(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】漢方薬組成物、及びそれらの製剤及び用途
(51)【国際特許分類】
A61K 36/537 20060101AFI20220617BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220617BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220617BHJP
A61K 9/30 20060101ALI20220617BHJP
A61K 9/32 20060101ALI20220617BHJP
A61K 9/36 20060101ALI20220617BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20220617BHJP
A61K 31/11 20060101ALI20220617BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20220617BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20220617BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20220617BHJP
A61K 36/258 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20220617BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220617BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61K36/537
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/30
A61K9/32
A61K9/36
A61K31/045
A61K31/11
A61K31/216
A61K31/343
A61K31/704
A61K36/258
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/40
A61K47/44
A61P9/10
(21)【出願番号】P 2020151603
(22)【出願日】2020-09-09
(62)【分割の表示】P 2016524676の分割
【原出願日】2014-07-11
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】201310290968.8
(32)【優先日】2013-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201310384234.6
(32)【優先日】2013-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201410044675.6
(32)【優先日】2014-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201410085152.6
(32)【優先日】2014-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511237874
【氏名又は名称】タスリー・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TASLY PHARMACEUTICAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Tasly Modern TCM Garden, Pu Jihe East Road No.2, Beichen District, Tianjin 300410, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シージュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ネイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,カイジン
(72)【発明者】
【氏名】イエ,ジュオンリャーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シュンナン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,リーホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ウェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ハイオウ
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/016549(WO,A1)
【文献】特表2007-529431(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1596920(CN,A)
【文献】特表2013-520450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複方丹参微滴丸剤の調製方法であって、
前記複方丹参微滴丸剤は、
丹参及び田七人参エキス 50.0質量%~99.9質量%及び
ボルネオール 0.1質量%~50.0質量%を含有する漢方薬組成物を含み、
前記丹参及び田七人参エキスは、下記成分:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセノシドRd:ジヒドロタンシノンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIAを質量%にて(2~6):(0.5~2):(1~3):(0.2~1):(0.2~1):(0.5~2):(0.5~2):(0.2~1):(1~4):(0.1~0.5):(1~4):(0.1~1):(0.01~0.05):(0.05~0.1):(0.02~0.1):(0.1~0.5)で含み、
前記複方丹参微滴丸剤の水分含量が3.0~7.0wt%の範囲であり、
以下の工程:
(1)材料溶融工程:漢方薬組成物と微滴丸剤マトリクスをホモジナイザーに入れ、1000~5000rpmにて1~200分間均一に混合し、3000~10000rpmにて1~100分間均一に溶融し;この溶融工程の間、温度を60~100℃に保ち、溶融薬剤液を得;このとき前記漢方薬組成物と微滴丸剤マトリクスの質量比が1:
2~5:1である、工程、
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、振動数2~2000Hz、滴下圧0.5~4.0Bar、加速度1~20G、ドリッパーの温度70~300℃にて、振動滴下による方法でドリッパーから薬物滴剤(medicine drops)を得;このとき滴下速度を工程(1)の溶融速度に合わせる、工程
、
(3)凝縮工程:薬物滴剤を、0℃以下の温度の冷却ガスで迅速に冷却して凝固させ、粒子サイズ0.2mm~
2.5mmの固体の微滴丸剤を得る工程
、及び
(4)乾燥工程:工程(3)で得られる低温微滴丸剤を、流動床にて-20~150℃で
1~4時間乾燥し、ブランク微滴丸剤(素丸)を得る工程、
を含む、方法。
【請求項2】
工程(1)において、
前記微滴丸剤マトリクスが、PEG、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マルトース、スターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストリン、シクロデキストリン、アガー及びラクトースのうちの一種以上、好ましくは、PEG-1000、PEG-2000、PEG-3000、PEG-4000、PEG-5000、PEG-6000、PEG-7000及びPEG-8000などの固体PEG、さらに好ましくは、PEG-1000、PEG-2000、PEG-3000、PEG-4000、PEG-6000、PEG-8000のうちの一種以上、最も好ましくはPEG-6000、PEG-4000、又はPEG-4000とPEG-6000の組み合わせである、請求項
1に記載の調製方法。
【請求項3】
以下の工程:
(1)材料溶融工程:漢方薬組成物と微滴丸剤マトリクスをホモジナイザーに入れ、1000~5000rpmにて均一に混合し、3000~10000rpmにて20~80分間均一に溶融し;この溶融工程の間、温度を80~100℃に保ち、溶融薬剤液を得;このとき前記漢方薬組成物と微滴丸剤マトリクスの質量比が1:
2~3:1である、工程、(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、振動数20~300Hz、滴下圧0.5~4.0Bar、加速度1~15G、ドリッパーの温度70~200℃にて、振動滴下による方法でドリッパーから薬物滴剤を得;このとき滴下速度を工程(1)の溶融速度に合わせる、工程
、
(3)凝縮工程:薬物滴剤を、0℃以下の温度の冷却ガスで迅速に冷却して凝固させ、粒子サイズ0.2mm~
2.5mmの固体の微滴丸剤を得る工程
、及び
(4)乾燥工程:工程(3)で得られる低温微滴丸剤を、流動床にて-20~150℃で1~4時間乾燥し、ブランク微滴丸剤(素丸)を得る工程、
を含む、請求項
1又は請求項
2に記載の調製方法。
【請求項4】
工程(1)において、漢方薬組成物と微滴丸剤マトリクスの質量比が1:
2~3:1であり、
3000~5000rpmで10~60分間均一に混合し、
4000~9000rpmで5~30分間均一に溶融し、
この溶融工程の間、温度を70~90℃に保ち、
好ましくは
、
3000~4000rpmで10~30分間均一に混合し、
4000~6000rpmで6~30分間均一に溶融し、
この溶融工程の間、温度を75~85℃に保つ、
請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項5】
工程(2)において、
ドリッパーの温度が70~100℃、好ましくは75~85℃であり、
振動数が50~300Hz、好ましくは100~200Hz、より好ましくは90~200Hz、より好ましくは130~140Hz、最も好ましくは137Hzであり、
加速度が3.5~4.5G、好ましくは4.0Gであり、
滴加圧が1.0~3.0Bar、好ましくは1.8Barであり、及び
滴下速度が10~40kg/h、好ましくは12~30kg/h、更に好ましくは15~25kg/hである、
請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項6】
工程(3)において、
冷却ガスが空気、窒素又は不活性ガスから選択され、
冷却ガスの温度が0
℃~-150℃、好ましくは-60
℃~-140℃、より好ましくは-80
℃~-120℃であり、
粒子サイズは1.0mm~2.0mmである、
請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項7】
前記方法は、
工程(4)
において、流動床乾燥装置を利用して
、-20
℃~90℃で、1~4時間、固体の微滴丸剤の乾燥を実施し、ブランク微滴丸剤(素丸)を得る
、
請求項1乃至請求項6のうち何れか一項のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項8】
前記工程(3)で得られる低温の固体の微滴丸剤を
、40~60℃で、1~4時間、好ましくは1~3時間、最も好ましくは2時間、流動床を用いて乾燥させ、ブランク微滴丸剤(素丸)を得る、請求項
7に記載の調製方法。
【請求項9】
前記工程(4)において、昇温勾配乾燥法を以下のとおり:
流動化 -20
℃~30℃、
乾燥15
℃~35℃で10~120分間、
乾燥35
℃~55℃で10~60分間、
乾燥55
℃~100℃で0~60分間、
好ましくは、
流動0
℃~20℃、
乾燥25℃で60分間、乾燥45℃で30分間、乾燥55℃で0~30分間、
にて用いる、
請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項10】
前記方法は、さらに
コーティング工程(5):工程(4)で得られたブランク微滴丸剤(素丸)を、30~65℃下の流動化状態で、コーティング液の濃度を5~25wt%、好ましくは18~20wt%で、コーティング材料をシェラック、CAP(セルロースアセテートフタレート)、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル又はオパドライ(Opadry)から選択し、コーティング材料とブランク微滴丸剤(素丸)の質量比を1:50~1:10、好ましくは1:50~1:25で、コーティングする、工程
をさらに含む、
請求項1乃至請求項9のうち何れか一項のうちいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記工程(1)の前に、さらに
事前混合工程:
前記漢方薬組成物又はその粉末を水に加え、10分間以上、30~80℃で撹拌し、プレミックス漢方薬組成物
材料を得る、工程
を含
み、前記工程(1)における漢方薬組成物に代えて、前記プレミックス漢方薬組成物材料を使用する、
請求項1乃至請求項10のうち何れか一項のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項12】
前記漢方薬組成物は、丹参及び田七人参エキス 75.0質量%~99.9質量%及び
ボルネオール 0.1質量%~25.0質量%を含む、
請求項1乃至請求項11のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項13】
前記漢方薬組成物は、丹参及び田七人参エキス 90.0質量%~99.9質量%及び
ボルネオール 0.1質量%~10.0質量%を含む、
請求項1乃至請求項12のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項14】
前記丹参及び田七人参エキスは、下記成分:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセノシドRd:ジヒドロタンシロンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIAを質量部にて(3~4):(0.9~1.2):(1.4~2.0):(0.5~0.7):(0.5~0.9):(1~1.6):(0.7~1.2):(0.5~0.9):(1.8~2.8):(0.2~0.4):(1.7~2.2):(0.2~0.6):(0.03~0.04):(0.07~0.08):(0.05~0.06):(0.26~0.28)で含み、
