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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】巻尺
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/1046 20200101AFI20220617BHJP
【FI】
G01B3/1046
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018154978
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020030079
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391033986
【氏名又は名称】ムラテックKDS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高正 光洋
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 幸彦
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-151558(JP,A)
【文献】特開2000-292103(JP,A)
【文献】特開2000-234901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0120074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/10- 3/1094
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定テープと、
前記測定テープを出し入れ可能に収容するケースと、
前記ケースを覆い、かつ貫通孔が設けられたカバーと、
前記カバーよりも剛性が高く、かつ前記ケースに取り付けられたプレートとを備え、
前記ケースおよび前記プレートの少なくともいずれかは、前記貫通孔内に配置された接続部を含み、
前記プレートは、前記接続部から外方に張り出したフランジ部を含み、
前記フランジ部は、前記ケースとの間に前記カバーを挟み込んでいる、巻尺。
【請求項2】
前記カバーは、前記カバー内に前記ケースを挿入するための開口部を含み、
前記開口部は、前記カバーの側面に配置されており、
前記プレートは、前記カバーの正面に配置されており、
前記フランジ部は、前記貫通孔と前記開口部との間に配置されている、請求項1に記載の巻尺。
【請求項3】
前記カバーの材料は弾性を有する樹脂であり、
前記ケースの材料は樹脂であり、
前記プレートは、前記ケースに両面テープを介して取り付けられている、請求項1または2に記載の巻尺。
【請求項4】
前記ケースおよび前記プレートのいずれか一方は凹部を含み、
前記ケースおよび前記プレートのいずれか他方は凸部を含み、
前記凸部は、前記凹部に嵌合するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の巻尺。
【請求項5】
前記凹部は、複数の穴部を含み、
前記凸部は、複数の前記穴部にそれぞれ嵌合する複数のボスを含み、
前記貫通孔の周方向に沿う一方向において、複数の前記ボスの互いに隣り合う前記ボス同士の距離は、互いに異なっている、請求項4に記載の巻尺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻尺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、巻尺には、落下時における巻尺自体の保護などのため、ゴムなどのカバーで巻尺のケースが覆われたものがある。たとえば、特開2000-292103号公報(特許文献1)には、ゴムのカバーでケースが覆われた巻尺が記載されている。この巻尺では、カバーの開口部からカバー内にケースが挿入されている。
【0003】
また、樹脂などのプレートがゴムのカバーに両面テープなどにより貼り付けられることがある。このプレートには巻尺の製造会社および商品名などが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-292103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載されたカバーでは、カバーに測定者などが接触することにより開口部が広がるようにカバーが外側にめくれたり、経年劣化によりカバーが伸びたりして、カバーとケースとの間の隙間が大きくなることがある。このようにカバーとケースとの間の隙間が大きくなると、巻尺の外観が悪くなる。
【0006】
