(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】パイロット式電磁弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/42 20060101AFI20220617BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
F16K31/42 B
F16K31/06 305K
(21)【出願番号】P 2018061945
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2017124228
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】堂本 直揮
(72)【発明者】
【氏名】坂田 真也
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/056222(WO,A1)
【文献】特開平10-115382(JP,A)
【文献】特開2011-112148(JP,A)
【文献】特開2004-069045(JP,A)
【文献】米国特許第06290203(US,B1)
【文献】特表2011-511909(JP,A)
【文献】実開昭63-015886(JP,U)
【文献】特開昭48-077416(JP,A)
【文献】特開2017-129179(JP,A)
【文献】特開2013-032819(JP,A)
【文献】特開2011-074967(JP,A)
【文献】特表2001-507828(JP,A)
【文献】特開平11-294619(JP,A)
【文献】実開昭64-039985(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313021(US,A1)
【文献】米国特許第04535805(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/165
F16K 31/36-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアフラム部と、
前記ダイアフラム部に向って液体が流入する一次側部と、
前記ダイアフラム部からの液体が流出する二次側部と、
前記ダイアフラム部を構成し、一次側部と二次側部との遮断と連通との切替えをする主弁と、
前記主弁における前記一次側部と前記二次側部が連通する側に対する背面側に形成された背圧室と、
前記主弁に形成され、前記一次側部から前記背圧室に前記液体を流通させることにより、前記背圧室内の圧力を上昇させる一次側副流路と、
前記背圧室から前記液体を前記二次側部に流通させる二次側副流路と、
前記背圧室と前記二次側副流路との遮断と連通との切替えをする副弁と、
前記副弁による前記切替えをするために前記副弁を駆動する副弁駆動部と、
前記主弁を収容する本体部と、を備え
るパイロット式電磁弁であって、
前記本体部によりカートリッジタイプのパイロット式電磁弁とされ、
前記二次側副流路は、前記主弁を迂回するように形成され
、
前記本体部が被固定部材に固定されることにより前記二次側副流路が前記本体部の外面と前記被固定部材との間に形成されるように、前記二次側副流路は、前記本体部の外面に沿って前記本体部の全周にわたって露出して形成されているパイロット式電磁弁。
【請求項2】
前記一次側部に流入する流路と前記二次側部から排出する流路とを備えている前記被固定部材に固定可能に形成されることを特徴とする請求項
1に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項3】
前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座が設けられ、前記弁座よりも前記二次側副流路の下流側の部分は、徐々に拡径する拡径部を有している請求項1~請求項
2のいずれかに記載のパイロット式電磁弁。
【請求項4】
前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座が設けられ、前記二次側副流路の上流側の端部の開口を形成し前記副弁が当接する前記弁座の開口周縁部は、前記二次側副流路の上流側から下流側に向かって縮径している縮径部を有している請求項1~請求項
3のいずれかに記載のパイロット式電磁弁。
【請求項5】
前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座が設けられ、前記弁座よりも前記二次側副流路の下流側の部分は、拡径する拡径部を有し、
前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座が設けられ、前記二次側副流路の上流側の端部の開口を形成し前記副弁が当接する前記弁座の開口周縁部は、前記二次側副流路の上流側から下流側に向かって縮径している縮径部を有し、
前記二次側副流路における前記縮径部の上流端の直径よりも前記拡径部により拡径された大径部の直径の方が大きい請求項1~請求項
2に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項6】
前記主弁と前記副弁とは、同軸上に配置されている請求項1~請求項
5のいずれかに記載のパイロット式電磁弁。
【請求項7】
前記主弁を収容する本体部と、
前記副弁が当接する弁座と、を備え、
前記本体部は、前記本体部の径方向に貫通
して二次側副流路を構成する連通孔を有し、
前記副弁駆動部は、前記副弁を駆動させるコイルを有するコイル部を有し、
