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特許7090717補強土構造のための対面要素を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】補強土構造のための対面要素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/18 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
E02D17/18 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020542506
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2018078123
(87)【国際公開番号】W WO2019076837
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/001445
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】520141069
【氏名又は名称】テール・アルメ・アンテルナシヨナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤシン・ベナニ・ブラオウリ
(72)【発明者】
【氏名】マテュー・アルシー
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-516523(JP,A)
【文献】特開平09-165762(JP,A)
【文献】特開2000-240191(JP,A)
【文献】特開2001-129817(JP,A)
【文献】米国特許第05651911(US,A)
【文献】特開2000-246716(JP,A)
【文献】特表2018-520282(JP,A)
【文献】特開2006-152790(JP,A)
【文献】特表2013-524043(JP,A)
【文献】実開平07-025035(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強土構造(100)のための対面要素(10)を製造する方法であって、
モールド(30)にボイドフォーマーを配置するステップであって、前記ボイドフォーマーは、可撓性材料からなる少なくとも1つのインサート(1)を含み、少なくとも1つの前記インサートは、前記モールド内のコア領域の周りにループを形成する、ステップと、
鋳造材料が対面要素のための所定の体積を満たすように前記鋳造材料を流体状態で前記モールド内へ添加するステップであって、前記所定の体積が前記コア領域を含む、ステップと、
前記鋳造材料を硬化させて前記対面要素(10)を形成するステップと、
前記モールドから前記対面要素を、および前記対面要素から前記ボイドフォーマーを除去するステップと、
を含んでなる、補強土構造(100)のための対面要素(10)を製造する方法において、
前記対面要素は、硬化した前記鋳造材料によって前記コア領域に形成されたアンカーコア(15)を含み、
前記ボイドフォーマーを除去するステップが、少なくとも1つの前記インサート(1)を前記対面要素(10)の後面(13)から引き離すステップを含み、少なくとも1つの前記インサートの前記可撓性材料は、引っ張られている間、前記アンカーコア(15)の周りで変形することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アンカーコア(15)は、前記補強土構造(100)の補強部材(11)のループ部分(11A)と接触するように配置された荷重伝達表面(15A)を有し、前記ループ部分の両側で、前記補強部材が前記アンカーコアと接触せず、前記対面要素(10)の前記後面(13)から突出する2つのそれぞれの張力部分(11B、11C)を含むようになっており、
前記鋳造材料が添加されて硬化するとき、可撓性材料からなる、前記ボイドフォーマーの単一のインサートが前記アンカーコアの前記荷重伝達表面に沿って連続的に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対面要素(10)が、前記ボイドフォーマーによって成形されて前記対面要素の前記後面(13)上に開口した、前記アンカーコア(15)の周りのチャネル(20)を有し、
前記アンカーコアの前側に位置する前記チャネルの一部(18)が一定の断面を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
一定の断面を有する前記チャネル(20)の前記一部(18)が、前記チャネルの長さの半分を超えて延びていることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ボイドフォーマーの少なくとも1つの前記インサート(1)が、第1の端部(2)と、前記第1の端部の反対側の第2の端部(3)と、前記第1の端部(2)から前記第2の端部(3)へ減少する厚さと、を有し、
