(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】滞留水移送システム
(51)【国際特許分類】
B62D 61/10 20060101AFI20220617BHJP
G21F 9/04 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
B62D61/10
G21F9/04 A
(21)【出願番号】P 2018081891
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-03-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.平成29年10月20日 福島第一原子力発電所における循環注水冷却・滞留水等に係る定例会(開催日:平成29年10月20日)に関するURL <<http://www2.nsr.go.jp/disclosure/meeting/FAM/201710.html>> 2.平成29年10月26日 廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第47回) 3.平成29年12月21日 廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第49回) 4.平成29年11月16日 廃炉・汚染水対策現地調整会議(第41回)
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】川口 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】青柳 憲治
(72)【発明者】
【氏名】清水 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】岸 和良
(72)【発明者】
【氏名】川畑 武寛
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 一成
(72)【発明者】
【氏名】田村 善孝
(72)【発明者】
【氏名】板谷 崇志
(72)【発明者】
【氏名】大和田 一光
(72)【発明者】
【氏名】田中 公彦
(72)【発明者】
【氏名】榊元 正
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 秀之
(72)【発明者】
【氏名】坂田 基明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 秀之
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3142601(JP,U)
【文献】特開2008-133715(JP,A)
【文献】特開2013-112029(JP,A)
【文献】特開2017-124821(JP,A)
【文献】特開昭60-001083(JP,A)
【文献】米国特許第05946767(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/10
B62D 61/12
G21F 9/04
B60P 3/00
B65F 3/00
E03F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地点における滞留水を移送するための滞留水移送システムであって、
走行装置と、
前記滞留水に投入されて前記滞留水を吸い上げる吸込み部と、
前記吸込み部に接続され、前記滞留水を移送する移送先まで配されるホースと、
前記ホースを支持して前記滞留水に向けて送り出し可能なホース案内機構と、
前記走行装置による進行方向前方及び前記吸込み部の少なくとも一方を撮影する少なくとも1つのカメラとを備え、
前記走行装置は、
走行面上に転動可能に配され、前後に設けられた一対の車輪によって構成される複数組の車輪群と、
前記車輪を回転可能に支持
し、前記ホース案内機構が設けられたフレームと、
各前記車輪群と対応して設けられて一対の前記車輪の外周面両方に挟み込まれるようにして上方から前記車輪に圧接する伝導輪、及び前記伝導輪を駆動させる駆動部を有し、前記フレームに支持された駆動機構とを備え、
前記カメラとして、前記走行装置による進行方向前方を撮影する第一のカメラと、前記進行方向前方及び前記吸込み部をそれぞれ撮影可能な第二のカメラを備え、
さらに、前記第二のカメラが取り付けられ、前記第二のカメラの光軸の方向を前記進行方向前方から前記滞留水の方向まで変更可能に、前記フレームに回転可能に支持される回転支持部材とを備える滞留水移送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の
滞留水移送システムにおいて、
前記走行装置は、
前記駆動機構の前記駆動部は、前記伝導輪ごとに設けられ、前記伝導輪を正回転及び逆回転の双方向に回転させることが可能である
滞留水移送システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の滞留水移送システムにおいて、
前記滞留水に投入されて前記滞留水の水位を測定する水位計本体と、
前記水位計本体に接続された水位計ケーブルと、
前記水位計ケーブルを支持して前記滞留水に向けて送り出し可能なケーブル案内機構とを備え、
前記ケーブル案内機構は、ケーブルを支持するケーブル支持部と、前記水位計本体から前記ケーブル支持部を経て後方へと延びる前記水位計ケーブルを、前記ケーブル支持部へと送り出し、及び、引き戻しを行うことが可能なケーブル移動部とを有する滞留水移送システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の滞留水移送システムにおいて、
前記回転支持部材は、その先端に前記ケーブル支持部を備え、かつ、その基端が前記フレームに回転可能に支持され、前記先端が上方へと延びる待機位置と、前記待機位置よりも前記先端が前方へと傾いた使用位置との間で回転可能であり、
前記ケーブル移動部による前記水位計ケーブルの送り出しにより、前記回転支持部材は前記待機位置から前記使用位置へと回転させることが可能であり、
前記ケーブル移動部による前記水位計ケーブルの引き戻しにより、前記回転支持部材を前記使用位置から前記待機位置へと回転させることが可能である滞留水移送システム。
【請求項5】
請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の滞留水移送システムにおいて、
前記ホース案内機構は、前記フレームの進行方向前方側に設けられ、前方に向けて前記ホースを案内する第一のホース案内部と、
前記第一のホース案内部よりも進行方向後方側に設けられ、後方に向けて前記ホースを案内する第二のホース案内部とを有する滞留水移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滞留水移送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
