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特許7090386含有率測定方法及びこれを用いた改良土の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】含有率測定方法及びこれを用いた改良土の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/24 20060101AFI20220617BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20220617BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20220617BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20220617BHJP
   G01N 31/22 20060101ALI20220617BHJP
   C09K 17/10 20060101ALN20220617BHJP
   C09K 3/00 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
G01N33/24 D
E02D3/12 102
C09K17/06 P
G01N31/00 T
G01N31/22 122
C09K17/10 P
C09K3/00 S
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019122817
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021009067
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591160671
【氏名又は名称】奥村組土木興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宗久
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-153805(JP,A)
【文献】特開2007-248224(JP,A)
【文献】特開2016-188524(JP,A)
【文献】特開2001-232338(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187282(WO,A1)
【文献】土壌診断マニュアル~土壌測定診断室における分析法~ 改訂版 Ver.2,山口県農林総合技術センター,2016年06月02日,p.27
【文献】佐藤 厚子,北海道に分布する火山灰土の簡易判定法について,北海道開発土木研究所月報,2003年01月,No.596,p.19-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/24
G01N 31/00-31/22
E02D 3/12
C09K 17/00-17/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノールフタレイン紙に火山灰質粗粒土をこすり付けた後、フェノールフタレイン紙の外面に付着した該火山灰質粗粒土を払い落とし、該フェノールフタレイン紙において前記火山灰質粗粒土が残留する箇所に所定濃度のフッ化ナトリウム液を滴下し、該滴下を行った箇所の呈色状況を記録可能な色空間を用いて数値化し、この数値に基づいて活性アルミニウムを含む特定成分の粘土中含有率を求め
前記粘土中含有率に、前記火山灰質粗粒土に対する前記粘土の比率を乗じて、前記火山灰質粗粒土中の前記特定成分の含有率を算定する含有率測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の含有率測定方法により求めた前記含有率に基づいて、地盤改良に用いる前記火山灰質粗粒土に混合する改良材中の生石灰の添加割合、又は前記火山灰質粗粒土に混合する生石灰の添加割合を決定する改良土の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アロフェンを含有する火山灰質粗粒土の地盤改良工において、六価クロムが土壌環境基準を超過して溶出することを抑制するために、火山灰質粗粒土中のアロフェン等の含有率を求めるのに用いて好適な含有率測定方法、及びこれを用いた改良土の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現地発生土あるいは現地(現位置)地盤(以下、「現地発生土等」という。)を利用する道路土工等では、所要の地盤強度を得るために固化材による現地発生土等の改良が行われる。固化材の成分は主にセメント組成物であり、微量であるが六価クロムを含有する。
【0003】
一般的な現地発生土等を対象にした地盤改良においては、固化材の硬化の過程で生成されるセメントの水和物に六価クロムが固定されるので、得られる改良土から六価クロムが土壌環境基準を超過して溶出することはない。
【0004】
ところが、現地発生土等が火山灰質粗粒土の場合、改良土から六価クロムが溶出しやすくなる。これは、火山灰質粗粒土に含まれるアロフェンがセメントの水和反応を阻害してしまい、水和物が六価クロムを十分に固定できないことに起因すると考えられる。そのため、改良土から六価クロムが土壌環境基準を超過して溶出したり、改良土に必要な強度が発現しなかったりするなどの問題が生じる恐れがある。
