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▶ ノヴァ ケミカルズ(アンテルナショナル)ソシエテ アノニムの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】マルチ反応器溶液重合
(51)【国際特許分類】
   C08F 10/02 20060101AFI20220617BHJP
   C08F 2/01 20060101ALI20220617BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
C08F10/02
C08F2/01
C08F4/6592
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019556967
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 IB2018052141
(87)【国際公開番号】W WO2018193327
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】15/491,135
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513269848
【氏名又は名称】ノヴァ ケミカルズ(アンテルナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カゼミ、ニオウシャ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】バン アッセルドンク、ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ソロモンズ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ラコーム、イブ
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/063164(WO,A2)
【文献】米国特許第06127484(US,A)
【文献】国際公開第2016/063200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 2/60
C08F 4/60- 4/70
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続溶液重合プロセスであって、
エチレン、プロセス溶媒、第1の触媒系、任意選択で1種以上のα-オレフィン、及び任意選択で水素を、互いに並列に構成された第1の反応器内及び第2の反応器内のそれぞれに注入して、第1の反応器で作製された第1のポリエチレンを含有する第1の出力ストリームと、第2の反応器で作製された第2のポリエチレンを含有する第2の出力ストリームとを生成する工程と、
第1の出力ストリーム及び第2の出力ストリームを第3の反応器内に通し、第3の反応器内に、エチレン、並びに任意選択で以下の:
プロセス溶媒、
1種以上のα-オレフィン
水素、及び
第2の触媒系
のそれぞれを注入して、最終ポリエチレン生成物を含有する第3の出力ストリームを生成する工程と、
第3の出力ストリームを脱揮システムに通し、最終ポリエチレン生成物を回収する工程とを含み、
第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作され、
第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
第3の反応器内に注入する場合、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系である、連続溶液重合プロセス。
【請求項2】
前記第1の触媒系がシングルサイト触媒系であり、
a)式:
(LM(Pl)(Q)
(式中、Lは、非置換シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、置換インデニル、非置換フルオレニル、及び置換フルオレニルからなる群から選択され、
Mは、チタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択された金属であり、
Plは、ホスフィンイミン配位子であり、
Qは、水素原子、ハロゲン原子、C1-10ヒドロカルビルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、及びC5-10アリールオキシドラジカルからなる群から独立して選択され、ヒドロカルビル、アルコキシ、及びアリールオキシドラジカルのそれぞれは、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、C1-18アルキルラジカル、C1-8アルコキシラジカル、C6-10アリール若しくはアリールオキシラジカル、置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるアミドラジカル、又は置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるホスフィドラジカルによりさらに置換されてもよく、
aは1であり、bは1であり、nは、1又は2であり、(a+b+n)は、金属Mの価数と等しい)により定義されるホスフィンイミン錯体と、
b)アルキルアルミノキサン共触媒と、
c)イオン性活性化剤と、
d)任意選択で、ヒンダードフェノールとを含む、シングルサイト触媒系である、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アルキルアルミノキサン共触媒が、メチルアルミノキサン(MAO)である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記イオン性活性化剤が、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
第1の反応器、第2の反応器、及び第3の反応器内に注入される全エチレンの少なくとも10重量パーセントが、第3の反応器内に注入される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
第1の反応器、第2の反応器、及び第3の反応器内に注入される全エチレンの少なくとも20重量パーセントが、第3の反応器内に注入される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1、第2、及び第3の反応器が、80℃~300℃の温度及び3MPag~45MPagの圧力で操作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の反応器が、前記第2の反応器が操作される温度よりも少なくとも25℃低い温度で操作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1の反応器が、第2の反応器が操作される温度よりも少なくとも45℃低い温度で操作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第1の反応器が、前記第2の反応器が操作される温度よりも10℃~100℃低い温度で操作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第1の反応器が125℃~155℃の温度で操作され、第2の反応器が185℃~205℃の温度で操作される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
1種以上のα-オレフィンが、第1の反応器にのみ供給される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
第2の触媒が、第3の反応器に供給される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
第1の反応器及び第2の反応器が、連続撹拌タンク反応器である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第3の反応器が、管状反応器である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第2の触媒系がシングルサイト触媒系であり、
a)式:
(LM(Pl)(Q)
(式中、Lは、非置換シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、置換インデニル、非置換フルオレニル、及び置換フルオレニルからなる群から選択され、
Mは、チタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択された金属であり、
Plは、ホスフィンイミン配位子であり、
Qは、水素原子、ハロゲン原子、C1-10ヒドロカルビルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、及びC5-10アリールオキシドラジカルからなる群から独立して選択され、ヒドロカルビル、アルコキシ、及びアリールオキシドラジカルのそれぞれは、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、C1-18アルキルラジカル、C1-8アルコキシラジカル、C6-10アリール若しくはアリールオキシラジカル、置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるアミドラジカル、又は置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるホスフィドラジカルによりさらに置換されてもよく、
aは1であり、bは1であり、nは、1又は2であり、(a+b+n)は、金属Mの価数と等しい)により定義されるホスフィンイミン錯体と、
b)アルキルアルミノキサン共触媒と、
c)イオン性活性化剤と、
d)任意選択で、ヒンダードフェノールとを含む、シングルサイト触媒系である、
請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記第2の触媒系がチーグラー-ナッタ触媒系である、請求項13に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセス溶媒が、1種以上のC~C12アルカンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記1種以上のα-オレフィンが、C~C10α-オレフィンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記1種以上のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項21】
前記第1の出力ストリームと前記第2の出力ストリームが、第3の反応器の上流側で組み合わされる、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも3つの反応器を利用する重合プロセスを開示しており、当該反応器の2つが並列に構成されている。エチレンモノマーは、3つの反応器のそれぞれに供給される。このプロセスを使用することにより、プロセス効率の改善が実現しながら、新しい多峰性ポリエチレン組成物が得られる。
【背景技術】
【0002】
溶液重合プロセスは、一般的には、製造されるエチレンホモポリマー又はコポリマー生成物の融点を超える温度で行われる。典型的な溶液重合プロセスでは、触媒成分、溶媒、モノマー及び水素が、加圧下で1つ以上の反応器に供給される。
【0003】
エチレン重合、又はエチレン共重合の場合、反応器の温度は、約80℃から約300℃の範囲であってもよく、圧力は、一般に約3MPagから約45MPagの範囲である。生成されたエチレンホモポリマー又はコポリマーは、反応器条件下で溶媒中に溶解したままである。反応器内の溶媒の滞留時間は比較的短く、例えば約1秒から約20分である。溶液プロセスは、様々なエチレンポリマーの生成を可能にする広範囲のプロセス条件下で操作され得る。反応器の後、重合反応は、さらなる重合を防止するために触媒不活性化剤の添加によりクエンチされ、任意選択で酸除去剤の添加により不動態化される。いったん不活性化され(且つ、任意選択で不動態化され)たら、ポリマー溶液はポリマー回収操作(脱揮システム)に送られ、そこでエチレンホモポリマー又はコポリマーが、プロセス溶媒、未反応の残留したエチレン、及び未反応の任意選択のα-オレフィン(複数種可)から分離される。
【0004】
米国特許第5,236,998号には、3反応器溶液重合プロセスの使用が記載されている。2つの反応器は並列して構成され、それらの生成物ストリームは第3の反応器へのルートで組み合わされる。当該重合プロセスは、チーグラー-ナッタ触媒によって触媒され、その重合プロセスにより、各反応器から1つ、3つの成分を含むポリエチレン生成物の形成が可能になる。しかしながら、この米国特許文献の開示では、新鮮なモノマー(及び任意選択で新鮮な触媒)を第3の反応器に供給することにより達成され得る利点を開示または考慮していない。これが、本開示の主題である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、消費エネルギーの量を減少させることによってエネルギー効率を改善する連続溶液重合プロセスを提供する。
【0006】
本開示の一実施形態は、連続溶液重合プロセスであって、
エチレン、プロセス溶媒、第1の触媒系、任意選択で1種以上のα-オレフィン、及び任意選択で水素を、互いに並列に構成された第1の反応器内及び第2の反応器内のそれぞれに注入して、第1の反応器で作製された第1のポリエチレンを含有する第1の出力ストリームと、第2の反応器で作製された第2のポリエチレンを含有する第2の出力ストリームとを生成する工程と、
第1の出力ストリーム及び第2の出力ストリームを第3の反応器内に通し、第3の反応器内に、エチレン、並びに任意選択で以下の:
プロセス溶媒、
1種以上のα-オレフィン
水素、及び
第2の触媒系
のそれぞれを注入して、最終ポリエチレン生成物を含有する第3の出力ストリームを生成する工程と、
第3の出力ストリームを脱揮システムに通し、最終ポリエチレン生成物を回収する工程とを含み、
第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作され、
第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
第3の反応器内に注入する場合、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系である、連続溶液重合プロセスである。
【0007】
本開示の一実施形態は、連続溶液重合プロセスであって、
エチレン、プロセス溶媒、第1の触媒系、任意選択で1種以上のα-オレフィン、及び任意選択で水素を、互いに並列に構成された第1の反応器内及び第2の反応器内のそれぞれに注入して、第1の反応器で作製された第1のポリエチレンを含有する第1の出力ストリームと、第2の反応器で作製された第2のポリエチレンを含有する第2の出力ストリームとを生成する工程と、
第1の出力ストリームを第3の反応器内に通し、第3の反応器内に、エチレン、並びに任意選択で以下の:
プロセス溶媒、
1種以上のα-オレフィン
水素、及び
第2の触媒系
のそれぞれを注入して、第3の出力ストリームを生成する工程と、
第2の出力ストリームを第3の出力ストリームと組み合わせて、最終ポリエチレン生成物を含有する最終生成物ストリームを生成する工程と、
最終生成物ストリームを脱揮システムに通し、最終ポリエチレン生成物を回収する工程とを含み、
第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作され、
第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
第3の反応器内に注入する場合、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系である、連続溶液重合プロセスである。
【0008】
本開示の一実施形態は、連続溶液重合プロセスであって、
エチレン、プロセス溶媒、第1の触媒系、任意選択で1種以上のα-オレフィン、及び任意選択で水素を、互いに並列に構成された第1の反応器内及び第2の反応器内のそれぞれに注入して、第1の反応器で作製された第1のポリエチレンを含有する第1の出力ストリームと、第2の反応器で作製された第2のポリエチレンを含有する第2の出力ストリームとを生成する工程と、
第2の出力ストリームを第3の反応器内に通し、第3の反応器内に、エチレン、並びに任意選択で以下の:
プロセス溶媒、
1種以上のα-オレフィン
水素、及び
第2の触媒系
のそれぞれを注入して、第3の出力ストリームを生成する工程と、
第1の出力ストリームを第3の出力ストリームと組み合わせて、最終ポリエチレン生成物を含有する最終生成物ストリームを生成する工程、
最終生成物ストリームを脱揮システムに通し、最終ポリエチレン生成物を回収する工程とを含み、
第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作され、
第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
第3の反応器内に注入する場合、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系である、連続溶液重合プロセスである。
【0009】
本開示の一実施形態では、第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
a)式:
(LM(Pl)(Q)
(式中、Lは、非置換シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、置換インデニル、非置換フルオレニル、及び置換フルオレニルからなる群から選択され、
Mは、チタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択された金属であり、
Plは、ホスフィンイミン配位子であり、
Qは、水素原子、ハロゲン原子、C1-10ヒドロカルビルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、及びC5-10アリールオキシドラジカルからなる群から独立して選択され、ヒドロカルビル、アルコキシ、及びアリールオキシドラジカルのそれぞれは、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、C1-18アルキルラジカル、C1-8アルコキシラジカル、C6-10アリール若しくはアリールオキシラジカル、置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるアミドラジカル、又は置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるホスフィドラジカルによりさらに置換されてもよく、
aは1であり、bは1であり、nは、1又は2であり、(a+b+n)は、金属Mの価数と等しい)により定義されるホスフィンイミン錯体と、
b)アルキルアルミノキサン共触媒と、
c)イオン性活性化剤と、
d)任意選択で、ヒンダードフェノールとを含む、シングルサイト触媒系である。
【0010】
本開示の一実施形態では、アルキルアルミノキサン共触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)である。
【0011】
本開示の一実施形態では、イオン性活性化剤は、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートである。
【0012】
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも10重量パーセントは、反応器3内に注入される。
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも20重量パーセントは、反応器3内に注入される。
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも30重量パーセントは、反応器3内に注入される。
【0013】
本開示の一実施形態では、第1、第2及び第3の反応器は、約80℃~約300℃の温度及び約3MPag~約45MPagの圧力で操作される。
【0014】
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度よりも少なくとも25℃低い温度で操作される。
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度よりも少なくとも45℃低い温度で操作される。
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度よりも約10℃~約100℃低い温度で操作される。
【0015】
本開示の一実施形態では、1種以上のα-オレフィンは、第1の反応器にのみ供給される。
【0016】
本開示の一実施形態では、第2の触媒は、第3の反応器に供給される。
【0017】
本開示の一実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、連続撹拌タンク反応器である。
本開示の一実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、ループ反応器である。
本開示の一実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、独立して、連続撹拌タンク反応器又はループ反応器である。
【0018】
本開示の一実施形態では、第3の反応器は、管状反応器である。
【0019】
本開示の一実施形態では、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
a)式:
(LM(Pl)(Q)
(式中、Lは、非置換シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、置換インデニル、非置換フルオレニル、及び置換フルオレニルからなる群から選択され、
Mは、チタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択された金属であり、
Plは、ホスフィンイミン配位子であり、
Qは、水素原子、ハロゲン原子、C1-10ヒドロカルビルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、及びC5-10アリールオキシドラジカルからなる群から独立して選択され、ヒドロカルビル、アルコキシ、及びアリールオキシドラジカルのそれぞれは、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、C1-18アルキルラジカル、C1-8アルコキシラジカル、C6-10アリール若しくはアリールオキシラジカル、置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるアミドラジカル、又は置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるホスフィドラジカルによりさらに置換されてもよく、
aは1であり、bは1であり、nは、1又は2であり、(a+b+n)は、金属Mの価数と等しい)により定義されるホスフィンイミン錯体と、
b)アルキルアルミノキサン共触媒と、
c)イオン性活性化剤と、
d)任意選択で、ヒンダードフェノールとを含む、シングルサイト触媒系である。
【0020】
本開示の一実施形態では、第2の触媒系は、チーグラー-ナッタ触媒系である。
【0021】
本開示の一実施形態では、プロセス溶媒は、1種以上のC~C12アルカンである。
【0022】
本開示の一実施形態では、1種以上のα-オレフィンは、C~C10α-オレフィンから選択される。
本開示の一実施形態では、1種以上のα-オレフィンは、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物から選択される。
【0023】
本開示の一実施形態では、第1の出力ストリームと第2の出力ストリームは、第3の反応器の上流側で組み合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図3は、本開示の選択された実施形態を例示することを目的として示されており、本開示における実施形態は、示された槽の正確な配置又は数に限定されないことが理解される。
【0025】
図1図1は、連続溶液重合プロセスを示しており、第1及び第2の重合反応器は互いに並列して構成され、第1及び第2の反応器の両方からの組み合わされた流出物を第3の反応器の上流側で受け取る。
図2図2は、連続溶液重合プロセスを示しており、第1及び第2の重合反応器は互いに並列して構成され、第3の反応器は第1の反応器からの流出物を受け取る。
図3図3は、連続溶液重合プロセスを示しており、第1及び第2の重合反応器は並列して構成され、第3の反応器は第2の反応器からの流出物を受け取る。
【0026】
図4A図4Aは、本開示に従って作製されたポリエチレン生成物組成物について得られたフーリエ変換赤外(GPC-FTIR)検出を備えたゲル透過クロマトグラフを示している。1000個の炭素当たりの短鎖分岐数(y軸)として示されるコモノマー含量は、コポリマーの分子量(x軸)に対して与えられる。上方に傾斜した線(左から右)は、FTIRによって決定された(1000個の炭素原子当たりの短鎖分岐における)短鎖分岐である。図からわかるように、短鎖分岐の数は分子量が大きくなると増加し、したがって、コモノマーの取り込みは、発明例2、4及び5についてピーク又は最大値で「反転(reversed)」又は「部分的に反転(partially reversed)」すると言われる。
