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特許7090619無線圧力検出器、無線圧力測定システム、および、圧力測定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】無線圧力検出器、無線圧力測定システム、および、圧力測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20220617BHJP
   G01L 1/20 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
G01L1/20 G
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019534847
(86)(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 KR2017015440
(87)【国際公開番号】W WO2018124679
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2016-0180137
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0177491
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】キム,サン-モ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドン-ウン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】リム,ホ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウ-ヌ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ハク-キョン
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101201279(CN,A)
【文献】特許第5076032(JP,B2)
【文献】特開2004-28883(JP,A)
【文献】特許第6539204(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線圧力検出器において、
支持基板と、
前記支持基板上に配置された複数の圧力センサであって、各々、それに加えられた圧力に応じた信号を出力するように構成された前記複数の圧力センサと、
前記複数の圧力センサから入力された信号に基づく無線送信を行うように構成された送信部と
を含み、
前記複数の圧力センサの各々は、所定の距離だけ互いに離間する、平行に配置された複数の第1の指状部と、該複数の第1の指状部を接続する第1の接続部とを含む第1の導電部、および平行に配置された複数の第2の指状部と、該複数の第2の指状部を接続する第2の接続部とを含む第2の導電部を含み、
被押圧基板上に配置して加えられた圧力を測定する場合に前記基板より小さいとき、略同一の厚さを有するダミー基板を前記基板上の配置されていない箇所に配置する無線圧力検出器。
【請求項2】
前記圧力に対応する信号を前記圧力センサから受信して、該受信した信号をデジタル信号に変換するように構成されたアナログ‐デジタル変換器を、
更に含み、
前記送信部は、前記アナログ‐デジタル変換器から出力された信号を無線送信するように構成されたものである、請求項1に記載の無線圧力検出器。
【請求項3】
前記圧力センサ、および、前記送信部に電力を供給するように構成された電源を、
更に含む、請求項2に記載の無線圧力検出器。
【請求項4】
前記支持基板、前記複数の圧力センサ、前記アナログ‐デジタル変換器、前記送信部、および、前記電源は、保護カバー内に収容されて、封止されたものである、請求項3に記載の無線圧力検出器。
【請求項5】
前記複数の圧力センサは、格子状に配列され、
前記複数の圧力センサのうち、第1の方向に一列に配置された該圧力センサは、並列に、前記電源から延びる共通電力線に接続されたものである、請求項3に記載の無線圧力検出器。
【請求項6】
前記複数の圧力センサから信号を受信するように構成された検知回路を、
更に含み、
前記検知回路は、
閾値強度より低い信号を出力する前記圧力センサを遮断する第1の動作と、
遮断されない前記圧力センサから出力された信号を受信する第2の動作と
を行うように構成されたものである、請求項5に記載の無線圧力検出器。
【請求項7】
各前記複数の圧力センサは、並列に、前記電源に直接接続されたものである、請求項3に記載の無線圧力検出器。
【請求項8】
前記複数の圧力センサは、第1の領域に格子状に配列された第1の圧力センサ、および、第2の領域に格子状に配列された第2の圧力センサを含み、
前記第1の圧力センサは、並列に、前記電源から延びる第1の共通電力線に接続し、
前記第2の圧力センサは、並列に、前記電源から延びる第2の共通電力線に接続し、
前記第1の共通電力線と前記第2の共通電力線は、互いに異なるものである、請求項3に記載の無線圧力検出器。
【請求項9】
前記支持基板は、プリント回路基板を含むものである、請求項1から8のいずれか1項に記載の無線圧力検出器。
【請求項10】
前記圧力センサは、前記プリント回路基板の第1の表面上に配置され、
前記送信部は、前記第1の表面の反対側の第2の表面に実装されたものである、請求項9に記載の無線圧力検出器。
【請求項11】
前記第2の表面は、平坦な板で覆われたものである、請求項10に記載の無線圧力検出器。
【請求項12】
前記平坦な板は、前記送信部を収容するように構成された凹部を有するものである、請求項11に記載の無線圧力検出器。
【請求項13】
被押圧基板に加えられた圧力を測定する圧力測定方法において、
無線圧力検出器を前記基板上に配置する工程であって、前記無線圧力検出器は、支持基板、前記支持基板上に配列されて、各々が、そこに加えられた圧力に応じた信号を出力するように構成された複数の圧力センサ、および、前記複数の圧力センサから入力された信号に基づいて無線送信を行うように構成された送信部を含むものである工程と、
前記基板より前記無線圧力検出器が小さいときに、前記無線圧力検出器と略同一の厚さを有するダミー基板を前記基板上の前記無線圧力検出器が配置されていない箇所に配置する工程と、
押圧物を前記無線圧力検出器上に配置する工程と、
前記被押圧基板上の圧力分布を、前記送信部から送信された信号を無線受信して該被押圧基板上の圧力分布を分析するように構成された分析器を用いて計算する工程と
を含み、
前記複数の圧力センサの各々は、所定の距離だけ互いに離間する、平行に配置された複数の第1の指状部と、該複数の第1の指状部を接続する第1の接続部とを含む第1の導電部、および平行に配置された複数の第2の指状部と、該複数の第2の指状部を接続する第2の接続部とを含む第2の導電部を含む方法。
【請求項14】
前記被押圧基板は、ガラス基板を含み、
前記押圧物は、摩擦洗浄部を含むものである、請求項13に記載の圧力測定方法。
【請求項15】
