(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ロボットデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20220617BHJP
B25J 17/02 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J17/02 C
(21)【出願番号】P 2019531593
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(86)【国際出願番号】 US2017049390
(87)【国際公開番号】W WO2018045036
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-28
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508221224
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ネブラスカ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ファリター、シェーン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カブリッチ、ルー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-283940(JP,A)
【文献】国際公開第2015/088655(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303745(US,A1)
【文献】米国特許第04684313(US,A)
【文献】特開平05-261689(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00105656(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30
B25J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットデバイスであって、
(a)長尺状デバイス本体であって、
(i)長尺状デバイス本体内に回転可能に配置された第1駆動シャフトであって、第1駆動シャフトの長さに沿って画定された第1内腔を備える第1駆動シャフトと、
(ii)前記第1内腔内に回転可能に配置された第2駆動シャフトであって、第2駆動シャフトの長さに沿って画定された第2内腔を備える第2駆動シャフトと、
(iii)前記第2内腔内に回転可能に配置された第3駆動シャフトと、を備える長尺状デバイス本体と、
(b)
前記第1駆動シャフトに動作可能に結合された第1駆動傘歯車と、
(c)前記第2駆動シャフトに動作可能に結合された第2駆動傘歯車と、
(d)第1肩関節であって、
(i)前記第1駆動シャフト、前記第2駆動シャフトまたは前記第3駆動シャフトのうちの少なくとも1つに動作可能に結合された変換体と、
(ii)前記変換体に対して回転可能な回転体
であって、第1開口部および第2開口部を有する回転体と、
(iii)前記回転体と変換体との間に配置されるとともに、前記第2駆動傘歯車に回転可能に結合された第1内側傘歯車と、
(iv)前記第1開口部を通して前記第1内側傘歯車に動作可能に結合された第1平歯車と、
(v)前記第1平歯車に動作可能に結合された第2平歯車と、
(vi)前記回転体と変換体との間に配置されるとともに、前記第2開口部を通して前記第2平歯車に動作可能に結合された第2内側傘歯車と、
(vii)前記第2内側傘歯車に回転可能に結合された出力歯車と、を備える第1肩関節と、
(
e)前記第1肩関節に動作可能に結合された第1アームと、
を備えるロボットデバイス。
【請求項2】
前記変換体がヨーク体であり、ヨーク体が、
(a)ヨーク体から延在するヨークシャフトであって、ヨークシャフトの長手方向軸が前記第1駆動シャフトの長手方向軸に対して交差する、ヨークシャフトと、
(b)前記ヨーク
体に画定されたヨーク開口部と、
を備える、請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項3】
前記第3駆動シャフトが前記ヨーク開口部を通して回転可能に配置されており、前記第3駆動シャフトが第3駆動
傘歯車に動作可能に結合されている、請求項2に記載のロボットデバイス。
【請求項4】
前記第1駆動
傘歯車および前記第3駆動
傘歯車が前記回転体に回転可能に結合されている、請求項3に記載のロボットデバイス。
【請求項5】
ロボットデバイスであって、
(a)長尺状デバイス本体であって、
(i)長尺状デバイス本体内に回転可能に配置された第1駆動シャフトであって、第1駆動シャフトの長さに沿って画定された第1内腔を備える第1駆動シャフトと、
(ii)前記第1内腔内に回転可能に配置された第2駆動シャフトであって、第2駆動シャフトの長さに沿って画定された第2内腔を備えるとともに、第2駆動シャフト駆動歯車に動作可能に結合された第2駆動シャフトと、
(iii)前記第2内腔内に回転可能に配置された第3駆動シャフトであって、第3駆動シャフト駆動歯車に動作可能に結合された第3駆動シャフトと、を備える長尺状デバイス本体と、
(b)第1肩関節であって、
(i)前記第1駆動シャフト、第2駆動シャフトまたは第3駆動シャフトのうちの少なくとも1つに動作可能に結合された肩ハウジングであ
って、
(
A)前記肩ハウジングに画定された頂部開口部であって、
頂部開口部を通して前記第3駆動シャフトが配置されており、前記肩ハウジングには少なくとも1つの結合機構
が備
わっている
、頂部開口部と、
(
B)前記肩ハウジングに画定された側部開口部と、
(C)前記肩ハウジングに画定された空洞であって、前記第3駆動シャフト駆動歯車が空洞内に配置されている、空洞と、を備える、
肩ハウジングと、
(ii)前記肩ハウジングに対して回転可能な回転体であって、第1開口部および第2開口部を有する回転体と、
(iii)前記回転体の第1の側に配置されるとともに、前記第3駆動シャフト駆動歯車に回転可能に結合された第1従動傘歯車と、
(iv)前記回転体の第2の側に動作可能に配置されるとともに、前記第1開口部を通して前記第1従動傘歯車に結合された第1平歯車と、
(v)前記回転体の第2の側に配置されるとともに、前記第1平歯車に回転可能に結合された第2平歯車と、
(vi)前記回転体の第1の側に配置されるとともに、前記第2開口部を通して前記第2平歯車に動作可能に結合された第2従動傘歯車と、
(vii)前記第2従動傘歯車に回転可能に結合された出力歯車と、を備える第1肩関節と、
(c)前記第1肩関節に動作可能に結合された第1アームと、
を備えるロボットデバイス。
【請求項6】
前記第1駆動シャフトが、前記肩ハウジングの少なくとも1つの結合機構に動作可能に結合されており、前記第1駆動シャフトが回転することで前記肩ハウジングが回転する、請求項
5に記載のロボットデバイス。
【請求項7】
前記第2駆動シャフトが、前記肩ハウジングの頂部開口部を通して配置さ
れており、前記第2駆動
シャフト駆動歯車が前記肩ハウジングの空洞内に配置されている、請求項
5に記載のロボットデバイス。
【請求項8】
前記第2駆動
シャフト駆動歯車が第
3従動傘歯車に
回転可能に結合されており、前記第
3従動傘歯車が前記回転体に動作可能に結合されている、請求項
7に記載のロボットデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する実施形態は、小型関節設計を有する、ロボットおよび/または生体内医療デバイス、ならびにアームおよびエンドエフェクタ等の関連構成要素を含む、さまざまな医療デバイスおよび関連する構成要素に関する。より具体的には、いくつかの実施形態は、3自由度をもたらすこうした小型関節設計を有する、体腔内に配置されかつ/または体腔の孔もしくは開口部を通して配置されるロボットデバイスを含む、さまざまなロボット医療デバイスを含む。さらなる実施形態は、「エンドエフェクタ」と呼ばれることが多い、さまざまなロボットデバイスアームおよび/または医療デバイスの動作構成要素に関する。本明細書に開示するいくつかのアームおよび/またはエンドエフェクタの実施形態は、把持具および/または焼灼エンドエフェクタを有する前腕に関する。さらなる実施形態は、上記デバイスおよび動作構成要素を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
侵襲性外科手術は、さまざまな医学的状態に対処するために不可欠である。可能な場合は、腹腔鏡手術等の低侵襲処置が好ましい。
しかしながら、腹腔鏡手術等の既知の低侵襲技術には、一部には、1)アクセスポートから挿入される剛性器具を使用することからもたらされる可動性の制限、および2)限られた視覚的フィードバックに起因して、範囲および複雑性に制限がある。ダ・ヴィンチ(da Vinci)(登録商標)手術システム(カリフォルニア州、サニーベール(Sunnyvale,CA)に位置するインテュイティブ・サージカル・インコーポレイテッド(Intuitive Surgical,Inc.)から入手可能)等の既知のロボットシステムもまた、アクセスポートにより制限されるとともに、非常に大型であり、非常に高価であり、大部分の病院で利用不可能であり、感覚および運動の能力が制限されるというさらなる不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8968332号明細書
【文献】米国特許第8834488号明細書
【文献】米国特許第9579088号明細書
【文献】米国特許第8343171号明細書
【文献】米国特許第8828024号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本技術分野において、改良された外科手術方法、システムおよびデバイス(デバイスとともに使用される改良されたロボットアームおよびエンドエフェクタを含む)が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、内部構成要素の構成からもたらされる小型関節設計を有し、そうした小型関節設計が、小型関節から延在するアームまたは他の構成要素における3自由度を可能にする、さまざまなロボットデバイスについて考察する。本明細書ではまた、本明細書に開示するロボットデバイスまたは他の既知のロボットデバイスで使用することができるさまざまなアームおよび/またはエンドエフェクタについても考察する。
【0006】
例1では、ロボットデバイスは、長尺状デバイス本体と、第1肩関節と、第1肩関節に動作可能に結合された第1アームとを備える。長尺状デバイス本体は、デバイス本体内に回転可能に配置された第1駆動シャフト(第1駆動シャフトは、第1駆動シャフトの長さに沿って画定された第1内腔を有する)と、第1内腔内に回転可能に配置された第2駆動シャフト(第2駆動シャフトは、第2駆動シャフトの長さに沿って画定された第2内腔を有する)と、第2内腔内に回転可能に配置された第3駆動シャフトとを備える。第1肩関節は、第1駆動シャフト、第2駆動シャフトまたは第3駆動シャフトのうちの少なくとも1つに動作可能に結合された変換体と、変換体に対して回転可能な回転体とを備える。
【0007】
例2は、変換体がヨーク体であり、ヨーク体が、ヨーク体から延在するヨークシャフトであって、ヨークシャフトの長手方向軸が第1駆動シャフトの長手方向軸に対して交差する(transverse to)、ヨークシャフトと、ヨークシャフトに画定されたヨーク開口部とを備える、例1によるロボットデバイスに関する。
【0008】
例3は、第1駆動シャフトが第1駆動歯車に動作可能に結合されており、第3駆動シャフトがヨーク開口部を通して回転可能に配置されており、第3駆動シャフトが第3駆動歯車に動作可能に結合されている、例2によるロボットデバイスに関する。
【0009】
例4は、第1駆動歯車および第3駆動歯車が回転体に回転可能に結合されている、例3によるロボットデバイスに関する。
例5は、第2駆動シャフトが第2駆動歯車に動作可能に結合されており、第2駆動歯車が第1肩歯車に回転可能に結合されており、第1肩歯車が、回転体の第1開口部を通して第2肩歯車に動作可能に結合されており、第2肩歯車が第3肩歯車に回転可能に結合されており、第3肩歯車が、回転体の第2開口部を通して第4肩歯車に動作可能に結合されており、第4肩歯車が出力歯車に回転可能に結合されている、例1によるロボットデバイスに関する。
【0010】
例6は、変換体が肩ハウジングであり、肩ハウジングが、肩ハウジングに画定された頂部開口部であって、少なくとも1つの結合機構を備える頂部開口部と、肩ハウジングに画定された側部開口部とを備える、例1によるロボットデバイスに関する。
【0011】
例7は、第1駆動シャフトが、肩ハウジングの少なくとも1つの結合機構に動作可能に結合されており、第1駆動シャフトが回転することで肩ハウジングが回転する、例6によるロボットデバイスに関する。
【0012】
例8は、第2駆動シャフトが、肩ハウジングの頂部開口部を通して配置され、かつ第2駆動歯車に動作可能に結合されており、第2駆動歯車が肩ハウジングの空洞内に配置されている、例7によるロボットデバイスに関する。
【0013】
例9は、第2駆動歯車が第1肩歯車に動作可能に結合されており、第1肩歯車が回転体に動作可能に結合されている、例8によるロボットデバイスに関する。
例10は、第3駆動シャフトが、肩ハウジングの頂部開口部を通して配置され、かつ第3駆動歯車に動作可能に結合されており、第3駆動歯車が肩ハウジングの空洞内に配置されている、例6によるロボットデバイスに関する。
【0014】
例11は、第3駆動歯車が第2肩歯車に回転可能に結合されており、第2肩歯車が、回転体の第1開口部を通して第3肩歯車に動作可能に結合されており、第3肩歯車が第4肩歯車に動作可能に結合されており、第4肩歯車が、回転体の第2開口部を通して第5肩歯車に動作可能に結合されており、第5肩歯車が出力歯車に回転可能に結合されている、例10によるロボットデバイスに関する。
【0015】
例12では、ロボットデバイスは、ポートまたは切開部を通して患者の腔内に配置可能であるように寸法が決められかつ構成されている長尺状デバイス本体と、第1肩関節と、出力歯車に動作可能に結合された第1アームとを備える。長尺状デバイス本体は、デバイス本体内に回転可能に配置された第1駆動シャフトであって、第1駆動シャフトの長さに沿って延在する第1内腔を備える第1駆動シャフトと、第1駆動シャフト内に配置されかつ第1駆動シャフトと同軸であるように、第1内腔内に回転可能に配置された第2駆動シャフトであって、第2駆動シャフトの長さに沿って延在する第2内腔を備える第2駆動シャフトと、第2駆動シャフト内に配置されかつ第2駆動シャフトと同軸であるように、第2内腔内に回転可能に配置された第3駆動シャフトとを備える。第1肩関節は、第1駆動シャフト、第2駆動シャフトまたは第3駆動シャフトのうちの少なくとも1つに動作可能に結合された変換体と、変換体に対して回転可能な回転体と、回転体に動作可能に結合された出力歯車であって、第1駆動シャフトの長手方向軸に対して平行な軸を中心に回転可能である出力歯車とを備える。
【0016】
例13は、第1駆動シャフトが第1駆動歯車に動作可能に結合されており、第3駆動シャフトが変換体の開口部を通して回転可能に配置されており、第3駆動シャフトが第3駆動歯車に動作可能に結合されている、例12によるロボットデバイスに関する。
【0017】
例14は、第1駆動歯車および第3駆動歯車が回転体に回転可能に結合されている、例13によるロボットデバイスに関する。
例15は、第2駆動シャフトが第2駆動歯車に動作可能に結合されており、第2駆動歯車が、少なくとも1つの肩歯車を介して出力歯車に動作可能に結合されている、例12によるロボットデバイスに関する。
【0018】
例16は、第1駆動シャフトが変換体に動作可能に結合されており、第1駆動シャフトが回転することで変換体が回転する、例12によるロボットデバイスに関する。
例17は、第2駆動シャフトが第2駆動歯車に動作可能に結合されており、第2駆動歯車が第1肩歯車に回転可能に結合されており、第1肩歯車が回転体に動作可能に結合されている、例12によるロボットデバイスに関する。