図4B図4Bは、比較ポリエチレン生成物組成物について得られたフーリエ変換赤外(GPC-FTIR)検出を備えたゲル透過クロマトグラフを示している。
【0027】
図5A図5Aは、本開示に従って作製されたポリエチレン生成物組成物の昇温溶出分別(TREF)分析及びプロファイルを示している。
図5B図5Bは、比較ポリエチレン生成物組成物の昇温溶出分別(TREF)分析及びプロファイルを示している。
【0028】
図6A図6Aは、本開示に従って作製されたポリエチレン生成物組成物の示差走査熱量分析(DSC)及びプロファイルを示している。
図6B図6Bは、比較ポリエチレン生成物組成物の示差走査熱量分析(DSC)及びプロファイルを示している。
【0029】
図7A図7Aは、本発明に従って作製されたポリエチレン生成物組成物を使用して作製されたフィルムのホットタックプロファイルを示している。
図7B図7Bは、比較ポリエチレン生成物組成物を使用して作製されたフィルムのホットタックプロファイルを示している。
【0030】
図8A図8Aは、本発明に従って作製されたポリエチレン生成物組成物を使用して作製されたフィルムのコールドシールプロファイルを示している。
図8B図8Bは、比較ポリエチレン生成物組成物を使用して作製されたフィルムのコールドシールプロファイルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<用語の定義>
例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、押出条件等に関するすべての数字又は表現は、すべての場合において、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、異なる意味が指定されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、様々な実施形態が得ようとする所望の特性に依存して変動し得る概数である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定しようとすることなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。具体例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、そのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的にもたらされるある特定の誤差を本質的に含有する。
【0032】
本明細書において列挙される任意の数値範囲は、それに包含されるすべての部分範囲を含むことが意図される。例えば、「1~10」の範囲は、挙げられた最小値1及び挙げられた最大値10を含むその間のすべての部分範囲、すなわち1以上の最小値及び10以下の最大値を有するすべての部分範囲を含むことが意図される。開示された数値範囲は連続的であるため、それらは最小値と最大値との間のすべての値を含む。別段に明示的に指定されない限り、本明細書において指定される様々な数値範囲は、概数である。
【0033】
本明細書において表されるすべての組成範囲は、実際に、合計で100パーセント(体積パーセント又は重量パーセント)に制限され、それを超えない。組成物中の複数の成分が存在し得る場合、各成分の最大量の合計は100パーセントを超える可能性があるが、当業者には容易に理解されるように、実際に使用される成分の量は、100パーセントの最大値に適合することが理解される。
【0034】
本開示のより完全な理解を形成するために、以下の用語が定義され、添付の図及び様々な実施形態の説明全体と共に使用されるべきである。
【0035】
本明細書において使用される場合、「モノマー」という用語は、それ自身又は他のモノマーと化学的に反応して化学結合し、ポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0036】
本明細書において使用される場合、「α-オレフィン」又は「アルファ-オレフィン」という用語は、鎖の一方の端部において二重結合を有する3~20個の炭素原子を含有する直鎖炭化水素鎖を有するモノマーを説明するために使用され、同等の用語は「直鎖α-オレフィン」である。
【0037】
本明細書において使用される場合、「ポリエチレン」又は「エチレンポリマー」という用語は、エチレンポリマーを生成するために使用される特定の触媒又は特定のプロセスとは無関係に、エチレンモノマー及び任意選択で1種以上の追加のモノマーから生成された巨大分子を指す。ポリエチレン技術において、1種以上の追加のモノマーは、「コモノマー(複数種可)」と呼ばれ、しばしばα-オレフィンを含む。「ホモポリマー」という用語は、1種のみのモノマーを含有するポリマーを指す。「エチレンホモポリマー」は、重合可能なモノマーとしてエチレンのみを使用して作製される。「コポリマー」という用語は、2種以上のモノマーを含むポリマーを指す。「エチレンコポリマー」は、エチレンと1種以上の他のタイプの重合性モノマーを使用して作製される。一般的なポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、プラストマー及びエラストマーを含む。ポリエチレンという用語はまた、エチレンに加えて2つ以上のコモノマーを含んでもよいポリエチレンターポリマーを含む。ポリエチレンという用語はまた、上述のポリエチレンの組合せ、又はブレンドを含む。
【0038】
「不均一ポリエチレン」という用語は、不均一触媒系を使用して生成されたエチレンポリマーのグループ内のポリマーの部分集合を指す。その非限定的な例には、チーグラー-ナッタ触媒又はクロム触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0039】
「均一ポリエチレン」という用語は、シングルサイト触媒を使用して生成されたエチレンポリマーのグループ内のポリマーの部分集合を指す。その非限定的な例には、メタロセン触媒、ホスフィンイミン触媒、及び拘束幾何触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0040】
典型的には、均一ポリエチレンは、狭い分子量分布、例えば2.8未満のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)M/M値を有するが、例外が発生する場合があり、M及びMは、それぞれ、重量平均分子量及び数平均分子量を指す。一方、不均一エチレンポリマーのM/Mは、典型的には、均一エチレンポリマーのM/Mより大きい。一般に、均一エチレンポリマーはまた、狭いコモノマー分布を有し、すなわち、分子量分布内の各巨大分子は、同様のコモノマー含量を有する。多くの場合、コモノマーがどのようにエチレンポリマー内に分布しているかを定量化するため、及び異なる触媒又はプロセスで生成されたエチレンポリマーを区別するために、組成分布幅指数「CDBI」が使用される。「CDBI50」は、その組成が中央コモノマー組成(median comonomer composition)の50重量パーセント(wt%)以内であるエチレンポリマーのパーセントとして定義されるが、この定義は、Exxon Chemical Patents Inc.に譲渡された国際公開WO93/03093に記載の定義と一致している。エチレンインターポリマーのCDBI50は、TREF曲線(昇温溶出分別)から計算することができるが、このTREF法は、Wild et al.,J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,Vol.20(3),441-455頁に記載されている。典型的には、均一エチレンポリマーのCDBI50は、約70%超である。一方、α-オレフィンを含有する不均一エチレンポリマーのCDBI50は、一般に、均一エチレンポリマーのCDBI50より低い。
【0041】
均一エチレンポリマーは、しばしば、「直鎖均一エチレンポリマー」及び「実質的に直鎖の均一エチレンポリマー」にさらに細分化されることは、当業者に周知である。これらの2つの下位グループは、長鎖分岐の量が異なり、より具体的には、直鎖均一エチレンポリマーは、1000個の炭素原子当たり約0.01未満の長鎖分岐を有し、一方実質的に直鎖のエチレンポリマーは、1000個の炭素原子当たり約0.01超から約3.0までの長鎖分岐を有する。長鎖分岐は、事実上巨大分子であり、すなわち、長鎖分岐が結合する巨大分子と長さが類似している。以降、本開示において、「均一エチレンポリマー」という用語は、直鎖均一エチレンポリマー及び実質的に直鎖の均一エチレンポリマーの両方を指す。
【0042】
「熱可塑性」という用語は、加熱されると液体となり、圧力下で流動し、冷却されると固化するポリマーを指す。熱可塑性ポリマーは、エチレンポリマー及びプラスチック産業において使用される他のポリマーを含み、フィルム用途において一般的に使用される他のポリマーの非限定的な例には、バリア樹脂(EVOH)、結合樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が含まれる。
【0043】
本明細書において使用される場合、「単層フィルム」という用語は、1種以上の熱可塑性物質の単一層を含有するフィルムを指す。
【0044】
本明細書において使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビルラジカル」又は「ヒドロカルビル基」という用語は、水素及び炭素を含み、1個の水素が不足した直鎖又は環式、脂肪族、オレフィン、アセチレン及びアリール(芳香族)ラジカルを指す。
【0045】
本明細書において使用される場合、「アルキルラジカル」は、1個の水素ラジカルが不足した直鎖、分岐及び環式パラフィンラジカルを含み、非限定的な例には、メチル(-CH)及びエチル(-CHCH)ラジカルが含まれる。「アルケニルラジカル」という用語は、1個の水素ラジカルが不足した少なくとも1つの炭素間二重結合を含有する直鎖、分岐及び環式炭化水素を指す。
【0046】
本明細書において使用される場合、「アリール」基という用語は、フェニル、ナフチル、ピリジル、及び分子が芳香環構造を有する他のラジカルが含まれ、非限定的な例には、ナフチレン、フェナントレン及びアントラセンが含まれる。「アリールアルキル」基は、垂下したアリール基を有するアルキル基であり、非限定的な例には、ベンジル、フェネチル及びトリルメチルが含まれ、「アルキルアリール」は、垂下した1つ以上のアルキル基を有するアリール基であり、非限定的な例には、トリル、キシリル、メシチル及びクミルが含まれる。
【0047】
本明細書において使用される場合、「ヘテロ原子」という語句は、炭素及び炭素に結合し得る水素以外のいかなる原子も含む。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含有する炭化水素ラジカルであり、同じ又は異なるヘテロ原子の1つ以上を含有してもよい。一実施形態において、ヘテロ原子含有基は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選択される1から3個の原子を含有するヒドロカルビル基である。ヘテロ原子含有基の非限定的な例には、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリンヘテロ環式化合物、オキサゾリン、チオエーテル等のラジカルが含まれる。「ヘテロ環式」という用語は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選択される1から3個の原子を含む炭素骨格を有する環系(ring systems)を指す。
【0048】
本明細書において使用される場合、「非置換」という用語は、非置換という用語に続く分子基に水素ラジカルが結合していることを意味する。「置換」という用語は、この用語に続く基が、基内の任意の位置における1つ以上の水素ラジカルに置き換わった1つ以上の部分(moieties)を有することを意味し、部分の非限定的な例には、ハロゲンラジカル(F、Cl、Br)、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C~C30アルキル基、C~C30アルケニル基、及びそれらの組合せが含まれる。置換アルキル及びアリールの非限定的な例には、アシルラジカル、アルキルアミノラジカル、アルコキシラジカル、アリールオキシラジカル、アルキルチオラジカル、ジアルキルアミノラジカル、アルコキシカルボニルラジカル、アリールオキシカルボニルラジカル、カルボモイルラジカル、アルキル-及びジアルキル-カルバモイルラジカル、アシルオキシラジカル、アシルアミノラジカル、アリールアミノラジカル並びにそれらの組合せが含まれる。
【0049】
本明細書において、「R1」という用語は、連続溶液重合プロセスにおける第1の反応器を指し、R1は、記号Rとは明確に異なることが理解されるが、後者は、化学式中で使用され、例えばヒドロカルビル基を表す。同様に、「R2」という用語は、第2の反応器を指し、「R3」という用語は、第3の反応器を指す。
【0050】
本明細書において使用される場合、「オリゴマー」とう用語は、低分子量のエチレンポリマー、例えば約2000から3000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有するエチレンポリマーを指す。オリゴマーに対して他に一般的に使用される用語は、「ワックス」又は「グリース」を含む。本明細書において使用される場合、「軽質留分不純物」という用語は、連続溶液重合プロセス内の様々な槽及びプロセスストリームに存在し得る比較的低い沸点を有する化学化合物を指し、非限定的な例には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、窒素、CO、クロロエタン、HCl等が含まれる。
【0051】
オレフィンの重合において効率的な触媒系は、当技術分野において周知である。本明細書において開示された実施形態では、連続溶液重合プロセスにおいて少なくとも1種の触媒系が使用される。
【0052】
本開示の実施形態では、第1の触媒系はシングルサイト触媒系であり、均一なエチレンポリマーを生成する少なくとも1種のシングルサイト触媒を含む。
【0053】
シングルサイト触媒系を構成する触媒成分は、特に限定されず、すなわち多様な触媒成分が使用され得る。
【0054】
本開示の非限定的な一実施形態では、シングルサイト触媒系は、以下の3つ又は4つの成分:ホスフィンイミン金属錯体;アルキルアルミノキサン共触媒;イオン性活性化剤及び任意選択でヒンダードフェノールを含む。
【0055】
本開示の一実施形態では、表1に示すように、「成分(a)」という用語は、ホスフィンイミン金属錯体を指し、「成分(b)」という用語は、アルキルアルミノキサン共触媒を指し、「成分(c)」という用語は、イオン性活性化剤を指し、「成分(d)」という用語は、任意選択のヒンダードフェノールを指す。
【0056】
本開示の一実施形態において、成分(a)の非限定的な例は、以下の式で表される:
(LM(PI)(Q)
式中、(L)は、シクロペンタジエニル型配位子を表し、Mは、金属原子を表し、PIは、ホスフィンイミン配位子を表し、Qは、活性化可能な配位子を表し、aは、0又は1であり、bは、1又は2であり、(a+b)=2であり、nは、1又は2であり、(a+b+n)の合計は、金属Mの価数に等しい。
【0057】
本明細書において使用される場合、「シクロペンタジエニル型」配位子という用語は、イータ-5(eta-5)(又はいくつかの場合においてはイータ-3(eta-3))結合を介して、金属に結合する少なくとも1つの5炭素環を含有する配位子を含むことを意味する。したがって、「シクロペンタジエニル型」という用語には、例えば、非置換シクロペンタジエニル、一置換又は多置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、単又は多置換インデニル、非置換フルオレニル、及び単又は多置換フルオレニルが含まれる。インデニル及びフルオレニル配位子の水素化型もまた、イータ-5(又はいくつかの場合においてはイータ-3)結合を介して金属に結合する5炭素環がそのままである限り、本開示での使用が想定されている。シクロペンタジエニル配位子、インデニル配位子(又はその水素化型)及びフルオレニル配位子(又はその水素化型)の置換基は、C1-30ヒドロカルビルラジカル(ヒドロカルビルラジカルは、非置換又は例えばハライド及び/又はヒドロカルビル基でさらに置換されていてもよい;例えば、適切な置換C1-30ヒドロカルビルラジカルは、-CHなどのペンタフルオロベンジル基である);ハロゲン原子;C1-8アルコキシラジカル;C6-10アリール又はアリールオキシラジカル(それぞれ、例えばハライド及び/又はヒドロカルビル基でさらに置換されていてもよい);非置換又は2個までのC1-8アルキルラジカルで置換されたアミドラジカル;非置換又は2個までのC1-8アルキルラジカルで置換されたホスフィドラジカル;式-Si(R’)のシリルラジカル(式中、各R’は、水素、C1-8アルキル又はアルコキシラジカル、C6-10アリール又はアリールオキシラジカルからなる群から独立して選択される);並びに式-Ge(R’)のゲルマニルラジカル(式中、R’は上記で定義した通りである)からなる群から選択されてもよい。
【0058】
ホスフィンイミン金属錯体中の金属Mの非限定的な例には、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが含まれる。
【0059】
ホスフィンイミン配位子PIは、以下の式により定義される:
(RP=N-
式中、R基は、水素原子;ハロゲン原子;置換されていない、又は1つ以上のハロゲン原子(複数可)で置換されたC1-20ヒドロカルビルラジカル;C1-8アルコキシラジカル;C6-10アリールラジカル;C6-10アリールオキシラジカル;アミドラジカル;式-Si(R(式中、R基は、水素原子、C1-8アルキル若しくはアルコキシラジカル、C6-10アリールラジカル、C6-10アリールオキシラジカルから独立して選択される)のシリルラジカル、あるいは、式-Ge(R(式中、R基は、本段落においてRが定義されているのと同様に定義される)のゲルマニルラジカルから独立して選択される。
【0060】
本開示において、「活性化可能な」という用語は、プロトン分解反応を介して配位子Qが金属中心Mから切断されるか、適切な酸性又は求電子性の触媒活性化剤化合物(「共触媒」化合物としても知られている)によって金属中心Mからそれぞれ引き抜かれることを意味する。活性化可能な配位子Qは、金属中心Mから切断又は引き抜かれる別の配位子に変換されてもよい(例えば、ハライドはアルキル基に変換されてもよい)。単一の理論に縛られることを望まないが、プロトン分解又は引き抜き反応は、オレフィンを重合できる活性な「カチオン」金属中心を生成する。
【0061】
本開示の実施形態では、活性化可能な配位子Qは、水素原子;ハロゲン原子;C1-10ヒドロカルビルラジカル;C1-10アルコキシラジカル;C6-10アリール又はアリールオキシラジカル(ここで、ヒドロカルビル、アルコキシ、アリール、又はアリールオキシドラジカルのそれぞれは、非置換であるか、1種以上のハロゲン又は他の基;C1-8アルキル;C1-8アルコキシ;C6-10アリール若しくはアリールオキシ;アミド若しくはホスフィドラジカル(さらに置換されていてもよい))からなる群から独立して選択される(ただし、Qはシクロペンタジエニルではない)。2つのQ配位子もまた、互いに結合して、例えば、置換又は非置換ジエン配位子(すなわち、1,3-ブタジエン);又はアセテート若しくはアセトアミジネート基などの非局在化ヘテロ原子含有基を形成してもよい。本開示の便利な実施形態では、各Xは、ハロゲン原子、C1-4アルキルラジカル及びベンジルラジカルからなる群から独立して選択される。
【0062】
特に好適な活性化可能な配位子は、ハライド(例えばクロリド)又はヒドロカルビル(例えばメチル、ベンジル)などのモノアニオン性である。
【0063】
本開示の一実施形態では、シングルサイト触媒成分(b)は、アルキルアルミノキサン共触媒である。この共触媒の厳密な構造は明らかでなく、本主題に関する専門家は、一般に、それが一般式の反復単位を含有するオリゴマー種であることを認めている:
(R)AlO-(Al(R)-O)-Al(R)
式中、R基は、1から20個の炭素原子を含有する同じ又は異なる直鎖、分岐又は環式ヒドロカルビルラジカルであってもよく、nは、0から約50である。アルキルアルミノキサンの非限定的な例は、メチルアルミノキサン(又はMAO)であり、各R基は、メチルラジカルである。
【0064】
本開示の一実施形態では、アルキルアルミノキサンのRはメチルラジカルであり、mは10~40である。
【0065】
本開示の一実施形態では、触媒活性化剤は、変性メチルアルミノキサン(MMAO)である。
【0066】
アルキルアルミノキサンは、アルキル化剤と活性化剤の両方として二重の役割を果たすことができることは、当技術分野で周知である。したがって、アルキルアルミノキサン活性化剤は、ハロゲンなどの活性化可能な配位子と組み合わせて使用されることがよくある。
【0067】
本開示の一実施形態では、シングルサイト触媒系の成分(c)は、イオン性活性化剤である。一般に、イオン性活性化剤は、カチオン及びかさ高いアニオンを含み、後者は、実質的に非配位である。イオン性活性化剤の非限定的な例は、ホウ素原子に結合した4つの配位子を有する4配位のホウ素イオン性活性化剤である。ホウ素イオン性活性化剤の非限定的な例には、以下に示される式が含まれる:
[R[B(R
(式中、Bは、ホウ素原子を表し、Rは、芳香族ヒドロカルビル(例えばトリフェニルメチルカチオン)であり、各Rは、置換されていないフェニルラジカル、又はフッ素原子、置換されていない、若しくはフッ素原子により置換されたC1-4アルキル若しくはアルコキシラジカルから選択される3~5個の置換基で置換されたフェニルラジカル;及び式-Si(R(式中、各Rは、水素原子及びC1-4アルキルラジカルから独立して選択される)のシリルラジカルから独立して選択される);並びに
[(RZH][B(R
(式中、Bは、ホウ素原子であり、Hは、水素原子であり、Zは、窒素又はリン原子であり、tは、2又は3であり、Rは、C1-8アルキルラジカル、置換されていない、若しくは3つまでのC1-4アルキルラジカルにより置換されたフェニルラジカルから選択されるか、又は、1つのRが、窒素原子と一緒になってアニリニウムラジカルを形成してもよく、Rは、上記において定義された通りである)。
【0068】
両方の式において、Rの非限定的な例は、ペンタフルオロフェニルラジカルである。一般に、ホウ素イオン性活性化剤は、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ素の塩として説明することができ、非限定的な例には、アニリニウム及びトリチル(又はトリフェニルメチリウム)によるテトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ素のアニリニウム、カルボニウム、オキソニウム、ホスホニウム及びスルホニウム塩が含まれる。イオン性活性化剤の追加の非限定的な例には、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、及びベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレートが含まれる。容易に入手可能な市販のイオン性活性化剤には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート及びトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが含まれる。
【0069】
シングルサイト触媒系の任意選択の第4の触媒成分は、ヒンダードフェノールである成分(d)である。ヒンダードフェノールの非限定的な例には、ブチル化フェノール酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、2,6-ジ-tertブチル-4-エチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが含まれる。
【0070】
活性シングルサイト触媒系を生成するために、3つ又は4つの成分(a)から(d)の量及びモル比が、以下でさらに説明されるように最適化される。
【0071】
本開示の一実施形態では、第2の触媒系は、上記のシングルサイト触媒系又は下記のチーグラー-ナッタ触媒である。
チーグラー-ナッタ触媒系は、当業者に周知である。
【0072】
本開示において、第2の触媒系は、インライン式チーグラー-ナッタ触媒系又はバッチ式チーグラー-ナッタ触媒系であってもよい。「インライン式チーグラー-ナッタ触媒系」という用語は、少量の活性チーグラー-ナッタ触媒系の連続合成、及びこの触媒を少なくとも1つの連続操作反応器に直ちに注入することを指し、ここで、触媒は、エチレン及び1種以上の任意選択のα-オレフィンを重合させてエチレンポリマーを形成する。「バッチ式チーグラー-ナッタ触媒系」又は「バッチ式チーグラー-ナッタ前駆触媒」という用語は、連続操作溶液重合プロセスの外部の、又はそれとは隔離された1つ以上の混合槽内でのはるかにより大量の触媒又は前駆触媒の合成を指す。いったん調製されたら、バッチ式チーグラー-ナッタ触媒系、又はバッチ式チーグラー-ナッタ前駆触媒は、触媒貯蔵タンクに移される。「前駆触媒」という用語は、不活性触媒系(エチレン重合に関して不活性)を指し、前駆触媒は、アルキルアルミニウム共触媒を添加することにより活性触媒に転化される。必要に応じて、前駆触媒は、貯蔵タンクから少なくとも1つの連続操作反応器にポンピングされ、ここで、活性触媒は、エチレン及び1種以上の任意選択のα-オレフィンを重合してポリエチレンを形成する。前駆触媒は、反応器内で、反応器の外部で、又は反応器へのルートで活性触媒に転化されてもよい。
