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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】外部コンタクトを有する多層素子
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020568027
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019053838
(87)【国際公開番号】W WO2019166242
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】102018104459.3
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コイニ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッペル,トマス
(72)【発明者】
【氏名】リンネル,フランツ
【審査官】上谷 奈那
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080350(WO,A1)
【文献】特開2010-123614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0047507(US,A1)
【文献】特開2017-191824(JP,A)
【文献】特開2014-220470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028725(US,A1)
【文献】特表2014-504010(JP,A)
【文献】特開2002-061551(JP,A)
【文献】特開2005-183478(JP,A)
【文献】特開平04-179285(JP,A)
【文献】実開昭62-134226(JP,U)
【文献】特公昭63-016895(JP,B2)
【文献】特開2003-124059(JP,A)
【文献】特開2001-196260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部コンタクトを有する多層素子であって、
第1内部電極及び第2内部電極を有する基体であって、前記第1内部電極及び前記第2内部電極は、前記基体内において、電気的に互いに絶縁されて、交互に配置されている、基体と、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極の外部コンタクトのための外側コンタクトと、
を備え、
前記外側コンタクトは、前記基体の第1表面上に配置された、少なくとも2つの帯状の第1導体路を有し、
前記第1導体路は、それぞれ1つの前記第1内部電極と電気的に接続されており、
前記外側コンタクトは、前記基体の第2表面上に配置された、少なくとも2つの帯状の第2導体路を有し、
前記第2導体路は、それぞれ1つの前記第2内部電極に電気的に接続されており、
前記第1導体路はそれぞれ、前記基体の前記第1表面に固定されている第1面区画を有し、
前記第1導体路はそれぞれ、前記基体の前記第1表面から離間して配置されている第2面区画を有し、
前記第2導体路はそれぞれ、前記基体の前記第2表面に固定されている第1面区画を有し、
前記第2導体路はそれぞれ、前記基体の前記第2表面から離間して配置されている第2面区画を有し、
前記第1導体路又は前記第2導体路の隣り合うものにおける所は、互いにシフトして配置されている、
多層素子。
【請求項2】
前記第1導体路は前記第2内部電極から機械的に分離されており、
前記第2導体路は前記第1内部電極から機械的に分離されている、
請求項1記載の多層素子。
【請求項3】
前記第1導体路は、前記基体の前記第1表面上で互いに離間して配置されており、
前記第2導体路は、前記基体の前記第2表面上で互いに離間して配置されている、
請求項1又は2記載の多層素子。
【請求項4】
前記第1導体路の前記第1面区画はそれぞれ、前記基体の前記第1表面に対して平行に配置されており、
前記第2導体路の前記第1面区画はそれぞれ、前記基体の前記第2表面に対して平行に配置されており、
前記第1導体路の前記第2面区画は、前記基体の前記第1表面から離れる方に向いているそれぞれ1つの凹所を有し、
前記第2導体路の前記第2面区画は、前記基体の前記第2表面から離れる方に向いているそれぞれ1つの凹所を有する、
請求項1乃至3いずれか1項記載の多層素子。
【請求項5】
前記第1導体路の前記第2面区画は、前記第1導体路の前記第1面区画のうちの2つの間に配置されており、
