(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】物体の長距離検出のためのタグ、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/067 20060101AFI20220617BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20220617BHJP
G06K 7/08 20060101ALI20220617BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G06K19/067 020
G01R33/02 D
G06K7/08 060
H01Q15/14 Z
(21)【出願番号】P 2018553869
(86)(22)【出願日】2017-03-27
(86)【国際出願番号】 ES2017000035
(87)【国際公開番号】W WO2017178668
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2019-12-19
(32)【優先日】2016-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】510000367
【氏名又は名称】ユニベルシダード コンプルテンセ デ マドリッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マリン パラシオス, マリア ピラー
(72)【発明者】
【氏名】エルナンド グランデ, アントニオ
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特許第3806404(JP,B2)
【文献】特表2003-512658(JP,A)
【文献】国際公開第2016/012636(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0143533(US,A1)
【文献】特開平09-134817(JP,A)
【文献】特表2001-512597(JP,A)
【文献】特表2000-510618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
7/00-7/14
17/00
G01V 1/00-99/00
G08B 13/00-15/02
H01F 1/12-1/38
1/44
G01R 33/02
H01Q 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質磁性材のマイクロワイヤ(能動素子)を備えるタグであって、前記マイクロワイヤが、80から250ミクロンの直径を有し、巨大磁気インピーダンス特性を有し、(250/π)×10から(250/π)×20A/mの間の横異方性を有する非双安定ヒステリシスループを有し、10から50,000mHzまでの周波数および0から(250/π)×25A/mの間の振幅で低周波数励磁器磁場について(250/π)×1から(250/π)×5A/mの間の保磁力を有し、その高周波数での電気共振周波数が、1から20GHzの間の励起周波数について、その幾何学的パラメータによって調整される、タグ。
【請求項2】
100ミクロン超の直径を有する磁気ワイヤまたは磁気テープまたは磁性粉の形態をとる硬質磁性材の素子を別に備え、前記硬質磁性材の素子の残留磁気が、前記軟質磁性材のマイクロワイヤの近傍で、励磁器磁場の周波数で、前記保磁力の周りで磁場を生み出すようなものである、請求項1に記載のタグ。
【請求項3】
前記タグが使用されると、強力な磁場を印加することによってその磁区構造が修正され、前記タグが非活動化され得るので、前記硬質磁性材の素子が、前記タグの非活性体として働く、請求項2に記載のタグ。
【請求項4】
前記マイクロワイヤが、リング、正方形、または矩形の形の、1つまたは複数のターンを有する、延長マイクロワイヤまたは閉マイクロワイヤでよい、請求項1から3のいずれか一項に記載のタグ。
【請求項5】
前記マイクロワイヤは、単一のマイクロワイヤ、単一のリング、または単一の長方形、またはこれらの組み合わせ、または粉末マイクロワイヤで構成され、前記単一のマイクロワイヤの寸法は30から1cmの間であり、前記単一のリングの直径は0.5から10cmの間であり、前記単一の長方形の辺が、前記粉末マイクロワイヤの長さは1から5mmの間である、請求項1から3のいずれか一項に記載のタグ。