【0019】
例18は、第3駆動シャフトが第3駆動歯車に動作可能に結合されており、第3駆動歯車が少なくとも1つの肩歯車を介して出力歯車に動作可能に結合されている、例12によるロボットデバイスに関する。
【0020】
例19では、ロボットデバイスは、ポートまたは切開部を通して患者の腔内に配置可能であるように寸法が決められかつ構成されている長尺状デバイス本体と、第1肩関節と、第1肩関節に動作可能に結合された第1アームとを備える。長尺状デバイス本体は、第1動力伝達機構、第2動力伝達機構および第3動力伝達機構を備える。第1動力伝達機構は、第1モータと、第1モータに動作可能に結合された第1駆動シャフトであって、デバイス本体内に回転可能に配置されており、第1駆動シャフトの長さに沿って延在する第1内腔を備える第1駆動シャフトとを備える。第2動力伝達機構は、第2モータと、第2モータに動作可能に結合された第2駆動シャフトであって、第1駆動シャフト内に配置されかつ第1駆動シャフトと同軸であるように、第1内腔内に回転可能に配置されており、第2駆動シャフトの長さに沿って延在する第2内腔を備える第2駆動シャフトとを備える。第3動力伝達機構は、第3モータと、第3モータに動作可能に結合された第3駆動シャフトであって、第2駆動シャフト内に配置されかつ第2駆動シャフトと同軸であるように、第2内腔内に回転可能に配置されている第3駆動シャフトとを備える。第1肩関節は、第1駆動シャフト、第2駆動シャフトまたは第3駆動シャフトのうちの少なくとも1つに動作可能に結合された変換体と、変換体に対して回転可能な回転体とを備える。
【0021】
複数の実施形態について開示するが、当業者であれば、本発明の例示的な実施形態を示しかつ記載する以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が明らかとなろう。理解されるように、本発明は、すべて本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな明確な態様における変更が可能である。したがって、図面および詳細な説明は、限定的ではなく本質的に例示的であるものとしてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】一実施形態によるロボットデバイスの斜視図である。
【
図1B】一実施形態による、
図1Aのロボットデバイスのモータ部の斜視図である。
【
図2】一実施形態による、
図1Aのロボットデバイスのデバイス本体の正面断面図である。
【
図3A】一実施形態による、
図1のロボットデバイスのデバイス本体の一部の正面断面図である。
【
図3B】一実施形態による、
図1のロボットデバイスのデバイス本体のいくつかの内部構成要素の斜視図である。
【
図3C】一実施形態による、
図1のロボットデバイスのデバイス本体のいくつかの内部構成要素の底面断面図である。
【
図3D】一実施形態による、
図1のロボットデバイスのデバイス本体のいくつかの内部構成要素の底面図である。
【
図3E】一実施形態による、
図1のロボットデバイスのデバイス本体のいくつかの内部構成要素の側面図である。
【
図4A】一実施形態による、
図1のロボットデバイスのデバイス本体の一部の正面断面図である。
【
図4B】一実施形態による、
図1のロボットデバイスの右肩関節のさまざまな構成要素の斜視図である。
【
図5A】一実施形態による、ロボットデバイスのアームの斜視図である。
【
図5B】一実施形態による、
図5Aのアームのうちの1つの側面図である。
【
図6A】一実施形態による、ロボットデバイスの上腕の側面図である。
【
図6C】一実施形態による、
図6Aの上腕の一部の側断面図である。
【
図7】一実施形態による、ロボットデバイスの前腕の側面図である。
【
図8A】一実施形態による、肘関節の斜視図である。
【
図9A】一実施形態による、エンドエフェクタの斜視図である。
【
図9B】一実施形態による、
図9Aのエンドエフェクタの側面図である。
【
図9C】一実施形態による、
図9Aのエンドエフェクタの側断面図である。
【
図10A】一実施形態による、
図7の前腕の先端部分の斜視図である。
【
図11A】一実施形態による、内部にいくつかのモータおよび歯車を含む、
図10の前腕の先端部分のいくつかの内部構成要素の斜視図である。
【
図11B】一実施形態による、
図10の前腕の先端部分のいくつかの内部構成要素の断面斜視図である。
【
図11C】一実施形態による、内部のいくつかのモータを含む、
図10の前腕の先端部分のいくつかの内部構成要素の斜視図である。
【
図12A】一実施形態による、右肩関節の別の実施形態のさまざまな構成要素の斜視図である。
【
図12B】一実施形態による、
図12Aの右肩関節のさまざまな構成要素の側断面図である。
【
図13】さらなる実施形態による、ロボットデバイス用の関節の側断面図である。
【
図14A】一実施形態による、
図13の関節のさまざまな構成要素の側面図である。
【
図14B】一実施形態による、
図13の関節のさまざまな構成要素の側面図である。
【
図15A】別の実施形態による、ロボットデバイスの関節の側断面図である。
【
図17A】別の実施形態による、
図15Aの関節のいくつかの構成要素の側面図である。
【
図17B】別の実施形態による、
図15Aの関節のいくつかの構成要素の側面図である。
【
図17C】別の実施形態による、
図15Aの関節のいくつかの構成要素の側面図である。
【
図17D】別の実施形態による、
図15Aの関節のいくつかの構成要素の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に開示しまたは本明細書において企図するさまざまな実施形態は、手術ロボットデバイス、システムおよび方法に関する。より具体的には、さまざまな実施形態は、ロボットデバイスならびに関連する方法およびシステムを含む、さまざまな医療デバイスに関する。いくつかの実施態様は、単孔式腹腔鏡(LESS)外科手術で使用されるこうしたデバイスに関する。さらなる実施形態は、把持具および/または焼灼エンドエフェクタを含む、ロボットデバイスと使用することができるいくつかのロボットアームおよび/またはエンドエフェクタに関する。
【0024】
これらのさまざまな実施態様におけるロボットデバイスは、本明細書に示すような小型関節設計を有し、いくつかの実施形態では、関節から延在するアームまたは他の構成要素は、少なくとも3自由度を有する。より具体的には、本明細書においてさらに詳細に記載するように、これらの実施形態は小型肩関節を有し、各関節は、3つの交差する自由度を提供する3つの入れ子式傘歯車セットを有する。デバイスの小型の性質は、各肩において3つの傘歯車セットに結合されかつそれらを駆動する3つの同軸駆動シャフトからもたらされる。本明細書に記載するように各肩の3つの駆動シャフトを互いの中に入れ子にすることにより、駆動シャフトを駆動する3つのモータ(したがって、各肩の3つの傘歯車セット)を、デバイス本体の長さに沿って軸方向に、すなわち、3つの歯車セットから離れるように配置することができ、それにより、モータおよび駆動シャフトを結合された傘歯車セットと並んで配置する必要がないため、デバイス本体の全体的な周方向または半径方向の寸法(幅および厚さ)が小さくなる。
【0025】
本明細書に開示するロボットデバイスならびに関連する方法およびシステムのさまざまな実施形態は、他の任意の既知の医療デバイス、システムおよび方法に組み込むかまたはそれらとともに使用することができる。たとえば、本明細書に開示する実施形態は、米国特許第8,968,332号明細書(2015年3月3日発行、名称「磁気的に結合可能なロボットデバイスおよび関連方法(Magnetically Coupleable Robotic Devices and Related Methods)」)、米国特許第8,834,488号明細書(2014年9月16日発行、名称「磁気的に結合可能な手術ロボットデバイスおよび関連方法(Magnetically Coupleable Surgical Robotic Devices and Related Methods)」)、米国特許出願第14/617,232号明細書(2015年2月9日出願、名称「ロボット手術デバイスおよび関連方法(Robotic Surgical Devices and Related Methods)」)、米国特許第9,579,088号明細書(2017年2月28日発行、名称「手術可視化およびデバイス操作のための方法、システムおよびデバイス(Methods,Systems,and Devices for Surgical Visualization and Device Manipulation」))、米国特許第8,343,171号明細書(2013年1月1日発行、名称「ロボットデバイスにおける作動方法およびシステム(Methods and Systems of Actuation in Robotic Devices)」)、米国特許第8,828,024号明細書(2014年9月9日発行、名称「ロボットデバイスにおける作動方法およびシステム(Methods and Systems of Actuation in Robotic Devices)」)、米国特許出願第14/454,035号明細書(2014年8月7日出願、名称「ロボットデバイスにおける作動方法およびシステム(Methods and Systems of Actuation in Robotic Devices)」)、米国特許出願第12/192,663号明細書(2008年8月15日出願、名称「医療用膨張、取付および送達デバイスならびに関連方法(Medical Inflation,Attachment,and Delivery Devices and Related Methods)」)、米国特許出願第15/018,530号明細書(2016年2月8日出願、名称「医療用膨張、取付および送達デバイスならびに関連方法(Medical Inflation,Attachment,and Delivery Devices and Related Methods)」)、米国特許第8,974,440号明細書(2015年3月10日発行、名称「モジュール式かつ協調型医療デバイスならびに関連システムおよび方法(Modular and Cooperative Medical Devices and Related Systems and Methods)」)、米国特許第8,679,096号明細書(2014年3月25日発行、名称「ロボットデバイス用多機能動作構成要素(Multifunctional Operational Component for Robotic Devices)」)、米国特許第9,179,981号明細書(2015年11月10日発行、名称「ロボットデバイス用多機能動作構成要素(Multifunctional Operational Component for Robotic Devices)」)、米国特許出願第14/936,234号明細書(2015年11月9日出願、名称「ロボットデバイス用多機能動作構成要素(Multifunctional Operational Component for Robotic Devices)」)、米国特許第8,894,633号明細書(2014年11月25日発行、名称「モジュール式かつ協調型医療デバイスならびに関連システムおよび方法(Modular and Cooperative Medical Devices and Related Systems and Methods)」)、米国特許第8,968,267号明細書(2015年3月3日発行、名称「自然孔手術用の材料を取り扱うかまたは送達する方法およびシステム(Methods and Systems for Handling or Delivering Materials for Natural Orifice Surgery)」)、米国特許第9,060,781号明細書(2015年6月23日発行、名称「手術用エンドエフェクタに関連する方法、システムおよびデバイス(Methods,Systems,and Devices Relating to Surgical End Effectors)」)、米国特許出願第14/745,487号明細書(2015年6月22日出願、名称「手術用エンドエフェクタに関連する方法、システムおよびデバイス(Methods,Systems、 and Devices Relating to Surgical End Effectors)」)、米国特許第9,089,353号明細書(2015年7月28日発行、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)、米国特許出願第14/800,423号明細書(2015年7月15日出願、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」)、米国特許出願第13/573,849号明細書(2012年10月9日出願、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」)、米国特許出願第13/738,706号明細書(2013年1月10日出願、名称「外科的アクセスおよび挿入のための方法、システムおよびデバイス(Methods,Systems,and Devices for Surgical Access and Insertion)」)、米国特許出願第13/833,605号明細書(2013年3月15日出願、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」)、米国特許出願第14/661,465号明細書(2015年3月18日出願、名称「外科的アクセスおよび挿入のための方法、システムおよびデバイス(Methods,Systems,and Devices for Surgical Access and Insertion)」)、米国特許第9,498,292号明細書(2016年11月22日発行、名称「単孔式ロボットデバイスならびに関連システムおよび方法(Single Site Robotic Devices and Related Systems and Methods)」)、米国特許出願第15/357,663号明細書(2016年11月21日出願、名称「単孔式ロボットデバイスならびに関連システムおよび方法(Single Site Robotic Devices and Related Systems and Methods)」)、米国特許第9,010,214号明細書(2015年4月21日発行、「局所制御ロボット手術デバイスおよび関連方法(Local Control Robotic Surgical Devices and Related Methods)」)、米国特許出願第14/656,109号明細書(2015年3月12日出願、名称「局所制御ロボット手術デバイスおよび関連方法(Local Control Robotic Surgical Devices and Related Methods)」)、米国特許出願第14/208,515号明細書(2014年3月13日出願、名称「ロボット手術デバイス、エンドエフェクタおよびコントローラに関連する方法、システムおよびデバイス(Methods,Systems,and Devices Relating to Robotic Surgical Devices,End Effectors,and Controllers)」)、米国特許出願第14/210,934号明細書(2014年3月14日出願、名称「力制御手術システムに関連する方法、システムおよびデバイス(Methods,Systems,and Devices Relating to Force Control Surgical Systems)」)、米国特許出願第14/212,686号明細書(2014年3月14日出願、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices、 Systems,and Related Methods)」)、米国特許出願第14/334,383号明細書(2014年7月17日出願、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」)、米国特許出願第14/853,477号明細書(2015年9月14日出願、名称「クイックリリースエンドエフェクタならびに関連システムおよび方法(Quick-Release End Effectors and Related Systems and Methods)」)、米国特許出願第14/938,667号明細書(2015年11月11日出願、名称「小型関節設計を有するロボットデバイスならびに関連システムおよび方法(Robotic Device with Compact Joint Design and Related Systems and Methods)」)、米国特許出願第15/227,813号明細書(2016年8月3日出願、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices、 Systems,and Related Methods)」)、米国特許出願第15/599,231号明細書(2017年5月18日出願、名称「ロボット手術デバイス、システムおよび関連方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」)、米国特許出願第15/687,113号明細書(2017年8月25日出願、名称「クイックリリースエンドエフェクタ器具インタフェース(Quick-Release End Effector Tool Interface)」)、米国特許出願第62/425,149号明細書(2016年11月22日出願、名称「改良された粗位置決めデバイスならびに関連システムおよび方法(Improved Gross Positioning Device and Related Systems and Methods)」)、米国特許出願第62/427,357号明細書(2016年11月29日出願、名称「ユーザ存在検出機能を有するコントローラならびに関連システムおよび方法(Controller with User Presence Detection and Related Systems and Methods)」)、米国特許出願第62/433,837号明細書(2016年12月14日出願、名称「医療デバイスに結合するための解除可能な取付デバイスならびに関連システムおよび方法(Releasable Attachment Device for Coupling to