少なくとも1つの前記インサート(1)が、前記第1の端部(2)を介して前記対面要素(10)の前記後面(13)から引き離されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記ボイドフォーマーの少なくとも1つの前記インサート(1)が内部骨組み(6)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コア領域の周りの前記モールド(30)に管状部材(70)が配置され、前記管状部材が、少なくとも1つの前記インサート(71)によって形成された前記ループによって包囲されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ボイドフォーマーが、前記管状部材(70)および少なくとも1つの前記インサート(71)を前記モールド内の定位置に保持する支持構造(72)をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ボイドフォーマーの少なくとも1つの前記インサートが、前記管状部材(70)と前記支持構造(72)の内面との間に維持された少なくとも1つの可撓性ストリップ(71)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
可撓性材料からなる少なくとも1つの前記インサート(1)が中空であり、
前記モールドに前記ボイドフォーマーを配置するステップは、少なくとも1つの前記インサート内へ流体媒体を圧力下で注入するステップを含み、
前記ボイドフォーマーを除去するステップは、前記ボイドフォーマーの少なくとも1つの前記インサートにおける圧力を解放するステップを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
可撓性材料からなる、前記ボイドフォーマーのインサート(1)が、第1のコネクタ部(41)が設けられた端部(2、3)を有し、
第2のコネクタ部(42、43、44)が前記第1のコネクタ部(41)と協働して、前記鋳造材料が添加されて硬化するとき、前記コア領域の周りの前記モールド(30)における定位置に前記インサート(1)を維持し、
前記ボイドフォーマーを除去するステップは、前記第1および第2のコネクタ部を互いに分離するステップを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ボイドフォーマーは、第1および第2の端部(2、3)と、前記第1の端部(2)から前記第2の端部(3)へ減少する厚さと、を有する可撓性材料からなる1つのインサート(1)と、を含み、
前記モールド(30)に前記ボイドフォーマーを配置するステップは、前記対面要素の前記後面(13)に合致する前記モールド(30)の表面に隣接して前記インサートの前記第1および第2の端部(2、3)の両方を配置して前記コア領域の周りに前記ループを形成するステップを含み、
前記ボイドフォーマーを除去するステップは、前記インサート(1)をその前記第1の端部(2)を介して後面(13)から引き離すステップを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ボイドフォーマーの少なくとも1つの前記インサート(1A、1B)が、可撓性材料の複数の重ね合わせられた層(60A、60B)を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対面要素(10)は、前記ボイドフォーマーによって成形されて前記対面要素の後面上に第1および第2の開口(21、22)を有する、前記アンカーコア(15)の周りのチャネルを有し、
可撓性材料の複数の重ね合わせられた前記層が、前記ボイドフォーマーが除去されるときに前記チャネル(20)の前記第1の開口(21)を通して引っ張られる少なくとも1つの層(60A)と、前記ボイドフォーマーが除去されるときに前記チャネルの前記第2の開口(22)を通して引っ張られる少なくとも1つの層(60B)と、を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の開口(21)を通して引っ張られる可撓性材料の層(60A)が、前記第1の開口からその遠位端に向かって減少する厚さを有する一方、前記第2の開口(22)を通して引っ張られる可撓性材料の層(60B)が、前記第2の開口からその遠位端に向かって減少する厚さを有し、前記チャネル(20)の少なくとも一部が一定の断面を有するようにすることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強土構造のための対面要素を製造する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
安定化された土壌構造は、締固め埋戻し材、複数の対面要素からなる表面、および対面要素の裏側に通常接続された補強材を組み合わせている。補強材は、補強土構造にかかるかもしれない応力に応じた密度で締固め埋戻し材に配置されている。補強材と埋戻し材との間の摩擦によって土壌におけるスラスト力が平衡している。
【0003】
補強土構造において用いられる対面要素はしばしば、その構造の前面を覆うように配置された、事前製造されたコンクリートパネルまたはブロックの形態である。
【0004】
補強材は、埋戻し材に配置されたストリップの形態であり得る。これらは、いくつかの形態をとり得るアンカー要素によって対面要素に固定されている。たとえば、これらは、対面要素の本体に形成されてアンカーコアを包囲する、実質的にC形状の中空湾曲部分、またはチャネルであり得る。補強材は次いで対面要素のチャネルの内側に導入されてアンカーコアの周りにループを形成する。