狭隘な場所や、雰囲気が汚染されている場所など、作業員が進入することが困難な場所での作業を行う場合には、自走式の走行装置が用いられる。例えば、非特許文献1によれば、内部に滞留水が存在している復水器内部に走行装置を備えた自走式カメラ装置を進入させて、内部の状況をカメラで撮影することが行われている。また、非特許文献1によれば、このような走行装置の先端に、錘を垂下させて、滞留水近傍まで到達させて錘を吊り降ろすことで滞留水の底部までの高さを測定することができるとされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】東京電力ホールディングス株式会社、1~3号機 復水器ホットウェル天板下部貯留水の水抜きについて、46~50頁、[online]、2017年7月27日、東京電力ホールディングス株式会社、[2017年4月2日検索]、<URL:http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/2017/images2/d170727_06-j.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業員が進入することが困難な場所などでは、走行装置が走行する走行面が整備されていないため、走行装置の走行に困難が生じる場合がある。例えば、走行面上に塵埃が堆積している場合や、さらに走行面上が滞留水に浸漬して塵埃がスラッジとして存在している場合がある。このような塵埃やスラッジが存在している走行面では、塵埃やスラッジの粒子分が、走行装置の駆動機構や、無端ベルトと車輪との機構部分に進入すると、機械要素の間に塵埃やスラッジの粒子分を噛み込んでしまい作動することができなくなってしまう場合があった。このため、上記非特許文献1のような環境で滞留水を移送する際にも滞留水を汲み上げる箇所まで装置を到達させることが困難な問題もあった。
【0005】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、走行面上に塵埃やスラッジが存在していても、塵埃やスラッジの影響を受けることなく、適切に駆動力を走行面上に作用させて走行することが可能な滞留水移送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明の一態様に係る滞留水移送システムは、遠隔地点における滞留水を移送するための滞留水移送システムであって、走行装置と、前記滞留水に投入されて前記滞留水を吸い上げる吸込み部と、前記吸込み部に接続され、前記滞留水を移送する移送先まで配されるホースと、前記ホースを支持して前記滞留水に向けて送り出し可能なホース案内機構と、前記走行装置による進行方向前方及び前記吸込み部の少なくとも一方を撮影する少なくとも1つのカメラとを備え、前記走行装置は、走行面上に転動可能に配され、前後に設けられた一対の車輪によって構成される複数組の車輪群と、前記車輪を回転可能に支持し、前記ホース案内機構が設けられたフレームと、各前記車輪群と対応して設けられて一対の前記車輪の外周面両方に挟み込まれるようにして上方から前記車輪に圧接する伝導輪、及び前記伝導輪を駆動させる駆動部を有し、前記フレームに支持された駆動機構とを備え、前記カメラとして、前記走行装置による進行方向前方を撮影する第一のカメラと、前記進行方向前方及び前記吸込み部をそれぞれ撮影可能な第二のカメラを備え、さらに、前記第二のカメラが取り付けられ、前記第二のカメラの光軸の方向を前記進行方向前方から前記滞留水の方向まで変更可能に、前記フレームに回転可能に支持される回転支持部材とを備える。
【0007】
この構成によれば、走行装置において、駆動機構における駆動部の駆動により伝導輪が回転し、伝導輪に圧接された車輪が伝導輪との摩擦により伝導輪とともに回転することにより、各車輪群の一対の車輪は回転駆動し走行面上で転動する。ここで、伝導輪は車輪の上方から圧接されていることで、車輪の車軸よりも上方に位置し、無端ベルト機構や、車輪の車軸に駆動機構が設けられている場合と比較して塵埃やスラッジが駆動機構に侵入して噛み込み等の不具合が発生してしまうことを抑制することができる。そして、一対の車輪の外周面両方に挟み込まれるようにして伝導輪が圧接されていることで、車輪と伝導輪との間の摩擦力を保ち、車輪と伝導輪との間でスリップしてしまい駆動力を伝導輪から車輪に伝えられなくなってしまうことを抑制することができる。また、この構成によれば、上記のような走行装置を備えることで、床面に塵埃やスラッジが存在していても滞留水を汲み上げる箇所まで移動することができる。この際、カメラによって進行方向前方を撮影する場合には、遠隔操作により目的とする箇所まで移動することができる。そして、滞留水を汲み上げる箇所まで移動した後、ホース案内機構により支持しているホース及びホースに取り付けられた吸込み部を滞留水に送り出すことで、吸込み部により滞留水を吸い上げ可能な状態とすることできる。また、カメラによって吸込み部を撮影する場合には、吸込み部と滞留水との位置関係を把握することができ、遠隔操作により吸込み部を滞留水における適切な位置に投入することができる。さらに、この構成によれば、回転支持部材により、回転支持部材に取り付けられた第二のカメラの角度を変更することが可能であることで、第二のカメラで、進行方向を確認できるとともに、ホース案内機構により支持しているホース及びホースに取り付けられた吸込み部を滞留水に送り出す際に、滞留水に投入される吸込み部を的確に捉え、遠隔操作により吸込み部を滞留水における適切な位置に投入することができる。
【0008】
また、上記の走行装置において、前記駆動機構の前記駆動部は、前記伝導輪ごとに設けられ、前記伝導輪を正回転及び逆回転の双方向に回転させることが可能であるものとしても良い。
【0009】
この構成によれば、各駆動機構の駆動部を別々に駆動可能であることで信地旋回を行い、また、複数の車輪群と対応する伝導輪の一方を正回転、他方を逆回転とすることで、超信地旋回も実現することが可能となり、狭隘部でも走行可能とすることができる。
【0012】
また、上記の滞留水移送システムにおいて、前記滞留水に投入されて前記滞留水の水位を測定する水位計本体と、前記水位計本体に接続された水位計ケーブルと、前記水位計ケーブルを支持して前記滞留水に向けて送り出し可能なケーブル案内機構とを備え、前記ケーブル案内機構は、ケーブルを支持するケーブル支持部と、前記水位計本体から前記ケーブル支持部を経て後方へと延びる前記水位計ケーブルを、前記ケーブル支持部へと送り出し、及び、引き戻しを行うことが可能なケーブル移動部とを有するものとしても良い。
【0013】
この構成によれば、ケーブル案内機構で水位計ケーブル及び水位計ケーブルに接続された水位計本体を支持し滞留水に向けて送り出すことで、滞留水の水位を測定し、吸込み部による滞留水移送時の水位管理を行うことができる。ここで、水位計ケーブルは、ケーブル支持部によって支持された状態でケーブル案内部のケーブル移動部によって送り出し、及び、引き戻しを行うことができる。
【0016】
また、上記の滞留水移送システムにおいて、前記回転支持部材は、その先端にケーブル支持部を備え、かつ、その基端が前記フレームに回転可能に支持され、先端が上方へと延びる待機位置と、待機位置よりも先端が前方へと傾いた使用位置との間で回転可能であり、前記ケーブル移動部による前記水位計ケーブルの送り出しにより、前記回転支持部材は前記待機位置から前記使用位置へと回転させることが可能であり、前記ケーブル移動部による前記水位計ケーブルの引き戻しにより、前記回転支持部材を前記使用位置から前記待機位置へと回転させることが可能であるものとしても良い。
【0017】
この構成によれば、水位計ケーブルの使用をせず、走行装置によって移動する場合には、移動時に用いない水位計ケーブルをケーブル移動部によって引き戻した状態とすることで、回転支持部材を待機位置として、第二のカメラによっても前方を撮影することができる。また、滞留水を汲み上げる箇所まで到達して水位計ケーブルを利用する場合には、水位計ケーブルをケーブル移動部によって送り出して、回転支持部材を使用位置まで先端が前方に向かうように回転させることで、第二のカメラで前方に向かうに従って下方に向かうように傾けて水位計本体を落下させる方向を撮影することができる。このため、この状態では水位計本体と滞留水との位置関係、及び吸込み部と滞留水との位置関係を第二のカメラによって撮影することができる。
【0018】
また、上記の滞留水移送システムにおいて、前記ホース案内機構は、前記フレームの進行方向前方側に設けられ、前方に向けて前記ホースを案内する第一のホース案内部と、前記第一のホース案内部よりも進行方向後方側に設けられ、後方に向けて前記ホースを案内する第二のホース案内部とを有する。
