(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】パウチパック用ホルダ及びパウチパック
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20220617BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B65D77/06 G
B65D33/38
(21)【出願番号】P 2017107385
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2016252614
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228408
【氏名又は名称】日本キム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 信孝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英一
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-275726(JP,A)
【文献】特開昭59-163165(JP,A)
【文献】特開2007-008585(JP,A)
【文献】特開2008-007159(JP,A)
【文献】特開平11-334758(JP,A)
【文献】特開平07-223689(JP,A)
【文献】特開2016-101962(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0010611(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/36-33/38
B65D 77/04-77/06
B65D 83/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチパック用ホルダに対して装着され、内容物を注出する
注出口部を備えたスパウトが設けられたパウチパックであり、
前記スパウトに着脱可能に装着されるキャップと、前記スパウトの流路内に設置され、注出ポンプが挿入された際に
注出ポンプの筒部によって開口する薄膜部が形成された
円筒状の中栓と、を有し、
前記中栓は、前記スパウトの流路の径と略同一の外径を備え、前記注出口部に圧入状態で前記スパウトの注出口部の上端縁に当て付くフランジが一体形成されており、
前記中栓は、前記キャップを前記スパウトから取り外した
際、前記圧入状態のままで前記流路内に残ることを特徴とするパウチパック。
【請求項2】
前記キャップと中栓は、前記スパウトに装着する際に一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のパウチパック。
【請求項3】
前記注出ポンプが空気導入用の開口を有している場合に、前記中栓の側壁は前記開口を塞ぐことを特徴とする請求項1又は2に記載のパウチパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチパック用ホルダ、及び、そのようなホルダに設置されるパウチパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャンプー、液体洗剤、化粧品など(以下、これらを内容物と総称する)を収容したパウチパックが知られている。パウチパックは、安価に製造できるため、使い捨て用の容器として利便性が良く、本体容器に対する詰め替え用として用いられている。すなわち、ユーザは、プラスチック製のボトル等の本体容器の中身を使い切った後、詰め替え用の内容物を収容したパウチパックを購入し、内容物の詰め替え作業を行っている。
【0003】
ところで、パウチパックは、柔軟性を有しており、内容物を注出するにしたがって萎むことができるため、内容物を取り出すに際しては、エアレス機能を備えたポンプを用いることが可能である。このため、そのようなパウチパックを、上記したような詰め替え用ではなく、ポンプを付けて使用する付け替え用として用いることも可能である。この場合、パウチパックには、予めポンプを着脱可能に取り付けるための注出口(スパウトとも称する)を取着しておく必要があり、また、パウチパックは内容物の注出に伴って萎むことから、そのようなパウチパックを安定して保持するためのパウチパック用ホルダが必要となる。
【0004】
パウチパック用ホルダとしては、例えば、特許文献1及び2に開示されているようなフレーム構造のものが知られている。これらのフレーム構造は、パウチパックを挟み込んだ状態で自立性があるため、内容物を注出してパウチパックが萎んでも自立状態を維持することができ、パウチパックが倒れることなく注出を行なうことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-263244号