【0005】
補強土構造が完成すると、補強材は、場合によっては数トンまでの高負荷を伝達する。これらの対面要素への接続は、構造の結合を維持するために、堅牢である必要がある。
【0006】
対面要素におけるアンカー要素の製造は、対面要素にその形状を与えるモールドに挿入されるボイドフォーマーの使用を伴う。コンクリートまたは何らかの他の鋳造材料がモールド内へ流し込まれて、ボイドフォーマーが占める体積を除く所定の体積を満たす。これにより、鋳造材料が硬化すると、アンカー要素を形成するチャネルが作製される。
【0007】
欧州特許出願公開第2372027号(特許文献1)は、補強ストリップによって加えられる荷重に対するアンカーコアの堅牢性を向上させる対面要素の後面に形成されるチャネルの形状を議論している。
【0008】
欧州特許第1662050号(特許文献2)および国際公開第2017/006043号(特許文献3)において、ボイドフォーマーはモールドに配置される中空のプラスチックスリーブであり、これは、コンクリートが硬化すると、そこに埋め込まれたままになる。このようなスリーブは、回収して複数回用いることができないため、対面要素の製造コストに影響を与える。また、何らかの鋳造材料が誤ってスリーブに入れば、対面要素は使用不能になる。
【0009】
米国特許第5,651,911号(特許文献4)および米国特許第7,127,859号(特許文献5)は、コンクリート要素の事前製造において鋼製アンカーの周りにチャネルを形成するための除去可能インサートを開示している。しかしながら、補強土の用途においては、金属部品は腐食を引き起こす可能性があるため、その使用は可能な限り回避すべきである。アンカーコアがコンクリートからなるとき、補強材によって加えられる高い引っ張り荷重に耐えられるよう、その断面積を大きくしなければならず、これら2つの文献に開示されたような除去可能インサートは用いることができない。
【0010】
米国特許第5,839,855号(特許文献6)および欧州特許第2850251号(特許文献7)は、対面要素が鋳造されるとき互いにに接合され、コンクリートが固まると次いで切断、回転および除去される、剛性材料からなる2つの半体を含むボイドフォーマーを用いることを開示している。ボイドフォーマーは、対面要素とともに鋳造されたコンクリートコアの周りにチャネルを形成する。各半体は、コンクリートが硬化するとボイドフォーマーを除去することが可能になるよう、対面要素の裏側に向かってチャネルの断面を徐々に拡大する変化する断面を有する。このような鋳造アセンブリの欠点は、ボイドフォーマーの2つの半体間の接合部でアンカーコア上に分割線または他の表面欠陥を作製する可能性があることである。このような欠陥は、時間の経過とともに補強材に損傷を与える可能性がある摩擦を引き起こす。欧州特許第2850251号(特許文献7)による対面要素の製造は、鋳造アセンブリの取り付けおよび取り外しに、両部品を接続/切断してチャネルから除去するいくつかのステップが要求されるため、高価なままである可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第2372027号明細書
【文献】欧州特許第1662050号明細書
【文献】国際公開第2017/006043号公報
【文献】米国特許第5,651,911号明細書
【文献】米国特許第7,127,859号明細書
【文献】米国特許第5,839,855号明細書
【文献】欧州特許第2850251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
補強土構造において用いられる対面要素にアンカー要素を製造する、より簡易な信頼できる解決策を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
補強土構造のための対面要素を製造する方法が開示される。この方法は、
モールドにボイドフォーマーを配置するステップであって、ボイドフォーマーは、可撓性材料からなる少なくとも1つのインサートを含み、少なくとも1つのインサートは、モールド内のコア領域の周りにループを形成する、ステップと、
鋳造材料がコア領域を含む対面要素のための所定の体積を満たすように鋳造材料を流体状態でモールド内へ添加するステップと、
鋳造材料を硬化させて対面要素を形成するステップと、
モールドから対面要素を、および対面要素からボイドフォーマーを除去するステップと、
を含む。
【0014】
対面要素は、硬化した鋳造材料によってコア領域に形成されたアンカーコアを含む。ボイドフォーマーを除去するステップは、少なくとも1つのインサートを対面要素の後面から引き離すステップを含み、少なくとも1つのインサートの可撓性材料は、引っ張られている間、アンカーコアの周りで変形する。
【0015】
補強土構造の補強部材を受けるチャネルの形状は、アンカーコアを成形し、容易に除去して、必要であれば、再利用して他の対面要素を作製することができる可撓性インサートによって画定される。可撓性インサートは、ボイドフォーマーが除去されている間、ベルトの方法で容易に引っ張られて変形する。
【0016】