【0005】
その対策として、現地発生土等に含まれるアロフェンを定量し、その定量結果に応じた量の生石灰を現地発生土等に添加する、といった改良を行うことが考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】北川靖夫、土壌中のアロフェンおよび非晶質無機成分の迅速定量法、日本土壌肥料學雜誌、1977年4月、48巻4号、pp.124-129
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のアロフェンの定量方法として、酸-アルカリ交互溶解法や200℃加熱減量法などが知られているが(非特許文献1参照)、いずれの定量方法も、結果が得られるまでに多くの日数(前者では5~7日以上、後者でも4日以上)を要する上、試験機器を装備した室内試験環境が不可欠であり、殆どの場合、試験機関に依頼することになり、試験費用が高額化する。
【0008】
以上の問題は、アロフェンのみに由来するものではなく、アロフェン(非結晶の珪酸アルミニウム粘土鉱物)と同様に活性アルミニウムを含む非晶質成分(非晶質粘土鉱物)に起因するものである。
【0009】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、活性アルミニウムを含むアロフェン等の特定成分の含有率を簡単かつ迅速に測定可能であり、ひいては六価クロム溶出の土壌環境基準の超過抑制の確実化にも資する含有率測定方法及びこれを用いた改良土の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る含有率測定方法は、フェノールフタレイン紙に火山灰質粗粒土をこすり付けた後、フェノールフタレイン紙の外面に付着した該火山灰質粗粒土を払い落とし、該フェノールフタレイン紙において前記火山灰質粗粒土が残留する箇所に所定濃度のフッ化ナトリウム液を滴下し、該滴下を行った箇所の呈色状況を記録可能な色空間を用いて数値化し、この数値に基づいて活性アルミニウムを含む特定成分の粘土中含有率を求め、前記粘土中含有率に、前記火山灰質粗粒土に対する前記粘土の比率を乗じて、前記火山灰質粗粒土中の前記特定成分の含有率を算定する(請求項1)。
【0011】
【0012】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る改良土の製造方法は、請求項1に記載の含有率測定方法により求めた前記含有率に基づいて、地盤改良に用いる前記火山灰質粗粒土に混合する改良材中の生石灰の添加割合、又は前記火山灰質粗粒土に混合する生石灰の添加割合を決定する(請求項2)。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、活性アルミニウムを含むアロフェン等の特定成分の含有率を簡単かつ迅速に測定可能であり、ひいては六価クロム溶出の土壌環境基準の超過抑制の確実化にも資する含有率測定方法及びこれを用いた改良土の製造方法が得られる。
【0014】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の含有率測定方法では、比較的簡単に入手可能なフェノールフタレイン紙やフッ化ナトリウム液(NaF試薬)、撮影機器等を用いるのみであり、複雑な手順も不要であるので、簡易かつ短時間に特定成分の含有率を測定でき、しかもフェノールフタレイン紙等を携帯すれば、現地での測定も可能である。その上、上記従来のように採取した現地発生土等におけるアロフェンの定量を試験機関に依頼する場合、高額になりがちな試験費用を抑えるためにサンプル数(採取数)を絞ると、その少なさが試験結果のばらつきや信頼性の低下に結びつきかねないが、本発明の含有率測定方法では、上記のように試験機関に定量を依頼する必要はないから、測定結果のばらつきの解消や信頼性向上を図るために、サンプル数を増やすことも容易となる。
【0015】
また、火山灰質粗粒土において特定成分が含まれているのは粘土のみであり、フェノールフタレイン紙には粘土と粘土に覆われたシルトが付着し、NaF試薬の滴下によりフェノールフタレイン紙に残留した粘土の中から特定成分を含んだ粘土が、いわば発色により抽出されることになる。このように、フェノールフタレイン紙の付着物において粘土分の占める割合が高く、特定成分を含んだ粘土の割合(粗密)を正確に測定することができ、ひいては火山灰質粗粒土中の特定成分の含有率の算定結果も正確なものとなる。
【0016】
請求項2に係る発明の改良土の製造方法は、改良土についての六価クロム溶出の土壌環境基準の超過抑制の確実化に資するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】模擬土の特定成分含有率と、関係式から求めた特定成分含有率との関係を概略的に示す説明図である。
図2】実際の火山灰質粗粒土についての特定成分含有率を、本発明の一実施形態に係る含有率測定方法により求めた結果(上3段)と、従来試験方法で求めた結果(下3段)とを示す説明図である。
図3図2に係る上記両結果の関係図である。