【0073】
多様な化合物を使用して、活性チーグラー-ナッタ触媒系を合成することができる。以下は、活性チーグラー-ナッタ触媒系を生成するために組み合わせることができる様々な化合物を説明している。当業者は、本開示の実施形態が開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0074】
活性チーグラー-ナッタ触媒系は、マグネシウム化合物、クロリド化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム共触媒及びアルミニウムアルキルから形成され得る。当業者に理解されるように、チーグラー-ナッタ触媒系は、追加の成分を含有してもよく、追加の成分の非限定的な例は、電子供与体、例えばアミン又はエーテルである。
【0075】
活性インライン式(バッチ式)チーグラー-ナッタ触媒系の非限定的な例は、次のように調製することができる。第1のステップにおいて、マグネシウム化合物(成分(e))の溶液を、クロリド化合物(成分(f))の溶液と反応させて、溶液中に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の非限定的な例には、Mg(Rが含まれ、式中、R基は、1~10個の炭素原子を含有する、同じ又は異なる、直鎖、分岐、又は環式ヒドロカルビルラジカルであってもよい。クロリド化合物の非限定的な例には、RClが含まれ、式中、Rは、水素原子、又は1~10個の炭素原子を含有する、直鎖、分岐、若しくは環式ヒドロカルビルラジカルを表す。第1のステップにおいて、マグネシウム化合物の溶液はまた、アルミニウムアルキル(成分(g))を含有してもよい。アルミニウムアルキルの非限定的な例には、Al(Rが含まれ、式中、R基は、1~10個の炭素原子を含有する、同じ又は異なる、直鎖、分岐、又は環式ヒドロカルビルラジカルであってもよい。第2のステップにおいて、金属化合物(成分(h))の溶液が塩化マグネシウムの溶液に添加され、金属化合物が塩化マグネシウム上に担持される。好適な金属化合物の非限定的な例には、M(X)又はMO(X)が含まれ、式中、Mは、周期表の4族~8族から選択される金属、又は4族~8族から選択される金属の混合物を表し、Oは、酸素を表し、Xは、クロリド又はブロミドを表し、nは、金属の酸化状態を満足する3~6の整数である。好適な金属化合物の追加の非限定的な例には、4族から8族金属アルキル、金属アルコキシド(金属アルキルをアルコールと反応させることにより調製され得る)、並びにハライド、アルキル及びアルコキシドリガンドの混合物を含有する混合配位子金属化合物が含まれる。第3のステップにおいて、アルキルアルミニウム共触媒(成分(i))の溶液が、塩化マグネシウム上に担持された金属化合物に添加される。以下の式で表されるように、多様なアルキルアルミニウム共触媒が好適である:
Al(R(OR(X)
式中、R基は、同じ又は異なる、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であってもよく、OR基は、同じ又は異なるアルコキシ又はアリールオキシ基であってもよく、Rは、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xは、クロリド又はブロミドであり、(p+q+r)=3であるが、但しpは0より大きい。一般的に使用されるアルキルアルミニウム共触媒の非限定的な例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジブチルアルミニウムクロリド又はブロミド、及びエチルアルミニウムジクロリド又はジブロミドが含まれる。
【0076】
活性インライン式(バッチ式)チーグラー-ナッタ触媒系を合成するための、上記段落において説明されたプロセスは、様々な溶媒中で行うことができ、溶媒の非限定的な例には、直鎖若しくは分岐C~C12アルカン又はそれらの混合物が含まれる。
【0077】
活性チーグラー-ナッタ触媒系を生成するために、成分(e)から(i)の量及びモル比が、以下でさらに説明されるように最適化される。
【0078】
本開示の溶液重合プロセスの実施形態を図1図3に示す。
【0079】
図1図2及び図3を参照すると、プロセス溶媒は、ストリームA及びBを介して、反応器1「R1」及び反応器2「R2」の2つの並列反応器に注入され、ストリームCを介して、第3の反応器、反応器3「R3」に注入される。エチレンは、ストリームD、E、及びFを介して、それぞれ、反応器1、2、及び3に注入される。任意選択のα-オレフィンは、ストリームG、H、及びIを介して、それぞれ、反応器1、2、及び3に注入される。図1図3に示されるように、プロセス溶媒、エチレン、及び任意選択のα-オレフィン供給物ストリームは、組み合わされて、それぞれ、反応器1、2、及び3に供給する反応器供給物ストリームJ、K、及びLを形成する。任意選択の水素は、ストリームM、N、及びOを介して、それぞれ、反応器1、2、及び3に注入される。
【0080】
シングルサイト触媒(第1の触媒系)は、ストリームP及びQを介して、それぞれ、反応器1及び2に注入される。α-オレフィンが反応器1及び/又は2に注入されると、第1及び/又は第2のエチレンコポリマーが、それぞれ、反応器1及び反応器2内で生成される。α-オレフィンが添加されない場合、エチレンホモポリマーが形成される。
【0081】
本開示の一実施形態では、α―オレフィンが反応器1に注入されるが、反応器2には注入されないため、反応器1内で作製された第1のポリエチレンはエチレンコポリマーであり、反応器2内で作製された第2のポリエチレンはエチレンホモポリマーである。
【0082】
触媒ストリームR及びSは、触媒成分溶媒中に溶解されたイオン性活性化剤を含有する。触媒ストリームT及びUは、触媒成分溶媒中に溶解されたホスフィンイミン錯体などの有機金属錯体を含有する。触媒ストリームV及びWは、触媒成分溶媒中に溶解されたアルキルアルミノキサン共触媒を含有する。任意選択の触媒ストリームX及びYは、触媒成分溶媒中に溶解されたヒンダードフェノールを含有する。様々な触媒成分の触媒成分溶媒は、同じ又は異なってもよい。
【0083】
任意選択で、第2の触媒系は、反応器3内に注入される。第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系であってもよい。
【0084】
一実施形態では、シングルサイト触媒は、反応器3に注入される。それゆえ、本開示の一実施形態では、触媒ストリームZは、触媒成分溶媒中に溶解されたイオン性活性化剤を含有し;触媒ストリームAAは、触媒成分溶媒中に溶解されたホスフィンイミン錯体などの有機金属錯体を含有し;触媒ストリームBBは、触媒成分溶媒中に溶解されたアルキルアルミノキサン共触媒を含有し;任意選択の触媒ストリームCCは、触媒成分溶媒中に溶解されたヒンダードフェノールを含有する。様々な触媒成分の触媒成分溶媒は、同じ又は異なってもよい。
【0085】
一実施形態では、チーグラー-ナッタ触媒は、反応器3に注入される。チーグラー-ナッタ触媒は、上記のようにインラインで調製されて反応器3に供給されてもよく(図には示されていない)、あるいは、チーグラー-ナッタ触媒は、バッチモードで調製されて保持タンクに保管され、反応器3に入る前に、又は上記のように反応器3へのルートで活性化されてもよい(図には示されていない)。
【0086】
図1に示される連続溶液重合プロセスの一実施形態では、反応器1は出力ストリーム1’を生成し、反応器2は出力ストリーム2’を生成する。次いで、出力ストリーム1’及び2’は、反応器3へのルートで組み合わされる。第3のエチレンコポリマーは、反応器3で生成される。反応器3は、最終ポリエチレン生成物を含有する出力ストリーム3’を生成する。
【0087】
図1に示される連続溶液重合プロセスの一実施形態では、反応器3は、最終ポリエチレン生成物を含有する出力ストリーム3’を生成する。反応器3の下流側に、触媒不活性化剤が、触媒不活性化剤タンクT2を介して添加され、不活性化ストリームを形成し、次いでこれが減圧デバイス100を介して脱揮システムに供給される。脱揮システムは、熱交換器101の下流にある蒸気/液体(「V/L」)分離器103(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)と、第2の減圧デバイス102を含む。V/L分離器103(又は代替として液体/液体分離器)において、エチレンポリマーに富んだ溶液を含有する底部ストリーム104及びガス状オーバーヘッドストリーム105の2つのストリームが形成される。任意選択で、底部ストリーム104は、第2のV/L分離器105(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)に入り、底部ストリーム106及びガス状オーバーヘッドストリーム107の2つのストリームが形成される。任意選択で、底部ストリーム106は、第3のV/L分離器107(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)に入り、生成物ストリーム108及びガス状オーバーヘッドストリーム109の2つのストリームが形成される。
【0088】
生成物ストリーム108は、ポリマー回収に進む。ガス状オーバーヘッドストリーム105、107、及び109は、蒸留カラムに送られ、そこで溶媒、エチレン、及び任意選択のα-オレフィンが分離され、溶液重合プロセスにリサイクルされる。
【0089】
連続溶液重合プロセスの別の実施形態を、図2に示す。すべての供給物及び出力ストリームには、図1に関して前述したものと同様のラベルがつけられている。図2に示される連続溶液重合プロセスの一実施形態では、反応器1は、反応器3に流入する出力ストリーム1’を生成する。次いで、反応器3は、出力ストリーム3’を生成する。反応器2は、出力ストリーム2’を生成し、これが出力ストリーム3’と組み合わされて、最終ポリエチレン生成物を含有する最終生成物ストリームを生成する。最終生成物ストリームは、触媒不活性化剤タンクT2から触媒不活性化剤を添加して、不活性化ストリームを形成することにより、不活性化される。次いで、不活性化ストリームが、減圧デバイス100を介して脱揮システムに供給される。脱揮システムは、蒸気/液体(「V/L」)分離器103(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)、下流熱交換器101、及び第2の減圧デバイス102を含む。V/L分離器103(又は代替として液体/液体分離器)において、エチレンポリマーに富んだ溶液を含有する底部ストリーム104及びガス状オーバーヘッドストリーム105の2つのストリームが形成される。任意選択で、底部ストリーム104は、第2のV/L分離器105(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)に入り、底部ストリーム106及びガス状オーバーヘッドストリーム107の2つのストリームが形成される。任意選択で、底部ストリーム106は、第3のV/L分離器107(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)に入り、生成物ストリーム108及びガス状オーバーヘッドストリーム109の2つのストリームが形成される。生成物ストリーム108は、ポリマー回収に進む。ガス状オーバーヘッドストリーム105、107、及び109は、蒸留カラムに送られ、そこで溶媒、エチレン、及び任意選択のα-オレフィンが分離され、溶液重合プロセスにリサイクルされる。
【0090】
連続溶液重合プロセスの別の実施形態を、図3に示す。すべての供給物及び出力ストリームには、図1に関して前述したものと同様のラベルがつけられている。図3に示される連続溶液重合プロセスの一実施形態では、反応器2は、反応器3に流入する出力ストリーム2’を生成する。次いで、反応器3は、出力ストリーム3’を生成する。反応器1は、出力ストリーム1’を生成し、これが出力ストリーム3’と組み合わされて、最終ポリエチレン生成物を含有する最終生成物ストリームを生成する。最終生成物ストリームは、触媒不活性化剤タンクT2から触媒不活性化剤を添加して、不活性化ストリームを形成することにより、不活性化される。次いで、不活性化ストリームが、減圧デバイス100を介して脱揮システムに供給される。脱揮システムは、蒸気/液体(「V/L」)分離器103(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)、下流熱交換器101、及び第2の減圧デバイス102を含む。V/L分離器103(又は代替として液体/液体分離器)において、エチレンポリマーに富んだ溶液を含有する底部ストリーム104及びガス状オーバーヘッドストリーム105の2つのストリームが形成される。任意選択で、底部ストリーム104は、第2のV/L分離器105(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)に入り、底部ストリーム106及びガス状オーバーヘッドストリーム107の2つのストリームが形成される。任意選択で、底部ストリーム106は、第3のV/L分離器107(又は代替として液体/液体分離器、図示せず)に入り、生成物ストリーム108及びガス状オーバーヘッドストリーム109の2つのストリームが形成される。生成物ストリーム108は、ポリマー回収に進む。ガス状オーバーヘッドストリーム105、107、及び109は、蒸留カラムに送られ、そこで溶媒、エチレン、及び任意選択のα-オレフィンが分離され、溶液重合プロセスにリサイクルされる。
【0091】
図1図3を参照すると、触媒不活性化剤タンクT2は、未処理(100%)触媒不活性化剤、溶媒中の触媒不活性化剤の溶液、又は溶媒中の触媒不活性化剤のスラリーを含有してもよい。好適な溶媒の非限定的な例には、直鎖又は分岐C~C12アルカンが含まれる。本開示において、どのようにして触媒不活性化剤が添加されるかは特に重要ではない。いったん添加されたら、触媒不活性化剤は、活性触媒種を不活性形態に変化させることにより重合反応を実質的に停止する。好適な不活性化剤は、当技術分野において周知であり、非限定的な例には、アミン(例えば、Zborilらに対する米国特許第4,803,259号、カルボン酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩(例えば、Machanらに対する米国特許第4,105,609号、水(例えば、Bernierらに対する米国特許第4,731,438号、ハイドロタルサイト、アルコール、及びカルボン酸(例えば、Miyataに対する米国特許第4,379,882号、又はそれらの組合せ(Sibtainらに対する米国特許第6,180,730号)が含まれる。
【0092】
本開示の一実施形態では、熱交換器101の下流側であるが、減圧デバイス102(図1図3に図示せず)の上流側の最終生成物ストリームに、不動態化剤が添加されてもよい。単一の理論に縛られることを望まないが、不動態化は、最終ポリエチレン生成物中のクロリドレベルを下げるのに役立つ。不動態化剤の添加は、チーグラー-ナッタ触媒系が反応器3に供給される場合に特に有用である。不動態化剤は、溶媒中に添加してもよく、あるいは溶媒中に不動態化剤のスラリーとして添加してもよい。好適な溶媒の非限定的な例には、直鎖又は分岐C~C12アルカンが含まれる。本開示において、どのようにして不動態化剤が添加されるかは特に重要ではない。好適な不動態化剤は当技術分野において周知であり、非限定的な例には、カルボン酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、又はハイドロタルサイトが含まれる。添加される不動態化剤の量は、広範囲にわたって変動し得る。
【0093】
連続溶液重合プロセスの一実施形態では、第1の反応器及び第2の反応器は、連続撹拌タンク反応器(CSTR)である。
【0094】
連続溶液重合プロセスの一実施形態では、第3の反応器は、管状反応器である。
【0095】
本明細書に記載の連続溶液重合プロセスの一実施形態では、エチレンが、反応器1、2及び3のそれぞれに添加される。
【0096】
本明細書に記載の連続溶液重合プロセスの一実施形態では、シングルサイト触媒系が、第1の反応器及び第2の反応器のそれぞれに添加されるが、第3の反応器には添加されない。
【0097】
本明細書に記載の連続溶液重合プロセスの一実施形態では、シングルサイト触媒系が、第1、第2及び第3の反応器のそれぞれに添加される。
【0098】
本明細書に記載の連続溶液重合プロセスの一実施形態では、シングルサイト触媒系は、ホスフィンイミン錯体を含む。
【0099】
図1図2及び図3に示される実施形態を参照すると、活性なシングルサイト触媒系は、上記の4つのシングルサイト触媒成分(a)から(d)のそれぞれの割合を最適化することにより生成される。「活性」という用語は、シングルサイト触媒系が、オレフィンをポリオレフィンに転化する上で非常に効率的であることを意味し、実際には、最適化の目的は、(生成されたエチレンインターポリマー生成物のポンド)/(消費された触媒のポンド)の比を最大化することである。反応器1及び反応器2に添加されるホスフィンイミン錯体である成分(a)の量は、反応器1及び反応器2内の溶液の全質量における成分(a)のパーツパーミリオン(ppm)として表現され、以降「R1(a)(ppm)」又は「R2(a)(ppm)」と呼ばれる。R1(a)(ppm)又はR2(a)(ppm)の上限は、約5、いくつかの場合においては約3、他の場合においては約2であってもよい。R1(a)(ppm)又はR2(a)(ppm)の下限は、約0.02、いくつかの場合においては約0.05、他の場合においては約0.1であってもよい。
【0100】
R1及びR2に添加される触媒成分(c)であるイオン性活性化剤の割合は、R1及びR2溶液中の(イオン性活性化剤)/(ホスフィンイミン錯体)モル比を制御することにより最適化され、この比は以降「R1(c)/(a)」及び「R2(c)/(a)」と呼ばれる。R1(c)/(a)及びR2(c)/(a)の上限は、約10、いくつかの場合においては約5、他の場合においては約2であってもよい。R1(c)/(a)及びR2(c)/(a)の下限は、約0.1、いくつかの場合においては約0.5、他の場合においては約1.0であってもよい。
【0101】
触媒成分(b)であるアルキルアルミノキサンの割合は、R1及びR2溶液中の(アルキルアルミノキサンからのAl)/(ホスフィンイミン錯体)モル比を制御することにより最適化され、この比は以降「R1(b)/(a)」及び「R2(b)/(a)」と呼ばれる。アルキルアルミノキサン共触媒は、一般に、かさ高い配位子-金属錯体に対してモル過剰で添加される。R1(b)/(a)及びR2(b)/(a)の上限は、約1000、いくつかの場合においては約500、他の場合においては約200であってもよい。R1(b)/(a)及びR2(b)/(a)の下限は、約1、いくつかの場合においては約10、他の場合においては約30であってもよい。
【0102】
R1及びR2への触媒成分(d)であるヒンダードフェノールの添加は、図1図3において示される実施形態においては任意選択的である。添加される場合、成分(d)の割合は、R1及びR2内の(ヒンダードフェノール)/(アルキルアルミノキサンからのAl)モル比を制御することにより最適化され、この比は以降「R1(d)/(b)」及び「R2(d)/(b)」と呼ばれる。R1(d)/(b)及びR2(d)/(b)の上限は、約10、いくつかの場合においては約5、他の場合においては約2であってもよい。R1(d)/(b)及びR2(d)/(b)の下限は、0.0、いくつかの場合においては約0.1、他の場合においては約0.2であってもよい。
【0103】
シングルサイト触媒が反応器3に供給される場合、ホスフィンイミン錯体(a)、イオン性活性化剤(c)、アルキルアルミノキサン(b)及び任意選択のヒンダードフェノール(d)は、反応器1及び2について既に説明したように最適化される。すなわち、以下が制御される。
【0104】
反応器3に添加されるホスフィンイミン錯体である成分(a)の量は、R3内の溶液の全質量における成分(a)のパーツパーミリオン(ppm)として表現され、以降「R3(a)(ppm)」と呼ばれ、R3(a)(ppm)の上限は、約5、いくつかの場合においては約3、他の場合においては約2であってもよい。R3(a)(ppm)及びR2(a)(ppm)の下限は、約0.02、いくつかの場合においては約0.05、他の場合においては約0.1であってもよい。
【0105】
R3に添加される触媒成分(c)であるイオン性活性化剤の割合は、R3内の(イオン性活性化剤)/(ホスフィンイミン錯体)モル比を制御することにより最適化され、この比は以降「R3(c)/(a)」と呼ばれる。R3(c)/(a)の上限は、約10、いくつかの場合においては約5、他の場合においては約2であってもよい。R3(c)/(a)の下限は、約0.1、いくつかの場合においては約0.5、他の場合においては約1.0であってもよい。
【0106】
触媒成分(b)であるアルキルアルミノキサンの割合は、R3溶液中の(アルキルアルミノキサンからのAl)/(ホスフィンイミン錯体)モル比を制御することにより最適化され、この比は以降「R3(b)/(a)」と呼ばれる。アルキルアルミノキサン共触媒は、一般に、かさ高い配位子-金属錯体に対してモル過剰で添加される。R3(b)/(a)の上限は、約1000、いくつかの場合においては約500、他の場合においては約200であってもよい。R3(b)/(a)の下限は、約1、いくつかの場合においては約10、他の場合においては約30であってもよい。
【0107】
R3への触媒成分(d)であるヒンダードフェノールの添加は、図1図3において示される実施形態においては任意選択的である。添加される場合、成分(d)の割合は、R3内の(ヒンダードフェノール)/(アルキルアルミノキサンからのAl)モル比を制御することにより最適化され、この比は以降「R3(d)/(b)」と呼ばれる。R3(d)/(b)の上限は、約10、いくつかの場合においては約5、他の場合においては約2であってもよい。R3(d)/(b)の下限は、0.0、いくつかの場合においては約0.1、他の場合においては約0.2であってもよい。
【0108】
図1図3におけるシングルサイト触媒成分ストリームのいかなる組合せも、加熱又は冷却されてもよいし、又はされなくてもよい。触媒成分ストリーム温度の上限は、約70℃、他の場合においては約60℃、さらに他の場合においては約50℃であってもよい。触媒成分ストリーム温度の下限は、約0℃、他の場合においては約20℃、さらに他の場合においては約40℃であってもよい。
【0109】
連続重合プロセスで使用するためのシングルサイト触媒の最適化に関する詳細については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2016/0108221A1号を参照されたい。
【0110】
図1図2及び図3に示される実施形態を参照すると、チーグラー-ナッタ触媒系は、上記において定義した5つのチーグラー-ナッタ触媒成分(e)から(i)のそれぞれの割合を最適化することにより生成される。
【0111】
効率的なインライン式チーグラー-ナッタ触媒系は、次のモル比を最適化することで見出すことができる:(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)又は(g)/(e);(クロリド化合物)/(マグネシウム化合物)又は(f)/(e);(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)又は(i)/(h);及び(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)又は(g)/(h)のモル比。また、これらの化合物が反応して平衡化する時間も必要である。(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)モル比の上限は、約70、いくつかの場合においては約50、他の場合においては約30であってもよい。(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)モル比の下限は、約3.0、いくつかの場合においては約5.0、他の場合においては約10であってもよい。(クロリド化合物)/(マグネシウム化合物)モル比の上限は、約4、いくつかの場合においては約3.5、他の場合においては約3.0であってもよい。(クロリド化合物)/(マグネシウム化合物)モル比の下限は、約1.0、いくつかの場合においては約1.5、他の場合においては約1.9であってもよい。(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比の上限は、約10、いくつかの場合においては約7.5、他の場合においては約6.0であってもよい。(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比の下限は、0、いくつかの場合においては約1.0、他の場合においては約2.0であってもよい。
【0112】
インライン式チーグラー-ナッタ触媒系の最適化及び連続重合プロセスで使用するためのバッチ式チーグラー-ナッタ触媒系の使用に関する詳細については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2016/0108221A1号を参照されたい。
