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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】蛍光撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20220617BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220617BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G01N21/17 625
A61B1/00 511
A61B1/00 553
A61B1/00 526
A61B1/045 610
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019069797
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2019207222
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】62/650,658
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/799,516
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 耕平
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-532179(JP,A)
【文献】特表2013-519867(JP,A)
【文献】特開2014-147780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0216398(US,A1)
【文献】Hao Wang et al.,Ex vivo catheter-based imaging of coronary atherosclerosis using multimodality OCT and NIRAF excited at 633 nm,OPTICS EXPRESS,2015年,Vol. 6, No. 4,p. 1363-1375
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
A61B 1/00-A61B 1/32
H01L 21/304-H01L 21/306
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光較正を行うコンピュータの作動方法であって、
光プローブを介して励起光が入射された対象物から発生した蛍光を検出部が検出することと、
取得部が、前記対象物の構造データを取得することと、
計算部が、前記構造データに基づいて前記対象物の光減衰特性を計算することと、
較正部が、前記光減衰特性に基づいて蛍光強度を較正することと、を含み、
前記光減衰特性は、光干渉断層撮影法(OCT)強度プロファイルに基づく、作動方法。
【請求項2】
前記較正部が、前記光プローブと前記対象物との間の距離に基づいて前記蛍光強度を較正することをさらに含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記計算部が、前記光プローブと前記対象物との間の距離を計算することをさらに含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項4】
前記検出部が前記蛍光を検出することと同時に、前記取得部が前記構造データを取得することと、をさらに含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項5】
前記蛍光および前記構造データがダブルクラッドファイバによって送出される、請求項1に記載の作動方法。
【請求項6】
前記構造データが前記ダブルクラッドファイバのコアによって送出され、前記蛍光が前記ダブルクラッドファイバのクラッドによって送出される、請求項5に記載の作動方法。
【請求項7】
前記光減衰特性は、OCT画像の減衰係数を含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項8】
前記較正された蛍光強度を、前記蛍光によって構築された蛍光画像を補正部が補正するために適用することをさらに含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項9】
蛍光較正を行うコンピュータの作動方法であって、
光プローブを介して励起光が入射された対象物から発生した蛍光の蛍光強度を検出部が検出することと、
取得部が、前記対象物の構造データを取得することと、
計算部が、前記光プローブと前記対象物との間の距離を計算することと、
較正部が、前記距離に基づいて前記蛍光強度を較正することと、
前記距離に基づいて較正された前記蛍光強度が所定のレベルよりも高い場合には、前記計算部が、前記構造データに基づいて前記対象物の光減衰特性を計算し、さらに、前記較正部が、前記光減衰特性に基づいて前記蛍光の前記蛍光強度を較正することと、を含み、
前記光減衰特性は、光干渉断層撮影法(OCT)強度プロファイルに基づく、作動方法。
【請求項10】
前記検出部が前記蛍光を検出することと同時に、前記取得部が前記構造データを取得することと、をさらに含む、請求項9に記載の作動方法。
【請求項11】
前記蛍光および前記構造データがダブルクラッドファイバによって送出される、請求項9に記載の作動方法。
【請求項12】
前記構造データがダブルクラッドファイバのコアによって送出され、前記蛍光がダブルクラッドファイバのクラッドによって送出される、請求項9に記載の作動方法。
【請求項13】
前記光減衰特性は、OCT画像の減衰係数を含む、請求項9に記載の作動方法。
【請求項14】
第1の較正係数によって較正された前記蛍光強度が前記所定のレベルよりも高くない場合には、前記第1の較正係数によって較正された前記蛍光強度だけを適用して、前記蛍光によって構築された蛍光画像を前記補正部が補正することをさらに含む、請求項9に記載の作動方法。
【請求項15】
第1の較正係数によって較正された前記蛍光強度が前記所定のレベルよりも高い場合には、前記第1の較正係数と第2の較正係数の両方によって較正された前記蛍光強度を適用して、補正部が前記蛍光によって構築された蛍光画像を補正することをさらに含む、請求項9に記載の作動方法。
【請求項16】
励起光を発生するように構成された光源と、
前記励起光を対象物に向けて導き、前記励起光に応答して前記対象物で発生した蛍光を検出するための光導波路と、
蛍光を検出するための光センサと、
前記対象物からのOCT画像を得るように構成されたOCTシステムと、
信号プロセッサであって、
カテーテルと前記対象物との間の距離、および減衰係数を計算するように構成されたOCT画像処理ユニット、ならびに、
i)前記距離および前記減衰係数に基づいて前記蛍光の蛍光強度を較正する、
または、
ii)前記距離に基づいて較正された前記蛍光強度が所定のレベルよりも高い場合には、前記距離に基づいて前記蛍光の蛍光強度を較正し、前記減衰係数に基づいて前記蛍光を較正する、
ように構成された蛍光処理ユニット
を含む信号プロセッサと、
を備え、
前記減衰係数は、OCT強度プロファイルに基づく、蛍光撮像システム。
【請求項17】
前記蛍光および前記OCT画像を送出するためのダブルクラッドファイバを備える、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月30日に米国特許商標局に出願された米国特許仮出願第62/650658号、さらに2019年1月31日に米国特許商標局に出願された米国特許仮出願第62/799516号の優先権を主張し、両出願の開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に蛍光撮像装置に関し、より詳細には光干渉断層撮影法(optical coherence tomography:OCT)と蛍光分光法(fluorescence spectroscopy)の統合に関する。
