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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ペット用おむつ
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022018997
(22)【出願日】2022-02-09
【審査請求日】2022-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721011383
【氏名又は名称】株式会社フローブ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】小森 あかり
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174879(JP,A)
【文献】登録実用新案第3196746(JP,U)
【文献】特開2005-333954(JP,A)
【文献】特開2019-022466(JP,A)
【文献】特開2009-240278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットに装着され、柔軟性を有する生地により形成されたおむつ本体と、所定の剛性を有し、前後方向に延びる略板状体の空間保持部と、前記おむつ本体の内部空間を仕切る仕切部と、を備え、
前記おむつ本体は、前記ペットの少なくとも臀部を覆う、略筒状に形成可能な被覆部と、前記被覆部に連接された略袋状の糞収容部と、を有し、
前記仕切部は、前記ペットの尻尾が挿通され、前記ペットの肛門と前記糞収容部の内部空間とを連通させる連通孔が設けられた、仕切部本体を有し、
前記糞収容部は、前記ペットの尻尾を外部に露出させる尻尾挿通孔を含み、
前記空間保持部は、前記糞収容部の上部に、前記尻尾挿通孔の前方側に隣接して設けられ
前記仕切部本体は、所定の剛性を有し、上下方向に立設された略板状体であり、その下端辺を軸に前後方向に傾倒可能に構成されている、ペット用おむつ。
【請求項2】
ペットに装着され、柔軟性を有する生地により形成されたおむつ本体と、所定の剛性を有し、前後方向に延びる略板状体の空間保持部と、前記おむつ本体の内部空間を仕切る仕切部と、を備え、
前記おむつ本体は、前記ペットの少なくとも臀部を覆う、略筒状に形成可能な被覆部と、前記被覆部に連接された略袋状の糞収容部と、を有し、
前記仕切部は、前記ペットの尻尾が挿通され、前記ペットの肛門と前記糞収容部の内部空間とを連通させる連通孔が設けられた、仕切部本体と、前記仕切部本体の上端に連結され、前後方向に延びることで前記空間保持部と対向する補助部と、を有し、
前記糞収容部は、前記ペットの尻尾を外部に露出させる尻尾挿通孔を含み、
前記空間保持部は、前記糞収容部の上部に、前記尻尾挿通孔の前方側に隣接して、且つ前記おむつ本体の内周面に設けられ、
前記空間保持部及び前記補助部の少なくとも何れか一方には、それぞれを着脱可能に連結し、前後方向に伸びる着脱手段が設けられている、ペット用おむつ。
【請求項3】
前記糞収容部は、その内部に設けられた糞回収袋を含み、
前記糞回収袋は、その開口が前記連通孔と連通し、前記仕切部に着脱可能に取付けられている、請求項1又は2に記載のペット用おむつ。
【請求項4】
前記糞収容部は、前記おむつ本体を前記ペットに装着した状態において、その内部空間の下部が、前記被覆部の下部よりも下方に位置するように構成されている、請求項1~3の何れかに記載のペット用おむつ。
【請求項5】
前記連通孔は、前記仕切部において、前記被覆部の底面から所定の間隔を空けて設けられている、請求項1に記載のペット用おむつ。
【請求項6】
前記連通孔は、正面視で、上下方向に伸び、上方に向かうに伴い漸次幅狭となる形状である、請求項1~5の何れかに記載のペット用おむつ。
【請求項7】
前記被覆部には、前記ペットの尿を吸収する尿パッドを着脱可能な、尿パッド取付部が設けられている、請求項1~6の何れかに記載のペット用おむつ。
【請求項8】
前記尿パッド取付部は、前記尿パッドを前記ペットの後躯寄りの位置に取付ける第一取付部と、前記尿パッドを前記ペットの中躯寄りの位置に取付ける第二取付部と、を含む、請求項7に記載のペット用おむつ。
