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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】撥水性複合材料積層布
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/26 20060101AFI20220617BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20220617BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220617BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20220617BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
B32B5/26
B32B5/02 Z
B32B27/32 Z
B32B27/34
B32B27/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019536932
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2018012884
(87)【国際公開番号】W WO2018132347
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/446,500
(32)【優先日】2017-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/834,638
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・デュアン・アルビトソン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・ジェラルド・アーディフ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ウェアリング
(72)【発明者】
【氏名】ローリ・エル・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エイ・デイヴィス
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0312399(US,A1)
【文献】特開2006-308258(JP,A)
【文献】国際公開第2012/177227(WO,A2)
【文献】特表2010-522656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
D06M 17/00-17/10
F41H 1/00-1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層複合材料であって、
a)第1及び第2の表面を有する外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層が、1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が複数の繊維を含み、前記外側繊維材料の前記第1の表面が着色された外観を有する、外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と隣接する繊維基層であって、前記繊維基層が第1及び第2の表面を有し、前記繊維基層の前記第1の表面が前記外側繊維材料層の前記第2の表面に面して位置決めされ、前記基層が1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が10g/デニールよりも大きい靭性を有する複数の繊維を含み、前記外側繊維材料層の前記繊維の少なくともいくつかが、前記繊維基層の前記繊維の少なくともいくつかと化学的に異なり、前記繊維基層の前記第2の表面が着色された外観を有する、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間の1つ以上の中間層であって、前記中間層が、相溶化接着スクリム、相溶化接着ポリマー層、及び撥水剤のうちの少なくとも1つを含み、複数の中間層が存在するとき、それらは互いに結合され、前記外側繊維材料層及び前記繊維基層の各々が前記中間層のうちの1つに結合され、前記多層複合材料が前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に少なくとも26.787kg/m(1.5ポンド/インチ)の剥離強度を有する、中間層と、を含む、多層複合材料。
【請求項2】
前記外側繊維材料の前記第1の表面の前記着色された外観が、前記外側繊維材料の前記繊維に塗布された1つ以上の外側着色剤によって提供され、前記外側着色剤の各々が、外側色値を有し、前記繊維基の前記第2の表面の前記着色された外観が、前記繊維基層の前記第2の表面上にコーティングされた着色されたポリマーフィルムによって提供され、前記着色されたポリマーフィルムが、1つ以上の内側着色剤を含み、前記内側着色剤の各々が、内側色値を有し、前記内側色値の各々が、前記外側繊維材料層の各外側色値と同じであるか、又はそれよりも暗前記1つ以上の中間層が二重プライ接着フィルムを含む相溶化接着ポリマー層を含み、前記二重プライ接着フィルムが、ポリアミドポリマーフィルムを含む第1のポリマープライ及びポリエチレンポリマーフィルムを含む第2のポリマープライを含む、請求項1に記載の多層複合材料。
【請求項3】
多層複合材料であって、
a)第1及び第2の表面を有する外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層が、1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が複数の繊維を含み、前記外側繊維材料の前記第1の表面が着色された外観を有複数の着色剤が外側繊維材料層の繊維上にあり、着色された外観が迷彩パターンである、外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と隣接する繊維基層であって、前記繊維基層が第1及び第2の表面を有し、前記繊維基層の前記第1の表面が前記外側繊維材料層の前記第2の表面に面して位置決めされ、前記繊維基層が1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が少なくとも20g/デニール靭性を有する複数の繊維を含み、前記外側繊維材料層の前記繊維の少なくともいくつかが、前記繊維基層の前記繊維の少なくともいくつかと化学的に異なり、前記繊維基層の前記第2の表面が着色された外観を有し、着色された外観が単一の色を有する着色されたフィルムによって提供される、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間の1つ以上の中間層であって、前記中間層が、相溶化接着スクリム、相溶化接着ポリマー層、及び撥水剤のうちの少なくとも1つを含み、複数の中間層が存在するとき、それらは互いに結合され、前記外側繊維材料層及び前記繊維基層の各々が前記中間層のうちの1つに結合され、前記複合材料が前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に少なくとも26.787kg/m(1.5ポンド/インチ)の剥離強度を有する、中間層と、を含み、
成形された開口部のパターンが、前記多層複合材料に、完全に貫通して切り込まれ、それにより、前記成形された開口部を通した前記繊維基層の前記第2の表面の任意の露出が、前記外側繊維材料層の前記第1の表面の前記着色された外観によって偽装され、前記繊維基層が繊維基層の繊維を含み、前記繊維基層の繊維は超高分子量ポリエチレン繊維からなる、多層複合材料。
【請求項4】
前記1つ以上の中間層が、前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に第1の中間層及び第2の中間層を含み、前記第1の中間層が第1及び第2の表面を有するポリウレタンスクリムを含み、前記ポリウレタンスクリムはポリウレタン網又はポリウレタンメッシュを含み、前記第2の中間層が、第1及び第2の表面を有する相溶化接着ポリマー層を含み、ここで、第1の中間層と第2の中間層は互いに結合され、前記ポリウレタンスクリムの前記第1の表面が、前記外側繊維材料層の前記第2の表面に結合され、前記ポリウレタンスクリムの前記第2の表面が前記接着ポリマー層の第1の表面と接触し、前記接着ポリマー層の前記第2の表面が、前記繊維基層の第1の表面と結合され、前記外側繊維材料層は10g/デニール未満の靭性を有するナイロン繊維を含む、請求項1に記載の多層複合材料。
【請求項5】
前記相溶化接着ポリマー層が粘着付与剤で改質されたポリエチレンフィルムを含む、請求項4に記載の多層複合材料。
【請求項6】
前記1つ以上の中間層が、
(i)粘着付与剤、無水マレイン酸またはカルボン酸と組み合わされたホモポリマーの層、
(ii)環状オレフィンホモポリマー又はコポリマーの層、
(iii)プラストマーの層、又は
(iv)粘着付与剤と組み合わされたプラストマーの層
を含む、請求項1に記載の多層複合材料。
【請求項7】
前記多層複合材料が、前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に2つの中間層を含み、第1の中間層が第1及び第2の表面を有するポリウレタン層を含み、第2の中間層が、第1及び第2の表面を有する相溶化接着ポリマー層を含み、前記ポリウレタン層の前記第1の表面が、前記外側繊維材料層の前記第2の表面と接触し、前記ポリウレタン層の前記第2の表面が、前記接着ポリマー層の前記第1の表面と接触し、前記接着ポリマー層の前記第2の表面が、前記繊維基層の第1の表面と接触している、請求項1に記載の多層複合材料。
【請求項8】
前記相溶化接着ポリマー層が、二重プライ接着フィルムを含み、前記二重プライ接着フィルムが、ポリアミドポリマーフィルムを含む第1のポリマープライ及びポリエチレンポリマーフィルムを含む第2のポリマープライを含み、前記第1のポリマープライ及び前記第2のポリマープライが、一体的であり、少なくとも部分的に融合され、前記第1のポリマープライからのポリマー分子が、前記第2のポリマープライからのポリマー分子と混合され、前記混合された分子が、前記2つのポリマープライの前記界面で分子もつれ領域を形成する、請求項7に記載の多層複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月15日出願の同時係属中の米国特許仮出願第62/446,500号の利益を主張し、その開示全体が参照として本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本開示は、高強度の撥水性繊維複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
高い引張強度の合成繊維が、高い強度対重量性能が重要である用途において長い間使用されてきた。例えば、Honeywell International Inc.から市販されているSPECTRA(登録商標)超高分子量ポリエチレン繊維等の繊維、又はE.I.du Pont de Nemours and Company(デラウエア州ウィルミントン)から入手可能なKEVLAR(登録商標)繊維等のパラアラミド繊維は、低重量での優れた耐衝撃貫通性が非常に重要である、防護具産業において広く使用されている。しかしながら、このような高靭性繊維から形成された布は、一般に、他の繊維タイプから形成された布よりも硬く、可撓性が低く、特に着用可能な織物の製造に望ましくない。
【0004】
メタアラミド繊維、ナイロン繊維、及びポリエステル繊維等の、強力であるが、より低い引張強度を有する他のタイプの合成繊維は、より可撓性であり、多くの産業、特に耐久性が重要である用途に対する織物布物品の製造に有用である。このような用途としては、安全ベルト及びエアバッグ等の自動車安全用途、排水制御材料及び浸食制御材料等のジオテキスタイル用途、並びに安全衣類、スポーツ衣料、レインコート及びウインドブレーカ、帆布、天蓋、いす張り材料、カーテン、テント、パラシュート及びタープなどの屋外用ウエア等の物品における縫合糸用途が挙げられる。
【0005】
上記のような低靭性繊維から形成された織物は、いくつかの用途に有用であるが、それらの有用性の範囲は、それでもなお高い引張強度の欠如によって制限される。したがって、いくつかのタイプのアプローチに対して布強度を改善するために、低い引張強度及び高い引張強度の両方の布を単一の物品に組み合わせる混成複合材料物品を形成することが既知である。いくつかの用途において、これらの異なるタイプの布を、縫製又はボルト締めによって等、互いに対して機械的に付着させることが許容可能である。他の用途において、機械的付着は許容不可能であり、接着剤での付着が必要である。しかしながら、織物分野では、特定の繊維タイプが、その繊維タイプと化学的に異なる接着剤に対するよりも、繊維タイプと化学的に類似している接着剤に対して、より大きな天然親和性を有することが知られている。したがって、異なる繊維タイプから形成された2つの異種の布を組み合わせると、単一の従来の中間接着剤が両方の布を強く結合しないため、結合強度が本質的に弱くなる。これは、繊維層の互いに対する弱い結合が複合材料内の層間剥離をもたらし得、それによって材料の完全性を損なう可能性がある実施形態において特に懸念される。
【0006】
加えて、多くの織物布用途において、耐引裂性、耐摩耗性、耐切創性、及び耐水性等の特性を改善するために、ポリマーコーティング等の布に化学仕上げを塗布することが既知である。例えば、米国特許第4,493,870号は、耐水性コポリエーテルエステルフィルムで覆われたポリエチレンテレフタレート又はナイロン織物材料の防水衣類又はテントにおいて使用するための可撓性層状製品を教示する。米国特許第4,847,142号は、織ナイロン布に付着した耐水性コポリエーテルアミドフィルムを含む耐水性の透湿性積層物品を教示する。米国特許公開第2004/0058603号は、ビニルコポリマー及びポリウレタン材料を含むポリマー材料の2つの層の間に挟まれたナイロン布を含む、積層されたタープ材料を教示する。これらのコーティングの存在は望ましい利点を提供しながら、従来の積層又は成形技術によって共に接着結合される別個の布間の結合強度に悪影響を及ぼすこともまた既知である。
【0007】
したがって、ハイブリッド繊維複合材料が化学的に異種の繊維材料から形成され得、また、結合強度を犠牲にすることなく、化学的に仕上げられた表面を有し得る、解決策が当該技術分野において必要である。本開示は、この必要性に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、軍隊及び警察官によって一般的に使用されるように、防護プレートキャリアの製造に特に適した多層複合材料を提供する。好ましい実施形態において、軍用級の織ナイロン(MIL規格ナイロン)の外側布層は、外側から可視の標準的な迷彩パターンで着色される。この外側ナイロン布は、Honeywell International Inc.(ニュージャージー州モリスプレインズ)から市販されているSPECTRA(登録商標)布等の、高靭性繊維(例えば、10g/デニールより大きい靭性を有する)から形成された別の織布に積層され、2つの布は、布間に強力な結合を達成する、すなわち、ASTM D1876によって決定される際、少なくとも1.5ポンド/インチの剥離強度を有する、本明細書に記載されるような固有の接着システムによって共に接着される。この複合材料は、例えば、MOLLE(Modular Lightweight Load-Carrying Equipment)パックなどのモジュール式付属品パックを付着させるために、その中を通って切り込む孔のパターンを有する単一の布材料を教示する、米国特許第7,200,871号において記載されるように、Safariland LLC(フロリダ州ジャクソンビル)からのTAC PR(商標)Advanced Webless Systemの設計を有する、タクティカルベスト又はプレートキャリアの製造に特に有用である。本開示の多層布複合材料において、両方の外側布表面は、着色され、そのため穴がモジュール式アタッチメントの重量下で垂れ下がるか、又は下方に引っ張られる場合、基部の布の最外表面の露出をもたらし、ベスト/プレートキャリア物品の迷彩色外観は損なわれないであろう。
