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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】イルミネーション板
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220617BHJP
【FI】
F21S2/00 435
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018220998
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020087722
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直之
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-007002(JP,A)
【文献】特開2016-175429(JP,A)
【文献】特開平10-068947(JP,A)
【文献】特開2017-095046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から照射された光によって発光する複数の導光棒と、
端辺から入射した光が内部を進行し、前記端辺に囲まれた面にて前記光の一部を反射させる導光板とを有し、
前記導光棒は、前記導光板の少なくとも2つの前記端辺のそれぞれに対向する位置に、前記導光棒の長手方向が当該導光棒に対向する端辺に沿うように配置され、
前記導光板は、前記端辺に囲まれた面のうち少なくとも一方の面に凹部または凸部を具備し、
前記導光板の前記凹部または凸部を形成する面は、前記導光棒と前記端辺とが対向する方向に対して垂直または傾いた状態となることで前記複数の導光棒に対してそれぞれ正対または斜めに対向した反射面を具備し、
前記光源は、前記複数の導光棒を互いに異なる色で発光させ、
視認する方向や視点によって互いに異なるイメージを認識させる、イルミネーション板。
【請求項2】
請求項に記載のイルミネーション板において、
前記光源は、前記複数の導光棒を排他的に発光させる、イルミネーション板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のイルミネーション板において、
前記反射面に鏡面加工が施されている、イルミネーション板。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のイルミネーション板において、
前記凹部または凸部は、四角錐の形状である、イルミネーション板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される加飾部品を構成するイルミネーション板に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内装を加飾する加飾部品は、従来より様々なものが製造、販売されている。近年、そのような加飾部品として、発光することで内装の高級感や車内の雰囲気を演出するものが考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、透光性を有する透明なPC樹脂等からなるオーナメント基材上に、透光部と遮光部とを有する加飾フィルムを接着し、オーナメント基材側に配置された光源ユニットから照射された光を、透光部においては透光させ、遮光部においては遮光することで、車両の内装を加飾するものである。このように構成された加飾部品においては、所望の形状に応じて印刷によって遮光部を形成することで、所望の形状に発光することとなり、それにより、車両の内装の加飾が実現されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-231311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術のように発光することで加飾を実現するものであっても、発光する部分と発光しない部分との2つの領域が存在するだけで、平面的で単調なイメージしか与えることができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、加飾性を向上させることができるイルミネーション板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
光源と、
光源から照射された光によって発光する複数の導光棒と、
端辺から入射した光が内部を進行し、前記端辺に囲まれた面にて前記光の一部を反射させる導光板とを有し、
前記導光棒は、前記導光板の少なくとも2つの前記端辺のそれぞれに対向する位置に、前記導光棒の長手方向が当該導光棒に対向する端辺に沿うように配置され、
前記導光板は、前記端辺に囲まれた面のうち少なくとも一方の面に凹部または凸部を具備し、