図4】アロフェンの含有率が5%~20%(5%刻み)の模擬土に混合するセメント系固化材における生石灰の添加率を変えた場合の、生石灰の添加量と六価クロムの溶出量との関係を示すグラフであり、横軸がアロフェン含有率、縦軸が六価クロムの溶出量、折れ線は生石灰の添加割合(%)を示している。
図5】アロフェンの含有率が2%の土に対するセメント系固化材の添加量別に、生石灰の添加量と六価クロムの溶出量との関係を示す棒グラフであり、横軸が生石灰添加率、縦軸が六価クロムの溶出量、棒グラフは固化材の添加量を示している。
図6】生石灰の添加率が2%の土に対するセメント系固化材の添加量と一軸圧縮強度との関係を示すグラフであり、横軸がセメント系固化材の添加量、縦軸が一軸圧縮強度を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0019】
本実施の形態に係る含有率測定方法は、以下の工程(1)~(3)において、火山灰質粗粒土(現地発生土等)中の粘土に含まれる特定成分の含有率(以下、粘土中含有率という)を求めた後、続く工程(4)において、この粘土中含有率に基づいて、火山灰質粗粒土に含まれる特定成分の含有率を算定する、というものである。ここで、特定成分とは、アロフェン等の活性アルミニウムを含む成分(非晶質粘土鉱物ないし非晶質成分)である。
【0020】
以下、各工程(1)~(4)について、詳述する。
【0021】
(1)フェノールフタレイン紙に少量の火山灰質粗粒土を指先で強くこすり付けた後、フェノールフタレイン紙をはたいて該フェノールフタレイン紙の外面に付着した余分の火山灰質粗粒土を払い落とす。これにより、フェノールフタレイン紙(の表面やメッシュの隙間)に火山灰質粗粒土中の粘土(粘土と粘土に覆われたシルト)が付着して残った状態となる。
【0022】
本例では、フェノールフタレイン紙に、乾燥状態の粘土粒子を捕捉可能なろ紙を使用するのであり、具体的には、100~200メッシュ、目開きが149μm~74μmのろ紙を用いることが考えられる。なお、例えば乾燥状態の粘土粒子が通過可能で、これより粒径の大きな土粒子は通過不能な大きさの微細孔(目開き)を有するろ紙を用いるようにしてもよい。
【0023】
また、本例のフェノールフタレイン紙は、上記のろ紙に所定濃度のフェノールフタレイン溶液(例えばフェノールフタレイン1gをメタノール100mLに溶かしたもの)を含浸させ、乾燥して得られるものである。
【0024】
(2)フェノールフタレイン紙において火山灰質粗粒土が残留する箇所に所定濃度のフッ化ナトリウム液を滴下する。
【0025】
本例では、フッ化ナトリウム42gを水1Lに溶かし、1M溶液としたフッ化ナトリウム液(NaF試薬)を用いる。
【0026】
(3)所定時間経過後、フェノールフタレイン紙において前記滴下を行った箇所の呈色状況のRGB値を取得し、このRGB値に基づいて特定成分の粘土中含有率を求める。
【0027】
すなわち、フェノールフタレイン紙に残留した火山灰質粗粒土に多量の活性なアルミニウム(特定成分)がある場合、pHが上昇し、上記滴下を行った箇所(滴下箇所)が赤色に変わるのであり、その呈色の程度は活性アルミニウム(特定成分)を含んだ粘土粒子の多少で異なる。そして、本実施形態では、この呈色が安定した状態でRGB値を取得する目的で、上記滴下から所定時間(例えば3分)経過するまでフェノールフタレイン紙を放置する。
【0028】
RGB値の取得は、フェノールフタレイン紙における上記滴下箇所の呈色状況をデジタルカメラ等の撮影機器を用いてデジタル撮影し、撮影画像中の滴下箇所に対応する領域からRGB値を取得(例えば呈色中心部の5点平均)することにより行う。
【0029】
そして、取得したRGB値を、予め統計解析から導出した粘土中含有率とRGB値との関係式に代入することで特定成分の粘土中含有率を求める。
【0030】
ここで、上記関係式の導出は、特定成分の含有率を0%から100%まで10%間隔で異ならせた計11種類の模擬土を作成し、各模擬土につき、上記工程(1)及び(2)を実施し、3分後の呈色状況を撮影し、取得したRGB値と特定成分の含有率を用いて解析(重回帰分析)して、特定成分の含有率とRGB値との関係式を得た。その関係式を以下に示し、模擬土の特定成分含有率と、関係式から求めた特定成分含有率との関係を図1に示す。なお、図1中の11個の点は、既知の含有率(横軸:0%から100%まで10%間隔)に対応する、関係式から求めた模擬度の特定成分含有率をプロットしたものである。
特定成分含有率=-0.713×R値-0.607×G値-0.388×B値
+261.833
【0031】
(4)上述の粘土中含有率に、火山灰質粗粒土に対する粘土の比率(粘土分率)を乗じて、火山灰質粗粒土中の特定成分の含有率を算定する。
【0032】
ここで、火山灰質粗粒土に対する粘土の比率は、土の粒度試験によって得ることができる。
【0033】
図2に、実際の火山灰質粗粒土(現地発生土等)についての特定成分含有率を、上記工程(1)~(4)からなる本実施形態の方法により求めた結果(上3段)と、従来試験方法(御殿場1~3:酸―アルカリ交互溶解法、阿蘇と姫路:200℃加熱減量法)で求めた結果(下3段)とを示す。また、両結果の関係図を図3に示す。この図3から、両結果に高い相関があることが理解できる。なお、図3中の5個の点は、従来試験方法の含有率(横軸)に対応する、関係式から求めた含有率をプロットしたものであり、Rは5個の点の相関係数であって、0.8~1.0で強い相関があるといえる。