【0009】
より具体的には、多層複合材料であって、
a)第1及び第2の表面を有する外側繊維材料層であって、この外側繊維材料層が、1つ以上の繊維プライを含み、上記の繊維プライの各々が、複数の繊維を含み、外側繊維材料の第1の表面が着色された外観を有する、外側繊維材料層と、
b)外側繊維材料層と隣接する繊維基層であって、この繊維基層が第1及び第2の表面を有し、繊維基層の上記第1の表面が外側繊維材料層の第2の表面に面して位置決めされ、基層が1つ以上の繊維プライを含み、この繊維プライの各々が10g/デニールよりも大きい靭性を有する複数の繊維を含み、外側繊維材料層の繊維の少なくともいくつかが、繊維基層の繊維の少なくともいくつかと化学的に異なり、繊維基層の第2の表面が、着色された外観を有する、繊維基層と、
c)外側繊維材料層と繊維基層との間の1つ以上の中間層であって、中間層が、相溶化接着スクリム、相溶化接着ポリマー層、及び撥水剤のうちの少なくとも1つを含み、複数の中間層が存在するとき、それらは互いに結合され、外側繊維材料層及び繊維基層の各々が中間層のうちの1つに結合され、複合材料が外側繊維材料層と繊維基層との間に少なくとも1.5ポンド/インチの剥離強度を有する、中間層と、を含む、多層複合材料が提供される。
【0010】
また、多層複合材料であって、
a)第1及び第2の表面を有する外側繊維材料層であって、この外側繊維材料層が、1つ以上の繊維プライを含み、上記の繊維プライの各々が、複数の繊維を含み、外側繊維材料の第1の表面が着色された外観を有する、外側繊維材料層と、
b)外側繊維材料層と隣接する繊維基層であって、この繊維基層が第1及び第2の表面を有し、繊維基層の上記第1の表面が外側繊維材料層の第2の表面に面して位置決めされ、基層が1つ以上の繊維プライを含み、この繊維プライの各々が10g/デニールよりも大きい靭性を有する複数の繊維を含み、外側繊維材料層の繊維の少なくともいくつかが、繊維基層の繊維の少なくともいくつかと化学的に異なり、繊維基層の第2の表面が、着色された外観を有する、繊維基層と、
c)外側繊維材料層と繊維基層との間の1つ以上の中間層であって、中間層が、相溶化接着スクリム、相溶化接着ポリマー層、及び撥水剤のうちの少なくとも1つを含み、複数の中間層が存在するとき、それらは互いに結合され、外側繊維材料層及び繊維基層の各々が中間層のうちの1つに結合され、複合材料が外側繊維材料層と繊維基層との間に少なくとも1.5ポンド/インチの剥離強度を有する、中間層と、を含み、
成形された開口部のパターンが、複合材料に、完全に貫通して切り込まれ、それにより、穿孔を通した繊維基層の第2の表面の任意の露出が、外側繊維材料層の第1の表面の着色された外観によって偽装される、多層複合材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】中間相溶化接着剤/スクリム層によって繊維基層に付着された外側繊維材料層を含む複合材料の側面概略表示である。
図2】モジュール式アタッチメントを吊り下げるための複合材料を通して切り込まれるスロットを有する、図1に例解された複合材料の側面概略表示である。
図3】スロットから吊り下げられたモジュール式アタッチメントの表現を示す、図2のスロット付き複合材料の側面概略表示である。
図4】米国特許第7,200,871号に記載され、例解されるように、布を通って切り込むスロットを有する、先行技術のFAV(商標)Advanced Webless Systemの斜視図の概略表示である。
図5】マンセル色相スケールの例解である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で提供される複合材料は、2つの異なる繊維材料層を含み、各層は1つ以上の繊維プライを含む。各繊維材料層の繊維プライの各々は複数の繊維を含み、各プライは、任意選択的に繊維上にポリマー結合剤材料を有する。最もおおまかに、図1に例解されるように、本開示の複合材料(10)は、第1の表面(18)及び第2の表面(20)を有する外側繊維材料層(12)(第1の繊維材料層)と、外側繊維材料層(12)の第2の表面(20)が、1つ以上の中間層(16)を通して繊維基層(14)の第1の表面(22)に面し、かつ付着するように、互いに対して隣接して付着された第1の表面(22)及び第2の表面(24)を有する繊維基層(14)(第2の繊維材料層)と、を含む。
【0013】
本開示の各実施形態において、外側繊維材料層(12)の各プライは、好ましくは低引張強度繊維のみで製造され、繊維基層(14)の各プライは、好ましくは高引張強度繊維のみで製造される。本明細書で使用される場合、「繊維」は、長さ寸法が、幅及び厚さの横断寸法よりもはるかに大きい、ポリマー材料のストランドなどの、材料の長いストランドである。繊維は、「ステープル」又は「ステープル繊維」と当該技術分野において称されるストランドの短い区分よりもむしろ、長い、連続したストランドが好ましい。通常の定義による「ストランド」は、糸又は繊維などの単一の、薄い、長さのものである。本明細書で使用するための繊維の断面は、大きく異なってもよく、断面が円形、平坦、又は長円であってもよい。ストランドはまた、フィラメントの直線軸又は長手方向軸から突出している、1つ以上の規則的な又は不規則な突出部を有する、不規則な又は規則的な複数の突出部のある断面のものであってもよい。したがって、用語「繊維」は、規則的な又は不規則な断面を有する、フィラメント、リボン、ストリップ等を含む。単繊維は、1本のフィラメントだけから、又は複数のフィラメントから形成されてもよい。1本だけのフィラメントから形成された繊維は、本明細書では、「単一フィラメント」繊維、又は「モノフィラメント」繊維のいずれかと称され、複数のフィラメントから形成された繊維は、本明細書では、「マルチフィラメント」繊維と称される。本明細書で定義されるように、マルチフィラメント繊維としては、2~約3000フィラメント、より好ましくは2~1000フィラメント、更により好ましくは30~500フィラメント、更により好ましくは40~500フィラメント、更により好ましくは約40フィラメント~約240フィラメント、及び最も好ましくは約120~約240フィラメントが挙げられる。マルチフィラメント繊維はまた、多くの場合、当該技術分野において、繊維束又はフィラメントの束と称される。本明細書で使用される場合、用語「糸(yarn)」は、複数のフィラメントからなる単一ストランドとして定義され、「マルチフィラメント繊維」と交換可能に使用される。用語「靭性」は、応力を受けていない試料の、線密度(デニール)単位当たりの力(グラム)として表現される、引張強度を指す。用語「初期引張弾性率」は、引張の変化に対するデニール当たりの重力グラム(g/d)で表され、元の繊維/テープの長さ(インチ/インチ)の分数として表される、靭性の変化の比を指す。
【0014】
用語「デニール」は、9000メートルの繊維/糸当たりのグラムでの質量と等しい、線密度の単位である。この点については、各層を形成する繊維は、任意の好適なデニールのものであってもよい。例えば、繊維は、約50~約5000デニール、より好ましくは約200~約5000デニール、更により好ましくは約300~約3000デニール、最も好ましくは約350~約1000デニールのデニールを有してよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、繊維材料「層」は、一方向に配向されたか、又はランダムに配向された(例えば、フェルト)不織繊維の単一プライ、単一の一体型構造に圧密化されている不織繊維の複数のプライ、織布の単一プライ、単一の一体型構造に圧密化されている複数の織布プライ、編地の単一プライ、又は単一の一体型構造に圧密化されている複数の編地プライを含む、任意のタイプの単軸布又は多軸布を含み得る。この点については、「層」は、外側前/頂部(第1の)平面及び外側後/底部(第2の)平面を有する、概ね平面的な配置を説明している。本明細書で使用される場合、用語「繊維プライ」は、一方向に配向された繊維の単一の配列、単一の織布、単一の編地又は単一のフェルト布を指す。各繊維プライはまた、第1の表面及び第2の表面の両方を有し、複数の「繊維プライ」は、繊維構造の1つ以上のプライを説明している。一方向に配向された繊維の「単一プライ」は、一方向の、実質的に平行な配列に整列された繊維の配置を含む。このタイプの繊維配置はまた、当該技術分野において、「ユニテープ(unitape)」、「一方向テープ」、「UD」、又は「UDT」としても知られている。本明細書で使用される場合、「配列」は、織布及び編地を除く、繊維又は糸の規則正しい配置を説明し、「平行な配列」は、繊維又は糸の規則正しい、隣り合った、平面配向の平行な配置を説明している。「配向された繊維」との関係で使用される場合、用語「配向された」は、繊維の伸びよりはむしろ、繊維の整列方向を指す。用語「布」は、プライの圧密化/成形の有無にかかわらず、1つ以上の繊維プライを含み得る繊維構造を説明している。一方向繊維から形成された不織布は、典型的には、実質的に同一の広がりを持つ様式で互いに面と面で積層され、圧密化されている複数の不織繊維プライを含む。本明細書で使用されるとき、「単一層」構造は、複数のプライが、圧密化/成形技術によって合体されている、1つ以上の個々のプライで構成された任意のモノリシック繊維構造を指す。用語「複合材料」は、要素の組み合わせを指し、繊維の組み合わせ、繊維プライの組み合わせ、及び繊維層の組み合わせを指してもよく、各々が任意選択的にポリマー結合剤材料を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「低引張強度繊維」は、10g/デニール未満の靭性を有するものである。外側繊維材料層(12)の各プライは、繊維基層(14)の各プライを形成する繊維よりも低い引張強度を有する繊維から形成される。好ましい実施形態では、外側繊維材料層の繊維プライのそれぞれを形成する繊維のそれぞれは、好ましくは10g/デニール未満、より好ましくは約5g/デニール~約10g/デニールの靭性を有する、最も好ましくは7g/デニール未満、6g/デニール未満、又は5g/デニール未満の靭性を有する繊維である。より高い、又はより低い靭性の繊維はまた、その靭性が繊維基層を形成する繊維よりも低い場合、外側繊維材料層の形成において有用である。
【0017】
これらの靭性範囲内にある、外側繊維材料層の形成に好適な低靭性繊維としては、非限定的に、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、低靭性ポリオレフィン繊維、又はこれらの組み合わせが挙げられる。これらの繊維タイプのうち、ナイロン繊維が最も好ましい。かかる繊維から形成される布は、広範に市販されている。本明細書で使用するのに特に好適なものは、市販のミリタリーグレードのナイロン布(当該技術分野では、MIL規格ナイロン布とも称される)である。この点については、ミリタリーグレード又は「MIL規格」(ミリタリー規格)ナイロンは、米国政府に対する販売の条件を満たすために米軍によって定められた特定の基準を満たす布を指す。MIL-T-5038布、MIL-W-4088布、MIL-W-5625布、MIL-W-17337布、MIL-W-27065布、MIL-W-43668布、MIL-DTL-32439布、A-A-55301布、A-A-59403布、A-A-549403a布、MIL-C-3953布、MIL-C-7219布、MIL-C-10799布、MIL-C-12369布、MIL-C-43128布、MIL-C-43734布、MIL-C-43734D-Class 3布、MIL-C-43375布、及びForestry Service(5100-86)布を含む、いくつかの異なる仕様のナイロンウェビングが米国政府による使用条件を満たすとみなされおり、これらの全ては、本明細書において外側繊維材料層(12)を形成するために有用である。各MIL規格は、意図されるタイプの防護用途に応じた、糸デニール、布の織密度、及び布の目付等の特性に対する要件と共に、材料がタクティカルベスト/ベストカバー/プレートキャリア用途等、軍事用衣料用途で使用され得るときの特定の要件を示す。これらの一部はまた、軍の条件を満たすとみなされる、特定の偽装着色法を指定する。本開示の好ましい実施形態において、外側繊維材料層は、MIL-DTL-32439仕様に準拠する市販のナイロン布を含む。
【0018】
外側繊維材料層の形成に特に有用である、1つの従来周知のタイプのMIL規格ナイロン布は、CORDURA(登録商標)ブランドのナイロン布であり、これは、Invista North America S.A R.L.(デラウエア州ウィルミントン)(少なくとも軍用規格MIL-W-43668/A-A-55301に分類される)から市販される。下記で更に詳細に考察されるように、かかる市販のナイロン布は、場合によっては、撥水性ポリウレタン等の、撥水性樹脂が少なくとも1つの表面にコーティングされるが、このコーティングは任意選択的であり、通常、関連するMIL規格で記される。好ましいナイロン布は、低デニールのリップストップ生地(およそ30~100デニール)~高デニールのバリスティック生地(およそ400~1500デニール)の範囲のデニール及び重量の範囲で入手可能である。外側繊維材料に特に好ましい繊維は、400~2000デニール、より好ましくは約500~約1500デニール、最も好ましくは約500~約1000デニールのデニールを有するナイロン繊維である。
【0019】
本明細書で使用される場合、繊維基層(14)を形成するために有用である「高引張強度」繊維は、各々ASTM D2256によって測定された、少なくとも10g/デニールの靭性、少なくとも約150g/デニール以上の初期引張弾性率、及び少なくとも約8J/g以上の破断エネルギーを有するものである。好ましい高引張強度繊維は、少なくとも約15g/デニール、より好ましくは少なくとも約20g/デニール、更により好ましくは少なくとも約27g/デニールの靭性、より好ましくは約28g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは約33g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは39g/デニール以上、更により好ましくは少なくとも39g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは40g/デニール以上、更により好ましくは43g/デニール以上、又は少なくとも43.5g/デニール、更により好ましくは約45g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは少なくとも45g/デニール、少なくとも約48g/デニール、少なくとも約50g/デニール、少なくとも約55g/デニール、又は少なくとも約60g/デニールの靭性を有する。
【0020】