前記導光板の前記凹部または凸部を形成する面は、前記導光棒と前記端辺とが対向する方向に対して垂直または傾いた状態となることで前記複数の導光棒に対してそれぞれ正対または斜めに対向した反射面を具備する。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、光源から照射された光によって導光棒が発光すると、導光棒の発光による光は、導光板の導光棒に対向する端辺から導光板の内部に入射し、導光板の内部を進行していく。導光板の内部を進行した光は、導光板の端辺に囲まれた面にてその一部が反射することになるが、導光板には、端辺に囲まれた面のうち少なくとも一方の面に凹部または凸部が設けられており、導光板の凹部または凸部を形成する面が、導光棒と端辺とが対向する方向に対して垂直または傾いた状態となることで複数の導光棒に対してそれぞれ正対または斜めに対向した反射面を具備している。そのため、導光板の光が反射した面とは反対側の面からは、この面に対して斜めに対向した反射面にて反射した光が透過していくこととなり、それにより、奥行きや立体感がある光り方が認識される。また、これらの凹部または凸部の反射面にて反射した光は、その反射光を視認する方向や視点によって認識される明るさが変化することになるが、その認識される明るさの変化が、凹部または凸部の反射面、すなわち、複数の導光棒から導光板に入射した光毎に独立したものとなっていることで、イルミネーション板を視認する方向や視点によって互いに異なるイメージが認識されることになる。
【0009】
また、光源によって複数の導光棒を互いに異なる色で発光させれば、複数の色を用いて上記作用が生じることとなり、加飾性がさらに向上する。
【0010】
また、光源によって複数の導光棒を排他的に発光させれば、イルミネーション板を視認する方向や視点を変化させなくても、複数の導光棒の発光状態に応じて異なるイメージが認識されることになる。
【0011】
また、反射面に鏡面加工が施されていれば、導光棒の発光によって導光板に入射して反射面から導光板の外部に透過した光が導光板の内部に入射することがなくなり、それにより、複数の導光棒のうち所望の導光棒の発光による光のみを視認させることができ、また、導光棒の発光による光を、ライン状等、細くシャープな形状として視認させることが可能となる。
【0012】
また、凹部または凸部が四角錐の形状であれば、導光板として四角形の導光板を用いた場合に、導光板の4つの端辺のうち少なくとも任意の2つの端辺のそれぞれに対向する位置に導光棒を配置することで上述した作用が生じることになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、奥行きや立体感がある光り方が認識されるとともに、イルミネーション板を視認する方向や視点によって互いに異なるイメージが認識されることになり、加飾性を向上させることができる。
【0014】
また、光源によって複数の導光棒を互いに異なる色で発光させるものにおいては、複数の色を用いて上記作用が生じることとなり、加飾性をさらに向上させることができる。
【0015】
また、光源によって複数の導光棒を排他的に発光させるものにおいては、イルミネーション板を視認する方向や視点を変化させなくても、複数の導光棒の発光状態に応じて異なるイメージを認識させることができる。
【0016】
また、反射面に鏡面加工が施されているものにおいては、導光棒の発光によって導光板に入射して反射面から導光板の外部に透過した光が導光板の内部に入射することがなくなり、それにより、複数の導光棒のうち所望の導光棒の発光による光のみを視認させることができ、また、導光棒の発光による光を、ライン状等、細くシャープな形状として視認させることが可能となる。
【0017】
また、凹部または凸部が四角錐の形状であるものにおいては、導光板として四角形の導光板を用いた場合に、導光板の4つの端辺のうち少なくとも任意の2つの端辺のそれぞれに対向する位置に導光棒を配置することで上述した作用を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のイルミネーション板の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図である。
図2図1に示したイルミネーション板の導光棒の発光による導光板における作用効果を説明するための図である。
図3図1に示したイルミネーション板の導光棒の発光による導光板における作用効果を説明するための図である。
図4図1に示したイルミネーション板を視認する方向に応じた見え方の違いを説明するための図である。
図5図1に示したイルミネーション板を正面から視認した場合の作用効果を説明するための図である。
図6図1に示したイルミネーション板において2つの導光棒を排他的に発光させた場合の見え方の違いを説明するための図である。
図7】本発明のイルミネーション板の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図である。
図8図7に示したイルミネーション板の導光棒の発光による導光板における作用効果を説明するための図である。
