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特許7090697電磁波吸収浸漬コロイド溶液と電磁波吸収セルラー及びその作製方法
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  • 特許-電磁波吸収浸漬コロイド溶液と電磁波吸収セルラー及びその作製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】電磁波吸収浸漬コロイド溶液と電磁波吸収セルラー及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20220617BHJP
   C08L 83/12 20060101ALI20220617BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20220617BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20220617BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20220617BHJP
   B05D 1/18 20060101ALI20220617BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220617BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20220617BHJP
   C08J 3/09 20060101ALI20220617BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08L83/12
C08K3/04
B05D7/00 K
B05D5/12 Z
B05D1/18
B05D7/24 301H
B05D7/24 301U
B05D7/24 302U
B05D7/24 302Y
B05D7/24 303B
B05D3/12 Z
C08J3/09 CFC
H05K9/00 X
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020515803
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 CN2018083678
(87)【国際公開番号】W WO2018223779
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】201710420987.6
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519420230
【氏名又は名称】ルオヤン インスティテュート オブ カッティング-エッジ テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】LUOYANG INSTITUTE OF CUTTING-EDGE TECHNOLOGY
(73)【特許権者】
【識別番号】519420241
【氏名又は名称】ルオヤン カッティング エッジ イクイップメント テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LUOYANG CUTTING EDGE EQUIPMENT TECHNOLOGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ルオペン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ルー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ユンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ヤン
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106498757(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106046982(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104449239(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105348967(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105751590(CN,A)
【文献】特開昭58-129072(JP,A)
【文献】特表2012-511067(JP,A)
【文献】特開2008-094962(JP,A)
【文献】特開2008-111095(JP,A)
【文献】特開2008-231154(JP,A)
【文献】国際公開第2012/018091(WO,A1)
【文献】特開平11-354974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波吸収浸漬コロイド溶液であり、下記を含む。
二液型エポキシ樹脂;
溶剤;
ポリエーテルシロキサン;
カーボンパウダー;
その中、上記二液型エポキシ樹脂と上記溶剤の質量比は1:3~1:5であり、上記二液型エポキシ樹脂と上記カーボンパウダーの質量比は3:1~6:1であり、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては上記ポリエーテルシロキサンの質量分率は0.05%~0.2%であり、
上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液の表面張力は、26.2mN/m、27.6mN/m、29.7mN/m、30mN/m、30.8mN/m、34.7mN/mのうちの一つであり、
上記溶剤は、メチルアルコール、酢酸エチル、アセトン、ブタノンやプロパノールメチルエーテルのいずれか一種類か複数種類の組み合わせである。
