IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイガス エナジー ゲー・エム・ベー・ハーの特許一覧

特許7090703水性多成分系混合物からの有価物質の分留分離
<>
  • 特許-水性多成分系混合物からの有価物質の分留分離 図1
  • 特許-水性多成分系混合物からの有価物質の分留分離 図2
  • 特許-水性多成分系混合物からの有価物質の分留分離 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】水性多成分系混合物からの有価物質の分留分離
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/08 20060101AFI20220617BHJP
   C02F 1/02 20060101ALI20220617BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20220617BHJP
   B09B 3/45 20220101ALI20220617BHJP
【FI】
C02F11/08
C02F1/02 B ZAB
B09B3/40
B09B3/45
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020526674
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2018000355
(87)【国際公開番号】W WO2019020209
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】17183498.9
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520032907
【氏名又は名称】アイガス エナジー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】iGas energy GmbH
【住所又は居所原語表記】Cockerillstrasse 100, 52222 Stolberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カール-ハインツ レンツ
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-290875(JP,A)
【文献】特表2007-524498(JP,A)
【文献】特開2010-172859(JP,A)
【文献】特開2002-086099(JP,A)
【文献】特開平11-197698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0192980(US,A1)
【文献】国際公開第2004/087619(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00-11/20
C02F 1/02
B09B 3/00- 3/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性多成分系混合物から有価物質を分留分離する方法であって、
前記水性多成分系混合物を25~35MPaに圧縮する工程と、
前記圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱して第一有価物質分画(41)を除去する工程であって、固形物を強化する工程と、
前記圧縮された水性多成分系混合物を更に摂氏300~400度に加熱して第二有価物質分画(42)を除去する工程であって、金属塩を強化する工程と、
前記圧縮された水性多成分系混合物を更に摂氏400~550度に加熱して第三有価物質分画(43)を除去する工程であって、リン酸塩およびアンモニウムを強化する工程とを有するものである
方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記圧縮された水性多成分系混合物は、前記第一有価物質分画、第二有価物質分画、および第三有価物質分画(41)、(42)、(43)の分離後、酸素を含まない反応器(8)中で、1~5分間、最高摂氏700度まで加熱され、合成ガス(45)および水(46)を有する反応生成物を形成するものである方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記反応生成物は製品ライン(13)へ導かれ、前記反応製品を含有する前記製品ライン(13)は熱交換器(4)へ導かれ、熱エネルギーは前記反応生成物から前記圧縮された水性多成分系混合物へ移され、そこで前記圧縮された水性多成分系混合物は摂氏400~500度に加熱されるものである方法。
【請求項4】
請求項2または3記載の方法において、前記反応生成物は、生成物ライン(13)中を第二熱交換器(4)を通して導かれ、熱エネルギーは前記反応生成物から前記圧縮された水性多成分系混合物へ移され、そこで前記圧縮された水性多成分系混合物は摂氏300~400度に加熱されるものである方法。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項記載の方法において、前記反応生成物は、生成物ライン(13)中を更なる熱交換器(4)を通して導かれ、熱エネルギーは前記反応生成物から前記圧縮された水性多成分系混合物へ移され、そこで前記圧縮された水性多成分系混合物は摂氏200~300度に加熱されるものである方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項記載の方法において、沈殿剤(32)は摂氏400~550度の温度で前記圧縮された水性多成分系混合物に添加され、前記第三有価物質分画(43)が分離および単離されるものである方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項記載の方法において、沈殿剤(32)は前記反応生成物に添加され、第四有価物質分画(44)が分離および単離されるものである方法。
【請求項8】
請求項6または7記載の方法において、前記沈殿剤(32)は、Mg2+、Ca2+、K、Mg2+およびCa2+、Mg2+およびK、Ca2+およびK、並びにMg2+、Ca2+、およびKから選択され、前記イオンはその塩の形態で使用されるものである方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項記載の方法において、前記水性多成分系混合物は、下水汚泥、有機廃棄物、水性有機廃棄物、産業廃棄物、都市廃棄物、動物廃棄物、農業廃棄物、庭園廃棄物、動物飼料、野菜廃棄物、搾りかす、フライアッシュ、下水汚泥フライアッシュ、食品産業廃棄物、掘削泥、汚泥、肥料、液状肥料、廃水、および生物ガスプラントからの廃棄物から選択されるものである方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項記載の方法によって取得可能な前記第三有価物質分画(43)および/または第四有価物質分画(44)の、肥料としての使用。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項記載の方法を実施するための機器であって、
水性多成分系混合物を受け取るための貯蔵タンク(1)と、
前記水性多成分系混合物を導くための供給原料ライン(12)と、
前記水性多成分系混合物を粉砕するための切断装置(2)と、
前記水性多成分系混合物を圧縮するためのポンプ(3)と、
前記圧縮された水性多成分系混合物を少なくとも三段階で摂氏550度まで加熱するための、少なくとも3つの熱交換器(4)と、
第一有価物質分画から第三有価物質分画まで(41)、(42)、(43)を分離するための、少なくとも3つの分離器(5)と、
前記有価物質分画を単離するための弁(6)と、
沈殿剤(32)を第三分離器(5)に添加するための、ポンプ(3)および沈殿剤用のライン(18)とを有するものである
機器。
【請求項12】
請求項11記載の機器において、反応生成物を生成するための、過熱器(7)を含む少なくとも1つの反応器(8)と、前記反応生成物を導くための製品ライン(13)と、前記反応生成物を膨張させるための少なくとも1つの弁(6)と、合成ガス(45)を分離するための、デミスター(9)を含む少なくとも1つの分離容器(10)と、更なる使用のために、前記合成ガス(45)を移送するための合成ガスライン(11)とを有するものである機器。
【請求項13】
請求項11または12記載の機器において、第四分離器(5)と、第四有価物質分画(44)を分離するために、沈殿剤(18)を前記第四分離器(5)に導入するための、少なくとも1つのポンプ(3)および沈殿剤用ライン(18)とを有するものである機器。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項記載の方法を実施するための機器であって、
貯蔵タンク(1)と、
酸素が存在しない状態で水性多成分系混合物を移送するため、前記貯蔵タンク(1)に接続されている供給原料ライン(12)とを有しており、
前記圧縮された供給原料(31)を摂氏200~300度に加熱するため、熱交換器(4)を通して供給原料ライン(12)を導き、その後、単離された第一有価物質分画(41)を分離するため、分離器(5)を通して前記供給原料ライン(12)を導き、前記圧縮された供給原料(31)を摂氏300~400度に加熱するため、第二熱交換器(4)を通して供給原料ライン(12)を導き、その後、単離された第二有価物質分画(42)を分離するため、第二分離器(5)を通して供給原料ライン(12)を導き、前記圧縮された供給原料(31)を摂氏400~550度に加熱するため、第三熱交換器(4)を通して供給原料ライン(12)を導き、その後、単離された第三有価物質分画(43)を分離するため、第三分離器(5)を通して供給原料ライン(12)を導くものである
機器。
【請求項15】
請求項14記載の機器において、前記圧縮された供給原料(31)を最高摂氏700度に加熱するため、前記供給原料ライン(12)を過熱器(7)を通して反応器(8)に導くものである機器。
【請求項16】