【0113】
図1図2及び図3に示される連続溶液プロセスの実施形態において、プロセス溶媒として様々な溶媒が使用され得、非限定的な例には、直鎖、分岐、又は環式C~C12アルカンが含まれる。α-オレフィンの非限定的な例には、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンが含まれる。好適な触媒成分溶媒には、脂肪族及び芳香族炭化水素が含まれる。脂肪族触媒成分溶媒の非限定的な例には、直鎖、分岐、又は環式C~C12脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、水素化ナフサ、又はそれらの組合せが含まれる。芳香族触媒成分溶媒の非限定的な例には、ベンゼン、トルエン(メチルベンゼン)、エチルベンゼン、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)、キシレン異性体の混合物、ヘメリテン(1,2,3-トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4-トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トリメチルベンゼン異性体の混合物、プレヘニテン(1,2,3,4-テトラメチルベンゼン)、ジュレン(1,2,3,5-テトラメチルベンゼン)、テトラメチルベンゼン異性体の混合物、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、及びそれらの組合せが含まれる。
【0114】
当技術分野における熟練者には、反応器の供給物ストリーム(溶媒、モノマー、α-オレフィン、水素、触媒系等)が、本質的に触媒不活性化毒を不含でなければならないことが周知であり、毒の非限定的な例には、微量の酸素化物、例えば水、脂肪酸、アルコール、ケトン及びアルデヒドが含まれる。
【0115】
図1図2及び図3における第1及び第2の反応器を参照すると、反応器1又は反応器2の供給物ストリームのいかなる組合せも、加熱又は冷却されてもよい。反応器の供給物ストリーム温度の上限は、約90℃、他の場合においては約80℃、さらに他の場合においては約70℃であってもよい。反応器の供給物ストリーム温度の下限は、約-20℃、他の場合においては約0℃、他の場合においては約10℃、さらに他の場合においては約20℃であってもよい。反応器3に供給するストリームのいかなる組合せも、加熱又は冷却されてもよい。いくつかの場合において、反応器3の反応器供給物ストリームは調整される、すなわち、反応器3の供給物ストリームは、少なくとも周囲温度超に加熱される。反応器3の供給物ストリームの温度上限は、いくつかの場合においては約200℃、他の場合においては約170℃、さらに他の場合においては約140℃であり、管状反応器の供給物ストリームの温度下限は、いくつかの場合においては約40℃、他の場合においては約60℃、他の場合においては約90℃、さらに他の場合においては約120℃であるが、但し、反応器3の供給物ストリームの温度は、反応器3に入るプロセスストリームの温度より低い。
【0116】
図1図3に示される実施形態において、溶液重合反応器、反応器1、2及び3の操作温度は、広範囲にわたり変動し得る。例えば、反応器温度の上限は、いくつかの場合においては約300℃、他の場合においては約280℃、さらに他の場合においては約260℃であってもよく、下限は、いくつかの場合においては約80℃、他の場合においては約100℃、さらに他の場合においては約125℃であってもよい。
【0117】
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作される。
【0118】
これらの2つの反応器の間の最大温度差、T-T(ここで、「T」はR2操作温度、「T」はR1操作温度)は、いくつかの場合においては約120℃、他の場合においては約100℃、さらに他の場合においては約80℃であり、最小T-T温度は、いくつかの場合においては約1℃、他の場合においては約5℃、さらに他の場合においては約10℃である。
【0119】
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度Tよりも少なくとも25℃低い温度Tで操作される。
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度Tよりも少なくとも35℃低い温度Tで操作される。
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度Tよりも少なくとも45℃低い温度Tで操作される。
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度Tよりも少なくとも55℃低い温度Tで操作される。
【0120】
本開示の一実施形態では、第1の反応器は、第2の反応器が操作される温度Tよりも10~100℃低い温度Tで操作される。
【0121】
本開示の一実施形態では、第1の反応器は約125℃~約155℃の温度Tで操作され、第2の反応器は約185℃~約205℃の温度Tで操作される。
【0122】
本開示の一実施形態では、第3の反応器は、第1の反応器が操作される温度Tよりも高い温度Tで操作される。
【0123】
本開示の一実施形態では、第3の反応器は、第1及び第2の反応器がそれぞれ操作される温度T及びT2よりも高い温度Tで操作される。
【0124】
本開示の一実施形態では、第3の反応器は、第1及び第2の反応器が操作される操作温度の加重平均よりも高い温度Tで操作される。
【0125】
本開示の一実施形態では、第3の反応器は、第3の反応器の入口温度よりも高い温度Tで操作される。
【0126】
本開示の一実施形態では、図1を参照すると、第3の反応器は、組み合わされた反応器1及び2の出力ストリーム1’及び2’の温度よりも高い温度Tで操作される。
【0127】
本開示の一実施形態では、図1を参照すると、第3の反応器は、組み合わされた反応器1及び2の出力ストリーム1’及び2’の加重平均温度よりも高い温度Tで操作される。
【0128】
本開示の実施形態では、第3の反応器は、反応器1より少なくとも約100℃高い温度で操作され得、他の場合においては反応器1より少なくとも約60℃高い温度で、さらに他の場合においては反応器1より少なくとも約30℃高い温度で操作され得る。
【0129】
本開示の実施形態では、第3の反応器は、反応器2より少なくとも約60℃高い温度で操作され得、他の場合においては反応器2より少なくとも約30℃高い温度で、さらに他の場合においては反応器2より少なくとも約10℃高い温度で、代替の場合においては0℃高い温度で、すなわち反応器2と同じ温度で操作され得る。
【0130】
本開示の一実施形態では、第1の反応器は約115℃~約155℃の温度で操作され、第2の反応器は約190℃~約205℃の温度で操作される。
【0131】
反応器3内の温度は、その長さに沿って増加してもよい。R3の入口と出口との間の最大温度差は、いくつかの場合においては約100℃、他の場合においては約60℃、さらに他の場合においては約40℃である。R3の入口と出口との間の最小温度差は、いくつかの場合においては0℃、他の場合においては約3℃、さらに他の場合においては約10℃であってもよい。いくつかの場合においては、R3は断熱様式で操作され、他の場合においては、R3は加熱される。
【0132】
重合反応器内の圧力は、重合溶液を単相溶液として維持するために、及び、ポリマー溶液を反応器から熱交換器を通してポリマー回収操作に押し出すための上流側圧力を提供するために十分高くあるべきである。図1図2及び図3に示される実施形態を参照すると、溶液重合反応器の操作圧力は、広範囲にわたって変動し得る。例えば、反応器圧力の上限は、いくつかの場合においては約45MPag、他の場合においては約30MPag、さらに他の場合においては約20MPagであってもよく、下限は、いくつかの場合においては約3MPag、他のいくつかの場合においては約5MPag、さらに他の場合においては約7MPagであってもよい。
【0133】
本開示の一実施形態では、1つ以上の溶液重合反応器は、一相ポリマー溶液が二相液体/液体ポリマー溶液に相分離するのに十分に低い圧力で操作することができる。
【0134】
連続溶液重合プロセスで生成されたポリエチレン生成物は、当業者に周知の従来の脱揮システムを使用して回収することができ、非限定的な例には、フラッシュ脱揮システムおよび脱揮押出機が含まれる。
【0135】
図1図3に示される実施形態を参照すると、第1のV/L分離器103に入る前に、不活性化溶液は、いくつかの場合においては約300℃、他の場合においては約290℃、さらに他の場合においては約280℃の最高温度を有してもよく、最低温度は、いくつかの場合においては約150℃、他の場合においては約200℃、さらに他の場合においては約220℃であってもよい。第1のV/L分離器に入る直前に、不活性化溶液は、いくつかの場合においては約40MPag、他の場合においては約25MPag、さらなる場合においては約15MPagの最高圧力を有してもよく、最低圧力は、いくつかの場合においては約1.5MPag、他の場合においては約5MPag、さらに他の場合においては約6MPagを有してもよい。
【0136】
第1のV/L分離器103は、比較的広い温度及び圧力範囲にわたり操作され得る。例えば、第1のV/L分離器の最高操作温度は、いくつかの場合においては約300℃、他の場合においては約285℃、さらに他の場合においては約270℃であってもよく、最低操作温度は、いくつかの場合においては約100℃、他の場合においては約140℃、さらに他の場合においては170℃であってもよい。第1のV/L分離器の最高操作圧力は、いくつかの場合においては約20MPag、他の場合においては約10MPag、さらに他の場合においては約5MPagであってもよく、最低操作圧力は、いくつかの場合においては約1MPag、他の場合においては約2MPag、さらに他の場合においては約3MPagであってもよい。
【0137】
第2のV/L分離器105は、比較的広い温度及び圧力範囲にわたり操作され得る。例えば、第2のV/L分離器の最高操作温度は、いくつかの場合においては約300℃、他の場合においては約250℃、さらに他の場合においては約200℃であってもよく、最低操作温度は、いくつかの場合においては約100℃、他の場合においては約125℃、さらに他の場合においては150℃であってもよい。第2のV/L分離器の最高操作圧力は、いくつかの場合においては約1000kPag、他の場合においては約900kPag、さらに他の場合においては約800kPagであってもよく、最低操作圧力は、いくつかの場合においては約10kPag、他の場合においては約20kPag、さらに他の場合においては約30kPagであってもよい。
【0138】
第3のV/L分離器107は、比較的広い温度及び圧力範囲にわたり操作され得る。例えば、第3のV/L分離器の最高操作温度は、いくつかの場合においては約300℃、他の場合においては約250℃、さらに他の場合においては約200℃であってもよく、最低操作温度は、いくつかの場合においては約100℃、他の場合においては約125℃、さらに他の場合においては150℃であってもよい。第3のV/L分離器の最高操作圧力は、いくつかの場合においては約500kPag、他の場合においては約150kPag、さらに他の場合においては約100kPagであってもよく、最低操作圧力は、いくつかの場合においては約1kPag、他の場合においては約10kPag、さらに他の場合においては約25kPagであってもよい。
【0139】
本開示の一実施形態では、1つ以上のV/L分離器は、真空圧で操作され得る。
【0140】
図1図3に示される連続溶液重合プロセスの実施形態は、3つのV/L分離器を示す。しかしながら、連続溶液重合の実施形態は、少なくとも1つのV/L分離器を備える構成を含んでもよい。
【0141】
本開示の別の実施形態では、最終重合反応器の下流に二相液体/液体ポリマー溶液が存在するか、又は存在するように誘導してもよい。そのような二相液体/液体ポリマー溶液は、最終重合反応器の下流で、ポリマーが薄い相とポリマーに富んだ相に分離してもよい。液体/液体(「L/L」)相分離器は、比較的広い範囲の温度と圧力で操作してもよい。1つ以上のL/L相分離器を使用してもよい。
【0142】
図1図3における反応器1及び反応器2には、任意の反応器形状又は設計が使用されてもよく、非限定的な例には、非撹拌又は撹拌式の球状、円筒状又はタンク型槽、及び管状反応器又は再循環ループ反応器が含まれる。商業規模では、反応器1及び反応器2の最大容積は、いくつかの場合においては約20,000ガロン(約75,710L)、他の場合においては約10,000ガロン(約37,850L)、さらに他の場合においては約5,000ガロン(約18,930L)であってもよい。商業規模では、反応器1及び反応器2の最小容積は、いくつかの場合においては約100ガロン(約379L)、他の場合においては約500ガロン(約1,893L)、さらに他の場合においては約1,000ガロン(約3,785L)であってもよい。パイロットプラント規模では、反応器容積は、典型的にははるかにより小さく、例えば、パイロット規模での反応器1及び反応器2の容積は、約10ガロン未満(約37L未満)であってもよい。
【0143】
本開示において、反応器R2の容積は、反応器R1の容積のパーセントとして表現され得る。
【0144】
本開示の実施形態では、R2の容積の上限は、いくつかの場合においてはR1の約600%、他の場合においてはR1の約400%、さらに他の場合においてはR1の約200%であってもよい。明確にするために、R1の容積が5,000ガロンであり、R2がR1の容積の200%である場合、R2は10,000ガロンの容積を有する。
【0145】
本開示の実施形態では、R2の容積の下限は、いくつかの場合においてはR1の約50%、他の場合においてはR1の約100%、さらに他の場合においてはR1の約150%であってもよい。連続撹拌タンク反応器の場合、撹拌速度は、広範囲にわたり変動し得、いくつかの場合においては約10rpmから約2000rpmであり、他の場合においては約100から約1500rpmであり、さらに他の場合においては約200から約1300rpmである。
【0146】
本開示の一実施形態では、反応器3は管状反応器であり、R3の容積は、反応器R2の容積のパーセントとして表現され得る。R3の容積の上限は、いくつかの場合においてはR2の約500%、他の場合においてはR2の約300%、さらに他の場合においてはR2の約100%であってもよい。R3の容積の下限は、いくつかの場合においてはR2の約3%、他の場合においてはR2の約10%、さらに他の場合においてはR2の約50%であってもよい。
【0147】
化学工学分野において一般的に使用されるパラメータである「平均反応器滞留時間」は、反応器滞留時間分布の一次モーメントにより定義され、反応器滞留時間分布は、流体要素が反応器内にある時間の量を説明する確率分布関数である。平均反応器滞留時間は、プロセス流量、並びに反応器の混合、設計及び容量に依存して幅広く変動し得る。
【0148】
本開示の実施形態では、反応器1及び反応器2内の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、約720秒、又は約600秒、又は約480秒、又は約360秒、又は約240秒、又は約180秒、である。
【0149】
本開示の実施形態では、反応器1及び反応器2内の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、約10秒、又は約20秒、又は約30秒、又は約40秒、又は約60秒である。
【0150】
本開示の実施形態では、反応器3内の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、約600秒、又は約360秒、又は約180秒である。
【0151】
本開示の実施形態では、反応器3内の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、約1秒、又は約5秒、又は約10秒である。
【0152】
任意選択で、追加の反応器(例えば、CSTR、ループ又は管等)を、図1図3において示される連続溶液重合プロセスの実施形態に追加してもよい。
【0153】
図1図3に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の操作において、プロセスに供給されるエチレンの総量は、3つの反応器R1、R2及びR3の間で分割又は分配されてもよい。
【0154】
この操作変数は、エチレン分配(ES)と呼ばれ、すなわち、「ESR1」、「ESR2」、及び「ESR3」は、それぞれR1、R2及びR3に注入されるエチレンの重量パーセントを指すが、但し、ESR1+ESR2+ESR3=100%である。これは、ストリームD(R1)、ストリームE(R2)及びストリームF(R3)のストリーム群におけるエチレン流量を調節することにより達成される。
【0155】
本開示では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも1重量パーセントは、反応器3内に注入される(すなわち、ESR3は少なくとも1%である)。
【0156】
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも10重量パーセントは、反応器3内に注入される(すなわち、ESR3は少なくとも10%である)。
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも20重量パーセントは、反応器3内に注入される(すなわち、ESR3は少なくとも20%である)。
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも30重量パーセントは、反応器3内に注入される(すなわち、ESR3は少なくとも30%である)。
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも40重量パーセントは、反応器3内に注入される(すなわち、ESR3は少なくとも40%である)。
本開示の一実施形態では、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも50重量パーセントは、反応器3内に注入される(すなわち、ESR3は少なくとも50%である)。
【0157】
本開示の実施形態では、ESR1の上限は、約80%、又は約75%、又は約70%、又は約65%、又は約60%、又は約55%であり、ESR1の下限は、約10%、又は約15%、又は約20%である。
【0158】
本開示の実施形態では、ESR2の上限は、約60%、又は約55%、又は約50%、又は約45%、又は約40%、又は約35%、又は約30%であり、ESR2の下限は、約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%である。
【0159】
本開示の実施形態では、ESR3の上限は、約50%、又は約40%、又は約35%、又は約30%、又は約25%、又は約20%であり、ESR3の下限は、約1%、又は約5%、又は約10%である。
【0160】
図1図3に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の操作において、各反応器内のエチレン濃度もまた制御され得る。例えば、反応器1内のエチレン濃度(以降「ECR1」と呼ばれる)は、反応器1内のエチレンの重量を、反応器1に添加されるすべての総重量で除したものとして定義される。ECR2及びECR3も同様に定義される。
【0161】
本開示の実施形態では、反応器内のエチレン濃度(ECR1又はECR2又はECR3)は、約5重量パーセント~約25重量パーセント、又は約7重量パーセント(wt%)~約25wt%、又は約8wt%~約20wt%、又は約9wt%~約17wt%で変動し得る。
【0162】
図1図3に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の操作において、各反応器内で転化されたエチレンの総量がモニターされる。「QR1」という用語は、触媒系によりポリエチレンポリマーに転化される、R1に添加されるエチレンのパーセントを指す。同様に、「QR2」及び「QR3」は、それぞれの反応器内でポリエチレンポリマーに転化された、R2及びR3に添加されたエチレンのパーセントを表す。
【0163】
エチレン転化率は、様々なプロセス条件、例えば触媒濃度、触媒系、不純物及び毒に依存して大きく変動し得る。
【0164】
本開示の実施形態では、QR1及びQR2の両方の上限は、約99%、又は約95%、又は約90%であってもよく、QR1及びQR2の両方の下限は、約65%、又は約70%、又は約75%であってもよい。
【0165】
本開示の実施形態では、QR3の上限は、約99%、又は約95%、又は約90%であってもよく、QR3の下限は、約1%、約5%、約10%であってもよい。
【0166】
「QTOTAL」という用語は、連続溶液重合プラント全体にわたる総合又は全エチレン転化率を表し、すなわち、Q=100×[ポリエチレン生成物中のエチレンの重量]/([ポリエチレン生成物中のエチレンの重量]+[未反応のエチレンの重量])である。Qの上限は、いくつかの場合においては約99%、他の場合においては約95%、さらに他の場合においては約90%であり、Qの下限は、いくつかの場合においては約75%、他の場合においては約80%、さらに他の場合においては約85%である。
【0167】
任意選択で、α-オレフィンが連続溶液重合プロセスに添加されてもよい。添加される場合、α-オレフィンは、R1、R2及びR3の間で配分又は分配され得る。この操作変数は、コモノマー分配(CS)と呼ばれ、すなわち、「CSR1」、「CSR2」、及び「CSR3」は、それぞれR1、R2、及びR3に注入されるα-オレフィンコモノマーの重量パーセントを指すが、但し、CSR1+CSR2+CSR3=100%である。これは、ストリームG(R1)、ストリームH(R2)及びストリームI(R3)のストリーム群におけるα-オレフィン流量を調節することにより達成される。
【0168】
CSR1の上限は、いくつかの場合においては100%(すなわち、α-オレフィンの100%がR1に注入される)、他の場合においては約95%、さらに他の場合においては約90%である。CSR1の下限は、いくつかの場合においては0%(R1内で生成されたエチレンホモポリマー)、他の場合においては約5%、さらに他の場合においては約10%である。CSR2の上限は、いくつかの場合においては約100%(すなわち、α-オレフィンの100%が反応器2に注入される)、他の場合においては約95%、さらに他の場合においては約90%である。CSR2の下限は、いくつかの場合においては0%(R2内で生成されたエチレンホモポリマー)、他の場合においては約5%、さらに他の場合においては約10%である。CSR3の上限は、いくつかの場合においては100%、他の場合においては約95%、さらに他の場合においては約90%である。CSR3の下限は、いくつかの場合においては0%、他の場合においては約5%、さらに他の場合においては約10%である。
【0169】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、反応器2内のシングルサイト触媒系を用いて生成される。図1~3に示される実施形態を参照すると、任意選択のα-オレフィンが反応器1(R1)に添加されない場合、R1で生成される第1のポリエチレンは、エチレンホモポリマーである。α-オレフィンが添加される場合、R1内で生成される第1のポリエチレンは、エチレンコポリマーであり、次の重量比が第1のポリエチレンの密度を制御する1つのパラメータである:((α-オレフィン)/(エチレン))R1。((α-オレフィン)/(エチレン))R1の上限は、約3、他の場合においては約2、さらに他の場合においては約1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))R1の下限は、0、他の場合においては約0.25、さらに他の場合においては約0.5であってもよい。以降、「d1」という用語は、R1内で生成された第1のポリエチレンの密度を指す。d1の上限は、約0.975g/cm、いくつかの場合においては約0.965g/cm、他の場合においては約0.955g/cmであってもよい。d1の下限は、約0.855g/cm、いくつかの場合においては約0.865g/cm、他の場合においては約0.875g/cmであってもよい。
【0170】
本開示の実施形態では、密度d1は、約0.875g/cm~約0.965g/cm、又は約0.875g/cm~約0.960g/cm、又は約0.875g/cm~約0.950g/cm、又は約0.865g/cm~約0.940g/cm、又は約0.865g/cm~約0.936g/cm、又は約0.865g/cm~約0.932g/cm、又は約0.865g/cm~約0.926g/cm、又は約0.865g/cm~約0.921g/cm、又は約0.865g/cm~約0.918g/cm、又は約0.875g/cm~約0.916g/cm、又は約0.875g/cm~約0.916g/cm、又は約0.865g/cm~約0.912g/cm、又は約0.880g/cm~約0.912g/cmであってもよい。
【0171】
