(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】アンテナ装置および、鉄道車両
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/35 20150101AFI20220617BHJP
H01Q 5/328 20150101ALI20220617BHJP
H01Q 5/335 20150101ALI20220617BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20220617BHJP
H01Q 1/32 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
H01Q5/35
H01Q5/328
H01Q5/335
H01Q13/08
H01Q1/32 Z
(21)【出願番号】P 2018181367
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西本 研悟
(72)【発明者】
【氏名】西岡 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】牧村 英俊
(72)【発明者】
【氏名】圷 浩行
(72)【発明者】
【氏名】川邊 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】西山 武志
(72)【発明者】
【氏名】西田 良和
(72)【発明者】
【氏名】松村 善洋
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-168102(JP,A)
【文献】特開2011-155646(JP,A)
【文献】特開平03-157003(JP,A)
【文献】特開2004-276780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0102357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド導体板と、
前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で五角形である第1の導体板と、
前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の第3の辺に接続される、第2の導体板と、
第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、
前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、
第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、
前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子とを備え、
前記第1の導体板の前記第3の辺を挟む二辺は、前記第3の辺と垂直である、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で五角形である第3の導体板をさらに備え、
前記第3の導体板の第4の辺は、前記第1の導体板の前記第3の辺、および、前記第2の導体板の前記第2の辺に接続され、
前記第3の導体板の前記第4の辺を挟む二辺は、前記第4の辺と垂直である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
グランド導体板と、
前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で三角形である第1の導体板と、
前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の第3の辺に接続される、第2の導体板と、
第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、
前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、
第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、
前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子と、
前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で三角形である第3の導体板とを備え、
前記第3の導体板の第4の辺は、前記第1の導体板の前記第3の辺、および、前記第2の導体板の前記第2の辺に接続される、
アンテナ装置。
【請求項4】
グランド導体板と、
前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で半楕円である第1の導体板と、
前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の直線状の辺である第3の辺に接続される、第2の導体板と、
第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、
前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、
第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、
前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子と、
前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で半楕円である第3の導体板とを備え、
前記第3の導体板の直線状の辺である第4の辺は、前記第1の導体板の前記第3の辺、および、前記第2の導体板の前記第2の辺に接続される、
アンテナ装置。
【請求項5】
前記第1のキャパシタが、第1の平面導体と前記グランド導体板とが平行に近接配置されることによって形成される平行平板コンデンサであり、
前記第2のキャパシタが、第2の平面導体と第3の平面導体とが平行に近接配置されることによって形成される平行平板コンデンサである、
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記インダクタが、スパイラル状導体である、
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
第1の周波数の信号が入力された場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタが遮断され、かつ、前記インダクタが短絡し、
前記第1の周波数よりも高い周波数である第2の周波数の信号が入力された場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタが短絡し、かつ、前記インダクタが遮断される、
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載のアンテナ装置を備える、
鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、アンテナ装置、および、鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
架線電圧検知および無線通信の共用アンテナは、電車の屋根の上に搭載される。当該共用アンテナには、架線電圧検知システム向けの用途と無線通信システム向けの用途とがある。
【0003】
架線電圧検知システムは、電車の上方に配線される架線の電圧が加圧状態であることを確認するためのシステムである。架線電圧検知システムは、交流電源を用いる場合に使用される。