アンカーコアは、補強土構造の補強部材のループ部分と接触するように配置された荷重伝達表面を有することができ、ループ部分の両側で、補強部材がアンカーコアと接触せず、対面要素の後面から突出する2つのそれぞれの張力部分を含むようになっている。有利なことに、このような構成において、鋳造材料が添加されて硬化するとき、可撓性材料からなる、ボイドフォーマーの単一のインサートがアンカーコアの荷重伝達表面に沿って連続的に延びることができる。
【0017】
一実施形態において、対面要素は、ボイドフォーマーによって成形されて対面要素の後面上に開口した、アンカーコアの周りのチャネルを有し、アンカーコアの前側に位置するチャネルの一部が一定の断面を有する。一定の断面を有するチャネルの部分は、チャネルの長さの半分を超えて延びることができる。
【0018】
あるいは、ボイドフォーマーの少なくとも1つのインサートは、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の端部から第2の端部へ減少する厚さと、を有する。少なくとも1つのインサートは、第1の端部を介して対面要素の後面から引き離される。
【0019】
一実施形態において、ボイドフォーマーの少なくとも1つのインサートは内部骨組みを有する。
【0020】
一実施形態において、コア領域の周りのモールドに管状部材が配置され、管状部材は、少なくとも1つのインサートによって形成されたループによって包囲されている。ボイドフォーマーは、管状部材および少なくとも1つのインサートをモールド内の定位置に保持する支持構造をさらに含むことができる。ボイドフォーマーの少なくとも1つのインサートは、管状部材と支持構造の内面との間に維持された少なくとも1つの可撓性ストリップを含むことができる。
【0021】
一実施形態において、可撓性材料からなる少なくとも1つのインサートは中空であり、モールドにボイドフォーマーを配置するステップは、少なくとも1つのインサート内へ流体媒体を圧力下で注入するステップを含み、ボイドフォーマーを除去するステップは、ボイドフォーマーの少なくとも1つのインサートにおける圧力を解放するステップを含む。
【0022】
一実施形態において、可撓性材料からなる、ボイドフォーマーのインサートが、第1のコネクタ部が設けられた端部を有し、第2のコネクタ部が第1のコネクタ部と協働して、鋳造材料が添加されて硬化するとき、コア領域の周りのモールドにおける定位置にインサートを維持し、ボイドフォーマーを除去するステップは、第1および第2のコネクタ部を互いに分離するステップを含む。
【0023】
ボイドフォーマーが可撓性材料からなる1つのインサートを含むとき、インサートは、第1および第2の端部と、第1の端部から第2の端部へ減少する厚さと、を有することができる。モールドにボイドフォーマーを配置するステップはこのとき、対面要素の後面に合致するモールドの表面に隣接してインサートの第1および第2の端部の両方を配置してコア領域の周りにループを形成するステップを含むことができる。ボイドフォーマーを除去することはこのとき、インサートをその第1の端部を介して後面から引き離すことによって容易になる。
【0024】
この方法の一実施形態において、ボイドフォーマーの少なくとも1つのインサートは、可撓性材料の複数の重ね合わせられた層を含む。対面要素は、ボイドフォーマーによって成形されて対面要素の後面上に第1および第2の開口を有する、アンカーコアの周りのチャネルを有し、可撓性材料の複数の重ね合わせられた層は、ボイドフォーマーが除去されるときにチャネルの第1の開口を通して引っ張られる少なくとも1つの層と、ボイドフォーマーが除去されるときにチャネルの第2の開口を通して引っ張られる少なくとも1つの層と、を含むことができる。第1の開口を通して引っ張られる可撓性材料の層が、第1の開口からその遠位端に向かって減少する厚さを有することができる一方、第2の開口を通して引っ張られる可撓性材料の層が、第2の開口からその遠位端に向かって減少する厚さを有し、チャネルの少なくとも一部が一定の断面を有するようにする。
【0025】
本明細書に開示される方法および装置の他の特徴および利点が、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】対面要素に接続された補強材を備えた対面要素を含む補強土構造の概略断面図である。
図2】対面要素およびそのアンカーコアの概略断面図である。
図3a】本発明の一実施形態において使用可能な可撓性インサートの概略断面図である。
図3b】本発明の一実施形態において使用可能な可撓性インサートの斜視図である。
図4】可撓性インサートの他の例の概略断面図である。
図5】可撓性インサートの他の例の概略断面図である。
図6】可撓性インサートの他の例の概略断面図である。
図7】本発明の他の実施形態によるボイドフォーマーの概略断面図である。
図8】本発明の他の実施形態によるボイドフォーマーの概略断面図である。
図9】可撓性インサートの他の一例の概略断面図である。
図10】本発明の他の一実施形態において使用可能な可撓性インサートの概略断面図である。
図11】本発明の他の一実施形態において使用可能な可撓性インサートの斜視図である。
図12】代替ボイドフォーマーの概略断面図である。
図13】代替ボイドフォーマーの概略断面図である。
図14】代替ボイドフォーマーの概略断面図である。
図15】代替ボイドフォーマーの概略断面図である。
図16a】本発明の一実施形態によるボイドフォーマーの他の一例の概略図である。