前記コイル部は、前記弁座を有する請求項1~請求項
6のいずれかに記載のパイロット式電磁弁。
【請求項8】
前記主弁は、主弁座部に当接して前記一次側部と前記二次側部とを遮断するダイアフラムと、前記ダイアフラムに固定され前記一次側部と前記背圧室とを連通するダイアフラム板とを備え、
前記二次側部への前記二次側副流路の開口は、前記二次側部の前記液体の流れにおける前記ダイアフラム板の下流側の端部よりも上流側に位置している請求項1~請求項
7のいずれかに記載のパイロット式電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロット式電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体の流れを制御するために、液体の流路に電磁弁が設けられ、電磁弁の開閉が制御されることが知られている。電磁弁としては、いわゆるパイロット式電磁弁が知られている。パイロット式電磁弁は、例えば、ダイアフラムを備え、ダイアフラム部の上端に副流路の端部の開口が形成され、この開口がプランジャーによって開閉が行なわれることにより、ダイアフラムによる主流路の開閉が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来のパイロット式電磁弁では、ダイアフラム部による主流路の開閉のストローク以上に、プランジャーのストロークを大きくする必要があり、このため、大きな電磁力を必要とするため、電磁弁の小型化や省電力化を期待できない。
【0005】
本発明は、プランジャーのストロークを必要最小限とすることが可能であり、電磁弁の小型化や省電力化を図ることが可能なパイロット式電磁弁を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、ダイアフラム部(例えば、後述の主弁60、背圧室31)と、前記ダイアフラム部に向って液体が流入する一次側部(例えば、後述の一次側流路111、一次側空間103)と、前記ダイアフラム部からの液体が流出する二次側部(例えば、後述の二次側流路112、二次側空間104)と、前記ダイアフラム部を構成し、一次側部と二次側部との遮断と連通との切替えをする主弁(例えば、後述の主弁60)と、前記主弁における前記一次側部と前記二次側部とが連通する側に対する背面側に形成された背圧室(例えば、後述の背圧室31)と、前記主弁に形成され、前記一次側部から前記背圧室に前記液体を流通させることにより、前記背圧室内の圧力を上昇させる一次側副流路(例えば、後述の小孔615)と、前記背圧室から前記液体を前記二次側部に流通させる二次側副流路(例えば、後述の貫通孔4612、バルブカバー連通孔305、隙間113、及び、バルブベース径方向貫通流路1061)と、前記背圧室と前記二次側副流路との遮断と連通との切替えをする副弁(例えば、後述のプランジャー45)と、前記副弁による前記切替えをするために前記副弁を駆動する副弁駆動部(例えば、後述のコア42、コイル43、磁石44)と、を備え、前記二次側副流路は、前記主弁を迂回するように形成されているパイロット式電磁弁を提供する。
【0007】
また、前記主弁を収容する本体部(例えば、後述のバルブベース10、バルブカバー30)を備え、前記本体部においては、前記本体部の外面と、前記本体部が固定される被固定部材との間に形成されることが好ましい。また前記一次側部に流入する流路(例えば、後述の管部材一次側流路908)と前記二次側部から排出する流路(例えば、後述の管部材二次側流路909)とを備えている前記被固定部材に固定可能に形成されることが好ましい。また、前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座(例えば、後述のシート部4611)が設けられ、前記弁座よりも前記二次側副流路の下流側の部分は、徐々に拡径する拡径部(例えば、後述の拡径部4613)を有していることが好ましい。
【0008】
また、前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座が設けられ、前記二次側副流路の上流側の端部の開口を形成し前記副弁が当接する前記弁座の開口周縁部は、前記二次側副流路の上流側から下流側に向かって縮径している縮径部(例えば、後述の縮径部4616)を有していることが好ましい。また、前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座が設けられ、前記弁座よりも前記二次側副流路の下流側の部分は、拡径する拡径部を有し、前記二次側副流路の上流側の端部には、前記副弁が当接する弁座が設けられ、前記二次側副流路の上流側の端部の開口を形成し前記副弁が当接する前記弁座の開口周縁部は、前記二次側副流路の上流側から下流側に向かって縮径している縮径部を有し、前記二次側副流路における前記縮径部の上流端の直径よりも前記拡径部により拡径された大径部の直径の方が大きいことが好ましい。また、前記主弁と前記副弁とは、同軸上に配置されていることが好ましい。
【0009】
また、前記主弁を収容する本体部と、前記副弁が当接する弁座と、を備え、前記本体部は、前記本体部の径方向に貫通する連通孔を有し、前記副弁駆動部は、前記副弁を駆動させるコイルを有するコイル部を有し、前記コイル部は、前記弁座を有することが好ましい。
【0010】