【請求項9】
前記第一取付部は、前記尿パッドの後方への移動を抑制するストッパー部を含む、請求項8に記載のペット用おむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫等のペットに装着されるペット用おむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、犬や猫等のペットに装着されるおむつが広く販売されてきた
【0003】
しかし、従来のペット用おむつは、尿の吸収のみを目的とするものであり、糞の回収については考慮されていない、という問題点があった。
【0004】
このような問題点を解決するために、特許文献1には、おむつの中で尿および糞を分けることにより、尿および糞の処理にかかる手間を軽減するペット用おむつに関する発明が提案されている。
【0005】
このペット用おむつには、腹当て部の内側且つペットの肛門寄りの股の位置に、糞の収納部が、肛門側に口を開口して、袋状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-228884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のペット用おむつであっても、ペットの肛門の下に配置されるポケットの開口を、糞が入る程度の大きさに維持することが困難な場合が多く、また、糞によってペットの身体が汚れてしまう等、使い勝手が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、より利便性を向上させたペット用おむつを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ペットに装着され、柔軟性を有する生地により形成されたおむつ本体と、所定の剛性を有し、前後方向に延びる略板状体の空間保持部と、前記おむつ本体の内部空間を仕切る仕切部と、を備え、
前記おむつ本体は、前記ペットの少なくとも臀部を覆う、略筒状に形成可能な被覆部と、前記被覆部に連接された略袋状の糞収容部と、を有し、
前記仕切部は、前記ペットの尻尾が挿通され、前記ペットの肛門と前記糞収容部の内部空間とを連通させる連通孔が設けられた、仕切部本体を有し、
前記糞収容部は、前記ペットの尻尾を外部に露出させる尻尾挿通孔を含み、
前記空間保持部は、前記糞収容部の上部に、前記尻尾挿通孔の前方側に隣接して設けられている。
【0010】
本発明によれば、空間保持部により、糞収容部の内部空間の容積が、安定的に保持され、内部空間が必要以上に潰れることで、排便時のペットに身体が汚れてしまう事態を抑制することが可能となる。
そして、連通孔を介して、ペットの糞をスムーズに糞収容部の内部に収容することが可能となる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記糞収容部は、その内部に設けられた糞回収袋を含み、
前記糞回収袋は、その開口が前記連通孔と連通し、前記仕切部に着脱可能に取付けられている。
【0012】
このような構成とすることで、糞回収袋の内部に糞を収容することができ、使用者は、適宜、糞が溜まった糞回収袋をおむつ本体から取外し、新たなものに付け替えることで、本ペット用おむつを繰り返し用いることが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記糞収容部は、前記おむつ本体を前記ペットに装着した状態において、その内部空間の下部が、前記被覆部の下部よりも下方に位置するように構成されている。
【0014】
このような構成とすることで、糞収容部の下方に溜まった糞が被覆部側に移動しにくくなり、これにより、ペットに身体が汚れてしまう事態を、より効果的に抑制することが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記仕切部本体は、所定の剛性を有し、上下方向に立設された略板状体であり、その下端辺を軸に前後方向に傾倒可能に構成されている。
【0016】
