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特許7090591液体組成物をパッケージ化し、塗布するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】液体組成物をパッケージ化し、塗布するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
A45D34/04 515A
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019231670
(22)【出願日】2019-12-23
(62)【分割の表示】P 2016543660の分割
【原出願日】2014-12-09
(65)【公開番号】P2020062421
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2019-12-25
(31)【優先権主張番号】1363721
(32)【優先日】2013-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シュヴァリエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ・トランシャン
(72)【発明者】
【氏名】エミリー・ゴンバール
(72)【発明者】
【氏名】ミリアム・シュヴァリエ
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0271454(US,A1)
【文献】特表2008-512369(JP,A)
【文献】特開2010-149518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0199575(US,A1)
【文献】特開2013-138760(JP,A)
【文献】特開2008-264049(JP,A)
【文献】国際公開第2013/096017(WO,A1)
【文献】特開2002-161297(JP,A)
【文献】特開2006-114071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00-34/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場に応答する固体粒子(52、152、252)を含む液体組成物(14、114、214)をパッケージ化し、塗布するためのデバイス(10、110、210)であって、
- 前記液体組成物(14、114、214)を含有するように意図された容器(12、112、212)と、
- 前記容器(12、112、212)に装着でき、ステム(26、126、226)、および前記ステム(26、126、226)の一方の端部と一体であるアプリケーターヘッド(28、128、228)を備えるアプリケーター(16、116、216)であって、前記ステム(26、126、226)および前記アプリケーターヘッド(28、128、228)は、前記アプリケーター(16、116、216)が前記容器(12、112、212)に装着されるときに前記容器(12、112、212)の中に挿入されるようになされている、アプリケーター(16、116、216)と、
- 前記容器(12、112、212)の中に配置された、前記ステム(26、126、226)をクリーニングするためのクリーニング部材(40、140、240)と
を備えるデバイス(10、110、210)において、
前記アプリケーター(16、116、216)の前記ステム(26、126、226)が、少なくとも静止位置にあるときに、前記固体粒子(52、152、252)の少なくとも一部分を引き付け、前記ステム(26、126、226)上に保持するのに適している磁場を生成することができる磁気部分(42、142、242)を備え、前記磁気部分(42、142、242)が、前記アプリケーター(16、116、216)が前記容器(12、112、212)に装着されたときの前記アプリケーターヘッド(28、128、228)と前記クリーニング部材(40、140、240)との間に延びる前記ステム(26、126、226)の領域(46、146、246)の少なくとも一部分にわたって延びること、
ならびに前記液体組成物(14、114、214)が、透明および/または半透明である液相(48、148、248)を含み、前記 液相(48、148、248)の粘度が、5x10-3Pa・sから5x10-1Pa・sの間であり、
さらに、前記ステム(26)が前記容器(12)から引き出されるときに、前記アプリケーター(16)の前記ステム(26)上に位置している固体粒子を解かすように、前記クリーニング部材(40、140、240)が構成され、それにより、前記液体組成物(14、114、214)の粘度が、前記アプリケーターヘッドの周りで、一時的かつ局所的に上昇していることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイス(110、210)であって、前記磁気部分(142、242)が、前記ステム(126、226)の前記領域(146、246)の少なくとも一部分にわたって不連続的に延びていることを特徴とする、デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイス(10)であって、前記磁気部分(42)が、前記ステム(26)の前記領域(46)の少なくとも一部分にわたって連続的に延びていることを特徴とする、デバイス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(110、210)であって、前記磁気部分(142、242)が、前記ステム(126、226)の前記領域(146、246)の全体にわたって延びていることを特徴とする、デバイス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(10、110、210)であって、前記アプリケーター(16、116、216)の前記ステム(26、126、226)が、少なくとも部分的に中空であり、前記磁気部分(42、142、242)が、前記ステム(26、126、226)内に配置された少なくとも1つの固体磁石(44、144、144'、144"、244、244'、244")を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイスであって、前記磁気部分が、前記ステムの構成材料の中に埋め込まれた磁気または磁化可能な粒子から構成されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス(210)であって、前記磁気部分(242)が、前記ステム(226)の長手方向軸(Z)に沿って方向付けられた磁場勾配を生成することができることを特徴とする、デバイス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(10、110、210)であって、前記容器(12、112、212)が、透明および/または半透明であることを特徴とする、デバイス。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス(10、110、210)であって、前記液体組成物(14、114、214)が、水溶性あるいは水分散性のアクリル系および/もしくはポリアクリル系の薄膜形成ポリマー、または前記薄膜形成ポリマーの混合物の中の前記固体粒子(52、152、252)の水分散液である液相(48、148、248)を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のデバイス(10、110、210)であって、
前記水分散液が、前記水分散液の総重量に対する重量パーセントにおいて、
- 適量の水、
- 薄膜形成剤として、5から90%の少なくとも1つのポリマー、またはアクリル系および/もしくはポリアクリル系ポリマーの混合物、
を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス(10、110、210)であって、
前記液体組成物(14、114、214)が、前記液体組成物(14、114、214)の総重量に対する重量パーセントにおいて、
- 適量の水、
- 薄膜形成剤として、5から90%の少なくとも1つのポリマー、またはアクリル系および/もしくはポリアクリル系ポリマーの混合物、
- 0.5から50%の磁場に応答する固体粒子(52、152、252)、
を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス(10、110、210)であって、
前記液体組成物(14、114、214)が、化粧品組成物であることを特徴とする、デバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス(10、110、210)であって、
前記液相の粘度が、速度100cm -1 で、羽根を備える30mLタンク中のARES-G2レオメーターにおいて行われるレオロジー的測定によって得られていることを特徴とする、デバイス。
【請求項14】
液体化粧品組成物(14、114、214)を人体の一部に塗布するための請求項12に記載のデバイス(10、110、210)の使用。
【請求項15】
マスカラが、請求項12に記載のデバイス(10、110、210)を用いてまつ毛に塗布されることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
請求項12に記載のデバイス(10、110、210)を使用することによって、人体の一部に液体化粧品組成物(14、114、214)を塗布するための方法であって、
- 容器(12、112、212)からアプリケーター(16、116、216)を引き出すステップと、
- 人体の一部に化粧品組成物(14、114、214)を塗布するステップと、
- 前記容器(12、112、212)の中に前記アプリケーター(16、116、216)を挿入するステップと、
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項17】
第1のマスカラを塗布するための第1のデバイスと、第2のマスカラを含有する請求項12に記載の第2のデバイス(10、110、210)とを含むことを特徴とする、まつ毛用のメーキャップキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体組成物、詳細には、磁場に応答する固体粒子を含む液体化粧品組成物をパッケージ化し、塗布するためのデバイスに関し、このデバイスは、
- 液体組成物を含有するように意図された容器と、
- 容器に装着でき、ステム、およびステムの一方の端部と一体であるアプリケーターヘッドを備えるアプリケーターであって、ステムおよびアプリケーターヘッドは、アプリケーターが容器に装着されるときに容器の中に挿入されるようになされている、アプリケーターと、
- 容器の中に配置されたステムクリーニング部材と
を備える。
【背景技術】
【0002】
化粧品デバイスの分野においては、液体化粧品組成物が、液相と、磁場に応答する場合も応答しない場合もある真珠光沢剤などの固体粒子とを含むこのタイプの知られているデバイスがあり、化粧品組成物は、使用者のまつ毛、唇、爪、髪、または皮膚に塗布されるように意図されている。
【0003】
たとえば、FR 2,947,432A1に本出願人の名前で記載されているように、一般に、固体粒子が磁場に応答するときには、アプリケーターは、アプリケーターヘッドにより良く充填することができるようにするために、および/または組成物が塗布されるときの光学的効果を提供するように固体粒子を方向付けるために、磁気アプリケーターヘッドを備える。たとえば、FR 2,876,011A1に記載されているように、他のデバイスは、組成物の塗布直後に使用されて磁石の磁場の効果により固体粒子を方向付けることによってパターンを生み出す磁気部分としてアプリケーターから分離する磁石を備える。
