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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】引出しガイド
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/493 20170101AFI20220617BHJP
【FI】
A47B88/493
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020567936
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 AT2019060153
(87)【国際公開番号】W WO2019232560
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】A50449/2018
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク モイスブアガー
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ベアヒトルト
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2012/002041(JP,A1)
【文献】米国特許第05692816(US,A)
【文献】実開平06-044442(JP,U)
【文献】特開2004-016825(JP,A)
【文献】特表2013-518623(JP,A)
【文献】実開昭49-016220(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出しガイド(4)であって、
- 互いに相対的に移動可能に支持された第1のガイドレール(10)および少なくとも1つの第2のガイドレール(11)と、
- 前記第1のガイドレール(10)に配置されていて、前記第2のガイドレール(11)を少なくとも一時的に支持するための少なくとも1つの支持要素(17)と
を有し、
- 前記第2のガイドレール(11)に対して相対的な前記少なくとも1つの支持要素(17)の位置が、調整装置(16)によって調整可能であり、調整を行った後、前記第1のガイドレール(10)に対して相対的に固定可能である、
引出しガイド(4)において、
前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記引出しガイド(4)の組付け位置で前記調整装置(16)によって高さ方向(H)において調整可能であり、
前記ガイドレール(10,11)は、閉鎖位置と開放位置との間で互いに相対的に走行可能であり、前記少なくとも1つの支持要素(17)は、少なくとも前記閉鎖位置で前記第2のガイドレール(11)に対してクリアランス(X)を有し、該クリアランス(X)は、前記調整装置(16)によって調整可能であることを特徴とする、引出しガイド(4)。
【請求項2】
前記クリアランス(X)は、前記開放位置では前記閉鎖位置におけるよりも小さく、かつ/または前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記ガイドレール(10,11)の前記開放位置で前記第2のガイドレール(11)にクリアランスなしに接触していることを特徴とする、請求項記載の引出しガイド。
【請求項3】
前記調整装置(16)はセルフロック式に形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の引出しガイド。
【請求項4】
前記調整装置(16)は、運動可能に支持された少なくとも1つの調整要素(16a)を有し、該調整要素(16a)の操作によって、前記少なくとも1つの支持要素(17)の前記位置が調整可能であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項5】
前記調整要素(16a)は回動可能に支持されており、該調整要素(16a)の回動によって、前記支持要素(17)の前記位置が調整可能であることを特徴とする、請求項記載の引出しガイド。
【請求項6】
前記調整要素(16a)は、回動可能に支持された偏心体または回動可能に支持されたウォームホイールを有することを特徴とする、請求項または記載の引出しガイド。
【請求項7】
前記調整要素(16a)は、前記支持要素(17)に結合された歯列(24)と協働することを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項8】