この点については、繊維基層(14)を形成する繊維の大部分又は全てが、外側繊維材料層(12)を形成する繊維の大部分又は全てよりも実質的に大きい靭性(例えば、好ましくは少なくとも2倍)を有する。「大部分又は全て」とは、繊維基層を形成する繊維の50%よりも多くが、外側繊維材料層を形成する繊維の少なくとも50%の靭性よりも大きい靭性を有することを意味する。最も好ましくは、繊維基層の繊維の全ては、外側繊維材料層の繊維の全てよりも大きい靭性を有する繊維である。この点については、外側繊維材料層及び繊維基層のそれぞれを形成する繊維は、繊維プライ若しくは区画のいずれかを縫い合わせる、又はこれらを一緒に縫合するために用いられてよい任意の繊維又は糸を除外する。
【0021】
繊維基層の繊維プライを形成するための好適な高靭性繊維は、非限定的に、高分子量ポリエチレン繊維、特に超高分子量ポリエチレン(ultra-high molecular weight polyethylene、UHMW PE)繊維、及びポリプロピレン繊維等の、ポリオレフィン繊維が挙げられる。また好適なものは、アラミド繊維、特にパラアラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、伸びきり鎖ポリビニルアルコール繊維、伸びきり鎖ポリアクリロニトリル繊維、ポリベンゾオキサゾール(polybenzoxazol、PBO)繊維、ポリベンゾチアゾール(polybenzothiazole、PBT)繊維、液晶コポリエステル繊維、電気グレード繊維ガラス(Eガラス、良好な電気特性を有する低アルカリホウケイ酸ガラス)、構造グレードの繊維ガラス(Sガラス、高強度マグネシア-アルミナ-ケイ酸塩)、及び抵抗グレードの繊維ガラス(Rガラス、酸化マグネシウム又は酸化カルシウムを含まない高強度アルミノケイ酸塩ガラス)を含む、M5(登録商標)繊維等の剛性ロッド繊維である。これらの繊維タイプの各々は、当該技術分野で従来既知である。また、ポリマー繊維を製造するために好適なのは、コポリマー、ブロックポリマー、及び上記の材料のブレンドである。
【0022】
最も好ましい高靭性繊維タイプは、ポリエチレン繊維(特に伸びきり鎖ポリエチレン繊維)、アラミド繊維、PBO繊維、液晶コポリマー繊維、ポリプロピレン繊維(特に高配向性伸びきり鎖ポリプロピレン繊維)、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、繊維ガラス、及び剛直棒状繊維、特にM5(登録商標)剛直棒状繊維である。特に最も好ましいのは、超高分子量ポリエチレン繊維及びパラアラミド繊維である。
【0023】
ポリエチレンの場合、好ましい繊維は、少なくとも300,000、好ましくは少なくとも100万、及びより好ましくは200万~500万の分子量を有する、伸びきり鎖ポリエチレンである。かかる伸びきり鎖ポリエチレン(extended chain polyethylene、ECPE)繊維は、参照として本明細書に援用される、米国特許第4,137,394号若しくは同第4,356,138号に記載されているような溶液紡糸プロセスで成長され得るか、又はその全てが参照により本明細書に援用される、米国特許第4,413,110号、同第4,536,536号、同第4,551,296号、同第4,663,101号、同第5,006,390号、同第5,032,338号、同第5,578,374号、同第5,736,244号、同第5,741,451号、同第5,958,582号、同第5,972,498号、同第6,448,359号、同第6,746,975号、同第6,969,553号、同第7,078,099号、同第7,344,668号、及び米国特許出願公開第2007/0231572号に記載されているようなゲル構造を形成するための溶液から紡績され得る。特に好ましい繊維タイプは、Honeywell International Inc.よりSPECTRA(登録商標)の商標で販売されているUHMW PEポリエチレン繊維のいずれかである。SPECTRA(登録商標)繊維は、当該技術分野において周知である。他の有用なポリエチレン繊維タイプとしてはまた、Royal DSM N.V.Corporation(ヘールレン、オランダ)から市販されているDYNEEMA(登録商標)UHMW PE糸が挙げられる。
【0024】
UHMW PE繊維を形成するために特に好ましい方法は、最も好ましくは繊維がマルチフィラメント繊維である、少なくとも39g/デニールの靭性を有するUHMW PE繊維を製造可能なプロセスである。最も好ましいプロセスとしては、共同所有された米国特許第7,846,363号、同第8,361,366号、同第8,444,898号、同第8,747,715号、並びに米国特許出願公開第2011-0269359号に記載されているものが挙げられ、その開示内容が参照により本明細書と首尾一貫した範囲で本明細書に援用される。かかるプロセスは、「ゲル紡糸」プロセス」又は「溶液紡糸」プロセスと称され、超高分子量ポリエチレンの溶液及び溶剤が形成され、続いて溶液をマルチオリフィス紡糸口金に通して押出して溶液フィラメントを形成し、溶液フィラメントをゲルフィラメントに冷却し、溶剤を抽出して乾燥フィラメントを形成する。これらの乾燥フィラメントは、当該技術分野において繊維又は糸のいずれかとして称される、束に寄せ集められる。次いで、繊維/糸は、最大引き延ばし限度まで延伸されて(引き延ばされて)靭性を高める。
【0025】
好ましいアラミド(芳香族ポリアミド)繊維は周知であり、市販されており、例えば、米国特許第3,671,542号に記載されている。例えば、有用なアラミドフィラメントは、KEVLAR(登録商標)の商標でDuPontによって商業的に製造されている。また、本明細書で有用なのは、DuPont(デラウェア州ウィルミントン)によってNOMEX(登録商標)の商標で商業的に製造されているポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)繊維、Teijin Aramid Gmbh(ドイツ)によってTWARON(登録商標)の商標で商業的に製造されている繊維、Kolon Industries,Inc.(韓国)によってHERACRON(登録商標)の商標で商業的に製造されているアラミド繊維、Kamensk Volokno JSC(ロシア)によって商業的に製造されているp-アラミド繊維SVM(商標)及びRUSAR(商標)、並びにJSC Chim Volokno(ロシア)によって商業的に製造されているARMOS(商標)p-アラミド繊維である。
【0026】
好適なPBO繊維は、市販されており、例えば、各々が参照として本明細書に援用される、米国特許第5,286,833号、同第5,296,185号、同第5,356,584号、同第5,534,205号、及び同第6,040,050号に開示されている。好適な液晶コポリエステル繊維は、市販されており、例えば、米国特許第3,975,487号、同第4,118,372号、同第4,161,470号に開示されており、各々が参照により本明細書に援用され、Kuraray Co.,Ltd.(東京、日本)から市販されているVECTRAN(登録商標)液晶コポリエステル繊維を含む。好適なポリプロピレン繊維は、参照として本明細書に援用される米国特許第4,413,110号に記載のような、高配向性伸びきり鎖ポリプロピレン(extended chain polypropylene、ECPP)繊維が挙げられる。好適なポリビニルアルコール(PV-OH)繊維は、例えば、参照として本明細書に援用される米国特許第4,440,711号及び同第4,599,267号に記載されている。好適なポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)繊維は、例えば、参照として本明細書に援用される米国特許第4,535,027号に開示されている。これらの繊維タイプの各々は、従来既知であり、広く市販されている。M5(登録商標)繊維は、ピリドビスイミダゾール-2,6-ジイル(2,5-ジヒドロキシ-p-フェニレン)から形成され、これは最近Magellan Systems International(バージニア州リッチモンド)によって製造され、例えば、各々が参照として本明細書に援用される米国特許第5,674,969号、同第5,939,553号、同第5,945,537号、及び同第6,040,478号に記載されている。用語「剛直棒状」繊維は、かかるピリドビスイミダゾール系繊維タイプに限定されず、多くのPBO及びアラミド繊維の品種が、多くの場合剛直棒状繊維と称される。市販のガラス繊維は、AGY(サウスカロライナ州エイキン)より市販のS2-ガラス(登録商標)S-ガラス繊維、3B Fibreglass(ベルギー、バティス)より市販のHiPerTex(商標)E-ガラス繊維、及びSaint-Gobain(フランス、クールブヴォア)からのVETROTEX(登録商標)R-ガラス繊維が挙げられる。
【0027】
外側繊維材料層の低靭性繊維及び繊維基層の高靭性繊維の両方は、任意の好適なデニールであってもよい。低靭性繊維のための好ましい繊維デニールは、約400~約2000デニール、より好ましくは約500~約1500デニール、最も好ましくは約500デニール~約1000デニールである。500又は1000のデニールを有するナイロン繊維は、特に好ましい低靭性繊維である。高靭性繊維の好ましい繊維デニールは、約50~約5000デニール、より好ましくは約200~5000デニール、更により好ましくは約300~約3000デニール、最も好ましくは約350~約1000デニールであってもよく、375デニール及び400デニールのUHMWポリエチレン繊維又はパラアラミド繊維が、最も好ましい高靭性繊維である。
【0028】
従来の繊維の代替として、外側繊維材料層(12)を形成するプライの各々、及び繊維基層(14)を形成するプライの各々は、例えば、その開示内容が参照により本明細書と首尾一貫した範囲で本明細書に援用される、共同所有された米国特許8,263,119号、同第8,697,220号、同第8,685,519号、同第8,852,714号、同第8,906,485号、同第9,138,961号、同第9,291,440号に記載されるように、繊維を圧縮することによって形成される繊維テープを独立して含んでもよい。この点については、用語「テープ」は、その幅よりも大きい長さ、及び少なくとも約3:1の平均断面アスペクト比、すなわち、テープ物品の長さ全体の平均断面の最大寸法対最小寸法の比を有する材料の、平坦で、細い、モノリシックストリップを指す。繊維のように、テープは、好ましくは約50~約30,000デニール、より好ましくは約200~10,000デニール、更により好ましくは約650~約2000デニール、最も好ましくは約800~約1500デニールのデニールを有する、任意の好適なデニールのものであってもよい。本開示の材料が従来の繊維ではなくテープから形成されるとき、材料は、テープ自体が繊維であるため、依然として繊維とみなされる。
【0029】
本開示の繊維材料のそれぞれは、一方向に配向された繊維から形成された織布、不織布、ランダムに配向された繊維から形成された不織フェルト布、又は編地を含む、単軸又は多軸布のいずれかのタイプを個々に含み得る。
【0030】
織布は、平織り、千鳥綾織り、バスケット織り、朱子織り、綾織り、三次元織布、及びそれらのいくつかの変形のいずれかなどの、任意の布の織り方を使用する当該技術分野において周知である技術を使用して形成され得る。横糸の繊維が縦糸(経糸(fill))繊維に対して垂直に配向された、直交した0°/90°配向に繊維が共に織られる平織りが、最も一般的であり、かつ好ましい。
【0031】
編布構造は、4つの主なタイプがトリコット、ラッシェル、ネット、及び配向構造である噛み合ったループで構成された構造である。ループ構造の性質のために、最初の3つの分類の編物は、繊維の強度の利点を十分に生かせないため、好適ではない。しかしながら、配向された編物構造は、微細なデニールの編目によって所定の位置に保持された、まっすぐに編み込まれた糸を使用する。繊維は、糸の交錯効果のために、織布に見られるクリンプの影響がなく、非常にまっすぐである。これらの撚られた糸は、技術的な要件に依存して、単軸、二軸、又は多軸方向に配向されることができる。耐荷重性の糸に撚るために使用される特定の編み器は、糸が貫通されないものが好ましい。
【0032】
不織一方向繊維プライ構造はまた、当該技術分野において従来のものであり、その製造方法もまた従来のものである。かかる従来の方法は、不織一方向構造を有することが所望される、本開示の繊維プライの全て又はいずれかの製造に用いられてよい。例えば、不織一方向繊維プライを形成する好ましい方法では、複数の繊維は配列に配置され、通常、実質的に平行な一方向配列に整列された複数の繊維を含む繊維フェブとして配置される。典型的なプロセスでは、繊維束は、クリールから供給され、ガイド及び1つ以上のスプレッダバーを通り、平行化櫛(collimating comb)へと誘導される。典型的には、続いてポリマー結合剤材料で繊維をコーティングする。典型的な繊維束は、個々の繊維を約30~約2000有するであろう。スプレッダバー及び平行化櫛は、束にされた繊維を、分散し、広げ、平面配向の様式で隣り合わせに再編する。理想的な繊維の広がりは、個々のフィラメント又は個々の繊維が、単一繊維平面に互いに隣り合って位置され、繊維が互いに重なり合うことなく、実質的に一方向の平行な繊維の配列を形成することをもたらす。
【0033】
フェルトはまた、当該技術分野において周知のいくつかの技術のうちの1つによって形成されてよい。フェルトは、ランダムに配向された繊維、好ましくは少なくとも一方が不連続繊維、好ましくは約0.25インチ(0.64cm)~約10インチ(25.4cm)の範囲の長さを有する短繊維の不織網目構造である。従来の方法としては、カーディング、流体積層(fluid laying)、メルトブロー、及びスピン積層が挙げられる。
【0034】
外側繊維材料層及び繊維基層は各々、互いに対して繊維構造(すなわち、織布、不織布、又はニット)において、同じであっても異なっていてもよい。最も好ましくは、外側繊維材料層の全ての繊維プライ及び繊維基層の全てのプライは、織布繊維プライであり、最も好ましい実施形態では、外側繊維材料層及び繊維基層は各々、1プライの織布繊維を独立して含むか、本質的になるか、又はそれのみからなる。
【0035】
「丁数(pick count)」又は「メッシュ数」として当該技術分野において既知である、縦糸及び横糸(緯糸)繊維の数は、織布繊維の密度の尺度である。平織布は、等しいか、又は等しくない数の横糸及び縦糸の数を有し得る。この点については、好ましい織布外側繊維材料層は、横糸及び縦糸方向の各々においてインチ当たり約20端部~インチ当たり約80端部、より好ましくは横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約25端部~インチ当たり約70端部、最も好ましくは横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約25端部~インチ当たり約60端部の好ましい丁数を有するものである。好ましい織布繊維基層は、横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約15端部の縦の丁数~インチ当たり約70端部の縦の丁数、より好ましくは横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約20端部の縦の丁数~インチ当たり約60端部の縦の丁数、より好ましくは横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約20端部の縦の丁数~インチ当たり約50端部の縦の丁数、及び最も好ましくは横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約25端部の縦の丁数~インチ当たり約40端部の縦の丁数の丁数を有するものである。最も好ましい実施形態では、外側繊維材料層(12)は、約500~1000デニールのデニールを有するナイロン繊維から形成された織布ナイロン布の1つ以上のプライを含み、各々が1インチ当たり少なくとも26本の繊維/糸端部×1インチ当たり26本の繊維/糸端部の平織り密度を有し、繊維基層(14)は、約200~500デニールのデニールを有する高靭性UHMW PE繊維から形成された織布ポリエチレン布の1つ以上のプライを好ましくは含み、各々が1インチ当たり少なくとも32本の繊維/糸端部×1インチ当たり少なくとも32本の繊維/糸端部の平織り密度を有する。