Medical Devices and Related Systems and Methods)」)、ならびに、米国特許第7,492,116号明細書(2007年10月31日出願、名称「手術用途のためのロボット(Robot for Surgical Applications)」)、同第7,772,796号明細書(2007年4月3日出願、名称「手術用途のためのロボット(Robot for Surgical Applications)」)および同第8,179,073号明細書(2011年5月15日発行、名称「薬剤送達構成要素を備えたロボットデバイスおよび関連方法(Robotic Devices with Agent Delivery Components and Related Methods)」)に開示されている医療デバイスおよびシステムの任意のものに組み込むかまたはともに使用することができ、上記特許および特許出願のすべては、全体として参照により本明細書に援用される。
【0026】
上に列挙した出願に開示されているいくつかのデバイスおよびシステムの実施態様は、本明細書に開示するロボットアームおよび/またはエンドエフェクタと組み合わせて、患者の体腔内に位置決めすることができる。本明細書で用いる「生体内デバイス」は、患者の体腔内に位置決めされている間、少なくとも一部には使用者が位置決めし、操作し、または制御することができる任意のデバイスを意味し、それには、体腔の開口部または孔から配置される、ロッドまたは他の構成要素等の支持構成要素に結合される任意のデバイスが含まれ、実質的に患者の体腔の壁に接してまたは隣接して位置決めされる任意のデバイスも含まれ、内部で作動する(外部の原動力源を有していない)任意のこうしたデバイスがさらに含まれ、さらに、外科手術中に腹腔鏡的にまたは内視鏡的に使用することができる任意のデバイスも含まれる。本明細書で用いる「ロボット」および「ロボットデバイス」という用語は、自動的にまたはコマンドに応じてタスクを実施することができる任意のデバイスを指すものとする。
【0027】
いくつかの実施形態は、体腔の十分な送気を維持しながら、体腔内への本発明の挿入を可能にする。さらなる実施形態は、挿入プロセス中に、外科医または外科的使用者が本発明と物理的に接触するのを最小限にする。他の実施態様は、患者および本発明の挿入プロセスの安全性を向上させる。たとえば、いくつかの実施形態は、患者の体腔内に挿入されている際の本発明の視覚化を可能にして、システム/デバイスと患者との間に損傷をもたらす接触が発生しないことを確実にする。さらに、いくつかの実施形態により、切開寸法/長さを最小限にすることができる。さらなる実施態様により、アクセス/挿入手順および/または手順に必要なステップの複雑性が低下する。他の実施形態は、最小限の外形を有するか、最小限の寸法を有するか、または取扱いおよび使用の容易性を向上させるように機能および外観が概して最小限である、デバイスに関する。
【0028】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、種々の構成で組み立てることができる「組合せ」または「モジュール式」医療デバイスに関する。本出願の目的で、「組合せデバイス」および「モジュール式デバイス」はともに、種々の異なる構成で配置することができるモジュール式または交換可能な構成要素を有する任意の医療デバイスを意味するものとする。本明細書に開示するモジュール式構成要素および組合せデバイスはまた、セグメント化された三角形または四角形の形状の組合せデバイスも含む。これらのデバイスは、三角形または四角形の構成をもたらすように接続されるモジュール式構成要素(本明細書では、「セグメント」とも呼ぶ)から構成されており、使用中のてこの作用および/または安定性を提供する一方で、デバイス内に、より大型の構成要素またはより多くの動作構成要素に使用することができる実質的なペイロード空間も提供することができる。上で開示し考察したさまざまな組合せデバイスと同様に、一実施形態によれば、これらの三角形または四角形のデバイスは、上で考察し開示したデバイスと同様の方法で患者の体腔内に位置決めすることができる。
【0029】
図1Aおよび
図1Bに、ロボットデバイス10の例示的な実施形態を示す。
図1Aに最もよく示すように、ロボットデバイス10は、長尺状デバイス本体12、右肩関節14および左肩関節16を有する。
図1Aにはアームは示さないが、右肩関節14および左肩関節16の各々に、ロボットアームまたは他の構成要素を結合することができる。本体12は、モータ部12Aおよびシャフト部12Bを有し、モータ部12A内にはモータ(後述する)が配置され、シャフト部12Bには長尺状駆動シャフト(後述する)が配置されている。一実施形態では、
図1Aおよび
図1Bの両方に最もよく示すように、モータ部12Aの外面に、制御電子回路18(回路基板、プロセッサ等)が配置されている。いくつかの実施態様によれば、制御電子回路18の上部にわたり、カバー(図示せず)が配置される。
【0030】
さらに詳細に後述するように、入れ子式のまたは小型の肩関節14、16の各々は、3つの交差する自由度を提供する。例として、左肩関節16は、
図1Aに示すように3つの交差する自由度を有する。第1自由度は矢印Aで示し、矢印Aは、デバイス本体12の長手方向軸に対して平行な軸20を中心とする回転を表し、その回転により、肩16に結合された任意のアーム(図示せず)が、その軸20を中心に回転し、それにより、デバイス本体12に対して左右に移動する(「ヨー」)。第2自由度は矢印Bで示し、矢印Bは、デバイス本体12の長手方向軸に対して直交する軸22を中心とする回転を表し、その回転により、肩16に結合された任意のアーム(図示せず)が、その軸22を中心に回転し、それにより、デバイス本体12に対して「上下に」移動する(「ピッチ」)。より具体的には、デバイス本体12は、その長手方向軸に沿って平坦な平面上に置かれた場合、アーム(図示せず)は、その平坦な平面の内外に移動する。第3自由度は矢印Cで示し、矢印Cは、軸24を中心とする回転を表し、その回転により、肩16に結合された任意のアーム(図示せず)がそれ自体の長手方向軸を中心に回転する(すなわち、「ロール」)。
図1Aに示すように、3つの回転軸のすべてが単一の点26で交差するため、これらの3つの自由度は交差している。この上記説明は左肩関節16に関するが、右肩関節14もまた、実質的に同じ3つの交差する自由度を有する。
【0031】
第3自由度は、アームを、それ自体の長手方向軸上で回転するように作動させることに限定されない。代わりに、作動の形態は、肩に結合されたアームの構成に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、肩に結合されたアームは、軸24を中心とする回転によりアームがローリングする(それ自体の軸上で回転する)ように構成されている。他の実施形態によれば、さらに詳細に後述するように、肩に結合されたアームは、軸24を中心とする回転が、アームの肘を作動させて回転するように構成されている。さらなる実施形態では、軸24を中心とする回転の結果として発生する作動のタイプは、肩に結合されたアームの構成のみによって限定される。
【0032】
図2は、1つの例示的な実施形態による本体12の正面断面図を示しており、本体12のいくつかの内部構成要素が確認できる。本体12は、入れ子式駆動シャフト40の右側セットと入れ子式駆動シャフト41の左側セットとを有し、両セットは、本体12内に回転可能に配置されている。本明細書に示す「入れ子式」という用語は、構成要素のうちの少なくとも1つがそれらの構成要素のうちの別のものの内側に配置され、構成要素の各々が共通の回転軸を有するように同心である構成要素について述べている。本体12およびその構成要素に関する他の記載では、本体12の右側と、入れ子式駆動シャフト40の右側セットと、それらに結合された構成要素とに焦点を当てる。本体12の左側の構成要素、入れ子式駆動シャフト41の左側セット、それらに結合された構成要素、それら構成要素の互いとの関係、およびそれらの機能は、本体12の右側の構成要素と実質的に同様である。
【0033】
図2に関して、入れ子式駆動シャフト40の右側セットは、第1または外側駆動シャフト40A、第2または中間駆動シャフト40B、および第3または内側駆動シャフト40Cから構成されている。入れ子式駆動シャフト40の右側セットは、図示するように、モータ部12Aからシャフト部12B内にかつシャフト部12Bを通って延在している。内側駆動シャフト40Cは、図示するように、中間駆動シャフト40B内に回転可能に配置され、その基端部に固定してまたは一体的に取り付けられた従動歯車42Cを有する。内側駆動シャフト40Cは、その先端部において、第3または下部駆動傘歯車44Cに結合されている。中間駆動シャフト40Bは、図示するように外側駆動シャフト40A内に回転可能に配置され、その基端部において固定してまたは一体的に取り付けられた従動歯車42Bを有する。中間駆動シャフト40Bは、その先端部において、第2または中間駆動傘歯車44Bに結合されている。外側駆動シャフト40Aは、本体12の右側に回転可能に配置され、その基端部において固定してまたは一体的に取り付けられた従動歯車42Aを有する。外側駆動シャフト40Aは、その先端部において、第1または上部駆動傘歯車44Aに結合されている。入れ子式駆動シャフト40の右側セットは、その基端部において第1セット軸受46により、その先端部において第2セット軸受48により支持されている。
【0034】
一実施形態によれば、シャフト部12Bは、2つ以上のねじ60A、60B、または他の既知の取付部品もしくは装置を介して、モータ部12Aに結合されている。一実施形態では、ねじ60A、60Bのような5つのねじを用いて、シャフト部12Bとモータ部12Aとが結合される。
【0035】
図3A~
図3Eに、一実施形態による、駆動シャフト40A、40B、40Cの基端部とそれら駆動シャフト40A、40B、40Cを駆動する関連する歯車およびモータとを含む、本体12の基端部におけるさまざまな内部構成要素の拡大図を示す。
図3Aに最もよく示すように、従動歯車42Cを含む内側駆動シャフト40Cの基端部は、第1シャフト軸受62および第2シャフト軸受64を介して本体12内に回転可能に支持されている。さらに、従動歯車42Bを含む中間駆動シャフト40Bの基端部は、第2シャフト軸受64および第3シャフト軸受66を介して本体12内に回転可能に支持されている。さらに、従動歯車42Aを含む外側駆動シャフト40Aの基端部は、第3シャフト軸受66および第1セット軸受46を介して本体12内に回転可能に支持されている。
【0036】
図3B~
図3Eに最もよく示すように、入れ子式駆動シャフト40、41のセットの各々は、それらに動作可能に結合された3つのモータを有する。より具体的には、
図3Bの側面図に最もよく示すように、モータ80Aは、(外側駆動シャフト40Aに結合されている)従動歯車42Aに結合されているモータ駆動歯車82Aを有する。さらに、モータ80Bは、(中間駆動シャフト40Bに結合されている)従動歯車42Bに結合されているモータ駆動歯車82Bを有する。さらに、モータ80Cは、(内側駆動シャフト40Cに結合されている)従動歯車42Cに結合されているモータ駆動歯車82Cを有する。したがって、動作時、従動歯車42Aを回転駆動するモータ駆動歯車82Aを回転駆動することにより、モータ80Aを作動させて外側駆動シャフト40Aを回転駆動することができる。同様に、従動歯車42Bを回転駆動するモータ駆動歯車82Bを回転駆動することにより、モータ80Bを作動させて中間駆動シャフト40Bを回転駆動することができる。同様に、従動歯車42Cを回転駆動するモータ駆動歯車82Cを回転駆動することにより、モータ80Cを作動させて内側駆動シャフト40Cを回転駆動することができる。
【0037】
図3Cおよび
図3Dは、一実施形態による、モータおよび駆動シャフトの底面図を提供する。より具体的には、
図3Cは、モータ部12Aの部分切取底面図を示し、この図では、モータ部12Aの右半分においてモータ部12Aの外側本体が取り除かれているため、この図の切取部分に、左側の入れ子式駆動シャフトセット41および結合されたモータが示されている。この図に示すように、モータ部12Aは、モータ部12A全体が、この実施形態に示すようにその中心線Dを横切って鏡像化されるように、構成されている。すなわち、モータ部12Aの左側およびその中の内部構成要素は、モータ部12Aの右側およびその構成要素の鏡像である。
【0038】
さらに、
図3Dは、右側の入れ子式駆動シャフトセット40および結合されたモータ80A、80B、80Cの底面図を示しており、この図において、駆動シャフトセット40を中心とするモータ80A、80B、80Cの配置を示している。
【0039】
図3Eに示すような実施態様では、駆動シャフト40A、40B、40Cは、ポテンショメータ86A、86B、86Cに結合されており、ポテンショメータ86A、86B、86Cは、各駆動シャフト40A、40B、40Cに関する絶対位置フィードバックを提供する。図示するように、(外側駆動シャフト40Aの)従動歯車42Aは、ポテンショメータ86Aに結合されているポテンショメータ歯車84Aに結合されており、(中間駆動シャフト40Bの)従動歯車42Bは、ポテンショメータ86Bに結合されているポテンショメータ歯車84Bに結合されている。同様に、(内側駆動シャフト40Cの)従動歯車42Cは、ポテンショメータ86Cに結合されているポテンショメータ歯車84Cに結合されている。ポテンショメータ歯車84A、84B、84Cおよびポテンショメータ86A、86B、86Cは、ピン88に結合されている。一実施形態では、ポテンショメータ86A、86B、86Cの各々は、単回転型ポテンショメータである。別法として、これらの構成要素86A、86B、86Cは、位置情報を検出するかまたはモニタリングする任意の既知のセンサまたはメータであり得る。
【0040】
図4Aおよび