前記被押圧基板および前記押圧物は、ガラス基板を含むものである、請求項13または14に記載の圧力測定方法。
【請求項16】
前記無線圧力検出器の平坦な領域は、前記被押圧基板の平坦な領域より小さく、
前記無線圧力検出器の厚さと略等しい厚さを有するダミー基板が、該無線圧力検出器の主面に平行な方向に隣接して配置されたものである、請求項15に記載の圧力測定方法。
【請求項17】
前記無線圧力検出器は、Bluetoothによって、電源のオン/オフを行うように構成されたものである、請求項13から16のいずれか1項に記載の圧力測定方法。
【請求項18】
各前記複数の圧力センサは、上側導電層、および、前記上側導電層から分離されて、該上側導電層の下方に配置された下側導電層を含み、
前記上側導電層は、第1の電極を含む第1の導電部、および、第2の電極を含む第2の導電部を含み、
前記上側導電層は、前記加えられた圧力によって変形し、前記下側導電層に接触するものである、請求項13から17のいずれか1項に記載の圧力測定方法。
【請求項19】
無線圧力測定システムにおいて、
被押圧基板に加えられた圧力を測定し、前記測定した圧力を無線送信するように構成された無線圧力検出器と、
前記無線圧力検出器から送信されたデータを受信し、前記被押圧基板についての圧力マップを出力するように構成された分析器と
を含み、
前記無線圧力検出器は、前記基板上に配置された複数の圧力センサであって、各々、それに加えられた圧力に応じた信号を出力するように構成された前記複数の圧力センサを含み、
前記複数の圧力センサの各々は、所定の距離だけ互いに離間する、平行に配置された複数の第1の指状部と、該複数の第1の指状部を接続する第1の接続部とを含む第1の導電部、および平行に配置された複数の第2の指状部と、該複数の第2の指状部を接続する第2の接続部とを含む第2の導電部を含み、
前記被押圧基板上に前記無線圧力検出器を配置して加えられた圧力を測定する場合に前記無線圧力検出器が前記基板より小さいとき、前記無線圧力検出器と略同一の厚さを有するダミー基板を、前記基板上の前記無線圧力検出器が配置されていない箇所に配置するシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2016年12月27日および2017年12月21日に各々出願された韓国特許出願第10-2016-0180137号および韓国特許出願第10-2017-0177491号の優先権の利益を主張し、それらの内容は依拠され、参照により、全体として本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
1つ以上の実施形態は、無線圧力検出器、無線圧力測定システム、および、圧力測定方法に関し、特に、2次元平面に加えられた圧力の正確な分布を、リアルタイムで、速く容易に測定しうる無線圧力検出器、無線圧力測定システム、および、圧力測定方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高い表面品質を有するガラス基板への消費者の需要が高まり、より大きい面積を有するガラス基板の使用が増加するにつれて、ガラス基板製造処理中に粒子欠陥の発生する可能性が高まってきた。
【0004】
ガラス基板製造処理について、洗浄処理を客観的かつ数量的に検査または評価する装置は、ほとんど無く、したがって、粒子欠陥の発生を減らすのは困難である。更に、洗浄処理を行う人毎の違いに起因する基板品質の非均一性も減らす必要がある。
【発明の概要】
【0005】
1つ以上の実施形態は、2次元平面に加えられた圧力の正確な分布を、リアルタイムで、速く容易に測定しうる無線圧力検出器を含む。
【0006】
1つ以上の実施形態は、2次元平面に加えられた圧力の正確な分布を、リアルタイムで、速く容易に測定しうる無線圧力測定システムを含む。
【0007】
1つ以上の実施形態は、2次元平面に加えられた圧力の正確な分布を、リアルタイムで、速く容易に測定しうる無線圧力測定システムおよび圧力測定方法を含む。
【0008】
更なる態様を、部分的には、以下の明細書の記載で示し、更に、部分的には、その記載から明らかであるか、または、示した実施形態を実施することで分かるだろう。
【0009】
1つ以上の実施形態によれば、無線圧力検出器は、支持基板と、支持基板上に配置された複数の圧力センサであって、各々、それに加えられた圧力に応じた信号を出力するように構成された複数の圧力センサと、複数の圧力センサから入力された信号に基づく無線送信を行うように構成された送信部とを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、無線圧力検出器は、圧力に対応する信号を圧力センサから受信して、受信した信号をデジタル信号に変換するように構成されたアナログ‐デジタル変換器を、更に含み、送信部は、アナログ‐デジタル変換器から出力された信号を無線送信するように構成されうる。
【0011】
いくつかの実施形態において、無線圧力検出器は、圧力センサ、および、送信部に電力を供給するように構成された電源を、更に含みうる。
【0012】
いくつかの実施形態において、支持基板、複数の圧力センサ、アナログ‐デジタル変換器、送信部、および、電源は、保護カバー内に収容されて、封止されたものでありうる。
【0013】
いくつかの実施形態において、複数の圧力センサは、格子状に配列され、複数の圧力センサのうち、第1の方向に一列に配置された圧力センサは、並列に、電源から延びる共通電力線に接続されたものでありうる。更に、無線圧力検出器は、複数の圧力センサから信号を受信するように構成された検知回路を、更に含み、検知回路は、閾値強度より低い信号を出力する圧力センサを遮断する第1の動作と、遮断されない圧力センサから出力された信号を受信する第2の動作とを行うように構成されたものでありうる。
【0014】
その代わりに、各複数の圧力センサは、並列に、電源に直接接続されたものでありうる。
【0015】
その代わりに、複数の圧力センサは、第1の領域に格子状に配列された第1の圧力センサ、および、第2の領域に格子状に配列された第2の圧力センサを含みうる。この場合には、第1の圧力センサは、並列に、電源から延びる第1の共通電力線に接続し、第2の圧力センサは、並列に、電源から延びる第2の共通電力線に接続し、第1の共通電力線と第2の共通電力線は、互いに異なるものでありうる。
【0016】
支持基板は、プリント回路基板を含みうる。特に、圧力センサは、プリント回路基板の第1の表面上に配置され、送信部は、第1の表面の反対側の第2の表面に実装されうる。いくつかの実施形態において、第2の表面は、平坦な板で覆われたものであり、平坦な板は、送信部を収容するように構成された凹部を有しうる。
【0017】
1つ以上の実施形態によれば、無線圧力測定システムは、被押圧基板に加えられた圧力を測定し、測定した圧力を無線送信するように構成された無線圧力検出器と、無線圧力検出器から送信されたデータを受信し、被押圧基板についての圧力マップを出力するように構成された分析器とを含む。
【0018】