前記複方丹参微滴丸剤の水分含量が3.0~7.0wt%の範囲である、
請求項1乃至請求項13のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項15】
前記丹参及び田七人参エキスは、下記成分:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセノシドRd:ジヒドロタンシロンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIAを質量部にて、3.6:1.1:1.7:0.6:0.7:1.3:0.9:0.7:2.4:0.3:1.8:0.4:0.03:0.07:0.06:0.27で含み、
前記複方丹参微滴丸剤の水分含量が3.0~7.0wt%の範囲である、
請求項1乃至請求項14のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項16】
前記丹参及び田七人参エキスは、丹参75~90質量部及び田七人参10~25質量部の生薬で調製される、請求項1乃至請求項15のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項17】
前記丹参及び田七人参エキスは、丹参82~84質量部及び田七人参16~17質量部の生薬で調製される、請求項1乃至請求項16のうち何れか一項に記載の調製方法。
【請求項18】
急性心筋梗塞及び急性心筋虚血の治療
をするための組成物を製造する方法であって、請求項1乃至請求項1
7のうち何れか一項に記載の
調製方法により製造された複方丹参微滴丸剤
を使用する、前記組成物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方薬組成物及びそれらの製剤、より特には心血管疾患の治療のための漢方薬組成物及びそれらの製剤に関し、特に、微滴丸剤製剤に関する。本発明はまた、漢方薬組成物及びそれらの製剤の製造方法に関する。ここで、微滴丸剤製剤の製造方法は、滴丸剤、コーティングされた滴丸剤、そして高い薬物用量の滴丸剤カプセルの製造に使用できる。
【背景技術】
【0002】
生活水準の改善や、世界的な人口の高齢化と発症人口の若年化、脳や心血管疾患の患者は年々増加している。それは、ヒトの健康に対して害を及ぼす第二の大疾患となっている。狭心症は、心筋の一時的な虚血及び低酸素症によって引き起こされる、胸の痛み及び胸の不快感を特徴とする臨床症候群である。冠状動脈性心臓病(CHD)狭心症とは、狭心症を有する患者の約90%を占める、冠状動脈硬化又は痙攣によって引き起こされる心筋虚血及び低酸素症によって誘発される狭心症を意味する。
【0003】
現在、狭心症を治療する方法は、血管を拡張し、血液粘度を減少させ、血小板の凝集並びに凝血することが主流である。伝統的に、化学物質(薬物)は硝酸塩、亜硝酸塩、β-受容体ブロッカー及びカルシウム拮抗薬などが挙げられる。しかし、強い毒性並びに副作用のために、これらの薬物は長期の使用には適さない。また、それらの殆どが、疾患の進行に何ら効果を有しない対症療法に焦点をあてている。時折、例えば頭痛、ズキズキする頭痛、加速された動悸、さらには失神などの症状が、ニトログリセリンを投与した後に生じる(新薬学、第14版、264頁参照)。近年、ニトログリセリンは、深刻な低血圧を誘発する問題(チャイナジャナールオブモダンメディシン、1997、7(4):42、シャンハイ メディシン ジャーナル、1996、25(5)315参照)、並びに、耐性を生じる傾向がある問題(ナンファンジャーナルオブナーシング、1996、3(5):7~9)を有することが報告されている。そのため、これは診療におけるそれらの用途を妨げた。
【0004】
多くの漢方薬が狭心症の治療に使用されてきたが、丸剤、散剤、軟膏(あぶら薬)、丹(練り薬)及び煎じ薬は昔のものとなり、それは現代の人々にはほとんど使用されていない。今や、市販の一般的な複方丹参タブレット及びカプセルがある。タブレット及びカプセルの製造工程は時代遅れであるため、活性成分の含量は品質管理指標を持たず低い。双方とも、経口投与後の消化管を介して血中に吸収される。肝臓の初回通過効果のため、それらは低い生体利用効率であり吸収が遅く、狭心症患者の救急処置に有効でない。
【0005】
滴丸剤(drop pill)は漢方薬の伝統的な製剤である。それは以下の利点を有する:薬剤の揮発の減少、薬剤の安定性の増加、高い生体利用効率、効果の迅速な発現、局所投与における持続性作用、短い製造サイクル、粉塵公害のなさ、そして容易な携行。
【0006】
しかしながら、従来の滴丸剤の製造方法は、薬剤液を溶融し、非混和性の冷却媒体にそれを滴下して、滴丸剤を得る。滴丸剤は、下向きの重力、薬剤液の表面張力及び内部応力の要因によって形成され、単位薬剤負荷容量は小さく(通常、APIの薬剤負荷容量は約25%である)、マトリクス量は非常に大きい。これは、PEGマトリクスの最大一日用量は700mgを超えるべきでないという国際市場の要件を満たしていない。さらに、従来の滴丸剤を直径2.5mm未満で製造することは難しいため、患者は毎回飲み込むことが難しい多量の薬剤を摂取せねばならず、現代生活の早いペースのトレンドを満足せず、さらに不正確な用量の問題になりやすい。従って、一般に、国際的な消費者にとって受け
入れることができない。加えて、従来の滴丸剤の製造における多数の欠点、例えば、低滴下速度、貧弱な丸み及び丸剤質量および粒子サイズの大きな変動、並びに、低用量の薬剤負荷容量及び多大なマトリクス量(滴下効果を確実にするのに媒体を十分とするため)、が存在する。滴丸剤の凝固のために冷却液が使用されているために、次の工程において冷却液を除去するための必要工程が必要とされ、残存する冷却液は残余の有機溶媒問題をもたらし得る。また、従来の滴丸剤の乾燥方法は、長時間、低速、不十分な乾燥、及び揮発油の容易な蒸発、そして製品に含まれるボルネオールの沈殿といった欠点を有する。
【0007】
そのため、高い生産率、マトリクス量の減少、薬剤負荷容量の増加を達成する、微滴丸剤、標準滴丸剤、及び滴丸剤カプセルを製造するための製造方法を如何に見出すかは、
滴丸剤の最新の製造技術の開発と探査を必要とする重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複方丹参滴丸剤(CSDP)は、テースリー ファーマシューティカル社によって開発された漢方薬であり、それは、血流停滞を除去して血液を活性化するとともに、気(Qi)を整えて痛みを止める効果を有することが証明され、胸内苦悶及び狭心症の治療に使用される。CSDPの主成分は丹参、田七人参及びボルネオールが挙げられる。その薬学的効果としては、冠血流の増加、低酸素耐性を強化することによる心筋虚血の保護、抗血小板凝集、血栓症の防止及び微小循環の改善が挙げられる。CSDPの製造は、従来技術において非常に成熟した技術として知られているものの、製造工程の間に直面する、多量のマトリクスや少量の薬剤負荷容量といった多くの問題が未だに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、急性心筋梗塞及び急性心筋虚血を治療するための漢方薬組成物を提供することである。前記組成物は、質量%にて以下の物質から構成される:丹参及び田七人参エキス 50.0%~99.9%及びボルネオール0.1%~50.0%。ここで前記丹参及び田七人参エキスは以下の成分を質量部にて含む:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセノシドRd:ジヒドロタンシノンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIA=(2~6):(0.5~2):(1~3):(0.2~1):(0.2~1):(0.5~2):(0.5~2):(0.2~1):(1~4):(0.1~0.5):(1~4):(0.1~1):(0.01~0.05):(0.05~0.1):(0.02~0.1):(0.1~0.5)。
【0010】
本発明の実施態様において、前記組成物は、例えば注射液、タブレット、カプセル、滴丸剤及び微滴丸剤など、好ましくは微滴丸剤など、種々の製剤で調製され得る。前記微滴丸剤とは、従来の滴丸剤よりもより小さいサイズの滴丸剤を意味する。
具体的には、前記微滴丸剤は0.2mm~4mm、特に0.2mm~2mm、最も好ましくは1mm~2mmの粒子サイズを有する。
【0011】
本発明の別の目的は、サルビア微滴丸剤(CSMDP)複合物を提供することである。前記微滴丸剤において、薬剤とマトリックスの質量比は1:5~5:1であり、そして粒子サイズは0.2mm~4mmである。前記微滴丸剤を製造する製造方法は、以下の工程を含む:
材料溶融工程:薬剤及び滴丸剤マトリクスを加熱溶融し、溶融薬剤液を得る;
滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、振動滴下法により溶融薬剤液の薬物滴剤(medicine drop)を得る;そして
凝縮工程:冷却ガスで薬物滴剤を冷却し、微滴丸剤を得る。
【0012】
特に本発明は、以下の技術的解決法を含む。
【0013】
1.丹参及び田七人参エキス 50.0質量%~99.9質量%及び
ボルネオール 0.1質量%~50.0質量%を含有する漢方医薬組成物であって、
前記丹参及び田七人参エキスは、下記成分:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセノシドRd:ジヒドロタンシノンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIAを質量%にて(2~6):(0.5~2):(1~3):(0.2~1):(0.2~1):(0.5~2):(0.5~2):(0.2~1):(1~4):(0.1~0.5):(1~4):(0.1~1):(0.01~0.05):(0.05~0.1):(0.02~0.1):(0.1~0.5)で含む、
漢方組成物。
【0014】
2.前記漢方薬組成物は、
丹参及び田七人参エキス 75.0質量%~99.9質量%及び
ボルネオール 0.1質量%~25.0質量%を含む、
第1項に記載の漢方薬組成物。
【0015】
3.前記漢方薬組成物は、
丹参及び田七人参エキス 90.0質量%~99.9質量%及び
ボルネオール 0.1質量%~10.0質量%を含む、
第1項に記載の漢方薬組成物。
【0016】
4.前記丹参及び田七人参エキスは、下記成分:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセノシドRd:ジヒドロタンシロンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIAを質量%にて(3~4):(0.9~1.2):(1.4~2.0):(0.5~0.7):(0.5~0.9):(1~1.6):(0.7~1.2):(0.5~0.9):(1.8~2.8):(0.2~0.4):(1.7~2.2):(0.2~0.6):(0.03~0.04):(0.07~0.08):(0.05~0.06):(0.26~0.28)で含む、第1項乃至第3項のうち何れか一項に記載の漢方薬組成物。
【0017】
5.前記丹参及び田七人参エキスは、下記成分:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセノシドRd:ジヒドロタンシロンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIAを質量%にて、3.6:1.1:1.7:0.6:0.7:1.3:0.9:0.7:2.4:0.3:1.8:0.4:0.03:0.07:0.06:0.27で含む、第4項に記載の漢方薬組成物。
【0018】
6.前記丹参及び田七人参エキスは、丹参75~90質量部及び田七人参10~25質量部の生薬で調製される、第1項乃至第3項のうち何れか一項に記載の漢方薬組成物。
【0019】
7.前記丹参及び田七人参エキスは、丹参82~84質量部及び田七人参16~17質量部の生薬で調製される、第6項に記載の漢方薬組成物。
【0020】
8.第1項乃至第7項のうち何れか一項に記載の漢方薬組成物と薬学的に許容可能な担体を含む医薬品。
【0021】
9.前記医薬品は、滴丸剤(drop pill)又は微滴丸剤(maicro drop pill)の投与形態、好ましくは微滴丸剤の投与形態であり、前記微滴丸剤は、前記漢方薬組成物と滴丸剤マトリクスを1:5~5:1の質量比にて調製される、第8項に記載の医薬品。
【0022】
10.第1項乃至第7項のうち何れか一項に記載の漢方薬組成物と滴丸剤マトリクスを1:5~5:1の質量比にて調製される、複方丹参微滴丸剤。
【0023】
11.第10項に記載の微滴丸剤の調製方法であって、以下の工程:
(1)材料溶融工程:薬剤と滴丸剤マトリクスをホモジナイザーに入れ、1000~5000rpmにて1~200分間均一に混合し、3000~10000rpmにて1~100分間均一に溶融し;この溶融工程の間、温度を60~100℃に保ち、溶融薬剤液を得;このとき前記薬剤と微滴丸剤マトリクスの質量比が1:5~5:1である、工程、
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、振動数2~2000Hz、滴下圧0.5~4.0Bar、加速度1~20G、ドリッパーの温度70~300℃にて、振動滴下による方法でドリッパーから薬物滴剤(medicine drops)を得;このとき滴下速度を工程(1)の溶融速度に合わせる、工程、及び
(3)凝縮工程:薬物滴剤を、0℃以下の温度の冷却ガスで迅速に冷却して凝固させ、粒子サイズ0.2mm~4.0mmの固体の滴丸剤を得る工程、
を含む、方法。
【0024】
12.工程(1)において、前記滴丸剤マトリクスが、PEG、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マルトース、スターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストリン、シクロデキストリン、アガー及びラクトースのうちの一種以上、好ましくは、PEG-1000、PEG-2000、PEG-3000、PEG-4000、PEG-5000、PEG-6000、PEG-7000及びPEG-8000などの固体PEG、さらに好ましくは、PEG-1000、PEG-2000、PEG-3000、PEG-4000、PEG-6000、PEG-8000のうちの一種以上、最も好ましくはPEG-6000、PEG-4000、又はPEG-4000とPEG-6000の組み合わせである、第11項に記載の調製方法。
【0025】
13.以下の工程:
