(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】衛星の太陽光発電機を試験するための装置
(51)【国際特許分類】
H02S 50/10 20140101AFI20220617BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20220617BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220617BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220617BHJP
B64G 7/00 20060101ALI20220617BHJP
B64G 1/44 20060101ALI20220617BHJP
B64F 5/60 20170101ALI20220617BHJP
【FI】
H02S50/10
G01M11/00 T
B64C39/02
B64D27/24
B64G7/00 Z
B64G1/44 300
B64F5/60
(21)【出願番号】P 2020571780
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 FR2019051420
(87)【国際公開番号】W WO2020002791
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-02-22
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517342903
【氏名又は名称】エアバス・ディフェンス・アンド・スペース・エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルニェ,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】サバトゥ,マルク
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078404(JP,A)
【文献】特開2002-111030(JP,A)
【文献】登録実用新案第3203781(JP,U)
【文献】特開2017-163805(JP,A)
【文献】特表2014-525227(JP,A)
【文献】特開2017-108106(JP,A)
【文献】特開2018-026570(JP,A)
【文献】特開2011-049474(JP,A)
【文献】特開2015-043395(JP,A)
【文献】特開2012-074704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0359454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 50/00-50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星(S)またはソーラードローン
に組み立てられる太陽光発電機(2)を試験するための方法であって、
前記太陽光発電機(2)は1つの接合部または複数の接合部を有する太陽電池(20)のアレイを備え、前記各接合部はそれぞれの波長帯域の光子を電流に変換することができ、
前記方法は試験装置(1)を使用して実施され、
前記試験装置(1)は、
前記太陽電池(20)の前記接合部の電気変換波長の各帯域において発光することができる照明装置(19)であって、光源(11)のアレイ(10)を備え、前記アレイ(10)は前記光源(11)の少なくとも1つの行を含み、前記アレイ(10)の前記各光源(11)は前記太陽電池(20)の前記接合部の少なくとも1つの電気変換波長帯域において発光することができる、照明装置(19)と、
前記光源(11)の前記アレイ(10)のための制御ユニット(12)であって、前記アレイ(10)の前記光源(11)の各々の点灯及び消灯を個別に制御することが可能な制御ユニット(12)を備え、
前記方法は、
前記試験装置(1)の前記光源(11)の前記アレイ(10)を前記太陽光発電機(2)に対向するように位置決めするステップ(100)、
前記試験装置(1)
の前記光源(11)の前記アレイ(10)の少なくとも1つの前記光源(11)を点灯することによって、前記太陽電池
(20)の前記各接合部の全ての電気変換波長帯において前記太陽電池(20)の少なくとも1つの太陽電池(20)を選択的に照射するステップ(200)であって、前記少なくとも1つの太陽電池(20)によって受け取られる放射強度が130W/m
2である、ステップ、
照明された前記太陽電池(20)の応答電流を測定するステップ(300)
であって、測定された前記応答電流は前記太陽光発電機(2)によって前記衛星またはソーラードローンに供給される電流である、ステップ、及び
前記太陽光発電機(2)の健全状態または不良状態を推定するために、測定された前記応答電流を分析するステップ(400)、を含む方法。
【請求項2】
前記太陽光発電機(2)が衛星に組み立てられ、前記試験装置(1)が前記太陽光発電機(2)の全ての前記太陽電池(20)を同時に照射できるように構成され、前記方法は、前記太陽光発電機(2)の全ての前記太陽電池(20)を同時に照射することによって前記衛星の前記点灯を試験するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記太陽光発電機(2)が前記太陽電池(20)の複数のストリング(21)を備え、1つのストリング(21)の前記太陽電池(20)は直列に接続され、前記方法は前記太陽電池(20)の少なくとも1つのストリング(21)の試験を含み、