【背景技術】
【0003】
光干渉断層撮影法(OCT)は、組織微細構造の高解像度断面撮像を生体内の原位置で、かつリアルタイムで実現し、蛍光撮像は、分子過程の可視化を可能にする。単一のカテーテルにおけるOCTと蛍光撮像の統合により、共存している解剖学的情報と分子情報を動脈壁などの組織から同時に得る機能が実現する。たとえば、「Ex.Vivo catheter-based imaging of coronary atherosclerosis using multimodality OCT and NIRAF excited at 633nm」(Biomed Opt Express 2015,6(4):1363~1375頁)でWangは、蛍光のためのHe:Ne励起光とOCTのための掃引レーザを光ファイバプローブに通して同時に使用するOCT-蛍光撮像システムを開示している。通常、光学撮像では、信号強度は距離に依存し得る。蛍光信号は、撮像プローブからサンプルまでの距離が遠くなると弱くなる。Wangによって開示されたシステムは、光ファイバによって検出された蛍光光強度を光ファイバと組織の間の距離を用いて較正し、OCTではその距離を測定することができる。しかし、光ファイバによる蛍光の集光効率は、光ファイバと組織の間の距離だけでなく、組織の光減衰特性または散乱特性などの光学特性にも依存することが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本特許出願は、蛍光サンプルの光学特性を取り入れる蛍光較正法によって蛍光撮像の精度を改善することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態では、励起光が光プローブを介して対象物(object)に供給され入射する。対象物から発生した蛍光が検出される。対象物の構造データが取得される。構造データに基づいて対象物の光減衰特性(optical attenuation property)が計算される。次に、蛍光強度(fluorescence intensity)が光減衰特性に基づいて較正される。
【0006】
好ましくは、光プローブと対象物との間の距離もまた計算され、蛍光強度は、距離および光減衰特性に基づいて較正される。好ましくは、しかし任意選択で、蛍光強度と構造データは同時に得られる。蛍光および構造データは、構造データがダブルクラッドファイバのコアによって送出され、蛍光がダブルクラッドファイバのクラッドによって送出されるように、ダブルクラッドファイバによって送出することができる。蛍光は、近赤外光を含み得る。蛍光較正の方法は、さらに、光干渉断層撮影法(optical coherence tomography)によって構造データを取得することを含み得る。光減衰特性は、OCT画像の減衰係数を含む。次に、蛍光強度が較正され、蛍光画像が構築される。別の実施形態では、蛍光較正の方法は、さらに、対象物が均一な光学特性を有する場合に対象物の少なくとも最上層の光減衰特性を計算するステップと、少なくとも最上層の深度を計算するステップと、を含む。次に、蛍光強度は、距離、光減衰特性および深度に基づいて較正される。次に、蛍光画像が構築される。
【0007】
別の実施形態では、以下のステップを含む蛍光較正の方法が提供される。励起光が光プローブを介して対象物に供給され入射する。対象物から発生した蛍光の蛍光強度が検出される。対象物の構造データが取得される。光プローブと対象物との間の距離が計算される。蛍光強度は、距離に基づいて較正される。距離に基づいて較正された蛍光強度が所定のレベルよりも高い場合には、対象物の光減衰特性が構造データに基づいて取得される。蛍光の蛍光強度は、さらに、この光減衰特性に基づいて較正される。別の実施形態では、対象物の光減衰特性が構造データに基づいて取得され、蛍光の蛍光強度は、この光減衰特性に基づいて較正される。光減衰特性に基づいて較正された蛍光強度が所定のレベルよりも高い場合には、光プローブと対象物との間の距離が計算される。蛍光の蛍光強度は、さらに、この距離に基づいて較正される。
【0008】
この方法では、さらに、蛍光強度と構造データを同時に得ることを含み得る。蛍光および構造データは、ダブルクラッドファイバによって送出することができる。構造データはダブルクラッドファイバのコアによって送出され、蛍光はダブルクラッドファイバのクラッドによって送出される。蛍光は、近赤外光を含む。蛍光較正の方法は、さらに、光干渉断層撮影法(OCT)によって構造データを取得することを含み得る。光減衰特性は、対象物のOCT信号の減衰係数を含む。較正された蛍光は、次に、蛍光によって構築された蛍光画像を補正するために適用される。
【0009】
第1の較正係数(calibration factor)によって較正された蛍光強度が所定のレベルよりも高くない場合には、第1の較正係数によって較正された蛍光強度だけが適用されて、蛍光によって構築された蛍光画像が補正される。第1の較正係数によって較正された蛍光強度が所定のレベルよりも高い場合には、第2の較正係数によってさらに較正された蛍光強度が適用されて、蛍光によって構築された蛍光画像が補正される。第1の較正係数と第2の較正係数の両方を用いて蛍光強度を較正するために、第2の較正係数を第1の較正係数で較正された蛍光強度に適用することができ、あるいは、第1の較正係数および第2の較正係数により計算されている第3の較正係数を元の蛍光強度に適用することができる。
【0010】
蛍光撮像システム(fluorescence imaging system)も、また提供される。このシステムは、励起光を発生するように構成された光源と、励起光を対象物に向けて導き、励起光に応答して対象物で発生した蛍光を検出するための光導波路(optical waveguide)と、対象物からのOCT画像を得るように構成されたOCTシステムと、信号プロセッサとを含む。信号プロセッサは、OCT画像処理ユニットおよび蛍光処理ユニットを備える。OCT画像処理ユニットは、カテーテルと対象物との間の距離、および減衰係数を計算するように構成される。蛍光処理ユニットは、i)距離および減衰係数に基づいて蛍光の蛍光強度を較正する、または、ii)距離に基づいて蛍光の蛍光強度を較正し、距離に基づいて較正された蛍光強度が所定のレベルよりも高い場合には、減衰係数に基づいて蛍光を較正する、ように構成される。
【0011】
光導波路の遠位端は、光を側方角(side angle)に向けるように、また光を側方角から集めるように構成することができる。システムは、さらに、光導波路を回転させる回転ユニットを備え得る。
【0012】
システムは、さらに、撮像中にサンプルをスキャンするためのプルバックユニット(pullback unit)を備え得る。蛍光およびOCT画像を送出するためにダブルクラッドファイバを使用することができる。蛍光は、ダブルクラッドファイバのクラッドで送出することができ、OCT画像は、ダブルクラッドファイバのコアで送出することができる。
【0013】
本開示は、さらに、蛍光データ測定値(fluorescence data measurements)を補正する方法を教示し、この方法は、対象構造物(subject structure)の第1の層と第2の層との間の境界を画定することと、第2の層の深度を計算することと、深度値を所定の補正関数(correction function)に代入する(plugging)ことによって深度較正係数(depth calibration factor)を計算することと、深度補正係数を乗じることによって蛍光強度を補正することと、を含む。
【0014】