エチレンポリマーのCDBI50(組成分布分岐指数(Composition Distribution Branching Index))を決定するための方法は、当業者に周知である。パーセントとして表現されるCDBI50は、コモノマー組成が中央コモノマー組成の50%以内であるエチレンポリマーのパーセントとして定義される。また、シングルサイト触媒系を用いて生成されたエチレンポリマーのCDBI50は、不均一触媒系を用いて生成されたα-オレフィン含有エチレンポリマーのCDBI50と比べてより高いことも、当業者に周知である。第1のポリエチレン(シングルサイト触媒系を用いて生成された)のCDBI50の上限は、約98%、他の場合においては約95%、さらに他の場合においては約90%であってもよい。第1のポリエチレンのCDBI50の下限は、約70%、他の場合においては約75%、さらに他の場合においては約80%であってもよい。
【0172】
当業者によく知られているように、シングルサイト触媒系で生成されたエチレンポリマーのM/Mは、不均一触媒系で生成されたエチレンポリマーに比べて低い。第1のポリエチレンのM/Mの上限は、約2.8、他の場合においては約2.5、他の場合においては約2.4、さらに他の場合においては2.2であってもよい。第1のポリエチレンのM/Mの下限は、約1.4、他の場合においては1.6、他の場合においては約1.7、他の場合においては約1.8、さらに他の場合においては1.9であってもよい。
【0173】
第1のポリエチレンは、使用されたシングルサイト触媒系の化学組成を反映する触媒残渣を含有してもよい。当業者には、触媒残渣が、典型的には、第1のポリエチレン中の金属のパーツパーミリオンにより定量化されることが理解されるが、ここで、金属は、成分(a)中の金属、例えば、「ホスフィンイミン錯体」中の金属を指し、以降、「M」と呼ばれる。第1のポリエチレン中の金属Mのppmの上限は、約5.0ppm、他の場合においては約2.5ppm、又は2.0ppm、又は1.0ppm、又は0.9ppm、さらに他の場合においては約0.8ppmであってもよい。第1のポリエチレン中の金属MAのppmの下限は、約0.01ppm、他の場合においては約0.1ppm、さらに他の場合においては約0.2ppmであってもよい。
【0174】
反応器1に添加される水素の量は、広範囲にわたり変動し得、以降I と呼ばれるメルトインデックスが大きく異なるポリエチレンを生成するための連続溶液プロセスを可能にする(メルトインデックスは、ASTM D1238において概説される手順に従い、2.16kg負荷を使用して190℃で測定される)。これは、ストリームM中の水素流量を調節することにより達成される(図1図3を参照)。R1に添加される水素の量は、反応器R1内の全質量に対するR1内の水素のパーツパーミリオン(ppm)として表現され、以降H R1(ppm)と呼ばれる。いくつかの場合において、H R1(ppm)は、約100ppm~0ppm、他の場合においては約50ppm~0ppm、代替の場合においては約20ppm~0ppm、さらに他の場合においては約2ppm~0ppmの範囲である。I の上限は、約200dg/分、いくつかの場合においては約100dg/分、他の場合においては約50dg/分、さらに他の場合においては約1dg/分であってもよい。I の下限は、約0.01dg/分、いくつかの場合においては約0.05dg/分、他の場合においては約0.1dg/分、さらに他の場合においては約0.5dg/分であってもよい。
【0175】
本開示の実施形態では、第1のポリエチレンのメルトインデックスI は、約0.01dg/分~約100dg/分、又は約0.05dg/分~約50dg/分、又は約0.10dg/分~約50dg/分、又は約0.01dg/分~約25dg/分、又は約0.05dg/分~約25dg/分、又は約0.10dg/分~約25dg/分、又は約0.01dg/分~約10dg/分、又は約0.05dg/分~約10dg/分、又は約0.10dg/分~約10dg/分、又は約0.01dg/分~約5.0dg/分、又は約0.05dg/分~約5.0dg/分、又は約0.10dg/分~約5.0dg/分、又は約0.10dg/分~約3.0dg/分、又は約0.05dg/分~約3.0dg/分、又は約0.05dg/分~約2.5dg/分であってもよい。
【0176】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンのメルトインデックスI は、約1.0dg/分であってもよい。
【0177】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、約40000~約400000、又は約45000~約300000、又は約50000~約300000、又は約50000~約250000、又は約50000~約200000、又は約60000~約400000、又は約60000~約350000、又は約60000~約300000、又は約60000~約250000、又は約60000~約200000の重量平均分子量、Mを有する。
【0178】
最終ポリエチレンポリマー生成物中の第1のポリエチレンの重量パーセント(wt%)の上限は、約80wt%、他の場合においては約75wt%、又は約70wt%、又は約65wt%、又は約60wt%、又は約55wt%、さらに他の場合においては約50wt%であってもよい。最終ポリエチレン生成物中の第1のポリエチレンの重量パーセント(wt%)の下限は、約15wt%、他の場合においては約25wt%、他の場合においては約30wt%、他の場合においては約35wt%、さらに他の場合においては40wt%であってもよい。
【0179】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、反応器2内のシングルサイト触媒系を用いて生成される。第2のポリエチレンは、エチレンホモポリマー又はエチレンコポリマーであってもよい。図1~3に示される実施形態を参照すると、任意選択のα-オレフィンがα-オレフィンストリームHを介して反応器2に添加されない場合、反応器2で生成される第2のポリエチレンは、エチレンホモポリマーである。任意選択のα-オレフィンが存在する場合、R2内で生成される第2のポリエチレンは、エチレンコポリマーであり、次の重量比がR2内で生成される第2のポリエチレンの密度を制御する1つのパラメータである:((α-オレフィン)/(エチレン))R2。((α-オレフィン)/(エチレン))R2の上限は、約3、他の場合においては約2、さらに他の場合においては約1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))R2の下限は、0、他の場合においては約0.25、さらに他の場合においては約0.5であってもよい。以降、「d2」という用語は、R2内で生成された第2のポリエチレンの密度を指す。d2の上限は、約0.975g/cm、いくつかの場合においては約0.965g/cm、他の場合においては約0.955g/cmであってもよい。使用されるシングルサイト触媒系に応じて、d2の下限は、約0.89g/cm、いくつかの場合においては約0.90g/cm、他の場合においては約0.91g/cmであってもよい。
【0180】
本開示の実施形態では、密度d2は、約0.921g/cm~約0.975g/cm、又は約0.926g/cm~約0.975g/cm、又は約0.930g/cm~約0.975g/cm、又は約0.936g/cm~約0.975g/cm、又は約0.940g/cm~約0.975g/cm、又は約0.945g/cm~約0.975g/cm、又は約0.950g/cm~約0.975g/cm、又は約0.951g/cm~約0.975g/cm、又は約0.953g/cm~約0.970g/cm、又は約0.953g/cm~約0.959g/cm、又は約0.955g/cm~約0.975g/cm、又は約0.951g/cm~約0.959g/cm、又は0.936g/cm~約0.970g/cm、又は約0.940g/cm~約0.970g/cm、又は約0.945g/cm~約0.970g/cm、又は約0.950g/cm~約0.970g/cmであってもよい。
【0181】
第2のポリエチレン(シングルサイト触媒系で生成された)のCDBI50の上限は、約98%、他の場合においては約95%、さらに他の場合においては約90%であってもよい。第2のポリエチレンのCDBI50の下限は、約70%、他の場合においては約75%、さらに他の場合においては約80%であってもよい。
【0182】
第2のポリエチレンのM/Mの上限は、約2.8、他の場合においては約2.5、他の場合においては約2.4、さらに他の場合においては2.2であってもよい。第2のポリエチレンのM/Mの下限は、約1.4、他の場合においては約1.6、他の場合においては約1.7、他の場合においては約1.8、さらに他の場合においては1.9であってもよい。
【0183】
第2のポリエチレンは、使用されたシングルサイト触媒系の化学組成を反映する触媒残渣を含有してもよい。当業者には、触媒残渣が、典型的には、第2のエチレンポリマー中の金属のパーツパーミリオンにより定量化されることが理解されるが、ここで、金属は、成分(a)中の金属、すなわち、「ホスフィンイミン錯体」中の金属を指し、以降、「M」と呼ばれる。第2のポリエチレン中の金属Mのppmの上限は、約5.0ppm、又は約2.5ppm、又は約1.0ppm、他の場合においては約0.9ppm、さらに他の場合においては約0.8ppmであってもよい。第2のポリエチレン中の金属Mのppmの下限は、約0.01ppm、他の場合においては約0.1ppm、さらに他の場合においては約0.2ppmであってもよい。
【0184】
R2に添加される水素の量は、広範囲にわたり変動し得、以降I と呼ばれるメルトインデックスが大きく異なる第2のポリエチレンを生成するための連続溶液プロセスを可能にする(メルトインデックスは、ASTM D1238において概説される手順に従い、2.16kg負荷を使用して190℃で測定される)。これは、ストリームN中の水素流量を調節することにより達成される(図1図3を参照)。R2に添加される水素の量は、反応器R2内の全質量に対するR2内の水素のパーツパーミリオン(ppm)として表現され、以降H R2(ppm)と呼ばれる。いくつかの場合において、H R2(ppm)は、約100ppm~0ppm、他の場合においては約50ppm~0ppm、代替の場合においては約20ppm~0ppm、さらに他の場合においては約2ppm~0ppmの範囲である。I の上限は、約20000dg/分、いくつかの場合においては約10000dg/分、他の場合においては約1500dg/分、さらに他の場合においては約1000dg/分であってもよい。I の下限は、約0.3dg/分、いくつかの場合においては約0.4dg/分、他の場合においては約0.5dg/分、さらに他の場合においては約0.6dg/分であってもよい。
【0185】
本開示の実施形態では、第2のポリエチレンのメルトインデックスI は、約0.5dg/分~約10000dg/分、又は約0.5dg/分~約1000dg/分、又は約1.0dg/分~約10000dg/分、又は約1.0dg/分~約1000dg/分、又は約0.5dg/分~約500dg/分、又は約1.0dg/分~約500dg/分、又は約0.5dg/分~約100dg/分、又は約1.0dg/分~約100dg/分、又は約0.5dg/分~約75dg/分、又は約1.0dg/分~約75dg/分、又は約0.5dg/分~約50dg/分、又は約1.0dg/分~約50dg/分、又は約0.5dg/分~約25dg/分、又は約1.0dg/分~約25dg/分、又は約0.5dg/分~約20dg/分、又は約1.0dg/分~約20dg/分、又は約0.5dg/分~約15dg/分、又は約1.0dg/分~約15dg/分、又は約0.5dg/分~約10dg/分、又は約1.0dg/分~約12.0dg/分、又は約1.0dg/分~約10dg/分であってもよい。
【0186】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、約20000~約150000、又は約25000~約130000、又は約20000~約120000、又は約25000~約100000、又は約30000~約120000、又は約30000~約100000の重量平均分子量、Mを有する。
【0187】
最終ポリエチレン生成物中の第2のポリエチレンの重量パーセント(wt%)の上限は、約85wt%、他の場合においては約80wt%、他の場合においては約70wt%、又は約65wt%、又は約60wt%、又は約55wt%、又は約50wt%、又は約45wt%、又は約40wt%、又は約35wt%であってもよい。最終ポリエチレン生成物中の第2のポリエチレンのwt%の下限は、約5wt%、又は約10wt%、又は約15wt%、又は約20wt%、又は他の場合においては約30wt%であってもよい。
【0188】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、第2のポリエチレンポリマーの重量平均分子量Mよりも高い重量平均分子量Mを有する。
【0189】
任意選択で、第2の触媒系は、第3の反応器(R3)に添加されてもよい。第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系であってもよい。
【0190】
第3のポリエチレンは、反応器3で生成される。活性触媒が、反応器1及び/若しくは反応器2から流れ、並びに/又は新鮮な重合触媒系が、反応器3に添加される。
【0191】
任意選択のα-オレフィンが、新鮮なα-オレフィンストリームIによって反応器3に添加されない場合、あるいは、任意選択のα-オレフィンが、反応器1及び/又は反応器2から、組み合わされた出力ストリーム1’及び2’(図1)、若しくは出力ストリーム1’(図2)、若しくは出力ストリーム2’(図3)中に持ち込まれないことによって反応器3に添加されない場合、反応器3内で形成される第3のポリマーは、エチレンホモポリマーである。任意選択のα-オレフィンが、新鮮なα-オレフィンストリームIによって反応器3に添加される場合、且つ/あるいは、任意選択のα-オレフィンが、反応器1及び/又は反応器2から、組み合わされた出力ストリーム1’及び2’(図1)、若しくは出力ストリーム1’(図2)、若しくは出力ストリーム2’(図3)中に持ち込まれることによって反応器3に添加される場合、反応器3内で形成される第3のポリマーは、エチレンコポリマーであり、次の重量比が第3のポリエチレンの密度を決定する:((α-オレフィン)/(エチレン))R3。連続溶液重合プロセスにおいて、((α-オレフィン)/(エチレン))R3は、所望の密度の第3のエチレンポリエチレンを生成するために使用される制御パラメータの1つである。((α-オレフィン)/(エチレン))R3の上限は、約3、他の場合においては約2、さらに他の場合においては約1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))R3の下限は、0、他の場合においては約0.25、さらに他の場合においては約0.5であってもよい。以降、記号「d3」は、R3内で生成されたエチレンポリマーの密度を指す。d3の上限は、約0.975g/cm、いくつかの場合においては約0.965g/cm、他の場合においては約0.955g/cmであってもよい。使用される触媒系に応じて、d3の下限は、約0.865g/cm、いくつかの場合においては約0.875g/cm、いくつかの場合においては約0.88g/cm、いくつかの場合においては約0.89g/cm、いくつかの場合においては約0.90g/cm、他の場合においては約0.91g/cmであってもよい。
【0192】
本開示の実施形態では、第3のポリエチレンの密度、d3は、約0.875g/cm~約0.965g/cm、又は約0.875g/cm~約0.960g/cm、又は約0.875g/cm~約0.955g/cm、又は約0.875g/cm~約0.950g/cm、又は約0.88g/cm~約0.945g/cm、又は約0.89g/cm~約0.941g/cm、又は約0.89g/cm~約0.940g/cm、又は約0.89g/cm~約0.936g/cm、又は約0.875g/cm~約0.936g/cm、又は約0.880g/cm~約0.936g/cm、又は約0.880g/cm~約0.935g/cm、又は約0.880g/cm~約0.932g/cm、又は約0.88g/cm~約0.930g/cm、又は約0.875g/cm~約0.925g/cm、又は約0.89g/cm~約0.926g/cmであってもよい。
【0193】
第3のポリエチレンのM/Mの上限は、約8.0、又は約7.0、又は約6.5、又は約6.0、他の場合においては約5.5、又は約5.0、さらに他の場合においては4.8であってもよい。第3のポリエチレンのM/Mの下限は、約4.0、又は約3.5、又は約3.0、又は約2.6、又は約2.5であってもよい。
【0194】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンのM/Mは、約2.2~約7.0、又は約2.4~約6.5、又は約2.6~約6.0、又は約2.8~約5.5、又は約3.0~約6.0、又は約3.0~約5.5であってもよい。
【0195】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンのM/Mは、第1のポリエチレンのMw/Mnより高い。
【0196】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンのM/Mは、第2のポリエチレンのMw/Mnより高い。
【0197】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンのM/Mは、第1及び第2のポリエチレンの両方のM/Mより高い。
【0198】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、第2のポリエチレンの重量平均分子量よりも高い重量平均分子量を有する。
【0199】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレン及び第3のポリエチレンは、それぞれ第2のポリエチレンの重量平均分子量よりも高い重量平均分子量を有する。
【0200】
図1図3に示される実施形態を参照すると、任意選択の水素は、ストリームOを介して反応器3に添加されてもよい。R3に添加される水素の量は、広範囲にわたって変動し得る。R3内の水素の量(以降H R3(ppm)と呼ばれる)を調節することにより、連続溶液プロセスで、メルトインデックスが大きく異なる第3のポリエチレン(以降I と呼ばれる)を生成することができる。R3に添加される任意選択の水素の量は、約50ppm~0ppm、いくつかの場合においては約25ppm~0ppm、他の場合においては約10~0、さらに他の場合においては約2ppm~0ppmの範囲である。I の上限は、約2000dg/分、いくつかの場合においては約1500dg/分、他の場合においては約1000dg/分、さらに他の場合においては約500dg/分であってもよい。I の下限は、約0.5dg/分、いくつかの場合においては約0.6dg/分、他の場合においては約0.7dg/分、さらに他の場合においては約0.8dg/分であってもよい。
【0201】
本開示の実施形態では、第3のポリエチレンのメルトインデックスI は、約0.01dg/分~約10000dg/分、又は約0.05dg/分~約10000dg/分、又は約0.10dg/分~約10000dg/分、又は約0.5dg/分~約10000dg/分、又は約1.0dg/分~約10000dg/分、又は約0.1dg/分~約5000dg/分、又は約0.5dg/分~約5000dg/分、又は約0.01dg/分~約1000dg/分、又は約0.05dg/分~約1000dg/分、又は約0.10dg/分~約1000dg/分、又は約0.5dg/分~約1000dg/分、又は約1.0dg/分~約1000dg/分、又は約0.01dg/分~約500dg/分、又は約0.05dg/分~約500dg/分、又は約0.10dg/分~約500dg/分、又は約0.1dg/分~約250dg/分、又は約0.5dg/分~約250dg/分、又は約1.0dg/分~約250dg/分、又は約0.01dg/分~約200dg/分、又は約0.05dg/分~約200dg/分、又は約0.1dg/分~約200dg/分、又は約0.01dg/分~約100dg/分、又は約0.05dg/分~約100dg/分、又は約0.10dg/分~約100dg/分、又は約0.01dg/分~約50dg/分、又は約0.05dg/分~約50dg/分、又は約0.10dg/分~約50dg/分、又は約0.01dg/分~約25dg/分、又は約0.05dg/分~約25dg/分、又は約0.10dg/分~約25dg/分、又は0.01dg/分~約10dg/分、又は0.50dg/分~約10dg/分、又は0.10dg/分~約10dg/分、又は約0.01dg/分~約5.0dg/分、又は約0.1dg/分~約5dg/分、又は約0.01dg/分~約3dg/分、又は約0.1dg/分~約3dg/分であってもよい。
【0202】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、約20000~約400000、又は約20000~約300000、又は約20000~約250000、又は約25000~約225000、又は約25000~約200000、又は約20000~約175000、又は約20000~約150000の重量平均分子量、Mを有する。
【0203】
最終エチレンポリマー生成物中の第3のエチレンポリマーの重量パーセント(wt%)の上限は、約45wt%、他の場合においては約45wt%、他の場合においては約35wt%、さらに他の場合においては約30wt%であってもよい。最終エチレンポリマー生成物中の任意選択の第3のエチレンポリマーのwt%の下限は、約1wt%、他の場合においては約5wt%、他の場合においては約10wt%、他の場合においては約15wt%、他の場合においては約20wt%、さらに他の場合においては25wt%であってもよい
【0204】
<最終ポリエチレン生成物組成物>
「最終ポリエチレン生成物組成物」(本明細書では、用語「ポリエチレン生成物組成物」及び「ポリエチレン生成物」と互換的に使用される)は、第1のポリエチレン、第2のポリエチレン、及び第3のポリエチレン(上記のとおり)を含む。この事実にもかかわらず、本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物組成物は、ASTM D6474-99の方法に従って生成されたゲル透過クロマトグラフ(GPC)曲線において、単峰性プロファイルを有する。「単峰性」という用語は、本明細書では、GPC曲線に明らか有意なピーク又は最大値が1つしかないことを意味すると定義される。単峰性プロファイルは、幅広い単峰性プロファイルを含む。一方、「二峰性」という用語の使用は、最初のピークに加えて、より高い又はより低い分子量成分を表す二次ピーク又はショルダーがあることを伝えることを意味する(すなわち、分子量分布は、分子量分布曲線に2つの最大値があると言える)。あるいは、「二峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線に2つの最大値が存在することを意味します。「多峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線に2つ以上、典型的には2つより多い最大値が存在することを示します。
【0205】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第2のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第2のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-140%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第2のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第2のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-130%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第2のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第2のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-120%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第2のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第2のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-110%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第2のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第2のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-100%。
【0206】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第2のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-100%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第2のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-75%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第2のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-50%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第2のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-40%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第2のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-30%。
