(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20220617BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B65D5/52 K
B65D5/54 301Z
(21)【出願番号】P 2018177589
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 千夏
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3180326(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0256391(US,A1)
【文献】特開2013-166561(JP,A)
【文献】特開2017-19547(JP,A)
【文献】登録実用新案第3174218(JP,U)
【文献】特開2013-224171(JP,A)
【文献】特開2008-162659(JP,A)
【文献】特開2019-14483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器であって、
内容物を収容するための内側容器と、
前記内側容器を収容するように構成される外側容器と、
を備え、
前記内側容器は、前記包装容器の底面を構成する底部と、前記底部から伸びる第1側壁部と、を備え、
前記第1側壁部は、前記底部から前記第1側壁部の上端まで伸びる2本の破断線によって画定される第1破断部を有し、
前記外側容器は、前記内側容器の前記第1側壁部に接触する第2側壁部を備え、
前記第2側壁部は、前記第2側壁部の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線によって画定される第2破断部を有し、
前記第1破断部と前記第2破断部とは固定されている、包装容器。
【請求項2】
前記第1側壁部の前記2本の破断線のそれぞれは、前記底部から前記第1側壁部の上端に向かうにつれて前記第1側壁部の外側方向に傾斜している、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記内側容器は、さらに、前記底部から伸びる第3側壁部であって、前記第1側壁部に対向する前記第3側壁部を備え、
前記第3側壁部は、前記底部から上方に向かって伸びる2本の破断線によって画定される第3破断部を有し、
前記外側容器は、さらに、前記内側容器の前記第3側壁部に接触する第4側壁部であって、前記第2側壁部に対向する前記第4側壁部を備え、
前記第4側壁部は、前記第4側壁部の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線によって画定される第4破断部を有し、
前記第3破断部と前記第4破断部とは固定されている、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記外側容器は、さらに、
前記第2側壁部に対して直交すると共に前記第2側壁部に連続する第5側壁部と、
前記第2側壁部と前記第5側壁部との間に形成されている切り欠き部と、を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項5】
前記内側容器の前記底部は、前記第1破断部の下端に沿って形成されている孔を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、内側容器と、内側容器を収容するように構成される外側容器と、を備える包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、販売用陳列ケースとなる本体と、本体の上部の開口を閉塞する蓋体と、を備える包装箱が開示されている。本体は、底部と左側板と正面板と右側板と背面板とを備える。本体の正面板は、正面板の上端から正面板の中央部分まで伸びる破断線によって区画される正面分離板を有する。蓋体は、蓋板と左側板と正面板と右側板と背面板とを備える。蓋体の正面板は、正面板の下端から上方に向かって伸びる破断線によって区画される正面分離板を有する。本体の正面分離板と蓋体の正面分離板とは糊付けされている。蓋体の正面分離板を破断するための力が加えられると、蓋体の正面分離板とともに本体の正面分離板も破断される。これにより、本体と蓋体とを分離することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-224171号公報