【0004】
磁場に応答しない固体粒子の場合は、これが非常に多数の化粧品処方に関わるので、より一般的である。たとえば、大抵のマスカラと同様に、時としてペーストを形成する多かれ少なかれ粘性の液体組成物において、固体粒子を使用することが幅広く知られている。これらの固体粒子は、一般に、「充填剤(filler)」と呼ばれ、それらは、真珠光沢剤から顔料におよび、様々なよく知られている効果を得るために使用されるいくつかの天然または合成の繊維を含む。
【0005】
しかしながら、磁場に応答する場合も応答しない場合もあるこれらの固体粒子の使用は、所与の組成物の中の固体粒子の最大可能濃度に関して繰り返し発生する関連の技術的問題に直面しており、この可能性は、表面に組成物を堆積し得ること、ならびにそのような組成物が乾燥することであり、そのような組成物は、通常は比較的、粘性であり、そのため、この乾燥現象に対して特に感受性が高い。
【0006】
そのような組成物は、一般に、最大でも約10から15%(重量による)の固体粒子を含む。その上に、固体粒子を安定的、かつ均質な形で組成物の中に分散させること、および手による、またはより困難な場合には、アプリケーターヘッドに製品が十分に充填されなくてはならない場合のアプリケーターによるかどうかに関わらず、組成物を表面に広げることが困難になる。
【0007】
実践の際には、固体粒子は組成物の中でほとんど、もしくは全く移動できなので、安定した状態を保つ固体粒子を含む均質な組成物を有することが望まれる場合、および/またはより高い濃度の固体粒子を使用することが望まれる場合、組成物の粘度を高めることができなくてはならない。
【0008】
そうするために、一般に、増粘剤が、所与の組成物の所望の粘度を得ようとするために加えられる。
【0009】
組成物の粘度が正確に調整されない場合、粘度が高すぎるときには、固体粒子の塊が形成されることになり、または粘度が低すぎるときには、粒子が容器の底部に沈殿することになる。配合が濃すぎる場合、アプリケーターヘッドに充填し、製品を広げることが困難になる。組成物をより流動性をもたせてアプリケーターヘッド上に充填するために、使用者が容器内で前後に動かす撹拌器としてのアプリケーター、具体的には、ステムおよびアプリケーターヘッドを使用することが間もなく必要になることは、化粧品、具体的には、マスカラの消費者にはよく知られている。これを実践することは、組成物が、空気と接触したときに、より急速に乾燥し、そのことは組成物の粘度をより迅速に高めることになるので、組成物の特性に対して影響しないわけではない。
【0010】
したがって、使用するにつれて、固体粒子を含有する製品をアプリケーターヘッド上に最適に充填するように維持することはますます困難になり、結局は、不可能になる。マスカラの場合においては、元々与えられた製品のかなりの割合が、使用できなくなり、そのため、失われることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】FR 2,947,432A
【文献】FR 2,876,011A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、できるだけ再現性可能であり、時間の経過とともにできるだけ一定を保つ品質の固体粒子を非常に大量に含む液体組成物の塗布を可能にし、使用が単純であるデバイスを提供することによって、これらの不利点を克服することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために、本発明は、前述のタイプの磁場に応答する固体粒子を含む液体組成物をパッケージ化し、塗布するためのデバイスに関し、アプリケーターのステムは、少なくとも静止位置にあるときに、上記固体粒子の少なくとも一部分を引き付け、ステム上に保持するのに適している磁場を生成することができる磁気部分を備え、上記磁気部分は、アプリケーターが容器に装着されたときのアプリケーターヘッドとクリーニング部材との間に延びるステムの領域の少なくとも一部分にわたって延びることを特徴とする。
【0014】
これらの構成により、ステムの磁気部分は、所望の塗布に向けて、磁場に応答する十分な量の固体粒子を引き付け、次いで、固体粒子により磁気部分をカバーするようにアプリケーターステム上に蓄積することができる。
【0015】
固体粒子が過度に存在する場合、固体粒子は、液相の中を移動できるので、容器の底部に沈殿することができ、磁気部分の磁場の影響が避けられる。この過度の固体粒子はまた、今後、使用するための予備として働くこともでき、できるだけ長い期間にわたって、ステムの磁気部分に効果的な量の固体粒子を固着することによって最適な長期的使用が可能になる。
【0016】
最後に、アプリケーターが容器から引き出されるとき、ステム上に蓄積された固体粒子は、クリーニング部材と接触することによって解かれ、上記固体粒子は、次いで、ステムの周囲、とりわけ、アプリケーターヘッドの周囲の液相の粘度を局所的、かつ一時的に変える。
【0017】
本発明のデバイスは、使用のたびに、組成物が塗布されるときの組成物の粘度を一時的、かつ局所的に修正することを可能にし、そのことは、多くの利点を提示する。
【0018】
まず、それにより、具体的には、化粧品に、より具体的にはケラチン繊維における使用の文脈で、表面に塗布するのにより良く適したより高い粘度の液相の中に分散される有意な、再現性可能な量の固体粒子を含む化粧品組成物をアプリケーターヘッドに充填することが可能になる。
【0019】
その上、アプリケーターヘッドが使用に向けて充填されるときのみ生じる液相の中に分散される固体粒子の体積率によって決まる粘度のこの上昇とともに、より低い粘度の液相を使用することが可能である。そのような液相により、従来技術において知られている量よりも明らかに多い量の固体粒子を加えることが可能になり、乾燥現象に対して有意に感受性が低いパッケージ化/塗布デバイスを提供することが可能になる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態においては、以下の構成、すなわち、