また、樹脂などのプレートがゴムのカバーに両面テープなどにより貼り付けられる場合、開口部が広がるようにカバーがプレートごと外側にめくれてカバーとケースとの間の隙間が大きくなることがある。この場合も、カバーとケースとの間の隙間が大きくなるため、巻尺の外観が悪くなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバーとケースとの間の隙間が大きくなることを抑制することができる巻尺を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の巻尺は、測定テープと、ケースと、カバーと、プレートとを備えている。ケースは測定テープを出し入れ可能に収容する。カバーはケースを覆い、かつ貫通孔が設けられている。プレートは、カバーよりも剛性が高く、かつケースに取り付けられている。ケースおよびプレートの少なくともいずれかは、貫通孔内に配置された接続部を含んでいる。プレートは、接続部から外方に張り出したプランジ部を含んでいる。フランジ部は、ケースとの間にカバーを挟み込んでいる。
【0009】
本発明の巻尺によれば、プレートは、カバーよりも剛性が高く、かつケースに取り付けられている。そして、プレートのフランジ部がケースとの間にカバーを挟み込んでいる。したがって、ケースに取り付けられたプレートのフランジ部によってカバーとケースとの間の隙間が大きくなることを抑制することができる。
【0010】
上記の巻尺では、好ましくは、カバーは、カバー内にケースを挿入するための開口部を含んでいる。開口部は、カバーの側面に配置されている。プレートは、カバーの正面に配置されている。フランジ部は、貫通孔と開口部との間に配置されている。このため、フランジ部によって貫通孔と開口部との間でカバーを保持することができる。これにより、貫通孔と開口部との間で開口部が広がるようにカバーが正面側にめくれることを抑制することができる。したがって、カバーの側面に配置された開口部が広がるようにカバーが外側にめくれることを抑制することができる。
【0011】
上記の巻尺では、好ましくは、カバーの材料は弾性を有する樹脂である。ケースの材料は樹脂である。プレートは、ケースに両面テープによって貼り付けられている。カバーの材料は弾性を有する樹脂であるため、カバーには樹脂に柔らかさを出す添加剤、可塑剤、加硫剤の少なくともいずれかが含まれている。プレートがカバーに両面テープで貼り付けられている場合には、カバーに含まれる添加剤、可塑剤、加硫剤の少なくともいずれかにより貼付の結合力が弱くなる。プレートが樹脂のケースに両面テープで貼り付けられているため、プレートがカバーに両面テープで貼り付けられている場合に比べて、貼付の結合力を強くすることができる。したがって、プレートが外れることを抑制することができる。
【0012】
上記の巻尺では、好ましくは、ケースおよびプレートのいずれか一方は凹部を含んでいる。ケースおよびプレートのいずれか他方は凸部を含んでいる。凸部は、凹部に嵌合するように構成されている。このため、凸部が凹部に嵌合することによって、ケースにプレートを取り付けることができる。
【0013】
上記の巻尺では、好ましくは、凹部は、複数の穴部を含んでいる。凸部は、複数の穴部にそれぞれ嵌合する複数のボスを含んでいる。貫通孔の周方向に沿う一方向において、複数のボスの互いに隣り合うボス同士の距離は、互いに異なっている。このため、複数のボスが誤った複数の穴部にそれぞれ嵌合することを防止することができる。したがって、ケースにプレートが誤って組み付けられることを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の巻尺によれば、カバーとケースとの間の隙間が大きくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態の巻尺の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1と反対方向から本発明の一実施の形態の巻尺の構成を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態の巻尺の構成を概略的に示す正面図である。
図4図3のIV-IV線に示す断面図である。
図5】本発明の一実施の形態の巻尺の構成を概略的に示す部分分解斜視図である。
図6】本発明の一実施の形態の巻尺のケース、カバー、クリップの構成を概略的に示す部分分解斜視図である。
図7】本発明の一実施の形態の巻尺の凹部と凸部との位置関係を示す分解斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態の巻尺の変形例1の構成を概略的に示す断面図である。
図9】本発明の一実施の形態の巻尺の変形例2の構成を概略的に示す断面図である。
図10】本発明の一実施の形態の巻尺の変形例3の凹部と凸部との位置関係を示す分解斜視図である。
図11】本発明の一実施の形態の巻尺の変形例3の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
【0017】
図1および図2を参照して、本実施の形態の巻尺1は、測定テープ10と、ケース20と、カバー30と、プレート40と、クリップ50とを主に有している。巻尺1は、測定テープ10で測定対象物の長さ等を測定するためのものである。巻尺1は、測定テープ10をケース20に出し入れ可能に構成されている。測定テープ10は、幅方向に湾曲していてもよい。測定テープ10は、鋼鉄製であってもよい。