【請求項2】
請求項1記載の電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂と上記溶剤の質量比は1:4であり、上記二液型エポキシ樹脂と上記カーボンパウダーの質量比は5:1であり、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては上記ポリエーテルシロキサンの質量分率は0.1%である。
【請求項3】
請求項1記載の電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂はエポキシ樹脂と硬化剤を含む。その中、上記エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、或いはそれらの混合物を含む。
上記硬化剤はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンやテトラエチレンペンタミンのいずれか一種類か複数種類の組み合わせを含む。
【請求項4】
請求項3記載の電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂には上記エポキシ樹脂と上記硬化剤の質量比は100: 5~100:20である。
【請求項5】
請求項4記載の電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂には上記エポキシ樹脂と上記硬化剤の質量比は10: 1である。
【請求項6】
請求項1記載の電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記ポリエーテルシロキサンはポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008h、ポリエーテルシロキサン湿潤剤A-004hやポリエーテルシロキサン湿潤剤W-23hの中のいずれか一種類か複数種類の組み合わせである。
【請求項7】
請求項1-のいずれかの記載を応用する電磁波吸収浸漬コロイド溶液の作製方法は、下記を含む。
上記二液型エポキシ樹脂を上記溶剤で溶解してから、上記ポリエーテルシロキサンを入れ湿潤し、均一に混合してから、上記カーボンパウダーを入れ、均一に混合してから、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を得る。
【請求項8】
請求項記載の作製方法は、下記を含む。
上記二液型エポキシ樹脂を上記溶剤で溶解してから、上記ポリエーテルシロキサン湿潤剤を入れ湿潤し、高速に8~12分間攪拌し、均一に混合してから、二液型エポキシ樹脂混合溶液を得る。並びに
上記二液型エポキシ樹脂混合溶液に上記カーボンパウダーを入れ、20~40分間攪拌し、1.5~2.5時間ボールミリングし、均一に混合してから、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を得る。
【請求項9】
電磁波吸収セルラーの作製方法においては、下記を含む。
請求項1~のいずれかに記載される電磁波吸収浸漬コロイド溶液にセルラーを浸漬する。
上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を浸漬した上記セルラーを取り出し、硬化し、電磁波吸収セルラーを得る。
【請求項10】
請求項記載の作製方法においては、上記セルラーを上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液に4~6分間浸漬してから取り出し、上記セルラーの穴の壁に付着される上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を吹き飛ばし、80~120℃の温度で1~2時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【請求項11】
請求項10のいずれかに記載される作製方法により作製される電磁波吸収セルラーである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合材料分野に関し、さらに具体的には電磁波吸収浸漬コロイド溶液と電磁波吸収セルラー及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代的技術の絶えぬ発展と伴い、ますます多くの電子製品は私たちの日常生活や仕事に入り、人々は電子製品に対する依存度もだんだん高くなっているが、それらの製品は私たちの生活に多くの便利さをもたらしている同時に、生み出された大量の電磁波放射も私たちの健康に大きな脅威を及ぼしている。例えば、空港では、飛行機は電磁波の干渉により離陸できずディレーしてしまい、病院では、携帯電話は各種の電子診療機器の正常作動を干渉することがある。従い、電磁波放射を防ぎ弱くする電磁波吸収材料の研究はとても重要な意義がある。
【0003】
また、軍事的には、飛行機、ミサイル、タンク、艦艇や倉庫など色々な武器装備や軍事施設に吸収材料を塗布することで、偵察電波を吸収し、反射信号を減衰することができることにより、敵方のレーダー防禦区を突破する。これはレーダー偵察に抵抗する有力な手段であり、兵器システムに対するミサイルやレーザー兵器の攻撃を減少することができる。従い、電磁波吸収材料に対する研究はわが国の軍事力を強化し、軍隊の戦闘力を向上するにも重大な価値がある。
【0004】
セルラー状構成の材料外形は自然界のセルラーと似ており、独特な六角形構成を備え、外界から加える力に均一的に耐えられるし、質量が軽くて、十分な強度を保証する同時に、最大限に材料の重さを減らしているので、セルラー状構成の材料は重要な基材である。
【0005】
セルラー状構成に電磁波吸収コロイド溶液を塗布するのは、電磁波吸収セルラーを作製する重要な手段の一つである。それは電磁波吸収材料に対する「厚さが薄い、質量が軽い、帯域幅が広い、吸収が強い」要求を満足できる。しかし、既存のセルラー浸漬プロセスは、電気ブロアーや圧縮気体でセルラーの穴の壁に付着されるコロイド溶液を吹き飛ばしているので、穴塞ぎの現象が起こりやすくて、穴あけセルラーの質量を厳重に影響している。
