(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】提供装置、提供方法及び提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220617BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
G06Q30/02 480
(21)【出願番号】P 2019048757
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】永田 美晴
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/162949(WO,A1)
【文献】特開2015-228142(JP,A)
【文献】特開2018-041460(JP,A)
【文献】特開2018-195043(JP,A)
【文献】特開2017-188031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の感情を取得する取得部と、
前記取得部により所定の感情が取得された場合は、前記利用者に所定のコンテンツを提供する第1提供部と、
前記第1提供部による提供態様が所定の条件を満たした場合は、前記所定のコンテンツと前記所定の感情とを紐付ける紐付け部と
、
前記利用者の感情を前記所定の感情へと誘導する誘導条件が満たされた場合は、当該所定の感情と紐付けられたコンテンツを前記利用者に提供する第2提供部と
を有
し、
前記第1提供部は、
前記利用者が所定の表示コンテンツを閲覧している際に前記所定の感情が取得された場合は、当該表示コンテンツの一部の表示態様を所定の変更条件に従って変更したコンテンツに変更し、
前記第2提供部は、
前記誘導条件が満たされた場合は、前記利用者が閲覧している表示コンテンツの一部を、前記所定の変更条件に従って変更する
ことを特徴とする提供装置。
【請求項2】
前記第2提供部は、
前記利用者が取引対象の購買に関する行動を行った場合は、前記所定の感情と紐付けられたコンテンツを提供する
ことを特徴とする請求項
1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記第2提供部は、
前記取得部により前記所定の感情とは異なる感情が取得された場合は、前記所定のコンテンツを前記利用者に提供する
ことを特徴とする請求項
1に記載の提供装置。
【請求項4】
前記第1提供部は、
前記取得部より肯定的な感情が取得された場合は、前記利用者に前記所定のコンテンツを提供し、
前記第2提供部は、
前記取得部により否定的な感情が取得された場合は、前記利用者に前記所定のコンテンツを提供する
ことを特徴とする請求項
3に記載の提供装置。
【請求項5】
前記第1提供部は、
前記所定のコンテンツとして、所定の音声を出力させ、
前記第2提供部は、
前記所定の感情と紐付けられた音声を出力させる
ことを特徴とする請求項
1~
4のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項6】
前記第1提供部は、
前記所定のコンテンツとして、前記利用者が閲覧する画面上に視認可能なコンテンツを表示させ、
前記第2提供部は、
前記画面上に前記所定の感情と紐付けられたコンテンツを表示させる
ことを特徴とする請求項
1~
4のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項7】
前記第1提供部は、
前記表示コンテンツのうち前記利用者からの選択を受け付ける選択コンテンツの表示態様を変更し、
前記第2提供部は、
前記利用者が閲覧している表示コンテンツのうち前記選択コンテンツの表示態様を変更する
ことを特徴とする請求項
1~6のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項8】
前記第1提供部は、
前記選択コンテンツとして、前記利用者から取引対象の購入指示を受け付けるための購入ボタンの表示態様を変更し、
前記第2提供部は、
前記利用者が閲覧している表示コンテンツのうち前記購入ボタンの表示態様を変更する
ことを特徴とする請求項
7に記載の提供装置。
【請求項9】
前記第1提供部は、
前記表示コンテンツのうち取引対象の価格を示す価格コンテンツの表示態様を変更し、
前記第2提供部は、
前記利用者が閲覧している表示コンテンツのうち前記価格コンテンツの表示態様を変更する
ことを特徴とする請求項
1~8のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項10】
前記第1提供部は、
前記表示コンテンツのうち前記利用者からの入力を受け付けるための入力コンテンツの表示態様を変更し、
前記第2提供部は、
前記利用者が閲覧している表示コンテンツのうち前記入力コンテンツの表示態様を変更する
ことを特徴とする請求項
1~9のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項11】
前記紐付け部は、
前記第1提供部により前記所定のコンテンツが提供された回数が所定の閾値を超えた場合は、当該所定のコンテンツと前記所定の感情とを紐付ける
ことを特徴とする請求項1~
10のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項12】
前記取得部は、
前記利用者の行動に基づいて、当該利用者の感情を推定する
ことを特徴とする請求項1~
11のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項13】
前記取得部は、
前記利用者の一連の行動と因果関係を有する感情を推定する
ことを特徴とする請求項
12に記載の提供装置。
【請求項14】
提供装置が実行する提供方法であって、
利用者の感情を取得する取得工程と、
前記取得工程により所定の感情が取得された場合は、前記利用者に所定のコンテンツを提供する第1提供工程と、
前記第1提供工程による提供態様が所定の条件を満たした場合は、前記所定のコンテンツと前記所定の感情とを紐付ける紐付け工程と
、
前記利用者の感情を前記所定の感情へと誘導する誘導条件が満たされた場合は、当該所定の感情と紐付けられたコンテンツを前記利用者に提供する第2提供工程と
を含
み、
前記第1提供工程は、
前記利用者が所定の表示コンテンツを閲覧している際に前記所定の感情が取得された場合は、当該表示コンテンツの一部の表示態様を所定の変更条件に従って変更したコンテンツに変更し、
前記第2提供工程は、
前記誘導条件が満たされた場合は、前記利用者が閲覧している表示コンテンツの一部を、前記所定の変更条件に従って変更する
ことを特徴とする提供方法。
【請求項15】
利用者の感情を取得する取得手順と、
前記取得手順により所定の感情が取得された場合は、前記利用者に所定のコンテンツを提供する第1提供手順と、
前記第1提供手順による提供態様が所定の条件を満たした場合は、前記所定のコンテンツと前記所定の感情とを紐付ける紐付け手順と
、
前記利用者の感情を前記所定の感情へと誘導する誘導条件が満たされた場合は、当該所定の感情と紐付けられたコンテンツを前記利用者に提供する第2提供手順と
をコンピュータに実行させ
、
前記第1提供手順は、
前記利用者が所定の表示コンテンツを閲覧している際に前記所定の感情が取得された場合は、当該表示コンテンツの一部の表示態様を所定の変更条件に従って変更したコンテンツに変更し、