【請求項6】
前記マイクロワイヤの長さが、3GHzの周波数について5cmであり、1.5GHzの周波数について10cmである、請求項1から5のいずれか一項に記載のタグ。
【請求項7】
前記低周波数励磁器磁場の前記周波数が増大するとき、前記マイクロワイヤの前記保磁力が増大し、1から20Hzの間の前記マイクロワイヤの保磁力に関連する低周波数磁場について、反射率の最大変動が生み出される、請求項1から6のいずれか一項に記載のタグ。
【請求項8】
前記マイクロワイヤの組成が、アモルファスまたは結晶構造を有する鉄およびコバルトに基づく、請求項1に記載のタグ。
【請求項9】
前記マイクロワイヤが、Fe
xCo
a-x-yNi
ySi
zB
wM
t(ただし、a+z+w+t=100、70≦a-x-y≦75、0≦x+y≦5、0≦z+w≦25、0≦t≦3、M=Nb、Mo、Hf)の組成を有する、請求項8に記載のタグ。
【請求項10】
20から50%の間の前記マイクロワイヤの前記磁気インピーダンスが、0から10%の間の前記マイクロワイヤのナノ結晶化率によって制御される、請求項8または9に記載のタグ。
【請求項11】
前記マイクロワイヤが、ほぼゼロである磁気ひずみ定数を有し、前記磁気ひずみ定数の値が、-1ppmから-0.05ppmの間に含まれ、異方性磁場が(250/π)×10A/m以上かつ(250/π)×20A/m以下であり、金属コアの直径が、30から250ミクロンの間に含まれる値であり、保磁力が(250/π)×0.5A/mから(250/π)×250A/m(0.01から50Hzの間の低周波数励磁器磁場の周波数について)であり、これらの幾何形状の電気共振周波数が、1から20GHzの周波数間隔で、その幾何学的パラメータによって調整される、請求項8から10のいずれか一項に記載のタグ。
【請求項12】
物体の検出のために請求項1から11のいずれか一項に記載されるタグの使用。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のタグを有する物体の長距離検出のためのシステムであって、
1から20GHzの間の周波数を有する波を送信する送信アンテナに接続された送信デバイスと、
検出のエリア内において前記送信アンテナによる連続的磁場と重ね合わせて低周波数交番変調の磁場を生成するために10から50,000mHzの間に含まれる低周波数信号を生成する低周波数信号発生器と、
連続的磁場と低周波数磁場との重ね合わせによって変調される前記タグのマイクロワイヤの反射率の変動を収集する受信機と、
前記送信デバイス、前記受信機、および前記低周波数信号発生器に接続されたコントローラシステムと
を備える、システム。
【請求項14】
床にカモフラージュすることができるコイルであって、使用されるマイクロワイヤの異方性磁場未満の磁場を生成するコイルに給電する別の直流電流(DC)が重ね合わされる低周波数正弦波信号によって給電される第1の電気回路であって、前記直流電流により前記タグ上に配置された軟質磁性材のマイクロワイヤの周期的な磁化および減磁を可能にした第1の電気回路と、
選ばれたマイクロワイヤの電気共振周波数と周波数が一致するように、送信アンテナと受信アンテナの両方によって高周波数信号を送信および受信するための第2の回路と、
前記高周波数信号を処理し、検出しきい値を確立するための手段とを備える、請求項
13に記載の検出システム。
【請求項15】
使用される前記低周波数磁場の周波数が、検出される前記マイクロワイヤの保磁力の周波数依存性に応じて決定される、請求項
13または
14に記載の検出システム。
【請求項16】
前記低周波数磁場の生成が、床にカモフラージュされるコイルによって行われる、請求項
13から
15のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項17】
前記波の生成および検出が、天井のアンテナによって行われる、請求項
13から
15のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項18】
請求項
14から
17のいずれか一項に記載のシステムを使用する、物体の長距離検出のための方法であって、前記物体の検出が、連続的磁場と低周波数磁場との重ね合わせにより、マイクロワイヤの反射率を変調することによって行われ、
1から20GHzの間の周波数を有する電磁波を送信すること、
10から5000mHzの周波数と、0から250/π)×25A/mの間の振幅とを有する交番低周波数磁場を生成すること、