(1)材料溶融工程:薬剤と滴丸剤マトリクスをホモジナイザーに入れ、1000~5000rpmにて均一に混合し、3000~10000rpmにて20~80分間均一に溶融し;この溶融工程の間、温度を80~100℃に保ち、溶融薬剤液を得;このとき前記薬剤と微滴丸剤マトリクスの質量比が1:3~3:1である、工程、
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、振動数20~300Hz、滴下圧0.5~4.0Bar、加速度1~15G、ドリッパーの温度70~200℃にて、振動滴下による方法でドリッパーから薬物滴剤を得;このとき滴下速度を工程(1)の溶融速度に合わせる、工程、及び
(3)凝縮工程:薬物滴剤を、0℃以下の温度の冷却ガスで迅速に冷却して凝固させ、粒子サイズ0.2mm~4.0mmの固体の滴丸剤を得る工程。
を含む、第11項又は第12項に記載の調製方法。
【0026】
14.工程(1)において、薬剤と滴丸剤マトリクスの質量比が1:3~3:1であり、3000~5000rpmで10~60分間均一に混合し、
4000~9000rpmで5~30分間均一に溶融し、
この溶融工程の間、温度を70~90℃に保ち、
好ましくは、
薬剤とマトリクスの質量比が1:(1~3)であり、
3000~4000rpmで10~30分間均一に混合し、
4000~6000rpmで6~30分間均一に溶融し、
この溶融工程の間、温度を75~85℃に保つ、
第12項に記載の調製方法。
【0027】
15.工程(2)において、
ドリッパーの温度が70~100℃、好ましくは75~85℃であり、
振動数が50~300Hz、好ましくは100~200Hz、より好ましくは90~200Hz、より好ましくは130~140Hz、最も好ましくは137Hzであり、
加速度が3.5~4.5G、好ましくは4.0Gであり、
滴加圧が1.0~3.0Bar、好ましくは1.8Barであり、及び
滴下速度が10~40kg/h、好ましくは12~30kg/h、更に好ましくは15~25kg/hである、
第12項に記載の調製方法。
【0028】
16.工程(3)において、
冷却ガスが空気、窒素及び不活性ガスから選択され、
冷却ガスの温度が0~-150℃、好ましくは-60~-140℃、より好ましくは-80~-120℃であり、
粒子サイズは1.0mm~2.0mmである、
第12項に記載の調製方法。
【0029】
17.前記方法は、さらに
乾燥工程(4):流動床乾燥装置を利用して-20~100℃で、好ましくは-20~90℃で、1~4時間乾燥を実施し、ブランク丸剤(素丸)を得る工程、
をさらに含み得る、第11項乃至第16項のうち何れか一項に記載の調製方法。
【0030】
18.前記工程(3)で得られる低温滴丸剤を、40~150℃で、好ましくは40~60℃で、1~4時間、好ましくは1~3時間、最も好ましくは2時間、流動床を用いて乾燥させ、ブランク丸剤(素丸)を得る、第17項に記載の調製方法。
【0031】
19.前記工程(4)において、昇温勾配乾燥法を以下のとおり:
流動化 -20~30℃、
乾燥15~35℃で10~120分間、
乾燥35~55℃で10~60分間、
乾燥55~100℃で0~60分間、
好ましくは、
流動0~20℃、
乾燥25℃で60分間、乾燥45℃で30分間、乾燥55℃で0~30分間、
にて用いる、
第18項に記載の調製方法。
【0032】
20.前記方法は、さらに
コーティング工程(5):工程(4)で得られたブランク丸剤(素丸)を、30~65℃下の流動化状態で、コーティング液の濃度を5~25wt%、好ましくは18~20wt%で、コーティング材料をシェラック、CAP(セルロースアセテートフタレート)、ア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル又はオパドライ(Opadry)から選択し、コーティング材料とブランク丸剤(素丸)の比を1:50~1:10、好ましくは1:50~1:25で、コーティングする、工程
をさらに含み得る、第11項乃至第19項のうちいずれか一項に記載の調製方法。
【0033】
21.前記方法は、工程(1)の前に、さらに
事前混合工程:薬剤粉末又はエキスを水に加え、10分間以上、30~80℃で撹拌し、プレミックス薬剤材料を得る、工程
を含み得る、第11項乃至第20項のうち何れか一項に記載の調製方法。
【0034】
22.急性心筋梗塞及び急性心筋虚血の治療のための薬剤調製における、第1項乃至第7項のうち何れか一項に記載の漢方薬組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、サルビアノール酸Tの高分解能マススペクトルであって、
図1A:(R)-サルビアノール酸T;
図1B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図2】
図1は、サルビアノール酸Tの高分解能マススペクトルであって、
図1A:(R)-サルビアノール酸T;
図1B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図3】
図2は、サルビアノール酸Tの
1H-NMRスペクトル(500MHz、DMSO)であって、
図2A:(R)-サルビアノール酸T;
図2B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図4】
図2は、サルビアノール酸Tの
1H-NMRスペクトル(500MHz、DMSO)であって、
図2A:(R)-サルビアノール酸T;
図2B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図5】
図3は、サルビアノール酸Tの
13C-NMRスペクトル(125MHz、DMSO)であって、
図3A:(R)-サルビアノール酸T;
図3B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図6】
図3は、サルビアノール酸Tの
13C-NMRスペクトル(125MHz、DMSO)であって、
図3A:(R)-サルビアノール酸T;
図3B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図7】
図4は、サルビアノール酸TのDEPTスペクトルであって、
図4A:(R)-サルビアノール酸T;
図4B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図8】
図4は、サルビアノール酸TのDEPTスペクトルであって、
図4A:(R)-サルビアノール酸T;
図4B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図9】
図5は、サルビアノール酸TのCOSYスペクトルであって、
図5A:(R)-サルビアノール酸T;
図5B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図10】
図5は、サルビアノール酸TのCOSYスペクトルであって、
図5A:(R)-サルビアノール酸T;
図5B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図11】
図6は、サルビアノール酸TのROESYスペクトルであって、
図6A:(R)-サルビアノール酸T;
図6B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図12】
図6は、サルビアノール酸TのROESYスペクトルであって、
図6A:(R)-サルビアノール酸T;
図6B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図13】
図7は、サルビアノール酸TのHSQCスペクトルであって、
図7A:(R)-サルビアノール酸T;
図7B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図14】
図7は、サルビアノール酸TのHSQCスペクトルであって、
図7A:(R)-サルビアノール酸T;
図7B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図15】
図8は、サルビアノール酸TのHMBCスペクトルであって、
図8A:(R)-サルビアノール酸T;
図8B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図16】
図8は、サルビアノール酸TのHMBCスペクトルであって、
図8A:(R)-サルビアノール酸T;
図8B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図17】
図9は、サルビアノール酸TのCDスペクトルであって、
図9A:(R)-サルビアノール酸T;
図9B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図18】
図10は、CDスペクトル及びシミュレートしたECDスペクトルを示す図であって、
図10A:(R)-サルビアノール酸T;
図10B:(S)-サルビアノール酸のスペクトルを示す図である。
【
図19】
図11は、サルビアノール酸及びタンシノンのクロマトグラフを示す図である(検出波長281nm)。
【
図20】
図12は、サポニンのクロマトグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施態様において、本発明は、漢方薬組成物を提供する。前記組成物は、質量%にて以下の物質から構成される:50.0%~99.9%の丹参及び田七人参エキス、及び、0.1%~50.0%のボルネオール。ここで、丹参及び田七人参エキスは、質量%にて以下の成分を含む:タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセネノシドRd:ジヒドロタンシノンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIA=(2~6):(0.5~2):(1~3):(0.2~1):(0.2~1):(0.5~2):(0.5~2):(0.2~1):(1~4):(0.1~0.5):(1~4):(0.1~1):(0.01~0.05):(0.05~0.1):(0.02~0.1):(0.1~0.5)。
【0037】
好ましくは、前記組成物は、質量%にて以下の物質から構成される:75.0%~99.9%の丹参及び田七人参エキス、及び、0.1%~25.0%のボルネオール。
【0038】
好ましくは、前記組成物は、質量%にて以下の物質から構成される:90.0%~99.9%の丹参及び田七人参エキス、及び、0.1%~10.0%のボルネオール。
【0039】
好ましくは、丹参及び田七人参エキスは、質量部にて以下の成分を含む:
タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマリン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセネノシドRd:ジヒドロタンシノンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIA=
(3~4):(0.9~1.2):(1.4~2.0):(0.5~0.7):(0.5~0.9):(1~1.6):(0.7~1.2):(0.5~0.9):(1.8~2.8):(0.2~0.4):(1.7~2.2):(0.2~0.6):(0.03~0.04):(0.07~0.08):(0.05~0.06):(0.26~0.28)。
【0040】
好ましくは、丹参及び田七人参エキスは、質量部にて以下の成分を含む:
タンジン:サルビアノール酸T:プロトカテクアルデヒド:サルビアノール酸D:ロスマ
リン酸:サルビアノール酸B:サルビアノール酸A:田七人参サポニンR1:ギンセノシドRg1:ギンセノシドRe:ギンセノシドRb1:ギンセネノシドRd:ジヒドロタンシノンI:タンシノンI:クリプトタンシノン:タンシノンIIA=
3.6:1.1:1.7:0.6:0.7:1.3:0.9:0.7:2.4:0.3:1.8:0.4:0.03:0.07:0.06:0.27。
【0041】
本発明の実施態様において、上記漢方薬組成物は、丹参及び田七人参を抽出することによりエキス(抽出物)を得、該エキスにボルネオールを加え、混合して生成物を得て、調製される。
【0042】
好ましくは、漢方薬は、下記方法により調製される:
(1)丹参及び田七人参をアルカリ条件下で水で煮出して(煎じて)、煮汁を得、該煮汁をろ過し、濃縮して、ろ液をアルコールで沈殿させて、上澄みを得、上澄みをろ過し、アルコールを補充して(又はさらにエキスを乾燥して)、エキス、すなわちを丹参及び田七人参エキスを得る;
(2)上記工程のエキスにボルネオールを加え、均一に混合する。
ここで、丹参及び田七人参は、それぞれ単独で、或いは組み合わせて、アルカリ条件下で水で煮出し得る。
【0043】
好ましくは、丹参及び田七人参エキスは、下記方法により調製される:
(1)丹参及び田七人参をアルカリ水溶液で1~3回、各回1~3時間、煮出して、ろ過して後に使用するろ液Iを得る;
(2)得られた残渣を水で1~3回、各回1~3時間煮出して、ろ過して後に使用するろ液IIを得る;
(3)ろ液Iとろ液IIを合わせて、濃縮して濃縮液を得、アルコールで沈殿させ静置して上澄みを得る;上澄みを取り出し、ろ過し、アルコールを補充して、濃縮して(又はさらにエキスを乾燥して)、エキス、すなわち丹参及び田七人参エキスを得る。
【0044】
ここで、工程(1)において、前記アルカリ水溶液は、タンジン及びサルビアノール酸Tの完全な抽出を確実にするために、但し限定されないが、一種以上の重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化マグネシウムを、pH値7.5~9.0で含む:アルカリ水溶液の濃度は、1~4.5wt%、好ましくは2.25~3wt%である。
【0045】
工程(3)において、50~100%(v/v)エタノール、最も好ましくは95%エタノールを、最終エタノール濃度が好ましくは60~75%(v/v)となるように加えて、エタノール沈殿を実施する。
【0046】
より好ましくは、丹参及び田七人参エキスは、下記方法により調製される:
(1)丹参を5cm以下、好ましくは1~2cmの長さに切断し、田七人参を1cmの粒子に砕く;総生薬の2.25~3wt%を占める重炭酸ナトリウムを秤量し、抽出タンクに秤量した丹参と田七人参とともに入れる;各タンクにおいて、5倍量の水を加えて加熱し、2時間±20分間沸騰を維持し、ろ過する;
(2)得られた残渣を、4倍量の水を添加し加熱し、1時間±15分間沸騰を維持することを2回行って抽出し、ろ過して、残渣を除去する;