【0004】
一方で、無線通信システムは、地上側の基地局と車両側の移動局との間の通信、または、緊急事態発生時の防護無線を、車両に搭載されたアンテナで受信する用途などに使用される。当該通信に使用される周波数帯は、たとえば、VHF帯またはUHF帯などである。
【0005】
架線電圧検知および無線通信の共用アンテナは、平面導体と、柱状導体とを備える(たとえば、非特許文献1を参照)。
【0006】
柱状導体および平面導体には、架線との間に発生する静電容量によって、架線電源周波数で交流電圧がそれぞれ誘起される。そして、平面導体は、無線周波数においてモノポールアンテナとして動作する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】黒田忠光、久保田肇、永岡栄、喜連川隆、武市吉博、「東海道新幹線架線電圧検知・構内無線共用アンテナ」、三菱電機技報、Vol.38 No.4、1964
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1に示されるような構成では、アンテナの高さHが0.18波長に相当しており、比較的高い。そのため、電車走行時の風切り音が大きいという課題があった。
【0009】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を解決するためになされたものであり、風切り音を抑えるための技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、グランド導体板と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で五角形である第1の導体板と、前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の第3の辺に接続される、第2の導体板と、第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子とを備え、前記第1の導体板の前記第3の辺を挟む二辺は、前記第3の辺と垂直である。
【0011】
また、本願明細書に開示される技術の第2の態様は、グランド導体板と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で三角形である第1の導体板と、前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の第3の辺に接続される、第2の導体板と、第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で三角形である第3の導体板とを備え、前記第3の導体板の第4の辺は、前記第1の導体板の前記第3の辺、および、前記第2の導体板の前記第2の辺に接続される。
【0012】
また、本願明細書に開示される技術の第3の態様は、グランド導体板と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で半楕円である第1の導体板と、前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の直線状の辺である第3の辺に接続される、第2の導体板と、第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で半楕円である第3の導体板とを備え、前記第3の導体板の直線状の辺である第4の辺は、前記第1の導体板の前記第3の辺、および、前記第2の導体板の前記第2の辺に接続される。
【0013】
また、本願明細書に開示される技術の第4の態様は、上記の態様に関するアンテナ装置を備える。
【発明の効果】
【0014】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、グランド導体板と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で五角形である第1の導体板と、前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の第3の辺に接続される、第2の導体板と、第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子とを備え、前記第1の導体板の前記第3の辺を挟む二辺は、前記第3の辺と垂直である。このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる第1の導体板および第2の導体板を備える構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。
【0015】
また、本願明細書に開示される技術の第2の態様は、グランド導体板と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で三角形である第1の導体板と、前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の第3の辺に接続される、第2の導体板と、第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で三角形である第3の導体板とを備え、前記第3の導体板の第4の辺は、前記第1の導体板の前記第3の辺、および、前記第2の導体板の前記第2の辺に接続される。このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる第1の導体板、第2の導体板および第3の導体板を備える構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。また、アンテナの入力インピーダンスは2重共振特性となり、2周波数共用のアンテナを得ることができる。
【0016】
また、本願明細書に開示される技術の第3の態様は、グランド導体板と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で半楕円である第1の導体板と、前記グランド導体板に対して垂直に配置され、第1の辺が第1のキャパシタを介して前記グランド導体板に接続され、かつ、前記第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が前記第1の導体板の直線状の辺である第3の辺に接続される、第2の導体板と、第1の端部が第2のキャパシタに接続され、かつ、前記第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が前記第1の導体板に接続される、線状導体と、前記第2のキャパシタと前記グランド導体板とを接続する無線端子と、第3の端部が前記第2の導体板の前記第1の辺に接続されるインダクタと、前記インダクタの前記第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、前記グランド導体板とを接続する架線電圧検知端子と、前記グランド導体板に対して平行に配置され、かつ、平面視で半楕円である第3の導体板とを備え、前記第3の導体板の直線状の辺である第4の辺は、前記第1の導体板の前記第3の辺、および、前記第2の導体板の前記第2の辺に接続される。このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる第1の導体板、第2の導体板および第3の導体板を備える構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。また、アンテナの入力インピーダンスは2重共振特性となり、2周波数共用のアンテナを得ることができる。
【0017】
また、本願明細書に開示される技術の第4の態様は、上記の態様に関するアンテナ装置を備える。このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。