【0036】
本開示の各繊維層を形成する繊維(又はテープ)は、任意選択的に少なくとも部分的にポリマー結合剤材料でコーティングされ得る。ポリマー結合剤材料はまた、当該技術分野において、一般にポリマー「マトリックス」材料と称される。これらの用語は、従来当該技術分野において周知であり、その固有の接着特性によって又は周知の加熱及び/若しくは圧力条件を受けた後のどちらかで繊維を結合する材料を説明する。本明細書で使用される場合、「ポリマー」結合剤材料又は「ポリマー」マトリックス材料は、樹脂及びゴムを含む。ポリマー結合剤/マトリックス材料が存在する場合、これらは、繊維層を形成する個々のフィラメント/繊維を部分的に、又は実質的にのいずれかでコーティングし、好ましくは、繊維プライ若しくは繊維層を形成する個々のフィラメント/繊維の各々を十分にコーティングする(90%よりも大きい表面積を覆う)、又は繊維プライ若しくは繊維層を形成する個々のフィラメント/繊維の各々を完全に封入する。繊維層が非圧縮繊維ではなくテープを含むとき、結合剤は、より少量で使用されてもよく、テープの実質的なコーティング又は封入は必要ではないか、又は好ましくない。
【0037】
好適なポリマー結合剤材料は、低引張弾性、すなわちエラストマー材料、及び高引張弾性材料の両方を含む。本明細書を通して使用される場合、引張弾性率という用語は、ポリマー結合剤材料がASTM D638によって測定された場合の、弾性の係数を意味する。低又は高弾性率結合剤は、様々なポリマー及び非ポリマー材料を含んでもよい。本開示の目的として、低弾性率エラストマー材料は、ASTM D638試験手順に従って、約6,000psi(41.4MPa)以下で測定された引張弾性率を有する。低弾性率ポリマーは、好ましくは、約4,000psi(27.6MPa)以下、より好ましくは約2400psi(16.5MPa)以下、更により好ましくは1200psi(8.23MPa)以下、及び最も好ましくは約500psi(3.45MPa)以下の引張弾性率を有するエラストマーである。低弾性率エラストマー材料のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは約0℃未満、より好ましくは約-40℃未満、最も好ましくは約-50℃未満である。低弾性率エラストマー材料はまた、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%、最も好ましくは少なくとも約300%の好ましい破断伸びを有する。低弾性率材料か高弾性率材かにかかわらず、着色剤に加えて、ポリマー結合剤はまた、カーボンブラック若しくはシリカなどの充填材を含んでもよいか、油で増量されてもよいか、又は当該技術分野において周知であるように硫黄、過酸化物、金属酸化物若しくは放射線硬化系によって加硫されてもよい。
【0038】
低弾性率ポリマー結合剤として、多種多様な材料及び処方が用いられてよい。代表例としては、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、ポリスルフィドポリマー、ポリウレタンエラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリクロロプレン、可塑化ポリ塩化ビニル、ブタジエンアクリロニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン-co-イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、フルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、エチレンのコポリマー、ポリアミド(いくつかの繊維タイプと共に使用するのに有用な)、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、及びそれらの組み合わせ、並びに繊維の融点未満で硬化可能な他の低弾性率ポリマー及びコポリマーが挙げられる。また有用なのは、異なるエラストマー材料のブレンド、又は1つ以上の熱可塑性物質とエラストマー材料とのブレンドである。
【0039】
特に有用なのは、共役ジエンとビニル芳香族モノマーとのブロックコポリマーである。ブタジエン及びイソプレンが、好ましい共役ジエンエラストマーである。スチレン、ビニルトルエン、及びt-ブチルスチレンが、好ましい共役芳香族モノマーである。ポリイソプレンを組み込んだブロックコポリマーを水素化して、飽和炭化水素エラストマーのセグメントを有する熱可塑性エラストマーを製造してもよい。ポリマーは、タイプA-B-Aの単純な三元ブロックコポリマー、タイプ(AB)(n=2~10)の多元ブロックコポリマー、又はタイプR-(BA)(x=3~150)の放射状に構成されたコポリマーであってもよく、式中、Aが、ポリビニル芳香族モノマーからのブロックであり、Bが、共役ジエンエラストマーからのブロックである。これらのポリマーの多くは、Kraton Polymers(Houston,TX)によって商業的に製造されており、KRATON(登録商標)の商標で販売されている低弾性率ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンブロックコポリマーなどである。また有用なのは、ドイツ、デュッセルドルフを本拠地とするHenkel TechnologiesよりPRINLIN(登録商標)の商標で市販されている、スチレン-イソプレン-スチレン(styrene-isoprene-styrene、SIS)ブロックコポリマーの樹脂分散液である。
【0040】
高弾性率の剛性材料は、一般に、6,000psiよりも大きい初期引張弾性率を有する。有用な高弾性率の剛性ポリマー結合剤材料としては、ポリウレタン(エーテル及びエステル系の両方)、エポキシ、ポリアクリレート、フェノール/ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral、PVB)ポリマー、ビニルエステルポリマー、スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、並びにビニルエステルとジアリルフタレート、又はフェノールホルムアルデヒドとポリビニルブチラールなどのポリマーの混合物が挙げられる。また有用なのは、メチルエチルケトンなどカーボン-カーボン飽和溶剤に溶解する熱硬化性ポリマーであり、ASTM D638によって測定された場合、少なくとも約1×10psi(6895MPa)での硬化時に高引張弾性率を有する。また有用なのは、参照として本明細書に援用される、米国特許第6,642,159号に記載の結合剤材料である。
【0041】
最も具体的に好ましい結合剤ポリマーは、極性樹脂又は極性ポリマー、特に、約2,000psi(13.79Mpa)~約8,000psi(55.16Mpa)の範囲の引張弾性率で、軟質及び硬質材料の両方の範囲内のポリウレタンである。好ましいポリウレタンは、最も好ましくは共溶媒を含まないが、必ずしもそうではない、水性ポリウレタン分散液として塗布される。そのようなものとしては、水性アニオン性ポリウレタン分散液、水性カチオン性ポリウレタン分散液、及び水性非イオン性ポリウレタン分散液が挙げられる。特に好ましいのは、水性アニオン性ポリウレタン分散液、肪族ポリウレタン水分散液であり、最も好ましいのは、水性アニオン、脂肪族ポリウレタン水分散液であり、これらの全ては、好ましくは無共溶媒分散液である。そのようなものとしては、水性アニオン性ポリエステル系ポリウレタン分散液、水性脂肪族ポリエステル系ポリウレタン分散液、及び水性アニオン、脂肪族ポリエステル系ポリウレタン分散液が挙げられ、それらの全てが、好ましくは無共溶媒分散液である。そのようなものはまた、水性アニオン性ポリエーテルポリウレタン分散液、水性脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン分散液、及び水性アニオン、脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン分散液も挙げられ、それらの全てが、好ましくは無共溶媒分散液である。同様に好ましいのは、水性カチオン性及び水性非イオン性分散液の全ての対応するバリエーション(ポリエステル系、脂肪族ポリエステル系、ポリエーテル系、脂肪族ポリエーテル系など)である。最も好ましいのは、約700psi以上、特に好ましい範囲で700psi~約3000psiの100%伸びでの弾性率を有する脂肪族ポリウレタン分散液である。より好ましいのは、約1000psi以上の、更により好ましくは約1100psi以上の100%伸びでの弾性率を有する脂肪族ポリウレタン分散液である。最も好ましいのは、1000psi以上、より好ましくは1100psi以上の弾性率を有する脂肪族ポリエーテル系アニオン性ポリウレタン分散液である。
【0042】
本開示の繊維層が結合剤を含む場合、特定の繊維層を含む結合剤の総重量は、繊維の重量に結合剤の重量を加えた重量の好ましくは約2重量%~約50重量%、より好ましくは約5重量%~約30重量%、より好ましくは約7重量%~約20重量%、最も好ましくは約14重量%~約20重量%を含む。織布及び編地の繊維層にはより低い結合剤含有量が適しており、繊維の重量に結合剤を加えた重量の0重量%よりも大きいものの、10重量%未満のポリマー結合剤含有量が、通常最も好ましいが、これは、厳密に制限することを意図するわけではない。例えば、フェノール/PVB含浸アラミド織布は、約20%~約30%のより高い樹脂含有量で製造されることがあるが、通常、約12%の含有量が好ましい。この点については、布の織り又は編みは、通常、織布の繊維をポリマー結合剤でコーティングする前に実行され、その後、布に結合剤が含浸される。
【0043】
ポリマー結合剤材料を繊維に塗布し、それによって浸透繊維材料プライ/層を形成するための方法は、周知であり、当業者によって容易に決定される。用語「含浸される」は、本明細書において、ポリマーコーティングが「組み込まれる」、「コーティングされる」、又は別様に塗布される(ポリマー材料は繊維プライ/層に分散し、プライ/層表面に存在するだけではない)と同義であるとみなされる。ポリマー結合剤材料の塗布には任意の適切な塗布方法が用いられてよく、「コーティングされた」などの用語の特定の使用は、フィラメント/繊維に塗布される方法を制限することを意図するものではない。有用な方法には、例えば、ポリマー又はポリマー溶液の繊維への吹き付け、押出し、パッドコーティング、ディップコーティング、又はロールコーティング、並びに溶融ポリマー又はポリマー溶液を通しての繊維の搬送が挙げられる。最も好ましいのは、個々の繊維のそれぞれを十分にコーティングする、又は封入し、ポリマー結合剤材料で繊維の表面積の全体又は実質的に全体を被覆する方法である。
【0044】
外側繊維材料層及び繊維基層の各々を形成する繊維プライ構造体が、一方向不織布、フェルト不織布、織布、編物、又はこれらの組み合わせであるか、単一の繊維層構成要素(例えば、外側繊維材料層又は繊維基層)が、複数の合体された繊維プライを含むとき、プライは、当該技術分野における従来の方法に従って共に合体されてもよい。この点については、選択された繊維プライのタイプの複数の単一プライは、同一の広がりを持つ様式で互いの上に積層され、共に合体、すなわち圧密化される。特定の繊維層がフェルト不織布、織布又は編物繊維プライを含むとき、各繊維層は、好ましくは約1~約100の繊維プライ、より好ましくは約2~約20の繊維プライ、最も好ましくは約2~約10の繊維プライを含む。繊維層が、複数の一方向不織繊維プライを含むとき、典型的には、複数のかかるプライは、まず、2プライ又は4プライの一方向不織繊維「プリプレグ」又は「プリプレグ層」に形成され、次に、複数のかかる「プリプレグ」又は「プリプレグ層」に組み合わされて、繊維層が形成される。通常、各プリプレグは、典型的には0°/90°に交差して重ねられている2~約6の繊維プライを含むが、様々な用途に対して所望されるように、各プリプレグが好ましくは0°/90°配向で交互に交差して重なっている、多くとも約10~約20の繊維プライを含み得る。繊維層がかかる不織一方向繊維「プリプレグ」を含むとき、好ましくは1~約100のプリプレグ、より好ましくは約2~約20のプリプレグ、最も好ましくは約2~約10のプリプレグを含み、その各々が、2つの一方向プライを好ましくは含む。各プリプレグを形成するプライは、ポリマー結合剤と共に典型的に合体される。
【0045】
特に複数の一方向不織繊維プライを含む繊維層に関して、各繊維プライ中で一方向に配向された繊維が、各隣接するプライの繊維の長手方向に対して非平行の繊維長手方向に配向されるように、互いの上に個々の繊維プライを同一の広がりを持って積層することが、当該技術分野において従来周知である。最も典型的には、繊維プライは0°及び90°の角度に交差して重ねられ、偶数番号層の繊維の角度が実質的に同一であることが好ましく、また奇数番号層の繊維の角度が実質的に同一であることが好ましいが、隣接するプライは別のプライの長手方向の繊維方向に対して約0°~約90°の間の実質上任意の角度に整列させることができる。例えば、5プライ不織構造は、0°/45°/90°/45°/0°、又は他の角度で配向されたプライを有し得る。このような回転された一方向アライメントは、例えば、本明細書と矛盾しない範囲を参照することにより本明細書に援用される、米国特許第4,457,985号、同第4,748,064号、同第4,916,000号、同第4,403,012号、同第4,623,574号、及び同第4,737,402号に記載されている。特に1つ以上の織布繊維プライを含む繊維材料に関して、通常、単一の繊維材料を形成する横糸及び縦糸成分繊維もまた、互いに対して直交して配向される。
【0046】
外側繊維材料層(12)及び繊維基層(14)の各々における繊維プライの総数は、異なるものであってもよく、又は互いに対して同じであってもよく、層は任意の好適な厚さであってもよい。更に、複数のプライが圧密化される場合、各個々の繊維層の個々のプライはまた、単一の圧密化又は成形(すなわち、高圧圧密化)工程前は圧密化されていない状態のままであり得、複数の圧密化されていない繊維層を単一工程において本開示の接着システムと組み合わせてもよく、又は代替的に、各層は、一体型物品への区画の集合的な圧密化の前に予圧密化されてもよい。
【0047】
繊維層の各々における繊維プライの数は、任意のポリマー結合剤/マトリックスの存在と同様に、各層の面密度に影響を及ぼすであろう。好ましい実施形態では、本開示の各繊維層が、約400g/m以下、より好ましくは約300g/m以下、更により好ましくは約200g/m以下、更により好ましくは約150g/m以下、更により好ましくは約125g/m以下、更により好ましくは約115g/m以下、更により好ましくは約110g/m以下、更により好ましくは約105g/m以下、更により好ましくは約100g/m以下、更に最も好ましくは約95g/m以下の面密度を有することが好ましく、最も好ましい面密度は、約10g/m~約95g/m、又は約15g/m~約95g/m、又は約30g/m~約95g/mの範囲である。
【0048】