このような構成とすることで、使用時には、おむつ本体の形態の安定性を高め、不使用時には、おむつ本体をコンパクトな形態とすることができる上、糞収容部内部の糞の回収作業が容易となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記連通孔は、前記仕切部において、前記被覆部の底面から所定の間隔を空けて設けられている。
【0018】
このような構成とすることで、仕切部が障害となり、糞収容部の下方に溜まった糞が、より被覆部側に移動しにくくなる。
これにより、ペットに身体が汚れてしまう事態を、より効果的に抑制することが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記連通孔は、正面視で、上下方向に伸び、上方に向かうに伴い漸次幅狭となる形状である。
【0020】
このような構成とすることで、連通孔に挿通された尻尾の左右方向のブレを抑制し、安定的な装着状態とすると共に、肛門と糞収容部の内部空間とを確実に連通させることができ、糞が被覆部の内部に収容される事態を抑制することが可能となる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記空間保持部は、前記おむつ本体の内周面に設けられ、
前記仕切部は、前記仕切部本体の上端に連結され、前後方向に延びることで空間保持部と対向する補助部を含み、
前記空間保持部及び前記補助部の少なくとも何れか一方には、それぞれを着脱可能に連結し、前後方向に伸びる着脱手段が設けられている。
【0022】
このような構成とすることで、空間保持部と補助部との前後方向に沿った連結位置を、着脱手段により調整することで、連通孔と尻尾挿通孔との間の距離を調整することが可能となる。
これにより、例えば、尻尾が短いペットであっても、確実に尻尾挿通孔に尻尾を挿通させた装着状態とすることが可能となる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記被覆部には、前記ペットの尿を吸収する尿パッドを着脱可能な、尿パッド取付部が設けられている。
【0024】
このような構成とすることで、本ペット用おむつで、排便のみならず、排尿に対しても対応することが可能となる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記尿パッド取付部は、前記尿パッドを前記ペットの後躯寄りの位置に取付ける第一取付部と、前記尿パッドを前記ペットの中躯寄りの位置に取付ける第二取付部と、を含む。
【0026】
このような構成とすることで、例えば犬のように、雄雌で尿排出口が異なるペットに対しても、雄雌に応じて、適切な取付け位置を選択し、確実に尿を吸収することが可能となる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記第一取付部は、前記尿パッドの後方への移動を抑制するストッパー部を含む。
【0028】
このような構成とすることで、尿パッドのズレにより、おむつ本体が尿で汚れてしまう事態を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、より利便性を向上させたペット用おむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係るペット用おむつの全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るペット用おむつを示す図であって、(a)PP´線断面図、(b)QQ´線断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るペット用おむつのRR´線断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るペット用おむつにおいて、仕切部を前方に傾倒させた状態でのPP´線断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るペット用おむつの使用方法の説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るペット用おむつの使用方法の説明図である。
図7】本発明の実施形態に係るペット用おむつの使用方法の説明図である。
図8】本発明の実施形態に係るペット用おむつの使用方法の説明図である。