図9図7に示したイルミネーション板の導光棒の発光による導光板における作用効果を説明するための図である。
図10図7に示したイルミネーション板を視認する方向に応じた見え方の違いを説明するための図である。
図11図7に示したイルミネーション板にて凹部の反射面を透過した光による作用を説明するための図である。
図12】本発明のイルミネーション板の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図、(d)は(b)に示したB-B’断面図である。
図13】本発明のイルミネーション板の第4の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のイルミネーション板の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図である。
【0021】
本形態は図1に示すように、2つの光源10a,10b及び導光棒20a,20bと、長方形形状の導光板30とから構成されたイルミネーション板1である。
【0022】
光源10a,10bはそれぞれ、導光棒20a,20bの一端に取り付けられ、制御部(不図示)の制御によって導光棒20a,20bに対して光を照射する。
【0023】
導光棒20a,20bはそれぞれ、合成樹脂等から構成され、導光板30の2つの長辺のそれぞれに、導光棒20a,20bの長手方向が導光板30の端辺に沿うようにして取り付けられている。これにより、導光棒20a,20bは、導光板30の2つの端辺のそれぞれに対向する位置に、その長手方向が導光板30の長辺に沿うように配置されていることになる。導光棒20a,20bはそれぞれ、一端に取り付けられた光源20a,20bから照射された光がその一端から入射して内部を進行することで発光する。
【0024】
導光板30は、アクリル等の合成樹脂等から構成され、外部から光が入射した場合、入射した光が内部を進行する。その後、進行した光が導光板30の表面に達すると、その光の進行方向に対する導光板30の表面の角度に応じて、導光板30の表面に達した光の一部を外部に透過させるとともに、光の一部を内部に反射させる。本形態の導光板30は、2つの長辺に導光棒20a,20bが取り付けられているため、導光棒20a,20bが発光することで導光板30の2つの長辺から光が入射し、その後、入射した光が導光板30の内部を進行し、導光板30の端辺に囲まれた面に達すると、その面にて光の一部が外部に透過するとともに、内部に反射することになる。導光板30の裏面には、複数の凹部31が設けられている。複数の凹部31は、導光板30の長手方向に山脈状に互いに並行して延びて形成されており、それぞれの導光板30の短手方向の断面が二等辺三角形となっている。そして、複数の凹部31のそれぞれの斜面が、導光板30の導光棒20a,20bが取り付けられた端辺から進行してきた光の一部を反射させる反射面32a,32bとなっている。これにより、複数の凹部31を形成する面は、導光棒20a,20bと導光棒20a,20bが取り付けられた端辺とが対向する方向に対して傾いた状態となることで導光棒20a,20bに対してそれぞれ斜めに対向した反射面32a,32bを具備することになる。
【0025】
以下に、上記のように構成されたイルミネーション板1による作用効果について説明する。
【0026】
図2は、図1に示したイルミネーション板1の導光棒20aの発光による導光板30における作用効果を説明するための図であり、導光板30の短手方向の断面を示す。
【0027】
図1に示したイルミネーション板1において、光源20aから光が照射されることで導光棒20aが発光すると、図2に示すように、導光板30の導光棒20aが取り付けられた端辺から光が入射し、導光板30内を光が進行していく。
【0028】
そして、導光板30の裏面には、断面が二等辺三角形となる凹部31が設けられており、その凹部31を形成する2つの面の一方が導光棒20aに対してそれぞれ斜めに対向しているため、この面が反射面32aとなって、導光板30の導光棒20aが取り付けられた端辺から入射した光の一部が導光板30の外部に透過するとともに一部が導光板30の内部に反射することになる。反射面32aにて反射した光は、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面から透過していくことで、その面側から視認することができるが、視認される光の明るさは、導光板30の導光棒20aが取り付けられた端辺から入射した光の反射面32aに対する入射角θ1と同じ大きさの反射角θ2の方向が最も明るくなり、その方向からずれるにしたがって徐々に暗くなっていく。
【0029】
図3は、図1に示したイルミネーション板1の導光棒20bの発光による導光板30における作用効果を説明するための図であり、導光板30の短手方向の断面を示す。
【0030】
図1に示したイルミネーション板1において、光源20bから光が照射されることで導光棒20bが発光すると、図3に示すように、導光板30の導光棒20bが取り付けられた端辺から光が入射し、導光板30内を光が進行していく。