1つ以上の実施形態によれば、被押圧基板に加えられた圧力を測定する圧力測定方法は、無線圧力検出器を基板上に配置する工程であって、無線圧力検出器は、支持基板、支持基板上に配列されて、各々が、そこに加えられた圧力に応じた信号を出力するように構成された複数の圧力センサ、および、複数の圧力センサから入力された信号に基づいて無線送信を行うように構成された送信部を含むものである工程と、押圧物を無線圧力検出器上に配置する工程と、被押圧基板上の圧力分布を、送信部から送信された信号を無線受信して被押圧基板上の圧力分布を分析するように構成された分析器を用いて計算する工程とを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、被押圧基板は、ガラス基板を含み、押圧物は、摩擦洗浄部を含みうる。他の実施形態において、被押圧基板および押圧物は、ガラス基板を含みうる。
【0020】
いくつかの実施形態において、無線圧力検出器の平坦な領域は、被押圧基板の平坦な領域より小さく、無線圧力検出器の厚さと略等しい厚さを有するダミー基板が、無線圧力検出器の主面に平行な方向に隣接して配置されうる。
【0021】
いくつかの実施形態において、無線圧力検出器は、Bluetoothによって、電源のオン/オフを行うように構成されうる。
【0022】
いくつかの実施形態において、各複数の圧力センサは、上側導電層、および、上側導電層から分離されて、上側導電層の下方に配置された下側導電層を含み、上側導電層は、第1の電極を含む第1の導電部、および、第2の電極を含む第2の導電部を含み、上側導電層は、加えられた圧力によって変形し、下側導電層に接触しうる。
【0023】
これらの、および/または、他の態様は、以下の実施形態の記載を、添付の図面と共に読むことで、明らかになり、更に容易に分かるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態による無線圧力検出器の前面を概念的に示す概略図である。
図2】一実施形態による無線圧力検出器の後面を概念的に示す概略図である。
図3A】一実施形態による圧力センサを示す概念図である。
図3B】一実施形態による図3AのB‐B’線に沿った横断面図である。
図4A】実施形態による第1および第2の指状部に加わった圧力により、それに生じた変形状態を概略的に示す横断面図である。
図4B】実施形態による第1および第2の指状部に加わった圧力により、それに生じた変形状態を概略的に示す横断面図である。
図5】一実施形態による無線圧力検出器を概略的に示すブロック図である。
図6】Aは、一実施形態による無線圧力測定システムを概略的に示す概念図であり、Bは、一実施形態による分析部を示すブロック図である。
図7】一実施形態による無線圧力検出器のオン/オフ処理を概略的に示す概念図である。
図8A】一実施形態による複数の圧力センサが電源に電気的に接続された態様を示す概念図である。
図8B】一実施形態による2段階の圧力測定アルゴリズムを示すブロック図である。
図9】他の実施形態による複数の圧力センサが電源に電気的に接続された態様を示す概念図である。
図10】他の実施形態による複数の圧力センサが電源に電気的に接続された態様を示す概念図である。
図11】一実施形態による無線圧力検出器の横断面図である。
図12】一実施形態による圧力測定方法を示すフローチャートである。
図13】一実施形態による無線圧力検出器を用いて、被押圧基板に加わる圧力を測定する方法を示す概念図である。
図14】一実施形態による無線圧力検出器を用いて、被押圧基板に加わる圧力を測定する方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、実施形態を詳細に記載し、その例を添付の図面に示し、それらの図面では、全図を通して類似の参照番号は類似の構成要素を指している。これについて、本実施形態は、異なる形態を有しうるので、本明細書の記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、実施形態は、単に、本明細書に記載の態様を説明するために、図面を参照して記載したものである。本明細書で使用するように、「および/または」という用語は、関連する列挙した項目のうちの1つ以上の任意および全ての組合せを含む。「少なくとも1つ」などの表現が、列挙した要素に先行する場合は、列挙された要素全体を修飾するのであって、列挙された個々の要素を修飾するのではない。
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明の概念による実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で実施しうるものであり、以下に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本発明の概念の実施形態は、本発明の概念を、より完全に、当業者に説明するために提供されるものであると解釈されうる。全図を通して、類似の参照番号は、類似の構成要素を表す。更に、図面中の様々な要素および領域を、概略的に示している。したがって、本発明の概念は、添付の図面に示された相対的な大きさ、または、距離によって制限されない。
【0027】
「第1」および「第2」などの用語を、様々な要素または構成要素を記載するために本明細書で使用しうるが、要素も構成要素も、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素または構成要素を、他の要素または構成要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と称し、同様に、第2の要素を第1の要素と称しうる。
【0028】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを記載するために用いられたものであり、本発明の概念を限定することを意図するものではない。本明細書で使用するように、原文の英語の単数形の不定冠詞および定冠詞は、文脈から、そうでないことが明らかでない限り、複数形を包含することを意図する。本明細書で、「備える」、「含む」、「有する」などの用語を使用した場合、記載した特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、または、それらの組合せが存在することを特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、または、それらの組合せが存在するか、または、追加されることを排除しないと理解されよう。
【0029】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する(技術および科学用語を含む)全ての用語は、本発明の概念が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。更に、一般に使用される辞書で定義されたものなどの用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確に定義されない限りは、理想化された、または、過度に形式的な意味で解釈されないと理解されるべきである。
【0030】