図9】本発明の実施形態に係るペット用おむつの使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係るペット用おむつについて説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係るペット用おむつを示す。
【0032】
ここで、以下説明の便宜上、図1に示すx軸方向を前後方向、y軸方向を左右方向、z軸方向を鉛直方向と称し、x軸方向における矢印側を前方、y軸方向における矢印側を左方、z軸方向における矢印側を上方と称する。
【0033】
図1及び図2に示すように、ペット用おむつXは、ペットP(図6等参照)に装着され、柔軟性を有する生地により形成されたおむつ本体1と、所定の剛性を有し、前後方向に延びる略板状体の空間保持部2と、おむつ本体1の内部空間を仕切る仕切部3と、を備えている。
なお、空間保持部2は、おむつ本体1の内周面に設けられており、図1(及び図6)において、外部から見た、空間保持部2が設けられている位置を、太い破線で示している。
【0034】
おむつ本体1は、ペットPの臀部から腰部を覆う、略筒状に形成可能な被覆部11と、被覆部11に連接された略袋状の糞収容部12と、を有している。
なお、おむつ本体1は、例えば、紙おむつに用いられる不織布や、織物(通常の布)等で形成することができる。
【0035】
被覆部11は、ペットPの臀部を含む後躯の略全周を覆う第一被覆部11aと、ペットPの腰部を含む中躯の略全周を覆う第二被覆部11bと、により構成されている。
第一被覆部11a及び第二被覆部11bは、その周縁にロック縫いが施されることで、端部処理がなされている。
【0036】
なお、図1及び図2(a)において、説明の便宜上、第一被覆部11aと第二被覆部11bとの境界部、第一被覆部11aと糞収容部12との境界部、それぞれを細い一点鎖線で示している。
また、例えば、第一被覆部11a、第二被覆部11bの後述する上方部11b1、及び糞収容部12は、一枚の生地で形成することができる。
そして、第一被覆部11a、及び第二被覆部11bの後述する下方部11b2を、細い一点鎖線で示した境界部周縁で縫合することで、おむつ本体1を形成することができる。
【0037】
第一被覆部11aには、その左右側部に、ペットPの両脚を挿通させる脚挿通孔m(図6参照)を形成するための、丸みを帯びた切除部tが形成されており、切除部tの周縁は、ペットPの両脚の太さに合わせて伸縮自在な立体ギャザ―として構成されている。
【0038】
第二被覆部11bは、第一被覆部11aの上部前端から延設された上方部11b1と、左右方向に延びる下方部11b2と、により構成されている。
【0039】
上方部11b1には、その上面(外部に露出している面)に、略長方形状の面ファスナーfが設けられている。
【0040】
下方部11b2には、その両端部に、略長方形状の面ファスナーfが設けられている。
また、下方部11b2の右端部には、図示を省略するが、図1で示されている面と対向する面にも、同様の面ファスナーfが設けられている。
【0041】
被覆部11について、さらに詳述すれば、被覆部11には、ペットPの尿を吸収する尿パッドU(図5参照)を着脱可能な、尿パッド取付部Wが設けられている。
【0042】
尿パッド取付部Wは、尿パッドUをペットPの後躯寄りの位置に取付ける第一取付部W1と、尿パッドUをペットPの中躯寄りの位置に取付ける第二取付部W2と、を含む。
【0043】
第一取付部W1は、第一被覆部11aの底部且つ内部に、前後方向に間隔を置いて設けられた一対の取付紐W11と、尿パッドUの後方への移動を抑制するストッパー部W12と、を含む。
【0044】
各取付紐W11は、それぞれ、その両端部が第一被覆部11aの左右縁部に連結されたゴム紐である。
このように、尿パッドUを、各取付紐W11(或いは後述する各取付紐W21)により取付ける構成とすることで、尿による被覆部11の汚れを極力抑え、被覆部11内部の衛生状態を良好に維持することができる。
【0045】
ストッパー部W12は、図2(a)に示すように、略長方形状のメッシュ生地であり、その後方縁部及び左右縁部が第一被覆部11aに縫合されることで、前方が開口した袋状に構成されている。
