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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】トンネルにおけるインバート施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20220617BHJP
   E21D 11/10 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
E21D11/04 Z
E21D11/10 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018171776
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020041381
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100081514
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】若山 裕介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博一
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-220186(JP,A)
【文献】特開2003-082996(JP,A)
【文献】特開2017-014682(JP,A)
【文献】特開2007-284989(JP,A)
【文献】特開2008-144505(JP,A)
【文献】特開2009-257043(JP,A)
【文献】特開2012-255282(JP,A)
【文献】特開2009-155819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00-19/06
23/00-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの底部地盤にインバートを設置するトンネルにおけるインバート施工方法において、
前記トンネルの底部地盤にインバート設置部を掘削し、
前記インバート設置部の掘削完了後、前記インバート設置部に、コンクリート注入口を有する鋼殻と前記コンクリート注入口から前記鋼殻内に注入されるコンクリートとの合成構造からなる合成セグメントの前記鋼殻のみを設置して、前記インバート設置部を埋め戻し、
前記インバート設置部の埋め戻し後、前記コンクリート注入口を通じて、前記インバート設置部の前記鋼殻内にコンクリートを注入充填し、前記合成セグメントを完成させて、前記鋼殻及び前記鋼殻内部に充填したコンクリートの両方で、トンネル周辺地山の変形、外力に抵抗する、
ことを特徴とするトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項2】
トンネル内での実施に当たり、トンネルの底部地盤をトンネル幅方向に2分割乃至3分割して、前記トンネル幅方向に2分割の片側一側若しくは3分割の一部からインバート設置部の掘削、合成セグメントの鋼殻のみの設置、前記インバート設置部の埋め戻し、前記鋼殻内部へコンクリートの注入充填を順次行って、前記トンネル幅方向に2分割の片側一側若しくは3分割の一部にインバートを設置した後、前記トンネル幅方向に2分割の片側他側に若しくは3分割の残部に順次同様の施工を行って、インバートを設置する請求項1に記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項3】
鋼殻に六面鋼殻を用いて、鋼殻をインバート設置部に設置する場合、前記鋼殻を前記インバート設置部に速硬モルタルパックを介して設置し、前記鋼殻と前記鋼殻下の地山との間に裏込め材を注入する請求項1又は2に記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項4】
鋼殻に五面鋼殻を用いて、鋼殻をインバート設置部に設置する場合、前記鋼殻を前記インバート設置部に速硬モルタルパックを介して設置し、前記鋼殻内部にコンクリートを打設する際に、前記コンクリートを前記鋼殻内で前記鋼殻直下の地山に接して注入充填する請求項1又は2に記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項5】
鋼殻のコンクリート注入口として鋼殻の一端に穿孔したコンクリート注入孔と前記コンクリート注入孔から前記鋼殻内部に差し込むコンクリート打設ホースとを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記コンクリート打設ホースの一端を前記鋼殻一端の前記コンクリート注入孔から前記鋼殻内の他端まで差し込み、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記コンクリート打設ホースの他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、前記コンクリート打設ホースを通じて、前記インバート設置部の前記鋼殻内の他端からコンクリートを注入し、前記コンクリート打設ホースを前記鋼殻から引き抜きながら、前記鋼殻内の一端まで注入し、前記鋼殻内全体に充填する請求項1乃至4のいずれかに記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項6】
