実施形態では略90度離れた位置)にある。
【0049】
そこで、図1に示すように、吐出システム10においては、吐出装置20A,20Bのエア排出部出口138,138が正面側を向くと共に、正面視で左側にある吐出装置20Aの流動体導入部108が吐出システム10の左側方、右側にある吐出装置20Bの流動体導入部108が吐出システム10の右側方を向くように配置されている。これにより、吐出装置20A,20Bの間隔を最小限に抑制しつつ、吐出装置20A,20Bへの流動体の導入や、エア抜き作業を吐出システム10から吐出装置20A,20Bを取り外すことなく行える。
【0050】
≪吐出装置20におけるエア抜き作業の作業工程について≫
吐出装置20に対して流動体を導入する際のエア抜き作業は、例えば次のような手順により行うことができる。具体的には、吐出装置20は、ケーシング50内に形成された流動体収容部110が空の状態で、流動体導入部108に対して接続された流路により、流動体タンクや供給ポンプなどを備えた流動体の供給源に接続される。エア抜き作業を行う場合には、エア排出部出口138に装着された封止部材140を取り外すことにより、エア排出路130を大気開放された状態にする。この状態において流動体導入部108から流動体を導入すると、流動体収容部110の内部に配された柱状の接続部78の周囲を回り込むようにして流動体が流入する。これにより、流動体収容部110が流動体によって満たされていく。
【0051】
上述したようにして流動体収容部110に流動体を導入する過程において、流動体と共に流動体収容部110に流入したエアは、接続部78の周囲を回り込み、流動体導入部108の反対側にあるエア排出部入口134を介してエア排出路130に流入する。エア排出路130に流入したエアは、周方向排出路132及び軸線方向排出路136を介してエア排出部出口138に到達し、流動体収容部110の外部に排出される。本実施形態では、エア排出部入口134が、流動体導入部108に対して接続部78をなすシャフトを挟んで反対側、かつ、流動体収容部110の重力方向最上部付近(第一封止支持部材102の略直下)にあるので、流動体収容部110内にエア溜まりができず、流動体収容部110の全体に亘って流動体で満たされた状態になる。また、流動体収容部110が形成された第一ケーシング部50aに対して連通した第四ケーシング部50dにおいては、ポンプ機構55をなすロータ52及びステータ54が密着して形成されたシール線により封止されている。そのため、吐出装置20は、ポンプ機構55側においてエアは出入りしない。
【0052】
上述したようにして流動体収容部110から十分にエアが抜けた状態になれば、エア排出部出口138に封止部材140を装着し、エア排出路130を封止する。その後、吐出装置20を作動させ、ステータ54内に形成された流体搬送路72(キャビティ)についても流動体で満たす。また、必要に応じて、流体搬送路72から流動体を吐出させる(捨て打ちする)。これにより、吐出装置20におけるエア抜き作業が完了し、流動体の吐出準備が整った状態になる。
【0053】
上述した実施形態に係る吐出装置20、及びこれを用いた吐出システム10によれば、以下の(1)~(8)のような効果が得られる。
【0054】
(1)本実施形態の吐出装置20は、流動体導入部108に対して連通するように設けられた流動体導入口108aと、エア排出部入口134とを有する。また、エア排出部入口134は、流動体導入部108の内部に配された接続部78を介し、流動体導入口108aに対して反対側において設けられている。そのため、流動体導入口108aから流動体と共に流動体導入部108にエアが流入した場合に、エアは、接続部78を反対側にあるエア排出部入口134を介して流動体導入部108から排出される。本実施形態の吐出装置20は、このような構成とされているため、流動体導入部108に流入したエアを、エア排出部入口134を介して十分排出することができる。
【0055】
(2)本実施形態の吐出装置20は、エア排出部100が、エア排出部入口134から排出されたエアの通路となるエア排出路130を備えている。さらに、エア排出路130は、エア排出部入口134に対して流動体収容部110の周方向及び軸線方向のいずれか一方又は双方に外れた位置において、流動体収容部110の外部に連通したエア排出部出口138を有する。従って、本実施形態の吐出装置20は、エア排出部出口138を流動体導入口108aの位置に拘束されることなく、流動体収容部110の周方向及び軸線方向のいずれか一方又は双方に外れた位置に設けることができる。
【0056】
(3)本実施形態の吐出装置20は、流動体収容部110の内部に配置される内部部材として接続部78が、流動体収容部110の軸線方向に延びる軸状のものとされている。このような構成とされているため、流動体収容部110の内部に流入したエアを、流動体収容部110の軸心位置において軸線方向に延びるように配置された接続部78の外周を回り込んで、流動体導入口108aの反対側に設けられたエア排出部入口134に到達するように移動させ、十分に排出させることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、接続部78を内部部材とした例を示したが、本発明はこれに限定されず、流動体収容部110の内部に配置される各種の部材を内部部材とすることができる。
【0058】