【0031】
そして、導光板30の裏面には、断面が二等辺三角形となる凹部31が設けられており、その凹部31を形成する2つの面の一方が導光棒20bに対してそれぞれ斜めに対向しているため、この面が反射面32bとなって、導光板30の導光棒20bが取り付けられた端辺から入射した光の一部が導光板30の外部に透過するとともに一部が導光板30の内部に反射することになる。反射面32bにて反射した光は、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面から透過していくことで、その面側から視認することができるが、視認される光の明るさは、導光板30の導光棒20bが取り付けられた端辺から入射した光の反射面32bに対する入射角θ3と同じ大きさの反射角θ4の方向が最も明るくなり、その方向からずれるにしたがって徐々に暗くなっていく。
【0032】
図4は、図1に示したイルミネーション板1を視認する方向に応じた見え方の違いを説明するための図である。
【0033】
図1に示したイルミネーション板1においては、導光棒20aの発光によって導光板30内を進行して反射面32aにて反射した光は、図2を用いて説明したように、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面側において、その光の反射面32aに対する入射角θ1と同じ大きさの反射角θ2の方向が最も明るくなり、その方向からずれるにしたがって徐々に暗くなっていく。
【0034】
一方、導光棒20bの発光によって導光板30内を進行して反射面32bにて反射した光は、図3を用いて説明したように、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面側において、その光の反射面32bに対する入射角θ3と同じ大きさの反射角θ4の方向が最も明るくなり、その方向からずれるにしたがって徐々に暗くなっていく。
【0035】
そのため、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面側において、導光棒20aの発光によって導光板30内を進行してきた光の反射面32aに対する入射角θ1と同じ大きさの反射角θ2の方向からイルミネーション板1を視認した場合、図4(a)に示すように、導光棒20aの発光によって導光板30内を進行してきて反射面32aにて反射した光が明るく見え、導光棒20bの発光によって導光板30内を進行してきて反射面32bにて反射した光が暗く見えることになる。
【0036】
一方、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面側において、導光棒20bの発光によって導光板30内を進行してきた光の反射面32bに対する入射角θ3と同じ大きさの反射角θ4の方向からイルミネーション板1を視認した場合は、図4(b)に示すように、導光棒20bの発光によって導光板30内を進行してきて反射面32bにて反射した光が明るく見え、導光棒20aの発光によって導光板30内を進行してきて反射面32aにて反射した光が暗く見えることになる。
【0037】
そして、凹部31の反射面32aに対する反射角θ2の方向から反射面32bに対する反射角θ4の方向に視認方向を変化させていくと、反射面32aにて反射した光が徐々に暗くなっていくとともに、反射面32bにて反射した光が徐々に明るくなっていく。また反対に、凹部31の反射面32bに対する反射角θ4の方向から反射面32aに対する反射角θ2の方向に視認方向を変化させていくと、反射面32aにて反射した光が徐々に明るくなっていくとともに、反射面32bにて反射した光が徐々に暗くなっていく。
【0038】
このように、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面側からイルミネーション板1を視認する方向や視点に応じて、凹部31を構成する反射面32a,32bにて反射した光の明るさが変化し、さらに、この変化が、導光棒20a,20bのそれぞれから導光板30に入射した光毎に独立したものとなっているため、イルミネーション板1を視認する方向や視点によって互いに異なるイメージが認識されることになり、加飾性を向上させることができる。
【0039】
なお、光源10a,10bから互いに異なる色の光を照射することも考えられる。その場合、発光棒20a,20bが互いに異なる色に発光することとなり、上述した作用効果が複数の色によって生じることとなり、加飾性をさらに向上させることができる。
【0040】
また、図1に示したイルミネーション板1においては、正面から視認した場合でも、奥行きや立体感がある光り方を認識することができる。以下にその作用効果について説明する。
【0041】
図5は、図1に示したイルミネーション板1を正面から視認した場合の作用効果を説明するための図である。
【0042】
