(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】金属薄板ブランクを製造する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20220617BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20220617BHJP
B21B 1/22 20060101ALI20220617BHJP
B21D 28/02 20060101ALI20220617BHJP
B21D 43/09 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/03
B21B1/22 J
B21D28/02 A
B21D43/09 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016244404
(22)【出願日】2016-12-16
【審査請求日】2019-12-16
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596179058
【氏名又は名称】ムール ウント ベンダー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Muhr und Bender KG
【住所又は居所原語表記】Mubea-Platz 1, D-57439 Attendorn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト アイヒナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム イヴォー
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/016120(WO,A1)
【文献】特表2011-512259(JP,A)
【文献】特開2001-030028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B21B 1/22
B21D 28/02
B21D 43/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板ブランクを製造する方法であって、
金属製の材料から成る帯材(3)をフレキシブル圧延(S10)するステップであって、フレキシブル圧延された前記帯材(3)の、並んで位置する領域(14,14’,14’’,14’’’)が、
切断輪郭で前記帯材(3)から切り出されるべき金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)の目標厚さプロフィールにそれぞれ対応するように、前記帯材(3)の長さにわたって異なる金属薄板厚さを備えた厚さプロフィールを生ぜしめる、ステップと、
前記フレキシブル圧延された前記帯材(3)を、測定装置(10)に沿って、切断機(9,109;9’,109’;16,116)まで、連続的または断続的に供給するステップと、
前記測定装置(10)により、前記帯材(3)の、並んで位置する複数の領域(14,14’,14’’,14’’’)の測定厚さプロフィールを求めるステップと、
切断輪郭で前記帯材(3)から切り出されるべき金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)のための、前記帯材(3)における目標
輪郭位置を、前記帯材(3)の、並んで位置する少なくとも2つの領域(14,14’,14’’,14’’’)の、生成された前記測定厚さプロフィールに関連して計算するステップと、
フレキシブル圧延された前記帯材(3)を、少なくとも1つの切断機(9,109;9’,109’;16,116)によって、前記目標
輪郭位置に沿って
、切断輪郭を有する前記金属薄板ブランク(2,2’,2’’,2’’’)を生ぜしめるように切断するステップと、
を備え、
前記金属薄板ブランク(2,2’,2’’,2’’’)の少なくとも一部は、ビーム切断によって
輪郭カット部として前記帯材(3)から切り出される、
金属薄板ブランクを製造する方法。
【請求項2】
前記帯材(3)の長さにわたる該帯材(3)の厚さの検出を連続的に行い、それぞれ1つの長さ位置と厚さ位置とを互いに対応させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記帯材(3)の、第1の金属薄板ブランク(2)が切り出されるべき第1の領域(14)と、前記帯材(3)の、第2の金属薄板ブランク(2’)が切り出されるべき、前記第1の領域に続く第2の領域(14’)と、前記帯材(3)の、第3の金属薄板ブランク(2’’)が切り出されるべき、前記第2の領域(14’)に続く第3の領域(14’’)とにおいて、前記帯材(3)の長さにわたって該帯材(3)の厚さを測定し、
前記帯材(3)から切り出されるべき第1の金属薄板ブランク(2)および第2の金属薄板ブランク(2’)のための目標輪郭位置の計算を、少なくとも前記第1の領域(14)、前記第2の領域(14’)および前記第3の領域(14’’)の求められた測定厚さプロフィールに関連して行う、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記帯材(3)に、切断中に前記帯材(3)の長手方向で予荷重を加える、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの切断機(9,109;9’,109’;16,116)が、複数の軸線に沿って互いに独立して位置決め可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
1つの金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)の切断を、複数の切断機(9,109;9’,109’;16,116)により行い、該複数の切断機(9,109;9’,109’;16,116)が、前記金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)を同時に前記帯材(3)から切り出す、または