前記第2提供手順は、
前記誘導条件が満たされた場合は、前記利用者が閲覧している表示コンテンツの一部を、前記所定の変更条件に従って変更する
ことを特徴とする提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提供装置、提供方法及び提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者に対して各種の情報を提供する情報提供技術が知られている。このような技術の一例として、利用者の感情を所定の感情へと誘導するため、音楽や予め分類されたコンテンツの提供を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-195043号公報
【文献】特表2015-518974号公報
【文献】特表2015-518975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、利用者の感情を容易に誘導しているとは言えない場合がある。
【0005】
例えば、上述した従来技術では、利用者の感情を所定の感情へと誘導するコンテンツを準備したり、コンテンツが利用者の感情をどのような感情に誘導するかを判別することとなり、手間がかかる。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、より容易に利用者の感情を誘導することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る提供装置は、利用者の感情を取得する取得部と、前記取得部により所定の感情が取得された場合は、前記利用者に所定のコンテンツを提供する第1提供部と、前記第1提供部による提供態様が所定の条件を満たした場合は、前記所定のコンテンツと前記所定の感情とを紐付ける紐付け部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、より容易に利用者の感情を誘導することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る提供処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る提供システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る提供装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るトリガ情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る提供処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、提供装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本願に係る提供装置、提供方法及び提供プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る提供装置、提供方法及び提供プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。また、以下の各実施形態は、利用者の所定の反応と、所定の外的要因とを一定期間関連付けることにより、当該所定の外的要因に基づく刺激によって利用者に当該所定の反応を惹起させることを狙ったものである。
【0011】
〔1.実施形態〕
図1を用いて、本実施形態の提供装置等により実現される提供処理を説明する。
図1は、実施形態に係る提供処理の一例を示す図である。
図1に示す例において、提供システム1は、提供装置100及び端末装置10を有する。提供装置100と、端末装置10とは、図示しない所定の通信網を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、
図1に示す提供システム1は、複数台の提供装置100や、複数台の端末装置10が含まれてもよい。
【0012】
図1に示す提供装置100は、端末装置10に各種コンテンツを提供するサーバ装置である。なお、提供装置100が端末装置10に提供するコンテンツは、例えば、ポータルサイト、ニュースサイト、オークションサイト、天気予報サイト、ショッピング(電子商取引)サイト、ファイナンス(株価)サイト、路線検索サイト、地図提供サイト、旅行サイト、飲食店紹介サイト、ウェブブログなどに関するコンテンツであってもよい。また、提供装置100が端末装置10に提供するコンテンツは、例えば、端末装置10にインストールされた各種アプリケーション(以下、「アプリ」と記載する場合がある)におけるに関するコンテンツであってもよい。具体的には、提供装置100が提供するコンテンツは、ポータルアプリ、ニュースアプリ、オークションサイト、天気予報アプリ、ショッピングアプリ、ファイナンス(株価)アプリ、路線検索アプリ、地図提供アプリ、旅行アプリ、飲食店紹介アプリ、ブログ閲覧アプリ等に関するコンテンツであってもよい。
【0013】
また、
図1に示す例において、提供装置100は、利用者の感情に対応付けたトリガ情報、並びに、利用者へのトリガ情報の提供回数が所定の閾値を超えたか否かを示すフラグ情報を、利用者ごとにトリガ情報記憶部において管理する。ここで、
図1の例において、トリガ情報とは、提供装置100が提供するコンテンツの表示態様の変更処理が行われる場合に、変更処理の内容を指示する情報を示す。また、フラグ情報に「1」が格納されている場合、利用者へのトリガ情報の提供回数が所定の閾値を超えたことを示す。また、フラグ情報に「0」が格納されている場合、利用者へのトリガ情報の提供回数が所定の閾値を超えていないことを示す。
【0014】
図1に示す端末装置10は、利用者によって利用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット端末や、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。なお、
図1に示す例において、端末装置10は、利用者によって利用されるスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスである場合を示す。また、
図1に示す例において、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の出力部(以下、画面と記載する場合がある)を有し、タッチパネルが採用されているものとする。すなわち、利用者は、指や専用ペンで出力部の表示面をタッチすることにより端末装置10の各種操作を行う。
【0015】
また、端末装置10は、利用者のネットワーク上での行動に関する行動情報を提供装置100に送信する。なお、端末装置10は、端末装置10が取得した利用者の生体情報を提供装置100に送信してもよい。例えば、端末装置10は、心拍センサ等の種々のセンサにより検知した利用者の生体情報を提供装置100に送信する。また、例えば、端末装置10は、端末装置10と通信可能なウェアラブルデバイスを利用者が身に付けることで取得した利用者の心拍(脈拍)に関する生体情報を提供装置100に送信する。
【0016】
以下、
図1を用いて、提供装置100が行う提供処理について説明する。なお、以下の説明では、端末装置10が利用者U1により利用される例を示す。