前記第2導体路の前記第2面区画は、前記第2導体路の前記第1面区画のうちの2つの間に配置されている、
請求項1乃至4いずれか1項記載の多層素子。
【請求項6】
前記第1導体路及び前記第2導体路のうちの、前記第1面区画のうちの1つ及び前記第2面区画のうちの1つを含む領域は、
前記第1面区画のうちの1つが、前記第1導体路及び前記第2導体路のうちの前記領域の長さの3分の2を含み、
前記第2面区画のうちの1つが、前記第1導体路及び前記第2導体路の前記領域の長さの3分の1を含むように、構成されている、
請求項1乃至5いずれか1項記載の多層素子。
【請求項7】
前記第1導体路のうちの隣り合うものにおける前記凹所は、互いにシフトされて配置されており、
前記第2導体路のうちの隣り合うものにおけり前記凹所は、互いにシフトされて配置されている、
請求項4乃至6いずれか1項記載の多層素子。
【請求項8】
前記基体は圧電材料を含み、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極は、前記圧電材料内で、積層方向において交互に配置されており、
前記圧電材料はそれぞれ、前記第1内部電極のうちの1つと、前記第2内部電極のうちの1つとの間に配置されている、
請求項1乃至いずれか1項記載の多層素子。
【請求項9】
前記第1導体路は、前記基体の前記第1表面上で、前記第1導体路のそれぞれの長手方向が前記積層方向に配置されるように配置されており、
前記第2導体路は、前記基体の前記第2表面上で、前記第2導体路のそれぞれの長手方向が前記積層方向に配置されるように、配置されている、
請求項記載の多層素子。
【請求項10】
各前記第1導体路は、それぞれの前記第1導体路のコンタクトのためのコンタクト部分を有し、
各前記第2導体路は、それぞれの前記第2導体路のコンタクトのためのコンタクト部分を有し、
前記第1導体路の前記コンタクト部分及び前記第2導体路の前記コンタクト部分は、前記第1導体路及び前記第2導体路の前記コンタクト部分が1つの平面内にあるように、湾曲している、
請求項1乃至いずれか1項記載の多層素子。
【請求項11】
前記第1導体路及び前記第2導体路はそれぞれ複合板として構成されており、前記複合板は銅製の第1レイヤー及び第2レイヤーを有し、その間にインバー製の第3レイヤーが配置されている、
請求項1乃至10いずれか1項記載の多層素子。
【請求項12】
前記複合板は、20%の前記銅製の第1レイヤー及び前記第2レイヤーと、60%の前記インバー製の第3レイヤーと、の厚さ比を有する、
請求項11記載の多層素子。
【請求項13】
前記基体と前記第1導体路及び前記第2導体路との間に、銀製の多孔質層が接続層として配置されている、
請求項1乃至12いずれか1項記載の多層素子。
【請求項14】
前記多層素子はコンデンサとして構成されている、
請求項1乃至13いずれか1項記載の多層素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層素子、特にセラミックブロックコンデンサに関し、多層素子の内部電極のコンタクトのための外側コンタクト有する多層素子に関するものである。
【0002】
多層素子は、例えば、セラミックコンデンサ、特にパワーコンデンサとして設計され得る。このような多層素子は、内部に複数の内部電極層が配置された圧電材料製の基体を有する。複数の内部電極層は、交互に基体の異なる面に導出されている。電極層に外部から電圧を印加するためには、コンタクトが設けられなければならない。
【背景技術】
【0003】
多層部材の基体は、内部電極に電圧を印加する際に、熱膨張に加えて、圧電膨張を示す。基体の圧電材料は、通常、基体の内部において電極層が積層される積層方向に膨張するとともに、内部電極の平面内で伸長する。
多層素子のコンタクトは、基体の圧電セラミックと外側コンタクトとの間で起きる熱膨張の差(thermischen Dehnungsunterschiede)、及び圧電セラミックの圧電膨張が、多層素子の長期耐久限度にわずかしか影響を与えないように調製されなければならない。
【0004】
さらに、多層素子、及び特に外側コンタクトは、高い通電容量(Stromtragfaehigkeit)、例えば数百アンペアを有するべきである。さらにまた、多層素子、及び特に外側コンタクトは、高温、例えば約200℃において、高い熱耐性を有するべきである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、外部コンタクトを有する多層素子であって、外側コンタクトが高い通電容量及び高い温度耐性を有し、多層素子の基体と外側コンタクトとの間の熱膨張の差、及び基体の圧電膨張が多層素子の長期耐久限度にわずかな量しか影響を与えない、多層素子を提供することにある。