鋼殻のコンクリート注入口として鋼殻の一端に穿孔したコンクリート注入孔と前記コンクリート注入孔に接続するさや管とを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記さや管の一端を前記鋼殻一端の前記コンクリート注入孔に接続し、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記さや管の他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、コンクリート打設ホースを、前記さや管を通して、前記インバート設置部の前記鋼殻一端の前記コンクリート注入孔から前記鋼殻内の他端まで差し込み、前記鋼殻内の他端からコンクリートを注入し、前記コンクリート打設ホースを前記鋼殻から引き抜きながら、前記鋼殻内の一端まで注入し、前記鋼殻内全体に充填する請求項1乃至4のいずれかに記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項7】
鋼殻にコンクリート注入口とともにエア抜き口を併せて設置しておき、前記鋼殻内にコンクリートを注入する間、前記エア抜き口により前記鋼殻内のエアを抜く請求項1乃至6のいずれかに記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項8】
鋼殻のエア抜き口として鋼殻の上面に穿孔した複数のエア抜き孔と前記各エア抜き孔に接続する複数のエア通しホースとを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記各エア通しホースの一端を前記鋼殻の前記各エア抜き孔に接続して前記各エア通しホースを前記鋼殻の外側に配置して、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記各エア通しホースの他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、前記鋼殻内にコンクリートを注入する間、前記各エア通しホースにより前記鋼殻内のエアを抜く請求項7に記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項9】
鋼殻のエア抜き口として鋼殻内部に形成した通気路及び前記鋼殻の一端に前記通気路に連通させて穿孔したエア抜き孔と前記エア抜き孔に接続するエア通しホースとを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記エア通しホースの一端を前記鋼殻一端の前記エア抜き孔に接続し、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記エア通しホースの他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、前記鋼殻内にコンクリートを注入する間、前記エア通しホースにより前記鋼殻内のエアを抜く請求項7に記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【請求項10】
鋼殻内の数箇所にコンクリートの充填状況を感知するためのセンサを配置して、前記鋼殻内でのコンクリートの充填状況を確認する請求項1乃至9のいずれかに記載のトンネルにおけるインバート施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新設又は既設のトンネルの底部地盤にインバートを設置するためのトンネルにおけるインバート施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルなどを構築する際に、底部地盤に土圧や水圧が大きいというような地質不良部分を含む場合、補強のため、底部地盤にインバートを設置することが行われている。また、インバートが設置されていない既設のトンネルで、トンネル周辺の地質が悪いと、トンネルの舗装版が持ち上がったりトンネルの覆工側壁にひび割れが発生したりするなどトンネルの構造が不安定化することがあり、トンネルの構造を安定化させるために、底部地盤にインバートを追加設置することが行われている。
【0003】
このような新設又は既設のトンネルの底部地盤にインバートを設置するため、従来より、現場打ちコンクリートによる施工、プレキャストコンクリートによる施工など、各種のインバート施工方法が実施されている。
【0004】
図4(a)に現場打ちコンクリートによる施工を示している。この施工では概ね次のような施工手順を採る。
(1)インバート設置部Pを掘削し、その掘削後、型枠を所定の形状寸法に組み立ててコンクリートCを打設する。
(2)インバート設置部Pに打設したコンクリートCが必要な強度に達するまで養生を行う。
(3)インバート設置部PのコンクリートCが固化し必要な強度を発現したら、型枠を解体し、コンクリートCの上に土砂を埋め戻して、その上部に仮道路を形成する。
この種のインバート施工方法が特許文献1などに開示されている。
【0005】
図4(b)にプレキャストコンクリートによる施工を示している。この施工では概ね次のような施工手順を採る。