前記試験は、
1つのストリング(21)の前記太陽電池(20)のグループを連続的に照明するステップ(200)であって、前記グループは一定数の前記太陽電池(20)を含み、連続的に照明される前記グループは1つの太陽電池(20)によって互いにオフセットされる、ステップと、
照明された前記太陽電池(20)の
前記グループのそれぞれについて測定された前記応答電流に基づいて、前記ストリング(21)の前記太陽電池(20)の健全状態または不良状態、および前記ストリング(21)の前記太陽電池(20)の間の電気的接触の健全状態または不良状態を判定するステップ(400)を含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記太陽光発電機(2)の前記各太陽電池(20)がバイパスダイオード(22)に関連付けられ、前記太陽電池(20)のストリング(21)の前記試験は、照明された前記太陽電池(20)の
前記グループのそれぞれについて測定された前記応答電流に基づいて、前記ストリング(21)の前記太陽電池(20)に関連付けられた前記バイパスダイオード(22)が健全状態または不良状態にあるかを判定するステップ(400)をさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記太陽光発電機(2)は調整器(25)に接続され、前記太陽電池(20)の複数のストリング(21)を備え、1つのストリング(21)の前記太陽電池(20)は直列に接続され、
前記方法は、1つ以上のストリング(21)の前記太陽電池(20)を選択的に照明するステップ(200)と、
測定された前記応答電流に基づいて、前記調整器(25)および前記ストリング(21)と前記調整器(25)との間の前記接続が健全状態または不良状態にあるかを判定するステップ(400)と、を含む、請求項
3または4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星またはソーラードローンの太陽光発電機を試験するための装置に関する。本発明による装置は、特に、太陽光発電機を形成する太陽電池の健全性を試験するために、また、太陽電池とそれらの保護要素との接続の正しい動作を試験するために使用可能である。
【背景技術】
【0002】
衛星への電力は1つ以上の太陽光発電機によって供給され、各発電機はいくつかのp―n接合、典型的には3つのp―n接合を備える太陽電池のアレイを備える。三重接合太陽電池は高価ではあるが、二重接合電池よりも高い電気変換効率を示す。
衛星が配備された後に衛星にアクセスすることが困難であることを考えると、その発射後にその構成要素を試験または修理することは非常に困難であるか、または不可能でさえあり、したがって、発射前に地上で衛星を試験することができることが不可欠である。特に、太陽光発電機は衛星が打ち上げられた後に発電機の性能が保証されることを実証し、必要に応じて欠陥のある部品を打ち上げ前に交換することを目的とする、いくつかの機能試験を受ける。
【0003】
これらの正しい動作の試験には、特に、電気回路の完全性及びそれらの構成要素である太陽電池の性能の検証が含まれる。この検証は、現在、典型的には以下を含む一連のユニット試験によって行われる。
・配線及び電池用バイパスダイオード等の保護要素の導通試験
・太陽電池の健全性試験
・太陽光発電機を統合した後の衛星への電気的部分の配分と正しい接続の試験。
【0004】
太陽電池の健全性試験は何らかの故障を検出するために、太陽光発電機に電流を供給し、この電流に応答して生成されたエレクトロルミネセンス画像を捕捉して処理することからなるエレクトロルミネセンス試験によって達成することができる。また、「フラッシュ試験」と呼ばれる試験によって達成することができる。この試験は太陽光発電機を照射し、電力および/または応答して発生するI-V特性を測定することからなる。
【0005】
配線導通試験は、発電機を形成する太陽電池の種々のストリングを個別に偏光させることによって、手動で実行することができる。
【0006】
これらの異なるタイプの試験では、測定及び処理エレクトロニクスを接続するために、衛星から太陽光発電機を切り離し、太陽光発電機の電気システムにアクセスする必要がある。これらの試験に要する時間を考えると、一般に、太陽光発電機は衛星から取り外され、試験のために特定の領域に持ち込まれなければならない。このことは、望ましくない取り扱い、従って、これらの部品の生産コストを考慮すると、望ましくない太陽光発電機と衛星への損傷のリスクを追加する。
【0007】
配分試験は、太陽光発電機の異なる領域を照明し、衛星での応答を測定することにより行うことができる。従って、この試験は、一旦太陽光発電機が衛星に再組立されると、第二段階で実施される。
【0008】
実施された様々な試験、および太陽光発電機に接続すること、および各試験を実行できるようにするために太陽光発電機を操縦することに関して生じる制約は試験プロトコルを長くし、危険にさらす。
【0009】
また、太陽光ドローンについても同様の問題が生じており、それはそれらの重大な統合性及び軽量性の制約のために、高価で壊れやすい太陽光発電機を備えており、それはそれらを損傷するリスクなしに試験することができることが重要である。さらに、夜間に着陸しないのに十分な自律性を有することができる太陽光ドローンについては、飛行の時期の悪い中断を回避するために、ドローンを発射する前に必要なすべての試験を実施することも有利である。