- 磁気部分は、ステムの上記領域の少なくとも一部分にわたって不連続的に延び、
- 磁気部分は、ステムの上記領域の少なくとも一部分にわたって連続的に延び、
- 磁気部分は、ステムの上記領域の全体にわたって延び、
- アプリケーターステムは、少なくとも部分的に中空であり、磁気部分は、ステム内に配置された少なくとも1つの固体磁石を含み、
- 磁気部分は、ステムの構成材料の中に埋め込まれた磁気または磁化可能な粒子から構成され、
- 磁気部分は、ステムの長手方向軸に沿って方向付けられた磁場勾配を生成することができ、
- 液体組成物は、液相を含み、液相および容器は、透明および/または半透明であり、
- 液体組成物は、水溶性あるいは水分散性のアクリル系および/もしくはポリアクリル系薄膜形成ポリマー、またはそのような薄膜形成ポリマーの混合物の中の上記固体粒子の水分散液である液相を含み、
- 水分散液は、水分散液の総重量に対する重量パーセントにおいて、
- 適量の水、
- 薄膜形成剤として、5から90%、好ましくは、20から50%、より好ましくは、30から40%の少なくとも1つのポリマー、またはアクリル系および/もしくはポリアクリル系ポリマーの混合物、任意選択で、
- 可塑剤として、1から30%、好ましくは、5から15%の少なくとも1つのC6糖またはC12糖、ならびに/あるいは
- 0から15%のエチルアルコール
を含み、
- 液体組成物は、液体組成物の総重量に対する重量パーセントにおいて、
- 適量の水、
- 薄膜形成剤として、5から90%、好ましくは、20から50%、より好ましくは、30から40%の少なくとも1つのポリマー、またはアクリル系および/もしくはポリアクリル系ポリマーの混合物、
- 0.5から50%、好ましくは、0.5から20%、より好ましくは、10から15%の磁場に応答する固体粒子、任意選択で、
- 可塑剤として、1から30%、好ましくは、5から15%の少なくとも1つのC6糖、またはC12糖、ならびに/あるいは
- 0から15%のエチルアルコール
を含み、
- 液体組成物は、化粧品組成物、好ましくは、マスカラである、
のうちの1つまたは複数が可能性として使用され得る。
【0021】
本発明はまた、液体化粧品組成物を人体の一部、好ましくは、まつ毛に塗布するための上述のデバイスの使用に関する。
【0022】
具体的には、マスカラは、上述のデバイスを用いてまつ毛に塗布される。
【0023】
本発明は、さらには、上述のデバイスを使用することによって、人体の一部に液体化粧品組成物を塗布するための方法に関し、この方法は、
- 容器からアプリケーターを引き出すステップと、
- 人体の一部に化粧品組成物を塗布するステップと、
- 容器の中にアプリケーターを挿入するステップと
を含む。
【0024】
本発明はまた、第1のマスカラを塗布するための第1のデバイスと、第2のマスカラを含有する上述の第2のデバイスとを含む、まつ毛用のメーキャップキットに関する。
【0025】
本発明は、添付の図面を参照して、ほんの一例として与えられる本発明の様々な実施形態の以下の説明を読むことによって、より良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】初期静止位置における本発明の第1の実施形態によるデバイスの垂直断面図である。
図2】引出し中の第1の中間位置における図1のものと同一の図である。
図3】引出し中の第2の中間位置における図1のものと同一の図である。
図4】アプリケーターの使用の準備ができている状態の最終位置における図1のものと同一の図である。
図5】初期静止状態における本発明の第2の実施形態によるデバイスを示す、図1のものと同一の図である。
図6】初期静止位置における本発明の第3の実施形態によるデバイスを示す、図1のものと同一の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
様々な図においては、同一の参照記号は、同一または類似の要素を示すために使用されている。
【0028】
図1は、使用していない場合の初期静止位置における本発明の第1の実施形態による液体組成物をパッケージ化し、塗布するためのデバイス10を示し、液体組成物は、磁場に応答する固体粒子を含み、ここでは、使用者のまつ毛に塗布するように意図されたマスカラである。
【0029】
デバイス10は、マスカラ14を含有する容器12と、容器12に装着されているアプリケーター16とを備える。
【0030】
容器12は、本体18と、本体18を延ばしているが、本体18に対して狭小されたネック20とを含む。
【0031】
本例においては、本体18は、軸Zの実質的に円筒形状と、実質的に四角形の横断面とを有する。
【0032】
軸Zの実質的に円筒形状と、実質的に円形の横断面とを有するネック20は、雄ねじ22を有する。
【0033】
有利には、容器12は、実質的に透明または半透明の材料、たとえば、ガラス、またはプリエチレンテレフタレート(PET)もしくはポリアミド(PA)などのプラスチックから製造される。
【0034】
アプリケーター16は、キャップ24、ステム26、およびアプリケーターヘッド28を含む。
【0035】
キャップ24は、軸Zの実質的に円筒形状の、および実質的に円形の横断面の内側スカート30を含み、この内側スカート30には、ネック20の雄ねじ22に相補的な雌ねじ32が備わっており、それにより、キャップ24は、ネック20上にねじって締められ、容器12を密閉することが可能になる。
【0036】
内側スカート30は、軸Zの実質的に円筒形状の、および本体18のものと同一の横断面を有する外側スカート34によって囲まれている。外側スカート34の存在は、このスカートが主には美的機能を有するので、オプションである。
【0037】
握り部材36が、内側スカート30および外側スカート34の上部に装着されている。
【0038】