(3)上記で得られた抽出液を減圧下で、相対密度1.16~1.20(80±5℃)又は対応する糖度48~52%に濃縮し、濃縮液体を得る;該濃縮液体をアルコール沈殿タンクに供給し、そこで、最終アルコール量が65~70%となるように適正量のアルコールを添加し、沈殿が完全になるまで12~24時間静置する;上澄みを取り出し堆積物を
除去する;上澄みを濃縮又は乾燥して、エキス、すなわち丹参及び田七人参エキスを得る。
【0047】
ここで、工程(1)において、5倍量の水とは、水が質量にて総生薬の5倍であることを意味する。同様に、工程(2)において、4倍量の水は、水が質量にて総生薬の4倍であることを意味する。
【0048】
本発明の実施態様において、前記漢方薬組成物は、質量部にて下記生薬より調製される:丹参75~90部、田七人参10~25部、及びボルネオール0.1~4部。
好ましくは、前記漢方薬組成物は、質量部にて下記生薬より調製される:丹参80~86部、田七人参15~18部、及びボルネオール0.2~2部。
最も好ましくは、前記漢方薬組成物は、質量部にて下記生薬より調製される:丹参82~84部、田七人参16~17部、及びボルネオール0.4~1.2部。
【0049】
本発明の実施態様において、前記漢方薬組成物は、エキスまたは粉末である。
【0050】
本発明の実施態様において、丹参及び田七人参エキスの生体活性成分を検出する工程において、上記の質量割合で上記生体活性成分を見出すのは初めてあり、そして、新規化合物のサルビアノール酸Tを分離して得るのは初めてである。
【0051】
本発明の実施態様において、新規化合物のサルビアノール酸の構造は、その物理化学的特性、高分解能質量スペクトル(QFT-ESI)、エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ESI-MS)、
1H-NMR、
13C-NMR、DEPT、COSY、HMBC、HMQC及びCDスペクトルにおいて同定される(
図1~10)。
【0052】
新規化合物のサルビアノール酸の構造を以下の一般式(I)に示す。
【化1】
1H-NMRは、δ4.93(1H,dd,8.0,4.5Hz)にて酸素原子に結合したメテニルプロトンの1シグナル;δ6.85(1H,d,8.5Hz),δ7.31(1H,d,8.5Hz),δ7.41(1H,d,15.5Hz),δ6.27(1H,d,15.5Hz),δ6.62(1H,s),δ6.63(1H,d,8.0Hz),δ6.47(1H,d,8.0Hz),δ6.44(1H,d,2.0Hz),δ6.55(1H,d,8.5Hz),δ6.43(1H,dd,8.5,2.0Hz),δ7.69(1H,s)にて芳香族プロトンの11シグナル;δ2.89(2H,ddd,1
4.0,8.0,4.5Hz)にて脂肪族プロトンの2シグナルを示す。
カーボン
13核磁気共鳴13C-NMRスペクトルは炭素シグナル27を示し、δ36.0にて1つの脂肪族炭素シグナル、δ72.8にて酸素原子に結合した1つのメテニル炭素シグナル、δ166.0、δ170.6、δ168にて3つのカルボニル炭素シグナル、及びδ123.7、δ126.4、δ142.9、δ147.7、δ115.0、δ118.4、δ143.7、δ113.9、δ127.1、δ116.5、δ143.9、δ144.8、δ115.5、δ120.0、δ126.0、δ117.3、δ144.8、δ147.2、δ115.3、δ122.9、δ141.1、δ123.4にて22の二重結合炭素シグナルが含まれる。
【0053】
本発明の実施態様において、本発明の前記化合物は、それぞれ-157.5°及び196.6°の旋光度を有する2つの異性体を有する。S/R配置として設定されるC-8’絶対配置を有する化合物は、分子の最適設計により得られ、結果と本化合物の実験的なCDスペクトルの比較を読み取るために、(2d,p)規定系のTD-SCFを備えるBPV86法により算出される。本発明の化合物の2つの異性体におけるC-8’絶対配置は、S配置及びR配置であることが、実質的に一致したCDスペクトルにより推測される(
図10参照)。本発明の化合物のHMBCによるスペクトルは以下を示す:
【化2】
【0054】
サルビアノール酸Tは、以下の方法により調製される:
a)抽出:丹参生薬又は丹参とその他生薬との混合物を水で抽出し、ろ過し、ろ液を濃縮し、アルコールを加えて沈殿させ、上澄みを得、上澄みを濃縮してエキスを得る:
b)分離:工程a)で得られたエキスを水に溶解し、多孔性吸収樹脂を適用し、酸溶液で該樹脂を溶離させて不純物を除去し、エタノールで溶離させてエタノール溶離液を得、該エタノール溶離液を濃縮してエキスを得る:
c)精製:工程b)で得られたエキスを;固定相はC18逆相シリカカラムであり;移動相はアセトニトリル-水-ギ酸であり、検出波長280nmの定組成溶離法又は勾配溶離法で、高圧分取LCで精製する;HPLCは、サルビアノール酸Tを含有する溶離液を収集するために溶離工程を観察(モニタ)した。濃縮した後、サルビアノール酸Tを得る。
【0055】
本発明の実施態様において、前記漢方薬組成物の製剤が提供され、本発明の前記製剤は、漢方薬組成物と一種以上の薬学的に許容可能な担体を含む。前記漢方薬組成物は、前記製剤において0.1~99.9wt%を占め、差分は薬学的に許容可能な担体である。
【0056】
本発明の実施態様において、組成物は単位用量の形態で調製され、前記単位用量は、例えばタブレットのそれぞれのタブレット、カプセルのそれぞれのカプセル、経口液剤のそ
れぞれのボトル、粒剤のそれぞれのバッグなど、個々の製剤を言及し、薬学分野で既知の方法のいずれか一つで製造される。全ての方法は、漢方薬組成物と担体を混合する工程を含む。前記担体は、一種以上のアジュバントから構成される。一般的に、前記製剤は、下記方法で調製される:前記漢方薬組成物を、液体の担体、粉末の固体担体、又はそれらの混合物と均一且つしっかりと混合し、結果品を得、必要であれば、該結果品を所望の用量形態へ調製する。通常、前記漢方薬組成物を薬学的に許容可能な担体と混合して、本発明の調剤用量形態に製造することを含む、標準的な薬学技術が使用され得る。これらの方法は、混合、粒状化、タブレット化の工程を含む。従来技術における当業者に知られているように、前記薬学的に許容可能な担体又は賦形剤の形態及び特性は、混合する生体活性成分の量、製剤の投与方法及びその他既知の要因に依存する。
【0057】
本発明の実施態様において、前記組成物は、例えば糖コーティングタブレット、フィルムコーティングタブレット及び腸溶コーティングタブレットなどのタブレット、ソフトカプセル及びハードカプセルなどのカプセル、経口溶液、バッカル錠(口腔錠)、顆粒剤、インスタント粉末、ピル(丸剤)、散剤、軟膏(あぶら薬)及びペースタ等のペースト、丹(練り薬)、懸濁液、粉末、溶液、注射液、坐薬、クリーム、軟膏、プラスタ(plaste)、スプレー、滴剤(drop)、滴丸剤及びパッチ、好ましくは、カプセル、タブレット、経口溶液、顆粒剤、丸剤、粉末、丹、軟膏などの経口投与用量形態といった、何れの薬学的に許容可能な用量形態にて調製可能である。
【0058】
本発明の実施態様において、前記経口投与用量形態は、接着剤、充填剤、希釈剤、タブレット化剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、香料、湿潤剤などの担体を含む。必要により、タブレットはコーティングされる。
【0059】
本発明の実施態様において、前記充填剤としては、セルロース、マンニトール、ラクトース及び他の類似の充填剤が挙げられる。好適な崩壊剤としては、スターチ(デンプン)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びスターチ誘導体(すなわち、ヒドロキシエチルスターチナトリウム)が挙げられる。好適な潤滑剤としてはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。好適な湿潤剤としてはドデシルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0060】
本発明の実施態様において、前記組成物の経口固体製剤は、生体活性成分(API)を多量の充填剤中に均一に分散させるため、繰り返しブレンドすることにより調製することができる。
【0061】
本発明の実施態様において、経口液体製剤は、水溶性又は脂溶性の、懸濁液、溶液、エマルション、シロップ、又はエリクシル;臨床使用する前に水又は他の適切な溶媒で常に再構成される乾燥粉末、の用量形態である。この液体製剤は、慣用の添加剤、例えば懸濁化剤、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、又は水素化食用油;乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレート、又はアラビアガム;非水溶性添加剤(食用油を含む)、例えばアーモンド油、分画ココナッツオイル、オイルエステル、例えばグリセリド;プロピレングリコール又はエタノール;並びに、保存料、例えばメチルパラベン、ニパゾール、ソルビン酸、を含み得る。必要であれば、慣用の香料又は着色剤を含むことができる。
【0062】
本発明の実施態様において、前記注射液は生体活性成分及び無菌添加剤(賦形剤)を含む。当業者にとって、前記生体活性成分は、添加剤(賦形剤)の種類及び濃度に従い、液体に溶解或いは懸濁する。一般に、溶液は添加剤(賦形剤)に生体活性成分を溶解し、滅菌し、適当な小瓶(バイアル)又はアンプルに注入し、密封することにより調製される。幾つかの薬学的に許容可能なアジュバント(補助剤)、例えば、局所麻酔薬、防腐剤及び
緩衝剤が所望により添加され得る。それらの安定性を改善するために、小瓶(バイアル)に注入する前に、本発明の組成物を凍らせるか真空処理を施して水を除去することができる。
【0063】
本発明の実施態様においぜ、前記漢方薬組成物は、所望により、薬学的に許容可能な添加剤(賦形剤)を添加して調製され得る。前記添加剤(賦形剤)は、マンニトール、ソルビトール;チオスルホン酸ナトリウム;塩酸システイン、メルカプト酢酸、メチオニン、ビタミンC;EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウム二ナトリウム塩;一価アルカリ炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩又はその水溶液;塩酸、酢酸、硫酸、リン酸;アミノ酸;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム;キシリトール;マルトース、グルコース、フルクトース、デキストラン;グリシン;スターチ、スクロース、ラクトース、マンニトール;シリコン誘導体:セルロース及びその誘導体;アルギン酸塩;ゼラチン;PVP、グルセロール;Tween-80、アガー(寒天)ゲル:炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム;界面活性剤;PEG;シクロデキストリン;リン脂質;カオリン;タルカム・パウダー、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどから選択される。
【0064】
好ましくは、前記組成物は、滴丸剤にて調製され、より好ましくは、微滴丸剤にて調製される。
【0065】
本発明の実施態様において、複方丹参微滴丸剤(CSMDP)が提供され、前記CSMDPは漢方薬組成物と滴丸剤マトリクスを1:5~5:1の質量比で用いて調製され、好ましくは、漢方薬組成物と微滴丸剤マトリクスを1:3~3:1の質量比で、最も好ましくは1:(1~3)で用いて調製される。
【0066】
本発明の実施態様において、CSMDPを調製するための製造方法は、以下の工程を含む:
(1)材料溶融工程:薬剤と滴丸剤マトリクスをホモジナイザーに入れ、1000~5000rpmで1~200分間均一に混合し、3000~10000rpmで1~100分間均一に溶解する;溶融工程の間、温度を60~100℃に維持して溶融薬剤液を得る;薬剤と微滴丸剤マトリクスの割合は質量比で1:5~5:1である。
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、振動数2~2000Hz、滴下圧0.5~4.0Bar、加速度1~20Gにて、振動滴下の方法により、ドリッパーから薬物滴剤(medicine drops)を得る;ドリッパーの温度は70℃~300℃とする;滴下速度は、工程(1)の溶融速度に適合させる;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスで迅速に冷却して凝固させ、粒子サイズ0.2mm~4.0mmの固体の滴丸剤を得る;冷却ガス温度は0℃以下とする。
【0067】
好ましくは、CSMDPを調製するための製造方法は、以下の工程を含む:
(1)材料溶融工程:薬剤とマトリクスをホモジナイザーに入れ、1000~5000rpmで1~200分間均一に混合し、3000~10000rpmで1~100分間均一に溶解する;溶解工程の間、温度を60~100℃に維持して溶融薬剤液を得る;薬剤と微滴丸剤マトリクスの割合は質量比で1:3~3:1である;
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、振動数20~300Hz、滴下圧0.5~4.0Bar、加速度1~15Gにて、振動滴下の方法により、ドリッパーから薬物滴剤を得る;ドリッパーの温度は70℃~200℃とする;滴下速度は、工程(1)の溶融速度に適合させる;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスで迅速に冷却して固体化し、粒子サイズ0.2mm~4.0mmの固体の滴丸剤を得る;冷却ガス温度は0℃以下とする。
【0068】
ここで、工程(1)において、前記滴丸剤マトリクスとしては、PEG、ソルビトール
、キシリトール、ラクチトール、マルトース、スターチ、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストリン、シクロデキストリン及びアガー(寒天)の一種以上、好ましくは固体のPEG、例えば、PEG-1000、PEG-2000、PEG-3000、PEG-4000、PEG-5000、PEG-6000、PEG-7000及びPEG-8000、より好ましくは、PEG-1000、PEG-2000、PEG-3000、PEG-4000、PEG-6000、PEG-8000の一種以上、最も好ましくは、PEG-6000、PEG-4000、又はPEG-4000とPEG-6000の組み合わせである。工程(1)において、均質化は内容物の均一性を増強し得、RSD(相対標準偏差)は元の10%から7%に改善される。
【0069】