前記第1のガイドレール(10)は、高さ方向(H)に互いに間隔を置いて配置された、前記支持要素(17)を選択的に取り付けるための2つまたはそれ以上の開口(22)を有することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項9】
前記少なくとも1つの支持要素(17)の前記位置は、調整を行った後、位置固定要素によって固定可能であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項10】
前記少なくとも1つの支持要素(17)の前記位置は、調整を行った後、続的に固定可能であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項11】
前記少なくとも1つの支持要素(17)の前記位置は、調整を行った後、溶接、接着または揺動加締めによって持続的に固定可能であることを特徴とする、請求項10記載の引出しガイド。
【請求項12】
前記第2のガイドレール(11)は、側方ウェブ(11a)と、該側方ウェブ(11a)に結合された横方向ウェブ(11b)とを有し、前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記引出しガイド(4)の前記組付け位置で前記第2のガイドレール(11)の前記横方向ウェブ(11b)の下側を支持可能であことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項13】
前記第2のガイドレール(11)は、側方ウェブ(11a)と、該側方ウェブ(11a)に結合された横方向ウェブ(11b)とを有し、前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記引出しガイド(4)の前記組付け位置で前記第2のガイドレール(11)の前記横方向ウェブ(11b)の下側を支持可能であり、前記横方向ウェブ(11b)は、全長にわたって平坦に形成されていることを特徴とする、請求項12記載の引出しガイド。
【請求項14】
前記少なくとも1つの支持要素(17)は、回動可能に支持された支持ローラとして形成されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項15】
前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記第1のガイドレール(10)の後方の端領域に配置されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項16】
前記第1のガイドレール(10)と前記第2のガイドレール(11)との間に、負荷を伝達する複数の転動体(18a)を備える少なくとも1つの走行キャリッジ(18)が配置されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の引出しガイド。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の引出しガイド(4)に支持要素(17)を組み付けるための方法であって、
- 前記支持要素(17)を前記引出しガイド(4)の第1のガイドレール(10)に取り付けるステップと、
- 前記支持要素(17)を調整装置(16)によって第2のガイドレール(11)に対して相対的な予め規定された位置に調整するステップと、
- 前記支持要素(17)を前記第1のガイドレール(10)に対して相対的に固定するステップと
を有することを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記予め規定された位置を調整するために、前記支持要素(17)を、該支持要素(17)が前記第2のガイドレール(11)に当接するまで第1の運動方向に移動させ、前記予め規定された位置に到達するまで前記第1の運動方向と逆の第2の運動方向に戻すことを特徴とする、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出しガイドであって、
- 互いに相対的に移動可能に支持された第1のガイドレールおよび少なくとも1つの第2のガイドレールと、
- 第1のガイドレールに配置されていて、第2のガイドレールを少なくとも一時的に支持するための少なくとも1つの支持要素と
を有し、
- 第2のガイドレールに対して相対的な少なくとも1つの支持要素の位置が、調整装置によって調整可能であり、調整を行った後、第1のガイドレールに対して相対的に固定可能である、
引出しガイドに関する。
【0002】
さらに、本発明は、引出しガイドに支持要素を組み付けるための方法に関する。
【0003】