【0019】
この構成によれば、第一のホース案内部によってフレームから進行方向前方側の位置で前方に向けてホースを案内しホースに接続された吸込み部を滞留水の中に投入することができる。そして、第一の案内部よりも進行方向後方側に設けられた第二のホース案内部によって移送先に向かってホースを案内することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、走行面上に塵埃やスラッジが存在していても、塵埃やスラッジの影響を受けることなく、適切に駆動力を走行面上に作用させて走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態の滞留水移送システムを示す概要図である。
【
図2】本発明の実施形態の滞留水移送システムにおいて吸込み部の詳細を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態の走行装置の詳細を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施形態の走行装置の詳細を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態の走行装置の詳細を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態の走行装置において、駆動機構の詳細を示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態の滞留水移送システムのホース投入機において、ケーブル案内機構の詳細を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施形態の滞留水移送システムのホース投入機において、ケーブル案内機構のケーブル移動部の詳細を示す正面図である。
【
図9】本発明の実施形態の滞留水移送システムにおいて、操作盤の詳細を示す平面図である。
【
図10】本発明の実施形態の滞留水移送システムにおいて、ポンプ設置装置の詳細を示す背面図である。
【
図11】本発明の実施形態の滞留水移送システムにおいて、ポンプ設置装置の詳細を示す平面図である。
【
図12】本発明の実施形態の滞留水移送システムの使用方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<滞留水移送システム>
以下、本発明に係る一の実施形態について
図1から
図12を参照して説明する。
図1は、本実施形態の滞留水移送システム100を示している。本実施形態の滞留水移送システム100は、滞留水Wの汲み上げ箇所Pまで遠隔操作で移動させて滞留水Wを汲み上げて移送するものであって、例えば復水器200内に滞留した滞留水Wを移送するものである。復水器200は、ケーシング201と、ケーシング201の内部に設けられて水平方向に延びる天板202とを備えている。天板202は、ケーシング201の内部の底面203よりも上方に間隔を空けてケーシング201の内面から延びている。滞留水Wは、底面203上に滞留している。ケーシング201において、天板202の上方には、ケーシング201の内面から外面まで貫通するマンホール204が設けられている。そして、上記の復水器200内部などで用いられる滞留水移送システム100は、ホース投入機1と、ポンプ機構110と、ポンプ設置装置130、水位計測装置150と、操作装置170(
図9)とを備える。
【0023】
<ポンプ機構>
ポンプ機構110は、滞留水Wに投入されて滞留水Wを吸い込む吸込み部111と、吸込み部111に先端が接続された第一のホース112と、第一のホース112の基端が接続されたポンプ本体113と、ポンプ本体113から移送先まで配される第二のホース114と、ポンプ本体113に接続されて駆動用の圧縮空気が送り込まれる駆動用ホース115とを備えている。
図2に示すように、吸込み部111は、円板状に形成されて底面111aに吸込み用の溝111bが形成されている。溝111bは、底面111aに複数放射状に設けられており、それぞれ吸込み部111の側面に開口している。このため、吸込み部111の底面111aを復水器200の底面203に合わせるように配することで、復水器200の底面203の滞留水Wを、溝111bにおける側面の開口から取り込むことができる。したがって、吸込み部111では、復水器200の底面203近傍まで吸い上げることが可能である。第一のホース112は、後述するようにホース投入機1の移動に応じて変形可能な可撓性と長さを有するとともに、ホース案内機構4によって送り出し、引き戻し可能な程度の剛性を有する材質で形成されていることが好ましい。第二のホース114についても同様の材質で形成されていることが好ましい。第二のホース114は、ポンプ本体113からマンホール204を経て移送先まで配されている。駆動用ホース115は、一端がポンプ本体113と接続されているとともに、図示しないが他端が復水器200の外部に設けられたコンプレッサーに接続されている。このため、コンプレッサーの操作によって圧縮空気の送出、停止を切り替え可能である。ポンプ本体113は、本実施形態ではダイヤフラムポンプであって、駆動用ホース115からの圧縮空気の入力によって第一のホース112を経由して吸込み部111から滞留水Wを吸引可能である。また、ポンプ本体113にはポンプ本体113を吊下げるためのポンプ吊下部113aが設けられている。なお、ポンプ機構については上記に限られず吸引の駆動源が吸込み部に設けられていても良い。
【0024】
<水位計測装置150>
水位計測装置150は、滞留水Wに投入される水位計本体151と、水位計本体151に先端が接続された水位計ケーブル152と、水位計ケーブル152の基端が接続された図示しない制御装置とを備える。水位計ケーブル152は、ホース投入機1からマンホール204を経由して復水器200の外側に配された図示しない制御装置まで延びている。水位計本体151については公知の方式を適宜選択可能であるが、例えば圧力式である。このため、水位計本体151を滞留水Wの水面Waから復水器200の底面203まで投入して圧力を計測することで、水位計本体151からの出力信号に基づいて図示しない制御装置にて水位計本体151から水面Waまでの距離を求めることが可能である。なお、水位計としては上記の圧力式に限られず別の方式の水位計としても良い。
【0025】
<ホース投入機1>
図3に示すように、ホース投入機1は、走行装置2と、ホース案内機構4と、ケーブル案内機構6と、第一のカメラ11と、第二のカメラ12と、第三のカメラ13と、回転支持部材14と、第一のライト15と、第二のライト16とを備える。ホース案内機構4と、ケーブル案内機構6と、第一のカメラ11と、第二のカメラ12と、第三のカメラ13と、回転支持部材14と、第一のライト15と、第二のライト16とのそれぞれは、後述する走行装置2のフレーム25に取り付けられている。
【0026】
<走行装置>
図3~
図5に示すように、走行装置2は、天板202の上面を走行面202aとして走行する。走行装置2は、走行面202a上に転動可能に配され、前後に設けられた一対の車輪20、20によって構成される複数組の車輪群21と、車輪20を回転可能に支持するフレーム25と、車輪20を転動させる駆動機構30とを備える。フレーム25は、走行装置2の進行方向Xを長手方向とする矩形状に形成されたフレーム本体26と、フレーム本体26に固定されて車輪20を支持する複数の軸受部27と、フレーム本体26に固定されて後述する駆動機構30の支持部32を固定する固定部28(
図6参照)と、フレーム25を吊下げるためのフレーム吊下部29とを有する。
【0027】