【0018】
また、本願明細書に開示される技術に関する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】架線電圧検知および無線通信の共用アンテナの構成の例を概略的に示す図である。
【
図2】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す上面図である。
【
図4】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【
図5】アンテナ装置における、方形の導体板の磁流分布の例を示す図である。
【
図6】実施の形態に関するアンテナ装置における、導体板の磁流分布の例を示す図である。
【
図7】実施の形態に関するアンテナ装置における、導体板の磁流分布の例を示す図である。
【
図8】実施の形態に関するアンテナ装置の、無線周波数における水平面(xy平面)での放射パターンの計算結果を示す図である。
【
図9】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す上面図である。
【
図11】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【
図12】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す上面図である。
【
図13】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【
図14】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す上面図である。
【
図15】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【
図16】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。
【
図17】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す上面図である。
【
図18】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【
図19】実施の形態に関する、アンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
【0021】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0022】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0023】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
【0024】
また、以下に記載される説明において、「第1の」、または、「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0025】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関するアンテナ装置、および、鉄道車両について説明する。説明の便宜上、まず、柱状導体と平面導体とを備えるアンテナ装置の構成について説明する。
【0026】
<アンテナ装置の構成について>
図1は、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナの構成の例を概略的に示す図である。
図1に例が示されるように、共用アンテナは、平面導体112と、柱状導体106とを備える。
【0027】
より具体的には、共用アンテナは、無線端子1と、架線電圧検知端子2と、柱状導体106と、基板111と、平面導体112と、先端開放線路121と、先端短絡線路131、先端短絡線路132と、短絡点141と、短絡点142と、グランド導体板51と、接続導体161とを備える。
【0028】
平面導体112は、グランド導体板51に対して略垂直に設置された基板111の裏面(すなわち、紙面奥側の面)に形成されている。また、先端開放線路121と、先端短絡線路131と、先端短絡線路132とは、基板111の表面(紙面手前側の面)に形成されている。
【0029】
柱状導体106は、基板111の上方近傍において、基板111に略平行に設置される。通常、架線101が、柱状導体106の上方に間隔を空けて設置される。
【0030】
先端開放線路121の一端は、無線端子1と接続される、また、先端短絡線路131の短絡点141とは反対側の端部は、架線電圧検知端子2と接続される。
【0031】
架線電圧検知端子2は、先端短絡線路131の一端とグランド導体板51との間に設置される。架線電圧検知端子2は、架線検知電圧を検出する。先端短絡線路132の一端は、接続導体161を介して、柱状導体106と接続される。
【0032】
先端短絡線路131の他端は、短絡点141によって平面導体112に短絡されている。また、先端短絡線路132の他端は、短絡点142によって平面導体112に短絡されている。
【0033】
先端開放線路121は、無線周波数で約1/4波長の電気長であり、無線端子1と平面導体112とを、架線電源周波数で遮断させ、かつ、無線周波数で短絡させるために設置されている。
【0034】
先端短絡線路131は、無線周波数で約1/4波長の電気長であり、架線電圧検知端子2と平面導体112とを、架線電源周波数で導通させ、かつ、無線周波数で遮断させるために設置されている。
【0035】
先端短絡線路132は、無線周波数で約1/4波長の電気長であり、平面導体112と柱状導体106とを、架線電源周波数で導通させ、かつ、無線周波数で遮断させるために設置されている。
【0036】
柱状導体106は、架線電圧検知用の導体として動作する。一方で、平面導体112は、無線通信用の放射素子としての機能と、架線電圧検知用の導体としての機能とを有する。
【0037】
柱状導体106および平面導体112には、架線101との間に発生する静電容量171によって、架線電源周波数で交流電圧がそれぞれ誘起される。そして、平面導体112は、無線周波数においてモノポールアンテナとして動作する。
【0038】
図2は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。また、
図3は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す上面図である。また、
図4は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【0039】
また、
図5、
図6、
図7は、本実施の形態に関するアンテナ装置と、本実施の形態に関するアンテナ装置において導体板12を方形の導体板300とした場合の磁流分布の例を示す図である。
【0040】
また、
図8は、本実施の形態に関するアンテナ装置と、本実施の形態に関するアンテナ装置において導体板12を方形の導体板300とした場合の、無線周波数における水平面の放射パターン計算結果の例を示す図である。
【0041】
図2、
図3および
図4に例が示されるように、本実施の形態に関するアンテナ装置は、無線端子1と、架線電圧検知端子2と、導体板11と、導体板12と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41と、グランド導体板51とを備える。
【0042】
本実施の形態に関するアンテナ装置は、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナである。架線電源の周波数(すなわち、架線電源に起因する信号の周波数)は、50Hzまたは60Hzなどが用いられる。無線信号の周波数としては、VHF帯またはUHF帯などが用いられる。