【0006】
高い通電容量及び高い温度耐性を有する外側コンタクトを備え、多層素子の基体材料への外側コンタクトの良好な熱膨張適応性を有する多層素子の実施形態は、請求項1に記載されている。
【0007】
可能な実施形態によれば、多層構成要素は、第1内部電極及び第2内部電極と、内部電極の外部コンタクトのための外側コンタクトと、を有する基体を備え、第1電極及び第2電極は、基体内において、電気的に互いに絶縁されて、交互に配置されている。外側コンタクトは、基体の第1表面上に配置された、少なくとも2つの帯状の第1導体路を備える。第1導体路はそれぞれ、複数の第1内部電極のうちの1つとと電気的に接続されている。さらに、外側コンタクトは、基体の第2表面上に配置された、少なくとも2つの帯状の第2導体路を備える。基体の第2表面は、基体の第1表面に対向している。第2導体路はそれぞれ、複数の第2内部電極のうちの1つと電気的に接続されている。
【0008】
第1導体路は第2内部電極から機械的に分離されて(entkoppelt)おり、第2導体路は第1内部電極から機械的に分離されている。
【0009】
基体は、圧電材料、例えばPLZT(ランタンジルコニウム酸チタン酸鉛:Lead Lanthanum Zirconate Tritanate)セラミックで構成されることができる。
【0010】
多層素子の実施形態によれば、帯形状の第1導体路は、基体の第1表面上で互いに離間して配置されている。
第2導体路は、基体の第2表面上で互いに離間して配置されている。多層構成要素の相対向するの表面上の第1導体路及び第2導体路のかかる帯状の配置は、外側コンタクトの二次元レリーフ(Entlastung)となり、その結果、基体の圧電機械的動作は、外側コンタクトの安定性にわずかしか影響しない。
【0011】
さらに、第1導体路及び第2導体路の特別な成形は、多層素子の基体材料と外側コンタクトの第1及び第2導体路との間の残余の膨張差が、第1及び第2導体路を湾曲させることによって補償されることを確実にすることができる。第1及び第2導体路はさらに、基体のそれぞれの表面に固定される第1面区画をそれぞれ有し、さらに、基体の第1又は第2表面から離間して配置される第2面区画をそれぞれ有する。第1及び第2導体路のそれぞれの第2面区画は、基体の第1又は第2表面から離れて向いている凹所又はアーチを有することができる。個別の帯形状の導体路内の凹所は、外側コンタクトの損傷なく、第1及び第2導体路が基体の熱的又は圧電的膨張に追従できることを確実にする。
【0012】
外側コンタクトの高い通電容量を確保するために、第1及び第2の導体路は、それぞれ、第1及び第2の銅層からなり、その間に第3のインバー層が配置されている、十分に厚い複合板(Verbundblech)(CIC複合板)として設計されることができる。有利な実施形態によれば、銅/インバー/銅の複合板は、20%の銅製の第1層及び第2層と、60%のインバー製の第3層と、の厚さの比とを有する。
【0013】
銅製の第1層、インバー製の中間層及び銅製の第2層の、20/60/20の厚さ比を有するCIC複合板の外側コンタクトの実施形態によれば、7~8ppm/KのCIC複合板の横方向の熱膨張係数は、基体の横方向の熱膨張係数、例えばPLZT(ランタンジルコニウム酸チタン酸鉛:Lead Lanthanum Zirconate Tritanate)セラミックの約8~10ppm/Kに好適に適合されている。
【0014】
特別な接続層を基体と第1及び第2導体路との間に設けることにより、熱的温度耐性が改善されることができる。多層素子を製造するために、焼結銀技術が用いられることができる。この接続技術は熱機械的及び熱サイクルに関して非常に安定している。
【0015】
接続層としては、基体と第1及び第2導体路との間に、銀の多孔質層、所謂焼結銀層が配置されることができる。外側コンタクトの高い温度耐性は、第1及び第2導体路を銀の多孔質接続層を用いてセラミック基体の表面上に配置されたスパッタ層に接続することによって確実にされる。
【0016】
以下では、本発明は、本発明の実施形態を示す図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】内部電極の外部コンタクトを有する多層素子の実施形態を、多層素子の第1表面上からの斜視図で示す図である。
図2】内部電極の外部コンタクトを有する多層素子の第2表面上からの上面図を示す図である。
図3A】多層素子の基体の第1表面上の外側コンタクトの実施形態を拡大図で示す図である。
図3B】多層素子の基体の第2表面上の外側コンタクトの実施形態を拡大図で示す図である。