車輪群21は、本実施形態では、フレーム本体26に対して進行方向Xに直交する幅方向Y両側にそれぞれ配されるように2組設けられている。なお、これに限らず車輪群21は、3組以上設けても良く、片側に2組以上設けても良い。各車輪群21は、車輪20として前輪20Aと後輪20Bとを有する。前輪20Aと後輪20Bとは進行方向Xに隙間Cを有して配されている。各車輪20はホイール20aと、ホイール20aの中心に設けられた車軸20bと、ホイール20aの外周に配されたゴムタイヤ20cとを有する。ゴムタイヤ20cの外周面20dには溝20eが形成されている。溝20eは、周方向に間隔を有して複数配されているとともに、車輪20の幅方向Y中央から離間間隔W20を有して幅方向Y両側に延びるようにして車輪20の外縁で開口するように形成されている。各車輪20はそれぞれの車軸20bがフレーム本体26に設けられた各軸受部27に独立して回転可能に支持されている。
【0028】
駆動機構30は、各車輪群21と対応して複数設けられている。
図6に示すように、各駆動機構30は、車輪20に圧接する伝導輪31と、伝導輪31を支持する支持部32と、走行駆動部33と、走行駆動部33の駆動力を伝導輪31に伝達させる伝達部34とを有する。走行駆動部33は、例えばモータであり、正回転、逆回転の両方に回転可能であるとともに、回転数を制御可能となっている。走行駆動部33には伝達部34が取り付けられている。伝達部34は、例えば複数の図示しないギアとギアを収容したケーシング34aで構成された減速機構であって、ケーシング34aに走行駆動部33の筐体が取り付けられているとともに、走行駆動部33の出力軸33aがケーシング34aの内部の入力ギアに噛合して出力軸33aの回転を伝達することが可能である。伝達部34のケーシング34aには支持部32が固定されている。伝導輪31は、円柱状の転動体31aと、転動体31aの中心から延びる輪軸31bとを有する。輪軸31bは、幅方向Yに沿って配されていて、支持部32に回転可能に支持されている。輪軸31bにはギア(不図示)が設けられていて、伝達部34の出力ギア(不図示)が噛合している。このため、走行駆動部33を回転駆動させることで、伝達部34を介して伝導輪31を回転させることが可能である。
【0029】
フレーム25の固定部28は、対応する車輪群21の一対の車輪20、20の間に配されるようにしたL字状の支持面28a、28aを有している。また、固定部28は、スペーサ28bを介してフレーム本体26に固定されている。支持面28a、28aに駆動機構30の支持部32を固定することで、伝導輪31の転動体31aは、対応する車輪群21の一対の車輪20、20の間で両車輪20の外周面20dに挟み込まれるようにして、各車輪20の上方からこれら車輪20、20を圧接している。また、スペーサ28bの高さを変更することで、伝導輪31の転動体31aが車輪20、20を圧接する圧力の大きさを調整することができる。ここで、転動体31aは、車輪20のゴムタイヤ20cとの間で高い摩擦係数となるとともに、万一車輪20の外周面20dに塵埃やスラッジの粒子分が付着していても、塵埃やスラッジの粒子分に応じて変形して追従可能なものとあることが好ましく、ゴム輪であることが好ましい。また、
図4に示すように、伝導輪31の幅は、車輪20のゴムタイヤ20cの外周面20dに幅方向Yに配された溝20e同士の離間間隔W20よりも広くすることが好ましい。このようにすることで、溝20e同士の間においてゴムタイヤ20cの外周面20dに伝導輪31の外周面が接触するとともに、溝20eに伝導輪31の外周面が対向させることができる。
【0030】
<ホース案内機構>
図3から
図5に示すように、ホース案内機構4は、フレーム本体26の進行方向X前方X1側に設けられ、フレーム25の前方X1に向けて第一のホース112を案内する第一のホース案内部41と、第一のホース案内部41よりも進行方向X後方X2側に設けられ、後方X2に向けて第一のホース112を案内する第二のホース案内部51とを有する。第一のホース案内部41は、内部に第一のホース112を挿通可能な筒部42と、筒部42に軸支された案内輪43と、案内輪43を回転させるホース駆動部46とを有する。筒部42は、フレーム本体26から立ち上がる支持部26aに固定されている。筒部42は、第一のホース112を挿通可能な内径を有する。筒部42には、内周面に突出するように案内輪43が軸支されている。案内輪43の回転軸43aは、筒部42の中心軸L42と直交する方向に沿って配されている。案内輪43は、本実施形態では筒部42の中心軸L42回りに等角に3つ設けられている。一の案内輪43Aは、筒部42の中心軸L42から鉛直方向下方に配されており、残りの2つは筒部42の中心軸L42よりも上方に配されている。筒部42の中心軸L42から鉛直方向下方に配された案内輪43Aの回転軸43aにはホース駆動部46の出力軸が連結されている。ホース駆動部46は例えば正回転、逆回転可能なモータである。このため、ホース駆動部46が回転駆動することで接続された案内輪43Aを回転させることができ、正回転することで筒部42に挿通され案内輪43Aに接触する第一のホース112を送り出し、逆回転することで第一のホース112を引き戻すことができる。筒部42は、その中心軸L42が進行方向X前方X1に向かうに従って下方に向かうように支持部26aを介してフレーム本体26に固定されている。このため、筒部42から送り出される第一のホース112をフレーム25より前方X1に向かうに従って斜め下方に向うように配することができる。
【0031】
第二のホース案内部51は、フレーム本体26から立ち上がった一対の支持部材52、52と、一対の支持部材52、52の間に回転可能に支持された上下一対のホースガイドローラ53、53とを有する。ホースガイドローラ53の回転軸53aは、進行方向Xと直交する幅方向Yに沿って配されている。一対のホースガイドローラ53、53は、筒部42から進行方向X後方X2に向かうに従って上方に向かうように配された第一のホース112の下側を、下側のホースガイドローラ53によって案内可能であるともに、第一のホース112の上側を、上側のホースガイドローラ53によって案内可能であるように、第一のホース112の外径よりも十分に大きな間隔を有して上下に離間している。ここで、一対のホースガイドローラ53、53の間隔W53は、筒部42で第一のホース112をガイドする角度よりもより大きな角度で配された状態の第一のホース112に対して一対のホースガイドローラ53、53のそれぞれが第一のホース112に接するような大きさであることが好ましい。このようにすることで、筒部42から進行方向X後方X2へと案内される第一のホース112を進行方向X後方X2に向かうに従ってより上方へと向かうように一対のホースガイドローラ53、53で後方へと案内することができる。ホースガイドローラ53の外周面は、第一のホース112の送り出し、引き戻しの際に摺動を抑制しつつ第一のホース112とともに従動回転し、また、第一のホース112と摺動しても第一のホース112が摩耗しないようにゴム、ウレタン等で形成されていることが好ましい。
【0032】
<ケーブル案内機構>
ケーブル案内機構6は、水位計ケーブル152を支持するケーブル支持部62と、ケーブル支持部62へと送り出し、及び、引き戻しを行うことが可能なケーブル移動部70とを有する。そして、フレーム本体26の進行方向X前方X1側に設けられてフレーム本体26に対して回転可能に支持された回転支持部材14に、ケーブル支持部62が設けられている。回転支持部材14は、基端14aがフレーム本体26に回転可能に支持されている。回転支持部材14をフレーム本体26に対して回転可能に支持する回転軸は幅方向Yに沿って配されている。