【0034】
なお、本発明者は、照度や照明などの撮影条件の違いによる特定成分の含有率のばらつきを調査するため、蛍光灯下や窓際付近等の照度の異なる屋内3箇所、及び直射日光の当たらない建物等の日陰等の屋外3箇所で特定成分の粘土中含有率0%から100%までの10%間隔の発色状況に相当する評価用のカラーチャートをデジタル撮影し、画像データから得られたRGB値を基に撮影条件毎の粘土中含有率とRGB値との関係式を求めたところ、撮影条件毎に求めた特定成分の粘土中含有率のばらつきは実用上問題ない範囲に収まっており、撮影条件の影響は無視できる結果であることが判明した。
【0035】
以上のように、本実施形態の含有率測定方法では、比較的簡単に入手可能なフェノールフタレイン紙やフッ化ナトリウム液(NaF試薬)、撮影機器等を用いるのみであり、複雑な手順も不要であるので、簡易かつ短時間に特定成分の含有率を測定でき、しかもフェノールフタレイン紙等を携帯すれば、現地での測定も可能であり、採取数の限定で生じる測定結果のばらつきを抑えるために対象土壌の複数箇所を現地で測定するといったことも可能となる。
【0036】
また、火山灰質粗粒土において特定成分が含まれているのは粘土のみであり、フェノールフタレイン紙には粘土と粘土に覆われたシルトが付着し、本実施形態(工程(1))において、NaF試薬の滴下によりフェノールフタレイン紙に残留した粘土の中から特定成分を含んだ粘土が、いわば発色により抽出されることになる。このように、フェノールフタレイン紙の付着物において粘土分の占める割合が高く、特定成分を含んだ粘土の割合(粗密)を正確に測定することができ、ひいては火山灰質粗粒土中の特定成分の含有率の算定結果も正確なものとなる。
【0037】
次に、本実施形態の改良土の製造方法は、上記含有率測定方法により求めた前記含有率に基づいて、地盤改良に用いる火山灰質粗粒土に混合する改良材中の生石灰の添加割合、又は火山灰質粗粒土に混合する生石灰の添加割合を決定する、というものである。
【0038】
すなわち、本発明者は、室内試験と現場試験により以下のことを確認している。
(A)セメント系固化材に生石灰を特定成分の量に応じて添加することで、六価クロムが土壌環境基準を超過して溶出することを抑制できる。
(B)六価クロム溶出量は、所要強度に必要なセメント系固化材の添加量とは関係がない。
(C)六価クロムの溶出抑制のため所定量の生石灰を添加した場合の一軸圧縮強度は、セメント系固化材の添加量と比例する。
【0039】
(A)については、アロフェンの含有率が5%から5%刻みに20%まで調整した模擬土を作成し、これに、生石灰(CaO)の添加率を変えたセメント系固化剤を混合したときの六価クロムの溶出を調査した結果、確認することができた(図4参照)。
【0040】
(B)については、アロフェンの含有率が2%の土に、セメント系固化材を30kg/m、50kg/m、100kg/m、150kg/m添加し、かつ、各セメント系固化材における生石灰の添加率を変えた結果、セメント系固化材の添加量が増加しても六価クロムの溶出量は大きく変化しないこと、また、生石灰を2%以上添加すると六価クロムの溶出が定量下限値未満になることから、確認することができた(図5参照)。
【0041】
(C)については、生石灰の添加率が2%の土に、セメント系固化材を30kg/m、50kg/m、100kg/m、150kg/m添加した結果、セメント系固化材の添加量に比例した一軸圧縮強度が得られたことから、確認することができた(図6参照)。
【0042】
そこで、本実施形態の改良土の製造方法では、セメント系固化材の添加率にかかわらず、特定成分の含有率によって火山灰質粗粒土(現地発生土等)に対する生石灰の添加率を変えるのであり、具体的には、特定成分の含有率が5%(重量比)未満の場合には生石灰添加率を火山灰質粗粒土の2%(重量比)とし、5%以上10%(重量比)未満の場合には3%(重量比)、10%(重量比)以上15%(重量比)未満の場合には4%(重量比)、15%(重量比)以上20%(重量比)未満の場合には5%(重量比)、20%(重量比)以上25%(重量比)未満の場合には6%(重量比)とし、このように決められた量の生石灰に所定量のセメント系固化材を例えば工場でプレミックスして改良材を得た後、例えば現地でこの改良材を現地発生土等と上記重量比となるように混合し、改良土を得る。
【0043】
もちろん、このように改良材を先に製造してから現地発生土等と混合するものに限らず、例えば現地で現地発生土等に所定重量比の生石灰と所定量のセメント系固化材とを混合して改良土を製造するようにしてもよい。
【0044】
以上のように行う改良土の製造方法は、改良土についての六価クロム溶出の土壌環境基準の超過抑制の確実化に資するものとなる。
【0045】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。
【0046】
例えば、上記の実施の形態では、呈色状況を数値化する色空間としてRGBを用いたが、これに限らず、他のCMYK等の記録可能な色空間を用いて呈色状況を数値化しても本発明を実施し得ることは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6