【発明の概要】
【0006】
関連技術の問題に対し、本発明は電磁波吸収セルラーの作製方法を研究し、穴を塞がず、変形せず、電磁波吸収性能の優れる電磁波吸収セルラーを提供している。
【0007】
本発明の第一の特徴によれば、本発明は電磁波吸収浸漬コロイド溶液を提供し、二液型エポキシ樹脂、溶剤、ポリエーテルシロキサン及びカーボンパウダーを含んでいる。その中、上記二液型エポキシ樹脂と上記溶剤の質量比は1:3~1:5、上記二液型エポキシ樹脂と上記カーボンパウダーの質量比は3:1~6:1であり、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液には上記ポリエーテルシロキサンの質量分率は0.05%~0.2%である。
【0008】
上述電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂と上記溶剤の質量比は1:4、上記二液型エポキシ樹脂と上記カーボンパウダーの質量比は5:1であり、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液には上記ポリエーテルシロキサンの質量分率は0.1%である。
【0009】
上述電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂はエポキシ樹脂と硬化剤を含む。その中、上記エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、或いはそれらの混合物を含む。上記硬化剤はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンやテトラエチレンペンタミンのいずれか一種類か複数種類の組み合わせを含む。
【0010】
上述電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂に上記エポキシ樹脂と上記硬化剤の質量比は100: 5~100:20である。
【0011】
上述電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては、上記二液型エポキシ樹脂に上記エポキシ樹脂と上記硬化剤の質量比は10: 1である。
【0012】
上述電磁波吸収浸漬コロイド溶液には、上記溶剤はメチルアルコール、アルコール、酢酸エチル、アセトン、ブタノン、プロパノールメチルエーテルのいずれか一種類か複数種類の組み合わせである。
【0013】
上述電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては,上記ポリエーテルシロキサンはポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008h、ポリエーテルシロキサン湿潤剤A-004hやポリエーテルシロキサン湿潤剤W-23hのいずれか一種類か複数種類の組み合わせである。
【0014】
本発明のもう一つの特徴によれば、さらに上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液の電磁波吸収浸漬コロイド溶液作製方法を提供している。上記作製方法は下記を含む。
【0015】
上記二液型エポキシ樹脂を上記溶剤で溶解してから、上記ポリエーテルシロキサンを入れ湿潤し、均一に混合してから、電磁波吸収剤とするカーボンパウダーを入れ、均一に混合してから、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を得る。
【0016】
上述作製方法では、上記作製方法は下記を含む。上記二液型エポキシ樹脂を溶剤で溶解してから、ポリエーテルシロキサン湿潤剤を入れ湿潤し、高速度に8~12分間攪拌し、均一に混合してから、二液型エポキシ樹脂混合溶液を得る。並びに上記二液型エポキシ樹脂混合溶液にカーボンパウダーを入れ、20~40分間攪拌し、1.5~2.5時間ボールミリングし、均一に混合してから、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を得る。
【0017】
本発明のもう一つの特徴によれば、さらに電磁波吸収セルラーの作製方法を提供している。上記作製方法は下記を含む。セルラーを上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液に浸漬し、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を浸漬した上記セルラーを取出し、硬化し、電磁波吸収セルラーを得る。
【0018】
上述作製方法では、上記セルラーを上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液に4~6分間浸漬し、取出し、上記セルラーの穴の壁に付着される上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を吹き飛ばしてから、80~120℃の温度で1~2時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【0019】
上記作製方法では、上記セルラーはアラミドセルラーである。
【0020】
本発明のもう一つの特徴によれば、さらに上記作製方法により作製される電磁波吸収セルラーを提供している。
【0021】