【0043】
グランド導体板51は板状の導体であり、たとえば、電車の屋根をグランド導体板51として使用することが考えられる。ここでは、グランド導体板51は、水平面(すなわち、
図2のxy平面、
図3のxy面、
図4のxy面)に略平行であるものとする。
【0044】
導体板11は、方形(
図2、
図3および
図4においては長方形)であり、かつ、グランド導体板51に対して略垂直に配置される。そして、導体板11の一辺は、キャパシタ32の一方の端部とインダクタ41の一方の端部とに接続される。なお、キャパシタ32の他方の端部は、グランド導体板51に接続される。また、本明細書において、「垂直」には、略垂直、すなわち、厳密な垂直からたとえば数度程度ずれる場合を含む。
【0045】
導体板12は、五角形であり、かつ、グランド導体板51に対して略平行に配置される。導体板12の一辺は、導体板11の、キャパシタ32と接続される辺とは反対側の辺に接続される。なお、本明細書において、「平行」には、略平行、すなわち、厳密な平行からたとえば数度程度ずれる場合を含む。
【0046】
導体板12の、導体板11と接続された辺の両隣の二辺は、導体板12の、導体板11と接続された辺と略垂直である。
【0047】
図2、
図3、
図4においては、導体板12の、導体板11と接続された辺の両隣の二辺は同じ長さとなっているが、これらは異なる長さであってもよい。
【0048】
また、
図2、
図3、
図4においては、導体板12の、導体板11と接続された辺の両隣の辺以外の二辺は同じ長さとなっているが、これらは異なる長さであってもよい。
【0049】
線状導体21の一方の端部は、キャパシタ31の一方の端部に接続される。また、線状導体21の他方の端部は、導体板12に接続される。なお、
図2、
図3、
図4では、線状導体21は、グランド導体板51に対して略垂直に配置された直線形状となっているが、線状導体21の形状は、曲線形状であってもよい。
【0050】
無線端子1は、キャパシタ31の他方の端部とグランド導体板51との間に配置される。そして、無線端子1によって、無線信号が送受信される。
【0051】
架線電圧検知端子2は、インダクタ41の他方の端部とグランド導体板51との間に配置される。そして、架線電圧検知端子2によって、架線検知電圧が検出される。
【0052】
キャパシタ31は、架線電源周波数において、無線端子1と線状導体21との間を遮断させるために設けられる。キャパシタ31は、架線電圧周波数において、おおむね開放と見なすことができるキャパシタンス値とする。
【0053】
さらに、キャパシタ31は、無線周波数において、おおむね短絡と見なす値とするか、または、無線周波数における整合回路として用いられてもよい。
【0054】
たとえば、キャパシタ31のキャパシタンスを1500pF以下とし、かつ、架線電源の周波数を60Hzとする場合、キャパシタ31のリアクタンスは、60Hzでは1.8MΩ以上となる。この場合、キャパシタ31は、60Hzでは、おおむね開放と見なすことができる。
【0055】
キャパシタ32は、グランド導体板51と導体板11との間を、架線電源周波数において遮断させ、かつ、無線周波数において等価的に短絡させるために設けられる。キャパシタ32は、無線周波数においておおむね短絡と見なすことができ、かつ、架線電圧周波数においておおむね開放と見なすことができるキャパシタンス値とする。
【0056】
たとえば、キャパシタ32のキャパシタンスを1200pFとし、架線電源の周波数を60Hzとし、かつ、無線周波数帯域を160MHzとする場合、キャパシタ32のリアクタンスは、60Hzでは2.2MΩとなり、160MHzでは0.8Ωとなる。この場合、キャパシタ32は、160MHzではほぼ短絡と見なすことができ、また、60Hzではほぼ開放と見なすことができる。
【0057】
インダクタ41は、架線電圧検知端子2と導体板11との間を、架線電源周波数において短絡させ、かつ、無線周波数において遮断させるために設けられる。インダクタ41は、架線電源周波数においておおむね短絡と見なすことができ、かつ、無線周波数においておおむね開放と見なすことができるインダクタンス値とする。
【0058】
たとえば、インダクタ41のインダクタンスを2μHとし、架線電源の周波数を60Hzとし、かつ、無線周波数帯域の中心周波数を160MHzとする場合、インダクタ41のリアクタンスは、60Hzでは0.8mΩとなり、160MHzでは2.0kΩとなる。この場合、インダクタ41は、60Hzではほぼ短絡と見なすことができ、また、160MHzではほぼ開放と見なすことができる。
【0059】
<アンテナ装置の動作について>
次に、
図2から
図8を参照しつつ、本実施の形態に関するアンテナ装置の動作について説明する。
【0060】
まず、架線電圧検知機能について説明する。通常、
図4に例が示されるように、架線101は、導体板12の上方に間隔を空けて設置される。そして、架線101と導体板12との間には静電容量が発生する。
【0061】
ここで、導体板12は、架線電源周波数において、無線端子1およびグランド導体板51とは遮断されている。また、導体板12は、架線電源周波数において、導体板11を介して架線電圧検知端子2と導通している。
【0062】
したがって、導体板12には、架線101との間に発生する静電容量によって、架線電源周波数で交流電圧が誘起される。そして、この交流電圧は、架線電圧検知端子2によって検出することができる。
【0063】
架線検知電圧を高くするためには、架線101と導体板12との間に発生する静電容量を大きくする必要がある。
【0064】
静電容量は、導体板12のサイズを大きくする、または、導体板12と架線101との間の距離を短くすることによって、大きくすることができる。
【0065】
次に、無線通信機能について説明する。無線端子1によって無線周波数において電気信号が入力されると、キャパシタ31を通って、線状導体21、導体板12、および、導体板11に高周波電流が流れる。
【0066】
導体板11は、無線周波数において、インダクタ41によって架線電圧検知端子2とは遮断され、一方で、キャパシタ32によってグランド導体板51とは短絡されている。したがって、線状導体21、導体板12および導体板11が逆Fアンテナとして動作することによって、電磁波が放射される。
【0067】
本実施の形態に関するアンテナ装置の共振周波数は、
図3および
図4に例が示されるアンテナの高さH(すなわち、導体板11のz軸方向の高さ)とアンテナの長さL
1(すなわち、導体板12のx軸方向の長さ)によって定められる。
【0068】
アンテナの高さH+アンテナの長さL1が、無線周波数において0.2波長以上、かつ、0.3波長以下である場合に、アンテナが共振し、かつ、効率よく電磁波が放射される。
【0069】
また、線状導体21の導体板12との間の接続位置を変化させることによって、アンテナの入力インピーダンスを調整することができる。これによって、インピーダンス整合を実現することができる。
【0070】
このように、アンテナ装置を逆Fアンテナとして動作させることによって、アンテナの高さHを低くして、アンテナを低姿勢化させることができる。
【0071】
線状導体21と導体板11とにおいてz軸方向に流れる電流によって、水平方向に垂直偏波が放射される。一方、導体板12に流れる電流からの電磁波の放射は、ショートパッチアンテナの端部に流れる磁流からの放射と見なすことができる。
【0072】
図5は、アンテナ装置における、方形の導体板300の磁流分布の例を示す図である。また、
図6は、本実施の形態に関するアンテナ装置における、導体板12の磁流分布の例を示す図である。また、
図7は、本実施の形態に関するアンテナ装置における、導体板12の磁流分布の例を示す図である。
【0073】
