(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ETAR抗体、ならびにその医薬組成物および使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220617BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220617BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20220617BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220617BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220617BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220617BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220617BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220617BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220617BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220617BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20220617BHJP
A61K 47/10 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/20
A61K47/22
A61P9/12
A61P11/00
A61P15/00
A61P35/00
A61P43/00 111
C12P21/08
C07K16/28
C12N15/13
C07K16/18
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2018562562
(86)(22)【出願日】2017-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2017086369
(87)【国際公開番号】W WO2017206840
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】201610376600.7
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201610954533.2
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516029492
【氏名又は名称】ジーエムエーエックス バイオファーム エルエルシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】チェング ズハング
(72)【発明者】
【氏名】ケスオ ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヨング グオ
(72)【発明者】
【氏名】チェンジアング ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】フア ズハング
(72)【発明者】
【氏名】クイアオフェング ワング
(72)【発明者】
【氏名】シュキアン ジング
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105669863(CN,A)
【文献】特表2015-522524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0186373(US,A1)
【文献】特表2008-529499(JP,A)
【文献】特開2010-138165(JP,A)
【文献】薬剤学,2012年,Vol.72, No.6,pp.353-358
【文献】Jpn. J. Clin. Immunol.,2008年,Vol.31, No.6,pp.424-431
【文献】心臓,2013年,Vol.45, No.12,pp.1503-1511
【文献】日本内科学会雑誌,2014年,Vol.103, No.9,pp.2137-2143
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00-9/72
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ET
AR抗体
、緩衝液
、界面活性剤およびアミノ酸保護剤を含む、ET
AR抗体の安定した薬剤溶液製剤であって、
該製剤が5~7
のpHを有
し、該ET
A
R抗体の濃度が10~200mg/mLであり、該緩衝液の濃度が1mM~200mMであり、該界面活性剤がポリソルベート20またはポリソルベート80を含み、該界面活性剤の濃度が0.001~1重量/体積パーセントであり、該アミノ酸保護剤がアルギニンまたはその塩を含み、該アミノ酸保護剤の濃度が1mM~500mMであり、
該ET
A
R抗体が、軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8;軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32;軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50;重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70;重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92;および重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116を含み、
該ET
A
R抗体が、軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列:配列番号194または配列番号196;および重鎖定常ドメインのアミノ酸配列:配列番号198をさらに含む、前記製剤。
【請求項2】
前記ET
AR抗体が、
軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列 配列番号138
、および重鎖可変ドメインのアミノ酸配列 配列番号166を含む、請求項
1に記載の製剤。
【請求項3】
前記ET
AR抗体が、マウスET
AR抗体またはヒト化ET
AR抗体
である、請求項1
または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記ET
AR抗体が、モノクローナルET
AR抗体
である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
(i)前記ET
AR抗体が、エンドセリンのシグナル伝達を低減する際に
、1nM~200nMまたは10nM~100n
MのIC
50を有する
;および/または
(ii)前記ET
A
R抗体の濃度が、10~100mg/mLである;または前記ET
A
R抗体の濃度が、25mg/mL、50mg/mL、75mg/mL、または100mg/mLである;および/または
(iii)前記緩衝液の濃度が、2mM~50mM、または5mM~25mMである;または前記緩衝液の濃度が、10mM、15mM、20mM、25mM、または30mMである;および/または
(iv)前記緩衝液が、クエン酸の塩またはヒスチジンを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
(i)前記界面活性剤の濃度が
、0.001~1重量/体積パーセント、0.01~0.5重量/体積パーセント、または0.01~0.1重量/体積パーセン
トである
;または前記界面活性剤の濃度が、0.02、0.03、0.04、0.05、または0.06重量/体積パーセントである;および/または
(ii)前記アミノ酸保護剤がアルギニン塩酸塩を含む;および/または
(iii)前記アミノ酸保護剤の濃度が、10mM~200mMである;または前記アミノ酸保護剤の濃度が、120mM、130mM、140mM、150mM、または160mMである、請求項
1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記ET
AR抗体の濃度が
、10~200mg/m
Lであり;前記界面活性剤の濃度が
、0.01~0.1重量/体積パーセン
トであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が
、10~200m
Mであり;前記緩衝液の濃度が
、1~50m
Mであり;ここで、前記製剤のpHが
、5~
7である、請求項
1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記ET
AR抗体の濃度が
、25、50、75、または100mg/mLであり;前記界面活性剤の濃度が
、0.04重量/体積パーセントであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が
、140mMであり;前記緩衝液の濃度が
、20mMであり;ここで、前記製剤のpHが
、5~
6である、請求項
1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
ポリオール保護剤をさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載
の製剤。
【請求項10】
(i)前記ポリオール保護剤が、ソルビトール、マンニトール、スクロース、またはトレハロースを含む
;または前記ポリオール保護剤が、ソルビトール、マンニトール、またはスクロースを含む;および/または
(ii)前記ポリオール保護剤の濃度が、0.1~50重量/体積パーセント、1~20重量/体積パーセント、または1~10重量/体積パーセントである;または前記ポリオール保護剤の濃度が、4~10重量/体積パーセントである、請求項
9に記載の製剤。
【請求項11】
(i)前記ET
AR抗体の濃度が
、10~200mg/m
Lであり;前記界面活性剤の濃度が
、0.01~0.1重量/体積パーセン
トであり;前記ポリオール保護剤の濃度が
、1~20重量/体積パーセン
トであり;前記緩衝液の濃度が
、1~50m
Mであり;ここで、前記製剤のpHが
、5~
7である
;または
(ii)前記ET
A
R抗体の濃度が、25、50、75、または100mg/mLであり;前記界面活性剤の濃度が、0.04重量/体積パーセントであり;前記ポリオール保護剤の濃度が、4~10重量/体積パーセントであり;前記緩衝液の濃度が、20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、5~6である、請求項
9または10に記載の製剤。
【請求項12】
金属キレート剤をさらに含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
(i)前記金属キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、またはエチレングリコールジエチルエーテルジアミン四酢酸を含む
、または前記金属キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸を含む;および/または
(ii)前記金属キレート剤の濃度が、0.001mM~1mM、0.005mM~0.5mM、または0.01mM~0.2mMである;または前記金属キレート剤の濃度が、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、または0.07mMである、請求項
12に記載の製剤。
【請求項14】
(i)前記ET
AR抗体の濃度が
、10~200mg/m
Lであり;前記金属キレート剤の濃度が
、0.01mM~0.2m
Mであり;前記界面活性剤の濃度が
、0.01~0.1重量/体積パーセン
トであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が
、10~200m
Mであり;前記緩衝液の濃度が
、1~50m
Mであり;ここで、前記製剤のpHが
、5~
7である
;または
(ii)前記ET
A
R抗体の濃度が、25、50、75、または100mg/mLであり;前記金属キレート剤の濃度が、0.05mMであり;前記界面活性剤の濃度が、0.04重量/体積パーセントであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、140mMであり;前記緩衝液の濃度が、20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、5~6である;または
(iii)前記ET
A
R抗体の濃度が、10~200mg/mLであり;前記金属キレート剤の濃度が、0.01mM~0.2mMであり;前記界面活性剤の濃度が、0.01~0.1重量/体積パーセントであり;前記ポリオール保護剤の濃度が、1~20重量/体積パーセントであり;前記緩衝液の濃度が、1~50mMであり;ここで、前記製剤のpHが、5~7である;または
(iv)前記ET
A
R抗体の濃度が、25、50、75、または100mg/mLであり;前記金属キレート剤の濃度が、0.05mMであり;前記界面活性剤の濃度が、0.04重量/体積パーセントであり;前記ポリオール保護剤の濃度が、4~10重量/体積パーセントであり;前記緩衝液の濃度が、20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、5~6である、請求項
12または13に記載の製剤。
【請求項15】
酸化防止剤をさらに含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
(i)前記酸化防止剤が、メチオニン、ビタミンC、チオサルフェート、チオサルフェート、またはベンジルメチオニンを含む;
または前記酸化防止剤が、メチオニンを含む;および/または
(ii)前記酸化防止剤の濃度が、0.5mM~20mMまたは1mM~10mMである;または前記酸化防止剤の濃度が、3mM、4mM、5mM、6mM、または7mMである、請求項
15に記載の製剤。
【請求項17】
(i)前記ET
AR抗体の濃度が
、10~200mg/m
Lであり;前記酸化防止剤の濃度が
、1mM~10m
Mであり;前記界面活性剤の濃度が
、0.01~0.1重量/体積パーセン
トであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が
、10~200m
Mであり;前記緩衝液の濃度が
、1~50m
Mであり;ここで、前記製剤のpHが
、5~
7である
;または
(ii)前記ET
A
R抗体の濃度が、25、50、75、または100mg/mLであり;前記酸化防止剤の濃度が、5mMであり;前記界面活性剤の濃度が、0.04重量/体積パーセントであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、140mMであり;前記緩衝液の濃度が、20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、5~6である;または
(iii)前記ET
A
R抗体の濃度が、10~200mg/mLであり;前記酸化防止剤の濃度が、1mM~10mMであり;前記界面活性剤の濃度が、0.01~0.1重量/体積パーセントであり;前記ポリオール保護剤の濃度が、1~20重量/体積パーセントであり;前記緩衝液の濃度が、1~50mMであり;ここで、前記製剤のpHが、5~7である;または
(iv)前記ET
A
R抗体の濃度が、25、50、75、または100mg/mLであり;前記酸化防止剤の濃度が、5mMであり;前記界面活性剤の濃度が、0.04重量/体積パーセントであり;前記ポリオール保護剤の濃度が、4~10重量/体積パーセントであり;前記緩衝液の濃度が、20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、5~6である、請求項
15または16に記載の製剤。
【請求項18】
(i)前記製剤が、水溶液である
;および/または
(ii)前記製剤が、2~8℃で12ヶ月間の貯蔵後に、約10%以下の凝集ET
A
R抗体を含有する;および/または
(iii)抗体の分解度が、2~8℃で12ヶ月間の貯蔵後に、約10%を超えない;および/または
(iv)前記ET
A
R抗体の生物学的活性が、2~8℃で12ヶ月間の貯蔵後に、元の生物学的活性の50%以上である、請求項1~
17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
肺動脈高血圧、肺動脈圧の上昇と関連する疾患、生殖器の癌、または肺動脈圧の上昇を伴う生殖器の癌の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法において使用するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の安定した薬剤溶液製剤であって、該製剤が静脈内にまたは皮下に投与される、前記製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
ETAR抗体およびその医薬組成物、例えば、ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤が、本明細書において提供される。肺動脈高血圧の1つまたは複数の症状または生殖器の癌の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法も、本明細書において提供される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
エンドセリン(ET)は、心血管系の生物学的機能の恒常性および調節にとって重要な血管収縮ペプチドホルモンである。ETは、内皮だけでなく、多くの他の組織および細胞型においても見られる(Barton et al.,2008,Can.J.Physiol.Pharmacol.86:485-498)。ETは、そのN末端に、1番目および15番目のシステイン残基および3番目および11番目のシステイン残基をそれぞれ連結する2つのジスルフィド結合を有する21アミノ酸の2,400Daペプチドである。そのC末端は、疎水性アミノ酸残基を含む。そのN末端構造は、その受容体に結合するのに重要である一方、そのC末端構造は、受容体が結合する場所として重要である。ETは、3つのアイソフォーム:ET-1、ET-2およびET-3を有する。それらは、少しのアミノ酸残基が異なる。ET-1は、心血管系の生物学的機能の調節に主な役割を果たす。刺激すると、内皮細胞は、ET-1を合成し、放出する。ET-1は、主に、転写レベルで調節される。
【0003】
エンドセリン受容体(ETR)は、2つのアイソフォーム:ETARおよびETBRを有し、これらは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーに属する。刺激すると、ETARは、膜Na+/Ca2+交換輸送体(NCX)およびNa+/H+交換輸送体(NHE)を活性化して、細胞内Ca2+濃度を増加させ、筋繊維をCa2+に対して感受性にして、血管平滑筋および心筋の収縮をもたらす(Neylon,1999,Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.26:149-153)。ETARと異なり、ETBRは、主に、血管平滑筋細胞および心筋細胞を弛緩させる(Nelson et al.,2003,Nat.Rev.Cancer 3:110-113)。
【0004】
ETARは、GPCRファミリーAに属し、7つの膜貫通ドメインを有する。細胞外ドメインは、短くかつ小さく、完全長受容体の約7分の1を占めるに過ぎない一方、GPCR抗体は、その細胞外ドメインのみを標的にし得る。したがって、GPCRは、構造的特徴および天然で低い発現レベルにより、生物学的に活性な抗原を産生するのは難しい。
【0005】
肺動脈高血圧(PAH)は、肺動脈不全および心臓の血圧の代償的増加を引き起こす、肺または肺に関連した血管系の血管収縮に起因する。顕微鏡スケールで、内膜線維症、中膜肥厚、および叢状病変を含む、小肺動脈の変化があるように見え、これらは、弾性および小肺動脈のインサイチュ血栓を引き起こし、全肺血管系における血液循環抵抗を増大させる(Simonneau et al.,2004,J.Am.Coll.Cardiol.43:5S-12S;Barst et al.,2004、J.Am.Coll.Cardiol.43:40S-47S)。PAHは、身体障害または死亡の率がかなり高い疾患である。PAHは、患者の健康に深刻な影響を与え、社会にかなりの負担を課す深刻な疾患である。
【0006】
PAHの重症度は、関連する心臓奇形の程度に依存し、二次的PAHをもたらす一般的な先天性心臓異常としては、大動脈弁狭窄症、大動脈肺動脈窓、心房中隔欠損、完全型房室中隔欠損、動脈縮窄、拡張型心筋症、両大血管右室起始症、肥大型心筋症、僧帽弁狭窄症、動脈管開存症、単心室、総動脈幹遺残症、および心室中隔欠損が挙げられる。PAHは、主に、肺動脈および右心に影響を与え、右心室肥大、右心房拡張、肺動脈幹の拡張、およびまばらな周囲の肺細動脈を引き起こす。肺細動脈の内皮および平滑筋細胞の肥大は、内膜線維症、中膜肥厚、内腔狭窄、閉塞または変形、および神経叢の変化(plexus change)をもたらす。内膜線維症および内腔閉塞は、肺小静脈も冒し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ETARアンタゴニストが、エンドセリンによって引き起こされる血管圧の上昇を効果的に阻止して、PAH症状を改善し、PAH患者の運動能力および血行動態を改善することができることが示されている(Serasli et al.,2010,Recent Pat.Cardiovasc.Drug Discov.5:184-95)。本明細書において提供される抗体は、ヒトETARに特異的に結合し、動物モデルの肺動脈圧を軽減することができる。それは、動物モデルのPAHの症状を著しく改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(概要)
ETAR抗体およびその医薬組成物、例えば、ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤が、本明細書において提供される。肺動脈高血圧の1つまたは複数の症状または生殖器の癌の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法も、本明細書において提供される。
【0009】
本明細書において提供されるETAR抗体は、1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30;
b.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48;
c.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68;
d.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90;
e.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114;および
f.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136
から選択される。
【0010】
本明細書において提供されるETAR抗体と、1つまたは複数の薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物も、本明細書において提供される。
【0011】
本明細書において提供されるETAR抗体および緩衝液を含む、ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤が、本明細書において提供される。
【0012】
被験体の肺動脈高血圧の1つまたは複数の症状を処置、予防または軽減する方法であって、治療有効量の本明細書において提供される医薬組成物、例えば、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤を、被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0013】
被験体の肺動脈圧の上昇と関連する疾患の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法であって、治療有効量の本明細書において提供される医薬組成物、例えば、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤を、被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0014】
被験体の生殖器の癌の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法であって、治療有効量の本明細書において提供される医薬組成物、例えば、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤を、被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0015】
肺動脈高血圧、肺動脈圧の上昇と関連する疾患、または生殖器の癌を処置するためのキットであって、本明細書において提供される医薬組成物を含むキットが、本明細書において提供される。
【0016】
肺動脈高血圧、肺動脈圧の上昇と関連する疾患、または生殖器の癌を処置するための薬剤の製造における本明細書において提供される医薬組成物の使用が、本明細書において提供される。
【0017】
本明細書において提供されるETAR抗体をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離核酸が、本明細書において提供される。
【0018】
本明細書において提供される核酸を含む組み換え発現ベクターが、本明細書において提供される。
【0019】
本明細書において提供されるベクターを含む宿主細胞が、本明細書において提供される。
【0020】
ETAR抗体を産生するための方法であって、本明細書において提供される抗体を発現するのに好適な条件下で宿主細胞を培養することを含む方法が、本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
(図面の簡単な説明)
【
図1】CHO-DHFR-ET
AR細胞(図中でCHO-ET
ARとして表示される)に結合するハイブリドーマの上清のELISAスクリーニング結果を示す。中でも特に、ET
AR抗体A-1(配列番号138および配列番号166を含む)が、ハイブリドーマクローン15F3から得られた。
【
図2】FACSによって決定した際のヒトET
ARへの組み換えET
AR抗体(A-1、A-2(配列番号140および配列番号168を含む)、A-7(配列番号150および配列番号178を含む)、およびA-12(配列番号160および配列番号188を含む))の特異的結合を示す。灰色のピークおよび点線のピークは、陰性対照であり、点線のピークは、CHO-DHFR-に対するET
AR抗体の結合曲線を表し、実線のピークは、CHO-DHFR-ET
ARに対するET
AR抗体の結合曲線を表す。
【
図3】カルシウム流出アッセイを用いて決定した際の細胞内のET
AR媒介性Ca
2+変化に対するハイブリドーマの上清の阻害効果を示す。
【
図4】カルシウム流出アッセイを用いて決定した際のヒトET
ARの阻害に対する組み換えET
AR抗体の用量反応を示す(IC
50=37.91nM、R
2=0.97)(A-1);(IC
50=87.84nM、R
2=0.97)(A-9(配列番号154および配列番号182を含む))。
【
図5】低酸素誘発性PAHカニクイザルモデルにおける組み換えET
AR(A-1)のインビボ活性を示す。A-1は、低酸素誘発性肺動脈収縮期圧(pulmonary systolic pressure)を著しく低下させることができ、また経時的な肺動脈収縮期圧の曲線下の面積によって測定した際に96時間以内に有効であることが分かった。
【
図6】ET
AR抗体A-1(25mg/mL)の生物学的活性が、pH5.8および4℃で、20mMのクエン酸ナトリウム、140mMのアルギニン-HCl、および0.04%のTWEEN-80を含有する製剤溶液中での3ヶ月の貯蔵後にそれほど変化しなかったことを示す。
【
図7】ET
AR抗体A-1(25mg/mL)の生物学的活性が、pH5.8および25℃で、20mMのクエン酸ナトリウム、140mMのアルギニン-HCl、および0.04%のTWEEN-80を含有する製剤溶液中での3ヶ月の貯蔵後にそれほど変化しなかったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