また、前記主弁は、主弁座部に当接して前記一次側部と前記二次側部とを遮断するダイアフラムと、前記ダイアフラムに固定され前記一次側部と前記背圧室とを連通するダイアフラム板とを備え、前記二次側部への前記二次側副流路の開口は、前記二次側部の前記液体の流れにおける前記ダイアフラム板の下流側の端部よりも上流側に位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プランジャーのストロークを必要最小限とすることが可能であり、電磁弁の小型化や省電力化を図ることが可能なパイロット式電磁弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1が管部材9に取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、一次側流路111から一次側空間103へ水が流入する様子を示す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、背圧室31に流入した水が第二副流路へ流入する様子を示す説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、第二副流路を水が流通する様子を示す説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、第二副流路から二次側空間104へ水が流通する様子を示す説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1のシート部4611を示す拡大断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1のシート部4611を成形する金型の一部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のパイロット式電磁弁1の好ましい一実施形態である第1実施形態について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1が管部材9に取り付けられた状態を示す断面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1を示す断面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1を示す分解斜視図である。
【0014】
本実施形態のパイロット式電磁弁1は、
図1に示すように、バルブベース10と、バルブカバー30と、コイル部40とを備えており、これらは下から上へ向ってこの順で接続されてカートリッジタイプの構成とされている。即ち、パイロット式電磁弁1は、
図2に示すように、管部材9の開口部901に、バルブベース10及びバルブカバー30が挿入されて、管部材9に対して固定されて用いられる。管部材9へのパイロット式電磁弁1の固定の詳細については、後述する。
【0015】
バルブベース10及びバルブカバー30は、本体部を構成する。
図3に示すように、バルブベース10は、内部が中空の円筒形状を有する内側筒部101と、内側筒部101の上部を取囲むように設けられた外側筒部102とを有している。内側筒部101の外部の空間(内側筒部101と外側筒部102との間の空間)は、後述の主弁60に向って液体が流通する一次側流路111に連通する一次側空間103を構成する。一次側流路111、一次側空間103は、一次側部を構成する。内側筒部101の内部の空間は、後述の主弁60からの液体が流通する二次側流路112に連通する二次側空間104を構成する。二次側流路112、二次側空間104は、二次側部を構成する。内側筒部101は、一次側空間103と二次側空間104と間に形成された隔壁を構成する。内側筒部101の上端部は、内側筒部101の上端に近づくにつれて内側筒部101の径方向における厚みが徐々に薄くなっており、その上端においてダイアフラム63が当接する主弁座部1011を構成する。
【0016】
バルブベース10の下部の下端部と、バルブベース10の上部の下端部とには、それぞれOリング1051、1052が設けられている。Oリング1051、1052は、内側筒部101の下部の下端部、外側筒部102の上部の下端部に対して、それぞれ一周するように装着されている。Oリング1051は、一次側流路111と二次側流路112との間の止水を行う。Oリング1052は、一次側流路111と隙間113等により構成される二次側副流路との間の止水を行う。一次側流路111と一次側空間103との間には、ストレーナ1053が設けられている。ストレーナ1053は、
図3に示すように、上方向へ湾曲しており、接続部106に対して所定の位置に位置が決められて配置されている。また、内側筒部101の上部と外側筒部102とは、接続部106により接続されている。内側筒部101の内部空間と、外側筒部102の外部空間とは、接続部106の内部を貫通するとともに、内側筒部101及び外側筒部102を貫通するバルブベース径方向貫通流路1061(
図8参照)により連通している。接続部106は、内側筒部101の直径位置に一対設けられており、このため、バルブベース径方向貫通流路1061も内側筒部101の直径位置に一対形成されている。バルブベース10の上端部には、上方へ突出し中央に貫通孔が形成された一対のフック係止部107(
図1参照)が、バルブベース10の直径位置に設けられている。また、バルブベース10の上端面には、
図3等に示すように、主弁60が設けられている。
【0017】
