IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グノイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7090644プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ
<>
  • 特許-プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ 図1
  • 特許-プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ 図2
  • 特許-プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ 図3
  • 特許-プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ 図4
  • 特許-プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/43 20190101AFI20220617BHJP
【FI】
B29C48/43
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019559800
(86)(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 DE2018100497
(87)【国際公開番号】W WO2018215028
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】102017111275.8
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514054214
【氏名又は名称】グノイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Gneuss GmbH
【住所又は居所原語表記】Moenichhusen 42, D-32549 Bad Oeynhausen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル グノイス
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ グノイス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グノイス
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-237607(JP,A)
【文献】特開昭53-129374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/18
B29C 45/47,48/40,48/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュ(100;100’)であって、少なくとも、
-少なくとも1つのモノスクリュセクション(10)を含む、プラスチックを溶融しかつ均一化するための吸込み兼調量ゾーン(1;1’)、気体成分を排出するための脱気ゾーン(2;2’)、および圧縮および/または排出ゾーン(4;4’)と、
-複数の遊星スクリュ(30;30’)を有するマルチスクリュセクション(20;20’)であって、前記遊星スクリュ(30;30’)が、少なくともその長さの一部にわたって前記押出し機スクリュ(100;100’)の外周部において開放されている、マルチスクリュセクション(20;20’)と、
-駆動ゾーン(3;3’)であって、該駆動ゾーン(3;3’)において前記遊星スクリュ(30;30’)が歯列(33;33’)を介して中心軸(26’)における外歯列に係合しているか、または前記マルチスクリュ押出し機のステータリングの内歯列または押出し機孔の内壁の内歯列に係合している、駆動ゾーン(3;3’)と、
を含んでいる、押出し機スクリュ(100;100’)において、
-前記モノスクリュセクション(10)が円錐部分(21)を経て前記マルチスクリュセクション(20)に移行することにより、前記吸込み兼調量ゾーン(1;1’)は、前記マルチスクリュセクション(20;20’)内にまで延びており、前記円錐部分(21)と該円錐部分に続く遊星スクリュハウジング(23)が、前記マルチスクリュセクション(20)の第1の長手方向部分を形成しており、
-前記マルチスクリュセクション(20;20’)の始端部に、前記円錐部分(21;21’)が形成されていて、該円錐部分(21;21’)は、前記遊星スクリュ(30;30’)毎に少なくとも1つの遊星スクリュ孔(22;22’)を有しており、
-前記遊星スクリュ孔(22;22’)は、前記遊星スクリュハウジング(23)内に存在する流路に続いており、前記遊星スクリュ(30)は前記遊星スクリュハウジング(23)によって部分長さ(31)にわたって完全に取り囲まれており、
-前記遊星スクリュ(30)の、前記部分長さ(31)に対して比較的大きな長さ部分(32)は、前記遊星スクリュハウジング(23)によって取り囲まれないことにより、接続する前記脱気ゾーン(2)においては開放されていることを特徴とする、押出し機スクリュ(100;100’)。