複数の金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)を、同時にそれぞれ少なくとも1つの切断機(9,109;9’,109’;16,116)を用いて前記帯材(3)から切り出す、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
切断された金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)が、少なくとも1つのウェブ(15,15’,15’’,15’’’;115,115’,115’’,115’’’)によりまずは前記帯材(3)に結合されたままとなっているように、前記切断を実施し、
切断された前記金属薄板ブランク(2)を追加切断するステップが、別のステップとして設けられており、前記少なくとも1つのウェブ(15,15’,15’’,15’’’;115,115’,115’’,115’’’)を完全に切断し、それにより前記金属薄板ブランク(2,102)は完全に前記帯材(3)の残りの領域から切り離される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第1のウェブ(15)が、切断された前記金属薄板ブランク(2)の、帯材送り方向に関して前方の1/3に配置されており、第2のウェブ(15’’’)が、切断された前記金属薄板ブランク(2)の、帯材送り方向に関して後方の1/3に配置されているように、前記切断を行い、
前記第1のウェブ(15)および前記第2のウェブ(15’’’)の少なくとも一方が前記帯材(3)の長手方向に延びており、それにより前記帯材(3)からの送り力が、前記金属薄板ブランク(2)に伝達される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記切断を、少なくとも1つの切断ビームにより実施し、該切断ビームの少なくとも1つの切断パラメータを、前記帯材(3)の金属薄板厚さに関連して制御する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
金属薄板ブランクを製造する装置であって、
金属製の材料から成る帯材(3)をフレキシブル圧延する圧延ユニット(1)と、
前記帯材(3)から
切断輪郭で個別の金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)を切り出す切断ユニット(23)であって、前記帯材(3)は、並んで位置する複数の領域を有しており、該領域から
切断輪郭でそれぞれ1つの金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)が切り出され得る、切断ユニット(23)と、
を備え、
前記切断ユニット(23)は、前記帯材(3)の長さにわたって該帯材(3)の厚さを検出する測定装置(10)と、フレキシブル圧延された前記帯材(3)をビーム切断する少なくとも1つのビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)と、前記測定装置(10)により検出された測定値に基づいて前記ビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)を制御する電子的な制御ユニット(ECU)と、を有している、金属薄板ブランクを製造する装置において、
前記帯材(3)は、少なくとも前記測定装置(10)から前記ビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)まで延び、
前記測定装置(10)と、前記ビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)との間の間隔(L9)は、
切断輪郭で切り出されるべき金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)の長さ(L2)の二倍よりも大きく形成されており、それにより前記帯材(3)から
切断輪郭で切り出されるべき金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)のための目標
輪郭位置は、前記帯材(3)の、並んで位置する少なくとも2つの領域の測定プロフィールに関連して決定することができることを特徴とする、
金属薄板ブランクを製造する装置。
【請求項11】
複数のビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)が設けられており、該複数のビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)は、複数の金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)を同時に、または、1つの金属薄板ブランク(2,102;2’,102’;2’’,102’’;2’’’,102’’’)を
それぞれの切断輪郭で一緒に、前記帯材(3)から切り出すように、構成されかつ前記電子的な制御ユニット(ECU)により制御可能である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記測定装置(10)および前記ビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)を通じて前記帯材(3)を搬送する搬送装置が設けられており、該搬送装置は、複数のローラ体を有しており、該ローラ体に前記帯材(3)が載置され、且つ、
前記帯材(3)を送るための送り装置が設けられており、該送り装置は、前記ビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)の手前に配置されている第1の送り機と、前記ビーム切断機(9,109;9’,109’;16,116)の背後に配置されている第2の送り機と、を有しており、