主弁60は、ダイアフラム板61とダイアフラム63とを備えている。ダイアフラム板61は、樹脂材料が成形されて構成されており、上に向って拡径するダイアフラム板下部611と、ダイアフラム板下部611の上端よりも大径のダイアフラム板上部612と、ダイアフラム板上部612とダイアフラム板下部611とを接続する括れたダイアフラム板中間部613と、を有している。ダイアフラム板下部611からダイアフラム板中間部613にかけての部分には、これらの軸心位置に円柱形状の穴614が形成されている。穴614は、ダイアフラム板下部611の中央から上方向に、ダイアフラム板中間部613の部分に至るまで延びている。
【0018】
ダイアフラム板上部612には、一次側副流路を構成する小孔615が形成されている。小孔615は、ダイアフラム板上部612を上下方向へ貫通するように形成されており、一次側空間103と後述の背圧室31とを連通する。小孔615を通して水が一次側空間103から背圧室31に流入することにより、背圧室31内の圧力を上昇させる。
【0019】
また、ダイアフラム板上部612の上端面には、ばね係合凹部6121が形成されている。ばね係合凹部6121には、ばね64の下端部が当接して係合している。ばね64の上端部は、背圧室31の天井を形成するバルブカバー30の下端面に当接している。ばね64は、圧縮ばねにより構成されており、主弁60を下方へ押圧し、ダイアフラム63を内側筒部101の上端部の主弁座部1011に当接させる。ばね64の上端部においてばね64の先端の部分は水平方向へ延びて、更に下方向へ直線的に延びて、クリーニングピン641を構成する。クリーニングピン641は、小孔615を貫通しており、小孔615内において目詰まりが発生することを防止する。小孔615の内周面とクリーニングピン641の外周面との間には、水が流通可能な隙間が形成されており、この隙間が一次側副流路を構成する。
【0020】
ダイアフラム63は、ゴム材料によって形成されて円形状を有している。ダイアフラム63の周縁部は、バルブベース10の上端部の周縁部とバルブカバー30の下端部の周縁部とによって挟まれることにより、これらに対して固定され、これにより、主弁60は、バルブベース10及びバルブカバー30により構成される本体部により収容されている。ダイアフラム63の中心寄りの部分は、
図3等に示すように、下へ窪んだ円形状を有しており、ダイアフラム63の中心には、貫通孔631が形成されている。貫通孔631には、ダイアフラム板61のダイアフラム板中間部613が貫通している。このように下へ窪んだダイアフラム63の円形状の部分によって、ダイアフラム板61は支持されている。
【0021】
この構成により、ダイアフラム板61は、ダイアフラム63によって上下方向へ移動可能に支持されている。ダイアフラム板61が、ダイアフラム板61を支持しているダイアフラム63の部分と共に下方向へ移動して、内側筒部101の上端部の主弁座部1011に当接することにより、ダイアフラム板下部611が内側筒部101の内部空間である二次側空間104に入り込み、一次側空間103と二次側空間104とを遮断する。ダイアフラム板61が、ダイアフラム板61を支持しているダイアフラム63の部分と共に上方向へ移動して、内側筒部101の主弁座部1011から離れることにより、一次側空間103と二次側空間104とが連通する。
【0022】
ダイアフラム板61の上面とバルブカバー30の下面との間には、背圧室31が形成されている。背圧室31は、主弁60のダイアフラム板61においてダイアフラム板下部611が設けられている側に対する背面側、即ち、一次側空間103と二次側空間104とが連通するダイアフラム板上部612の側(ダイアフラム板上部612の上側)に形成されている。背圧室31は、主弁60と共にダイアフラム部を構成する。バルブカバー30の下端部には、フック部301が、バルブカバー30の直径方向位置に一対設けられている。フック部301は、フック係止部107の貫通孔に係合することにより、フック係止部107に係止される。これによりバルブカバー30は、バルブベース10に固定される。
【0023】
上下方向におけるバルブカバー30の中央よりも上側には、溝302が形成されている。溝302は、バルブカバー30の全周にわたって形成されている。溝302には、Oリング32が設けられている。Oリング32は、バルブカバー30を一周するように装着されている。Oリング32は、隙間113等により構成される二次側副流路から外部に水が漏れないようにするための止水を行う。即ちOリング32とOリング1052とにより、隙間113により構成される二次側副流路の上下において止水が行われる。また、溝302のすぐ上側には、バルブカバー30の上端部の周縁の全周にわたって、上端壁部303が設けられている。
【0024】
バルブカバー30の上面の中央には、下方に窪んだ中央凹部33が形成されている。背圧室31の天井を構成するバルブカバー30の下面には、上方向へ延びる2本の貫通孔304(
図6参照)が形成されている。貫通孔304は、背圧室31の中心に対して直径位置に一対形成されており、貫通孔304の上端部は、中央凹部33の近傍において、上方向へ向って開口している。また、中央凹部33の底部における側面には、中央凹部33とバルブカバー30の外部の空間とを連通するバルブカバー連通孔305が形成されている。バルブカバー連通孔305は、バルブベース10及びバルブカバー30の軸心を中心として、バルブベース10及びバルブカバー30の周方向へ、バルブベース径方向貫通流路1061から90°の位置関係で配置されており、バルブカバー30の直径位置に、本体部を構成するバルブベース10の径方向においてバルブカバー30を貫通するようにバルブカバー30に一対形成されている。バルブカバー連通孔305は、中央凹部33内の水を、バルブカバー30及びバルブベース10により構成される本体部の周囲に、より具体的には、当該本体部の外周面上と、