使用される前記マイクロワイヤの異方性磁場未満の磁場を生成する前記交番低周波数磁場と直流電流(DC)を重ね合わせること、
前記低周波数磁場の時間および周波数の関数として前記マイクロワイヤの前記反射率を測定すること
を含む、方法。
【請求項19】
前記マイクロワイヤの前記反射率の変調が、前記マイクロワイヤの存在下でのGHz波の変調を含み、その検出が、低周波数磁場にさらされる磁気能動素子の存在下で、GHzの変調波により、アンテナによって行われる、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
最大検出が、前記低周波数磁場の可能な限り小さい周波数について生成される、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁場による物体の検出の分野内にある。より詳細には、本発明は、どちらも磁気的な能動素子および補足素子によって長距離でワイヤレスに検出可能であるタグ、ならびに前記タグを使用する物体のためのシステムおよび検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、活動化または非活動化され得る特定のタグを取り囲むGHz波の反射率の磁気現象の影響に基づく、物体の長距離電子的検出のためのシステムと、検出システムおよび検出システムの方法とに関する。
【0003】
磁気材料に基づいて物品を検出するためのシステムは良く知られている。特許FR第763681号は、このタイプの第1のデバイスを示す。記載のデバイスは、交番磁場にさらされるとき、他のタイプの金属から来るものとは明らかに異なる検出器内の高調波を含む、パーマロイタイプの軟質磁気材料製のテープの使用に基づく。
【0004】
テープの形のアモルファス磁気材料は、磁場の存在下または非存在下での適切な熱処理によって物品の電子的検出のための機器で使用されるように最適化され得る、低い保磁力および高い磁化率を有する。特許WO第0213210号は、CoNiFeSiBCに基づく組成の使用に関する。
【0005】
特許US第4660025号は、最小の長さ7.6cmを有するアモルファス双安定磁気ワイヤがタグとして使用される検出器システムを示す。このケースでは、交番磁場が空間の特定の領域に印加され、前記磁場の摂動が検出されるとき、アラームが活動化される。これは、タグがその領域内に内に導入され、磁場の値がワイヤの臨界磁場を超え、磁化を逆転させるときに生成される。これはスナップアクションとして知られている。これらのシステムの一欠点は、長いタグの長さである。
【0006】
特許US第4660025号のタグで得られ、その高い高調波成分および高いパルスに関係する利点に加えて、これらのタイプの磁気材料を非活動化する方式を見つけることが重要である。特許US第4686516号は、アモルファス磁気材料の結晶化に基づいてそのようにする方式を示す。これは、電流、またはレーザなどの放射エネルギーのどちらかを印加することによって、タグの少なくとも一部を結晶化温度より上の温度まで加熱することによって行われる。本明細書で説明される方法のいくつかは、タグに接触することなくタグを非活動化することを可能にするが、電流または放射エネルギーを注意深く印加する必要がある。
【0007】
特許US第4980670号は、物品の電子的監視のための磁気マーカを示し、タグが、印加された磁場のしきい値未満の値について「スナップアクション」を有し、さらに、タグが容易に非活動化される。
【0008】
特許US第5313192号は、文書US第4980670号で説明されているものと同等のタグを開発するが、より安定し、制御可能である。アモルファス磁気テープの処理条件は同一であるが、さらに、タグが、処理中に、タグを活動化および非活動化することを可能にする所定の磁場にさらされる。より具体的には、本発明のタグは、メインコアを構成する軟質磁気材料と、第2の硬質または半硬質磁性材料とを含む。このタグは、第2の材料がそれぞれ活動化状態および非活動化状態を有するように調整される。活動化状態では、タグは双安定ヒステリシスを示し、非活動化状態では、タグはバルクハウゼンジャンプのないヒステリシスループを有する。
【0009】
特許US第6747559号は、低い保磁度(10A/m未満)および高い透磁率(20,000超)を有する磁気マイクロワイヤに基づく、物品の電子的検出のための永久タグに関する。使用されるマイクロワイヤの長さは32mm以下である。このケースでは、高い透磁率が、印加される十分に低い値の磁場について、大きい振幅の高い高調波を可能にし、それによってタグを区別することがより容易になる。