ある実施形態を異なる形態で実施しうる場合、特定の処理順序を、記載した順序とは異なる順序で行いうる。例えば、2つの連続して記載した処理を、実質的に同時に行っても、または、記載した順序と反対の順序で行ってもよい。
【0031】
添付の図面において、例えば、製造技術および/または許容誤差の結果、図示された形状とは異なることが予想されうる。したがって、本発明の概念の実施形態は、本明細書に示す特定の領域形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造処理の結果、形状が逸脱することを含みうる。本明細書で使用する「および/または」という用語は、関連する列挙した構成要素の1つ以上の任意および全ての組合せを含む。更に、本明細書で使用する「基板」という用語は、基板自体、若しくは、基板、および、その上に形成された層または膜を含む積層構造のことを称しうる。更に、本明細書で使用する「基板表面」という用語は、基板自体の露出表面、または、基板上に形成された層または膜の外面のことを称しうる。
【0032】
図1は、一実施形態による無線圧力検出器100の前面を概念的に示す概略図である。図2は、一実施形態による無線圧力検出器100の後面を概念的に示す概略図である。
【0033】
図1を参照すると、無線圧力検出器100は、支持基板110と、支持基板110上に配置された複数の圧力センサ120と、複数の圧力センサ120から入力された信号に基づいて無線送信を行う送信部150とを含みうる。
【0034】
支持基板110は、リジッドプリント回路基板、または、フレキシブルプリント回路基板であってもよい。支持基板110は、基板基部、並びに、その上面および下面に各々形成された上パッド(不図示)および下パッド(不図示)を含みうる。上パッドおよび下パッドは、各々、基板基部の上面および底面を覆うソルダーレジスト層(不図示)によって露出されうる。基板基部は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、および、ポリイミドのうち少なくとも1つを含みうる。例えば、基板基部は、FR4、4官能性エポキシ、ポリフェニレンエーテル、エポキシ/ポリフェニレン酸化物、ビスマレイミドトリアジン(BT)、Thermount、シアン酸エステル、ポリイミド、および、液晶ポリマーのうちの少なくとも1つを含みうる。上パッドおよび下パッドは、銅、ニッケル、ステンレス鋼、または、ベリリウム銅を含みうる。基板基部には、上パッドと下パッドとを電気的に接続する内部配線(不図示)が形成されていてもよい。また、上パッドおよび下パッドは、基板基部の上面および下面を銅(Cu)箔で被覆した後にパターニングされた回路配線のうち、ソルダーレジスト層によって各々露出され部分であってもよい。
【0035】
複数の圧力センサ120は、支持基板110上に、等間隔または不規則に配置されうる。圧力センサ120は、その上部に加えられた圧力に応じて電気信号を出力するように構成されうる。図3Aは、一実施形態による圧力センサ120を示す概念図である。図3Bは、一実施形態による、図3AのB‐B’線に沿った横断面図である。
【0036】
図3Aおよび図3Bを参照すると、圧力センサ120は、上側導電層122および下側導電層124を含みうる。
【0037】
上側導電層122は、第1の導電部122a、および、第2の導電部122bを含みうる。第1の導電部122aは、第1の電極122aeを含み、第2の導電部122bは、第2の電極122beを含みうる。
【0038】
上側導電層122は、金属材料を含み、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、コバルト(Co)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、または、それらの合金を含みうるが、限定されない。いくつかの実施形態において、上側導電層122は、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、および、フラーレンなどの導電性を有する炭素系材料を含みうる。
【0039】
第1の導電部122aおよび第2の導電部122bは、ある距離だけ、互いに離間しうる。いくつかの実施形態において、第1の導電部122aは、平行に配置された複数の第1の指状部122afと、複数の第1の指状部122afを接続する第1の接続部122acとを含みうる。いくつかの実施形態において、第2の導電部122bは、平行に配置された複数の第2の指状部122bfと、複数の第2の指状部122bfを接続する第2の接続部122bcとを含みうる。
【0040】
図3Aに示されるように、複数の第1の指状部122af、および、複数の第2の指状部122bfは、互いに平行に交互に配置されうる。
【0041】
第1の指状部122afおよび第1の接続部122acは、その上部に加わる圧力によって変形して、下側導電層124と接触しうる。更に、第2の指状部122bfおよび第2の接続部122bcも、その上部に加わる圧力によって変形して、下側導電層124と接触しうる。第1および第2の指状部122af、122bfの変形、並びに、第1および第2の接続部122ac、122bcの変形は、その上部に加えられた圧力に比例しうる。
【0042】
上側導電層122上には、上側絶縁層128を設けうる。上側絶縁層128は、圧力センサ120の製造工程において、上側導電層122の支持基板として作用しうる。更に、上側絶縁層128は、上側導電層122を保護しうる。
【0043】
いくつかの実施形態において、第1および第2の指状部122afおよび122bf、並びに/若しくは、第1および第2の接続部122acおよび122bcが、下側導電層124に接触する面積は、その上部に加えられた圧力に応じたものでありうる。詳しくは、第1および第2の指状部122af、122bf、並びに/若しくは、第1および第2の接続部122ac、122bcが、下側導電層124と接触する面積は、何らかの圧力範囲内において、上部に加えられた圧力に比例しうる。
【0044】
図4A、4Bは、一実施形態による第1および第2の指状部122af、122bfに加えられた圧力による、それらの変形状態を概略的に示す横断面図である。
【0045】
図4Aを参照すると、第1および第2の指状部122af、122bfは、第1の圧力P1によって変形されて、下側導電層124に物理的に接触しうる。この場合、第2の指状部122bfは、各々、幅W1に対応する接触面積を有し、下側導電層124と接触しうる。
【0046】
図4Bを参照すると、第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2が第1および第2の指状部122af、122bfに加えられると、第1および第2の指状部122afおよび122bfは、図4Aよりも大きく変形されて、下側導電層124に接触しうる。第2の指状部122bfがより大きく変形するので、第2の指状部122bfは、各々、幅W1より大きい幅W2に対応する接触面積を有し、下側導電層124に接触しうる。
【0047】