図2に示す管部材9の内周面との間において、バルブベース10の周方向の全周にわたって形成された隙間113(
図2参照)に流通させる。このように隙間113がバルブベース10の周方向の全周にわたって形成されているため、バルブカバー連通孔305やバルブベース径方向貫通流路1061の経路幅よりも隙間113の幅を小さくすることができる。この結果、パイロット式電磁弁1全体の径方向の大きさが小さく構成されている。
【0025】
コイル部40は、ヨーク41と、コア42とコイル43と磁石44とを有する副弁駆動部と、を備えており、また、副弁駆動部によって駆動され背圧室31と後述の二次側副流路との遮断と連通との切替えをする副弁としてのプランジャー45を備えている。プランジャー45は、円筒形状を有する筒状部材46の内部に収納されており、主弁60と同軸上に配置されている。即ち、プランジャー45の軸心と主弁60の軸心とは、一致する位置関係を有している。ここで、「同軸上」、「一致する位置関係」とは、完全に「同軸上」、完全に「一致する位置関係」であることを意味するのみならず、若干「同軸上」、「一致する位置関係」から外れていても、おおよそ「同軸上」、「一致する位置関係」であることも含む。プランジャー45は、筒状部材46の内部を上下方向に移動可能に、筒状部材46に支持されている。副弁駆動部によるプランジャー45の駆動により、副弁による背圧室31と、バルブカバー連通孔305等により構成される二次側副流路と、の遮断と連通との切替えが行われる。
【0026】
ヨーク41は、上端部が塞がれた円筒形状を有しており、筒状部材46と同軸的な位置関係を有している。ヨーク41の内部空間には、コア42とコイル43と磁石44と筒状部材46とプランジャー45とが収容されており、ヨーク41は、筒状部材46に固定されている。筒状部材46は、圧入によりバルブカバー30に固定されている。バルブカバー30の周方向における、バルブカバー30、ヨーク41の向きは、ヨーク41の突出部414とバルブカバー30の切欠き部306とにより決定される。ヨーク41の下端部には、被固定部411が設けられている。被固定部411は、ヨーク41の直径位置に一対設けられており、
図1等に示すように、それぞれ板状の、角が面取りされた形状の三角形状を有し、それぞれ貫通孔412が形成されている。
図2に示すように、被固定部411の貫通孔412にビス413が上側から貫通すると共に、管部材9の側面に設けられた固定部903の貫通孔904に螺合することにより、固定部903に被固定部411が固定され、これにより、管部材9にパイロット式電磁弁1は固定されている。即ち、パイロット式電磁弁1は、一次側流路111に流入する流路(一次側流路111の上流側の管部材一次側流路908)と二次側流路112から流出する流路(二次側流路112の下流側の管部材二次側流路909)とを備えている管部材9に固定可能に形成されている。
【0027】
図3に示すように、コイル43は、筒状部材46の外周に巻回されている。コア42は、プランジャー45の上側に配置されている。プランジャー45の軸心位置には、圧縮ばねにより構成されるばね48が設けられている。ばね48は、プランジャー45の軸心位置に形成され当該軸心に沿って延びる穴に配置されている。ばね48は、コア42に対してプランジャー45を下方向へ付勢している。また、コア42の上側には、磁石44が設けられている。
【0028】
磁石44の磁力によってプランジャー45は、上側の位置に保持される。また、コイル43に電気が供給されることによるコイル43の磁力によって、プランジャー45は下側の位置に移動させられる。このときには、プランジャー45に対する磁石44の磁力はばね48の付勢力よりも弱く、ばね48の付勢力により、プランジャー45は、下側の位置に保持される。即ち、副弁駆動部の駆動方式は、プランジャー45により構成される副弁が開いている状態と、閉じている状態とを切替える際にのみコイル43に通電するラッチ式である。プランジャー45が上側の位置から下側の位置に移動させられる際に供給される電気とは逆向きに電気が供給されることより、プランジャー45は下側の位置から上側の位置に移動させられる。
【0029】
筒状部材46の下部は、
図6に示すように、2枚の板状部464、465を有しており、コイル43は、上側の板状部464よりも上側に配置されている。2枚の板状部464、465の間には、ロアプレート47が配置されている。筒状部材46の下端部は、コイル43を支持する筒状部材46の上部に一体成形され筒状部材46の一部を構成するバルブシート部461を有している。バルブシート部461は、筒状部材46の下端部において筒状部材46の内部空間を塞ぐように設けられており、バルブシート部461の外周面と中央凹部33を形成しているバルブカバー30の部分との間は、2つのOリング462、463によりシールされている。Oリング462は、背圧室31から貫通孔304を通してプランジャー45へ流れる水が外部に漏れないように止水する。Oリング463は、小孔615により構成される1次側副流路と、バルブカバー連通孔305等により構成される二次側副流路との間を止水する。
【0030】
バルブシート部461は、プランジャー45の下端部452が当接する弁座としてのシート部4611(
図6参照)を有している。シート部4611の上部は、截頭円錐形状を有しており、その軸心位置には、上下方向に貫通する貫通孔4612が形成されている。貫通孔4612の上端部の開口の周縁部は、開口の内側から外側にわたって連続するR形状の曲面により構成されている。即ち、貫通孔4612を形成するシート部4611の内周面とシート部4611の外周面とが接続されているシート部4611の上端部は、