任意のマトリックスを有する繊維層の積層体が、積層体の構成要素をモノリシック要素に合体するように圧密化されるとき、圧密化は、乾燥、冷却、加熱、又はこれらの組み合わせを介して、圧力を用いて又は伴わずに実施され得る。加圧された圧密化が、層の最適な結合のために好ましい。加熱及び圧力下での合体は、米国特許第6,642,159号に記載されている方法によって等、周知の方法を使用して実行される。この点については、圧密化は、約50℃~約175℃、好ましくは約105℃~約175℃の範囲の温度にて約5psig(0.034MPa)~約2500psig(17MPa)の圧力で、約0.01秒~約24時間、好ましくは約0.02秒~約2時間行われてよい。加熱時には、存在するポリマー結合剤コーティングを完全に融解せずに固着させる、又は流出させることが可能である。一般に、ポリマー結合剤材料が融解させられる場合、複合材料の形成には比較的小さい圧力が必要であり、結合剤材料が固着点までしか加熱されない場合、通常、より多くの圧力が必要になる。当該技術分野において従来既知であるように、圧密化は、カレンダーセット、平台型ラミネータ、プレス、又はオートクレーブで行われてもよい。圧密化はまた、真空下に置かれた金型内で材料を真空成形することによって行われてもよい。真空成形技術は、当該技術分野において周知である。最も一般的には、複数の直交する繊維ウェブを、結合剤ポリマーと共に「接着」し、平台型ラミネータを通過させて結合の均一性及び強度を改善する。
【0049】
圧密化はまた、より高い圧力条件下で実施されてもよく、プロセスは、多くの場合、当該技術分野において「成形」と呼ばれる。繊維プライの高圧合体は、好適な成形装置内での加熱及び圧力下で、約50psi(344.7kPa)~約5,000psi(34,470kPa)、より好ましくは約100psi(689.5kPa)~約3,000psi(20,680kPa)、最も好ましくは約150psi(1,034kPa)~約1,500psi(10,340kPa)の圧力で成形することにより達成されてよい。成形は、約5,000psi(34,470kPa)~15,000psi(103,410kPa)、より好ましくは約750psi(5,171kPa)~5,000psi、及び、より好ましくは約1,000psi~5,000psiの高圧で交互に行われてよい。成形工程は、約4秒~約45分かかってもよい。好ましい成形温度は、約200°F(~93℃)~約350°F(~177℃)の範囲であり、より好ましくは約200°F~約300°Fの温度、及び最も好ましくは約200°F~約280°Fの温度である。繊維プライが成形される圧力は、結果として生じる成形製品の剛性又は可撓性に直接影響を与える。特に、成形される圧力がより高いと、剛性はより高くなり、その逆も成立する。成形圧に加えて、繊維プライの量、厚さ、及び組成、並びにポリマー結合剤コーティングのタイプも、複合材料の剛性に直接的に影響する。
【0050】
上記に記載の成形及び圧密化技術の各々は同様であり、用語は多くの場合、当該技術分野において互換性をもって使用されるが、本明細書で使用される場合は特に、「成形」はバッチプロセスにおいて繊維プライ/層を共に結合することによって圧密化する方法を指し、一方で「圧密化」は、ほぼ連続したプロセスにおいて繊維プライ/層を共に結合することによって合体する方法を指す。更に、成形は、典型的には成形型(ある形状にした成形型又は平面パネルを成形する際のマッチダイ(match-die)型)の使用を伴い、必ずしも平面的製品をもたらさない。圧密化は、通常、フラットベッドラミネータ内、ダブルベルト又はスチールベルトプレス機内、カレンダーニップセット内において、又は湿式ラミネーションによって行われ、柔軟な(可撓性)身体防護布を製造する。加えて、成形は、通常、比較的高圧下で実行され、圧密化は、上述したように比較的低圧下で実行される。しかしながら、これは、厳密に制限することを意図するわけではなく、真空成形又はオートクレーブ成形など成形手順は、当業者によって決定されるように比較的低圧で実行されることが多い。いずれかのプロセスでは、好適な温度、圧力及び時間は、一般に、ポリマー結合剤コーティング材料のタイプ、ポリマー結合剤含有量、使用されるプロセス及び繊維のタイプに依存する。
【0051】
本開示に従って、図1に例解されるように(縮尺に合わせて図示せず)、外側繊維材料層(12)の表面(20)と繊維基層(14)の表面(22)との間に、少なくとも1つの中間層(16)が位置決めされる。図1は複数の別個の層(16)を示すことはなく、参照番号(16)は、1つ以上の中間層(16)を含み得る中間区分を単に表示する。
【0052】
中間層(複数可)は、相溶化接着スクリム、相溶化接着ポリマー層、及び撥水剤のうちの少なくとも1つを含む。本明細書で使用される場合、接着「スクリム」は、開放/多孔質構造を指し、接着網及び接着メッシュ等の構造を含む。そのようなスクリム形態の接着剤は、ポリウレタンスクリム等で市販されている。更に、本明細書で使用される場合、接着「層」は、連続接着フィルム、並びに接着粉末又はスプレー式の接着材料の用途から形成された連続的又は非連続的なコーティングを含む。本開示の文脈において、「相溶化」接着は、それが付着する材料の両方と少なくとも部分的に化学的に適合するポリマー材料を指す。より具体的には、相溶化接着剤は、少なくとも2つの異なるモノマー成分を有するコポリマーのいずれかであり、1つのモノマー成分は、それが接触する1つの表面に対して強い化学親和性を有し(すなわち、ASTM D1876によって決定される際、少なくとも1.5ポンド/インチの剥離強度を有する、強力結合を形成する)、別のモノマー成分は、それが接触する他の表面に対して強力な化学親和性を有する。このようなコポリマーとしては、セグメント化コポリマー及びランダムコポリマーが挙げられ、特定のタイプのポリマーは、付着した接着剤及びそれらが最も相溶性がある接着剤のタイプに応じて選択される。
【0053】
この点については、接着ポリマー層に対して好適な接着剤としては、架橋ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン-プロピレンコポリマー及びエチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate、EVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methyl methacrylate、PMMA)、ポリプロピレン、プロピレンコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、ポリスルフィドポリマー、熱可塑性ポリウレタン及びポリウレタンエラストマー、ポリクロロプレン、当該技術分野において周知の1種以上の可塑剤(ジオクチルフタレートなど)を使用した可塑化ポリ塩化ビニル、ブタジエンアクリロニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン-コ-イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、不飽和ポリエステル、ポリエーテル、ポリブチルラジカル、及びスチレン-イソプレン-スチレン、又はスチレン-ブタジエン-スチレンタイプなど、を含む、ポリエチレン接着剤並びにエチレンのコポリマーが非限定的に挙げられる。また、その開示内容が参照により本明細書と首尾一貫した範囲で本明細書に援用される、米国特許第8,980,430号に記載されている、ポリ(エステル-ウレタン)コポリマーも好適であり、並びにその開示内容が参照により本明細書と首尾一貫した範囲で本明細書に援用される、米国特許第6,887,334号に記載されているものも好適である。
【0054】
相溶化接着剤がコポリマーではなくホモポリマーを含むとき、ホモポリマーは、無水マレイン酸などの粘着付与剤又は他の相溶化剤、若しくはメタクリル酸等のカルボン酸で改質され、又は組み合わされるべきである。本明細書で使用される場合、「粘着付与剤」は、化学結合を形成することなく接着剤のべたつき又は粘着性を改善する材料を説明することを意図する。好適な粘着付与剤としては、テルペン系ポリマー、クマロン系ポリマー、フェノール系ポリマー、ロジン系ポリマー、ロジンエステル及び水素添加ロジンエステル、石油及び水素添加石油系ポリマー、スチレン系ポリマー、及びこれらの混合物が、非限定的に挙げられる。組み込まれるとき、粘着付与剤は、当該粘着付与剤-ポリマーの組み合わせの約1重量%~約60重量%、より好ましくは約5重量%~約30重量%、最も好ましくは約15%重量%~約25重量%超を含む。
【0055】
有用な相溶化接着剤はまた、本明細書と首尾一貫した範囲で本明細書に援用される、同一所有の米国特許公開第2005/0186376号に記載されているもの等、1つ以上の粘着付与剤を有するプラストマー及びプラストマーの組み合わせも、非限定的に挙げられる。米国特許公開第2005/0186376号は、特に、フルオロポリマーフィルム及び非フルオロポリマー熱可塑性ポリマー層等、2つの典型的には非相溶性のポリマーフィルムを互いに対して結合するのに特に有用なエチレン/α-オレフィンコポリマーと粘着付与剤の配合を教示している。また、上記で定義したように、粘着付与剤と配合すること、又は別様に組み合わせることによって改質される、低密度、中密度、又は高密度ポリエチレン等、エチレンホモポリマーもまた有用である。
【0056】
特に好ましい実施形態では、相溶化接着剤は、結合剤/マトリクスポリマーとして有用であると記載される、本明細書に開示される任意のポリウレタンポリマー、特に約2,000psi(13.79MPa)~約8,000psi(55.16MPa)の範囲の引張弾性率を有する極性ポリウレタンを含む、ポリウレタンコポリマーを含む。このリストは非排他的である。この点については、ポリウレタンは、少なくとも2つの異なる共反応性モノマー、すなわちポリオール(A)(複数のヒドロキシル基を含有するアルコール、例えば、ジ-アルコール)、及びポリイソシアネート(B)(2つのイソシアネート官能基を含有するモノマー、例えばジイソシアネート)から作製されるため、ポリウレタンは特に誘因的であり、このことは以下の反応:ROH+R’NCO→ROC(O)N(H)R’(式中、R及びR’はアルキル又はアリール基である)、を介してポリウレタンを形成して反応する。
【0057】
アルコール(ROH)及び(R’NCO)イソシアネート基は、組み合わされて、ウレタン結合を形成する。ポリウレタンポリマーはまた、例えば、2つの異なるジアルコールと1つのジイソシアネート、1つのジアルコールと2つの異なるジイソシアネート、又は2つの異なるジアルコールと2つの異なるジイソシアネート、を反応させることによって作製することもできる。これら3つのカテゴリの各々において、ジオールとジイソシアネートモノマー反応体との比を操作して、2つの異なるポリマー又は布表面に対して固有の化学親和性を有する固有のコポリマーを生成することができる。
【0058】
別の実施形態では、接着剤は、本明細書において二重プライ接着剤とも呼ばれる、二重層接着系であってもよく、2つのポリマープライは、互いに接合され、好ましくは互いに接触することによって形成され、各々が湿潤の間、すなわち液体形態において、互いに合体される。このような「ウェットオンウェット」用途は、ポリマープライの接着を利用し、個々のプライは、ポリマー層からのポリマー分子が、それらの接触界面で互いに混合され、分子の絡み合い領域を形成するため、それらが互いに接触する表面で一体化され、それぞれのポリマーが硬化されるとき(乾燥によって等)、プライが少なくとも部分的に共に融合される。この方法は、それらの混和性を促進し、かつ互いに対する接着を促進するため、異種ポリマー化学のポリマー層を一体化するために特に有用である。この組み合わせは、接着層の1つの平面で1つのポリマータイプ、及び接着層の他の平面で別のポリマータイプを有する単一層を形成するであろう。このような二重層接着剤を形成する方法としては、当業者によって決定されるように、共押出、吹込フィルム共押出、コーティング、浸漬などが挙げられる。特に好ましいのは、同一所有の米国特許第7,993,478号及び同第7,875,563号に教示されている方法であり、その各々が、本開示と一致する範囲を参照することにより本明細書に援用される。上記の方法は、厳密に限定することを意図するものではなく、二重層接着剤は、乾燥ポリマー上に1つの湿潤ポリマー(例えば、溶融した、溶液、エマルション、又は分散液形態)を塗布し、続いて湿潤ポリマーを乾燥/冷却/硬化させることを含む、当業者によって決定され得る他の手段によって形成されてもよい。
【0059】
このような二重層接着剤を形成するために組み合わされ得る好適なポリマーとしては、多種多様な熱可塑性又は熱硬化性ポリマーが挙げられる。好適な熱可塑性ポリマー材料としては、ポリオレフィンホモポリマー、ポリオレフィンコポリマー、環状オレフィンホモポリマー、環状オレフィンコポリマー、ビニルポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンオクタンコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、アクリルポリマー、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)及びPETコポリマー等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリイソプレン、ポリウレタン、フルオロポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸コポリマー、並びに上記ポリマーの混合物及びコポリマーが挙げられる。
【0060】
好適なポリオレフィンとしては、約3~約20個の炭素原子を有するα-オレフィンモノマーのポリマーが挙げられ、ホモポリマー、コポリマー(グラフトコポリマーを含む)、及びα-オレフィンのターポリマーが挙げられる。例示的なホモポリマー例としては、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、線状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、メタロセン-線状低密度ポリエチレン(metallocene-linear low density polyethylene、m-LLDPE)、低密度ポリエチレン(very-low density polyethylene、VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(linear very-low density polyethylene、LVLDPE)、超低密度ポリエチレン(ultra-low density polyethylene、ULDPE)、線状超低密度ポリエチレン(linear ultra-low density polyethylene、LULDPE)、中密度ポリエチレン(medium density polyethylene、MDPE)、線状中密度ポリエチレン(inear medium density polyethylene、LMDPE)、及び高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、ポリプロピレン及びプロピレンコポリマー、ポリブチレン、ポリブテン-1、ポリ-3-メチルブテン-1、ポリ-ペンテン-1、ポリ-4,4ジメチルペンテン-1、ポリ-3-メチルペンテン-1、ポリイソブチレン、ポリ-4-メチルヘキセン-1、ポリ-5-エチルヘキセン-1、ポリ-6-メチルヘプテン-1、ポリヘキセン-1、ポリオクテン-1、ポリノネン-1、ポリデセン-1、ポリドデセン-1、ポリドデセン-1及びコポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。例示的なポリオレフィンコポリマー及びターポリマーとしては、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ペンテンコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、及びエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー(ethylene-propylene-diene copolymer、EPDM)等の、他のオレフィンを有するα-オレフィンのコポリマー及びターポリマーが挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「ポリオレフィン」はまた、アクリロニトリルブタジエン-スチレン(ABS)ポリマー、酢酸ビニルとのコポリマー、アクリレート、及びメタクリレートなども含む。最も好ましいポリオレフィンは、エチレンポリマー、コポリマー、及びターポリマーである。上記のポリオレフィンは、任意の既知のプロセスによって得ることができる。本明細書で有用なポリオレフィンは、高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、HPLC)によって測定された場合、約1,000~約1,000,000、好ましくは約10,000~約500,000の重量平均分子量を有し得る。最も好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びコポリマー、並びにこれらの配合物である。最も好ましいポリオレフィンは、ポリエチレンである。最も好ましいポリエチレンは、低密度ポリエチレンである。