【請求項2】
流れ方向で見て前記マルチスクリュセクション(20;20’)の下流に、モノスクリュセクション(40)として形成された圧縮および/または排出ゾーン(4;4’)が設けられている、
請求項1記載の押出し機スクリュ(100)。
【請求項3】
前記マルチスクリュセクション(20;20’)の前記中心軸(26’)および場合によっては、前記モノスクリュセクション(10,40)は、それぞれ一体の押出し機スクリュの一部として形成されている、
請求項1または2記載の押出し機スクリュ(100;100’)。
【請求項4】
前記駆動ゾーン(3;3’)は、前記マルチスクリュセクション(20;20’)の下流側端部に配置されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の押出し機スクリュ(100’)。
【請求項5】
前記駆動ゾーン(3’)は、前記マルチスクリュセクション(20’)内において前記調量ゾーン(1’)と前記脱気ゾーン(2’)との間に配置されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の押出し機スクリュ(100’)。
【請求項6】
前記マルチスクリュセクション(20;20’)の前記中心軸(26’)および前記モノスクリュセクション(40)はそれぞれ、互いに解離可能に結合されている別個の押出し機スクリュ部分エレメントとして形成されている、
請求項1又は2記載の押出し機スクリュ(100;100’)。
【請求項7】
前記遊星スクリュハウジング(23;23’)の外周部に、少なくとも1つのスクリュウェブ(27’)が設けられていて、かつ前記外周部は、流動可能となっている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の押出し機スクリュ(100;100’)。
【請求項8】
プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機であって、請求項1から7までのいずれか1項記載の押出し機スクリュ(100;100’)を収容するための押出し機孔を備えた押出し機ハウジングを、少なくとも含んでいる、マルチスクリュ押出し機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の特徴を備えた、プラスチック押出しのためのマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュに関する。
【0002】
このようなマルチスクリュ押出し機は、プラスチック・固体粒子、特にポリエステル顆粒から均一なプラスチック溶融物を獲得するために働き、かつ本出願人の欧州特許第1434680号明細書によって公知である。この押出し機構造型式では、脱気ゾーンに複数の遊星スクリュが設けられている。脱気ゾーンの領域における遊星スクリュの室容積は、マルチスクリュ押出し機の作動時に満たされないので、プラスチックの相応に大きな表面が形成され、この表面は脱気を容易にする。次いで、プラスチック溶融物の部分ストランドは、排出および/または圧縮ゾーンにおいて再びまとめられて、例えば下流に配置された溶融物ポンプへとさらに案内される。
【0003】
公知のマルチスクリュ押出し機の使用時における難点は、例えば駆動出力および溶融出力、質量温度および調量ゾーンにおける滞在時間のような、作動のための数多くのパラメータを最適化するということにある。高すぎる質量温度は、プラスチックの不都合な変化を惹起することがあり、これに対して低い質量温度は、調量ゾーンにおける固体の不十分な溶融を惹起する。確かに、長い滞在時間は溶融および均一化を促進するが、しかしながら、この段階においてなお湿分を含んでいるプラスチックの加水分解を加速してしまう。
【0004】
この最適化は特に、固体がリサイクル品を含んでいて、かつゆえに不均一な溶融特性を有している場合に困難である。このような場合には、固体成分がマルチスクリュセクションに達した時点で、固体成分がなお十分に溶融されていないということが発生し得る。マルチスクリュセクションにおける遊星スクリュは、プラスチック溶融物内に浮遊状態で支持されているので、場合によっては、溶融物内において一緒に案内された固体残留物が、遊星スクリュの軸受箇所によって押圧され、遊星スクリュおよび軸受の摩耗を高めてしまう。
【0005】
したがって本発明の課題は、冒頭に述べた形式の押出し機スクリュを改良して、脱気ゾーンに達するまでの単に短い滞在時間においても、均一に溶融された溶融物が得られる押出し機スクリュを提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を備えたマルチスクリュ押出し機によって解決される。
【0007】
本発明によれば、例えば上流に配置された押出し機またはポンプから溶融物を供給される供給管から、かつ/または上流に配置されたモノスクリュから、マルチスクリュセクションへの連続した移行部が得られ、このときそこでは、供給部とマルチスクリュセクションとの間における直径移行部を構成するために、円錐部分が形成されている。円錐部分は、円錐部分形状に形成されていても、または横断面で見て凹面状にまたは凸面状に湾曲させられて形成されていてもよい。重要なことは単に、供給部を介して供給された溶融物が末広がりになり、かつ遊星スクリュのための、円錐部分に配置された個々の供給孔に供給されることである。