第1の送り機および第2の送り機は、その間で前記帯材(3)にテンションを付与することができるように、制御可能である、
請求項10または11記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる金属薄板厚さを備えた金属薄板ブランクを製造する方法および装置に関する。
【0002】
独国特許発明第102012110972号明細書から、フレキシブル圧延された帯材から製品を製造する方法が知られている。フレキシブル圧延された帯材は、次いで電解コーティングされ、熱処理される。フレキシブル圧延された帯材から、機械的な裁断およびレーザ溶接によりブランクが製造される。このように製造されたブランクは、次いで変形加工法において、たとえば自動車のための構成部材として構成されていてもよい成形部分へとさらに加工され得る。
【0003】
独国特許出願公開第102012014258号明細書からは、減じられたエッジクラック敏感性を有する、鋼から成る構成部材を製造する方法が知られている。この構成部材は、鋼から成る金属薄板ブランクの変形加工により製造される。変形加工において、ブランクは、まず帯材から裁断され、次いで変形加工されて構成部材を形成する。ブランクの裁断は、室温よりも高く、Ac1変態温度よりも低い温度で行われる。ブランクは、フレキシブルに様々な厚さで圧延加工されていてもよい。
【0004】
国際公開第2010/085486号明細書からは、鋼帯材からブランクをレーザ切断する方法および装置が知られている。
【0005】
欧州特許第2420344号明細書からは、金属薄板帯材から輪郭カット部を製造する方法が知られている。金属薄板帯材は、その幅に関して、少なくとも3つの加工ストリップに区切られる。このとき、各加工ストリップに1つのレーザ切断装置が対応配置されている。第1のレーザ切断装置の作業領域は、第2のレーザ切断装置の作業領域に対して上流側または下流側で接続している。レーザ切断装置は、輪郭カット部の第1の部分区分が、上流側のレーザ切断装置により製造され、輪郭カット部を仕上げるための第2の部分区分が、下流側のレーザ加工装置により製造されるように、制御される。
【0006】
本発明の根底を成す課題は、大きなプロセス安定性を提供し、製造すべき金属薄板ブランクの高い製造精度もしくは低い不良品率を保証する、様々な金属薄板厚さを有する金属薄板ブランクを製造する方法を提案することにある。課題はさらに、金属薄板ブランクがプロセス確実に、かつい高い精度で製造され得る対応する装置を提案することにある。
【0007】
解決手段は、金属薄板ブランクを製造する方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、金属製の材料から成る帯材をフレキシブル圧延するステップであって、フレキシブル圧延された帯材の、並んで位置する領域が、該帯材から切り出されるべき金属薄板ブランクの目標厚さプロフィールにそれぞれ対応するように、帯材の長さにわたって異なる金属薄板厚さを備えた厚さプロフィールを生ぜしめる、ステップと、帯材の、並んで位置する複数の領域の測定厚さプロフィールを求めるステップと、帯材から切り出されるべき金属薄板ブランクのための、帯材における目標位置を、帯材の、並んで位置する少なくとも2つの領域の、生成された測定厚さプロフィールに関連して計算するステップと、フレキシブル圧延された帯材を少なくとも1つの切断機により目標位置に沿って金属薄板ブランクを生ぜしめるために切断するステップと、を備える方法にある。
【0008】
利点は、帯材から切り出されるべき金属薄板ブランクのための目標輪郭位置を、帯材の測定された金属薄板厚さプロフィールに対して正確にさせることができることにある。この形式によって、製造されるべき金属薄板ブランクの高い製造精度が達成されるか、もしくは製造精度に基づいて使用不能である不良品の割合が減少する。ビーム切断プロセスに前置された帯材の測定により、場合によっては厚さ経過に関して幾何学的な設定に一致しないブランクの領域は非加工のままにされてもよい。これにより方法の特に高い効率が生じる。不要な不良品が生ぜしめられないからである。
【0009】
フレキシブル圧延のための出発材料として、金属製の材料から成る帯材が使用される。金属製の材料とは、特に少なくとも一種の金属製の元素もしくは金属元素から成る合金を含んでいることを意味している。産業的な製造において、しばしば鋼もしくは鋼合金から成る帯材が使用される。このとき、アルミニウムもしくはアルミニウム合金のような別の金属から成る帯材も使用されてもよい。熱延コイルまたは冷延コイルが使用されてもよい。この概念は、様々な帯材幅範囲のための専門用語の枠内で理解される。熱延コイルとは、圧延鋼製品(鋼板)であると理解される。この鋼板は、事前の加熱後に圧延により生ぜしめられる。冷延コイルとは、冷間圧延された鋼板(平鋼)を意味する。事前の加熱なしに圧延によって最終的な厚さ減少が行われた平鋼が、冷間圧延された、と云われる。
【0010】
ほぼ一様の金属薄板厚さを有する帯材は、フレキシブル圧延の枠内で、ロールギャップの変更により、長さにわたって可変の金属薄板厚さを備える帯材へと圧延加工される。このとき、帯材は、該帯材の領域毎に生ぜしめられる厚さプロフィールが、該帯材から切り出されるべきブランクの目標厚さプロフィールにそれぞれ対応するように圧延される。このことは特に、1つの領域においてフレキシブル圧延によって生ぜしめられた厚さプロフィールが、該帯材から切り出されるべきブランクの目標厚さプロフィールに少なくともほぼ一致している、つまり、製造誤差および位置誤差を考慮して一致していることを意味する。本開示の枠内では、帯材の領域とは、所属するブランクが切り出される、帯材の幾何学的に決めることができる部分を意味する。個別の領域は、帯材において並んで配置されている。特に、帯材の個別の領域は、異なる厚さを備えた複数の区分をそれぞれ有していることが規定されている。異なる厚さを有する、フレキシブル圧延により生ぜしめられたこれらの区分は、長手方向もしくは帯材の圧延方向に対して直交する横方向に延びている。帯材は、フレキシブル圧延後に簡単な形式で再びコイルへと巻き取られてもよく、引き続き加工するための別の箇所に供給されてもよく、または直接に引き続き加工されてもよい。