このように、ストッパー部W12をメッシュ生地とすることで、ストッパー部W12に尿が付着した場合でも、速乾性を向上させ、被覆部11内部の衛生状態を良好に維持することができる。
【0046】
第二取付部W2は、第二被覆部11bの底部且つ内部に、左右方向に間隔を置いて設けられた一対の取付紐W21を含む。
【0047】
各取付紐W21は、それぞれ、その両端部が下方部11b2の前後縁部に連結されたゴム紐である。
【0048】
糞収容部12は、ペットPの尻尾T(図6等参照)を外部に露出させる尻尾挿通孔12aと、その内部に設けられた糞回収袋12bと、を含む。
【0049】
尻尾挿通孔12aは、その開口端が巾着状に構成され、コードストッパーcにより、開口の絞り度合いを自在に調整可能に構成されている。
また、尻尾挿通孔12aの内周面には、シート状の滑り止め部材s(図3等参照)が設けられている。
これにより、使用者は、尻尾挿通孔12aを、尻尾Tの外周に確実にフィットさせることができると共に、尻尾Tの前後方向のブレを抑制できるため、ペット用おむつXの安定的な装着状態が維持される。
【0050】
糞回収袋12bは、その開口が後述する連通孔Hと連通し、仕切部3に着脱可能に取付けられている。
なお、糞回収袋12bは、例えば、防水・消臭性を有する素材により形成される、消臭剤が添加される等して、防水・消臭効果が付与された、柔軟性を有する袋体である。
【0051】
詳述すれば、糞回収袋12bは、本実施形態においては、後述する仕切部本体31の後面下部に、面ファスナーf(図4参照)を用いて着脱可能に取付けられている。
また、糞回収袋12bは、本実施形態においては、上記の他、糞収容部12の後部内面にも、面ファスナーfを用いて着脱可能に取付けられている。
なお、図2(a)や後述する図4等のPP´線断面図、後述する図3等のRR´線断面図において、糞回収袋12bを糞収容部12の後部内面に取付る面ファスナーfや、後述する支持部33を糞収容部12の内周面に取付る面ファスナーfは、点線の四角枠、或いは灰色の太い実線で示している。
【0052】
空間保持部2は、糞収容部12の上部且つ内周面に、尻尾挿通孔12aの前方側に隣接して設けられている。
また、空間保持部2は、本実施形態においては、糞収容部12から被覆部11(第一被覆部11a)に亘って設けられている。
なお、空間保持部2は、例えば、厚紙や合成樹脂等、一定の可撓性を有する素材で構成することが好ましい。
【0053】
仕切部3は、連通孔Hが設けられた、仕切部本体31と、仕切部本体31の上端に連結され、前後方向に延びることで空間保持部2と対向する補助部32と、仕切部本体31を支持する一対の支持部33と、を含む。
【0054】
仕切部本体31は、所定の剛性を有し、上下方向に立設された略板状体であり、その下端辺を軸に前後方向に傾倒可能に構成されている。
即ち、仕切部本体31は、その下端辺が、第一被覆部11aの下部に縫合等されることで、被覆部11に連結されている。
なお、仕切部本体31は、例えば、厚紙や合成樹脂等、一定の可撓性を有する素材で構成することが好ましい。
【0055】
また、仕切部本体31の前面及び後面には、防水シールrが貼り付けられている。
これにより、仕切部本体31に糞の汚れが付着しにくくなる。
【0056】
補助部32は、仕切部本体31の上端から前方に向かって延設されており、仕切部本体31と同様に、所定の剛性を有する略板状体である。
これにより、使用時の、おむつ本体1の形態の安定性をより高めることができる。
また、補助部32は、仕切部本体31に対して、その連結部分で折曲げ自在に構成されている。
【0057】
ここで、空間保持部2及び補助部32の双方には、それぞれを着脱可能に連結し、前後方向に伸びる着脱手段Jが設けられている(図3参照)。
着脱手段Jは、本実施形態においては、面ファスナーであるが、一方或いは双方に設けられた粘着テープや、双方に設けられた磁性部材等で構成されていても良い。
【0058】
各支持部33は、仕切部本体31の左右側方に、連通孔Hに巻回される等して連結された薄生地であり、それぞれの端部が、糞収容部12の内周面に対して、着脱可能に連結されている。
これにより、各支持部33は、空間保持部2と連結された補助部32と共に、仕切部本体31の立設状態を安定的に維持している。
