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特許7090763第1の編み道具を担持する第1のバーの動作を制御する経編機及び経編機を制御する方法
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  • 特許-第1の編み道具を担持する第1のバーの動作を制御する経編機及び経編機を制御する方法 図1
  • 特許-第1の編み道具を担持する第1のバーの動作を制御する経編機及び経編機を制御する方法 図2a
  • 特許-第1の編み道具を担持する第1のバーの動作を制御する経編機及び経編機を制御する方法 図2b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】第1の編み道具を担持する第1のバーの動作を制御する経編機及び経編機を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   D04B 27/08 20060101AFI20220617BHJP
   D04B 35/18 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
D04B27/08
D04B35/18
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021032096
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2021139094
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】20160660.5
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521088402
【氏名又は名称】カール マイヤー シュトール アールアンドディー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバン, ライナー
(72)【発明者】
【氏名】オストハイマー, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】パルチュ, マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】シャット, ハイコ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-069020(JP,A)
【文献】特開2005-232625(JP,A)
【文献】国際公開第2009/081532(WO,A1)
【文献】特開2005-042292(JP,A)
【文献】特開平11-172557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 27/08
D04B 35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の編み道具(3、3a)を担持する少なくとも1つの第1のバー(2)と、第2の編み道具(5、5a、5b)を担持する少なくとも1つの第2のバー(4)とを有する経編機(1)であって、第1のバー(2)は、第2のバー(4)に対してオフセット方向(7)にオフセット駆動部(6)によって変位させることができ、第1の編み道具(3、3a)と第2の編み道具(5、5a、5b)との間の所定の近接位置にて、第1のバー(2)の位置を決定するセンサ装置(9)が設けられていることを特徴とする経編機。
【請求項2】
前記第1のバーは、第1の編み道具としてのガイド針を備えたガイドバーとして構成され、前記第2のバーは、第2の編み道具としての編み針を備えた編み針バーとして構成されている、請求項に記載の経編機。
【請求項3】
前記センサ装置(9)は、前記オフセット駆動部(6)を制御し、前記第1のバー(2)を反対方向に移動させる制御装置に接続され、前記センサ装置(9)は、前記第1の編み道具(3、3a)の前記第2の編み道具(5、5a、5b)への所定の近接における両方向の位置を決定する、請求項1又は2に記載の経編機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記2つの位置から、前記ガイド針(3、3a)が編み針(5、5a、5b)の間の針スペース(8)の中心に位置する前記ガイドバー(2)の中心位置を決定する、請求項3に記載の経編機。