(1)インバート設置部Pを掘削し、その掘削後、工場製作したプレキャストコンクリートPCを搬入し、クレーンなどを用いてインバート設置部Pの所定の位置に設置する。
(2)インバート設置部PのプレキャストコンクリートPCとこの下の地山との隙間に裏込め材を充填するため型枠を組み立て、この型枠の組み立て後、隙間に裏込め材として無収縮モルタルを充填する。
(3)無収縮モルタルが固化し必要強度に達したら、型枠を解体し、プレキャストコンクリートPCの上に土砂を埋め戻して、その上部に仮道路を形成する。
この種のインバート施工方法が特許文献2などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-64800号公報
【文献】特開平10-220186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のインバート施工方法では、次のような問題がある。
(1)現場打ちコンクリートによる施工は、特に既設のトンネルにインバートを設置する場合に問題となる。この施工の場合、トンネル内でインバート設置部に、型枠を組み立てる必要があるため、作業効率が低く、また、インバート設置部に打設したコンクリートが必要な強度に達するまでは、インバート設置部に土砂の埋め戻しができず、工事期間が必然的に長くなる。このため、供用中のトンネルに現場打ちコンクリートによる施工でインバートを設置するには、トンネルに長期間に亘って車線規制を行う必要がある。工事期間中は交通規制により渋滞が発生するなど社会的影響が大きいため、規制日数の短縮が要請されるところ、その要請に対応することが難しい。
(2)プレキャストコンクリートによる施工では、プレキャストコンクリート1ピースの重量が非常に重く、トンネル内で使用できるクレーンの大きさには制限があることから、プレキャストコンクリート1ピースを吊上げ可能な大きさにするために、インバート設置部でのプレキャストコンクリートの分割数が多くなる。プレキャストコンクリートの分割数が多くなると、製作工場から施工現場までの運搬費が高くなり、また、プレキャストコンクリートの設置の工程(手間)が増えて、工事遅延の原因ともなり、車線規制の解除の日程に影響する。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種のインバート施工方法において、インバート設置部にインバートを設置後、インバート設置部に早期に土砂の埋め戻しを行え、トンネル内の道路の車線規制(交通規制)の期間を短くすること、インバート設置部に設置するインバート(ピース)の重量を軽量化して、インバートの大きさを大型化することにより、運搬に要するコストを低減し、インバートを設置しやすくしてインバート設置の工数、工程を短縮すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
トンネルの底部地盤にインバートを設置するトンネルにおけるインバート施工方法において、
前記トンネルの底部地盤にインバート設置部を掘削し、
前記インバート設置部の掘削完了後、前記インバート設置部に、コンクリート注入口を有する鋼殻と前記コンクリート注入口から前記鋼殻内に注入されるコンクリートとの合成構造からなる合成セグメントの前記鋼殻のみを設置して、前記インバート設置部を埋め戻し、
前記インバート設置部の埋め戻し後、前記コンクリート注入口を通じて、前記インバート設置部の前記鋼殻内にコンクリートを注入充填し、前記合成セグメントを完成させて、前記鋼殻及び前記鋼殻内部に充填したコンクリートの両方で、トンネル周辺地山の変形、外力に抵抗する、
ことを要旨とする。
そして、このインバート施工方法は、トンネル内での実施に当たり、トンネルの底部地盤をトンネル幅方向に2分割乃至3分割して、前記トンネル幅方向に2分割の片側一側若しくは3分割の一部からインバート設置部の掘削、合成セグメントの鋼殻のみの設置、前記インバート設置部の埋め戻し、前記鋼殻内部へコンクリートの注入充填を順次行って、前記トンネル幅方向に2分割の片側一側若しくは3分割の一部にインバートを設置した後、前記トンネル幅方向に2分割の片側他側に若しくは3分割の残部に順次同様の施工を行って、インバートを設置する。
この場合、鋼殻は、インバート設置部に埋設した合成セグメントに作用する土被り圧やインバート設置部を埋め戻した地盤上を車両が通行する際の交通荷重に対して鋼殻のみで負担できるように、鋼殻の強度、耐力を高めておく。
また、このインバート施工方法は次のように具体化される。
(1)鋼殻に六面鋼殻を用いて、鋼殻をインバート設置部に設置する場合、前記鋼殻を前記インバート設置部に速硬モルタルパックを介して設置し、前記鋼殻と前記鋼殻下の地山との間に裏込め材を注入する。この場合、速硬モルタルパックを鋼殻(六面鋼殻)の底面下部の任意の位置に設置することができる。
また、鋼殻に五面鋼殻を用いて、鋼殻をインバート設置部に設置する場合、前記鋼殻を前記インバート設置部に速硬モルタルパックを介して設置し、前記鋼殻内部にコンクリートを打設する際に、前記コンクリートを前記鋼殻内で前記鋼殻直下の地山に接して注入充填する。この場合、速硬モルタルパックを鋼殻(五面鋼殻)の側壁部の直下に設置する。