なお、各支持部33と糞収容部12の内周面とは、本実施形態においては、面ファスナーfを用いて着脱可能となされているが、粘着テープ等、種々の着脱手段を用いることができる。
【0059】
連通孔Hは、特に図2(b)に示すように、正面視で、上下方向に伸び、上方に向かうに伴い漸次幅狭となる形状であり、仕切部本体31において、被覆部11の底面から所定の間隔hを空けて設けられている。
詳述すれば、連通孔Hは、本実施形態においては、上底の長さが下底の長さよりも短く構成された略台形状である。
なお、連通孔Hの形状は、これに限られず、例えば略三角形状に構成しても良い。
【0060】
ここで、使用者は、着脱手段Jの係合状態、及び各支持部33と糞収容部12の内周面との係合状態を、それぞれ解除することで、図3(a)から図3(b)に示すように、仕切部3を前方に傾倒させることができる(矢印a1)。
また、使用者は、図3(b)に示した状態から、第一被覆部11a及び糞収容部12の上部を上方に持ち上げることで、ペット用おむつX全体を展開状態とすることができる。
【0061】
なお、図3は、ペット用おむつXの上部も含めたRR´線断面図であり、第二被覆部11bや第一取付部W1、コードストッパーcは省略している。
また、図3(a)において、糞回収袋12bに重畳している左方の支持部33と、これを糞収容部12の内周面に取付ける面ファスナーfを、点線で示している。
【0062】
このようにすることで、使用者は、図4にも示されるように、上面視或いは正面視で、糞回収袋12bの大部分を外部に露出させることができる。
なお、使用者は、着脱手段Jの係合状態を解除するのみでも、仕切部3を傾倒させることができるが、各支持部33と糞収容部12の内周面との係合状態を解除することで、糞回収袋12bの露出度合いを、より高めることができる。
【0063】
また、図3や後述する図7図9に示されるように、糞収容部12(糞回収袋12b)は、おむつ本体1をペットPに装着した状態において、その内部空間の下部が、被覆部11の下部よりも下方に位置するように構成されている。
【0064】
以下、図5図9を用いて、ペット用おむつXの使用方法について説明する。
なお、本実施形態においては、ペット用おむつXが装着されるペットPを犬とした例を示すが、猫やうさぎ等の四足歩行を行う、他のペットにも装着可能である。
【0065】
まず、使用者は、図5に示すように、尿パッド取付部Wに、略長方形状の尿パッドUを取付ける。
【0066】
ここで、ペットPが雌である場合、使用者は、図5(a)に示すように、第一取付部W1に尿パッドUを取付ける。
即ち、使用者は、尿パッドUの中腹部を、各取付紐W11と第一被覆部11aとで挟持させ、尿パッドUの後端部をストッパー部W12の内部に挿通することで、尿パッドUを第一取付部W1に取付ける。
これにより、尿パッドUが前後方向に延びた態様となり、ペット用おむつXを装着した際、雌のペットPの尿排出口を覆うこととなる。
【0067】
また、ペットPが雄である場合、使用者は、図5(b)に示すように、第二取付部W2に尿パッドUを取付ける。
即ち、使用者は、尿パッドUの両端部を、各取付紐W21と第二被覆部11bとで挟持させることで、尿パッドUを第二取付部W2に取付ける。
これにより、尿パッドUが左右方向に延びた態様となり、ペット用おむつXを装着した際、雄のペットPの尿排出口を覆うこととなる。
【0068】
次に、使用者は、図6に示すように、ペット用おむつXをペットPに装着する。
【0069】
詳述すれば、使用者は、図1に示す第二被覆部11bが展開された状態のペット用おむつXに、後方からペットPの後躯を挿通させる。
即ち、使用者は、連通孔H及び尻尾挿通孔12aに、ペットPの尻尾Tを挿通させた後、ペット用おむつX全体を前方に引張ることで、ペットPの臀部を仕切部本体31に当接させる。
【0070】
これにより、第一被覆部11aがペットPの後躯の略全周を被覆すると共に、ペットPの肛門と糞収容部12(糞回収袋12b)の内部空間とが連通する。
なお、ペット用おむつX全体が前方に引張られることで、仕切部本体31は、その可撓性により、ペットPの臀部にフィットするように湾曲する。
【0071】