【0010】
したがって、より高速であり、太陽光発電機およびそれが取り付けられる衛星またはドローンの完全性に対する危険性がより少ない、太陽光発電機を試験する手段が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に鑑みて、本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服することである。特に、本発明の目的の1つは、種々のタイプの試験を実施するために使用可能な、太陽光発電機を試験するための非接触装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、太陽電池の健全性試験を実施するための試験装置を提供することであり、また、配線の連続性及び電気部分の衛星又はソーラードローンへの正しい接続の試験を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この点に関して、本発明の目的は衛星またはソーラードローンの太陽光発電機を試験するための装置であって、太陽光発電機は1つの接合部または複数の接合部を有する太陽電池のアレイを備え、各接合はそれぞれの波長帯域の光子を電流に変換することができる、装置である。試験装置は、以下を備える。
・光源の少なくとも1つの列を備える光源のアレイであって、アレイの各光源は、太陽電池の接合部の電気変換波長帯域のそれぞれにおいて光を発光することができる。
・前記光源のアレイのための制御ユニットであって、アレイの各光源のオンおよびオフを個別に制御することができる。
【0014】
光源のアレイは、アレイの1つ以上の光源をオンにすることによって、太陽光発電機の各太陽電池を選択的に照明することができるようにさらに構成され、太陽電池は少なくとも130W/m2よりも大きい放射照度を受ける。
【0015】
一実施形態では、各太陽電池が多接合型であり、アレイの各光源は複数の発光ダイオードを備え、各発光ダイオードは太陽電池のそれぞれの接合部の電気変換波長帯域の光を発光することができる。
【0016】
例えば、太陽光発電機の太陽電池の接合部の数がN個である場合、アレイの各光源はN個の発光ダイオードを備えてもよく、光源の各ダイオードは太陽電池のそれぞれの接合部によって吸収される波長帯域の光を発光することができる。
【0017】
特定の一実施形態では、太陽電池は三重接合型であり、アレイの各光源は以下を備える。
・450nmを中心とする波長帯域で発光可能な第1の発光ダイオード。
・850nmを中心とする波長帯域発光可能な第2の発光ダイオード、および
・940nmを中心とする波長帯域で発光可能な第3の発光ダイオード。
【0018】
有利には、制御ユニットは、更に、アレイの光源の各発光ダイオードのオン、オフ、および放射照度を個別に制御することが可能である。
【0019】
有利には、アレイの2つの隣接する光源間の距離が、2つの隣接する太陽電池の中心間の距離以下である。
【0020】
一実施形態では、試験装置が各光源によって発光される光ビームの開口角度を制御するのに適した光学系をさらに備える。光源がLEDを備える場合、これらの光学系は、各LEDに一体化されてもよい。
【0021】
試験装置はさらに、太陽光発電機のための以下の保護装置を備えてもよい。
・1.8μmより長い波長を有する光線を遮断することができる透明なスクリーン。
・透明スクリーンと光源アレイとの間に空気を循環させることができるファン。
【0022】
光源のアレイは有利には複数のサブアレイから形成され、各サブアレイは1つの行の光源を備える。
【0023】
本発明の別の目的は、衛星またはソーラードローンの太陽光発電機を試験するための方法であって、太陽光発電機は多接合太陽電池のアレイを備え、各接合部はそれぞれの波長帯域の光子を電流に変換することができ、試験方法は上記の説明による試験装置を使用して実施され、以下のステップを含む方法である。
・前記試験装置の前記光源アレイを前記太陽光発電機に対向させるように位置決めする。
・前記アレイの少なくとも1つの光源を点灯して、前記太陽光発電機の少なくとも1つの太陽電池を選択的に照射する。
・照明された太陽電池の応答電流を測定する。及び
・太陽光発電機の健全・不良状態を推定するために、測定された応答電流を解析する。
【0024】
有利には太陽光発電機が衛星またはソーラードローンに組み立てられ、測定された応答電流は太陽光発電機によって衛星またはソーラードローンに供給される電流である。
【0025】
一実施態様では、太陽光発電機が衛星に組み立てられ、試験装置は太陽光発電機の全ての太陽電池を同時に照射できるように構成され、本方法は太陽光発電機の全ての太陽電池を同時に照射することによって衛星の電源を入れることを試験するステップを含む。
【0026】
一実施形態では、太陽光発電機が複数の太陽電池ストリングを備え、ストリングの太陽電池は直列に接続され、本方法は少なくとも1つの太陽電池ストリングの試験を含み、前記試験は、以下を含む。
・1つのストリングに含まれる太陽電池のグループの連続的な照明。前記グループは一定数の太陽電池を含み、前記連続的に照明されるグループは、1個の太陽電池により互いにオフセットされる。
・照明された太陽電池の各グループについて測定された応答電流に基づいて、ストリングの電池の良好・不良状態、およびストリングの電池間の電気接的接触の健全・不良状態を判定する。
【0027】