【文献】特開2008-162659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように本体が販売用陳列ケースとなる包装箱では、本体に収容される内容物を顧客により見やすいようにすることが望まれる。本明細書では、包装容器の内側容器に収容される内容物をより見やすくするための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される包装容器は、内容物を収容するための内側容器と、前記内側容器を収容するように構成される外側容器と、を備え、前記内側容器は、前記包装容器の底面を構成する底部と、前記底部から伸びる第1側壁部と、を備え、前記第1側壁部は、前記底部から前記第1側壁部の上端まで伸びる2本の破断線によって画定される第1破断部を有し、前記外側容器は、前記内側容器の前記第1側壁部に接触する第2側壁部を備え、前記第2側壁部は、前記第2側壁部の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線によって画定される第2破断部を有し、前記第1破断部と前記第2破断部とは固定されていてもよい。
【0006】
上記の構成によると、内側容器の第1破断部と外側容器の第2破断部とが固定されているので、第1破断部と第2破断部とを同時的に破断させることができる。そして、第1破断部は、底部から第1側壁部の上端まで伸びる2本の破断線によって画定される。従って、第1破断部を破断させることによって、底部から上端まで伸びる大きな開口を第1側壁部に形成することができる。これにより、内側容器に収容される内容物を、開口を介して、より見やすくすることができる。
【0007】
前記第1側壁部の前記2本の破断線のそれぞれは、前記底部から前記第1側壁部の上端に向かうにつれて前記第1側壁部の外側方向に傾斜していてもよい。上記の構成によると、第1破断部が破断されることによって形成される開口が、底部から上端に向かうにつれて広くなる。これにより、外部から見える内容物の範囲が広くなる。従って、包装容器の内側容器に収容される内容物をより見やすくすることができる。
【0008】
前記内側容器は、さらに、前記底部から伸びる第3側壁部であって、前記第1側壁部に対向する前記第3側壁部を備え、前記第3側壁部は、前記底部から上方に向かって伸びる2本の破断線によって画定される第3破断部を有し、前記外側容器は、さらに、前記内側容器の前記第3側壁部に接触する第4側壁部であって、前記第2側壁部に対向する前記第4側壁部を備え、前記第4側壁部は、前記第4側壁部の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線によって画定される第4破断部を有し、前記第3破断部と前記第4破断部とは固定されていてもよい。上記の構成によると、内側容器の第3側壁部が有する第3破断部と、外側容器の第2側壁部に対向する第4側壁部が有する第4破断部と、が固定されている。このために、第1側壁部と第2側壁部とが固定されている状態と、第1側壁部に対向する第3側壁部と第2側壁部に対向する第4側壁部とが固定されている状態と、が実現される。従って、内側容器と外側容器とが意図せず分離することを抑制することができる。そして、第1破断部と第2破断部とを同時的に破断させ、かつ、第3破断部と第4破断部とを同時的に破断させることによって、外側容器を内側容器から分離させることができる。
【0009】
前記外側容器は、さらに、前記第2側壁部に対して直交すると共に前記第2側壁部に連続する第5側壁部と、前記第2側壁部と前記第5側壁部との間に形成されている切り欠き部と、を備えてもよい。一般的に、内側容器を収容する外側容器は、内側容器に密着するように設計される。しかしながら、外側容器を内側容器に密着させると、外側容器から内側容器に力が加えられ、内側容器と外側容器とを分離することが困難となる場合がある。上記の構成によると、外側容器の第2側壁部と第5側壁部との間に切り欠き部が形成されている。これにより、内側容器と外側容器とを密着させても、外側容器から内側容器に加えられる力を切り欠き部から包装容器の外部に逃がすことができる。内側容器と外側容器とを分離することが困難となることを抑制し得る。
【0010】
前記内側容器の前記底部は、前記第1破断部の下端に沿って形成されている孔を備えてもよい。上記の構成によると、ユーザは、当該孔に指を挿入して第1破断部の下端を保持することができるので、第1破断部を容易に破断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図10】第1実施例の包装容器の開封方法を説明するための斜視図を示す。
【
図11】
図11に続く第1実施例の包装容器の開封方法を説明するための斜視図を示す。
【0012】
(第1実施例)