上述したように、図1に示したイルミネーション板1において、光源10a,10bから照射された光によって導光棒20a,20bが発光した場合、その発光による光は、導光板30に入射し、その後、導光板30に設けられた凹部31の反射面32a,32bにて反射し、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面側から視認されることになる。その際、反射面32a,32bが、導光棒20a,20bに対してそれぞれ斜めに対向しているため、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面側からは、図5に示すように、互いに異なる方向を向いた反射面32a,32bにて反射した光が視認される。それにより、奥行きや立体感がある光り方が認識されることになる。
【0043】
また、図1に示したイルミネーション板1においては、光源10a,10bによって導光棒20a,20bを排他的に発光させることも考えられる。以下に、その場合の作用効果について説明する。
【0044】
図6は、図1に示したイルミネーション板1において光源10a,10bによって導光棒20a,20bを排他的に発光させた場合の見え方の違いを説明するための図である。
【0045】
図1に示したイルミネーション板1において、光源10a,10bのうち光源10aのみから光を照射し、光源10bからは光を照射しないと、導光棒20a,20bのうち、導光棒20aのみが発光して導光棒20bが発光しない状態となる。
【0046】
この状態において、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面からイルミネーション板1を視認した場合、図6(a)に示すように、導光棒20aの発光による光を反射させる反射面32aにて反射した光が視認される一方、導光棒20bの発光による光を反射させる反射面32bからは光が反射しないことで光が認識されないことになる。
【0047】
一方、図1に示したイルミネーション板1において、光源10a,10bのうち光源10bのみから光を照射し、光源10aからは光を照射しないと、導光棒20a,20bのうち、導光棒20bのみが発光して導光棒20aが発光しない状態となる。
【0048】
この状態において、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面からイルミネーション板1を視認した場合、図6(b)に示すように、導光棒20bの発光による光を反射させる反射面32bにて反射した光が視認される一方、導光棒20aの発光による光を反射させる反射面32aからは光が反射しないことで光が認識されないことになる。
【0049】
このように、光源10a,10bによって導光棒20a,20bを排他的に発光させれば、イルミネーション板1を視認する方向や視点を変化させなくても、導光棒20a,20bの発光状態に応じて異なるイメージが認識されることになる。なお、この場合においても、光源10a,10bから互いに異なる色の光を照射する構成とすることで、色が異なることによっても、異なるイメージを認識させることができる。
【0050】
また、この作用に加えて、光源10a,10bによって導光棒20a,20bの両方を発光させれば、導光板30の凹部31が設けられた面に対向する面からイルミネーション板1を視認した場合、導光棒20a,20bの発光による光を反射させる反射面32a,32bにて反射した光が両方とも視認されることになるため、光源10a,10bのうち光源10aのみから光を照射して光源10bからは光を照射しない状態と、光源10a,10bのうち光源10aのみから光を照射して光源10bからは光を照射しない状態と、光源10a,10bの両方から光を照射する状態との3つ状態に応じて互いに異なるイメージを認識させることができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明のイルミネーション板の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図である。
【0052】
本形態は図7に示すように、図1に示したイルミネーション板1に対して、導光板130に設けられた凹部131の形状が異なるイルミネーション板101である。
【0053】
本形態のイルミネーション板101における凹部131は、図1に示したイルミネーション板1と同様に導光板130の長手方向に山脈状に互いに並行して延びて複数形成されており、それぞれの導光板130の短手方向の断面が三角形となっている。そして、凹部131をそれぞれ形成する2つの面のうち一方は、導光棒120aと導光棒120aが取り付けられた端辺とが対向する方向に対して傾いた状態となることで導光棒120aに対して斜めに対向した反射面132aとなっているものの、凹部131をそれぞれ形成する2つの面のうち他方は、導光棒120bと導光棒120bが取り付けられた端辺とが対向する方向に対して垂直となることで導光棒120bに対して正対した反射面132bとなっている。
【0054】
以下に、上記のように構成されたイルミネーション板101による作用効果について説明する。
【0055】