定義
本明細書において特に定義されない限り、本明細書において示される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。一般に、薬理学、生物学、生化学、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学およびタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関連して、本明細書において示される命名法および技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。
【0023】
本明細書において示される標準的な一文字または三文字略語は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を表す。特に規定されない限り、ポリペプチド配列は、左側にそれらのアミノ末端および右側にそれらのカルボキシル末端を有し、一本鎖核酸配列および二本鎖核酸配列の上鎖(top strand)は、左側にそれらの5’末端および右側にそれらの3’末端を有する。ポリペプチドの特定の部分は、アミノ酸80~130などのアミノ酸残基数によって、またはLys80~Lys130などの対応する実際の残基と組み合わせて示され得る。特定のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、参照配列との相違を示すことによって表すこともできる。
【0024】
「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語はそれぞれ、ペプチド結合によって互いに結合された2つ以上のアミノ酸残基を含む分子を指す。これらの用語は、例えば、天然および人工タンパク質、タンパク質フラグメントおよびタンパク質配列のポリペプチド類似体(突然変異タンパク質、変異体、および融合タンパク質など)ならびに翻訳後、あるいは共有結合的にまたは非共有結合的に修飾されたタンパク質を包含する。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、モノマーまたはポリマーであり得る。
【0025】
「ポリペプチドフラグメント」という用語は、対応する完全長タンパク質と比較して、アミノ末端および/またはカルボキシル末端欠失を有するポリペプチドを指す。フラグメントは、例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、70、80、90、100、150または200アミノ酸長であり得る。フラグメントはまた、例えば、多くとも1,000、750、500、250、200、175、150、125、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、14、13、12、11、または10アミノ酸長であり得る。フラグメントは、その末端のいずれかまたは両方において、1つまたは複数のさらなるアミノ酸、例えば、異なる天然タンパク質からのアミノ酸の配列(例えば、Fcまたはロイシンジッパードメイン)または人工アミノ酸配列(例えば、人工リンカー配列)をさらに含み得る。
【0026】
本開示のポリペプチドは、任意の方法および任意の理由で、例えば、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させ、(2)酸化に対する感受性を低下させ、(3)タンパク質複合体を形成するように感受性を改変し、(4)結合親和性を改変し、(4)他の物理化学的または機能的特性を与え、調節するように修飾されたポリペプチドを含む。類似体は、ポリペプチドの突然変異タンパク質を含む。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)は、天然配列中で行われ得る(例えば、分子間接触を形成するドメインの外部のポリペプチドの部分において)。「保存的アミノ酸置換」は、親配列の構造的特徴を実質的に変化させないものである(例えば、アミノ酸の置換は、親配列に存在するヘリックスを破壊すべきでなく、または親配列を特徴付けるかもしくはその機能性のために必要とされる他のタイプの二次的な構造を破壊すべきでない)。
【0027】
ポリペプチドの「変異体」は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、別のポリペプチド配列と比べて、そのアミノ酸配列に挿入され、それから欠失されおよび/またはそれに置換されるアミノ酸配列を含む。本開示の変異体は、融合タンパク質を含む。
【0028】
ポリペプチドの「誘導体」は、例えば、ポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、リン酸化、およびグリコシル化などの、例えば別の化学部分への結合によって化学修飾されたポリペプチドである。
【0029】
特に示されない限り、「抗体」という用語は、2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、変異体、フラグメント、および突然変異タンパク質を含み、その例は後述される。
【0030】
「抗体」は、抗原に結合する部分、および任意選択的に、抗原への抗体の結合を促進する立体配座を抗体が取るのを可能にする足場またはフレームワーク部分を含むタンパク質である。抗体の例としては、抗体、抗体フラグメント(例えば、抗体の抗原結合部分)、抗体誘導体、および抗体類似体が挙げられる。抗体は、例えば、グラフト化CDRまたはCDR誘導体を含む、代替的なタンパク質足場または人口足場を含み得る。このような足場としては、限定はされないが、例えば、抗体の三次元構造を安定させるために導入された変異を含む、抗体由来の足場、ならびに例えば、生体適合性ポリマーを含む、完全に合成の足場が挙げられる。例えば、Korndorfer et al.,2003,Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics,53:121-129;Roque et al.,2004,Biotechnol.Prog.20:639-654を参照されたい。さらに、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)、ならびに足場としてフィブロネクチン成分を用いる抗体模倣体に基づく足場が使用され得る。
【0031】
抗体は、例えば、天然免疫グロブリンの構造を有し得る。「免疫グロブリン」は、四量体分子である。天然免疫グロブリンにおいて、各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識を担う、約100~110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシル末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を画定する。ヒト軽鎖は、κおよびλ軽鎖として分類される。重鎖は、μ、δ、γ、α、またはεとして分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして抗体のアイソタイプを画定する。軽鎖および重鎖内で、可変および定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域によって結合される。重鎖は、約10以上のアミノ酸の「D」領域も含む。一般に、Fundamental Immunology,Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(あらゆる目的のために、全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。各軽/重鎖対の可変領域は、インタクトな免疫グロブリンが2つの結合部位を有するように抗体結合部位を形成する。
【0032】
天然免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域によって結合された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を示す。N末端からC末端へと、軽鎖および重鎖の両方は、領域FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各領域へのアミノ酸の割り当ては、Kabat et al.in Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication No.91-3242,1991の定義にしたがう。
【0033】
特に規定されない限り、「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン、または特異的結合についてインタクトな抗体と競合する、その抗原結合部分を指す。抗原結合部分は、組み換えDNA技術によってまたはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって産生され得る。抗原結合部分としては、特に、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体(dAb)、相補性決定領域(CDR)を含むフラグメント、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、およびポリペプチドへの特異的抗原結合を与えるのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが挙げられる。
【0034】
Fabフラグメントは、VL、VH、CLおよびCH1領域を有する一価フラグメントであり;F(ab’)2フラグメントは、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを有する二価フラグメントであり;Fdフラグメントは、VHおよびCH1領域を有し;dAbフラグメントは、VH領域、VL領域、またはVHもしくはVL領域の抗原結合フラグメントを有する(米国特許第6846634号明細書、同第6696245号明細書、米国特許出願公開第05/0202512号明細書、同第04/0202995号明細書、同第04/0038291号明細書、同第04/0009507号明細書、同第03/0039958号明細書、Ward et al.,1989,Nature 341:544-546)。
【0035】
一本鎖抗体(scFv)は、VLおよびVH領域がリンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)を介して連結されて、連続タンパク質鎖を形成する抗体であり、ここで、リンカーは、タンパク質鎖がそれ自体で折り畳まれて、一価抗原結合部位を形成するのを可能にするのに十分に長い(例えば、Bird et al.,1988,Science 242:423-26およびHuston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-83を参照)。二重特異性抗体は、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であり、ここで、各ポリペプチド鎖は、同じ鎖上の2つの領域間で対形成するのを可能にするには短過ぎ、したがって、各領域が別のポリペプチド鎖上の相補的領域と対形成するのを可能にするリンカーによって結合されたVHおよびVL領域を含む(例えば、Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-48、およびPoljak et al.,1994,Structure 2:1121-23を参照)。二重特異性抗体の2つのポリペプチド鎖が同一である場合、それらの対形成から生じる二重特異性抗体は、2つの同一の抗原結合部位を有する。異なる配列を有するポリペプチド鎖を用いて、2つの異なる抗原結合部位を有する二重特異性抗体を作製することができる。同様に、三重特異性抗体および四重特異性抗体は、それぞれ3つおよび4つのポリペプチド鎖を含み、同じかまたは異なり得る、それぞれ3つおよび4つの抗原結合部位を形成する抗体である。
【0036】
所与の抗体の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)が、Kabat et al.in Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication no.91-3242,1991によって記載されるシステムを用いて同定され得る。1つまたは複数のCDRを、共有結合的または非共有結合的に分子中に組み込んで、それを抗体にし得る。抗体は、より大きいポリペプチド鎖の一部としてCDRを組み込むことができ、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合的に連結することができ、またはCDRを非共有結合的に組み込むことができる。CDRは、抗体が、該当する特定の抗原に特異的に結合するのを可能にする。
【0037】
抗体は、1つまたは複数の結合部位を有し得る。2つ以上の結合部位がある場合、結合部位は、互いに同一であってもまたは異なっていてもよい。例えば、天然ヒト免疫グロブリンは、典型的に、2つの同一の結合部位を有する一方、「二重特異性」または「二機能性」抗体は、2つの異なる結合部位を有する。
【0038】
「マウス抗体」という用語は、マウス免疫グロブリン配列に由来する1つまたは複数の可変および定常領域を有する全ての抗体を含む。
【0039】
「ヒト化抗体」という用語は、マウス抗体分子の相補性決定領域配列を、ヒト抗体可変領域フレームワークにグラフトすることによって産生される抗体を指す。
【0040】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、または「抗体結合部位」という用語は、抗原と相互作用し、抗原に対する抗体の特異性および親和性に寄与するアミノ酸残基(または他の部分)を含む抗体の部分である。それらの抗原に特異的に結合する抗体については、これは、そのCDR領域の少なくとも1つの少なくとも一部を含む。
【0041】
「エピトープ」という用語は、抗体によって(例えば、抗体によって)結合される分子の部分である。エピトープは、分子の非隣接部分(例えば、ポリペプチドにおいて、ポリペプチドの一次配列において隣接していないが、ポリペプチドの三次および四次構造に関して、抗体によって互いに結合されるのに十分に近いアミノ酸残基)を含み得る。
【0042】
2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の「同一性パーセント」は、そのデフォルトパラメータを用いて、GAPコンピュータプログラム(GCG Wisconsin Package,version 10.3(Accelrys,San Diego,Calif.)の一部)を用いて配列を比較することによって決定される。
【0043】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」という用語は、全体を通して同義的に使用され、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体(例えば、ペプチド核酸および非天然ヌクレオチド類似体)を用いて生成されるDNAまたはRNAの類似体、ならびにそれらのハイブリッドを含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得る。一実施形態において、本発明の核酸分子は、本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体、突然変異タンパク質、もしくは変異体をコードする隣接オープンリーディングフレームを含む。
【0044】
2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、ギャップを導入せず、いずれの配列の5’または3’末端においても対形成しないヌクレオチドを含まずに、一方のポリヌクレオチド中の全てのヌクレオチドが、他方のポリヌクレオチド中のその相補的ヌクレオチドと反対であるように、それらの配列が逆平行配向で整列可能である場合、互いに「相補的」である。ポリヌクレオチドは、2つのポリヌクレオチドが、中程度にストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズし得る場合、別のポリヌクレオチドに「相補的」である。したがって、ポリヌクレオチドは、その補体でなくても、別のポリヌクレオチドに相補的であり得る。
【0045】
「ベクター」という用語は、それに連結された別の核酸を、細胞内に導入するのに使用され得る核酸である。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、これは、さらなる核酸セグメントを連結可能な直鎖状または環状二本鎖DNA分子を指す。ベクターの別のタイプは、ウイルスベクター(例えば、複製不全レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)であり、ここで、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノム内に導入され得る。特定のベクターは、それらが導入された宿主細胞において自己複製可能である(例えば、細菌複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入によって宿主細胞のゲノム内に組み込まれ、それによって、宿主ゲノムとともに複製される。「発現ベクター」は、選択されたポリヌクレオチドの発現を指令し得るベクターのタイプである。
【0046】
ヌクレオチド配列は、制御配列がヌクレオチド配列の発現(例えば、発現のレベル、時期、または位置)に影響を及ぼす場合、制御配列に「操作可能に連結される」。「制御配列」は、それが操作可能に連結される核酸の発現(例えば、発現のレベル、時期、または位置)に影響を及ぼす核酸である。制御配列は、例えば、制御される核酸に対して直接、または1つまたは複数の他の分子(例えば、制御配列および/または核酸に結合するポリペプチド)の作用を介して、その効果を発揮し得る。制御配列の例としては、プロモータ、エンハンサーおよび他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)が挙げられる。制御配列のさらなる例が、例えば、Goeddel,1990,Gene Expression Technology:Methods in EnZymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.およびBaron et al.,1995,Nucleic Acids Res.23:3605-06に記載されている。
【0047】
「宿主細胞」という用語は、核酸、例えば、本発明の核酸を発現するのに使用され得る細胞である。宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌(E.coli)であり得るか、またはそれは、真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母または他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)またはハイブリドーマであり得る。典型的に、宿主細胞は、宿主細胞において後に発現され得るポリペプチドコード核酸で形質転換またはトランスフェクトされ得る培養細胞である。「組み換え宿主細胞」という語句は、発現される核酸で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を示すのに使用され得る。宿主細胞はまた、核酸を含むが、制御配列が、核酸と操作可能に連結されるように宿主細胞中に導入されない限り、所望のレベルでその核酸を発現しない細胞であり得る。宿主細胞という用語が、特定の被験体の細胞だけでなく、このような細胞の子孫または潜在的な子孫も指すことが理解される。例えば、突然変異または環境的影響のため、続く世代で特定の修飾が起こり得るため、このような子孫は、実際に、親細胞と同一でないことがあるが、なお、本明細書において使用される際、この用語の範囲内に含まれる。
【0048】
エンドセリン受容体
エンドセリンA受容体(ETAR)は、ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を介して1つまたは複数の細胞内シグナル伝達経路に結合される7-膜貫通受容体のファミリーAに属する(Jelinek et al.,1993,Science 259:1614-1616、Segre et al.,1993,Trends Endocrinol.Metab.4:309-314)。本明細書において使用される際、「エンドセリン受容体」および「ETAR」は、同義的に使用される。
【0049】
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、細胞において発現される際に膜結合エンドセリン受容体に結合し、エンドセリン受容体を介してエンドセリンシグナル伝達を阻害または阻止するように選択され得る。一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、ヒトエンドセリン受容体に特異的に結合する。さらなる実施形態において、ヒトエンドセリン受容体に結合する抗体はまた、他の種、例えば、ラットのエンドセリン受容体に結合し得る。以下の例は、ヒト膜結合エンドセリン受容体に結合し、さらなる実施形態において、他の種のエンドセリン受容体に結合するマウス抗体を生成する一方法を提供する。
【0050】
エンドセリン受容体のいくつかの種のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列が知られている。配列番号1~配列番号6は、ヒト、サル、およびラットの配列を示す。配列データは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のGeneBankデータベースから入手した。
【0051】
エンドセリンA受容体:
ヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))ポリヌクレオチド(配列番号1);受託番号:S63938。
ヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))アミノ酸(配列番号2);受託番号:AAB20278。
カニクイザル(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))ポリヌクレオチド(配列番号3);受託番号:JV635771。
カニクイザル(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))アミノ酸(配列番号4);受託番号:AFJ71111。
ラット(ドブネズミ(Rattus norvegicus))ポリヌクレオチド(配列番号5);受託番号:M60786。
ラット(ドブネズミ(Rattus norvegicus))アミノ酸(配列番号6);受託番号:AAA41114。
【0052】
エンドセリン受容体A(ETAR)抗体
一実施形態において、ETAR抗体(例えば、完全長抗体、抗体フラグメント、抗体誘導体、抗体変異体、および抗体突然変異タンパク質)が、本明細書において提供される。
【0053】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30;
b.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48;
c.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68;
d.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90;
e.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114;および
f.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136
から選択される。
【0054】
表1は、本明細書において提供されるETAR抗体の軽鎖CDRアミノ酸配列、ならびにそれらのポリヌクレオチドコード配列を列挙している。表2は、本明細書において提供されるETAR抗体の重鎖CDRアミノ酸配列、ならびにそれらのポリヌクレオチドコード配列を列挙している。
【0055】
【0056】
【0057】
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、5、4、3、2または1つのアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、表1および表2に列挙されるCDR配列と異なる配列を含む。別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、4、3、2または1つのアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、表1および表2に列挙されるCDR配列と異なる配列を含む。さらに別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、3、2または1つのアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、表1および表2に列挙されるCDR配列と異なる配列を含む。さらに別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、2または1つのアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、表1および表2に列挙されるCDR配列と異なる配列を含む。さらに別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、1つのアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、表1および表2に列挙されるCDR配列と異なる配列を含む。
【0058】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体(ETAR-1抗体)は、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30;および
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90
から選択される。
【0059】
一態様において、ETAR-1抗体は、1または2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48;および
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114
から選択される。
【0060】
別の態様において、ETAR-1抗体は、1または2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68;および
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136
から選択される。
【0061】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体(ETAR-2抗体)は、1または2アミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48;および
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114
から選択される。
【0062】
一態様において、ETAR-2抗体は、1または2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a 軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30;および
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90
から選択される。
【0063】
別の態様において、ETAR-2抗体は、1または2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68;および
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136
から選択される。
【0064】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体(ETAR-3抗体)は、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68;および
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136