図1~
図12を参照して、第1実施例の包装容器2の構造を説明する。図面及び以下の説明では、前後上下左右を規定しているが、理解の容易化のために便宜的に規定したものである。前後上下左右の各方向は、
図1で示す方向に合わせて、
図2以降も規定されている。
【0013】
包装容器2は、食品、日用品等の内容物を収容するための容器である。
図1は、封緘される前の包装容器2の斜視図を示す。包装容器2の上方の開口から内容物が包装容器2内に収容された後に、例えばテープ等を用いて包装容器2が封緘される。封緘された後の包装容器2は、略直方体形状を有する。
【0014】
包装容器2は、内容物を収容するための内側容器50(
図11参照)と、内側容器50を収容するための外側容器10と、を備える。外側容器10及び内側容器50は、例えば段ボール紙から成形されるが、段ボール紙以外の紙から成形されてもよい。また、外側容器10及び内側容器50は、紙に限定されず、プラスチック等から成形されてもよい。さらに、外側容器10と内側容器50とが異なる材料から成形されてもよい。
【0015】
図2は、包装容器2の正面図を示す。包装容器2の正面は、外側容器10の外側正面板12によって構成されている。外側正面板12は、破断部13を有する。破断部13は、外側正面板12の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線30,31と、2本の破断線30,31のそれぞれの上端を結ぶ1本の破断線32と、によって画定されている。各破断線30~32は、ミシン目によって構成されている。
【0016】
図3は、包装容器2の右側面図を示す。包装容器2の右側面は、外側容器10の外側右側板14によって構成される。外側右側板14は、外側正面板12に直交すると共に外側正面板12に連続している。外側正面板12と外側右側板14との間には、切り欠き部15aが形成されている。また、外側右側板14は、外側背面板16に直交すると共に外側背面板16に連続している。外側右側板14と外側背面板16との間には、切り欠き部15bが形成されている。外側容器10に切り欠き部15a,15bが形成されているので、内側容器50と外側容器10とを密着させても、外側容器10から内側容器50に加えられる力を切り欠き部15a,15bから包装容器2の外部に逃がすことができる。内側容器50と外側容器10とを分離することが困難となることを抑制し得る。
【0017】
図4は、包装容器2の背面図を示す。包装容器2の背面は、外側容器10の外側背面板16によって構成される。外側背面板16は、外側正面板12に対向しており、破断部17を有する。破断部17は、外側背面板16の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線33,34によって画定される。各破断線33,34は、ミシン目によって構成されている。2本の破断線33,34のそれぞれの上端を結ぶ破断線は設けられておらず、2本の破断線33,34のそれぞれの上端を結ぶ折曲線49が設けられている。このために、破断部17を破断させても、破断部17が外側背面板16に接続されている状態が維持される。また、外側背面板16は、包装容器2の左端(
図4の右端)を超える長さを有しており、外側背面板16のうちの当該左端を超える部分16a(以下では「延長部分16a」と呼ぶ)は、前側に折り曲げられている。
【0018】
図5は、包装容器2の左側面図を示す。包装容器2の左側面は、外側容器10の外側左側板18によって構成される。外側左側板18は、外側正面板12に直交すると共に連続している。また、外側左側板18の外側表面には、外側背面板16のうちの上記の延長部分16aが接着されている。外側左側板18は、外側背面板16のうちの上記の延長部分16aを除く部分(即ち
図4で見える部分)に直交している。
【0019】
図6は、包装容器2の平面図を示す。包装容器2の上面は、外側容器10の外側上面板20a,20b,20c,20dによって構成される。外側上面板20aは、外側正面板12に直交すると共に連続している。外側上面板20bは、外側右側板14に直交すると共に連続している。外側上面板20cは、外側背面板16に直交すると共に連続している。外側上面板20dは、外側左側板18に直交すると共に連続している。
【0020】
図7は、包装容器2の底面図を示す。包装容器2の底面は、内側容器50の底部60によって構成される。
図7に示されるように、外側容器10の各板12~18によって外側容器10の下端側に開口が形成されており、当該開口に内側容器50が収容されている。
【0021】
続いて、
図8及び
図9を参照して、外側容器10及び内側容器50の構造をより詳細に説明する。