図7に示すように、回転支持部材14は、基端14aから先端14bに向かうに従って前方かつ上方へと向かう待機位置Mと、待機位置Mよりも下方に回転して略水平方向に配されて進行方向X前方X1へと延びる使用位置Nとの間で回転可能である。ケーブル支持部62は、内部に水位計ケーブル152を挿通可能な環状に形成されており、回転支持部材14の先端に、幅方向Yに沿う回転軸回りに回転可能に設けられている。このケーブル支持部62に水位計ケーブル152は係合されており、当該係合されている部分よりも鉛直下方向で水位計ケーブル152に水位計本体151が接続されている。回転支持部材14が待機位置Mにあるとき、水位計ケーブル152は回転支持部材14におけるケーブル支持部62に係合される一方、水位計本体151がケーブル支持部62に引っかかることで、回転支持部材14もケーブル移動部70から延びる水位計ケーブル152によって牽引されて待機位置Mに保持される。一方、ケーブル移動部70から水位計ケーブル152が送り出されるのに従って、回転支持部材14は牽引された状態から自重により使用位置Nまで回転移動可能である。
【0033】
図3から
図5に示すように、ケーブル移動部70は、水位計本体151からケーブル支持部62を経て後方X2へと延びる水位計ケーブル152に対して送り出し、引き戻しを行う力を作用させる。
図8に示すように、ケーブル移動部70は、フレーム本体26に固定された一対のケーブル支持部材71、71と、一対のケーブル支持部材71、71に回転可能に支持された一対のケーブルガイドローラ72、72と、一対のケーブルガイドローラ72、72の一方を回転駆動するケーブル駆動部80とを有する。一対のケーブル支持部材71は、幅方向Yに離間して配されている。そして、一対のケーブルガイドローラ72、72は、一対のケーブル支持部材71、71の間に配されている。各ケーブルガイドローラ72は、回転軸72aを幅方向Yに沿うようにして各ケーブル支持部材71に回転可能に支持されている。一対のケーブルガイドローラ72は互いに上下に位置するように配されて外周面が接している。各ケーブルガイドローラ72には、幅方向Y中央にV字状の溝72bが形成されている。このため、一対のケーブルガイドローラ72、72の互いに接する部分では、幅方向Y中央に互いのV字状の溝72bによりひし形のケーブル案内空間72cが形成されている。そして、当該ケーブル案内空間72cに水位計ケーブル152が略進行方向Xに沿って挿通されている。ケーブル案内空間72cを形成するV字状の溝72bの大きさは、ケーブル案内空間72cに挿通される水位計ケーブル152が各溝72bの壁面に接して摩擦力が作用できる程度であることが好ましい。また、ケーブル駆動部80は、例えば正回転、逆回転可能なモータである。そして、ケーブル駆動部80は、一対のケーブル支持部材71の一方に固定されていて、出力軸が一方のケーブルガイドローラ72の回転軸72aに連結されている。このため、ケーブル駆動部80を回転駆動させることで、ケーブルガイドローラ72を回転させ、これによりケーブル案内空間72cに挿通された水位計ケーブル152を進行方向Xに沿って送り出し、引き戻しすることが可能である。
【0034】
<カメラ>
図3から
図5に示すように、第一のカメラ11は、主に走行装置2による進行方向X前方X1を撮影することを目的とする。また、第二のカメラ12は、主に滞留水Wと第一のホース112及び吸込み部111との位置関係、滞留水Wと水位計ケーブル152及び水位計本体151との位置関係を撮影することを目的とするともに、走行装置2による走行時には第一のカメラ11とともに進行方向X前方X1を撮影することを目的とする。第三のカメラ13は進行方向X後方X2を撮影することを目的とする。第一のカメラ11は、筒部42が固定されている支持部26aに固定されていて、筒部42の上方に配されている。第一のカメラ11の光軸は、筒部42の中心軸L42と略平行となるようにして進行方向X前方X1を撮影可能とされている。このため、第一のカメラ11の撮影範囲には進行方向X前方X1とともに進行方向Xに対して斜め下方の範囲も含まれている。第三のカメラ13はフレーム本体26の進行方向X後方X2側に設けられ、光軸が進行方向Xに沿うように後方X2に向けて配されている。第二のカメラ12は、回転支持部材14の先端14bに設けられている。第二のカメラ12の光軸は、回転支持部材14が待機位置Mでは、第一のカメラ11の光軸よりも進行方向Xに沿う線分とのなす角が小さくなるようにして進行方向X前方に向かうに従って下方に向かうように傾斜されている。また、第二のカメラ12の光軸は、回転支持部材14が使用位置Nでは、鉛直方向下方に向かうように配されている。第二のカメラ12はケーブル支持部62と同じく回転支持部材14に設けられているため、水位計ケーブル152をケーブル移動部70によって送り出して、回転支持部材14を使用位置Nまで回転させることで、第二のカメラ12で前方に向かうに従って下方に向かうように傾けて水位計本体151を落下させる方向を撮影することができる。このため、この状態では水位計本体151と滞留水Wとの位置関係、及び吸込み部111と滞留水Wとの位置関係を第二のカメラによって撮影することができる。
【0035】
<ライト>
第一のライト15は、進行方向X前方X1を照明するもので、フレーム本体26の進行方向X前方X1側に光軸を進行方向Xに沿うようにして取り付けられている。また、第二のライト16は、進行方向X後方X2を照明するもので、フレーム本体26の進行方向X後方X2側に光軸を進行方向Xに沿うようにして取り付けられている。
【0036】
<操作装置>
操作装置170は、ホース投入機1を作動させるためのものであり、ホース投入機1に設けられた図示しない制御部と、当該制御部と外部とで通信を行う図示しない通信ケーブルと、当該通信ケーブルにより制御部に操作信号を送信する
図9に示す操作盤171とを備える。なお、本実施形態では操作盤171が通信ケーブルによりホース投入機1の制御部と通信するものとしたが、これに限られず、操作盤171とホース投入機1の制御部とが図示しない通信部を介して無線通信するものとしても良い。制御部は、操作盤171からの操作信号に基づいて走行駆動部33、ホース駆動部46、ケーブル駆動部80、第一のカメラ11、第二のカメラ12、第三のカメラ13、第一のライト15、第二のライト16を制御する。また、制御部は第一のカメラ11、第二のカメラ12及び第三のカメラ13からそれぞれ映像信号を取得し通信ケーブルを介して操作盤171に映像信号を出力する。操作盤171は、第一の画面172及び第二の画面173と、メインスイッチ174と、照明スイッチ175と、前後進切替スイッチ176と、ホース送り出しスイッチ177と、水位計送り出しスイッチ178と、操作レバー179とを有する。メインスイッチ174は、操作盤171及び操作盤171によって操作するホース投入機1の電源のON、OFFを切り替える。照明スイッチ175は、第一のライト15及び第二のライト16のON、OFFを切り替える。
【0037】
ホース送り出しスイッチ177は、3位置に切替可能なスイッチで、第一のポジションでホース駆動部46を正回転させて第一のホース112を送り出すことが可能である。また、第二のポジションでホース駆動部46を逆回転させて第一のホース112を引き戻すことが可能である。また、第一のポジションと第二のポジションの間の第三のポジションとすることでホース駆動部46を停止させて第一のホース112を静止させることが可能である。水位計送り出しスイッチ178は、3位置に切替可能なスイッチで、第一のポジションでケーブル駆動部80を正回転させて水位計ケーブル152を送り出すことが可能である。また、第二のポジションでケーブル駆動部80を逆回転させて水位計ケーブル152を引き戻すことが可能である。また、第一のポジションと第二のポジションの間の第三のポジションとすることでケーブル駆動部80を停止させて水位計ケーブル152を静止させることが可能である。
【0038】