加えて、本開示は、蛍光データ測定値を補正する方法を提示し、この方法は、対象構造物の第1の層と第2の層との間の境界を画定することと、第2の層の深度を計算することと、深度値を所定の補正表(correction table)に代入することによって深度較正係数を計算することと、深度補正係数を乗じることによって蛍光強度を補正することと、を含む。
【0015】
さらに追加の実施形態では、本方法は、さらに、蛍光データと構造データを同時に取得することを含む。
【0016】
追加の実施形態では、この方法は、さらに、蛍光データを深度較正係数で補正する前に、蛍光データを光プローブと構造物との間の距離に基づいて補正する。
【0017】
この方法は、蛍光層の深度と第1の層の光減衰特性との関数である補正関数を教示することが、さらに企図される。
【0018】
さらに、追加の実施形態では、この方法は、自動化アルゴリズムによって画定される第1の層と第2の層との境界を含む。さらには、第1の層と第2の層との境界は、ユーザ入力によって与えられる。
【0019】
別の実施形態では、この方法は、補正された蛍光データを表示することをさらに教示し、蛍光信号は、近赤外光を含み、かつ/または内因性蛍光(endogeneous fluorescence)である。
【0020】
この方法の別の実施形態では、蛍光信号は、外因性蛍光作用物(exogeneous fluorescence agent)から発せられる。
【0021】
さらに、構造データと蛍光データは、両方とも単一のカテーテルを用いて取得される。加えて、構造データはダブルクラッドファイバのコアで送出することができ、蛍光データはダブルクラッドファイバのクラッドで送出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、OCT-蛍光撮像システムの概略図である。
図2図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、OCT-蛍光撮像システムの信号処理のフローチャートである。
図3図3A図3Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、OCT撮像システムによって処理された冠状動脈および組織強度プロファイルの例示的なOCT画像である。図3Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、プルバックでの組織強度プロファイルを示すグラフである。
図4図4A図4Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、代表的なOCT画像およびAラインプロファイルを示す図である。図4Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、深度に対する信号強度を示すグラフである。
図5図5は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、OCT-蛍光撮像システムの信号処理アルゴリズムのフローチャートである。
図6A図6Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、蛍光較正の様々な例を提示するグラフである。
図6B図6Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、蛍光較正の様々な例を提示するグラフである。
図6C図6Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、蛍光較正の様々な例を提示するグラフである。
図6D図6Dは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、蛍光較正の様々な例を提示するグラフである。
図7図7は、主題の装置、方法またはシステムの1つまたは複数の実施形態による、信号処理アルゴリズムのフローチャートである。
図8図8は、主題の装置、方法またはシステムの1つまたは複数の実施形態による、信号処理アルゴリズムのフローチャートである。
図9図9は、主題の装置、方法またはシステムの1つまたは複数の実施形態による、深度の関数としての蛍光強度を示すグラフである。
図10図10a~図10cは、すべてが主題の装置、方法またはシステムの1つまたは複数の実施形態による、蛍光の距離・深度補正の例示的な結果の画像であり、図10aが生蛍光画像であり、図10bが距離・深度補正されたOCT/蛍光画像であり、図10cがOCT画像である。
図11図11a~図11dは、本開示の実施形態のうちの1つによる、ファントムおよびファントムを撮像する方法を示す図である。
図12図12a~図12dは、本開示の実施形態のうちの1つによる、ファントムおよびファントムを撮像する方法を示す図である。
図13図13aは、本開示の実施形態のうちの1つによる、図12a~図12dに示されたファントムを撮像する際に得られたデータを示す図である。図13bは、図13aに示されたデータを補正することによって生成されたデータを示す図である。図13cは、図13bに示されたデータから生成された補正曲線を示す図である。図13dは、図12aに示されたファントムの断面を示す図である。
図14図14は、主題の装置、方法またはシステムの1つまたは複数の実施形態による、蛍光データを補正するためのフローチャートである。
図15図15は、主題の装置、方法またはシステムの1つまたは複数の実施形態による、製作されたファントムのOCT画像、およびAスキャンの強度のグラフである。
図16図16は、距離補正の選択肢と、距離補正および深度補正がそれぞれの状況でどのように実施されるかとを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は特定の例示的な実施形態についてのものであるが、他の実施形態には代替形態、同等形態、および修正形態が含まれ得る。加えて、例示的な実施形態にはいくつかの新規の機能が含まれることがあり、また特定の機能は、本明細書に記載のデバイス、システム、および方法を実践するのに必須ではないことがある。
【0024】
図1は、冠状動脈または他の身体管腔を撮像する血管内OCT蛍光システムとして適用できる、1つの実施形態のOCT蛍光撮像システムの概略図である。システムは、また、食道撮像に使用されるように適応させることもできる。OCT光源300は、送出されスプリッタ302によって参照アーム304およびサンプルアーム306に分割される、波長が約1,3μmのOCT光を供給する。参照アーム304に沿って進むOCT光からの参照ビームは、参照鏡308から反射され、サンプルアーム306に沿って進むOCT光からのサンプルビームは、サーキュレータ310、回転結合部(RJ)316、およびカテーテル318を経由してサンプル400に入射し、反射または散乱される。サンプルアーム306は、患者インターフェースユニット(PIU)330、およびカテーテル318を含む。カテーテル318は、側方ビュー撮像のために先端に研磨ボールレンズが付いているダブルクラッドファイバ(DCF)を含む。遠位光学部品には、代替としてDCF、GRINレンズ、および屈折要素(格子)が含まれてもよい。PIU330は、RJ316およびプルバックユニット314を含む。図1に示されたOCT-蛍光撮像システムでは、励起光源200から供給された励起光もまた、回転結合部316およびカテーテル318に向けられてサンプル400に照射する。サンプル400に入射する励起光により、サンプル400が蛍光を発する。1つの実施形態では、サンプル400で発生した蛍光は、自己蛍光、すなわち色素または作用物が加えられずに発生した内因性蛍光光を含み得る。あるいは、サンプル400で発生した蛍光は、サンプル中の外因性蛍光色素(exogenous fluorescence dye)または作用物によって発生した蛍光を含み得る。OCT光は、ダブルクラッドファイバのコアを通して送出され、サンプル400から発した蛍光は、ダブルクラッドファイバのクラッドによって集められる。
【0025】