図6、
図9に示すように、貫通孔4612を形成しているシート部4611の内周面からシート部4611の上面に至るまで連続するR形状の曲面4615により構成されている。これにより、曲面4615の部分においては、貫通孔4612により構成される二次側副流路の上流側から下流側に向かって縮径している縮径部4616をなしている。二次側副流路における縮径部4616の上流端の直径dよりも、大径部4614の直径D(
図3参照)の方が大きい。R形状の曲面4615は、例えば、
図10に示すように、シート部4611(
図6参照)の上面を成形する金型の可動型801の一部に、R形状のキャビティ形成面8021を有する中子802が用いられることにより、キャビティ81において成形される。
図9は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1のシート部4611を示す拡大断面図である。
図10は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1のシート部4611を成形する金型の一部を示す拡大断面図である。
【0031】
図6に示すように、貫通孔4612は、シート部4611の上端部から所定の位置に至るまでの部分は、一定の径を有しており、その部分よりも下側の部分は、円錐形状に徐々に拡径する拡径部4613を有している。更に拡径部4613よりも下側の部分は、拡径部4613の最も大径の部分と同一の径で一定の径を有する大径部4614を有している。シート部4611の下端部は、中央凹部33の底面331よりも高い位置に配置されている。これにより、シート部4611の貫通孔4612の内部空間とバルブカバー連通孔305とが、シート部4611の下端部と中央凹部33の底面331との間の空間により連通している。
【0032】
シート部4611の貫通孔4612、バルブカバー連通孔305、管部材9に固定されたバルブカバー30及びバルブベース10の外表面と管部材9の内周面との隙間113、及び、バルブベース径方向貫通流路1061は、背圧室31から水を二次側空間104に流通させる二次側副流路を構成する。従って、バルブシート部461のシート部4611は、二次側副流路の上流側の端部に設けられており、拡径部4613は、弁座であるシート部4611の上端部よりも二次側副流路の下流側の部分を構成する。そして、二次側副流路は、主弁60には形成されておらず、主弁60を迂回するように主弁60の周囲に形成されている。より具体的には、上下方向において、二次側副流路の上流端(
図9における直径dで示す部分)と、ダイアフラム63の可動部632(
図8等参照)と、下流端1062(
図8参照)とが重なる位置にあり、二次側副流路の途中の経路である隙間113が、ダイアフラム63の可動部632(
図8参照)に重ならない部分である、ダイアフラム63の周囲に迂回して形成されている。そして、二次側流路112への二次側副流路の開口である二次側副流路の下流端は、二次側空間104の水の流れにおけるダイアフラム板61の下流側の端部(
図8におけるダイアフラム板下部611の下端部6111)よりも上流側(
図8における上側)に位置している。ここで、上下方向において、二次側副流路の上流端と、ダイアフラムの可動部とが重なる位置にあれば、二次側副流路の下流端は、ダイアフラムの可動部と重なっていなくてもよい。この場合であっても、二次側副流路の上流端と、二次側副流路の下流端とは、直線状の二次側副流路で連通せずに、ダイアフラムの可動部の存在により、ダイアフラムを迂回するように形成された二次側副流路によって連通する。
【0033】
次に、主弁60を開く動作について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、一次側流路111から一次側空間103へ水が流入する様子を示す説明図である。
図6は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、背圧室31に流入した水が第二副流路へ流入する様子を示す説明図である。
図7は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、第二副流路を水が流通する様子を示す説明図である。
図8は、本発明の一実施形態に係るパイロット式電磁弁1において、第二副流路から二次側空間104へ水が流通する様子を示す説明図である。
【0034】
先ず、主弁60が開く前の閉じている状態について説明する。主弁60が閉じている状態、即ち、主弁60が内側筒部101の主弁座部1011における開口を塞いでいる状態のときには、プランジャー45は、バルブシート部461のシート部4611の上端部の開口を塞いでいる。このとき、一次側流路111から一次側空間103に流入した水は、小孔615を通過して背圧室31へ流入しており、これにより、背圧室31には水が充填されている。このため、背圧室31の圧力及びばね64の付勢力によって主弁60は、下方向へ付勢されているため、主弁60は、内側筒部101の主弁座部1011に押しけられ、開口を塞いでいる状態が維持されている。
【0035】
次に、主弁60が閉じている状態から開く動作について説明する。