【文献】特開2013-32172号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したような従来のパウチパック用ホルダは、いずれもホルダを手で把持してホルダを傾けて内容物を注出するものであり、注出ポンプを装着して注出することを意図する構造となっていない。また、パウチパックを保持する部分は、フレーム構造となっているため、製造が容易ではなく、コストが高いという問題がある。さらに、パウチパックをセットした際、そのパウチパックが露出した状態になるとともに、使用に伴ってパウチパックが萎むことで外観性に劣るという問題がある。
【0007】
上記のように、各種の内容物が収容されたパウチパックを付け替え用として用いるのであれば、パウチパック用ホルダは、注出ポンプが装着可能な構造となっている必要がある。また、そのようなパウチパック用ホルダは、パウチパックを容易に設置することができ、設置した状態では、パウチパックが露出することなく、安定して保持された状態が維持されるのが望ましい。更には、パウチパックについては、付け替え用を考慮して、パウチパックホルダに適した構造となっており、付け替え時において、内容物がこぼれないように構成されていることが望ましい。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、簡易な構造で付け替え用のパウチパックを容易かつ安定して保持することが可能なパウチパック用ホルダを提供することを目的とする。また、本発明は、そのようなパウチパック用ホルダに装着することが可能で、装着時に内容部がこぼれないようにするパウチパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明に係るパウチパック用ホルダは、注出口部が形成されたスパウトを備えたパウチパックを保持する保持部が形成された保持体と、前記保持体に対して開閉可能に構成され、閉じた状態で前記パウチパックを収納状態にする開閉体と、内容物を注出する注出ポンプを固定する固定用口部と、を備え、前記固定用口部に固定した注出ポンプが前記スパウトに挿入されることで内容物を注出可能にするように構成されており、前記保持部は、前記注出口部が、前記固定用口部内に位置するようにパウチパックを保持することを特徴とする。
【0010】
上記した構造のパウチパック用ホルダは、保持体と開閉体はヒンジ部を介して開閉可能となっており、開閉体を閉じた状態でパウチパックを収納、保持する構造であるため、簡易な構造となる。また、収納されるパウチパックは、スパウトの注出口部がパウチパック用ホルダの固定用口部内に位置するように保持部によって保持されることから、パウチパックを容易かつ安定して保持することが可能となる。
【0011】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係るパウチパック用ホルダは、注出口部が形成されたスパウトを備えたパウチパックを保持する保持部が形成された保持体と、前記保持体に対して開閉可能に構成され、閉じた状態で前記パウチパックを収納状態にする開閉体と、前記注出口部を挿入する挿入用口部と、を備え、内容物を注出する注出ポンプが前記スパウトに挿入され固定されることで内容物を注出可能にするパウチパック用ホルダであって、前記保持部は、前記注出口部の一部が、前記挿入用口部内に位置するようにパウチパックを保持することを特徴とする。
【0012】
上記した構造のパウチパック用ホルダは、保持体と開閉体はヒンジ部を介して開閉可能となっており、開閉体を閉じた状態でパウチパックを収納、保持する構造であるため、簡易な構造となる。また、収納されるパウチパックは、スパウトの注出口部の一部(根元側)がパウチパック用ホルダの挿入用口部内に位置するように保持部によって保持されることから、パウチパックを容易かつ安定して保持することが可能となる。
【0013】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係るパウチパックは、パウチパック用ホルダに対して装着され、内容物を注出するスパウトが設けられた構造であり、前記スパウトに着脱可能に装着されるキャップと、前記スパウトの流路内に設置され、注出ポンプが挿入された際に開口する薄膜部が形成された中栓と、を有し、前記中栓は、前記キャップをスパウトから取り外した状態で前記流路内に残ることを特徴とする。
【0014】