図8及び
図9では、折曲線が破線で示されている。また、理解の容易化のために、
図8及び
図9では、接着剤等が塗布される領域にハッチングを付している。
【0022】
図8は、外側容器10を成形するための展開体11を示す。展開体11は、外側正面板12と、外側右側板14と、外側背面板16を成形するための延長部分16a及び板16bと、外側上面板20a~20dと、を備える。以下では、展開体11から外側容器10を成形する手順を説明する。なお、以下で説明する手順の順序は、適宜入れ替えてもよい。
【0023】
まず、外側正面板12が折曲線40において紙面奥側(以下では単に「奥側」と記載する)に90度折り曲げられる。次いで、外側右側板14が折曲線41において奥側に90度折り曲げられる。また、板16bが折曲線42において奥側に90度折り曲げられ、延長部分16aが折曲線43において奥側に90度折り曲げられる。そして、延長部分16aが外側左側板18の外側表面に接着剤等によって接着される。これにより、外側正面板12と外側右側板14と外側背面板16と外側左側板18とが成形される。
【0024】
外側正面板12の破断部13は、折曲線48によって区画される下端部13aと上端部13bとを有する。下端部13aは、内側容器50に接触する。
【0025】
各外側上面板20a~20dは、包装容器2に内容物を収容した後に成形される。まず、外側上面板20aが折曲線44において奥側に90度折り曲げられる。また、外側上面板20cが折曲線46において奥側に90度折り曲げられる。次いで、外側上面板20bが折曲線45において奥側に90度折り曲げられる。そして、外側上面板20dが折曲線47において奥側に90度折り曲げられる。
【0026】
図9は、内側容器50を成形するための展開体51を示す。展開体51は、内側正面板52と、内側右側板54と、内側背面板56と、内側左側板58を成形するための延長部分58a及び板58bと、底部60を成形するための複数枚の板60a~60fと、を備える。以下では、展開体51から内側容器50を成形する手順を説明する。なお、以下で説明する手順の順序は、適宜入れ替えてもよい。
【0027】
まず、内側正面板52が折曲線80において奥側に90度折り曲げられる。また、内側右側板54が折曲線81において奥側に90度折り曲げられる。次いで、内側背面板56が折曲線82において奥側に90度折り曲げられる。そして、延長部分58aが、折曲線83において奥側に90度折り曲げられ、内側背面板56の内側表面に接着剤等によって接着される。これにより、内側容器50の内側正面板52と内側右側板54と内側背面板56と内側左側板58とが成形される。
【0028】
内側正面板52は、底部60から内側正面板52の上端まで伸びる2本の破断線70,71によって画定される破断部53を有する。破断部53は、外側容器10の破断部13の下端部13aの内側表面に接着剤等によって接着される。また、2本の破断線70,71のそれぞれは、底部60から内側正面板52の上端に向かうにつれて内側正面板52の外側方向(即ち、
図9の左右方向)に傾斜している。これにより、破断部53が破断されることによって形成される開口が、底部60から上端に向かうにつれて広くなる。これにより、外部から見える内容物の範囲が広くなる。従って、包装容器2の内側容器50に収容される内容物をより見やすくすることができる。
【0029】
内側背面板56は、破断部57を有する。破断部57は、底部60から上方に向かって伸びる2本の破断線72,74と、2本の破断線72,74のそれぞれの上端を結ぶ1本の破断線73と、によって画定されている。破断部57は、外側容器10の破断部17の内側表面に接着剤等によって接着される。このために、内側正面板52の破断部53と外側正面板12の破断部13とが固定されている状態と、内側背面板56の破断部57と外側背面板16の破断部17とが固定されている状態と、が実現される。従って、内側容器50と外側容器10とが意図せず分離することを抑制することができる。そして、内側正面板52の破断部53と外側正面板12の破断部13と同時的に破断させ、かつ、内側背面板56の破断部57と外側背面板16の破断部17とを同時的に破断させることによって、外側容器10を内側容器50から分離させることができる。
【0030】
次いで、底部60が成形される。まず、板60aが折曲線84において奥側に90度折り曲げられ、板60bが折曲線85において奥側に90度折り曲げられる。次いで、板60cが折曲線86において奥側に90度折り曲げられる。板60dが板60bに接着剤等によって接着される。また、板60eが折曲線87において奥側に90度折り曲げられる。板60fが板60aに接着剤等によって接着される。これにより、底部60が成形される。