請求項1の前提部に記載の引出しガイドは、独国実用新案第202010009163号明細書、独国特許出願公開第2809930号明細書、独国特許出願公開第3015351号明細書および独国実用新案第202012010757号明細書に示されている。
【0004】
引出しガイドは、一般に、家具本体に固定される第1のガイドレール(本体側レール)と、第1のガイドレールに対して相対的に移動可能に支持された少なくとも1つの第2のガイドレール(引出し側レール)とを有する。引出しを、家具本体に対して相対的に完全に引き出すことを実現するためには、任意でさらに、第1のガイドレールと第2のガイドレールとの間に移動可能に支持された付加的な第3のガイドレール(中間レール)が設けられてよい。
【0005】
ガイドレール間の傾倒クリアランスを減じるためには、一般に、例えば回動可能な支持ローラの形態の少なくとも1つの支持要素を第1のガイドレールに取り付けて、この第1のガイドレールの支持要素に、第2のガイドレールが支持可能であるようにする。この支持要素は、特に、負荷を伝達する複数の転動体を備える少なくとも1つの走行キャリッジがガイドレール間に移動可能に支持されている場合にも有利である。というのも、この走行キャリッジがガイドレール間の旋回支持部として作用し、この場合、支持されるガイドレールは、いわば二腕状のてことして、走行キャリッジによって形成される軸線を中心として傾倒可能に支持されているからである。支持されるガイドレールの前方の端領域に(特に引出しの重い前板によって)負荷がかかる場合、ガイドレールの前方の端領域が下降する一方で、ガイドレールの後方の端領域は、走行キャリッジによって形成される旋回支持部を介して持ち上げられる。
【0006】
ガイドレールおよび/または支持要素の構成部材誤差に基づき、引出しガイドを製造する際の支持要素の精密な配置には、いくつかの難題がつきまとう。支持要素と、この支持要素に支持されるガイドレールとの間のクリアランスが過度に小さいと、摩擦が高まり、極端な場合には、支持要素とガイドレールとの間で引っ掛かりが生じてしまう。これに対し、クリアランスが過度に大きく寸法設定されていると、ガイドレールは、引出しガイドの開放位置において、許容可能な程度を超えて互いに相対的に傾倒してしまう。これによって、最終的に、組付け状態で引出しの前方の端領域が下方に向かって沈んでしまい、このことは、この引出しガイドは粗悪であるという印象をもたらす。
【0007】
本発明の課題は、冒頭で述べたカテゴリーの引出しガイドを、上述の欠点を回避して提供することである。
【0008】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴によって解決される。本発明の有利な他の構成は、従属請求項に定義されている。
【0009】
本発明によれば、少なくとも1つの支持要素が、引出しガイドの組付け位置で調整装置によって高さ方向に調整可能であることが提案されている。
【0010】
したがって、支持要素と、支持要素に支持されるガイドレールとの間のクリアランスを調整するための調整装置が設けられており、これによって、支持要素は、第2のガイドレールに対して相対的な予め規定された位置に位置決め可能であり、かつ第1のガイドレールに対して相対的に固定可能である。
【0011】
ガイドレールは、閉鎖位置と開放位置との間で互いに相対的に走行可能であり、少なくとも1つの支持要素は、少なくとも閉鎖位置で第2のガイドレールに対してクリアランスを有し、このクリアランスは、調整装置によって調整可能である。引出しガイドが閉鎖位置にあるのは、ガイドレール同士が実質的に完全にオーバーラップしているときである。
【0012】
1つの実施例によれば、クリアランスは、ガイドレールの開放位置では閉鎖位置でのクリアランスよりも小さく、かつ/または少なくとも1つの支持要素は、ガイドレールの開放位置で第2のガイドレールにクリアランスなしに接触している。
【0013】
好適な実施形態によれば、調整は、支持要素をまず第1の運動方向に移動させて、支持されるガイドレールに当接させ(クリアランスがゼロに等しい基準値)、次いで、支持要素を、第1の運動方向と逆の第2の運動方向に予め設定された程度(例えば0.1mm)だけ再び戻して、支持要素が、支持されるガイドレールに対して相対的に予め設定されたクリアランスをもって位置決めされることによって行われる。代替的に、調整は、測定によって行われてもよい。少なくとも1つの支持要素は、引出しガイドの通常動作では(すなわち、ガイドレール相互の相対運動においては)、第1のガイドレールに対して相対的に位置固定されて配置されている。
【0014】