図8は、図7に示したイルミネーション板101の導光棒20aの発光による導光板130における作用効果を説明するための図であり、導光板130の短手方向の断面を示す。
【0056】
図7に示したイルミネーション板101において、光源120aから光が照射されることで導光棒120aが発光すると、図8に示すように、導光板130の導光棒20aが取り付けられた端辺から光が入射し、導光板130内を光が進行していく。
【0057】
そして、導光板130の裏面には、断面が三角形となる凹部131が設けられており、その凹部131を形成する2つの面の一方が導光棒20aに対してそれぞれ斜めに対向しているため、この面が反射面132aとなって、導光板130の導光棒20aが取り付けられた端辺から入射した光の一部が導光板130の外部に透過するとともに一部が導光板130の内部に反射することになる。反射面132aにて反射した光は、導光板130の凹部31が設けられた面に対向する面から透過していくことで、その面側から視認することができるが、視認される光の明るさは、導光板130の導光棒20aが取り付けられた端辺から入射した光の反射面132aに対する入射角θ5と同じ大きさの反射角θ6の方向が最も明るくなり、その方向からずれるにしたがって徐々に暗くなっていく。
【0058】
図9は、図7に示したイルミネーション板101の導光棒20bの発光による導光板130における作用効果を説明するための図であり、導光板130の短手方向の断面を示す。
【0059】
図7に示したイルミネーション板101において、光源20bから光が照射されることで導光棒20bが発光すると、図9に示すように、導光板130の導光棒20bが取り付けられた端辺から光が入射し、導光板130内を光が進行していく。
【0060】
そして、導光板130内を進行した光は、凹部131を形成する反射面132bに達するが、反射面132bが導光棒120bに対して正対したものとなっているため、導光板130内を進行した光は反射面132bにてそのほとんどが反射せずに導光板131の外部に透過していくことになる。
【0061】
図10は、図7に示したイルミネーション板101を視認する方向に応じた見え方の違いを説明するための図である。
【0062】
図7に示したイルミネーション板101においては、導光棒20aの発光によって導光板130内を進行して反射面132aにて反射した光は、図8を用いて説明したように、導光板130の凹部131が設けられた面に対向する面側において、その光の反射面132aに対する入射角θ5と同じ大きさの反射角θ6の方向が最も明るくなり、その方向からずれるにしたがって徐々に暗くなっていく。
【0063】
一方、導光棒20bの発光によって導光板130内を進行した光は、そのほとんどが反射面132bにて反射せずに導光板130の外部に透過していくため、導光板130の凹部131が設けられた面に対向する面側からはその反射光はほとんど視認されない。
【0064】
そのため、導光板130の凹部131が設けられた面に対向する面側において、導光棒20aの発光によって導光板130内を進行してきた光の反射面132aに対する入射角θ5と同じ大きさの反射角θ6の方向からイルミネーション板101を視認した場合、図10(a)に示すように、導光棒20aの発光によって導光板130内を進行してきて反射面132aにて反射した光が明るく見える一方、反射面132bが視認できる領域においては、光がほとんど視認できないものとなる。
【0065】
一方、導光板130の凹部131が設けられた面に対向する面側において、例えば、反射面132aに正対する方向等、導光棒20aの発光によって導光板130内を進行してきた光の反射面132aに対する入射角θ5と同じ大きさの反射角θ6の方向に対して大きくずれた方向からイルミネーション板101を視認した場合は、図10(b)に示すように、導光棒20aの発光によって導光板130内を進行してきて反射面132aにて反射した光が暗く見える。その際、その方向から反射面132bが視認できない場合は、導光棒20aの発光によって導光板130内を進行してきて反射面132aにて反射した光のみが視認されることとなる。
【0066】
そして、凹部131の反射面132aに対する反射角θ6の方向から視認方向を変化させていくと、反射面132aにて反射した光が徐々に暗くなっていき、さらには、視認方向が反射面132bを視認できない方向となると、暗くなった反射面132aからの光のみが視認されることになる。
【0067】
このように、導光板130の凹部131が設けられた面に対向する面側からイルミネーション板101を視認する方向や視点に応じて、凹部131を構成する反射面132aにて反射した光の明るさが変化するため、光源20a,20bのうち一方の光源20aから照射された光が強調された状態で、イルミネーション板101を視認する方向や視点によって互いに異なるイメージが認識されることになり、加飾性を向上させることができる。
【0068】
ここで、図7に示したイルミネーション板101においては、凹部131の反射面132bを透過した光は、反射面132aを介して導光板130の内部に再度入射するため、実際には、その入射光も視認されることになる。
