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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】無段階昇降機構及び無段階昇降水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
E03C1/042 F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020146247
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2021050598
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】201910910941.1
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518436504
【氏名又は名称】厦門松霖科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】魏志堅
(72)【発明者】
【氏名】趙振文
(72)【発明者】
【氏名】晏小虎
(72)【発明者】
【氏名】胡力宏
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-105175(JP,A)
【文献】特開2007-231648(JP,A)
【文献】特開2006-104857(JP,A)
【文献】特開平10-237911(JP,A)
【文献】特開2004-285742(JP,A)
【文献】実開平01-119463(JP,U)
【文献】オーストリア国特許発明第00340208(AT,B)
【文献】米国特許出願公開第2010/0116370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/04-1/06
F16B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着部材と、昇降可能に前記装着部材に接続される可動管とを含む無段階昇降機構であって、
更に、前記装着部材に固設される装着ベースを含み、前記可動管は昇降可能に前記装着ベースに接続され、前記装着ベースには前記可動管に面する装着室が設けられており、前記装着室内にはスライダと弾性体が設けられており、前記スライダは前記装着ベースに対し相対的に摺動可能であり、前記スライダの摺動方向は傾斜して配置され、且つ、位置が高くなるほど前記可動管から離間し、前記スライダには摩擦層が設けられており、前記弾性体は、前記スライダの摺動方向に沿って下向きの弾性力を発生させるよう前記スライダに接続されており、前記摩擦層と前記可動管の外壁とが連携することで摩擦力を発生可能であり、
前記スライダには、前記スライダの摺動方向に配置される案内ピラーが固設されており、前記装着ベースには、前記スライダの摺動方向に配置されるスライド溝が設けられており、前記案内ピラーは前記スライド溝に嵌接されることを特徴とする無段階昇降機構。
【請求項2】
前記スライダの前記可動管に面する側壁には装着用溝が凹設されており、前記装着用溝内には摩擦パッドが固定装着されており、前記摩擦パッドは、少なくとも一部が前記装着用溝の槽口外に伸出しており、且つ、前記摩擦パッドは前記摩擦層を有していることを特徴とする請求項1に記載の無段階昇降機構。
【請求項3】
前記装着ベースは環状をなしており、前記可動管は前記装着ベース内に接続され、前記スライダは複数設けられるとともに、複数が環状に間隔を置いて配置され、前記スライダごとに弾性体が1つずつ配設されていることを特徴とする請求項1に記載の無段階昇降機構。
【請求項4】
前記可動管は円形管であり、前記スライダは前記可動管と一致する円弧状をなしていることを特徴とする請求項3に記載の無段階昇降機構。
【請求項5】
前記装着室の室壁には案内壁が設けられており、前記スライダは摺動可能に前記案内壁に接続されることを特徴とする請求項に記載の無段階昇降機構。
【請求項6】
前記装着室は室底を有しており、前記室底が前記スライダの最大下降位置を規制する位置規制部を構成していることを特徴とする請求項1に記載の無段階昇降機構。
【請求項7】
前記装着ベースは、案内ベースと、前記案内ベースに固定覆接される案内カバーを含み、前記案内ベースと前記案内カバーが組み合わされることで前記可動管を取り囲む前記装着室が構成されることを特徴とする請求項1に記載の無段階昇降機構。
【請求項8】