好ましくは、工程(1)において、薬剤と滴丸剤マトリクスの割合は質量比で1:3~3:1であり、3000~5000rpmで10~60分間均一に混合し、4000~9000rpmで5~30分間均一に溶融し、溶融工程の間、温度を70~90℃に維持する;最も好ましくは、薬剤と滴丸剤マトリクスの割合は質量比で1:(1~3)であり、3000~4000rpmで10~30分間均一に混合し、4000~6000rpmで6~30分間均一に溶融し、溶融工程の間、温度を75~85℃に維持する。
【0070】
工程(2)において、好ましくは、ドリッパーの温度を70~100℃に、好ましくは75~85℃とする;振動周波数を50~300Hz、好ましくは100~200Hz、より好ましくは90~200Hz、より好ましくは130~140Hz、最も好ましくは137Hzとする;加速度を3.5~4.5G、好ましくは4.0Gとする;滴下圧を1.0~3.0Bar、好ましくは1.8Barとする;滴下速度を10~14Kg/h、好ましくは12~30Kg/h、さらに好ましくは15~25Kg/hとする。
【0071】
工程(3)において、冷却ガスによる前記凝縮は、滴下された滴剤(drop)を低温凝縮トラップを用いて冷却し、凝固させることを意味する。冷却ガスの温度は0℃以下、好ましくは0~-150℃、更に好ましくは-60℃~-140℃、最も好ましくは-80℃~-120℃である;前記冷却ガスは、空気、窒素又は不活性ガスである;微滴丸剤の粒子サイズは1.0mm~2.0mmである。
【0072】
さらに、前記方法は、所望により工程(4)乾燥工程を含み得る;流動床乾燥装置は-20~100℃であることが好適であり、より好ましくは-20~90℃で、1~4時間乾燥して、ブランク丸剤(素丸)を得る。特に、工程(3)からの低温の滴丸剤の流動床乾燥を、40~150℃、好ましくは40~60℃で、1~4時間、好ましくは1~3時間、最も好ましくは2時間実施して、ブランク丸剤(素丸)を得る。
【0073】
工程(4)において、下記工程を含む勾配上昇温度方法が好ましい:-20~30℃で流動化、15~35℃で10~120分間乾燥、35~55℃で10~60分間乾燥、55~100℃で0~60分間乾燥;好ましくは0~20℃で流動化、25℃で60分間乾燥、45℃で30分間乾燥、55℃で0~30分間乾燥。本工程において、滴丸剤は流動化状態にあり、滴丸剤の付着の問題を解決するだけでなく、最大30kg/hに達する効率及び生産性も高める。
【0074】
工程(4)において、多くの乾燥方法を選別することにより、発明者らは以下の点を見出した:工程(3)において、ブランク丸剤を以下の乾燥方法の一つにより乾燥させる:低湿度エアリング法、真空オーブン乾燥法、温空気曝露乾燥法、コーティングポット乾燥法、トラック(キャタピラ)マイクロ波加熱乾燥法、流動乾燥コーティング法。収率及び生産性の点から、コーティングポット乾燥法、トラック(キャタピラ)マイクロ波加熱乾燥法及び流動乾燥コーティング法が好ましい。工業化の点から、流動床乾燥法が好ましく
、流動乾燥コーティング法が最も好ましい。種々の乾燥方法の優位点及び不利点を表1に示す。
【0075】
【0076】
さらに、滴丸剤の前記製造方法は、所望により、工程(5)コーティングを含み得る:工程(4)で得たブランク丸剤(素丸)を、流動状態で30~65℃でコーティングする;コーティング液の濃度は5~25wt,%好ましくは18~20wt%である;コーティング材料は、シェラック(Shellac)、CPA(セルロース・アセテート・フタレート)、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、又はオパドライ(opadry)である;コーティング材料とブランク丸剤(素丸)の質量割合は、1:50~1:10、好
ましくは1:50~1:25である。
【0077】
微滴丸剤の製造方法をよりよく実行するために、好ましくは、前記方法は、更に、工程(1)の前に事前混合工程を含み得る:薬剤粉末又はエキスを水に加え、10分超30~80℃で撹拌して、事前混合材料を得、水の均質化を確実にする。本工程は、投入される乾燥粉末によりもたらされる欠点を改善し得る。
【0078】
本発明の実施態様において、前記方法により調製される前記微滴丸剤は、直接包装され得、或いは、カプセル殻に充填してカプセルを調製することもできる。カプセルの調製後、1つずつカプセルを秤量する工程を更に適用し得る。包装前に、低水準のカプセルの可能性を排除するように、充填したカプセル1つずつに対する高速秤量が適用できる。
【0079】
本発明の実施態様において、前記方法は以下に特徴づけられる:滴丸剤及び滴丸剤カプセルの調製に適用するために、振動滴下と空気冷却の技術を、流動乾燥コーティング法との創造的に組み合わせるのは初めてである。従って、滴丸剤の製造速度及び成形品質の双方を増加し、さらに製造工程が簡略化する。本発明の有利点を以下に挙げる:
【0080】
1.従来の滴丸剤の方法(重力/圧力滴下及びクーラント冷却)の代わりに、振動滴下及び空気冷却法の使用
空気冷却の利用は、高速滴下、滴丸剤(粒子サイズ2.5mm以下)の調製及び薬剤負荷容量の増加という要件をより満たす。この結果として、滴丸剤の薬剤負荷容量は、飛躍的に増加し、滴丸剤マトリクスの量及び用量が劇的に減少する。さらに、滴丸剤の生産性が、これまでの速度:1~2丸剤/秒から1000~1250丸剤/秒に、大幅に増進し、粒子サイズが2mm~4mmから0.2mm~4mmの範囲となる。カプセルに充填できる微滴丸剤の製造が可能となる。振動パラメータ及び流動コーティングを調整することにより、薬剤負荷容量を、これまでの25%から約50%以上に増加でき、それにより、飛躍的にマトリクスの量が減少する。
【0081】
2.より低コスト:これまでの流動パラフィン及びシリコンオイル等のクーラントに変えて、低温空気、窒素又は不活性ガスを適用して冷却を実施し、続く残留溶媒の除去工程(例えば、オイルの除去工程)を回避する。それ故、作業工程が簡略化され、完全に残留有機溶媒がない。製造コストが低下する。
【0082】
3. 付着、成分の沈殿及び空気乾燥法の貯蔵段階に起こる揮発オイルの減少から滴丸剤を防ぐだけでなく、乾燥時間の減少(4~24時間から2時間へ)となる流動乾燥が加えられる。流動コーティングを使用することにより、溶融薬剤液が、薬剤負荷をもってコートに注入され、さらに、薬剤負荷容量が改善される。さらに、異なる技術目的を実現するため(例えば、徐放性コーティング、フィルムコーティング及び糖コーティングなど)に、この注入技術が滴丸剤のコーティングに使用される。流動化は穏やかな工程であると考えられているため、安定値に達するように水を確保するだけでなく、薬剤負荷容量と、滴丸剤のコーティングの均一性を改善する。従来の方法により調整された滴丸剤とは異なり、流動化法は、裂け目及び白破線から滴丸剤を防止すると同時に、収率を増加させる。
【0083】
本発明の微滴丸剤(実施例15の方法により調製されたCSDP)と伝統的な滴丸剤との間の物理化学パラメータの比較を表2に示す。
【表2】
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明の詳細な説明のみを目的とするものであって、何らかの方法で本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0085】
丹参と田七人参エキスの定量方法
以下の実施例において、タンジン、サルビアノール酸T、プロトカテクアルデヒド、ロスマリン酸、サルビアノール酸B、サルビアノール酸A、ジヒドロタンシノンI、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、田七人参サポニンR1、ギンセノシドRg1、ギンセノシドRe、ギンセノシドRb1及びギンセノシドRdを含む、漢方薬の各成分を、以下の方法で定量した。
【0086】
サルビアノール酸及びタンシノンの定量
レファレンス及び試験溶液の調製
レファレンス溶液の調製:タンジン、サルビアノール酸T、プロトカテクアルデヒド、サルビアノール酸D、ロスマリン酸、サルビアノール酸B、サルビアノール酸A、ジヒドロタンシノンI、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIAを含む、特定量のレファレンス物質を正確に秤量し、10mLのボルメトリックフラスコに移し、メタノールでスケールに希釈した。適宜希釈を続け、よく振盪し、0.22μmの膜でろ過し、以下のレファレンス溶液をそれぞれ得た:
タンジン0.0315mg/mL、サルビアノール酸T0.04596mg/mL、プロトカテクアルデヒド0.07556mg/mL、サルビアノール酸D0.04385mg/mL、ロスマリン酸0.04263mg/mL、サルビアノール酸B0.04248mg/mL、サルビアノール酸A0.1118mg/mL、ジヒドロタンシノンI0.02098mg/mL、タンシノンI0.02085mg/mL、クリプトタンシノン0.02442mg/mL、タンシノンIIA0.01992mg/mL。
【0087】
試験溶液の調製:0.1gの丹参及び田七人エキスを正確に秤量し、10mLのボルメ
トリックフラスコに移し、純水で溶解し、スケールに希釈し、0.22μmの膜でろ過し、試験溶液を得た。
【0088】
方法:10μLのレファレンス及び試験溶液を、それぞれ正確に吸引し、分析のためHPLCに注入した。
クロマトグラフカラム:アジレント社 Zorbax SB C18(4.6×250mm、5μm);
フローレート:0.5mL/分
カラム温度:30℃
検出波長:281nm
溶離条件を以下の表3に示す。
【表3】
【0089】
波長281nm下の、タンジン、サルビアノール酸T、プロトカテクアルデヒド、サルビアノール酸D、ロスマリン酸、サルビアノール酸B、サルビアノール酸A、ジヒドロタンシノンI、タンシノンI、クリプトタンシノン及びタンシノンIIAの保持時間を、
図11及び表4に示す。
【表4】
【0090】
サポニンの検出
レファレンス溶液の調製:
田七人参サポニンR1、ギンセノシドRg1、ギンセノシドRe、ギンセノシドRb1及びギンセノシドRdを含む、特定量のレファレンス物質を正確に秤量し、メタノールを加えて、それぞれ0.5mg、2.0mg、1.0mg、0.5mg、0.5mg、0.
5mg、1.0mg/mLを含む、レファレンス溶液を得た。
【0091】
試験溶液の調製:
0.1gの丹参及び田七人参エキスを正確に秤量し、4%アンモニア溶液(10mL)で溶解し、D101マイクロポーラスカラム(内径:0.7cm、高さ:5cm)を通過させ、これをはじめに30mLの水、30mLのメタノール(30%)及び10mLのメタノールで溶出させ、10mLボルメトリックフラスコ中にメタノール溶液を回収し、よく振盪して、試験溶液を得た。
【0092】
クロマトグラフ条件及びシステム適正試験:
オクタデシルシランが結合したシリカゲルを、バルキング剤として用いた;アセトニトリルを移動相“A”として使用し、水を移動相“B”として使用した。下記表5に従い、勾配溶離法を使用し、フローレート1.0mL/分、検出波長203nm、カラム温度30℃、記録時間75分とした。
【0093】
【0094】
測定:10μLのレファレンス及び試験溶液を、それぞれ正確に吸引し、分析のためHPLCに注入し、前記条件下で分析した。各成分の保持時間を
図12に示す。
【0095】
本発明の漢方薬組成物の調製
実施例1
丹参の生薬820gを1~2cmの長さに切断し、田七人参の生薬160gを砕いて0.18cmの粒子にした。総生薬の2.25wt%を占める重炭酸ナトリウムを秤量し、抽出タンクに丹参及び田七人参とともに入れ、5倍の水を加えて加熱し、2時間沸騰状態を維持し、ろ過した。得られた残渣を、4倍の水を加え、加熱し、2時間沸騰を維持することを行って2回抽出し、そしてろ過した。残渣を除去した。2回の抽出により得られた抽出溶液を、相対密度1.16-1.20(80±5℃)又は相対糖度48~52%に濃縮し、濃縮液体を得た。前記液体をアルコール沈殿タンクに供給し、最終エタノール濃度が65~70%となるように適量のエタノールで満たし、12時間静置して、完全に沈殿させた。上澄みを分離し、沈殿物を排出した。上澄みを濃縮してエキスとし、乾燥して丹参及び田七人参エキスを得た。
上述の方法により、丹参及び田七人参エキスを定量し、成分の濃度を以下に示す。
タンジン36mg/g、サルビアノール酸T11mg/g、プロトカテクアルデヒド17mg/g、サルビアノール酸D6mg/g、ロスマリン酸7mg/g、サルビアノール酸B13mg/g、サルビアノール酸A9mg/g、田七人参サポニンR1 17mg/gギンセノシドRg1 24mg/g、ギンセノシドRe3mg/g、ギンセノシドRb1
18mg/g、ギンセノシドRd4mg/g、ジヒドロタンシノンI 0.3mg/g、タンシノンI 0.7mg/g、クリプトタンシノン 0.6mg/g、タンシノンIIA 2.7mg/g。
90gの丹参及び田七人参エキスを、ボルネオール9gに加え、漢方薬を得た。
【0096】
実施例2
実施例1で得た丹参及び田七人参エキス75gとボルネオール25gを均一に混合して、漢方薬組成物を得た。
【0097】
実施例3
丹参の生薬800.0g及び田七人参の生薬150.0gをアルカリ条件下(pH=9)で、3回、各々1時間、水で煮だし(煎じ)、ろ過してろ液Iを得た。得られた残渣を、3回、各々1時間、水で煮出し、ろ過してろ液IIを得た。ろ液Iとろ液IIを合わせて濃縮した。濃縮した液体を、最終エタノール濃度が70%となるようにエタノールに加え、静置した。上澄みをろ過し、エタノールを補充し、濃縮し乾燥して、丹参及び田七人参エキスを得た。
【0098】
上述の方法により、丹参及び田七人参エキスを定量し、成分濃度を以下に示す。
タンジン40mg/g、サルビアノール酸T12mg/g、プロトカテクアルデヒド20mg/g、サルビアノール酸D7mg/g、ロスマリン酸9mg/g、サルビアノール酸B16mg/g、サルビアノール酸A12mg/g、田七人参サポニンR1 9mg/g、ギンセノシドRg1 28mg/g、ギンセノシドRe4mg/g、ギンセノシドRb1 22mg/g、ギンセノシドRd6mg/g、ジヒドロタンシノンI 0.4mg/g、タンシノンI 0.8mg/g、クリプトタンシノン0.6mg/g、タンシノンIIA 2.8mg/g。
99.9gの丹参及び田七人参エキスを、ボルネオール0.1gに加え、漢方薬を得た。
【0099】
実施例4
実施例3で得た丹参及び田七人参エキス90gとボルネオール10gを均一に混合して、漢方薬組成物を得た。
【0100】
実施例5
丹参の生薬750gと田七人参の生薬250gをアルカリ条件下(pH7.5)で、2回、各々2時間、水で煮出し、ろ過してろ液Iを得た。得られた残渣を2回、各々2時間、水で煮出し、ろ過してろ液IIを得た。ろ液Iとろ液IIを合わせて濃縮した。濃縮した液体を、最終エタノール濃度が70%となるようにエタノールに加え、静置した。上澄みをろ過し、エタノールを補充し、濃縮し乾燥して、丹参及び田七人参エキスを得た。