から選択される。
【0065】
一態様において、ETAR-3抗体は、1または2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a 軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30;および
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90
から選択される。
【0066】
別の態様において、ETAR-3抗体は、1または2つのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48;および
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114
から選択される。
【0067】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、
a.以下のリスト:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30から独立して選択される軽鎖CDR1アミノ酸配列;
b.以下のリスト:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48から独立して選択される軽鎖CDR2アミノ酸配列;
c.以下のリスト:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68から独立して選択される軽鎖CDR3アミノ酸配列;
d.以下のリスト:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90から独立して選択される重鎖CDR1アミノ酸配列;
e.以下のリスト:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114から独立して選択される重鎖CDR2アミノ酸配列;および
f.以下のリスト:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136から独立して選択される重鎖CDR3アミノ酸配列
を含む。
【0068】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、以下のリスト:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68から独立して選択される軽鎖CDR3アミノ酸配列を含む。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、以下のリスト:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136から独立して選択される重鎖CDR3アミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態において、ETAR抗体は、以下のリスト:配列番号50対配列番号116、配列番号62対配列番号128、配列番号62対配列番号130、配列番号64対配列番号132、配列番号66対配列番号134、および配列番号68対配列番号136から独立して選択される軽鎖および重鎖CDR3アミノ酸配列の組合せを含む。
【0069】
別の実施形態において、ETAR抗体は、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列:配列番号138(L1)、配列番号140(L2)、配列番号142(L3)、配列番号144(L4)、配列番号146(L5)、配列番号148(L6)、配列番号150(L7)、配列番号152(L8)、配列番号154(L9)、配列番号156(L10)、配列番号158(L11)、配列番号160(L12)、配列番号162(L13)、配列番号164(L14)および上に列挙されるアミノ酸配列の1つと少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列;
および
b.重鎖可変ドメインのアミノ酸配列:配列番号166(H1)、配列番号168(H2)、配列番号170(H3)、配列番号172(H4)、配列番号174(H5)、配列番号176(H6)、配列番号178(H7)、配列番号180(H8)、配列番号182(H9)、配列番号184(H10)、配列番号186(H11)、配列番号188(H12)、配列番号190(H13)、および配列番号192(H14)、および上に列挙されるアミノ酸配列の1つと少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列
から選択される。
【0070】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体のポリヌクレオチドコード配列は、1または2つのポリヌクレオチド配列を含み、ここで、各ポリヌクレオチド配列が、独立して、以下に列挙されるポリヌクレオチド配列:
a.軽鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列:配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、および上に列挙されるポリヌクレオチド配列の1つと少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるポリヌクレオチド配列、および
b.重鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列:配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、および上に列挙されるポリヌクレオチド配列の1つと少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるポリヌクレオチド配列
から選択される。
【0071】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、
a.以下のリスト:配列番号138(L1)、配列番号140(L2)、配列番号142(L3)、配列番号144(L4)、配列番号146(L5)、配列番号148(L6)、配列番号150(L7)、配列番号152(L8)、配列番号154(L9)、配列番号156(L10)、配列番号158(L11)、配列番号160(L12)、配列番号162(L13)、配列番号164(L14)から独立して選択される軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列、および上に列挙されるアミノ酸配列の1つと少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列、および
b.以下のリスト:配列番号166(H1)、配列番号168(H2)、配列番号170(H3)、配列番号172(H4)、配列番号174(H5)、配列番号176(H6)、配列番号178(H7)、配列番号180(H8)、配列番号182(H9)、配列番号184(H10)、配列番号186(H11)、配列番号188(H12)、配列番号190(H13)、配列番号192(H14)から独立して選択される重鎖可変ドメインのアミノ酸配列、および上に列挙されるアミノ酸配列の1つと少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0072】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、
a.以下のリスト:配列番号138(L1)、配列番号140(L2)、配列番号142(L3)、配列番号144(L4)、配列番号146(L5)、配列番号148(L6)、配列番号150(L7)、配列番号152(L8)、配列番号154(L9)、配列番号156(L10)、配列番号158(L11)、配列番号160(L12)、配列番号162(L13)、および配列番号164(L14)から独立して選択される軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列、および
b.以下のリスト:配列番号166(H1)、配列番号168(H2)、配列番号170(H3)、配列番号172(H4)、配列番号174(H5)、配列番号176(H6)、配列番号178(H7)、配列番号180(H8)、配列番号182(H9)、配列番号184(H10)、配列番号186(H11)、配列番号188(H12)、配列番号190(H13)、および配列番号192(H14)から独立して選択される重鎖可変ドメインのアミノ酸配列
を含む。
【0073】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、以下のリスト:配列番号138および配列番号166(L1H1)、配列番号140および配列番号168(L2H2)、配列番号142および配列番号170(L3H3)、配列番号144および配列番号172(L4H4)、配列番号146および配列番号174(L5H5)、配列番号148および配列番号176(L6H6)、配列番号150および配列番号178(L7H7)、配列番号152および配列番号180(L8H8)、配列番号154および配列番号182(L9H9)、配列番号156および配列番号184(L10H10)、配列番号158および配列番号186(L11H11)、配列番号160および配列番号188(L12H12)、配列番号162および配列番号190(L13H13)、および配列番号164および配列番号192(L14H14)から独立して選択される、軽鎖および重鎖可変ドメインのアミノ酸配列の組合せを含む。
【0074】
本明細書において提供されるETAR抗体は、「LxHy」の名称を用いて示すこともでき、ここで、「x」が、軽鎖可変領域の配列番号に対応し、「y」が、重鎖可変領域の配列番号に対応する。例えば、L2H1は、配列番号140(L2)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号166(H1)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する抗体を指す。
【0075】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、L1~L14から選択される軽鎖可変ドメインまたはH1~H14から選択される重鎖可変ドメイン、およびそのフラグメント、誘導体、突然変異タンパク質、または変異体を含む。
【0076】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、以下のリスト:配列番号138および配列番号166、配列番号150および配列番号178、配列番号152および配列番号180、配列番号154および配列番号182、配列番号156および配列番号184、配列番号158および配列番号186、配列番号160および配列番号188、配列番号162および配列番号190、および配列番号164および配列番号192から独立して選択される、軽鎖および重鎖CDR3アミノ酸配列の組合せを含む。
【0077】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列 配列番号138または重鎖可変ドメインアミノ酸配列 配列番号166を含む。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列 配列番号138および重鎖可変ドメインアミノ酸配列 配列番号166の組合せを含む。
【0078】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、定常ドメインのアミノ酸配列をさらに含み、ここで、定常ドメインのアミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖定常ドメインアミノ酸配列:配列番号194および配列番号196;および
b.重鎖定常ドメインアミノ酸配列:配列番号198
から選択される。
【0079】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、定常ドメインアミノ酸配列をさらに含み、ここで、各定常ドメインアミノ酸配列が、独立して、以下に列挙される軽鎖および重鎖定常ドメインアミノ酸配列の組合せ:
a.軽鎖定常ドメインアミノ酸配列 配列番号194および重鎖定常ドメインアミノ酸配列 配列番号198の組合せ;および
b.軽鎖定常ドメインアミノ酸配列 配列番号196および重鎖定常ドメインアミノ酸配列 配列番号198の組合せ
から選択される。
【0080】
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、上に示される軽鎖および重鎖CDRおよびFR(フレームワーク)のアミノ酸配列を含む。一実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖CDR1配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖CDR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖CDR3配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される重鎖CDR1配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される重鎖CDR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される重鎖CDR3配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖FR1配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖FR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖FR3配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖FR4配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される重鎖FR1配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される重鎖FR2配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される重鎖FR3配列を含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される重鎖FR4配列を含む。
【0081】
一実施形態において、抗体のCDR3配列は、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、上に示される軽鎖および重鎖CDR3配列の配列番号50および配列番号116の組合せと異なる。別の実施形態において、抗体の軽鎖CDR3配列は、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、上に示される軽鎖CDR3配列の配列番号50と異なる。別の実施形態において、抗体の軽鎖CDR3配列は、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、上に示される軽鎖CDR3配列の配列番号50と異なり、抗体の重鎖CDR3配列は、6、5、4、3、2または1以下のアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、上に示される重鎖CDR3配列の配列番号116または配列番号118と異なる。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖および重鎖CDR配列の1、2、3、4、5または6つの組合せをさらに含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖および重鎖CDR配列の1、2、3、4、5または6つの組合せをさらに含み、ここで、各配列が、独立して、6、5、4、3、2または1つのアミノ酸付加、置換、および/または欠失が、軽鎖および重鎖CDR3配列の配列番号50および配列番号116の組合せと異なる。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖可変領域のCDRおよび重鎖可変領域のCDRを含む。別の実施形態において、抗体は、上に示される軽鎖および重鎖CDR配列の1、2、3、4、5、および/または6つの組合せを含む。
【0082】
一実施形態において、抗体(抗体または抗体フラグメントなど)は、上に示される軽鎖可変ドメインL1のアミノ酸配列を含む。一実施形態において、軽鎖可変ドメインの配列は、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1つのアミノ酸欠失、挿入、または置換が、軽鎖可変ドメインL1の配列と異なる。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインは、軽鎖可変ドメインL1の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列は、L1のポリヌクレオチドコード配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%同一であるヌクレオチドコード配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列は、軽鎖可変ドメインL1のポリヌクレオチドコード配列の補体に中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列は、軽鎖可変ドメインL1のポリヌクレオチドコード配列の補体とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。
【0083】
一実施形態において、抗体(抗体または抗体フラグメントなど)は、上に示される重鎖可変ドメインH1のアミノ酸配列を含む。一実施形態において、重鎖可変ドメインの配列は、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1つのアミノ酸欠失、挿入、または置換が、重鎖可変ドメインH1の配列と異なる。別の実施形態において、重鎖可変ドメインは、重鎖可変ドメインH1の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列は、H1のポリヌクレオチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列は、重鎖可変ドメインH1のポリヌクレオチドコード配列の補体と中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列は、重鎖可変ドメインH1のポリヌクレオチドコード配列の補体とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。
【0084】
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13またはL14H14;またはそのアイソタイプ(例えば、IgA、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgE、またはIgD)またはそのFabもしくはF(ab’)2フラグメントの組合せを含む。
【0085】
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、L1H1、またはその変換アイソタイプ抗体(例えば、IgA、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgE、またはIgD)またはそのFabもしくはF(ab’)2フラグメントの組合せを含む抗体を含む。
【0086】
本明細書において提供される抗体(例えば、抗体、抗体フラグメント、および抗体誘導体)は、当該技術分野において公知の任意の定常領域を含み得る。軽鎖定常領域は、例えば、κ-またはλ-型軽鎖定常領域、例えば、マウスκ-またはλ-型軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、α-、δ-、ε-、γ-、またはμ-型重鎖定常領域、例えば、マウスα-、δ-、ε-、γ-、またはμ-型重鎖定常領域であり得る。一実施形態において、軽鎖または重鎖定常領域は、天然定常領域のフラグメント、誘導体、変異体、または突然変異タンパク質である。
【0087】
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、定常軽鎖κまたはλ領域またはそのフラグメントをさらに含む。軽鎖定常領域配列およびそのポリヌクレオチドコード配列は、以下のように提供される:
軽鎖定常領域:
ポリヌクレオチド(κ)、(配列番号193);アミノ酸(κ)、(配列番号194)
ポリヌクレオチド(λ)、(配列番号195);アミノ酸(λ)、(配列番号196)
【0088】
別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、重鎖定常領域またはそのフラグメントをさらに含む。重鎖定常領域配列およびそのポリヌクレオチドコード配列は、以下のように提供される:
ポリヌクレオチド(IgG1)、(配列番号197);アミノ酸(IgG1)、(配列番号198)
【0089】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、マウス抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、抗原結合抗体フラグメント、一本鎖抗体、二重鎖抗体、三重鎖抗体、四重鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)xフラグメント、ドメイン抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、およびIgG4抗体から選択される。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、ETARモノクローナル抗体である。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、マウスETAR抗体である。本明細書において提供されるETAR抗体は、ヒト化ETAR抗体である。
【0090】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、モノクローナル抗体A-1(配列番号138および配列番号166を含む)、A-7(配列番号150および配列番号178を含む)、A-8(配列番号152および配列番号180を含む)、A-9(配列番号154および配列番号182を含む)、A-10(配列番号156および配列番号184を含む)、A-11(配列番号158および配列番号186を含む)、A-12(配列番号160および配列番号188を含む)、A-13(配列番号162および配列番号190を含む)、またはA-14(配列番号164および配列番号192を含む)である。
【0091】
抗体および抗体フラグメント
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、完全長抗体(完全長重鎖および/または軽鎖を有するポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化またはヒト抗体を含む)である。別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、抗体フラグメント、例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、Fv、Fc、またはFdフラグメントであり、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、マキシボディ(maxibodies)、ミニボディ(minibodies)、イントラボディ(intrabodies)、二重鎖抗体、三重鎖抗体、四重鎖抗体、v-NARおよびビス-scFvに組み込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,2005,Nature Biotechnology,23,9,1126-1136を参照)。別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、フィブロネクチンポリペプチド単一特異性抗体(monobodies)を含む、米国特許第6703199号明細書に開示されるものなどの抗体ポリペプチドも含む。別の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、一本鎖ポリペプチドである、米国特許出願公開第2005/0238646号明細書に開示される他の抗体ポリペプチドも含む。
【0092】
一実施形態において、該当するモノクローナル抗体を発現する遺伝子の可変領域は、ハイブリドーマ中のヌクレオチドプライマーを用いて増幅される。これらのプライマーは、当業者によって合成され得るか、または中でも特に、VHa、VHb、VHc、VHd、CH1、VLおよびCL領域のためのプライマーを含む、マウスおよびヒト可変領域のためのプライマーを販売する市販源から購入され得る(例えば、Stratagene,La Jolla,Calif.を参照)。これらのプライマーは、それぞれIMMUNOZAP(商標)HまたはIMMUNOZAP(商標)L(Stratagene)などのベクターに後に挿入され得る重鎖または軽鎖可変領域を増幅するのに使用され得る。次に、これらのベクターは、発現のために大腸菌(E.coli)、酵母、または哺乳動物に基づく系に導入され得る。VHおよびVL領域の融合を含む大量の一本鎖タンパク質が、これらの方法を用いて産生され得る(Bird el al.,1988,Science 242:423-426を参照)。
【0093】
本発明の抗体産生細胞が、任意の上記の免疫付与および他の技術を用いて得られた後、特定の抗体の遺伝子が、本明細書に記載される標準的な手順にしたがってそれからDNAまたはmRNAを単離し、増幅することによってクローニングされ得る。それから産生された抗体は、CDRを同定するために配列を決定され得、CDRのコードDNAが、本明細書において提供される他の抗体を産生するように、上述されるように操作され得る。
【0094】
本明細書において提供される抗体は、好ましくは、本明細書に記載される細胞に基づくアッセイおよび/または本明細書に記載されるインビボアッセイにおいてエンドセリンシグナル伝達を調節し、および/または本明細書に記載される抗体の1つの結合をクロスブロックし(cross-block)、および/または本明細書に記載される抗体の1つによって結合ETARからクロスブロックされる。したがって、このような結合剤は、本明細書に記載されるアッセイを用いて同定され得る。
【0095】
特定の実施形態において、抗体は、ETARを過剰発現する細胞に結合し、および/または細胞に基づくおよび/または本明細書に記載されるインビボアッセイにおいて中和し、および/または本明細書に記載される抗体をクロスブロックし、および/または本明細書に記載される抗体の1つによって結合ETARからクロスブロックされる抗体をまず同定することによって生成される。
【0096】
抗体などの特定のタンパク質が、様々な翻訳後修飾を受けることができることが、当業者によって理解されるべきである。これらの修飾のタイプおよび程度は、タンパク質を発現するのに使用される宿主細胞系ならびに培養条件に左右されることが多い。このような修飾は、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペリジン(diketopiperizine)形成、アスパラギン酸塩異性化およびアスパラギン脱アミド化の変化を含み得る。高頻度の修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシル末端塩基性残基(リジンまたはアルギニンなど)の損失である(Harris,R.J.,1995,Journal of Chromatography 705:129-134に記載されるように)。
【0097】