また、使用者は、下方部11b2右端部の一方の面ファスナーfと上方部11b1の面ファスナーfとを連結させた後、下方部11b2右端部の他方の面ファスナーfと下方部11b2左端部の面ファスナーfとを連結させる。
【0072】
これにより、略筒状となった第二被覆部11bがペットPの中躯の略全周を被覆すると共に、ペットPの両脚が脚挿通孔mに挿通され、図6に示す状態となる。
【0073】
ペット用おむつXが装着されたペットPにおける、臀部を含む後躯は図7に示す状態となっている。
なお、図7(及び図9)において、ペット用おむつXは、図3と同様の断面図(脚挿通孔m、支持部33は省略)として示し、ペットPは、臀部を含む後躯のみを示している。
【0074】
図7(a)に示すように、尻尾Tがある程度長いペットPの場合、排便しない通常時、即ち尻尾Tが垂れ下がった状態においては、糞収容部12全体を臀部に向かって押圧する動作等により、糞収容部12(糞回収袋12b)の内部空間が潰れることとなる。
しかし、糞収容部12に空間保持部2が設けられていることで、通常時においても、糞収容部12(糞回収袋12b)の内部空間の容積が一定以上保持されることとなる。
【0075】
そして、図7(b)に示すように、ペットPが尻尾Tを上方に持ち上げ、排便すると、糞pが、糞回収袋12bの内部にスムーズに収容されることとなる。
【0076】
また、使用者は、糞回収袋12b内部の糞pの溜まり具合等から、適宜、糞回収袋12bをおむつ本体1から取外し、新たな糞回収袋12bに付け替えることができる。
詳述すれば、使用者は、ペットPからペット用おむつXを脱がし、着脱手段Jの係合状態や、各支持部33と糞収容部12の内周面とのの係合状態を解除することで、図3(b)及び図4に示したように、ペット用おむつXを展開状態とする。
【0077】
これにより、糞回収袋12bの大部分が外部に露出するため、使用者は、容易に糞回収袋12bにおける各面ファスナーfの係合状態を解除することで、糞回収袋12bをおむつ本体1から取外し、新たな糞回収袋12bに付け替えることができる。
【0078】
ここで、仮に、糞収容部12に空間保持部2が設けられていない場合、尻尾Tの動作やペットPが座った際等により、糞収容部12(糞回収袋12b)の内部空間が潰れ過ぎてしまう場合がある。
そして、この状態で、ペットPが排便すると、ペットPの臀部と糞回収袋12bの内周面との間に糞pが挟まる等して、ペットPの身体が汚れてしまう。
【0079】
このところ、ペット用おむつXは、上記構成により、糞pを糞回収袋12bの内部にスムーズに収容し、糞pの身体への付着を抑制すると共に、糞回収袋12bの交換も容易に行うことができる。
【0080】
さらに、使用者は、前後方向に沿った、補助部32に対する空間保持部2の取付け位置を変更することができる。
詳述すれば、使用者は、ペット用おむつXを、図8(a)に示す状態から、着脱手段Jの係合状態を解除し、空間保持部2を前方に移動させた位置で、再度着脱手段Jを係合状態とすることで、図8(b)に示す状態とすることができる。
即ち、使用者は、上記作業により、連通孔Hから尻尾挿通孔12aまでの距離dを短くすることができる。
なお、図8において、ペット用おむつXは、図3と同様の断面図(支持部33は省略)として示している。
【0081】
これにより、図9に示すように、使用者は、ペットPにおける尻尾Tの長さが短い場合であっても、尻尾Tを尻尾挿通孔12aに挿通させることができるため、尻尾Tが糞収容部12内部で垂れ下がることで、尻尾Tが糞pにより汚れてしまうことがない。
なお、使用者は、図8(a)に示す状態から、空間保持部2を後方に移動させた位置で、着脱手段Jを係合状態とすることで、連通孔Hから尻尾挿通孔12aまでの距離dを長くすることもできる。
【0082】
以上より、上記構成のペット用おむつXは、以下のような効果を奏する。
【0083】
即ち、空間保持部2により、糞収容部12(糞回収袋12b)の内部空間の容積が、安定的に保持され、内部空間が必要以上に潰れることで、排便時のペットに身体が汚れてしまう事態を抑制することが可能となる。
そして、連通孔Hを介して、ペットPの糞pをスムーズに糞回収袋12bの内部に収容することが可能となる。
【0084】