(2)鋼殻のコンクリート注入口として鋼殻の一端に穿孔したコンクリート注入孔と前記コンクリート注入孔から前記鋼殻内部に差し込むコンクリート打設ホースとを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記コンクリート打設ホースの一端を前記鋼殻一端の前記コンクリート注入孔から前記鋼殻内の他端まで差し込み、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記コンクリート打設ホースの他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、前記コンクリート打設ホースを通じて、前記インバート設置部の前記鋼殻内の他端からコンクリートを注入し、前記コンクリート打設ホースを前記鋼殻から引き抜きながら、前記鋼殻内の一端まで注入し、前記鋼殻内全体に充填する。
また、鋼殻のコンクリート注入口として鋼殻の一端に穿孔したコンクリート注入孔と前記コンクリート注入孔に接続するさや管とを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記さや管の一端を前記鋼殻一端の前記コンクリート注入孔に接続し、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記さや管の他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、コンクリート打設ホースを、前記さや管を通して、前記インバート設置部の前記鋼殻一端の前記コンクリート注入孔から前記鋼殻内の他端まで差し込み、前記鋼殻内の他端からコンクリートを注入し、前記コンクリート打設ホースを前記鋼殻から引き抜きながら、前記鋼殻内の一端まで注入し、前記鋼殻内全体に充填するようにしてもよい。
(3)上記(1)、(2)の場合、鋼殻にコンクリート注入口とともにエア抜き口を併せて設置しておき、前記鋼殻内にコンクリートを注入する間、前記エア抜き口により前記鋼殻内のエアを抜く。
この場合、鋼殻のエア抜き口として鋼殻の上面に穿孔した複数のエア抜き孔と前記各エア抜き孔に接続する複数のエア通しホースとを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記各エア通しホースの一端を前記鋼殻の前記各エア抜き孔に接続して前記各エア通しホースを前記鋼殻の外側に配置して、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記各エア通しホースの他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、前記鋼殻内にコンクリートを注入する間、前記各エア通しホースにより前記鋼殻内のエアを抜くものとする。
また、この場合、鋼殻のエア抜き口として鋼殻内部に形成した通気路及び前記鋼殻の一端に前記通気路に連通させて穿孔したエア抜き孔と前記エア抜き孔に接続するエア通しホースとを用い、前記鋼殻をインバート設置部に設置する際に、前記エア通しホースの一端を前記鋼殻一端の前記エア抜き孔に接続し、前記インバート設置部の埋め戻しの際に、前記エア通しホースの他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、前記インバート設置部の埋め戻し後、前記鋼殻内にコンクリートを注入する間、前記エア通しホースにより前記鋼殻内のエアを抜くものとしてもよい。
さらに、この場合、鋼殻内の数箇所にコンクリートの充填状況を感知するための充填感知センサを配置して、前記鋼殻内でのコンクリートの充填状況を確認することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインバート施工方法によれば、インバート設置部の掘削完了後、インバート設置部に合成セグメントの鋼殻のみを設置して、インバート設置部を埋め戻し、インバート設置部の埋め戻し後、鋼殻に設けたコンクリート注入口を通じて、インバート設置部の鋼殻内にコンクリートを注入充填し、合成セグメントを完成させて、鋼殻及び鋼殻内部に充填したコンクリートの両方で、トンネル周辺地山の変形、外力に抵抗するようにしたので、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
(1)インバート設置部にインバートとして鋼殻のみを設置した後、インバート設置部に早期に土砂の埋め戻しを行うことができ、このインバート設置部の早期の埋め戻しにより、トンネル内の道路の車線規制(交通規制)の解除までの工程を短くすることができ、車線規制の期間(日数)を従来に比べて大幅に短縮することができる。
(2)インバート設置部に設置するインバート(ピース)の重量を軽量化して、インバートの大きさを大型化することができ、このインバートの大型化により、運搬に要するコストを低減し、インバートを設置しやすくしてインバートの設置のための工数、工程を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態によるトンネルにおけるインバート施工方法の施工手順を示す図((1)はトンネルの底部地盤にインバート設置部を掘削し、インバート設置部の掘削完了後、インバート設置部に合成セグメントの鋼殻のみを設置した状態を示す図(2)はインバート設置部に鋼殻を設置した後、インバート設置部を埋め戻した状態を示す図(3)はインバート設置部を埋め戻した後、トンネルのインバート設置部に埋設した鋼殻にコンクリートを注入する状態を示す図)