【0017】
まず、提供装置100は、端末装置10にコンテンツを提供する(ステップS11)。なお、
図1の例において、提供装置100は、端末装置10からの要求に応じて、電子商取引に関するコンテンツC1を提供するものとする。
【0018】
続いて、提供装置100は、コンテンツ閲覧時の利用者U1の行動を取得する(ステップS12)。例えば、
図1の例において、提供装置100は、コンテンツC1を端末装置10に提供する時点から所定の期間内(例えば、直近1時間、1日、1週間)における利用者U1のネットワーク上の行動に関する行動情報を取得する。なお、
図1では、行動情報を「行動#1」と概念的に示すが、実際には、ネットワーク上の各種サービスにおける利用者U1の利用履歴や、操作履歴などの情報を取得する。例えば、利用履歴とは、コンテンツの閲覧履歴や、入力した検索クエリ、遷移元及び遷移先のコンテンツなどに関する情報を示す。また、例えば、操作履歴とは、コンテンツの滞在時間、コンテンツのスクロール速度、選択操作(クリック)が行われた回数などに関する情報を示す。
【0019】
なお、提供装置100は、コンテンツC1を端末装置10に提供する時点から所定の期間内における利用者U1の生体情報を更に取得してもよい。
【0020】
続いて、提供装置100は、コンテンツ閲覧時の利用者U1の感情を推定する(ステップS13)。例えば、
図1の例において、提供装置100は、行動情報と感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、行動情報から利用者U1の感情を推定する。ここで、
図1の例において、提供装置100は、利用者U1の行動情報「行動#1-#3」に基づいて、利用者U1の感情を「楽しい」と推定したものとする。
【0021】
なお、提供装置100は、利用者の感情と、当該感情と因果関係を有する利用者の一連の行動との間の関係性を学習したモデル(例えば、MIL(Multiple Instance Learning)の技術を用いて学習したモデル)を用いて、取得した行動情報に基づき、コンテンツC1閲覧時の利用者U1の感情を推定してもよい。例えば、提供装置100は、利用者がコンテンツの閲覧時に行った一連の操作(クリックやスクロール)や利用者が閲覧したコンテンツの順番、どのようなリンクを選択したかといった利用者の時系列順の行動と、その行動を行う前、行動中、若しくは行動後に利用者が有していたと推定される感情との間の関係性を学習したモデルを用いてもよい。なお、このようなモデルは、例えば、利用者の生体情報等から推定された感情と、利用者の一連の行動との間の関係性をMILの技術を用いて学習することで実現され、利用者の一連の行動が入力された場合に、その行動を行う前、行動中、若しくは行動後等、一連の行動と何かしらの因果関係を有すると推定される感情を出力することとなる。すなわち、このようなモデルは、感情と一連の行動とを学習データとし、MILの技術を用いた学習を行うことで、入力された一連の行動の全体若しくは一部と因果関係を有する(何かしらの関連性を有する)感情を示す情報を出力するように学習が行われることとなる。また、提供装置100は、利用者の行動情報及び生体情報を取得した場合、行動情報や生体情報等と、感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、行動情報や生体情報等から利用者U1の感情を推定してもよい。
【0022】
続いて、提供装置100は、所定の感情が推定された場合、対応するトリガを決定する(ステップS14)。例えば、
図1の例において、提供装置100は、トリガ情報記憶部を参照し、推定した利用者U1の感情「楽しい」に対応するトリガ情報「選択ボタン拡大」を決定する。ここで、トリガ情報「選択ボタン拡大」とは、
図1に示すように、端末装置10に表示される初期状態のコンテンツC1に含まれる選択ボタンC11の表示態様の変更(拡大)を指示する情報を示す。
【0023】
続いて、提供装置100は、端末装置10にトリガを提供する(ステップS15)。例えば、
図1の例において、提供装置100は、端末装置10にトリガ情報「選択ボタン拡大」を提供する。そして、端末装置10は、ステップS11において提供されたコンテンツC1に含まれる選択ボタンを拡大して画面に表示する。
【0024】
続いて、提供装置100は、利用者の感情に対応するトリガの提供回数が所定の閾値を超えた場合、感情とトリガとを紐付けて管理する(ステップS16)。ここで、
図1の例において、提供装置100のトリガ情報「選択ボタン拡大」の利用者U1に対する提供回数が所定の閾値(例えば、50回、100回など)を超えたものとする。この場合、提供装置100は、トリガ情報「選択ボタン拡大」に対応するフラグ情報「1」と設定することにより、利用者U1の感情「楽しい」と、トリガ情報「選択ボタン拡大」とを紐付け、トリガ情報記憶部において管理する。
【0025】
なお、
図1の例において、利用者U1の感情「楽しい」と、トリガ情報「選択ボタン拡大」とを紐付けて管理するだけでなく、他の利用者U1の感情と、トリガ情報とを紐付けて管理してもよい。例えば、
図1の例において、利用者U1の感情「どきどき(興奮)」と、トリガ情報「価格点滅」とが紐付けて管理されてもよい。ここで、トリガ情報「価格点滅」とは、
図1に示すように、端末装置10に表示される初期状態のコンテンツC1に含まれる商品の価格を示す価格コンテンツC12の表示態様の変更(点滅)を指示する情報を示す。
【0026】
続いて、提供装置100は、利用者を誘導したい感情と対応するトリガを提供する(ステップS17)。例えば、
図1の例において、提供装置100が提供するコンテンツ閲覧時に、利用者U1の感情が「悲しい」と推定されたものとする。この場合、提供装置100は、利用者U1の感情を「楽しい」に誘導するため、端末装置10にトリガ情報「選択ボタン拡大」を提供し、利用者U1が閲覧しているコンテンツの表示態様を変更する。また、例えば、
図1の例において、提供装置100が提供するコンテンツ閲覧時に、利用者U1の感情が「退屈」と推定されたものとする。この場合、提供装置100は、利用者U1の感情を「どきどき」に誘導するため、端末装置10にトリガ情報「価格点滅」を提供し、利用者U1が閲覧しているコンテンツの表示態様を変更する。
【0027】
以上のように、実施形態に係る提供装置100は、利用者が「楽しい」、「どきどき」などといった肯定的な感情であると推定された際に所定の回数以上提供したトリガ情報(コンテンツの表示態様の変更)を、肯定的な感情に紐付けて管理する。これにより、例えば、利用者が「悲しい」、「退屈」などといった否定的な感情であると推定される場合であっても、肯定的な感情と紐付けたトリガ情報を提供することにより、利用者を肯定的な感情に誘導させることができると想定される。すなわち、実施形態に係る提供装置100は、例えば、利用者の感情を誘導するためのコンテンツの準備等を必要とせず、コンテンツの表示態様を変更ことで利用者の感情を誘導するため、より容易に利用者の感情を誘導することができる。
【0028】
〔2.提供システムの構成〕
次に、上述した情報処理を実現するための提供システム1について
図2を用いて説明する。