太陽電池発電機の各太陽電池はバイパスダイオードに関連付けられてもよく、太陽電池のストリングの試験は照明された太陽電池の各グループについて測定された応答電流に基づいて、ストリングの太陽電池に関連付けられたバイパスダイオードの良好・不良状態の判定を含むことができる。
【0028】
太陽光発電機が調整器に接続され、ストリングの太陽電池が直列に接続された複数の太陽電池ストリングを備える場合、本方法は、1つ以上の太陽電池のストリングの選択的照明と、測定された応答電流に基づいて、調整器の良好な状態または不良状態の判定と、ストリングと調整器との間の接続の判定とを含むことができる。
【0029】
本発明による試験装置は、特定の試験インターフェースなしで、接触なしで、太陽光発電機の太陽電池の健全性を試験することを可能にする。実際、装置は130W/m2以上の受信放射照度で各電池を照射できるように構成されており、これは、宇宙空間で太陽から受け取った放射照度の1/10に相当し、太陽電池が衛星またはドローンで測定可能な十分に高い電流を生成することを可能にする。
【0030】
したがって、太陽光発電機を、衛星またはドローンから切り離す必要はなく、これにより、取り扱いに伴うリスク、ならびに試験期間が短縮される。
【0031】
さらに、試験装置の光源のアレイの構成は、太陽光発電機の1つ以上の太陽電池を個別に照射することを可能にする。これは、太陽電池の健全な又は欠陥のある状態を判定することを可能にするだけでなく、太陽電池のグループの照明の適切なシーケンスによって、配線の完全性、バイパスダイオードの正しい動作、及び配置、すなわち、衛星又はドローンへの太陽光発電機の正しい接続を試験することも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の他の特徴、目的、および利点は以下の説明から明らかになり、以下の説明は純粋に例示的であり、限定的ではなく、添付の図面と併せて読まれるべきである。
【
図1a】本発明の一実施形態による試験装置の一例を概略的に示す。
【
図1b】光源のアレイのための支持フレームを概略的に示す
【
図1c】フレームに取り付けられた光源のアレイの側面図を概略的に示す。
【
図1d】本発明の別の実施形態による試験装置の一例を概略的に示す。
【
図2a】異なる発光スペクトルの4つのLEDを含む光源の一例を示す。
【
図3a】試験装置の光源のアレイの例示的な構成を示す。
【
図3b】試験装置の光源のアレイの例示的な構成を示す。
【
図5】試験する太陽光発電機の太陽電池の電気変換特性と比較した試験装置の発光ダイオードの発光特性の一例を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による太陽光発電機を試験する方法の主要なステップを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1aを参照して、ここで、太陽光発電機を試験するための装置1について説明する。この装置は、太陽光発電機の正しい動作の一組の非接触検証を行い、太陽光発電機の内部部品にアクセスするために、太陽光発電機を操作することを可能にする。太陽光発電機は、有利には、衛星Sまたはソーラードローンに搭載されて、そこへの電力の供給を確実にするように意図される。
【0034】
太陽光発電機2の一例を
図4に模式的に示す。それは少なくとも1つの接合、及び好ましくは少なくとも2つの接合を含む太陽電池20のアレイを含み、これらの接合は次いで、多接合電池というタームが使用される。太陽電池の各接合は光起電力効果によって、それぞれの波長帯域の光子を電流に変換することができる。
【0035】
衛星に電力を供給する場合、太陽光発電機の太陽電池20は、典型的には例えば、Azur Space社が提供する電池モデル3G28又は3G30のような三重接合型電池であり得、それらのスペクトル応答は
図5に示されており、ここで、x軸は波長を表し、y軸の左は、電池の光電変換率(外部量子効率EQEとも呼ばれる)を表す。
【0036】
例えば、三重接合電池は、以下を備えてもよい。
・400~600nmの波長帯の光子を電流に変換するのに適した上部接合部
・650~900nmの波長帯の光子を電流に変換するのに適した中間接合部、および
・近赤外線、たとえば、900~1000nmの波長帯の光子を電流に変換するのに適した下部接合部。
太陽電池の「アレイ」は、太陽電池が2つの隣接する太陽電池の間に一定の距離(第1の方向における第1の距離と、第1の方向に直交する第2の方向における第2の距離とを含み得る)を有する規則的な配列で配置されることを意味すると理解される。典型的には、太陽電池が、全てが同数の電池を含む行に分配される。例えば、太陽電池のアレイは実質的に長方形の形状を有し、各々がR個の電池を含むN行に分布するN×R個の太陽電池を含んでもよい。N=Rの場合、アレイの形状は実質的に正方形である。
【0037】
太陽光発電機2の太陽電池20はストリング21に分配され、各ストリングは互いに直列に接続された複数の太陽電池20を備える。
図4では、太陽電池の6つのストリングが一例として示されている。
【0038】
さらに、太陽光発電機2は、1つ以上のバイパスダイオード22を備えてもよく、バイパスダイオードは1つ以上の太陽電池20と並列に接続され、遮光されている場合に、それが接続されている太陽電池を短絡させることを可能にする。例えば、太陽電池2は、
図4に概略的に示されているように、各太陽電池に対して1つのバイパスダイオード22を備えることができ、ここでは、6つの太陽電池のストリングのうちの1つのみが図示されている。