【0069】
図11は、図7に示したイルミネーション板101にて凹部131の反射面132bを透過した光による作用を説明するための図である。
【0070】
上述したようにイルミネーション板101の反射面132bを透過した光は、図11(a)に示すように、反射面132aを介して導光板130の内部に再度入射する。そのため、導光板130の凹部131が設けられた面に対向する面側においては、反射面132aを介して光が入射する入射角θ7の方向からイルミネーション板101を視認した場合、導光棒20aの発光によって導光板130内を進行してきて反射面132bを透過してその後反射面132aから入射した光が最も明るく見え、凹部131の反射面132aに対する入射角θ7の方向から視認方向を変化させていくと、反射面132aから入射した光が徐々に暗くなっていく。
【0071】
そして、導光板130の凹部131が設けられた面に対向する面側においては、上述したように導光棒20aの発光によって導光板131に入射して反射面132aにて反射した光と、導光棒20bの発光によって導光板131に入射して反射面132bから導光板130の外部に透過して反射面132aから再度入射した光とが混ざり合って視認されることになる。
【0072】
その際、反射面132a,132bに鏡面加工を施せば、図11(b)に示すように、導光棒20bの発光によって導光板131に入射して反射面132bから導光板130の外部に透過した光が、反射面132aにて反射して導光板130の内部に入射することがなくなり、それにより、導光棒20aの発光による光のみを視認させることができるようになる。
【0073】
なお、反射面132a,132bの鏡面加工は、上述した作用のみならず、導光棒20a,20bの発光による光を、ライン状等、細くシャープな形状として視認させることが可能となるという作用も生じさせる。そのため、図1に示したイルミネーション板1においても、導光板30の表面のうち、少なくとも反射面32a,32bに鏡面加工を施しておけば、導光棒20a,20bの発光による光を、ライン状等、細くシャープな形状として視認させることができるようになる。なお、鏡面加工ではなく、シボ加工を反射面32a,32b,132a,132bに施しておけば、図4図6図10に示したように、導光棒20a,20bの発光による光が反射面32a,32b,132a,132b全体にて均一に反射していくこととなり、反射面32a,32b,132a,132b全体が均一に光って見えるようになる。
【0074】
(第3の実施の形態)
図12は、本発明のイルミネーション板の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図、(d)は(b)に示したB-B’断面図である。
【0075】
本形態は図12に示すように、図1に示したイルミネーション板1に対して、導光板230の4つの端辺のそれぞれに、その一端に光源210a~210dが取付けられた導光棒220a~220dが取り付けられているとともに、導光板230に設けられた複数の凹部231の形状が異なるイルミネーション板201である。
【0076】
イルミネーション板201における凹部231は、それぞれが四角錐の形状となっており、イルミネーション板201の一方の面にマトリックス状に形成されている。そして、凹部231を形成する4つの面は、導光棒220a~220dと導光棒220a~220dが取り付けられた端辺とが対向する方向に対して傾いた状態となることで導光棒220a~220dに対してそれぞれ斜めに対向した反射面232a~232dとなっており、これにより、反射面232a~232dは、導光板230の導光棒220a~220dが取り付けられた端辺から進行してきた光の一部を反射させることになる。
【0077】
このように構成されたイルミネーション板201においても、導光板230の凹部231が設けられた面に対向する面側からイルミネーション板201を視認する方向や視点に応じて、凹部231を構成する反射面232a~232dにて反射した光の明るさが互いに独立して変化する。それにより、イルミネーション板201を視認する方向や視点によって互いに異なるイメージが認識されることになり、加飾性を向上させることができる。さらに本形態においては、導光板230の4つの端辺のそれぞれに、その一端に光源210a~210dが取付けられた導光棒220a~220dが取り付けられているとともに、複数の凹部231を形成する面が、導光棒220a~220dに対してそれぞれ斜めに対向した反射面232a~232dを具備することで、イルミネーション板201を視認する方向をあらゆる方向に変えた場合でもさらに多くの互いに異なるイメージが認識されることになり、加飾性をさらに向上させることができる。
【0078】