図5は、アンテナ装置において、方形の導体板300を備える場合の磁流分布の例を示す図である。
図5に例が示されるように、導体板300の平面視における外周に沿って、磁流201、磁流202および磁流203がそれぞれ配置されていると考えることができる。
【0074】
この場合、磁流201の向きと、磁流203の向きとは逆になるので互いに相殺し、天頂方向(すなわち、+z軸方向)へは電磁波を放射しない。一方で、磁流202からは、天頂方向への電磁波の放射が発生し、結果として水平方向の利得が低下してしまうという問題が生じる。
【0075】
図5において、導体板300の横幅Wを小さくすれば、磁流202からの電磁波の放射は小さくなるため、水平方向の利得を高くすることができる。しかしながら、導体板300の横幅Wを小さくすれば、導体板300と架線101との間の静電容量が小さくなり、架線検知電圧が低下してしまうという問題が新たに生じる。
【0076】
図6および
図7は、本実施の形態に関するアンテナ装置における、導体板12の磁流分布の例を示す図である。
図6に例が示されるように、導体板12の平面視における外周に沿って、磁流204、磁流205、磁流206および磁流207がそれぞれ配置されていると考えることができる。
【0077】
このうち、磁流205および磁流206それぞれは、
図7に例が示されるように、x軸方向の磁流とy軸方向の磁流とに分解し、磁流208、磁流209および磁流210のように表すことができる。
【0078】
磁流204の向きと、磁流207の向きとは逆になるので互いに相殺し、天頂方向(+z軸方向)へは電磁波を放射しない。また、磁流208の向きと、磁流209の向きとは逆になるので互いに相殺し、天頂方向(+z軸方向)へは電磁波を放射しない。
【0079】
一方で、磁流210からは、天頂方向への電磁波の放射が発生するが、磁流210は、磁流205および206を分解したうちの一部に相当するものであるため、磁流210は、
図5に示された磁流202より小さくなる。
【0080】
したがって、
図6および
図7に示された本実施の形態に関するアンテナ装置では、導体板12の平面視における形状を五角形としているので、
図5に示されたアンテナ装置における場合よりも、天頂方向への電磁波の放射が小さくなる。そのため、水平方向の利得を向上させることができる。
【0081】
図8は、本実施の形態に関するアンテナ装置の、無線周波数における水平面(xy平面)での放射パターンの計算結果を示す図である。
【0082】
図5におけるアンテナ装置は、無線周波数で導体板300の横幅W=0.12波長とし、アンテナの高さH=0.05波長とした場合の計算結果が示されている。
【0083】
図2におけるアンテナ装置は、無線周波数で導体板12の横幅W=0.12波長とし、アンテナの高さH=0.05波長とした場合の計算結果が示されている。
【0084】
図8を参照すれば、
図2における本実施の形態に関するアンテナ装置の構成、すなわち、平面視で五角形である導体板12を用いることによって、無線周波数における水平面内の利得が、
図5のアンテナ装置の構成、すなわち、平面視で方形の導体板12を用いる場合よりも向上していることを確認することができる。
【0085】
以上のように、アンテナ装置を、導体板11と、平面視で五角形の導体板12と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41とを備える構成とすることによって、風切り音が小さく、低姿勢で、かつ、水平方向利得と架線検知電圧とが高い、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナが得られる。
【0086】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関するアンテナ装置、および、鉄道車両について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0087】
<アンテナ装置の構成について>
図9は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。また、
図10は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す上面図である。また、
図11は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【0088】
図9、
図10および
図11に例が示されるように、本実施の形態に関するアンテナ装置は、無線端子1と、架線電圧検知端子2と、導体板11と、導体板12と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41と、グランド導体板51と、五角形の導体板13とを備える。なお、本実施の形態では、用いられる無線周波数は、f
1およびf
2の2周波数とする。
【0089】
図9、
図10および
図11において、導体板13は、五角形であり、かつ、グランド導体板51に対して略平行に配置される。導体板13の一辺は、導体板11の、キャパシタ32と接続される辺とは反対側の辺に接続される。なお、導体板13は、導体板11を挟んで導体板12とは反対側に配置される。
【0090】
また、導体板13の、導体板11と接続された辺の両隣の二辺は、導体板13の、導体板11と接続された辺と略垂直である。
【0091】
図9、
図10および
図11においては、導体板13の、導体板11と接続された辺の両隣の二辺は同じ長さとなっているが、これらは異なる長さであってもよい。
【0092】
また、
図9、
図10および
図11においては、導体板13の、導体板11と接続された辺の両隣の辺以外の二辺は同じ長さとなっているが、これらは異なる長さであってもよい。
【0093】
本実施の形態に関するアンテナ装置は、f1およびf2の2周波数で共振する逆Fアンテナとして動作する。
【0094】
f1において導体板11と導体板12とが共振するように、導体板11の高さHと導体板12の長さL1とを調整する。高さH+長さL1がf1において0.2波長以上、かつ、0.3波長以下である場合に、f1でアンテナが共振するため、効率よく電磁波が放射される。
【0095】
また、f2において導体板11と導体板13とが共振するように、導体板11の高さHと導体板13の長さL2とを調整する。高さH+長さL2がf2において0.2波長以上、かつ、0.3波長以下である場合に、f2でアンテナが共振するため、効率よく電磁波が放射される。
【0096】
導体板12の形状および導体板13の形状が五角形であるため、第1の実施の形態における場合と同様に、天頂方向への放射が小さくなる。そのため、水平方向の利得を向上させることができる。
【0097】
このように、導体板13を追加することによって、アンテナの入力インピーダンスは2重共振特性となり、f1およびf2の2周波数共用のアンテナを得ることができる。
【0098】
さらに、架線101と導体板12との間、および、架線101と導体板13との間の静電容量は、架線101と導体板12との間のみの静電容量よりも大きくなる。そのため、架線検知電圧を向上させることができる。
【0099】
以上のように、アンテナ装置を、導体板11と、平面視で五角形の導体板12および導体板13と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41とを備える構成とすることによって、風切り音が小さく、低姿勢で、かつ、水平方向利得と架線検知電圧とが高い、2つの無線周波数に対応可能な、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナが得られる。
【0100】
<第3の実施の形態>