【0010】
特許US第7852215は、特許US第6747559号に記載のものと同等の誘導方法に従って機能するために、磁気マイクロワイヤに基づくタグを有する。
【0011】
記載のシステムのすべては高調波の生成に基づき、検出の距離に明らかな制限を有し、90cmに制限される。別の制限は、他のタイプの金属から来る信号を検出する際の困難である。
【0012】
特許US第4510489号によって特許請求されるような、磁気弾性共鳴に基づく、より長い距離であるが、決して2メートル以上ではない距離での検出を可能にするシステムが存在する。このシステムは、機械共振周波数の交番磁場の存在下で振動する磁気ひずみ素子に基づく磁気機械タグを使用する。同等であるが、磁気弾性マイクロワイヤを使用するシステムは、特許ES2317769(B1)号によって説明されているものである。
【0013】
これらのシステムの別の制限は、使用されるタグのサイズである。
【0014】
特許US第6232879号では、物体の遠隔検出が、特定の相対位置での少なくとも2つの素子から構成されるタグに基づき、それによってサイズおよびタグの幾何形状が制限される。
【0015】
したがって、より小さいサイズを有し、より長い距離で容易に検出可能であるタグを開発することが求められている。
【発明の概要】
【0016】
物体の長距離検出のためのタグ、システム、および方法。
【0017】
本特許は、長距離(2メートル超)で検出可能である短い長さのセンサ素子としての磁性マイクロワイヤの可能性を提示し、その検出能は、その保磁力と周波数との間の関係によって調整される。
【0018】
本発明は、能動素子の反射率を変調することによってタグのワイヤレス長距離検出を可能にする、どちらも磁気的な、能動素子、および任意選択で補足素子から構成されるタグに関する。
【0019】
能動素子は、80から250ミクロンの範囲の直径を有する軟質磁性材のマイクロワイヤであり、1から20GHzの間の励起周波数に対して、検出すべき素子の長さが30から1cmの間となるように、より精密には、3GHzの周波数に対して5cmのセンサ素子が使用され、1.5GHzに対して10cmのセンサ素子が使用されるように、巨大磁気インピーダンスおよび長さがアンテナの送信周波数によって調整される。
【0020】
マイクロワイヤの保磁力は、この低周波数磁場の周波数に依存する。軟質磁性材の磁気マイクロワイヤは、(250/π)×10A/mから(250/π)×20A/mの範囲の横異方性を有する非双安定ヒステリシスループを有さなければならず、その保磁力は、10から50,000mHzの間であるが決してそれより大きくはない低周波数励磁器磁場の周波数に対して、(250/π)×1から(250/π)×5A/mの間に含まれる。
【0021】
マイクロワイヤは、例えばリング、正方形、または矩形の形の、1つまたは複数のターンを有する、延長マイクロワイヤまたは閉マイクロワイヤでよく、またはマイクロワイヤ粉末の形でよい。
【0022】
より詳細には、能動素子は、鉄およびコバルトに基づく組成、例えばFexCoa-x-yNiySizBwMt(ただし、a+z+w+t=100、70≦a-x-y≦75、0≦x+y≦5、0≦z+w≦25、0≦t≦3、M=Nb、Mo、Hf)を有するホウケイ酸ガラス被覆磁性マイクロワイヤであり、磁気ひずみ定数がほぼゼロであり、その値が-1ppmから-0.05ppmの間に含まれ、異方性磁場が、1Oe=(250/π)A/mの換算の下で、10Oe以上かつ20Oe以下((250/π)×10A/m以上かつ(250/π)×20A/m以下)であり、金属コアの直径が、80から250ミクロンの間に含まれる値である。金属コアの組成は、(0.01から50Hzの間であり、決してそれより大きくはない低周波数励磁器磁場周波数に対して)0.5から250Oe((250/π)×0.5A/mから(250/π)×250A/m)の間の保磁力を有し、巨大磁気インピーダンス特性を有し、ワイヤ幾何形状、リング、コイル、矩形回路、またはマイクロワイヤ磁性粉末を有するアモルファスまたはナノ結晶でよく、それらの幾何形状の電気共振周波数は、その幾何形状パラメータによって、1から20GHzの周波数間隔で調整される。
【0023】