図2は、実施形態に係る提供システムの構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る提供システム1は、提供装置100と、端末装置10とを含む。提供装置100及び端末装置10は、ネットワークNを介して有線または無線により相互に通信可能に接続される。なお、ネットワークNは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等の通信ネットワークである。ネットワークNには、有線ネットワークが含まれていてもよいし、無線ネットワークが含まれていてもよい。また、
図2に示す提供システム1には、複数台の提供装置100や、複数台の端末装置10が含まれてもよい。
【0029】
提供装置100は、端末装置10に各種コンテンツを提供するサーバ装置である。また、提供装置100は、利用者の感情に対応付けたトリガ情報、並びに、利用者へのトリガ情報の提供回数が所定の閾値を超えたか否かを示すフラグ情報を管理する。なお、提供装置100は、アプリケーションのデータそのものを配信するサーバであってもよい。また、提供装置100は、端末装置10に制御情報を配信する配信装置として機能してもよい。ここで、制御情報は、例えば、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語やCSS(Cascading Style Sheets)等のスタイルシート言語により記述される。なお、提供装置100から配信されるコンテンツに関するアプリケーションそのものを制御情報とみなしてもよい。提供装置100の構成は後述する。
【0030】
端末装置10は、利用者よって利用される情報処理装置である。端末装置10は、提供装置100によって提供されるコンテンツを、ウェブブラウザやアプリケーションにより表示する。また、端末装置10は、提供装置100によって提供されるコンテンツの表示処理を実現する制御情報を提供装置100から受け取った場合には、制御情報に従って表示処理を実現する。また、端末装置10は、利用者のネットワーク上での行動に関する行動情報を提供装置100に送信する。また、端末装置10は、心拍センサ等の種々のセンサにより検知した利用者の生体情報を提供装置100に送信する。
【0031】
〔3.提供装置の構成〕
次に、
図3を用いて、提供装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る提供装置の構成例を示す図である。
図3に示すように、提供装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0032】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、端末装置10等との間で情報の送受信を行う。
【0033】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図3に示すように、記憶部120は、トリガ情報記憶部121を有する。
【0034】
(トリガ情報記憶部121について)
トリガ情報記憶部121は、コンテンツの表示態様の変更処理の内容を指示するトリガ情報や、対応する利用者の感情等を利用者ごとに管理する。ここで、
図4を用いて、トリガ情報記憶部121が記憶するトリガ情報の一例を説明する。
図4は、実施形態に係るトリガ情報記憶部の一例を示す図である。
図4の例では、トリガ情報記憶部121は、「利用者ID」、「感情」、「トリガ情報」、「誘導スコア」、「誘導フラグ」といった項目を有する。
【0035】
「利用者ID」は、利用者を識別するための識別情報を示す。「感情」は、利用者の感情を示す。「トリガ情報」は、コンテンツの表示態様の変更処理の内容を指示する情報を示す。なお、
図4の例では、「トリガ情報」に「選択ボタン拡大」といった変更処理の内容を示す概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、変更処理を実現するためのテキスト情報、動画情報、画像情報、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語や、CSS等のスタイルシート言語により記述される制御情報が格納されてもよい。
【0036】
「誘導スコア」は、「トリガ情報」を提供した回数や、「トリガ情報」を提供した後に推定した端末装置10の利用者の感情と、「トリガ情報」に対応付けられた「感情」との一致度に応じて算出されるスコアを示す。「誘導フラグ」は、「トリガ情報」及び「感情」が紐付けられたか否かを示すフラグ情報である。
図4に示す例では、「誘導フラグ」に「1」が格納されている場合、「トリガ情報」及び「感情」が紐付けられたことを示す。また、「誘導フラグ」に「0」が格納されている場合、「トリガ情報」及び「感情」が紐付けられていないことを示す。例えば、
図4の例において、「誘導スコア」が所定の閾値(例えば、100)を超えた場合、「誘導フラグ」に「1」が格納される。
【0037】
すなわち、
図4では、利用者ID「U1」によって識別される利用者の感情「楽しい」にトリガ情報「選択ボタン拡大」が対応付けられ、誘導スコア「10」が算出され、感情「楽しい」及びトリガ情報「選択ボタン拡大」が紐付けられていない(誘導フラグ「0」)例を示す。
【0038】
なお、「感情」の項目に格納されていない新たな感情が取得された場合、トリガ情報記憶部121は、当該新たな感情と、他の感情に対応付けられていないトリガ情報とを対応付けて格納してもよい。また、
図4の例では、トリガ情報記憶部121が利用者にごとに情報を管理する例を示したが、トリガ情報記憶部121は、利用者全体に対する情報を管理してもよい。例えば、トリガ情報記憶部121は、特定の「感情」に対応付けられた「トリガ情報」を、利用者全体で提供した回数等に基づく「誘導スコア」、並びに、「誘導フラグ」を管理する。
【0039】
(制御部130について)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、提供装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。実施形態に係る制御部130は、
図3に示すように、取得部131と、利用者向けコンテンツ提供部132と、紐付け部133と、誘導コンテンツ提供部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0040】
(取得部131について)
取得部131は、利用者の感情を取得する。例えば、取得部131は、端末装置10から利用者の感情を取得する。
【0041】
また、取得部131は、利用者の行動に基づいて、当該利用者の感情を推定してもよい。例えば、
図1の例において、取得部131は、コンテンツC1を端末装置10に提供する時点から所定の期間内(例えば、直近1時間、1日、1週間)における利用者U1のネットワーク上の行動に関する行動情報や、生体情報を取得する。そして、取得部131は、取得した情報に基づいて、利用者U1の感情を推定する。
【0042】
また、取得部131は、利用者の一連の行動と因果関係を有する感情を推定してもよい。例えば、
図1の例において、取得部131は、利用者の感情と、当該感情と因果関係を有する利用者の一連の行動との間の関係性を学習したモデル(例えば、MIL(Multiple Instance Learning)の技術を用いて学習したモデル)を用いて、取得した行動情報に基づき、コンテンツC1閲覧時の利用者U1の感情を推定する。また、取得部131は、利用者の行動情報及び生体情報を取得した場合、行動情報や生体情報等と、感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、行動情報や生体情報等から利用者U1の感情を推定する。