【0031】
なお、図示を省略しているが、底部60は、板60dを折曲線89において紙面手前側(以下では単に「手前側」と記載する)に折り曲げ、板60fを折曲線90において手前側に折り曲げるこれにより折り畳み可能に構成されている。これにより、包装容器2を折り畳んで保管することができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0032】
底部60の板60eは、内側正面板52の破断部53の下端に沿って形成されている孔61aを備える。これにより、ユーザは孔61aに指を挿入して破断部53の下端を保持することができるので、破断部53を容易に破断させることができる。
【0033】
底部60の板60bは、内側背面板56の破断部57の下端に沿って形成されている孔61bを備える。これにより、ユーザは孔61bに指を挿入して破断部57の下端を保持することができるので、破断部57を容易に破断することができる。
【0034】
なお、上記では、理解の容易化のために、
図8及び
図9を参照して、外側容器10を成形する手順と内側容器50を成形する手順とを別々に説明したが、包装容器2は外側容器10と内側容器50とが接着された状態で成形される。展開体11と展開体51とが接着された状態で形成されることによって、
図1に示す包装容器2が成形される。
【0035】
続いて、
図10及び
図11を参照して、包装容器2の開封方法を説明する。まず、ユーザは、底部60の孔61aに指を挿入して、内側容器50の破断部53及び外側容器10の破断部13を保持して、破断部53を破断するための力を加える。これにより、
図10に示すように、内側容器50の破断部53が、破断線70,71に沿って破断されると共に、外側容器10の破断部13が、破断線30,31,32に沿って破断される。これにより、包装容器2の正面に開口が形成される。
【0036】
ユーザは、底部60の孔61bに指を挿入して、内側容器50の破断部57と外側容器10の破断部17とを保持して、破断部57を破断するための力を加える。これにより、内側容器50の破断部57が、破断線72,73,74に沿って破断されると共に、外側容器10の破断部17が破断線33,34に沿って破断される。なお、2本の破断線33,34のそれぞれの上端を結ぶ破断線が設けられていないので、破断部17が外側背面板16に接続されている状態が維持される。各破断部13,17,53,57を破断させると、外側容器10と内側容器50とが分離可能となる。そして、
図11に示すように、外側容器10が上方に引き上げられることによって、外側容器10と内側容器50とが分離する。
【0037】
図12は、内側容器50の斜視図を示す。内側容器50は、底部60と、底部60から上方に伸びる内側正面板52と、内側右側板54と、内側背面板56と、内側左側板58と、を備える。内側容器50の内側正面板52には、破断部53が破断されることによって開口52aが形成されている。開口52aは、底部60から内側正面板52の上端まで伸びている。これにより、内側容器50に収容される内容物を、開口52aを介して、より見やすくすることができる。
【0038】
(対応関係)
内側正面板52、外側正面板12、内側背面板56、外側背面板16、外側右側板14が、それぞれ、「第1側壁部」、「第2側壁部」、「第3側壁部」、「第4側壁部」、「第5側壁部」の一例である。破断部53、破断部13、破断部57、破断部17が、それぞれ、「第1破断部」、「第2破断部」、「第3破断部」、「第4破断部」の一例である。
【0039】
(第2実施例)
続いて、
図13及び
図14を参照して、第2実施例を説明する。
図13は、第2実施例の外側容器10を成形するための展開体111を示す。展開体111は、外側正面板112と、外側右側板114を成形するための延長部分114a及び板114bと、外側背面板116と、外側左側板118と、を備える。外側正面板112と外側左側板118との間には、切り欠き部115aが形成されている。外側背面板116と外側左側板118の間には、切り欠き部115bが形成されている。
【0040】
外側正面板112は、破断部113を有する。
図13に示すように、破断部113は、第1実施例の破断部13よりも幅広い構造を有する。破断部113は、外側正面板112の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線130,131と、2本の破断線130,131のそれぞれの上端を結ぶ1本の破断線132と、によって画定されている。各破断線130~132は、ミシン目によって構成されている。破断部113は、折曲線148によって区画される下端部113aと上端部113bとを有する。下端部113aは、内側容器50に接触する。