(4)本実施形態の吐出装置20は、エア排出部入口134が、流動体導入口108aに対し、流動体を吐出するときに重力方向上側となる位置に設けられている。これにより、吐出装置20は、流動体収容部110の内部に流入したエアをより一層確実に流動体収容部110の外部に排出させることができる。なお、本実施形態では、エア排出部入口134を流動体導入口108aに対して重力方向上側となる位置に設けた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、エア排出部入口134を流動体導入口108aに対して重力方向上側としなくても十分エア抜きができる場合などして十分な効果が達成できる場合や、他の効果を優先する場合などには、エア排出部入口134を流動体導入口108aと重力方向に同じ位置や、重力方向下側としても良い。
【0059】
(5)上述した吐出装置20は、エア排出部入口134を介して流動体収容部110からエア排出部100に入る空気の流入方向と、エア排出部出口138から排出される空気の排出方向とが、ねじれの関係にある。これにより、吐出装置20は、流動体導入部108から流動体収容部110に入った空気を、流動体導入部108に対して反対側の位置とは異なる方向に排出させることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、流動体収容部110からエア排出部100に入る空気の流入方向と、エア排出部出口138から排出される空気の排出方向とが、ねじれの関係となるようにした吐出装置20の例を示したが、例えば両方向が交差するように吐出装置20の構成を変更しても、同様の効果が期待できる。
【0061】
(6)上述した本実施形態の吐出装置20は、エア排出部100の少なくとも一部が、複数の構成部材を分離可能に組み合わせたものとされており、エア排出部100を構成する構成部材の一部又は全部を他の構成部材から分離することにより、エア排出路130が開放されるものとされている。具体的には、エア排出部100は、第一ケーシング部50aに対して第一封止支持部材102を分離可能に組み合わせることにより形成されている。これにより、吐出装置20は、第一ケーシング部50aから第一封止支持部材102を分離してエア排出路130を開放させ、エア排出路130の内部を清掃したり、メンテナンスを施したりすることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、エア排出部100を構成する構成部材の一部又は全部を他の構成部材から分離することにより、エア排出路130を開放できるようにした吐出装置20を例示したが、本発明はこれに限定されない。エア排出路130の清掃やメンテナンスを別の手段によって行える場合や、分解清掃等を考慮しなくても良い場合などにおいては、必ずしも前述したように分解可能な構成としなくても良い。
【0063】
また、本実施形態では、第一ケーシング部50aの第一座繰部122に円弧状の溝126を設け、第一座繰部122に第一封止支持部材102によって溝126の開放部分を閉じることにより、エアが通過可能な周方向排出路132を構成した例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図6図7に示すように、第一ケーシング部50aの第一座繰部122に、溝126に代えて、天面側だけでなく流動体収容部110側にも円弧状の窪み150を設けると共に、第一封止支持部材102側に円弧状の壁152を設けた構成とし、第一座繰部122に第一封止支持部材102を嵌め込むことにより両者の間に溝126に相当する隙間154を形成可能としても良い。かかる構成とした場合についても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0064】
(7)上述した本実施形態の吐出装置20は、駆動部74と、雄ねじ型の軸体によって構成されたロータ52と、ロータ52を挿通可能であって内周面が雌ねじ型に形成されたステータ54と、ロータ52がステータ54の内側において自転しつつ、ステータ54の内周面に沿って公転するように偏心回転可能なように駆動部74とロータ52とを動力伝達可能に接続する接続部78とを有し、接続部78が内部部材として、流動体導入部108の内部に配されているものである。これにより、吐出装置20は、駆動部74とロータ52とを動力伝達可能に接続するための接続部78の存在によらず、流動体収容部110におけるエア抜きを十分に行えると共に、流動体導入口108aとエア排出部100との位置関係の自由度の高いものとすることができる。なお、本実施形態では、吐出装置20を一軸偏心ねじポンプとした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば後に変形例として詳述するように、他のタイプの吐出装置としても良い。
【0065】
(8)上述した吐出システム10は、二つの吐出装置20,20が、互いにケーシング50が近接するように配され、各吐出装置20の流動体導入部108及びエア排出部100が、近接する他の吐出装置20のケーシング50から離れた位置に配されたものとされている。これにより、吐出システム10は、流動体導入口108aやエア排出部100の存在を考慮して複数の吐出装置20の間隔を調整する必要がなく、その分だけ各吐出装置20のケーシング50同士を十分近接するように配置することができる。従って、上述した吐出システム10は、エア抜きを十分に行えると共に、コンパクトな構成のものとすることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、二つの吐出装置20,20を用いて吐出システム10を構築した例を例示したが、本発明はこれに限定されず、さらに多数の吐出装置20を備えたものであっても良い。また、本実施形態では、吐出システム10として二液性接着剤等の流動体を混合して吐出するものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、吐出システム10は、混合ユニット40を備えず、各吐出装置20から個別に流動体を吐出可能なもの等としても良い。また、本実施形態では、吐出装置20を吐出システム10に用いた例を示したが、本発明はこれに限定されず、吐出装置20を単体で用いるものとしても良い。