ステム26は、キャップ24とアプリケーターヘッド28との間に延びる中空管38を含み、キャップ24が容器12を密閉しているときに、容器12の中に挿入される。具体的には、管38は、近位端部38aと遠位端部38bとの間の軸Zに沿って延び、たとえば、軸Zに沿って、実質的に円形、かつ一定の横断面を有する。
【0039】
管38は、たとえば、長さは、実質的に50mmに等しく、外径は、実質的に4.4mmに等しい。
【0040】
管38の近位端部38aは、キャップ24と一体であり、一方、アプリケーターヘッド28は、遠位端部38bと一体である。
【0041】
ここに説明される実施形態においては、アプリケーターヘッド28は、ブラシチップを形成する剛毛の束によって形成される。
【0042】
代替としては、アプリケーターヘッドは、くし、側方ブラシ、発泡体、ねじ山付きチップ、植毛付き(flocked)チップ、または同様の機能をもたらすようになされている任意の他の手段によって形成され得る。
【0043】
デバイス10は、本体18とネック20との間の狭小部において容器12の中に配置されている、ステム26をクリーニングするためのクリーニング部材40を備える。クリーニング部材40は、より詳細に後に説明されるように、アプリケーター16が容器12から引き出されるときに、アプリケーター16のステム26上に置かれている固体粒子を解くように働き、それによって、ステム26およびアプリケーターヘッド28の周囲の化粧品組成物、この例においては、マスカラ14の液相の中へと固体粒子がかき混ぜられる。これらの構成により、液体組成物の粘度は、一時的、かつ局所的に上昇し、そのことは、アプリケーターヘッド28に固体粒子を充填すること、および化粧品組成物が乾燥することになる現象を低減させることに役立つ。
【0044】
好ましい実施形態においては、クリーニング部材40は、容器12のネック20の中に挿入された、ネック20を密閉する比較的、可撓性の材料から作られている、スリーブであり、アプリケーター16が通過することによって弾性的に変形する。
【0045】
本例においては、クリーニング部材40は、可撓性発泡体から作られているが、化粧品に従来から使用されている任意のタイプのスクレーパー(scraper)を使用することが可能である。
【0046】
代替としては、クリーニング部材40は、容器12のネック20の近くに直接、形成され得る。
【0047】
マスカラ14の中に含有されている固体粒子の一部をステム26上に一時的に蓄えることができるようにするために、ステム26は、少なくとも静止位置にあるときに、固体粒子の少なくとも一部分を引き付け、ステム上に保持するのに適している磁場を生成することができる磁気部分42を備える。
【0048】
「磁気部分」は、それが磁化される、または磁化可能であるかどうかにかかわらず、磁場を生成することができる部分を意味すると理解される。
【0049】
磁気部分42は、キャップ24とアプリケーターヘッド28との間に置かれている。より具体的には、磁気部分42は、アプリケーター16が容器12に装着されたときのアプリケーターヘッド28とクリーニング部材40との間に延びるステム26の領域46の少なくとも一部分にわたって延びる。
【0050】
図1の第1の実施形態においては、磁気部分42は、ステム26の領域46の中央部47に配置されている固体磁石44を備える。その場合、磁気部分は、ステム26の領域46の一部分にのみわたって連続的に延びると見なされる。
【0051】
磁石44は、たとえば10から12mmの間の長さの実質的に円筒形状であり、直径が、たとえば、2mmの実質的に円形の横断面である。代替としては、磁石44は、たとえば、長方形、三角形など、任意の適切な形状であってよい。
【0052】
磁石44は、管38の中に嵌め込まれても、または管38の内側にのり付けされてもよい。
【0053】
代替としては、磁石44は、ステム26が製造されるときに、オーバーモールドされる。
【0054】
磁石44は、好ましくは、強磁気材料から、あるいは磁気または磁化可能な粒子を含む材料から作られる永久磁石である。
【0055】
用語「磁気または磁化可能な粒子」は、非ゼロ磁化率を有する粒子を意味すると理解され、それらが、磁場の作用に応答することを意味する。
【0056】
磁石44は、軸Zに沿って方向付けられる場合も、または方向付けられない場合もある磁場を生成することができる。
【0057】
化粧品組成物14は、液相48と、磁場に応答する固体粒子52とを含む。
【0058】
液相48は、水溶性あるいは水分散性のアクリル系および/もしくはポリアクリル系薄膜形成ポリマー、あるいはそのような薄膜形成ポリマーの混合物の中の上記固体粒子52の水分散液である。
【0059】
概して、水分散液は、水分散液の総重量に対する重量パーセントにおいて、
- 適量の水、
- 薄膜形成剤として、5から90%、好ましくは、20から50%、より好ましくは、30から40%の少なくとも1つのポリマー、またはアクリル系および/もしくはポリアクリル系ポリマーの混合物、任意選択で、
- 可塑剤として、1から30%、好ましくは、5から15%の少なくとも1つのC6糖またはC12糖、ならびに/あるいは
- 0から15%のエチルアルコール
を含む。
【0060】
液相48は、粘度が5x10-3Pa・sから5x10-1Pa・sの間であり、これらの値は、速度100cm-1で、羽根を備える30mLタンクの中のARES-G2レオメーターにおいて行われるレオロジー的測定によって得られている。そのため、粘度のこの範囲は、その中の固体粒子が、安定的に分散し、したがって、実質的に動くことができない、より高い濃度の固体粒子を含有し得るペースト状の化粧品組成物を除外する。
【0061】
したがって、液相48は、水、薄膜形成ポリマー、糖系可塑剤、アルコール、および防腐剤を含む。
【0062】