調整を行った後、支持要素の位置を位置固定するために、複数の手段を提案することができる。ひとつには、調整装置自体を単独で十分にセルフロック式に構成することによって、支持要素の位置が、事前に調整した位置に常に留まる。代替的または付加的に、少なくとも1つの支持要素の位置は、調整を行った後、位置固定要素によって、好ましくは解除可能に固定可能である、かつ/または少なくとも1つの支持要素の位置は、調整を行った後、好ましくは溶接、接着または揺動加締めによって持続的に固定可能であることが想定されてよい。
【0015】
支持要素は、クリアランスを調整するために、ガイドに沿って移動可能に支持されていてよい。この場合、支持要素は、ガイドに沿って調整を行った後、摩擦結合式に(例えばクランプねじによって)第1のガイドレールに対して相対的に固定可能である。
【0016】
代替的に、調整装置が、運動可能に支持された少なくとも1つの調整要素を有し、この調整要素の操作によって、少なくとも1つの支持要素の位置が調整可能であることが想定されてよい。調整要素は、例えば回動可能に支持されており、調整要素の回動によって、支持要素の位置が調整可能である。この目的のために、調整要素は、工具、好ましくはスクリュドライバのための受容装置を有していてよく、この場合、工具を用いて受容装置を回動させることによって、支持要素の位置が調整可能である。
【0017】
調整要素は、回動可能に支持された偏心体または回動可能に支持されたウォームホイールを有していてよい。ウォームホイールには、すでに公知のように、螺旋状の案内軌道が備えられていてよく、この場合、支持要素に結合された歯列が、ウォームホイールの螺旋状の案内軌道に係合する。
【0018】
1つの実施例によれば、第2のガイドレールは、側方ウェブと、この側方ウェブに結合された横方向ウェブとを有し、少なくとも1つの支持要素は、引出しガイドの組付け位置で第2のガイドレールの横方向ウェブの下側を支持可能であることが想定されてよい。さらに、支持要素は、ガイドレールが互いに対して相対運動する際に、第2のガイドレールの横方向ウェブに沿って走行可能であってよい。第2のガイドレールの横方向ウェブは、全長にわたって平坦に形成されていてよい。
【0019】
支持要素は、例えば回動可能に支持された支持ローラとして形成されていてよい。支持ローラは、家具本体への引出しガイドの組付け位置で水平方向に延在する軸線を中心として回動可能に支持されていてよい。しかしながら、支持ローラの代わりに、第2のガイドレールを支持するための調整可能な支持台が設けられていてもよい。
【0020】
別の1つの実施例によれば、少なくとも1つの支持要素は、第1のガイドレールの後方の端領域に配置されていることが想定されてよい。
【0021】
引出しガイドに支持要素を組み付けるための本発明に係る方法は、以下のステップ、すなわち、
- 支持要素を引出しガイドの第1のガイドレールに取り付けるステップと、
- 支持要素を調整装置によって第2のガイドレールに対して相対的な予め規定された位置に調整するステップと、
- 支持要素を第1のガイドレールに対して相対的に固定するステップと
を有することを特徴とする。
【0022】
この方法を実施する場合、予め規定された位置を調整するために、支持要素を、この支持要素が第2のガイドレールに当接するまで第1の運動方向に移動させ、予め規定された位置に到達するまで第1の運動方向と逆の第2の運動方向に戻すことが想定されてよい。
【0023】
本発明の更なる詳細および利点は、以下の図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】家具本体と、家具本体に対して相対的に走行可能に支持された引出しとを有する家具の斜視図である。
図2a】引出しガイドの斜視横断面図である。
図2b図2aの拡大詳細図である。
図3a】引出しガイドの斜視横断面図である。
図3b】支持要素が図3cとは異なる高さ位置にある、図3aの詳細図である。
図3c】支持要素が図3bとは異なる高さ位置にある、図3aの詳細図である。
図4a】引出しガイドの後方の端領域の分解立体図である。
図4b図4aの拡大詳細図である。
図5a】高さ方向に互いに間隔を置いて配置された、支持要素を支持するための複数の開口を有する、本発明の別の実施例を示す図である。
図5b】高さ方向に互いに間隔を置いて配置された、支持要素を支持するための複数の開口を有する、本発明の上記別の実施例を示す図である。
図5c】高さ方向に互いに間隔を置いて配置された、支持要素を支持するための複数の開口を有する、本発明の上記別の実施例を示す図である。
図6a】支持要素と第2のガイドレールとの間のクリアランスを調整するための回動可能に支持されたウォームホイールを有する、本発明の別の実施例を示す図である。