【0018】
測定テープ10の先端部に爪部11が取り付けられている。爪部11は、測定テープ10がケース20に収容された状態で、ケース20の出入口20aに係止されるように構成されている。爪部11は、測定テープ10がケース20に収容された状態で、ケース20の出入口20aから露出している。
【0019】
ケース20は、測定テープ10を出し入れ可能に収容するように構成されている。ケース20は測定テープ10を出し入れする出入口20aを有している。ケース20は、出入口20aを通して図1中矢印A1方向に測定テープ10を出し入れ可能に構成されている。ケース20の材料は樹脂であることが好ましい。この樹脂は、樹脂に柔らかさを出す添加剤、可塑剤、加硫剤を含有していないことが好ましい。この樹脂は、たとえばABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂である。なお、ケース20の材料は、アルミニウムなどの金属であってもよい。
【0020】
カバー30は、ケース20を覆うように構成されている。カバー30は、巻尺1自体を保護するためのものである。また、カバー30は、巻尺1に接触する物を保護するためのものである。また、カバー30は滑り止めのためのものである。カバー30は弾性部材によって構成されていることが好ましい。具体的には、カバー30の材料は弾性を有する樹脂であることが好ましい。この樹脂は、弾性を有するため、樹脂に柔らかさを出す添加剤、可塑剤、加硫剤の少なくともいずれかを含有している。この樹脂は、たとえばゴム、エラストマー樹脂である。カバー30は、正面30aと、側面30bと、背面30cとを有している。側面30bは、正面30aと背面30cとの間に配置されている。側面30bに開口部OPが設けられている。
【0021】
プレート40は、カバー30の正面30aに配置されている。プレート40は、巻尺の製造会社および商品名などが表示されるように構成されている。プレート40は、銘板として機能するものである。プレート40は、カバー30よりも剛性が高い。つまり、プレート40は、カバー30よりも変形し難い。プレート40の材料は、樹脂であることが好ましい。なお、プレート40の材料は、アルミニウムなどの金属であってもよい。
【0022】
クリップ50は、カバー30の背面30cに配置されている。クリップ50は、巻尺1の使用者のベルトなどに巻尺1を取り付け可能に構成されている。クリップ50は、ねじ51によってカバー30を介してケース20に取り付けられている。クリップ50の材料は、たとえば金属である。
【0023】
ケース20にストッパー21が設けられている。ストッパー21は、カバー30の開口部OPから露出している。ストッパー21は、測定テープ10がケース20から引き出された状態を維持可能に構成されている。
【0024】
図3および図4を参照して、巻尺1は、両面テープ60と、巻取軸70と、ボビン80と、ゼンマイバネ90とをさらに有している。巻取軸70はケース20に取り付けられている。ボビン80は、巻取軸70周りに回転するように構成されている。ボビン80の外周側に測定テープ10が巻き回されている。ボビン80の内周側にゼンマイバネ90が収容されている。ゼンマイバネ90の基端部は巻取軸70に取り付けられている。ゼンマイバネ90の先端部は測定テープ10の基端部に取り付けられている。
【0025】
測定テープ10は、ゼンマイバネ90によって巻取軸70周りに巻き取られるように付勢されている。このため、測定テープ10がケース20の出入口20aから引き出される際には、ゼンマイバネ90の付勢力に抗して測定テープ10は引き出される。したがって、測定テープ10がケース20の出入口20aから引き出された状態で、測定テープ10を引き出す力が解除されると、ゼンマイバネ90の付勢力によって測定テープ10はケース20内に引き戻される。また、測定テープ10がストッパー21によってロックされた場合には、測定テープ10はストッパー21によってケース20から引き出された状態で維持される。
【0026】
図4および図5を参照して、カバー30には貫通孔THが設けられている。プレート40は、ケース20に取り付けられている。本実施の形態では、プレート40は、ケース20に両面テープ60を介して取り付けられている。本実施の形態では、カバー30の正面30a側から貫通孔THを見たときに、貫通孔THの下辺は直線状に構成されており、貫通孔THの下辺以外は円弧状に構成されている。また、カバー30の正面30a側から貫通孔THを見たときに、貫通孔TH内に配置された両面テープ60は、貫通孔THと略相似形状に構成されている。
【0027】
本実施の形態では、プレート40は、接続部CPを含んでいる。接続部CPは、貫通孔TH内に配置されている。接続部CPは、貫通孔THを通ってケース20に支持されている。接続部CPの外周面は、カバー30の貫通孔THを取り囲む部分に接していてもよい。接続部CPの外周面は、全周に亘って、カバー30の貫通孔THを取り囲む部分に接していてもよい。本実施の形態では、接続部CPの下辺は直線状に構成されており、接続部CPの下辺以外は円弧状に構成されている。このため、接続部CPがカバー30の貫通孔TH内で回転することを抑制することができる。