上述の方法により、丹参及び田七人参エキスは、タンジン、サルビアノール酸T、プロトカテクアルデヒド、サルビアノール酸D、ロスマリン酸、サルビアノール酸B、サルビアノール酸A、田七人参サポニンR1、ギンセノシドRg1、ギンセノシドRe、ギンセノシドRb1、ギンセノシドRd、ジヒドロタンシノンI、タンシノンI、クリプトタンシノン及びタンシノンIIAを、それぞれ、30mg/g、9mg/g、14mg/g、5mg/g、5mg/g、10mg/g、7mg/g、5mg/g、18mg/g、2mg/g、17mg/g、2mg/g、0.3mg/g、0.7mg/g、0.5mg/g、及び2.6mg/gにて含んでいた。
50gの丹参及び田七人参エキスとボルネオール50gを均一に混合して、漢方薬組成物を得た。
【0101】
実施例6
実施例5で得た丹参及び田七人参エキス99gと、ボルネオール1gを均一に混合して、漢方薬組成物を得た。
【0102】
実施例7
丹参の生薬83gと田七人参の生薬17gを、アルカリ条件下(pH7.5)で、2回
、各々2時間、水で煮出し、ろ過してろ液Iを得た。得られた残渣を2回、各々2時間水で煮だして、ろ過してろ液IIを得た。ろ液Iとろ液IIを合わせて濃縮した。濃縮した液体を、最終エタノール濃度が70%となるようにエタノールに加え、静置した。上澄みをろ過し、エタノールを補充し、濃縮し乾燥して、丹参及び田七人参エキスを得た。1質量部のボルネオールを添加して、漢方薬を得た。前記ボルネオールは市販品であった。
上述の方法により、丹参及び田七人参エキスは、タンジン、サルビアノール酸T、プロトカテクアルデヒド、サルビアノール酸D、ロスマリン酸、サルビアノール酸B、サルビアノール酸A、田七人参サポニンR1、ギンセノシドRg1、ギンセノシドRe、ギンセノシドRb1、ギンセノシドRd、ジヒドロタンシノンI、タンシノンI、クロプトタンシノン及びタンシノンIIAを、それぞれ、40mg/g、12mg/g、20mg/g、7mg/g、9mg/g、16mg/g、12mg/g、9mg/g、28mg/g、4mg/g、22mg/g、6mg/g、0.4mg/g、0.8mg/g、0.6mg/g、2.8mg/gにて含んでいた。
【0103】
実施例8
丹参の生薬400gを1~2cmの長さに切断し、田七人参の生薬80gを粒子に砕いた。総生薬の3wt%を占める重炭酸ナトリウムを秤量し、抽出タンクにタンジン及び田七人参とともに入れ、5倍の水を加えて加熱し、2時間±20分間沸騰状態を維持し、ろ過した。得られた残渣を、4倍の水を加え、加熱し、1時間±15分間沸騰状態を維持することを行って2回抽出し、そしてろ過した。残渣を除去した。2回の抽出により得られた抽出溶液を、相対密度1.16-1.20(80±5℃)又は相対糖度50%に濃縮し、濃縮液体を得た。前記液体をアルコール沈殿タンクに供給し、最終エタノール濃度が68%となるように適量のエタノールで満たし、20時間静置して、完全に沈殿させた。
上澄みを分離し、沈殿物を排出した。上澄みを濃縮してエキスとし、乾燥して丹参及び田七人参エキスを得た。
上述の方法により、丹参及び田七人参エキスは、タンジン、サルビアノール酸T、プロトカテクアルデヒド、サルビアノール酸D、ロスマリン酸、サルビアノール酸B、サルビアノール酸A、田七人参サポニンR1、ギンセノシドRg1、ギンセノシドRe、ギンセノシドRb1、ギンセノシドRd、ジヒドロタンシノンI、タンシノンI、クリプトタンシノン及びタンシノンIIAを、それぞれ、20mg/g、5mg/g、10mg/g、2mg/g、0.2mg/g、5mg/g、5mg/g、2mg/g、1mg/g、1mg/g、10mg/g、1mg/g、0.1mg/g、0.5mg/g、0.2mg/g、1mg/gにて含んでいた。
丹参及び田七人参エキス90gを、ボルネオール10gに加え、漢方薬組成物を得た。
【0104】
実施例9
丹参の生薬500gを1~2cmの長さに切断し、田七人参の生薬102gを粒子に砕いた。総生薬の2.5wt%を占める重炭酸ナトリウムを秤量し、抽出タンクにタンジン及び田七人参とともに入れ、6倍の水を加えて加熱し、2時間沸騰状態を維持し、ろ過した。得られた残渣を、6倍の水を加え、加熱し、1時間沸騰状態を維持することを行って2回抽出し、そしてろ過した。残渣を除去した。2回の抽出により得られた抽出溶液を、相対密度1.16-1.20(80±5℃)又は相対糖度48%に濃縮し、濃縮液体を得た。前記液体をアルコール沈殿タンクに供給し、最終エタノール濃度が65%となるように適量のエタノールで満たし、24時間静置して、完全に沈殿させた。上澄みを分離し、沈殿物を排出した。上澄みを濃縮してエキスとし、乾燥して丹参及び田七人参エキスを得た。
上述の方法により、丹参及び田七人参エキスは、タンジン、サルビアノール酸T、プロトカテクアルデヒド、サルビアノール酸D、ロスマリン酸、サルビアノール酸B、サルビアノール酸A、田七人参サポニンR1、ギンセノシドRg1、ギンセノシドRe、ギンセノシドRb1、ギンセノシドRd、ジヒドロタンシノンI、タンシノンI、クリプトタン
シノン及びタンシノンIIAを、それぞれ、60mg/g、20mg/g、30mg/g、10mg/g、10mg/g、20mg/g、20mg/g、10mg/g、40mg/g、5mg/g、40mg/g、10mg/g、0.5mg/g、1mg/g、1mg/g、5mg/gにて含んでいた。
丹参及び田七人参エキス99.9gを、ボルネオール0.1gと均一に混合して、漢方薬組成物を得た。
【0105】
漢方薬製剤の調製
実施例10
実施例1~実施例9の方法の何れか一つで調製した漢方薬組成物0.5gを、PEG-6000 10.5gと均一に混合し、加熱して溶融し、そして、滴下装置に供給し、薬物溶液を6~8℃の流動パラフィンに滴下する方法にて薬物滴剤を得た。残りの流動パラフィンを除去して、400粒の微滴丸剤を得た。
【0106】
実施例11
実施例1~実施例9の方法の何れか一つで調製した漢方薬組成物0.5g、グルコース
4.5g、チオ硫酸ナトリウム0.9g、及び蒸留水1mLを均一に混合し、凍結乾燥により、500包の注入可能な凍結乾燥粉末を得た。
【0107】
実施例12
実施例1~実施例9の方法の何れか一つで調製した漢方薬組成物0.5g、マンニトール5.5g、EDTAカルシウム二ナトリウム0.9g、及び蒸留水2mLを均一に混合し、凍結乾燥により、300包の注入可能な凍結乾燥粉末を得た。
【0108】
実施例13
実施例1~実施例9の方法の何れか一つで調製した漢方薬組成物0.5g、スターチ50g、及びスクロース50gを均一に混合し、粒状にした後、圧縮してタブレットを得た。
【0109】
実施例14
実施例1~実施例9の方法の何れか一つで調製した漢方薬組成物0.5g、スターチ50g、スクロース50gを均一に混合し、カプセルに充填することによりカプセルを得た。
【0110】
微滴丸剤の製造
実施例15
実施例1で調製した漢方薬組成物82.5gとPEG-6000 165gを準備した。
(1)事前混合工程:漢方薬組成物にプレミックスとするために水を加え、浸漬タンクで、40±10℃にて60時間超撹拌し、組成物中の水含量13.0wt%とし、以下に使用するために事前混合材料を得た;
(2)溶融工程:PEG-6000を最初に溶融タンクに入れ、90℃に加熱して予備溶融し、そこに事前混合材料を加え、得られた液体を低速均質化(3200rpm)により混合した;混合後、均質化速度を5000rpmに上げ、6分間溶融した;溶融工程の間、液体の温度を80±5℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(3)滴下工程:上述の溶融薬剤液をドリッパーに供給し、ドリッパーの振動周波数を137Hzに調整して、ドリッパーの温度を80℃に調整した;該液体を圧力下(1.8Bar)でドリッパーに供給し、該液体を振動方式により滴下した;前記滴下速度は、工程(1)の溶融速度に適合させた;次いで
(4)凝縮工程:滴剤(drop)を冷却ダクト中で-115±5℃の低温不活性ガスで
、冷却により該液体が個体の滴丸剤を形成するように冷却した;
(5)乾燥工程:得られた滴丸剤を流動乾燥した;滴丸剤を良い流動状態に到達するまで、温度を25℃に上昇して60分間乾燥し、45℃に上昇して30分間乾燥し、続いて55℃に上昇して30分間乾燥し、排出するために30℃以下に下げ、水分含量を3.0~7.0wt%の範囲に調整した中間体であるブランク丸剤(素丸)を得た;
(6)コーティング工程:コーティング粉末の量を、コーティング供給用量及び製剤に基いて算出した;ブランク丸剤(素丸)の4wt%を占めるオパドライ(Opadry)を用いて18wt%のコーティング溶液を調製し、45分間撹拌した。注入口の空気温度を、当初25℃に設定した;標準のブランク丸剤(素丸)を流動床に入れた後、注入口の空気温度を48℃に上昇させた;丸剤の温度が38℃に上昇してから、コーティングを開始した;コーティングの間、温度を35~45℃の範囲に維持し、コーティング後に30℃以下に下げた;丸剤を排出し、コーティング質量が3.3±0.7%、水分含量が3.0~7.0wt%の範囲にある中間体のコーティング丸剤を選別して得た;
(7)カプセルへ充填及び包装の工程:得られた粒子サイズ1.0mm~2.0mmの微滴丸剤を、カプセルに充填した;カプセル100%を、カプセル重量選別機にて、オンラインにて重量選別し、包装して、最終製品を得た。
ここで、滴下工程の間、滴下丸剤の形成をストロボ照明を使用して視覚的に観察し、リアルタイムモニタリング及び調整を実施した。滴丸剤の均一性及び丸みを改善するために、スクリーニング及び調整(レギュレート)工程が追加される。
【0111】
実施例16
漢方薬組成物とPEG-6000の質量比率を1:5とした以外は、CSMDPを実施例15の方法によりCSMDPを調製した。
【0112】
実施例17
漢方薬組成物とPEG-6000の質量比率を5:1とした以外は、CSMDPを実施例15の方法によりCSMDPを調製した。
【0113】
実施例18
以下の材料を用いた:実施例1で調製した漢方薬組成物82.5g、及びシクロデキストリン及びアガーの混合物(1:1)165g。
CSMDPを以下の方法に従い調製した:
(1)溶融工程:シクロデキストリンとアガーの混合物(1:1)をマトリックスとして用い、漢方薬組成物とともにホモジナイザーに入れ、1000rpmで1分間均質化して、材料を得た;該材料を3000rpmで1分間溶融した;溶融工程の間、温度を60℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、ドリッパー温度70℃、振動周波数50Hz、滴下圧0.5Bar下で、振動滴下の手段にて滴下した;前記滴下速度は、工程(1)の溶融速度に適合させた;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスを用いて直ちに凝固するよう冷却し、粒子サイズ0.2mmのブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;前記冷却ガスの温度は0℃であった。
【0114】
実施例19
以下の材料を用いた:実施例1で調製した漢方薬組成物82.5g、及びアラビアガム及びラクトースの混合物(1:1)165g。
CSMDPを以下の方法に従い調製した:
(1)溶融工程:アラビアガムとラクトースの混合物(1:1)をマトリックスとして用い、漢方薬組成物とともにホモジナイザーに入れ、5000rpmで200分間均質化して、材料を得た;該材料を、10000rpmにて100分間溶融した;溶融工程の間、温度を100℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、ドリッパー温度300℃、振動周波数300Hz、滴下圧4.0Bar下で、振動滴下の手段にて滴下した;前記滴下速度は、工程(1)の溶融速度に適合させた;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスで直ちに凝固するように冷却し、粒子サイズ4.0mmのブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;前記冷却ガスの温度は-150℃であった。
【0115】
実施例20
以下の材料を用いた:実施例1で調製した漢方薬組成物82.5g、及びラクチトール165g。
CSMDPを以下の方法に従い調製した:
(1)溶融工程:ラクチトールをマトリックスとして用い、漢方薬組成物とともにホモジナイザーに入れ、2500rpmで100分間均質化して、材料を得た;該材料を、6000rpmで50分間溶融した;溶融工程の間、温度を80℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、ドリッパー温度150℃、振動周波数150Hz、滴下圧2Barにて、振動滴下の手段にて滴下した;前記滴下速度を、工程(1)の溶融速度に適合させた;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスで直ちに凝固するように冷却し、粒子サイズ2mmのブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;前記冷却ガスの温度は-100℃であった;
(4)乾燥工程:得られた粒子サイズ2mmの滴丸剤を50℃で2時間乾燥し、乾燥したブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;
(5)コーティング工程:得られた乾燥ブランク滴丸剤(滴丸素丸)を、流動床にて40℃でコートし、コートされた滴丸剤を得た;コーティング材料とブランク丸剤(素丸)の質量比率は1:25であった;前記コーティング溶液の濃度を10wt%とし、前記コーティング材料はオパドライ(Opadry)とした。
【0116】
実施例21
以下の材料を用いた:漢方薬組成物82.5g、及びPEG-8000 165g。
CSMDPを以下の方法に従い調製した:前記漢方薬組成物粉末を水に加え、60℃で10分間以上撹拌し、事前混合漢方薬組成物を得た。
(1)溶融工程:PEG-8000及び前記事前混合漢方薬組成物をホモジナイザーに入れ、2500rpmで100分間混合し、材料を得た;該材料を6000rpmで50分間、均質溶融させた;溶融工程の間、温度を80℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、ドリッパー温度150℃、振動周波数150Hz、滴下圧2Bar下にて、振動滴下の手段にて滴下した;前記滴下速度を、工程(1)の溶融速度に適合させた;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスで直ちに凝固するように冷却し、粒子サイズ2mmのブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;前記冷却ガスの温度は-100℃であった。