図6b】支持要素と第2のガイドレールとの間のクリアランスを調整するための回動可能に支持されたウォームホイールを有する、本発明の上記別の実施例を示す図である。
図6c】支持要素と第2のガイドレールとの間のクリアランスを調整するための回動可能に支持されたウォームホイールを有する、本発明の上記別の実施例を示す図である。
【0025】
図1は、戸棚形態の家具本体2を有する家具1を示す。家具本体2に対して相対的に引出しガイド4を介して引出し3が走行可能に支持されている。引出し3は、前板5、引出し底板6、引出し側壁7および背壁8を有する。引出しガイド4は、互いに相対的に走行可能な少なくとも2つのガイドレール10,11,12を含む。図示した実施例では、第1のガイドレール10(引出し側レール)が、引出し側壁7に結合されているかまたは結合されるようになっており、第2のガイドレール11(中間レール)が、第1のガイドレール10と、家具本体2に固定される第3のガイドレール12(本体側レール)との間に移動可能に支持されている。第3のガイドレール12は、固定区分9aおよび9bを有し、これらの固定区分9a,9bによって、引出しガイド4が家具本体2に組み付けられるようになっている。
【0026】
図2aは、引出しガイド4を斜視断面図で示す。第1のガイドレール10の後方の端部には、フック13が配置されている。フック13は、引出し3が引出しガイド4に組み付けられた状態で、背壁8または引出し側壁7に設けられた対応する凹部内に係合し、それによって引出し3の後方の端領域を、長手方向(L)に対して横断方向に延在する方向で安定させる。第1のガイドレール10と第2のガイドレール11との間に、負荷を伝達する複数の転動体18aを備える(図2aでは認識できない)第1の走行キャリッジ18(図3c)が移動可能に支持されている。第1の走行キャリッジ18の運動は、第2のガイドレール11に回動可能に支持された歯車15によって、第2の走行キャリッジ19(図3a)の運動と同期可能になっている。この第2の走行キャリッジ19は、第3のガイドレール12(本体側レール)と第2のガイドレール11(中間レール)との間に移動可能に支持されている。歯車15は、一方では第1の走行キャリッジ18の第1のラックに噛み合っていて、他方では第2の走行キャリッジ19の第2のラック14に噛み合っている。第1のガイドレール10の後方の端領域に、第2のガイドレール11を支持するための少なくとも1つの支持要素17が配置されている。支持要素17の位置を調整するために、運動可能に支持された調整要素16aを有する調整装置16が設けられており、この調整要素16aを操作することによって、支持要素17の位置が調整可能である。第2のガイドレール11は、側方ウェブ11aと、この側方ウェブ11aに結合された横方向ウェブ11bとを有し、この場合、支持要素17は、第2のガイドレール11の横方向ウェブ11bの下側を支持可能である。支持要素17は、ここに示す図では、支持ローラとして形成されており、この支持ローラは、好ましくは、組付け位置で水平に延在する軸線を中心として回動可能に支持されている。
【0027】
図2bは、図2aにおいて円で囲まれた領域を拡大の図である。支持要素17と第2のガイドレール11の横方向ウェブ11bとの間のクリアランス(X)が認識可能である。ここに示す図2bでは、クリアランス(X)が過度に大きく形成されているので、第2のガイドレール11は、長手方向(L)に対して横方向に延在する水平方向の軸線を中心として過度に傾倒してしまう。調整装置16の調整要素16aを回動させることによって、クリアランス(X)を予め設定された寸法に調整することができる。このためには、調整要素16aを、支持要素17が横方向ウェブ11bの下面に接触する(クリアランス=ゼロ)まで第1の回動方向に回動させ、次いで、調整要素16aを、クリアランス(X)が予め設定された値になるまで第1の回動方向と逆の第2の回動方向に回動させる。このことは、工場において実装ロボットによって自動化して行うことができる。クリアランス(X)の調整を行った後、支持要素17は位置固定され、例えば溶接、接着または揺動加締めされる。
【0028】
図3aは、引出しガイド4を斜視横断面図で示す。第1のガイドレール10と第2のガイドレール11との間に、負荷を伝達する複数の転動体18aを備える少なくとも1つの第1の走行キャリッジ18が移動可能に支持されている。同様に、第3のガイドレール12と第2のガイドレール11との間に、負荷を伝達する複数の転動体19aを備える少なくとも1つの第2の走行キャリッジ19が移動可能に支持されている。第2のガイドレール11の横方向ウェブ11bは、実質的に第2のガイドレール11の全長にわたって延在していてよい。
【0029】