【0061】
好適なポリアミドとしては、非限定的に、約10,000~約100,000の重量平均分子量を有する脂肪族ポリアミド及び脂肪族/芳香族ポリアミドから選択された、ホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。ポリアミドの調製に有用な一般手順は、当該技術分野には周知である。有用なポリアミドホモポリマーとしては、ポリ(4-アミノブチル酸)(ナイロン4)、ポリ(6-アミノヘキサン酸)(ポリ(カプロラクタム)としても知られるナイロン6)、ポリ(7-アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8-アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9-アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10-アミノデカノン酸)(ナイロン10)、ポリ(11-アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(12-アミノドデカン酸)(ナイロン12)、ナイロン4,6,ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6,10)、ポリ(ヘプタメチレンピメロアミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベルアミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン6,9)、ポリ(ノナメチレンアゼラミド)(ナイロン9,9)、ポリ(デカメチレンアゼラミド)(ナイロン10,9)、ポリ(テトラメチレンジアミン-co-シュウ酸)(ナイロン4,2)、n-ドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとのポリアミド(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンとn-ドデカン二酸とのポリアミド(ナイロン12,12)等が挙げられる。有用な脂肪族ポリアミドコポリマーとしては、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6,6/6)、ヘキサメチレンアジパミド/カプロラクタムコポリマー(ナイロン6/6,6)、トリメチレンアジポアミド/ヘキサメチレンアゼライアミド(azelaiamide)コポリマー(ナイロントリメチル6,2/6,2)、ヘキサメチレンアジポアミド-ヘキサメチレン-アゼライアミドカプロラクタムコポリマー(ナイロン6,6/6,9/6)となどが挙げられる。また、本明細書で特に描写されていない他のナイロンも含まれる。これらのポリアミドのうちで、好ましいポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6、並びにそれらの混合物が挙げられる。これらのうちで、ナイロン6が最も好ましい。
【0062】
脂肪族ポリアミドは、民間の供給元から入手されるか、又は既知の予備技術に従って調製されてもよい。例えば、ポリ(カプロラクタム)は、AdvanSix Inc.(ニュージャージー州モリスプレインズ)から得ることができる。脂肪族/芳香族ポリアミドの例としては、ポリ(テトラメチレンジアミン-co-イソフタル酸)(ナイロン4,I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6,I)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレン-イソフタルアミド(ナイロン6,6/6I)、ヘキサメチレンアジポアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6,6/6T)、ポリ(2,2,2-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(m-キシリレンアジポアミド)(MXD6)、ポリ(p-キシリレンアジポアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6/MXDT/I、ポリアミドMXDIなどが挙げられる。2つ以上の脂肪族/芳香族ポリアミドのブレンドも、使用することができる。脂肪族/芳香族ポリアミドは、既知の予備技術によって調製されてもよく、又は民間の供給元から入手されてもよい。他の好適なポリアミドは、参照として本明細書に援用される、米国特許第4,826,955号及び同第5,541,267号に記載されている。
【0063】
また、このような二重層接着剤の成分の1つとして機能するのに好適であるのは、ポリエステル及びポリエーテル系ポリウレタンの両方を含む、本開示において考察されたポリウレタンポリマーである。
【0064】
最も好ましい実施形態では、外側繊維層(12)は、織ナイロン繊維系布(すなわち、MIL規格ナイロン布)を含み、繊維基層(14)は織ポリエチレン繊維系布を含む。したがって、このような実施形態では、二重層接着剤が使用されるとき、二重層接着剤の2つの接着プライのうちの1つは、最も好ましくはポリアミドポリマーフィルムであり、他の接着プライは、ポリエチレン(又は他のポリオレフィン)ポリマーフィルムであり、すなわち、ポリアミド/ポリエチレン(PA/PE)二重層接着剤であって、接着剤のポリアミド側は、ナイロン繊維系布と接触して位置決めされ、接着剤のポリエチレン側は、ポリエチレン繊維系布と接触して位置決めされる。ナイロン繊維系布に表面コーティングが設けられている実施形態では、ナイロン繊維と接触するように位置決めされる接着プライを形成するポリマーのタイプが、そのコーティングに適合することが最も好ましい。例えば、ナイロン繊維系布がポリウレタン、例えばポリウレタン撥水剤でコーティングされる場合、二重層接着剤がポリウレタン/ポリエチレン(PU/PE)二重層接着剤を含み、接着剤のポリウレタン側が、ナイロン布のポリウレタンコーティング表面と接触していることが最も好ましい。
【0065】
本明細書に記載の任意の接着剤材料は、任意選択的にまた、使用が当業者に周知である1つ以上の従来の添加剤を含んでもよい。そのような添加物の使用は、組成物の処理を促進する、並びにそこから形成される製品又は物品を改善する際に望ましい場合がある。そのようなものの例として、酸化及び熱安定剤、潤滑剤、剥離剤、難燃加工剤、酸化抑制剤、染料、色素及び他の着色剤、紫外線吸収剤及び安定剤、抗菌剤、粒子状及び繊維状充填剤を含む有機又は無機充填剤、強化剤、核剤、可塑剤、並びに当該技術分野において周知の他の従来の添加物、が挙げられる。このような量は、例えば、接着層組成物全体の最大約30%の量で使用されてもよい。
【0066】
上述のように、このような二重層フィルム又は他の相溶化接着剤層/スクリムに対する最も適切なポリマーの選択、接着ポリマーの選択は、繊維層(12)及び(14)を形成する繊維のタイプ、並びに異なる層(16)同士の相溶性に依存するであろう。この点については、特定の繊維タイプが、同じポリマータイプの接着剤に対して自然に優れた親和性を有することになるので、同様の化学的性質を有する布及び接着剤の組み合わせは、互いに対して独自に良好に結合するであろう。例えば、ポリエチレン繊維は、ポリアミド(ナイロン)系接着剤よりも、ポリオレフィン系接着剤とより良好に結合し、アラミド繊維又はナイロン繊維は、ポリアミド系接着剤とより良好に結合することになる。加えて、上述のように、いくつかの市販の繊維材料は、多くの場合、すでに平面外表面の一方又は両方の上に保護コーティングを有する製造業者によって提供され、接着剤の最も適切な選択は、多くの場合、上記の保護コーティングとの相溶性に依存することになる。例えば、CORDURA(登録商標)ブランドのナイロン布は、典型的には、その表面の1つにポリウレタンをコーティングしたInvista North America S.A.R.Lにより販売されている。したがって、中間層(16)がCORDURA(登録商標)ナイロン布と層(12)として結合されるとき、上記ポリマーフィルムがポリウレタンフィルムを含む場合、最良の結合が達成される。
【0067】
相溶化接着剤層に加えて、又は代替的に、中間層(16)は、撥水剤の層を含んでもよい。撥水剤は、相溶化接着層又は相溶化接着スクリムと共に使用されることが多いが、撥水剤自体が強力な接着特性を有し、疎水性である場合、別個の接着剤は必要とされないため、撥水剤の二重機能を提供し、相溶化接着剤として機能する。特に好適な撥水性接着剤は、水系(水性)分散体又は溶媒系分散液として塗布され得る、疎水性非極性ポリウレタンである。フェノール樹脂及びエポキシ等の熱硬化性ポリマーも有用であるが、複合可撓性を促進するために熱可塑性撥水剤が本明細書において最も好ましい。
【0068】
外側繊維材料と繊維基材との間に撥水剤を組み込む実施形態では、別個の接着剤層又はスクリム(16)が組み込まれるとき、複合材料の剥離強度が最大となるはずである。この点については、撥水剤は、耐久性があるか又は耐久性がないもの、のいずれかであることが既知である。「耐久性のある」撥水剤は、容易に除去されず、洗浄後も続くコーティングであるが、コーティングの有効性は、繰り返しの洗濯で減少し得る。この点については、用語「耐久性のある」は、永久仕上げ(すなわち、布の寿命の間続く仕上げ)、及び半耐久性仕上げ(すなわち、再塗布される前に1回又は2回の洗浄の間続く仕上げ)を含む。非耐久性撥水剤は、典型的には1回のみ洗濯した後に、布から容易に洗浄される。この点については、最良の剥離強度を達成するために、中間撥水剤(16)は、耐久性のある撥水剤のみを含むべきである。好適な耐久性のある撥水剤としては、上記で考察されたように、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素変性ポリマー、シリコーン、及び非極性ポリウレタン等の、フルオロポリマーが非限定的に挙げられる。
【0069】
耐久性のない撥水剤は、外側繊維材料層及び繊維基層の表面(20)と(22)との間にそれぞれ組み込まれるべきではないが、布(12)及び(14)の外面(18)及び(24)のいずれか又は両方にコーティングされる非耐久性撥水剤に関しては許容可能である。有用な非耐久性撥水剤としては、一致する範囲を参照することにより本明細書に援用される、米国特許第7,994,075号に記載されているものを含む、天然及び合成ワックスを非限定的に含む。特に有用なワックスは、パラフィンワックス、微結晶ワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、植物ワックス、ハロゲン化パラフィンワックスなどである。また、アルミニウム及びジルコニウム塩等の、多価金属塩もまた好適である。同様に、耐久性のある撥水性コーティングはまた、所望により、表面(18)及び/又は(24)に塗布されてもよい。
【0070】
接着フィルム、接着スクリム、撥水層、及び他のポリマーフィルムの各々は、好ましくは非常に薄い。各々が異なる厚さを有し得るが、各々が、約1μm~約250μm、より好ましくは5μm~約150μm、より好ましくは約10~約100μm、更により好ましくは約15μm~約100μm、及び最も好ましくは約25μm~約100μmの好ましい厚さを有する。かかる厚さが好ましいが、特定の必要性を満たすように他の厚さのものが製造されてもよいが、本開示の範囲内にあることが理解されるものである。
【0071】
単一の中間層(16)が組み込まれるか、又は複数の中間層(16)が組み込まれるかどうかで、繊維層(12)及び(14)は、上述のように、従来の圧密化/積層又は高圧成形技術を使用して、圧力下で中間層(複数可)(16)と結合され、それによって単一の圧密化された一体型モノリシック要素が形成される。個々の繊維層(12)及び(14)を形成するとき、それらが複数の繊維プライを含む場合、繊維層(12)及び(14)と中間層(16)とを組み合わせた圧密複合材料を単一の一体型複合材料物品に形成するとき、全てのプライ/層は、互いに同一の広がりを持って上部で重なり合って、積層体を形成し、続いて層を共に一気に圧密化する。複数の中間層(16)が存在する実施形態では、それらは互いに対して結合されて、外側繊維材料層及び繊維基層の各々は、上記中間層のうちの1つと結合され、それによって、全ての中間層(16)及び2つの布(12)及び(14)を、単一の一体型複合材料物品に合体する。
【0072】
上述したように、最も好ましい実施形態では、外側繊維材料層(12)及び繊維基層(14)は、本明細書に記載されるスロット付きのウェブレス物品等、可撓性のタクティカルベスト、又は可撓性プレートキャリア物品の製造に特に好適である、1つの単一プライの織布のみを各々個別に含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。これらの2つの布プライは、所望の中間層(16)と共に、高圧成形技術によってというよりは、加熱及び低圧下で共に積層されるべきである。本明細書に記されるように、積層は、十分な加熱及び圧力条件下で個々の層を互いに位置決めして、層を一体構造に組み合わせることによって実施され、ラミネートは、約95℃~約200℃、好ましくは約105℃~約175℃の範囲の温度、約5psig(0.034MPa)~約100psig(0.69MPa)の範囲の圧力で、約5秒~約36時間、好ましくは約30秒~約24時間の間に行われる。しかしながら、これらの条件は、当業者によって決定されるので変化し得る。これらの最も好ましい物品のこのような積層はまた、静的プレス又は等圧プレスで層を共に圧密化/結合するのではなく、フラットベッド型積層内で最も好ましくは実施される。
【0073】
外側繊維層(12)及び繊維基層(14)の一方又は両方が複数の繊維層を含む代替実施形態では、高圧成形による合体が適切であり得る。前述されるように、層(12)、(14)、及び(16)の高圧合体は、約50psi(344.7kPa)~約5,000psi(34,470kPa)、より好ましくは約100psi(689.5kPa)~約3,000psi(20,680kPa)、最も好ましくは約150psi(1,034kPa)~約1,500psi(10,340kPa)の圧力で、好適な成形装置内における加熱及び圧力下で成形することにより達成されてもよい。