【0041】
外側背面板116は、破断部117を有する。破断部117は、外側背面板116の下端から上方に向かって伸びる2本の破断線133,134によって画定される。各破断線133,134は、ミシン目によって構成されている。2本の破断線133,134のそれぞれの上端を結ぶ破断線は設けられておらず、2本の破断線133,134のそれぞれの上端を結ぶ折曲線149が設けられている。このために、破断部117を破断させても、破断部117が外側背面板116に接続されている状態が維持される。破断部117は、内側容器50に接触する。
【0042】
展開体111から外側容器を成形する手順を説明する。なお、以下で説明する手順の順序は、適宜入れ替えてもよい。まず、外側正面板112が折曲線140において奥側に90度折り曲げられる。次いで、板114bが折曲線141において奥側に90度折り曲げられ、延長部分114aが折曲線142において奥側に90度折り曲げられる。また、外側背面板116が折曲線143において奥側に90度折り曲げられ、延長部分114aが外側背面板116の外側表面に接着剤等によって接着される。これにより、外側正面板112と外側右側板114と外側背面板116と外側左側板118とが成形される。
【0043】
各外側上面板120a~120dは、包装容器2に内容物を収容した後に成形される。まず、外側上面板120bが折曲線145において奥側に90度折り曲げられる。また、外側上面板120dが折曲線147において奥側に90度折り曲げられる。次いで、外側上面板120aが折曲線144において奥側に90度折り曲げられる。そして、外側上面板120cが折曲線146において奥側に90度折り曲げられる。
【0044】
図14は、第2実施例の内側容器50を成形するための展開体151を示す。展開体151は、内側正面板152と、内側右側板154と、内側背面板156を成形するための延長部分156a及び板156bと、内側左側板158と、底部60を成形するための複数枚の板160a~160fと、を備える。
【0045】
内側正面板152は、底部60から内側正面板152の上端まで伸びる2本の破断線170,171によって画定される破断部153を有する。
図14に示すように、破断部153は、第1実施例の破断部53よりも幅広い構造を有する。破断部153は、外側容器10の破断部113の下端部113aの内側表面に接着剤等によって接着される。また、2本の破断線170,171のそれぞれは、底部60から内側正面板152の上端に向かうにつれて内側正面板152の外側方向(即ち、
図14の左右方向)に傾斜している。
【0046】
内側背面板156の板156bは、破断部157を有する。破断部157は、底部60から上方に向かって伸びる2本の破断線172,174と、2本の破断線172,174のそれぞれの上端を結ぶ1本の破断線173と、によって画定されている。破断部157は、外側容器10の破断部117の内側表面に接着剤等によって接着される。
【0047】
展開体151から内側容器50を成形する手順を説明する。なお、以下で説明する手順の順序は、適宜入れ替えてもよい。まず、内側正面板152が折曲線180において奥側に90度折り曲げられる。また、内側右側板154が折曲線181において奥側に90度折り曲げられる。次いで、板156bが折曲線182において奥側に90度折り曲げられる。そして、延長部分156aが折曲線183において奥側に90度折り曲げられ、内側右側板154の内側表面に接着剤等によって接着される。これにより、内側容器50の内側正面板152と内側右側板154と内側背面板156と内側左側板158とが成形される。
【0048】
次いで、底部60が成形される。まず、板160aが折曲線184において奥側に90度折り曲げられ、板160bが折曲線185において奥側に90度折り曲げられる。板160cが板160aに接着剤等によって接着される。次いで、板160dが折曲線186において奥側に90度折り曲げられ、板160eが折曲線187において奥側に90度折り曲げられる。板160fが板160dに接着剤等によって接着される。これにより、底部60が成形される。
【0049】
底部60の板160bは、内側正面板152の破断部153の下端に沿って形成されている孔161aを備える。これにより、ユーザは孔161aに指を挿入して破断部153の下端を保持することができるので、破断部153を容易に破断させることができる。
【0050】
底部60の板160eは、内側背面板156の破断部157の下端に沿って形成されている孔161bを備える。これにより、ユーザは孔161bに指を挿入して破断部157の下端を保持することができるので、破断部157を容易に破断することができる。