【0008】
本発明にとって重要な思想は、溶融および均一化、いわゆる調量(Metering)を、上流において実施することではなく、この調量を、マルチスクリュセクション内にまで延ばすことである。
【0009】
つまり調量ゾーンは、全体として、比較的小さな直径を備えた供給部、ストランドを広げかつ複数の部分ストランドにストランドを分割するための円錐部分、および複数の遊星スクリュを介して脱気ゾーンに達するまでの部分ストランドのさらなる案内部を含んでいる。
【0010】
従来技術では構造的に分離されたセクションが、それぞれまた特定の機能を有しているのに対して、本発明では、1つの構造部分において、つまりマルチスクリュセクションにおいて、同じ遊星スクリュを用いて、2つの機能を同時に満たすことが、かつ他方では、1つの機能、つまり溶融および均一化を、少なくとも2つの構造部分を介して分割することが提案されている。
【0011】
調量ゾーンの、供給部に形成された部分は、本発明によれば単に短く形成されていてよく、またはそれどころか省かれてよく、これによってこの部分における滞在時間が短縮される。多数の個別ストランドへの、直接続く分割によって、押出し機スクリュへの溶融物の接触面は増大し、これによって個別ストランド内において案内される溶融物は、良好に温度調整可能である。特に溶融物の冷却も可能である。
【0012】
遊星スクリュの端部だけが収容エレメントの孔内において案内されているのではなく、マルチスクリュセクションにおける調量ゾーンの割合が、遊星スクリュの長さの少なくとも約1/4にわたって延びているので、つまり、良好な温度調整および均一化を可能にする、それぞれ小さな横断面を備えた相応に長い流路が発生している。
【0013】
与えられた直径比に基づいて遊星スクリュが、押出し機スクリュ自体の回転数の数倍の回転数で回転することによって、マルチスクリュセクションの内部における調量ゾーンの長さ割合における滞在時間は、短い。しかしながら滞在時間は、例えばさらに、遊星スクリュのピッチによって一定の範囲内において変化させることができる。
【0014】
本発明に係るマルチスクリュ押出し機の運転形式について、さらに付言すると、遊星スクリュの、完全に閉鎖された長手方向領域における室は、本発明によれば好ましくは、完全な充填状態で運転されるので、良好な搬送作用が得られる。この室に接続している無圧の脱気ゾーンに基づいて、背圧は存在しておらず、かつ上流に配置された装置において単に溶融開始された溶融物成分を、良好に引き込むことができる。
【0015】
駆動ゾーンは、自体公知のように、遊星スクリュの排出側端部に設けられていてよい。そのために遊星スクリュは、その端部に、もしくは下流側端部の近傍領域にピニオンを備えているか、またはピニオンに結合されている。ピニオンは、押出し機孔の壁における内歯列に係合しており、これによって遊星スクリュは同期的に駆動されている。
【0016】
しかしながら特に好ましくは、駆動ゾーンは、遊星スクリュにおける機能分離部が位置している箇所に、つまり遊星スクリュの完全に閉鎖された部分が、調量ゾーンで終端していて、かつ脱気ゾーンの開放された領域に移行している箇所に、配置されている。この箇所における配置形態には、遊星スクリュにおいて主として、マルチスクリュセクションの、調量ゾーンに対応配置すべき長手方向部分における溶融および均一化のために必要な駆動トルクを、直接的に導入することができるという利点がある。吸込み部と排出部との間における遊星スクリュ軸全長にわたっての、細い遊星スクリュ軸のねじれは、長さの中心またはさらに前方における駆動ゾーンのこのような配置形態によって回避される。マルチスクリュセクションにおける遊星スクリュ軸の、流れ方向において下流に配置されたそれぞれの長手方向部分には、これらの長手方向部分が比較的長いにもかかわらず、ほとんど荷重が加えられない。それというのは、脱気ゾーンの領域においてスクリュは、単に部分的にしか満たされておらず、ひいては僅かなトルクしか必要とされないからである。
【0017】
さらに付言すれば、駆動ゾーンの配置形態は、必ずしも正確に、2つの機能ゾーンの間における移行部に位置している必要はなく、隣接したゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンとオーバラップしていてもよい。それというのは、溶融物はいずれにせよ駆動ゾーンにおける歯列を介して導かれるからである。
【0018】
本発明に係るマルチスクリュ押出し機では、遊星スクリュが単に完全に溶融された溶融物だけを、部分的に満たされた室において脱気のために搬送する従来技術におけるよりも、明らかに大きなトルクが遊星スクリュのためにもたらされねばならないので、伝達すべきトルクは明らかに大きい。したがってさらに好ましくは、駆動ピニオンおよび所属の歯列は、ステータリングにまたは直接押出し機孔に、はす歯歯列を備えている。
【0019】