図4】外部コンタクトを有する多層素子の実施形態を断面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、多層素子10の斜視図である。図1では、特に、多層素子10の基体の第1表面O100a上からの斜視図が示されている。図2は、多層素子10の基体100の第2表面O100b上面図である。多層素子10は、例えばコンデンサ、特にセラミックブロックコンデンサ(ウルトラバー(Ultrabar))として設計されることができる。
【0019】
多層素子10は、第1内部電極及び第2内部電極110,120を有する基体100を備え、第1内部電極及び第2内部電極110,120は、基体100の内部において、電気的に互いに絶縁されて、交互に配置さている。基体100は、特に、電圧が印加された際に膨張を示す圧電材料130を有する。第1内部電極及び第2内部電極110及び120は圧電材料130内で積層方向Sに交互に配置されている。圧電材料130は、特に、第1内部電極110の1つと第2内部電極120の1つとの間にそれぞれ配置されている。
【0020】
多層素子10は、内部電極110及び120の外部コンタクトのための外側コンタクト200を有する。外側コンタクト200は、基体100の第1表面O100a上に配置された、少なくとも2つの帯形状の第1導体路210を有する。第1導体路210はそれぞれ、複数の第1内部電極110のうちの1つと電気的に接続されている。第1導体路210は、第2内部電極120から機械的に分離されている。さらに、図2に示すように、外側コンタクト200は、基体100の第2表面O100b上に配置された、少なくとも2つの帯形状の第2導体路220を有する。第2導体路220はそれぞれ、複数の第2内部電極120のうちの1つと電気的に接続されている。第1導体路210は、第1内部電極120から機械的に分離されている。
【0021】
図1に示すように、第1導体路210は、基体100の第1表面O100a上で、帯形状に、互いに離間して配置されている。図2は、基体100の第2表面O100b上で、帯形状に、互いに離間して配置されている第2導体路220を示す。基体100の第1表面及び第2表面上の第1導体路及び第2導体路の、かかる帯形状の配置によって、特に、基体の幅B方向における基体の長さの変化を補償することができ、基体のかかる膨張の際に外側コンタクト200に損傷を来さない。
【0022】
多層素子の基体100は、セラミック材料、例えばPLZTセラミックを含むことができる。セラミックの基体(セラミックバー)は、7mmの奥行、27mmの高さ、80mmの幅を有することができる。可能な有利な実施形態によれば、複数の帯形状の導体路210及び220は、それぞれ6mmと8mmとの間、好ましくは約7mmの幅を有する。
【0023】
図3Aは、多層素子10の一部の断面を、基体100の第1表面O100aの上に配置されている外側コンタクト200の一部とともに示す。図3Bは、多層素子10の一部の断面を、基体100の第2表面O100aの上に配置されている外側コンタクト200の一部とともに示す。
【0024】
多層素子の実施形態によれば、第1導体路210はそれぞれ、基体100の第1表面O100a上に固定された第1区画211を有する。さらに、第1導体路210はそれぞれ、基体100の第1表面O100aから離間して配置されている第2面区画212を有する。第1導体路に相応して、第2導体路220もそれぞれ、基体100の第2表面O100bに固定された第1面区画221を有する。第2導体路220はさらに、それぞれ、基体100の第2表面O100bから離間して配置されている第2面区画222を有する。
【0025】
図3Aに示すように、第1導体路210の第1面区画211はそれぞれ、基体100の第1表面O100aに平行に配置されている。第1導体路210の第2面区画212はそれぞれ、基体100の第1表面O100aから離れて向いている(weggerichtet)凹所又はアーチ213を有する。
【0026】
図1Bに示すように、第2導体路220の第1面区画221はそれぞれ、基体100の第2表面O200bに平行に配置されている。第2導体路220の第2面区画222はそれぞれ、基体100の第2表面O100bから離れて向いている凹所又はアーチ223を有する。
【0027】
多層素子の可能な実施形態によれば、複数の第1面区画211のうちの1つと複数の第2面区画212のうちの1つとを含む第1導体路210の領域B210は、第1面区画211が第1導体路210の領域B210の長さの約3分の2を含み、第2区画212が第1導体路210の領域B210の長さの約3分の1を含むように、形成されている。
【0028】