図4Bは、一実施態様による、右肩関節14およびそのさまざまな構成要素を示す。より具体的には、
図4Aは、右肩関節14および左肩関節16の両方の内部構成要素の正面断面図を示し、
図4Bは、右肩関節部14の内部構成要素の組立分解図を示す。上述したように、かつ
図4Aおよび
図4Bの両方に示すように、外側駆動シャフト40Aは、上部駆動傘歯車44Aに結合され(または回転可能に拘束され)ており、中間駆動シャフト40Bは、中間駆動傘歯車44Bに結合されており、内側駆動シャフト40Cは、下部駆動傘歯車44Cに結合されている。
図4Aに最もよく示すように、外側駆動シャフト40Aおよび上部駆動傘歯車44Aは、第2セット軸受48および第1肩軸受100によって支持され、第1肩軸受100は、傘歯車44Aの先端部内に位置決めされている。
図4Aに最もよく示すように、中間駆動シャフト40Bおよび中間駆動傘歯車44Bは、第1肩軸受100および第2肩軸受102によって支持され、第2肩軸受102は、傘歯車44Bの先端部内に位置決めされている。
【0041】
右肩14はまた、(左肩16と同様に)差動ヨーク(「肩ハウジング」または「変換体」とも呼ぶ)104も有する。
図4Bに最もよく示すように、ヨーク104は、本体104Aおよびヨークシャフト104Bを有し、本体104Aはヨーク開口部104Cを画定している。ヨーク104は、図示するように、内側駆動シャフト40Cの上に位置決めされるように構成されており、それにより、駆動シャフト40Cは、ヨーク開口部104Cを通して位置決めされている。駆動シャフト40Cは、開口部104C内に配置されている第3肩軸受106および第4肩軸受108によってヨーク開口部104C内に回転可能に支持されている。上述したように、内側駆動シャフト40Cは、下部駆動傘歯車44Cに結合されている。傘歯車44A、44B、44C、駆動シャフト40A、40B、40Cおよび軸受100、102、106、108は、内側駆動シャフト40Cに結合されているねじ110により、互いに結合されかつ「予荷重が与えられ」ている。別法として、任意の既知の取付部品を用いて、これらの構成要素を互いに結合しかつそれらに予荷重を与えることができる。
【0042】
図4Aおよび
図4Bを続けて参照すると、ヨークシャフト104Bは、傘歯車本体(「回転式アーム」、「回転式本体」、「回転アーム」、「回転体」、「ピッチアーム」または「ピッチ体」とも呼ぶ)120に回転可能に結合されている。傘歯車本体120は、そこに画定された2つの開口部120A、120Bを有し、本体傘歯車120Cが開口部120Aの一方の側の周囲に配置されており、それにより、本体傘歯車120Cの回転により傘歯車本体120の回転がもたらされる。開口部120Aは、ヨークシャフト104Bが開口部120Aを通して位置決めされることでヨークシャフト104Bを受け入れるように構成されている。傘歯車本体120がヨークシャフト104Bに結合されると、第1内側傘歯車122もまた、ヨークシャフト104Bの上に位置決めされ、第5肩軸受124および第6肩軸受126によって支持される。そこで、第5肩軸受124は、傘歯車122の先端部内に配置されており、第6肩歯車126は、本体傘歯車120C内に配置されている。
【0043】
回転体120は、本明細書に記載するような2つの開口部を有する任意の構成要素とすることができ、記載するようなさまざまな構成要素に結合することができる。
第1内側傘歯車122は第1平歯車130に動作可能に結合されており、それにより、第1内側傘歯車122の回転により平歯車130の回転がもたらされる。第1平歯車130もまた、ヨークシャフト104Bの上に位置決めされ、2つの歯車122、130は、傘歯車本体120の開口部120Aを通して互いに結合されている。一実施形態では、第1内側傘歯車122は、平歯車130と嵌合して2つの歯車122、130を互いに結合する2つの突出部128A、128Bを有する。別法として、任意の結合部品または機構を用いて、2つの歯車122、130を互いに結合することができる。第1平歯車130は、一部には、上述した第6軸受126によって支持され、さらに一部には、平歯車130の先端部内に配置された第7肩軸受132によって支持されている。軸受124、126、132はすべて、第1内側傘歯車122、傘歯車本体120および第1傘歯車130を支持するのに役立ち、それにより、3つのすべて(傘歯車122、本体120および平歯車130)が、ヨークシャフト104Bを中心に回転可能である。軸受124、126、132は、皿ねじ134によって予荷重が与えられており、皿ねじ134は、ヨークシャフト104Bの端部においてねじ切り内腔135内にねじ込まれている。
【0044】
第1平歯車130は第2平歯車136に回転可能に結合されており、第1平歯車130が回転することで第2平歯車136が回転する。第2平歯車136は、歯車リンク機構138(本明細書では「L字シャフト」138とも呼ぶ)の水平シャフト138Aの上に位置決めされ、一部には、第8肩軸受140および第9肩軸受142によって支持されている。第8肩軸受140は、第2平歯車136の先端部内に位置決めされている。第2平歯車136は第2内側傘歯車144に動作可能に結合されており、平歯車136が回転することで傘歯車144が回転する。第2内側傘歯車144もまた、水平シャフト138Aの上に位置決めされ、2つの歯車136、144は、傘歯車本体120の開口部120Bを通して互いに結合されている。したがって、水平シャフト138Aもまた、歯車本体120の開口部120Bを通して位置決めされている。
【0045】
一実施形態では、第2内側傘歯車144は、平歯車136と嵌合して2つの歯車136、144を互いに結合する2つの突出部146A、146Bを有する。別法として、任意の結合部品または機構を用いて、2つの歯車136、144を互いに結合することができる。第2内側傘歯車144は、一部には、上述した第9肩軸受142によって支持され、さらに一部には、傘歯車144の先端部内に配置された第10肩軸受148によって支持されている。軸受140、142、148はすべて、第2内側傘歯車144、傘歯車本体120および第2平歯車136を支持するのに役立ち、それにより、3つのすべて(傘歯車144、本体120および平歯車136)が、ヨークシャフト138Aを中心に回転可能である。軸受140、142、148は、皿ねじ150によって予荷重が与えられており、皿ねじ150は、水平シャフト138Aの端部においてねじ切り内腔152内にねじ込まれている。
【0046】
一実施形態によれば、L字シャフト138は、上述したような水平シャフト138Aと、垂直シャフト138Bとを有する。同様に上述したように、水平シャフト138Aは、軸受140、142、148とともに、第2内側傘歯車144、傘歯車本体120および第2平歯車136を受け入れ、それにより、傘歯車144、歯車本体120および平歯車136の3つのすべてはシャフト183Aの上に配置され、より詳細に後述するように、傘歯車144および平歯車136はシャフト138Aの上に回転可能に配置され、歯車本体120は、シャフト138Aの上に非回転可能に配置されている。垂直シャフト138Bは、傘歯車154がシャフト138Bの周囲に回転可能に配置されるように、第11軸受156および第12軸受158によって支持される出力傘歯車154を受け入れる。軸受156、158は、皿ねじ160によって予荷重が与えられており、皿ねじ160は、シャフト138Bの端部においてねじ切り内腔(図示せず)内にねじ込まれている。
【0047】
L字シャフト138は、歯車本体120内に画定されたスロット120Dに結合する2つの翼状部138C、138Dを介して歯車本体120に結合されており、それにより、L字シャフトは、歯車本体120が移動するときに移動する。別法として、L字シャフト138は、任意の既知の部品または機構により本体120に結合することができる。
【0048】
使用時、上部駆動傘歯車44Aは(傘歯車本体120上の)傘歯車120Cに回転可能に結合され、上部駆動傘歯車44Aが回転することで傘歯車120Cが回転する。さらに、下部駆動傘歯車44Cもまた傘歯車本体120上の傘歯車120Cに結合され、下部駆動傘歯車44Cが回転することで傘歯車120Cが回転する。したがって、2つの傘歯車44A、44Cは、駆動シャフト40Cを中心とするヨーク104の回転と、ヨークシャフト104Bを中心とする傘歯車本体120の回転とを駆動するように、合せて機能する。言い換えれば、2つの傘歯車44A、44Cを反対方向に回転するように作動させると、傘歯車本体120がヨークシャフト104Bを中心に回転し、同じ方向に回転するように作動させると、ヨーク104が駆動シャフト40Cを中心に回転する。さらに、2つの歯車44A、44Cは、同時に両方を行うように作動させることができる。
【0049】
さらに、中間駆動傘歯車44Bは第1内側傘歯車122に回転可能に結合され、中間駆動傘歯車44Bが回転することで第1内側傘歯車122が回転して、第1平歯車130が回転する。第1平歯車130が回転することで第2平歯車136が回転し、それにより、第2内側傘歯車144が回転する。第2内側傘歯車144は出力傘歯車154に回転可能に結合され、第2内側傘歯車144が回転することで出力傘歯車154が回転する。いくつかの実施態様によれば、出力傘歯車154はロボットアーム(図示せず)またはロボットデバイスの他の構成要素に結合することができ、出力傘歯車154が回転すると構成要素が回転する。
【0050】
したがって、いくつかの実施形態によれば、
図2、
図4Aおよび
図4Bに最もよく示すような右肩14(および
図1Aに示すような左肩16)は、(
図2に最もよく示すように、駆動シャフト40A、40B、40Cから構成されている)3つの同軸駆動シャフトおよびそれらの駆動シャフトに結合された(
図2および
図4Aに最もよく示すように、傘歯車44A、44B、44Cから構成されている)3つの入れ子式傘歯車セットに基づき、3自由度の小型関節設計を有する。上述したように、かつ
図1Aに最もよく示すように、いくつかの実施形態では、3自由度は交差する自由度である。入れ子式駆動シャフト40A、40B、40Cにより、それらに結合されたモータ(モータ80A、80B、80C)を、肩14、16(したがって、歯車44A、44B、44Cに関連する歯車セット)から間隔を空けて、デバイス本体12の長さに沿って基端側位置に軸方向に配置することができ、それにより、デバイス本体12の全体的な周方向または半径方向の寸法(幅および厚さ)が小さくなる。より具体的には、これらの実施形態による構成により、モータおよび駆動シャフトは、軸方向に傘歯車セットと並んで配置される必要はなくなり、それにより、デバイス本体12は、モータおよび駆動シャフトがデバイスの長さに沿って肩に並んで(肩と同じ長さに)位置決めされる任意のデバイスに関連して、全体的な周方向または半径方向の寸法を小さくする(円周または半径を小さくする)ことができる。
【0051】
図1Aに関連して上述したように、各肩関節14、16は、3自由度を提供する。
図4Aおよび
図4Bに最もよく示すようなこの実施態様では、自由度のうちの2つ、すなわち、肩14、16に結合されたアームのピッチおよびヨーは、上述したように出力傘歯車120Cに結合されている傘歯車44A、44Cを介して発生する。さらに、第3自由度は、上述したように最終的に出力傘歯車154を駆動する傘歯車122を駆動する傘歯車44Bを介して発生する。
図1Aに関連してさらに詳細に上述したように、出力傘歯車154の回転からもたらされる作動は、それに結合されたアームの構成によって決まる。いくつかの実施態様では、傘歯車154の回転は、ロール、すなわち、アームのその長手方向軸上の回転をもたらす。
図5A~
図8Bに関連して後述する実施形態を含むいくつかの代替実施形態では、傘歯車154の回転は、肩を通して伝えられ、アームの肘を回転させる。さらなる実施態様では、出力傘歯車154の回転により、アームの構成に応じて、アームを他の方法で作動させることができる。
【0052】
図5Aおよび
図5Bに示すような一実施態様によれば、上述したデバイス10実施形態の肩に結合することができる、ロボットアーム200(または別法として、2つのこうしたアーム)が設けられる。別法として、任意の既知のロボット手術デバイスにこのアーム200を結合することができる。この具体的な実施態様では、アーム200は右腕200である。
図5Aは、右腕200および左腕202の両方を示すことに留意されたい。この考察の残りでは、説明は右腕200に焦点を当てる。左腕202の構成要素、それら構成要素の互いに対する関係、およびそれらの機能性は、右腕200の構成要素と実質的に同様である。
【0053】
続けて
図5Aおよび
図5Bを参照すると、右腕200は、肩関節(本明細書では、「肩」または「第1関節」とも呼ぶ)204、上腕(「第1アームリンク」または「第1アーム構成要素」とも呼ぶ)206、肘関節(本明細書では「肘」または「第2関節」とも呼ぶ)208、前腕(本明細書では「第2アームリンク」または「第2アーム構成要素」とも呼ぶ)210、手首関節(本明細書では「手首」または「第3関節」とも呼ぶ)212およびエンドエフェクタ214を有する。
【0054】
一実施態様では、アーム200(およびアーム202)は、上述したデバイス10等、3自由度(「DOF」)を有する肩に結合するように構成されている。別法として、アーム200は、3DOFを有する肩を備えた任意の既知のロボットデバイスに結合することができる。さらなる代替態様では、アーム200は任意の既知のロボットデバイスに結合することができる。
【0055】
図6A~
図6Dに、一実施形態による上腕206をさらに詳細に示す。上腕206は、本体(「ケーシング」、「外側構造体」または「シェル」とも呼ぶ)220を有する。この特定の実施態様では、本体220は、第1本体構成要素220Aおよび第2本体構成要素220Bから構成され、それらは、(
図6Bに最もよく示すように)結合シャフト(「円筒状シャフト」とも呼ぶ)224の先端部に結合されている皿ねじ222を介して、互いに結合されている。より具体的には、2つの本体構成要素220A、220Bは、ねじ222とシャフト224の先端部との結合を介して合せて拘束されているため、シャフト224内にねじ222を締め付けることにより、2つの本体構成要素220A、220Bの間にクランプ力が生じる。また、ねじ222とシャフト224との結合を強めることにより、
図6Bに最もよく示すように、本体構成要素220Bに画定された対応する円筒状内腔225内にシャフト224が引き込まれる。さらに具体的には、シャフト224は、円筒状内腔225内に位置決めされ、ねじ222がシャフト224内に締め付けられる際に先端側に付勢される。別法として、本体220は、単一の一体構成要素である。さらなる代替形態では、本体220は、3つ以上の異なる構成要素から構成することができる。
【0056】
上腕206が上述した肩14に結合される、示したようなこの特定の実施形態では、上腕206は、上述した肩14の構成要素のうちのいくつかを取り除く/置き換えることにより、肩14に結合される。より具体的には、この特定の例では、
図4Bに最もよく示すような以下の構成要素は、取り除かれ、上腕206の構成要素に置き換えられる。すなわち、第2内側傘歯車144、第10肩軸受148、L字シャフト歯車リンク機構138、第11軸受156、出力傘歯車154、第12軸受158および皿ねじ160である。したがって、上腕206の基端部226は、(
図4Bに最もよく示すような)傘歯車本体120と結合するように構成されており、それにより、結合シャフト224の先端部は、歯車本体120の開口部120Bを通って延在する。より具体的には、基端部226は、(
図4Bに最もよく示すような)歯車本体120に画定されたスロット120Dと幾何学的に一致する、
図6Dに最もよく示すような突出部226Aを有し、それにより、基端部226は歯車本体120に結合される。別法として、基端部226および歯車本体120は、2つの構成要素の幾何学的一致、したがって結合をもたらす任意の特徴または構成を有することができる。一実施形態では、結合シャフト224、したがって上腕206全体は、シャフト224の先端部に螺合される(
図4Bに最もよく示すような)皿ねじ150を介して、歯車本体120に取り付けられる。さらに、上腕206は、基端部226内に配置された第1上腕傘歯車228を有し、第1上腕傘歯車228は、その基端部において(