ワイヤの寸法は30から1cmの間に含まれ、リングの直径は0.5から10cmの間であり、矩形の辺は0.5から10cmの間であり、粉末マイクロワイヤの長さは1から5mmの間である。
【0024】
マイクロワイヤの低磁気異方性のために、磁場を印加することによって透磁率は容易に修正される。
【0025】
さらに、低周波数磁場の周波数が増大するとき、能動素子のワイヤの保磁力が増大し、1から20Hzの間の能動素子の保磁力に関連する低周波数磁場について、能動素子の反射率の最大変動が生み出される。
【0026】
能動素子の保磁力は、ワイヤの組成および結晶化熱処理によって制御される。
【0027】
20から50%の間の磁気インピーダンス効果が、0から10%の間のナノ結晶化率によって制御可能である。
【0028】
第2の素子(補足素子)は、100ミクロン超の直径を有する磁気ワイヤ、または磁気テープもしくは磁性粉でよく、第2の素子の残留磁気は、軟質マイクロワイヤの近傍では、励磁器磁場の周波数で、軟質マイクロワイヤの保磁力の周りに磁場を生み出すようなものである。
【0029】
マイクロワイヤの保磁力と同等のマイクロワイヤの近傍での磁場を生成するような、磁化を伴うこの第2の磁気素子の存在は、マイクロワイヤの反射率を最大にする。
【0030】
さらに、この第2の素子は、タグの非活性体として使用され得る。タグが使用されると、強力な磁場を印加することによってその磁化の状態が修正され、タグが非活動化され得るからである。
【0031】
本発明の別の態様は、前述のマイクロワイヤのワイヤレス検出による、物体についての長距離検出システムに関する。検出システムは、送信アンテナに接続された送信システムと、受信アンテナに接続された受信システムとからなる。送信アンテナは、0.5から6GHzの間の固定周波数の波を送信する。波の電場が検出されるべき素子の軸方向となることを保証するために回転式に、または1方向で使用される偏波器と、10から50,000MHz(決してそれよりは大きくない)の間に含まれ、検出のエリア内の連続的磁場が任意選択で重ね合わされる、低周波数での交番変調の磁場の生成のためにコイルに接続される低周波数信号発生器システムとが利用される。上記のすべては、送信デバイスと、受信機と、低周波数信号発生器とに接続されたコントローラシステムによって制御される。受信システムは、それぞれ連続的磁場と低周波数磁場の重ね合せによって変調される、検出されるべき素子の反射率の変動を収集する。
【0032】
検出システムは、別の直流電流(DC)が重ね合わされ得る低周波数正弦波信号によって給電される第1の電気回路を備え、第1の電気回路は、床にカモフラージュすることのできるコイルに給電し、コイルは、使用されるマイクロワイヤの異方性磁場未満の磁場を生成する。前記直流電流により、タグ上に配置された軟質磁性材のマイクロワイヤの周期的な磁化および減磁が可能になる。システムは、送信アンテナと受信アンテナの両方によって、選ばれたマイクロワイヤの電気共振周波数に周波数が一致するように高周波数信号を送信および受信するために使用される第2の回路を備える。さらに、システムは、信号を処理し、検出しきい値を確立するための手段を備える。
【0033】
本発明の第3の態様は、記載のタグを使用する物体の長距離検出方法に関する。この方法は、磁気マイクロワイヤによる、送信アンテナによって送信される波の変調に基づく。この変調は、交番低周波数磁場の存在下でのマイクロワイヤの反射率の係数の変動のためであり、その保磁力と一致するマイクロワイヤの透磁率の最大の変動が生成されるときに最大となる。
【0034】
この特定のケースについて、磁化率による電磁波の分散の係数は、以下によって同時に修正される。
電気回路(言い換えれば、検出システムの第1の回路)によって生成され、マイクロワイヤの周期的磁化に関係する、0.01から50Hzの間の周波数を有する交番磁場の周波数。検出のための最適な周波数は常に、ワイヤのマイクロ構造によって調整される特定の値未満である。アモルファスマイクロ構造のケースでは、最適な周波数は10Hz未満となり、結晶マイクロ構造のケースでは、20Hzとなる。
電気回路(言い換えれば、検出システムの第1の回路)によって生成され、マイクロワイヤの周期的磁化に関係する、0.01から50Hzの間の周波数を有する交番磁場の振幅。検出のための最適な振幅は、ワイヤの異方性磁場未満であり、異方性磁場の半分から異方性磁場自体の間に含まれる。
【0035】