【請求項5】
前記センサ装置(9)は、前記経編機(1)の動作状態における位置を決定する、請求項1乃至4の何れかに記載の経編機。
【請求項6】
前記センサ装置(9)が、少なくとも1つのセンサ編み道具(3a)をスイッチング素子として備えたスイッチ付き電気回路を備える、請求項1乃至5の何れかに記載の経編機。
【請求項7】
前記センサ編み道具(3a)は、前記第1のバー(2)の他の編み道具(3)よりも少なくともオフセット方向に大きく延びているか、又は前記第1の編み道具(3)がピッチによって決定される位置に配置され、前記センサ編み道具(3a)は、ピッチ位置から所定の距離を有する位置に配置される、請求項6に記載の経編機。
【請求項8】
前記スイッチング素子は、容量性又は誘導性のスイッチング素子として構成されている、請求項6に記載の経編機。
【請求項9】
前記センサ装置(9)は、少なくとも1つのガイド針(3、3a)と編み針(5、5a、5b)との間の近接領域を撮影するカメラを有する、請求項1乃至8の何れかに記載の経編機。
【請求項10】
加速度センサが、第1のバー及び/又は第2のバーに、又は第1のバー及び/又は第2のバーの上に配置され、又はマイクロフォンが、第1のバー又は第2のバーから所定の距離に配置される、請求項1乃至9の何れかに記載の経編機。
【請求項11】
第1の編み道具(3、3a)を担持する経編機(1)の第1のバー(2)が第2の編み道具(5、5a、5b)を担持する第2のバー(4)に対してオフセット方向(7)に移動する経編機(1)の第1のバー(2)の移動を制御する方法であって、
少なくとも1つの第1の編み道具(3、3a)が第2の編み道具(5、5a、5b)に所定の近さに到達した第1のバー(2)の位置が決定されるステップを有し、
前記第1のバー(2)の中心位置は、第1の編み道具(3、3a)が第2の編み道具(5、5a、5b)間の針スペース(8)の中心に配置される2つの位置から決定される方法。
【請求項12】
前記第1のバー(2)の両方向の移動について、少なくとも1つの第1の編み道具(3、3a)が第2の編み道具(5、5a、5b)に所定の近接に到達した位置が決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の近接に到達した位置は、電気的に決定される、請求項11又は12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記所定の近接に到達した位置は、カメラによって光学的に決定され、マイクロフォンによって又は振動トランスデューサによって音響的に決定される、請求項11乃至13の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の編み道具を担持する少なくとも1つの第1のバーと、第2の編み道具を担持する少なくとも1つの第2のバーとを有する経編機に関し、第1のバーは、第2のバーに対してオフセット方向のオフセット駆動によって変位させることができる。
本発明は、第1の編み道具を担持する経編機の第1のバーの動作を制御する方法に関し、第1の編み道具を担持する第1のバーは第2の編み道具を担持する第2のバーに対してオフセット方向に移動される。
本発明は、編み針バーに対して移動可能なガイドバーを参照して以下に説明される。しかし、他のバー構成にも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
経編機は、編み針に対してガイド針を移動させてステッチを形成することによって、編み製品を製造する。一方ではガイド針の、他方では編み針の同様の運動を達成するために、ガイド針はガイドバー上に配置され、編み針は編み針バー上に配置される。通常、ガイドバーは、数百本以上のガイド針を担持し、編み針バーは、それに対応して多数の編み針を担持する。
【0003】
ガイド針及び編み針は、それらの夫々のバー上に所定の「ピッチ」で配置される。このピッチは、ガイドバー上にガイド針を配置し、編み針を編み針バー上に配置する位置を規定する。それに応じて、ピッチは、編み針又はガイド針の間の距離を規定する。
【0004】