上記したパウチパックは、ユーザがパウチパック用ホルダに装着するに際して、スパウトのキャップ部分を開放しても薄膜部が形成された中栓が流路内に残っており、この状態でパウチパック用ホルダの所定の位置に装着し、スパウト部分に注出ポンプを差し込む。注出ポンプを差し込むことで前記薄膜部は破れ、内容物が注出可能状態となる。このように、パウチパックをパウチパック用ホルダに装着する際、流路は中栓によって閉塞された状態にあることから、内容物がこぼれるようなことは無い。
なお、上記したようなパウチパックによれば、内容物は、スパウト部分を介して充填することが可能であり、充填後に中栓を設置できるため、内容物の充填作業が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構造で付け替え用のパウチパックを容易かつ安定して保持することが可能なパウチパック用ホルダが得られる。また、本発明によれば、そのようなパウチパック用ホルダに装着することが可能で、装着時に内容物がこぼれないようにするパウチパックが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】パウチパック用ホルダの第1の実施形態を示す斜視図。
【
図2】内容物を注出する注出ポンプの一構成例を示す斜視図。
【
図3】
図1に示すパウチパック用ホルダに装着されるパウチパックの一構成例を示す斜視図。
【
図4】
図3に示すパウチパックに取着されるスパウトを示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は図(b)のA-A線に沿った断面図。
【
図5】スパウトの流路内に設置される中栓を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図。
【
図6】
図1に示すパウチパック用ホルダに、
図3に示すパウチパックを装着する状態を示す図。
【
図7】パウチパック用ホルダにパウチパックを収納した状態を示す図。
【
図8】
図2に示した注出ポンプを装着する状態を示す断面図。
【
図9】ポンプをパウチパック用ホルダに固定した状態を示す断面図。
【
図10】パウチパック用ホルダの第2の実施形態を示す斜視図。
【
図11】第3の実施形態に係るパウチパック用ホルダにパウチパックを収納し、開閉体を閉じた状態を示す斜視図。
【
図12】第3の実施形態に係るパウチパック用ホルダにパウチパックを収納し、開閉体を開いた状態を示す斜視図。
【
図13】内容物を注出する注出ポンプの別の構成例を示す斜視図。
【
図14】第3の実施形態に係るパウチパック用ホルダにパウチパックを収納した状態において、パウチパックの中栓を分解して示すと共に、
図13に示す注出ポンプの差し込み方向を示す斜視図。
【
図15】第3の実施形態に係るパウチパック用ホルダにパウチパックを収納し、
図13で示す注出ポンプを差し込み、固定した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るパウチパック用ホルダ(以下、ホルダと称する)の第1の実施形態を示す斜視図である。ホルダ1は、保持体10と、この保持体に対してヒンジ部11を介して開閉される開閉体20とを備えており、本実施形態では、
図3に示すような自立体型のパウチパック100が内部に収納できる(パウチパックを露出させない)ように、前面部1A、後面部1B、上面部1C、左右側面部1D、下面部1Eを備えた略直方体形状に構成されている。
【0018】
この場合、前面部1A、及び上面部1Cの前面側の半分は、開閉体20によって構成されている。また、後面部1B、上面部1Cの後面側の半分、左右側面部1D、下面部1Eは、保持体10によって構成されており、左右側面部1Dは、上側よりも下側が幅広となる形状を備えている。前記ヒンジ部11は、保持体10の左右側面部の下端で前面部側に設けられており、これにより、開閉体20は、保持体10に対して、前後方向に開閉されるようになっている(
図6及び
図7参照)。すなわち、開閉体20は、開閉されることで、保持体10に対して分離、接合可能であり、閉じた状態で保持体10との間でパウチパック100を収納状態にする保持する収納空間を形成する。
【0019】
前記上面部1Cの中央部分には、注出ポンプを挿入、固定するための固定用口部1Fが設けられている。本実施形態では、固定用口部1Fが分割可能(開閉体20の開閉操作により、分離、接合可能)となっている。具体的には、固定用口部1Fは、円筒形状を成しており、半分の円筒円弧部12が保持体10と一体形成され、もう半分の円筒円弧部22が開閉体20と一体形成されている。このため、保持体10と開閉体20は、固定用口部1Fの領域を含んだ状態で分離、接合可能となっている(固定用口部に分割ラインLが存在する)。
【0020】
前記保持体10には、円筒円弧部12の下方位置に、挿入されるパウチパックを保持する保持部15が形成されている(