前記案内カバーにはスライド溝が設けられており、前記スライダには案内ピラーが固設されており、前記案内ピラーは前記スライド溝に嵌接されることを特徴とする請求項に記載の無段階昇降機構。
【請求項9】
前記案内カバーの裏面には前記スライダと同数の固定ピラーが固設されており、前記固定ピラーの端面に前記スライド溝が凹設されていることを特徴とする請求項に記載の無段階昇降機構。
【請求項10】
前記弾性体は、前記案内カバーと前記スライダの間に付勢するよう接続されることを特
徴とする請求項に記載の無段階昇降機構。
【請求項11】
前記案内ベースには内壁が設けられており、前記装着室の室壁は前記内壁を含み、前記スライダは前記内壁に嵌接されることを特徴とする請求項7に記載の無段階昇降機構。
【請求項12】
前記案内ベースはボトムリングと周壁を含み、前記周壁の下周縁と前記ボトムリングの外周縁は一体的に固定接続され、前記周壁の内側及び前記ボトムリングと前記案内カバーとの間に前記装着室が形成されていることを特徴とする請求項に記載の無段階昇降機構。
【請求項13】
装着部材と、昇降可能に前記装着部材に接続される可動管とを含む無段階昇降機構であって、
更に、前記装着部材に固設される装着ベースを含み、前記可動管は昇降可能に前記装着ベースに接続され、前記装着ベースには前記可動管に面する装着室が設けられており、前記装着室内にはスライダと弾性体が設けられており、前記スライダは前記装着ベースに対し相対的に摺動可能であり、前記スライダの摺動方向は傾斜して配置され、且つ、位置が高くなるほど前記可動管から離間し、前記スライダには摩擦層が設けられており、前記弾性体は、前記スライダの摺動方向に沿って下向きの弾性力を発生させるよう前記スライダに接続されており、前記摩擦層と前記可動管の外壁とが連携することで摩擦力を発生可能であり、
前記装着部材には装着孔が凹設されており、前記装着ベースは前記装着孔内に固定装着され、前記装着孔に固定接続部材が固定接続され、前記固定接続部材によって前記装着ベースを前記装着部材内に固定装着することを特徴とする無段階昇降機構。
【請求項14】
前記装着孔の端口には段差孔部が設けられており、前記装着ベースは前記段差孔部内に装着され、前記固定接続部材は前記段差孔部に装設され、且つ、前記固定接続部材と前記段差孔部の段差面によって前記装着ベースを固定及び挟着することを特徴とする請求項13に記載の無段階昇降機構。
【請求項15】
前記固定接続部材は圧縮ナットを含み、前記圧縮ナットは前記装着孔内に螺接されるとともに、前記装着ベースに圧接されることを特徴とする請求項13に記載の無段階昇降機構。
【請求項16】
前記固定接続部材は装飾ナットを更に含み、前記装飾ナットは、外環部と、前記外環部の下方に固定接続されるネジリングを含み、前記ネジリングはロックナット内に螺接され、前記外環部は前記圧縮ナットに覆接されることを特徴とする請求項15に記載の無段階昇降機構。
【請求項17】
前記可動管は円形管であり、前記装着ベースは環状をなしており、前記可動管は前記装着ベース内に接続され、前記装着室内には環状に間隔を置いて配置される複数のスライダが設けられており、前記スライダごとに弾性体が1つずつ配設されており、前記スライダの前記摩擦層は前記可動管と一致する円弧状構造をなしていることを特徴とする請求項1又は13に記載の無段階昇降機構。
【請求項18】
固定スリーブ、給水管、吐水管、水栓体、昇降及び摺動可能に前記固定スリーブに接続される昇降管、前記昇降管に固設される昇降本体、前記昇降本体に固定装着される吐水部、及び請求項1又は13に記載の無段階昇降機構を含み、
水栓本体は前記給水管と前記吐水管に接続されて吐水を制御し、前記吐水管は、前記固定スリーブ、前記昇降管及び前記水栓本体を貫通して前記吐水部と連通し、
前記装着部材は前記水栓本体を含み、前記可動管は前記昇降管を含むことを特徴とする無段階昇降水栓。
【請求項19】
前記吐水管には重錘が設けられていることを特徴とする請求項18に記載の無段階昇降水栓。
【請求項20】
前記水栓本体は前記固定スリーブの外側に固設されることを特徴とする請求項18に記載の無段階昇降水栓。
【請求項21】
前記水栓本体と前記固定スリーブは別個に設けられることを特徴とする請求項18に記