【0067】
≪第一変形例≫
上記実施形態では、一軸偏心ねじポンプからなる吐出装置20にエア排出部100を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8に示す吐出装置220のように、ニードルバルブ式の吐出装置において、吐出装置20のエア排出部100と同様の構成とされたエア排出部260を設けても良い。以下、吐出装置220の構成について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0068】
吐出装置220は、ケーシング230、ニードル240、アクチュエータ250、及びエア排出部260を有する。吐出装置220において、ケーシング230は、上記実施形態のケーシング50に相当するものである。図示状態において、ケーシング230の下端側となる位置には、吐出口232が設けられており、外部に連通している。また、ケーシング230の上端側には天面部230aが設けられている。これにより、流動体を収容可能な流動体収容部234が内部に形成されている。また、ケーシング230の外周部には、上記実施形態の流動体導入部108に相当する流動体導入部236が設けられている。流動体導入部236は、ケーシング230の上端側において流動体収容部234に連通している。
【0069】
ニードル240は、ケーシング230の天面部230aに設けられた挿通孔230bを介して軸線方向に進退可能とされている。吐出装置220は、ニードル240の先端部を吐出口232に差し込んだ状態にすることにより、吐出口232を閉塞できる。また、吐出装置220は、ニードル240の先端部を吐出口232から抜き去った状態にすることにより、吐出口232を開くことができる。ニードル240は、流動体収容部234内において軸線方向に延びるように配置された内部部材である。
【0070】
アクチュエータ250は、ニードル240の基端側(図示状態において天面部230aの上方側)に配置されている。アクチュエータ250は、ニードル240に接続されており、ニードル240を軸線方向に進退させることができる。
【0071】
エア排出部260は、上記実施形態のエア排出部100に相当するものである。エア排出部260は、上述したエア排出路130に相当する通路をケーシング230に設けたものとされている。具体的には、エア排出部260は、一端側にエア排出部入口262を有し、他端側にエア排出部出口264を備えたエア排出路266を有する。エア排出部入口262及びエア排出部出口264は、それぞれ上述したエア排出部入口134及びエア排出部出口138に相当するものである。
【0072】
エア排出部入口262は、流動体収容部234に連通するように開口している。本変形例では、エア排出部入口262は、流動体導入部236に対し、内部部材であるニードル240を介して反対側において開口している。すなわち、エア排出部入口262は、流動体導入部236に対して流動体収容部234の周方向に外れた位置にある。また、エア排出部入口262は、流動体導入部236に対して流動体収容部234の軸線方向に外れた位置(本変形例では流動体導入部236よりも上方側)にある。
【0073】
また、エア排出部出口264は、流動体収容部234(ケーシング230)の外部に連通するように開口している。エア排出部出口264は、流動体導入部236に対して軸線方向下方側に離れた位置に設けられている。エア排出部出口264は、封止部材140と同様の封止部材272を着脱することにより開閉可能とされている。
【0074】
エア排出路266は、上述したエア排出部入口262とエア排出部出口264とを繋ぐように、ケーシング230に形成されている。図示例では、エア排出路266は、エア排出部入口262から軸線方向に延びる軸線方向排出路268と、軸線方向排出路268の終端部からエア排出部出口264に至るように流動体収容部234(ケーシング230)の周方向に延びるように形成された周方向排出路270とを有する。
【0075】
本変形例の吐出装置220のような構成とすることにより、上述した実施形態の吐出装置20についての(1)~(6)と同様の作用効果が得られる。また、図9に示すように、吐出装置220を複数(図示例では4基)並べて配置した吐出システム210を構築することにより、各吐出装置220からワークWに対して流動物を吐出可能とすることができる。このような吐出システム210によれば、上記実施形態の吐出システム10についての(8)と同様の作用効果が得られる。
【0076】
なお、本変形例では、吐出装置220をニードルバルブ式の吐出装置とした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ジェット式ディスペンサや、ピストン式ディスペンサなどにおいて、吐出装置220と同様の構成を採用することができる。