システムは、OCT光源からのOCT光とサンプル400から反射されたOCT光とが結合されて干渉縞が発生するカプラ320を含む。干渉縞は、フォトダイオードまたはマルチアレイカメラなどの検出器322によって検出され、データ取得デバイス324を介してコンピュータ100などのプロセッサへ送出される。同時に、サンプル400からの蛍光は、検出器326によって検出される。検出器326は、蛍光の蛍光信号を記録し、この蛍光信号をコンピュータ100へデータ取得デバイス328を介して送出する。好ましくは、OCT光のOCT干渉縞および蛍光信号は、コンピュータ100へ同時に送出される。
【0026】
図1に示されるように、コンピュータは、OCTデータを収集および処理するOCTユニット110と、蛍光データを収集および処理する蛍光ユニット120とを含む。OCTユニット100は、光減衰特性計算用ユニット112と、サンプル400とサンプル400に入射するOCT光のカテーテル318出口端との間の距離を計算するユニット114とを含む。OCTユニット110で計算された光減衰特性および距離は、蛍光ユニット120へ出力される。計算された光減衰特性および計算された距離に基づいて、蛍光強度の較正が行われる。OCTユニット110および蛍光ユニット112の出力は、OCT画像および較正蛍光データを共登録済OCT蛍光画像501として表示できるように表示装置500に接続される。1つの実施形態では、対象物の光減衰特性以外に蛍光集光効率(fluorescence collection efficiency)と相互に関連する情報が、光プローブと対象物との間の距離の代わりに使用される。この情報は、光プローブと対象物との間の距離と相互に関連する。たとえば、対象物から反射された光の強度は、蛍光を較正するのに使用することができる。
【0027】
図1に示されるように、カテーテル318内部の光導波路の位置は、プルバックユニット314によって調整または制御することができる。1つの実施形態では、回転結合部316はプルバックユニット314の上にある。システムは、さらに、OCT光および蛍光を所望の位置/デバイスに向けるためのダイクロイックフィルタ312および330を含む。回転結合部は、身体管腔の断面画像を得るためにカテーテル318内部の光プローブを回転させる。光プローブは同時に、画像がヘリカルスキャンパターン(helical scanning pattern)で得られるように、回転中に長手方向に移動する。OCTカテーテルの回転および並進運動の動作により、光プローブを身体管腔内部で螺旋状にスキャンし、サンプルの一連の隣接ヘリカルAスキャンを生成し、このAスキャンを使用してヘリカル2次元(2D)断層画像を作成することができる。カテーテルを身体管腔内で長手方向に動かすことにより、組み合わせて対象のサンプルの3次元(3D)画像を形成できる一連のBスキャンの収集が可能になる。
【0028】
図2は、サンプルから得られたOCT蛍光画像を処理するための例示的なフローチャートを示す。上述したように、OCTデータセットおよび蛍光データセットは、単一のカテーテルを使用して同時に取得され、それぞれ、OCTユニットおよび蛍光ユニットへ送出される。OCTユニットでは、OCT画像がOCTデータセットに基づいて構築される。好ましくは、サンプル表面は、すべてのOCT画像を通じてすぐに自動的にセグメント化される。カテーテルとプルバック位置pおよび角度θのサンプルとの間の距離は、セグメント化OCT画像から計算され、d(p,θ)として記憶される。OCT画像は、Aラインを含む。対応するプルバック位置pおよび角度θのサンプルOCT強度プロファイルは、プルバック位置pおよび角度θのAラインから取り込まれる。光減衰特性s(p,θ)は、Aラインの勾配を用いて計算される。d(p,θ)およびs(p,θ)を所定の較正関数g(x,y)に代入することによって蛍光較正係数が決定される。蛍光データセットは、較正係数を乗じることによって蛍光強度較正のために処理される。この処理をプルバック位置からのOCTデータセット全体に適用することによって蛍光信号全体が補正され、補正された蛍光画像を得ることができる。
【0029】
1つの実施形態では、可変距離および減衰係数に関する所定の較正係数表を所定の較正関数の代わりに用いることができる。距離d(p,θ)および光減衰特性s(p,θ)がOCT画像から計算され、最も近いd(p,θ)値およびs(p,θ)値の較正係数が較正係数表から検索される。選択された較正係数を蛍光信号に乗じることによって、蛍光較正を行うことができる。
【0030】
図3A図3Cは、OCT撮像システムによって処理された冠状動脈および組織強度プロファイルの例示的なOCT画像を示す。図3Aに、ある極座標を基準とした任意のプルバック位置pからの冠状動脈の断面画像が提示されている。OCT画像のセグメント化は、図3Bに示されるように極座標画像を用いて行われる。図3Bでは、組織とカテーテルとの間の距離が実線矢印で示されている。光減衰特性計算の該当する組織領域が点線矢印で示されている。カテーテルと組織管腔との間の距離d(p,θ)は、プルバック位置pおよび角度θの関数d(p,θ)によって計算される。極領域OCT画像は、セグメント化組織管腔、距離d(p,θ)、および光減衰特性を計算するために使用された該当する組織領域を示す。自動的なセグメント化および距離計算アルゴリズムを距離計算に用いることができる。該当する組織領域の減衰特性s(p,θ)は、図3Cに示されるOCT強度プロファイルを分析することによって計算される。
【0031】
上述したように、蛍光対象物の光減衰特性は、OCT強度プロファイル、すなわちAラインを使用して計算される。総減衰係数μtは、吸収係数μaと散乱係数μsの和である。吸収係数μaは、OCT光の波長、たとえば1.3μmでは散乱係数μsよりもずっと小さいので、総減衰係数μtは散乱係数μsとほぼ同じであり、すなわちμt≒μsである。減衰係数は、複合OCT Aラインを単一の散乱モデルにフィットさせることによって引き出すことができ、このモデルは、ランベルト・ベールの法則に基づいており、サンプルアーム光学部品の共焦点広がり関数特性を明らかにする。たとえば、フィッティングは、対数圧縮された(logcompressed)Aラインデータとの最小二乗フィッティングを用いることによって行うことができる。管腔境界に近い最大強度点は、ラインフィッティングの開始点で用いることができる。隣接Aラインデータは、ノイズを低減するために平均することができる。
【0032】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、1%および5%イントラリピッドを含む蛍光ファントムの代表的なOCT画像を示す。図4Cは、ファントムの平均Aラインプロファイル(点線)、および対応する線形最小二乗フィット結果(実線)を示す。図4Aおよび図4Bの点からなる長方形は、分析の関心領域(ROI)を示す。ROIが決定され、ROI内のAラインが得られる。各Aラインの蛍光対象物の表面の境界が識別され、ROI内の平均Aラインが得られる。線形最小二乗フィットが対数圧縮平均Aラインに対して行われ、その勾配値が減衰係数値として使用される。
【0033】
較正関数は、異なる光学特性を有するファントムの蛍光強度を光プローブ(カテーテル)と蛍光対象物との間の距離の関数として測定することによって、あらかじめ決定することができる。様々な光減衰特性を有するファントムを得るために、イントラリピッドなどの散乱粒子を含むファントムを用意し使用することができる。ファントムの減衰係数は、OCTによってファントムを撮像し、説明した通りに減衰係数を計算することによって測定することができる。異なる光学特性を有する複数の蛍光ファントムを使用して、各光学特性の距離の関数としての蛍光強度プロファイルを得ることができる。この測定に基づいて、距離(x)と減衰係数(y)の関数としてのフィッティングモデルf(x,y)を得ることができる。蛍光強度の較正関数は、g(x,y)=1/f(x,y)として得ることができる。蛍光信号の較正は、距離(x)、および蛍光データセットの各要素に対応する減衰係数(y)を当てはめることによって得られる較正係数を乗じることによって達成される。