マウスモノクローナル抗体の産生のための代替的な方法は、同種マウス、例えば、モノクローナル抗体を含有する腹水の形成を促進するように処理された(例えば、初回抗原刺激を受けた(pristine-primed))マウスの腹腔内にハイブリドーマ細胞を注入することである。モノクローナル抗体は、様々な確立した技術によって単離および精製され得る。このような単離技術としては、プロテイン-Aセファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる(例えば、Coligan at pages 2.7.1-2.7.12 and pages 2.9.1-2.9.3;Baines et al.,“Purification of Immunoglobulin G(IgG)”,in Methods in Molecular Biology,Vol.10,pages 79-104(The Humana Press,Inc.1992)を参照)。モノクローナル抗体は、抗体の特定の特性(例えば、重鎖または軽鎖アイソタイプ、結合特異性など)に基づいて選択される適切なリガンドを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製され得る。固体担体上に固定される好適なリガンドの例としては、プロテインA、プロテインG、および抗定常領域(軽鎖または重鎖)抗体、抗イディオタイプ抗体、およびTGF-β結合タンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体が挙げられる。
【0098】
Schier et al.,1996,J.Mol.Biol.263:551-567によって記載されるように、抗体結合部位の中心における相補性決定領域(CDR)の分子進化も、増加した親和性を有する抗体、例えば、c-erbB-2に対する増加した親和性を有する抗体を単離するのに使用されている。したがって、このような技術は、ヒトエンドセリンA受容体の抗体を調製するのに有用である。
【0099】
ヒトエンドセリンA受容体に対する抗体が、例えば、インビトロまたはインビボのいずれかで、エンドセリンA受容体の存在を検出するアッセイにおいて使用され得る。
【0100】
抗体はまた、従来の技術のいずれかによって調製され得る。例えば、抗体は、それらを天然で発現する細胞から精製され得るか(例えば、抗体は、それを産生するハイブリドーマから精製され得る)または当該技術分野において公知の任意の技術を用いて組み換え発現系において産生され得る。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.),Plenum Press,New York(1980);およびAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Land(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1988)を参照されたい。これは、以下の核酸の節において説明されている。
【0101】
抗体は、任意の公知の技術によって、調製され、所望の特性についてスクリーニングされ得る。いくつかの技術は、関連する抗体(例えば、抗ETAR抗体)のポリペプチド鎖(またはその部分)をコードする核酸の単離および核酸の操作に関連する。核酸は、別の関連する核酸と融合されるか、または1つまたは複数のアミノ酸残基を付加、削除または置換するための組み換えDNA技術(例えば、誘発突然変異または他の従来の技術)によって修飾され得る。
【0102】
上述されるCDRの1つまたは複数を含有する本発明に係る抗体の親和性を向上させることが必要とされる場合、このような抗体は、CDRの維持(Yang et al.,1995,J.Mol.Biol.,254:392-403)、鎖シャッフリング(chain shuffling)(Marks et al.,1992,Bio/Technology,10:779-783)、大腸菌(E.coli)の突然変異株の使用(Low et al.,1996,J.Mol.Biol.,250:350-368)、DNAシャッフリング(Patten et al.,1997,Curr.Opin.Biotechnol.,8:724-733)、ファージディスプレイ(Thompson et al.,1996,J.Mol.Biol.,256:7-88)およびさらなるPCR技術(Crameri et al.,1998,Nature,391:288-291)を含む、いくつかの親和性成熟プロトコルによって得られる。これらの方法または親和性成熟の全ては、Vaughan et al.,1998,Nature Biotechnology,16:535-539)に記載されている。
【0103】
一実施形態において、ETAR抗体のフラグメントが、本明細書において提供される。このようなフラグメントは、全体的に、抗体に由来する配列またはさらなる配列を含み得る。抗原結合フラグメントの例としては、Fab、F(ab’)2、一本鎖抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、およびドメイン抗体が挙げられる。他の例が、Lunde et al.,2002,Biochem.Soc.Trans.30:500-06において提供されている。
【0104】
一本鎖抗体は、単一ポリペプチド鎖を生じるように、アミノ酸架橋(短ペプチドリンカー)によって重鎖および軽鎖可変ドメイン(Fv領域)フラグメントを連結することによって形成され得る。このような一本鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(VLおよびVH)をコードするDNA間のペプチドリンカーをコードする融合DNAによって調製されている。得られるポリペプチドは、それ自体で折り畳まれて、抗原結合モノマーを形成し得るか、またはそれらは、2つの可変ドメイン間のフレキシブルリンカーの長さに応じて、多量体(例えば、二量体、三量体、または四量体)を形成し得る(Kortt et al.,1997,Prot.Eng.10:423;Kortt et al.,2001,Biomol.Eng.18:95-108)。様々なVLおよびVH含有ポリペプチドを組み合わせることによって、様々なエピトープに結合する多量体scFvが形成され得る(Kriangkum et al.,2001,Biomol.Eng.18:31-40)。一本鎖抗体の産生のために開発された技術としては、米国特許第4946778号明細書;Bird,1988,Science 242:423;Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879;Ward et al.,1989,Nature 334:544;de Graaf et al.,2002,Methods Mol.Biol.178:379-87に記載されるものが挙げられる。限定はされないが、可変ドメイン組合せL1H1を含むscFvを含む、本明細書において提供される抗体に由来する一本鎖抗体が、本発明によって包含される。
【0105】
1つの抗体に由来する複数の抗体はまた、従来の方法にしたがって、例えば、抗体のタンパク質分解的加水分解、例えば、全抗体のペプシンまたはパパイン消化によって得られる。例として、抗体フラグメントは、F(ab’)2と呼ばれるSSフラグメントを生じる、ペプシンによる抗体の酵素的切断によって、生成され得る。このフラグメントは、チオール還元剤を用いてさらに切断されて、3.5S Fab’一価フラグメントを生じ得る。任意選択的に、切断反応は、ジスルフィド結合の切断から得られるスルフヒドリル基のブロッキング基を用いて行われ得る。代替例として、パパインを用いた酵素的切断により、2つの一価FabフラグメントおよびFcフラグメントを直接生成する。これらの方法は、例えば、Goldenbergの米国特許第4331647号明細書、Nisonoffet et al.,1960,Arch.Biochem.Biophys.89:230;Porter,1959,Biochem.J.73:119;Edelman et al.,Methods in Enzymology 1:422(Academic Press 1967);およびAndrews,S.M.and Titus,J.A.in Current Protocols in Immunology(Coligan J.E.,et al.,eds),John Wiley&Sons,New York(2003),pages 2.8.1-2.8.10 and 2.10A.1-2.10A.5によって記載されている。重鎖を分離して一価軽鎖-重鎖フラグメント(Fd)を形成するなどの、抗体を切断するための他の方法、フラグメントの他の切断、または他の酵素的、化学的、または遺伝子学的技術も、フラグメントがインタクトな抗体によって認識される抗原に結合する限り、使用され得る。
【0106】
抗体フラグメントの別の形態は、抗体の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。CDRは、CDRをコードするポリヌクレオチドを構築することによって得られる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、鋳型としてmRNAまたは抗体産生細胞を用いて可変領域を合成するポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって調製される(例えば、Larrick et al.,1991,Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:106;Courtenay-Luck,“(Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies”,in Monoclonal Antibodies:Production、Engineering and Clinical Application,Ritter et al.(eds.),page 166(Cambridge University Press 1995);およびWard el al.,“Genetic Manipulation and Expression or Antibodies”,in Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Birch et al.,(eds.),page 137(Wiley-Liss,Inc.1995)を参照。抗体フラグメントは、本明細書に記載される抗体の少なくとも1つの可変領域ドメインをさらに含み得る。したがって、例えば、V領域ドメインは、モノマーおよびVHまたはVLドメインであり得、これは、後述されるように1×10-7M以下の親和性でETARに結合し得る。
【0107】
可変領域ドメインは、任意の天然可変ドメインまたはその操作された形態であり得る。操作された形態とは、組み換えDNA操作技術を用いて生成された可変領域ドメインを意味する。このような操作された形態は、例えば、または特定の抗体のアミノ酸配列におけるまたはそれに対する挿入、欠失、または変化によって、特定の抗体可変領域から生成されるものを含む。具体的な例は、第1の抗体からの少なくとも1つのCDRおよび任意選択的に1つまたは複数のフレームワークアミノ酸を含有する操作された可変領域ドメイン、および第2の抗体からの可変領域ドメインの残りの部分を含む。
【0108】
可変領域ドメインは、C末端アミノ酸において、少なくとも1つの他の抗体ドメインまたはそのフラグメントに共有結合され得る。したがって、例えば、可変領域ドメイン中に存在するVHドメインは、免疫グロブリンCH1ドメインまたはそのフラグメントに連結され得る。同様に、VLドメインは、CKドメインまたはそのフラグメントに連結され得る。このように、例えば、抗体は、Fabフラグメントであり得、ここで、抗原結合ドメインは、それらのC末端において、それぞれCH1およびCκドメインに共有結合的に連結される関連するVHおよびVLドメインを含有する。CH1ドメインは、さらなるアミノ酸で拡張されて、例えば、Fab’フラグメントに見られるようなヒンジ領域またはヒンジ領域ドメインの部分を生じるか、または抗体CH2およびCH3ドメインなどのさらなるドメインを生じ得る。
【0109】
抗体の誘導体および変異体
A-1の対応するアミノ酸配列をコードする、L1およびH1のヌクレオチド配列が、例えば、ランダム突然変異誘発によってまたは部位特異的突然変異誘発(例えば、オリゴヌクレオチド特異的部位特異的突然変異)によって改変されて、非突然変異ポリヌクレオチドと比較して、1つまたは複数の特定のヌクレオチド置換、欠失、または挿入を含む改変ポリヌクレオチドを生成し得る。このような改変を行うための技術の例が、Walder et al.,1986,Gene 42:133;Bauer et al.,1985,Gene 37:73;Craik,1985,BioTechniques,3:12-19;Smith et al.,1981,Genetic Engineering:Principles and Methods,Plenum Press;および米国特許第4518584号明細書および同第4737462号明細書に記載されている。これらのおよび他の方法が、非誘導体化抗体と比較して、所望の特性、例えば、エンドセリン受容体に対する親和性、アビディティ(avidity)、もしくは特異性またはインビボもしくはインビトロ安定性の向上、または生体内副作用の減少を有する、例えば、抗エンドセリンA受容体抗体の誘導体を作製するのに使用され得る。
【0110】
本発明の範囲内の抗エンドセリン受容体抗体の他の誘導体は、N末端またはC末端または抗エンドセリン受容体抗体ポリペプチドに融合された異種ポリペプチドを含む発現または組み換え融合タンパク質などによって、他のタンパク質またはポリペプチドとともに、共有結合的または凝集性コンジュゲートまたは抗エンドセリン受容体抗体、またはそのフラグメントを含む。例えば、共役ペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば、酵母α-因子リーダーまたはエピトープタグなどのペプチドであり得る。融合タンパク質を含有する抗体は、抗原結合タンパク質(例えば、ポリ-His)の精製または同定を促進するために加えられるペプチドを含み得る。抗体はまた、Hopp et al.,1988,Bio/Technology 6:1204、および米国特許第5011912号明細書に記載されるように、FLAGペプチドに連結され得る。FLAGペプチドは、高度に抗原性であり、特異的モノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合されるエピトープを提供し、発現された組み換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能にする。FLAGペプチドが所与のポリペプチドに融合された融合タンパク質を調製するのに有用な試薬は市販されている(Sigma,St.Louis,Mo.)。別の実施形態において、1つまたは複数の抗体を含有するオリゴマーが、エンドセリン受容体アンタゴニストとして用いられ得る。オリゴマーは、共有結合的に連結されたまたは非共有結合的に連結された二量体、三量体、またはより高次のオリゴマーの形態であり得る。2つ以上の抗体を含むオリゴマーの使用が想定され、一例はホモ二量体である。他のオリゴマーとしては、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体などが挙げられる。
【0111】
一実施形態は、抗体に融合されたペプチド部分間の共有結合的または非共有結合的相互作用を介して結合された複数の抗体を含むオリゴマーに関する。このようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサ)、またはオリゴマー形成を促進する特性を有するペプチドであり得る。ロイシンジッパーおよび抗体に由来する特定のポリペプチドは、以下により詳細に記載されるように、それに結合された抗体のオリゴマー形成を促進し得るペプチドである。
【0112】
特定の実施形態において、オリゴマーは、2~4つの抗体を含む。オリゴマーの抗体は、上述される形態のいずれか、例えば、変異体またはフラグメントなどの任意の形態であり得る。好ましくは、オリゴマーは、エンドセリン受容体結合活性を有する抗体を含む。
【0113】
一実施形態において、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを用いて調製される。抗体由来ポリペプチドの様々な部分(Fcドメインを含む)に融合された特定の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製が、例えば、Ashkenazi et al.,1991,PNAS USA 88:10535;Byrn et al.,1990,Nature 344:677;およびHollenbaugh et al.,1992 “Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins”,in Current Protocols in Immunology,Suppl.4,pages 10.19.1-10.19.11によって記載されている。本明細書において提供される一実施形態は、抗エンドセリンA受容体抗体のエンドセリン受容体結合フラグメントを、抗体のFc領域に融合することによって生成された2つの融合タンパク質を含む二量体に関する。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合を、適切な発現ベクターに挿入し、組み換え発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞において遺伝子融合を発現させ、発現された融合タンパク質に、よく似た抗体分子を組み立てさせることによって作製され得、その直後に、鎖間ジスルフィド結合が、Fc部分間に形成されて、二量体が得られる。
【0114】
本明細書において使用される際の「Fcポリペプチド」という用語は、抗体のFc領域に由来するポリペプチドの天然および突然変異タンパク質形態を含む。二量化を促進するヒンジ領域を含むこのようなポリペプチドの切断形態も含まれる。Fc部分(およびそれから形成されたオリゴマー)を含む融合タンパク質は、プロテインAまたはプロテインGカラム上でのアフィニティークロマトグラフィーによる容易な精製の利点を提供する。
【0115】
PCT出願国際公開第93/10151号パンフレット(参照により本明細書に援用される)に記載される1つの好適なFcポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のN末端ヒンジ領域から、Fc領域の天然C末端まで伸びる一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5457035号明細書およびBaum et al.,1994,EMBO J.13:3992-4001に記載されるFc突然変異タンパク質である。この突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変化されており、アミノ酸20がLeuからGluに変化されており、アミノ酸22がGlyからAlaに変化されていることを除いて、国際公開第93/10151号パンフレットに示される天然Fc配列のものと同一である。突然変異タンパク質は、Fc受容体に対する低下した親和性を示す。他の実施形態において、抗エンドセリン受容体抗体の重鎖および/または軽鎖の可変部分が、抗体重鎖および/または軽鎖の可変部分と置換され得る。
【0116】
あるいは、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサペプチド)を伴うかまたは伴わずに複数の抗体を含む融合タンパク質である。好適なペプチドリンカーの中には、米国特許第4751180号明細書および同第4935233号明細書に記載されるものがある。
【0117】
オリゴマー抗体を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を含む。ロイシンジッパードメインは、それらが見られるタンパク質のオリゴマー形成を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、元々、いくつかのDNA結合タンパク質において同定され(Landschulz et al.,1988,Science 240:1759)、それ以来、様々な異なるタンパク質において見出されている。公知のロイシンジッパーの中には、二量化または三量化する天然ペプチドおよびその誘導体がある。可溶性オリゴマータンパク質を産生するのに好適なロイシンジッパードメインの例が、PCT出願国際公開第94/10308号パンフレットに記載され、肺表面活性剤タンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーは、Hoppe et al.,1994,FEBS Letters 344:191(参照により本明細書に援用される)に記載される。それに融合された異種タンパク質の安定した三量化を可能にする修飾ロイシンジッパーの使用が、Fanslow et al.,1994,Semin.Immunol.6:267-78に記載される。一方法において、ロイシンジッパーペプチドに融合された抗エンドセリン受容体抗体フラグメントまたは誘導体を含む組み換え融合タンパク質が、好適な宿主細胞において発現され、形成された可溶性オリゴマー抗エンドセリン受容体抗体フラグメントまたは誘導体が、培養上清から回収される。
【0118】
別の実施形態において、抗体誘導体は、本明細書に開示されるCDRの少なくとも1つを含み得る。例えば、1つまたは複数のCDRは、公知の抗体フレームワーク領域(IgG1、IgG2など)に組み込まれるか、またはその半減期を増加させるために好適なビヒクルに共役され得る。好適なビヒクルとしては、限定はされないが、Fc、アルブミン、トランスフェリンなどが挙げられる。これらのおよび他の好適なビヒクルは、当該技術分野において公知である。このような共役CDRペプチドは、モノマー、二量体、四量体、または他の形態であり得る。一実施形態において、1つまたは複数の水溶性ポリマーが、1つまたは複数の特定の位置で、例えば結合剤のアミノ末端で結合される。一例において、抗体誘導体は、限定はされないが、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールを含む、1つまたは複数の水溶性ポリマー結合を含む。例えば、米国特許第4640835号明細書、同第4496689号明細書、同第4301144号明細書、同第4670417号明細書、同第4791192号明細書および同第4179337号明細書を参照されたい。特定の実施形態において、誘導体は、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール、ならびにこのようなポリマーの混合物のうちの1つまたは複数を含む。特定の実施形態において、1つまたは複数の水溶性ポリマーは、1つまたは複数の側鎖にランダムに結合される。特定の実施形態において、PEGは、抗体などの結合剤の治療的能力を向上させるように働き得る。いくつかのこのような方法が、例えば、任意の目的のために参照により本明細書に援用される米国特許第6133426号明細書において説明されている。
【0119】
抗体が結合特異性を保持する限り、本明細書において提供される抗体が、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得ることが理解されよう。したがって、抗体構造への修飾が、本発明の範囲内に包含される。これらは、抗体のヒトエンドセリン受容体結合能を破壊しない、保存的または非保存的であり得るアミノ酸置換を含み得る。保存的アミノ酸置換は、生物系における合成ではなく化学的ペプチド合成によって典型的に組み込まれる非天然アミノ酸残基を包含し得る。これらは、ペプチド模倣薬およびアミノ酸部分の他の逆または反転形態を含む。保存的アミノ酸置換はまた、その位置においてアミノ酸残基の極性または電荷に対する影響がほとんどまたは全くないように、標準的残基による天然アミノ酸残基の置換を含み得る。非保存的置換は、アミノ酸またはアミノ酸模倣体のあるクラスのメンバーを、様々な物理的特性(例えば、サイズ、極性、疎水性、電荷)を有する別のクラスからのメンバーと交換することを含み得る。
【0120】
さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基において単一のアミノ酸置換を含む、試験される変異体を生成し得る。次に、変異体は、当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングされ得る。このような変異体は、好適な変異体についての情報を収集するのに使用され得る。例えば、特定のアミノ酸残基への変化が、破壊された、望ましくないほど低下した、または不適切な活性をもたらすことが発見された場合、このような変化を有する変異体は、回避され得る。言い換えると、このような日常的な実験から収集される情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が単独でまたは他の突然変異と組み合わせて回避されるべきであるアミノ酸を容易に決定することができる。
【0121】
当業者は、周知の技術を用いて、本明細書に記載されるポリペプチドの好適な変異体を決定することができる。特定の実施形態において、当業者は、活性にとって重要でない領域を標的にすることによって、活性を破壊せずに変化され得る分子の好適な領域を特定し得る。特定の実施形態において、類似のポリペプチドの中で、残基および保存される分子の部分を特定することができる。特定の実施形態において、生物学的活性または構造にとって重要であり得る領域でも、生物学的活性を破壊せずに、またはポリペプチド構造に悪影響を与えずに保存的アミノ酸置換に供され得る。さらに、当業者は、活性または構造にとって重要である、類似のポリペプチドにおける残基を特定する構造-機能試験を検討することができる。このような比較を考慮して、類似のタンパク質における活性または構造にとって重要であるアミノ酸残基に対応する、タンパク質におけるアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、このような予測される重要なアミノ酸残基の代わりの化学的に類似したアミノ酸置換を選択し得る。
【0122】
当業者は、類似のポリペプチドにおける該当する構造に関連する三次元構造およびアミノ酸配列を分析することもできる。このような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に関して抗体のアミノ酸残基のアライメントを予測し得る。特定の実施形態において、当業者は、タンパク質の表面にあることが予測されるアミノ酸残基に根本的な変更を行わないことを選択してもよく、これは、このような残基が、他の分子との重要な相互作用に関与し得るためである。いくつかの科学出版物が、二次構造の予測をテーマにしている。Moult,1996,Curr.Op.Biotech.7:422-427;Chou et al.,1974,Biochemistry 13:222-245;Chou et al.,1974,Biochemistry 113:211-222;Chou et al.,1978,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.47:45-148;Chou et al.,1979,Ann.Rev.Biochem.47:251-276およびChou et al.,Biophys.J.26:367-384を参照されたい。さらに、二次構造を予測するのを支援するコンピュータプログラムが、現在入手可能である。例えば、30%超の配列同一性、または40%超の類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、類似の構造トポロジーを有することが多い。タンパク質構造データベース(PDB)の最近の成長は、ポリペプチドまたはタンパク質の構造内の折り畳みの潜在的な数を含む、二次構造の向上した予測可能性を提供した。Holm et al.,1999,Nucl.Acid.Res.27:244-247を参照されたい。所与のポリペプチドまたはタンパク質中に限られた数の折り畳みがあること、および臨界数の構造が決定された後、構造予測が著しく正確になることが示唆されている(Brenner et al.,1997,Curr.Op.Struct.Biol.7:369-376)。
【0123】
二次構造を予測するさらなる方法としては、「スレッディング(threading)」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377-87;Sippl et al.,1996,Structure 4:15-19)、「プロファイル分析」(Bowie et al.,1991,Science 253:164-170;Gribskov et al.,1990,Meth.Enzym.183:146-159;Gribskov et al.,1987,Proc.Nat.Acad.Sci.84:4355-4358)、および「進化学的関連性(evolutionary linkage)」(Holm、上記参照(1999)、およびBrenner、上記参照(1997)を参照)が挙げられる。特定の実施形態において、抗体の変異体は、グリコシル化変異体を含み、ここで、グリコシル化部位の数および/またはタイプが、親ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して改変されている。特定の実施形態において、変異体は、天然タンパク質より多いまたは少ない数のN-結合グリコシル化部位を含む。あるいは、置換によるこのような配列の除去は、存在するN-結合炭水化物鎖を除去する。N-結合炭水化物鎖の再配列も提供され、ここで、1つまたは複数のN-結合グリコシル化部位(典型的に、天然に存在するもの)が削除され、1つまたは複数の新しいN-結合部位が生成される。さらなる好ましい抗体変異体は、システイン変異体を含み、ここで、1つまたは複数のシステイン残基は、親アミノ酸配列と比較して、欠失されるか、または別のアミノ酸(例えば、セリン)と置換される。システイン変異体は、抗体が、例えば不溶性封入体の単離の後、生物学的に活性な立体配座に再度折り畳まれなければならない場合に有用であり得る。システイン変異体は、一般に、天然タンパク質より少ないシステイン残基を有し、典型的に、不対システインから生じる相互作用を最小限に抑えるために偶数を有する。