図6参照)。この保持部15は、パウチパックに設けられるスパウトと関連付けされており、後述するように、スパウトに形成された凹所が嵌まり込んでパウチパックを固定状態にする(
図7参照)突起状の部材で構成されている。パウチパックが保持部によって保持されると、後述するように、スパウトの注出口部がホルダの固定用口部1F内に位置する。
【0021】
図2は、前記円筒円弧部12,22が一体化された固定用口部1Fに装着、固定される注出ポンプの一例を示す図である。後述するように、パウチパックは、柔軟性を有し、内容物の注出と共に萎むことから、注出ポンプ50は注出時において内部に空気を導入することのないエアレスタイプのものが用いられる。このようなエアレスタイプの注出ポンプは、一般的に公知であるため、詳細な構造についての説明は省略するが、付勢力に抗して押圧操作される押圧部51と、固定用口部1Fに対して固定される固定部52と、パウチパックのスパウトの流路を介して収容部内に延出する筒部53とを備え、押圧部51を押圧することで、パウチパック内の内容物は、押圧部51に形成された吐出部55から吐出される。
【0022】
本実施形態では、注出ポンプ50と固定用口部1Fとの固定は、螺合によって成されるようになっている。このため、固定用口部1F(一体化される円筒円弧部12,22の外面部)には、雄ネジ部12a,22aが形成されると共に、固定部52の内部には、一体化された雄ネジ部に螺合する雌ネジ部52aが形成されている(
図8参照)。なお、両者の固定方式については、螺合以外にも、圧入等によって行っても良い。
【0023】
前記ホルダ1を構成する保持体10と開閉体20の素材は特に限定されることはないが、プラスチックで成形することが可能である。プラスチック成形品とすることで、低コストで製造できると共に、図に示すような外観意匠(前面部1A、後面部1Bに多数形成される菱型の開口30等)を容易に形成することが可能である。なお、前記開口30を多数形成したり、大きな開口を形成することで、デザイン性を向上したり、内部に収納されたパウチパックを外部から視認することが可能となる。また、後述する第3の実施形態に係るホルダ2で示すように、左右側面部1Dを湾曲させ全体的に丸みを帯びた外観意匠とすることで、デザイン性を向上することもできる。
【0024】
もちろん、ホルダ1の構成材料については限定されることは無く、例えば、化粧品としてのパウチパックを収納する場合など、高級感を持たせたい場合には、金属や木材などによって形成しても良いし、部分的にフレーム構造となっていても良い。
【0025】
図3は、
図1に示すホルダに装着可能なパウチパックの一構成例を示す斜視図であり、
図4は、
図3に示すパウチパックに取着されるスパウトの一構成例を示す図である。
本発明のパウチパック100は、詰め替えタイプではなく、ホルダ1に対する付け替えタイプとして構成されるのであり、本実施形態では、重ね合わせた矩形形状の合成樹脂製のシート状部材102a,102bの周囲を溶着することで形成されており、その内部には、用途に応じて様々な内容物が収容可能となっている。このため、パウチパック100は、内容物が注出されるにしたがって萎むように柔軟性を有する構造となっており、使い切った後は、そのまま廃棄できるものとなっている。
【0026】
本実施形態のパウチパック100は、底部103を備えた自立袋構造となっており、その上端縁には、内容物を注出可能とする合成樹脂で形成されたスパウト200が設けられている。前記スパウト200は、シート状部材102a,102b間に介在されて溶着されるように、断面が略舟形形状に形成された溶着部201と、溶着部201と一体化され、内容物が通過する流路203が形成された円筒状の注出口部204とを備えている。なお、パウチパック100は、左右側面部にマチを有する、いわゆるガゼット体構造としても良い。その場合、内容物が注出され収容部が萎んだ場合であっても、左右側面部のマチによって前記シート状部材102a、102bが密着し難くなり内容物の流路が確保されやすくなる。
【0027】
前記注出口部204の外周面には、雄ネジ部205が形成されており、この部分に雌ネジ部が形成されたキャップ210が螺合して装着される。また、注出口部204の外周面には、上述したホルダ1を構成する保持体10に形成された保持部15が嵌まり込むことが可能となるように、凹所215が形成されている。なお、この凹所は、注出口部204の外周面に形成された一対の円板状のフランジ215aによって形成される。
【0028】
また、前記スパウトの流路203内には、
図5に示すような円筒状の中栓220が装着される。この中栓220には、
図2に示した注出ポンプ50の筒部53を差し込んだ際に開口可能な薄膜部221が設けられている。この薄膜部221は、例えば、開口部分にフィルム状のシートを被着することで構成しても良いし、中栓と共に一体形成しても良い。