載の無段階昇降水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は昇降機構に関し、特に、無段階昇降機構及び無段階昇降水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における吐水口の高さを調節可能な構造(例えば、無段階昇降水栓)には2種類ある。一つは、プラスチック製の係合フックの弾性変形を利用するものである。この場合には、昇降ロッドの表面に開口が設けられており、係合フックが開口に係入するまで昇降したときに停止可能となる。また、係合フックを解除すると元に戻すことができ、調節の目的が達せられる。しかし、この場合には案内精度が悪く、任意の高さ位置に調節することができない。もう一つは、昇降ロッドと外壁との摩擦抵抗を利用して吐水口の調節を実現するものである。例えば、中国特許データベースに開示されている特許文献1では、昇降回転機能を有する水栓が、水栓本体、吐水弁体、給水ホース及び昇降回転構造を有している。前記昇降回転構造は水栓本体内に設けられている。前記水栓本体は吐水弁体とは別個に設けられており、昇降回転構造によって吐水弁体を径方向に変位させるとともに、周方向に回転させる。前記昇降回転構造は、昇降直管、位置規制摩擦ユニット、固定継手及び接続ベースを含む。前記昇降直管の一端は吐水弁体に固定接続されており、他端は接続ベースに連結されている。前記位置規制摩擦ユニットは接続ベースの外周に覆設されるとともに、固定継手内に一体的に装設されている。しかし、この場合、上昇過程での手の動きと上端の物体の重力という2つの要因の影響で、上昇力は大きいが、下降力は小さくなる。且つ、上下の操作力の差が大きいことから、使用感に劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国実用新案第205065114号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、背景技術の無段階昇降水栓に存在する瑕疵を解消する無段階昇降機構及び無段階昇降水栓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために使用する第1の技術方案は下記の通りである。
【0006】
無段階昇降機構は、装着部材と、昇降可能に装着部材に接続される可動管と、装着部材に固設される装着ベースを含む。前記可動管は昇降可能に装着ベースに接続される。前記装着ベースには可動管に面する装着室が設けられており、前記装着室内にはスライダと弾性体が設けられている。前記スライダは装着ベースに対し相対的に摺動可能である。前記スライダの摺動方向は傾斜して配置され、且つ、位置が高くなるほど可動管から離間する。前記スライダには摩擦層が設けられている。前記弾性体は、スライダの摺動方向に沿って下向きの弾性力を発生させるようスライダに接続されている。前記摩擦層と可動管の外壁とが連携することで摩擦力を発生可能である。
【0007】
一実施例において、前記スライダの可動管に面する側壁には装着用溝が凹設されている。前記装着用溝内には摩擦パッドが固定装着されている。前記摩擦パッドは、少なくとも一部が装着用溝の槽口外に伸出しており、且つ、前記摩擦パッドは前記摩擦層を有している。
【0008】
一実施例において、前記装着ベースは環状をなしており、前記可動管は装着ベース内に接続される。前記スライダは複数設けられるとともに複数が環状に間隔を置いて配置され、スライダごとに弾性体が1つずつ配設されている。
【0009】
一実施例において、前記可動管は円形管であり、前記スライダは可動管と一致する円弧状をなしている。
【0010】
一実施例において、前記スライダにはスライダの摺動方向に配置される案内ピラーが固設されており、前記装着ベースにはスライダの摺動方向に配置されるスライド溝が設けられている。前記案内ピラーはスライド溝に嵌接される。
【0011】
一実施例において、前記装着室の室壁には案内壁が設けられており、前記スライダは摺動可能に案内壁に接続される。
【0012】
一実施例において、前記装着室は室底を有しており、前記室底がスライダの最大下降位置を規制する位置規制部を構成している。
【0013】
一実施例において、前記装着ベースは、案内ベースと、案内ベースに固定覆接される案内カバーを含む。前記案内ベースと案内カバーが組み合わされることで可動管を取り囲む装着室が構成される。
【0014】
一実施例において、前記案内カバーにはスライド溝が設けられており、前記スライダには案内ピラーが固設されている。前記案内ピラーはスライド溝に嵌接される。
【0015】
一実施例において、前記案内カバーの裏面にはスライダと同数の固定ピラーが固設されており、前記固定ピラーの端面に前記スライド溝が凹設されている。
【0016】
一実施例において、前記弾性体は、案内カバーとスライダの間に付勢するよう接続される。
【0017】
一実施例において、前記案内ベースには内壁が設けられている。前記装着室の室壁は前記内壁を含み、前記スライダは内壁に嵌接される。
【0018】