(4)乾燥工程:得られた滴丸剤を50℃で2時間流動乾燥し、乾燥したブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;
(5)コーティング工程:得られた乾燥ブランク滴丸剤(滴丸素丸)を40℃で流動床にてコーティングし、コートされた滴丸剤を得た;コーティング材料とブランク丸剤(素丸)の質量比率は1:25であった;前記コーティング溶液の濃度は10wt%とし、前記コーティング材料はシェラック(shellac)とした。
【0117】
実施例22:
以下の材料を用いた:漢方薬組成物92g、及びPEG-1000 270g。
CSMDPを以下の方法に従い調製した:前記漢方薬組成物粉末を水に加え、30℃で10分間以上撹拌し、事前混合漢方薬組成物を得た。
(1)溶融工程:PEG-1000及び前記事前混合漢方薬組成物をホモジナイザーに入
れ、2500rpmで100分間混合し、材料を得た;該材料を6000rpmで20分間、均質溶融させた;溶融工程の間、温度を100℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、ドリッパー温度70℃、振動周波数100Hz、滴下圧1.0Bar下にて;加速度1G及び滴下速度10Kg/h、振動滴下の手段にて滴下した;前記滴下速度を、工程(1)の溶融速度に適合させた;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスで直ちに凝固するように冷却し、粒子サイズ2mmのブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;前記冷却ガスの温度は-80℃であった。
(4)乾燥工程:得られた滴丸剤を、流動-20℃、乾燥15℃で10分間、35℃で10分間、そして55℃で30分間の勾配上昇温度乾燥方法により乾燥し、乾燥したブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;
(5)コーティング工程:得られた乾燥ブランク滴丸剤(滴丸素丸)を40℃で流動床にてコーティングし、コートされた滴丸剤を得た;コーティング材料とブランク丸剤(素丸)の質量比率は1:25であった;前記コーティング溶液の濃度は10wt%とし、前記コーティング材料はCAPとした。
【0118】
実施例23:
以下の材料を用いた:漢方薬組成物105g、及びPEG-4000とPEG-6000の混合物(1:1)35g。
CSMDPを以下の方法に従い調製した:前記漢方薬組成物粉末を水に添加し、80℃で10分間以上撹拌して、事前混合漢方薬組成物を得た。
(1)溶融工程:PEG-4000とPEG-6000(1:1)の混合物及び前記事前混合漢方薬組成物をホモジナイザーに入れ、2500rpmで100分間混合し、材料を得た;該材料を6000rpmで80分間、均質溶融させた;溶融工程の間、温度を80℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:溶融薬剤液をドリッパーに供給し、ドリッパー温度100℃、振動周波数200Hz、滴下圧3.0Bar下にて;加速度20G及び滴下速度40Kg/h、振動滴下の手段にて滴下した;前記滴下速度を、工程(1)の溶融速度に適合させた;そして
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ガスで直ちに凝固するように冷却し、粒子サイズ2mmのブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;前記冷却ガスの温度は-120℃であった。
(4)乾燥工程:得られた滴丸剤を、流動30℃、乾燥35℃で120分間、55℃で60分間、そして100℃で60分間の勾配上昇温度乾燥方法により乾燥し、乾燥したブランク滴丸剤(滴丸素丸)を得た;
(5)コーティング工程:得られた乾燥ブランク滴丸剤(滴丸素丸)を35℃で流動床にてコーティングし、コートされた滴丸剤を得た;コーティング材料とブランク丸剤(素丸)の質量比率は1:25であった;前記コーティング溶液の濃度は10wt%とし、前記コーティング材料はアクリル酸メチルとした。
【0119】
実施例24
以下の材料を用いた:実施例1で調製した漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び滴丸剤マトリクスとしてキシリトール600g。
(1)溶融工程:キシリトールを最初に溶融タンクに入れ、90℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、混合して、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されたドリッパーに供給した;ドリッパー温度40℃、振動周波数50Hzにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は-20℃であった;
(4)乾燥及びコーティング工程:得られた固体滴丸剤を流動乾燥し、薬剤負荷コーティングし、粒子サイズ0.2mm~1.0mmのコートされた微滴丸剤を得た;前記乾燥温
度は75℃であった;
(5)包装工程:粒子サイズ0.2mm~1.0mmの前記微滴丸剤をカプセルに充填した:カプセル100%をカプセル重量選別機にて、オンラインにて重量選別し、包装して、最終製品を得た。
ここで、滴下工程の間、滴丸剤の形成をストロボ照明を使用して視覚的に観察し、リアルタイムモニタリング及び調整を実施した。滴丸剤の均一性及び丸みを改善するために、スクリーニング及び調整(レギュレート)工程が追加される。
【0120】
実施例25
以下の材料を用いた:実施例1で得た漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び滴丸剤マトリクスとしてPEG-6000とPEG-4000の混合物3000g。
(1)溶融工程:PEG-6000及びPEG-4000の混合物を最初に溶融タンクに入れ、120℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、混合して、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されたドリッパーに供給した;ドリッパー温度80℃、振動周波数20Hzにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は-80℃であった;
(4)乾燥及びコーティング工程:得られた固体滴丸剤を流動乾燥し、薬剤負荷コーティングし、粒子サイズ0.5mm~1.0mmのコートされた微滴丸剤を得た;前記乾燥温度は150℃であった;
(5)包装工程:前記微滴丸剤をカプセルに充填した:カプセル100%をカプセル重量選別機にて、オンラインにて重量選別し、包装して、最終製品を得た。
ここで、滴下工程の間、滴丸剤の形成をストロボ照明を使用して視覚的に観察し、リアルタイムモニタリング及び調整を実施した。滴丸剤の均一性及び丸みを改善するために、スクリーニング及び調整(レギュレート)工程が追加される。
【0121】
実施例26
以下の材料を用いた:実施例1で得た漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び滴丸剤マトリクスとしてPEG-1000 121g。
(1)溶融工程:PEG-1000を最初に溶融タンクに入れ、40℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、混合して、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されドリッパーに供給した;ドリッパー温度40~60℃、振動周波数200Hzにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は-100℃であった;
(4)乾燥及びコーティング工程:得られた固体滴丸剤を、流動20℃、乾燥25℃で60分間、45℃で30分間、そして55℃で30分間、流動乾燥し、薬剤負荷コーティングし、粒子サイズ3.0mm~4.0mmのコートされた微滴丸剤を得た;
(5)包装工程:前記微滴丸剤をカプセルに充填した:カプセル100%をカプセル重量選別機にて、オンラインにて重量選別し、包装して、最終製品を得た。
ここで、滴下工程の間、滴丸剤の形成をストロボ照明を使用して視覚的に観察し、リアルタイムモニタリング及び調整を実施した。滴丸剤の均一性及び丸みを改善するために、スクリーニング及び調整(レギュレート)工程が追加される。
【0122】
実施例27
以下の材料を用いた:実施例1で得た漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び滴丸剤マトリクスとしてPEG-6000とPEG-4000の混合物 3000g。
(1)溶融工程:PEG-6000とPEG-4000の混合物を最初に溶融タンクに入れ、120℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、ホモジナイザーに注入して、1000rpmで1分間混合し、3000rpmで1分間溶融し、溶融工程の間、温度を60℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されたドリッパーに供給した;ドリッパー温度70℃、振動周波数50Hz、滴下圧0.5Barにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は0℃であった;
(4)乾燥及びコーティング工程:得られた固体滴丸剤を、流動乾燥し、薬剤負荷コーティングし、粒子サイズ0.2mmのコートされた微滴丸剤を得た;前記乾燥温度は150℃であった;そして
(5)包装工程:前記微滴丸剤をカプセルに充填した:カプセル100%をカプセル重量選別機にて、オンラインにて重量選別し、包装して、最終製品を得た。
【0123】
実施例28
以下の材料を用いた:実施例1で得た漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び滴丸剤マトリクスとしてPEG-6000 1800g。
(1)溶融工程:PEG-6000を最初に溶融タンクに入れ、120℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、ホモジナイザーに注入して、5000rpmで200分間混合し、10000rpmで1分間溶融し、溶融工程の間、温度を100℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されたドリッパーに供給した;ドリッパー温度300℃、振動周波数300Hz、滴下圧4.0Barにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は-150℃であった;
(4)乾燥及びコーティング工程:得られた固体滴丸剤を、流動乾燥し、薬剤負荷コーティングし、粒子サイズ4.0mmのコートされた微滴丸剤を得た;前記乾燥温度は150℃であった;そして
(5)包装工程:前記微滴丸剤をカプセルに充填した:カプセル100%をカプセル重量選別機にて、オンラインにて重量選別し、包装して、最終製品を得た。
【0124】
実施例29
以 下の材料を用いた:実施例1で得た漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び滴丸剤マトリクスとしてPEG-4000 2400g。
(1)溶融工程:PEG-4000を最初に溶融タンクに入れ、120℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、ホモジナイザーに注入して、3000rpmで10分間混合し、4000rpmで5分間溶融し、溶融工程の間、温度を70~90℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されたドリッパーに供給した;ドリッパー温度70℃、振動周波数90Hz、滴下圧1.0Barにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は-140℃であった;
(4)乾燥工程:得られた固体滴丸剤を、流動乾燥し、粒子サイズ1.0mmの微滴丸剤(微滴丸素丸)を得た;前記乾燥温度は150℃であった。
【0125】
実施例30
以下の材料を用いた:実施例1で得た漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び
滴丸剤マトリクスとしてPEG-4000 2400g。
(1)溶融工程:PEG-4000を最初に溶融タンクに入れ、120℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、ホモジナイザーに注入して、4000rpmで60分間混合し、9000rpmで30分間溶融し、溶融工程の間、温度を90℃に維持し、溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されたドリッパーに供給した;ドリッパー温度100℃、振動周波数200Hz、滴下圧3.0Barにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は-140℃であった;
(4)乾燥工程:得られた固体滴丸剤を、流動乾燥し、粒子サイズ2.0mmの微滴丸剤(微滴丸素丸)を得た;前記乾燥温度は150℃であった。
【0126】
実施例31
以下の材料を用いた:実施例1で得た漢方薬組成物600g、ボルネオール5g、及び滴丸剤マトリクスとしてPEG-6000 2000g。
(1)溶融工程:PEG-6000を最初に溶融タンクに入れ、90℃に加熱し予備溶融し、そこに前記漢方医薬組成物を入れ、混合して溶融薬剤液を得た;
(2)滴下工程:圧力下で、溶融薬剤液を、スチームジャケットにより加熱保存されたドリッパーに供給した;ドリッパー温度80℃、振動周波数50Hzにて、前記溶融薬剤液をドリッパーに流し込み、下部から滴下した;
(3)凝縮工程:薬物滴剤を冷却ダクト中で低温不活性ガスで凝固するように冷却し、固体の滴丸剤を得た;前記冷却ガスの温度は-20℃であった;
(4)乾燥及びコーティング工程:得られた固体滴丸剤を、流動乾燥し、薬剤負荷コーティングし、粒子サイズ1.0~2.0mmのコートされた微滴丸剤を得た;前記乾燥温度は75℃であった;そして
(5)包装工程:前記微滴丸剤をカプセルに充填した:カプセル100%をカプセル重量選別機にて、オンラインにて重量選別し、包装して、最終製品を得た。
ここで、滴下工程の間、滴丸剤の形成をストロボ照明を使用して視覚的に観察し、リアルタイムモニタリング及び調整を実施した。滴丸剤の均一性及び丸みを改善するために、スクリーニング及び調整(レギュレート)工程が追加される。