第1および第2の指状部122af、122bf、並びに/若しくは、第1および第2の接続部122ac、122bcが、下側導電層124と接触する面積が広くなるほど、下側導電層124を通って流れる電流は、ある電圧が第1の電極122aeと第2の電極122beとの間に加えられるのに伴って、増加しうる。したがって、加えられた圧力と電流を関連付けて、加えられた圧力のレベルを、電流の値を測定することによって取得しうる。
【0048】
下側導電層124は、上側導電層122から離間され、上側導電層122の下方に配置されうる。下側導電層124は、金属材料または炭素系材料などの導体を含みうる。下側導電層124の材料として用いられる金属材料または炭素系材料は、上側導電層122について記載したもの同じなので、説明を簡潔にするために、重複する記載は省略する。
【0049】
図3Bにおいて、下側導電層124は、支持基板110の全領域に亘って延伸するように示しているが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、下側導電層124は、1つの圧力センサ120を含むセル領域内に制限されてもよい。すなわち、隣接する2つの圧力センサ120の下側導電層は、互いに電気的に絶縁されうる。
【0050】
上側導電層122と下側導電層124とは、スペーサ126によって電気的に分離されうる。上側導電層122の上部に圧力が加えられた時、スペーサ126は、上側導電層122と下側導電層124との間の間隙を維持して、したがって、スペーサ126が配置された位置で、分離を維持し、スペーサ126が配置されていない位置で、上側導電層122を変形させうる。
【0051】
スペーサ126は、任意の電気絶縁体を含み、例えば、非導電性ポリマー樹脂、電気絶縁性を有する金属酸化物、電気絶縁性を有する金属窒化物、ドープされていない酸化ケイ素、ドープされていない窒化ケイ素、または、それらの組合せを含みうる。
【0052】
再び図1を参照すると、保護カバー190は、複数の圧力センサ120が設けられた面を含む支持基板110を取り囲むように構成されうる。保護カバー190は、支持基板110を取り囲み、例えば、圧力センサ120がガラス基板と直接接触することによる破損を防ぐか、または、洗浄に使用する水または化学薬品などの液体成分が圧力センサ120に直接接触するのを防ぎうる。
【0053】
保護カバー190は、可撓性材料を含みうる。いくつかの実施形態において、保護カバー190は、支持基板110とは異なる材料、または、同じ材料を含みうる。例えば、保護カバー190は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、トリアセチルセルロース、ノルボルネン樹脂、ポリエステル、または、ポリスチレン(PS)を含みうるが、限定されない。
【0054】
保護カバー190には、支持基板110、複数の圧力センサ120、検知回路130、ADC(アナログ‐デジタル変換器)140、送信部150、および、電源160が収納されうる。いくつかの実施形態において、支持基板110は、封止されて、防水性および/または防湿性でありうる。
【0055】
図2を参照すると、いくつかの実施形態において、電源160は、支持基板110の後面に設けられうる。電源160は、バッテリパックと、バッテリパックから供給される電力を制御するように構成された電力制御回路とを含みうる。いくつかの実施形態において、バッテリパックおよび電力制御回路は、一体に構成されうる。
【0056】
特に、電源160は、無線で充電可能なように構成されうる。例えば、電源160は、ISO/IEC NP15149規格に従って、無線で充電可能なように構成されうる。
【0057】
更に、支持基板110の後面には、1つ以上の半導体素子Dが実装されていてもよい。半導体装置Dは、多重化部(MUX)172、検知回路130、アナログ‐デジタル変換器(ADC)140、および、送信部150を含みうるもので(図5参照)、これについては、より詳細に後述する。半導体装置Dは、1つの半導体チップで実装されてもよいし、2つ以上の半導体チップに分布させて、実装されてもよい。
【0058】
図5は、一実施形態による無線圧力検出器100を概略的に示すブロック図である。
【0059】
図5を参照すると、無線圧力検出器100は、複数の圧力センサ120のセルと、圧力センサ120から出力された信号を受信し、信号をアナログ‐デジタル変換器(ADC)140に出力する多重化部(MUX)172と、圧力センサ120から入力された信号を処理する検知回路130と、検知回路130から出力された信号を受信するアナログ‐デジタル変換器(ADC)140と、アナログ‐デジタル変換器140から出力された信号を受信し、受信した信号を無線送信するように構成された送信部150と、圧力センサ120および送信部150に電力を供給するように構成された電源160とを含みうる。
【0060】
複数の圧力センサ120は、支持基板110上に格子状またはマトリクス状に配置されうる。複数の圧力センサ120の個々の圧力センサ120は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。本明細書では、個々の圧力センサ120を、各々、「セル」と称しうる。複数の圧力センサ120の配置形状に関する情報は、後で、個々の圧力センサ120から得られたデータを介して、圧力マップを出力するために必要でありうる。
【0061】
複数の圧力センサ120に外部から加えられた圧力に応じて、複数の圧力センサ120から出力された信号は、バッファ174を介して多重化部172に入力されうる。多重化部172は、複数の入力端子を1つの出力端子に接続することにより、検出された圧力情報を、順次送信しうる。検知回路130は、多重化部172から出力される信号を様々に処理するように構成されうる。アナログ‐デジタル変換器140は、検知回路130から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換しうる。
【0062】
電源160は、複数の圧力センサ120および送信部150に電力を供給するように構成されうる。いくつかの実施形態において、電源160は、アナログ‐デジタル変換器140、検知回路130、および、多重化部172に電力を供給するように構成されうる。
【0063】
送信部150は、複数の圧力センサ120から入力された信号に基づいて無線送信を行うように構成されうる。いくつかの実施形態において、送信部150は、複数の圧力センサ120から入力された信号に基づいて、無線ネットワークを介して分析部に信号を送信するように構成されうる。
【0064】
図6Aは、一実施形態による無線圧力測定システム1を概略的に示す概念図である。
【0065】
図6Aを参照すると、無線圧力検出器100の送信部150は、無線ネットワーク、例えばWiFiネットワークを介して、分析部220とデータ通信するように接続されうる。分析部220は、送信部150から受信した圧力データを分析することによって、圧力マップを出力するように構成されうる。
【0066】
図6Bは、一実施形態による分析部220のブロック図である。
【0067】
図6Bを参照すると、分析部220は、コントローラ2010、入出力(I/O)装置2020、メモリ2030、および、インターフェース2040を含みうる。これらの要素は、バス2050を介して、互いに接続されうる。