【0011】
厚さプロフィールを求めることは、特に帯材の長さにわたる厚さの測定に基づいて行われる。帯材の測定された長さ位置もしくは経過位置に、所属する厚さ位置が対応させられる。これらの位置は、位置ペアを形成する。測定のために、厚さセンサおよび距離センサが使用されてもよい。帯材の長さにわたる厚さの測定は、インクリメンタルに、つまりステップ式に、または継続して行われてもよい。ステップ式の測定では、切り出されるべき金属薄板ブランク毎に、長手方向に沿った複数の位置が測定される。測定された厚さ値と、所属する位置値から、次いで測定厚さプロフィールが生成される。特に高いプロセス確実性および精確な製造は、帯材の長さにわたる厚さの連続的な検出により達成される。このとき、連続的に帯材のあらゆる長さ位置に厚さ位置が対応させられるので、測定された帯材領域のために長さにわたる完全な測定厚さプロフィールが存在している。この測定された厚さプロフィールは、次いで計算機により、切り出されるべき金属薄板ブランクの目標厚さプロフィールと比較され得るので、使用されるべきビーム切断の位置が、幾何学的なフレーム条件に個別に適合され得る。帯材から切り出されるべきブランクの輪郭位置の、与えられた金属薄板厚さプロフィールに対する位置決めもしくは同期化は、適当な計算機アルゴリズムによって行われる。これによって、帯材における構成部材の位置最適化が行われてもよい。これは高い製造精度を備えた安定的なプロセスをもたらす。
【0012】
例示的な具体化において、帯材の長さにわたる厚さは、帯材の第1の領域および該第1の領域に続く第2の領域において検出されてもよく、第1の領域からの第1の金属薄板ブランクの切断は、第1の領域および第2の領域の測定厚さプロフィールに関連して行われ得る。この原理は、一般的な形式でさらに延長され得る。したがって、帯材の2つよりも多くのブランク領域の測定値が切断機の切断輪郭の決定のために考慮され得る。たとえば、ブランクの連続した群の切断輪郭、たとえば3つのブランクの切断輪郭を、この群に属する全ての帯材領域の測定厚さのプロフィールを考慮した下で決定することができる。
【0013】
帯材からブランクを切断するためには、1つまたは複数の切断機が使用されてもよい。複数の切断機の使用時に、これらの切断機は互いに対して平行に、つまり帯幅に関して隣り合って、かつ/または並んで、つまり帯材長手方向に関して並んで配置されていてもよい。帯材からブランクを切断するための少なくとも1つの部分ステップは、ビームにより行われてもよい。このとき、切断機のうちの少なくとも1つは、ビーム切断機として構成されている。しかし、帯材からブランクを切断するための少なくとも1つの部分ステップが、機械的に、規定されたカッタを備えた打ち抜き工具または切断工具により行われることも考えられる。
【0014】
可能な方法によれば、帯材には、ビーム切断中に、帯材の長手方向でテンションが付与される。この措置により、帯材の高い位置精度、ひいては該帯材から切り出されるべき金属薄板ブランクの高い製造精度が達成される。
【0015】
1つの態様によれば、少なくとも1つのビーム切断機が、複数の軸線に沿って移動されてもよく、このとき特に、1つの軸線に沿った動きが、別の軸線に沿った動きとは関係なく制御可能であることが規定されている。これによって、正確な位置決めと高い製造精度が達成される。
【0016】
帯材から金属薄板ブランクをビーム切断するための、もしくは機械的に切断するための複数の切断機が設けられていてもよい。このとき、複数の切断機は、同時に、同じ金属薄板ブランクの輪郭カットにおいて作業するか、または複数の金属薄板ブランクが、同時に、それぞれ1つの対応している切断機によって加工されてもよい。
【0017】
方法は、連続的に実施されてもよい。つまり、ビーム切断は、帯材を送りながら実施される。このとき、切断機は帯材とともに移動する。択一的には、方法は断続的に実施されてもよい。つまり切断機に対する切断すべき帯材領域の送りが行われ、次いで送りはストップし、帯材からの金属薄板ブランクの切断が、帯材が停止しているときに行われる。金属薄板ブランクの切出し後に、帯材は次のブランクの製造のために送られる。後者の方法は、特に機械的な切断のために適している。
【0018】
可能な態様によれば、ビーム切断は、ビーム切断されたブランクが少なくとも1つのウェブによりまずは帯材に結合されたままとなっているように実施されてもよい。残りの帯材からの金属薄板ブランクの完全な切断は、次いで後続のステップにおいて実施されてもよい。このとき、少なくとも1つのウェブは、第1の切断機に帯材の搬送方向で後置されている別の切断機により完全に切断される。具体的には、ビーム切断は、第1の切断加工の枠内で複数のウェブが設けられるように実施されてもよい。これらのウェブを介して、部分的に切断されたブランクは帯材にまずは結合されたままである。このとき、少なくとも1つの第1のウェブが、ビーム切断されたブランクの、帯材の送り方向に関して前方の1/3に配置されていて、少なくとも1つの第2のウェブが、ビーム切断されたブランクの、帯材の送り方向に関して後方の1/3に配置されていると有利である。これによって、送り力が、帯材から部分的に切断されたブランクへと伝達され得るので、ブランクは正確に位置決めされている。第1のウェブおよび/または第2のウェブは、帯材のほぼ長手方向に延びているように構成されていてもよい。
【0019】