図2】同施工方法で行う、トンネルのインバート設置部に埋設した鋼殻へのコンクリートの打設方法を拡大して示す図
図3】同施工方法で行う、鋼殻のインバート設置部への設置方法、及びインバート設置部における鋼殻と地山接地面との間の処理方法を示す図((a)は鋼殻に六面鋼殻を用いた場合の鋼殻の設置方法及び鋼殻、地山接地面間の処理方法を示す図(b)は鋼殻に五面鋼殻を用いた場合の鋼殻の設置方法及び鋼殻、地山接地面間の処理方法を示す図)
図4】従来のインバート設置工法を示す図((a)は場所打ちコンクリートによる施工を示す図(b)はプレキャストコンクリートによる施工を示す図)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、このトンネルにおけるインバート施工方法は、トンネルTの底部地盤にインバートIを設置するのに用いるもので、この施工方法では、トンネルTの底部地盤にインバート設置部Pを掘削し、インバート設置部Pの掘削完了後、インバート設置部Pに、コンクリート注入口を有する鋼殻10とコンクリート注入口から鋼殻10内に注入されるコンクリートとの合成構造からなる合成セグメント1の鋼殻10のみを設置して、インバート設置部Pを埋め戻し、インバート設置部Pの埋め戻し後、コンクリート注入口を通じて、インバート設置部Pの鋼殻10内にコンクリートを注入充填し、合成セグメント1を完成させて、鋼殻10及び鋼殻10内部に充填したコンクリートの両方で、トンネル周辺地山の変形、外力に抵抗するものとした。
【0014】
そして、このインバート施工方法では、トンネルT内での実施に当たり、トンネルTの底部地盤をトンネル幅方向に2分割乃至3分割して、トンネル幅方向に2分割の片側一側若しくは3分割の一部からインバート設置部Pの掘削、合成セグメント1の鋼殻10のみの設置、インバート設置部Pの埋め戻し、鋼殻10内部へコンクリートの注入充填を順次行って、トンネル幅方向に2分割の片側一側若しくは3分割の一部にインバートIを設置した後、トンネル幅方向に2分割の片側他側に若しくは3分割の残部に順次同様の施工を行って、インバートIを設置する。
【0015】
以下、図1及び図2図3を用いて、供用中の既設のトンネルにインバートを追加設置する工事を例示して、その施工手順を具体的に説明する。
なお、既設のトンネルTはトンネル内壁がアーチ形構造体Aにより覆工されており、この工事では、インバート1をこのトンネルTの底部地盤に設置して、アーチ構造体Aの下部間に連結する。
また、この場合、トンネルTの底部地盤をトンネル幅方向に2分割して、施工を行うものとする。
【0016】
この工事では、まず、図1(1)に示すように、トンネルTの道路Rの略中央に安全柵Fを設置する。これにより道路一側R1(図1中、右側)の自動車の通行を確保する。続いて、この安全柵Fの道路他側R2側に土留め杭Sをトンネル軸方向に所定の間隔で打ち込む。そして、道路他側R2を掘削機械(図示省略)により掘削して、インバート設置部Pを形成する。この掘削と併せて、土留め杭Sに横矢板(図示省略)を設置して、道路一側R1の土留めを行っていく。また、この掘削と併せて、トンネル内壁のアーチ形構造体Aの下部に覆工受け台Bを作っていく。そして、インバート設置部Pの掘削長が所定の距離(例えば、10m~20m)だけ進む毎に、インバート設置部PにインバートIを設置する。
【0017】
インバートIに、既述のとおり、鋼殻10と鋼殻10内に注入されるコンクリート14との合成構造からなる合成セグメント1を使用する(図3参照)。この合成セグメント1の場合、鋼殻10に六面鋼殻又は五面鋼殻を用い、鋼殻10がいずれの場合でも、コンクリート14の注入前であれば、インバートIとしての重量が、従来のプレキャストコンクリートに比べると、大きく軽量化されるため、この施工方法では、鋼殻10の大きさをトラックなどで運搬可能な範囲で大型化している。また、この鋼殻10は、インバート設置部Pに埋設した合成セグメント1に作用する土被り圧やインバート設置部Pを埋め戻した地盤上を車両が通行する際の交通荷重に対して鋼殻10のみで負担できるように、鋼殻10各面の板圧を厚くする、又は鋼殻10内部に補強用の鉛直部材(板)やリブを設けるなどして、その強度、耐力を高めておく。なお、鋼殻10内部に補強用の鉛直部材(板)を設ける場合は、この鉛直部材(板)に後述するホース111を通すための開口を設けておく。そして、この鋼殻10には、図2に示すように、上面に、コンクリート注入口11をエア抜き口12とともに設ける。この場合、コンクリート注入口11として、鋼殻10の一端(上面の板のトンネル内壁側の端部)に穿孔したコンクリート注入孔110とこのコンクリート注入孔110から鋼殻10内部に差し込むコンクリート打設ホース111とを用いる。また、エア抜き口12として、鋼殻10の上面(上面の板)に穿孔した複数のエア抜き孔120とこれらエア抜き孔120に接続する複数のエア通しホース121とを用いる。さらに、この鋼殻10内には、鋼殻10内に注入するコンクリート14の充填状況を確認できるように、上面の板の内面の数箇所に、コンクリート14の充填状況を感知するための複数の充填感知センサ13を配置する。
【0018】