前後進切替スイッチ176は、ホース投入機1の走行装置2を進行方向X前方X1へ移動させる前進モードと、進行方向X後方X2へ移動させる後進モードとに切り替える。前後進切替スイッチ176を前進モードに設定すると、第一の画面172には第一のカメラ11の映像が表示されるとともに、第二の画面173には第二のカメラ12の映像が表示される。これにより進行方向X前方X1に走行装置2を移動させる際には、作業者は、第一のカメラ11で進行方向X前方X1を確認できるとともに、第二のカメラ12でも進行方向X前方X1を確認することができ、第一のカメラ11と第二のカメラ12とによってより広範な範囲を確認して走行装置2を移動させることができる。また、前後進切替スイッチ176を後進モードに設定すると、第一の画面172には同様に第一のカメラ11の映像が表示されるとともに、第二の画面173には第三のカメラ13の映像が表示される。すなわち、進行方向X後方X2に走行装置2を移動させる際には、作業者は、第二の画面173に表示される第三のカメラ13の映像により進行方向X後方X2を確認しながら進行方向X後方X2へと走行装置2を移動させることができる。さらに、進行方向X後方X2へと移動しながらも、第一の画面172に表示された第一のカメラ11の映像により進行方向X前方X1の状態も確認することができる。なお、前進モードでも後進モードでも第一の画面172に共通して第一のカメラ11の映像を表示するものとしたが、第二のカメラ12の映像を共通のものとして、第一のカメラ11の映像と第三のカメラ13の映像を切り替えるものとしても良い。
【0039】
操作レバー179は、車輪群21と対応して複数設けられている。本実施形態では、左側の車輪群21と対応した左操作レバー179Lと、右側の車輪群21と対応した右操作レバー179Rとを有する。左操作レバー179L及び右操作レバー179Rは、走行装置2における対応する走行駆動部33を制御する。ここで、左操作レバー179Lは、進行方向X前方X1に向かって左側の車輪群21と対応する走行装置2における走行駆動部33を制御する。また、右操作レバー179Rは、進行方向X前方X1に向かって右側の車輪群21と対応する走行装置2における走行駆動部33を制御する。そして、前後進切替スイッチ176を前進モードとし、それぞれ、左操作レバー179L及び右操作レバー179Rを前傾すると、対応する走行駆動部33が正回転し車輪20を進行方向X前方X1に走行可能に転動させることが可能であり、後傾すると対応する走行駆動部33が逆回転し車輪20を進行方向X後方X2に走行可能に転動させることが可能である。また、左操作レバー179L及び右操作レバー179Rを前傾または後傾する角度を大きくすると走行駆動部33の回転数を大きくして速度を速くすることができる。このため、左操作レバー179L及び右操作レバー179Rを大きい角度で前傾すればより速い速度で走行装置2を進行方向X前方X1へ走行させることができるとともに、両者を相対的に小さい角度で前傾すれば相対的に遅い速度で走行装置2を進行方向X前方X1へ走行させることができる。逆に左操作レバー179L及び右操作レバー179Rを後傾すれば走行装置2を進行方向X後方X2へ走行させることができ、後傾させる角度により速度を調整することができる。また、左操作レバー179L及び右操作レバー179Rの一方の角度を大きくして前傾させれば、対応する側の車輪20の回転数が相対的に大きくなる。こうすることで、進行方向X前方X1へ移動しながら速度差により回転数の相対的に小さい車輪20側へと走行面202a上で回転する、所謂信地旋回をすることが可能となる。また、左操作レバー179L及び右操作レバー179Rの一方を前傾、他方を後傾とすることで進行方向X前方X1及び後方X2のいずれにも移動せずに、後傾した側と対応する車輪20の側へ走行面202a上で回転する、所謂超信地旋回をすることも可能である。
【0040】
一方、前後進切替スイッチ176を後進モードとすると、左操作レバー179Lは、進行方向X後方X2に向かって左側の車輪群21と対応する走行装置2における走行駆動部33を制御し、右操作レバー179Rは、進行方向X後方X2に向かって右側の車輪群21と対応する走行装置2における走行駆動部33を制御する。そして、上記前進モードの場合と同じ操作で逆の動作を行う。すなわち、それぞれ、左操作レバー179L及び右操作レバー179Rを前傾すると対応する走行駆動部33が逆回転し、後傾すると対応する走行駆動部33が正回転する。このため、左操作レバー179L及び右操作レバー179Rを前傾すれば走行装置2を進行方向X後方X2へ走行させることができるとともに、両者を後傾すれば走行装置2を進行方向X前方X1へ走行させることができる。なお、速度の調整、信地旋回、超信地旋回についても逆の動作になる以外は同様なので説明を省略する。
【0041】
<ポンプ設置装置130>
図1、
図10及び
図11に示すように、ポンプ設置装置130は、ホース投入機1及びポンプ機構110を復水器200の外部から内部に移動させて復水器200の内部においてホース投入機1が移動可能な状態とするための装置である。ポンプ設置装置130は、ホース投入機1を出し入れするための第一の設置装置131と、ポンプ本体113を出し入れするための第二の設置装置132とを有する。第一の設置装置131と第二の設置装置132の基本構造は同じであるので、同様の構造について付号を共通として第一の設置装置131について主に説明する。第一の設置装置131は、固定部140と、ステー141と、ウインチ本体145と、ワイヤー147とを有する。固定部140は、機器の出し入れを行うマンホール204の縁部においてケーシング201に固定されている。ステー141は、外端141aがマンホール204の外側に位置し内端141bがマンホール204の内側に位置するようにしてマンホール204の外部から内部へと延びている。ステー141は固定部140に支持されている。具体的には、ステー141には、内端141bと外端141aとの間にステー141の長手方向に沿って長穴141cが形成されている。固定部140には長孔141cに挿通されたボルト140aと、ボルト140aに螺合されたナット(不図示)とを有する。そして、ステー141は、長穴141c内でボルト140aが移動可能な範囲で固定部140に対して長手方向に進退可能であるとともに、ボルト140aを回転中心として揺動可能となっている。
【0042】
ウインチ本体145は、ステー141の外端141aに取り付けられていてハンドル145aによってワイヤー147の送り出し、巻き取りが可能である。ワイヤー147は、ウインチ本体145から、ステー141の外端141aに設けられたガイド141d、及び、ステー141の内端141bに設けられたワイヤー支持部141eを経由して、ワイヤー支持部141eから吊下げられている。ワイヤー支持部141eから吊下げられたワイヤー147の先端にはフック等が設けられており、ホース投入機1において走行装置2のフレーム25に設けられたフレーム吊下部29に係合されている。なお、上記のとおり第二の設置装置132は、第一の設置装置131と基本構造は同じであるが、ワイヤー147の先端はポンプ本体113のポンプ吊下部113aに係合されている。また、
図11に示すように、第一の設置装置131のステー141と第二の設置装置132のステー141とは水平方向に位置をずらしているとともに、第一の設置装置131のステー141の内端141bの方が、第二の設置装置132のステー141の内端141bよりも、より復水器200のケーシング201におけるより内側に位置することが可能となっている。このため、それぞれ吊下げたホース投入機1及びポンプ本体113のうち、ホース投入機1をより内側の位置で吊り降ろし、引き上げ可能としている。
【0043】
次に、本実施形態の滞留水移送システム100及び走行装置2の作用効果について、その使用方法とともに説明する。
<組立工程>
まず、