本実施の形態に関するアンテナ装置、および、鉄道車両について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0101】
<アンテナ装置の構成について>
図12は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す上面図である。また、
図13は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【0102】
図12および
図13に例が示されるように、本実施の形態に関するアンテナ装置は、無線端子1と、架線電圧検知端子2と、導体板11と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41と、グランド導体板51と、三角形の導体板14と、三角形の導体板15とを備える。なお、本実施の形態では、用いられる無線周波数は、f
1およびf
2の2周波数とする。
【0103】
図12および
図13において、導体板14は、三角形であり、かつ、グランド導体板51に対して略平行に配置される。導体板14の一辺は、導体板11の、キャパシタ32と接続される辺とは反対側の辺に接続される。
【0104】
図12および
図13においては、導体板14の、導体板11と接続された辺以外の二辺は同じ長さとなっているが、これらは異なる長さであってもよい。
【0105】
また、
図12および
図13において、導体板15は、三角形であり、かつ、グランド導体板51に対して略平行に配置される。導体板15の一辺は、導体板11の、キャパシタ32と接続される辺とは反対側の辺に接続される。なお、導体板15は、導体板11を挟んで導体板14とは反対側に配置される。
【0106】
図12および
図13においては、導体板15の、導体板11と接続された辺以外の二辺は同じ長さとなっているが、これらは異なる長さであってもよい。
【0107】
線状導体21の一方の端部は、キャパシタ31の一方の端部に接続される。また、線状導体21の他方の端部は、導体板14と接続される。線状導体21は、
図12および
図13では、グランド導体板51に垂直な直線形状としているが、線状導体21は曲線形状であってもよい。
【0108】
本実施の形態に関するアンテナ装置は、f1およびf2の2周波数で共振する逆Fアンテナとして動作する。
【0109】
f1において導体板11と導体板14とが共振するように、導体板11の高さHと導体板14の長さL1とを調整する。高さH+長さL1がf1において0.2波長以上、かつ、0.3波長以下である場合に、f1でアンテナが共振するため、効率よく電磁波が放射される。
【0110】
また、f2において導体板11と導体板15とが共振するように、導体板11の高さHと導体板15の長さL2とを調整する。高さH+長さL2がf2において0.2波長以上、かつ、0.3波長以下である場合に、f2でアンテナが共振するため、効率よく電磁波が放射される。
【0111】
導体板14の形状および導体板15の形状が三角形であるため、第1の実施の形態における場合と同様に、y軸方向の磁流成分が小さくなる結果、天頂方向への放射が小さくなる。そのため、水平方向の利得を向上させることができる。
【0112】
また、導体板14の横幅W、および、導体板15の横幅Wを大きくすることができるため、架線101と導体板14との間、および、架線101と導体板15との間の静電容量を大きくすることによって、架線検知電圧を高くすることができる。
【0113】
以上のように、アンテナ装置を、導体板11と、平面視で三角形の導体板14および導体板15と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41とを備える構成とすることによって、風切り音が小さく、低姿勢で、かつ、水平方向利得と架線検知電圧とが高い、2つの無線周波数に対応可能な、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナが得られる。
【0114】
<第4の実施の形態>
本実施の形態に関するアンテナ装置、および、鉄道車両について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0115】
<アンテナ装置の構成について>
図14は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す上面図である。また、
図15は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【0116】
図14および
図15に例が示されるように、本実施の形態に関するアンテナ装置は、無線端子1と、架線電圧検知端子2と、導体板11と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41と、グランド導体板51と、半楕円の導体板16と、半楕円の導体板17とを備える。なお、本実施の形態では、用いられる無線周波数は、f
1およびf
2の2周波数とする。
【0117】
図14および
図15において、導体板16は、半楕円形状であり、かつ、グランド導体板51に対して略平行に配置される。導体板16の直線状の辺は、導体板11の、キャパシタ32と接続される辺とは反対側の辺に接続される。
【0118】
また、
図14および
図15において、導体板17は、半楕円形状であり、かつ、グランド導体板51に対して略平行に配置される。導体板17の直線状の辺は、導体板11の、キャパシタ32と接続される辺とは反対側の辺に接続される。なお、導体板17は、導体板11を挟んで導体板16とは反対側に配置される。
【0119】
線状導体21の一方の端部は、キャパシタ31の一方の端部に接続される。また、線状導体21の他方の端部は、導体板16と接続される。線状導体21は、
図14および
図15では、グランド導体板51に垂直な直線形状としているが、線状導体21は曲線形状であってもよい。
【0120】
本実施の形態に関するアンテナ装置は、f1およびf2の2周波数で共振する逆Fアンテナとして動作する。
【0121】
f1において導体板11と導体板16とが共振するように、導体板11の高さHと導体板16の長さL1とを調整する。高さH+長さL1がf1において0.2波長以上、かつ、0.3波長以下である場合に、f1でアンテナが共振するため、効率よく電磁波が放射される。
【0122】
また、f2において導体板11と導体板17とが共振するように、導体板11の高さHと導体板17の長さL2とを調整する。高さH+長さL2がf2において0.2波長以上、かつ、0.3波長以下である場合に、f2でアンテナが共振するため、効率よく電磁波が放射される。
【0123】
導体板16の形状および導体板17の形状が半楕円であるため、第1の実施の形態における場合と同様に、y軸方向の磁流成分が小さくなる結果、天頂方向への放射が小さくなる。そのため、水平方向の利得を向上させることができる。
【0124】
また、導体板16の横幅W、および、導体板17の横幅Wを大きくすることができるため、架線101と導体板16との間、および、架線101と導体板17との間の静電容量を大きくすることによって、架線検知電圧を高くすることができる。
【0125】
以上のように、アンテナ装置を、導体板11と、平面視で半楕円の導体板16および導体板17と、線状導体21と、キャパシタ31と、キャパシタ32と、インダクタ41とを備える構成とすることによって、風切り音が小さく、低姿勢で、かつ、水平方向利得と架線検知電圧とが高い、2つの無線周波数に対応可能な、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナが得られる。
【0126】
<第5の実施の形態>
本実施の形態に関するアンテナ装置、および、鉄道車両について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0127】