請求項14または15記載の機器において、前記圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度に加熱するため、前記第三熱交換器(4)を通して前記反応生成物を導くための製品ライン(13)を有するものである機器。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項記載の機器において、前記有価物質分画および/または前記反応生成物を冷却するための1つ以上の冷却器(14)を有するものである機器。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか一項記載の機器において、合成ガス(45)および排出可能水(46)を分離するための分離容器(10)を有するものである機器。
【請求項19】
請求項14~18のいずれか一項記載の機器において、前記合成ガス(45)を分離するためのデミスター(9)を有するものである機器。
【請求項20】
廃水を精製するための、請求項1~9のいずれか一項記載の方法の使用、または請求項11~19のいずれか一項記載の機器の使用。
【請求項21】
性多成分系混合物からリン化合物、アンモニウム化合物、砂、金属、金属塩を生成するための、請求項1~9のいずれか一項記載の方法の使用、または請求項11~19のいずれか一項記載の機器の使用。
【請求項22】
水素生成のための、および/または発電のための、請求項1~9のいずれか一項記載の方法の使用、または請求項11~19のいずれか一項記載の機器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性廃棄物、汚泥、下水汚泥などの多成分系混合物からの有価物質を超臨界条件下において分留沈殿させる方法に関する。更に、本発明は、特にリン含有並びにリンおよびアンモニウム含有化合物、例えば、エネルギー源としての肥料および合成ガスや化学産業用の有価材料などを本発明の方法によって強化した有価分画を含むものである。本発明の方法を使用することにより、有価物質は、廃棄物、汚泥、および下水汚泥から完全に回収され、新しい使用のために供給できる。特に、本方法は、植物が利用可能な肥料形態のリンおよびアンモニウムの回収、合成ガス製造用の金属および重金属の回収、および合成ガスからの水素の回収(例えば携帯用)に適している。
【背景技術】
【0002】
例えば下水汚泥などで生じるような水性多成分系混合物には、金属、砂、重金属、リン、窒素など数多くの有価物質が含まれている。
【0003】
リンは動植物にとって重要な物質であり、食物製造および農業にとっては肥料の重要な構成要素である。この点に関して言えば、全世界のリン保有量には限界がある。従って、水性廃棄物および下水汚泥からリンを回収する試みは増々増大している。現在、農業で肥料として使用されているリン酸塩は、最終的には、動物飼料、下水汚泥、または下水汚泥灰の形態で残留する。動物飼料または下水汚泥を肥料として直接使用するのは、重金属汚染および衛生面の理由により問題があるので禁止されている、あるいは厳格な条件下に置かれている。更に、リン酸塩の多くが難溶性であり、植物には利用されない。従って、リン酸塩サイクルを閉鎖し、都市排水、下水汚泥、動物飼料などの動物廃棄物製品、産業廃棄物から植物が利用可能なリン酸塩を回収する目的がここに存在する。
【0004】
下水汚泥からのリン酸アンモニウムマグネシウム(略して「MAP」)の回収は周知である。既知の方法では、蒸解された下水汚泥は酸性化され、その後、固相が分離される。重金属は硫化物の添加により沈殿させ、植物が利用可能なMAP(MgNHPOx6HO)を得るため、塩化マグネシウムが残りの溶液に添加される。このようにして得られたMAPは化学的に純粋な製品ではない。その組成に関して言えば、異なる下水処理プラントからのMAPは、例えば、使用される下水汚泥の前処理や異なる技術環境などに依存している。
【0005】
下水汚泥からのリン酸アンモニウムマグネシウムの回収方法は特許文献1に記載されている。この場合、まず下水汚泥から熟成汚泥が準備され、それが脱ガスされ、空気と混合される。MAPは塩化マグネシウムの添加により沈殿し、反応器(いわゆるBerlin Plant(登録))の下部で漏斗を用いて分離される。
【0006】
特許文献2は下水汚泥からのリン酸塩の回収方法を記載しており、その文献では、下水汚泥から水、アルコール、水/アルコール混合液、または水溶液を用いて懸濁液が調整され、その懸濁液に抽出剤として二酸化炭素ガスまたは超臨界二酸化炭素が導入され、二酸化炭素が除去され、溶解しているリン酸塩が沈殿および分離される。
【0007】
特許文献3では、熱交換器でのミネラル肥料粒状物の製造で得られる塩類水溶液を別の流路で供給された蒸気で加熱することにより蒸発する方法が記載されている。
【0008】
加えて、産業廃棄物および農業廃棄物を調整および処理する加熱湿式化学方法が知られている。斯かる方法には、反応が超臨界条件下で行われる方法も含まれる。
【0009】
特許文献4は、乾燥質量15%の希釈ブドウ搾りかすを平均温度摂氏650度で超臨界水によって変換する方法を記載している。この方法では、H、CO、CH、およびNが反応生成物として得られるが、それは過剰の水から均一相として形成され、新しい供給原料の加熱用として熱交換器で使用される。形成される無機塩は反応器の汚水溜めの底から回収廃棄される。
【0010】
特許文献5は、供給原料を供給し製品を排出するための圧力ラインおよび反応器の下部末端に汚水溜め底部排出口を有し、縦方向に対して最大30度傾斜している円筒形反応器を用いて対応する方法を実行するためのプラントを開示している。
【0011】
特許文献6は、有機および無機固形物を含む水溶液から無機固形物を分離する方法であって、熱交換器内で22.2MPaと50MPaとの間の圧力において仮臨界温度(摂氏350~600度)未満の温度まで水溶液を加熱する工程と、加熱した水溶液を少なくとも1つの分離器に導入する工程(この工程で、無機固形物は水溶液から分離される)と、精製された水溶液を反応器へ送る工程(この工程で、水溶液は摂氏350度および600度で処理される)工程とを有する方法を開示している。更に、特許文献6は、貯蔵タンク1、ポンプ2、熱交換器3、少なくとも1つの分離器4、および反応器6を有する、当該方法を実行するための機器を開示している。
【0012】
湿潤バイオマスを調整するため、特許文献7は、22.1MPa超の圧力で超臨界水中のバイオマスを熱水ガス化する方法を開示している。新鮮な植物や搾りかすなどの湿潤バイオマスは高濃度(約30重量%)およびそれに伴う高粘度の有機物を有する場合が多いので、斯かる廃棄物は揚水するのが困難である。従って、特許文献7において、湿潤バイオマスは、有機物質次第で、処理廃水を用いて5~20重量%まで希釈される。熱水ガス化後、最初に無機塩、次に処理廃水からの製品ガスが、反応生成物から分離される。処理廃水の一部は湿潤バイオマスの希釈に使用され、残りの部分および無機塩は処分される。
【0013】
特許文献8は有機物質の処理方法を開示しており、当該方法では、揚水可能な相を得るため、有機物質は水溶液相に導入される。圧力は少なくとも221バールに、温度は少なくとも摂氏374度まで上げられ、上記相がフロー反応器に導入され、最小サイズを超える粒子は製品流から除去される。製品流の少なくとも50%が反応器へ再循環される。
【0014】
特許文献9は、有機および無機物質を含む水を超臨界条件下で処理し、形成された固形物を分離する方法に関する。
【0015】
特許文献10は、水素製造のために反応器を前処理する方法を記載しており、当該方法では、水素は有機化合物と超臨界水との反応で生成される。
【0016】
特許文献11は、反応器の反応チャンバ内で超臨界水中の固形物を処理するプラントを開示している。
【0017】
特許文献12は水素生成方法に関連しており、当該方法においては、炭化水素および/またはアルコールを触媒の使用なしに超臨界水中で反応させる。
【0018】
特許文献13は、超臨界水溶液システム内で化学反応を実行する方法を記載しており、当該方法では、少なくとも1つの酸が使用または放出され、化学反応の生成物が臨界状態未満まで冷却されるように1つ以上の化合物を反応させるが、その場合、冷却はアルカリ溶液を添加することにより行われる。
【0019】
特許文献14は、超臨界方法を実行するための反応器を開示している。
【0020】
特許文献15および16は、原材料を少なくとも1つの使用可能な素材に変換する方法を開示しており、当該方法は、原材料からスラリーを調整する工程と、その後の二段階処理工程とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】DE102007035910
【文献】EP2429674
【文献】DE19628009
【文献】DE10210178
【文献】DE20220307U1
【文献】DE102005037469
【文献】DE102006044116
【文献】DE10217165
【文献】DE3885762
【文献】DE10135431
【文献】DE29913370
【文献】DE19955150
【文献】DE19747696
【文献】DE29719196
【文献】US2004/192980 A1
【文献】WO2004/087619
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
バイオマスおよび下水汚泥残渣を調整する既知の方法においては、処理問題が必ず未解決問題として残される。バイオマス、廃棄物、または下水汚泥の全成分を有価物質に変換できる方法並びに有価物質を完全に回収する方法は、従来技術では知られていない。下水汚泥および下水汚泥残渣は燃焼される場合が多い。下水汚泥燃焼は、石炭の燃焼と同程度の煤を生み出す。有価物質は失われる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、水性廃棄物、特に下水汚泥の処理方法であって、水性廃棄物に含まれるリンなどの有価物質(有価材料)を廃棄物から回収できる方法を開発することである。
【0024】
斯かる目的は、特許請求の範囲1~22の方法および機器によって達成される。当該方法では、供給原料31として水性多成分系混合物が使用される。生成物として、有価分画並びに好ましくは合成ガス45および水46が得られる。
【0025】
本発明は、下水汚泥などの水性多成分系混合物中の全成分が完全に有価物質に変換され、有価物質を分画で回収できる方法を提供することにより、斯かる目的を達成する。有価物質は個々の分画から調整され、有価物質サイクルへ戻すことが容易に可能となる。
【0026】