経編機の作動中、ガイド針は、隣接する編み針の間に形成される針スペースを通って移動されなければならない。これらの針スペースは、比較的小さい幅を有する。例えば、E24のピッチ又は「繊度」が使用される場合、24本のガイド針又は24本の編み針が1インチ(25.4mm)の長さにわたって配置され、その結果、1本の編み針及び付属する針間隔には、1ミリメートルをいくらか超えるだけの長さが利用可能である。従って、ガイドバーは非常に正確に位置決めされなければならず、その結果、ガイド針は、編み針の間の針スペースを通って無衝突の態様で移動することができる。
【0005】
経編機の作動中に、経編機のピッチの問題が何度も起こる。この原因は、長さの変動、共振周波数、針の反り及びパターンの動きであり得る。このようなピッチの問題の場合には、ガイド針と編み針との間に衝突が生じることがあり、その結果、通常、ガイド針及び/又は編み針に何らかの損傷が生じ、その結果、経編機の停止及び高価な修理が必要になる。たとえ衝突がまだ起こらなくても、そのようなピッチの問題は、製造された編み製品の品質がもはや所望の要件を満たさないという結果をもたらし得る。このような編み製品は、その後、廃棄される可能性がある。
本発明の目的は、経編機において高い生産性を達成することである。
【発明の概要】
【0006】
この目的は、冒頭に言及されたタイプの経編機において達成され、それによって、第1の編み道具と第2の編み道具との間の所定の近接における第1のバーの位置を決定するセンサ装置が提供される。
【0007】
そのため、センサ装置を使用して、第1の編み道具と第2の編み道具とが互いに接近する距離をチェックすることができる。その結果、衝突又は穏やかな接触が具体的に生成される前に、編み道具を損傷することなく、対応する改善又は対策が既に採られることができる。より高い騒音発生のリスクも低く抑えられるであろう。
【0008】
好ましくは、センサ装置はオフセット駆動部を制御し、第1のバーを反対方向に移動させる制御装置に接続され、センサ装置は、第1の編み道具の第2の編み道具への所定の近接における両方向の位置を決定する。これにより、両方向の移動方向での衝突を防止することができる。
【0009】
好ましくは、第1のバーは、第1の編み道具としてガイド針を有するガイドバーとして構成され、第2のバーは、第2の編み道具として編み針を有する編み針バーとして構成される。用語「ガイド針」は、ここでは一般に「糸ガイド」として理解されるべきである。ガイド針は、例えば、その先端に糸が案内される穴を有する穿孔針によって形成することができる。ガイド針は、糸が案内される小さな管として構成することもできる。通常、ガイドバーはオフセット方向に交互に移動する。まれに、編み針バーもガイドバーに対してオフセット方向に移動することがある。所与の解決策が付与される。これにより、製造される編み物の品質の低下を回避することができる。
【0010】
ここで、制御装置は、2つの位置から、編み針間の針スペースの中心にガイド針が位置するガイドバーの中心位置を決定することが好ましい。ガイドバーの中心位置が最適な位置である。中心位置を起点として、ガイドバーの位置決めに微小な変化が起きても、作動中にガイド針と編み針が衝突したり、生成される編み針の品質劣化の危険性が相対的に低い。
【0011】
好ましくは、センサ装置は、経編機の作動状態における位置を決定する。経編機に部品を追加することなく、位置が決定される。この決定は、時間間隔で、又は周囲条件の変化に応じて行うことができる。経編機の作動状態において、センサ装置が位置を決定する場合、それは、位置を制御装置に直接中継することができ、次いで、それは、その部分に対して、第1のバーの動きを適切に制御する。
【0012】
好ましくは、センサ装置は、スイッチを備える電気回路を備え、該スイッチはスイッチング素子としての少なくとも1つのセンサ編み道具を備える。ここで「センサ編み道具」という用語は、センサ編み道具と他の編み道具を区別するために選択される。しかしながら、センサ編み道具は、他の第1の編み道具として正確に構成され得る。センサ編み道具が第2の編み道具に近づくと、スイッチが閉鎖される。この閉鎖は、第1の編み道具が第2の編み道具から所定の距離まで近づいたことを示す。スイッチの閉鎖は、比較的容易に決定することができる。
【0013】
好ましくは、センサ編み道具は、少なくともオフセット方向において、第1のバーの他の編み道具よりも大きく延びている。つまり、センサ編み道具は、ある程度「厚く」なる。これにより、他の第1の編み道具が関連する第2の編み道具と接触する前に、センサ編み道具が第2の編み道具と接触することができる。この場合、センサ編み道具は、電気抵抗の測定によって監視される第2の編み道具との接触によってスイッチを閉鎖することができる。