図16b】本発明の一実施形態によるボイドフォーマーの他の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
明確化のため、これらの図上に表された特徴の寸法は、対応する要素の実際の大きさの比率に必ずしも対応していないことがある。図上の同様の参照番号は、同様の要素または品目に対応する。
【0028】
本発明は、補強土構造において用いられることを意図した対面要素の製造中に生じる問題に対処する。より具体的には、本発明は、再利用可能なインサートを用いることによって、対面要素の裏側でアンカーを作製する簡易、便利で費用効率的な方法を提供する。
【0029】
図1は、補強土構造100の概略断面図である。この構造は、壁を形成するように配置することができる対面要素10からなる前面を含む。対面要素10の背後には埋戻し材12が配置されている。対面要素の後面13に固定されて埋戻し材12内へ延びる補強材11の使用で、対面要素10と埋戻し材12との間の安全な接続が保証されている。
【0030】
補強材11は通常、合成材料のストリップの形態である。一例において、補強ストリップ11は、可撓性ポリエチレンマトリックスに埋め込まれたポリエステル繊維に基づく。ジオテキスタイルグリッド、ウェブまたはストリップのような、他の種類の補強材を用いることができる。
【0031】
図2に示すように、補強ストリップ11の固定は、アンカーコア15の周りの対面要素10のコンクリート本体に形成された略C形状のチャネル20によって行われる。チャネル20は、コンクリート本体の後面13と前面14との間に位置する。これは、第1および第2の開口21、22で後面13上に開口している。第1および第2の開口21、22間で、アンカーコア15の前側に位置するチャネル20の部分18が、補強ストリップ11がループを形成するループ部分である。
【0032】
チャネル20のループ部分18において、アンカーコア15は、補強土構造の補強ストリップ11のループ部分11Aと接触する荷重伝達表面15Aを有する。ループ部分11Aの両側で、補強ストリップ11はアンカーコア15と通常接触しておらず、対面要素10の後面13から突出して埋戻し材12内へ延びる2つの張力部分11B、11Cを含む。埋戻し材の荷重により、部分11B、11Cに張力が加えられる。これは、アンカーコア15に荷重を伝達するループ部分11Aに加えられる圧縮力に変換される。
【0033】
アンカーコア15は、伝達された荷重を受け取るために頑丈でなければならない。アンカーコア15がコンクリートからなるとき、その断面は実体的でなければならないが、コンクリート対面要素10の全体的な厚さが過度に高くならないことも望ましい。したがって、製造上の制約を念頭に置きながら、チャネル20の形状の何らかの最適化が行われるべきである。
【0034】
図2に示す実施形態において、チャネル20のループ部分18は一定の断面を有する。対面要素の製造プロセスは、以下でより詳細に説明するが、ループ部分18の断面が開口21、22に向かって広くなることを必要としない(このような拡大も可能であるが)。たとえば、一定の断面は、補強ストリップ11よりわずかに厚くなるように選択されてそのチャネル20内への挿入を可能にしている。しかしこれは比較的薄いままにすることができ、これは堅牢なアンカーを提供するのに有利である。特に、この製造プロセスはもはやチャネルを広げる理由にはならない。
【0035】
対面要素にその形状を与えるモールドに鋳造材料、通常コンクリートを流し込むことによって対面要素が製造される。鋳造材料の硬化後、対面要素10をそのモールドから除去することができる。
【0036】
チャネル20およびアンカーコア15を作製するため、図3図16に示すものの1つのようなボイドフォーマーが用いられる。好ましくは、ボイドフォーマーは再利用可能な鋳造要素であり、すなわちこれを用いて対面要素10を作製すると、これを回収し、再度用いて他の同様の対面要素10を作製することができる。
【0037】
図3aおよび図3bに示すように、ボイドフォーマーは、第1の端部2および第2の端部3を有する一体のみからなる可撓性材料のインサート1の形態とすることができる。インサート1の幅Lは補強ストリップ11の幅よりわずかに大きい。インサートは、アンカーコア15の意図された形状に対応するコア領域の周りにループを形成するようにモールドに配置される。
【0038】
第1の、非ひずみ状態において、可撓性インサート1は、図3bに斜視図で示す第1の形状31を有し、端部2、3は互いに離間している。第1の端部2での可撓性インサート1の断面は第2の端部3より大きい。これにより、対面要素10に形成されるべきチャネル20の第1の開口21に適切な、たとえば適切な開口角度α(図2)を備えた形状を第1の端部2により与えることが可能になる。また、端部2でのより大きな断面により、対面要素10が鋳造された際のボイドフォーマーの取り出しを容易にすることができるグリップ部が提供される。対面要素が鋳造された後、ボイドフォーマーは、たとえば端部2によって提供されるグリップ部に引っ張り力をかけることによって、それをチャネル20から引き出すことによって取り出される。
【0039】
他の実施形態(図示せず)において、可撓性インサート1の第1の端部2の断面は第2の端部3と同様である。その場合、支持構造を第1の端部2に取り付けて、第1の開口21の適切な形状、特に十分な開口角度αを提供することができる。