本発明は電磁波吸収浸漬コロイド溶液と電磁波吸収セルラー及びその作製方法を提供している。本発明は二液型エポキシ樹脂、溶剤、ポリエーテルシロキサン、電磁波吸収剤カーボンパウダーを使うことで、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、上記二液型エポキシ樹脂と上記溶剤の質量比は1:3~1:5、上記二液型エポキシ樹脂と上記カーボンパウダーの質量比は3:1~6:1であり、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液においては上記ポリエーテルシロキサンの質量分率は0.05%~0.2%である。同電磁波吸収コロイド溶液でセルラーを浸漬し、硬化し、電磁波吸収セルラーを得る。本発明はとても低い表面張力と気泡除去の特質を持つポリエーテルシロキサン湿潤剤を追加することで、電磁波吸収コロイド溶液の表面張力を下げ、セルラーの表面で迅速に均一にそれを塗布することにより、穴を塞げぬ、変形しない、優れた電磁波吸収性能を備える電磁波吸収セルラー材料を得る。その材料は幅広く航空・宇宙飛行、飛行機、レーダーカバーなどの分野に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例又は既存技術での技術案を分かりやすく説明するために、以下に実施例に使われる図面を簡単に説明する。下記図面は本発明の一部の実施例のみであり、本分野の一般技術者にとっては、創造的労働をしない前提でこれらの図面によりほかの図面を得られることが明らかである。
図1図1は本発明の実施例により電磁波吸収浸漬コロイド溶液を作製するフローチャートである。
図2図2は本発明の実施例により電磁波吸収セルラーを作製するフローチャートである。
図3図3は本発明の優先的実施例により電磁波吸収セルラーを作製する全体フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施例の図面と結び合わせ、本発明の実施例の技術案に対し分かりやすく完全に説明する。説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例でないことが明らかである。本発明の実施例に基づき、本分野の一般技術者が得たすべてのほかの実施例は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0024】
本発明の提供している電磁波吸収浸漬コロイド溶液と電磁波吸収セルラーの作製方法は下記ステップを含む。
【0025】
電磁波吸収浸漬コロイド溶液の作製:
図1のステップS101の通りに、二液型エポキシ樹脂を溶剤で溶解してから、湿潤剤を入れ、均一に混合してから、混合物を得る。同ステップでは、二液型エポキシ樹脂と溶剤の質量比は1:3~1:5であり、1600 回転/分間~2000 回転/分間の攪拌速度で8~12分間攪拌し、優先的に1800 回転/分間の攪拌速度で10分間攪拌し,均一に混合してから上記混合物を得る。その中、溶剤はアルコール、酢酸エチル、アセトン、ブタノン、プロパノールメチルエーテルのいずれか一種類か複数種類の組合せである。湿潤剤はポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008、ポリエーテルシロキサン湿潤剤A-004やポリエーテルシロキサン湿潤剤W-23のいずれか一種類か複数種類の組合せであり、電磁波吸収浸漬コロイド溶液においてはポリエーテルシロキサンの質量分率は0.05%~0.2%である。その中、二液型エポキシ樹脂はエポキシ樹脂と硬化剤を含む。その中、エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、或いはそれらの混合物を含む。硬化剤はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンやテトラエチレンペンタミンのいずれか一種類か複数種類の組合せを含む。二液型エポキシ樹脂においては上記エポキシ樹脂と上記硬化剤の質量比は100: 5~100:20である。
上記潤滑剤としてのポリエーテルシロキサンである上記ポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008およびポリエーテルシロキサン湿潤剤A-004は、カナダ国トロントのセルテック・コーポレーション(Seltech Corporation:website=https://www.siltech.com/products/silicone-polyethers-silsurf/)により製造され、「Silsurf(シルサーフ)」という商品名で販売されており、上記ポリエーテルシロキサン湿潤剤W-23は、エレメンティス・スペシャルティーズ社(Elementis Specialties:website=https://www.elementis.com/)により製造・販売されているものである。
【0026】
図1のステップS102の通りに、混合物に電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、均一に混合してからボールミリングをし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。同ステップでは、二液型エポキシ樹脂とカーボンパウダーの質量比は3:1~6:1である。20~40分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ1.5~2.5時間ボールミリングをし,優先的には30分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ2時間ボールミリングをし、電磁波吸収浸漬コロイド溶液を得る。
【0027】
電磁波吸収セルラーの作製:
図2のステップS103の通りに、ステップS102で作製した電磁波吸収浸漬コロイド溶液にセルラーを浸漬する。同ステップでは、上記電磁波吸収コロイド溶液に上記セルラーを4~6分間浸漬し、優先的には5分間浸漬する。
【0028】
図2のステップS104の通りに、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を浸漬した上記セルラーを取出し、硬化し,電磁波吸収セルラーを得る。同ステップでは、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を浸漬した上記セルラーを取出し、上記セルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、80~120℃の温度のオーブンで1~2時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。その中、セルラーはアラミドセルラーである。