可能な具体化によれば、ビーム切断のために、レーザビームを使用することができる。つまり、ビーム切断機は、レーザビーム切断機の形態で構成されている。しかし、たとえばウォータビーム(噴射)切断のような別のビーム切断法も使用可能であることは自明である。ビーム切断機では、切断パラメータが調節され、かつ/または切断プロセス中に制御されてもよい。切断プロセスに影響を与えるこのような切断パラメータは、たとえばビーム出力、ビームの焦点、送り速度、発散ガス圧および/または別の技術的なパラメータである。特に、ビーム切断機の切断パラメータのうちの少なくとも1つが、金属薄板厚さおよび/または金属製の材料特性に合わせて調節され、もしくは切断プロセス中に帯材の測定された金属薄板厚さに関連して制御されることが規定されていてもよい。たとえば、比較的に厚い帯材区分は、比較的薄い帯材区分とは別のパラメータで切断されることができるので、切断プロセスを、全体的に効率的かつ要求に応じて実施することができる。このことは当然ながら、機械的な切断に影響を与える、たとえば切断力または切断速度のような切断パラメータを金属薄板厚さに関連して制御することができる、ブランクの機械的な切断にも該当する。
【0020】
金属薄板ブランクもしくは帯材への腐食防止層の塗布のような別の方法ステップが設けられていてもよい。第1の可能性では、帯材は、既にフレキシブル圧延の前にコーティングされてもよい。このことは、腐食防止層が後続のフレキシブル圧延に基づいて、帯材の長さにわたって互いに異なる厚さを得ることにつながる。第2の可能性によれば、腐食防止層は、フレキシブル圧延後に塗布されてもよい。このとき、腐食防止層の厚さは、フレキシブル圧延された帯材の長さにわたってほぼ一定である。両方の場合に、腐食防止層は有利には連続法により塗布される。このためには、帯材はコイルから繰り出され、連続法で腐食防止層を備えられ、次いで再びコイルに巻かれ、これによりそれぞれ後続の方法ステップへと供給されてもよい。帯材が、直接にさらに加工されてもよい、つまり繰り出された状態でさらに加工できることは自明である。別の可能性では、まず金属薄板ブランクは、帯材から切り出され、次いで部材毎に腐食防止層を備えていてもよい。
【0021】
金属薄板ブランクは、後続の製造ステップにおいてさらに加工されてもよく、たとえば変形加工されて成形部分を形成することができる。成形部分は硬化されてもよい。択一的には、金属薄板ブランクは、プレス硬化において工具内で変形加工されかつ硬化されてもよい。
【0022】
上述の課題の解決手段は、さらに、金属薄板ブランクを製造する装置であって、金属製の材料、特に鋼板から成る帯材をフレキシブル圧延する圧延ユニットと、帯材から個別の金属薄板ブランクを切り出すための切断ユニットとを備え、帯材が、並んで位置する複数の領域を有しており、該領域からそれぞれ1つの金属薄板ブランクが切り出されてもよく、切断ユニットは、帯材の長手方向で帯材の厚さを検出するための測定装置と、フレキシブル圧延された帯材を切断するための少なくとも1つの切断機と、測定装置により検出された測定値に基づいて切断機を制御するための電子的な制御ユニットとを備えており、測定装置と、切断機との間の間隔は、切り出されるべき金属薄板ブランクの長さの二倍よりも大きく形成されている、装置にある。これにより、帯材から切り出されるべき金属薄板ブランクのための目標位置は、帯材の、並んで位置する少なくとも2つの領域の測定プロフィールに関連して決定することができる。
【0023】
したがってこの装置は、上述の方法を実施するために適している。その限りでは、同一の利点が得られるので、利点に関しては上述の記載が参照される。方法に関する全ての特徴は装置にも転用可能であり、反対に、装置に関する全ての特徴が方法にも転用可能であることは自明である。装置は、切り出されるべき金属薄板ブランクの、帯材における位置最適化を可能にし、つまり、帯材から切り出されるべき金属薄板ブランクの目標輪郭の、帯材の帯材厚さプロフィールに対して相対的な、正確な位置に関する調節を可能にする。切り出されるべき金属薄板ブランクの目標輪郭は、長さにわたる金属薄板厚さの測定後にはじめて確定されるので、全体的に高い製造精度が達成される。
【0024】
有利には、切断機は、少なくとも1つのビーム切断機を有している。このとき、補足的にまたは択一的に、少なくとも1つの機械的な切断機が設けられていてもよいことは自明である。可能な具体化において、複数のビーム切断機が設けられていてもよい。このビーム切断機は、複数の金属薄板ブランクが同時に帯材から切り出され得るように、構成されかつ電子的な制御ユニットにより制御可能であってもよい。択一的または補足的には、同時に1つの金属薄板ブランクを切り出す複数の切断機が設けられていてもよい。
【0025】
別の態様によれば、帯材を送るための送り装置が設けられていてもよい。送り装置は、切断機の手前に配置されている第1の送り機と、切断機の背後に配置されている第2の送り機とを有していてもよい。送り装置は、有利には帯材に切断の領域においてテンションが付与されているように制御可能である。
【0026】
切り出しのための切断装置もしくは方法は、別の具体化において以下の特徴を有していてもよい。コイルは、コイル装填台、つまりコイルを中間貯蔵する装置からペイオフリールに供給されてもよい。ペイオフリールにより、コイルは繰り出され、コイルの端部区分は対応する補助手段によって矯正ユニット内に導入され、設定値に応じて矯正させられる。加工プロセスにおける公差および変動を補償する帯材貯蔵部が設けられていてもよい。このためには、帯材貯蔵部は、加工時の最大の送り長さおよび速度が完全にカバーされているように十分に寸法設計されている。帯材貯蔵部と測定装置との間には、帯材鎮静装置が設けられていてもよい。この帯材鎮静装置において、帯材は鎮められもしくは平坦化される。測定装置は、帯材厚さ測定部および帯材長さ測定部を有している。帯材の送りは、測定装置に前置されている送り機を用いて行われる。供給もしくは送りは、運転中に圧延プロセスに基づく長手方向の公差を補償できるように構成されている。第1の送りには、ローラ装置が接続する。このローラ装置は、ブランク領域の長さの少なくとも2倍の長さを有していてもよい。これにより、金属薄板厚さ測定と、金属薄板厚さプロフィールに対して相対的な複数のブランクの輪郭位置の対応とのために必要となる測定長さが得られる。次いで、輪郭位置が帯材において位置決めされ、位置は切断機に伝達される。特に厚さの測定および長さ値の測定が、連続して行われ、直接に切断機の制御装置へ、切断工具の正確な位置決めおよび制御のために伝達されることが規定されている。したがって完全な帯材長さが測定される連続的な制御が行われる。