このインバートIの設置作業では、図1(1)に示すように、合成セグメント1の鋼殻10のみを設置する。鋼殻10内に充填するコンクリート14はあと充填とする。この場合、図3に示すように、鋼殻10をインバート設置部Pに速硬モルタルを包装した速硬モルタルパック21を介して設置する。鋼殻10に六面鋼殻を用いる場合、図3(a)に示すように、鋼殻10をインバート設置部Pに速硬モルタルパック21を介して設置する。この場合、速硬モルタルパック21を鋼殻10の底面下部の任意の位置に設置することができる。このようにして鋼殻10と鋼殻10下の地山との間に裏込め材22を注入する。また、鋼殻10に五面鋼殻を用いる場合は、図3(b)に示すように、鋼殻10をインバート設置部Pに速硬モルタルパック21を介して設置する。この場合、速硬モルタルパック21を鋼殻10の側壁部の直下に設置する。このようにして鋼殻10内部にコンクリート14を打設する際に、コンクリート14を鋼殻10内で鋼殻10直下の地山に接して注入充填する。これにより、鋼殻10の接地面の不陸を修正する。また、この場合、複数の鋼殻10を、図1(1)に示すように、鋼殻10の長さ方向をトンネル幅方向に向けた状態から、トンネルTの道路他側R2のインバート設置部Pにおいてトンネル軸方向一端から他端に向けて、トンネル軸方向に並列に設置し連結していく。なお、これらの鋼殻10は、トンネル内壁側端部をトンネル内壁のアーチ形構造体A下部の覆工受け台Bと突き合わせて、この覆工受け台Bを介して、アーチ形構造体Aと一体化させる。
【0019】
道路他側R2のインバート設置部P全体に鋼殻10を設置したら、図2に示すように、コンクリート打設ホース111の一端を鋼殻10一端のコンクリート注入孔110から鋼殻10内の他端(トンネルTの中央側端部)まで差し込んでおき、各エア通しホース121の一端を鋼殻10の各エア抜き孔120に接続して各エア通しホース121を鋼殻10の外側に配置しておき、ここでは、各鋼殻10内にコンクリート14を注入することなく、図1(2)に示すように、インバート設置部Pに鋼殻10の上から土砂を埋め戻す。また、このインバート設置部Pの埋め戻しの際には、インバート設置部Pに土砂を埋め戻す前に、コンクリート打設ホース111の他端(開口)を各エア通しホース121の他端(開口)とともにトンネルTのインバート設置部Pの埋め戻し完了高さより上に取り出しておく。インバート設置部Pの埋め戻し後、その上面を舗装して仮道路を形成し、図1(3)に示すように、インバート設置部Pの埋め戻し完了高さより上に取り出しておいたコンクリート打設ホース111を通じて、インバート設置部Pの鋼殻10内の他端からコンクリート14を注入し、この鋼殻10内にコンクリート14を注入する間、エア抜き口12により鋼殻10内のエアを抜きつつ、コンクリート打設ホース111を鋼殻10内から徐々に引き抜きながら、鋼殻10内の一端まで注入し、鋼殻10内の各充填感知センサ13で鋼殻10内のコンクリート14の充填状況を確認しながら、鋼殻10内全体に亘って充填する。なお、鋼殻10内にコンクリートの充填完了後、エア抜き用の各エア通しホース121はインバート設置部Pを埋め戻した地盤中の鋼殻10から引き抜いて取り出してもよく、この地盤中に残置してもよい。後者の場合、各エア通しホース121の内部にコンクリート又はモルタルあるいはエポキシ樹脂などのグラウト材を注入し、各エア通しホース121の内部に残された空隙を埋める処置を実施する。このようにしてインバート設置部Pの埋め戻し後の、インバート設置部Pに埋設した鋼殻10内で、コンクリート14を養生させる。これにより、この工事の期間中にコンクリート14を養生させるための特別の工程(期間)を不要とする。このようにしたことで、インバート設置部Pに鋼殻10を設置した後、即時、インバート設置部Pを埋め戻し、その上に仮道路を作ることができる。
【0020】
このようなインバート設置部Pの掘削、あと充填式とした合成セグメント1の鋼殻10のみの設置、インバート設置部Pの埋め戻し、鋼殻10内部へコンクリート14の注入充填、仮道路の形成の各工程を、トンネルTの道路他側R2の底部地盤において、所定の距離(例えば、10m~20m)単位で繰り返し行っていく。したがって、トンネルT内の道路他側R2でインバートIの設置の施工中は道路他側R2の車線規制が必要となるが、この施工が道路他側R2で所定の距離(例えば、10m~20m)単位で行われるので、インバートIの設置の工事を小刻みに中断して、道路他側R2の車線規制を小刻みに柔軟に解除することができ、全体として車線規制(の期間)を短くすることができる。
このようにしてトンネル幅方向の道路他側R2にインバートI(合成セグメント1)を設置した後、トンネル幅方向の片側一側R1に同様の工程で施工を行って、インバートI(合成セグメント1)を設置する。トンネルT内の道路一側R1においても、同様にして、インバートIの設置の施工中は道路一側R1の車線規制が必要となるが、この施工が道路一側R1で所定の距離(例えば、10m~20m)単位で行われるので、インバートIの設置の工事を小刻みに中断して、道路一側R1の車線規制を小刻みに柔軟に解除することができ、全体として車線規制(の期間)を短くすることができる。
【0021】