<アンテナ装置の構成について>
図16は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。また、
図17は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す上面図である。また、
図18は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す側面図である。
【0128】
図16、
図17および
図18に例が示されるように、本実施の形態に関するアンテナ装置は、無線端子1と、架線電圧検知端子2と、導体板11と、導体板12と、線状導体21と、平面導体61と平面導体62とから構成される平行平板コンデンサと、平面導体63とグランド導体板51とから構成される平行平板コンデンサと、インダクタ41と、グランド導体板51と、導体板13とを備える。なお、本実施の形態では、用いられる無線周波数は、f
1およびf
2の2周波数とする。
【0129】
図16、
図17および
図18において、平面導体61と平面導体62とは略平行であり、かつ、互いに近接してそれぞれ配置される。また、平面導体61は無線端子1に接続され、平面導体62は線状導体21に接続される。
【0130】
また、
図16、
図17および
図18において、平面導体63は、グランド導体板51と略平行であり、かつ、グランド導体板51と近接して配置される。また、平面導体63は、導体板11と接続される。
【0131】
なお、平面導体61と平面導体62との間に誘電体が充填された場合には、平面導体61と平面導体62とから構成される平行平板コンデンサのキャパシタンス値を大きくすることができる。
【0132】
同様に、平面導体63とグランド導体板51との間に誘電体が充填された場合には、平面導体63とグランド導体板51とから構成される平行平板コンデンサのキャパシタンス値を大きくすることができる。
【0133】
図16、
図17および
図18におけるアンテナ装置のように、平面導体61と平面導体62とから構成される平行平板コンデンサと、平面導体63とグランド導体板51とから構成される平行平板コンデンサとを備えることによって、チップ部品を用いて構成する場合よりも、電車走行時の振動に強く故障しにくいキャパシタを実現することができる。
【0134】
以上のように、アンテナ装置を、導体板11と、導体板12と、導体板13と、線状導体21と、平面導体61と平面導体62とから構成される平行平板コンデンサと、平面導体63とグランド導体板51とから構成される平行平板コンデンサと、インダクタ41とを備える構成とすることによって、風切り音が小さく、振動に強く、低姿勢で、かつ、水平方向利得と架線検知電圧とが高い、2つの無線周波数に対応可能な、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナが得られる。
【0135】
<第6の実施の形態>
本実施の形態に関するアンテナ装置、および、鉄道車両について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0136】
<アンテナ装置の構成について>
図19は、本実施の形態に関するアンテナ装置の構成の例を示す斜視図である。
【0137】
図19に例が示されるように、本実施の形態に関するアンテナ装置は、無線端子1と、架線電圧検知端子2と、導体板11と、導体板12と、線状導体21と、平面導体61と平面導体62とから構成される平行平板コンデンサと、平面導体63とグランド導体板51とから構成される平行平板コンデンサと、スパイラル状導体71と、グランド導体板51と、導体板13とを備える。なお、本実施の形態では、用いられる無線周波数は、f
1およびf
2の2周波数とする。
【0138】
図19において、スパイラル状導体71は、インダクタンスとして動作する。なお、スパイラル状導体71は、誘電体基板上に形成されてもよい。
【0139】
図19におけるアンテナ装置のように、スパイラル状導体71を備えることによって、チップ部品を用いて構成する場合よりも、電車走行時の振動に強く故障しにくいインダクタを実現することができる。
【0140】
以上のように、アンテナ装置を、導体板11と、導体板12と、導体板13と、線状導体21と、平面導体61と平面導体62とから構成される平行平板コンデンサと、平面導体63とグランド導体板51とから構成される平行平板コンデンサと、スパイラル状導体71とを備える構成とすることによって、風切り音が小さく、振動に強く、低姿勢で、かつ、水平方向利得と架線検知電圧とが高い、2つの無線周波数に対応可能な、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナが得られる。
【0141】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0142】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0143】
以上に記載された実施の形態によれば、アンテナ装置は、グランド導体板51と、第1の導体板と、第2の導体板と、線状導体21と、無線端子1と、インダクタ41と、架線電圧検知端子2とを備える。ここで、第1の導体板は、たとえば、導体板12に対応するものである。また、第2の導体板は、たとえば、導体板11に対応するものである。導体板12は、グランド導体板51に対して平行に配置される。また、導体板12は、平面視で五角形である。導体板11は、グランド導体板51に対して垂直に配置される。また、導体板11は、第1の辺が第1のキャパシタを介してグランド導体板51に接続される。また、導体板11は、第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が導体板12の第3の辺に接続される。ここで、第1のキャパシタは、たとえば、キャパシタ32に対応するものである。線状導体21は、第1の端部が第2のキャパシタに接続される。また、線状導体21は、第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が導体板12に接続される。ここで、第2のキャパシタは、たとえば、キャパシタ31に対応するものである。無線端子1は、キャパシタ31とグランド導体板51とを接続する。インダクタ41は、第3の端部が導体板11の第1の辺に接続される。架線電圧検知端子2は、インダクタ41の第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、グランド導体板51とを接続する。そして、導体板12の第3の辺を挟む二辺は、第3の辺と垂直である。
【0144】
このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる導体板12および導体板11を備える構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。また、導体板11の横幅Wを小さくせずに水平方向利得を高く維持することができるため、架線検知電圧も高く維持することができる。
【0145】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例が示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0146】
しかしながら、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0147】