【0027】
有利な実施の形態を以下に図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る方法を概略的にフローチャートとして示す図である。
【
図2】
図1に示した切断装置を概略的に示す詳細図である。
【
図3】
図1に示した切断装置の別の変化形を概略的に示す詳細図である。
【
図4】
図1に示した切断装置の別の実施の形態を概略的に示す詳細図である。
【
図5】
図1に示した切断装置の別の実施の形態を概略的に示す詳細図である。
【
図6】
図1に示した切断装置の別の実施の形態を概略的に示す詳細図である。
【
図7】別の方法ステップを有する
図1に示した方法を概略的にフローチャートとして示す図である。
【0029】
図1~
図7が、その共通点に関してまず一緒に説明される。フレキシブル圧延された(flexibel gewalzt.)帯材3から金属薄板ブランク2を製造する本発明に係る方法ならびに本発明に係る装置が示されている。出発材料として、金属製の材料、特に硬化可能な鋼材料から成る熱延コイルまたは冷延コイルが使用される。材料は、スリットコイルとして、または未加工エッジを有する帯材として存在していてもよい。
【0030】
方法ステップS10では、帯材3が圧延ユニット1により圧延加工され、しかもこのとき、フレキシブル圧延により加工される。このためには、出発状態においてコイル4に巻かれ、フレキシブル圧延前には長さにわたって十分に一定の金属薄板厚さを有している帯材3が、ロール5,6により圧延され、このときに、圧延方向に沿って可変の金属薄板厚さが得られる。圧延中に、プロセスは監視されかつ制御される。このとき、金属薄板厚さ測定部7により求められたデータは、入力信号として、ロール5,6の制御のために使用される。フレキシブル圧延の後に、帯材3は、圧延方向で、長さにわたって異なる厚さを有している。帯材3は、フレキシブル圧延後に再び巻き取られてコイル8を形成するので、このコイル8を次の方法ステップへと供給することができる。
【0031】
後続の方法ステップS40では、切断ユニット23により個別の金属薄板ブランク2がフレキシブル圧延された帯材3から切り出される。切断装置とも呼ばれ得る切断ユニット23は、測定装置10、電気的な制御ユニット(電子コントロールユニット、ECU)ならびに1つまたは複数の切断機9を有している。このとき、帯材3からの金属薄板ブランク2の切出しは、切断機9を用いた切断プロセスによって、測定装置10により測定されたサイズを考慮しながら行われる。切断機9は、特にビーム切断機の形態で構成されている。このとき、帯材3からのブランク2の切断は、ビーム11により行われる。具体的には、レーザビーム切断機を使用することができる。このとき、帯材3からのブランク2の切断は、1つまたは複数のレーザビーム11により行われる。しかし、基本的には、ビーム切断機の代わりに機械的な切断機も使用できることは自明である。
【0032】
金属薄板ブランク2の切出しのための重要な部分ステップは、帯材3の長さに沿った厚さの測定である。このために使用される測定装置10は、ビーム切断機9に、帯材3の送り方向で前置されている。測定装置10は、帯材3の厚さを表すサイズを検出する少なくとも1つのセンサ12と、帯材3の長さ位置を表すサイズを検出するセンサ13とを有している。センサ12,13により検出された厚さ値および長さ値は、電子的な制御ユニット(ECU)に送られる。電子的な制御ユニットは、測定された厚さ値および長さ値を処理し、ビーム切断機9を制御するために役立つ。測定は有利にはコイル8から繰り出される帯材3において連続的に行われる。このとき、帯材3の各長手方向位置に厚さ値が対応させられるので、全体的に帯材の、長さにわたる厚さプロフィールが検出される。長さ値と、所属する厚さ値とは、繰り出された帯材3の弛緩状態で検出される。つまり必要となる送り力を除いてほぼ力が加えられていない状態で検出される。
【0033】
特に
図2において判るように、測定装置10とビーム切断機9との間の間隔L9は、切り出されるべき金属薄板ブランク2の長さL2の二倍よりも大きく形成されている。これから切り出されるべき金属薄板ブランク2’,2’’,2’’’の輪郭ならびに金属薄板ブランク毎の個別の帯材領域14’,14’’,14’’’は
図2に破線で示されている。ちょうど切断された金属薄板ブランク2の輪郭は、実線で図示されている。測定装置10と切断機9との間に設定された間隔L9により、少なくとも2つの帯材領域14’,14’’の厚さプロフィールが検出され、切断すべき輪郭を確定するために考慮されることが可能である。これによって、フレキシブル圧延された帯材3の長さ方向の公差が補償され、金属薄板ブランク2の製造時に考慮されることが可能である。したがって、製造精度が特に向上する、もしくは不良品率が減少する。
【0034】
帯材3から切り出されるべき金属薄板ブランク2の輪郭は任意であり、それに対応して幾何学的な設定を個別に調節することができる。三次元の金属薄板ブランク(3D-TRB)または輪郭カット部とも呼ぶことができる、帯材3から切り出されたブランク2が概略的に
図1に示されている。任意の輪郭を製造するために、ビーム切断機9を、少なくとも2つ以上の軸線X,Y,Zに沿って、すなわち送り方向、横方向および場合によっては帯材3の高さ方向に移動させることができる。このとき、ビーム切断機9をX軸線に沿って、Y軸線に沿った運動および/またはZ軸線に沿った動きとは関係なしに移動することができる。このことは、別の軸線(Y,Z)にも同様に該当する。
【0035】