以上説明したように、このインバート施工方法によれば、インバート設置部Pの掘削完了後、インバート設置部Pに、コンクリート注入口110を有する鋼殻10とコンクリート注入口110から鋼殻10内に注入されるコンクリート14との合成構造からなるあと充填式の合成セグメント1の鋼殻10のみを設置して、インバート設置部Pを埋め戻し、インバート設置部Pの埋め戻し後、鋼殻10のコンクリート注入口11を通じて、インバート設置部Pの鋼殻10内にコンクリート14を注入充填し、合成セグメント1を完成させて、鋼殻10及び鋼殻10内部に充填したコンクリート14の両方で、トンネル周辺地山の変形、外力に抵抗するようにしたので、インバート設置部Pの掘削後、このインバート設置部Pに鋼殻10を設置すれば、インバート設置部Pを早期に埋め戻すことができ、インバート設置部Pの埋め戻し後は、トンネルTのインバート設置部Pに埋設した鋼殻10に鋼殻10のコンクリート注入口11を通じて、コンクリート14を注入充填すれば、合成セグメント1は完成し、特にコンクリート14の養生期間を工事の一つの工程として確保する必要がなく、インバート設置部PにインバートIとしての合成セグメント1を迅速に設置することができる。したがって、トンネル内の道路の車線規制(交通規制)の解除までの工程を短くすることができ、車線規制の期間(日数)を従来に比べて大幅に短縮することができる。また、インバート設置部Pを掘削した後、このインバート設置部Pにインバートピースとして鋼殻10のみを設置するようにしたことで、インバート設置部Pに設置するインバートピースの重量を軽量化することができ、このインバートピースの軽量化でインバートピースの大きさを大型化することができ、インバートピースの大型化により、インバートピース(すなわち、鋼殻10)の運搬に要するコストを低減し、インバートピース(鋼殻10)の設置のための工数、工程を短縮することができる。
【0022】
そして、このインバート施工方法では、トンネルT内での実施に当たり、トンネルTの底部地盤をトンネル幅方向に2分割して、トンネル幅方向の片側一側からインバート設置部Pの掘削、合成セグメント1の鋼殻10のみの設置、インバート設置部Pの埋め戻し、鋼殻10内部へコンクリート14の注入充填を順次行って、トンネル幅方向の片側一側にインバートIを設置した後、トンネル幅方向の片側他側に同様の施工を行って、インバートIを設置するので、トンネルTの底部地盤に、片側一側、他側毎に、掘削したインバート設置部Pの埋め戻しとインバートIとして合成セグメント1の設置を早期迅速に行うことができる。したがって、トンネル内の道路の車線規制(交通規制)の解除までの工程を短くすることができ、車線規制の期間(日数)を従来に比べて大幅に短縮することができる。
なお、トンネルT内での実施に当たり、トンネルTの底部地盤をトンネル幅方向に3分割して、トンネル幅方向の一部からインバート設置部Pの掘削、合成セグメント1の鋼殻10のみの設置、インバート設置部Pの埋め戻し、鋼殻10内部へコンクリート14の注入充填を順次行って、トンネル幅方向の一部にインバートIを設置した後、トンネル幅方向の残部に順次同様の施工を行って、インバートIを設置する場合でも、同様である(同様の作用効果が得られる。)。
【0023】
また、このインバート施工方法では、鋼殻10に六面鋼殻を用いて、鋼殻10をインバート設置部Pに設置する場合、鋼殻10をインバート設置部Pに速硬モルタルパック21を介して設置し、この鋼殻10と鋼殻10下の地山との間に裏込め材22を注入するので、鋼殻10をインバート設置部Pに、鋼殻10の接地面を処理(不陸を修正)して、迅速に設置することができる。また、鋼殻10に五面鋼殻を用いて、鋼殻10をインバート設置部Pに設置する場合、(五面鋼殻の開放面をインバート設置部Pの設置面に向けて)鋼殻10をインバート設置部Pに速硬モルタルパック21を介して設置し、鋼殻10内部にコンクリート14を打設する際に、コンクリート14を鋼殻10内で鋼殻10直下の地山に接して注入充填するので、鋼殻10をインバート設置部Pに、鋼殻10の接地面を処理(不陸を修正)して、迅速に設置することができる。
【0024】
さらに、このインバート施工方法では、鋼殻10のコンクリート注入口11として鋼殻10の一端に穿孔したコンクリート注入孔110とコンクリート注入孔110から鋼殻10内部に差し込むコンクリート打設ホース111とを用い、鋼殻10をインバート設置部Pに設置する際に、コンクリート打設ホース111の一端を鋼殻10一端のコンクリート注入孔110から鋼殻10内の他端まで差し込み、インバート設置部Pの埋め戻しの際に、コンクリート打設ホース111の他端をインバート設置部Pの埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、インバート設置部Pの埋め戻し後、コンクリート打設ホース111を通じて、インバート設置部Pの鋼殻10内の他端からコンクリート14を注入し、コンクリート打設ホース111を鋼殻10から引き抜きながら、鋼殻10内の一端まで注入し、鋼殻10内全体に充填するようにしたので、トンネルTの底部地盤に、合成セグメント1の設置を効率よく迅速に行うことができる。