【0043】
なお、取得部131は、トリガ情報記憶部121の「感情」の項目に格納されていない新たな感情を取得した場合、当該新たな感情と、他の感情に対応付けられていないトリガ情報とを対応付け、トリガ情報記憶部121に格納してもよい。
【0044】
(利用者向けコンテンツ提供部132について)
利用者向けコンテンツ提供部132は、取得部131により所定の感情が取得された場合は、利用者に所定のコンテンツを提供する。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、トリガ情報記憶部121を参照し、推定した利用者U1の感情「楽しい」に対応するトリガ情報「選択ボタン拡大」を端末装置10に提供する。
【0045】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、取得部131より肯定的な感情が取得された場合は、利用者に所定のコンテンツを提供してもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、「楽しい」、「どきどき」などといった利用者U1の肯定的な感情が取得された場合、トリガ情報記憶部121を参照し、各感情に対応するトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0046】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、所定のコンテンツとして、所定の音声を出力させてもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者U1のコンテンツC1閲覧時において所定の音声を出力させるトリガ情報を、端末装置10に提供する。
【0047】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、所定のコンテンツとして、利用者が閲覧する画面上に視認可能なコンテンツを表示させてもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者U1が端末装置10を用いて閲覧するコンテンツC1の表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0048】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者が所定の表示コンテンツを閲覧している際に所定の感情が取得された場合は、当該表示コンテンツを、当該表示コンテンツの表示態様を所定の変更条件に従って変更したコンテンツに変更してもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、コンテンツC1閲覧時の利用者U1の感情「楽しい」が取得された場合において、変更条件「選択ボタン拡大」に従ってコンテンツC1を変更させるトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0049】
なお、トリガ情報は、色、サイズ、フォント、彩度等の変更や、点滅等を指示することにより、表示コンテンツ内の各種コンテンツの強調表示を指示する情報であってもよい。
【0050】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、表示コンテンツのうち利用者からの選択を受け付ける選択コンテンツの表示態様を変更してもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、コンテンツC1に含まれる選択ボタンC11の表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0051】
なお、選択コンテンツのサイズを変更する場合、1ピクセルの違いでも選択コンテンツに対する選択操作の数に有意な差が生じることが知られているため、トリガ情報は、ピクセル単位で選択コンテンツのサイズ変更を指示する情報であってもよい。
【0052】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、選択コンテンツとして、利用者から取引対象の購入指示を受け付けるための購入ボタンの表示態様を変更してもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者U1から取引対象「ミネラルウォーターA」の購入指示を受け付けるための選択ボタンC11の表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0053】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、表示コンテンツのうち取引対象の価格を示す価格コンテンツの表示態様を変更してもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、コンテンツC1のうち、商品の価格を示す価格コンテンツC12の表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0054】
また、利用者向けコンテンツ提供部132は、表示コンテンツのうち利用者からの入力を受け付けるための入力コンテンツの表示態様を変更してもよい。例えば、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者からの文字列、数値、画像、動画等の情報入力を受け付けるための入力コンテンツの表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0055】
(紐付け部133について)
紐付け部133は、利用者向けコンテンツ提供部132による提供態様が所定の条件を満たした場合は、所定のコンテンツと所定の感情とを紐付ける。例えば、紐付け部133は、所定の感情に対応する所定のコンテンツの提供回数等の提供態様が所定の条件を満たした場合、トリガ情報記憶部121において、所定のコンテンツと所定の感情とに対応する「誘導フラグ」の項目に「1」を格納する。
【0056】
また、紐付け部133は、利用者向けコンテンツ提供部132により所定のコンテンツが提供された回数が所定の閾値を超えた場合は、当該所定のコンテンツと所定の感情とを紐付けてもよい。例えば、
図1の例において、紐付け部133は、トリガ情報「選択ボタン拡大」の利用者U1に対する提供回数が所定の閾値(例えば、50回、100回など)を超えた場合、トリガ情報「選択ボタン拡大」に対応する「誘導フラグ」の項目に「1」を格納する。
【0057】
また、紐付け部133は、取得部131により所定の感情が取得されていない状態で所定のコンテンツを提供した際に、利用者の感情が所定の感情へと変化した場合は、当該所定のコンテンツと当該所定の感情とを紐付ける。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者U1の感情「楽しい」が取得されていない状態で端末装置10にトリガ情報「選択ボタン拡大」を提供する。その後、利用者U1の感情「楽しい」が取得された場合、紐付け部133は、利用者U1の感情「楽しい」と、トリガ情報「選択ボタン拡大」とを紐付ける。