切り出されるべきブランク2の高い位置精度のために、帯材3に、ビーム切断中に、帯材3の長手方向Lでテンションが付与することができる。これを、ビーム切断機9の前後に配置された送り機(図示せず)により行うことができる。このとき、両方の送り機は、その間に位置する帯材にテンションが付与されるように、同期されている。
【0036】
帯材3からの金属薄板ブランク2の切出しを、連続的にまたは断続的に実施することができる。連続的なプロセスでは、測定および切断が、帯材3の送り運動中に行われる。断続的なプロセスでは、帯材の送りはステップ式に行われる。このとき、帯材3からのブランク2の切出しは、帯材3が静止しているときに行われる。1つまたは複数のブランクの切出し後に、帯材3は、次のブランクもしくは次の複数のブランクを製造するために送られる。
【0037】
後方の送り機の下流側で、輪郭カット部と、材料屑とが別の切断ユニットにより切断され、構成部材は搬送システムに引き渡され得る。搬送システムは、ブランク2をスタックシステムに提供し、スタックシステムはブランク2を顧客容器内またはパレット上に積み上げる。
【0038】
図3は、別の実施の形態において方法ステップS40を実施するための切断ユニット23を示している。この実施の形態は、
図2に示した実施の形態におおむね相当するので、共通点に関しては上述の説明が参照される。ここで、
図2と同一の部材には
図2と同一の参照符号が付されている。
【0039】
図3に示した実施の形態の差異は、切断プロセスが2つの部分ステップにおいて行われることにある。第1の切断プロセスの枠内では、金属薄板ブランク2の輪郭の一部のみが切断されるので、切り出されるべきブランクは、切断されていない複数のウェブ15,15’,15’’,15’’’を介して帯材3の残りの縁部領域に結合されたままである。残りの帯材3からの金属薄板ブランク2の完全な切断は、後続の第2の部分ステップにおいて、第2の切断機16によって行われる。このとき、ウェブ15,15’,15’’,15’’’は、第1の切断機9に帯材3の搬送方向Lで後置されている別の切断機16によって完全に切断される。
図3では、本実施の形態において合計4つのウェブが設けられていることが判る。しかもこのとき、前端部のウェブ15、側方の2つのウェブ15’,15’’、および後端部のウェブ15’’’が設けられていることが判る。しかし、切断すべきブランクの輪郭およびサイズに応じて、任意の別の技術的に有意な個数のウェブが設けられていてもよいことは自明である。第2の部分ステップの図示された状態では、前方のウェブ15と、側方のウェブ15’とが、第2の切断機16によって既に切断されている。
【0040】
図4は、別の実施の形態において方法ステップS40を実施するための切断ユニット23を示している。この実施の形態は、
図2に示した実施の形態におおむね相当するので、共通点に関しては上述の説明が参照される。ここで、
図2と同一の部材には
図2と同一の参照符号が付されている。
【0041】
図4に示した実施の形態の差異は、帯材3の幅B3にわたって、帯材3から切り出されるべき金属薄板ブランク2,102の2つの列が設けられていることにある。それに対応して、2つの切断機9,109が設けられている。これらの切断機9,109は同期してそれぞれ1つの該当する金属薄板ブランク2,102を帯材3から切り出す。両方の切断機9,109は、電子的な制御ユニット(ECU)によって、測定装置10により長さにわたって検出された帯材3の厚さに基づいて制御される。
【0042】
本実施の形態では、帯材3から切り出されるべき金属薄板ブランク2、102のためのそれぞれの輪郭配置が、連続した少なくとも2つのブランク領域の長さにわたって測定された厚さ経過に関連して行われることも規定されている。このとき、具体的には、測定装置10と、ビーム切断機9,109との間の間隔L9が、切り出されるべき金属薄板ブランク2,102の長さL2の三倍よりも大きく形成されている。これにより、切り出されるべき金属薄板ブランク2,102の輪郭位置の計算時に、それぞれ3つの連続したブランク領域14,14’,14’’,14’’’の金属薄板の厚さ経過を考慮することができる。
【0043】
図5は、別の実施の形態において方法ステップS40を実施するための切断ユニット23を示している。この実施の形態は、
図3に示した実施の形態におおむね相当するので、共通点に関しては上述の説明が参照される。ここで、
図3と同一の部材には
図3と同一の参照符号が付されている。
【0044】
図5に示した実施の形態の第1の差異は、帯材3の幅B3にわたって、帯材3から切り出されるべき金属薄板ブランク2,102の2つの列が設けられていることにある。それに対応して、2つの切断機9,109も設けられている。これらの切断機9,109は同期してそれぞれ1つの該当する金属薄板ブランク2,102を帯材3から切り出す。両方の切断機9,109は、電子的な制御ユニット(ECU)により測定装置10によって長さにわたって検出された帯材3の厚さに基づいて制御される。測定装置は、ここでは見やすくするために示されていない。
【0045】
別の差異は、切断プロセスが、2つの部分ステップにおいて行われることにある。第1の切断プロセスの枠内では、ブランク列毎に各金属薄板ブランク2,102の輪郭の一部のみが切断されるので、ブランクは切断されていない複数のウェブ15,115を介して、帯材3の残りの縁部領域に結合されたままである。残りの帯材3からの金属薄板ブランク2,102の完全な切断は、後続の第2の部分ステップにおいて、第2の切断機16,116によって行われる。このとき、ウェブ15,115は、第1の切断機9,109に帯材3の搬送方向Lで後置されている別の切断機16,116によって完全に切断される。
【0046】
さらに、第1の部分ステップを実施するために、複数の切断機9,9’;109,109’が設けられていることが規定されている。これらの切断機9,9’;109,109’により、連続した2つの金属薄板ブランク2,2’;102,102’を同期的に加工することができる。これにより、加工時間を減少させることができる。第2の部分ステップにおいて行われるウェブ15,115の切断のためには、ブランク列毎に1つの切断機16,116で十分である。切断すべきウェブ15,115の残りの切断長さは単に短いからである。第1の切断機9,9’;109,109’と、第2の切断機16,116とは、電子的な制御ユニットによりそれぞれ個別に制御されてもよい。