本発明の主題は水性多成分系混合物から有価物を分留分離する方法であって、当該方法は、水性多成分系混合物を25~35MPaに圧縮する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱して第一有価物質分画41を分離する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を更に摂氏300~400度に加熱して第二有価物質分画42を分離する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を更に摂氏400~550度に加熱して第三有価物質分画43を分離する工程とを有するものである。
【0027】
本発明の主題は水性多成分系混合物から有価物を分留分離する方法であって、当該方法は、水性多成分系混合物を25~35MPaに圧縮する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱して第一有価物質分画41を分離する工程であって、固形物を強化する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を更に摂氏300~400度に加熱して第二有価物質分画42を分離する工程であって、金属塩を強化する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を更に摂氏400~550度に加熱して第三有価物質分画43を分離する工程であって、リン酸塩およびアンモニウムを強化する工程とを有するものである。
【0028】
第三有価物質分画の分離の前に、Mg2+、Ca2+、Kなどの1つ以上の沈殿剤を摂氏400~550度の温度で添加してもよい。水性多成分系混合物から有価物質を分留分離する方法の実施形態は、水性多成分系混合物を25~35MPaに圧縮する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱して第一有価物質分画41を分離する工程と、圧縮された水性多成分系混合物を更に摂氏300~400度に加熱して第二有価物質分画42を分離する工程と、当該多成分系混合物を更に摂氏400~550度に加熱し、Mg2+、および/またはCa2+、および/またはKなどの1つ以上の沈殿剤を添加し、第三有価物質分画43を分離する工程を含むものである。第一、第二、および第三の有価物質材料分画41、42、43の分離は、各々、分離器5を用いて行うのが好ましい。
【0029】
第一有価物質分画41において固形物が強化される。第二有価物質分画42において金属塩が強化される。第三有価物質分画43においてリン酸塩およびアンモニウムが強化される。
【0030】
本方法は、水性多成分系混合物を予め脱水または乾燥する必要のないことが特徴である。水性多成分系混合物は高水分量を有しているのが理想的であり、例えば、少なくとも80重量%の水、好ましくは少なくとも85重量%の水、好ましくは86重量%の水、特に好ましくは87~88重量%の水を有している。斯かる割合の水が「最適濃度」である。水性多成分系混合物は揚水性であるのが好ましい。例えば、水分量75重量%の下水汚泥はもはや揚水性ではない。斯かる下水汚泥は、処理内部循環水によって望ましい濃度まで希釈される。この点は他の全ての廃棄物または廃棄物流にも適用される。本方法の好ましい実施形態においては、水性多成分系混合物は切断装置2を通過させる。
【0031】
本発明の方法は、酸素を含まない閉鎖機器内で、少なくとも1つのポンプ3、少なくとも3つの分離器5、および弁6を用いて有価物質の分留分離を行うのを特徴とする。
【0032】
少なくとも1つのポンプ3、少なくとも3つの分離器5、および3つの弁6を有する本発明の方法を実施するための機器は、有価物質を多成分系混合物から分留分離する工程が酸素の存在しない状態で実行されるように閉鎖されているのを特徴とする。
【0033】
本発明の主題は、供給原料31、特に水性多成分系混合物から有価物質を分留分離する方法であり、当該方法は、貯蔵タンク1から供給原料ライン12へ導入する工程と、供給原料31、特に水性多成分系混合物を任意に最適濃度まで希釈または濃縮する工程と、供給原料31(水性多成分系混合物)の構成成分を例えば切断装置2で粉砕する工程と、例えばポンプ3、特に高圧ポンプで25~35MPaまで圧縮する工程と、供給原料ライン12を熱交換器4まで導いて圧縮された供給原料(水性多成分系混合物)を摂氏200~300度まで加熱し、例えば分離器5によって単離された第一有価物質分画41を分離する工程と、供給原料ライン12を第二熱交換器4まで導いて圧縮された供給原料(水性多成分系混合物)を摂氏300~400度まで加熱し、例えば第二分離器5によって分離された第二有価物質分画42を分離する工程と、供給原料ライン12を第三熱交換器4まで導いて圧縮された供給原料(水性多成分系混合物)を摂氏400~550度まで加熱し、例えば第三分離器5によって分離された第三有価物質分画43を分離する工程とを有するものである。
【0034】
本発明の主題は、本発明の方法を実施するための機器であって、貯蔵タンク1と、酸素が存在しない状態で水性多成分系混合物を移送するため、貯蔵タンク1に接続されている供給原料ライン12と、任意に、供給原料31(水性多成分系混合物)内の成分を粉砕するため、供給原料ライン12に接続されている切断装置2と、供給原料31を25~35MPaに圧縮するため、特に高圧により、供給原料ライン12を通して切断装置2(存在するならば)に接続されているポンプ3とを有しており、圧縮された供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏200~300度に加熱するため、熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第一有価物質分画41(この分画中、固体が強化される)を分離するため、分離器5を通して供給原料ライン12を導き、圧縮された供給原料(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏300~400度に加熱するため、第二熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第二有価物質分画42(この分画中、金属塩が強化される)を分離するため、第二分離器5を通して供給原料ライン12を導き、圧縮された供給原料(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏400~550度に加熱するため、第三熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第三有価物質分画43(この分画中、リン酸塩およびアンモニウムが強化される)を分離するため、第三分離器5を通して供給原料ライン12を導くものである機器である。
【0035】
本発明の方法では、水性多成分系混合物が供給原料31として使用されるのが好ましい。多くの場合、水性多成分系混合物は有機成分を含んでいる。本発明の方法は、有機成分を含有する水性多成分系混合物から有価物質を分離し、その有価物質を新しい使用のために供給するのに特に適している。
【0036】
本発明の方法で供給原料31として使用可能な水性多成分系混合物は、例えば、汚泥、下水汚泥、有機廃棄物、生物ガスプラントからの廃棄物、水性有機廃棄物、産業廃棄物、都市廃棄物、動物廃棄物、農業廃棄物、庭園廃棄物、動物飼料、野菜廃棄物、搾りかす、フライアッシュ、下水汚泥フライアッシュ、食品産業廃棄物、掘削汚泥、肥料、液状肥料、廃水(例えば、工業廃水)などである。本方法の特に好ましい実施形態では、水性多成分系混合物は下水汚泥である。
【0037】
水性多成分系混合物は、無機成分、例えば、金属および重金属または金属イオン、金属塩、金属酸化物、重金属イオン、重金属塩、重金属酸化物、リン、リン酸化物、リン酸塩、窒素、窒素酸化物、アンモニウムなどを含んでいてもよい。
【0038】
本発明の意味における有価物質は、各多成分系混合物に含まれる全有機および無機成分であり、例えば、リン酸塩などの形態のリン、アンモニウムなどの形態の窒素、金属イオン塩などの形態の金属、重金属イオン塩などの形態の重金属、砂などの形態のケイ素、二酸化炭素やメタンなどの形態の炭素、エテン、プロペン、ブテンなどの低分子量炭化水素、炭化水素由来の水素、水などである。当該方法で得られる水は精製されるのが好ましい。その場合、精製された吐水可能な水が得られる。
【0039】
本発明の主題は、汚泥、下水汚泥、有機廃棄物、生物ガスプラントからの廃棄物、水性有機廃棄物、産業廃棄物、都市廃棄物、動物廃棄物、農業廃棄物、庭園廃棄物、動物飼料、野菜廃棄物、搾りかす、フライアッシュ、下水汚泥フライアッシュ、食品産業廃棄物、掘削汚泥、肥料、液状肥料、廃水(例えば、工業廃水)などの有機多成分系混合物から排出可能な水を製造(回収)するための、本発明の使用である。実質的に全ての物質(有価物質)を水性多成分系混合物から分離することにより、更なる処理なしに水域に排出可能なほどに清浄な水が得られる。水域に直接排出可能なほどに清浄な水は「排出可能な水」と呼ばれる。本発明の方法は、汚泥、下水汚泥、有機廃棄物、生物ガスプラントからの廃棄物、水性有機廃棄物、産業廃棄物、都市廃棄物、動物廃棄物、農業廃棄物、庭園廃棄物、動物飼料、野菜廃棄物、搾りかす、フライアッシュ、下水汚泥フライアッシュ、食品産業廃棄物、掘削汚泥、肥料、液状肥料、および廃水(例えば、工業廃水)から排出可能な水を製造(回収)するのに使用できる。対応する方法は従来技術では知られていない。
【0040】
本発明の機器は、汚泥、下水汚泥、有機廃棄物、生物ガスプラントからの廃棄物、水性有機廃棄物、産業廃棄物、都市廃棄物、動物廃棄物、農業廃棄物、庭園廃棄物、動物飼料、野菜廃棄物、搾りかす、フライアッシュ、下水汚泥フライアッシュ、食品産業廃棄物、掘削汚泥、肥料、液状肥料、および廃水(例えば、工業廃水)から排出可能な水を製造(回収)するのに使用できる。
【0041】
本発明の方法は完全に有価物質を提供するものであり、処分対象の残留物は一切残らない。供給原料として使用される水性多成分系混合物は有価物質に変換されるか、あるいは多成分系混合物から有価物質として分離されるものであり、処分対象の残留物は一切残らない。
【0042】
有価物質分画の分離並びに水性多成分系混合物からの有価物質の変換および分離は超臨界条件下で行われ、酸素および/または触媒の添加は行われないのが、本発明の方法の特別な特徴である。斯かる目的のため、本発明の方法で供給原料31として使用される水性多成分系混合物はラインシステムに導入される。ラインシステムは本発明の方法を実施するための機器の一部である。ラインシステムは供給原料ライン12および製品ライン13を含み、貯蔵タンク1を有していてもよい。貯蔵タンク1は強化装置を含んでいてもよい。水性多成分系混合物は供給原料ライン12を通してポンプ3で25~35MPaに圧縮され、例えば、図1図2、および図3に示されるように、機器の閉鎖回路内で個々の方法工程が実行される。水性多成分系混合物は、本方法の実施中、超臨界条件下で圧縮され、「圧縮された水性多成分系混合物」と呼ばれる。この点に関して言えば、25~35MPaの初期圧力が調整される。機器内において、例えば本方法が実行される図1図2、または図3の機器内において、圧力は機器内の圧力損失の故に減少するが、超臨界条件の範囲内に収まっている。