図4Bに最もよく示すような)第2平歯車136に回転可能に結合されており、平歯車136の回転により傘歯車228が回転する。一実施形態では、
図6Dに最もよく示すように、第1歯車228は、その基端部に突出部228Aを有し、それは、平歯車136の特徴または構成要素と幾何学的に一致しており、2つの歯車228、136を結合することができる。別法として、歯車228、136は、それらを互いに結合することができる任意の構成を有することができる。この具体的な例示的な実施形態は、上述したデバイス10に結合されている上腕206に関連するが、さまざまな代替実施形態によれば、第1傘歯車228は、上腕206が結合される任意のロボットデバイスの歯車もしくはシャフトまたは他の回転部品に回転結合することができる。
【0057】
図6Aおよび
図6Bを続けて参照すると、第1上腕傘歯車228は、(歯車228がシャフト224を中心に回転するように、歯車228を通して位置決めされている)結合シャフト224により拘束されかつ支持され、第2上腕傘歯車230に嵌合可能に結合され(第2上腕傘歯車230によってさらに拘束されかつ支持され)るため、第1傘歯車228の回転により第2傘歯車230が回転する。第2傘歯車230は駆動シャフト232に回転結合されるため、第2傘歯車230の回転により駆動シャフト232が回転する。一実施態様では、第2歯車230および駆動シャフト232は、上述したように、2つの構成要素が、第1歯車228および平歯車136と同様に嵌合可能に結合するのを可能にする、幾何学的特徴を有する。別法として、歯車230および駆動シャフト232は、一方の回転により他方の回転がもたらされるように、任意の既知の方法で結合することができる。駆動シャフト232は、第1上腕軸受234および第2上腕軸受236によって支持されている。一実施形態によるこれらの軸受234、236はまた、第1本体構成要素220Aおよび第2本体構成要素220Bの位置合せおよび拘束に役立つように、位置合せ特徴としても機能する。すなわち、第1本体構成要素220Aおよび第2本体構成要素220Bの各々は、構成要素220A、220B内に画定された軸受受入開口部235、237を有し、そのため、図示するように構成要素220A、220Bが互いに結合されるとき、軸受234、236をその中に位置決めすることができる。したがって、2つの構成要素220A、220Bの組立および結合は、軸受受入開口部235、237内に軸受234、236を位置決めすることによって促進されかつ位置合せされる。駆動シャフト232は、その先端部において、第3上腕傘歯車238に回転結合されているため、駆動シャフト232の回転により歯車238が回転する。駆動シャフト232および歯車238は、上述したように、2つの構成要素が、歯車230および駆動シャフト232と同様に嵌合可能に結合されるのを可能にする幾何学的特徴を有し、または一方の回転により他方の回転がもたらされるように任意の既知の方法で結合されている。
【0058】
上腕206は、腕206の先端部にまたはその近くに画定された先端開口部244を有する。さらに詳細に後述するように、先端開口部244は、任意の前腕(たとえば、前腕210等)の構成要素、または上腕206に結合されている他の構成要素を受け入れるように構成されているため、前腕または他の構成要素は上腕206に対して回転することができる。
図6Dに最もよく示すように、開口部244は、後述するように、内部を通して配置された構成要素を支持する、内部に配置された2つの軸受246A、246Bを有する。
【0059】
いくつかの実施態様によれば、上腕206は、上腕206の先端部を合せて保持するのに役立つように機能する少なくとも1つの保持リングを有する。すなわち、保持リングは、第1本体構成要素220Aおよび第2本体構成要素220Bの結合を維持するのに役立つ。この具体的な実施態様では、
図6Aに最もよく示すように、上腕206は、2つの保持リング240A、240Bを有する。別法として、本明細書に開示するかまたは本明細書で企図する任意の上腕実施形態は、上腕の先端部を合せて保持するのに役立つ、1つ、3つまたは任意の数の保持リングを有することができる。さらに、2つの本体構成要素220A、220Bの結合を維持するのに役立つ任意の既知の機構または部品を使用することができる。さらなる実施形態では、
図6Cに最もよく示すように、上腕206はまた、端部取付保持リング242も有することができる。保持リング240A、240Bと同様に、端部取付保持リング242は、上腕206の先端部を合せて保持するのに役立つ。
【0060】
いくつかの実施形態では、上腕206はまた、
図6Bに最もよく示すように第1本体構成要素220Aに配置されたアンカーポイント248も有することができる。アンカーポイント248は、肘関節208の上に延在しかつそれに取り付けられた前腕(前腕210等)に結合する1つまたは複数の長尺状弾性構成要素(本明細書では「弾性腱」または「弾性バンド」とも呼ぶ)(図示せず)に対して、アンカーポイントまたは取付箇所として作用するように構成されており、弾性バンド(図示せず)は、前腕が肘関節208で曲がるように作動するときに、上腕206および前腕(前腕210等)に抑止力を加えることができる。すなわち、弾性バンドは、関節208におけるさまざまな構成要素のあらゆる緩い結合または「ルーズさ(sloppiness)」を低減させるため、そのような構成要素の結合を強化する。したがって、前腕(前腕210等)が肘関節208で曲がるように作動する際、弾性バンドは引っ張られ、それにより、
図5Bに最もよく示すように、肘関節208に、前腕を「直線状」位置に戻るように付勢する力が加えられることになる。図示するような実施形態では、アンカーポイント248は、第1本体構成要素220Aに螺合されている皿ボルト248である。別法として、ボルト248の代わりに、アンカーポイント248としての役割を果たすことができる任意の部品または機構をアーム206に組み込むことができる。
【0061】
一実施形態では、第3上腕傘歯車238は、上腕206に結合される前腕(たとえば、前腕210等)に固定された一致する傘歯車に結合可能であるように構成されている。このため、一実施形態では、上腕206における動力伝達機構を用いて、上腕206に対して前腕(前腕210等)の回転をもたらすことができる。動力伝達機構は、第1上腕傘歯車228、第2上腕傘歯車230、駆動シャフト232および第3上腕傘歯車238から構成されている。使用時、第1上腕傘歯車228を(いくつかの実施態様によれば、平歯車136の回転により)回転するように作動させることができるため、第2上腕傘歯車230が回転することで駆動シャフト232が回転する。駆動シャフト232の回転により、第3上腕傘歯車238が回転し、それにより、駆動シャフト232に結合された任意の前腕構成要素が、上腕206に対して回転する。その結果、傘歯車238の回転により、前腕(前腕210等)が、肘関節(肘関節208等)において上腕206に対して移動する。
【0062】
一実施形態によれば、上腕206の上述したデバイス10への結合により、5自由度のあるアームがもたらされる。すなわち、
図4Aおよび
図4Bに関して上述したように、各肩(
図1Aに関して上述した肩14、16等)は、肘のピッチ、ヨーおよび回転の形態で3自由度を提供する。この実施形態では、第4自由度は、前腕の長手方向軸に対して平行な軸を中心とするエンドエフェクタの回転であり、第5自由度は、把持具を開閉させる把持具の各々の回転である。この実施態様では、第3自由度、すなわち、上述したような出力傘歯車154の回転は、上腕206のロールをもたらすのではなく、肘関節208を作動させるために利用される。したがって、この特定の実施形態では、上腕206は、それ自体の長手方向軸を中心に回転しない。
【0063】
図7、
図8Aおよび
図8Bは、一実施形態による、上腕206に結合される前腕210を示す。前腕210は、1つまたは複数のモータ(後述する)を収容しかつ拘束する前腕本体300(「ケーシング」または「シェル」とも呼ぶ)を有する。本体300は、いくつかの実施形態では、本体300内に配置された焼灼接続部(図示せず)と、その中に画定された焼灼ワイヤ開口部303とを有することができる。図示するような一実施態様では、本体300は、3つの構成要素、すなわち、本体300A、電子回路カバー300Bおよび先端カバー300Cから構成されている。電子回路カバー300Bは、プリント回路基板(「PCB」)を含むことができるコントローラ(図示せず)を含み、コントローラは、モータ(後述する)に、モータを制御するように動作することができるように結合されている。さらに、電子回路カバー300Bは、外部環境から本体300内に収容されているコントローラおよび他の任意の電子回路(図示せず)を封止してかつ流体的に保護することができる。先端カバー300Cは、本体300の先端部にまたはその上に位置決めされ、そこに画定されたリップ302を有する。リップ302は、滅菌カバー(図示せず)を前腕210に結合しかつ流体的に封止するために使用される、任意の弾性拘束物を受け入れかつ保持するのに役立つように構成されている。そのため、使用中に滅菌カバーをその適切な位置で保持することができる。別法として、先端カバー300Cは、滅菌カバーを受け入れ、保持し、またはそれに結合する任意の既知の部品または機構を有することができる。さらに、先端カバー300Cは、さらに詳細に後述するように、その先端部に、交換可能なエンドエフェクタを受け入れるように構成されている開口部304を画定している。
【0064】
前腕210はまた、上腕206が前腕210に結合されている関節208の部分を形成する、
図8Aおよび
図8Bに最もよく示すような2つの突出部264A、264Bも有する。この実施態様では、2つの突出部264A、264B(したがって、肘関節208)は、前腕210の先端部260と基端部262との間の前腕210の長さに沿った箇所に位置決めされている。すなわち、突出部264A、264Bは、前腕210の先端部260および基端部262の両方から間隔を空けて配置されている。この特定の実施形態では、突出部264A、264B(したがって関節208)は、図示するように、前腕210の長さに沿った中間点にまたはその中間点に実質的に隣接して位置決めされている。別法として、突出部264A、264B(したがって関節208)は、基端部262および先端部260の両方から間隔を空けて配置されるように、前腕210の長さに沿った任意の場所に位置決めされる。したがって、前腕210の回転は、前腕210の基端部262では発生しないが、代わりに、突出部264A、264Bの位置によって決まるような前腕210の長さに沿った他の何らかの箇所において発生する。
【0065】
各突出部264A、264Bは、図示するように、それぞれそこに画定された開口部266A、266Bを有する。
図8Bに最もよく示すように、2つの突出部264A、264Bの間の関節208内に関節歯車268が配置されており、歯車268のシャフト268Aは、開口部264A内に回転可能に配置されている。さらに、2つの突出部264A、264Bの間の関節208内に関節シャフト270もまた配置されており、関節シャフト270は、一端において開口部264B内に回転可能に配置され、他端において歯車268内に配置されている。
【0066】
図8Bに示すように上腕206が前腕210に結合されると、上腕206の先端部は、2つの突出部264A、264Bの間に配置され、(上記、
図6A、
図6Bおよび
図6Dにおいて最もよく示したような)開口部244は、2つの開口部266A、266Bの間に配置されかつそれらと軸方向に位置合せされる。上腕206の先端部は、関節シャフト270によって前腕210に結合され、関節シャフト270は、開口部264B、開口部244を通して歯車268内に配置され(かつ、上述したように、開口部244において軸受246A、246Bによって支持され)、それにより、図示するように、上腕206の先端部は、関節210内で2つの突出部264A、266Bの間に回転可能に保持される。
【0067】
関節歯車268は、
図8Bに示すように上腕206の第3上腕傘歯車238に回転結合されており、第3上腕傘歯車238の回転により関節歯車268が回転する。
この具体的な実施態様における関節208は、2つの突出部264A、264B、関節シャフト270および関節傘歯車268によって構成されているが、これらのさまざまなアーム実施形態に、任意の既知の関節または回転結合構成もしくは機構を組み込むことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、
図8Aおよび
図8Bに最もよく示すように、前腕210もまた、アンカーポイント272を有することができる。上述したアンカーポイント248のように、アンカーポイント272は、肘関節208の上に延在する上述したような任意の弾性腱(図示せず)のための他のアンカーポイントまたは取付箇所として(アンカーポイント248と組み合わせて)作用するように構成されている。図示するような実施形態では、アンカーポイント272は、前腕210に螺合された皿ボルト272である。別法として、ボルト272の代わりに、アンカーポイント272としての役割を果たすことができる任意の部品または機構を前腕210に組み込むことができる。
【0069】
図9A~
図9Cに、上述した前腕210に結合することができる1つの例示的な交換可能なエンドエフェクタ320を示す。別法として、エンドエフェクタ320は、任意の既知のロボットアームまたはロボット手術デバイスに結合することができる。任意の交換可能なエンドエフェクタを前腕210に結合し、または取り除いて他の任意の既知の交換可能なエンドエフェクタと交換することができる。
【0070】
この例示的な実施形態におけるエンドエフェクタ320は、第1把持具アーム322Aおよび第2把持具アーム322Bを有する把持具構成要素322を備える把持具エンドエフェクタ320である。エンドエフェクタ320は、使用者が、エンドエフェクタ320をアーム(前腕210等)に結合しかつそこから分離するために把持することができる、ひねることができるつまみ324を有する。つまみ324は、さらに詳細に後述するように、カバー300Cに画定された4つの切欠き382に嵌合可能に結合する係止突出部326Aを有する係止カラー326に結合されている。つまみ324の回転により係止カラー326が回転して、突出部326Aを切欠き382内に位置決めすることで、エンドエフェクタ320を前腕210に結合することができる。いくつかの実施形態では、つまみ324の基端部または一部においてエンドエフェクタ320の周囲に封止リング(本明細書では「Oリング」とも呼ぶ)328が配置されており、リング328は、上述したように、前腕210にエンドエフェクタ320が結合されたとき、エンドエフェクタ320の前腕210への流体封止結合を提供することができる。さらに、いくつかの実施態様によれば、リング328は、エンドエフェクタ320および前腕210の両方に対して外向きの圧力または力も提供することができ、それにより、使用中にエンドエフェクタ320を分離させる可能性があるつまみ324の逆回転が低減しまたはなくなる。
【0071】
エンドエフェクタ320は、回転駆動システムおよび把持具アーム作動駆動システムの両方を有する。回転駆動システムは、把持具322に結合されている回転式ヨーク330から構成されており、ヨーク330の回転により把持具322が回転する。すなわち、ヨーク330は、
図9Aに最もよく示すように2つのフランジ330A、330Bを有し、把持具322は、2つのフランジ330A、330Bの間に配置され、ピン331を介してそれらに結合されている。ヨーク330は、その基端部において、さらに詳細に後述するように、前腕210の先端部において回転駆動構成要素370に結合するように構成されている嵌合式結合構成要素332を有する。より具体的には、この例示的な実施形態では、
図9Aおよび
図9Cに最もよく示すように、嵌合式結合構成要素332は2つの突出部332である。回転式ヨーク330は、ヨーク330の外面の周囲に画定された溝334によって(ヨーク330がエンドエフェクタ320の長さに対して先端側にまたは基端側に移動しないように)軸方向に制限されているため、(