【0034】
較正関数f(x,y)は、また、蛍光対象物が示し得る代表的な減衰係数値に対する距離(x)の較正関数のセットとして用意することもできる。測定に基づいて、異なる光学特性に対する距離(x)の関数としてのフィッティングモデルf(x)を得ることができる。蛍光強度に対する較正関数は、g(x)=1/f(x)として得られる。較正関数g(x,y)は、サンプル減衰係数値に最も近い較正関数を選択することによって得ることができる。
【0035】
本開示の実施形態のうちの1つでは、異なるファントムから得られた曲線のそれぞれに、指数関数モデルf(x)=a×exp(b×x)+c×exp(d×x)をフィッティングのために適用することができる。定数(a)から(d)までをフィッティング過程で決定することができる。また、ファントムのそれぞれは、既知の減衰特性を有する。コンピュータ100は、既知の曲線と関連付けられた既知の減衰特性に基づいて、特有の減衰特性を有する組織の曲線を内挿および外挿によって決定することができる。この実施形態では、曲線測定が特有の減衰特性(A1,A2,…An;Ai≦Ai+1,1<i≦n)を有する複数のファントムについて行われ、曲線フィッティングが測定曲線ごとに行われ、曲線パラメータが得られる(C1,C2,…,Cn;Ci=(ai,bi,ci,di)、1<i≦n)。これらのデータ片は、コンピュータ100のメモリに記憶される。組織撮像が生体内で行われる場合には、システムは、組織の減衰特性Axを計算する。次に、コンピュータ100は、既知の隣接する減衰特性Aj,Aj+1(Aj<Ax<Aj+1)、および対応する曲線パラメータCj,Cj+1を選択する。コンピュータ100は、内挿によって、曲線パラメータCx=(ax,bx,cx,dx)のセットを得ることができ、この曲線パラメータおよび指数関数モデルを用いることによって、コンピュータ100は、距離補正を行うことができる。
【0036】
図11a~図11dは、どのようにして複数の較正曲線f(x)を得ることができるかを示す。図11Aでは、カテーテル1101が円筒形ファントム1104aの中に位置している。図1に示されたカテーテル318でよいカテーテル1101は、方向1102に引き戻され、全プルバック期間中、方向1103に回転することができる。軸Iは、方向1102に沿っているカテーテル1101の長手方向に設定されている。軸d1は、軸Iに垂直であり、また回転方向1102の径方向にある。
【0037】
ファントム1104aは、断面が実質的に円形である内部領域を有し、その円の直径は、I軸に沿って大きくなっている。ファントム1104aは、特有の減衰特性Aaを有する材料で作られており、カテーテルの先端から発した励起光に応答して蛍光を発する。図11b~図11dでは、構成は図11aに示されたものと同じであるが、ファントムは、異なる減衰特性(図11bがAb、図11cがAc、および図11dがAd)を有する別々の材料で作られている。撮像が行われる間、ファントムの内部領域には造影剤が充填されており、この造影剤は、OCT-蛍光撮像システムによって撮像されるべきヒト血管に注入される造影剤と同じである。カテーテルを用いて図11a~図11dのファントムのOCTおよび蛍光撮像をプルバックおよび回転の間に行うことによって、OCTデータのセットおよび蛍光データのセットが得られる。このデータを分析することによって、コンピュータ100は、図4および図6a~図6dのグラフを得る。カテーテル1101の先端からファントム1104Aの表面までの距離は、OCTデータから得ることができる。
【0038】
ファントム1104a~1104dの撮像、および、以下の曲線フィッティング処理を含む補正データ取得処理は、工場で行うことができる。この場合、カテーテル、またはOCT-蛍光撮像システムの残りのものは、病院で実際の生体内撮像に使用されるものではない。特定のタイプの1つのカテーテル、または特定のタイプの1つのOCT-蛍光撮像システムが使用されて補正データ取得処理が決定され、このデータは、顧客に販売されるべき同じ特定のタイプのOCT-蛍光撮像システムのコンピュータ100のメモリに記憶される。
【0039】
別の実施形態では、工場で取得された補正データは、顧客に販売されるべき同じ特定のタイプのOCT-蛍光撮像システムとバンドル(bundle)される、別個のコンピュータ可読媒体に記憶される。さらに別の実施形態では、工場で取得された補正データは、カテーテルの特定のタイプおよび/またはOCT-蛍光撮像システムの特定のタイプと関連付けられ、顧客がアクセスできるサーバに記憶される。この場合には、顧客の場所にあるコンピュータ100は、カテーテルまたはOCT-蛍光撮像システムの特定のタイプについての情報を送ることによって、サーバから補正データを得る、あるいは、補正データがコンピュータ可読媒体中にあってもよい。
【0040】
生体内撮像では、血管の蛍光層が相対的に高い減衰特性を有するのに対し、血管の非蛍光層は相対的に低い減衰特性を有する。しかしながら、人工的に製作されるファントムでは、低い減衰特性を有する蛍光材料で作られたファントムが製作されるという可能性がある。距離補正関数は、血管の(内面から)第1の層の減衰特性に依存し、第1の層が蛍光層であるか非蛍光層であるかは重要でない。したがって、第1の層が非蛍光層であり、第1の層の下の第2の層が蛍光層である状況では、ファントム1104a~1104dの撮像から得られた較正曲線のセットを距離補正に用いることができる。これについては、図7図16を参照してより詳細に説明する。
【0041】
図5は、別の実施形態におけるOCT蛍光画像の信号処理のフローチャートを示す。好ましくは、OCTデータセットと蛍光データセットとは、同時に処理ユニットへ送出される。OCTユニットでは、カテーテルと蛍光対象物との間の距離が計算され、所定の較正関数に代入されて較正係数1が得られる。較正係数1は、蛍光ユニットに入力される。第1の蛍光強度較正が、計算された係数を乗じることによって行われる。補正された蛍光強度が高く、たとえば所定のレベルを超える場合、光減衰特性がOCTユニットで計算される。1つの較正係数が、計算された光減衰特性を減衰係数の関数としての所定の較正関数に代入して較正係数2を得ることによって得られる。次に、蛍光強度は、較正係数2によって較正される。補正された蛍光画像はこのようにして、較正係数1および/または較正係数2によって較正された蛍光強度に基づいて得ることができる。
【0042】
図6は、図5に示された較正方法の例示的な結果を示す。異なる濃度のイントラリピッド(0%、1%、3%、5%)およびAlexa Fluor 633色素を含むファントムの蛍光強度が、ボールレンズが遠位端にある光ファイバプローブを使用して測定される。図6Aは、光プローブと蛍光ファントムとの間の距離と、そのデータによる対応する指数フィッティング曲線f(x)との関数としての正規化蛍光強度を示す。このデータから、較正係数が1/f(x)として計算された(図6B)。図6Cは、0%イントラリピッド(IL 0%)に対する単一の較正係数を使用して較正された蛍光強度を示し、図6Dは、各ファントムの減衰係数に対応する較正係数を使用して較正された蛍光強度を示す。これらの結果は、光減衰特性を考慮に入れる較正方法(図6D)が正確な蛍光強度較正を実現することを実証している。
【0043】
上述の実施形態では、距離補正曲線を決定する方法は、蛍光を発する血管の組織の減衰特性に基づいていた。これらの方法は、血管の表面に蛍光層(組織)を有する血管に適用することができる。しかしながら、蛍光層が血管の表面にはない、また、非蛍光層が蛍光層の最上部にある、いくつかの状態がある。この状況では、蛍光層の最上部の非蛍光層の深度が考慮され、距離補正(すなわち深度補正)が非蛍光層に対して行われる。本開示の実施形態によるこれらの方法について、以下で説明する。