【0040】
図3aに示すように、可撓性インサートは第2の形状32へと曲げることができ、第2の端部3は第1の形状31のときより第1の端部2に近づく。この第2の形状32において、可撓性インサート1はひずみ状態に維持され、鋳造対面要素10のチャネル20に合致する体積を占める。可撓性インサート1は、チャネル20を形成するためにこの曲がった状態でモールド30に配置される。
【0041】
図3aおよび図3bに示す可撓性インサート1は、少なくともその第2の形状32へと曲げられたとき、その長さのほとんどで一定の厚さを有する。したがってこれは、上で議論したようなチャネルのループ部分18を形成するのに適している。
【0042】
再利用可能な鋳造要素1を第2の形状32にするため、モールド30は、可撓性インサート1を取り付けることができる、またはこれを第2の形状32において阻止することができる構造33を含むことができる。
【0043】
第1の形状31から第2の形状32への、またはその逆の変化は、第1の部分2でよりも第2の部分3での可撓性インサート1のより大きな変形を意味する。可撓性インサート1が作製されるポリマー材料はこの事実を利用し、第1の端部2でよりも第2の端部3でより高い弾性を有することができる。たとえば、この弾性は、第1の端部2から第2の端部3へ徐々に増加することができる。
【0044】
可撓性インサート1に適した材料の一例はポリウレタンである。この材料はコンクリートに対して化学的に耐性があり、プロセスにおいて損傷を受けることなく弾性変形が可能であるとともに、製造が容易で安価である。可撓性インサート1に他の材料または異なる材料の混合物を用いることができる。
【0045】
他の一実施形態において、可撓性インサート1の非ひずみ形状は、図3aに破線で示すもの32とすることができ、この場合、可撓性インサート1は、モールドにおける鋳造材料の硬化後に対面要素10から引き出されるときに弾性変形を受けるのみである。
【0046】
図4は、たとえば第1の端部上(図示せず)またはモールド30上のいずれかにある、第2のコネクタ部43との解放可能なロック接触を可能にする第1のコネクタ部41が、可撓性インサート1の第2の端部に設けられているボイドフォーマーの他の一実施形態を示す。コネクタ部41はたとえば、ねじを受けるように適合されたねじ切り、相補的な形状を有する要素と協働するクリップ、磁気コネクタ、接着コネクタ、ジッパ、突起内へ挿入することができる凹部またはその逆などであり得る。
【0047】
コンクリートの硬化後に図4のボイドフォーマーを対面要素10から除去することは、第2の端部3に位置する一対のコネクタ部41、43を互いに分離し、第1の端部2を引っ張ることを含む。
【0048】
図4に見られるように、支持構造50を用いて、チャネル20の第2の開口22に十分な開口角度αを提供することができる。支持構造50はたとえば、可撓性インサート1と係合してこれを図3aに示す形状32にするように適合された形状を有するモールド30における突起または他の部品であり得る。
【0049】
図5は、ボイドフォーマーがモールド30に配置されているとき、可撓性インサート1の第1の端部2が必ずしも第2の端部3と接触していないことを示している。図5の実施形態において、2つの端部2、3間にギャップ45が残っている。2つの端部分2、3は、たとえばキーまたはC形状ロックのような他のコネクタ部44によって接合することができるそれぞれのコネクタ部41を有する。可撓性インサートの端部2、3に配置された2つのコネクタ部41を接合することは、両端部が直接接触しているときに行うこともできる(図4に示す状況のように)。
【0050】
図5はさらに、可撓性インサート1の周りにシース40を設ける可能性を示す。このようなシース40は、製造された対面要素10から可撓性インサートが取り出されるとき、可撓性インサート1とコンクリートとの間の摩擦を低減することができる。シース40はまた、補強ストリップ11との接触のための滑らかな表面を提供することができる。
【0051】
他の一実施形態によれば、可撓性インサート1は、それ自体が中空のシースまたはスリーブであり得る。チャネル20の意図された形状に合致し、モールド30内へ流体状態で添加されるコンクリートの圧力に耐えるため、このような中空のシースまたはスリーブは、たとえば砂、ガス(たとえば加圧空気、二酸化炭素)、液体(たとえば油または水)またはコンクリートのような材料で満たすことができる。
【0052】
図6は、可撓性インサート1の第1および第2の端部2、3の両方が第1のコネクタ部41を含む可撓性インサート1の他の一例を示す。これらのコネクタ部41を用いて、モールド30に可撓性インサート1を取り付け、モールド30上の対応する第2のコネクタ部43と協働することによってこれを曲げ形状32にすることができる。
【0053】
上の例はほとんど、対面要素10を形成するために用いられるモールド30上に可撓性インサート1を取り付けることに依存している。しかしながら、可撓性インサート1は、モールド30に取り付けられた支持構造50と組み合わせて用いることもできる。図7および図8は、可撓性インサート1および支持構造50を含むこのようなボイドフォーマーの2つの例を示す。
【0054】
図7は、図6のものと同様の可撓性インサート1を示しているが、これはその端部2、3にそれぞれ配置された第1のコネクタ部41を介して支持構造50に取り付けられ、これらは支持構造50に配置されたそれぞれの第2のコネクタ部42を係合する。