【0124】
(保存的かまたは非保存的かにかかわらず)所望のアミノ酸置換が、このような置換が所望されるときに当業者によって決定され得る。特定の実施形態において、アミノ酸置換が、ヒトエンドセリン受容体に対する抗体の重要な残基を同定するため、または本明細書に記載されるヒトエンドセリン受容体に対する抗体の親和性を増大もしくは低下させるために使用され得る。
【0125】
特定の実施形態によれば、好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させ、(2)酸化に対する感受性を低下させ、(3)タンパク質複合体を形成するように結合親和性を改変し、(4)結合親和性を改変し、および/または(4)このようなポリペプチドにおける他の物理化学的または機能的特性を与え、調節するものである。特定の実施形態によれば、単一または複数のアミノ酸置換(特定の実施形態において、保存的アミノ酸置換)は、天然配列中で行われ得る(特定の実施形態において、分子間接触を形成するドメインの外部のポリペプチドの部分において)。特定の実施形態において、保存的アミノ酸置換は、典型的に、親配列の構造的特徴を実質的に変更することができない(例えば、置換アミノ酸は、親配列に存在するヘリックスを破壊すべきでなく、または親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を破壊すべきでない)。当該技術分野において認識されているポリペプチドの二次および三次構造の例が、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(Branden and Tooze,Eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));およびThornton et al.,1991,Nature 354:105に記載され、これらのそれぞれが、参照により本明細書に援用される。
【0126】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、ポリマー、脂質、または他の部分と化学結合され得る。
【0127】
抗原結合剤は、生体適合性フレームワーク構造に組み込まれる本明細書に記載されるCDRの少なくとも1つを含み得る。一実施形態において、生体適合性フレームワーク構造は、局在化した表面領域における抗原(例えば、CDR、可変領域など)に結合するアミノ酸の1つまたは複数の配列を提示することができる、立体配座的に安定した構造的支持体、またはフレームワーク、または足場を形成するのに十分なポリペプチドまたはその部分を含む。このような構造は、天然ポリペプチドまたはポリペプチド「折り畳み」(構造モチーフ)であり得るか、または天然ポリペプチドまたは折り畳みと比べて、アミノ酸の付加、欠失または置換などの1つまたは複数の修飾を有し得る。これらの足場は、ヒト、他の哺乳動物、他の脊椎動物、無脊椎動物、植物、細菌またはウイルスなどの任意の種の(または2つ以上の種の)ポリペプチドに由来し得る。
【0128】
典型的に、生体適合性フレームワーク構造は、免疫グロブリンドメイン以外のタンパク質足場または骨格に基づいている。例えば、フィブロネクチン、アンキリン、リポカリン、ネオカルジノスタチン、シトクロムb、CP1ジンクフィンガー、PST1、コイルドコイル、LACI-D1、Zドメインおよびテンダミスタットドメインに基づくものが使用され得る(例えば、Nygren and Uhlen,1997,Current Opinion in Structural Biology 7:463-469を参照)。
【0129】
さらに、当業者は、好適な結合剤が、本明細書に具体的に開示される重鎖CDR1、CDR2、CDR3、軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3のうちの1つまたは複数などの、これらの抗体の部分を含むことを認識するであろう。重鎖CDR1、CDR2、CDR3、CDR1、CDR2およびCDR3の領域の少なくとも1つは、抗体が非置換CDRの結合特異性を保持する限り、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。抗体の非CDR部分は、非タンパク分子であり得、ここで、結合剤は、ヒトエンドセリン受容体に対する本明細書に開示される抗体の結合をクロスブロックし、および/または受容体を介したエンドセリン-1シグナル伝達の活性を阻害する。抗体の非CDR部分は、非タンパク分子であり得、ここで、抗体は、競合結合アッセイにおいてヒトエンドセリン受容体ペプチドへの、抗体A1/A2の少なくとも1つによって示されるものと類似の結合パターンを示し、および/またはエンドセリン-1の活性を中和する。抗体の非CDR部分は、アミノ酸から構成され得、ここで、抗体は、組み換え結合タンパク質または合成ペプチドであり、組み換え結合タンパク質は、ヒトETARへの本明細書に開示される抗体の結合をクロスブロックし、および/またはインビトロまたはインビボでエンドセリン-1活性を中和する。抗体の非CDR部分は、アミノ酸から構成され得、ここで、抗体は、組み換え抗体であり、組み換え抗体は、競合結合アッセイにおいてヒトETARペプチドへの、抗体A1/A2の少なくとも1つによって示されるものと類似の結合パターンを示し、および/またはエンドセリン-1シグナル伝達を中和する。
【0130】
核酸
一態様において、本発明は、本明細書において提供される抗体をコードする単離核酸分子を提供する。核酸は、例えば、抗体の全てまたは部分、例えば、本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体、突然変異タンパク質、もしくは変異体の一方または両方の鎖をコードするポリヌクレオチド;ハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド;ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、突然変異させ、または増幅するためのPCRプライマーまたはシーケンシングプライマー;ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、および上記のものの相補的配列を含む。核酸は、任意の長さであり得る。核酸は、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000またはそれ以上のヌクレオチド長であり得、および/または1つまたは複数のさらなる配列、例えば、制御配列を含み得、および/またはより大きい核酸、例えば、ベクターの一部であり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得、RNAおよび/またはDNAヌクレオチド、およびその人工変異体(例えば、ペプチド核酸)を含み得る。
【0131】
抗体ポリペプチド(例えば、重鎖または軽鎖、可変ドメインのみ、または完全長)をコードする核酸は、ETAR抗原で免疫付与されたマウスのB細胞から単離され得る。核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によって単離され得る。
【0132】
重鎖および軽鎖可変領域の可変領域をコードする核酸配列が上に示される。当業者は、遺伝暗号の縮重により、本明細書に開示されるポリペプチド配列のそれぞれが、多数の他の核酸配列によってコードされることを理解するであろう。本発明は、本発明の各抗体をコードする各縮重ヌクレオチド配列を提供する。
【0133】
本発明は、特定のハイブリダイゼーション下で他の核酸(例えば、A-1/A-2のいずれかのヌクレオチド配列を含む核酸)にハイブリダイズする核酸をさらに提供する。核酸をハイブリダイズさせるための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6を参照されたい。本明細書において定義されるように、例えば、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)、約50%のホルムアミドのハイブリダイゼーション緩衝液、6×SSCを含有する予洗(prewashing)溶液、および55℃のハイブリダイゼーション温度(または42℃のハイブリダイゼーション温度で、約50%のホルムアミドを含有するものなどの他の類似のハイブリダイゼーション溶液)、および0.5×SSC、0.1%のSDS中で、60℃の洗浄条件を使用する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、45℃で6×SSC中でハイブリダイズし、続いて、68℃で0.1×SSC、0.2%のSDS中で1回以上洗浄する。さらに、当業者は、互いに少なくとも65、70、75、80、85、90、95、98または99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、典型的に、互いにハイブリダイズされたままであるように、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増大または低下させるように、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作することができる。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を与える基本的パラメータおよび好適な条件を考案するための指針は、例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11;およびCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,Eds.,John Wiley&Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3-6.4)によって記載されており、例えば、DNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。変化が、突然変異によって、核酸に導入され得、それによって、それがコードするポリペプチド(例えば、抗体)のアミノ酸配列の変化をもたらす。突然変異が、当該技術分野において公知の任意の技術を用いて導入され得る。一実施形態において、1つまたは複数の特定のアミノ酸残基が、例えば、部位特異的突然変異誘発プロトコルを用いて変化される。別の実施形態において、1つまたは複数のランダムに選択された残基が、例えば、ランダム突然変異誘発プロトコルを用いて変化される。それがいかに作製されても、突然変異体ポリペプチドは、発現され、所望の特性についてスクリーニングされ得る。
【0134】
突然変異が、それがコードするポリペプチドの生物学的活性をそれほど変更せずに、核酸に導入され得る。例えば、ヌクレオチド置換を行って、非必須アミノ酸残基におけるアミノ酸置換をもたらし得る。一実施形態において、L1~L2およびH1~H2について本明細書において提供されるヌクレオチド配列、またはそのフラグメント、変異体、もしくは誘導体は、それらが、2つ以上の異なるアミノ酸残基を有する配列を生じるように、アミノ酸残基の1つまたは複数の欠失または置換を含む、L1~L2およびH1~H2について本明細書において提供されるアミノ酸配列をコードするように突然変異される。別の実施形態において、突然変異誘発は、2つ以上の異なるアミノ酸残基を有する配列を生じるように、L1~L2およびH1~H2について本明細書に示される1つまたは複数のアミノ酸残基に隣接するアミノ酸を挿入する。あるいは、1つまたは複数の突然変異が、核酸に導入され得、この核酸が、それがコードするポリペプチドの生物学的活性(例えば、ETARへの結合)を選択的に変化させる。例えば、突然変異が、生物学的活性を定量的にまたは定性的に変化させ得る。定量的変化の例は、活性を増大させ、低下させ、またはなくすことを含む。定性的変化の例は、抗体の抗原特異性を変化させることを含む。
【0135】
別の態様において、本発明は、本発明の核酸配列の検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに好適な核酸分子を提供する。本発明の核酸分子は、本発明の完全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみ、例えば、プローブまたはプライマーとして使用され得るフラグメントまたは本発明のポリペプチドの活性部分(例えば、ETAR結合部分)をコードするフラグメントを含み得る。
【0136】
本発明の核酸の配列に基づくプローブを用いて、核酸または類似の核酸、例えば、本発明のポリペプチドをコードする転写産物を検出することができる。プローブは、標識基、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含み得る。このようなプローブを用いて、ポリペプチドを発現する細胞を同定することができる。
【0137】
別の態様において、本明細書において提供されるベクターは、本発明のポリペプチドまたはその一部をコードする核酸を含む。ベクターの例としては、限定はされないが、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクターおよび発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターが挙げられる。
【0138】
本明細書において提供される組み換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態の本発明の核酸を含み得る。組み換え発現ベクターは、発現される核酸配列に操作可能に連結される、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択される1つまたは複数の制御配列を含む。制御配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指令するもの(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモータおよびサイトメガロウイルスプロモータ)、特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を指令するもの(例えば、組織特異的制御配列、Voss et al.,1986,Trends Biochem.Sci.11:287、Maniatis et al.,1987,Science 236:1237を参照、これらのそれぞれの開示内容は、全体が参照により本明細書に援用される)、および特定の処理または条件に応答して、ヌクレオチド配列の誘導性発現を指令するもの(例えば、哺乳動物細胞におけるメタロチオネインプロモータ、および原核生物細胞系および真核生物細胞系の両方におけるtet-応答性および/またはストレプトマイシン応答性プロモータ(同文献参照)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベルなどの要因に左右され得ることが、当業者によって理解されよう。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それによって、本明細書に記載される核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチドを含む、タンパク質またはペプチドを産生し得る。
【0139】
別の態様において、本発明は、本発明の組み換え発現ベクターが導入された宿主細胞を提供する。宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。原核生物宿主細胞は、グラム陰性またはグラム陽性菌、例えば、大腸菌(E.coli)またはバシラス属(bacilli)を含む。より高等な真核生物細胞は、昆虫細胞、酵母細胞、および哺乳動物由来の樹立細胞系を含む。好適な哺乳動物宿主細胞系の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはVeggie CHOなどのそれらの誘導体および無血清培地中で増殖する関連する細胞系(Rasmussen et al.,1998,Cytotechnology 28:31を参照)またはDHFRが欠乏したCHO株DXB-11(Urlaub et al.,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-20を参照)を含む。さらなるCHO細胞系は、CHO-K1(ATCC#CCL-61)、EM9(ATCC# CRL-1861)、およびW20(ATCC# CRL-1862)を含む。さらなる宿主細胞は、サル腎臓細胞のCOS-7系(ATCC# CRL-1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175を参照)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL-163)、AM-1/D細胞(米国特許第6210924号明細書に記載される)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL-10)細胞系、アフリカミドリザル腎臓細胞系CV1に由来するCV1/EBNA細胞系(ATCC CCL-70)(McMahan et al.,1991、EMBO J.10:2821を参照)、293、293 EBNAまたはMSR 293などのヒト胚腎臓細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞系、正常な2倍体細胞、初代組織、初代移植のインビトロ培養物に由来する細胞株、HL-60、U937、HaKまたはJurkat細胞を含む。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主とともに使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターが、Pouwels et al.(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,N.Y.,1985)によって記載されている。
【0140】
ベクターDNAが、従来の形質転換またはトランスフェクション技術によって、原核生物または真核生物細胞に導入され得る。哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションについて、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、細胞のごく一部のみが、外来性DNAをそれらのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの成分を同定し、選択するために、(例えば、抗生物質に対する耐性のために)選択可能なマーカーをコードする遺伝子が、一般に、該当する遺伝子とともに宿主細胞に導入される。好ましい選択可能なマーカーは、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を与えるものを含む。導入された核酸が安定にトランスフェクトされた細胞が、他の方法の中でも特に、薬剤選択によって同定され得る(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込んだ細胞は、生存するであろうが、他の細胞は死亡する)。
【0141】
形質転換された細胞は、ポリペプチドの発現を促進する条件下で培養され得、ポリペプチドは、従来のタンパク質精製手順によって回収される。1つのこのような精製手順が、以下の実施例に記載されている。本明細書において使用することが想定されたポリペプチドは、汚染性内因性物質を実質的に含まない実質的に均一な組み換え哺乳動物抗エンドセリン受容体抗体ポリペプチドを含む。
【0142】
抗体の活性
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、エンドセリン受容体に特異的に結合し、シグナル伝達を阻害し、治療的生物学的効果、例えば、動物モデルにおける肺動脈高血圧の軽減を示す。別の実施形態において、本明細書において提供されるマウスまたはヒト化抗体は、ヒトエンドセリン受容体に特異的に結合する。このような抗体は、エンドセリンシグナル伝達を低減または中和する拮抗または中和抗体を含む。
【0143】
一実施形態において、ヒトエンドセリン受容体ETARに結合する本明細書において提供される抗体のKdは、約0.01nM~1000nM、0.1nM~500nM、0.5nM~200nM、1nM~200nM、または10nM~100nMの範囲である。別の実施形態において、ヒトエンドセリン受容体ETARに結合する本明細書において提供される抗体のKdは、約1nM~200nMである。さらに別の実施形態において、ヒトエンドセリン受容体ETARに結合する本明細書において提供される抗体のKdは、約10nM~100nMである。さらに別の実施形態において、ヒトエンドセリン受容体ETARに結合する本明細書において提供される抗体のKdは、約1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、または100nMである。
【0144】
一実施形態において、エンドセリンシグナル伝達に拮抗する本明細書において提供される抗体のIC50は、約0.01nM~500nM、0.1nM~200nM、0.5nM~200nM、1nM~200nM、または10nM~100nMの範囲である。別の実施形態において、エンドセリンシグナル伝達に拮抗する本明細書において提供される抗体のIC50は、約1nM~200nMである。さらに別の実施形態において、エンドセリンシグナル伝達に拮抗する本明細書において提供される抗体のIC50は、約10nM~100nMである。さらに別の実施形態において、エンドセリンシグナル伝達に拮抗する本明細書において提供される抗体のIC50は、約1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、または100nMである。
【0145】
一実施形態において、本明細書において提供される抗体は、ヒトエンドセリン受容体ETARに特異的に結合し、1つまたは複数の以下の特性を有する:
a.ヒトエンドセリン受容体ETARに結合する際に、参照抗体と同じKdを有すること;
b.エンドセリンによって活性化されるヒトエンドセリン受容体ETARに拮抗する際に、参照抗体と同じIC50を有すること;および
c.ヒトエンドセリン受容体ETARに対する参照抗体との交差競合的結合(cross-competing binding)。
【0146】
一態様において、参照抗体は、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列 配列番号138および重鎖可変ドメインアミノ酸配列 配列番号166の組合せを含む。別の態様において、参照抗体は、モノクローナル抗体A-1、A-2、A-7、A-9、またはA-12である。
【0147】
本明細書において使用される際、「実質的に同様」という用語は、参照抗体のIC50またはKb(またはKd)と同等であるか、または約100%、99%、98%、97%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、または50%同一であることを意味する。一実施形態において、参照抗体は、例えば、重鎖および軽鎖組合せL1H1またはL2H2を含む抗体である。別の実施形態において、参照抗体は、A-1を含む。
【0148】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体は、ヒトエンドセリン受容体に特異的に結合し、動物モデルにおいて肺動脈高血圧を低下させることができる。一実施形態において、肺動脈高血圧は、処理なしの動物と比較して約2%低下される。別の実施形態において、肺動脈高血圧は、処理なしの動物と比較して約5%低下される。さらに別の実施形態において、肺動脈圧は、処理なしの動物と比較して約10%低下される。さらに別の実施形態において、肺動脈高血圧は、処理なしの動物と比較して約15%低下される。さらに別の実施形態において、肺動脈高血圧は、処理なしの動物と比較して約20%低下される。さらに別の実施形態において、肺動脈高血圧は、処理なしの動物と比較して約25%低下される。肺動脈高血圧の低下の量は、投与量によって制御される。治療的に有効な投与量は、肺動脈高血圧を、動物またはヒト患者の正常範囲内に低下させるのに必要な投与量である。
【0149】
医薬組成物
一実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、本明細書において提供されるETAR抗体と、1つまたは複数の薬学的に許容できる担体とを含む。
【0150】
一実施形態において、ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤が、本明細書において提供される。ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、より長い生体内半減期を有して、安定かつ有効であり、肺動脈高血圧および関連疾患および生殖器の癌を有効に処置するのに使用され得る。
【0151】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、本明細書において提供されるETAR抗体および緩衝液を含む。一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤のpHは、約4~11、5~7、または5~6の範囲である。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤のpHは、約5~7である。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤のpHは、約5~6である。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤のpHは、約5.3~6.5である。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤のpHは、約5.8である。
【0152】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書において提供されるETAR抗体の濃度が、約10~500mg/mL、10~250mg/mL、10~200mg/mL、または10~100mg/mLの範囲である。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書において提供されるETAR抗体の濃度が、約10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、または100mg/mLである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書において提供されるETAR抗体の濃度が、約110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mL、150mg/mL、160mg/mL、170mg/mL、180mg/mL、190mg/mL、または200mg/mLである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書において提供されるETAR抗体の濃度が、約25mg/mL、50mg/mL、75mg/mL、または100mg/mLである。
【0153】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される緩衝液の濃度が、約1mM~200mM、2mM~50mM、または5mM~25mMの範囲である。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される緩衝液の濃度が、約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、または50mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される緩衝液の濃度が、約10mM、15mM、20mM、25mM、または30mMである。