【0047】
この実施の形態でも、帯材3から切り出されるべき金属薄板ブランク2,102のためのそれぞれの輪郭位置は、連続した少なくとも2つのブランク領域の長さにわたって測定された厚さ経過に関連してそれぞれ行われる。
【0048】
図6は、別の実施の形態において方法ステップS40を実施するための切断ユニット23を示している。この実施の形態は、
図5に示した実施の形態におおむね相当するので、共通点に関しては上述の説明が参照される。のとき、
図5と同一の部材には
図5と同一の参照符号が付されている。
【0049】
図5に示した実施の形態との共通点は、帯材3の幅B3にわたって金属薄板ブランク2,102の2つの列が設けられていることと、切断プロセスが2つの部分ステップにおいて行われることと、帯材3から切り出されるべき金属薄板ブランク2,102のためのそれぞれの輪郭配置が、連続した少なくとも2つのブランク領域14,14’,14’’,14’’’の長さにわたって測定された厚さ経過に関連してそれぞれ行われることとにある。
【0050】
図6に示した実施の形態の差異は、第1の部分ステップを実施するために、複数の切断機9,9’;109,109’が設けられており、これらの切断機9,9’;109,109’により、金属薄板ブランク2,2’;102,102’がそれぞれ同期的に加工されることにある。このことも、ブランク列毎に唯1つの切断機しか備えない実施の形態に比べて、加工時間の減少をもたらす。ウェブ15の切断のためには、列毎に1つの切断機16,116が設けられている。
【0051】
別の変化形が考えられることは自明である。たとえば、帯材3の幅B3および切り出されるべき金属薄板ブランク2のサイズに応じて、2つよりも多い列が設けられていてもよい。さらに、異なる列に設けられた金属薄板ブランク2,102は、互いに対してずらされて配置されていてもよく、かつ/または互いに異なる輪郭を有していてもよい。
【0052】
図7には、別の可能な方法ステップを備えた本発明に係る方法が示されている。これらの方法ステップはそれぞれ、それ自体は任意である。
【0053】
フレキシブル圧延(S10)後に、帯材3は方法ステップS20において、帯材矯正ユニット17により平坦化されてもよい。必要な場合に、材料はフレキシブル圧延後もしくは平坦化後に加熱されてもよい。
【0054】
フレキシブル圧延(S10)ならびに平坦化(S20)後に、帯材3は方法ステップS30において、腐食防止層を備えることができる。このためには、帯材3は、電解式の帯材コーティングユニット18を通過する。帯材コーティングが、連続的な方法において行われていることが判る。つまり、帯材3は、コイル8から繰り出されて、コーティングユニット18を通過し、コーティング後に再びコイル8に巻き上げられる。帯材コーティングユニット18は、浸漬槽19を含み、該浸漬槽19は、電解液20で満たされている。この電解液20を帯材3が通過する。帯材3のガイドは、ローラセット21,22により行われる。
【0055】
この方法では、帯材3が電解コーティング(S30)後に、上述の方法ステップS40により切断され、このとき、個別の金属薄板ブランク2が帯材3から切り出されることが規定されている。このとき、金属薄板ブランク2の切出しを、
図2から
図6に示した各実施の形態により行うことができることは自明であるので、これに関しては簡略的に上述の説明を参照することができる。
【0056】
帯材3からブランク2が生ぜしめられた後に、方法ステップS50では、三次元の所望の最終製品へのブランク2の変形加工を行うことができる。第1の可能性では、ブランク2をこのために熱間変形加工し、または第2の可能性では、冷間変形加工することができる。
【0057】
熱間変形加工を、直接的または間接的なプロセスとして実施することができる。直接的なプロセスでは、ブランク2は変形加工前に、オーステナイト化温度にまで加熱される。これはたとえば誘導式に、または炉内で行われ得る。オーステナイト化温度への加熱後に、加熱されたブランクは、賦形工具24内で変形加工され、かつ同時に高い冷却速度で冷却される。このとき、構成部材はその最終輪郭を得ると同時に硬化させられる。誘導式の熱間変形加工では、ブランク2は、オーステナイト化の前に一次成形を受ける。この一次成形は、ブランクの常温の状態で行われ、つまり事前の加熱なしに行われる。一次成形時に、構成部材は、まだ最終形状に一致しないが、最終形状に近似している形状になる。一次成形後に、直接的なプロセスと同様に、オーステナイト化および熱間変形加工が行われ、このときに構成部材はその最終輪郭を得て硬化させられる。
【0058】
賦形プロセスとしての熱間変形加工に対して択一的には、ブランク冷間変形加工することができる。冷間変形加工は、特に軟質の車体鋼材のために、もしくは強度に関して特別な要求が課されていない構成部材のために適している。冷間変形加工時に、ブランクは室温で変形加工される。
【0059】
提示された方法が変更され得ることは自明である。たとえば電解コーティングは、フレキシブル圧延の前に、または帯材3からのブランク2の切出し後に、もしくは成形部分への変形加工後に、部材コーティング中に実施されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 圧延ユニット
2 金属薄板ブランク
3 帯材
4 コイル
5 ロール
6 ロール
7 金属薄板厚み測定部
8 コイル
9 切断機
10 測定装置
11 レーザビーム
12 センサ
13 センサ
14 帯材領域
15 ウェブ
16 切断機
17 帯材矯正ユニット
18 帯材コーティングユニット
19 浸漬槽
20 液体
21 ローラセット
22 ローラセット
23 切断ユニット
24 変形加工ユニット
B 幅
L 長さ
R 長手方向