【0039】
太陽光発電機2はまた、ストリング21ごとにストリングブロッキングダイオード23を備えてもよく、これにより、遮光の場合に、ストリング内で逆方向に電流が流れるのを防止することが可能になる。
【0040】
最後に、太陽光発電機は、衛星のニーズに応じて、直接エネルギー伝達型(DETとも呼ばれる)または最大電力点追尾型(MPPTとも呼ばれる)の電力調整器25に接続される。次に、調整器25によって変換された電流を使用して、太陽光発電機が搭載されている衛星Sまたはドローンに電力を供給することができる。
【0041】
衛星またはドローンを打ち上げる前に、太陽光発電機の正しい動作を確認する必要がある。
【0042】
図1aに戻って、太陽光発電機を試験するための装置1は、光源11のアレイ10を備える照明装置19を備え、ここでも、「アレイ」という単語は、例えば、2つの隣接する光源の間が一定の距離(おそらく、第1の方向の第1の距離と、第1の方向と直交する第2の方向の第2の距離とを含む)である、規則的な配置で分布されたいくつかの光源のセットを意味すると解釈される。好ましくは、アレイの光源11が、全て同じ数の光源を含む行に分配される。光源は、平坦な支持体上に配置され、従って、試験される太陽光発電機に従って構成することができるサイズ及び幾何学的形状のパネルを形成する。
【0043】
さらに、アレイ10の各光源11は、太陽電池の接合部の電気変換波長帯域のうちの少なくとも1つにおいて光を放射することができる。
【0044】
一実施形態では、アレイ10の各光源11が太陽電池の接合部の電気変換波長帯のそれぞれにおいて光を放射することができる。
【0045】
このため、光源により太陽電池を照明することにより、太陽電池の全ての接合部を同時に励起し、太陽電池に電流を発生させることができる。
【0046】
例えば、各光源11は太陽電池の各接合部に対して少なくとも1つの発光ダイオード(以下、LED)を備えることができ、各発光ダイオードは、太陽電池のそれぞれの接合部によって吸収される波長帯域の光を発生することができる。
【0047】
光源の性質は太陽電池の種類によって異なる可能性があり、より具体的には、LEDの発光範囲が太陽電池の接合部によって異なる可能性があることが理解される。
【0048】
非限定的な例として、そのスペクトル応答が
図5に示されている少なくとも3G28タイプの三重接合電池に適しているために、アレイ10の各光源11は、有利には3つのLEDを備えてもよい。
・450nmを中心とする波長帯域の光を放射することができる第1のLEDであって、電池の上部接合部の吸収帯域(400~600nm)の光を放射するためのものであり、これは、
図5にも発光スペクトルが示されている白色LEDの場合である。
・850nmを中心とする波長帯域の光を放射することができる第2のLEDであって、電池の中間接合部の吸収帯域(650~900nm)の光を放射するためのものであり、これは、
図5に発光スペクトルが示されている第1の赤外線LEDの場合である。
・940nmを中心とする波長帯域の光を放射することができる第3のLEDであって、電池の下部接合部の吸収帯域の光(900~1000nm)を放射するためのものであり、これは、発光スペクトルが
図5に示される第2の赤外線LEDの場合である。
【0049】
図5において、y軸の右側はLEDのスペクトル放射輝度を表す。
【0050】
あるいは、各光源11が太陽電池の各接合部に対していくつかのLED、例えば、各接合部の波長帯域での照明を可能にする2つ又は3つのLEDを有することも可能である。 別の実施形態では、アレイの光源11が、太陽電池の単一の電気変換波長帯域の光を放射することができる。この場合、
図1dに概略的に示されているように、照明装置19は複数の接合部を有する太陽電池を照明するために、太陽電池の他の電気変換波長帯域(複数可)の光を放出することができる少なくとも1つの二次光源18を備えてもよい。
【0051】
より一般的には、このケースは、電池の接合部の数がN個であり、光源11が複数の波長帯域、即ち、N-1個の接合部に対応する太陽電池の多くともN-1個の電気変換波長帯で照射可能であるならば、適用することができる。
【0052】
図1aに戻って、試験装置1は、照明装置用の制御ユニット12も備える。制御ユニットは特に、アレイ10の各光源11のオン/オフを個別に選択的に制御するのに適している。有利には、制御ユニット12が二次光源18を制御するのにも適している。
【0053】
この点に関して、制御ユニット12は、以下を含むコンピュータ13を備えることができる。
・プロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリ130、
・光源を点灯または消灯するためのコマンドを光源に送るためにメモリに記憶された命令を実行するのに適しているプロセッサ131、および
・例えば、光源のオンまたはオフ状態に関する情報を表示するための、おそらくタッチセンシティブなスクリーンと、光源の点灯または消灯を制御するために、オペレータからの指令を入力するための手段とを備えるヒューマンマシンインターフェース132。
【0054】
制御ユニット12は、また、
図3aおよび
図3bを参照すると、アレイ10の光源のそれぞれのサブセットに接続され、プロセッサの指令を、光源を制御するための命令に変換することができる少なくとも1つのマイクロコントローラ120を備えてもよい。制御ユニット12は最後に、各光源に対して、マイクロコントローラからの命令を受け取り、光源に電力を供給するか、供給しないかの命令に従って選択的に切り替えるのに適した低電圧電力トランジスタ121を備えてもよい。