【0043】
本方法の特に好ましい実施形態において、圧縮された水性多成分系混合物は、第一、第二、および第三の有価分画41、42、43の分離後、反応器8内で最高摂氏700度まで加熱される。反応器内の加熱は、超臨界圧の下、酸素不在の状態で行われる。反応器8内の圧縮された水性多成分系混合物は、少なくとも600度まで加熱されるのが好ましく、最高摂氏680度まで加熱されるのが更に好ましい。
【0044】
本発明の主題は、供給原料31/水性多成分系混合物から有価物質を分留分離する方法であり、当該方法は、供給原料31、特に水性多成分系混合物を貯蔵タンク1から供給原料ライン12へ導入する工程と、供給原料31/水性多成分系混合物を任意に供給原料/水性多成分系混合物の成分を例えば切断装置2で粉砕する工程と、例えばポンプ3、特に高圧ポンプで25~35MPaまで圧縮する工程と、供給原料ライン12を熱交換器4まで導いて圧縮された供給原料31/水性多成分系混合物を摂氏200~300度まで加熱し、例えば分離器5によって単離された第一有価物質分画41を分離する工程と、供給原料ライン12を第二熱交換器4まで導いて圧縮された供給原料31/圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400度まで加熱し、例えば第二分離器5によって分離された第二有価物質分画42を分離する工程と、供給原料ライン12を第三熱交換器4まで導いて圧縮された供給原料31/圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度まで加熱し、例えば第三分離器5によって分離された第三有価物質分画43を分離する工程と、供給原料ライン12を反応器8へ導く工程、好ましくは過熱器7を通して供給原料ライン12を反応器8へ導く工程とを有するものである。過熱器7により、圧縮された供給原料31/圧縮された水性多成分系混合物は最高摂氏700度(好ましくは摂氏600~680度)に加熱される。
【0045】
本発明の主題は、本発明の方法を実施するための機器であって、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を導入するための貯蔵タンク1と、酸素が存在しない状態で供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を移送するため、貯蔵タンク1に接続されている供給原料ライン12と、任意に、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)内の成分を粉砕するため、供給原料ライン12に接続されている切断装置2と、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を25~35MPaに圧縮するため、特に高圧により、供給原料ライン12を通して切断装置2(存在するならば)に接続されているポンプ3とを有しており、圧縮された供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏200~300度に加熱するため、熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第一有価物質分画41(この分画中、固体が強化される)を分離するため、分離器5を通して供給原料ライン12を導き、圧縮された供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏300~400度に加熱するため、第二熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第二有価物質分画42(この分画中、金属塩が強化される)を分離するため、第二分離器5を通して供給原料ライン12を導き、圧縮された供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏400~550度に加熱するため、第三熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第三有価物質分画43(この分画中、リン酸塩およびアンモニウムが強化される)を分離するため、第三分離器5を通して供給原料ライン12を導き、供給原料ライン12を反応器8へ導くものである機器、好ましくは、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を最高摂氏700度(好ましくは、摂氏600~680度)に加熱するため、過熱器7を通して供給原料ライン12を反応器8へ導くものである機器である。
【0046】
本発明の特に好ましい実施形態において、圧縮された水性多成分系混合物は、選択された温度で、1~5分間、好ましくは2~3分間、特に好ましくは30秒、40秒、50秒、60秒、70秒、80秒、または90秒、反応器8内に留まる。圧縮された水性多成分系混合物は、酸素のない状態で25~30MPaにおいて第一、第二、および第三有価物質分画41、42、43を分離した後、少なくとも摂氏600度まで(最高摂氏700度)加熱されるのが好ましい。摂氏600~700度の温度における圧縮された水性多成分系混合物は25~30MPaの圧力を有している。本発明の方法は、反応器8内にある水性多成分系混合が超臨界条件下にあることを特徴としている。反応器8内において、熱水ガス化(熱化学ガス化)は斯かる条件下で行われ、その結果、水性多成分系混合物からの更なる成分は有価物質へ変換され、反応生成物として取得される。圧縮された水性多成分系混合物は、第一、第二、および第三有価物質分画41、42、43を分離した後、25~30MPaにおいて少なくとも摂氏600度まで(最高摂氏700度)加熱され、その後冷却されるのが好ましい。
【0047】
反応器8内において、合成ガス45および水46を有する反応生成物は超臨界条件下で形成される。反応生成物は、超臨界条件下(すなわち、25MPa以上の圧力および高温)で、反応器8内に存在する。
【0048】
形成された反応生成物は種々の方法で冷却できるが、反応生成物のエネルギーは活用されるのが好ましい。例えば、超臨界条件下で反応器8内に存在する反応生成物は、新しい供給原料31(すなわち、新しい水性多成分系混合物)を加熱するのに利用できる。本発明によれば、回収用の対応する循環システムおよび反応エネルギーの利用が好ましい。斯かる目的のため、反応生成物は製品ライン13へ導かれる。製品ライン13は1つ以上、好ましくは3つの熱交換器を通過する。熱交換器4において、反応生成物の熱エネルギーは圧縮された供給原料31、好ましくは圧縮された水性多成分系混合物へ移され、そこで段階的に加熱される。
【0049】
本発明の主題は、供給原料31、好ましくは水性多成分系混合物から有価物質を分留分離する方法であり、当該方法は、供給原料31、好ましくは水性多成分系混合物を貯蔵タンク1から供給原料ライン12へ導入する工程と、任意に水性多成分系混合物の成分を例えば切断装置2で粉砕する工程と、例えばポンプ3、特に高圧ポンプで25~35MPaまで圧縮する工程と、供給原料ライン12を熱交換器4まで導いて水性多成分系混合物を摂氏200~300度まで加熱し、例えば分離器5によって単離された第一有価物質分画41を分離する工程と、供給原料ライン12を第二熱交換器4まで導いて圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400度まで加熱し、例えば第二分離器5によって分離された第二有価物質分画42を分離する工程と、供給原料ライン12を第三熱交換器4まで導いて圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度まで加熱し、例えば第三分離器5によって分離された第三有価物質分画43を分離する工程と、供給原料ライン12を反応器8へ導く工程、好ましくは過熱器7を通して供給原料ライン12を反応器8へ導く工程であって、過熱器7内の圧縮された水性多成分系混合物を最高摂氏700度(好ましくは摂氏600~680度)に加熱する工程と、反応生成物を第三熱交換器4を通過させ製品ライン13を通して導き、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度に加熱する工程と、反応生成物を第二熱交換器4を通過させ製品ライン13を通して導き、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400度に加熱する工程と、反応生成物を第一熱交換器4を通過させ製品ライン13を通して導き、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱する工程と、反応生成物を摂氏100度未満、好ましくは摂氏50度未満、特に好ましくは室温まで冷却するため、任意に1つ以上の冷却器1を通して反応生成物を導く工程と、弁6を通して任意に膨張させる工程とを有するものである。
【0050】