【0014】
これに代えて、ピッチによって決まる位置に第1の編み道具を配置すれば、センサ編み道具は、ピッチ位置から所定の距離を有する位置に配置することができる。この場合、第1のバーの他の第1の編み道具が第2の編み道具と接触する前に、センサ編み道具が第2の編み道具と接触することを確実にすることができる。第1の編み道具の第2の編み道具に対する第1のバーの移動両方向への近接が決定される場合、センサ編み道具は、次いで、ピッチに対して第1の方向にオフセットされて配置され、別のセンサ編み道具は、ピッチに対して反対の方向にオフセットされて配置されることになる。従って、2つのセンサ編み道具は、夫々第1のバーの他の第1の編み道具が第2の編み道具に接触する前に、対応する第2の編み道具と接触することができる。
【0015】
或いは又は更に、スイッチング要素が、容量性又は誘導性スイッチング要素として構成されるように設けることもできる。従って、センサ編み道具又は別の第1の編み道具が、隣接する第2の編み道具に接触する必要はない。センサ編み道具又は他の第1の編み道具が、2つの編み道具、即ちセンサ編み道具又は第1の編み道具及び第2の編み道具によって形成されるキャパシタのキャパシタンス又はインダクタンスの誘導抵抗の十分な変化が得られるように、第2の編み道具に非常に接近する場合で十分である。場合によっては、この目的のために、空気よりもそれに対応して高い誘電率を有するコーティングでセンサ編み道具を構成することが必要となり得る。キャパシタンス又はインダクタンスの変化は、例えば、回路における電圧変化又は周波数離調をもたらし、その回路は、次に、半導体スイッチの相互接続又は作動をもたらす。
【0016】
代替の又は更なる実施形態において、センサ装置が、少なくとも1つのガイド針と編み針との間の近接領域を撮影するカメラを有することが提供され得る。カメラが第2の編み道具に近づくと、カメラは第1の編み道具を観察する。対応する画像評価の結果、次いで、第1の編み道具が所定の距離だけ近づいたか、又は第2の編み道具に触れる距離に近づいたかを識別することができる。
【0017】
更に、加速度センサが、第1のバー及び/又は第2のバーに、又はその上に配置されること、又はマイクロフォンが、第1のバー及び/又は第2のバーから所定の距離に配置されることを提供することができる。第1の編み道具が第2の編み道具に衝突した場合、加速度センサは、バーの少なくとも1つの移動状態の変化を記録するか、マイクロホンは対応するノイズを記録する。両方の信号は、第1の編み道具及び更なる編み道具が互いに接触したことを明確に示す。
【0018】
この発明の目的は、少なくとも1つの第1の編み道具が第2の編み道具に所定の近接位置に到達した第1のバーの位置が決定される、冒頭に述べたタイプの方法で達成される。
【0019】
第1の編み道具が第2の編み道具にどのように接近するかが監視される場合、衝突を回避することができ、又は制御された方法で穏やかな接触をもたらすことができる。また、作り出される編物の満足な品質を達成するために、作動中に第1の編み道具と第2の編み道具との間の距離が常に十分に大きいことを確実にすることができる。
【0020】
好ましくは、第1のバーの移動両方向に対して、少なくとも1つの第1の編み道具が第2の編み道具に所定の近接位置に到達したことが決定される。次いで、第1のバーの移動両方向に対して動作中に衝突を回避することができ、対応する距離を、満足な品質を有する編み製品を製造するのに十分な第1の編み道具と第2の編み道具との間で達成することができる。
【0021】
また、第1の編み道具が第2の編み道具の間の針スペースの中心に位置する2つの位置から第1のバーの中心位置を決定することができれば、有利である。この決定は、経編機の作動状態でも行うことができる。次いで、中心位置を使用して、第1のバーの移動を開始点として制御することができる。これは、第1のバーが電気的な駆動部によって制御される場合に特に有利である。
【0022】
好ましくは、所定の近接位置は電気的に決定される。電気的な決定は、オーム抵抗の測定によって決定されるセンサ編み道具と第2の編み道具との間の接触によって行なわれる。この判定は、センサ編み道具と隣接する編み針との間のキャパシタンス又はインダクタンスの変化を決定することによっても行うことができる。
【0023】