【0044】
図7は、本方法の例示的なフローチャートを示す。OCTデータセットおよび蛍光データセットは、単一のカテーテルを使用して同時に取得される。OCT画像は、OCTデータセットから構築され、管腔を画定するためにセグメント化される。OCT画像は、さらに、最上層と第2の蛍光層との間の境界を画定するためにセグメント化される。プルバック位置pおよび角度θにおける管腔からの第2の層の深度が、d(p,θ)として境界値および管腔値から計算される。深度補正係数は、d(p,θ)を所定の深度補正関数gdepth(x)に代入することによって得られる。次に、補正された蛍光強度は、補正係数を、対応するプルバック位置および角度における蛍光値に乗じることによって得られる。図7では、第2の蛍光層の上の第1の非蛍光層に対する深度補正だけが行われ、血管の内部領域に対する距離補正は行われない。この例示的な処理は、カテーテル318の直径とほとんど同じである小さい直径の血管に対してOCTおよび蛍光撮像が行われる状況に適用することができる。この状況では、カテーテル318と撮像されるべき血管との間には距離が全くないかほとんどなく、距離補正を省くことができる。
【0045】
図12a~図12dおよび図13は、深度補正関数gdepth(x)を得る方法を示す。図12a~図12dは、複数の較正曲線f(x)がどのようにして得られるかに関する状況を示す。図12dでは、カテーテル1201が、材料1204aおよび材料1205を有する円筒形ファントムの中に位置している。カテーテル1201は、図1に示されたカテーテル318でよく、方向1202に引き戻され、全プルバックの期間中、方向1203に回転することができる。軸Iは、方向1202に沿っているカテーテル1201の長手方向に設定されている。軸d1は、軸d1に垂直であり、また回転方向1202の径方向である。
【0046】
ファントムの材料1204aは、断面が実質的に円形である内部領域を画定し、この円の直径は、I軸に沿って、Dとして一定である。材料1204aは、特有の減衰特性Aa’を有する材料で作られており、カテーテル1201の先端から発した励起光に応答して蛍光を発することがない。I軸に垂直の平面では、材料1204aは、幅がd2の環状断面を有する。幅d2は、I軸に沿って単調に大きくなる。材料1205は、カテーテル1201から発した励起光に応答して蛍光を発する。I軸に垂直の平面内に、材料1205は、材料1204aによって画定された内部環を取り囲む環状断面を有する。材料1205によって画定される幅リングは、I軸に沿って小さくなり得るが、幅および形状は、材料1205が材料1204aを取り囲む限り異なるものでよい。材料1204aと材料1205は、1つの円筒形ファントムを形成するように互いに固定されている。
【0047】
図12b~図12dでは、構成は図12aに示されたものと同じであるがファントム材料1204aが、図12bでは材料1204bに置き換えられており、さらに、図12cでは材料1204cに置き換えられており、最後に図12dでは材料1204dに置き換えられている。材料1204a~1204dは、異なる減衰特性(材料1204aがAa’、材料1204bがAb’、材料1204cがAc’、および材料1204dがAd’)を有する。これらの材料のすべてが非蛍光材料であり、カテーテル1201からの励起光に応答して蛍光を発することがない。図12b~図12dでは、図12sのファントムと同じ材料1205がこれらの円筒形ファントムに使用されている。
【0048】
撮像が行われる間、ファントムの内部領域には造影剤が充填されており、この造影剤は、OCT蛍光撮像システムによって撮像されるべきヒト血管に注入される造影剤と同じである。これらの4つの円筒形ファントムのOCTおよび蛍光撮像によって、コンピュータ100は、OCTデータおよび蛍光データを得る。
【0049】
図13a~図13cは、蛍光データ、ならびにこのデータがどのようにして補正データに変換されるかを示す。図13aは、カテーテル1201およびOCT-蛍光システムを用いてプルバック中に得られた蛍光データを示す。水平軸はデータ取得の時間tを表し、垂直軸Iは蛍光の強度を表す。グラフ1301a、1301b、1301c、および1301dは、それぞれ、図12a~図12aの円筒形ファントムに対応する。材料1204a~1204dの直径(d2)がI軸に沿って大きくなるので、強度は、t軸に沿って小さくなる。異なるファントムでは減衰特性が異なるので、曲線は、それぞれ異なる。
【0050】
図13bは、距離補正処理によって補正された蛍光データを示す。図12a~図12dの円筒形ファントムは内径Dが一定になるように設計されているが、実際の直径は、これらのファントムのエラー製造処理によりDとは異なり、また、I軸における位置も異なるはずである。このエラーの影響を取り除く正規化の目的で、距離補正がデータに適用される。この距離補正は従来の方法で行うことができ、単一の基準補正関数がファントムの撮像結果に基づいて用意され、基準補正データが使用される。水平軸tは、図13aのものと同じであるが、垂直軸I’は、図13aのものと異なる。I’は、基準補正係数を蛍光データIに乗じる(または除する)ことによって得ることができる。基準補正係数は、基準補正データと、カテーテル1201の中心および材料1204a(、1204b、1204cまたは1204d)の表面からの距離とによって決定される。この距離は、OCTデータから得ることができる。ここで、この距離補正処理では、理論的に、補正関数は、材料1204a、1204b、1204cまたは1204dに依存し得るが、差δ=d1-D(d1は、カテーテル1201の中心および材料1204a、1204b、1204c、または1204dの表面からの実際の距離)は非常に小さいので、単一の基準補正関数を用いることに関する問題は実際的にない。
【0051】
図13cは、補正曲線fdepth(x)を示す。水平軸は、図13dに示される材料1204aの幅であるd2を表す。垂直軸は、図13bのものと同じであるI’を表す。fdepth(x)は、図13bに示されるデータの曲線フィッティングによって得られる。フィッティングモデルは、f(x)=a’×exp(b’×x)+c’×exp(d’×x)とすることができる。補正関数gdepth(x)は、1/fdepth(x)として得ることができる。補正関数のそれぞれは、パラメータC’={a’,b’,c’,d’}のセットによって定義することができる。
【0052】
ここで、4つの補正曲線fdepth_a’(x)、fdepth_b’(x)、fdepth_c’(x)およびfdepth_d’(x)、または、4つの補正関数gdepth_a’(x)、gdepth_b’(x)、gdepth_c’(x)およびgdepth_d’(x)は、上述の処理によって得られる。これらの補正関数gdepth_a’(x)、gdepth_b’(x)、gdepth_c’(x)およびgdepth_d’(x)は、それぞれ、減衰特性Aa’、Ab’、Ac’およびAd’と関連付けられる。内挿法または外挿法を適用することによって、コンピュータ100は、減衰特性Atを有する特定の組織の特定の補正関数gdepth_t(x)を、Atが{最小(Aa’,Ab’,Ac’,Ad’),最大(Aa’,Ab’,Ac’,Ad’)}の範囲に近いかその範囲内にある場合に得ることができる。たとえば、減数特性Atが次の条件、Ab’<At<Ac’を満たす場合、システムは、gdepth_b’(x)およびgdepth_c’(x)(または、fdepth_b’(x)、fdepth_c’(x))を用いた内挿をして、特定の組織の補正関数gdepth_t(x)を得る。
【0053】