【0207】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-350%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-300%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-250%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-225%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-200%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-175%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-150%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-100%。本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、次の関係を満たす:[(第3のポリエチレンの重量平均分子量)-(第1のポリエチレンの重量平均分子量)]/(第3のポリエチレンの重量平均分子量)×100%≧-50%。
【0208】
ポリエチレン生成物の密度の上限は、約0.975g/cm、いくつかの場合においては約0.965g/cm、他の場合においては約0.955g/cmであってもよい。ポリエチレン生成物の密度の下限は、約0.869g/cm、いくつかの場合においては約0.879g/cm、他の場合においては約0.889g/cmであってもよい。
【0209】
本開示の実施形態において、ポリエチレン生成物の密度は、約0.879g/cm~約0.940g/cm、又は約0.879g/cm~約0.939g/cm、又は約0.879g/cm~約0.936g/cm、又は約0.890g/cm~約0.939g/cm、又は約0.890g/cm~約0.936g/cm、又は約0.879g/cm~約0.932g/cm、又は約0.89g/cm~約0.934g/cm、又は約0.890g/cm~約0.932g/cm、又は約0.890g/cm~約0.930g/cm、又は約0.890g/cm~約0.928g/cm、又は約0.890g/cm~約0.926g/cm、又は約0.890g/cm~約0.924g/cm、又は約0.890g/cm~約0.921g/cm、又は約0.890g/cm~約0.918g/cmであってもよい。
【0210】
本開示の一実施形態において、ポリエチレン生成物の密度は、約0.941g/cm未満、又は約0.940g/cm未満、又は約0.939g/cm未満、又は≦約0.939g/cmであってもよい。
【0211】
最終ポリエチレン生成物のCDBI50の上限は、約97%、他の場合においては約90%、さらに他の場合においては約85%であってもよい。97%のCDBI50を有する最終ポリエチレン生成物は、α-オレフィンが連続溶液重合プロセスに添加されない場合に生じる可能性があり、この場合、最終ポリエチレン生成物は、エチレンホモポリマーである。最終ポリエチレン生成物のCDBI50の下限は、約20%、他の場合においては約40%、さらに他の場合においては約60%であってもよい。
【0212】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、約40%を超えるCDBI50-を有してもよい。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン生成物は、約35~95%、又は約40~85%、又は40~75%のCDBI50を有してもよい。
【0213】
最終ポリエチレン生成物のM/Mの上限は、約25、他の場合においては約15、さらに他の場合においては約9であってもよい。最終ポリエチレン生成物のM/Mの下限は、2.0、他の場合においては約2.1、又は約2.2であってもよい。
【0214】
本開示の一実施形態において、ポリエチレン生成物は、約2.1~約3.6、又は約2.0~約3.5、又は約2.1~約3.4、又は約2.1~約3.2、又は約2.1~約3.0、又は約2.0~約3.0、又は約2.0~約2.8のM/Mを有してもよい。
【0215】
本開示の一実施形態において、ポリエチレン生成物は、約4.0未満、又は約3.5未満、又は約3.0未満、又は約2.5未満、又は約2.3未満、又は約2.1未満のM/Mを有してもよい。本開示の実施形態では、ポリエチレン生成物は、約1.6~約4.5、又は約1.6~約4.0、又は約1.6~約3.5、又は約1.6~約3.2、又は約1.6~約3.0、又は約1.8~約3.2、又は約1.8~約3.0、又は約1.6~約3.0、又は約1.8~約2.8、又は約1.8~約2.5、又は約1.6~約2.3、又は約1.8~約2.3のM/Mを有してもよい。
【0216】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物の応力指数は、1.5未満、又は1.4未満、又は1.3未満であり、応力指数は、以下の関係によって定義される:
S.Ex.=log(I/I)/log(6480/2160);
式中、I及びIは、それぞれ6.48kg及び2.16kgの負荷を使用して190℃で測定されたメルトインデックスである。
【0217】
触媒残渣は、最終ポリエチレン生成物中の触媒金属のパーツパーミリオンを測定することにより定量化し得る。触媒金属は、2つ又は任意選択で3つの源に由来し、具体的には:1)金属は、反応器1及び2で使用されるシングルサイト触媒系を形成するために使用された成分(a)に由来し、任意選択で、「金属」は、反応器3で使用された第2の系に由来する。
【0218】
ポリエチレン生成物のメルトインデックスIの上限は、約500dg/分、いくつかの場合においては約400dg/分、他の場合においては約300dg/分、さらに他の場合においては約200dg/分であってもよい。最終ポリエチレン生成物のメルトインデックスの下限は、約0.1dg/分、又は0.2dg/分、又は0.3dg/分、いくつかの場合においては約0.4dg/分、他の場合においては約0.5dg/分、さらに他の場合においては約0.6dg/分であってもよい。
【0219】
本開示の実施形態では、ポリエチレン生成物は、約0.05dg/分~約500dg/分、又は約0.1dg/分~約400dg/分、又は0.1dg/分~約300dg/分、又は約0.1dg/分~約200dg/分、又は約0.1dg/分~約100dg/分、又は0.1dg/分~約50dg/分、又は約0.1dg/分~約25dg/分、又は約0.1dg/分~約20dg/分、又は約0.1dg/分~約15dg/分、又は約0.1dg/分~約10dg/分、又は約0.1dg/分~約5.0dg/分、又は約0.1dg/分~約3.0dg/分のメルトインデックスIを有してもよい。
【0220】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、約10~約35のメルトインデックス比I21/Iを有してもよく、ここで、I21及びIは、それぞれ21.16kg及び2.16kgの負荷を使用して190℃測定されたメルトインデックスである。本開示の別の実施形態では、ポリエチレン生成物は、約10~約30のメルトインデックス比I21/Iを有し得る。本開示のさらに別の実施形態では、ポリエチレン生成物は、約30未満のメルトインデックス比I21/Iを有し得る。
【0221】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、ゲル透過クロマトグラフにおいて単峰性プロファイルを有し得る。
【0222】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、昇温溶出分別グラフにおいて多峰性TREFプロファイルを有し得る。TREF分析の記載において、「多峰性」という用語は、2つ以上の異なる溶出ピークが観察可能なTREFプロファイルを意味する。
【0223】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、昇温溶出分別グラフにおいて三峰性TREFプロファイルを有し得る。TREF分析の記載において、「三峰性」という用語は、3つの異なる溶出ピークが観察可能なTREFプロファイルを意味する。
【0224】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、TREF分析において、90℃~100℃の温度で溶出する生成物の少なくとも10重量%を有し得る。本開示の別の実施形態では、ポリエチレン生成物は、TREF分析において、90℃~100℃の温度で溶出する生成物の少なくとも15重量%を有し得る。本開示の別の実施形態では、ポリエチレン生成物は、TREF分析において、90℃~100℃の温度で溶出する生成物の少なくとも17.5重量%を有し得る。本開示の別の実施形態では、ポリエチレン生成物は、TREF分析において、90℃~100℃の温度で溶出する生成物の少なくとも20重量%を有し得る。本開示の別の実施形態では、ポリエチレン生成物は、TREF分析において、90℃~100℃の温度で溶出する生成物の少なくとも22.5重量%を有し得る。本開示の別の実施形態では、ポリエチレン生成物は、TREF分析において、90℃~100℃の温度で溶出する生成物の少なくとも25重量%を有し得る。
【0225】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、示差走査熱量測定(DSC)グラフにおいて多峰性プロファイルを有し得る。DSC分析の記載において、「多峰性」という用語は、2つ以上の異なるピークが観察可能なDSCプロファイルを意味する。
【0226】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、示差走査熱量測定(DSC)グラフにおいて三峰性プロファイルを有し得る。DSC分析の記載において、「三峰性」という用語は、3つの異なるピークが観察可能なDSCプロファイルを意味する。
【0227】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、GPC-FTIRを使用して測定された逆の(inverse)(すなわち「逆の(reverse)」)又は部分的に逆のコモノマー分布プロファイルを有するであろう。GPC-FTIRを使用して測定され、コモノマーの取り込みが分子量に対して減少する場合、分布は「正常」と記述される。GPC-FTIRを使用して測定され、コモノマーの取り込みが分子量に対してほぼ一定である場合、コモノマーの分布は「フラット」又は「均一」と表現される。「逆のコモノマー分布」及び「部分的に逆のコモノマー分布」という用語は、コポリマーについて得られたGPC-FTIRデータに、1つ以上の低分子量成分よりも高いコモノマー取り込みを有する1つ以上の高分子量成分があることを意味する。「逆の(d)コモノマー分布」という用語は、本明細書において、エチレンコポリマーの分子量範囲にわたって、様々なポリマー画分のコモノマー含量が実質的に均一ではなく、その高分子量画分が比例して高いコモノマー含量を有することを意味するために使用される。(すなわち、コモノマーの取り込みが分子量とともに増加する場合、分布は「逆(reverse)」又は「反転(reversed)」として説明される)。コモノマーの取り込みが分子量の増加とともに上昇し、その後低下する場合、コモノマーの分布は依然として「逆」と見なされるが、「部分的に逆」とも呼ばれる。
【0228】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、GPC-FTIRを使用して測定された反転したコモノマー分布プロファイルを有する。
【0229】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、GPC-FTIRを使用して測定された部分的に逆のコモノマー分布プロファイルを有する。
【0230】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は「部分的に逆の」コモノマー分布プロファイルを有し、GPC-FTIRを使用して測定されたコモノマー分布プロファイルにおいてピーク又は最大を示す。
【0231】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、連続溶液重合プロセスで生成される。
【0232】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、互いに並列に構成された第1及び第2の反応器を含む連続溶液重合プロセスで生成される。
【0233】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、第1、第2及び第3の反応器を含む連続溶液重合プロセスで生成され、ここで、第1及び第2の反応器は互いに並列に構成され、第3の反応器は第1及び第2の反応器からの組み合わされた流出流を受け取る。
【0234】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、シングルサイト触媒系を用いて生成される。
【0235】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、均一ポリエチレンである。
【0236】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、シングルサイト触媒系を用いて生成される。
【0237】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、均一ポリエチレンである。
【0238】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、シングルサイト触媒系を用いて生成される。
【0239】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、チーグラー-ナッタ触媒系を用いて生成される。
【0240】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレン及び第2のポリエチレンは、シングルサイト触媒系を用いて生成される。
【0241】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレン及び第2のポリエチレンは、均一ポリエチレンである。
【0242】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレン、第2のポリエチレン及び第3のポリエチレンは、シングルサイト触媒系を用いて生成される。
【0243】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレン及び第2のポリエチレンは、シングルサイト触媒系を用いて生成され、第3のポリエチレンは、チーグラー-ナッタ触媒系を用いて生成される。
【0244】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物には実質的に長鎖分岐がない。「実質的に長鎖分岐がない」という用語は、ポリエチレン生成物が1000個の炭素当たり0.03未満の長鎖分岐を有することを意味する。
【0245】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、約38未満、又は約36未満、又は約34未満の貯蔵弾性率G’(@G’’=500Pa)値を有する。
【0246】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、約0.55未満のDRIを有し、ここで、DRIは、式:DRI=[365000(τ/η)-1]/10によって定義される「dow rheology index」であり、ここで、τは、ポリエチレンの特性緩和時間であり、ηは、材料のゼロせん断粘度である。DRIは、米国特許第6,114,486号に記載されているように、次の一般化されたクロス方程式、すなわち、η(ω)=η/[1+(ωτ]のレオロジー曲線の最小二乗適合によって計算され、ここで、nは材料のべき法則指数、η(ω)及びωは、それぞれ測定された複素粘度と適用された周波数データである。
【0247】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン生成物は、≦0.55、又は≦0.50、又は≦0.45、又は≦0.40、又は≦0.35、又は≦0.30のDRIを有する。
【0248】
ポリエチレン生成物中の触媒残渣は、反応器1及び2内で使用されるシングルサイト触媒系、及び存在する場合は、反応器3内で使用される第2の触媒系の化学組成を反映する。
【0249】
ポリエチレン生成物中の触媒残渣は、反応器1及び2内で使用されるシングルサイト触媒系、及び存在する場合は、反応器3内で使用される第2の触媒系の化学組成を反映する。
【0250】
本明細書において開示されるポリエチレン生成物は、単層又は複数層フィルムなどの可撓性製造品に転化されてもよく、このようなフィルムは当業者に周知であり、そのようなフィルムを調製するためのプロセスの非限定的な例には、インフレーションフィルムプロセス及び無延伸フィルムプロセスが含まれる。
【0251】
インフレーションフィルム押出プロセスにおいて、押出機は、熱可塑性物質又は熱可塑性物質のブレンドを加熱、溶融、混合、及び運搬する。いったん溶融されたら、熱可塑性物質は環状ダイから押出され、熱可塑性チューブを生成する。共押出の場合、多軸押出機を使用して複数層熱可塑性チューブを生成する。押出プロセスの温度は、主に、加工される熱可塑性物質又は熱可塑性物質のブレンド、例えば、熱可塑性物質の溶融温度又はガラス転移温度及び所望の溶融物の粘度により決定される。ポリオレフィンの場合、典型的な押出温度は、330°F~550°F(166℃~288℃)である。環状ダイから出るときに、熱可塑性チューブを空気で膨らませ、冷却し、固化し、一対のニップローラを通して引っ張る。空気で膨らませるため、チューブの直径が増大して、所望のサイズのバブルを形成する。ニップローラの引っ張り作用により、バブルは縦方向に延伸される。よって、バブルは、膨張空気がバブルの直径を増大させる横断方向(TD)、及びニップローラがバブルを延伸する縦方向(MD)の二方向に延伸される。結果として、インフレーションフィルムの物性は典型的に、異方性である、すなわち、物性がMD及びTD方向において異なり、例えば、フィルム引裂強度及び引張特性は典型的に、MD及びTDで異なる。いくつかの先行技術の文献において、「横方向」又は「CD」という用語が使用され、これらの用語は、本開示において使用される「横断方向」又は「TD」という用語に等しい。インフレーションフィルムプロセスにおいて、環状ダイを出るときに熱可塑性物質を冷却するために、外側バブル周囲にも空気が吹きかけられる。フィルムの最終幅は、膨張空気又はバブルの内圧を制御する、換言すれば、バブルの直径を増大又は減少させることにより決定される。フィルム厚は、ドロー-ダウン比を制御するために、主にニップローラの速度を増加又は減少させることにより制御される。ニップローラを出た後、バブル又はチューブが崩壊し、次いで縦方向に切り込みが入れられ、このようにシートを作製してよい。各シートはフィルムのロールに巻き取られてもよい。各ロールはさらに切り込みを入れられて、所望の幅のフィルムを作製してもよい。フィルムの各ロールは、以下に記載されるような様々な消費者製品にさらに加工される。
【0252】
無延伸フィルムプロセスは、単軸又は多軸押出機(複数可)が使用され得るという点で類似しているが、様々な熱可塑性材料がフラットダイに量り入れられ、チューブではなく、単層又は複数層のシートに押出される。無延伸フィルムプロセスにおいて、押出されたシートは、冷却ロール上で固化される。
【0253】
最終用途に応じて、開示されたポリエチレン生成物は、広範な厚みにわたるフィルムに転化され得る。非限定的な例には、厚みが約0.5ミル(13μm)~約4ミル(102μm)の範囲となり得る食品包装フィルムを含み、重袋(heavy duty sack)用途においては、フィルム厚は約2ミル(51μm)~約10ミル(254μm)の範囲であってもよい。
【0254】
本明細書において開示されたポリエチレン生成物は、単層フィルムにおいて使用されてもよく、単層には、2種以上のポリエチレン生成物及び/又は追加の熱可塑性物質が含有されてもよく、熱可塑性物質の限定されない例には、エチレンポリマー及びプロピレンポリマーが含まれる。単層フィルム中のポリエチレン生成物の重量パーセントの下限は、約3wt%、他の場合においては約10wt%、さらに他の場合においては約30wt%であってもよい。単層フィルム中のポリエチレン生成物の重量パーセントの上限は、100wt%、他の場合においては約90wt%、さらに他の場合においては約70wt%であってもよい。
【0255】
本明細書において開示されたポリエチレン生成物はまた、複数層フィルムの1つ以上の層において使用されてもよく、複数層フィルムの非限定的な例には、3、5、7、9、11以上の層を含が含まれる。複数層フィルム内の特定の層(ポリエチレン生成物を含有する)の厚みは、全複数層フィルム厚の約5%、他の場合においては約15%、さらに他の場合においては約30%であってもよい。他の実施形態において、複数層フィルム内の特定の層(ポリエチレン生成物を含有する)の厚みは、全複数層フィルム厚の約95%、他の場合においては約80%、さらに他の場合においては約65%であってもよい。複数層フィルムのそれぞれの個々の層は、2種以上のポリエチレン生成物及び/又は追加の熱可塑性物質を含有してもよい。
【0256】
追加の実施形態は、積層及びコーティングを含み、開示されたポリエチレン生成物を含有する単層又は複数層フィルムが、押出積層又は接着積層又は押出コーティングされている。押出積層又は接着積層では、2つ以上の基板が、それぞれ熱可塑性物質又は接着剤により互いに結合される。押出コーティングでは、熱可塑性物質が基板の表面に添加される。これらのプロセスは、当業者に周知である。しばしば、異なる材料を結合するために、接着積層又は押出積層が使用され、非限定的な例には、紙ウェブの熱可塑性ウェブへの結合、又はアルミニウム箔含有ウェブの熱可塑性ウェブへの結合、又は化学的に不適合な2種の熱可塑性ウェブの結合、例えば、ポリエチレン生成物含有ウェブのポリエステル若しくはポリアミドウェブへの結合が含まれる。積層前に、開示されたポリエチレン生成物(複数種可)を含有するウェブは、単層又は複数層であってもよい。積層前に、個々のウェブは、結合を改善するために表面処理されてもよく、表面処理の限定されない例はコロナ処理である。主要ウェブ又はフィルムは、二次ウェブを用いてその上面、その下面、又はその上面及び下面の両方に積層され得る。二次ウェブ及び三次ウェブは、主要ウェブに積層され得、二次及び三次ウェブは、化学組成が異なる。非限定的な例には、二次又は三次ウェブは、ポリアミド、ポリエステル、及びポリプロピレン、又はEVOHなどのバリア樹脂層を含有するウェブが含まれ得る。このようなウェブはまた、蒸着バリア層、例えば薄い酸化ケイ素(SiO)又は酸化アルミニウム(AlO)層を含有してもよい。複数層ウェブ(又はフィルム)は、3、5、7、9、11以上の層を含有し得る。
【0257】
本明細書において開示されたポリエチレン生成物は、1つ以上のフィルム又はフィルム層(単層又は複数層)を備える広範な製造品において使用され得る。そのような製造品の非限定的な例には、食品包装フィルム(生鮮及び冷凍食品、液体、及び粒状食品)、スタンディングパウチ、レトルト包装及びバッグインボックス包装;バリアフィルム(酸素、水分、芳香、油等)及び調製雰囲気包装;軽包装及び重包装用収縮性フィルム及びラップ、コレーション収縮性フィルム、パレット収縮性フィルム、収縮性の袋、収縮性結束及び収縮性シュラウド;軽包装及び重包装用延伸フィルム、ハンドストレッチラップ、機械延伸ラップ及び延伸フードフィルム;高透明度フィルム;重包装用袋;家庭用ラップ、オーバーラップフィルム及びサンドイッチ袋;工業用及び研究用フィルム、ゴミ袋、缶ライナー、雑誌用オーバーラップ、新聞袋、郵便袋、サック及び封筒、バブルラップ、カーペットフィルム、家具用の袋、衣類用の袋、硬貨用の袋、オートパネルフィルム;医療用途、例えば白衣、掛け布及び手術用衣;建築用フィルム及びシート類、アスファルトフィルム、断熱袋、マスキングフィルム、造園用フィルム及び袋;都市廃棄物処理及び鉱業用途のジオメンブレンライナー;バッチ包装袋;農業用フィルム、マルチフィルム及び温室用フィルム;店内包装、セルフサービスの袋、洋品店用の袋、買い物袋、持ち帰り用の袋及びTシャツ袋;配向フィルム、縦方向及び二軸配向フィルム、並びに配向ポリプロピレン(OPP)フィルムにおける機能性フィルム層、例えばシーラント及び/又は強靭性層が含まれる。少なくとも1種のポリエチレン生成物を含有する1つ以上のフィルムを備える追加の製造品は、積層及び/又は複数層フィルム;複数層フィルム及び複合材におけるシーラント及びタイ層;紙との積層;アルミニウム箔積層、又は真空蒸着アルミニウムを含有する積層;ポリアミド積層;ポリエステル積層;押出コーティングされた積層;並びにホットメルト接着剤配合物を含む。本段落において要約された製造品は、開示されたポリエチレン生成物の少なくとも1つの実施形態を含む、少なくとも1つのフィルム(単層又は複数層)を含有する。