【0055】
有利には、制御ユニット12はまた、太陽電池のそれぞれの接合部に対応する各波長帯域において、光源によって放射される放射照度をそれぞれ制御および変化させるのに適していてもよい。したがって、光源が太陽電池の接合部あたり少なくとも1つのLEDを備える場合、制御ユニット12は、各LEDの点灯、消灯、および発光電力を個別に制御するのに適している。
【0056】
最後に、
図1aに戻ると、試験装置1はさらに、光源のアレイ10のための、および適切な場合には2次光源18のための電源14を備える。この電源は、電気系統電圧(例えば、220V、単相または三相)をアレイに適した電圧に変換する。電圧の選択は、アレイに電力を供給する電流を最小化するように決定され、典型的には10~40Vの間で選択することができる。
【0057】
したがって、照明装置は電池の接合部に対応する各波長帯域内の太陽光発電機の各太陽電池を照明することができ、かつ、各電池を、電流を送達しない状態(少なくとも1つの接合部が照明されていない状態)と、通常動作中に電流を送達する状態(全ての接合部が照明されている状態)との間で選択的に切り替えることができるようにするために、少なくとも1つの接合部の各太陽電池に対して、個別に切り替え可能な照明を可能にすることができる。
【0058】
実際、アレイ10の光源11が太陽電池の接合部のそれぞれに対応する波長帯で発光可能である場合には、各光源のスイッチングによって、電池毎に、1つの状態から別の状態に変化させることが可能になる。
【0059】
光源11が1つの波長帯域でのみ照射し、複数の接合部を有する太陽電池を備え、照明装置19が他の接合部のための1つ以上の二次光源18をさらに備える場合には、欠落した接合部を活性化し、したがって電池毎に1つの状態から別の状態に切り換えるために、太陽光発電機を二次光源18で照射し、アレイ10の光源を切り換えるようにすればよい。
【0060】
さらに、照明装置は、全ての接合部に対応する全ての波長帯における累積放射照度に相当する、少なくとも130W/m2以上の太陽電池が受ける放射照度で太陽電池を照明するのに適している。
【0061】
これにより、太陽電池が照射されたときに、太陽電池が測定可能な電流を発生させるのに十分な照射量で照射されることが保証され、したがって、応答電流の分析によって、照射された太陽電池が機能しているか否かを評価することが可能になる。この放射照度も、空間での使用時に、衛星の太陽光発電機の太陽電池が太陽から受ける放射照度の約1/10である。
【0062】
各電池を個別に切り替えることを可能にするために、光源のアレイ10は、太陽光発電機が備える太陽電池の数と、少なくとも同じ数の光源を備えることが好ましく、その結果、少なくとも1つの光源が所与の太陽電池に対応し、光源を点灯することによって、対応する電池の照明が引き起こされる。
【0063】
換言すれば、2つの光源間の距離は、太陽光発電機の2つの太陽電池の中心間の距離以下である。
【0064】
あるいは、光源のアレイ10が発電機の太陽電池の数の倍数である数の光源を備えてもよい。
【0065】
さらに、アレイ10の光源の表面密度が大きいほど、試験される太陽光発電機に従って光源を可変構成にまとめることができるので、種々のタイプの太陽光発電機に試験装置を適合させることができる。
【0066】
例えば、衛星に従来使用されている太陽電池は、隣接する2つの太陽電池の中心間の距離が通常4~14cmであるように、太陽電池の密度を有する。有利には、試験装置の光源のアレイが5cm未満、好ましくは1cm未満、例えば5mmの2つの隣接する光源間の距離に対応する、太陽電池の密度よりも大きい光源の密度を有することができる。
照明装置19が1つまたは複数の二次光源18も備えている場合には、各太陽電池の個々の照明に関する要件が電池を個別に切り替えることを可能にするこのアレイ10であるので、光源11のアレイ10にのみ適用され、二次光源はより拡散される照明のために密度を低くすることができることが理解される。したがって、各二次光源は、いくつかの電池、または発電機全体をカバーすることができる。
【0067】
光源の高い表面密度を達成するために、ハウジングを使用し、ハウジングの中で、LEDが並置または重ね合わされ、各LEDが、放出されたビームの角度開口を10度以下に低減するために一体化された光学系を有することが好ましい。
図2aに表されるのは4つの接合部を有する電池に適した光源の一例であり、発光バンドがそれぞれ4つの異なる波長の中心に位置する4つのLEDを備え、4つのLEDは共通ボード上に実装され、各LEDはビームの角度開口を10度に減少させることを可能にする一体化された光学系を備える。10cmの距離において、示された例によって生成されたビームは23mmの直径を有し、従って、発電機の単一の電池を著しく照射することを可能にする。
【0068】
あるいは、
図2bに表されるのは太陽電池の4つの接合部に適合されたLEDの列を含む高密度アレイの一例であり、LEDの列はコンパクトに組織化されている。示された実施例では、2つの隣接するLEDの間のピッチが水平方向および列によって定義される方向において4mmである。したがって、我々は太陽電池の構成に応じて、太陽光発電機の電池が可変構成で個別に照明されるように、LEDをグループ化することができる。