【0029】
前記中栓220は、前記キャップ210をスパウトから取り外した状態で、流路203内に残るように構成される。このため、中栓220は、流路203の径と略同一の外径を備えて流路内に圧入され、上端部には、注出口部204の上端縁206に当て付くフランジ223が一体形成されている。すなわち、中栓220を流路203に対してフランジ223が上端縁206に当て付くまで圧入し、その後、キャップ210を装着することで、キャップ210を取り外すときは、そのまま中栓220が流路203内に残ることから、パウチパックをホルダに装着する際に、内容物がこぼれることが防止される。
【0030】
また、上記したような中栓220を設けることで、流路203内に予め漏れ防止用の薄膜部を形成しておく必要が無くなり、内容物の充填をスパウト部分から行なうことができる。この場合、キャップ210と中栓220は、スパウトに装着する際に一体化されていることが好ましく、一体化しておくことで取扱い性の向上が図れるようになる。例えば、キャップ210と中栓220は、容易に分離できるように接続しておくと共に、中栓220の外面と流路203の内面に、キャップ210の締め付け方向には中栓の回転を可能とし、キャップの開放方向には中栓の回転を阻止する凹凸の係合関係を設けておけば良い。このような構成では、内容物を充填した後、中栓220を流路203に挿入しながらキャップ210を締め付けて装着することができ、ユーザの使用時にキャップを外しても、中栓220は流路203内に残るようになる。
【0031】
次に、上記したホルダ1の使用方法について、
図6から
図9を参照して説明する。
図6に示すように、保持体10に対して開閉体20を開くと共に、内容物が収容されているパウチパックのキャップ210を開封する。キャップ210を開封しても、上記したように、中栓220がスパウトの流路内に嵌入されているため、内容物がこぼれることが防止される。
【0032】
キャップ210を開封したパウチパック100は、口部204の外周面に形成されている凹所215を、保持体10に形成された保持体15に嵌め込むことで保持体10の所定の位置に設置される(
図7参照)。この場合、開閉体20が開いていることにより、収納領域は大きく開放した状態にあることから、パウチパック100を容易に設置することができ、特にスパウト部分を摘まんで保持部15に保持させるため、設置作業を容易に行なうことができる。また、固定用口部1Fの領域も開放されているため、設置がより容易に行えるようになる。そして、パウチパック100の設置状態では、スパウトの注出口部204が、ホルダ側の固定用口部1F内に位置していることから、パウチパックの収納、保持状態が安定する。
【0033】
パウチパック100を所定の位置に設置、収納した状態で開閉体20を保持体10に対して閉じる。開閉体20を保持体10に対して閉じると、その上面部には、円筒円弧部12,22同士が一体化された固定用口部1Fが形成される。そして、この固定用口部1Fに注出ポンプ50の固定部52を螺合することで、注出ポンプ50は固定用口部1Fに固定される(
図8,
図9参照)。固定部52を締め付けて固定状態になることで、注出ポンプ50の筒部53の先端部53aは、中栓220の薄膜部221を破り、これにより、筒部53を介して内容物が注出可能となる。
【0034】
本実施形態では、注出ポンプ50を固定用口部1Fに固定することで、開閉体20は保持体10に対して不用意に開くことはないため、パウチパックを安定して収納、保持することができる。また、パウチパック100は、閉じられた状態のホルダ内に収納されており、外部に露出することもないため、外観の向上も図れる。さらに、パウチパック100は、内容物の注出に伴い萎むことから、注出ポンプ50に空気を内部に導入する構造を設ける必要はなく、したがって、嫌気性の内容物を収容して使用することができる。すなわち、内容物は空気と触れないことから酸化を防止することが可能となる。
【0035】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、上記した実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
図10は、ホルダの第2の実施形態を示す図である。
第1の実施形態では、ヒンジ部11を保持体10の左右側面部の下端で前面部側に設け開閉体20を前後方向に開閉できるようにしたが、左右側面部の上下方向に設けることで、開閉体20を左右方向に開く構成にすることも可能である。この場合、開閉体20は、前記実施形態と同様、固定用口部1Fを含んで開く状態になっており、パウチパックを容易に収納、設置できるようになっている。このように、開閉体の開閉方向については、適宜、変形することが可能である。