なお、本形態のように凹部231が四角錐の形状を有するものであっても、導光棒は、導光板230の4つの端辺のうち少なくとも任意の2つの端辺に取り付けられていればよい。その場合、凹部231を構成する4つの面のうち、導光棒に対して斜めに対向する面が反射面となる。それにより、導光棒の配置に応じても異なるパターンを認識させることができることになる。また、導光板230の4つの端辺のそれぞれに導光棒が取り付けられたものにおいて、導光棒にそれぞれ取り付けられた光源によって導光棒を選択的に発光させることによっても、異なるパターンを認識させることができる。
【0079】
(第4の実施の形態)
図13は、本発明のイルミネーション板の第4の実施の形態を示す図であり、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図、(c)は(b)に示したA-A’断面図である。
【0080】
本形態は図13に示すように、図7に示したイルミネーション板101に対して、導光板230の形状が異なるイルミネーション板301である。
【0081】
本形態のイルミネーション板301における導光板230は、図7に示したものと同一形状からなる凹部331間に、導光板330の内側に凹んでいない平面部333を有している。
【0082】
このように構成されたイルミネーション板301においては、平面部333にシボ加工を施しておくことにより、導光棒20a,20bの発光による光がそれぞれ平面部333にて反射することとなり、導光棒20a,20bの発光による光を、導光棒20a,20bそれぞれからの距離に応じた色の光で視認することができるようになる。具体的には、導光棒20aに近い平面部333にて反射した光においては導光棒20aの発光による光の色が強くなる一方で導光棒20bの発光による光の色が弱くなり、また、導光棒20aから遠い平面部333にて反射した光においては導光棒20aの発光による光の色が弱くなる一方で導光棒20aの発光による光の色が強くなる。それにより、導光棒20aから遠い箇所では、導光棒20bの発光による光の色が強い平面部333の中に導光棒20aの発光による光の色が反射面332aでのみ浮き上がるように強調され、ライン状の光等、導光棒20a,20bの発光による光のいずれか一方のみを視認させる箇所を、より強調することが可能となる。
【0083】
なお、上述した実施の形態にて示した凹部31,131,231の深さは、0.2mmよりも浅いと反射光によるイメージの違いがわかりにくくなるため、0.2mm以上であることが好ましい。また、凹部31,131,231の深さが導光板30,130,230の厚さの4/5を超えると、導光棒20a,20b,220a~220dの発光による光が導光板30,130,230,330の反対側の端辺に向かって進行しにくくなるため、凹部31,131,231の深さは、導光板30,130,230,330の厚さの4/5以下であることが好ましい。
【0084】
また、上述した実施の形態においては、断面が三角形となる凹部31,131や四角錐の凹部231を例に挙げて説明したが、凹部を形成する面が曲面であるものであってもよい。その場合でも、曲面の一部が、導光棒に対して斜めに対向した反射面を具備することになる。また、複数の凹部の形状及びその配置は、上述した実施の形態においては説明をわかりやすくするために、導光板の短手方向の断面が三角形のものが導光板の長手方向に山脈状に互いに並行したものや、四角錐のものがマトリックス状に配置されたものを例に挙げて説明したが、そのような形状や配置に限らない。例えば、導光板の短手方向の断面が三角形であって導光板の長手方向に所定の長さを有する凹部が、所望の文字、模様、形状に応じた任意のパターンに複数配置されたものとすることで、イルミネーション板を見る方向や視点に応じて、その文字や模様、形状を、異なるイメージで認識させることができる。
【0085】
また、上述した実施の形態においては、導光板30,130,230,330の一方の表面に複数の凹部31,131,231が設けられたものを例に挙げて説明したが、凹部31,131,231の代わりに凸部であってもよく、また、導光板30,130,230,330の両面に凹部や凸部が設けられた構成としてもよい。
【0086】
また、導光棒が導光板の端辺に取り付けられたものではなく、導光棒が導光板の端辺にて導光板と一体化して設けられた構成とすることも考えられる。そのような構成とすることで、コストダウンを図ることができる。
【0087】
また、上述したイルミネーション板1,101,201,301に対して、導光板30,130,230,330の凹部31,131,231に対向する面側に、例えば、ピアノブラック調の透過プレートを配置することも考えられる。このような透過プレートを配置することで、意匠性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0088】
1,101,201,301 イルミネーション板
10a,10b,210a~210d 光源
20a,20b,220a~220d 導光棒
30,130,230,330 導光板
31,131,231 凹部
32a,32b,132a,132b,232a~232d 反射面
333 平面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13