図14は、本開示の実施形態のうちの1つによる、上で詳述した方法のうちの1つで得られた補正関数を用いて蛍光データを補正する処理が記述されたフローチャートを示す。ステップS1401で、OCT-蛍光撮像システムは、生体内で血管のOCT撮像および蛍光撮像を実行して、OCT画像データおよび蛍光データを取得する。ステップS1402で、コンピュータ(またはコンピュータ内のOCTユニット)は、血管領域のセグメント化を実行して、その領域内の1つまたは複数の層を確定する。セグメント化は、OCT画像の強度を分析することによって行われる。この処理では、血管内の1つまたは複数の層がセグメント化される。ステップS1403で、コンピュータは、OCT画像データと蛍光データとの間の位置合わせ(registration)を実行する。位置合わせ処理では、OCT画像データの各Aスキャンデータおよび蛍光データの各片と関連付けられたタイムスタンプデータが、どのAスキャンデータとどの蛍光データ片が同時に取得されたかを確定するために使用される。ステップS1404で、コンピュータは、ステップS1402でセグメント化された各層の減衰特性を計算する。
【0054】
図14のステップS1405で、コンピュータは、蛍光層が撮像血管に存在するかどうかを決定する。この決定は、セグメント化された層の計算された減衰特性に基づいて行うことができる。減衰特性が特定の閾値以上である場合、コンピュータは、その層がカテーテルからの励起光に応答して蛍光を発することができると決定する。減衰特性が特定の閾値未満である場合、コンピュータは、その層が、カテーテルからの励起光に応答して蛍光を発することができない非蛍光層であると決定する。この基準は、血管の生体内撮像に適用することができる。この方法を用いることによって、コンピュータは、撮像血管内の長手方向のどこに蛍光層が存在するかを取得し、深度方向または径方向に積み重なった複数の層がある場合でも、コンピュータは複数の層のうちのどれが蛍光層であるかを取得する。この方法を用いることによって、次のステップS1406では、このステップS1405で上に示したように実行することができる。
【0055】
決定は、蛍光データに基づいて行うことができる。カテーテルによって取得された蛍光強度が全くないかほとんどない場合、コンピュータは、撮像血管に存在した蛍光層がないと決定する。強度が特定の閾値よりも大きい蛍光データがある場合、コンピュータは、蛍光層が撮像血管に存在すると決定する。この方法を用いることによって、コンピュータは、また、撮像血管内の長手方向のどこに蛍光層が存在するかを取得するが、深度方向または径方向に積み重なった複数の層がある場合には、コンピュータは、複数の層のうちのどれが蛍光層であるかを特定することができない。他に、どの層が蛍光層であるかを特定するために、コンピュータは、層の減衰特性を用いることによって、上に示した別の方法を適用する。しかしながら、計算された減衰特性の代わりに蛍光強度を用いるこの方法によって、コンピュータは、撮像血管に何らかの蛍光層があるかどうかを容易に決定することができる。この場合、ステップS1405は、ステップS1404の前に実行することができ、それによりコンピュータは、ステップS1404をスキップし、ステップS1406からS1409まで進むことができ、撮像から画像の表示までの処理時間が低減する。
【0056】
さらに別の実施形態では、コンピュータは、(1)減衰特性を用いる方法と、(2)蛍光強度を用いる方法の両方を利用する。1つの実施形態では、(1)または(2)どちらかの結果で蛍光層があることを示し、コンピュータは、蛍光層が存在すると決定する。この方法は、可能な限り多くの蛍光データを表示することに寄与する。別の実施形態では、(1)と(2)の両方の結果で撮像血管に蛍光層があることを示し、コンピュータは、蛍光層が存在すると決定する。この方法は、OCT画像データと共に表示される蛍光データの不利な点を改善することに寄与する。
【0057】
コンピュータが、蛍光層が存在すると決定した場合、処理はS1406へ進み、そうでなければ、処理はS1413へ進む。ステップS1413で、コンピュータは表示装置に、蛍光層が撮像血管に存在しないと決定されているので蛍光データは表示せずに、OCT画像データを表示させる。
【0058】
ステップS1406で、コンピュータは、減衰特性に基づいて、セグメント化層を蛍光層または非蛍光層として特定する。
【0059】
図15は、ステップS1404からS1406までの例示的な処理を示す。例示的な処理は、血管の2つの層A1およびA2の減衰特性を計算する処理を描写している。OCTの極領域画像が左側に示されている。極領域画像は、管腔、および最上層と第2の蛍光層との間の境界を示す。点矢印は、散乱特性計算の組織領域を示す。右側には、画像Aの点矢印に対応するOCT強度プロファイルが示されている。管腔のセグメント化、および最上層と第2の蛍光層との間の境界は、ステップS1402のソフトウェアアルゴリズムによって自動的に処理することができる。蛍光を補正する対象のフレームにおいてエッジ検出アルゴリズムを実行して、管腔および最上層と第2の蛍光層との間の境界の座標を得ることができる。管腔および最上層と第2の蛍光層との間の境界の座標は、さらに、ユーザ入力によって調整することができる。別の実施形態では、最上層と第2の蛍光層との間の境界は、ユーザ入力を用いる手作業で画定して境界輪郭を描写することができる。
【0060】
第1の層(S1)および第2の層(S2)の減衰特性は、OCT強度プロファイルを用いて計算される。OCT強度プロファイルは、隣り合う管腔の座標からのAライン強度プロファイル(A1)と、最上層と第2の蛍光層との間の境界からのAライン強度プロファイル(A2)とを平均することによって得ることができる。減衰係数は、平均OCT Aライン強度プロファイルを単一の散乱モデルにフィッティングすることによって推定することができる。減衰係数は、線形モデルとの対数圧縮平均Aライン強度プロファイルの最小二乗フィッティングによって推定される。
【0061】
深度補正を第2の層に適用することができる。1つの実施形態では、深度補正は、壊死性コアまたはマクロファージ浸潤などの進行した第2の層のプラーク組織特性を暗示する、第2の層の減衰係数が第1の層よりも大きい場合にだけ適用される。
【0062】
1つの変形形態では、ステップS1406は、距離補正のステップS1407およびS1408の後に実行することができる。
【0063】
ステップS1407で、コンピュータは、距離補正データを取得し、(1)血管の最上層の特性(減衰特性)とは無関係に定義された単一の補正関数を用いる従来の距離補正方法、または、(2)血管の最上層の特性に依存する補正関数を用いる距離補正方法、を実行することができる。ユーザは選択肢(1)および(2)のどちらが蛍光データに適用されるかを選択することができる。これについては後で、図16を参照して説明する。
【0064】
選択肢(1)が適用される場合、コンピュータは、そのメモリから距離補正関数を得る。選択肢(2)が適用される場合、コンピュータは、図1図6を参照して説明したように、g(x,y)に基づいて距離補正関数を得る。
【0065】
ステップS1408で、コンピュータは、得られた距離補正関数(データ)に基づいて距離補正を蛍光データに適用する。ステップS1409で、コンピュータは、非蛍光層が蛍光層の最上部に存在するかどうかを決定する。この決定は、ステップ1407の結果に基づいて行うことができる。非蛍光層が存在すると決定された場合、処理はステップS1410へ進んで、最上層の深度補正を実行する。非蛍光層が存在しないと決定された場合、処理はステップS1412へ進む。
【0066】
ステップS1410で、コンピュータは、減衰特性、ならびに図12および図13を参照して説明した方法によって生成できる補正関数gdepth_a’(x)からgdepth_d’(x)までに基づいて、深度補正データgdepth_t(x)を得る。ステップS1411で、コンピュータは、深度補正データに基づいて、深度補正を蛍光データに適用する。
【0067】
ステップS1412で、コンピュータは、表示装置にOCT画像データと、OCT画像データと共に登録されている補正された蛍光データとを表示させる。