コイル43に電気が供給されて、プランジャー45がばね48の付勢力に抗して上側の位置に移動させられると、バルブシート部461のシート部4611の上端部の開口が開かれる。これにより、背圧室31内の水がシート部4611の上端部の開口から貫通孔4612内に流入し、バルブカバー連通孔305からバルブカバー30の外周面上に流出する。そして水は、バルブカバー30と管部材9の内周面との間、及び、バルブベース10と管部材9の内周面との間の隙間113を流通して、バルブベース径方向貫通流路1061に流入し、内側筒部101の内部空間である二次側空間104へ流入する。そして、二次側流路112へ流通する。これにより背圧室31の圧力が低下し、一次側空間103の圧力が背圧室31の圧力及びばね64の付勢力よりも高くなり、主弁60は上方向へ移動して主弁60が開き、一次側空間103と、二次側空間104が連通し、一次側空間103の水が二次側空間104へ流通する。
【0036】
上記構成の実施形態によるパイロット式電磁弁1によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態におけるパイロット式電磁弁1は、主弁60及び背圧室31を含むダイアフラム部と、ダイアフラム部に向って液体が流入する一次側流路111と、ダイアフラム部からの液体が流出する二次側流路112と、ダイアフラム部を構成し、一次側空間103と二次側空間104との遮断と連通との切替えをする主弁60と、主弁60における一次側部と二次側部とが連通する側に対する背面側に形成された背圧室31と、主弁60に形成され、一次側空間103から背圧室31に水を流通させることにより、背圧室31内の圧力を上昇させる一次側副流路としての小孔615と、背圧室31から液体を二次側空間104に流通させる二次側副流路(貫通孔4612、バルブカバー連通孔305、隙間113、及び、バルブベース径方向貫通流路1061)と、背圧室31と二次側流路112との遮断と連通との切替えをする副弁としてのプランジャー45と、プランジャー45による切替えをするためにプランジャー45を駆動する副弁駆動部(コア42、コイル43、磁石44)と、を備える。
二次側副流路は、主弁60に形成されておらず、主弁60を迂回するように主弁60の周囲に形成されている。
【0037】
この構成により、二次側副流路が主弁60を迂回するように主弁60の周囲に形成されていることで、例えば、プランジャー45と主弁60とが同軸上に配置された構成である場合でも、上下に駆動されるプランジャー45のストロークを必要最低限とすることができる。これにより、パイロット式電磁弁1の小型化及び省電力化を図ることが可能となる。
即ち、磁気回路定数をkとし、コイル43の巻数をnとし、コイル43に供給される電流をIとし、プランジャー45とコア42との接触面積をStとし、プランジャー45のストロークをLとすると、プランジャー45を駆動する力Fは、
F = k(nI)2St/L2
で表される。このため、プランジャー45のストロークLが長くなると、FはLの二乗に反比例して小さくなる。しかし、本実施形態では、プランジャー45のストロークを必要最低限とすることができるため、パイロット式電磁弁1の小型化及び省電力化を図ることが可能となる。
この結果、パイロット式電磁弁1を、管部材9の開口部901に本体部を挿入して容易に固定して使用することが可能なカートリッジタイプとすることが可能となる。カートリッジタイプとすることにより、パイロット式電磁弁1を、様々な部品に組み込んで用いることが可能となり、また、パイロット式電磁弁1の取外しも容易であるため、パイロット式電磁弁1のメンテナンスも容易とすることが可能である。
【0038】
また、パイロット式電磁弁1は、主弁60を収容する本体部としてのバルブベース10及びバルブカバー30を備える。
二次側副流路は、本体部の外面と、本体部が固定される被固定部材としての管部材9との間に隙間113として形成される。この構成により、本体部の外面と、本体部が固定される管部材9との間に形成される隙間113において、主弁60を迂回するように主弁60の周囲に水を流すことが可能となる。
【0039】
また、二次側副流路の上流側の端部には、副弁としてのプランジャー45が当接するシート部4611が設けられ、シート部4611よりも二次側副流路の下流側の部分は、円錐形状に徐々に拡径する拡径部4613を有している。この構成により、プランジャー45の動作に対する主弁60の応答性を高めることが可能となる。
【0040】
即ち、主弁60が上下するときの背圧室31の容積の変化をΔVとし、シート部4611の貫通孔4612の断面積をSとし、流量係数をcとし、背圧室31の圧力と二次側副流路の圧力との差をP1-P2とすると、プランジャー45による副弁が開いてから、主弁60が開くまでの時間tは、
t = ΔV/Sc√(P1-P2)
で表される。ここで、拡径部4613が形成されていることにより流量係数cの値を大きくすることができ、これにより、プランジャー45の動作に対する主弁60の応答性を高めることが可能となる。
【0041】
また、二次側副流路の上流側の端部の開口を形成し副弁としてのプランジャー45が当接する弁座としてのシート部4611の開口周縁部は、二次側副流路の上流側から下流側に向かって縮径している縮径部4616を有している。即ち、シート部4611の開口周縁部は、開口の内側から外側にわたって連続するR形状の曲面により構成されている。このように連続するR形状の曲面となるように設計することにより、主弁60の応答性が悪くなることを回避することが可能となる。
【0042】
また、二次側副流路における縮径部4616の上流端の直径dよりも拡径部4613の直径Dの方が大きい。直径dが大きすぎるとプランジャー45で閉じる流路も大きくなり、パイロット式電磁弁1の小型化に繋がらなくなるが、このような構成とすることで、パイロット式電磁弁1の小型化を図ることが可能となる。
【0043】