本発明の主題は、本発明の方法を実施するための機器であって、貯蔵タンク1と、酸素が存在しない状態で供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を移送するため、貯蔵タンク1に接続されている供給原料ライン12と、任意に、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)内の成分を粉砕するため、供給原料ライン12に接続されている切断装置2と、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を25~35MPaに圧縮するため、特に高圧により、供給原料ライン12を通して切断装置2(存在するならば)に接続されているポンプ3とを有しており、圧縮された供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏200~300度に加熱するため、熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第一有価物質分画41(この分画中、固体が強化される)を分離するため、分離器5を通して供給原料ライン12を導き、圧縮された供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏300~400度に加熱するため、第二熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第二有価物質分画42(この分画中、金属塩が強化される)を分離するため、第二分離器5を通して供給原料ライン12を導き、圧縮された供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏400~550度に加熱するため、第三熱交換器4を通して供給原料ライン12を導き、その後、単離された第三有価物質分画43(この分画中、リン酸塩およびアンモニウムが強化される)を分離するため、第三分離器5を通して供給原料ライン12を導き、供給原料ライン12を反応器8へ導き、好ましくは、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を最高摂氏700度(好ましくは、摂氏600~680度)に加熱するため、過熱器7を通して供給原料ライン12を反応器8へ導き、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏400~550度に加熱するため、第三熱交換器4を通して反応生成物を導くための製品ライン13を更に有し、任意に、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏300~400度に加熱するため、製品ライン13を第二熱交換器4を通して導き、任意に、供給原料31(圧縮された水性多成分系混合物)を摂氏200~300度に加熱するため、製品ライン13を第一熱交換器4を通して導き、任意に、反応生成物を摂氏100度未満、好ましくは摂氏50度未満、特に好ましくは室温まで冷却するため、1つ以上の冷却器14と、任意に、冷却された反応生成物を膨張させるための弁6とを更に有するものである機器である。
【0051】
反応器8内の反応生成物に含まれるエネルギーも利用可能である、あるいは別の方法で貯蔵可能である。
【0052】
反応生成物の冷却および膨張により、合成ガス45が反応生成物から放出される。
【0053】
、CH、COは合成ガス45内で強化される。合成ガス45はアルカンを含んでもよい。好ましい実施形態では、合成ガス45は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは95%、あるいはそれ以上のH、CH、COから成る。反応器8内の超臨界条件下において、合成ガス45は水46に溶解する。合成ガス45は冷却により放出され、水または水性残渣から分離できる。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な合成ガス45である。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な合成ガス45の使用である。
【0054】
反応生成物は合成ガス45および水46を含む。好ましくは、反応生成物は主に合成ガス45および水46から成り、好ましくは少なくとも99重量%または98重量%、特に好ましくは97重量%またはそれ未満の合成ガス45および水46から成る。合成ガス45および/または水46は残渣を含んでいてもよい。反応生成物は主に合成ガス45および水46を含んでおり、残渣は1重量%未満である。好ましい実施形態においては、反応生成物は少なくとも90%、好ましくは95%、特に好ましくは98%またはそれ以上のH、CH、COおよび水から成る。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な反応生成物である。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な反応生成物の使用である。この時点で得られる水は排出可能な水である。本方法は、上述のように、排出可能水を製造するのに使用できる。本発明の機器は、上述のように、排出可能水を製造(回収)するのに使用できる。
【0055】
本発明の主題は、水性多成分系混合物から有価物質を分留分離する方法であり、当該方法は、供給原料31、好ましくは水性多成分系混合物を貯蔵タンク1から供給原料ライン12へ導入する工程と、任意に水性多成分系混合物の成分を例えば切断装置2で粉砕する工程と、例えばポンプ3、特に高圧ポンプで25~35MPaまで圧縮する工程と、供給原料ライン12を熱交換器4まで導いて水性多成分系混合物を摂氏200~300度まで加熱し、例えば分離器5によって単離された第一有価物質分画41を分離する工程と、供給原料ライン12を第二熱交換器4まで導いて圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400度まで加熱し、例えば第二分離器5によって分離された第二有価物質分画42を分離する工程と、供給原料ライン12を第三熱交換器4まで導いて圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度まで加熱し、例えば第三分離器5によって分離された第三有価物質分画43を分離する工程と、供給原料ライン12を反応器8へ導く工程とを有する。圧縮された水性多成分系混合物は、過熱器7により、最高摂氏700度、好ましくは摂氏600~680度に加熱され、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度に加熱するため、反応生成物は第三熱交換器4を通過して製品ライン13を通して導かれ、次に、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400度に加熱するため、反応生成物は第二熱交換器4を通過して製品ライン13を通して導かれ、次に、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱するため、反応生成物は第一熱交換器4を通過して製品ライン13を通して導かれ、次に、反応生成物を摂氏100度未満、好ましくは摂氏50度未満、特に好ましくは室温まで冷却するため、反応生成物は任意に1つ以上の冷却器14を通して導かれ、次に、弁6を通して膨張させ、分離のために、合成ガス45および水性残渣または水46が分離容器10に導入される。
【0056】
上述の機器は、斯かる目的のため、分離容器10を有していてもよい。機器は、合成ガスを分離するため、デミスター9を更に有していてもよい。機器は、ガス貯蔵増値15を更に有していてもよい。対応する機器は、図1図2、および図3に示される。
【0057】
上記方法は更に以下の工程、すなわち、合成ガス45および水性残渣または水46を分離するため、反応生成物を分離容器10に導入する工程を含んでもよい。
【0058】
合成ガス45は好ましくはデミスター9を通して分離される。まず、合成ガス45はガス貯蔵タンク15に移してもよい。まず、合成ガス45はガス貯蔵タンク15に移してもよい。この点に関連して言えば、合成ガス45は150~200バール以上の高圧下に回収されるのであるから、ガス貯蔵タンク15はエネルギー貯蔵庫でもある。このようにして得られる合成ガス45は、ガス貯蔵タンク15へ移してから、またはその前に、以下の方法で使用してもよい。
a)合成ガス45は発電用に使用可能である(例えば、熱電併給プラントへ供給されてもよい)。
b)水素はガス処理プラントで合成ガス45から分離し、例えば携帯用または産業アプリケーション用として使用してもよく、主にCO、CH、およびアルカンから成る残りの合成ガスは発電用に使用されてもよい。
c)合成ガスはメタノールなどの化学製品の製造に使用できる。
d)合成ガス45および本方法によって生じる廃熱は、蒸気などの有益熱の発生に使用できる。
【0059】
上記方法は更に以下の工程、すなわち、合成ガス45および水性残渣または水46を分離するため、反応生成物を分離容器10に導入する工程を含んでもよい。水46は、本発明の方法によって水噴射の形で回収されるのが好ましい。水46および水噴射は高圧下(例えば、150~200バール)でも得られる。一般的に、水46/水噴射の圧力は、合成ガス45の圧力よりも最高2%、好ましくは最高1.8%小さい。水性残渣または水46は、例えば以下のように処理されてもよい。
a)更に直接使用に供給される、あるいは排出される。
b)Mg2+、Ca2+、またはKなどの沈殿剤と混合する。リン酸塩および/またはアンモニウムは好ましくは分離器5を通して分離してもよい。
c)濾過し、更なる使用に供給される。
d)新しい供給原料31を希釈するのに使用できる。
【0060】
水の一部は新しい供給原料31を希釈するのに使用されるのが好ましい。斯かる目的のため、水46または水性残渣は循環水ライン16を通して再利用される。本発明の方法で得られる水46は排出できるように精製される。本方法の好ましい実施形態では、99%超、好ましくは99.5%超、特に好ましくは99.9容積%HOの純度の水46が得られる。本方法の特に好ましい実施形態では、99.999容積%HOの純度の水が得られる。好ましくは、このようにして得られる水46のほとんどは排出される、あるいは精製水として排出される。水46は高純度の故に排出可能である。
【0061】
本発明の方法は、優香物質が、超臨界条件下において、水性多成分系混合物から分離可能な少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つの有価物質分画に変換されるものとして特徴付けられる。本発明によれば、合成ガス45および水46を有する反応生成物も有価物質分画である。
【0062】
水性多成分系混合物の有機成分は超臨界条件下において分離され、熱化学ガス化により合成ガス45に変換される。有価物質の分離および単離の全方法工程は、少なくとも熱化学ガス化の方法工程までは超臨界条件下で反応器8内のみで行われるのが好ましい。この点に関して言えば、多成分系混合物の有機成分は、水の臨界点を超える圧力および温度(22.1MPaおよび摂氏374度)で超臨界水と共にガス化される。斯かる条件下では、超臨界水は容易に有機物質を溶解し、それと同時に無機塩が沈殿する。水の密度が200kg/cmの値を下回れば、斯かる効果は強化される。上記値はいわゆる仮臨界温度の少し上の温度で生じる。本方法は、水性多成分系混合物が少なくとも25MPaの圧力で加熱されることを特徴とする。多成分系混合物に含有される成分の異なる溶解度、例えば金属イオンや有機成分の溶解度が、超臨界条件での加熱中に有価物質分留を分離するのに利用される。