【0029】
図3は本発明の優先的実施例により電磁波吸収セルラーを作製する全体フローチャートである。具体的には、ステップS105で、二液型エポキシ樹脂を溶剤で溶解してから、ポリエーテルシロキサン湿潤剤を入れ、二液型エポキシ樹脂混合物を得る。ステップS106で、二液型エポキシ樹脂混合物にカーボンパウダーを入れ、20~40分間攪拌し、1.5~2.5時間ボールミリングし、均一に混合してからボールミリングし、電磁波吸収浸漬コロイド溶液を得る。ステップ107で、電磁波吸収浸漬コロイド溶液にセルラーを浸漬し、上記電磁波吸収浸漬コロイド溶液を浸漬した上記セルラーを取出し、硬化し,電磁波吸収セルラーを得る。上記ステップでの具体的な操作プロセスは図1図2の対応するステップを参照されたい。
【0030】
本発明の提供している電磁波吸収セルラーの作製方法は、二液型エポキシ樹脂、溶剤、湿潤剤、カーボンパウダーを使うことで、電磁波吸収コロイド溶液を得る。同電磁波吸収コロイド溶液でセルラーを浸漬し、硬化し、電磁波吸収セルラーを得る。同方法により作製された電磁波吸収コロイド溶液はセルラーの表面に均一に塗布できるので、調整された電磁波吸収セルラーは穴を塞げず、変形せず、優れた電磁波吸収性能を備えており、幅広く航空・宇宙飛行、飛行機、レーダーカバーなどの分野に応用できる。
【0031】
実施例1
100g二液型エポキシ樹脂を400gのアルコールで溶解してから、0.5gのポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008を入れ、1600 回転/分間の攪拌速度で10分間攪拌し、均一に混合してから混合物を得る。混合物に20gの電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、30分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ、2時間ボールミリングし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、二液型エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂と硬化剤を含み、硬化剤はジエチレントリアミンであり、二液型エポキシ樹脂においてはエポキシ樹脂と上記硬化剤の質量比は20: 1である。
【0032】
アラミドセルラーを電磁波吸収コロイド溶液に5分間浸漬してから取出し、アラミドセルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、80℃の温度のオーブンで1時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【0033】
実施例2
100gの二液型エポキシ樹脂を400gの酢酸エチルで溶解してから、1gのポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008を入れ、2000 回転/分間の攪拌速度で10分間攪拌し、均一に混合してから混合物を得る。混合物に20gの電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、30分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ、2時間ボールミリングし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、二液型エポキシ樹脂はビスフェノールFエポキシ樹脂と硬化剤を含み、硬化剤はトリエチレンテトラミンである。二液型エポキシ樹脂においてはエポキシ樹脂と硬化剤の質量比は5:1である。
【0034】
アラミドセルラーを電磁波吸収コロイド溶液に5分間浸漬してから取出し、アラミドセルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、120℃の温度のオーブンで2時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【0035】
実施例3
100gの二液型エポキシ樹脂を400gのアセトンで溶解してから、0.5gのポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008を入れ、1800 回転/分間の攪拌速度で10分間攪拌し、均一に混合してから混合物を得る。混合物に20gの電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、30分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ、2時間ボールミリングし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、二液型エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂と硬化剤を含み、硬化剤はテトラエチレンペンタミンである。二液型エポキシ樹脂においてはエポキシ樹脂と硬化剤の質量比は10: 1である。
【0036】
アラミドセルラーを電磁波吸収コロイド溶液に5分間浸漬してから取出し、アラミドセルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、100℃の温度のオーブンで1.5時間硬化し、電磁波吸収セルラーを得る。
【0037】
実施例4 100gの二液型エポキシ樹脂を400gのブタノンで溶解してから、0.5gのポリエーテルシロキサン湿潤剤W-23を入れ、1700 回転/分間の攪拌速度で10分間攪拌し、均一に混合してから混合物を得る。混合物に20gの電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、30分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ、2時間ボールミリングし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、二液型エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂と硬化剤を含み、硬化剤はトリエチレンテトラミンである。二液型エポキシ樹脂においてはエポキシ樹脂と硬化剤の質量比は15:1である。