【0074】
外側繊維材料層(12)と繊維基層(14)との間の最大の可能な剥離強度を達成するために、縫製は、異なる区分を共に付着させる唯一の手段として明示的に除外される。接着成形又は接着圧密化により区画を結合することは、異なる区画間での層間強度を増加させ、個々の材料層間の剥離強度の増加、圧密複合材料の剛性の強化、圧密複合材料の耐引き裂き製の向上をもたらすことが判明している。この点については、一体型物品に圧密化した後の外側繊維材料層(12)と繊維基層(14)との間の剥離強度は、1.5ポンド/インチ(680.4g/インチ)超、より好ましくは2.0ポンド/インチ(907.2g/インチ)超、最も好ましくは2.5ポンド/インチ(1134.0g/インチ)超である。前述の剥離強度値は、ASTM D1876の手順によって決定される。
【0075】
本開示の複合材料は、繊維強度及び耐久性が重要である多くの産業において使用され得る物品の製造に有用である。このような用途としては、安全服、スポーツ衣料及び屋外ウエア等の着用可能物品、並びに、ギアバッグ及びパウチ、荷物、天蓋、カーテン、テント、パラシュート、タ-プ等、他の非着用可能物品が挙げられる。いくつかの用途において、特に非防護用途では、布の外側表面(18)及び(24)はまた、耐引裂性、耐摩耗性、耐切創性、耐水性、及び耐火性等の特性を改善するために材料でコーティングされてもよい。好適なコーティング材料は、当該技術分野において周知である。
【0076】
上述したように、本開示の複合材料はまた、改善された拡張可能なプレートキャリア、改善された外側タクティカルベスト、及び兵器プレートキャリアシステム等、弾道プレートキャリアの形成にも有用である。1つの例示的かつ市販のタイプのプレートキャリアは、一致する範囲を参照することにより本明細書に援用される、米国特許第7,200,871号に記載されているように、Safariland LLC(フロリダ州ジャクソンビル)のTAC PR(商標)Advanced Webless Systemである。図4に例解されるこの先行技術の構成において、スロット付きキャリアは、本開示で紹介される高靭性繊維材料の裏材を有さずに単一の布から製造される。布に切り込むスロット(孔)は、モジュール式アクセサリの付着点として、又は布を引き下げ、布の弛みを引き起こすことができるアクセサリパウチを保持するための付着点として利用される。このタイプの構造は、強化された複合材料強度が布の疲労及び弛みに抵抗するため、本開示の複合材料で製造されたときに、かなり改善される。
【0077】
図2は、複合材料の厚さ全体を通って完全に切り込み、アクセサリのための付着点を提供する、複数のスロット(穿孔)(26)を有する本開示の複合材料(10)から形成された、かかるスロット付き布構造を概略的に例解する。図3は、スロットから吊り下げられたモジュール式アタッチメント(28)を有するスロット付き複合材料(10)を概略的に例解する。米国特許第7,200,871号に記載されるように、及び図4に示されるように、布は、布シートを通って延在して、MOLLE着脱式ポケット用ストラップを提供する、いくつかの列(配列)の回転ダイカットスロット(穿孔)を含む。そこに記載されるように、スロットは、概ね矩形であり、1.25インチ×1/8インチの寸法を有し、当該スロットは、水平方向に1.5インチ離間し、列は、垂直方向に1.0インチ離間する。しかしながら、これらの寸法はほんの一例であり、厳密に制限することを意図するわけではない。スロット形状はまた、多種多様であってよい。例えば、これらは、図4に示されるように矩形形状ではなく、水平楕円形状を有するように切り込まれ得る。加えて、従来のロータリーダイカット機器を使用してスロットの配列を形成することが最も効率的であるが、スチールルールダイカット又はレーザー切断など任意の好適な別の方法が使用されてもよい。スロットの列数及び各列内のスロット数はまた、製造者が所望するように多種多様であってよく、厳密に制限することを意図するわけではない。TAC PR(商標)Advanced Webless SystemとしてSafariland LLCから市販されている、1つの例示的な先行技術のタクティカルキャリアでは、タクティカルキャリアは、ベストカバーの前向き部分に切り込まれた10~14列のスロットを有して製造され、各列は5~8個のスロットを有する。
【0078】
最後に、これらのスロットは、MOLLEタイプのアクセサリなどの付着点を提供するために布に切り込まれながら、スロット弛みの問題は、本明細書に記載されるような高強度布の組み込みによって改善され、スロットはアタッチメントの重量による一時的な引き下げに対応可能である。これが発生すると、高靭性布の外面(24)が穿孔を通して露出することが発見された。これは、外側繊維材料(12)が、少なくともプレートキャリア用途において、典型的には迷彩色の外観で着色されることが多く、一方で繊維基材(14)を形成する高靭性繊維の自然な外観は、典型的には、白色又は黄色であるが、表面(18)の迷彩色の外観と調和せず、使用中に使用者をより目立たせるため、このことは非常に望ましくない。したがって、この問題を克服するために、表面(18)の色(複数可)に対して、溶け込み、偽装される、又は別様に目立たない、着色された外観を繊維基材(14)の表面(24)を提供することが、本明細書において特に好ましい。
【0079】
この点については、本開示の目的のために、外側繊維材料層(12)及び繊維基層(14)の各々は、好ましくは、無着色ではなく着色される。本明細書で使用される場合、「着色」は、少なくとも1つの着色剤(例えば、染料及び/又は顔料)、若しくは着色剤組成物(例えば、着色されたポリマーフィルム)を繊維上に塗布することによって達成される色として定義される。一部の低靭性繊維の場合、着色剤は、繊維材料を形成する繊維にも組み込まれてもよい。
【0080】
この点については、いくつかのタイプの繊維/布は、他よりも容易に着色される。例えば、ナイロン繊維が容易に着色されることは周知である。ナイロン布は、単一の着色剤で、例えば、標準的な染料水溶液又は有機溶媒型染料溶液に繊維を浸すことにより着色され得る。また、着色剤を布の表面に結合させる従来の捺染法によって、ナイロン及び他の布を装飾画像、又は迷彩パターンなどパターンで着色することが周知である。かかる方法としては、ハンドブロック印刷、ペロチン印刷、銅板印刷、ローラー、シリンダー、又は機械印刷、ステンシル印刷、スクリーン印刷、及びデジタル捺染印刷が挙げられる。任意の特定の迷彩パターン又は装飾画像の形成及び/又は塗布に好適な着色剤の好適なタイプは、当業者によって容易に決定され、非限定的に酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料、天然染料、及び多目的染料、例えば、Phoenix Brands LLC(コネチカット州スタンフォード)から市販されているRit(登録商標)ブランド染料が挙げられる。布上の迷彩パターンの印刷に使用される例示的な染料及び方法は、例えば、米国特許第6,805,957号、同第9,062,938号、及び同第9,074,849号に詳細に記載され、その各々が米国政府によって所有され、その各々が一致する範囲を参照することにより本明細書に援用される。MIL規格布は、多くの場合、特定の迷彩色の外観と一致する予め着色された形態で市販されている。
【0081】
繊維の直接的な着色に対する代替として、着色された外観は、着色されたポリマー材料を表面(18)及び表面(24)の一方又は両方に塗布することによって提供され得る。1つの好ましい実施形態では、着色ポリマー材料は、着色ポリマーフィルムの形態である。好ましいポリマーフィルムとしては、非限定的に、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類(特にポリエチレンテレフタレート(PET)及びPETコポリマー類)、ポリウレタン類、ビニルポリマー類、エチレンビニルアルコールコポリマー類、エチレンオクタンコポリマー類、アクリロニトリルコポリマー類、アクリルポリマー類、ビニルポリマー類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、フルオロポリマー類など、並びにエチレンビニルアセテート(EVA)及びエチレンアクリル酸を含むコポリマー類、及びこれらの混合物を含む着色された熱可塑性ポリマー層が挙げられる。これらのうちで、ポリオレフィン及びポリアミド層が好ましい。好ましいポリオレフィンは、ポリエチレンである。有用なポリエチレンの非限定例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、線状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び共重合体、並びにこれらの混合物である。
【0082】
かかるポリマー層は、従来の押出し成形及び熱積層技術等、周知の技術を使用して製造され、外側繊維材料層(12)の表面(18)及び/又は繊維基層(14)の表面(24)に結合されてよい。この点については、ポリマー層は、各個々の区画の個々の繊維プライの合体前、合体中、若しくは合体後、又は全ての集合的な層/区画の一体型複合材料への合体前、合体中、若しくは合体後のいずれかに塗布されてよい。積層は、本明細書にすでに記載されている従来技術を実施する。かかるポリマー層はまた、当業者に理解されるであろうように、ホットグルー又はホットメルト繊維で複合材料表面に任意選択的に結合されてよい。かかるポリマーフィルムは、好ましくは非常に薄い、約1μm~約250μm、より好ましくは約5μm~約25μm、最も好ましくは約5μm~約9μmの好ましい層厚を有する。かかる厚さが好ましいが、特定の必要性を満たすように他の厚さのものが製造されてもよいが、本開示の範囲内にあることが理解されるものである。
【0083】
代替的に、別個のポリマーフィルムを布表面(18)及び/又は布表面(24)に付着させるのではなく、繊維材料のいずれか又は両方が、ポリマー結合剤又はマトリックス材料を組み込む場合、好適な着色剤を結合剤/マトリックス組成物に添加してもよい。この点については、任意の望ましい色は、着色剤及び結合剤ポリマーを適切に選択することにより達成され得、ポリマーの着色は、単に着色剤を結合剤ポリマー又はポリマー溶液と混合することにより達成されてよい。好適な着色剤の例としては、当業者によって決定されるように、水性及び有機の両方の染料及び顔料が挙げられる。好適な染料としては、非限定的に、上記の染料、すなわち、酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料、天然染料、及び多目的染料、例えば、Phoenix Brands LLC(コネチカット州スタンフォード)から市販されているRit(登録商標)ブランド染料が挙げられる。有用な着色剤の特定例は、銅フタロシアニンなどである。任意の従来周知の方法は、着色剤をポリマーにブレンドするために使用されてよく、通常、ポリマー材料に添加される着色剤(例えば、染料又は顔料)の量は、ポリマー材料の約0.5~約20重量%、より好ましくは約2~約15重量%、最も好ましくは約4~約10重量%の範囲である。
【0084】
上述のように、外側繊維材料層(12)は、好ましくは迷彩パターン、すなわち、特定の周囲環境に溶け込む、着色された外観を与える1つ以上の着色剤で着色されることが意図され、繊維基層(14)が着色されていない場合、繊維基層(14)は、外側繊維材料層とは異なる色の外観(繊維の自然色、典型的には白色又は黄色)を有し、スロット付き布を通して露出される場合、繊維基層を視覚的に目立たせ、使用者をより認識可能にする。したがって、繊維基層(14)を着色するとき、選択された色(複数可)は、外側繊維材料層(12)の少なくとも1つの色に溶け込んで、それによって、上記穿孔を通る繊維基層の視覚的露出を少なくとも部分的に妨げるべきである。より具体的には、繊維基層(14)の外側の第2の表面(24)には、繊維基層表面(24)の露出部分が、外側繊維材料層(12)の外側の第1の表面(18)の色によって偽装されるように、1つ以上の色を含む着色された外観が提供されるべきである。
【0085】
この目的を達成するために、繊維基材(14)を着色するために使用される着色剤(複数可)は、外側繊維材料層(12)を着色するために使用される着色剤(複数可)のうちの少なくとも1つと同一、同系、又は類似のいずれかである。この点については、周知の色識別方法はマンセル表色系であり、マンセル表色系下での特定の色の標準的な評価方法は、ASTM D1535に示されている。マンセル表色系は、三次元の色空間であり、3属性、つまり色相、色値(明度)、及び彩度(色純度、強度)に基づいて色を定める。これは、Colorimetric Committee of the Optical Society of Americaによって元の規格から修正されており、現在では、これらの変更を含めて「修正マンセル」系と称されることも多いが、本明細書において、用語「マンセル」及び「修正マンセル」は互換的に使用される。この点については、色の「マンセル色相」とは、光のスペクトルで見出され得る色の属性を意味する。この色系では、赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、及び紫(P)が5つの基本色相セクタとして選択され、黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(PB)、及び赤紫(RP)が5つの中間色相セクタとしてこれらの間に配置される。マンセル色相スケールの構成を例解する図5に例解されるように、色相は、赤(R)で始まり、以下の順序である。
R-YR-Y-GY-G-BG-B-PB-P-RP
【0086】
図5において見られるように、RPの後、スケールがRに戻る。これらの10の色相セクタの各々は、10の整数区分(色相の「度」又は「段階」)を有し、このように示される場合には、1~10の番号が先頭に付けられる。この点については、5度は、セクタの中点であるため、色相の原色(例えば、5Rは原色の赤、5YRは原色の黄赤、5Yは原色の黄色)とみなされる。したがって、マンセル色相スケールには、100の異なる色相が存在する。
【0087】
「マンセル色値」はまた本明細書において「色値」と称され、色の明るさ又は暗さの程度を示し、これもまた0~10の範囲を使用する。この色系では、黒は0のマンセル色値を有し、白は10のマンセル色値を有する。「マンセル彩度」とは、色の鮮鋭度又は強度を意味する。マルセル表色系では、無彩色(灰色)は、0の彩度を有し(中間色にはNとも示される)、色が増加すると、同じマンセル色相及び色値の灰色よりも飽和状態になる。彩度には、固有の上限は存在しない。その値は、色の鮮鋭度が増加するに従って増加し、特定の色の上限は、マンセル色相及び色値に応じて異なる。
【0088】
好ましい実施形態では、繊維基層に塗布される着色剤(例えば、着色されたポリマーフィルム、染料、又は顔料)の色は、外側繊維材料層(12)の着色された外側表面(18)の少なくとも1つの色のマンセル色相と同一、同系、又は少なくとも類似しているマンセル色相を有するべきである。この点については、本開示の目的として、「類似」マンセル色相とは、マンセル色相スケールにおいて±5段階/度内の色相を意味し、「同系」マンセル色相とは、マンセル色相スケールにおいて±2.5段階/度内の色相を意味する。例えば、5Bに関する類似色は、10B~10BGの範囲内にあり(明確にするために図5を参照)、5YRに関する「同系」色は、2.5YR~7.5YRの範囲内にある。
【0089】