図9Aに最もよく示すような)つまみ324の開口部336を通してピン(図示せず)を挿入し、溝334内に位置決めすることができ、それにより、ヨーク330を回転させることができるが、ヨーク330が軸方向に移動するのを阻止する。したがって、前腕の回転駆動構成要素370が回転することで回転式ヨーク330が回転し、それにより、把持具322が回転する。
【0072】
把持具アーム作動駆動システムは、めねじ回転式シリンダ338と、シリンダ338に螺合されたおねじ駆動ピン340と、ピン340に結合された2つのリンク機構(リンク機構342を含む)とから構成されている。回転式シリンダ338は、その基端部に、より詳細に後述するように前腕210の先端部において作動駆動構成要素372に結合するように構成されている嵌合式結合構成要素344を有する。より具体的には、この例示的な実施形態では、嵌合式結合構成要素344は、
図9Aおよび
図9Cに最もよく示すように2つの突出部344である。回転式シリンダ338は、シリンダ338の外面の周囲に画定された溝346によって軸方向に拘束されるため、(上述した開口部336と同様の)つまみ324の開口部(図示せず)を通してピン(図示せず)を挿入して、溝346内で位置決めすることができ、それにより、シリンダ338を回転させることができるが、シリンダ338が軸方向に移動するのを阻止する。
【0073】
回転式シリンダ338は、内腔347を有し、内腔347はねじ切られている内腔内面348を有する。駆動ピン340は、先端側頭部(「結合構成要素」とも呼ぶ)350と、シリンダ338の内腔347内に配置されるような寸法であるおねじ基端側本体352とを有し、基端側本体352は、内腔内面348に螺合されている。先端側頭部350は、そこに画定された2つの開口部354A、354Bを有し、それらは、2つのリンク機構に結合可能である。より具体的には、リンク機構342は、ピンまたは同様の結合部品(図示せず)により、開口部354Aにおいて先端側頭部350に結合されている。さらに、開口部254Bにおいて先端側頭部350に第2リンク機構(図示せず)が同様に結合されている。リンク機構(342および図示しないリンク機構)は、把持具アーム322A、322Bの基端部に結合されている。したがって、前腕210の作動駆動構成要素372の回転により、回転式シリンダ338が回転して、(シリンダ338およびピン34の螺合を通して)駆動ピン340が軸方向に移動し、リンク機構(342および図示しないリンク機構)が移動することで、把持具アーム322A、322Bが、開放位置と閉鎖位置との間で移動するように、ヨーク330のピン331において軸を中心に回転する。
【0074】
図10A~
図10Cは、一実施形態による、エンドエフェクタインタフェース364とともに本体300の先端カバー300Cを示す。
図10Aに最もよく示すように、一実施態様によれば、上述した先端カバー300Cは、先端カバー300Cおよび電子回路カバー300Bを通して位置決めされた締結具360によって、本体300Aおよび電子回路カバー300Bに結合することができるため、先端カバー300Cおよび電子回路カバー300Bが本体300Aに結合される。一実施形態では、締結具360はボルト360である。別法として、任意の既知の締結具または取付機構を使用することができる。
【0075】
別の実施形態によれば、先端カバー300Cを本体300Aにさらに結合するために、さらなる締結具362が設けられる。締結具362はピン362である。別法として、締結具362は、任意の既知の締結具または取付機構であり得る。
【0076】
図10Bおよび
図10Cに最もよく示すように、いくつかの実施態様による先端カバー300Cは、エンドエフェクタインタフェース364を収容する。エンドエフェクタインタフェース364は、エンドエフェクタ(上述したエンドエフェクタ320等)の作動構成要素に結合するように構成されている。より具体的には、エンドエフェクタインタフェース364がエンドエフェクタ320に結合している例示的な実施形態では、インタフェース364は、上述したような回転式駆動システムおよび把持具駆動システム両方に結合するように構成されている。インタフェース364は、第1封止リング366および第2封止リング368と、回転式回転駆動構成要素370と、回転式把持具作動駆動構成要素372と、電気接点ばね374とを有する。
【0077】
このインタフェース364はさまざまなエンドエフェクタと結合することができる。以下の説明は、特にエンドエフェクタ320と、インタフェース364の構成要素がそのエンドエフェクタ320にいかに関連しかつ結合するかを参照するが、それは、このエンドエフェクタインタフェース364の使用をエンドエフェクタ320のみに限定するものではない。代わりに、インタフェース364は、それに結合すべき適切な構成要素を有する任意のエンドエフェクタに結合することができる。
【0078】
この具体的な実施態様における回転式回転駆動構成要素370は、上述したように、エンドエフェクタ320の回転式ヨーク330の嵌合式結合構成要素332と嵌合するように構成されている(
図10Bに最もよく示すような)嵌合式結合構成要素370A、370Bを備える回転式駆動シリンダ370である。より具体的には、この実施形態における嵌合式結合構成要素370A、370Bは、エンドエフェクタ320の回転式ヨーク330の嵌合式結合構成要素332と嵌合可能または結合可能である突出部370A、370Bである。
【0079】
この具体的な実施態様における回転式回転駆動構成要素372は、上述したように、エンドエフェクタ320の回転式シリンダ338の嵌合式結合構成要素344と嵌合するように構成されている(
図10Bに最もよく示すような)嵌合式結合構成要素372A、372Bを備える回転式駆動シリンダ372である。より具体的には、この実施形態における嵌合式結合構成要素372A、372Bは、エンドエフェクタ320の回転式シリンダ338の嵌合式結合構成要素344と嵌合可能または結合可能である突出部372A、372Bである。
【0080】
一実施態様では、回転式把持具作動駆動構成要素372は、焼灼のためにエンドエフェクタの把持具(エンドエフェクタ320の把持具322等)に電気エネルギーを伝達することができる。すなわち、回転式シリンダ372は、電気接点ばね374を受け入れるように構成されている、シリンダ372の基端部に画定された基端側内腔378を有する。ばね374は、上述した焼灼ワイヤ開口部303に隣接して位置決めされるように、本体300に画定された内腔380内に基端側に延在しており、ばね374に、開口部303を通して位置決めされた焼灼ワイヤ(または焼灼ケーブル)を結合することができる。別法として、ばね374は、任意の電気接点部品であり得る。いくつかの実施形態によれば、本体300の両側に焼灼ワイヤ開口部303が画定され、それにより、デバイスの左腕および右腕の両方において同じ本体300構成を使用することができる。
【0081】
回転式駆動シリンダ372は、図示するように、回転式駆動シリンダ370内に位置決めされるかまたはその中で入れ子になっている。第1封止リング366は、先端カバー300Cと回転式駆動シリンダ370との間に配置されているOリング366である。第2封止リング368は、回転式駆動シリンダ370と回転式駆動シリンダ372との間に配置されているOリング368である。2つの回転式駆動シリンダ370、372は、第1封止リング366とともに、第1軸受376によって適所に支持されかつ回転可能に保持されている。
【0082】
図10Bに最もよく示すように、さらなる実施形態による先端カバー300Cは、上述したようにエンドエフェクタ320の係止突出部326Aと嵌合可能または結合可能であり得る、先端カバー開口部304に画定された少なくとも2つの切欠きを有する。この具体的な実施態様では、カバー300Cは、上述した4つの突出部326Aと嵌合可能である4つの切欠き382を有しており、エンドエフェクタ320は、エンドエフェクタ320のつまみ324の1回の回転または「ひねり」により先端カバー300Cに結合することができる。別法として、任意の既知の係止機構または特徴を使用することができる。
【0083】
一実施形態によれば、
図11A~
図11Cは、上述した回転式回転駆動構成要素370および回転式把持具作動駆動構成要素372に動力を供給する、本体300内のモータを示す。より具体的には、一実施態様では、前腕210は、
図11Cに最もよく示すように、内部に配置された2つのモータ400、402を有する。一実施形態では、モータ400、402は6mmブラシレスモータである。別法として、モータ400、402は、ロボットアームに使用される任意の既知のタイプのモータであってもよい。
【0084】
図11Aに最もよく示すように、モータ400はシャフト404に結合されており、シャフト404はブッシュ406に結合されており、ブッシュ406はさらに駆動歯車(「平歯車」とも呼ぶ)408に結合されている。別法として、駆動歯車408にシャフト404を直接結合することができる。駆動歯車408は、歯車の歯410に回転可能に結合されており、歯車の歯410は、回転式把持具作動駆動構成要素372に取り付けられているかまたは他の方法で結合されている。したがって、モータ400の作動によりシャフト404が回転して、駆動歯車408が回転することで、回転式把持具作動駆動構成要素372が回転し、それにより、最終的に、上述したように、把持具アーム322A、322Bが開放位置と閉鎖位置との間で移動する。
【0085】
同様に
図11Aに示すように、モータ402はシャフト420に結合されており、シャフト420はブッシュ422に結合されており、ブッシュ422はさらに駆動歯車(「平歯車」とも呼ぶ)424に結合されている。別法として、駆動歯車424にシャフト420を直接結合することができる。駆動歯車424は、歯車の歯426に回転可能に結合されており、歯車の歯426は、回転式回転駆動構成要素370に取り付けられているかまたは他の方法で結合されている。したがって、モータ402の作動によりシャフト420が回転して、駆動歯車424が回転することで、回転式回転駆動構成要素370が回転して、最終的に、上述したように、把持具エンドエフェクタが回転する。
【0086】
一実施態様によれば、モータ400、402は、係止くさび430により前腕210の適所に保持または維持される。使用時、一実施形態によれば、2つのモータ400、402に沿って前腕210の先端部に向かって、係止くさび430を付勢することができるため、角度付きまたはくさび部分434が、本体300に画定されたくさび状開口部432内に位置決めされ、2つのモータ400、402を適所で保持しまたは「係止する」のに役立つ。このようにくさび部分434をくさび状開口部432内に位置決めすることにより、モータ400、402に対してくさび部分434が付勢されるため、くさび部分434とモータ400、402との間に摩擦に基づく接触がもたらされて、摩擦力を介してモータ400、402を適所に保持するのに役立つ。一実施形態によれば、係止くさび430は、モータ400、402を適所に係止するために手動で位置決めすることができる。
【0087】
図12Aおよび
図12Bは、右肩関節14およびそのさまざまな構成要素の別の実施形態を示す。より具体的には、
図12Aは、右肩関節14の内部構成要素の組立分解図を示し、
図12Bは、右肩関節14の内部構成要素の正面断面図を示す。
図12Aおよび
図12Bに示すように、かつ後にさらに詳細に説明するように、(
図2~
図3Eに関して上述した)外側駆動シャフト40Aは、肩ロールハウジング(本明細書では「肩ハウジング」または「変換体」とも呼ぶ)500に結合され(または、回転拘束され)、(
図2~
図3Eに関して上述した)中間駆動シャフト40Bは、上部駆動傘歯車502に結合され、(
図2~
図3Eに関して上述した)内側駆動シャフト40Cは、スペーサ512を通して延在し、下部駆動傘歯車504に結合されている。
【0088】
この説明の残りの部分は、右肩関節14およびその構成要素に焦点を当てるが、左肩関節16の構成要素、それに結合された構成要素、それら構成要素の互いに対する関係、およびそれらの機能性は、右肩関節14と実質的に同様である。
【0089】
図12Bに最もよく示すように、外側駆動シャフト40Aおよび肩ハウジング500は、ハウジング500の外側部分に配置されている第1軸受506によって支持されている。さらに、
図12Aおよび
図12Bに最もよく示すように、外側駆動シャフト40Aおよび肩ハウジング500は、ハウジング500内に配置されている第2軸受508によってさらに支持されている。中間駆動シャフト40Bおよび上部駆動傘歯車502は、第2軸受508および第3軸受510によって支持されており、第3軸受510は、
図12Bに最もよく示すように、上部駆動傘歯車502の先端部内に配置されている。軸受506、508、510は、内側駆動シャフト40Cの先端部内にねじ込まれた単一の皿ねじ514を使用して予荷重が与えられている。別法として、軸受506、508、510に予荷重を与えるために、任意の取付部品を使用することができる。
【0090】
一実施形態によれば、
図12Aに最もよく示すように、肩ハウジング500は、2つのハウジング構成要素、すなわち、第1ハウジング構成要素(または「第1ハウジングシェル」)500Aおよび第2ハウジング構成要素(または「第2ハウジングシェル」)500Bから構成されている。この実施態様では、2つのシェル500A、500Bは、ねじ516および保持リング518により互いに結合されている。別法として、任意の既知の取付部品または機構を用いて、2つのシェル500A、500Bを互いに結合することができる。さらなる代替態様では、ハウジング500は単一の一体ハウジングである。
【0091】
上述したように、外側駆動シャフト40Aは、肩ロールハウジング500に結合され(または、回転拘束され)ている。より具体的には、ハウジング500の最上部分から(より具体的には、この実施形態によれば2つのハウジングシェル500A、500Bの各々から)延在する突出部501A、501Bは、外側駆動シャフト40Aの2つの切欠き503A、503Bと嵌合可能である。別法として、駆動シャフト40Aおよびハウジング500を結合する任意の機構または特徴を使用することができる。したがって、外側駆動シャフト40Aの回転により、肩ハウジング500は駆動シャフト40Aの長手方向軸を中心に回転するため、(後述する出力傘歯車550において)肩に結合された任意のアームが同じ軸を中心に回転し、その結果、アームは、デバイス本体(上述した本体12等)に対して左から右に移動する(「ヨー」)。
【0092】
上部駆動傘歯車502は、第1従動傘歯車520に嵌合可能に結合されており、上部駆動傘歯車502が回転することで、後述する第2従動傘歯車528のシャフト528Aの長手方向軸を中心とする第1従動傘歯車520が回転する。第1従動傘歯車520は、シャフト528Aの同じ長手方向軸を中心とする傘歯車本体522が回転することにより、肩14のピッチを駆動して、アームをデバイス本体に対して「上下に」移動させる。すなわち、第1従動傘歯車520は、その先端部において、傘歯車本体(「回転式アーム」、「回転式本体」、「回転アーム」、「回転体」、「ピッチアーム」または「ピッチ体」とも呼ぶ)522に結合されているため、第1従動傘歯車520が回転することで傘歯車本体522が回転する。より具体的には、傘歯車本体522は、(
図12Aに最もよく示すような)そこに画定された2つの開口部522A、522Bを有し、嵌合式継手522Cが、第1従動傘歯車520に結合されている開口部522Aの一方の側の周囲に配置されており、傘歯車520が回転することで傘歯車本体522が回転する。この例示的な実施形態では、第1従動駆動歯車520はそこを通して画定された開口部520Aを有しており、傘歯車520は、より詳細に後述する第2従動傘歯車528の上に回転可能に配置される。第1従動傘歯車520は、第4軸受524および第5軸受526によって拘束されている。
【0093】
回転体522は、本明細書に記載するような2つの開口部を有し、かつ記載したようなさまざまな構成要素に結合することができる、任意の構成要素であり得る。