あるいは、所定の近接位置は、カメラによって光学的に決定され、マイクロホンによって、又は振動トランスデューサによって、音響的に決定されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下、図面を参照しながら、好ましい実施形態を参照して本発明を説明する。
図1】経編機の各部の概略図を示す。
図2a】ガイド針と編針の接近度を求める模式図を示す。
図2b】ガイド針と編針の接近度を求める模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
全ての図において、同じ要素には同じ符号を付す。
図1は、経編機1を高所から模式的に見た部分、すなわち、複数のガイド針3が第1の編み道具として構成された第1のバーとしてのガイドバー2を示している。ガイド針3は、一般的に「糸ガイド」と呼ぶこともできる。ガイド針3は、穿孔針として構成することができる。しかしながら、それらは、例えば糸ガイド管の形態で存在することもできる。
【0026】
さらに、経編機1は、第2の編み道具として編み針の番号5が配置された第2のバーとしての編み針バー4を有している。
以下、ガイドバー2及び編み針バー4を例に挙げて本発明を説明する。しかしながら、本発明は、他のバー構成にも適用することができる。
【0027】
経編機1の運転中、ガイドバー2は、駆動部6によってここで両矢印7で記号化されたオフセット方向に前後に移動される。オフセット方向7は、ガイドバー2の長手方向の延長線に対して平行に延びる。縦編み製品の製造中にステッチを形成するために、編み針5の間に形成される針スペース8を通るガイド針3の移動がさらに必要とされる。この移動は、ガイドバー2がオフセット方向7に対して垂直に移動することによって行われることができる。これに代えて、編み針バー4をオフセット方向に対して垂直に移動させることもできる。
【0028】
従って、ステッチ形成工程中、ガイドバー2は、オフセット方向7に1回移動される。その後、ガイド針3は、針スペース8を通って揺動する。次いで、ガイドバー2は、再びオフセット方向7に動かされ、ガイド針3は、再び、針スペース8を通って揺動する。
【0029】
針スペース8は、ここでは誇張して大きく示されている。経編機では、多くの場合、針スペース8は、1mm未満の幅、即ちオフセット方向7における編み針5間の距離を有する。同時に、ガイド針3は、十分に安定であるように、オフセット方向にもある程度の厚さを有していなければならない。従って、理想的な場合には、ガイド針3は、針スペース8を通って移動するときに、針スペース8の中心に立つべきである。ガイド針3の位置がこの中心位置と実質的に異なる場合、ガイド針3と編み針5との間の衝突が動作中に生じる可能性があり、その結果、ガイド針3及び/又は編み針5に損傷が生じ、高価な修理が必要になる可能性がある。たとえ衝突がまだ起きていなくても、多くの場合、ガイド針3が編み針5に近づきすぎると、このようにして製造された編み製品の品質が低下する。
【0030】
従って、この場合、センサ装置9が使用され、これによって、ガイド針3と編み針5とが互いに接近するときに、ガイドバー2の位置が決定される。
【0031】
これを図2を参照して説明する。
ガイド針3の中には、以下に「センサガイド針」3aとして記載される1つのガイド針がある。このセンサガイド針3aは、2本の編み針5a、5bの間に配置されている。本実施形態では、センサガイド針3aは、最外側のガイド針である。しかし、これは必須ではない。
【0032】
図2aに示すように、センサガイド針3aは、これまで、オフセット方向7にオフセット駆動部6が編み針5aに当たるまで移動される。その後、図2bで識別できるように、前記センサガイド針は、反対方向に、他の編み針5bに接触するまで移動される。これらの移動は、ガイドバー2がオフセット駆動部6によって駆動されることによって行われる。
【0033】
オフセット駆動部6は、例えば電動モータ、例えばステッピングモータの形態の電気駆動部である。従って、オフセット駆動部6は、少なくとも対応する信号を受け取ったときに、ガイドバー2の位置を決定することができる。この信号は、センサガイド針3aと編み針5a、5bとの間の接触によってトリガされる。
【0034】