一実施例において、前記案内ベースはボトムリングと周壁を含む。前記周壁の下周縁とボトムリングの外周縁は一体的に固定接続され、前記周壁の内側及びボトムリングと案内カバーとの間に前記装着室が形成されている。
【0019】
一実施例において、前記装着部材には装着孔が凹設されており、前記装着ベースは装着孔内に固定装着される。また、装着孔に固定接続部材が固定接続され、固定接続部材によって装着ベースを装着部材内に固定装着する。
【0020】
一実施例において、前記装着孔の端口には段差孔部が設けられており、前記装着ベースは段差孔部内に装着される。前記固定接続部材は段差孔部に装設され、且つ、固定接続部材と段差孔部の段差面によって装着ベースを固定及び挟着する。
【0021】
一実施例において、前記固定接続部材は圧縮ナットを含む。前記圧縮ナットは装着孔内に螺接されるとともに、装着ベースに圧接される。
【0022】
一実施例において、前記固定接続部材は装飾ナットを更に含む。前記装飾ナットは、外環部と、外環部の下方に固定接続されるネジリングを含む。前記ネジリングはロックナット内に螺接され、前記外環部は圧縮ナットに覆接される。
【0023】
一実施例において、前記可動管は円形管である。前記装着ベースは環状をなしており、前記可動管は装着ベース内に接続される。前記装着室内には環状に間隔を置いて配置される複数のスライダが設けられており、スライダごとに弾性体が1つずつ配設されている。前記スライダの摩擦層は可動管と一致する円弧状構造をなしている。
【0024】
本発明が技術的課題を解決するために使用する第2の技術方案は下記の通りである。
【0025】
無段階昇降水栓は、固定スリーブ、給水管、吐水管、水栓体、昇降及び摺動可能に固定スリーブに接続される昇降管、昇降管に固設される昇降本体、昇降本体に固定装着される吐水部、及び請求項1に記載の無段階昇降機構を含む。前記水栓本体は給水管と吐水管に接続されて吐水を制御する。前記吐水管は、固定スリーブ、昇降管及び水栓本体を貫通して吐水部と連通する。前記装着部材は水栓本体を含み、前記可動管は昇降管を含む。
【0026】
一実施例において、前記吐水管には重錘が設けられている。
【0027】
一実施例において、前記水栓本体は固定スリーブの外側に固設される。
【0028】
一実施例において、前記水栓本体と固定スリーブは別個に設けられる。
【発明の効果】
【0029】
背景技術と比較して、本技術方案には以下のような利点がある。
【0030】
装着ベースの装着室内にはスライダと弾性体が設けられている。スライダの摺動方向は傾斜して配置され、且つ、位置が高くなるほど可動管から離間する。弾性体は、スライダの摺動方向に沿って下向きの弾性力を発生させるようスライダに接続されている。スライダの摩擦層と可動管の外壁とが連携することで摩擦力を発生可能である。スライダの摩擦層が可動管の外周壁に当接し、摩擦力を発生するとともに可動管を緊締することで、可動管と装着部材が相対的に静止して、無段階昇降を実現する。これを無段階昇降水栓に応用した場合には、水栓の昇降及び水栓の引き出しが可能となる。スライダの摺動方向は傾斜して配置され、且つ、位置が高くなるほど可動管から離間するため、上昇力の値が小さくなり、下降力の値が大きくなる。これにより、上昇力と下降力の値が比較的接近するため、昇降過程全体に要する外力が均一となり、体感がより良好となる。
【0031】
スライダの可動管に面する側壁には装着用溝が凹設されており、装着用溝内に摩擦パッドが固定装着されている。また、摩擦パッドは前記摩擦層を有する。これにより、組み付け安く、構造がシンプルとなる。
【0032】
スライダは複数設けられており、且つ、複数が環状に間隔を置いて配置される。よって、緊締力が大きくなり、安定的且つ確実となる。
【0033】
装着ベースは、案内ベースと、案内ベースに固定覆接される案内カバーを含み、案内ベースと案内カバーが組み合わされることで可動管を取り囲む装着室を構成している。よって、構造がシンプルとなり、組み付けが容易である。
【0034】
案内カバーの裏面には固定ピラーが固設されており、固定ピラーの端面にはスライド溝が凹設されている。また、スライダには案内ピラーが固設されており、案内ピラーがスライド溝に嵌接される。これにより、構造がコンパクトとなる。
【0035】
装着孔の端口には段差孔部が設けられており、装着ベースが段差孔部内に装着される。また、固定接続部材が段差孔部に装設され、且つ、固定接続部材と段差孔部の段差面によって装着ベースが固定及び挟着される。これにより、装着が容易となる。
【0036】