【0154】
一実施形態において、本明細書に記載される緩衝液は、クエン酸、クエン酸の塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、グルコン酸、グルコン酸の塩、炭酸、炭酸の塩、酒石酸、酒石酸の塩、コハク酸、コハク酸の塩、酢酸、酢酸の塩、フタル酸、フタル酸の塩、リン酸、リン酸の塩、塩酸、トリス、トロメタミン、およびアミノ酸から選択される1つまたは複数を含む。別の実施形態において、本明細書に記載される緩衝液は、クエン酸の塩である。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される緩衝液は、クエン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される緩衝液は、ヒスチジンである。
【0155】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤は、界面活性剤も含む。
【0156】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される界面活性剤の濃度が、約0.001~1重量/体積パーセント、0.01~0.5重量/体積パーセント、または0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲である。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される界面活性剤の濃度が、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または0.1重量/体積パーセントである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される界面活性剤の濃度が、約0.02、0.03、0.04、0.05、または0.06重量/体積パーセントである。
【0157】
一実施形態において、本明細書に記載される界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ポリオキシエチレン蜜ろう誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、C10~C18アルキルサルフェート、平均して2~4モルの付加オキシラン基を有するポリオキシエチレンC10~C16アルキルエーテルサルフェート、C1~C18アルキルスルホサクシネートエステル塩、天然界面活性剤、スフィンゴリン脂質、およびC12~C18脂肪酸のスクロースエステルから選択される1つまたは複数である。
【0158】
別の実施形態において、本明細書に記載される界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン;グリセリン脂肪酸エステル、例えば、モノカプリル酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン;ポリグリセリン脂肪酸エステル、例えば、モノステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ここで、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートは、TWEEN-20であり、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテートは、TWEEN-40である)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ここで、ポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノオレエートは、TWEEN-80である)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ここで、ポリオキシエチレン(60)ソルビタンモノステアレートは、TWEEN-60であり、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートは、TWEEN-85であり、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートは、TWEEN-65である);ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレンモノステアリン酸グリセリル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールジステアレート;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油;ポリオキシエチレン蜜ろう誘導体、例えば、ポリオキシエチレンソルビトール蜜ろう;ポリオキシエチレンラノリン誘導体、例えば、ポリオキシエチレンラノリン;およびポリオキシエチレン脂肪酸アミド、例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド;C10~C18アルキルサルフェート、例えば、セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム;平均して2~4モルのエチレンオキシド単位が付加されたポリオキシエチレンC10~C16アルキルエーテルサルフェート、例えば、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルサルフェート;およびC1~C18アルキルスルホサクシネートエステル塩、例えば、ナトリウムラウリルスルホサクシネートエステル;および天然界面活性剤、例えば、レシチン、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質、例えば、スフィンゴミエリン、およびC12~C18脂肪酸のスクロースエステルから選択される1つまたは複数である。
【0159】
一実施形態において、本明細書に記載される界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、TWEEN-20、TWEEN-40、TWEEN-60およびTWEEN-80である。別の実施形態において、本明細書に記載される界面活性剤は、TWEEN-20またはTWEEN-80である。
【0160】
別の実施形態において、ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、アミノ酸保護剤も含む。
【0161】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載されるアミノ酸保護剤の濃度が、約1mM~500mMまたは10mM~200mMの範囲である。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載されるアミノ酸保護剤の濃度が、約10mM~200mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載されるアミノ酸保護剤の濃度が、約100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、150mM、160mM、170mM、180mM、190mM、または200mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載されるアミノ酸保護剤の濃度が、約120mM、130mM、140mM、150mM、または160mMである。
【0162】
一実施形態において、アミノ酸保護剤は、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、およびプロリンから選択される1つまたは複数である。別の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸保護剤は、ヒスチジン、アルギニン、およびグリシンから選択される1つまたは複数である。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸保護剤は、アルギニンまたはその塩である。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸保護剤は、アルギニン塩酸塩である。
【0163】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約10~200mg/mLであり;界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントであり;アミノ酸保護剤の濃度が、約10~200mMであり;緩衝液の濃度が、約1~50mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~7である。
【0164】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;アミノ酸保護剤の濃度が、約140mMであり;緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~6である。
【0165】
さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、ポリオール保護剤も含む。
【0166】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載されるポリオールの濃度が、約0.1%~50%、1%~20%、1%~15%、2%~10%、または4%~10%の範囲である。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤中で、本明細書に記載されるポリオールの濃度が、約4~10重量/体積パーセントである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤中で、本明細書に記載されるポリオールの濃度が、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10重量/体積パーセントである。
【0167】
一実施形態において、本明細書に記載されるポリオール保護剤は、ソルビトール、マンニトール、スクロース、またはトレハロースである。別の実施形態において、本明細書に記載されるポリオール保護剤は、ソルビトールまたはマンニトールである。
【0168】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETARの濃度が、約10~200mg/mLであり;界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントであり;ポリオール保護剤の濃度が、約1~20重量/体積パーセントであり;緩衝液の濃度が、約1~50mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~7である。
【0169】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約25、50、75または100mg/mLであり;界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;ポリオール保護剤の濃度が、約4~10重量/体積パーセントであり;緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~6である。
【0170】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤は、金属キレート剤も含む。
【0171】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される金属キレート剤の濃度が、約0.001mM~1mM、0.005mM~0.5mM、または0.01mM~0.2mMの範囲である。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される金属キレート剤の濃度が、約0.01mM~0.2mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される金属キレート剤の濃度が、約0.01mM、0.02mM、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、0.07mM、0.08mM、0.09mM、または0.1mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される金属キレート剤の濃度が、約0.01mM、0.02mM、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、0.07mM、0.08mM、0.09mM、または0.1mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される金属キレート剤の濃度が、約0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、または0.07mMである。
【0172】
一実施形態において、本明細書に記載される金属キレート剤は、EDTA、DTPA、またはEGTAである。別の実施形態において、本明細書に記載される金属キレート剤は、EDTAである。
【0173】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約10~200mg/mLであり;金属キレート剤の濃度が、約0.01~0.2mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントであり;アミノ酸保護剤の濃度が、約10~200mMであり;緩衝液の濃度が、約1~50mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~7である。
【0174】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;金属キレート剤の濃度が、約0.05mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;アミノ酸保護剤の濃度が、約140mMであり;緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~6である。
【0175】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約10~200mg/mLであり;金属キレート剤の濃度が、約0.01mM~0.2mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントであり;ポリオール保護剤の濃度が、約1~20重量/体積パーセントであり;緩衝液の濃度が、約1~50mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~7である。
【0176】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約25、50、または100mg/mLであり;金属キレート剤の濃度が、約0.05mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;ポリオール保護剤の濃度が、約4~10重量/体積パーセントであり;緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~6である。
【0177】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤は、酸化防止剤も含む。
【0178】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される酸化防止剤の濃度が、約0.1mM~50mM、0.5mM~20mM、または1mM~10mMの範囲である。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される酸化防止剤の濃度が、約1~10mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される酸化防止剤の濃度が、約1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、または10mMである。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、本明細書に記載される酸化防止剤の濃度が、約3mM、4mM、5mM、6mM、または7mMである。
【0179】
一実施形態において、本明細書に記載される酸化防止剤は、メチオニン、ビタミンC、チオサルフェート、チオサルフェート、またはベンジルメチオニンである。別の実施形態において、本明細書に記載される酸化防止剤は、メチオニンである。
【0180】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約10~200mg/mLであり;酸化防止剤の濃度が、約1~10mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントであり;アミノ酸保護剤の濃度が、約10~200mMであり;緩衝液の濃度が、約1~50mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~7である。
【0181】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;酸化防止剤の濃度が、約5mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;アミノ酸保護剤の濃度が、約140mMであり;緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~6である。
【0182】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約10~200mg/mLであり;酸化防止剤の濃度が、約1mM~10mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントであり;ポリオール保護剤の濃度が、約1~20重量/体積パーセントであり;緩衝液の濃度が、約1~50mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~7である。
【0183】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した溶液製剤中で、ETAR抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;酸化防止剤の濃度が、約5mMであり;界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;ポリオール保護剤の濃度が、約4~10重量/体積パーセントであり;緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、製剤のpHが、約5~6である。
【0184】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、
10~150mg/mLのETARモノクローナル抗体;
0.1mM~1mMの金属キレート剤;
0.01%~0.1%の界面活性剤;
1%~50%のポリオール保護剤または10~200mMのアミノ酸保護剤;および
5.0~7.0のpHをもたらす緩衝系
を含む。
【0185】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、
10~150mg/mLのETARモノクローナル抗体;
0.02mM~0.2mMの金属キレート剤;
0.01%~0.1%の界面活性剤;
1%~10%のポリオール保護剤または50~200mMのアミノ酸保護剤;および
5.3~6.5のpHをもたらす緩衝系
を含む。
【0186】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、
10~150mg/mLのETARモノクローナル抗体;
0~1mg/mLの金属キレート剤;
0~0.1%の界面活性剤;
0~50%のポリオール保護剤または0~200mMのアミノ酸保護剤;および
5.0~7.0のpHをもたらす緩衝系
を含む。
【0187】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、
10~150mg/mLのETARモノクローナル抗体;
0~0.1mg/mLのEDTA
0~0.1%の界面活性剤;
0~10%のポリオール保護剤または50~200mMのアミノ酸保護剤;および
5.3~6.5のpHをもたらす緩衝系
を含む。
【0188】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、水溶液である。別の実施形態において、本明細書において提供される薬剤ETAR抗体の安定した製剤は、滅菌溶液である。
【0189】
一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤の安定性が、ETAR抗体の凝集度によって決定される。一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、1、2、3、6、12、または24ヶ月間にわたって約40℃および約75%の湿度で貯蔵した後、20%、15%、10%、8%、6%、5,%、4%、3%、2%、1%、または0.1%以下の凝集ETAR抗体を含有する。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、3、6、12、または24ヶ月間にわたって室温および約65%の湿度で貯蔵した後、20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.1%以下の凝集ETAR抗体を含有する。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、6、12、18、24、36または48ヶ月間にわたって2~8℃で貯蔵した後、20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.1%以下の凝集ETAR抗体を含有する。
【0190】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤の安定性が、ETAR抗体の分解度によって決定される。一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、1、2、3、6、12または24ヶ月間にわたって約40℃および約75%の湿度で貯蔵した後、20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.1%以下のETAR抗体の分解度を有する。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、3、6、12、または24ヶ月間にわたって室温および約65%の湿度で貯蔵した後、20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.1%以下のETAR抗体の分解度を有する。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤は、6、12、18、24、36または48ヶ月間にわたって2~8℃で貯蔵した後、20%、15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.1%以下のETAR抗体の分解度を有する。
【0191】
一実施形態において、ETAR抗体の凝集およびモノマーETAR抗体の損失が、SEC-HPLCによって決定される。
【0192】
別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤の安定性が、ETAR抗体の生物学的活性の変化によって決定される。一実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤中のETAR抗体は、1、2、3、6、12または24ヶ月間にわたって約40℃および約75%の湿度で貯蔵した後、その元の生物学的活性の40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%以上の生物学的活性を有する。別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤中のETAR抗体は、3、6、12、または24ヶ月間にわたって室温および約65%の湿度で貯蔵した後、その元の生物学的活性の50%、60%、70%、80%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%以上の生物学的活性を有する。さらに別の実施形態において、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤中のETAR抗体は、6、12、18、24、36または48ヶ月間にわたって2~8℃の温度で貯蔵した後、その元の生物学的活性の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%以上の生物学的活性を有する。
【0193】
一実施形態において、ETAR抗体の生物学的活性の変化が、インビトロでETARを阻害するETAR抗体の能力を決定するためにカルシウム流出検出方法によって決定される。
【0194】
処置の方法
一実施形態において、被験体の高血圧(例えば、PAH)を低下させる方法であって、治療有効量の本明細書において提供される医薬組成物、例えば、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤を、被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0195】
別の実施形態において、被験体のPAHを処置する方法であって、治療有効量の本明細書において提供される医薬組成物、例えば、本明細書において提供されるETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤を、被験体に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
【0196】
本明細書において使用される際、「被験体」という用語は、ヒトを含む哺乳動物を指し、「患者」という用語と同義的に使用される。「処置」という用語は、疾患の少なくとも1つの症状または他の側面の軽減または予防、または疾患重症度の低下などを包含する。本明細書において提供される抗体は、有効な治療剤であるために、完治を提供し、または疾患の全ての症状または兆候を根絶する必要はない。関連分野において認識されるように、治療剤は、所与の病態の重症度を低下させ得るが、有効であるために、疾患の全ての兆候をなくす必要はない。同様に、予防薬は、有効であるために、病態の発生を完全に予防する必要はない。(例えば、その症状の数または重症度を低減することによって、または別の処置の有効性を増加させることによって、または別の有益な効果を生じることによって)疾患の影響を単に低減すること、または疾患が被験体において発生または悪化する可能性を低下されることで十分である。本発明の一実施形態は、特定の疾患の重症度を反映する指標としてベースラインに対する持続的改善を誘発するのに十分な量および時間にわたって抗体を患者に投与することを含む方法に関する。
【0197】
医薬組成物は、限定はされないが、非経口で、局所的に、または吸入によるなどの任意の好適な技術によって投与され得る。注入される場合、医薬組成物は、例えば、関節内、静脈内、筋肉内、病巣内、腹腔内または皮下経路を介して、ボーラス注入または持続注入によって投与され得る。例えば、経皮投与および埋め込み型製剤(implant)の持続放出などの疾患または損傷部位における局部的な投与が考えられる。吸入による送達としては、例えば、経鼻または経口吸入、噴霧器の使用、エアロゾル形態の抗体の吸入などが挙げられる。他の代替例としては、丸薬、シロップ、またはトローチ剤を含む経口製剤が挙げられる。
【0198】
有利には、本明細書において提供される抗体は、生理学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤などの1つまたは複数のさらなる成分を含む組成物中で投与される。組成物は、後述される1つまたは複数の生理学的に活性な薬剤をさらに含む。多くの特定の実施形態において、組成物は、本明細書において提供される1つまたは複数の抗体(例えば、マウス抗体またはヒト化抗体)に加えて、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの生理学的に活性な薬剤を含む。
【0199】