【0055】
図8は、支持構造50が、可撓性インサート1と協働するための凹部51および突起52を含む代替一実施形態を示す。図8の構成において、インサート1の第1および第2の端部2、3の両方は、対面要素の後面13に合致するモールド30の表面に隣接して配置されてコア領域の周りにループを形成する。
【0056】
図8の実施形態は他の特徴を含み、これは他の実施形態においても使用可能であるが、可撓性インサート1の厚さはその第2の端部3の近くで減少する。第1の端部2の厚さ4は第2の端部3での厚さ5より大きい。この厚さの減少により、対面要素10が製造された際の可撓性インサート1の取り出しが容易になる。可撓性インサート1の第2の端部3は、それが対面要素から引き出されるときに摩擦を受けにくい。
【0057】
ボイドフォーマーに対するさらなる可能な改善が図9に表されている。ここで、可撓性インサート1は、可撓性インサート1の寿命を延ばす、埋め込まれた金属または炭素グリッドまたはストリップのような内部骨組み6を含む。これらの骨組み6は、好ましくは可撓性インサートの第2の端部3の近くに強度を追加して、その非弾性変形を回避する。インサートは、摩擦力または引っ張り応力に対する再利用可能な鋳造要素1の耐性を向上させる複合材料で作製することができる。内部骨組み6はまた、リブの形態をとることができる。
【0058】
図9に示す他の特徴は、可撓性インサート1のその非ひずみ状態における湾曲形状に関する。湾曲形状は、モールド30におけるループ構成において可撓性インサート1に加えられるひずみが、対面要素10から引き離されるときに可撓性インサート1に加えられるひずみより小さくなるようなものである。このような湾曲形状は、可撓性インサート1が図3aに示す形状31または32をとらされるときに第2の端部3が受ける全体の変形を低減する。これにより、中空の湾曲部分20における、特にアンカーコアおよび第2の開口22の周りの分割線のような表面欠陥のリスクが低減される。
【0059】
図10図11に示す実施形態において、ボイドフォーマーは、一方の部分60が第1の端部2から第2の端部3まで延びる実質的に一定の厚さのストラップを形成し、他の部分61が、コンクリートがモールドに流し込まれるときその外に残るベースを形成する一片のゴムで作製されている可撓性インサート1からなる。ストラップ60が図10図11に示す位置に曲げられているとき、第2の端部3は、その外面が、ベース61に属してチャネルの第2の開口22の形状を画定する支持構造62を圧迫している。支持構造62は、ストラップ60の先端を受け入れてモールドにおける定位置に保つ凹部63を有する。コンクリートが硬化した後、可撓性インサート1は、ベース61でこれを把持することによって対面要素10から引き離される。
【0060】
図12に示す可撓性インサート1も、ベース部61、および対面要素10にチャネル20を形成するストラップ部60を有する。ストラップ60の第2の端部3は、モールドにおける定位置に保たれるよう、ベース61に形成された穴64に受け入れられる。可撓性インサート1は、ベース61を引っ張ることによって対面要素10から除去される。そのとき、ストラップ60は、対面要素10のコンクリート材料に形成されたチャネル20に沿って変形することによって広がる。
【0061】
図13に示す代替一実施形態において、ボイドフォーマーは、それぞれがベース部61A、61Bおよびストラップ部60A、60Bを有する2つの可撓性インサート1A、1Bを含む。2つのストラップ部60A、60Bは、ボイドフォーマーがモールドに配置されているとき、それらの遠位端面が互いに接触している。この接触は、アンカーコア15の前側に位置するチャネル20の部分18にある。2つのストラップ部60A、60Bの遠位端表面は、合致した形状(たとえば、ピン/穴、ほぞ/ほぞ穴など)を有することができ、チャネル20のための滑らかな形状を画定するように互いに解放可能に接続される一方、可撓性インサート1A、1Bをそれらのベース部61A、61Bを介して引き離すことを可能にする。
【0062】
ボイドフォーマーの他の可能な構成を図14に示す。ここで、ボイドフォーマーはまた、それぞれがベース部61A、61Bおよびストラップ部60A、60Bを有する2つの可撓性インサート1A、1Bを含む。2つのストラップ部60A、60Bは、可撓性材料の重ね合わせられた層を形成してチャネル20の形状を画定する。可撓性インサート1Aのストラップ部60Aは、チャネル20の外部形状を画定する外面、およびボイドフォーマーがモールドに配置された、すなわち図14に示す位置にあるときに他方のストラップ部60Bの外面と接触する内面を有する。可撓性インサート1Bのストラップ部60Bは、チャネル20の内部形状(またはアンカーコア15の荷重伝達面15A)を画定する内面を有する。ストラップ部60A、60Bは、各可撓性インサート1A/1Bのストラップ部60A/60Bの遠位端が他方の可撓性インサート1B/1Aのベース61B/61Aに当接し、したがってチャネル20およびアンカーコア15の所定の形状を画定するような寸法である。
【0063】