【0077】
≪第二変形例≫
上述した第一変形例では、ニードルバルブ式の吐出装置220を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すスクリュー式の吐出装置320のようなものとしても良い。以下、吐出装置320の構成について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態や上記第一変形例と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0078】
吐出装置320は、ケーシング330、スクリュー340、モータ350、及びエア排出部360を有する。吐出装置320において、ケーシング330は、上記実施形態のケーシング50や第一変形例のケーシング230に相当するものである。図示状態において、ケーシング330の下端側となる位置には、吐出口332が設けられており、外部に連通している。また、ケーシング330の上端側には天面部230aが設けられている。これにより、流動体を収容可能な流動体収容部334が内部に形成されている。また、ケーシング330の外周部には、上記第一変形例の流動体導入部236と同様の流動体導入部336が設けられており、流動体収容部334に連通している。
【0079】
スクリュー340は、上下方向に延びる回転軸342に対し、回転翼344を設けたものとされている。回転軸342は、ケーシング330の天面部330aに設けられた挿通孔330bを介してモータ350に接続されている。スクリュー340は、流動体収容部334内において軸線方向に延びるように配置された内部部材である。
【0080】
エア排出部360は、上記実施形態のエア排出部100や、第一変形例のエア排出部260に相当するものである。エア排出部360は、上述したエア排出路130,266に相当する通路をケーシング330に設けたものとされている。具体的には、エア排出部360は、一端側にエア排出部入口362を有し、他端側にエア排出部出口364を備えたエア排出路366を有する。
【0081】
エア排出部入口362は、流動体収容部334に連通するように開口している。本変形例では、エア排出部入口362は、流動体導入部336に対し、内部部材であるスクリュー340を介して反対側において開口している。エア排出部入口362は、流動体導入部336に対して流動体収容部334の周方向及び軸線方向に外れた位置にある。
【0082】
また、エア排出部出口364は、流動体収容部334(ケーシング330)の外部に連通するように開口している。エア排出部出口364は、流動体導入部336に対して軸線方向上方側に離れた位置に設けられている。エア排出部出口264は、封止部材140と同様の封止部材372を着脱することにより開閉可能とされている。
【0083】
エア排出路366は、上述したエア排出部入口362とエア排出部出口364とを繋ぐように、ケーシング330に形成されている。
【0084】
本変形例の吐出装置320のような構成とすることにより、上述した実施形態の吐出装置20についての(1)~(6)と同様の作用効果が得られる。また、吐出装置320を複数並べることにより、上記実施形態の吐出システム10や、第一変形例の吐出システム210と同様に、上記(8)の作用効果が得られる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えば、主剤及び硬化剤からなる二液性接着剤のように、複数の流体を混合して吐出することが求められる流体を吐出する多液混合吐出装置の全般において好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 :吐出システム
20 :吐出装置
50 :ケーシング
52 :ロータ
54 :ステータ
74 :駆動部
76 :動力伝達部
78 :接続部(内部部材)
100 :エア排出部
108 :流動体導入部
108a :流動体導入口
110 :流動体収容部
130 :エア排出路
134 :エア排出部入口
138 :エア排出部出口
210 :吐出システム
220 :吐出装置
230 :ケーシング
234 :流動体収容部
236 :流動体導入部
240 :ニードル(内部部材)
260 :エア排出部
262 :エア排出部入口
264 :エア排出部出口
266 :エア排出路
320 :吐出装置
330 :ケーシング
334 :流動体収容部
336 :流動体導入部
340 :スクリュー(内部部材)
360 :エア排出部
362 :エア排出部入口
364 :エア排出部出口
366 :エア排出路
【要約】
【課題】ケーシングの内部において流動体が流出入する流動体収容部におけるエア抜きを十分に行えると共に、流動体導入口とエア排出部との位置関係の自由度の高い吐出装置、及び吐出システムの提供を目的とした。
【解決手段】吐出装置20は、流動体導入部108と、流動体収容部110の内部に配置される接続部78と、エア排出部100とを有する。エア排出部100は、流動体収容部110と連通したエア排出路130を有する。エア排出路130は、接続部78を介して流動体導入口108aに対して反対側において流動体収容部110に連通したエア排出部入口134と、エア排出部入口134に対して流動体収容部110の周方向及び軸線方向のいずれか一方又は双方に外れた位置において流動体収容部110の外部に連通したエア排出部出口138とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10