【0063】
第一有価物質分画41は、少なくとも25MPa、好ましくは最高35MPa並びに摂氏200~300度の温度で水性多成分系混合物から分離され、または沈殿し、その後、例えば分離器5および弁6を用いて単離できる。第一有価物質分画41において、固形物、例えば金属、固形ミネラル、砂、例えばカルシウム、例えば酸化物の形のケイ素などが強化される。第一有価物質分画41の有価物質は、例えば、カルシウム、ケイ素およびその酸化物、金属、および砂である。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な第一有価物質分画41である。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な第一有価物質分画41の使用である。
【0064】
第二有価物質分画42は、少なくとも25MPa並びに摂氏300~400度の温度で水性多成分系混合物から分離され、または沈殿し、その後、例えば第二分離器5および第二弁6を用いて単離できる。第二有価物質分画42において、金属塩、好ましくは固形または液体金属塩、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、カドミウム、鉛、またはマンガンを含む金属塩が強化される。第二有価物質分画42の有価物質は、例えば、塩形態の鉄、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、カドミウム、鉛、マンガンである。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な第二有価物質分画42である。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な第二有価物質分画42の使用である。
【0065】
第三有価物質分画43は、少なくとも25MPa並びに摂氏400~450度の温度で水性多成分系混合物から分離される、または沈殿する。第三有価物質分画43中の有価物質であるリン酸塩およびアンモニウムを完全に分離するには、Mg2+、Ca2+、K、Mg2+およびCa2+、Mg2+およびK、Ca2+およびK、並びにMg2+、Ca2+、およびKなどの沈殿剤32が添加されるものであり、それにより、第三有価物質分画43中のリン酸塩およびアンモニウムが完全に分離および単離される。この点に関して言えば、Mg2+、Ca2+、K、Mg2+およびCa2+、Mg2+およびK、Ca2+およびK、並びにMg2+、Ca2+、およびKは、リン酸塩および/またはアンモニウムを分離するための沈殿剤32として機能する。沈殿剤32は、沈殿剤を有するライン18を通して、供給原料ライン12に含まれる圧縮された水性多成分系混合物へ添加される(図2)。例えば、圧縮された水性多成分系混合物は分離器5に導入されてもよいし、沈殿剤32も分離器5へ導入されてもよい。本発明の1つの主題は、第三有価物質分画43に沈殿剤を添加することによる、本発明による方法で取得可能な第三有価物質分画43である。本発明の1つの主題は、第三有価物質分画43に沈殿剤を添加することによる、本発明による方法で取得可能な第三有価物質分画43の使用である。
【0066】
あるいは、沈殿剤32(例えば、Mg2+、Ca2+、K)を添加することなく、第三有価物質分画43中のリン酸塩およびアンモニウムの僅か一部が分離および単離され、リン酸塩およびアンモニウムのいくらかは溶液中に残ったままで、本方法の別の場所で分離されてもよい(図1および図3)。本発明の1つの主題は、第三有価物質分画43に沈殿剤を添加することのない、本発明による方法で取得可能な第三有価物質分画43である。本発明の1つの主題は、第三有価物質分画43に沈殿剤を添加することのない、本発明による方法で取得可能な第三有価物質分画43の使用である。リン酸塩および/またはアンモニウムの完全な分離は、第三有価物質分画に沈殿剤32を添加することにより実行されるか、あるいは反応生成物または取得された水性残渣または水46から実施される。
【0067】
合成ガス45および水46を含む第四有価物質分画において、リン酸塩および/またはアンモニウムは沈殿剤32の添加によって分離してもよい。例えば、反応生成物の冷却および減圧後、並びに合成ガス45の分離後、沈殿剤32が水溶液または水に添加される。あるいは、沈殿剤32は例えば反応器8へ添加してもよい(図3)。リン酸塩およびアンモニウムは、例えば、合成ガス45の分離後、Mg2+、Ca2+、K、Mg2+およびCa2+、Mg2+およびK、Ca2+およびK、並びにMg2+、Ca2+、およびKを添加することにより分離してもよい。第四有価物質分画中またはその直前(すなわち、熱化学ガス化後、並びに任意に合成ガス45の分離後)のリン酸塩およびアンモニウムの分離は、冷却および減圧後に(すなわち室圧および室温で)行ってもよい。本発明によれば、リン酸塩および/またはアンモニウムの分離は、本方法の種々の箇所で行ってもよい。リン酸塩および/またはアンモニウムの分離は沈殿剤32の添加を特徴とする。本発明によれば、リン酸塩およびアンモニウムの分離は、反応生成物の冷却および減圧後、好ましくは合成ガス45の単離後行うのが好ましい。
【0068】
斯かる目的のため、上述の機器は、沈殿剤32を添加するためのライン18を有していてもよい。
【0069】
好ましくは、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムが沈殿剤32として適切である。マグネシウム、および/またはカルシウム、および/またはカリウムを使用する場合、植物が利用できるリン酸アンモニウム(例えば、MAP)が直接得られ、それは肥料として直接使用可能である。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な植物が利用できる肥料(例えば、MAP)である。
【0070】
本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能な植物が利用できる肥料(例えば、MAP)の使用である。
【0071】
沈殿剤32としてのマグネシウムは、例えば、MgOまたはMgClの形で添加できる。この点に関して言えば、温度は、例えば、最高摂氏600度、好ましくは最高摂氏550度、特に好ましくは最高摂氏500度または摂氏400度、あるいはそれ未満(例えば、室温)であってよい。この場合、選択される温度は、Mg2+の添加が第三有価物質分画の分離前に行われるか、それとも冷却および反応生成物の膨張後に行われるかに依存する。Mg2+が第三有価物質分画の分離前に行われる場合、その後の添加は省いてもよい。同様に、リン酸塩およびアンモニウムの分離にはCa2+およびKを添加できる。分離には、Mg2+、Ca2+、およびKの異なる組成の混合物を使用してもよい。Mg2+および/またはCa2+および/またはKは、化学量論的な量を添加する、あるいは少し過剰に添加するのが好ましい。
【0072】
本発明の特に好ましい実施形態においては、リン酸アンモニウムマグネシウム(略して、「MAP」、またはストルバイトと呼ばれる)は有価物質分画で分離される。本発明の特に好ましい実施形態においては、植物が利用可能なMAP(MgNHPOx6HO)は第三有価物質分画および潜在的に第四有価物質分画で強化される(例えば、MgNHPOx6HO(9.9%Mg、7.3%NH、39.0%PO、43.8%HO))。この点に関して言えば、得られるMAPは化学的に純度の高い製品ではない。MAPの組成は、とりわけ、使用される供給原料および水性多成分系混合物の組成に依存する。有価物質分画において、1つ以上の化合物が、MAP、リン酸二水素カリウムKHPO、リン酸水素二アンモニウム(NHHPO、P、過リン酸塩、リン酸二水素カルシウム(Ca(HPO)、硫酸カルシウム2〔CaSOx2HO〕、二重過リン酸石灰、リン酸二水素カルシウム(Ca(HPO)、三重過リン酸石灰、リン酸水素二アンモニウム(NHHPO、リン酸二アンモニウム(リン酸二アンモニウム、DAP、18-46-0、約18%N、46%P、0%KO)、CaSi16(OH)x4HOから選択できる。有価物質素材分画(複数も可)で分離されるリン酸塩およびアンモニウムは水溶性で植物に容易に利用可能であるのが好ましい。MAPおよび他のリン酸塩アンモニウム化合物は、本方法により高い収率で得られる。斯かる化合物に含まれる有害物質は僅かであり、植物による利用可能性が良好なので、肥料および肥料製造の原料として理想的なほどに適している。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能なリン酸塩およびアンモニウム化合物である。本発明の1つの主題は本発明による方法で取得可能なリン酸塩およびアンモニウム化合物の使用である。
【0073】
本発明による方法で取得可能なリン酸塩およびアンモニウム化合物の使用も、本明細書に記載されている。
【0074】
特に下水汚泥の使用に関する更に厳しい規制の故に、農業目的で今後使用される下水汚泥は大幅に減少することは極めて明らかになりつつある。廃水および究極的には下水汚泥に含まれる栄養素(特にリン)は、他の方法により、定性的に高品質の形態で農業へ返還されるべきである。大量のリンがリン回収プログラムにより廃水から回収可能である。本方法は、植物により容易に利用可能な製品として、並びに少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%以上の高い効率で、リン酸アンモニウムマグネシウムおよび他のリン酸塩アンモニウム化合物を提供するものである。
【0075】
本発明の主題は、リン酸塩の分離、単離、および回収用の、または下水汚泥などの水性多成分系混合物から肥料を製造するための、本発明の方法の使用または本発明の機器の使用である。本発明の主題は、リン酸アンモニウムマグネシウム、リン酸アンモニウムカルシウム、リン酸アンモニウムカリウムを製造するための、本発明の方法の使用または本発明の機器の使用である。本方法は、水性多成分系混合物として廃水および/または下水汚泥から3つおよび/または4つの有価分画として取得される肥料、特に高品質のミネラル肥料、栄養素が植物によって容易に吸収される特に長期使用可能な肥料の製造に適している。本発明の主題は、肥料を製造するための、本発明の方法の使用または本発明の機器の使用である。
【0076】
栄養素が植物によって容易に吸収される肥料は「植物が利用可能な肥料」と呼ばれる。「植物が利用可能な肥料」とは、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%またはそれ以上の含有リン酸塩を植物が吸収可能な肥料を意味する。