好適な実施形態は、マルチスクリュセクションを、一体に駆動される押出し機スクリュの一部として設けることを提案し、このとき供給部および/または排出部には、それぞれ1つのモノスクリュセクションが設けられている。この場合調量ゾーンは、上流に配置されたモノスクリュによって形成された部分と、マルチスクリュセクションにおける部分とに分割される。この実施形態においても、モノスクリュセクションが従来技術におけるよりも短くてよく、その結果滞在時間が短縮されているということが、利点として得られる。このとき本発明に係る押出し機スクリュの利点としては、モノスクリュセクションにおいて処理の開始と同時に、より迅速な溶融を可能にする比較的高い駆動出力を得ることができるということがある。しかしながら局部的な過熱は回避される。なぜならば、円錐部分を介してマルチスクリュセクション内に、個別ストランドへと直ちに続いて広がることによって、比較的大きな冷却出力を得ることができ、ひいては熱による損傷が回避されるからである。
【0020】
次に図面を参照しながら本発明について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態による、本発明に係るマルチスクリュ押出し機用の押出し機スクリュの一部を示す斜視図である。
図2】第2実施形態による押出し機スクリュの一部を示す斜視図である。
図3図2に示された押出し機スクリュの一部を示す斜視図である。
図4図2に示された押出し機スクリュの詳細を示す斜視図である。
図5】押出し機スクリュの第2実施形態の遊星スクリュを示す側面図である。
【0022】
図1には、押出し機スクリュ100の、本発明にとって重要である部分が斜視図で示されている。プラスチック粒子もしくはプラスチック溶融物は、図1に示された位置において右から引き込まれて、左に向かって排出される。
【0023】
長さにわたって4つの機能ゾーンが設けられており、すなわち、
-ここでは見えない吸込み部の下流における第1の長手方向部分は、プラスチック顆粒が溶融されかつ均一化されるいわゆる調量ゾーン1を形成しており、
-これに脱気ゾーン2が接続している。押出し機の、ここでは同様に図示されていないハウジングには、ここでは吸込み装置が設けられており、これによって揮発性の成分を脱気ゾーン2から吸い出すことができる。
-調量ゾーン1において溶融されて、接続する脱気ゾーン2において脱気された溶融物は、駆動ゾーン3を通って移動しなくてはならず、かつ下流で排出ゾーン4において圧縮され、かつ搬出される。
【0024】
構造的に見て、押出し機スクリュ100は主として3つの部分、すなわち、
-第1のモノスクリュセクション10;
-多数の遊星スクリュ30を備えたマルチスクリュセクション20、および
-第2のモノスクリュセクション40
に分割されている。
【0025】
好ましくは、モノスクリュセクション10,40およびマルチスクリュセクション20はそれぞれ、別体のエレメントとして形成されていて、これらのエレメントは、互いに結合されて1つの一体的な押出し機スクリュ軸100を形成している。これによって製造が簡単化されていて、かつ摩耗時には、個々のセクションの比較的簡単かつ安価な交換が可能である。
【0026】
第1のモノスクリュセクション10からマルチスクリュセクション20への移行部には、円錐部分21を備えた遊星スクリュハウジング23が形成されており、円錐部分21は、遊星スクリュ30毎に少なくとも1つの遊星スクリュ孔22を有している。
【0027】
円錐部分21および遊星スクリュハウジング23は、マルチスクリュセクション20の第1の長手方向部分を形成しており、この第1の長手方向部分は、調量ゾーン1に対応配置されている。遊星スクリュ孔22は、遊星スクリュハウジング23の内部における深い流路に続いている。遊星スクリュ30は、遊星スクリュ孔22内で部分長さ31にわたって完全に取り囲まれており、これに対して遊星スクリュ30の比較的大きな長さ部分32は、接続する脱気ゾーン2において開放されている。遊星スクリュ30の、取り囲まれた長さ部分31と開放されている長さ部分32との比は、図示の実施形態では約1:2~1:4である。この長さ比は、処理すべき出発材料に応じて特殊に選択され、これによって一方では、調量ゾーン1において可能な限り均一な溶融を達成することができ、かつ他方では、効果的な脱気を実施することができる。
【0028】
円錐部分21および/または遊星スクリュハウジング23の外周部には、少なくとも1つのスクリュ螺条が形成されており、これによって、モノスクリュセクション10から供給された溶融物は、個々の遊星スクリュ30に分配されるのみならず、部分的に、円錐部分21の外周部を介しても搬送される。液状の溶融物によって、押出し機ハウジング内における孔に対する押出し機スクリュ100の潤滑が達成される。
【0029】
下流の排出側の端部に、遊星スクリュ30はそれぞれピニオン33を備えている。遊星スクリュ30の端部は、軸受収容部25において支持軸受24に浮動状態で支持されている。この支持軸受24は、別の円錐部分を介して、排出ゾーン4を形成する排出スクリュ41を備えた第2のモノスクリュセクション40に移行している。
【0030】