ポリマーは、まつ毛に薄膜を作成することのためには不可欠である。ポリマーは、アクリル系およびポリアクリル系の薄膜形成ポリマー、ビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマー、ならびにポリビニルアルコールであるラテックスなどの水溶性または水分散性のポリマーの中から、あるいはより概括的には、全アクリル族の中から選択可能である。もちろん、それは、薄膜形成ポリマーの混合物であってもよい。好ましくは、選択されたポリマーは、固体粒子がはっきりと見えるように、概して、透明であり、したがって、製品の美的感覚が改善される。そのようなポリマーは、たとえば、Syntran(登録商標)、Covacryl(登録商標)、Ultrasol(登録商標)、およびDaitosol(登録商標)という名前の下で販売されているものとすることができる。
【0063】
可塑剤は、ポリマーの性質に応じて、不可欠であり、またはオプションである。有用な薄膜を有するために、薄膜形成ポリマーと関連する可塑剤を有することは不可欠である。可塑剤は、糖、および糖の誘導体、具体的には、糖のエステル、または糖のエーテルの中から選定され得るポリオールであってよい。糖は、たとえば、C6糖、およびC12糖の中から選定される。C6糖は、グルコース、ソルビトール、マンニトール、またはガラクチトールとすることができる。C12糖は、スクロース、またはラクチトールとすることができる。ポリオールは、ポリアルキレングリコール、具体的には、C2~C5ポリオキシアルキレン、より具体的には、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドの中から選定され得る。ポリオールは、好ましくは、グリセロール、ソルビトール、およびグリコールの中から選定される。有利な実施形態においては、ポリオールは、ソルビトール、たとえば、NEOSORB70/02(登録商標)という名前の下で販売されているソルビトールである。
【0064】
エチルアルコールは、不可欠というわけではないが、その存在は、組成物の乾燥を加速させる。
【0065】
防腐剤は、非常に推奨される。最も一般的に使用されるものは、フェノキシエタノールであり、メチルブチルパラヒドロキシ安息香酸、エチルブチルパラヒドロキシ安息香酸、プロピルブチルパラヒドロキシ安息香酸、またはブチルパラヒドロキシ安息香酸、およびソルビン酸でもある。
【0066】
したがって、概して、液体組成物14は、液体組成物14の総重量に対する重量パーセントにおいて、
- 適量の水、
- 薄膜形成剤として、5から90%、好ましくは、20から50%、より好ましくは、30から40%の少なくとも1つのポリマー、またはアクリル系および/もしくはポリアクリル系ポリマーの混合物、
- 0.5から50%、好ましくは、0.5から20%、より好ましくは、10から15%の磁場に応答する固体粒子52、任意選択で、
- 可塑剤として、1から30%、好ましくは、5から15%の少なくとも1つのC6糖、またはC12糖、ならびに/あるいは
- 0から15%のエチルアルコール
を含む。
【0067】
固体粒子52は、磁場に応答し、磁石44によって引き付けられるようになされている磁気または磁化可能な粒子である。
【0068】
固体粒子52は、ニッケル、コバルト、鉄、それらの合金、およびそれらの酸化物、具体的には、酸化鉄Fe3O4などの任意の磁気材料を含み得る。
【0069】
有利には、固体粒子52はまた、特には、液相48が透明または半透明であるとき、光の回折および/または反射の光学的特性も有する。
【0070】
好ましくは、固体粒子52は、酸化鉄Fe3O4を含む磁気真珠光沢剤である。たとえば、以下の組合せ、すなわち、雲母/酸化鉄、雲母/チタニウム/酸化鉄、ホウケイ酸塩/酸化鉄、ホウケイ酸塩/チタニウム/酸化鉄、シリカ/酸化鉄、アルミニウム/シリカ/酸化鉄、およびアルミナ/酸化鉄が可能である。そのような真珠光沢剤は、たとえば、Colorona Blackstar(登録商標)、Cloisonne Nu-Antique(登録商標)、Sunpearl Shadow(登録商標)、Reflecks Blackened(登録商標)、Sunprizma(登録商標)、Mica BLACK(登録商標)という名前の下で販売されている。
【0071】
固体粒子52の粒子大きさは、0.1から700μmの間である。
【0072】
液体組成物14は、Rayneriミキサを使用して、様々な品目を分散させることによって得ることができる。第1の相においては、水、ポリマー、可塑剤、アルコール、および防腐剤が、30分間、350rpmにおいて混合される。得られた相が均質であるとき、真珠光沢剤が350rpmにおいて加えられ、これは、10分間、混合される。可塑剤が糖である場合、この手順に先立って、可塑剤がわずかに結晶化している場合、最初にそれを加熱して、より均一な状態にそれを戻す必要がある場合がある。
【0073】
代替としては、固体粒子52は、酸化鉄が充填されている繊維であってよい。
【0074】
磁石44の磁気特性は、少なくともステム26が容器12の中で静止しているとき、固体粒子52を引き付け、ステム26上に保持するのに十分な引力を固体粒子52にもたらすように、有利には、媒体の粘度、固体粒子52の性質もしくは組成、固体粒子52の磁気感受性、および/または固体粒子52の濃度に従って選択される。
【0075】
実施例
異なるタイプの真珠光沢剤を含む液体組成物の実施例は、下記のTable 1(表1)の中に与えられる。これらの組成物は、それらが透明ポリマーに基づいているので、透明である。
【0076】
【表1】
【0077】
異なるタイプの真珠光沢剤を含む液体組成物の他の実施例は、以下のTable 2(表2)の中に与えられるが、これらの組成物は、透明ではない。
【0078】
【表2】
【0079】
デバイス10の操作は、下記に説明される。
【0080】
最初に、デバイス10は、図1に示されるように、使用に先立って初期静止位置にある。
【0081】
この位置においては、キャップ24は、ネック20上にねじって締められ、容器12を密閉する。
【0082】
ステム26およびアプリケーターヘッド28は、マスカラ14の中に浸される。