【0077】
本発明の主題は、本発明の方法または本発明の機器によって製造可能な肥料、特に植物が利用可能な肥料、例えば少なくとも50重量%のMAPを含む肥料である。本発明の主題は、MAP、KHPO、(NHHPO、P、過リン酸塩、(Ca(HPO)、2〔CaSOx2HO〕、二重過リン酸石灰、(Ca(HPO)、三重過リン酸石灰、((NHHPO)、CaSi16(OH)x4HOから選択される1つ以上の化合物を有し、本発明の方法により、好ましくは本発明の機器を用いて製造可能な肥料である。
【0078】
本発明の方法は、下水汚泥を調整する既知の方法と比較すると、とりわけ、植物が利用可能なリン酸塩化合物が強化された有価物質分画が得られると言う意味で異なっている。第三および/または第四有価物質分画も栄養分画と呼ばれMg2+MAPの添加により強化されているが、特に重金属は含まないし、有毒な有機化合物や医薬的または生物学的に有害な物質は含まないので、例えば直接肥料として使用できると言う事実により特徴付けられる。
【0079】
有価物質分画または合成ガス内の「強化」と言う用語は、有価物質分画または合成ガスが実質的に1つ以上の有価物質から成ることを意味する。例えば、1つ以上の有価物質が、少なくとも50重量%または60重量%、好ましくは少なくとも70重量%または80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、あるいは95重量%以上存在することを意味する。
【0080】
有価物質は、例えば、金属、重金属、金属イオン、金属塩、金属酸化物、重金属イオン、重金属塩、重金属酸化物、例えば、鉄、鉄塩、アンモニウム、アンモニウム塩、ニッケル、ニッケル塩、亜鉛、亜鉛塩、カドミウム、カドミウム塩、鉛、鉛塩、チタン、チタン塩、水銀、水銀塩、錫、錫塩、マンガン、マンガン塩、モリブデン、モリブデン塩、コバルト、コバルト塩、リン、リン酸化物、リン酸塩、窒素、窒素酸化物、アンモニウム、砂などの形態のケイ素、砂などの形態のカルシウム、二酸化炭素およびメタンなどの形態の炭素、水素などである。本発明の主題は、本発明の方法によって製造可能な有価物質である。本発明の主題は、本発明の方法により製造可能な有価物質の使用である。
【0081】
本発明の主題は、鉄、アンモニウム、ニッケル、亜鉛、カドミウム、鉛、チタン、水銀、錫、マンガン、モリブデン、コバルト、金属合金、砂などの形態のケイ素、砂などの形態のカルシウムから選択される1つ以上の物質を有する第一有価物質分画41であり、第一有価物質分画が本発明の方法で製造できることを特徴としている。
【0082】
本発明の主題は、金属イオン、金属塩、金属酸化物、重金属イオン、重金属塩、重金属酸化物、例えば、鉄塩、アンモニウム塩、ニッケル塩、亜鉛塩、カドミウム塩、鉛塩、チタン塩、錫塩、マンガン塩、モリブデン塩、コバルト、コバルト塩から選択される1つ以上の物質を有する第二有価物質分画42であり、第二有価物質分画42が本発明の方法で製造できることを特徴としている。
【0083】
本発明の主題は、リン、リン酸化物、リン酸塩、窒素、窒素酸化物、アンモニウム、リン酸アンモニウムマグネシウム、リン酸アンモニウムカルシウム、リン酸アンモニウムカリウム、KHPO、(NHHPO、P、過リン酸塩、(Ca(HPO)、2〔CaSOx2HO〕、二重過リン酸石灰、(Ca(HPO)、三重過リン酸石灰、((NHHPO)、CaSi16(OH)x4HOから選択される1つ以上の物質を有する第三有価物質分画43であり、第三有価物質分画43が本発明の方法で製造できることを特徴としている。
【0084】
本発明の主題は、リン、リン酸化物、リン酸塩、窒素、窒素酸化物、アンモニウム、リン酸アンモニウムマグネシウム、リン酸アンモニウムカルシウム、リン酸アンモニウムカリウム、MAP、KHPO、(NHHPO、P、過リン酸塩、(Ca(HPO)、2〔CaSOx2HO〕、二重過リン酸石灰、(Ca(HPO)、三重過リン酸石灰、((NHHPO)、CaSi16(OH)x4HOから選択される1つ以上の物質を有する第四有価物質分画43であり、第四有価物質分画44が本発明の方法で製造できることを特徴としている。
【0085】
本発明の方法により、水性多成分系混合物に含有される有価物質は、4つ以上の有価物質分画に分離できる(換言すると、4つ以上の有価物質分画が反応器8における熱化学ガス化の処理工程を占める)。これは、有価物質がより小さい有価物質分画に分離および単離されることを意味している。斯かる目的のため、温度は小刻みな段階(例えば、50度の温度段階)で、最高摂氏600度、好ましくは最高摂氏550度へ上げられ、熱化学ガス化の方法工程までの4つ以上の有価物質分画が、それに対応して分離され、任意に単離され得る。斯かる方法により、それぞれの溶解度に応じ、有価物質分画中の異なる有価物質が、超臨界条件下で摂氏200~550度へ温度を上昇させることにより得られる請求項1記載の3つの有価物質分画と比較して少ない数だけ取得される。
【0086】
本方法の対応する調整は、当業者であれば容易に実行できる。
【0087】
本発明の主題は、生成される反応生成物、特に合成ガス45である。本発明の主題は、少なくとも80容積%、好ましくは少なくとも90容積%の二酸化炭素、メタン、および水素から成り、本発明の方法で製造可能な合成ガス45である。
【0088】
本発明の方法は、超臨界条件下で実行、その後、触媒を添加せず、酸素の存在しない状態で熱化学ガス化が行われると言う意味で既知の方法とは異なっている。斯かる反応条件により、反応生成物、特に合成ガス45および有価物質分画(これは既知の反応生成物とは異なっている)が得られる。
【0089】
本発明の方法では、閉鎖加熱サイクルの使用が好ましい。超臨界条件下(25~30MPaおよび摂氏600~700度)において熱化学ガス化により反応器8内で形成される反応生成物は、大きい熱エネルギーを有している。反応生成物の熱エネルギーは新しい供給原料31の加熱に使用されるのが好ましい。例えば、反応生成物は熱交換器4へ導かれ、圧縮された水性多成分系混合物の加熱に使用される。本方法の好ましい実施形態では、反応生成物は、反応器から製品ライン13を通って少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つの熱交換器4へ導かれ、圧縮された水性多成分系混合物の加熱に使用される。2つ、または3つ、あるいはそれ以上の熱交換器4が相互に縦方向に配列されているのが好ましく、反応生成物がそれを通して連続的に導かれ、熱エネルギーを放出し、その結果冷却される。反応生成物は、摂氏300~400度の圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550に加熱するため第一熱交換器4に導かれ、次に、摂氏200~300度の圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400に加熱するため第二熱交換器に導かれ、次に、最初の温度から摂氏200~300度へ圧縮された水性多成分系混合物を加熱するため、第三熱交換器へ導かれるのが特に好ましい。供給原料12内の圧縮された水性多成分系混合物の初期温度は摂氏0~50度、好ましくは摂氏15~30度、特に好ましくは摂氏約25度である。
【0090】
本発明の方法は、反応生成物を摂氏50度未満に冷却する工程を有する。反応生成物は、その後または同時に、1MPa未満、好ましくは0.5MPa未満に減圧(膨張)される。合成ガス45は、例えば反応器8内にある状態で、超臨界条件の下、水46に溶解している。水46および合成ガス45は、摂氏600度と700度との間の温度並びに25MPa超の圧力で1つの相を形成する。合成ガス45および水46は冷却および膨張により分離される。合成ガス45は更に分離および使用が可能である。例えば、本発明の方法は、合成ガス45から水素を分離する工程を有してもよい。例えば、本発明の方法は、合成ガス45から二酸化炭素を分離する工程を有してもよい。例えば、本発明の方法は、合成ガス45から水素を分離する工程を有してもよい。合成ガス45は、例えば、熱電併給プラント(CHP)で使用してもよい。得られた合成ガス45は、予めガス貯蔵タンク15へ移すことにより、あるいは斯かる工程を経ずに、例えば以下のような方法で使用可能である。合成ガス45は、例えば、発電して、電気を熱電併給プラント(CHP)へ供給するのに使用できる。水素をガス処理プラントで合成ガス45から分離し、例えば、携帯用または産業アプリケーション用に使用してもよいし、あるいは主にCO、CH,およびアルカンから成る残りの合成ガスを発電用として任意に使用してもよい。メタノールなどの化学製品を製造するのに合成ガスを使用してもよい。合成ガス45および本方法からの廃熱を有益熱(例えば、蒸気)を生成するのに使用してもよい。水性残渣、水46、または水噴射は、例えば、更なる直接使用に供給されたり、排出されたりしてもよいし、Mg2+、Ca2+、Kなどの沈殿剤と混合し、分離したリン酸塩および/またはアンモニウムを好ましくは分離器を通して単離し、濾過して更なる使用に供給したり、排出したりしてもよいし、新しい供給原料31の希釈に使用してもよい。
【0091】
本発明の1つの主題は、ポンプ3と、熱交換器4と、過熱器7を有する反応器8と、分離器5とを有する機器において、水性多成分系混合物から有価物質の分留分離を行う方法であり、その方法において、水性多成分系混合物はポンプによって当該機器へ送られ、25~35MPaに圧縮され、圧縮された水性多成分系混合物は摂氏200~300度に加熱され、固形物が強化された第一有価物質分画41が分離され、圧縮された水性多成分系混合物は更に摂氏300~400度に加熱され、金属塩が強化されている第二有価物質分画42が分離され、圧縮された水性多成分系混合物は更に摂氏400~550度に加熱され、リン酸塩およびアンモニウムが強化された第三有価物質分画43が分離され、反応器8内の圧縮された水性多成分系混合物は最高摂氏700度に加熱され、この温度および25~30MPaの圧力が反応器8内で1~5分、好ましくは2~3分維持され、形成された反応生成物は1つ以上の熱交換器4を通過させることにより冷却し、摂氏50度未満、好ましくは摂氏30度未満の温度で、冷却された反応生成物を1MPa未満、好ましくは0.5MPa未満に減圧して、反応生成物を合成ガス45および水46に分離し、合成ガス45および水46は別々に集められ、次に、沈殿剤32が、水並びにリン酸塩およびアンモニウムが強化された第四有価物質分画に任意に添加され、分離器4によって分離される。