【0058】
なお、紐付け部133は、取得部131により所定の感情が取得されていない状態で、所定のコンテンツを提供した場合と、他のコンテンツを提供した場合とにおける利用者の感情に基づいて、所定のコンテンツと所定の感情とを紐付けるか否か決定してもよい。例えば、紐付け部133は、所定のコンテンツと所定の感情との相関性を特定するためのABテストに基づいて、所定のコンテンツと所定の感情とを紐付ける。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者U1の感情「楽しい」が取得されていない状態で、トリガ情報「選択ボタン拡大」と、他のトリガ情報(例えば、選択ボタンの表示態様の変更(選択ボタンの縮小、色の変更、点滅等)を指示するトリガ情報)とを異なるタイミングで提供する。そして、トリガ情報「選択ボタン拡大」を提供した際に利用者U1の感情が「楽しい」に変化した確率が、他のトリガ情報を提供した際の確率よりも所定の閾値以上高い場合、紐付け部133は、利用者U1の感情「楽しい」と、トリガ情報「選択ボタン拡大」とを紐付ける。
【0059】
なお、紐付け部133は、所定のコンテンツが利用者に印象付けられたか否かに基づいて、所定のコンテンツと所定の感情とを紐付けてもよい。例えば、
図1の例において、利用者向けコンテンツ提供部132は、端末装置10にトリガ情報「選択ボタン拡大」を提供し、コンテンツC1に含まれる選択ボタンの一部を拡大して画面に表示させる。そして、拡大された選択ボタンが選択された回数が、他の選択ボタンが選択された回数よりも所定の閾値以上高い場合、紐付け部133は、トリガ情報「選択ボタン拡大」が利用者U1に印象付けられたとして、利用者U1の感情「楽しい」と、トリガ情報「選択ボタン拡大」とを紐付ける。
【0060】
(誘導コンテンツ提供部134について)
誘導コンテンツ提供部134は、利用者の感情を所定の感情へと誘導する誘導条件が満たされた場合は、当該所定の感情と紐付けられたコンテンツを利用者に提供する。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者の行動や、取得部131により取得される感情に基づく誘導条件が満たされた場合、トリガ情報記憶部121を参照し、肯定的な感情と紐付けられたトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0061】
また、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が取引対象の購買に関する行動を行った場合は、所定の感情と紐付けられたコンテンツを提供してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が電子商取引サービスにおける取引対象に関するコンテンツの閲覧や、取引対象を検索クエリとして検索した場合、トリガ情報記憶部121を参照し、肯定的な感情と紐付けられたトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0062】
また、誘導コンテンツ提供部134は、取得部131により所定の感情とは異なる感情が取得された場合は、所定のコンテンツを利用者に提供してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、トリガ情報記憶部121においてトリガ情報と紐付けられた所定の感情と相反する利用者の感情が取得された場合、当該トリガ情報を端末装置10に提供する。
【0063】
また、誘導コンテンツ提供部134は、取得部131により否定的な感情が取得された場合は、利用者に所定のコンテンツを提供してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、取得部131により否定的な感情が取得された場合、トリガ情報記憶部121を参照し、肯定的な感情と紐付けられたトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0064】
また、誘導コンテンツ提供部134は、所定の感情と紐付けられた音声を出力させてもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、所定の感情と紐付けられ、利用者のコンテンツ閲覧時において所定の音声を出力させるトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0065】
また、誘導コンテンツ提供部134は、画面上に所定の感情と紐付けられたコンテンツを表示させてもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者の感情を所定の感情へと誘導する誘導条件が満たされた場合、利用者が端末装置10を用いて閲覧するコンテンツの表示態様の変更を指示するトリガ情報であって、所定の感情と紐付けられたトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0066】
また、誘導コンテンツ提供部134は、誘導条件が満たされた場合は、利用者が閲覧している表示コンテンツを、所定の変更条件に従って変更したコンテンツへと変更してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者の感情を所定の感情へと誘導する誘導条件が満たされた場合、利用者が端末装置10を用いて閲覧するコンテンツを、所定の感情と紐付けられたトリガ情報であって、コンテンツの変更条件を示すトリガ情報を端末装置10に提供する。
【0067】
また、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち選択コンテンツの表示態様を変更してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が端末装置10を用いて閲覧するコンテンツに含まれる選択コンテンツ(例えば、
図1の例における選択ボタンC11)の表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0068】
また、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち購入ボタンの表示態様を変更してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が端末装置10を用いて閲覧するコンテンツに含まれる購入ボタン(例えば、
図1の例における選択ボタンC11)の表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0069】
また、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち価格コンテンツの表示態様を変更してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が端末装置10を用いて閲覧するコンテンツに含まれる価格コンテンツ(例えば、
図1の例における価格コンテンツC12)の表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0070】