【0068】
コントローラ2010は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、および、任意の同様の処理装置のうちの少なくとも1つを含みうる。I/O装置2020は、キーパッド、キーボード、および、ディスプレイのうちの少なくとも1つを含みうる。メモリ2030を用いて、コントローラ2010によって実行されるコマンドを記憶しうる。例えば、メモリ2030を用いて、ユーザデータを保存しうる。
【0069】
いくつかの実施形態において、インターフェース2040は、無線ネットワークを介して無線圧力検出器100の送信部150(図5参照)に接続されるように構成されうる。
【0070】
分析部220が無線ネットワークインターフェース2040を介して信号(またはデータ)を受信すると、分析部220は、信号(またはデータ)を処理して、図6Aに示すような圧力等高線マップを生成しうる。図6Aの表示部の拡大図は、圧力が加えられた領域および位置について、一実施形態により製造された無線圧力検出器による圧力レベルを示す圧力等高線マップである。圧力等高線マップを、表示装置などのI/O装置2020を介して出力しうる。
【0071】
分析部220は、圧力等高線マップを生成するためのプログラム、および/または、ルーチンを含みうる。プログラム、および/または、ルーチンは、市販品から入手可能なので、説明を簡潔にするために、詳細な説明は省略する。
【0072】
図7は、一実施形態による無線圧力検出器100のオン/オフ処理を概略的に示す概念図である。
【0073】
図7を参照すると、無線圧力検出器100のオン/オフを、例えば、携帯式装置210によって制御しうる。携帯式装置210は、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータでありうるが、限定されない。
【0074】
いくつかの実施形態において、携帯式装置210は、無線圧力検出器100の電源160のオン/オフを制御しうる。例えば、携帯式装置210は、電源160とペアリングしたBluetoothによって、オン/オフ動作を制御するように構成されうる。
【0075】
図8Aは、一実施形態による複数の圧力センサ120が電源160と電気的に接続した様子を示す概念図である。
【0076】
図8Aを参照すると、複数の圧力センサ120は、格子状に配列され、同じ方向に配列された第1行120_1、第2行120_2、...、第n行120_nの圧力センサを含みうる。
【0077】
第1行120_1の複数の圧力センサ120は、並列に、共通の電力線122に接続されうる。すなわち、第1行120_1の複数の圧力センサ120の第1の電極は、電源160から延びる第1のライン122aに直接電気的に接続されうる。更に、第1行120_1の複数の圧力センサ120の第2の電極は、電源160から延びる第2のライン122bに直接電気的に接続されうる。この接続関係は、第2行120_2、...、第n行120_nの複数の圧力センサ120において、同じでありうる。
【0078】
この接続関係は、容易かつ安価に製造しうる。しかしながら、この関係では、同じ行の圧力センサ120同士の間で、測定値の干渉が発生しうる。したがって、図8Aに示す実施形態の場合、2段階の圧力測定アルゴリズムを使用して、この干渉を低減しつつ、信頼性の高いデータを取得しうる。
【0079】
図8Bは、一実施形態による2段階の圧力測定アルゴリズムを示すブロック図である。
【0080】
図8Bを参照すると、複数の圧力センサ120の全てから入力を受信し、入力信号の強度が閾値強度を超えているか否かを判断しうる(S11)。圧力センサ120を介して入力される信号の強度が閾値強度を下回る場合には、その値をノイズと分類し、そのセルを圧力検出対象から遮断するようにしうる。すなわち、この動作では、複数の圧力センサ120の全てについて、圧力が加えられているセルと圧力が加えられていないセルとを特定しうる。
【0081】
その後、遮断されていない圧力センサ120については、圧力センサ120から出力された信号を、検知回路130に送信しうる(S13)。
【0082】
この動作のために、ハイ論理入力、ロー論理入力、および、オープンスイッチを有する半導体装置(例えば、TS3A4751などの装置)を使用しうる。しかしながら、本発明の概念は、これに限定されるものではない。
【0083】
図9は、他の実施形態による複数の圧力センサ120が電源160に電気的に接続された様子を示す概念図である。
【0084】
図9を参照すると、複数の圧力センサ120の各々を、並列に、電源160に接続しうる。換言すれば、複数の圧力センサ120のうち、第1行120a_1の圧力センサは、並列に、個々に電源160に接続されうる。更に、複数の圧力センサ120のうち、第2行120a_2の圧力センサは、並列に、個々に電源160に接続されうる。
【0085】
この接続関係は、圧力センサ120同士の間の電気的干渉を低減しうるので、より信頼性の高い圧力データを取得しうる。
【0086】
図10は、他の実施形態による複数の圧力センサ120が電源160に電気的に接続された様子を示す概念図である。
【0087】
図10を参照すると、複数の圧力センサ120は、第1の領域R1に配置された第1の圧力センサ120R_1と、第2の領域R2に配置された第2の圧力センサ120R_2とを含みうる。図10は、複数の圧力センサ120が2つの領域を含むものとして示しているが、当業者は、複数の圧力センサ120が3つ以上の領域を含みうることが分かるだろう。
【0088】
各領域の圧力センサ120は、p×q(「p」および「q」は、2~1000の整数)のマトリクス状に配置されうる。図10は、第1の領域R1および第2の領域R2が同じ大きさ、および、形状を有するものとして示しているが、当業者は、第1の領域R1と第2の領域R2とが異なる大きさ、および、形状を有しうることが分かるだろう。
【0089】
第1の圧力センサ120R_1は、並列に、電源160から延びる第1の共通電力線122に接続されうる。すなわち、第1の圧力センサ120R_1の複数の圧力センサ120の第1の電極は、電源160から延びる第1のライン122aに直接電気的に接続されうる。更に、第1の圧力センサ120R_1の複数の圧力センサ120の第2の電極も、電源160から延びる第2のライン122bに直接電気的に接続されうる。
【0090】
第2の圧力センサ120R_2は、並列に、電源160から延びる第2の共通電力線124に接続されうる。すなわち、第2の圧力センサ120R_2の複数の圧力センサ120の第1の電極は、電源160から延びる第1のライン124aに直接電気的に接続されうる。更に、第2の圧力センサ120R_2の複数の圧力センサ120の第2の電極も、電源160から延びる第2のライン124bに直接電気的に接続されうる。
【0091】
第1の電力線122、および、第2の電力線124は、電源160に共通に接続されうるが、別々の異なる線であってもよい。
【0092】
図11は、一実施形態による無線圧力検出器100の横断面図である。
【0093】
図11を参照すると、支持基板110は、複数の圧力センサ120が実装された第1の表面110fと、第1の表面110fの反対側の第2の表面110rとを有しうる。