【0036】
図11~
図12は、ホルダの第3の実施形態(ホルダ2)を示す図である。
図11は開閉体20を閉じた状態、
図12は開閉体20を開いた状態をそれぞれ示す。
図1、
図10に示した第1及び第2の実施形態に係るホルダ1には、注出ポンプを挿入、固定するための固定用口部1F(一体化される円筒円弧部12、22の外面部)が設けられ、この固定用口部1Fに形成された雄ネジ部12a、22aが注出ポンプ50の固定部52の雌ネジ部52aとネジ螺合することによって、ホルダ1と注出ポンプ50を固定していたが(
図8、
図9参照)、本実施形態に係るホルダ2には、固定用口部1Fは設けられていない。
【0037】
前記ホルダ2は、固定用口部1Fの代わりに、スパウト200の注出口部204を挿入する挿入用口部2Fを備える。前記挿入用口部2Fは、
図12で示すように、円筒形状を成しており、半分の円筒円弧部12Aが保持体10と、もう半分の円筒円弧部22Aが開閉体20とそれぞれ一体形成されており、開閉体20の開閉操作により分離、接合可能となっている。
【0038】
前記挿入用口部2Fには、前記固定用口部1Fの外周面に設けられた雄ネジ部12a、22aは形成されておらず、円筒円弧部12A、22Aの筒部の長さが短く形成されている。これによって、パウチパック100がホルダ2の保持部15に保持されると、パウチパック100の注出口部204の根元側(注出口部204のうちホルダ2の保持部15が嵌り込む凹所215側)は挿入用口部2F内に位置し、注出口部204の先端側は挿入用口部2Fから突出して、突出した先端側の外周面に形成された雄ネジ部205が露出する。
【0039】
この露出した雄ネジ部205と注出ポンプ50の雌ネジ部52aがネジ螺合することによって、注出ポンプ50は、ホルダ2でなく、スパウト200に固定される(
図15参照)。なお、スパウト200の雄ネジ部205は通常、前記キャップ210の装着用に形成されているため、これにネジ螺合するように注出ポンプ50の雌ネジ部52aを設計することによって、前記雄ネジ部205をキャップ210の装着用及び注出ポンプ50の固定用に兼用することができ、容易に注出ポンプ50をスパウト200に固定可能となる。
【0040】
このように注出ポンプ50をスパウト200に接続、固定すると、内容物がホルダ2内に漏出する可能性を排除できる。注出ポンプ50とスパウト200がネジ螺合しているため、内容物がホルダ2の円筒円弧部12A、22Aの内側に漏出することが確実に防止される。
【0041】
また、本実施形態に係るホルダ2は円筒円弧部12A、22Aに雄ネジ部12a、22aを形成する必要がないため、その破損を気にする必要がなく、耐久性の面でも利点がある。
【0042】
次に、
図13~
図15を参照して、本発明に係るパウチパックの別の実施形態(パウチパック300)について説明する。既述のパウチパック100は、注出ポンプ50としてエアレスタイプのものを用いることを前提としていたが、本実施形態に係るパウチパック300は、注出ポンプの空気導入口を塞ぐ中栓320を備えているため、エアレスでないタイプ(注出時に内部に空気を導入するタイプ)の注出ポンプ60と組み合わせて使用することが可能である。中栓320の詳細については後述する。
【0043】
図13に、空気を導入するタイプの注出ポンプ60の一例を示す。注出ポンプ60は、
図8等に示した注出ポンプ50同様に、付勢力に抗して押圧操作される押圧部51と、
図1に示した固定用口部1Fまたは
図11に示したスパウト200の注出口部204に対して固定される固定部52と、パウチパックのスパウトの流路を介して収容部内に延出する筒部53とを備え、さらに、注出ポンプ50とは異なり、前記筒部53の側面に空気導入口である開口53bを有する。この種の注出ポンプは、ボトル状容器に広く使用されており、注出時にボトル状容器の収容部内に空気を導入することによって容器の内圧を高め内容物を注出するため、このような空気導入口を有することが一般的である。
【0044】
また、本実施形態において、注出ポンプ60の筒部53の先端部53aには、
図8に示した中栓220の薄膜部221および
図14に示す中栓320の薄膜部321をより簡単に突き破ることができるように、先端先細である棒状の補助部53dを設けている。この補助部53dは、ボトル状容器等に広く使用されている空気を導入するタイプの注出ポンプの汎用品には設けられていないため、先端部53aに対して着脱可能に形成すると良い。前記汎用品の先端部53aに補助部53dを装着することによって、
図13に示すような補助部53dを備えた注出ポンプ60を容易に製造できるようになる。
【0045】
次に、パウチパック300に装着される中栓320について