図3bは、図3aにおいて円で囲まれた範囲を拡大図で示す。支持要素17は、図2bに示した位置を起点として、調整要素16aを操作することによって、この支持要素17が第2のガイドレール11に、好ましくは第2のガイドレール11の横方向ウェブ11bの下面に当接するまで回動させられている。したがって、クリアランス(X)はゼロに等しく、後続の調整のための基準値を設定している。
【0030】
クリアランス(X)を正確に調整するためには、調整要素16aを、図3bに示す支持要素17の位置を起点として、支持要素17と第2のガイドレール11との間のクリアランス(X)が予め設定された値(例えば0.1mm)を有するようになるまで、逆方向に変位させる。この位置は図3cに示されている。この場合、支持要素17の相対的な位置は、セルフロック式に保持されている、かつ/または付加的な位置固定要素によって位置固定することができる、かつ/または持続的に位置固定することができる。
【0031】
図4aは、引出しガイド4の後方の端領域を分解立体図で示す。第1のガイドレール10と第2のガイドレール11との間に移動可能に支持され、負荷を伝達する複数の転動体18aを備える第1の走行キャリッジ18と、第1のガイドレール10を閉鎖した終端位置へと引き込むための引込み装置20とを認めることができる。引込み装置20は、好ましくは液圧式の減衰装置を有していてよく、この減衰装置によって、第1のガイドレール10の、ばねアシストされた引込み運動を減速させることができる。
【0032】
図4bは、図4aにおいて円で囲まれた範囲を拡大図で示す。第1のガイドレール10は、互いに間隔を置いて配置された2つの側方脚部10aおよび10bを有する断面U字形材を有し、側方脚部10aと10bとは、結合片10cによって互いに結合されている。支持要素17は、組付け位置で第1のガイドレール10の両側方脚部10a,10bの間に取り付けられている。支持要素17は、偏心体の形態の調整要素16aを介して、固定区分9bに面した側方脚部10aに位置固定することができる。調整要素16aはピン21を有し、ピン21は、組付け位置で、第1のガイドレール10に設けられた対応する開口22内に係合している。第1のガイドレール10に対して相対的な支持要素17の位置の調整を行った後、調整要素16aのピン21を、第1のガイドレール10に、例えば揺動加締めによって持続的に位置固定することができる。
【0033】
図5aは、本発明の別の実施例による第1のガイドレール10の斜視図を示す。図5bは、図5aにおいて枠で囲まれた範囲を拡大図で示す。第1のガイドレール10は、この実施例では、高さ方向(H)に互いに間隔を置いて配置された、支持要素17を選択的に取り付けるための2つまたはそれ以上の開口22を有する。支持要素17を、ピン21を介して、開口22のうちの1つの開口に直接導入することができるので、支持要素17は、クリアランス(X)を適合させるためにそれぞれ異なる高さ位置をとることができる。代替的に、この実施形態でも、運動可能に支持された調整要素16aを介して付加的に調整が行われてよい。すなわち、調整要素16aまたは支持要素17のピン21を、高さ方向(H)に互いに間隔を置いて配置された開口22のうちの1つの開口に選択的に導入し、次いで位置固定することによって、支持要素17と第2のガイドレール11との間のクリアランス(X)を調整することができる。図5cは、この実施形態による第1のガイドレール10の後方の端領域の側面図を示す。複数の開口22を、互いに高さ方向(H)に例えば0.2mmずらして配置することができる。
【0034】
図6a~図6cは、本発明の別の実施例を示す。この実施例では、支持要素17と第2のガイドレール11との間のクリアランス(X)を調整するための調整装置16は、回動可能に支持されたウォームホイールの形態の調整要素16aを有する。図6bは、図6aにおいて円で囲まれた範囲を拡大図で示す。調整要素16aは、工具、好ましくはスクリュドライバを受容するための受容装置23を有する。この場合、支持要素17の位置は、工具を用いて受容装置23を回動させることによって調整可能である。ウォームホイールの形態の調整要素16aの裏面には、自体公知のように、螺旋状の案内軌道が形成されていて、この案内軌道は、支持要素17に結合された歯列24と係合する。歯列24は、回動可能に支持された調整要素16aを取り外した図6cに認めることができる。ウォームホイールの形態の調整要素16aと、歯列24とは一緒に、高度なセルフロック作用を有する駆動装置を形成し、これによって、調整を行った後および引出し3に負荷がかかる際に、支持要素17の位置は変化しない。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c