【0094】
第2の面110rには、半導体装置Dが実装されうる。第2の面110rは、平坦な板180で覆われうる。平坦な板180は、堅い、または、曲げ易い平面であってもよい。平坦な板180は、半導体装置Dを収容する凹部180rを有しうる。
【0095】
平坦な板180の厚さは、半導体装置Dの厚さより厚くてもよい。更に、凹部180rの深さは、半導体装置Dの厚さ以上であってもよい。
【0096】
凹部180rの深さが半導体装置Dの厚さと同じ場合、平坦な板180が曲げ易い平坦な板であっても、平坦な板180の表面(図10の下面)は平坦でありうる。平坦な板180が堅い平坦な板の場合、凹部180rの深さが半導体装置Dの厚さ以上であれば、平坦な板180の表面(図10の下面)は平坦でありうる。
【0097】
図12は、一実施形態による圧力測定方法を示すフローチャートである。図13および図14は、一実施形態による無線圧力検出器100を用いて、被押圧基板310に加わる圧力を測定する方法を示す概念図である。
【0098】
まず、図12および図13を参照すると、一実施形態による無線圧力検出器100を、被押圧基板310上に配置しうる(S110)。
【0099】
図13は、ガラス基板を搬送するのに使用しうる傾斜高密パック(IDP)を示す。IDPでは、基板支持体380を支持パレット390上に固定しうる。基板支持部380は、重ねられたガラス基板が搭載される面を有しうる。
【0100】
図13において、被押圧基板310、および、押圧物330は、ガラス基板であってもよい。いくつかの実施形態において、被押圧基板310、および、押圧物330は、同じ種類、および/または、同じ大きさを有するガラス基板であってもよい。図13は、被押圧基板310、および、押圧物330が、各々1枚のガラス基板であるとして示しているが、2枚以上のガラス基板、例えば、2~100枚のガラス基板を重ねたものであってもよいが、それらに限定されない。
【0101】
無線圧力検出器100の大きさは、被押圧基板310の大きさより、小さくてもよい。この場合、いくつもの無線圧力検出器100(図13では6つの無線圧力検出器100)を横方向に配置して、望ましい領域の圧力を測定しうる。
【0102】
更に、無線圧力検出器100の大きさは、被押圧基板310の大きさよりも小さいので、ダミー基板320を用いて、無線圧力検出器100を、圧力を測定すべき位置に配置しうる。ダミー基板320は、無線圧力検出器100と略同じ厚さを有しうる。ダミー基板320が、無線圧力検出器100の主面について、横方向に隣接する同じ平面上に配置される場合、ダミー基板320は、無線圧力検出器100を支持または固定しうる。
【0103】
ダミー基板320は、無線圧力検出器100と略同じ厚さを有するので、無線圧力検出器100は、ダミー基板320の厚さによって生じる干渉なしに、押圧物330から加えられた圧力を正確に測定しうる。
【0104】
ダミー基板320の厚さ以外の大きさ、例えば、図13の水平方向および/または垂直方向の大きさを、無線圧力検出器100を配置すべき位置を考慮して、適宜調節しうる。図13において、無線圧力検出器100は、被押圧基板310の垂直方向について、約1/3の位置、および、約2/3の位置に配置されている。IDPを用いてガラス基板を搬送する場合には、この位置(被押圧基板310の垂直方向について、約1/3の位置、および、約2/3の位置)に、ガラス基板を保持するための保持器を配置し、これは、保持器がガラス基板に加える圧力分布を測定するためでありうる。
【0105】
続いて、無線圧力検出器100上に押圧物330を配置しうる(S120)。図13の実施形態において、押圧物330は、ガラス基板であってもよい。図13は、1枚の被押圧基板310と1つの押圧物330が設けられた例を示しているが、重ねられたガラス基板(被押圧基板310または押圧物330)の数、および、無線圧力検出器100の配置方法は、様々な態様で適用しうる。
【0106】
いくつかの実施形態において、5~50枚のガラス基板が積み重ねられた時には、いつでも、無線圧力検出器100を配置しうる。例えば、10枚のガラス基板を重ねて、その上に無線圧力検出器100を積み重ねうる。その後、10枚のガラス基板を更に重ねて、その上に、追加の無線圧力検出器100を積み重ねうる。この積み重ね処理を、更に繰り返しうる。無線圧力検出器100は、図13に示すように、ダミー基板320と共に重ねうる。
【0107】
このように、一群の重ねられたガラス基板と無線圧力検出器100とが交互に繰り返し積み重ねられる場合には、押圧物330として作用するガラス基板は、後で、被押圧基板310として作用しうる。
【0108】
続いて、被押圧基板310上の圧力分布を測定しうる(S130)。無線圧力検出器100によって検出された、押圧物330から加えられた圧力についてのデータを、無線で、分析部220に送信しうる。
【0109】
加えられた圧力に関するデータは、無線圧力検出器100から分析部220に、無線通信ネットワークを介して送信されうる。無線通信ネットワークは、例えば、WiFi、WCDMA(Wideband CDMA)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)、HSPA(High Speed Packet Access)、Mobile WiMAX、WiBro、LTE(Long Term Evolution)、Bluetooth、IrDA(Infraredデータ Association)、NFC(Near Field Communication)、ZigBee(IEEE 802.15.4)、および/または、Wireless LANを含みうる。更に、インターネットに接続してサービスを提供する場合、インターネット上での情報送信のための標準プロトコルであるTCP/IPに従いうる。
【0110】
分析部220は、受信したデータに基づいて、被押圧基板上の圧力分布を計算し、それを、マップにして可視化しうる。
【0111】
図12および図14を参照して、他の実施形態による圧力測定方法を記載する。図14は、摩擦洗浄部でガラス基板の表面を洗浄する際に、摩擦洗浄部からガラス基板に加わる圧力を測定するシステムしている。
【0112】
図12および図14を参照すると、被押圧基板310であるガラス基板上に無線圧力検出器100を配置する(S110)。被押圧基板310は、後述する押圧物330aによって押圧されながら、無線圧力検出器100と共に図14の視線方向に進行しうる。換言すれば、被押圧基板310は、押圧物330aの配列方向(図14の水平方向)と直交する方向に進行しうる。
【0113】
続いて、無線圧力検出器100上に押圧物330aを配置しうる(S120)。押圧物330aは、例えば、ブラシ、織布、不織布、フェルト、スポンジ、および、布のうちの1つ以上でありうるが、限定されない。
【0114】
押圧物330aは、洗浄のために被押圧基板310(ガラス基板)を押圧しうるが、各押圧物330aの圧力分布は、均一でないことがありうる。特に、押圧物330aの押圧程度が不十分でありうるため、洗浄不良を生じうる。
【0115】