【0028】
図5中矢印A2に示されるように、プレート40は、カバー30の正面30aから背面30cに向けて接続部CPがカバー30の貫通孔THに挿入されるように、カバー30に取り付けられている。本実施の形態では、カバー30は、貫通孔THの周囲に設けられた溝部31を有している。
【0029】
プレート40は、フランジ部FPを含んでいる。本実施の形態では、フランジ部FPはカバー30の溝部31に嵌まるように構成されている。フランジ部FPは、接続部CPから外方に張り出している。本実施の形態では、フランジ部FPは、接続部CPの全周に亘って接続部CPから外方に張り出している。フランジ部FPは、接続部CPが貫通孔THに挿入された状態でカバー30に取り付けられている。フランジ部FPはカバー30の正面30aに配置されている。フランジ部FPの厚みは、接続部CPの厚みよりも小さくてもよい。フランジ部FPは、ケース20との間にカバー30を挟み込んでいる。つまり、フランジ部FPとケース20との間にカバー30が挟み込まれている。また、フランジ部FPは接続部CPの外側でケース20との間にカバー30を挟み込んでいる。
【0030】
フランジ部FPは、貫通孔THと開口部OPとの間に配置されている。フランジ部FPは、貫通孔THと開口部OPとの間において貫通孔THから開口部OPに向けて延びている。フランジ部FPは、貫通孔THと開口部OPとの間の中央よりも開口部OP側まで、貫通孔THから開口部OPに向けて延びていてもよい。フランジ部FPは、貫通孔THの全周に沿ってカバー30に重ねられていてもよい。
【0031】
図5および図6を参照して、カバー30は、カバー30内にケース20を挿入するための開口部OPを含んでいる。開口部OPは、カバー30の側面30bに配置されている。ケース20は、出入口20aおよびストッパー21が配置された部分と反対側の部分からカバー30内に挿入されている。ケース20がカバー30内に挿入された状態で出入口20aおよびストッパー21は開口部OPから露出している。
【0032】
図7を参照して、ケース20は凹部PAを含んでいる。プレート40は凸部PBを含んでいる。凸部PBは、凹部PAに嵌合するように構成されている。なお、プレート40が凹部PAを含んでおり、ケース20が凸部PBを含んでいてもよい。つまり、ケース20およびプレート40のいずれか一方が凹部PAを含んでおり、ケース20およびプレート40のいずれか他方が凸部を含んでいてもよい。
【0033】
凹部PAは、複数の穴部PA1,PA2,PA3を含んでいる。凸部PBは、複数の穴部PA1,PA2,PA3にそれぞれ嵌合する複数のボスPB1,PB2,PB3を含んでいる。貫通孔THの周方向に沿う一方向において、複数のボスPB1,PB2,PB3の互いに隣り合うボス同士の距離は、互いに異なっている。つまり、ボスPB1とボスPB2との距離L1と、ボスPB2とボスPB3との距離L2と、ボスPB3とボスPB1との距離L3は互いに異なっている。また、穴部PA1と穴部PA2との距離D1と、穴部PA2と穴部PA3との距離D2と、穴部PA3と穴部PA1との距離D3は互いに異なっている。
【0034】
図8を参照して、本実施の形態の巻尺1における変形例1について説明する。図8は、図4に対応する断面位置での断面図である。上記ではプレート40が接続部CPを含んでいる場合について説明したが、本実施の形態の巻尺1における変形例1では、ケース20が接続部CPを含んでいる。接続部CPは、ケース20の前面の中央部に配置されている。接続部CPはケース20の前面の周辺部からプレート40に向けて突出している。接続部CPは貫通孔THに挿入されている。プレート40は板状に構成されている。接続部CPの前面に凹部PAが設けられている。プレート40の背面に凸部PBが設けられている。
【0035】
続いて、図9を参照して、本実施の形態の巻尺1における変形例2について説明する。図9は、図4に対応する断面位置での断面図である。本実施の形態の巻尺1における変形例2では、ケース20およびプレート40の両方が接続部CPを含んでいる。ケース20の接続部CPおよびプレート40の接続部CPの両方が貫通孔THに挿入されている。ケース20の接続部CPは、プレート40に向けて貫通孔THの深さ方向の中間まで挿入されている。プレート40の接続部CPはケース20に向けて貫通孔THの深さ方向の中間まで挿入されている。
【0036】
以上説明したように、ケース20が接続部CPを含んでいてもよく、プレート40が接続部CPを含んでいてもよい。つまり、ケース20およびプレート40の少なくともいずれかが貫通孔TH内に配置された接続部CPを含んでいればよい。
【0037】