【0083】
固体粒子52の一部分が、磁石44においてステム26上に集まり、一方、他の固体粒子52は、容器12の底部において静止する。
【0084】
使用者がマスカラ14をまつ毛に塗布したいとき、使用者は、握り部材36をつかみ、キャップ24をねじって外し、使い始める直前に容器12を振る必要なく、ステム26を容器12から引き出す。
【0085】
したがって、キャップ24と一体であるステム26は、容器12に対して少なくとも平行して移動する。
【0086】
図2の中に示されているように、ステム26の平行的、かつここではまた回転的な動きは、磁石44において蓄積した固体粒子52の一部分を解き、ステム26の近く、そのため、容器12からアプリケーター16を引き出すときのアプリケーターヘッド28に隣接して、実質的に軸Zの周りを渦巻く固体粒子52の「渦(vortex)」を起こす。
【0087】
したがって、磁石44の磁気特性はまた、容器12に対するステム26の移動が、ステム26に引き付けられる固体粒子52を解くことになるように選択され得る。このことは、容器および組成物が透明および/または半透明であるとき、特に適しており、容器12の中の視覚上の効果を生む。
【0088】
キャップ24が容器12から完全にねじって外されたとき、使用者は、軸Zに沿ってアプリケーター16を動かすことによって、容器12からアプリケーター16を引き出す動きを継続する。
【0089】
クリーニング部材40をステム26が通過することにより、磁石44上に蓄積しており、ステム26の回転によって解かれていない固体粒子52が取り除かれる。これらの固体粒子52は、次いで、雨のような固体粒子52の状態で(in a rain of solid particles)、マスカラ14の液相48中に落下する(図3)。
【0090】
したがって、磁石44においてステム26上に蓄積されている固体粒子52はすべて、ステム26およびアプリケーターヘッド28の近くでマスカラ14の液相48の中に分散され、したがって、大量の固体粒子52の存在により、実質的に高められる粘度の相を液相48の中に一時的に形成する。
【0091】
次いで、アプリケーターヘッド28は、この雲のような(cloud of)固体粒子52を通過し、混合されたばかりの、したがって、使用者によってまつ毛に塗布可能であるマスカラが充填される(図4)。使用者は、最適、かつ再現性可能な量の固体粒子52によるアプリケーターヘッド28の充填を最適化するために、アプリケーターヘッド28の近くで液体組成物14の粘度を一時的に調整したと見なされ得る。
【0092】
これらの構成により、固体粒子52の最適なサンプルが使用ごとに採取されるように保証され、多すぎる液体組成物、および不十分な固体粒子が使用ごとに採取されるときに固体粒子の濃度が高まり、最終的には、粒子が失われる従来技術のデバイスと異なり、時間の経過とともにより均一な美的効果がもたらされ、残りの組成物の塗布可能性がその劣化を制限することによって維持される。
【0093】
マスカラを塗布し終えたとき、使用者は、アプリケーターヘッド28およびステム26を容器の中に挿入し、キャップ24をネック20上にねじって締める。
【0094】
液相においてなおも浮遊している固体粒子52の一部分は、磁石によって引き付けられ、ステム26上に集まり、一方、固体粒子52の残りは、容器12の底部に落下する。デバイス10は、この場合もまた、図1の中に示されている静止位置にあるが、マスカラ14はより少ない状態である。
【0095】
デバイス10は、単独で販売される場合も、またはまつ毛用のメーキャップキットの一部である場合もある。そのようなキットは、マスカラベースコートとしての役目を果たす第1のマスカラを塗布し、パッケージ化するために第1のデバイスと、マスカラトップコートとしての役目を果たす第2のマスカラを含有する本発明によるパッケージ化し、塗布するための第2のデバイスとを含み得る。
【0096】
図5は、本発明の第2の実施形態による液体組成物をパッケージ化し、塗布するためのデバイス110を示している。
【0097】
本発明のこの第2の実施形態は、図1から図4の第1の実施形態と異なり、ここでは、ステム126の磁気部分142は、互いに同一である3つの磁石、すなわち、ステム126の領域146の中央部147上に配置されている中央磁石144と、中央磁石144の両側に配置され、中央磁石144から実質的に等距離である2つの端部磁石144'、144"とを含む。その場合、磁気部分142は、不連続な形でステム126の全領域146にわたって延びると見なされる。
【0098】
そのため、固体粒子152は、3つの異なる場所においてステム126上に蓄積され、したがって、デバイス110が静止位置にあるとき、容器112の内側にパターンが作り出される。
【0099】
マスカラ114の液相148、および容器112の本体118は、透明および/または半透明であるとき、このパターンは使用者の目に見える。
【0100】
そのため、固体粒子152は、容器112の内側、またはまつ毛の上にあるかどうかにかかわらず、常に使用者の目に見える。
【0101】
代替としては、磁気部分142は、異なる数の磁石、たとえば、2つ、4つ、またはそれを超えて含み、それらは、ステム126の領域146に沿って何らかの形で互いに対して配置され得る。
【0102】
図6は、本発明の第3の実施形態による液体組成物をパッケージ化し、塗布するためのデバイス210を示している。
【0103】
本発明のこの第3の実施形態は、図5の第2の実施形態と異なり、ここでは、3つの磁石244、244'、244"の引力が、互いに異なる。この場合、遠位磁石244"の引力は、中央磁石244のものよりも大きく、中央磁石244はそれ自体、近位磁石244'のものよりも大きく、それによって、ステム226の長手方向軸Zに沿い、その遠位端部238bに向かって方向付けられる磁場勾配が作り出される。
【0104】
代替としては、種々のサイズの磁石により磁場勾配を作り出すことが可能である。すなわち、磁力線は、パターンを作り出すために利用され得る。