下部駆動傘歯車504は、第2従動傘歯車528に嵌合可能に結合されており、下部駆動傘歯車504の回転により第2従動傘歯車528が回転する。上述したように、第2従動傘歯車528は、第1従動傘歯車520の開口部520Aを通して回転可能に配置されており、そのため、第2従動傘歯車528は、少なくとも部分的に第1従動傘歯車520内に配置されている。第2従動傘歯車528は第1平歯車530に結合されており、第2従動傘歯車528の回転により第1平歯車530が回転する。すなわち、第2従動傘歯車528のシャフト528Aは、傘歯車本体522の開口部522Aを通って延在し、第1平歯車530に結合されている。1つの具体的な実施形態では、第2従動傘歯車528は、幾何学的結合を介して第1平歯車530に嵌合可能に結合されている。第2従動傘歯車528は、第4軸受524および第6軸受532によって拘束されている。軸受524、526、532は、ばね534を用いて予荷重が与えられ、保持リング536により並進可能に拘束されている。一実施形態では、ばね534は皿ばね534である。
【0094】
上述した第1平歯車530は、第2平歯車538に嵌合可能に結合されており、第1平歯車530の回転により第2平歯車538が回転する。第2平歯車538は第3従動傘歯車540に結合されており、第2平歯車538の回転により第3従動傘歯車540が回転する。すなわち、第3従動傘歯車540のシャフト540Aは、傘歯車本体522の開口部522Bを通って延在し、第2傘歯車538に結合されている。1つの具体的な実施形態では、第2平歯車538は、幾何学的結合を介して第3従動傘歯車540のシャフト540Aに嵌合可能に結合されている。第3従動傘歯車540は、第7軸受542および第8軸受544によって拘束されている。一実施態様によれば、両軸受542、544は、傘歯車本体522内に配置されるかまたは圧入されている。軸受542、544は、ばね546を用いて予荷重が与えられ、保持リング548により並進可能に拘束されている。一実施形態では、ばね546は皿ばね546である。
【0095】
第3従動傘歯車540は、第4従動傘歯車(本明細書では「ヨー出力歯車」または「出力歯車」とも呼ぶ)550に嵌合可能に結合されており、第3従動傘歯車540の回転により出力歯車550が回転する。出力歯車550は、第9軸受552および第10軸受554により拘束されている。一実施形態によれば、軸受552、554は、傘歯車本体522により適所に保持されている。さらに、歯車550は、保持リング556により並進可能に拘束されている。
【0096】
図12Aおよび
図12Bに示すようなこの実施形態では、ピッチ回転、ヨー回転およびロール回転が結合される。すなわち、回転のうちの1つの作動により、他の回転のうちの少なくとも1つの作動が、それらの結合された性質の結果としてもたらされ、二次作動が望ましくない場合、何らかの反作用が発生しなければならない。たとえば、肩に結合されたデバイスアームを「上下に」移動させる(ピッチ)ことが望ましい場合、傘歯車502が回転するように作動するため、上述したように歯車520が回転する。しかしながら、それは、傘歯車502の作動によってもたらされる唯一の運動ではない。すなわち、これらの駆動構成要素の結合された性質により、出力ギア550の回転も同様にもたらされる。その二次回転が望ましくない場合、出力歯車550の回転を阻止するように傘歯車504の反作用作動により無効にしなければならない。同様に、ヨー(駆動シャフト40Aの長手方向軸を中心とする肩ハウジング500の回転)をもたらす駆動構成要素の作動もまた、幾分かのピッチおよびロールをもたらす可能性がある。したがって、これらの3つの回転の結合された性質には、二次作動が望ましくない場合、反作用作動が必要である。
【0097】
一実施態様によれば、傘歯車本体522は、
図12Aに最もよく示すように互いに結合された2つの構成要素522C、522Dから構成されている。別法として、傘歯車本体522は、単一の一体構成要素522であり得る。
【0098】
図13~
図17Dに最もよく示すようなさらなる実施形態は、ロボットアームの肩関節、肘関節、手首関節または他の関節に組み込むことができる関節実施態様に関する。これらの関節実施形態は、4自由度を有するが、場合により、3つのモータのみを必要とする。いくつかの実施態様では、手首関節に以下の関節実施形態を組み込むことができるため、4自由度を有する手首関節がもたらされ、それは、既知のロボット把持具動力伝達機構より2自由度多い。このため、手首関節実施形態は、既知の手首関節と比較して、外科医に対しより器用さを提供する、巧みに考案された手首関節である。他の実施態様では、肩関節に以下の関節実施形態を組み込むことができるため、4自由度が肩関節を通りそれに結合されたロボットアーム内に伝わることができる。この実施形態の結果として、より大型のモータを使用して、それに結合されたロボットアームの関節を作動させることができ、かつ、より大型のモータはまた、アーム構成要素の長さが、モータ寸法のみではない要素に基づいて決定されることも可能にする。
【0099】
上述したように、これらの実施形態は、3つのモータのみを利用して、4自由度を制御することができる。詳細に後述するように、3つのモータのみを有するこれらの構成は、3つのモータすべてが、4自由度が具現化される共有状態で互いに結合されるため、可能である。後述するように、3つのモータの結合は、いくつかの方法で達成することができ、それには、意図的なコマンドのみがロボット関節を作動させるように、出力のうちの1つに制動力条件を提供することが含まれる。
【0100】
4自由度を有する後述する少なくとも2つの実施形態がある。
図13~
図14Bに示すような第1実施形態は4つのモータを利用し、
図15A~
図17Dに示すような第2実施形態は3つのモータのみを必要とする。
【0101】
図13は、一組の入れ子式駆動シャフト602、604、606、608を有する関節600の正面断面図を示す。より具体的には、4つの入れ子式駆動シャフト602、604、606、608の組は、第1(本明細書では「内側」とも呼ぶ)駆動シャフト602、第2(「第1中間」とも呼ぶ)駆動シャフト604、第3(「第2中間」とも呼ぶ)駆動シャフト606および第4(「外側」とも呼ぶ)駆動シャフト608を含む。
図13に示すようなこれらの駆動シャフト602、604、606、608の具体的な長さは、単に例示的なものであり、関節600が肩関節であるか、肘関節であるか、手首関節であるかまたは他の何らかの種類の関節であるかを含む、さまざまな状況に応じて、長さを変更することができる。
【0102】
第1駆動シャフト602は、図示するように、第2駆動シャフト604内に回転可能に配置され、図示するようにその基端部に固定してまたは一体的に取り付けられた第1従動歯車610を有する。第1駆動シャフト602は、その基端部において、第1基端側軸受640および第2基端側軸受642により支持されており、第1軸受640は関節600の筐体(図示せず)によって支持され、第2軸受642は第2従動歯車612によって支持されている。第1駆動シャフト602は、その先端部において、
図13、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、第1傘歯車620に回転結合されている。一実施形態によれば、駆動シャフト602は、幾何学的結合を介して歯車620に結合されており、歯車620は、ボルト660により駆動シャフト602に対して軸方向に保持されている。駆動シャフト602および歯車620は、第1先端側軸受650において半径方向に拘束されている。
【0103】
第1傘歯車620は、
図13、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、第1中間傘歯車680に回転可能に結合されている。傘歯車680は、回転式シリンダ681に固定して結合されているかまたは一体化しており、回転式シリンダ681は駆動ポスト662に固定して結合されており、駆動ポスト662は、回転式シリンダ681から関節600の先端部に向かって先端側に延在している。駆動ポスト662は、第1ポストボルト664および第2ポストボルト666により適所に保持され、第1ポスト軸受668および第2ポスト軸受670により拘束されている。第1中間傘歯車680の回転により、傘歯車680の軸を中心とするシリンダ681が回転し、それにより、駆動ポスト662が、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して直交する、傘歯車680の軸を中心に回転する。その結果、回転式シリンダ681に対して先端側の関節600の部分は、駆動ポスト662とともに回転する。したがって、第1従動歯車610に結合されたモータ(図示せず)の作動により第1従動歯車610が回転して、第1駆動シャフト602が回転する。第1駆動シャフト602の回転により第1傘歯車620が回転して、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して直交する軸を中心とする第1中間傘歯車680の回転がもたらされる。また、第1中間傘歯車680の回転により回転式シリンダ681が回転して、駆動ポスト662が回転することで、第1中間傘歯車680と同じ回転軸を中心とする、第1中間傘歯車680に対して先端側の関節600の部分が回転する。
【0104】
第2駆動シャフト604は、図示するように第3駆動シャフト606内に回転可能に配置され、その基端部において固定してまたは一体的に取り付けられた第2従動歯車612を有する。第2駆動シャフト604は、その基端部において、第2基端側軸受642および第3基端側軸受644により支持されており、第2軸受642は第2従動歯車612によって支持され、第3軸受644は第3従動歯車614によって支持されている。第2駆動シャフト604は、その先端部において、
図13、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、第2傘歯車622に回転結合されている。一実施形態によれば、駆動シャフト604は、幾何学的結合を介して歯車622に結合されており、駆動シャフト604および歯車622は、第2先端側軸受652によって拘束されている。
【0105】
第2傘歯車622は、
図13、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、第2中間傘歯車682に回転可能に結合されている。さらに、傘歯車682は、第1出力傘歯車690に回転可能に結合されており、第1出力傘歯車690は、第1(または「内側」)回転式力部材672に回転結合されているかまたは一体化されている。第2中間傘歯車682は、第3先端側軸受654により支持され、第3先端側軸受654は、第1中間傘歯車680の一部により支持されている。したがって、第2従動歯車612に結合されたモータ(図示せず)の作動により第2従動歯車612が回転することで、第2駆動シャフト604が回転する。第2駆動シャフト604の回転により第2傘歯車622が回転することで、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して直交する軸を中心とする第2中間傘歯車682の回転がもたらされる。また、第2中間傘歯車682の回転により、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して平行な軸を中心とする第1出力傘歯車690の回転がもたらされ、それにより、同じ回転軸を中心とする第1回転式出力部材672が回転する。第1回転式出力部材672は、ロボットデバイスの関節600の位置に応じて、ロボットアーム手首、エンドエフェクタ、ロボット上腕の一部等、作動可能構成要素に結合されるように構成されている。
【0106】
第3駆動シャフト606は、図示するように、第4駆動シャフト608内に回転可能に配置され、その基端部において固定してまたは一体的に取り付けられた第3従動歯車614を有する。第3駆動シャフト606は、その基端部において、第3基端側軸受644および第4基端側軸受646により支持され、第3軸受644は第3従動歯車614によって支持され、第4歯車646は第4従動歯車616によって支持されている。第3駆動シャフト606は、その先端部において、
図13、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、第3傘歯車624に回転結合されている。一実施形態によれば、駆動シャフト606は、幾何学的結合を介して歯車624に結合されており、駆動シャフト606および歯車624は、第4先端側軸受656により拘束されている。
【0107】
第3傘歯車624は、
図13、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、第3中間傘歯車684に回転可能に結合されている。さらに、傘歯車684は、第2出力傘歯車692に回転可能に結合されており、第2出力傘歯車692は、第2(または「外側」)回転式出力部材674に回転結合されているかまたは一体化されている。第3中間傘歯車684は、第5先端側軸受657により支持されている。第2出力傘歯車692は、第1出力軸受694および第2出力軸受696により第1出力傘歯車690に対して支持されている。したがって、第3従動歯車614に結合されたモータ(図示せず)の作動により、第3従動歯車614が回転することで、第3駆動シャフト606が回転する。第3駆動シャフト606の回転により第3傘歯車624が回転することで、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して直交する軸を中心とする第3中間傘歯車684の回転がもたらされる。また、第3中間傘歯車684の回転により、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して平行な軸を中心とする第2出力傘歯車692の回転がもたらされ、それにより、同じ回転軸を中心とする第2回転式出力部材674の回転がもたらされる。第2回転式出力部材674は、ロボットデバイスの関節600の位置に応じて、ロボットアーム手首、エンドエフェクタ、ロボット上腕の一部等、作動可能構成要素に結合されるように構成されている。
【0108】
第4駆動シャフト608は、第3駆動シャフト606の周囲に(したがって、同様に第1駆動シャフト602および第2駆動シャフト604の周囲に)回転可能に配置され、その基端部において固定してまたは一体的に取り付けられた第4従動歯車616を有する。第4駆動シャフト608は、その基端部において第4基端側軸受646および第5基端側軸受648により支持され、第4軸受646は第4従動歯車616によって支持され、第5軸受648は関節600の筐体(図示せず)によって支持されている。さらに、第5軸受648は、保持リング649により適所に保持されている。第4駆動シャフト608は、その先端部において、
図13、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、第1保持部材700に回転結合されているかまたは一体化されている。第1保持部材700は、
図13および
図14Aに最もよく示すように、2つのアーム700A、700Bを有し、2つのアーム700A、700Bの間に、回転式シリンダ681および取り付けられた第1中間傘歯車680が配置されている。さらに、アーム700A、700Bそれぞれを通して2つのボルト702、704が位置決めされ、回転式シリンダ681内にねじ込まれている。2つのボルト702、704は、
図13に最もよく示すように、第1ボルト軸受706および第2ボルト軸受708によって半径方向に支持されている。より具体的には、2つのボルトは、軸受706および708内に嵌まるような大きさである(
図13に最もよく示すような)頭部702A、704Aを有する。頭部702A、704Aは、それぞれワッシャ710、712と接触するように位置決めされている(または、それらの「上に載っている」)。
【0109】
したがって、第4従動歯車616に結合されたモータ(図示せず)の作動により第4従動歯車616が回転することで、第4駆動シャフト608が回転する。第4駆動シャフト608の回転により、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して平行である軸を中心とする第1保持部材700の回転がもたらされる。保持部材700の回転により2つのアーム700A、700Bが回転することで2つのボルト702、704が回転して、回転式シリンダ681および関節600の(軸受648に対して先端側の)先端部全体が回転する。