図14~
図15を参照して詳しく説明する。
図14は、第3の実施形態に係るホルダ2にパウチパック300を設置した状態において、パウチパック300の中栓320を分解して示すと共に、
図13に示す注出ポンプ60の差し込み方向を示す斜視図である。また、
図15は、第3の実施形態に係るホルダ2にパウチパック300を設置し、注出ポンプ60を差し込んで固定した状態を示す断面図である。
【0046】
図15に示すように、注出ポンプ60とスパウト200をネジ螺合して固定した際、ホルダ2の挿入用口部2Fは注出ポンプ60の固定部52とスパウト200の注出口部204との間に挟み込み固定される。これによって、ホルダ2の開閉体20が保持体10に対して不用意に開かないように開閉体20をロックできる。
【0047】
図14に示すように、中栓320はボウル形の形状を有し、その底部には注出ポンプの筒部53を差し込んだ際に開口可能な薄膜部321が設けられている。この薄膜部321は、前記中栓220の薄膜部221と同様に、例えば、開口部分にフィルム状のシートを被着することで構成しても良いし、中栓と共に一体形成しても良い。
【0048】
前記中栓320の側壁は、
図15に示すように注出ポンプ60を装着した際に、注出ポンプ60の開口53bを塞ぐように形成されている。例えば、前記中栓320は、柔軟性のある材料を用いて形成するのが良く、その側壁が筒部53の外表面に密着し開口53bを塞ぐように設計されている。
【0049】
これによって、パウチパック300は開口53bを備えた一般的な注出ポンプ60と組み合わせて利用可能となっている。すなわち、中栓320が開口53bからの空気の導入を遮断することによって、内容物の注出に伴ってパウチパック300を萎むようにすることができ、また、内容物の酸化を防止することも可能となる。
【0050】
また、前記中栓320は、
図6に示した中栓220と同様に、キャップ210をスパウト200から取り外した状態で、スパウト200の流路203内に残るように構成するのが好ましく、これにより内容物の漏出を防止することが可能となる。すなわち、中栓320は、中栓220と同様に内容物の漏出を防止すると共に、さらに注出ポンプ60の開口53bを塞ぐ効果を奏するため、このような中栓320を備えたパウチパック300によれば、注出ポンプが空気を導入するタイプ(注出ポンプ60)だけでなく、既述したエアレスタイプ(注出ポンプ50)でも使用可能である。
【0051】
なお、前記中栓320は、パウチパック300でなく、前記注出ポンプ60側に設けても良い。その場合、注出ポンプ60は中栓320を薄膜部321を突き破った状態で備えており、この注出ポンプ60をスパウト200内に差し込み、固定することによって、
図15と同様、空気を導入するタイプの注出ポンプ60をエアレスタイプの状態にすることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0053】
例えば、パウチパックの形態や大きさ、スパウトの装着位置などは適宜変形することができ、それに応じてホルダの形状、大きさ等も適宜変形することが可能である。保持体10に設けられる保持部15の設置位置、係合方法については特に限定されることはなく、適宜変形することが可能である。例えば、注出口部を圧入して保持するような構造であっても良い。また、設置が容易となるように、パウチパックのスパウト部分が係合できるような構造になっていることが好ましいが、スパウト部分以外で保持するような構造であっても良い。
【0054】
前記パウチパック100がホルダ1に設置された状態では、スパウトの注出口部204がホルダ側の固定用口部1F内に位置していれば良く、部分的に位置した構成であっても良い。例えば、注出口部204の先端側の一部が固定用口部1F内に位置するような状態であっても良い。また、注出口部に固定される注出ポンプの構成については特に限定されることはなく、1回の押圧で所定量の内容物を吐出するもの、或いは、内容物を霧状に吐出するタイプであっても良い。
【0055】
前記固定用口部1F及び前記挿入用口部2Fについては、本実施形態のように、分割されない構造であっても良い。この場合、開閉体及び保持体には、保持体を閉じた際、その閉じた状態をロックするロック機構を設けておくことが好ましい。さらに、上記したホルダについては、開口の形状を変えたり、色彩を付す等、その外観を適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1、2 パウチパックホルダ
1F 固定用口部
10 保持体
15 保持部
20 開閉体
50 注出ポンプ
100、300 パウチパック
200 スパウト
204 注出口部
210 キャップ
220、320 中栓
221、321 薄膜部