【0068】
図16は、選択肢(1)および(2)と、距離補正および深度補正がそれぞれの状況でどのようにして行われるかとを示す表である。上述のように、ユーザ選択に応じてコンピュータは、選択肢(1)および(2)のどちらが蛍光データに適用されるかを決定する。選択肢(1)では、血管の内部領域に対する距離補正が、血管壁の最上層とは無関係の単一の補正関数に基づいて行われる。選択肢(2)では、血管の内部領域に対する距離補正が、血管壁の最上層に依存する補正関数に基づいて行われる。
【0069】
選択肢(1)で、蛍光層の最上部に非蛍光層がある場合、距離補正は、単一の関数を用いて行われ、深度補正は、血管壁の最上層の減衰特性によって決定された補正関数に基づいて行われる。
【0070】
選択肢(1)で、最上部に蛍光層がある場合、距離補正は、単一の関数を用いて行われ、深度補正は、適用されない。
【0071】
選択肢(1)で、複数の非蛍光層だけがある場合、距離補正または深度補正は、適用されない。
【0072】
選択肢(1)で、蛍光層だけがある場合、距離補正は、単一の関数を用いて行われ、深度補正は、適用されない。
【0073】
選択肢(1)で、非蛍光層だけがある場合、距離補正または深度補正は、適用されない。
【0074】
選択肢(2)で、蛍光層の最上部に非蛍光層がある場合、距離補正は、血管壁の最上層の減衰特性によって決定された補正関数に基づいて行われ、深度補正は、血管壁の最上層の減衰特性によって決定された補正関数に基づいて行われる。
【0075】
選択肢(2)で、最上部に蛍光層がある場合、距離補正は、血管壁の最上層の減衰特性によって決定された補正関数に基づいて行われ、深度補正は、適用されない。
【0076】
選択肢(2)で、複数の非蛍光層だけがある場合、距離補正または深度補正は、適用されない。
【0077】
選択肢(2)で、蛍光層だけがある場合、距離補正は、血管壁の最上層の減衰特性によって決定された補正関数に基づいて行われ、深度補正は、適用されない。
【0078】
選択肢(2)で、非蛍光層だけがある場合、距離補正または深度補正は、適用されない。
【0079】
本開示の実施形態のうちの1つにおける深度補正は、基本的に血管の最上部非蛍光層に対する距離補正である。深度補正と距離補正の両方で、距離補正係数g(x)または深度補正係数gdepth(x)に蛍光強度が乗じられる。したがって、これらの補正の順序は、入れ替え可能である。
【0080】
別の実施形態では、変化する深度に対する所定の補正係数表を所定の補正関数の代わりに用いることができる。この場合、d(p,θ)は、OCT画像から計算され、最も近いd(p,θ)値に対する補正係数が補正係数表から検索される。選択された較正係数を蛍光値に乗じることによって、蛍光補正を行うことができる。
【0081】
深度補正関数は、表面からの蛍光層深度が異なるファントムの蛍光強度を測定することによって、あらかじめ決定することができる。深度が異なるファントムを得るために、様々な厚さの最上層として、また蛍光色素または量子ドットなどの蛍光材料、ならびにイントラリピッドまたはTiO2などの散乱粒子を含む第2の層として、イントラリピッドまたはTiO2などの散乱粒子を含む。深度が異なる複数の点を測定することによって、蛍光層の深の関数としての蛍光信号を得ることができる。深度の関数としての蛍光強度プロファイルが得られる。光プローブから第1の層までの距離が均一ではない場合、距離補正を行うことができる。測定のプロットに基づいて、深度(x)の関数としてのフィッティングモデルfdepth(x)を得ることができる。たとえば、f(x)=a×exp(b×x)+c×exp(d×x)などの指数モデルを用いて誤差の小さいフィッティングを達成することができ、この場合、蛍光強度の補正関数はgdepth(x)=1/f(x)として得られる。
【0082】
管腔のセグメント化、および最上層と第2の蛍光層との間の境界は、ソフトウェアアルゴリズムによって自動的に処理することができる。蛍光を補正する対象のフレームにおいて、エッジ検出により、管腔および最上層と第2の蛍光層との間の境界の座標を得ることができる。
【0083】
別の実施形態では、最上層と第2の蛍光層との間の境界は、ソフトウェアによって行われる第1のセグメント化と、ユーザ入力に基づくセグメント化輪郭のさらなる調整とによって、半自動的に画定することができる。
【0084】
別の実施形態では、最上層と第2の蛍光層との間の境界は、ユーザ入力を用いて手作業で画定して、境界輪郭を画定することができる。深度は、管腔および境界の座標から計算される。
【0085】
さらに別の実施形態では、蛍光強度が光プローブから管腔表面までの距離に対して最初に補正され、次に、蛍光層の深度に対する蛍光強度に関してさらに補正される。図8は、この実施形態の例示的なフローチャートを示す。OCTデータセットおよび蛍光データセットは、単一のカテーテルを使用して同時に取得される。カテーテルと蛍光対象物との間の距離は、OCTデータからdist(p,θ)として計算される。カテーテルと蛍光対象物との間の距離を所定の補正関数に帰属させることによって、距離補正係数が決定される。次に、蛍光データセットが補正される。第2に、最上層と第2の層との間の境界のセグメント化が処理され、第2の層の深度がd(p,θ)として計算される。
【0086】
この深度値を所定の補正関数に帰属させることによって、深度補正関数が決定される。距離補正された蛍光データは、深度補正係数を乗じることによって深度補正される。加えて、蛍光構成部分を覆う第1の層の減衰係数が蛍光減衰プロファイルに影響を及ぼすことがあるので、別の実施形態では減衰係数を補正アルゴリズムの一部として用いることができる。
【0087】
図9は、均一に分散したTiO2およびQdot705を含み、最上部(Ph1)にTiO2を含む非蛍光層の厚さが変化する固体ポリウレタン蛍光ファントムを用いる、蛍光測定の例示的な結果を示す。このデータは、本発明の深度補正関数を構築するために用いられる。Ph1が、遠位端にボールレンズがある光ファイバプローブから成るカテーテルを用いて撮像されて、様々な非蛍光層厚さでの蛍光強度データが得られた。蛍光データが非蛍光層の厚さ(蛍光層の深度)の関数としてプロットされ、このデータは、指数モデルfdepth(x)=a’×exp(b’×x)+c’×exp(d’×x)を用いてフィッティングされた(図9)。次に、深度補正関数がgdepth(x)=1/f(x)として得られた。
【0088】
試験ファントム(Ph2)が、主題の発明を例示するために製作された。均一に分散したTiO2およびQdot705を含む蛍光固体ポリウレタンロッドが、厚さが変化する非蛍光固体ポリウレタン層で覆われた。Ph2がOCT-蛍光カテーテルによって異なる位置で撮像されて、深度プロファイルが異なるロッドのOCT画像および蛍光画像が得られた(図10)。
【0089】
図10aで分かるように、異なる深度における蛍光ロッドの蛍光強度は、著しく異なる蛍光プロファイルを示す。蛍光強度は、最初に光プローブからファントム表面までの距離に関して補正された。次に、蛍光ロッドの深度が、ロッドと非蛍光層の境界をセグメント化することによって測定された。この深度値を用いて、距離補正された蛍光が深度に関してさらに補正された。図10bは、深度補正された蛍光を示す。蛍光を距離および深度に対して補正することによって、非蛍光層の下の蛍光構成部分の蛍光プロファイルは、同様の蛍光プロファイルを示す。
【0090】
以上の開示では特定の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲には、これら実施形態の範囲内の様々な修正形態および同等の構成が含まれる。
図1
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図6A
図6B
図6C
図6D
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