一実施形態において、医薬組成物は、好適なpHで抗体に好適な緩衝液、アスコルビン酸などの酸化防止剤、低分子量ポリペプチド(10個未満のアミノ酸を有するものなど)、タンパク質、アミノ酸、デキストリンなどの炭水化物、EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、安定剤、および賦形剤からなる群から選択される1つまたは複数の物質と一緒に、本発明のマウス抗体またはヒト化抗体を含む。適切な業界標準にしたがって、防腐剤も加えられ得る。組成物は、希釈剤として適切な賦形剤溶液を用いて、凍結乾燥物として製剤化され得る。好適な成分は、用いられる投与量および濃度でレシピエントに無害である。医薬製剤に用いられ得る成分のさらなる例が、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Ed.(1980)and 20th Ed.(2000)に示されている。本発明の1つまたは複数の抗体およびラベルまたは本明細書に記載される病態のいずれかを処置するのに使用するための他の使用説明書を含む、医師による使用のためのMack Publishing Companyキットが提供される。一実施形態において、キットは、1つまたは複数のヒト抗体の滅菌製剤を含み、これは、上に開示される組成物の形態であり得、1つまたは複数のバイアル中にあり得る。
【0200】
投与量および投与の頻度は、投与経路、用いられる具体的な抗体、処置される疾患の性質および重症度、病態が急性か慢性か、および被験体の大きさおよび全身状態などの要因に応じて変化し得る。適切な投与量は、関連技術において公知の手順によって、例えば用量漸増試験を含み得る臨床試験において決定され得る。
【0201】
本明細書において提供される抗体は、例えば、所定の期間にわたって一定の間隔で、例えば、1回または2回以上投与され得る。特定の実施形態において、マウス抗体またはヒト化抗体は、1ヶ月に少なくとも1回またはそれ以上、例えば、1、2、または3ヶ月間の期間にわたって、あるいは無期限に投与される。慢性疾患を処置するために、長期処置が、一般に最も有効である。しかしながら、急性疾患を処置するために、例えば、1~6週間のより短い期間にわたる投与で、十分であり得る。一般に、ヒト化抗体は、1つまたは複数の選択された指標についてベースラインに対する医学的に関連する改善の程度が患者に見られるまで投与される。
【0202】
本明細書において提供される治療計画の一例は、肺動脈圧レベルが関与する病態を処置するために、適切な投与量で、週に1回の抗体の皮下注入を含む。抗体の週に1回または月に1回の投与は、所望の結果が得られるまで、例えば、被験体の症状が治まるまで続けられるであろう。処置は、必要に応じて再開してもよく、あるいは、維持量が投与され得る。
【0203】
被験体の肺動脈圧のレベルは、それらのレベルの変化があった場合にそれを検出するために、ヒト化抗体などの抗体による処置の前、その間および/またはその後にモニターされ得る。いくつかの疾患については、肺動脈圧の上昇の発生率は、疾患の段階などの要因に応じて変化し得る。肺動脈圧レベルを測定するための公知の技術が用いられ得る。
【0204】
本発明の方法および組成物の特定の実施形態は、抗体および1つまたは複数のETARアンタゴニスト、例えば、本発明の2つ以上の抗体、または本開示の抗体および1つまたは複数の他のETARアンタゴニストの使用を含む。さらなる実施形態において、抗体は、単独で、または患者が罹患している病態を処置するのに有用な他の薬剤と組み合わせて投与される。このような薬剤の例は、タンパク性および非タンパク性薬剤の両方を含む。複数の治療薬が共投与される場合、投与量は、関連技術において認識されるように、それ相応に調整され得る。「共投与」および併用療法は、同時投与に限定されず、少なくとも1つの他の治療剤を患者に投与することを含む処置過程の間に抗体が少なくとも1回投与される処置計画も含む。
【0205】
別の態様において、肺動脈高血圧および関連疾患を処置するための薬剤を調製する方法は、本明細書において提供される抗体および薬学的に許容できる賦形剤の混合物を含む。薬剤の調製方法は、上述した。
【0206】
ヒトエンドセリン受容体に特異的に結合する抗体に関連する組成物、キット、および方法が、本明細書においてさらに提供される。ETARと相互作用するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの一部または全ポリヌクレオチドを含む核酸分子およびその誘導体およびフラグメント、例えば、エンドセリン受容体抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体の全てまたは一部をコードする核酸も提供される。核酸を含むベクターおよびプラスミド、ならびに核酸および/またはベクターおよびプラスミドを含む細胞および細胞系が、本明細書においてさらに提供される。本明細書において提供される方法は、例えば、ヒトETARと相互作用する抗体の調製、同定または分離のための方法、例えば、ETAR抗体の方法、抗体がETARに結合するかどうかを決定するための方法、およびETARに結合する抗体を動物モデルに投与するための方法を含む。
【0207】
本明細書に記載される技術的解決法は、以下の実施例によってさらに理解されよう。
【実施例】
【0208】
規定されない場合、本明細書に記載される出発材料および機器は、市販されているか、または当該技術分野において一般的に使用されるものである。以下の実施例における方法は全て、特に規定されない限り、当該技術分野における従来の方法である。
【0209】
1、免疫付与のための安定した抗原細胞系の構築
CHO-DHFR-細胞を、6ウェルプレート中に播種した。24時間の培養後、細胞に、hETAR遺伝子(ヌクレオチド配列については配列番号1、およびアミノ酸配列については配列番号2を参照)を有するように修飾されたpIRESプラスミド(Clontech、市販)をトランスフェクトした。Lipofectamine 2000のためにInvitrogenによって推奨されるトランスフェクション条件にしたがうことによって、トランスフェクションを行った。トランスフェクションの48時間後、培地を、10nMのMTX(メトトレキサート)を含有する完全培地と交換した。安定したクローンが現れるまで、約2週間にわたって3日置きに培地を交換した。分散された細胞群体を、プレートから取り出し、収集した。細胞が約50%コンフルエンスになるまで増殖した後、MTXの濃度を、圧力選択のために10μMまで徐々に増加させた。構築された安定した細胞系を、圧力選択後に細胞クローンを同定するために、hETARに対するポリクローナル抗体(Abcam)を用いて、FACSによって分析した。大量のhETAR発現が、選択されたCHO-DHFR-hETAR細胞膜において検出された。最初に、サブクローニングによって、6つの高ETAR発現および安定した細胞系が同定され、得られた。
【0210】
2、抗体の調製
CHO-DHFR-hETAR全細胞およびフロイントアジュバントのエマルジョンを、2×106個の細胞/マウスで、BALB/cマウス(6~8週齢)の皮下に注入した。2週間後、マウスに、不完全フロイントアジュバントで乳化した免疫原で追加免疫し、その後、週に1回追加免疫した。合計6回の免疫付与後、血液試料を、剃毛した尾の末端(clipped tail end)から採取し、遠心分離して、血清を収集した。血清を、FACSによって血清力価について分析した。許容できる抗体力価が得られた後、マウスを殺処分し、その脾臓細胞を、無菌状態で採取した。SP2/0細胞を、2,000rpmで3分間の遠心分離により、対数増殖期に収集した。細胞ペレットを、無血清培地で再度懸濁させ、次に、遠心分離し、再度二度目の懸濁を行い、計数した。脾臓細胞およびSP2/0細胞を、SP2/0細胞:脾臓細胞≧1:1の比率で混合した後、3回の洗浄-遠心分離を行った。最後の遠心分離からペレットを取り出した後、1mLの予め洗浄されたPEG-1350を、滴下して加え(30秒で終了)、1分間ピペット混合した後、30mLの予め洗浄された無血清培地(Invitrogen)をゆっくりと加えて、PEG融合を停止させた。1,500rpmで5分間の遠心分離の後、細胞ペレットを、融合培地中で再度懸濁させた。100μL中の脾臓細胞(20,000個)および支持細胞層細胞(5,000個)を、96ウェルプレートの各ウェル中で平板培養した。融合されたハイブリドーマ細胞および支持細胞層細胞を、非融合細胞を取り除くために、HAT(サルシン、アメトプテリンおよびチミジン)選択を用いて、96ウェルプレート中で共培養した。10日後、培養プレート中のハイブリドーマ細胞の上清を、ELISA分析のために収集した。
【0211】
3、全細胞のELISAスクリーニング
hET
ARを過剰発現するCHO-DHFR-hET
AR細胞およびhET
ARを発現しないCHO-DHFR-細胞を、96ウェルプレート中に別々に移し、90%コンフルエントになるまで増殖させた。培地の上清を除去し、付着した細胞を、PBSで2回洗浄し、次に、100μLの、100%メタノールを加えて、4℃で10分間にわたって細胞を固定した。次に、100μLの、作製したばかりの0.6%のH
2O
2-PBSを加え、室温で20分間にわたるインキュベーションの後、細胞を、PBSで2回洗浄した。PBS-1%のBSA溶液でブロックした後、ハイブリドーマ上清を加え、4℃で90分間インキュベートした。数回の洗浄後、100μLの二次抗体GxM-HRP-Fc(Sigma-Aldrich)を、各ウェルに加え、37℃で0.5時間インキュベートした。5回の洗浄後、100μLのTMB発色性基質を、各ウェルに加え、37℃で15分間インキュベートし、次に、2MのH
2SO
4を加えて停止させ、OD
450値を読み取った。陽性対照は、免疫付与後のマウス血清であり;陰性対照は、細胞培養上清であった。
図1に示されるように、ELISAによる初期の分析の後、抗hET
AR抗体を分泌するいくつかのハイブリドーマクローンを選択し、hET
ARに対する安定した分泌細胞系が、細胞クローニング後に得られた。最後に、ハイブリドーマによって分泌された抗体上清を、FACS分析によって確認した。
【0212】
4、抗体遺伝子のクローニングおよびサブクローニング
抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を収集した。ハイブリドーマmRNAを、QIAGEN mRNA抽出キットの製造業者のプロトコルにしたがって抽出した。次に、抽出されたmRNAを、cDNAに逆転写した。逆転写プライマーは、マウスの軽鎖および重鎖定常領域に対して特異的なプライマーであり、重鎖逆転写プライマーは、(5’-TTTGGRGGGAAGATGAAGAC-3’)(配列番号199)であり、軽鎖逆転写プライマーは、(5’-TTAACACTCTCCCCTGTTGAA-3’)(配列番号200)および(5’-TTAACACTCATTCCTGTTGAA-3’)(配列番号201)であった。RT-PCR反応条件は、以下のとおりであった:25℃で5分、50℃で60分、および70℃で15分。逆転写されたcDNAを、500μLになるまで0.1mMのTEで希釈し、限外ろ過遠心分離管(Amicon Ultra-0.5)に加え、10分間にわたって2,000gで遠心分離した。ろ液を除去し、500μLの0.1mMのTEを加え、10分間にわたって2,000gで遠心分離した。ろ液を除去し、調製管を、新しい遠心分離管に逆さに入れ、10分間にわたって2,000gで遠心分離して、精製されたcDNAを得た。精製されたcDNA(10μL)を鋳型として取った後、4μLの5倍のテーリングバッファー(Promega)、4μLのdATP(1mM)および10U末端トランスフェラーゼ(Promega)を加え、均一に混合し、37℃で5分間、次に、65℃で5分間インキュベートした。ポリAテイルcDNAを、鋳型として使用し、抗体の軽鎖および重鎖可変領域遺伝子を増幅するために、PCRを行った。上流プライマーは全て、オリゴdTであり、重鎖下流プライマーは、(5’-TGGACAGGGATCCAGAGTTCC-3’)(配列番号202)および(5’-TGGACAGGGCTCCATAGTTCC-3’)(配列番号203)であり、軽鎖下流プライマーは、(5’-ACTCGTCCTTGGTCAACGTG-3’)(配列番号204)であった。PCR反応条件は、以下のとおりであった:95℃で5分;95℃で30秒、56℃で30秒、72℃で1分、40サイクル;および72℃で7分。PCR産物を、配列決定のためにPMD 18-Tベクター(Takara Bio)に連結した。抗体クローンの配列を表2に列挙した。
【0213】
PCRプライマーを、抗体のDNA配列に基づいて設計し、したがって、完全な軽鎖、重鎖シグナルペプチドおよび可変ドメインおよびマウスIgG1定常領域を、発現ベクターpTM5に連結した。
【0214】
5、抗体ヒト化および最適化
最初に、スクリーニングされたマウス抗体の軽鎖および重鎖可変領域の配列を、NCBIオンライン抗体可変領域配列アライメントツール(Ig Blast)を用いて、同種抗体と位置合わせして、ヒト化のための選択された抗体可変領域配列と相同のヒト化抗体の生殖系列遺伝子配列(Ig Germline Gene配列)を検索し、CDR配列を除いて最も高い相同性を有するヒト化遺伝子配列を、CDRグラフト化のための鋳型として使用して、ヒト化抗体可変領域配列を得て、CROによってヒト化抗体軽鎖および重鎖遺伝子を合成した。この配列にしたがって、PCRプライマーを設計し、適切な制限酵素部位を、5’末端および3’末端において導入した。PCRによって、ヒト化抗体可変領域を増幅させ、次に、ヒトIgG2またはIgG4定常領域配列と組み合わせて、完全な組み換えヒト化抗体配列を得た。組み換え抗体の発現を、工程7にしたがって行い、ETARに対するそれらの親和性を、工程9に記載されるようにFACSによって分析した。ETARに対する親和性を保持する最良のヒト化抗体候補が、群から選択され、その可変領域配列が、ETARに対する改善した親和性のために、部位特異的突然変異誘発によってさらに改善された。
【0215】
6、ヒト化抗hETAR抗体の遺伝子のサブクローニング
最適化ヒト化抗体の重鎖および軽鎖可変領域遺伝子配列が、NheIの2つの制限部位を5’末端におよびSalIを3’末端に導入することによって、Genscript Biotechnology CO.,LTDによって合成された。全重鎖可変領域を、pTM5の発現ベクターにおける重鎖定常領域と連結した。同様に、NheIを5’末端におよびBsiwIを3’末端に導入することによって、軽鎖可変領域を、pTM5の発現ベクターにおける軽鎖定常領域と連結した。
【0216】
7、抗ETAR抗体の一過性発現
HEK293またはCHO発現細胞系(5×105個/mL)の懸濁液を、振とうフラスコに接種した。37℃で24時間回転させた後、細胞密度は、1×106個/mLに達し、トランスフェクションに対して準備が整った。ポリエチレンイミン(PEI)を、PEI対DNAについて3:1の最適混合比(DNAの量、0.5μg/L×106個の細胞;抗体軽鎖DNAおよび抗体重鎖DNAの比率、3:2)で、トランスフェクション試薬として使用した。両方の混合物を、15分間のインキュベーションの後、細胞培養物に加えた。PEI/DNA混合物で処理された後の細胞を、37℃および5%のCO2で24時間超にわたって回転させた。次に、0.5%のトリプトンを、発現に必要とされる上清として細胞培養物に加え、発現の完了(96時間超)後、細胞の上清を、抗体精製および分離のために収集した。
【0217】
8、抗体の精製および調製
細胞および細胞残屑を、遠心分離(8000rpm、15分)後に培養物から除去し、上清を、精製のために0.45μmフィルタに通してろ過した。精製プロセスを、クロマトグラフィーによって行った。まず、上清を、Gタンパク質結合アフィニティークロマトグラフィーカラムに通し、Gタンパク質に結合された抗体が、カラムに残っていた。3.0以下のpHを有する溶離剤を用いて、クロマトグラフィーカラムから抗体を溶離した。低pH溶離剤を、1Mのトリス-HClで直ぐに中和して、抗体の変性および活性の低下を避けた。次に、抗体溶液を、16時間にわたってPBS緩衝液中に透析した。
【0218】
9、機能性抗体のFACS分析
10mMのEDTAを含有するPBSを用いて、105個のCHO-DHFR-hETAR細胞を取り出し、1.5mLのEP管中に収集した。上清を、遠心分離後に除去し、陰性対照試料を、ローディングバッファー(PBS、2%のFBS)で再度懸濁させた。陽性対照については、200μLの抗体上清を、再懸濁細胞に加え、室温でインキュベーションを行い;次に、細胞を、1500rpmで遠心分離して、上清を除去し、FACSローディングバッファーで洗浄し、再度遠心分離した。細胞を、1:50の希釈率でのFITC標識ヤギ抗マウス蛍光抗体(BD Pharmingen)の添加(200μL/ウェル)により再度懸濁させ、暗所で30分間にわたって室温でインキュベートした。上清を、遠心分離後に除去し、細胞を、FACSローディングバッファーで洗浄し、再度遠心分離し、分析のためにローディングバッファーで再度懸濁させた。組み換え抗体上清およびCHO-DHFR-hETAR細胞は、特異的結合を有していた。灰色のピークおよび点線のピークは、陰性対照であり;抗体上清に対応する実線のピークは、著しく右に移動した。
【0219】
10、機能性抗体についてのカルシウム流出アッセイ
hETAR-イクオリンを共発現するCHO-DHFR細胞を、ウェル当たり25000個の細胞で96ウェル細胞培養プレートに播種し、37℃で一晩培養した。翌日、培養上清を除去した。セレンテラジン(50μL)(Promega)を、暗所で加え、37℃で2時間インキュベートし、次に、50μLのハイブリドーマ上清または精製された抗体を加え、37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、50μLのエンドセリン1を加え、40秒以内のカルシウム流出の変化を、SpectraMax Lマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)によって記録した。異なるハイブリドーマ上清が、hETARによって媒介されるカルシウム流出を様々に阻害し、A-1抗体が、hETARによって媒介されるカルシウム流出を著しく阻害した。組み換え抗hETAR機能性抗体は、抗体濃度の増加とともに増加する、hETARによって媒介されるカルシウム流出を著しく阻害した。
【0220】
11、抗体のインビボ活性を試験するための低酸素誘発性PAHカニクイザルモデルの確立
カニクイザルの急性低酸素誘発性肺動脈高血圧(PAH)モデルを、Crown Bioscience Inc.(Taicang)と共同開発し、単回の静脈注射としてのA-1抗体の有効性を、このPAHモデルにおいて評価した。全ての動物を、一晩絶食させ、秤量し、次に、10mg/kgのA-1抗体の単回静脈注射を受けさせた。3時間後、動物に麻酔をかけた。心拍数および酸素飽和度とともにドップラーカラー心エコーによる三尖弁逆流速度を、同時にモニターした。ベースラインが得られ、12%の低酸素の誘発が続き、同時に、三尖弁逆流速度を測定し;抗体が、12%の低酸素下で低酸素誘発性肺動脈圧を改善し得るかどうかを決定するために、分析を行った。48時間の投与の後、試験を再度行った。動物に麻酔をかけ、心拍数および酸素飽和度とともにドップラーカラー心エコーによる三尖弁逆流速度を、同時にモニターした。ベースラインンが得られ、12%の低酸素の誘発が続き、同時に、三尖弁逆流速度を測定した。抗体が、低酸素誘発性肺動脈圧をなお改善し得るかどうかを決定するために、分析を行った。有効性が、48時間後に維持されていた場合、96時間後に、低酸素誘発実験を再度行った。時間に対する肺動脈収縮期圧の曲線下の面積を計算し、曲線下の面積を比較することによって、A-1が、96時間以内に肺動脈圧を低下させる有効性を維持していたことが分かった。
【0221】
12.ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤:
以下は、ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤の例である。
【0222】
実施例1:
【0223】
【0224】
実施例1の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0225】
実施例2:
【0226】
【0227】
実施例2の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0228】
実施例3:
【0229】
【0230】
実施例3の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0231】
実施例4:
【0232】
【0233】
実施例4の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0234】
実施例5:
【0235】
【0236】
実施例5の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0237】
実施例6:
【0238】
【0239】
実施例6の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0240】
実施例7:
【0241】
【0242】
実施例7の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0243】
実施例8:
【0244】
【0245】
実施例8の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0246】
実施例9:
【0247】
【0248】
実施例9の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0249】
実施例10:
【0250】
【0251】
実施例10の安定した溶液製剤のpHは、5.8である。
【0252】
13.ETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤を分析するための方法:
モノマーおよび凝集ETAR抗体を分析するためのサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)。
SEC-HPLCを用いて、ETAR抗体の凝集物(可溶性凝集物)の形成およびそのモノマー形態の喪失を決定した。25℃でAgilent 1100 HPLCにおいて、TSK-G3000SWxl高速SECカラムに、UV吸光度のベースラインが一定で安定するまで、移動相として200mMのリン酸緩衝液(pH6.8)をフラッシュした。1~3mg/mL(移動相で予め希釈された)の濃度のETAR抗体の安定した薬剤溶液製剤を、50μLの量で注入した。試料を、0.5mL/分の流量で移動相を用いて溶離し、UV 280nmにおける吸光度を記録した。各試験の後、モノマー(主要ピーク)、二量体および多量体の吸光度ピークのAUCを計算し、総AUCに対する主要ピークのAUCのパーセンテージを計算し、試料の純度として報告した。
【0253】
還元および非還元ETAR抗体試料の純度を分析するためのキャピラリー電気泳動(CE-SDS)。
キャピラリー電気泳動装置(Beckmann MDQP/ACE)を使用し、β-メルカプトエタノールを還元試料に加え、またはヨードアセトアミドを非還元試料に加えることによって、試料をIgG純度/不均一性アッセイキット(Beckmann)で処理した。分離させるためにBeckmann非被覆キャピラリーを使用し、試料を、1mg/mLの濃度で自動的に充填した。試料の充填を完了した後、分離を、15kVの逆電圧で行って、UV214nm吸光度時間曲線を記録した。プロセスが完了したとき、主要ピーク、フラグメントおよび凝集物のUV214nmにおける吸収ピークを積分した。非還元試料については、総面積に対する主要ピークの比率を計算し、これは、非還元試料の純度を表す。還元試料については、総面積に対する軽鎖および重鎖ピーク面積の比率を計算し、これは、還元試料の純度を表す。
【0254】
インビトロのETARに対するETAR抗体の阻害活性を決定するためのカルシウム流出検出方法。
hETAR-イクオリンを安定に発現するETAR-Aq-#105細胞を、3.5×104個の細胞/ウェルの密度および100μL/ウェルで、96ウェルプレートに播種し、プレートを、37℃、5%のCO2で一晩置いた。100μLのセレンテラジン-h(0.23μMのストック溶液)を、フェノールレッドを含まない3.2mLのDMEM/F12培地中で希釈した。プレートを、培養器から取り出し、培地を吸引し、50μL/ウェルの希釈されたセレンテラジン-hを加え(暗所で)、プレートを、2時間にわたって37℃の培養器に入れた。参照抗体A-1および試験試料を連続希釈し、50μL/ウェルの希釈物を、96ウェルプレートに加えた(暗所で)。試料の添加の後、プレートを、さらに30分間にわたって37℃および5%のCO2で培養器に入れた。各ウェルの蛍光強度を、マイクロプレートリーダーで読み取った。DMEM/F12培地(フェノールレッドなし)のみを用いた3つのウェルの読み取り値が、バックグラウンド値であり、ウェルの残りには、20nMのエンドセリン-1が加えられた。
【0255】
読み取りデータを、分析のためにExcelに通し、ピーク蛍光強度の時点を、計算値として選択した。ブランク対照の蛍光値の平均が得られ、次に、平均値を、各元の値から減算した。処理の後、最大蛍光強度の値を平均し、最大応答平均の平均に対する各ウェルの相対パーセンテージを最後に計算した。Prismソフトウェアによって、各ウェルのパーセンテージおよび濃度を用いて、参照ETAR抗体および試験試料についてのIC50値、ならびに曲線適合相関係数R2を計算した。試験試料の生物学的活性(%)=(対照のIC50/試験試料のIC50)×100。
【0256】
14.pHおよび緩衝液スクリーニング:
65℃の水浴中で2時間後の抗体A-1の外観およびA340吸収を決定するために、合計で7つの実験(表3を参照)により、4.7~6.3のpHを有する20mMのクエン酸ナトリウム緩衝液中の抗体A-1を用いて、pHを、pH単一要因実験からスクリーニングした。表3に示されるように、実験結果は、抗体A-1が、pH5.0および5.7~6.3内で、比較的良好な熱安定性を有していたことを示した。
【0257】
【0258】
15.タンパク質安定性に対する緩衝塩の濃度およびタイプの影響:
上記のpHスクリーニング結果に基づいて、さらなるスクリーニング実験を、pHおよび緩衝液に対して行った。クエン酸ナトリウムおよびヒスチジンの2つの緩衝液系を選択し、実験を、2つの影響因子を用いて設計した。2組の試料を、3つの異なるpH値の緩衝液、pH4.7、5.1、および5.3で、20mMのクエン酸ナトリウム、200mMの塩化ナトリウム、0.02%のTWEEN-80;pH5.7、6.0、および6.3で、20mMのヒスチジン、200mMの塩化ナトリウム、0.02%のTWEEN-80(表4を参照)へと調製した。1~6つの群の加速分解実験を行い、抗体A-1の濃度を、50mg/mLに保持した。実験条件は、凍結融解:-20℃で凍結、室温で融解、3サイクル;高温:37℃で10日、13日;照明:5000lx、300μW/cm2、25℃、5日;試験パラメータ:外観、可視粒子、純度(SEC-HPLC、非還元CE-SDS)、チャージバリアントであった。
【0259】
【0260】
結果を、表5~8に要約した。実験結果は、凍結融解サイクルが、抗体A-1にそれほど影響を与えなかったが、高温および光照射での結果に基づいて、クエン酸ナトリウムのより低いpHが、凝集および純度の低下を容易にもたらしたことを示した。抗体A-1は、特にチャージバリアントについて、光に対して比較的感受性であり、5日間の光照射後に、主要ピークが、著しく低下し、基本ピークが低下した。製剤4のみがほとんど変化せず、続いて、製剤5であった。したがって、製剤4を、次の保護剤スクリーニングのための製剤として選択した。
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
16.保護剤スクリーニング:
実験計画
2つの群の実験を行った。6つの保護剤を、第1の群の実験において試験し、それらは、5%のスクロース、2%のマンニトール、2%のソルビトール、100mMのNaCl、140mMのアルギニン、および150mMのプロリンであった。この群では、抗体A-1のタンパク質濃度は、60mg/mLであり、緩衝塩としてのヒスチジンの濃度は、20mMであり、TWEEN-80濃度は、0.02%であり、pHは5.8であった。実験条件は、凍結融解:-20℃で凍結、室温で融解、5サイクル;高温:40℃で10日、13日;照明:5000lx、300μW/cm2、25℃、5日;振とう:300rpm、暗所で、室温で3日;試験パラメータ:外観、可視粒子、純度(SEC-HPLC、非還元CE-SDS)、チャージバリアントであった。設計計画が表9に示される。
【0266】
【0267】
第2の群の実験を、第1の群の実験に基づいて行い、クエン酸ナトリウムを、緩衝系として選択した。クエン酸ナトリウムの濃度は、20mMであり、pHは5.8であり、抗体A-1の濃度は、約30mg/mLであった。F1製剤において、アルギニンをアルギニン塩酸塩と取り替え、その濃度は、140mMであった。さらに、保護剤の選択のための実験を行い、高温および照明の条件を、40℃/2ワット、1ヶ月間、5000lx、0日、2日、5日、10日に変更した。設計計画が表10に示される。