図10および図11を参照して、本実施の形態の巻尺1における変形例3について説明する。図11は、図4に対応する断面位置での断面図である。本実施の形態の巻尺1における変形例3では、プレート40はケース20に両面テープ60を介して取り付けられていない。つまり、両面テープ60が用いられずに、ケース20およびプレート40のいずれか一方に設けられた凹部PAにケース20およびプレート40のいずれか他方に設けられた凸部PBが嵌合している。これにより、プレート40がケース20に固定されている。
【0038】
また、プレート40のケース20への取り付け方は、上記の取り付け方に限定されない。たとえば、プレート40は、ケース20に溶着により取り付けられていてもよい。具体的には、複数のボスPB1,PB2,PB3が加熱されることにより溶かされて、複数の穴部PA1,PA2,PA3に挿入された状態で冷却されることにより溶着されていてもよい。
【0039】
次に本実施の形態の巻尺1の作用効果について説明する。
本実施の形態の巻尺1によれば、プレート40は、カバー30よりも剛性が高いため、プレート40によってカバー30を補強することができる。プレート40は、ケース20に取り付けられているため、プレート40をケース20に支持することができる。そして、プレート40のフランジ部FPがケース20との間にカバー30を挟み込んでいるため、フランジ部FPによってカバー30がケース20から離れることを抑制することができる。したがって、ケース20に取り付けられたプレート40のフランジ部FPによってカバー30とケース20との間の隙間が大きくなることを抑制することができる。
【0040】
本実施の形態の巻尺1では、好ましくは、カバー30の開口部OPは、カバー30の側面30bに配置されている。プレート40は、カバー30の正面30aに配置されている。フランジ部FPは、貫通孔THと開口部OPとの間に配置されている。このため、フランジ部FPによって貫通孔THと開口部OPとの間でカバー30を保持することができる。これにより、貫通孔THと開口部OPとの間で開口部OPが広がるようにカバー30が正面30a側にめくれることを抑制することができる。したがって、カバー30の側面30bに配置された開口部OPが広がるようにカバー30が外側にめくれることを抑制することができる。
【0041】
本実施の形態の巻尺1では、好ましくは、カバー30の材料は弾性を有する樹脂である。ケース20の材料は樹脂である。プレート40は、ケース20に両面テープ60によって貼り付けられている。カバー30の材料は弾性を有する樹脂であるため、カバー30には樹脂に柔らかさを出す添加剤、可塑剤、加硫剤の少なくともいずれかが含まれている。プレート40がたとえばエラストマー樹脂などの弾性を有する樹脂のカバー30に両面テープ60で貼り付けられている場合には、カバー30に含まれる樹脂に柔らかさを出す添加剤等により貼付の結合力が弱くなる。プレート40がたとえばABS樹脂などの樹脂に柔らかさを出す添加剤等を含有しない樹脂のケース20に両面テープ60で貼り付けられているため、プレート40がカバー30に両面テープ60で貼り付けられている場合に比べて、貼付の結合力を強くすることができる。したがって、プレート40が外れることを抑制することができる。
【0042】
また、粘着力が強い両面テープ60はコストが高く、粘着力が弱い両面テープ60はコストが低い。本実施の形態の巻尺1では、上記のように貼付の結合力を強くすることができるため、安価な両面テープ60でもプレート40の充分な保持力が得られる。
【0043】
また、両面テープ60で貼り付けることにより、接着剤で貼り付ける場合よりも組立て工数を少なくすることができる。
【0044】
本実施の形態の巻尺1では、好ましくは、ケース20およびプレート40のいずれか一方は凹部PAを含んでいる。ケース20およびプレート40のいずれか他方は凸部PBを含んでいる。凸部PBは、凹部PAに嵌合するように構成されている。このため、凸部PBが凹部PAに嵌合することによって、ケース20にプレート40を取り付けることができる。
【0045】
本実施の形態の巻尺1では、好ましくは、貫通孔THの周方向に沿う一方向において、複数のボスPB1,PB2,PB3の互いに隣り合うボス同士の距離L1,L2,L3は、互いに異なっている。このため、複数のボスPB1,PB2,PB3が誤った複数の穴部PA1,PA2,PA3にそれぞれ嵌合することを防止することができる。したがって、ケース20にプレート40が誤って組み付けられることを防止することができる。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 巻尺、10 測定テープ、11 爪部、20 ケース、20a 出入口、21 ストッパー、30 カバー、30a 正面、30b 側面、30c 背面、40 プレート、50 クリップ、60 両面テープ、70 軸、80 ドラム、90 ゼンマイバネ、CP 接続部、FP フランジ部、OP 開口部、PA 凹部、PA1,PA2,PA3 穴部、PB 凸部、PB1,PB2,PB3 ボス、TH 貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11