また、以上に記載された実施の形態によれば、アンテナ装置は、第3の導体板を備える。ここで、第3の導体板は、たとえば、導体板13に対応するものである。導体板13は、グランド導体板51に対して平行に配置される。また、導体板13は、平面視で五角形である。導体板13の第4の辺は、導体板12の第3の辺、および、導体板11の第2の辺に接続される。導体板13の第4の辺を挟む二辺は、第4の辺と垂直である。このような構成によれば、アンテナの入力インピーダンスは2重共振特性となり、2周波数共用のアンテナを得ることができる。さらに、架線101と導体板12との間、および、架線101と導体板13との間の静電容量は、架線101と導体板12との間のみの静電容量よりも大きくなる。そのため、架線検知電圧を向上させることができる。
【0148】
また、以上に記載された実施の形態によれば、グランド導体板51と、第1の導体板と、導体板11と、線状導体21と、無線端子1と、インダクタ41と、架線電圧検知端子2と、第3の導体板とを備える。ここで、第1の導体板は、たとえば、導体板14に対応するものである。また、第3の導体板は、たとえば、導体板15に対応するものである。導体板14は、グランド導体板51に対して平行に配置される。また、導体板14は、平面視で三角形である。導体板11は、グランド導体板51に対して垂直に配置される。また、導体板11は、第1の辺がキャパシタ32を介してグランド導体板51に接続される。また、導体板11は、第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が導体板14の第3の辺に接続される。線状導体21は、第1の端部がキャパシタ31に接続される。また、線状導体21は、第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が導体板14に接続される。無線端子1は、キャパシタ31とグランド導体板51とを接続する。インダクタ41は、第3の端部が導体板11の第1の辺に接続される。架線電圧検知端子2は、インダクタ41の第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、グランド導体板51とを接続する。導体板15は、グランド導体板51に対して平行に配置される。また、導体板15は、平面視で三角形である。そして、導体板15の第4の辺は、導体板14の第3の辺、および、導体板11の第2の辺に接続される。
【0149】
このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる導体板11、導体板14および導体板15を備える構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。また、アンテナの入力インピーダンスは2重共振特性となり、2周波数共用のアンテナを得ることができる。
【0150】
また、以上に記載された実施の形態によれば、グランド導体板51と、第1の導体板と、導体板11と、線状導体21と、無線端子1と、インダクタ41と、架線電圧検知端子2と、第3の導体板とを備える。ここで、第1の導体板は、たとえば、導体板16に対応するものである。また、第3の導体板は、たとえば、導体板17に対応するものである。導体板16は、グランド導体板51に対して平行に配置される。また、導体板16は、平面視で半楕円である。導体板11は、グランド導体板51に対して垂直に配置される。また、導体板11は、第1の辺がキャパシタ32を介してグランド導体板51に接続される。また、導体板11は、第1の辺とは反対側の端部である第2の辺が導体板16の直線状の辺である第3の辺に接続される。線状導体21は、第1の端部がキャパシタ31に接続される。また、線状導体21は、第1の端部とは反対側の端部である第2の端部が導体板16に接続される。無線端子1は、キャパシタ31とグランド導体板51とを接続する。インダクタ41は、第3の端部が導体板11の第1の辺に接続される。架線電圧検知端子2は、インダクタ41の第3の端部とは反対側の端部である第4の端部と、グランド導体板51とを接続する。導体板17は、グランド導体板51に対して平行に配置される。また、導体板17は、平面視で半楕円である。そして、導体板17の直線状の辺である第4の辺は、導体板16の第3の辺、および、導体板11の第2の辺に接続される。
【0151】
このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる導体板11、導体板16および導体板17を備える構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。また、アンテナの入力インピーダンスは2重共振特性となり、2周波数共用のアンテナを得ることができる。
【0152】
また、以上に記載された実施の形態によれば、第1のキャパシタが、第1の平面導体とグランド導体板51とが平行に近接配置されることによって形成される平行平板コンデンサである。ここで、第1の平面導体は、たとえば、平面導体63に対応するものである。また、第2のキャパシタが、第2の平面導体と第3の平面導体とが平行に近接配置されることによって形成される平行平板コンデンサである。ここで、第2の平面導体は、たとえば、平面導体61に対応するものである。また、第3の平面導体は、たとえば、平面導体62に対応するものである。このような構成によれば、チップ部品を用いて構成する場合よりも、電車走行時の振動に強く故障しにくいキャパシタを実現することができる。
【0153】
また、以上に記載された実施の形態によれば、インダクタが、スパイラル状導体71である。このような構成によれば、チップ部品を用いて構成する場合よりも、電車走行時の振動に強く故障しにくいインダクタを実現することができる。
【0154】
また、以上に記載された実施の形態によれば、第1の周波数(たとえば、架線電源周波数)の信号が入力された場合、キャパシタ32キャパシタ31が遮断され、かつ、インダクタ41が短絡する。また、第1の周波数よりも高い周波数である第2の周波数(たとえば、無線周波数)の信号が入力された場合、キャパシタ32およびキャパシタ31が短絡し、かつ、インダクタ41が遮断される。このような構成によれば、風切り音が小さく、低姿勢で、かつ、水平方向利得と架線検知電圧とが高い、架線電圧検知および無線通信の共用アンテナが得られる。
【0155】
また、以上に記載された実施の形態によれば、上記のアンテナ装置を備える。このような構成によれば、風切り音を抑えるためにアンテナの高さを低くすることができる導体板12および導体板11を備える構成とする場合であっても、水平方向利得を高く維持することができる。
【0156】
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0157】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0158】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
【0159】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0160】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0161】
また、本願明細書における説明は、本技術に関するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
【符号の説明】
【0162】
1 無線端子、2 架線電圧検知端子、11,12,13,14,15,16,17,300 導体板、21 線状導体、31,32 キャパシタ、41 インダクタ、51 グランド導体板、61,62,63,112 平面導体、71 スパイラル状導体、101 架線、106 柱状導体、111 基板、121 先端開放線路、131,132 先端短絡線路、141,142 短絡点、161 接続導体、171 静電容量、201,202,203,204,205,206,207,208,209,210 磁流。