圧縮ナットは装着孔内に螺接されるとともに、装着ベースに圧接される。装飾ナットは、外環部と、外環部の下方に固定接続されるネジリングを含む。ネジリングはロックナット内に螺接され、外環部は圧縮ナットに覆接される。これにより、組み付けが容易となり、接続強度が高くなる。
【0037】
可動管は円形管である。装着ベースは環状をなしており、装着室内には環状に間隔を置いて配置される複数のスライダが設けられている。スライダの摩擦層は可動管と一致する円弧状構造をなしている。可動管は装着部材に対して相対的に回転可能であり、且つ、無段階回転調節を実現可能である。
【0038】
以下に、図面と具体的実施形態を組み合わせて本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、具体的実施形態における無段階昇降機構の分解斜視図である。
図2図2は、具体的実施形態における無段階昇降機構の断面図1である。
図3図3は、具体的実施形態における無段階昇降機構の断面図2である。
図4図4は、無段階昇降機構を応用した無段階昇降水栓の斜視図である。
図5図5は、無段階昇降機構を応用した無段階昇降水栓の部分断面図1である。
図6図6は、無段階昇降機構を応用した無段階昇降水栓の部分断面図2である。
図7図7は、無段階昇降機構を応用した無段階昇降水栓の分解斜視図である。
図8図8は、無段階昇降機構を応用した他の無段階昇降水栓の斜視図である。
図9図9は、無段階昇降機構を応用した他の無段階昇降水栓の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1図3を参照して、無段階昇降機構は、装着部材1と、可動管2と、装着部材1に固設される装着ベース3を含む。前記可動管2は円形管である。
【0041】
前記装着ベース3は、案内ベース31と、案内ベース31に固定覆接される案内カバー32を含む。前記案内ベース31は、ボトムリング311と周壁312を含む。前記周壁312の下周縁とボトムリング311の外周縁は一体的に固定接続され、最適には一体成型される。前記案内カバー32とボトムリング311はいずれも環状構造をなしている。前記周壁312の内側及び案内カバー32とボトムリング311との間には、可動管2を取り囲み、且つ可動管2に面する装着室33が構成される。前記固定覆接には、例えば次のような構造を採用する。即ち、前記周壁312には内外を連通する貫通孔313が開設されている。前記案内カバー32の下方にはカンチレバー321が固設されており、前記カンチレバー321の基端にフックが設けられている。前記フックが貫通孔313に掛入することで、案内カバー32が案内ベース31に固定覆接される。上記の固定覆接構造には係合フック構造を用いているがこれに限らず、必要に応じて、螺接やネジ接続、溶接等のその他の構造を用いてもよい。また、前記案内ベース31の周壁312には位置決めピラー316が固設されており、前記案内カバー32には切り欠き324が凹設されている。前記位置決めピラー316と切り欠き324が嵌め合わされることで回動が規制され、接続強度が強化される。
【0042】
前記装着室33内にはスライダ34と弾性体35が設けられている。本実施例において、装置には2つのスライダ34が設けられており、スライダ34ごとに弾性体35が1つずつ配設されている。前記2つのスライダ34は径方向に対し対称に配置されている。また、2つよりも多い場合には、環状に配列するレイアウトを採用してもよい。前記スライダ34は装着ベース3に対し相対的に摺動可能である。前記スライダ34の摺動方向は傾斜して配置され、且つ、位置が高くなるほど可動管2から離間する。前記摺動方向は図中のAで示す通りである。前記弾性体35は、スライダ34の摺動方向に沿って下向きの弾性力を発生させるよう、スライダ34に接続されている。具体的構造において、前記案内カバー32の裏面には、スライダ34と同数の固定ピラー322が固設されている。前記固定ピラー322の端面には、摺動方向に配置されるスライド溝323が凹設されている。前記スライダ34には摺動方向に配置される案内ピラー341が固設されており、前記案内ピラー341がスライド溝323に嵌接される。前記案内ベース31の周壁312には内壁が設けられており、前記スライダ34は、更に内壁に篏合して摺接する。前記内壁は例えば円錐壁である。案内ピラーとスライド溝との連携及びスライダと内壁との連携によってスライダの摺動を制御することで、案内精度が向上し、受ける力も安定的且つ確実となる。前記案内ピラー341は、頭部が大きく、底部が小さい円錐台構造としてもよい。また、前記スライド溝323は円柱溝である。前記弾性体35はバネであり、案内ピラー341の外側に覆接されるとともに、案内カバーの固定ピラー322の基端面とスライダ34の間に付勢するように接続される。前記案内ベース31のボトムリング311は装着室33の室底を構成しており、前記室底がスライダ34の最大下降位置を規制する位置規制部を構成している。