【0258】
所望のフィルムの物性(単層又は複数層)は、典型的には、対象となる用途に依存する。所望のフィルム特性の非限定的な例には、光学特性(光沢、ヘーズ及び透明性)、落槍衝撃強度(dart impact)、エルメンドルフ引裂度、弾性率(1%及び2%割線係数)、穿刺伝播引裂抵抗(puncture-propagation tear resistance)、引張特性(降伏強度、破断強度、破断時伸び、強靭性等)、並びにヒートシール特性(ヒートシール開始温度及び高温粘着力)が含まれる。市販製品(液体、固体、ペースト、パーツ等)をパウチ様包装内に投入及びシールする高速の垂直製袋充填プロセス及び水平製袋充填プロセスにおいては、特定の高温粘着特性及びヒートシール特性が望ましい。
【0259】
所望のフィルムの物性に加えて、開示されたポリエチレン生成物は、フィルムライン上での加工が容易であることが望ましい。当業者は、しばしば、低加工性のポリマーと比べて、改善された加工性を有するポリマーと区別するために「加工性」という用語を使用する。加工性を定量化するために通常使用される手段は押出圧力であり、より具体的には改善された加工性を有するポリマーは、低加工性のポリマーと比べて、より低い押出圧力(インフレーションフィルム又は無延伸フィルム押出ラインに対して)を有する。
【0260】
本開示の一実施形態では、フィルム又はフィルム層は、上記のポリエチレン生成物を含む。
【0261】
本開示の実施形態では、フィルムは、500g/ミル、又は550g/ミル、又は600g/ミル、又は650g/ミル、又は700g/ミルの落槍衝撃強度を有するであろう。本開示の別の実施形態では、フィルムは、500g/ミル~950g/ミルの落槍衝撃強度を有するであろう。本開示のさらなる実施形態では、フィルムは、550g/ミル~850g/ミルの落槍衝撃強度を有するであろう。本開示のさらに別の実施形態では、このフィルムは、600g/ミル~850g/ミルの落槍衝撃強度を有するであろう。本開示のさらに別の実施形態では、フィルムは、600g/ミル~800g/ミルの落槍衝撃強度を有するであろう。
【0262】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで縦方向(MD)割線係数を≧150MPa、又は≧160MPa、又は≧170MPa、又は≧175MPa、又は≧180MPa、又は≧185MPa、又は≧190MPa、又は≧195MPa、又は≧200MPa有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで縦方向(MD)割線係数を150MPa~240MPa有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで縦方向(MD)割線係数を160MPa~230MPa有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで縦方向(MD)割線係数を170MPa~230MPa有するであろう。本開示のさらに別の実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで縦方向(MD)割線係数を170MPa~220MPa有するであろう。
【0263】
本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで横断方向(TD)割線係数を≧190MPa、又は≧200MPa、又は≧210MPa、又は≧220MPa、又は≧230MPa有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで横断方向(TD)割線係数を180MPa~400MPa有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで横断方向(TD)割線係数を180MPa~300MPa有するであろう。本開示のさらに別の実施形態では、1ミルのフィルムは、1%歪みで横断方向(TD)割線係数を200MPa~280MPa有するであろう。
【0264】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、≧35MPa、又は≧40MPa、又は≧45MPa、又は≧50MPa、又は≧55MPaの縦方向(MD)破断時引張強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、30MPa~70MPaの縦方向(MD)破断時引張強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、35MPa~65MPaの縦方向(MD)破断時引張強度を有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、40MPa~65MPaの縦方向(MD)破断時引張強度を有するであろう。
【0265】
本開示の実施形態では、フィルムは、≧200g/ミル、又は≧210g/ミル、又は≧220g/ミル、又は≧230g/ミル、又は≧240g/ミル、又は≧250g/ミル、又は≧260g/ミル、又は≧270g/ミル、又は≧275g/ミルの縦方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、220g/ミル~375g/ミルの縦方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、230g/ミル~375g/ミルの縦方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、240g/ミル~375g/ミルの縦方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、250g/ミル~375g/ミルの縦方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、250g/ミル~350g/ミルの縦方向(MD)引裂強度を有するであろう。
【0266】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、≧55J/mm、又は≧60J/mm、又は≧65J/mm、又は≧70J/mm、又は≧75J/mm、又は≧80J/mm、又は≧85J/mmの遅い穿刺値を有するであろう。本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、55J/mm~95J/mm、又は60J/mm~90J/mm、又は65J/mm~90J/mmの遅い穿刺値を有するであろう。
【0267】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、≦16%、又は≦15%、≦14%、又は≦13%、又は≦12%、又は≦11%、又は≦10%のヘーズを有するであろう。本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、6%~16%、又は8%~14%のヘーズを有するであろう。
【0268】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、≦115℃、又は≦110℃、又は≦105℃、又は≦100℃のシール開始温度を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、90℃と115℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、95℃と105℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、95℃と100℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、90℃と100℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。
【0269】
本開示のいくつかの実施形態は、フィルムが、比較ポリエチレンから形成されたフィルムと比べて、落槍衝撃強度、縦方向(MD)弾性率(1%及び/又は2%)、縦方向(MD)破断時引張強度縦方向引裂度、遅い穿刺抵抗、ヘーズ、及びシール開始温度の諸特性のうちの少なくとも2つ以上において改善を有するフィルムを提供する。それゆえ、本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、≧600g/ミルの落槍衝撃強度、≧170MPaのMD1%割線係数、≧40MPaの破断時MD引張強度、≧250g/ミルの縦方向(MD)引裂度、≧65J/mmの遅い穿刺値、≦14%未満のヘーズ、及び≦105℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、≧600g/ミルの落槍衝撃強度、≧170MPaのMD1%割線係数、≧65J/mmの遅い穿刺値、≧250g/ミルの縦方向(MD)引裂度、及び≦105℃のシール開始温度(SIT)を有する。
【0270】
本開示の一実施形態では、本発明の組成物を使用して製造されたフィルムは、良好なホットタック性能を有するであろう。良好なホットタック性能は、一般的に、垂直製袋充填(VFFS)用途ラインなどのバッグ又はパウチパッケージラインにおける良好なフィルム性能に関連している。理論に束縛されることを望まないが、ホットタックプロファイル(シール温度vs.力)において、良好なホットタック性能は、早い(又は低い)ホットタック開始温度によって示され、次いで、広範囲のシール温度にわたる比較的高い力によって示される。
【0271】
この項において説明される製造品において使用されるフィルムは、その使用目的に依存して、任意選択で添加剤及びアジュバント(adjuvants)を含んでもよい。添加剤及びアジュバントの非限定的な例には、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、充填材料、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核形成剤、及びそれらの組合せが含まれる。
【0272】
本明細書において開示されたエチレンポリマー生成物は、硬質製造品を生産するために使用され得る。硬質製造品の限定されない例は、惣菜用容器、マーガリン入れ、飲料カップ及び農産物用トレイ;家庭用及び工業用容器、カップ、ボトル、ペール、クレート、タンク、ドラム、バンパー、蓋、工業用バルク容器、工業用槽、材料取扱い容器、ボトルキャップライナー、ボトルキャップ、一体丁番閉鎖部;玩具、遊び場の器具、レクリエーション器具、ボート、舶用及び安全器具;ワイヤ及びケーブル用途、例えば電力ケーブル、通信ケーブル及び導管;可撓性の管及びホース;圧力パイプ及び非圧力パイプ市場の両方を含むパイプ用途、例えば天然ガス分配、水道本管、室内配管、雨水管、下水管、波形管及び導管;発泡シート又はバンフォームから製造された発泡物品;軍用包装(器具及び携帯食料);パーソナルケア包装、おむつ及び生理用品;化粧、製薬及び医療包装;並びにトラック荷台ライナー、パレット、及び自動車荷敷きを含む。本段落において要約される硬質製造品は、本明細書において開示されたエチレンポリマー生成物の1種以上、又は本明細書において開示されたエチレンポリマー生成物の少なくとも1種と、少なくとも1種の他の熱可塑性物質とのブレンドを含有する。
【0273】
そのような硬質製造品は、以下の制限されないプロセスを用いて製造され得る:射出成形、圧縮成形、ブロー成形、回転成形、異形押出、パイプ押出し、シート熱成形、及び化学的又は物理的発泡剤を使用した発泡プロセス。
【0274】
硬質製造品の所望の物性は、対象となる用途に依存する。所望の特性の非限定的な例には、曲げ弾性率(1%及び2%割線係数);引張強靭性;環境応力亀裂抵抗(ESCR);遅い亀裂成長抵抗性(PENT);耐摩耗性;ショア硬度;負荷下たわみ温度;VICAT軟化点;IZOD衝撃強度;ARM耐衝撃性;シャルピー耐衝撃性;色(白色度及び/又は黄色度指数)が含まれる。
【0275】
本開示のさらなる目的は、比較エチレンポリマーから形成された硬質製造品と比べて少なくとも1つの所望の物性が改善された、本明細書において開示されたエチレンポリマー生成物を含む硬質製造品を提供することである。
【0276】
この項において説明される硬質製造品は、その使用目的に依存して、任意選択で添加剤及びアジュバントを含んでもよい。添加剤及びアジュバントの非限定的な例には、酸化防止剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、充填材料、熱安定剤、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核形成剤、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0277】
以下の例は、本開示の選択された実施形態を例示することを目的として示されており、示された例は、添付の特許請求の範囲を限定しないことが理解される。
【実施例
【0278】
<試験方法>
試験の前に各検体を23±2℃及び50±10%相対湿度で少なくとも24時間調整し、その後の試験を23±2℃及び50±10%相対湿度で行った。本明細書において、「ASTM条件」という用語は、23±2℃及び50±10%相対湿度で維持される実験室を指し、試験される検体は、試験前にこの実験室内で少なくとも24時間調整された。ASTMは、米国材料試験協会を指す。
【0279】
ポリエチレン生成物の密度は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を用いて決定した。
【0280】
ポリエチレン生成物のメルトインデックスは、ASTM D1238(2013年8月1日)を用いて決定した。メルトインデックス、I、I、I10、及びI21は、それぞれ2.16kg、6.48kg、10kg、及び21.6kgの重りを使用して190℃で測定した。本明細書において、「応力指数」という用語又はその頭字語「S.Ex.」は、以下の関係により定義される。
S.Ex.=log(I/I)/log(6480/2160)
ここで、式中、I及びIは、それぞれ6.48kg及び2.16kgの負荷を使用して190℃で測定されたメルトフローレートである。
【0281】
ポリエチレン生成物の分子量M、M、及びM、並びに多分散性(M/M)は、ASTM D6474-12(2012年12月15日)を用いて決定した。この方法は、高温ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、ポリエチレンポリマー生成物の分子量分布を明確化する。この方法では、GPCの較正に市販のポリスチレン標準を使用する。
【0282】
発明例及び比較例の「組成分布分岐指数」又は「CDBI」は、Polymer ChAR(Valencia、Spain)から市販されている結晶-TREFユニットを使用して決定した。「TREF」という頭字語は、昇温溶出分別(Temperature Rising Elution Fractionation)を指す。エチレンポリマー生成物の試料(80~100mg)をPolymer ChAR結晶-TREFユニットの反応器内に入れ、反応器に35mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、150℃に加熱し、この温度で2時間保持して、試料を溶解させた。次いで、TCB溶液のアリコート(1.5mL)を、ステンレス鋼ビーズを充填したPolymer ChAR TREFカラムに投入し、カラムを110℃で45分間平衡化した。次いで、毎分0.09℃の冷却速度を用いてTREFカラムを110℃から30℃に徐々に冷却することにより、カラム内でポリエチレン生成物をTCB溶液から結晶化させた。次いで、TREFカラムを30℃で30分間平衡化した。次いで、毎分0.25℃の加熱速度でカラムの温度を30℃から120℃に徐々に増加させながら、0.75mL/分の流速で純TCB溶媒をカラムに通過させることにより、結晶化したポリエチレン生成物をTREFカラムから溶出した。Polymer ChARソフトウェアを使用して、ポリエチレン生成物がTREFカラムから溶出した際のTREF分布曲線が生成されたが、すなわち、TREF分布曲線は、TREF溶出温度の関数としてのカラムから溶出したポリエチレン生成物の量(又は強度)のプロットである。CDBI50は、分析された各ポリエチレン生成物のTREF分布曲線から計算した。「CDBI50」は、組成が中央コモノマー組成の50%以内である(中央コモノマー組成の各側で50%)エチレンポリマーの重量パーセントとして定義され、これは、TREF組成分布曲線及びTREF組成分布曲線の正規化積算積分から計算される。当業者には、TREF溶出温度をコモノマー含量、すなわち、特定温度において溶出するポリエチレン生成物画分中のコモノマーの量に変換するには、較正曲線が必要であることが理解される。このような較正曲線の生成は、先行技術文献、例えばWild,et al.,J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,Vol.20(3),441-455頁(参照により本明細書に完全に組み込まれる)に記載されている。「CDBI25」は、組成が中央コモノマー組成の25%以内である(中央コモノマー組成の各側で25%)ポリエチレン生成物の重量パーセントとして定義される。
【0283】
動的機械的分析は、直径25mmの円錐及びプレート形状を使用して、190℃の窒素雰囲気下で、レオメーター、すなわちRheometrics Dynamic Spectrometer(RDS-II)又はRheometrics SR5又はATS Stresstechを用いて、圧縮成形試料について行った。振動剪断実験は、0.05~100ラジアン/秒の周波数での線形粘弾性歪みレンジ(10%歪み)内で行った。貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性率(G*)及び複素粘度(η*)の値を周波数の関数として得た。同じレオロジーデータは、窒素雰囲気下190℃で直径25mmの平行プレート形状を使用することによっても得ることができる。
【0284】
フィルムの落槍衝撃強度は、ASTM D1709-09方法A(2009年5月1日)を使用して決定した。本開示において、落槍衝撃試験は、直径1.5インチ(38mm)の半球形ヘッド落槍を使用した。
【0285】
フィルム「穿刺(puncture)」、又は「遅い穿刺(slow puncture)」は、フィルムを破断するのに必要なエネルギー(J/mm)であり、ASTM D5748-95(最初は1995年に採用され、2012年に再承認された)を使用して決定した。
【0286】
「潤滑穿刺」試験は、次のように行われた:毎分10インチ(25.4cm/分)で移動する直径0.75インチ(1.9cm)の洋ナシ形のフルオロカーボンコーティングしたプローブを使用して、フィルム試料を穿刺するエネルギー(J/mm)を決定した。ASTM条件を使用した。検体を試験する前に、摩擦を低減するためにプローブヘッドにMuko Lubricating Jellyを手で塗った。Muko Lubricating Jellyは水溶性パーソナル潤滑剤であり、Cardinal Health Inc.,1000 Tesma Way,Vaughan,ON L4K 5R8 Canadaから入手可能である。プローブをInstron Model 5 SL Universal Testing Machineに装着し、1000-Nの負荷セルを使用した。フィルム試料(1.0ミル(25μm)厚、5.5インチ(14cm)幅、及び6インチ(15cm)長)をInstronに装着し、穿刺した。
【0287】
引張破断強度(MPa)、破断時伸び(%)、引張降伏強度(MPa)、引張降伏時伸び(%)、及びフィルム強靭性、又は破断するまでの総エネルギー(ft・lb/in)のフィルム引張特性群は、ASTM D882-12(2012年8月1日)を使用して決定した。引張特性は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方において測定された。
【0288】
割線係数は、フィルム剛性の尺度である。割線係数は、応力-歪み曲線、すなわち、割線上の2つの点間に引かれた線のスロープである。応力-歪み曲線上の第1の点は、起点、すなわち、起点に対応する点(ゼロパーセント歪み及びゼロ応力の点)であり、応力-歪み曲線上の第2の点は、1%の歪みに対応する点であるが、これらの2点を所与として1%割線係数が計算され、単位面積当たりの力(MPa)に関して表現される。2%割線係数も同様に計算される。ポリエチレンの応力-歪み関係はフックの法則に従わない、すなわち、ポリエチレンの応力-歪み挙動はその粘弾性質により非線形であるため、この方法を使用してフィルム弾性率を計算する。割線係数は、200lbfの負荷セルを備えた従来のInstron引張試験機を使用して測定した。試験用に単層フィルム試料片を長さ14インチ、幅1インチ、及び厚み1ミルの寸法に切断し、試料の縁部に傷又は切込みがないことを確認する。フィルム試料を縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方に切断し、試験した。ASTM条件を使用して、試料を条件付けした。携帯型マイクロメータで各フィルムの厚みを正確に測定し、試料名と共にInstronソフトウェアに入力した。10インチのグリップ間隔でInstronに試料を装着し、1インチ/分の速度で引っ張り、応力-歪み曲線を生成した。Instronソフトウェアを使用して、1%及び2%の割線係数を計算した。
【0289】
インフレーションフィルムの穿刺伝播引裂抵抗は、ASTM D2582-09(2009年5月1日)を使用して決定した。この試験は、インフレーションフィルムの引裂(snagging)に対する抵抗、より正確には、引裂をもたらす動的穿刺及びその穿刺の伝播に対する抵抗を測定する。穿刺伝播引裂抵抗は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)において測定された。
【0290】
フィルム引裂性能は、ASTM D1922-09(2009年5月1日)により決定され、引裂に対する同様の用語は「エルメンドルフ引裂度」(“Elmendorf tear”)である。フィルムの引裂度は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方において測定された。
【0291】
フィルムの光学特性は以下に従って測定された:ヘーズ(ASTM D1003-13、2013年11月15日)、及び光沢(ASTM D2457-13、2013年4月1日)。
【0292】
本開示において、「ホットタック試験」はASTM条件を使用して以下のように行われた。ホットタックデータは、Jbi Hot Tack,Geloeslaan 30,B-3630 Maamechelen,Belgiumから市販されているJ&B Hot Tack Testerを使用して生成された。ホットタック試験において、2つのフィルム試料(2つのフィルム試料は2.0ミル(51μm)厚のフィルムの同じロールから切断された)を一緒にヒートシールした直後に、すなわち、フィルムを含むポリオレフィン巨大分子が半溶融状態にあるときに、ポリオレフィンシールに対するポリオレフィンの強度が測定される。この試験は、高速自動包装機、例えば垂直製袋充填機又は水平製袋充填機でのポリエチレンフィルムのヒートシールをシミュレーションする。J&Bホットタック試験において、フィルム検体、幅1インチ(25.4mm)、フィルムシール時間0.5秒、フィルムシール圧0.27N/mm、遅延時間0.5秒、フィルム剥離速度7.9インチ/秒(200mm/秒)、試験温度範囲203°F~293°F(95℃~145℃)、温度増分9°F(5℃)のパラメータ群を使用し、各温度増分で5つのフィルム試料を試験し、各温度の平均値を計算した。発明例フィルム及び比較例フィルムについて、1Nのホットタック力が観察された温度(5つのフィルム試料の平均)である「1.0N(℃)でのタック開始」、試験温度範囲にわたって観察された最大ホットタック力である「最大ホットタック力(N)」、及び最大ホットタック力が観察された温度である「温度-最大ホットタック(℃)」のデータを記録した。
【0293】
本開示において、「ヒートシール強度試験」(「コールドシール試験」としても知られる)は、以下のように行われた。ASTM条件を使用した。ヒートシールデータは、従来のInstron Tensile Testerを使用して生成された。この試験において、温度の範囲にわたって2つのフィルム試料をシールした(2つのフィルム試料は2.0ミル(51-μm)厚のフィルムの同じロールから切断された)。ヒートシール強度(又はコールドシール)試験において、フィルム検体、幅1インチ(25.4mm)、フィルムシール時間0.5秒、フィルムシール圧40psi(0.28N/mm)、温度範囲212°F~302°F(100℃~150℃)、及び温度増分9°F(5℃)のパラメータ群を使用した。ASTM条件で少なくとも24時間エージングした後、以下の引張パラメータ群を使用して、シール強度を決定した:12インチ/分(2.54cm/分)の引抜(クロスヘッド)速度、シールに対して90°の引抜方向、そして5つのフィルム試料を各温度増分で試験した。以降S.I.T.と呼ばれるシール開始温度は、商業的に実行可能なシールを形成するために必要とされる温度として定義され、ここで、商業的に実行可能なシールは、シールの1インチ当たり2.0lb(シールの25.4mm当たり8.8N)のシール強度を有する。