ピニオン33の歯列は、すぐ歯歯列として形成されても、またははす歯歯列として形成されてもよい。はす歯歯列の場合には、同じ回転方向におけるピッチを、遊星スクリュ30のスクリュウェブのピッチのように選択すると好適である。このように構成されていると、端部におけるピニオン33の配置形態においてマルチスクリュセクション20からの排出を促進する、追加的な搬送作用が得られる。
【0031】
遊星スクリュハウジング23において遊星スクリュ30が完全に収容されているのに対して、開放している脱気ゾーン2においては露出した自由な容積が必要になる。この部分において遊星軸スクリュ30は、完全には取り囲まれておらず、かつゆえに搬送作用は低減するので、許容可能な脱気結果を得るためには、通路深さを少なくとも係数2だけ明らかに増大させることが必要である。実地においては、明らかにさらに高い値が好適であるということが判明している。比が4の場合に既に、脱気出力の明らかな改善がもたらされる。最高の結果は、脱気ゾーン2における通路深さと調量ゾーン1における通路深さとの通路深さ比が5:1よりも大きいことによって得ることができる。
【0032】
図2には、本発明に係る押出し機スクリュ100’の第2実施形態の一部が斜視図で示されている。第1実施形態におけるように本実施形態においても、3つの主要な構造部分、すなわち、
-第1のモノスクリュセクション10;
-多数の遊星スクリュ30’を備えたマルチスクリュセクション20’であって、遊星スクリュ30’が、吸込み側において円錐部分21’および供給孔22’を備えた遊星スクリュハウジング23’に支持されていて、かつ排出側において支持軸受24’に支持されている、マルチスクリュセクション20’、および
-排出スクリュ41を備えた第2のモノスクリュセクション40
が設けられている。
【0033】
押出し機スクリュ100’の機能分割も、同様に4つのゾーン、すなわち、
-調量ゾーン1’
-脱気ゾーン2’
-駆動ゾーン3’、および
-排出ゾーン4’
を含んでいる。
【0034】
しかしながら第2実施形態における直列配置形態は異なっており、つまり駆動ゾーン3’は、調量ゾーン1’と脱気ゾーン2’との間に位置している。そのために、調量ゾーン1’が遊星スクリュ30’に対応配置すべき長手方向部分31’で遊星スクリュハウジング23’から進出する箇所において直接的に、それぞれピニオン33’が形成されているか、または装着されている。流れ方向においてピニオン33’の下流に位置している、遊星スクリュ30’の長手方向部分32’は、脱気ゾーン2’に対応配置される。遊星スクリュ30’の排出側の先端は、支持軸受24’のリング形状の軸受収容部25’において支持されている。
【0035】
遊星スクリュ軸30の長さの中心もしくは上流の1/3にピニオン33’が配置されている場合、はす歯歯列が、脱気ゾーン2’内への搬送を促進することができる。露出した面積と通路ピッチの積として算出される、歯列の全通路容積が、遊星スクリュ部分における通路容積と同様となるように、選択されると、それどころか同時に可塑化を促進することができる。
【0036】
特に好ましくは、歯列の傾斜角度は少なくとも、生じる通路ピッチが、遊星スクリュの通路ピッチと少なくとも同じ大きさに、特に少なくとも1.5倍の通路ピッチに相当するように選択される。
【0037】
図3には、押出し機スクリュ100’のマルチスクリュセクション20’が拡大されて斜視図で示されており、このとき全部で8つの遊星スクリュ軸30のうちの2つが除去されており、これによって、内部に位置していて、その周りに回転する遊星スクリュ30’が配置されている中心軸26’への視線を、確保することができる。中心軸26’は、その排出側の端部分に、内部冷却装置の一部としての冷却螺旋を備えている。
【0038】
図4には、マルチスクリュセクション20’の円錐部分21’の端面を、モノスクリュセクション10’の側から見た斜視図が示されている。遊星スクリュハウジング23’の遊星スクリュ孔22’内には、遊星スクリュ軸30’の先端34’が認識できる。遊星スクリュハウジング23’において、遊星スクリュ軸30’はまず完全に取り囲まれていて、かつピニオン33’が配置されている駆動ゾーンにおいて初めて再び開放している。遊星スクリュハウジング23’の外周部は、外周部に、僅かなウェブ高さを備えたスクリュウェブ27’を有している。
【0039】
図5には、ただ1つの遊星スクリュ30’が、側面図で示されている。先端34’を起点として、まず遊星スクリュ30’の長手方向部分31’が形成されており、この長手方向部分31’は、僅かなウェブ高さを有している。調量ゾーン1’に対応配置されるべきこの部分は、遊星スクリュ孔22’(図4参照)の内部において案内されている。その下流には、駆動セクション3’の一部であり、かつピニオン33’を収容するために形成されているか、または直接一体成形された歯列を有している部分が接続している。全長のほぼ2/3を成していてかつ脱気ゾーン2’に対応配置されている排出側の端部分において、スクリュのコア直径は減じられていて、かつウェブ高さは相応に増大させられている。室容積は、長手方向部分31’に対して増大させられているので、部分31’,32’におけるそれぞれのピッチとはほぼ無関係に、長手方向部分32’において室は単に部分的にしか満たされないことが達成され、これによって良好な脱気作用が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5