一実施形態では光源のアレイ10が一緒に組み立てることができる複数のサブアレイ15を備え、各サブアレイ15は個々に給電され、コンピュータ13に接続することができる。この点に関して、各サブアレイは、サブアレイの全ての光源を制御することを可能にするマイクロコントローラ120を備える。
【0069】
各サブアレイ15は、少なくとも1つ、好ましくはいくつかの光源11を備える。有利には、サブアレイ15が光源11の少なくとも1つの行を含む。
【0070】
有利には、試験装置1が
図1bに概略的に示されるフレーム16をさらに備え、サブアレイの集合体が所望の幾何学的形状のアレイを形成することを可能にする。フレームは例えば、1組の位置160を備えてもよく、各位置は例えば、ねじ留め、ボルト留め、またはスナップ嵌めによって、サブアレイを受け入れることができる。
【0071】
この構成をサブアレイにすることにより、試験される太陽光発電機の幾何学的形状に応じて試験装置をモジュール化することができる。実際、適切な数のサブアレイを選択し、前記幾何学的形状に基づいて決定された構成にサブアレイを組み立てることが可能である。
【0072】
図3aおよび
図3bでは、サブアレイの2つの可能な例が示されている。
図3aに示す第1の実施形態では、サブアレイは4つの光源11の4つの行を備える。
図3bに示す変形例では、サブアレイが9つの光源11の2つの行を備える。
【0073】
さらに、接合部に対応する少なくとも1つの波長帯域で太陽電池20を選択的に照明することができるようにするために、試験装置は有利には各光源11によって放出される光ビームの開口角度を制御し、有利には低減することを可能にする光学系(図示せず)を備える。これらの光学系は例えば、1つまたは複数のレンズ、および/または1つまたは複数の絞りを備えてもよい。すでに説明したように、光学系はまた、LEDの密度を増加させることを可能にするために、LEDに直接集積されてもよい。
【0074】
超えてはいけない最大開口角度の値は、他のパラメータ、特に太陽電池と光源との間の距離に依存する。典型的には、この距離が好ましくは5cmよりも大きい。というのはそれよりも下では試験装置による太陽光発電機への接触の危険があり、したがって、損傷の危険があるからである。この距離は、好ましくは15~20cm未満である。それを超えると、試験装置の近くで作業するオペレータが失明する危険があるからである。
【0075】
例えば、太陽電池と光源との間の距離は10cmであってもよく、開口角度の制御光学系は光ビームの開口角度を、15度未満、例えば10度に等しい開口角度に減少させるのに好適であってもよい。
【0076】
太陽電池が受ける放射照度は、光源の密度、光源が生み出す放射照度、距離、光ビームの開口角度によっても左右される。太陽光発電機の太陽電池当たり1つの光源があり、各光源は電池の接合部に対応する各波長帯域の光を生成することができ、各光源11は試験中に、太陽光発電機から5~15cmの間の距離に配置され、15度未満の開口角度を有する実施形態では、光源が有利には1~2ワット/10cm2の放射照度を生成するように構成される。
【0077】
太陽光発電機が受け取る放射照度を考慮すると、試験装置1は、太陽光発電機を保護するための装置18を備えることが有利である。この保護装置18は、有利にはアレイの光源11と太陽電池との間に延在する透明スクリーン180を備え、光源の故障の場合に機械的保護(保護、発生した汚染の閉じ込め)と熱的保護との両方を提供することができる。この点に関して、透明スクリーン180は太陽光発電機の温暖化を制限するために、1.8μmを超える波長の赤外線を遮断するのに有利に適している。
図1cを参照すると、この透明スクリーン180は、空気の循環を可能にするために光源とスクリーンとの間の空間を維持しながら、光源のアレイ10の位置決めを可能にする距離を置いて、フレーム16上に取り付けてもよい。
【0078】
この点に関し、保護装置18はまた、光源とスクリーン180との間の空間に新鮮な空気をもたらすことができるファン181を備えてもよい。最後に、保護装置18はまた、光源のアレイの後面、言い換えれば、太陽光発電機から離れた方向を向いたアレイの面上にラジエータ182を備えることができ、ラジエータ182は光源によって生成された熱を除去することができ、したがって、太陽光発電機の熱保護に寄与することができる。
【0079】
有利には、しかし任意には、アレイ10の各光源11もまた、太陽光発電機の幾つかの幾何学的形状に適合させることができ、個々の太陽電池の可能な限り最も精密な照明を可能にするために配向可能であってもよい。
【0080】
上述した試験装置1により、その使用状況に応じて、太陽光発電機の正しい動作の検証をいくつか行うことが可能となる。
【0081】
図6を参照すると、上述の試験装置を使用して太陽光発電機を試験する方法は、太陽光発電機の太陽電池のアレイと反対側に光源のアレイを位置決めするステップ100を含む。
【0082】
有利には、試験装置が、光源の数および配置、ならびに光源の性質および発光スペクトルの両方において、試験される太陽光発電機のために事前に構成されている。
例えば、光源のアレイがサブアレイで構成される場合には、太陽光発電機全体の試験を可能とするサブアレイの個数及び配置を選択し、この構成に従って組み立てることにより、試験装置が構成されている。
【0083】