この場合、鋼殻10にコンクリート注入口11とともにエア抜き口12を併せて設置しておき、鋼殻10内にコンクリート14を注入する間、エア抜き口12により鋼殻10内のエアを抜くので、鋼殻10内にコンクリート14を効率よく迅速に充填することができる。そして、鋼殻10のエア抜き口12として鋼殻10の上面に穿孔した複数のエア抜き孔120と各エア抜き孔120に接続する複数のエア通しホース121とを用い、鋼殻10をインバート設置部Pに設置する際に、各エア通しホース121の一端を鋼殻10の各エア抜き孔120に接続して各エア通しホース121を鋼殻10の外側に配置して、インバート設置部Pの埋め戻しの際に、各エア通しホース121の他端をインバート設置部Pの埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、インバート設置部Pの埋め戻し後、鋼殻10内にコンクリートを注入する間、各エア通しホース121により鋼殻10内のエアを抜くようにしたので、鋼殻10内にコンクリートを注入する間、鋼殻10内からエアを確実に抜くことができる。
また、この場合、鋼殻10内の数箇所にコンクリート14の充填状況を感知するための充填感知センサ13を配置して、各充填感知センサ13で鋼殻10内でのコンクリート14の充填状況を確認するので、コンクリート14を鋼殻10内へ確実に充填することができる。
【0025】
なお、この実施の形態では、鋼殻10のコンクリート注入口11として鋼殻10の一端に穿孔したコンクリート注入孔110とコンクリート注入孔110から鋼殻10内部に差し込むコンクリート打設ホース111とを用い、鋼殻10をインバート設置部Pに設置する際に、コンクリート打設ホース111の一端を鋼殻10一端のコンクリート注入孔110から鋼殻10内の他端まで差し込み、インバート設置部Pの埋め戻しの際に、コンクリート打設ホース111の他端をインバート設置部Pの埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、インバート設置部Pの埋め戻し後、コンクリート打設ホース111を通じて、インバート設置部Pの鋼殻10内の他端からコンクリートを注入し、コンクリート打設ホース111を鋼殻10から引き抜きながら、鋼殻10内の一端まで注入し、鋼殻10内全体に充填するものとしたが、鋼殻のコンクリート注入口として鋼殻の一端に穿孔したコンクリート注入孔とコンクリート注入孔に接続するさや管とを用い、鋼殻をインバート設置部に設置する際に、さや管の一端を鋼殻一端のコンクリート注入孔に接続し、インバート設置部の埋め戻しの際に、さや管の他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、インバート設置部の埋め戻し後、コンクリート打設ホースを、さや管を通して、インバート設置部の鋼殻一端のコンクリート注入孔から鋼殻内の他端まで差し込み、鋼殻内の他端からコンクリートを注入し、コンクリート打設ホースを鋼殻から引き抜きながら、鋼殻内の一端まで注入し、鋼殻内全体に充填するようにしてもよく、このようにしても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
また、この実施の形態では、鋼殻10のエア抜き口12として鋼殻10の上面に穿孔した複数のエア抜き孔120と各エア抜き孔120に接続する複数のエア通しホース121とを用い、鋼殻10をインバート設置部Pに設置する際に、各エア通しホース121の一端を鋼殻10の各エア抜き孔120に接続して各エア通しホース121を鋼殻10の外側に配置して、インバート設置部Pの埋め戻しの際に、各エア通しホース121の他端をインバート設置部Pの埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、インバート設置部Pの埋め戻し後、鋼殻10内にコンクリートを注入する間、各エア通しホース121により鋼殻10内のエアを抜くものとしたが、鋼殻のエア抜き口として鋼殻内部に形成した通気路(例えば、鋼殻内部に複数の補強用の鉛直部材(板)を設けた場合、各鉛直部材の最上部にエア抜き孔を空けて形成したエアの通路など。)及び鋼殻の一端に通気路に連通させて穿孔したエア抜き孔とエア抜き孔に接続するエア通しホース(メッシュ状でもない、ホースの途中途中に孔を有するものでもない、エアが流通可能な一般的なホース)とを用い、鋼殻をインバート設置部に設置する際に、エア通しホースの一端を鋼殻一端のエア抜き孔に接続し、インバート設置部の埋め戻しの際に、エア通しホースの他端をインバート設置部の埋め戻し完了高さより上に取り出しておき、インバート設置部の埋め戻し後、鋼殻内にコンクリートを注入する間、エア通しホースにより鋼殻内のエアを抜くものとしてもよく、このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
さらに、この実施の形態では、既設のトンネルの底部地盤にインバートを設置する場合を例示したが、このインバート施工方法は、新設のトンネルの底部地盤であっても、同様に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
T トンネル
A アーチ形構造体
R 道路
R1 道路一側
R2 道路他側
F 安全柵
S 土留め杭
B 覆工受け台
P インバート設置部
I インバート
1 合成セグメント
10 鋼殻
11 コンクリート注入口
110 コンクリート注入孔
111 コンクリート打設ホース
12 エア抜き口
120 エア抜き孔
121 エア抜きホース
13 充填感知センサ
14 コンクリート
21 速硬モルタルパック
22 裏込め材

図1
図2
図3
図4