【0092】
本方法において、形成された反応生成物は、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度に加熱するため、製品ライン13によって熱交換器4を通して導かれ、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400度に加熱するため、製品ライン13を通して第二熱交換器4に導かれ、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱するため、製品ライン14を通して更なる熱交換器4に導かれ、その結果、反応生成物が冷却されるのが好ましい。
【0093】
ポンプ3の閉塞を防止するため、水性多成分系混合物内の成分は、25~30MPaに圧縮される前に、平均直径5mm未満、好ましくは3mm未満、特に好ましくは2mm未満、あるいは1mmを有する粒子に粉砕される。斯かる目的のためには、切断装置2が使用できる。
【0094】
本発明の主題は、本発明の方法を実施するための機器でもある。本発明の主題は、貯蔵タンク1と、切断装置2と、ポンプ3と、少なくとも3つの熱交換器4と、有価物質分画を分離するための分離器5と、弁6と、過熱器7を有する少なくとも1つの反応器8と、デミスター9と、分離容器10と、合成ガスライン11と、供給原料ライン12と、製品ライン13と、冷却器14と、ガス貯蔵装置15と、循環水ライン16と、発電装置17と、沈殿剤用のライン18とを有する機器である。本発明の主題は、本発明の方法を実施するための機器でもある。本発明の主題は、貯蔵タンク1と、切断装置2と、ポンプ3と、少なくとも3つの熱交換器4と、有価物質分画を分離するための分離器5と、弁6と、過熱器7を有する少なくとも1つの反応器8と、デミスター9と、分離容器10と、合成ガスライン11と、供給原料ライン12と、製品ライン13と、冷却器14と、ガス貯蔵装置15と、循環水ライン16と、発電装置17と、沈殿剤用のライン18とを有しており、圧縮された水性多成分系混合物を反応器8内で最高摂氏700度に加熱することにより形成される反応生成物が、製品ライン13に戻され、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏400~550度に加熱するため、熱交換器4を通して導かれ、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏300~400度に加熱するため、製品ライン13内を第二熱交換器4に導かれ、圧縮された水性多成分系混合物を摂氏200~300度に加熱するため、製品ライン14を通して更なる熱交換器4に導かれることを特徴としている。
【0095】
本発明の主題は、図1図2、および図3に記載されるような、機器の実施形態である。
【0096】
本発明の主題は、水性多成分系混合物を受け取るための貯蔵タンク1と、水性多成分系混合物を供給するための供給原料ライン12と、水性多成分系混合物を粉砕するための切断装置2と、水性多成分系混合物を圧縮するためのポンプ3と、水性多成分系混合物を最高摂氏550度に加熱するための少なくとも3つの熱交換器4と、第一から第三有価物質分画41、42、43を分離するための少なくとも3つの分離器5と、有価物質分画を分離するための弁6と、ポンプ3と、沈殿剤32を第三分離器5へ添加するための沈殿剤用のライン18とを有する機器である。
【0097】
本機器は、反応生成物を製造するための過熱器7を有する少なくとも1つの反応器8と、反応生成物を供給するための製品ライン13と、任意に、反応生成物を摂氏50度まで冷却するための冷却器14と、反応生成物を膨張させるための少なくとも1つの弁6と、合成ガス45を分離するためのデミスター9を有する少なくとも1つの分離容器10と、更なる使用のために合成ガス45を移送するための合成ガスライン11と、任意に、合成ガス45を一時的に貯蔵するためのガス貯蔵装置15とを更に有していてもよい。
【0098】
本機器は、第四分離器5と、少なくとも1つのポンプ3と、第四有価物質分画44を分離するために、第四分離器5へ沈殿剤18を導入するための沈殿剤用ライン18と、任意に、第四有価分画44を分離するための更なる分離器5と、任意に、循環水ライン16と、任意に、発電装置17とを更に有していてもよい。
【0099】
例えば、ピストンポンプが本機器のポンプ3として適している。例えば、サイクロンが本機器の分離器4として適している。圧縮された水性多成分系混合物を急速に加熱するには、熱交換器4が使用されるであろう。
【0100】
本発明の方法における水性多成分系混合物の超臨界状態は、22.1MPa超の圧力および摂氏374度超の温度で生じる。本方法において、少なくとも25MPaの圧力が使用される。この点に関して言えば、システムの圧力は同レベルに維持されるのが好ましい。これは弁6、特に圧力補償弁によって保証される。圧力補償弁は機器の1つ以上の箇所に配置されてもよく、それによって圧力の均等化が調整され、圧力レベルの維持が達成される。新しい供給原料31(水性多成分系混合物)が供給され、反応生成物(水46および合成ガス45)が形成され、更に有価物質分画41、42、および43が排出される。
【0101】
超臨界条件下において、イオン溶解度は温度に依存して変化し、同時に、水は極性溶媒から非極性溶媒へ変化する。斯かる超臨界水の特性は、水性多成分系混合物から有価物質の分留分離を行うのに使用される。その結果、下水汚泥や水性有機廃棄物などの水性多成分混合物は完全に有価物質成分に分解され、分離された分画は、有価物質循環で更に使用されるために移送される。
【0102】
本発明の方法において、水性多成分系混合物はより小さい有価物質分画への分割が可能である。有価物質分画の強化が4つ以上の段階で実行され、本方法では、少なくとも25MPaの圧力においてより小さい温度間隔が選択されるので、強化された有価物質がより小さい分画に分離される。例えば、温度は摂氏200度から開始され、50度毎に上昇させてもよい。従って、より少ない数の異なる有価合物質を含有するより多くの有価物質分画が得られる。限定された例においては、個々の有価物質が相互に別々に強化されるように、小さい温度間隔が選択される。
【0103】
本発明は以下の図面でより詳細に記載される。しかし、図面は本発明を斯かる実施形態に制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】本発明の方法を実施するための機器を示す図である。
図2】本発明の方法を実施するための機器を示す図である。
図3】本発明の方法を実施するための機器を示す図である。
【0105】
図1は、貯蔵タンク1と、切断装置2と、ポンプ3と、供給原料ライン12と、熱交換器4と、分離器5と、弁6と、過熱器7を有する反応器8と、製品ライン13と、冷却器/乾燥器14と、ガス貯蔵装置15と、循環水ライン16と、発電装置17(例えば、ガスタービン)と、熱電併給プラントと、沈殿剤を有するライン18とを有する、本発明の方法を実施するための機器を示している。貯蔵タンク1は供給原料31で充填される。第一有価分画41、第二有価分画42、第三有価分画43、および第四有価分画44は弁を通して回収される。水46は排出されてもよいし、循環水ライン16へ供給されてもよい。合成ガス45はガス貯蔵装置15で集められ、発電装置17を通して電流47に変換される。第四有価物質分画44において合成ガス45を反応生成物から分離した後、ポンプ3および沈殿剤を有するライン18を通して沈殿剤32の添加が行われる。
【0106】
図2は、貯蔵タンク1と、切断装置2と、ポンプ3と、供給原料ライン12と、熱交換器4と、分離器5と、弁6と、過熱器7を有する反応器8と、製品ライン13と、冷却器/乾燥器14と、ガス貯蔵装置15と、循環水ライン16と、発電装置17(例えば、ガスタービン)と、熱電併給プラントと、沈殿剤を有するライン18とを有する、本発明の方法を実施するための機器を示している。貯蔵タンク1は供給原料31で充填される。第一有価分画41、第二有価分画42、第三有価分画43、および第四有価分画44は弁を通して回収される。水46は排出されてもよいし、循環水ライン16へ供給されてもよい。合成ガス45はガス貯蔵装置15で集められ、発電装置17を通して電流47に変換される。第三分離器5内で圧縮された供給原料31に沈殿剤を添加することにより、第三有価物質分画において、ポンプ3および沈殿剤を有するライン18を通して沈殿剤32の添加が行われる。
【0107】
図3は、貯蔵タンク1と、切断装置2と、ポンプ3と、供給原料ライン12と、熱交換器4と、分離器5と、弁6と、過熱器7を有する反応器8と、製品ライン13と、冷却器/乾燥器14と、ガス貯蔵装置15と、循環水ライン16と、発電装置17(例えば、ガスタービン)と、熱電併給プラントと、沈殿剤を有するライン18とを有する、本発明の方法を実施するための機器を示している。貯蔵タンク1は供給原料31で充填される。第一有価分画41、第二有価分画42、第三有価分画43、および第四有価分画44は弁を通して回収される。水46は排出されてもよいし、循環水ライン16へ供給されてもよい。合成ガス45はガス貯蔵装置15で集められ、発電装置17を通して電流47に変換される。反応器8において、ポンプ3および沈殿剤18を有するライン18を通して沈殿剤32の添加が行われ、弁6を通して第四有価物質分画44の分離が行われる。
【0108】
本明細書の記載において、同一部分および等価部分には同一の参照番号が使用されている。
【0109】
上述の構成部分はそれ自体個別に考慮されてもよいし、任意の組み合わせで考慮されてもよく、特に図面に記載されている詳細は本発明にとって重要なものとして特許請求されているものであることは、この段階で強調しておくべき点である。それら構成部分の変形物は当業者には馴染みのあるものである。
【符号の説明】
【0110】
本方法を実行するための機器
1.貯蔵タンク
2.切断装置
3.ポンプ
4.熱交換器
5.分離器
6.弁
7.加熱器
8.反応器
9.デミスター(液滴分離器)
10.分離容器
11.合成ガスライン
12.供給原料ライン
13.製品ライン
14.冷却器/乾燥器
15.ガス貯蔵装置
15.循環水ライン
16.電流発生器(ガスタービン/熱電併給プラント)
18.沈殿剤用ライン
供給原料
31.供給原料、特に水性多成分系混合物
32.沈殿剤
有価物質
41.第一有価物質分画
42.第二有価物質分画
43.第三有価物質分画
44.第四有価物質分画
45.合成ガス
46.水
47.電流
図1
図2
図3