図3Bを参照すると、複数の第1面区画221のうちの1つと複数の第2面区画222のうちの1つとを含む第2導体路220の領域B220は、相応に、第1面区画221が第2導体路220の領域B220の長さの約3分の2を含み、第2導体路220の領域B220の長さの約3分の1を含むように、形成されることができる。
【0029】
図3A及び図3Bから認識できるように、基体100の第1表面O100a上に固定された第1導体路210の第1面区画211、又は、基体100の第2表面O100b上に固定された第1面区画221はそれぞれ2mmの長さを有することができる。基体100の第1表面O100aから離れて向いている凹所若しくはアーチ213としてそれぞれ設計されている第1導体路210の第2面区画212、又は、基体100の第2表面O100bから離れて向いている凹所若しくはアーチ213としてそれぞれ設計されている第2導体路220の第2面区画222は、例えば1mmの長さを有する。第1及び第2導体路210,220の第2面区画212,222の凹所/アーチ213,223は、例えば約1mmの奥行を有する。
【0030】
可能な実施形態によれば、帯形状の第1導体路210の凹所213は、第1導体路210のうちの隣り合うものにおいて、互いにオフセットして配置されている。図3Aにおいて認識されるように、第1導体路210のうちの隣り合う帯上の凹所213は、例えば、互いに1.5mmのオフセットで配置される。
【0031】
帯形状の第2導体路220の凹所223は、第2導体路220のうちの隣り合うものにおいて、互いにオフセットして配置されることができる。図3Bは、互いに隣り合って配置された帯形状の第2導体路220における凹所223のオフセットを示す。図3Bにおいて認識されるように、第2導体路220のうちの隣り合う帯上の凹所223は、例えば、互いに1.5mmのオフセットで配置される。
【0032】
互いに隣り合って配置された第1導体路210のオフセットされた配置、及び、互いに隣り合って配置された第2導体路220のオフセットされた配置によって、多層素子の全ての内部電極の信頼できるコンタクトを達成することができる。
【0033】
帯形状の導体路のそれぞれにおいて、導体路の長さの約3分の2、例えば、帯形状の導体路210,220の長さの2mmが、基体100の第1又は第2表面O100a,O100bに固定され、帯形状の導体路の長さの3分の1だけが凹所を有することによって、帯形状の導体路は、内部電極への電圧印加の際に圧電性基体100が膨張すると、外側コンタクト200への損傷を生じさせることなく、図1に示される積層方向Sにおいて膨張することができる。
【0034】
図3Aから認識できるように、第1導体路210の第2面区画212のそれぞれは、第1導体路210の第1面区画211のうちの2つの間に配置される。第1導体路210の第1面区画211のそれぞれは、第1導体路210の第2面区画212のうちの2つの間に配置される。相応に、第2導体路220の第2面区画222のそれぞれは、第2導体路220の第1面区画221のうちの2つの間に配置される。第2導体路220の第1面区画221のそれぞれは、第2導体路220の第2面区画222のうちの2つの間に配置される。
【0035】
図3A及び3Bに示される、可能な実施形態によれば、第1導体路210及び第2導体路220はそれぞれ、銅製の第1レイヤー(Lage)231及び銅製の第2レイヤーの複合板として設計されている。第1レイヤー及び第2レイヤー231,232の間には、インバー製の第3レイヤー233が配置される。複合板は、例えば、20/60/20の厚さ比を有することができ、即ち、銅製の第1レイヤー231は20%、インバー製の第3レイヤーは60%、銅製の第2レイヤーは20%の厚さ比を有することができる。
【0036】
そのような銅/インバー/銅(CIC)複合板は、外側コンタクトの、例えば数百Aに達し得る、高い通電容量を保証する。さらに、銅製の第1レイヤー231、インバー製の第3レイヤー233及び銅製の第2レイヤー232の20/60/20の厚さ比を有する複合板のそのような構造において、CIC複合板の横方向熱膨張係数は、例えばPLZTセラミックの、基体100の横方向熱膨張係数に好適に適合する。図3A及び3Bに示される実施形態において、第1導体路又は第2導体路210,220は例えば0.7mmの全体厚さを有し、インバー製の第3レイヤー233は0.42mmの厚さを有する。
【0037】
可能な実施形態によれば、接続層300として基体100と第1導体路210又は第2導体路220との間に銀製の多孔質層(焼結銀)が設けられることができる。そのような接続層によれば、多孔質の接続層300はそのスポンジ状の構造ゆえに基体100と外側コンタクト200との異なる膨張に関して非常にフレキシブルであるため、基体100上の外側コンタクト200の耐熱性を保証することができる。