【0051】
本実施例の包装容器2の開封方法を説明する。本実施例においても、ユーザは、内側正面板152の破断部153と外側正面板112の破断部113と同時的に破断させ、かつ、内側背面板156の破断部157と外側背面板116の破断部117とを同時的に破断させることによって、外側容器10を内側容器50から分離させる。これにより、内側容器50の内側正面板152には、底部60から内側正面板152の上端まで伸びる開口が形成される。従って、内側容器50に収容される内容物を、当該開口を介して、より見やすくすることができる。
【0052】
(対応関係)
内側正面板152、外側正面板112、内側背面板156、外側背面板116、外側左側板118が、それぞれ、「第1側壁部」、「第2側壁部」、「第3側壁部」、「第4側壁部」、「第5側壁部」の一例である。破断部153、破断部113、破断部157、破断部117が、それぞれ、「第1破断部」、「第2破断部」、「第3破断部」、「第4破断部」の一例である。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0054】
(1)内側正面板52の2本の破断線70,71は、底部60から内側正面板52の上端に向かうにつれて内側正面板52の外側方向に傾斜していなくてもよい。例えば、2本の破断線70,71は、底部60から内側正面板52の上端まで底部60に対して垂直に伸びていてもよい。
【0055】
(2)外側背面板16が破断部17を有していなくてもよく、内側背面板56が破断部57を有していなくてもよい。本変形例では、「第3の破断部」、「第4の破断部」が省略可能である。
【0056】
(3)切り欠き部15a,15bが形成されていなくてもよい。本変形例では、「切り欠き部」が省略可能である。
【0057】
(4)底部60の孔61a及び61bが形成されていなくてもよい。本変形例では、「孔」が省略可能である。
【0058】
(5)上記の実施例では、外側正面板12の破断部13は、下端部13aと上端部13bとを有していたが、これに限らず、例えば、下端部13aのみを有していてもよい。即ち、外側正面板12の破断部13は、少なくとも内側正面板52の破断部53と接着する部分を有していればよい。
【0059】
(6)包装容器2は、下記の手順で成形されてもよい。まず、展開体11(
図8参照)と展開体51(
図9参照)とが接着される。即ち、内側正面板52の破断部53と外側容器10の破断部13(即ち、下端部13a)とが接着され、内側背面板56の破断部57と外側背面板16の破断部17とが接着される。次いで、板60a,60b,60c,60eが、それぞれ、折曲線84,85,86,87において奥側に180度折り曲げられ、板60d,60fが、それぞれ、折曲線89,90において手前側に180度折り曲げられる。また、外側正面板12、内側正面板52が、それぞれ、折曲線40,80において奥側に180度折り曲げられる。そして、板60fが板60aに接着される。また、外側背面板16の板16b、内側背面板56が、それぞれ、折曲線42,82において奥側に180度折り曲げられる。そして、外側背面板16の延長部分16aが外側左側板18の外側表面に接着され、内側左側板58の延長部分58aが内側背面板56の内側表面に接着され、板60dが板60bに接着される。この結果、包装容器2が折り畳まれた状態で成形される。なお、上記した手順の順序も、適宜入れ替えてもよい。
【0060】
(7)包装容器2の形状は、直方体に限られず、例えば、立方体等であってもよい。
【0061】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0062】
2:包装容器
10:外側容器
11,51,111,151:展開体
12,112:外側正面板
13,17,53,57,113,117,153,157:破断部
13a,113a:下端部
13b,113b:上端部
14,114:外側右側板
15a,15b,115a,115b:切り欠き部
16,116:外側背面板
16a,58a,114a,156a:延長部分
16b,58b,60a~60f,114b,156b,160a~160f:板
18,118:外側左側板
20a~20d,120a~120d:外側上面板
30~34,70~74,130~131,170~174:破断線
40~49,80~90,140~149,180~187:折曲線
50:内側容器
52,152:内側正面板
52a:開口
54,154:内側右側板
56,156:内側背面板
58,158:内側左側板
60:底部
61a,61b,161a,161b:孔