【0294】
重量測定法でフィルム中のヘキサン抽出可能材料の量を決定する、連邦規則集(Code of Federal Registration)21 CFR §177.1520 Para(c)3.1及び3.2に従って、ヘキサン抽出物を決定した。詳しく述べると、2.5グラムの3.5ミル(89μm)の単層フィルムをステンレス鋼のバスケットに設置し、フィルム及びバスケットを量り(w)、さらにバスケット中で、49.5℃で2時間、フィルムをn-ヘキサンで抽出し、減圧炉中で2時間、80℃で乾燥させ、デシケータ内で30分間冷却し、量った(w)。重量の損失パーセントは、ヘキサン抽出物パーセントであり、(wC6):wC6=100×(w-w)/wである。
【0295】
<重合>
ポリエチレン生成物の実施形態は、図1に示される連続溶液重合プロセスで表されるように、並列に構成された2つのCSTR反応器(反応器1及び2)、続いて管状反応器(反応器3)を使用するパイロットプラントで調製された。発明例では、エチレンが反応器3に供給された。比較ポリエチレン生成物も、同様に図1に示す連続溶液重合プロセスに従って同様に調製され、ただしエチレンが反応器3に供給されなかったという事実を想定している。
【0296】
メチルペンタンは、プロセス溶媒(メチルペンタン異性体の商業的なブレンド)として使用された。第1のCSTR反応器(R1)の容積は3.2ガロン(12L)であり、第2のCSTR反応器(R2)の容積は5.8ガロン(22L)であり、管状反応器(R3)の容積は0.58ガロン(2.2L)又は4.8ガロン(18L)であった。R1圧力は約14MPa~約18MPaであった;R2圧力は約14MPa~約18MPaであった。反応器3は、反応器1及び2から反応器3への連続的な流れを促進するために、より低い圧力で操作した。R1とR2は互いに並列に構成され、反応器1と2からの組み合わされた出力ストリームをそれぞれ、反応器3に供給した。両方のCSTRは、反応器内容物が十分に混合される条件を与えるように撹拌した。表1に示す反応器条件で説明したとおり、プロセスは、新鮮なプロセス溶媒、エチレン、1-オクテン及び水素を反応器に供給することにより、連続的に操作した。
【0297】
シングルサイト触媒系成分は、反応器1及び2の両方に供給され、成分(a)シクロペンタジエニルトリ(tert-ブチル)ホスフィンイミンチタンジクロリド、(Cp[(t-Bu)PN]TiCl);成分(b)変性メチルアルミノキサン(MMAO-07);成分(c)トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレート、及び成分(d)2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールが含まれていた。
【0298】
使用されたシングルサイト触媒系成分溶媒は、触媒成分(b)及び(d)についてはメチルペンタンであり、触媒成分(a)及び(c)についてはキシレンであった。
【0299】
反応器内の溶媒の平均滞留時間は、主に、各反応器を通って流動する溶媒の量、及び溶液プロセスを通して流動する溶媒の総量により影響を受けた。以下は、表1に示される例に対する代表的又は典型的な値である:平均反応器滞留時間は、R1において約8.2秒、R2において約36秒、容積が0.58ガロン(2.2L)のR3において約6秒、容積が4.8ガロン(18L)のR3において約65秒であった。それゆえ、反応器3内で重合反応を比較的短期間進行させた場合、反応器の約2.2Lの容積が重合に利用された時点で触媒不活性化剤を反応器3に添加し(比較例1);あるいは、反応器3内で重合反応を比較的長時間進行させた場合、反応器の約18Lの容積が重合に利用された時点で、管状反応器(R3)の出口付近で反応を終了させるために触媒不活性化剤を反応器3に添加した(比較例2、発明例1~5)。発明例では、エチレンモノマーを第3の反応器に供給し、その時点で反応器の約2.2Lの容積を重合に利用した(発明例1~5)。比較例1及び2では、エチレンモノマーを第3の反応器に供給しなかった。
【0300】
使用された触媒不活性化剤は、P&G Chemicals(Cincinnati、OH、U.S.A)から市販されているオクタン酸(カプリル酸)であった。触媒不活性化剤は、添加される脂肪酸のモルが、重合プロセスに添加されるチタン及びアルミニウムの全モル量の50%となるように添加された;明確に述べると、添加されるオクタン酸のモル=0.5×(チタンのモル+アルミニウムのモル)であり;このモル比はすべての例(例及び比較例)において一貫して使用された。
【0301】
二段階脱揮プロセスを使用して、プロセス溶媒から最終ポリエチレン生成物を回収し、すなわち、2つの蒸気/液体分離器を使用し、(第2のV/L分離器からの)第2の底部ストリームを歯車ポンプ/ペレット化器の組み合わせに通過させた。
【0302】
ペレット化の前に、ポリエチレンポリマー生成物の重量に基づいて、500ppmのIRGANOX(登録商標)1076(一次酸化防止剤)及び500ppmのIRGAFOS(登録商標)168(二次酸化防止剤)を添加することにより、ポリエチレン生成物を安定化した。酸化防止剤をプロセス溶媒中に溶解し、第1及び第2のV/L分離器の間に添加した。
【0303】
触媒系の詳細、反応器の状態、及び最終ポリエチレン生成物の特性を、表1に示す。表1は、反応器間のエチレン及びコモノマー(すなわち1-オクテン)分配(「ES」及び「CS」)、各反応器内のエチレン濃度、各反応器内のエチレン転化率(「Q」)などのプロセスパラメータも開示している。表1の各例の重合プロセスを実行する場合、標的ポリエチレン生成物は、1メルトインデックス(I)(ASTM D1239、2.16kg負荷、190℃)又は1g/10分及び0.917g/cm(ASTM D792)であった。
【0304】
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】
【0305】
表1のデータに見られるように、新鮮なエチレンを反応器3に直接供給する本発明例の各例では、新鮮なエチレンを反応器3に供給しなかった比較例のいずれと比較しても、重合反応の生産性(1時間当たりのポリエチレン生成物のkg)が改善された。反応器3に供給されるエチレンの量が増加するにつれて、生産性は一般に増加した。
【0306】
また、重要なことに、発明例は、反応器3のエチレン分配ESR3が増加すると、反応器3の流出ストリームの温度(「R3出口温度」)が上昇し、これが下流の熱交換器のエネルギー負担を減少させることを示している。あるいは別の言い方をすれば、反応器3の出口温度が上昇したため、効率的な分離を実行するために、最終ポリエチレン生成物ストリームを溶媒分離システム(すなわち、脱揮システム)に供給する前に熱交換器を介して追加する必要のある熱量は少なくなる。これは、反応器3の出口温度と熱交換器の出口温度との間の温度差の減少、及び比較例1と比較した場合の前記温度差の対応する相対パーセント減少によってさらに証明される(表1を参照)。
【0307】
効率的な溶媒/ポリマー分離には高い熱交換器出口温度が望ましいため、本発明の発明例は、比較例と比較して、反応器3出口流の温度を上げることによりエネルギー消費の改善を提供する。これらの改善により、エネルギー入力が削減され、コストが改善され、環境への影響が低減される。
【0308】
ポリエチレン生成物組成物の特性を表2に示す。ポリエチレン生成物組成物成分の詳細、第1、第2、及び第3ポリエチレンは、2つではなく3つの反応器の使用にモデルを適合させたことを除き、米国特許第5,983,831号に記載されているのと実質的に同じ方法で共重合反応器モデリングを使用して計算された。このモデリングの結果を表3に示す。
【0309】
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】
【0310】
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】

【表3-4】
【0311】
図4A及び4Bを参照すると、当業者は、本発明のポリエチレン生成物組成物が逆コモノマー組み込みを有し、実際にいくつかの場合(発明例2、4及び5)においてはコモノマー組み込みが部分的に逆であることを認識するだろう(すなわち、分子量が増加すると最初に上昇し、分子量がさらに増加すると低下する。
【0312】
図5A及び5Bを参照すると、当業者は、本発明のポリエチレン生成物組成物が多峰性TREFプロファイルを有することを認識するであろう。比較例1及び2、並びに発明例1及び2では、TREFプロファイルは二峰性である。発明例3、4及び5では、TREFプロファイルは三峰性である。発明例1、2、3、4及び5のそれぞれにおいて、ポリエチレン生成物組成物の10重量%超が、約90℃と約100℃の間の温度で溶出する。
【0313】
図6A及び6Bを参照すると、当業者は、本発明のポリエチレン生成物組成物が多峰性DSCプロファイルを有することを認識するであろう。例1、2、3、4及び5の場合、DSCプロファイルは少なくとも三峰性である。
【0314】
ダイ直径4インチを有する2.5インチGloucesterインフレーションフィルムライン(L/D=24)を使用して、インフレーションフィルムを作成した。ダイをポリマー加工助剤(PPA)でコーティングし、メルトフラクチャを防ぐためにラインに高濃度のPPAマスターバッチをスパイクした。固定条件は、35ミル(0.0889cm)のダイギャップ、約17インチのフロストラインの高さ、及び100lbs/hrの出力であった。フィルムは異なる配向条件下で収集された。単層の1ミルフィルムは2.5のブローアップ比(BUR)で生成され、フィルムの物性を得るためにその1ミルフィルムを使用した。コールドシール及びホットタックプロファイルを得るために、単層の2ミルフィルム(BUR=2.5)を使用した。本開示のポリエチレン生成物組成物からブロー成形されたフィルムのデータを、様々な比較樹脂から作製されたフィルムのデータとともに、表4に示す。
【0315】
比較例Aは、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSURPASS(登録商標)FP117-Cから作製されたフィルムである。SURPASS FP117-Cの密度は0.917g/cmで、メルトインデックスIは1dg/分である。比較例Bは、ExxonMobilから市販されている樹脂であるEXCEED(登録商標)1018CAから作製されたフィルムである。EXCEED 1018CAの密度は約0.918g/cmで、メルトインデックスIは約0.94dg/minである。比較例Cは、ChevronPhillipsから市販されている樹脂であるMARLEX(登録商標)D139から作製されたフィルムである。MARLEX D139の密度は約0.918g/cmで、メルトインデックスIは約0.9dg/minである。比較例Dは、Dow Chemical Companyから市販されている樹脂であるELITE(登録商標)5400Gから作製されたフィルムである。ELITE 5400Gの密度は約0.916g/cmで、メルトインデックスIは約1dg/minである。比較例Eは、米国特許出願番号2016/0108221に従って作製された樹脂から作製されたフィルムである。その樹脂の密度は約0.917g/cm、メルトインデックスIは約0.96dg/分であり、第1の反応器と第2の反応器が互いに直列に配置されたマルチ反応器溶液プロセスで作製された。その樹脂は、エチレン/1-オクテン共重合体である。表4において、比較例1及び2は、比較ポリエチレン1及び2から作製されたフィルムである。すでに上記したように、これらの比較樹脂は、3つの反応器プロセスを使用して作製され、第1及び第2の反応器は並列に構成されているが、エチレンモノマーを第3の反応器に添加しなかった。表4において、発明例1~5は、本発明のポリエチレン生成物組成物1~5から作製されたフィルムである。
【0316】
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】

【表4-4】
【0317】
表4に示されたデータは、本発明のポリエチレン生成物組成物が、良好な落槍衝撃強度、剛性、穿刺、引裂及びシール特性を含むフィルム特性の良好なバランスを有することを実証している。本発明のポリエチレン生成物から作製されたフィルムは、良好な引張強度及び光学特性も有する。
【0318】
最後に、本発明のポリエチレン生成物から作製されたフィルムは、良好なホットタック性能も有する。理論に束縛されることを望まないが、ホットタックプロファイル(シール温度vs.力)において、良好なホットタック性能は、早い(又は低い)ホットタック開始温度によって示され、次いで、広範囲のシール温度にわたる比較的高い力によって示される。例えば、図7Bにおける、比較樹脂1及び2並びに比較樹脂A、B、C及びDの曲線の形状に対する、図7Aにおける本発明の組成物1、2、3、4及び5の曲線の形状を参照。本発明の組成物5のホットタック曲線の形状は、特に良好であり、広範囲のシール温度にわたる高い力によって組み合わされた早いホットタック開始温度を有する。
【0319】
良好なコールドシール特性は、本発明のポリエチレン組成物について図8Aに示された曲線によって証明されている。いくつかの比較ポリエチレン組成物のコールドシール特性を表8Bに示す。当業者は、発明例5が、広範囲のコールドシール温度にわたる比較的高い力と組み合わされた早いコールドシール開始温度を有することを認識するであろう。
【0320】
本開示の非限定的な実施形態には、以下が含まれる。
【0321】
実施形態A. 連続溶液重合プロセスであって、
エチレン、プロセス溶媒、第1の触媒系、任意選択で1種以上のα-オレフィン、及び任意選択で水素を、互いに並列に構成された第1の反応器内及び第2の反応器内のそれぞれに注入して、第1の反応器で作製された第1のポリエチレンを含有する第1の出力ストリームと、第2の反応器で作製された第2のポリエチレンを含有する第2の出力ストリームとを生成する工程と、
第1の出力ストリーム及び第2の出力ストリームを第3の反応器内に通し、第3の反応器内に、エチレン、並びに任意選択で以下の:
プロセス溶媒、
1種以上のα-オレフィン
水素、及び
第2の触媒系
のそれぞれを注入して、最終ポリエチレン生成物を含有する第3の出力ストリームを生成する工程と、
第3の出力ストリームを脱揮システムに通し、最終ポリエチレン生成物を回収する工程とを含み、
第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作され、
第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
第3の反応器内に注入する場合、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系である。
【0322】
実施形態B. 実施形態Aのプロセスであって、前記第1の触媒系がシングルサイト触媒系であり、
a)式:
(LM(Pl)(Q)
(式中、Lは、非置換シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、置換インデニル、非置換フルオレニル、及び置換フルオレニルからなる群から選択され、
Mは、チタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択された金属であり、
Plは、ホスフィンイミン配位子であり、
Qは、水素原子、ハロゲン原子、C1-10ヒドロカルビルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、及びC5-10アリールオキシドラジカルからなる群から独立して選択され、ヒドロカルビル、アルコキシ、及びアリールオキシドラジカルのそれぞれは、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、C1-18アルキルラジカル、C1-8アルコキシラジカル、C6-10アリール若しくはアリールオキシラジカル、置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるアミドラジカル、又は置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるホスフィドラジカルによりさらに置換されてもよく、
aは1であり、bは1であり、nは、1又は2であり、(a+b+n)は、金属Mの価数と等しい)により定義されるホスフィンイミン錯体と、
b)アルキルアルミノキサン共触媒と、
c)イオン性活性化剤と、
d)任意選択で、ヒンダードフェノールとを含む、シングルサイト触媒系である。
【0323】
実施形態C. 実施形態Bのプロセスであって、前記アルキルアルミノキサン共触媒が、メチルアルミノキサン(MAO)である。
【0324】
実施形態D. 実施形態Cのプロセスであって、前記イオン性活性化剤が、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートである。
【0325】
実施形態E. 実施形態A、B、C又はDのプロセスであって、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも10重量パーセントが、反応器3内に注入される。
【0326】
実施形態F. 実施形態A、B、C又はDプロセスであって、反応器1、反応器2、及び反応器3内に注入される全エチレンの少なくとも20重量パーセントが、反応器3内に注入される。
【0327】
実施形態G. 実施形態A、B、C、D、E又はFのプロセスであって、第1、第2、及び第3の反応器が、約80℃~約300℃の温度及び約3MPag~約45MPagの圧力で操作される。
【0328】
実施形態H. 実施形態A、B、C、D、E、F又はGのプロセスであって、第1の反応器が、前記第2の反応器が操作される温度よりも少なくとも25℃低い温度で操作される。
【0329】
実施形態I. 実施形態A、B、C、D、E、F又はGのプロセスであって、第1の反応器が、第2の反応器が操作される温度よりも少なくとも45℃低い温度で操作される。
【0330】
実施形態K. 実施形態A、B、C、D、E、F又はGのプロセスであって、第1の反応器が、第2の反応器が操作される温度よりも約10℃~約100℃低い温度で操作される。
【0331】
実施形態L. 実施形態A、B、C、D、E、F又はGのプロセスであって、第1の反応器が約125℃~約155℃の温度で操作され、第2の反応器が約185℃~約205℃の温度で操作される。
【0332】
実施形態M. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K又はLのプロセスであって、1種以上のα-オレフィンが、第1の反応器にのみ供給される。
【0333】
実施形態N. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L又はMのプロセスであって、第2の触媒が、第3の反応器に供給される。
【0334】
実施形態O. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M又はNのプロセスであって、第1の反応器及び第2の反応器が、連続撹拌タンク反応器である。
【0335】
実施形態P. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N又はOのプロセスであって、第3の反応器が、管状反応器である。
【0336】
実施形態Q. 実施形態Nのプロセスであって、前記第2の触媒系がシングルサイト触媒系であり、
a)式:
(LM(Pl)(Q)
(式中、Lは、非置換シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、置換インデニル、非置換フルオレニル、及び置換フルオレニルからなる群から選択され、
Mは、チタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択された金属であり、
Plは、ホスフィンイミン配位子であり、
Qは、水素原子、ハロゲン原子、C1-10ヒドロカルビルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、及びC5-10アリールオキシドラジカルからなる群から独立して選択され、ヒドロカルビル、アルコキシ、及びアリールオキシドラジカルのそれぞれは、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、C1-18アルキルラジカル、C1-8アルコキシラジカル、C6-10アリール若しくはアリールオキシラジカル、置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるアミドラジカル、又は置換されていない、若しくは2つまでのC1-8アルキルラジカルにより置換されるホスフィドラジカルによりさらに置換されてもよく、
aは1であり、bは1であり、nは、1又は2であり、(a+b+n)は、金属Mの価数と等しい)により定義されるホスフィンイミン錯体と、
b)アルキルアルミノキサン共触媒と、
c)イオン性活性化剤と、
d)任意選択で、ヒンダードフェノールとを含む、シングルサイト触媒系である。
【0337】
実施形態R. 実施形態Nのプロセスであって、第2の触媒系がチーグラー-ナッタ触媒系である。
【0338】
実施形態S. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q又はRのプロセスであって、プロセス溶媒が、1種以上のC~C12アルカンである。
【0339】
実施形態T. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R又はSのプロセスであって、1種以上のα-オレフィンが、C~C10α-オレフィンである。
【0340】
実施形態U. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S又はTのプロセスであって、1種以上のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物である。
【0341】
実施形態V. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T又はUのプロセスであって、第1の出力ストリームと第2の出力ストリームが、第3の反応器の上流側で組み合わされる。
【0342】
実施形態W. 実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、又はVに従って生成されたポリエチレン生成物。
【0343】
実施形態X. 連続溶液重合プロセスであって、
エチレン、プロセス溶媒、第1の触媒系、任意選択で1種以上のα-オレフィン、及び任意選択で水素を、互いに並列に構成された第1の反応器内及び第2の反応器内のそれぞれに注入して、第1の反応器で作製された第1のポリエチレンを含有する第1の出力ストリームと、第2の反応器で作製された第2のポリエチレンを含有する第2の出力ストリームとを生成する工程と、
第1の出力ストリームを第3の反応器内に通し、第3の反応器内に、エチレン、並びに任意選択で以下の:
プロセス溶媒、
1種以上のα-オレフィン
水素、及び
第2の触媒系
のそれぞれを注入して、第3の出力ストリームを生成する工程と、
第2の出力ストリームを第3の出力ストリームと組み合わせて、最終ポリエチレン生成物を含有する最終生成物ストリームを生成する工程と、
最終生成物ストリームを脱揮システムに通し、最終ポリエチレン生成物を回収する工程とを含み、
第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作され、
第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
第3の反応器内に注入する場合、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系である。
【0344】
実施形態Y. 連続溶液重合プロセスであって、
エチレン、プロセス溶媒、第1の触媒系、任意選択で1種以上のα-オレフィン、及び任意選択で水素を、互いに並列に構成された第1の反応器内及び第2の反応器内のそれぞれに注入して、第1の反応器で作製された第1のポリエチレンを含有する第1の出力ストリームと、第2の反応器で作製された第2のポリエチレンを含有する第2の出力ストリームとを生成する工程と、
第2の出力ストリームを第3の反応器内に通し、第3の反応器内に、エチレン、並びに任意選択で以下の:
プロセス溶媒、
1種以上のα-オレフィン
水素、及び
第2の触媒系
のそれぞれを注入して、第3の出力ストリームを生成する工程と、
第1の出力ストリームを第3の出力ストリームと組み合わせて、最終ポリエチレン生成物を含有する最終生成物ストリームを生成する工程と、
最終生成物ストリームを脱揮システムに通し、最終ポリエチレン生成物を回収する工程とを含み、
第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で操作され、
第1の触媒系は、シングルサイト触媒系であり、
第3の反応器内に注入する場合、第2の触媒系は、シングルサイト触媒系又はチーグラー-ナッタ触媒系である。
【産業上の利用可能性】
【0345】
エチレンが3つの異なる反応器で重合される連続溶液重合プロセスが開示されている。
開示されたプロセスを使用して作製されたポリマーは、例えばプラスチックフィルムなどの様々な市販品の調製に適している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B