【0038】
アラミドセルラーを電磁波吸収コロイド溶液に5分間浸漬してから取出し、アラミドセルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、85℃の温度のオーブンで2時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【0039】
実施例5
100gの二液型エポキシ樹脂を300gのプロパノールメチルエーテルで溶解してから、0.425gのポリエーテルシロキサン湿潤剤A-004を入れ、1900 回転/分間の攪拌速度で8分間攪拌し、均一に混合してから混合物を得る。混合物に25gの電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、20分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ2.5時間ボールミリングし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、二液型エポキシ樹脂はビスフェノールFエポキシ樹脂と硬化剤を含み、硬化剤はテトラエチレンペンタミンである。二液型エポキシ樹脂においてはエポキシ樹脂と硬化剤の質量比は12:1である。
【0040】
アラミドセルラーを電磁波吸収コロイド溶液に6分間浸漬してから取出し、アラミドセルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、110℃の温度のオーブンで1.5時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【0041】
実施例6
100gの二液型エポキシ樹脂を450gのプロパノールメチルエーテルで溶解してから、0.8gのポリエーテルシロキサン湿潤剤A-008を入れ、1700 回転/分間の攪拌速度で12分間攪拌し、均一に混合してから混合物を得る。混合物に18gの電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、25分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ2.5時間ボールミリングし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、二液型エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂と硬化剤を含み、硬化剤はトリエチレンテトラミンである。二液型エポキシ樹脂においてはエポキシ樹脂と硬化剤の質量比は8:1である。
【0042】
アラミドセルラーを電磁波吸収コロイド溶液に4分間浸漬してから取出し、アラミドセルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、100℃の温度のオーブンで1時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【0043】
実施例7
100gの二液型エポキシ樹脂を500gブタノンで溶解してから、0.8gのポリエーテルシロキサン湿潤剤を入れ、1700 回転/分間の攪拌速度で12分間攪拌し、均一に混合してから混合物を得る。混合物に30gの電磁波吸収剤カーボンパウダーを入れ、40分間攪拌し、均一に混合してから、ボールミリングタンクに入れ、1.5時間ボールミリングし、電磁波吸収コロイド溶液を得る。その中、二液型エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂と硬化剤を含み、硬化剤はトリエチレンテトラミンである。二液型エポキシ樹脂中エポキシ樹脂と硬化剤の質量比は18:1である。
【0044】
アラミドセルラーを電磁波吸収コロイド溶液に5分間浸漬してから取出し、アラミドセルラーの穴の壁に付着される上記コロイド溶液を吹き飛ばし、85℃の温度のオーブンで2時間硬化し、上記電磁波吸収セルラーを得る。
【0045】
実施例1から実施例7まで作製された電磁波吸収コロイド溶液に対しては、ハンギングプレートメソッドにより表面張力を測定し、その測定結果は下記の通りである。
【0046】
【表1】
【0047】
結果により、上記実施例の技術案は電磁波吸収コロイド溶液の低い表面張力を実現できることで、電磁波吸収コロイド溶液をセルラーの表面に迅速に塗布することを実現し、セルラーは穴を塞げにくいことが分かっている。
【0048】
実施例1から実施例7まで作製された電磁波吸収セルラーに対しては、マイクロウエーブ暗室法で電磁波吸収性能を測定し、その測定結果は下記の通りである。
【0049】
【表2】
【0050】
結果により、上記実施例の技術案により提供される電磁波吸収セルラーは優れた電磁波吸収性能を持つことが分かっている。
【0051】
従い、本発明は電磁波吸収浸漬コロイド溶液と電磁波吸収セルラー及びその作製方法を提供し、二液型エポキシ樹脂、溶剤、湿潤剤及びカーボンパウダーにより電磁波吸収コロイド溶液を得ており、同電磁波吸収コロイド溶液でセルラーを浸漬し、硬化し、電磁波吸収セルラーを得ることが分かる。本発明はとても低い表面張力と気泡除去の特質を備えるポリエーテルシロキサン湿潤剤を追加することで、電磁波吸収コロイド溶液の表面張力を下げ、セルラーの表面に迅速に均一にそれを塗布することにより、穴を塞げぬ、変形しない、優れた電磁波吸収性能を備える電磁波吸収セルラー材料を得る。その材料は航空・宇宙飛行、飛行機、レーダーカバーなどの分野に応用できる。
【0052】
以上は本発明のよりよい実施例だけであり、本発明を制限するものではない。本発明の精神及び原則の範囲内で行われるいかなる修正、均等置換、改善などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3