図14に示すボイドフォーマーのストラップ部60A、60Bのそれぞれは、硬化した対面要素10からのその取り出しを容易にするため、ベース部61A、61Bからその遠位端へ減少する厚さを有することができる。ストラップ部60A、60Bの厚さの減少率が両可撓性インサート1A、1Bで同じであれば、取り出しを容易にするという利点とともに、アンカーコア15の前側に位置するチャネル20の部分18において一定の断面を有するという利点を得ることができる。
【0064】
図14のボイドフォーマーを除去することは、ベース部61Aを把持することによって第1の開口21を介してストラップ部60Aを引っ張ること、およびベース部61Bを把持することによって第2の開口22を介してストラップ部60Bを引っ張ることを、一方の次に他方を、または同時に行うことを含む。
【0065】
図15は、
内部形状がアンカーコア15の意図された外部形状に合致する管状部材70と、
互いに平行に配置されて管状部材70の周りにループを形成する1つまたは複数の可撓性ストリップ71と、
ボイドフォーマーのための支持構造を形成する2つの顎72と、
を含む、ボイドフォーマーの他の一実施形態を示す。
【0066】
各顎72は、モールド30に流し込まれるコンクリートの外側に残るベース部73、およびコンクリートに浸漬される延長部74を有する。2つの顎72は、管状部材70の周りの可撓性ストリップ71によって形成されるループの両側に配置される。これらは、たとえば、ベース部73に配置された1つまたは複数のねじ75およびナット76を用いて一方が他方に向かって押されることによって可撓性ストリップ71を締め付ける。顎72の延長部74は、可撓性ストリップ71を定位置に保ちながらチャネル20の端部21、22の形状を画定する支持構造(図6図8を参照して説明した支持構造50と同様)を提供する。
【0067】
コンクリートの硬化後の図15に示すボイドフォーマーの除去は、ねじ/ナット75/76を解放して、顎72をそのベース部73を介して引っ張ることによって取り外し、可撓性ストリップ71の端部を引っ張ってチャネル20を開くことを含む。
【0068】
管状部材70は対面要素10のコンクリートに残る。これは好ましくはプラスチック材料からなる。これはアンカーコア15に滑らかな荷重伝達表面15Aを提供する。管状部材70は、荷重伝達表面15Aを含む、アンカーコア15の周辺の一部のみを覆うことができることが留意されるであろう。これは対面要素10の裏側に向かって開いていてもよい。
【0069】
図16a~図16bに示す実施形態において、ボイドフォーマーは、剛性ベース61、および中空で、膨張可能であるように可撓性材料からなるインサート1を有する。この例において、可撓性インサート1は、その2つの端部がベース61に接続され、たとえば一端がベース61に永続的に取り付けられるとともにもう一端がベース61を通過してポンプ80を介して流体媒体の供給源と連通している。図16aに示す構成において、流体媒体(たとえば水、油、空気または何らかの他のガス)は、このとき対面要素10におけるチャネル20のために意図された形状をとる中空の可撓性インサート1内へ注入される。コンクリート材料を次いで流し込んで硬化させることができる。その後、流体媒体は、中空の可撓性インサート1から排出され、中空の可撓性インサート1の端部は、ポンプ80から切断され、次いでインサート1をチャネル20に沿って変形させながらベース61を引っ張ることによってボイドフォーマーを対面要素から除去することができる。
【0070】
図3図16に関連して上述した例は、互いに容易に組み合わせることができる特徴を含む。
【0071】
図3図12および図14図16の実施形態において、可撓性材料からなる、ボイドフォーマーの単一のインサートが、鋳造材料が添加されて硬化するとき、アンカーコアの荷重伝達表面15Aに沿って連続的に延びている。これにより、滑らかな荷重伝達表面15Aが保証され、これは張力補強ストリップ11が表面と接触する場所での表面欠陥を回避することによって補強土構造100の耐久性にとって好都合である。
【0072】
上述の実施形態は、本明細書に開示された本発明の例示であり、添付の特許請求の範囲において定義される範囲から逸脱することなくさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。
【符号の説明】
【0073】
100 補強土構造
10 対面要素
11 補強ストリップ
11A ループ部分
11B 張力部分
11C 張力部分
12 埋戻し材
13 後面
14 前面
15 アンカーコア
15A 荷重伝達表面
18 ループ部分
20 チャネル
21 第1の開口
22 第2の開口
1 インサート
1A インサート
1B インサート
2 第1の端部
3 第2の端部
4 第1の端部2の厚さ
5 第2の端部3での厚さ
6 内部骨組み
30 モールド
31 第1の形状
32 第2の形状
33 構造
40 シース
41 第1のコネクタ部
42 第2のコネクタ部
43 第2のコネクタ部
44 他のコネクタ部
45 ギャップ
50 支持構造
51 凹部
52 突起
60 ストラップ
60A ストラップ部
60B ストラップ部
61 ベース
61A ベース部
61B ベース部
63 凹部
64 穴
70 管状部材
71 ストリップ
72 顎
73 ベース部
74 延長部
75 ねじ
76 ナット
80 ポンプ
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a
図16b