【0110】
駆動シャフト602、604、606、608の基端部における従動歯車610、612、614、616は、それぞれ、モータ(図示せず)によって駆動される歯車(図示せず)に結合されるように構成されている。この具体的な例示的な図では、モータおよび関連する歯車は省略されている。一実施形態によれば、モータおよび関連する歯車は、
図3Bに示すものと同様に構成することができる。別法として、モータの任意の構成を使用することができる。
【0111】
この実施態様では、関節600は4自由度を提供する。たとえば、1自由度は、第1駆動シャフト602の回転式シリンダ681および駆動ポスト662への結合を介して達成され、この結合により、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して直交する回転軸を中心とする、第1中間傘歯車680に対して先端側の関節600の部分が回転する。別の自由度は、第2駆動シャフト604の第1(または「内側」)回転式出力部材672への結合を介して達成され、この結合により、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して平行な軸を中心とする出力部材672の回転がもたらされる。さらなる自由度は、第3駆動シャフト606の第2(または「外側」)回転式出力部材674への結合により達成され、その結合により、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して平行な軸を中心とする出力部材674の回転がもたらされる。最後に、別の自由度は、第4駆動シャフト608の第1保持部材700への結合または組込みを介して達成され、この結合または組込みにより、駆動シャフト602、604、606、608の回転軸に対して平行である軸を中心とする関節600の(軸受648に対して先端側の)先端部全体の回転がもたらされる。
【0112】
いくつかの代替実施形態では、関節600はまた、任意選択的な受動保持部材(「第2保持部材」とも呼ぶ)720も有することができる。受動保持部材720は、典型的には、関節600が手首関節600である実施形態において組み込まれるが、他のタイプの関節にも同様に組み込むことができる。1つの具体的な例では、受動保持部材720は、関節600を
図9A~
図9Cに示すエンドエフェクタ320に結合するために使用することができる。一実施態様によれば、受動保持部材720は、第1回転式出力部材672および第2回転式出力部材674のための固定基礎を提供する。保持部材720は、部材720の外面に画定されたチャネル722を有し、チャネル722は、部材720に任意の可撓性外側保持スリーブ(図示せず)を固定するのに役立つように使用することができる。保持部材720は、ボルト頭部702A、704Aの上に、ボルト頭部702A、704Aが部材720を関節600と結合した状態で保持するのに役立つように位置決めされ、第1保持部材軸受724および第2保持部材軸受726は、部材720と頭部702A、704Aとの間のインタフェースとしての役割を果たす。
【0113】
他の実施形態では、
図14Aに最もよく示すように、関節600は受動保持部材を有していない。いくつかの実施態様では、これは、関節600が手首関節ではなく肩関節600である場合に利用される構成である。
【0114】
図15A~
図17Dに、代替的な関節実施態様を最もよく示し、そこでは、関節は、上述したように4自由度を有するが、3つのモータのみを必要とする。いくつかの実施態様では、以下の関節実施形態は手首関節に組み込むことができるが、他の実施態様では、関節実施形態は肩関節に組み込むことができる。上述したように、これらの3つのモータ構成は、3つのモータすべてが、第4自由度が具現化される共有状態で互いに結合されるため、可能である。より具体的には、3つのモータの結合は、いくつかの方法で達成することができ、それには、意図的なコマンドのみがロボット関節を作動させるように出力のうちの1つの制動力条件を提供することが含まれる。
【0115】
図15Aおよび
図15Bは、
図13~
図14Bに関して上述した構成と同様の構成で後述するように別個の傘歯車に結合される、一組の入れ子式駆動シャフト(図示せず)を有する、一実施形態による関節800の正面断面図を示す。この特定の実施態様では、実際の入れ子式駆動シャフトは示さないが、駆動シャフト(図示せず)は、
図13~
図14Bに関して上述したものと実質的に同様である。より具体的には、この実施形態では、関節800は、第1(本明細書では「内側」とも呼ぶ)駆動シャフト(図示せず)、第2(「中間」とも呼ぶ)駆動シャフト(図示せず)および第3(「外側」とも呼ぶ)駆動シャフト(図示せず)を含む、3つの入れ子式駆動シャフトの組を有する。
【0116】
第1駆動シャフト(図示せず)は、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bおよび
図17Aに最もよく示すように、第1傘歯車802に回転結合されており、それにより、駆動シャフト(図示せず)の回転により第1傘歯車802が回転する。一実施形態によれば、駆動シャフト(図示せず)は幾何学的結合を介して歯車802に結合され、歯車802は、駆動シャフト(図示せず)にねじ込まれるボルト804により駆動シャフト(図示せず)に対して軸方向に保持されている。駆動シャフト(図示せず)および歯車802は、後述する、第2傘歯車830に挿入されている第1軸受806において拘束されている。
【0117】
第1傘歯車802は、
図15A、15B、
図16A、
図16Bおよび
図17Aに最もよく示すように、第1中間傘歯車810に回転可能に結合されており、第1傘歯車802が回転することで第1中間傘歯車810が回転する。中間傘歯車810は、第1出力傘歯車812に回転可能に結合されており、第1中間傘歯車810の回転により第1出力傘歯車812が回転する。第1中間傘歯車810は、第3中間傘歯車854に挿入されている第2軸受814により軸方向に拘束されている。第1出力傘歯車812は、第2出力傘歯車836に挿入されている第3軸受816および第4軸受818により拘束されている。さらに、第1出力傘歯車812は、第5軸受820および軸方向ボルト822とともに、詳細に後述するクロスバー856とインタフェースする場所においてさらに拘束されている。第5軸受820は、クロスバー856から第1出力傘歯車812を回転に関して分離する(それらの間に回転インタフェースを提供する)。出力傘歯車812は、第1汎用出力インタフェース824に回転結合されているかまたは一体化されており、第1汎用出力インタフェース824は、作動するように意図されている任意の構成要素に結合することができる。別法として、傘歯車812に、任意のタイプの既知の結合構成要素またはインタフェースを結合するかまたは一体化させることができる。
【0118】
したがって、第1駆動シャフト(図示せず)に結合されたモータ(図示せず)の作動により、第1駆動シャフト(図示せず)が回転する。第1駆動シャフト(図示せず)の回転により、第1傘歯車802が回転することで、第1傘歯車802の回転軸に対して直交する軸を中心とする第1中間傘歯車810の回転がもたらされる。また、第1中間傘歯車810の回転により第1出力傘歯車812が回転することで、第1傘歯車802と同じ回転軸を中心とする第1汎用出力インタフェース824の回転がもたらされる。
【0119】
第2駆動シャフト(図示せず)は、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bおよび
図17Bに最もよく示すような第2傘歯車830に回転結合されており、駆動シャフト(図示せず)が回転することで第2傘歯車830が回転する。一実施形態によれば、駆動シャフト(図示せず)は幾何学的結合を介して第2傘歯車830に結合されており、第2傘歯車830は、一部には、第1駆動シャフト(図示せず)にねじ込まれている上述したボルト804により、駆動シャフト(図示せず)に対して軸方向に保持されている。一実施形態によれば、ボルト804は、第1傘歯車802および第2傘歯車830に対して、軸方向移動を最小限にするかまたは阻止するように加圧する。第2駆動シャフト(図示せず)および第2傘歯車830は、後述する、第3傘歯車850に挿入される第6軸受832において拘束されている。
【0120】
第2傘歯車830は、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bおよび
図17Bに最もよく示すように、第2中間傘歯車834に回転可能に結合されており、第2傘歯車830が回転することで第2中間傘歯車834が回転する。第2中間傘歯車834は、第2出力傘歯車836に回転可能に結合されており、第2中間傘歯車834が回転することで第2出力傘歯車836が回転する。第2中間傘歯車834は、ボルト840のクロスバー856との螺合とともに、クロスバー856に配置されている第7軸受838により軸方向に拘束されている。第2出力傘歯車836は、上述した第3軸受816および第4軸受818により拘束されている。第2出力傘歯車836は、作動するように意図されている任意の構成要素に結合することができる第2汎用出力インタフェース842に回転結合されているかまたは一体化されている。別法として、第2出力傘歯車836に任意のタイプの既知の結合部品またはインタフェースを結合しまたは一体化させることができる。
【0121】
したがって、第2駆動シャフト(図示せず)に結合されたモータ(図示せず)の作動により、第2駆動シャフト(図示せず)が回転する。第2駆動シャフト(図示せず)の回転により第2傘歯車830が回転することで、第2傘歯車830の回転軸に対して直交する軸を中心とする第2中間傘歯車834の回転がもたらされる。また、第2中間傘歯車834の回転により第2出力傘歯車836が回転することで、第2傘歯車830と同じ回転軸を中心とする第2汎用出力インタフェース842の回転がもたらされる。
【0122】
第3駆動シャフト(図示せず)は、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bおよび
図17Cに最もよく示すような第3傘歯車850に回転結合されており、駆動シャフト(図示せず)の回転により第3傘歯車850が回転する。一実施形態によれば、駆動シャフト(図示せず)は、幾何学的結合を介して第3傘歯車850に結合されており、第3傘歯車850は、一部には、第1駆動シャフト(図示せず)にねじ込まれている上述したボルト804により、駆動シャフト(図示せず)に対して軸方向に保持されている。第3駆動シャフト(図示せず)および第3傘歯車850は、後述する、関節800の筐体(図示せず)に挿入されている第8軸受852において拘束されている。一実施態様では、保持リング858が第3傘歯車850のシャフト上に配置されており、それにより、第8軸受852に対して第3傘歯車850を軸方向に移動させることができない。
【0123】
第3傘歯車850は、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bおよび
図17Cに最もよく示すように、第3中間傘歯車854に回転可能に結合されており、第3傘歯車850が回転することで第3中間傘歯車854が回転する。中間傘歯車854は、回転式シリンダ(本明細書では「クロスバー」とも呼ぶ)856に回転結合されているかまたは一体化されており、第3中間傘歯車854が回転することで回転式シリンダ856が回転する。第2中間傘歯車834は、ボルト840のクロスバー856との螺合とともに、ともにクロスバー856に配置されている第2軸受814および第7軸受838により軸方向に拘束されている。クロスバー856は、クロスバー856から先端側の部分である、関節800の先端部分に回転結合されており、この回転式クロスバー856により、第3傘歯車850の軸に対して直交する軸を中心とする関節800の先端部分が回転する。関節800の先端部分の上に、一実施形態による先端側筐体860が配置されている。一実施態様では、先端側筐体860は、本明細書の別の場所で考察したシステム等、任意の外部封止バッグシステムのための封止面を提供する。
【0124】
したがって、第3駆動シャフト(図示せず)に結合されたモータ(図示せず)の作動により、第3駆動シャフト(図示せず)が回転する。第3駆動シャフト(図示せず)の回転により第3傘歯車850が回転して、第3傘歯車850の回転軸に対して直交する軸を中心とする第3中間傘歯車854の回転がもたらされる。また、第3中間傘歯車854の回転によりクロスバー856が回転することで、第3傘歯車850に対して直交する回転軸を中心とする関節800の先端部分が回転する。
【0125】
第1出力傘歯車812および第2出力傘歯車836ならびに回転式クロスバー856に関して上述した3つの異なる自由度に加えて、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bおよび
図17Dに最もよく示すように、関節800の一部の上に位置決めされている支持部材(本明細書では「間隔空け部材」とも呼ぶ)870により、第4自由度を提供することができる。より具体的には、支持部材870は第1アーム872および第2アーム874を有し、両アームは、支持部材870がボルト840、841の頭部を拘束するように、ボルト840、841の頭部を受け入れるように構成された開口部876、878を有し、それにより、傘歯車セットの結合および間隔空け(第1傘歯車802および第1中間傘歯車810の結合、第2傘歯車830および第2中間傘歯車834の結合、ならびに第3傘歯車850および第3中間傘歯車854の結合)が維持される。アーム872、874は、支持部材870が第3傘歯車850に対して回転可能であるように、第3傘歯車850と接触するインタフェース880、882を有する。
【0126】
いくつかの実施態様では、支持部材870は、関節800が、4自由度での移動を可能にするために複雑なモータ(通常、非常に高価な構成要素)を4つではなく3つのみ使用するのを可能にする。すなわち、3つの高価なモータは、第4自由度が具現化されるような共有状態で互いに結合される。たとえば、結合は、意図されたコマンドのみが関節を作動させるように、出力のうちの1つに(より小型の、より複雑性の低い、かつ安価なモータの形態で)制動システムを提供することにより、達成することができる。言い換えれば、制動のための単純なモータの使用により、傘歯車差動システムの結合された性質を利用することが可能になる。
【0127】
使用時、本明細書に開示したかまたは本明細書で企図したさまざまなデバイス実施形態を利用して、たとえば腹膜腔等、患者の標的腔内で低侵襲手術が実施される。いくつかの実施態様では、
図1Aを参照して、デバイス本体12は、肩14、16およびそれらに取り付けられたアームが標的腔内に位置決めされるように、切開部を通して標的腔内に位置決めされ、シャフト部12Bは切開部を通して配置され、モータ部12Aは患者の体外に位置決めされる。それらの実施態様では、デバイス本体12は、患者の体外の何らかのタイプの支持構成要素に取り付けられて、安定性を提供し、本体12が望ましい場合は固定されたままであることを確実にする。
【0128】
複数の実施形態について開示しているが、当業者であれば、本発明の例示的な実施形態を示しかつ記載する以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が明らかとなろう。本発明は、理解されるように、すべてが本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな明白な態様における変更が可能である。したがって、図面および詳細な説明は、限定的ではなく本質的に例示的なものとして解釈されるべきである。
【0129】
本発明について、好ましい実施形態に関して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形態および詳細を変更することができることが理解されよう。