【0268】
【0269】
実験結果
第1の群の実験の結果は、5日間の照明の後、6つの製剤試料の色が全て、様々な程度に黄色に変化したことを示した。SEC-HPLCの結果は、他の保護剤と比較して、アルギニンが、凝集物形成を減少させるのにより有効であったことを示した(表11)。
【0270】
高温40℃で7、13日間:SEC-HPLCの結果は、0日の時点のモノマー純度(98%)と比較して、各製剤中のモノマーの減少についての有意な差はなく、スクロース、アルギニンおよびプロリンを含有する製剤の純度のさらに少ない低下があったことを示した。結果が以下の表12に示される。
【0271】
【0272】
【0273】
振とうおよび凍結融解の試験結果(表13を参照)は、0日と比較して、凝集物およびチャージバリアントについての有意な差がなかったことを示した。
【0274】
第2の群の実験において、クエン酸ナトリウムを緩衝液として使用し、結果は、高温および照明後、抗体A-1の製剤が、わずかな乳白光を示したことを示す(表14を参照)。いくつかの保護剤の影響を比較して、本発明者らは、アルギニン塩酸塩が抗体A-1の純度を保つのに最良であると見なした(表15を参照)。照明が、チャージバリアントの有意な変化を誘発したため(表16を参照)、抗体A-1を暗所で貯蔵することが推奨された。
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
17、酸化防止剤に影響を与える要因についての実験:
実験計画
実験は、0.0187mg/mLのEDTAの保護効果を評価するためのものであり、2つの緩衝液、0.02%および0.1%のTween-80を含む、20mMのヒスチジン塩および20mMのクエン酸ナトリウムを選択した(表17)。抗体A-1の濃度は、60mg/mLであり、アルギニン塩酸塩は、140mMであり、pHは5.8であった。3つの製剤試料を、加速分解実験に供し、実験条件は、照明:5000lx、300μW/cm2、25℃、3日、6日;試験項目:外観、可視粒子、純度(SEC-HPLC)、およびチャージバリアントであった。
【0280】
【0281】
上記の実験に基づいて、メチオニンを、スクリーニング酸化防止剤として加え、詳細な計画を表18に示した。実験条件は:高温40℃で2週間、1ヶ月間;照明5000lxで0日、2日、5日、10日であった。
【0282】
【0283】
実験結果
2つの群の実験の結果に基づいて、2つの保護剤のいずれも、抗体A-1にそれほど影響を与えなかった。使用される異なる濃度のTweenにおいて差は見られなかったが(表19、表20、表21、表22)、製剤緩衝塩としてヒスチジンを用いた場合、製剤は、照明後に黄色に変化したため、クエン酸ナトリウムが、製剤緩衝塩としてより良好な選択である。照明による3日間の破壊の後、製剤試料13~15のSEC-HPLCピークは低下し、それらの間に顕著な差はなかった。3日の製剤試料のピークは、暗所で0日と同じである。照明による6日間の破壊の後、試料13のピークは、さらなる低下を示した一方、試料14および15は、さらなる低下を示さなかった。6日の製剤試料のピークは、暗所で0日と同じである。
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
【0288】
18、様々なタンパク質濃度における長期加速安定性試験:
実験計画
初期の製剤を決定した後、本発明者らはまた、様々な濃度の抗体A-1に対して長期加速安定性試験を行った。本発明者らは、抗体濃度を、25、50、および100mg/mLに設定し、長期(4℃、0日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月)および加速(25℃、0日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月)安定性試験を進めるために、規定の製剤を使用した。試験項目は、タンパク質濃度、外観、可視粒子、pH、純度(SEC-HPLC、非還元CE-SDS)、チャージバリアント、生物活性である。設計計画が以下の表23に示される。
【0289】
【0290】
実験結果
外観から、タンパク質濃度が増加するにつれて、乳白光が増加し、製剤試料は、高濃度の抗体で黄色に変化しやすい(表24を参照)。しかし、9ヶ月の長期加速安定性試験の後、製剤試料はなお透明であり、可視粒子を含まず、注入の要件を満たしていた。試験中、タンパク質濃度およびpHの有意な変化はなかった(表25および表26を参照)。
【0291】
純度試験結果は、抗体A-1のSECおよびCE-SDS純度が、時間の経過とともにおよび濃度の増加とともに低下したことを示した。試料のCE-SDS純度は、よりわずかに低下した(表27、表28および表29を参照)。しかしながら、9ヶ月の安定性試験の後、生成物の純度は、対応する品質基準をなお満たし、純度の変化は、許容できる範囲内であった。
【0292】
チャージバリアントの試験結果(表30を参照)は、凝集物および酸性/塩基性チャージバリアントが、抗体A-1のタンパク質濃度が増加するにつれて増加し、より低いタンパク質濃度で安定性がより良好であることを示した。しかしながら、ピークの形状から判断して、3つの濃度で大きな差はなく、傾向が一致していた。3ヶ月の試料の生物活性試験は、
図6および
図7に示されるように、生物活性が、比較的安定していたことを示した。上記の結果に基づいて、タンパク質は、少なくとも18ヶ月間にわたって、この製剤中で安定している。
【0293】
【0294】
【0295】
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
抗体A-1の製剤(20mMのクエン酸ナトリウム、140mMのアルギニン塩酸塩、0.04%のTWEEN-80、pH5.8)を、長期加速安定性試験において3つの異なる抗体濃度で試験した。9ヶ月後、加速長期安定性試験にもかかわらず、タンパク質の品質は、品質基準設定をなお満たしていた。特に、9ヶ月間の長期貯蔵後、抗体A-1の純度は、98%超を保っていた。
【0301】
上記の実施形態は、権利請求される実施形態を作製および使用する方法を、当業者に十分に開示および説明するために提供され、本開示の範囲を限定することは意図されていない。当業者に明らかな変更は、特許請求の範囲内である。本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、それらのそれぞれが具体的にかつ独立して参照により本明細書に援用されているかのように、参照により本明細書に援用される。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
ET
A
R抗体および緩衝液を含む、ET
A
R抗体の安定した薬剤溶液製剤であって、約5~7の範囲のpHを有する製剤。
(態様2)
前記ET
A
R抗体が、1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30;
b.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48;
c.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68;
d.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90;
e.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114;および
f.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136
から選択される、態様1に記載の製剤。
(態様3)
前記ET
A
R抗体が、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、および配列番号30;および
b.重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、および配列番号90
から選択される、態様1または2に記載の製剤。
(態様4)
前記ET
A
R抗体が、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、および配列番号48;および
b.重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、および配列番号114
から選択される、態様1~3のいずれか一項に記載の製剤。
(態様5)
前記ET
A
R抗体が、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68;および
b.重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136
から選択される、態様1~4のいずれか一項に記載の製剤。
(態様6)
前記ET
A
R抗体が、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:配列番号8、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68から選択される、態様1~5のいずれか一項に記載の製剤。
(態様7)
前記ET
A
R抗体が、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:配列番号70、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、および配列番号136から選択される、態様1~6のいずれか一項に記載の製剤。
(態様8)
前記ET
A
R抗体が、以下のリスト:配列番号50および配列番号116、配列番号62および配列番号128、配列番号62および配列番号130、配列番号64および配列番号132、配列番号66および配列番号134、および配列番号68および配列番号136から独立して選択される、軽鎖および重鎖CDR3のアミノ酸配列の組合せを含む、態様1~7のいずれか一項に記載の製剤。
(態様9)
前記ET
A
R抗体が、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列:配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、および配列番号164;および
b.重鎖可変ドメインのアミノ酸配列:配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182、配列番号184、配列番号186、配列番号188、配列番号190、および配列番号192
から選択される、態様1~8のいずれか一項に記載の製剤。
(態様10)
前記ET
A
R抗体のポリヌクレオチドコード配列が、1または2つのポリヌクレオチド配列を含み、ここで、各ポリヌクレオチド配列が、独立して、以下に列挙されるポリヌクレオチド配列:
a.軽鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列:配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、および配列番号163;および
b.重鎖可変ドメインのポリヌクレオチドコード配列:配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、および配列番号191
から選択される、態様1~9のいずれか一項に記載の製剤。
(態様11)
前記ET
A
R抗体が、以下のリスト:配列番号138および配列番号166、配列番号140および配列番号168、配列番号142および配列番号170、配列番号144および配列番号172、配列番号146および配列番号174、配列番号148および配列番号176、配列番号150および配列番号178、配列番号152および配列番号180、配列番号154および配列番号182、配列番号156および配列番号184、配列番号158および配列番号186、配列番号160および配列番号188、配列番号162および配列番号190、および配列番号164および配列番号192から独立して選択される、アミノ酸配列の組合せを含む、態様1~10のいずれか一項に記載の製剤。
(態様12)
前記ET
A
R抗体が、以下のリスト:配列番号138、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、および配列番号164から独立して選択されるアミノ酸配列を含む、態様1~11のいずれか一項に記載の製剤。
(態様13)
前記ET
A
R抗体が、以下のリスト:配列番号166、配列番号178、配列番号180、配列番号182、配列番号184、配列番号186、配列番号188、配列番号190、および配列番号192から独立して選択されるアミノ酸配列を含む、態様1~12のいずれか一項に記載の製剤。
(態様14)
前記ET
A
R抗体が、以下のリスト:配列番号138および配列番号166、配列番号150および配列番号178、配列番号152および配列番号180、配列番号154および配列番号182、配列番号156および配列番号184、配列番号158および配列番号186、配列番号160および配列番号188、配列番号162および配列番号190、および配列番号164および配列番号192から独立して選択される、軽鎖および重鎖可変ドメインのアミノ酸配列の組合せを含む、態様1~13のいずれか一項に記載の製剤。
(態様15)
前記ET
A
R抗体が、アミノ酸配列 配列番号138または配列番号166を含む、態様1~14のいずれか一項に記載の製剤。
(態様16)
前記ET
A
R抗体が、アミノ酸配列 配列番号138および配列番号166の組合せを含む、態様1~15のいずれか一項に記載の製剤。
(態様17)
前記ET
A
R抗体が、1または2つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列が、独立して、以下に列挙されるアミノ酸配列:
a.軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列:配列番号194および配列番号196;および
b.重鎖定常ドメインのアミノ酸配列:配列番号198
から選択される、態様2~16のいずれか一項に記載の製剤。
(態様18)
前記ET
A
R抗体が、マウスET
A
R抗体またはヒト化ET
A
R抗体を含む、態様1~17のいずれか一項に記載の製剤。
(態様19)
前記ET
A
R抗体が、モノクローナルET
A
R抗体を含む、態様1~18のいずれか一項に記載の製剤。
(態様20)
前記ET
A
R抗体が、モノクローナル抗体を含み、前記モノクローナル抗体が、配列番号138および配列番号166、配列番号150および配列番号178、配列番号152および配列番号180、配列番号154および配列番号182、配列番号156および配列番号184、配列番号158および配列番号186、配列番号160および配列番号188、配列番号162および配列番号190、または配列番号164および配列番号192を含む、態様1~19のいずれか一項に記載の製剤。
(態様21)
前記ET
A
R抗体が、エンドセリンのシグナル伝達を低減する際に、約1nM~200nMまたは10nM~100nMの範囲のIC
50
を有する、態様1~20のいずれか一項に記載の製剤。
(態様22)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約10~200mg/mLまたは10~100mg/mLの範囲である、態様1~21のいずれか一項に記載の製剤。
(態様23)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約25mg/mL、50mg/mL、75mg/mL、または100mg/mLである、態様22に記載の製剤。
(態様24)
前記緩衝液の濃度が、約1mM~200mM、2mM~50mM、または5mM~25mMの範囲である、態様1~23のいずれか一項に記載の製剤。
(態様25)
前記緩衝液の濃度が、約10mM、15mM、20mM、25mM、または30mMである、態様1~24のいずれか一項に記載の製剤。
(態様26)
前記緩衝液が、クエン酸の塩またはヒスチジンを含む、態様1~25のいずれか一項に記載の製剤。
(態様27)
界面活性剤をさらに含む、態様1~26のいずれか一項に記載の製剤。
(態様28)
前記界面活性剤が、ポリソルベートを含む、態様27に記載の製剤。
(態様29)
前記界面活性剤が、ポリソルベート20またはポリソルベート80を含む、態様27または28に記載の製剤。
(態様30)
前記界面活性剤の濃度が、約0.001~1重量/体積パーセント、0.01~0.5重量/体積パーセント、または0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲である、態様27または29に記載の製剤。
(態様31)
前記界面活性剤の濃度が、約0.02、0.03、0.04、0.05、または0.06重量/体積パーセントである、態様30に記載の製剤。
(態様32)
アミノ酸保護剤をさらに含む、態様1~31のいずれか一項に記載の製剤。
(態様33)
前記アミノ酸保護剤が、アルギニンまたはその塩を含む、態様32に記載の製剤。
(態様34)
前記アミノ酸保護剤が、アルギニン塩酸塩を含む、態様32または33に記載の製剤。
(態様35)
前記アミノ酸保護剤の濃度が、約1mM~500mMまたは10mM~200mMの範囲である、態様32~34のいずれか一項に記載の製剤。
(態様36)
前記アミノ酸保護剤の濃度が、約120mM、130mM、140mM、150mM、または160mMである、態様35に記載の製剤。
(態様37)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約10~200mg/mLの範囲であり;前記界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲であり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、約10~200mMの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約1~50mMの範囲であり;ここで、前記製剤のpHが、約5~7の範囲である、態様32~36のいずれか一項に記載の製剤。
(態様38)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;前記界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、約140mMであり;前記緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、約5~6の範囲である、態様37に記載の製剤。
(態様39)
ポリオール保護剤をさらに含む、態様1~38のいずれか一項に記載の安定した溶液製剤。
(態様40)
前記ポリオール保護剤が、ソルビトール、マンニトール、スクロース、またはトレハロースを含む、態様39に記載の製剤。
(態様41)
前記ポリオール保護剤が、ソルビトール、マンニトール、またはスクロースを含む、態様39または40に記載の製剤。
(態様42)
前記ポリオール保護剤の濃度が、約0.1~50重量/体積パーセント、1~20重量/体積パーセント、または1~10重量/体積パーセントの範囲である、態様39または41に記載の製剤。
(態様43)
前記ポリオール保護剤の濃度が、約4~10重量/体積パーセントの範囲である、態様42に記載の製剤。
(態様44)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約10~200mg/mLの範囲であり;前記界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲であり;前記ポリオール保護剤の濃度が、約1~20重量/体積パーセントの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約1~50mMの範囲であり;ここで、前記製剤のpHが、約5~7の範囲である、態様39~43のいずれか一項に記載の製剤。
(態様45)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;前記界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;前記ポリオール保護剤の濃度が、約4~10重量/体積パーセントの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、約5~6の範囲である、態様44に記載の製剤。
(態様46)
金属キレート剤をさらに含む、態様1~45のいずれか一項に記載の製剤。
(態様47)
前記金属キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、またはエチレングリコールジエチルエーテルジアミン四酢酸を含む、態様46に記載の製剤。
(態様48)
前記金属キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸を含む、態様47に記載の製剤。
(態様49)
前記金属キレート剤の濃度が、約0.001mM~1mM、0.005mM~0.5mM、または0.01mM~0.2mMの範囲である、態様46~48のいずれか一項に記載の製剤。
(態様50)
前記金属キレート剤の濃度が、約0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、または0.07mMである、態様49に記載の製剤。
(態様51)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約10~200mg/mLの範囲であり;前記金属キレート剤の濃度が、約0.01mM~0.2mMの範囲であり;前記界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲であり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、約10~200mMの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約1~50mMの範囲であり;ここで、前記製剤のpHが、約5~7の範囲である、態様46~50のいずれか一項に記載の製剤。
(態様52)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;前記金属キレート剤の濃度が、約0.05mMであり;前記界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントの範囲であり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、約140mMであり;前記緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、約5~6の範囲である、態様51に記載の製剤。
(態様53)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約10~200mg/mLの範囲であり;前記金属キレート剤の濃度が、約0.01mM~0.2mMの範囲であり;前記界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲であり;前記ポリオール保護剤の濃度が、約1~20重量/体積パーセントの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約1~50mMの範囲であり;ここで、前記製剤のpHが、約5~7の範囲である、態様46~50のいずれか一項に記載の製剤。
(態様54)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;前記金属キレート剤の濃度が、約0.05mMであり;前記界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;前記ポリオール保護剤の濃度が、約4~10重量/体積パーセントの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、約5~6の範囲である、態様53に記載の製剤。
(態様55)
酸化防止剤をさらに含む、態様1~54のいずれか一項に記載の製剤。
(態様56)
前記酸化防止剤が、メチオニン、ビタミンC、チオサルフェート、チオサルフェート、またはベンジルメチオニンを含む、態様55に記載の製剤。
(態様57)
前記酸化防止剤が、メチオニンを含む、態様55または56に記載の製剤。
(態様58)
前記酸化防止剤の濃度が、約0.5mM~20mMまたは1mM~10mMの範囲である、態様55~57のいずれか一項に記載の製剤。
(態様59)
前記酸化防止剤の濃度が、約3mM、4mM、5mM、6mM、または7mMである、態様58に記載の製剤。
(態様60)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約10~200mg/mLの範囲であり;前記酸化防止剤の濃度が、約1mM~10mMの範囲であり;前記界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲であり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、約10~200mMの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約1~50mMの範囲であり;ここで、前記製剤のpHが、約5~7の範囲である、態様55~59のいずれか一項に記載の製剤。
(態様61)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;前記酸化防止剤の濃度が、約5mMであり;前記界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントであり;前記アミノ酸保護剤の濃度が、約140mMであり;前記緩衝液の濃度が、約20mMであり;ここで、前記製剤のpHが、約5~6の範囲である、態様60に記載の製剤。
(態様62)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約10~200mg/mLの範囲であり;前記酸化防止剤の濃度が、約1mM~10mMの範囲であり;前記界面活性剤の濃度が、約0.01~0.1重量/体積パーセントの範囲であり;前記ポリオール保護剤の濃度が、約1~20重量/体積パーセントの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約1~50mMの範囲であり;ここで、前記製剤のpHが、約5~7の範囲である、態様55~59のいずれか一項に記載の製剤。
(態様63)
前記ET
A
R抗体の濃度が、約25、50、75、または100mg/mLであり;前記酸化防止剤の濃度が、約5mMであり;前記界面活性剤の濃度が、約0.04重量/体積パーセントの範囲であり;前記ポリオール保護剤の濃度が、約4~10重量/体積パーセントの範囲であり;前記緩衝液の濃度が、約20mMの範囲であり;ここで、前記製剤のpHが、約5~6の範囲である、態様62に記載の製剤。
(態様64)
前記製剤が、水溶液である、態様1~63のいずれか一項に記載の製剤。
(態様65)
前記製剤が、2~8℃で12ヶ月間の貯蔵後に、約10%以下の凝集ET
A
R抗体を含有する、態様1~64のいずれか一項に記載の製剤。
(態様66)
抗体の分解度が、2~8℃で12ヶ月間の貯蔵後に、約10%を超えない、態様1~65のいずれか一項に記載の製剤。
(態様67)
前記ET
A
R抗体の生物学的活性が、2~8℃で12ヶ月間の貯蔵後に、元の生物学的活性の50%以上である、態様1~66のいずれか一項に記載の製剤。
(態様68)
被験体の肺動脈高血圧の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法であって、治療有効量の態様1~67のいずれか一項に記載の製剤を、前記被験体に投与することを含む方法。
(態様69)
被験体の肺動脈圧の上昇と関連する疾患の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法であって、治療有効量の態様1~67のいずれか一項に記載の製剤を、前記被験体に投与することを含む方法。
(態様70)
被験体の生殖器の癌の1つまたは複数の症状を処置、予防、または軽減する方法であって、治療有効量の態様1~67のいずれか一項に記載の製剤を、前記被験体に投与することを含む方法。
(態様71)
前記生殖器の癌が、肺動脈圧の上昇を伴う生殖器の癌である、態様70に記載の方法。
(態様72)
前記被験体がヒトである、態様78~71のいずれか一項に記載の製剤。
(態様73)
前記製剤が、静脈内にまたは皮下に投与される、態様78~72のいずれか一項に記載の製剤。
【配列表】