続いて、被押圧基板310上の圧力分布を測定しうる(S130)。これについては、図12および図13を参照して、既に詳細に記載したので、説明を簡潔にするために、重複する記載を省略する。
【0116】
以上、本発明の概念の実施形態を詳細に記載したが、当業者は、以下の請求項によって定義される本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の概念を様々な他の形態で実施しうるだろう。したがって、本発明の概念の実施形態を更に変更しても、本発明の概念の範囲を逸脱しうるものではない。
【0117】
本明細書に記載した実施形態は、説明の意味でのみ検討されるべきであり、限定するためではないと理解すべきである。各実施形態中の特徴または態様の記載は、典型的には、他の実施形態における他の同様の特徴または態様に利用しうると考えられるべきである。
【0118】
図面を参照して、1つ以上の実施形態を記載したが、当業者は、以下の請求項によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細を様々に変更しうることが分かるだろう。
【0119】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0120】
実施形態1
無線圧力検出器において、
支持基板と、
前記支持基板上に配置された複数の圧力センサであって、各々、それに加えられた圧力に応じた信号を出力するように構成された前記複数の圧力センサと、
前記複数の圧力センサから入力された信号に基づく無線送信を行うように構成された送信部と
を含む無線圧力検出器。
【0121】
実施形態2
前記圧力に対応する信号を前記圧力センサから受信して、該受信した信号をデジタル信号に変換するように構成されたアナログ‐デジタル変換器を、
更に含み、
前記送信部は、前記アナログ‐デジタル変換器から出力された信号を無線送信するように構成されたものである、実施形態1に記載の無線圧力検出器。
【0122】
実施形態3
前記圧力センサ、および、前記送信部に電力を供給するように構成された電源を、
更に含む、実施形態2に記載の無線圧力検出器。
【0123】
実施形態4
前記支持基板、前記複数の圧力センサ、前記アナログ‐デジタル変換器、前記送信部、および、前記電源は、保護カバー内に収容されて、封止されたものである、実施形態3に記載の無線圧力検出器。
【0124】
実施形態5
前記複数の圧力センサは、格子状に配列され、
前記複数の圧力センサのうち、第1の方向に一列に配置された該圧力センサは、並列に、前記電源から延びる共通電力線に接続されたものである、実施形態3に記載の無線圧力検出器。
【0125】
実施形態6
前記複数の圧力センサから信号を受信するように構成された検知回路を、
更に含み、
前記検知回路は、
閾値強度より低い信号を出力する前記圧力センサを遮断する第1の動作と、
遮断されない前記圧力センサから出力された信号を受信する第2の動作と
を行うように構成されたものである、実施形態5に記載の無線圧力検出器。
【0126】
実施形態7
各前記複数の圧力センサは、並列に、前記電源に直接接続されたものである、実施形態3に記載の無線圧力検出器。
【0127】
実施形態8
前記複数の圧力センサは、第1の領域に格子状に配列された第1の圧力センサ、および、第2の領域に格子状に配列された第2の圧力センサを含み、
前記第1の圧力センサは、並列に、前記電源から延びる第1の共通電力線に接続し、
前記第2の圧力センサは、並列に、前記電源から延びる第2の共通電力線に接続し、
前記第1の共通電力線と前記第2の共通電力線は、互いに異なるものである、実施形態3に記載の無線圧力検出器。
【0128】
実施形態9
前記支持基板は、プリント回路基板を含むものである、実施形態1に記載の無線圧力検出器。
【0129】
実施形態10
前記圧力センサは、前記プリント回路基板の第1の表面上に配置され、
前記送信部は、前記第1の表面の反対側の第2の表面に実装されたものである、実施形態9に記載の無線圧力検出器。
【0130】
実施形態11
前記第2の表面は、平坦な板で覆われたものである、実施形態10に記載の無線圧力検出器。
【0131】
実施形態12
前記平坦な板は、前記送信部を収容するように構成された凹部を有するものである、実施形態11に記載の無線圧力検出器。
【0132】
実施形態13
被押圧基板に加えられた圧力を測定する圧力測定方法において、
無線圧力検出器を前記基板上に配置する工程であって、前記無線圧力検出器は、支持基板、前記支持基板上に配列されて、各々が、そこに加えられた圧力に応じた信号を出力するように構成された複数の圧力センサ、および、前記複数の圧力センサから入力された信号に基づいて無線送信を行うように構成された送信部を含むものである工程と、
押圧物を前記無線圧力検出器上に配置する工程と、
前記被押圧基板上の圧力分布を、前記送信部から送信された信号を無線受信して該被押圧基板上の圧力分布を分析するように構成された分析器を用いて計算する工程と
を含む方法。
【0133】
実施形態14
前記被押圧基板は、ガラス基板を含み、
前記押圧物は、摩擦洗浄部を含むものである、実施形態13に記載の圧力測定方法。
【0134】
実施形態15
前記被押圧基板および前記押圧物は、ガラス基板を含むものである、実施形態13に記載の圧力測定方法。
【0135】
実施形態16
前記無線圧力検出器の平坦な領域は、前記被押圧基板の平坦な領域より小さく、
前記無線圧力検出器の厚さと略等しい厚さを有するダミー基板が、該無線圧力検出器の主面に平行な方向に隣接して配置されたものである、実施形態15に記載の圧力測定方法。
【0136】
実施形態17
前記無線圧力検出器は、Bluetoothによって、電源のオン/オフを行うように構成されたものである、実施形態13に記載の圧力測定方法。
【0137】
実施形態18
各前記複数の圧力センサは、上側導電層、および、前記上側導電層から分離されて、該上側導電層の下方に配置された下側導電層を含み、
前記上側導電層は、第1の電極を含む第1の導電部、および、第2の電極を含む第2の導電部を含み、
前記上側導電層は、前記加えられた圧力によって変形し、前記下側導電層に接触するものである、実施形態13に記載の圧力測定方法。
【0138】
実施形態19
無線圧力測定システムにおいて、
被押圧基板に加えられた圧力を測定し、前記測定した圧力を無線送信するように構成された無線圧力検出器と、
前記無線圧力検出器から送信されたデータを受信し、前記被押圧基板についての圧力マップを出力するように構成された分析器と
を含むシステム。
【符号の説明】
【0139】
100 無線圧力検出器
110 支持基板
120 圧力センサ
122 上側導電層
124 下側導電層
126 スペーサ
128 上側絶縁層
130 検知回路
140 アナログ‐デジタル変換器
150 送信部
160 電源
172 多重化部
174 バッファ
190 保護カバー
310 被押圧基板
320 ダミー基板
330 押圧物
380 基板支持体
390 支持パレット
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14