図1において、復水器200のケーシング201の外部となる場所で各装置を組み立てる。具体的には、ホース投入機1において第一のホース案内部41の筒部42に第一のホース112を挿通させるとともに、第二のホース案内部51の一対のホースガイドローラ53の間に第一のホース112を通す。そして、第一のホース112の先端に吸込み部111を取り付け、第一のホース112の基端をポンプ本体113に接続する。また、水位計ケーブル152をケーブル支持部62に支持させるとともに、一対のケーブルガイドローラ72のケーブル案内空間72cに挿通させる。また、ポンプ本体113に第二のホース114と駆動用ホース115を接続する。なお、回転支持部材14は待機位置Mとなるようにケーブル移動部70によって水位計ケーブル152を牽引しておく。
【0044】
<搬入工程>
次に、ポンプ設置装置130の第一の設置装置131及び第二の設置装置132を用いて、復水器200のケーシング201内部においてホース投入機1のフレーム25と、ポンプ本体113とを吊下げる。そして、ホース投入機1については走行装置2の車輪20が天板202の走行面202aに着地するまで吊り降ろす。ポンプ本体113については、第一のホース112や水位計ケーブル152の長さを適切に保てる高さまで吊り降ろして停止させる。
【0045】
<前進工程>
次に、
図12(a)に示すように、ホース投入機1を着地地点からポンプによる汲み上げを行う箇所まで移動させる。すなわち、作業者は、操作盤171において前後進切替スイッチ176を前進モードとする。これにより第一の画面172には第一のカメラ11の映像が表示され、第二の画面173には第二のカメラ12の映像が表示されることになる。そして、作業者は、第一の画面172及び第二の画面173を確認しながら左操作レバー179L及び右操作レバー179Rの車輪群21と対応した複数の操作レバー179を操作してホース投入機1において走行装置2を遠隔操作する。また、目的地であるポンプによる汲み上げを行う箇所までの経路に応じて左操作レバー179L及び右操作レバー179Rの前傾及び後傾及び傾ける角度を調整することで回転させながら移動させる。上記のとおり走行装置2は、駆動機構30における走行駆動部33の駆動により伝導輪31が回転し、伝導輪31に圧接された車輪20が伝導輪31との摩擦により伝導輪31とともに回転することにより、各車輪群21の一対の車輪20、20は回転駆動し走行面202a上で転動する。
【0046】
ここで、伝導輪31は車輪20の上方から圧接されていることで、車輪20の車軸20bよりも上方に位置し、無端ベルト機構や、車輪20の車軸20bに駆動機構が設けられている場合と比較して塵埃やスラッジが駆動機構に侵入して噛み込み等の不具合が発生してしまうことを抑制することができる。また、一対の車輪20、20の外周面20d両方に挟み込まれるようにして伝導輪31が圧接されていることで、車輪20と伝導輪31との間の摩擦力を保ち、車輪20と伝導輪31との間でスリップしてしまい駆動力を伝導輪31から車輪20に伝えられなくなってしまうことを抑制することができる。さらに、車輪20の外周面20dには溝20eが形成されていて走行面202aでのスリップ防止に寄与するが、さらに車輪20と伝導輪31とのスリップ防止にも寄与することができる。溝20eが幅方向Yに中央で間隔を有して両側に形成されていることで、溝20eと溝20eの間で確実に車輪20と伝導輪31との摩擦を与えるとともに、溝20eにより車輪20と伝導輪31との間に侵入する塵埃やスラッジを排出することができる。このように、本実施形態の走行装置2では、走行面202a上に塵埃やスラッジが存在していても、塵埃やスラッジの影響を受けることなく、適切に駆動力を走行面202a上に作用させて走行することができる。また、上記のとおり、各駆動機構30の走行駆動部33を別々に駆動可能であることで信地旋回を行い、また、複数の車輪群21と対応する伝導輪31の一方を正回転、他方を逆回転とすることで、超信地旋回も実現することが可能となり、狭隘部でも走行可能とすることができる。そして、作業者は、操作盤171の第一の画面172及び第二の画面173を確認しながら、ポンプによる汲み上げを行う箇所に到達したか確認する。ポンプによる汲み上げを行う箇所に到達したら、作業者は走行装置2による移動を停止する。なお、ポンプによる汲み上げを行う箇所に到達してもホース投入機1の向きが不適切な場合には向きを調整する。この場合に走行装置2が、信地旋回及び超信地旋回が可能な構成となっていることから位置と向きを容易に調整することができる。
【0047】
<ホース投入工程>
ポンプによる汲み上げを行う箇所に到達したら、まず、作業者は操作盤171を操作することによりケーブル移動部70を駆動させる。そして、水位計ケーブル152を一定量送り出すことにより回転支持部材14を待機位置Mから使用位置Nまで回転させる。これにより、
図12(b)に示すとおり、第二のカメラ12を鉛直方向下向きとして滞留水Wの状態を上方から直視することができる。滞留水Wの状態は操作盤171における第二の画面173に映し出されているため、作業者はより詳細に滞留水Wの状態を把握することができる。そして、作業者はさらに操作盤171を操作することにより水位計ケーブル152を送り出し、水位計本体151を滞留水Wにおいて底面203まで落下させる。滞留水Wの透明度が高い場合は、作業者は、操作盤171の第二の画面173において水位計本体151を見ることで底面203に着底したことを確認できるが、滞留水Wが濁っている場合には、操作盤171の第二の画面173において水位計ケーブル152が撓んだことをもって水位計本体151が底面203まで着底したことを確認することができる。そして、これにより水位計本体151により滞留水Wの水位を測定することができる。次に、作業者は操作盤171を操作することによりホース駆動部46を正回転して第一のホース112を送り出す。第一のホース112が筒部42から送り出される状態は、第一のカメラ11が光軸を筒部42の中心軸と略平行としていることで、第一のカメラ11の映像が表示された第一の画面172により、作業者によって好適に確認することができる。また、第一のホース112の先端に接続された吸込み部111の位置は、鉛直方向下方に向けられている第二のカメラ12の映像が表示された第二の画面173により、作業者によって好適に確認することができる。この場合においても、滞留水Wが濁っている場合には、第一のホース112が撓んだことをもって吸込み部111が底面203に着底したことを確認することができる。
【0048】
<滞留水吸込み工程>
図12(c)に示すように、吸込み部111が底面203に着底したらポンプ本体113を駆動し滞留水Wを吸込み移送する。移送中は水位計により水位を確認しながら行う。目標とする水位まで滞留水Wを移送したら、若しくは、滞留水Wを全て移送したらポンプ本体113の駆動を停止してポンプによる汲み上げを終了する。この際、鉛直方向下方に向けられた第二のカメラ12の映像が第二の画面173に表示されていることにより視覚的にも滞留水Wの移送完了の状況を確認することができる。
【0049】
<ポンプ撤去工程>
滞留水Wの移送が完了したら、作業者は操作盤171の操作によりホース駆動部46を逆回転して第一のホース112を引き戻す。この際、筒部42近傍に設けられた第一のカメラ11の映像が第一の画面172に表示されていることで、第一のホース112が引き戻されて吸込み部111が筒部42近傍まで戻されたことを確認することができる。次に、作業者は操作盤171の操作によりケーブル駆動部80を逆回転させて水位計ケーブル152を引き戻す。水位計本体151が回転支持部材14に設けられたケーブル支持部62まで到達すると、水位計本体151がケーブル支持部62に引っかかることで水位計ケーブル152の引き戻しとともに、回転支持部材14が使用位置Nから待機位置Mまで回転移動する。そして、回転支持部材14が待機位置Mまで移動したら作業者は操作盤171の操作によりケーブル駆動部80の駆動を停止する。
【0050】
<後退工程>