【0043】
前記スライダ34には摩擦層が設けられている。前記スライダ34の可動管2に面する側壁には装着用溝342が凹設されており、前記装着用溝342内に摩擦パッド343が固定装着されている。前記摩擦パッド343は、少なくとも一部が装着用溝342の槽口外に伸出している。且つ、前記摩擦パッド343は前記摩擦層を有している。本実施例では、前記スライダ34が可動管2と一致する円弧状構造をなしているか、前記摩擦パッド343が可動管と一致する円弧状構造をなしている。前記スライダ34の円弧形状の中心角は90~180度の間であり、前記半径は可動管2の外径よりもやや大きい。また、前記摩擦パッド343の半径と可動管2の半径は一致している。前記摩擦パッド343は、例えばシリカ又はゴム材料を用いて製造され、且つ一定の弾性を有している。摩擦パッド343の半径は、スライダ34の半径よりもやや小さい。前記摩擦層と可動管2の外壁とが連携することで摩擦力を発生可能であり、円弧状構造を用いることで、可動管を緊締するための緊締力を強化可能である。
【0044】
前記装着部材1には装着孔11が凹設されている。前記装着孔11の端口には段差孔部111が設けられており、前記装着ベース3は装着孔11の段差孔部111内に固定装着される。また、装着孔11の段差孔部111内には固定接続部材4が固定接続され、固定接続部材4と段差孔部111の段差面によって装着ベース3が固定及び挟着される。また、固定接続部材4によって、装着ベース3は装着部材1の段差孔部111内に固定装着される。本実施例において、前記固定接続部材4は、圧縮ナット41と装飾ナット42を含む。前記圧縮ナット41(雌ネジと雄ネジを有する)は、装着孔11の段差孔部111内に螺接されて、装着ベース3の案内カバー32の上方に圧接される。前記装飾ナット42は、外環部と、外環部の下方に固定接続されるネジリングを含む。前記ネジリングはロックナット内に螺接され、前記外環部は圧縮ナットに覆接される。具体的構造において、前記段差孔部111には回動規制溝が設けられており、前記案内ベース31の周壁312には回動規制突起314が外部に向かって突設されている。回動規制突起314が回動規制溝内に嵌入することで、回動規制と、装着を容易にするとの効果が奏される。
【0045】
前記可動管2は、昇降可能に装着部材1の装着孔11内に接続される。前記スライダ34は、弾性体35の弾性力の作用によって、摺動方向に沿って下方に摺動する。そして、スライダ34の摩擦パッド343が可動管2の外周壁に当接し、摩擦力を発生するとともに可動管2を緊締することで、可動管2と装着部材1が相対的に静止して、無段階昇降を実現する。
【0046】
前記可動管2は円形管である。また、前記スライダ34は円弧状をなしており、摩擦層もまた円弧状をなしている。そのため、前記可動管2は装着部材1に対して相対的に回転可能であるとともに、無段階回転調節を実現可能である。
【0047】
図2を参照する。図2は、可動管2を下降させる際の断面図である。可動管2を下方へ移動させると、可動管2とスライダ34の間には摩擦力が存在することから、摩擦力によってスライダ34は下方に向かう作用力を受ける。一方、弾性体35もまたスライダ34を付勢し、スライダ34を最低箇所に位置させる。即ち、スライダ34がボトムリング311に当接し、これらが篏合することで、摩擦パッド343と可動管2の間の圧力が増大する結果、可動管2を緊締可能となり、摩擦力が増大する。このとき、下降力F2(負荷下降)=f2(負荷なし下降)-G(例えば水栓の無段階昇降機構のような配置重量。即ち、水栓全体の配置重量)となり、摩擦力が増大することで下降力の値が大きくなる。
【0048】
図3を参照する。図3は、可動管2を上昇させる際の断面図である。可動管2を上方へ移動させると、可動管2とスライダ34の間には摩擦力が存在することから、摩擦力によってスライダ34は上方に向かう作用力を受け、弾性体35の弾性力に抗して弾性体35を圧縮させる。これにより、スライダ34は斜め上方へ摺動し(摺動過程では弾性力が増大し、摩擦パッドと可動管との間の圧力に対応して摩擦力が低下する。そのため、一定の距離まで摺動すると、スライダと装着部材1が相対的に静止する)、摩擦パッド343と可動管2の間の圧力が低下して、摩擦力が大幅に低下する。このとき、上昇力F1(負荷上昇)=f1(負荷なし上昇)+Gとなり、摩擦力が減少することで上昇力の値が小さくなる。