【0038】
外側コンタクト200、即ち帯形状の第1及び第2導体路210,220を、基体100の第1表面O100a又は第2表面O100bと接続するために、基体100の第1表面O100a又は第2表面O100b上に、薄い金属化層が適用されることができる。薄い金属化層は、例えばクロム‐ニッケル‐銀の層配置であり得る。例えば、クロムの薄層、例えば厚さ0.3μmのクロム層は、接着仲介剤(Haftvermittler)として基体100の圧電セラミックの直接上に適用される。その上に、ニッケル層、例えば厚さ約0.3μmのニッケル層が、拡散バリアとして適用される。その後、ニッケル層の上に、例えば厚さ0.5μmとすることができる銀層が適用される。クロム‐ニッケル-銀の層配置は、基体の第1表面O100a又は第2表面O100bにスパッタ層として適用されることができる。
【0039】
第1導体路210又は第2導体路220の下面、特にそれぞれのCIC複合板の下面に、銀層は、例えば電気メッキで適用される(galvanisch, aufgetragen)ことができる。クロム-ニッケル-銀の層配置の銀層と、第1及び第2の導体路のそれぞれのCIC複合板の下面上の銀層とは、その後、焼結プロセスにおいて多孔質銀層に焼結される。この多孔質銀層は、接続層300を形成する。したがって、クロム-ニッケル-銀層配置のニッケル層と、第1及び第2導体路210、220の銅層231との間に多孔質銀スポンジが発生し、多孔質銀スポンジは、良好な導電性を有し、その柔軟性ゆえに基体100の圧電膨張の際に又は基体100と外側コンタクト200との間の異なる熱膨張挙動の際に、損傷を受けない。長時間の温度サイクルを経ても、劣化作用はほとんど見られない。
【0040】
図4は、多層素子10の断面を示す。第1導体路210のそれぞれは、それぞれの第1導体路210のコンタクトのためのコンタクト部分214を有する。また、第2導体路220のそれぞれは、それぞれの第2導体路220のコンタクトのためのコンタクト部分224を有する。コンタクト部分214及び224は図1及び2にも示されている。
【0041】
多層素子10の図視されている実施形態において、第1導体路210のコンタクト部分214及び第2導体路210のコンタクト部分224は、第1及び第2導体路210及び220のコンタクト部分214及び224が同一平面にあるように湾曲している。それによって、平坦な接続コンタクト上にコンタクト部分214,224を面一にねじ止めすることが可能になり得る。接続コンタクトへの外側コンタクト200のねじ締めのために、導体路210のコンタクト部分214にはコンタクト孔215が、導体路220のコンタクト部分224にはコンタクト孔225が設けられている。
【0042】
図4に示される多層素子10の実施形態において、コンタクト部分214及び224は、例えば基体100に対して中央に配置されている。ねじ位置は、バー(Riegel)/基体100と中央に一列に並んでいる。平坦なコンタクト上への面一のねじ止めを可能にするために、第1及び第2導体路のうちの一方に対する切れ込みの方向(die Richtung der Einkerbungen)は部分的に回転させなければならない。図4に示されるコンタクト部分214及び224の中央配置の代わりに、多層構成要素の別の可能な実施形態におけるコンタクト部分は、基体の中心に関して横方向にオフセットされることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 多層素子(Vielschichtbauelement)
100 基体(Grundkoerper)
110 第1内部電極(erste Innenelektroden)
120 第2内部電極(zweite Innenelektroden)
130 圧電材料(piezoelektrisches Material)
200 外側コンタクト(Aussenkontaktierung)
210 第1導体路(erste Leiterbahnen)
220 第2導体路(zweite Leiterbahnen)
211,221 第1面区画(erste Flaechenabschnitte)
212,222 第2面区画(zweite Flaechenabschnitte)
213,223 凹所(Einpraegungen)
214,224 コンタクト部分(Kontaktierungsabschnitte)
215,225 コンタクト孔(Kontaktierungsloecher)
300 接続層(Verbindungsschicht)
図1
図2
図3A
図3B
図4