トリガは、例えば、センサ装置9が、センサガイド針3a及び2つの編み針5a、5bに直流電圧を印加することによって行われ得る。センサガイド針3aが2本の編み針5a、5bの一方に接触すると、電流が流れる電気的接触が得られる。この電流の流れは、センサ装置9によって検出することができる。
【0035】
また、センサガイド針3aと2本の編み針5a、5bとの間に交流電圧を印加することも可能である。この場合、センサガイド針3a及び2つの編み針5a、5bの助けを借りて、より正確にはセンサガイド針3aと編み針5a、5bの夫々との間で、センサガイド針3aが編み針5a又は編み針5bに十分に近づいたときに、夫々の場合において、キャパシタンス又はインダクタンスの変化を決定することができる。この場合にも、この構成は、少なくともセンサガイド針3aをスイッチング素子として有するスイッチを有する回路と考えられる。
【0036】
何れの場合も、センサガイド針3aは、オフセット方向7において、他のガイド針3よりもある程度厚くすることができる。この場合、センサガイド針3aは、他のガイド針3が他の編み針5に接触する前に、編み針5a又は編み針5bに接触する。
【0037】
センサ装置9が接触を決定するとすぐに(又は、容量性又は誘導性スイッチ用にセンサガイド針3aを使用する場合、十分な近接性を決定するとすぐに)、ガイドバー2の位置は、2つの極限位置について決定される。センサガイド針3aが隣接する編み針5a、5bに接触するか、又はこれらの編み針5a、5bに十分な近接を有するこの2つの極限位置は、今や、センサガイド針3aが針スペース8の中心に正確に配置されるガイドバー2の位置を決定するために使用することができる。この位置は、ガイドバー2の移動を更に制御するための開始点としてオフセット駆動部6によって使用される。
【0038】
或いは又は更に、或る程度厚いセンサガイド針3aに加えて、センサガイド針3aを、ピッチの幾らか外側に、例えば、編み針5aにより僅かに近い(数百分の1ミリメートル)ように配置することもできる。この場合も、センサガイド針3aは、他のガイド針3が編み針5に接触する前に、左側(図1に対して)にオフセット方向に編み針5aに接触する。他の移動方向に対しては、別のセンサガイド針が使用されるか、又は2つの編み針5a、5bが互いに幾分近接して、即ちガイド針3及び編み針5のピッチによって決定される位置よりも僅かに近接して位置決めされることが好都合である。
【0039】
通常、ガイド針3は、所謂「ホルダ」に取り付けられる。従って、対応するホルダを、ピッチによって規定される位置の外側に取り付けることが好都合である。
【0040】
図示されていない代替的な実施形態では、センサガイド針3a又は任意の他のガイド針3の位置は、カメラによって連続的に記録することができ、接触したとき、又は所望の最小距離に達したときに、画像評価プログラムによって確認することができ、オフセット方向7におけるガイドバー2の位置をこのときに決定することができる。
【0041】
詳細には示されていない方法で、編み針5に対するガイド針3の近接は、マイクロフォンによって、即ち音響的な方法で決定することもできる。次いで、このマイクロホンは、ガイドバー2又は編み針バー4の近傍に配置される。ガイド針3と編み針5が接触すると、接触を示すノイズが発生する。このノイズはマイクで録音され、コントローラに中継される。
【0042】
別の可能性は、ガイドバー2及び/又は編み針バー4に又はその上に加速度ピックアップ又は加速度センサを取り付けることである。ガイド針3が編み針5に接触すると、バー2、4の少なくとも一方の移動状態が変化する。通常、振動さえも発生し、該振動は加速度センサで検出される。
【0043】
ガイドバー2の最適な位置は、経編機に追加の要素を取り付ける必要なしに決定することができる。それゆえ、最適な位置は、経編機の作動状態で起こり得る。
【0044】
ガイドバー2の位置の調整は、例えば、経編機の操作部上で手動で、又はピッチ最適化機能を用いて自動的に行うことができる。この場合、ガイドバー2は、オフセット駆動部6の助けを借りて、例えば0.01mm刻みで、センサガイド針3aが編み針5a又は編み針5b(又は対応する所望の最小距離)に接触した「制限位置」まで移動させる。これらの2つの限界位置間の算術平均が決定されて、オフセット駆動部6又はそのコントローラに転送される。
【0045】
この機能によって、ガイドバー2は、連続的な動作における外部の影響を補償することができ、編み針バー4に対して最適な作業範囲又はピッチ範囲で連続的に動作することができる。
図1
図2a
図2b