次に、作業者は操作盤171の操作により、ホース投入機1を着地点まで後退させる。この際、作業者は操作盤171において前後進切替スイッチ176を後進モードとする。これにより、第一の画面172が第一のカメラ11の映像のまま、第二の画面173は第二のカメラ12の映像から第三のカメラ13の映像に切り替わる。このため、ポンプの汲み取り箇所側を第一の画面172で確認しながら、これから進む進行方向X後方X2に向かう映像を第二の画面173で確認することができる。そして、作業者は操作盤171の操作によりホース投入機1の走行装置2を進行方向X後方X2へと移動させる。この際、前後進切替スイッチ176を後進モードとすることで、左操作レバー179Lと右操作レバー179Rは、前進モードにおける各操作レバー179の前傾が進行方向X前方X1へ移動する操作状態から、進行方向X後方X2へ移動する操作状態に切り替わっている。そして、左操作レバー179Lは、進行方向X後方X2に向かって左側の車輪群21と対応する走行装置2における走行駆動部33を制御し、右操作レバー179Rは、進行方向X後方X2に向かって右側の車輪群21と対応する走行装置2における走行駆動部33を制御する。したがって、第二の画面173に表示された映像と各操作レバー179とが対応した状態で、走行装置2を後退させることができる。このため、作業者は、走行装置2にとってどちらが進行方向X前方X1か後方X2か、各操作レバー179の前傾及び後傾がどう対応しているか意識せずに画面に表示された映像に対して感覚的に各操作レバー179を操作して走行装置2を走行させることができる。そして、ホース投入機1が着地点まで到達したら各操作レバー179の操作を終了して停止させる。
【0051】
<搬出工程>
次に、ポンプ設置装置130の第一の設置装置131及び第二の設置装置132を用いて、復水器200のケーシング201内部においてホース投入機1のフレーム25と、ポンプ本体113とをマンホール204の高さまで吊り上げる。そして、ホース投入機1及びポンプ本体113をマンホール204から外部に引き出すことで作業が完了する。
【0052】
以上のように、本実施形態の走行装置2によれば、伝導輪31は車輪20の上方から車輪20を圧接していることで、車輪20の車軸20bよりも上方に位置し、無端ベルト機構や、車輪20の車軸20bに駆動機構が設けられている場合と比較して塵埃やスラッジが駆動機構に侵入して噛み込み等の不具合が発生してしまうことを抑制することができる。また、一対の車輪20、20の外周面20d両方に挟み込まれるようにして伝導輪31が圧接されていることで、車輪20と伝導輪31との間の摩擦力を保ち、車輪20と伝導輪31との間でスリップしてしまい駆動力を伝導輪31から車輪20に伝えられなくなってしまうことを抑制することができる。さらに、各駆動機構30の走行駆動部33を別々に駆動可能であることで、信地旋回、超信地旋回も実現することが可能となり、狭隘部でも走行可能とすることができる。
【0053】
また、本実施形態の滞留水移送システム100によれば、上記のような走行装置2を備えていることで、塵埃やスラッジがあるようなところでも目的とするところまで移動して、滞留水Wを汲み上げて移送することができる。また、第一のカメラ11によって進行方向X前方X1を撮影することで、第一のカメラ11の映像を確認しながら遠隔操作により目的とする箇所まで移動することができる。そして、滞留水Wをくみ上げる箇所まで移動した後、ホース案内機構4により支持している第一のホース112及び第一のホース112に取り付けられた吸込み部111を滞留水Wに送り出すことで、吸込み部111により滞留水Wを吸い上げ可能な状態とすることできる。この際、第二のカメラ12によって吸込み部111を撮影することで吸込み部111と滞留水Wとの位置関係を把握することでき、遠隔操作により吸込み部111を滞留水Wにおける適切な位置に投入することができる。
【0054】
また、ケーブル案内機構6で水位計ケーブル152及び水位計ケーブル152に接続された水位計本体151を支持し滞留水Wに向けて送り出すことで、滞留水Wの水位を測定し、吸込み部111による移送時の水位管理を行うことができる。ここで、水位計ケーブル152は、ケーブル支持部62によって支持された状態でケーブル案内機構6のケーブル移動部70によって送り出し、及び、引き戻しを行うことができる。
【0055】
また、この構成によれば、回転支持部材14により、回転支持部材14に取り付けられた第二のカメラの角度を変更することが可能なことで、第二のカメラで、ホース投入機1が移動中の際には進行方向を確認できるとともに、ホース案内機構4により支持しているホース112及びホース112に取り付けられた吸込み部111を滞留水Wに送り出す際に、滞留水Wに投入される吸込み部111を的確に捉え、遠隔操作により吸込み部111を滞留水Wにおける適切な位置に投入することができる。
【0056】
また、水位計ケーブル152を使用せず走行装置2によって移動する場合には、水位計ケーブル152をケーブル移動部70によって引き戻した状態とすることで、回転支持部材14を待機位置Mとして、第二のカメラ12によっても前方X1を撮影することができる。また、滞留水Wを汲み上げる箇所まで到達して水位計ケーブル152を利用する場合には、水位計ケーブル152をケーブル移動部70によって送り出して、回転支持部材14を使用位置Nまで先端が前方X1に向かうように回転させることで、第二のカメラ12で前方X1に向かうに従って下方に向かうように傾けて水位計本体151を落下させる方向を撮影することができる。このため、この状態では水位計本体151と滞留水Wとの位置関係、及び吸込み部111と滞留水Wとの位置関係を第二のカメラ12によって撮影することができる。
【0057】
また、第一のホース案内部41によってフレーム25から進行方向X前方X1に向けて第一のホース112を案内し第一のホース112に接続された吸込み部111を滞留水Wの中に投入することができる。そして、第一のホース案内部41よりも進行方向X後方X2側に設けられた第二のホース案内部51によって移送先に向かって第一のホース112を案内することができる。
【0058】
さらに、第一のホース案内部41が前方X1に向かうに従って下方に向かうように斜め下方に第一のホース112を案内することで、フレーム25から下方に位置する滞留水Wへ第一のホース112を好適に案内することができる。また、第一のカメラ11は、光軸が第一のホース案内部41によって第一のホース112を案内する方向に沿うように配されていることで、第一のホース案内部41から送り出させる第一のホース112を好適に撮影することができる。
【0059】
また、本実施形態の滞留水移送システム100及び走行装置2では、操作盤171における前後進切替スイッチ176によって前進モード及び後進モードを切り替えることで、画面と対応して操作レバー179による操作の効果も逆となることで、遠隔操作を行う作業者は画面から得られる情報に基づいて感覚的に操作レバー179を操作して走行装置2を移動させることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態及び変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれら実施形態及び変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0061】
2 走行装置
4 ホース案内機構
6 ケーブル案内機構
11 第一のカメラ
12 第二のカメラ
14 回転支持部材
20 車輪
21 車輪群
25 フレーム
202a 走行面
30 駆動機構
31 伝導輪
33 走行駆動部(駆動部)
41 第一のホース案内部
51 第二のホース案内部
62 ケーブル支持部
70 ケーブル移動部
100 滞留水移送システム
111 吸込み部
112 第一のホース(ホース)
151 水位計本体
152 水位計ケーブル
M 待機位置
N 使用位置
X 進行方向
X1 前方
X2 後方