【0049】
昇降により所定の位置へと調節し、可動管2を解放すると、弾性体35の弾性力の作用によってスライダ34は最低箇所に位置する。即ち、ボトムリング311に当接し、摩擦パッド343が可動管2を緊締する。これにより、装着部材1と可動管2が相対的に静止して無段階昇降が実現される。
【0050】
本実施例の無段階昇降装置によれば、上昇力の値が小さくなり、下降力の値が大きくなる。これらの値は比較的接近しているため、制御時の使用感がよく、制御の快適性が向上する。
【0051】
無段階昇降機構を応用した無段階昇降水栓の構造を示す図4図7を参照する。前記無段階昇降水栓は、例えば洗面用水栓であり、固定スリーブ51、給水管52、第1吐水管531、第2吐水管532、水栓体、昇降及び摺動可能に固定スリーブ51に接続される昇降管55、昇降管55に固設される昇降本体56、昇降本体56に固定装着される吐水部57、重錘58及び無段階昇降機構を含む。前記給水管52は冷温給水管を含む。前記水栓体は、水栓本体541、水栓本体541内に設けられる制御弁542、及び回転可能に制御弁542に接続されて制御を実現するハンドル543を含む。前記水栓本体541は固定スリーブ51の外側に固設され、前記制御弁542は第1吐水管531及び冷温給水管に接続される。前記吐水部57は例えばシャワーヘッドであり、前記シャワーヘッドは第2吐水管532に固定接続されて連通している。前記第2吐水管532は、水栓本体、昇降管及び固定スリーブを貫通しており、前記第1吐水管531と第2吐水管532が連通している。また、前記第1吐水管531には重錘58が接続されている。
【0052】
本実施例において、前記案内カバー32と可動管2の間は更にパッキン315が設けられている。前記昇降本体56内には固定接続ベース561が設けられており、前記昇降管55は固定接続ベース561に固定接続される。例えば、昇降管55は固定接続ベース561内に螺接される。前記固定接続ベース561内にはゴムパッド562が設けられており、前記ゴムパッド562は水栓本体56の底端口から伸出している。前記水栓本体541は、例えばガスケット544とパッキン545を介して台上に接続される。
【0053】
本実施例における無段階昇降装置は、以下の技術的効果を奏し得る。
【0054】
一、より円滑で幅広い無段階変動が実現される。
1.無段階昇降:任意の位置まで引っ張って係止可能なため、大多数の消費者の使用に適している。よって、現在市販されている高さを上下2段階で調節するものよりもカスタマーエクスペリエンスに優れている。
2.大距離昇降:昇降高さは例えば120mmにも到達可能であり、適用範囲が広い。よって、現在市販されている80mmしか昇降できないような昇降水栓と比較して、昇降距離が30%上昇する。
3.円滑な昇降:操作時に力の値が突然変化することなく円滑な昇降が可能なため、カスタマーエクスペリエンスがより良好となる。
【0055】
二、引き出し及び回転が可能であり、生活面での盲点がない。日常生活では、清掃や使用のために、水栓はより幅広い調節角度を持ち得ることが求められる。無段階昇降水栓技術はこのニーズを満たしており、吐水部の引き出しが可能であるとともに、可動管の左右への回転も可能である。
【0056】
三、ぐらつきが小さい。例えば、前後30mm+前方Oリングの後方に滑り止めカバーを設けて規制することで、ぐらつきが2°以内となるよう保証している。
【0057】
四、適用範囲が広く、使用寿命が長い。本技術は様々な洗面用水栓やキッチン用水栓に応用可能である。また、無段階昇降の使用寿命は例えば5万回にも達し得る。
【0058】
その他の好ましい実施例において、図8及び図9を参照して、前記無段階昇降水栓はキッチン用水栓であり、固定スリーブ51、給水管52、第1吐水管531、第2吐水管532、水栓体、昇降及び摺動可能に固定スリーブ51に接続される昇降管55、昇降管55に固設される昇降本体56、昇降本体56に固定装着される吐水部57、重錘58及び無段階昇降機構を含む。前記水栓本体は固定スリーブには固定接続されず、前記水栓本体と固定スリーブ51の双方が台上に固定される。ただし、これらは別個に設置されて分離式構造を構成する。
【0059】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、これらによって本発明の実施範囲は限定されない。即ち、本発明の特許請求の範囲及び明細書の内容に基づき実施される等価の変形及び補足は、いずれも本発明の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9