また、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち入力コンテンツの表示態様を変更してもよい。例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者からの文字列、数値、画像、動画等の情報入力を受け付けるための入力コンテンツの表示態様の変更を指示するトリガ情報を提供する。
【0071】
〔4.提供処理のフロー〕
ここで、
図5を用いて、実施形態に係る提供装置100の提供処理の手順について説明する。
図5は、実施形態に係る提供処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0072】
図5に示すように、提供装置100は、利用者の感情を取得する(ステップS101)。例えば、
図1の例において、提供装置100は、行動情報と感情との間の関係性を学習したモデルを用いて、行動情報から利用者U1の感情を推定する。
【0073】
続いて、提供装置100は、利用者の感情に対応するコンテンツを提供する(ステップS102)。例えば、
図1の例において、提供装置100は、トリガ情報記憶部を参照し、推定した利用者U1の感情「楽しい」に対応するトリガ情報「選択ボタン拡大」を提供する。
【0074】
続いて、提供装置100は、提供態様が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS103)。提供態様が所定の条件を満たさない場合(ステップS103;No)、提供装置100は、利用者の感情を取得するまで待機する。一方、提供態様が所定の条件を満たす場合(ステップS103;Yes)、提供装置100は、コンテンツと感情とを紐付け(ステップS104)、処理を終了する。例えば、
図1の例において、提供装置100は、利用者の感情に対応するトリガ情報の提供回数が所定の閾値を超えた場合、トリガ情報と感情とを紐付ける。
【0075】
〔5.変形例〕
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0076】
〔5-1.トリガ情報の提供について〕
上述の実施形態において、提供装置100が、利用者のコンテンツ閲覧時に利用者を所定の感情に誘導するため、当該所定の感情と紐付けられたトリガ情報を提供する例を示したが、提供装置100の機能はこのような構成に限定されない。例えば、提供装置100は、利用者が所定の行動に至ると推定された時点から、当該所定の行動に至るまでの各段階で利用者の感情を取得し、利用者を所定の感情に誘導するためのトリガ情報を提供してもよい。例えば、提供装置100は、利用者が商品を購入すると推定された時点から、利用者が実際に商品を購入するまでの各段階(例えば、「商品との出会い」、「商品の検索」、「お気に入り登録」、「購入」、「支払い」など)で、利用者の感情を取得する。そして、提供装置100は、利用者の否定的な感情が取得された際には、肯定的な感情と紐付けられたトリガ情報を利用者に提供する。
【0077】
なお、提供装置100は、各段階において取得された利用者の感情が否定的でなくとも、肯定的な感情の度合が低い場合、肯定的な感情の度合いを高くするトリガ情報を提供してもよい。また、提供装置100は、各段階で肯定的な感情の度合が徐々に高くなるようにトリガ情報を提供してもよい。その他、どのような感情が推定された場合に、提供装置100がどのような感情へと誘導するようにトリガ情報を提供するかについては、トリガ情報を提供する目的等に応じて任意の設定が可能である。
【0078】
〔5-2.利用者のコンテキストとトリガ情報との紐付けについて〕
上述の実施形態において、提供装置100が、利用者の感情と、トリガ情報とを紐付ける例を示したが、提供装置100の機能はこのような構成に限定されない。例えば、提供装置100は、利用者のコンテキスト(利用者が置かれた環境等)と、トリガ情報とを紐付けてもよい。例えば、提供装置100は、取得した利用者のコンテキスト(例えば、職場からの帰宅途中、現在位置の天気が晴れ、歩行中、など)に対応するトリガ情報を提供し、利用者のコンテキストと、トリガ情報とを紐付ける。そして、例えば、コンテキスト「職場からの帰宅途中」において利用者が有すると推定される感情(例えば、明るい、リラックス、など)に誘導する誘導条件が満たされた場合、提供装置100は、コンテキスト「職場からの帰宅途中」に紐付けられたトリガ情報を利用者に提供する。
【0079】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る提供装置100は、取得部131と、利用者向けコンテンツ提供部132と、紐付け部133と、誘導コンテンツ提供部134とを有する。取得部131は、利用者の感情を取得する。利用者向けコンテンツ提供部132は、取得部131により所定の感情が取得された場合は、利用者に所定のコンテンツを提供する。紐付け部133は、利用者向けコンテンツ提供部132による提供態様が所定の条件を満たした場合は、所定のコンテンツと所定の感情とを紐付ける。誘導コンテンツ提供部134は、利用者の感情を所定の感情へと誘導する誘導条件が満たされた場合は、当該所定の感情と紐付けられたコンテンツを利用者に提供する。
【0080】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、利用者の感情と紐付けたコンテンツを提供するため、容易に利用者の感情を誘導することができる。
【0081】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が取引対象の購買に関する行動を行った場合は、所定の感情と紐付けられたコンテンツを提供する。また、誘導コンテンツ提供部134は、取得部131により所定の感情とは異なる感情が取得された場合は、所定のコンテンツを利用者に提供する。
【0082】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、行動や感情に利用者の感情と紐付けたコンテンツを提供するため、利用者を状況にあわせた感情に誘導することができる。
【0083】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、利用者向けコンテンツ提供部132は、取得部131より肯定的な感情が取得された場合は、利用者に所定のコンテンツを提供する。そして、誘導コンテンツ提供部134は、取得部131により否定的な感情が取得された場合は、利用者に所定のコンテンツを提供する。
【0084】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、利用者が否定的な感情である場合に肯定的な感情に誘導できるため、利用者の生活環境を向上できる。
【0085】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、利用者向けコンテンツ提供部132は、所定のコンテンツとして、所定の音声を出力させる。そして、誘導コンテンツ提供部134は、所定の感情と紐付けられた音声を出力させる。また、利用者向けコンテンツ提供部132は、前記所定のコンテンツとして、前記利用者が閲覧する画面上に視認可能なコンテンツを表示させる。そして、誘導コンテンツ提供部134は、画面上に所定の感情と紐付けられたコンテンツを表示させる。
【0086】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、聴覚や視覚に関するコンテンツを感情と紐付けて提供できるため、利用者が利用しているコンテンツに応じて感情に誘導することができる。