【0105】
磁石の数、磁石の大きさ、ステム上の磁石の位置、磁石の引力、および各磁場の向きに応じて、固体粒子は、デバイスごとに異なるやり方でステム上に蓄積することになる。したがって、デバイスについて膨大な数の異なるパターンを作り出すことが可能である。
【0106】
本発明の第4の実施形態においては、磁気部分は、ステムの構成材料の中に埋め込まれた磁気または磁化可能な粒子から構成される。たとえば、ステムは、希土類磁石を使用して、たとえば、ネオジム、または磁化可能なプラスチックで作られてよく、プラスチックは、成形モールドにおいて磁化され、液体組成物とステムとの間の障壁として働く保護膜によりオーバーモールドされる。
【0107】
これらの粒子は、ステム領域の中、たとえば、その中央部および/またはその端部の中の1つまたは複数の所定の場所に局在し得、ステム領域のある場所と別の場所との間に異なる濃度を有することができる。
【0108】
代替としては、粒子は、ステム領域に沿って実質的に一定の濃度であることを意味するステム領域の全長にわたって均一に、またはステム領域に沿って可変の濃度であることを意味する不均一に分布し得る。その場合、磁気部分は、実質的にステム領域の全長に沿って、連続的に延びると見なされる。
【0109】
したがって、ステムを形成する磁気もしく磁化可能な粒子の位置および/または濃度に応じて、装置について多数の異なるパターンを作り出すことができる。
【0110】
ステムは、たとえば、磁化された粒子が充填されたプラスチックの射出または二重射出(bi-injection)によって得られる。
【0111】
本発明の第5の実施形態においては、アプリケーターヘッドもまた、化粧品組成物の固体粒子を引き付けることができる磁気部分を含む。たとえば、アプリケーターヘッドは、磁石を含み得る。代替としては、アプリケーターヘッドは、植毛によりカバーされた、かつステムの中に設けられる中央磁石にワイヤによって結び付けられた、金属チップを含む。
【0112】
そのため、本発明は、使用が単純であり、かつ塗布されるときに十分な結果および所望の視覚上の効果を提供する、液体組成物、具体的には、化粧品をパッケージ化し、塗布するためのデバイスを提案する。
【0113】
実際には、クリーニング部材を通してステムを引き出すことと組み合わせられる、キャップをねじって外すという単純な行為により、化粧品組成物の粘度を局所的、かつ一時的に変えて、従来技術において知られているように、および悪影響をもたらす、振るステップの必要なしに、固体粒子をアプリケーターヘッドにより良く充填することを達成することができる。したがって、マスカラ使用者の従来のジェスチャが変化する。
【0114】
具体的には、本発明によるデバイスにより、容器を振ること、または塗布の直前に化粧品組成物をかき混ぜるために、アプリケーターを出し入れすることを意味するステムを「ポンピング(pump)」する必要はない。これは、デバイスの使用を単純化させるだけでなく、容器の中への空気の取込みを抑えることによって化粧品組成物の寿命を延長し、したがって、任意の化粧品組成物、具体的には、マスカラの主な問題である時間の経過とともに化粧品組成物が乾燥することが抑えられる。
【0115】
加えて、化粧品組成物の乾燥を抑えることによって、このことは、製品の損失だけでなく、アプリケーターヘッドの目詰まりを抑える。本発明により、塗布後に残った粘性のより高い製品は、実質的により多くの量の著しく粘性のより低い液相へと戻され、その液相は、製品をより低い粘性値に戻し、したがって、ある程度までアプリケーターヘッドを「クリーニング(clean)」する。したがって、アプリケーターヘッドは、固体粒子の可動性により、デバイスは、各使用後に、初期状態に戻されるので、劣化しない、またはとても非常によりゆっくりと劣化する特性を有するように提供される。
【0116】
本発明によるデバイスにより、増粘剤をなくすことも可能であり、それは、もはや必要ではない。これらの増粘剤、具体的には、ワックスは、組成物をより光沢のないものにする。そのため、本発明により、この問題をなくすこと、および鮮やかな組成物を有することを可能にする。これは、着色された組成物において、および真珠光沢剤などの特定の固体粒子によって生じる反射/屈折現象などの光学的効果を提供する点において、重量な役割を果たす。
【0117】
その上、化粧品組成物が液相を有するとき、本発明によるデバイスは、最適な形で、具体的には、薄膜の形態で、化粧品組成物を塗布することを可能にするだけでなく、固体粒子を見えるようにし、満足できる視覚上の効果および眺めが作り出される。
【0118】
加えて、デバイスは、組成物、位置、および磁気部分の磁気特性を介して適合可能な、静止時の驚くべき、かつ魅力的な外観を有する。
【0119】
本発明は、化粧品組成物としてのマスカラ、および適用例としてまつ毛を参照して説明されてきたが、髪用のマスカラなどの他の適用例、より概括的には、すべてのケラチン繊維、マニキュア液、液体口紅、リップグロスなどに本発明を使用する可能性は十分にある。
【符号の説明】
【0120】
10、110、210 デバイス
12、112、212 容器
14、114、214 液体組成物、マスカラ
16、116、216 アプリケーター
18、118 本体
20 ネック
22 雄ねじ
24 キャップ
26、126、226 ステム
28、128、228 アプリケーターヘッド
30 内側スカート
32 雌ねじ
34 外側スカート
36 握り部材
38 中空管
38a 近位端部
38b、238b 遠位端部
40、140、240 クリーニング部材
42、142、242 磁気部分
44 磁石
46、146、246 領域
47、147 中央部
48、148、248 液相
52、152、252 固体粒子
144、244 中央磁石
144'、144" 端部磁石
244' 近位磁石
244" 遠位磁石
Z 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6