また、パイロット式電磁弁1は、副弁としてのプランジャー45を駆動させるコイル43を有するコイル部40と、プランジャー45が当接する弁座としてのシート部4611と、を備える。バルブカバー30は、本体部を構成するバルブベース10の径方向に貫通する貫通孔としてのバルブカバー連通孔305を有する。コイル部40は、シート部4611を有する。本実施形態のように二次側副流路が比較的複雑な構成である場合には、副弁のシート部が長いと、背圧室31の圧力が高くなり、背圧不良を起こす可能性がある。しかし、上記構成により、本実施形態のようにシート部4611から下方に貫通する貫通孔4612の下流側にバルブカバー連通孔305が径方向に延びている構成を有する場合であっても、バルブカバー30にシート部が設けられず、コイル部40にシート部4611が設けられることで、副弁の二次側副流路としての貫通孔4612の長さを最小限とし、背圧室31の圧力を二次側空間104よりも低くすることができ、背圧不良を防止することができる。
【0044】
また、二次側流路112への二次側副流路の開口である二次側副流路の下流端1062は、二次側空間104の水の流れにおけるダイアフラム板61の下流側の端部(
図8における
ダイアフラム板下部611の下端部6111)よりも上流側(
図8における上側)に位置している。この構成により、二次側副流路(隙間113、バルブカバー連通孔305、バルブベース径方向貫通流路1061、貫通孔4612)の圧力が二次側流路112の圧力と比較して小さくなる。これにより二次側副流路と連通する背圧室31の圧力も低くなり、主弁60の開度を大きくすることができ、流量性能を向上させることが可能となる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、主弁、副弁、一次側副流路、二次側副流路等の各部の構成は、本実施形態における主弁60、プランジャー45、小孔615、二次側副流路(貫通孔4612、バルブカバー連通孔305、隙間113、及び、バルブベース径方向貫通流路1061)等の各部の構成に限定されない。
【0046】
また、例えば、本実施形態では、プランジャー45とダイアフラム63とが同軸上に配置されたが、この構成に限定されない。また、二次側副流路は、シート部4611の貫通孔4612、バルブカバー連通孔305、管部材9に固定されたバルブカバー30及びバルブベース10の外表面と管部材9の内周面との隙間113、及び、バルブベース径方向貫通流路1061により構成されたが、この構成に限定されない。例えば、二次側副流路は、管部材9に固定されたバルブカバー30及びバルブベース10の外表面と管部材9の内周面との隙間113に代えて、バルブカバー及びバルブベースにより構成される本体部の外面に形成された溝により構成されてもよい。また、例えば、二次側副流路は、管部材9に固定されたバルブカバー30及びバルブベース10の外表面と管部材9の内周面との隙間113に代えて、バルブカバー連通孔305とバルブベース径方向貫通流路1061とを連通する他の流路が、バルブカバー及びバルブベースにより構成される本体部の内部に形成されていてもよい。
【0047】
また、副弁駆動部の駆動方式は、ラッチ式であったが、これに限定されない。例えば、副弁駆動部の駆動方式は、コイル43に通電している間は一の状態(例えば、弁が開いた状態)となり、コイル43に通電していない間は他の状態(例えば、弁が閉じた状態)となる連続通電式であってもよい。
また、液体は、水であったが、水に限定されない。
また、拡径部4613は、円錐形状に徐々に拡径していたが、この構成に限定されない。例えば、拡径部は、貫通孔の軸心に直交する方向へ広がる構成等を有していてもよい。
また、コイル部40を構成する筒状部材46の下端部は、コイル43を支持する筒状部材46の上部に一体成形され筒状部材46の一部を構成するバルブシート部461を有していたが、この構成に限定されない。コイル部は、弁座を有していればよい。
また、二次側流路112への二次側副流路の開口である二次側副流路の下流端は、二次側空間104の水の流れにおけるダイアフラム板61の下流側の端部(
図8におけるダイアフラム板下部611の下端部6111)よりも上流側(
図8における上側)に位置していたが、少なくても主弁60が閉状態でこのような位置関係を有していればよい。例えば主弁60が全開状態では、二次側流路112への二次側副流路の開口である二次側副流路の下流端は、二次側空間104の水の流れにおけるダイアフラム板61の下流側の端部よりも下流側(
図8における下側)に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…パイロット式電磁弁
9…管部材(被固定部材)
10…バルブベース(本体部)
30…バルブカバー(本体部)
31…背圧室(ダイアフラム部)
40…コイル部
42…コア(副弁駆動部)
43…コイル(副弁駆動部)
44…磁石(副弁駆動部)
45…プランジャー(副弁)
46…筒状部材(コイル支持部材)
60…主弁(ダイアフラム部)
61…ダイアフラム板
101…内側筒部(隔壁)
103…一次側空間(一次側部)
104…二次側空間(二次側部)
111…一次側流路(一次側部)
112…二次側流路(二次側部)
113…隙間(二次側副流路)
305…バルブカバー連通孔(二次側副流路)
615…小孔(一次側副流路)
908…管部材一次側流路
909…管部材二次側流路
1061…バルブベース径方向貫通流路(二次側副流路)
1062…下流端(開口)
4612…貫通孔(二次側副流路)
4611…シート部(弁座)
4613…拡径部
6111…下端部(下流側の端部)