したがって、外側繊維材料層(12)の表面(18)の実際の1つ以上の色は、偽装されて出現することが意図される環境に応じて多種多様であり得、繊維基層(14)の表面(24)に塗布された着色剤/着色されたフィルムの色(複数可)は、マンセル色相スケールにより、外側繊維材料層(12)の少なくとも1つの色の色相の10段階以内である色相を有する限り、特に重要ではない。マンセル色値及びマンセル彩度に関しては、繊維基層(14)に塗布された着色剤の色が、外側繊維材料層(12)に適合することが好ましい。上述したように、マンセル色値スケールは、0(黒)~10(白)の範囲であり、繊維基層(14)に塗布された着色剤の色は、外側繊維材料層の色のうちの少なくとも1つのマンセル色値の2.5以内のマンセル色値を有することが好ましいが、そうである必要はない。繊維基層(14)に塗布された着色剤の色は、外側繊維材料層(12)の色のうちの少なくとも1つのマンセル彩度の2.5以内のマンセル彩度を有することが好ましいが、そうである必要はない。代替的に、外側繊維材料層(12)の表面(18)の色にかかわらず、繊維基層(14)の外側表面(24)が黒色に着色されることが概して許容され、人間の目を容易に誘引せず、上記の具体的に好ましいマンセルパラメータ内ではない場合であっても、高靭性繊維の自然な黄色又は白い外観に対して有意な改善である。
【0090】
使用中、本開示の複合材料をベスト、ベストカバー、又はプレートキャリア物品に形成するとき、外側繊維材料層(12)は、図3に示されるように、モジュール式アタッチメントが位置決めされる面に対抗する表面に面して外側に位置決めされる。この点については、外側繊維材料層(12)を繊維基層(14)と合体させるとき、外側繊維材料層の繊維が繊維基層の繊維に対して+45°及び-45°に配向されるときに、2層の圧密集合体の寸法安定性が最良であることが予想外に判明している。これは、より大きい0°/90°布からバイアス上で区画を切り取ることによって、又は圧密化の前に層を合わせて位置付けるときに他の布に対して+45°/-45°の角度で0°/90°布を物理的に配向することによって達成されてよい。この繊維層構成は、本開示の複合材料が上述したようにウェブレス構造を有する物品の製造に用いられるとき、特に望ましい。低靭性外側布を高靭性基布と組み合わせて、高靭性基繊維材料層の繊維が、外側繊維材料層の0°/90°繊維に対して+45°/-45°の角度であるように層を配向すると、スロット(図3及び図4を参照)の耐久性が向上し、スロットの下縁部における布の伸び及び弛み傾向が大幅に低減する。
【0091】
過剰な重量を有する物品を形成することなく、本開示の複合材料の耐久性を更に向上させるためには、外側繊維材料層(12)及び繊維基層(14)の各々が、約400g/m以下、より好ましくは約300g/m以下、更により好ましくは約200g/m以下、更により好ましくは約150g/m以下、更により好ましくは約125g/m以下、更により好ましくは約115g/m以下、更により好ましくは約110g/m以下、更により好ましくは約105g/m以下、更により好ましくは約100g/m以下、更に最も好ましくは約95g/m以下の面密度を有することも好ましく、最も好ましい面密度は、約15g/m~約95g/m、又は約30g/m~約95g/mの範囲である。特に好ましい実施形態では、外側繊維材料層は、約200g/m~約400g/mの面密度を有し、基層は、約15g/m~約110g/m、より好ましくは約30g/m~約110g/mの面密度を有する。好ましい実施形態では、全ての層の集合は、約60g/m~約800g/m、より好ましくは100g/m~約600g/m、最も好ましくは約200g/m~約500g/mの総面密度を有する複合材料を(10)をもたらす。
【0092】
この点については、外側繊維材料層(12)が、複合材料(10)全体の総面密度の50%よりも大きい面密度を有することが最も好ましい。一実施形態では、外側繊維材料層(12)の面密度は、全結合層の総面密度の約60%よりも大きい。別の実施形態では、外側繊維材料層(12)の面密度は、全結合層の総面密度の約70%よりも大きい。最も好ましい実施形態では、外側繊維材料層(12)は、組み合わされた全ての複合材料物品層の総面密度の約60%~約75%を含み、繊維基層(14)は、全複合物品材料の総組み合わせ面密度の約20%~約30%を含む。
【0093】
各繊維材料区画の厚さは、一般に、個々の繊維の厚さ及び複合材料に組み込まれる繊維プライ/層の数に対応する。好ましい織布、編地、又はフェルト非織布は、プライ/層当たり約25μm~約600μm、より好ましくはプライ/層当たり約50μm~約385μm、最も好ましくは約75μm~約255μmの好ましい厚さを有する。好ましい2プライの一方向非織布複合材料は、約12μm~約600μm、より好ましくは約50μm~約385μm、最も好ましくは約75μm~約255μmの好ましい厚さを有する。
【0094】
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示すために役立つ。
【0095】
(実施例1)
単一の織ポリエチレン布(375デニールSPECTRA(登録商標)1000繊維、平織り構造、32×32端部/インチの丁数、面密度=0.82lb/ft)に接着した迷彩パターンを有する、単一のMIL規格のMil-DTL-32439織ナイロン布(500デニールナイロン繊維)を含む圧密化された複合材料の積層体を製造する。ポリウレタン/ポリエチレン(PU/PE)二重層接着フィルムである中間二重層接着剤を伴う積層によって、布を互いに対して付着させる。ナイロンの外面を耐久性のある撥水剤でコーティングし、ナイロンの内面をポリウレタンコーティングでコーティングする。黒色ポリエチレンフィルムを織ポリエチレン布の最外表面に積層して、暗色の外観を有するポリエチレン布の表面を提供する。
【0096】
(実施例2)
ナイロン布の内面がポリウレタンでコーティングされないことを除いて、実施例1を繰り返す。
【0097】
(実施例3)
実施例1を繰り返し、ナイロン布の内面をポリウレタンコーティングで直接コーティングし、耐久性のある撥水剤をポリウレタンコーティングの上にコーティングする。ナイロンの全ての表面が撥水剤でコーティングされるように、ポリウレタンコーティングの塗布後にディップコーティングによって耐久性のある撥水剤を塗布する。
【0098】
(実施例4)
PU/PE二重層フィルムではなく、ポリアミド/ポリエチレン(PA/PE)二重層接着フィルムである中間二重層接着剤での積層によって、布を互いに対して付着させることを除いて、実施例2を繰り返す。
【0099】
(実施例5A~5D)
米国特許第7,200,871号に記載されているウェブレス、スロット付き構造を有するプレートキャリア物品を、実施例1~4に記載の複合材料の各々から製造する。スロットは、各スロットが布内の開口部であるように複合材料の厚さ全体を通って切り込まれ、スロットからのモジュール式アタッチメントの吊り下げを可能にする。
【0100】
(実施例6)
2プライ(0°/90°)、不織ポリエチレン布に接着された迷彩パターンを有する、MIL規格Mil-DTL-32439織ナイロン布(500デニールのナイロン繊維)を含む、圧密化された複合材料を製造する。不織ポリエチレン布に、30重量%のポリエチレン布を含むポリウレタンマトリックスを含浸させる。中間ポリウレタンスクリムを介して不織ポリエチレン布及びナイロン布を互いに対して接着する。他の表面上で、平織ポリエチレン布(実施例1と同様、375デニールSPECTRA(登録商標)1000繊維、平織り構造、32×32端部/インチの丁数、面密度=0.82lb/ft)の層に不織ポリエチレン布を接着する。中間ポリウレタンスクリムを介して不織ポリエチレン布及び織ポリエチレン布もまた互いに対して接着する。着色されたPU/PE二重層フィルムを、織SPECTRA(登録商標)ポリエチレン布の最外表面に積層して、着色された外観を有するポリエチレン布の表面を提供する。
【0101】
本開示は、特に、好ましい実施形態を参照しながら示され説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正が為され得ることは、当業者によって容易に理解されるであろう。特許請求の範囲は、開示の実施形態、上述されているそれらの代替物、及びそれらの全ての等価物を網羅するように解釈されることを意図する。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
多層複合材料であって、
a)第1及び第2の表面を有する外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層が、1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が複数の繊維を含み、前記外側繊維材料の前記第1の表面が着色された外観を有する、外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と隣接する繊維基層であって、前記繊維基層が第1及び第2の表面を有し、前記繊維基層の前記第1の表面が前記外側繊維材料層の前記第2の表面に面して位置決めされ、前記基層が1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が10g/デニールよりも大きい靭性を有する複数の繊維を含み、前記外側繊維材料層の前記繊維の少なくともいくつかが、前記繊維基層の前記繊維の少なくともいくつかと化学的に異なり、前記繊維基層の前記第2の表面が着色された外観を有する、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間の1つ以上の中間層であって、前記中間層が、相溶化接着スクリム、相溶化接着ポリマー層、及び撥水剤のうちの少なくとも1つを含み、複数の中間層が存在するとき、それらは互いに結合され、前記外側繊維材料層及び前記繊維基層の各々が前記中間層のうちの1つに結合され、前記複合材料が前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に少なくとも1.5ポンド/インチの剥離強度を有する、
中間層と、を含む、多層複合材料。
[2]
前記外側繊維材料層がナイロン繊維を含み、前記繊維基層がポリエチレン繊維を含む、[1]に記載の複合材料。
[3]
前記複合材料が、前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に2つの中間層を含み、第1の中間層が第1及び第2の表面を有するポリウレタン層を含み、第2の中間層が、第1及び第2の表面を有する相溶化接着スクリムを含み、前記ポリウレタン層の前記第1の表面が、前記外側繊維材料層の前記第2の表面と接触し、前記ポリウレタン層の前記第2の表面が前記接着スクリムの前記第1の表面と接触し、前記接着スクリムの前記第2の表面が、前記繊維基層の第1の表面と接触している、[2]に記載の複合材料。
[4]
前記複合材料が、前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に2つの中間層を含み、第1の中間層が第1及び第2の表面を有するポリウレタン層を含み、第2の中間層が、第1及び第2の表面を有する相溶化接着ポリマー層を含み、前記ポリウレタン層の前記第1の表面が、前記外側繊維材料層の前記第2の表面と接触し、前記ポリウレタン層の前記第2の表面が、前記接着ポリマー層の前記第1の表面と接触し、前記接着ポリマー層の前記第2の表面が、前記繊維基層の第1の表面と接触している、[2]に記載の複合材料。
[5]
前記相溶化接着ポリマー層が、二重プライ接着フィルムを含み、前記二重プライ接着フィルムが、第1のポリマープライ及び第2のポリマープライを含み、前記第1のポリマープライが第1のポリマーを含み、前記第2のポリマープライが第2のポリマーを含み、前記第1のポリマー及び第2のポリマーが異なり、前記第1のポリマープライ及び前記第2のポリマープライが、一体的であり、少なくとも部分的に融合され、前記第1のポリマープライからのポリマー分子が、前記第2のポリマープライからのポリマー分子と混合され、前記混合された分子が、前記2つのポリマープライの前記界面で分子もつれ領域を形成する、[4]に記載の複合材料。
[6]
前記外側繊維材料層が、織布ナイロン布を含み、前記第1の表面が耐久性のある撥水剤でコーティングされ、前記第2の表面が溶媒系ポリウレタンでコーティングされている、[4]に記載の複合材料。
[7]
前記複合材料が、前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に3つの中間層を含み、第1の中間層が、第1及び第2の表面を有するポリウレタン層を含み、第2の中間層が、第1及び第2の表面を有する撥水層を含み、第3の中間層が、第1及び第2の表面を有する相溶化接着スクリムを含み、前記ポリウレタン層の前記第1の表面が、前記外側繊維材料層の前記第2の表面と接触し、前記ポリウレタン層の前記第2の表面が、前記撥水層の前記第1の表面と接触し、前記撥水層の前記第2の表面が、前記接着スクリムの前記第1の表面と接触し、前記接着スクリムの前記第2の表面が、前記繊維基層の第1の表面と接触している、[1]に記載の複合材料。
[8]
前記外側繊維材料の前記第1の表面の前記着色された外観が、前記外側繊維材料の前記繊維に塗布された1つ以上の外側着色剤によって提供され、前記外側着色剤の各々が、外側色値を有し、前記繊維基材の前記第2の表面の前記着色された外観が、前記繊維基層の前記第2の表面上にコーティングされた着色ポリマー材料によって提供され、前記着色されたポリマー材料が、1つ以上の内側着色剤を含み、前記内側着色剤の各々が、内側色値を有し、前記内側色値の各々が、前記外側繊維材料層の各外側色値と同じであるか、又はそれよりも暗い、[1]に記載の複合材料。
[9]
前記相溶化接着ポリマー層が、セグメント化コポリマー若しくはランダムコポリマーを含むか、又は前記相溶化接着スクリムが、セグメント化コポリマー若しくはランダムコポリマーから形成されている、[1]に記載の複合材料。
[10]
多層複合材料であって、
a)第1及び第2の表面を有する外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層が、1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が複数の繊維を含み、前記外側繊維材料の前記第1の表面が着色された外観を有する、外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と隣接する繊維基層であって、前記繊維基層が第1及び第2の表面を有し、前記繊維基層の前記第1の表面が前記外側繊維材料層の前記第2の表面に面して位置決めされ、前記基層が1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライの各々が10g/デニールよりも大きい靭性を有する複数の繊維を含み、前記外側繊維材料層の前記繊維の少なくともいくつかが、前記繊維基層の前記繊維の少なくともいくつかと化学的に異なり、前記繊維基層の前記第2の表面が着色された外観を有する、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間の1つ以上の中間層であって、前記中間層が、相溶化接着スクリム、相溶化接着ポリマー層、及び撥水剤のうちの少なくとも1つを含み、複数の中間層が存在するとき、それらは互いに結合され、前記外側繊維材料層及び前記繊維基層の各々が前記中間層のうちの1つに結合され、前記複合材料が前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間に少なくとも1.5ポンド/インチの剥離強度を有する、
中間層と、を含み、
成形された開口部のパターンが、前記複合材料に、完全に貫通して切り込まれ、それにより、前記穿孔を通した前記繊維基層の前記第2の表面の任意の露出が、前記外側繊維材料層の前記第1の表面の前記着色された外観によって偽装される、多層複合材料。
図1
図2
図3
図4
図5