【0087】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、利用者向けコンテンツ提供部132は、利用者が所定の表示コンテンツを閲覧している際に所定の感情が取得された場合は、当該表示コンテンツを、当該表示コンテンツの表示態様を所定の変更条件に従って変更したコンテンツに変更する。そして、誘導コンテンツ提供部134は、誘導条件が満たされた場合は、利用者が閲覧している表示コンテンツを、所定の変更条件に従って変更したコンテンツへと変更する。
【0088】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、利用者が閲覧している表示コンテンツの表示態様を利用者の感情と紐付けた変更条件で変更するため、容易に利用者の感情を誘導することができる。
【0089】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、利用者向けコンテンツ提供部132は、表示コンテンツのうち利用者からの選択を受け付ける選択コンテンツの表示態様を変更する。そして、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち選択コンテンツの表示態様を変更する。また、利用者向けコンテンツ提供部132は、選択コンテンツとして、利用者から取引対象の購入指示を受け付けるための購入ボタンの表示態様を変更する。そして、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち購入ボタンの表示態様を変更する。また、利用者向けコンテンツ提供部132は、表示コンテンツのうち取引対象の価格を示す価格コンテンツの表示態様を変更する。そして、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち価格コンテンツの表示態様を変更する。また、利用者向けコンテンツ提供部132は、表示コンテンツのうち利用者からの入力を受け付けるための入力コンテンツの表示態様を変更する。そして、誘導コンテンツ提供部134は、利用者が閲覧している表示コンテンツのうち入力コンテンツの表示態様を変更する。
【0090】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、利用者が閲覧している表示コンテンツに含まれるコンテンツの表示態様を利用者の感情と紐付けた表示態様に変更するため、容易に利用者の感情を誘導することができる。
【0091】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、紐付け部133は、利用者向けコンテンツ提供部132により所定のコンテンツが提供された回数が所定の閾値を超えた場合は、当該所定のコンテンツと所定の感情とを紐付ける。
【0092】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、利用者の感情と対応付けたコンテンツ一定の回数以上提供し、紐付けるため、利用者に感情とコンテンツの相関性を印象付けることができる。
【0093】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、紐付け部133は、取得部131により所定の感情が取得されていない状態で所定のコンテンツを提供した際に、利用者の感情が所定の感情へと変化した場合は、当該所定のコンテンツと当該所定の感情とを紐付ける。
【0094】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、コンテンツ提供後の利用者の感情と、当該コンテンツとを紐付けるため、利用者の感情を誘導できる。
【0095】
また、実施形態に係る提供装置100において、例えば、取得部131は、利用者の行動に基づいて、当該利用者の感情を推定する。また、取得部131は、利用者の一連の行動と因果関係を有する感情を推定する。
【0096】
これにより、実施形態に係る提供装置100は、利用者の感情を把握できるため、適切なタイミングで利用者の感情を誘導できる。
【0097】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた各実施形態に係る提供装置は、例えば
図6に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、提供装置100を例に挙げて説明する。
図6は、提供装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、ROM1200、RAM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0098】
CPU1100は、ROM1200又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1200は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0099】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(実施形態のネットワークNに対応する)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、また、通信網500を介してCPU1100が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0100】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0101】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1300を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1300上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0102】
例えば、コンピュータ1000が提供装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1300上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、提供装置100の記憶装置内の各データが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0103】
〔8.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0104】
また、上述した提供装置100は、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0105】
また、特許請求の範囲に記載した「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0106】
10 端末装置
100 提供装置
110 通信部
120 記憶部
121 トリガ情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 利用者向けコンテンツ提供部
133 紐付け部
134 誘導コンテンツ提供部