タグの検出は、その能動素子(マイクロワイヤ)の反射率を、1から20GHzの間の周波数の電磁波に関して変調することによって、そのような目的で、0.01から50Hzの間でよい低周波数磁場を使用して行われる。磁場の振幅は0から25Oeの間に含まれる。
【0036】
マイクロワイヤの反射率の変調は、この低周波数磁場の周波数と共に行われ、能動素子によって受ける巨大磁気インピーダンスの効果の結果である。
【0037】
さらに、能動素子の反射率の最大の変動が、幾何形状(ワイヤのケースでは長さ、リングのケースでは直径、および正方形または矩形のケースでは辺の長さ)によって調整される、その電気共振周波数について生み出される。
【0038】
能動素子の反射率のこの変調は、前記素子の存在下でのGHz波の変調を含み、変調の検出は、低周波数磁場にさらされる磁気能動素子の存在下でのGHzの変調波によりアンテナによって行われる。
【0039】
低周波数磁場の生成は、例えば、床にカモフラージュされた矩形コイルによって行われ得、GHz波の生成および検出は、天井のアンテナのカモフラージュされたシステムによって行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】軟質
磁性材のワイヤ(1’)および(11’)を備えるワイヤ(1)、リング(2)、(2’)、および(2’’)、正方形(3)、(3’)、および(3’’)、ならびにマイクロワイヤ粉末(4)という異なるタグ設定に対応する図である。
【
図2】マイクロワイヤ(5)を備えるタグ、送信アンテナ(6)、受信アンテナ(7)、放射波(8)、変調波(9)、低周波数磁場有するコイル(10)、関数発生器(11)、増幅器(12)、電流計(13)、およびベクトル信号アナライザ(14)という各素子を備える電磁回路の図である。
【
図3】10および15cmの2つのマイクロワイヤに関連する、10Hzでの誘導の方法によって得られるヒステリシスループを、このケースではそれぞれ17Oe(15)および22Oe(16)の値を有する異方性磁場と、1Oe(17)の保磁力の必要とされるパラメータと共に示す図である。
【
図4】10Hz(18)、20Hz(19)、30Hz(20)、40Hz(21)、および50Hz(22)の異なる周波数での15cmワイヤに対応するヒステリシスループを示す図である。
【
図5】15cmのワイヤについての周波数に伴う保磁力の放出を示す図である。
【
図6】アンテナ(6)によって検出された時間の関数としての反射率と、2.37GHzのアンテナによって送信される波周波数および印加される2.5Oeの低周波数磁場についての低周波数磁場の周波数に関連する変調波(9)とを示す図である。
【
図7】2.37GHz波についての2.5Oeの低周波数磁場の周波数の関数としての最大反射率の放出を示す図である。
【
図8】連続的磁場が印加されるときの10から50Hzの間に含まれる周波数についての最大反射率の放出を示す図である。
【
図9】ワイヤが減磁され(a)、飽和される(b)、一方が軟質
磁性材であり、他方が硬質
磁性材である2つのマイクロワイヤについての時間の関数としての最大反射率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の範囲を限定するものではない以下の例によって本発明がさらに示される。
【0042】
15cmの長さの2つの平行ワイヤによって形成されるタグが選択され、タグの組成はFeCoSiBであり、ワイヤの一方はアモルファス構造を有し、他方は結晶ワイヤ構造を有する。ヒステリシスループが異なる周波数で実施され、タグの保磁力が周波数の関数として決定される(
図3)。
【0043】
送信アンテナおよび受信アンテナが、2.37GHzの周波数で働くベクトル信号アナライザに接続される。コイルにより、2.5Oeの最大振幅を有する10から50Hzの間の低周波数磁場が生成される。減磁された硬質
磁性材のワイヤについて、低周波数磁場の周波数による時間の関数として反射率の放出(
図9)と、低周波数の値と重ね合わされるDC場の値に伴う反射率の放出(
図8)とが測定され、磁化された硬質
磁性材のワイヤについて、反射率が周波数の関数として測定される(
図9)。
【0044】
マイクロワイヤの検出は、検出された信号の振幅と、マイクロワイヤがないときに観測されるものに対する、検出された信号の変動とに基づいて行われる。低周波数磁場の周波数が小さいほど、信号の振幅は大きい。硬質磁性材のワイヤの存在下で、この信号の電圧を低減することが可能であり、その結果、タグが非活動化されるタグが非活動化される