【0127】
本発明者らによる研究においてみられるように、既存のCSDPと比較して、実施例15~31に開示された方法により調製したCSMDPは、優れた有効性、高い生体利用効率、投与量の減少、及び患者に対する優れたコンプライアンスという利点を有する。
【0128】
サルビアノール酸Tの調製
実施例32
丹参を薬草煎じ(煮出し)ポットに入れ、そこに丹参量に基いて6倍量の0.3%(w/v)重炭酸ナトリウム水溶液を加え、2.5時間煮出し、ろ過してろ液を得た。該ろ液を濃縮して、相対密度1.22(80℃)の水性エキスを得た。
該水性エキスを最終エタノール濃度が60%(v/v)(25℃)となるように95%(v/v)エタノールに加え、24時間静置して上澄みを得た。該上澄みを減圧下で濃縮して、相対密度1.32(60℃)のエタノール沈殿エキスを得た。
該エタノール沈殿エキスを水に溶解し、AB-8マクロポーラス樹脂カラムを透過させ、溶離液がほとんど無色になるまで塩酸水溶液(pH=3.0)で溶離させた。その後、カラム体積に基づき5倍量の95%(v/v)エタノールカラムの溶離に用い、溶離液を濃縮して無臭のアルコールのエキスを得た。
前記工程で得られたエキスを、移動相(アセトニトリル:水:ギ酸=15:85:1、体積あたり)に溶解し、NOVASEP LC80-600 ダイナミック・アキシャル
・ハイプレッシャー・プレパラティブ LCで精製した。C18逆相クロマトグラフカラム(10μm、YMC社)を固定相として使用し、アセトニトリル:水:ギ酸=15:85:1(体積あたり)移動相で定組成溶離を実施した。フローレートを300mL/分、検出波長を280nmとした。溶離工程をHPLCを用いてモニタ(観察)し、21.2~24.0分の画分を収集し、ロータリーエバポレーターで乾燥して濃縮し、サルビアノール酸Tを得た。
上記得られたサルビアノール酸Tを、移動相(アセトニトリル:水:ギ酸=17:83:1 体積当たり)に溶解し、ウォーターズ PrepS400プレパラティブLCを用いて、キラル異性体分離を実施した。クロマトグラフカラムをCHRALCEL(登録商標)OD-RH逆相キラルカラム(250×20mm、5μm)、アセトニトリル:水:ギ酸=17:83:1体積当たり)の移動相を、定組成溶離の実施に使用した。フローレート25mL/分、検出波長280nmとした。溶離工程をHPLCを用いてモニタ(観察)し、保持時間19.5~21.1分の(S)-サルビアノール酸Tの画分、並びに保持時間23.9~25.3分の(R)サルビアノール酸Tの画分を収集した。溶離液をロータリーエバポレーターで30℃にて濃縮し、凍結乾燥して、(S)-及び(R)-サルビアノール酸Tの純製品を得た。
高分解能質量分析を用いて、(S)-サルビアノール酸Tの擬分子イオンピークはm/z537.1033、(R)-サルビアノール酸Tはm/z537.1032であった。
【0129】
(S)サルビアノール酸T及び(R)サルビアノール酸TのNMR帰属データを以下の表に示す。
【表6】
【0130】
【0131】
本発明の利点をより良い証明をするために、以下の試験を示す:
試験例1
1. 材料
1.1 動物:
証明書No.:SCXK(JING)2007-0001付きの体重200gのSD雄ラットを、ベイジン・ウェイトンリホワ・エクスペリメンタル・アニマル社(Beijing Weitonglihua Experimental Animal Co.,Ltd)より購入した。
証明書No.:SCXK(SU)2007-2008付きの体重1.7~2.0kgの雄のラビットを、キングロンシャン・アニマル・レプロダクション・プラント(Qinglongshan Animal Reproduction Plant)、南京江寧区、より購入した。
【0132】
1.2 薬物及び試薬
実施例1の方法で調製した丹参及び田七人参エキスを、エキスA(ボルネオール含有)及びエキスB(ボルネオール非含有)の2種に分けた。抱水クロラール及びトリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)を用いた。
腸溶コーティングのアスピリンタブレットを、バイジンギュ・ファーマシューティカル
社(Baijingyu Pharmaceutical Inc)、南京より購入した。バッチナンバーは111001であった。
アラキドン酸(AA)は、10mg/ボトル仕様にてシグマ社(Sigma Inc)より供給され、バッチナンバーは1001126252であった。
アデノシン二リン酸モノナトリウム(ADP)は、シャンハイ・ボアオ・バイオテック社(Shanghai Boao Biotech Inc)(輸入品)より供給された。バッチナンバーは990527であった。
コラーゲンは、10mg/ボトル仕様にてシグマ社(Sigma Inc)より供給され、バッチナンバーは1001162038であった。
【0133】
2. プロトコル
2.1 ラットにおける急性心筋梗塞試験
32匹のラットを、体重に従い、ランダムにグループに分けた:ブランク群、モデル群、A群(ボルネオール含有)、B群(ボルネオール非含有);各グループあたり8匹のラットとした。
グループ分け後、全ての動物に対して1週間、表8に示すように胃内に投与した。第8日目に、10%抱水クロラール(3ml/kg)の腹腔内注入にて動物を麻酔し、小皿の上に仰臥位で固定した。右前肢及び両後肢の皮膚下に、ラットのEGG(electrogastrogram:胃筋電図)を記録するMedLab-U/8c バイオシグナル収集処理システムを接続したコンダクタを挿入した。左胸前壁の毛を刈り取った。口腔気管カニューレを実施し、呼吸頻度80呼吸/分、一回換気量3ml/100g、及びI:E比(吸気時間呼吸時間比)=1:2(吸呼比1:1)にて、アニマルレスピレーターを接続した。左前胸側方の胸を切開して第三肋骨を切断し、心膜を注意深く鉗子で持ち上げ、引き裂いた。左心耳の下縁と肺動脈円錐の間の、LAD(左冠動脈前下行枝)を伴う、左冠状静脈トランクパス(trunk pass)を、ほとんどの動物において観察した。医療用縫合糸(4-0)を用いてLAD、並びに、左冠状静脈トランクのvinicityの心室間溝の内部の左心耳の下縁からの少量の心筋組織1~2mmを結紮した。胸を層ごとに閉胸した。ラットの呼吸が回復するまで、気管チューブをデチューブ(detubate)した。
【0134】
試験インデックス:結紮の4時間後、動物を安楽死させた。心臓を取り出し、水を吸収させるために、0.9%塩化ナトリウム注を用いて洗浄した。冠状溝に沿って、心房を切断し、心室の湿重量を測定した。心臓を、心室溝に沿って頂部から基部まで平行に心筋部分を1mm厚さにスライスした。得られた心筋をTTC着色剤中に置き、37℃の温水浴で15分間染色した。正常な心筋は赤色に、梗塞領域は白色に、染色された。梗塞領域の各部分の湿重量を測定し、心筋梗塞発生率(MIR)を算出した。
【0135】
【0136】
2.2 ラビットにおける血小板凝集率
ラビットを、4グループにランダムに分けた:モデル群は蒸留水を与えられ、アスピリン群(60mg/mL)、42及び84mg/kgの低用量及び高用量のエキスA群(それぞれ、臨床当量用量の1~2倍)、は1日1回、連続7日間、胃内に注入した。注入した薬物量は、体重あたり1ml/kgであった。第7日目の胃内注入の60分後、動物を
局所的に麻酔し、頸動脈を介して瀉血し、クエン酸ナトリウム(3.8%)1:9で血液の凝固を抑制し、1000r/分で10分間、遠心分離した。多血小板血漿(PRP)を取り出し、残りを3000r/分にて遠心分離し、乏血小板血漿(PPP)を取り出した。ADP(最終濃度3μg/mL)、AA(最終濃度80μg/mL)及びコラーゲン(5μg/mL)により、凝集を誘発させた。STEELIEX血小板凝集及び凝固因子分析装置を、最大血小板凝集率の測定と、下記式に従い抑制率を算出するのに用いた。
【0137】
【0138】
3. 結果
3.1 ラットの心筋梗塞の試験結果
表9に結果を示す。事前投与7日間後、モデル群(0.1209±0.0199g)と比較して、A群及びB群の心筋梗塞の質量(湿重量)(0.0685±0.0182g、0.0923±0.0191g)は明らかに減少し、統計的有意性を有していた。群間の比較によれば、A群の心筋梗塞率は、B群よりも遥かに低く、2つの群間で有意差を有していた(p<0.05)。
【0139】
【0140】
3.2 ラビットの血小板凝集効果
表10に示すように、エキスAは、ブランク群と比較して、ラビットにおけるADP-誘発血小板凝集に関して抑制効果を有していることが証明され、有意差を有していた。ADP-誘発血小板凝集の抑制において、アスピリン群と比較して、A群に有意差は見られなかった。
【0141】
【0142】
表11に示すように、エキスAは、ブランク群と比較して、ラビットにおけるAA-誘発血小板凝集に関して抑制効果を有していることが証明され、有意差を有していた。AA-誘発血小板凝集の抑制において、アスピリン群と比較して、A群に有意差は見られなかった。
【0143】
【0144】
表12に示すように、エキスAは、ブランク群と比較して、ラビットにおけるコラーゲン誘発血小板凝集に関して抑制効果を有していることが証明され、有意差を有していた。コラーゲン誘発血小板凝集の抑制において、アスピリン群と比較して、A群に有意差は見られなかった。
【0145】
【0146】
4.議論
結果において示したように、7日間連続の丹参及び田七人参エキスの投与は、結紮ラットの抗心筋梗塞の効果を示した。
A群において、ボルネオール含有の丹参及び田七人参エキスが7日間連続で投与された。明らかに、B群(ボルネオール非含有)と比べて心筋梗塞率は低くなり、ラビットにおけるADP、AA又はコラーゲン誘発血小板凝集に対して顕著な抑制効果を有していた。
予備的結論は、ボルネオールの添加が、抗心筋梗塞の効果を強めることを示した。
【0147】
試験例2:ラットにおける2種のCSDP間の急性心筋梗塞の効果に関する比較研究
1.動物:
証明書No.:SCXK(JING)2007-0001付きの体重340~360gのSD雄ラットを、ベイジン・ウェイトンリホワ・エクスペリメンタル・アニマル社(Beijing Weitonglihua Experimental Animal Co.,Ltd)より購入した。
【0148】
2.薬物、試薬及び装置
CSMDPをCSMDPに関する調製例15の方法により調製した。
比較薬物として使用したCSDPは、チアジン・テースリー・ファーマシューティカル社(Tianjin Tasly Pharmaceutical Co.,Ltd)が製造した、中国製の市販品である。
麻酔は抱水クロラール及びトリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)により実施した。
装置:MEDLab-U/8cバイオシグナル収集処理システム、南京メイイ社(Nanjin Meiyi Inc)より購入。
【0149】
3.プロトコル
グループ分け:ラットを、体重従い、ランダムにグループに分けた:S群(シャム(偽)手術群)、M群(モデル群)、Y群(陽性群、メトプロロール酒石酸塩、ロットナンバー1201039)、F群(本発明のCSMDP群)、及びG群(CSP群、中国の市販品、バッチナンバー:2011L16;各グループ当たり10匹のラットとした。
【0150】
モデリング及び注入方法:
グループ分け後、動物に対して、7日間、表13に示すように胃内に投与した。第8日めに、10%抱水クロラール(3ml/kg)の腹腔内注入にてラットを麻酔し、小さな木皿の上に仰臥位で固定した。右前肢及び両後肢の皮膚下に、ラットのEGGを記録するMEdLab-U/8cバイオシグナル収集処理システムを接続したピンを挿入した。左胸前壁の毛を刈り取った。口腔気管カニューレを実施し、呼吸頻度80呼吸/分、一回換気量3ml/100g、及びI:E比(吸気時間呼吸時間比)=1:2(吸呼比1:1)にて、アニマルレスピレーターを接続した。左前胸側方の胸を切開して第三肋骨を切断し、心膜を注意深く鉗子で持ち上げ、引き裂いた。左心耳の下縁と肺動脈円錐の間の、LAD(左冠動脈前下行枝)を伴う、左冠状静脈トランクパス(trunk pass)を、ほとんどの動物において観察した。医療用縫合糸(4-0)を用いてLAD、並びに、左冠状静脈トランク近くの心室間溝の内部の左心耳の下縁からの少量の心筋組織1~2mmを結紮した。EGGにおいて0.1mV上昇したJポイントと薄い左室前壁(LVAW)を有するラットを、成功モデルとした。胸を層ごとに閉胸した。ラットの呼吸が回復するまで、気管チューブをデチューブ(detubate)した。EGGを4時間連続して記録した。ラットを麻酔し、心臓を取り出し、スライスして染色し、心筋梗塞発生率(MIR)を算出した。血清は後で使用するものとした。
MIR(%)=心筋梗塞領域の湿重量/全心臓の湿重量×100%
【0151】
【0152】
4.結果
4.1 MIRに関する効果
得られた結果を表14に示す。表14に示すように、事前投与7日間後、M群に関するMIRは、S群のものと比較して顕著に高く、成功モデルであることが示唆された。G群
及びF群におけるMIRは、それぞれ3.38%及び3.32%であり、M群(5.07%)と比べ顕著に低く、有意差を有していた(p<0.01)。両試料は、急性心筋梗塞に対して何らかの効果を有していることが示された。一方、これらと比較して、G群とF群には顕著な統計的差異は見られなかった(p>0.05)。
【0153】
【0154】
4.2 心筋梗塞を有するラットの心拍数に関する効果
表15に示すように、観測時間及び結紮0~1時間後内の各群の心拍数の降順は、F群、G群、M群、Y群及びS群であった。1時間後、各軍の心拍数は減少した。観測時間内で、Y群及びS群の心拍数の変化は比較的安定していた。グループ間でラットの心拍数に関して顕著な差は見られなかった。
【0155】
【0156】
5.結論
この試験の用量で、各群の薬物は、冠動脈において結紮したラットにおいて、心筋梗塞に対して何らかの効果を有していることが証明された;特に、本発明のCSMDP(84mg/kg)は、3.38±0.49%のMIRを有し、市販のCSDP(115mg/kg)のMIR(3.32±0.59%)と同様の効果を有していた。明らかに、84mg/kgの用量でのCSMDPが、市販の115mg/kgのCSDPと同じ効果に達した。CSMDPは市販のCSDPに比べ優れた有効性を有し、高い生体利用効率、投与量の減少、及び患者に対する優れたコンプライアンスという利点を有していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0157】
【文献】新薬学、第14版、264頁
【文献】チャイナジャナールオブモダンメディシン、1997、7(4)42
【文献】シャンハイ メディシン ジャーナル、1996、25(5)315
【文献】ナンファンジャーナルオブナーシング、1996、3(5):7~9