さらに、光源のアレイ10、好ましくはアレイが取り付けられるフレーム16は有利には可動台車(図示せず)に固定され、可動台車は有利にはその上に取り付けられる光源のアレイ10の位置および向きを調整するための手段を備える。したがって、光源のアレイ10をキャリッジ上に取り付け、次いでキャリッジを太陽光発電機に持って行き、光源を太陽電池の反対側に配置するように調整することが可能である。
有利には、少なくとも1つの光源が、各太陽電池に反対側に、20cm未満、好ましくは15cm未満であるが5cmを超える距離に位置するように、光源のアレイが配置される。
【0084】
次いで、本方法は、アレイの少なくとも1つの光源11、および適切な場合には二次光源をオンにすることによって、太陽電池の接合部に対応するすべての波長帯域において、太陽電池発電機の少なくとも1つの太陽電池を照明するステップ200を含む。このステップの様々な実施形態を以下に説明する。
【0085】
照明装置が光源11のアレイ10のみを備える場合、このステップは電流の発生が活性化される電池に対応するために、1つ以上の光源を点灯することによって実施される。
照明装置が1つ以上の二次光源を備える場合、このステップは電流の発生を活性化させることが望まれる少なくとも電池を照明するための二次源の電源のオンと、1つまたは複数電池に対応するアレイの1つ以上の光源11の点灯とを含み、この光源11の点灯は、電池のスイッチングを可能にする。
【0086】
次いで、本方法は、照射された1つまたは複数の太陽電池の応答電流を測定するステップ300を含む。測定された応答電流は、好ましくは、衛星又はドローンに供給される電流である。何故ならば、太陽光発電機の内部電気接続部(例えば、2つの電池又は2つのストリング間の接続部)にアクセスすることなく、この電流にアクセスすることが可能であり、従って、これは、太陽光発電機を取り扱うことによる損傷のリスクを最小化するからである。
【0087】
次に、測定された応答電流はステップ400の間に、オペレータによって、またはプロセッサによって実施されるアルゴリズムによって分析され、太陽光発電機が健全状態または不良状態にあるかを推定する。実施される分析は、実施される照明のタイプおよび実施される試験の性質に依存する。これは、例えば、限定的ではないが、測定された電流値と照明された電池の数に従って決定された閾値との比較、および測定された電流が前記閾値を下回る場合の不具合の検出を含んでもよい。
【0088】
衛星は、太陽光発電機によって生成された供給電流が所定の閾値(太陽光発電機上の太陽による少なくとも部分的な照明に対応する)を超える場合、自動始動機能を備えることがある。
【0089】
一実施形態では、太陽光発電機全体を照らすために全ての光源を同時にオンにすることにより、衛星への太陽光発電機の正しい接続とともに、この機能性を試験することができる。
【0090】
あるいは、本方法は、ストリングのすべての電池を同時に照射することによって電池のストリングを選択的に照射するステップ(200)を含み、出力電流の分析はストリングの衛星またはドローンへの正しい接続、配線の完全性、それに対応すべき調整器25の経路へのストリングの正しい割り当て、調整器の正しい動作、ならびに対応するストリングブロッキングダイオードの正しい動作を検証することを可能にする。
【0091】
加えて、調整器がストリング入力電圧の測定を提供する場合、ストリングのバイパスダイオードの短絡タイプの故障は、そのストリングの開回路電圧を低下させる。
【0092】
あるいは、調整器がMPPTタイプの場合、本方法は、MPPT調整器の正しい動作を確認するために、太陽光発電機を部分的に遮光してシミュレートする照明(するステップ)200を含んでもよい。次に、遮光された電池を考慮した場合、衛星の供給電流の電力が最大電力であることを検証する。
【0093】
本方法はまた、1つのストリングの太陽電池のグループを連続的に照明するステップ200を含み、該グループは一定数の太陽電池を含み、連続的に照明されるグループは、1個の太陽電池により互いにオフセットされ、この照明はストリングの漸進的なスイープを形成してもよい。
【0094】
このスイープ中の電流の進展により、電池または対応するバイパスダイオードの不具合、またはストリング内の電池間の電気接触の不良を検出することが可能になる。
【0095】
例えば、スイープ中に電流が一定であるが、局所的な減少が生じる場合、電流の減少に対応して、最後にグループに追加された電池またはバイパスダイオードの不具合を推測することができる。
【0096】
追加の試験は、不具合は電池が原因であるか、または関連するバイパスダイオードが原因であるかを区別することを可能にする。この試験では、最初に、不具合が位置するものよりも上流に配置された電池を照明し、次に、不具合が位置するものを照明し、各照明された電池に対する電流の分析を行う。上流の電池を照明しているときに電流が測定できず、次の電池を照明したときに電流が検出されるならば、バイパスダイオードに欠陥があり、開回路であると推論することができる。
【0097】
一方、上流に配置した電池を点灯させたときに電流が検出され、次の電池を点灯させたときにこの電流が減少した場合には、電池に欠陥があるか、バイパスダイオードが短絡していると推論することができる。
【0098】
したがって、上述の試験装置は太陽光発電機を取り扱うことなく、または太陽光発電機と接触することなく、太陽光発電機に対して一連の試験を実施することを可能にし、これにより損傷の危険性が低減される。さらに、太陽電池に個別に応力を加えることにより、識別された電池またはストリングの動作を試験することが可能になり、これにより、故障の位置を正確に検出することが可能になる。