また、糞回収袋12bにより、使用者は、適宜、糞が溜まった糞回収袋をおむつ本体から取外し、新たなものに付け替えることで、ペット用おむつXを繰り返し用いることが可能となる。
【0085】
また、糞回収袋12bの内部空間の下部が、被覆部11の下部よりも下方に位置するように構成されていることで、糞回収袋12bの下方に溜まった糞pが被覆部11側に移動しにくくなる。
これにより、ペットPに身体が汚れてしまう事態を、より効果的に抑制することが可能となる。
【0086】
また、仕切部本体31の構成により、使用時には、おむつ本体1の形態の安定性を高め、不使用時には、おむつ本体1をコンパクトな形態とすることができる上、糞回収袋12b内部の糞の回収作業が容易となる。
【0087】
また、連通孔Hが仕切部本体31において、被覆部11の底面から所定の間隔を空けて設けられていることで、仕切部本体31が障害となり、糞回収袋12bの下方に溜まった糞が、より被覆部11側に移動しにくくなる。
これにより、ペットPに身体が汚れてしまう事態を、より効果的に抑制することが可能となる。
【0088】
また、連通孔Hの形状により、連通孔Hに挿通された尻尾Tの左右方向のブレを抑制し、安定的な装着状態とすると共に、肛門と糞回収袋12bの内部空間とを確実に連通させることができ、糞pが被覆部11の内部に収容される事態を抑制することが可能となる。
【0089】
また、着脱手段Jにより、空間保持部2と補助部32との前後方向に沿った連結位置を、調整することで、連通孔Hと尻尾挿通孔12aとの間の距離を調整することが可能となる。
これにより、例えば、尻尾が短いペットPであっても、確実に尻尾挿通孔12aに尻尾Tを挿通させた装着状態とすることが可能となる。
【0090】
また、尿パッド取付部Wにより、ペット用おむつXで、排便のみならず、排尿に対しても対応することが可能となる。
【0091】
また、尿パッド取付部Wが、第一取付部W1と、第二取付部W2と、を含むことで、例えば犬のように、雄雌で尿排出口が異なるペットPに対しても、雄雌に応じて、適切な取付け位置を選択し、確実に尿を吸収することが可能となる。
【0092】
また、第一取付部W1が、尿パッドUの後方への移動を抑制するストッパー部W12を含むことで、尿パッドUのズレにより、おむつ本体1が尿で汚れる事態を抑制することが可能となる。
【0093】
上記の通り、ペット用おむつXは、糞回収袋12bの交換、或いは尿パッドUの交換を行うのみで、繰り返しの使用が可能な、環境負荷の少ないエコな物品である。
この他、決まった場所での排泄が難しい老犬・老猫や、障害を持つ動物を飼っている使用者は、自身のペットに、ペット用おむつXを装着することで、ペット自身の身体が汚れず、また、室内が汚されることもなく、ペットと共に快適に生活することができる。
また、都市部等の、自由に排便・排尿させることが難しい場所であっても、使用者は、自身のペットに、ペット用おむつXを装着することで、安心して上記場所を散歩したり、ドッグカフェ等で休憩を取ったりすることができる。
【0094】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0095】
X ペット用おむつ
1 おむつ本体
11 被覆部
12 糞収容部
2 空間保持部
3 仕切部
31 仕切部本体
32 補助部
33 支持部
J 着脱手段
W 尿パッド取付部
U 尿パッド
P ペット
T 尻尾
p 糞
【要約】
【課題】より利便性を向上させたペット用おむつを提供する。
【解決手段】ペットPに装着され、柔軟性を有する生地により形成されたおむつ本体1と、所定の剛性を有し、前後方向に延びる略板状体の空間保持部2と、おむつ本体1の内部空間を仕切る仕切部3と、を備え、おむつ本体1は、ペットPの少なくとも臀部を覆う、略筒状に形成可能な被覆部11と、被覆部11に連接された略袋状の糞収容部12と、を有し、仕切部3は、ペットPの尻尾Tが挿通され、ペットPの肛門と糞収容部12の内部空間とを連通させる連通孔Hが設けられた、仕切部本体31を有し、糞収容部12は、ペットPの尻尾Tを外部に露出させる尻尾挿通孔12aを含み、空間保持部2は、糞収容部12の上部に、尻尾挿通孔12aの前方側に隣接して設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9