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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】直動転がり支承
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
F16F15/02 A
F16F15/02 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021075664
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2016236600の分割
【原出願日】2016-12-06
(65)【公開番号】P2021107742
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504242342
【氏名又は名称】株式会社免制震ディバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】中南 滋樹
(72)【発明者】
【氏名】木田 英範
(72)【発明者】
【氏名】田中 久也
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-240033(JP,A)
【文献】特開平04-151017(JP,A)
【文献】特開平10-068248(JP,A)
【文献】特開平07-174188(JP,A)
【文献】特開平11-159188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00- 9/16
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の構造である上部構造と下部構造との間に設けられ構造物を支持する鉛直剛性の異なる複数の支承のうちの直動転がり支承であって、
仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交し、
上部構造を支持する基礎板構造である上部基礎板構造と、
前記上部基礎板構造に支持され前記X軸方向に延びるレール構造である上部レール構造と、
前記上部レール構造に一連の鉄球の転がりにより前記X軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部ブロック構造と、
下部構造に支持される基礎板構造である下部基礎板構造と、
前記下部基礎板構造に支持され前記Y軸方向に延びるレール構造である下部レール構造と、
前記下部レール構造に一連の鉄球の転がりにより前記Y軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部ブロック構造と、
前記レール構造が軸方向に延び上方向または下方向のうちの一方の方向に面を向ける平滑面であるレール平滑面を形成し、前記レール平滑面に接触して摺動できるレール摩擦部材と前記ブロック構造に支持され前記レール摩擦部材を前記レール平滑面に押し付けるレール押し付け構造とを有するレール摩擦構造と、
電気回路と、
を備え、
前記上部ブロック構造と前記下部ブロック構造とが連結され、
前記レール押し付け構造が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持ち、
前記電気回路が前記レール押し付け構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、
地震が発生したと判断すると前記電気回路が前記レール押し付け構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記レール押し付け構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させて転がりにより前記ブロック構造をレール構造に案内させる鉄球に作用する荷重を変化させる、
ことを特徴とする直動転がり支承。
【請求項2】
上下一対の構造である上部構造と下部構造との間に設けられ構造物を支持する鉛直剛性の異なる複数の支承のうちの直動転がり支承であって、
仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交し、
上部構造を支持する基礎板構造である上部基礎板構造と、
前記上部基礎板構造に支持され前記X軸方向に延びるレール構造である上部レール構造と、
前記上部レール構造に一連の鉄球の転がりにより前記X軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部ブロック構造と、
下部構造に支持される基礎板構造である下部基礎板構造と、
前記下部基礎板構造に支持され前記Y軸方向に延びるレール構造である下部レール構造と、
前記下部レール構造に一連の鉄球の転がりにより前記Y軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部ブロック構造と、
前記基礎板構造が軸方向に延び上方向または下方向のうちの一方の方向に面を向ける平滑面である基礎板平滑面を形成し、前記基礎板平滑面に接触して摺動できる基礎板摩擦部材と前記ブロック構造に支持され前記基礎板摩擦部材を前記基礎板平滑面に押し付ける基礎板押し付け構造とを有する基礎板摩擦構造と、
を備え、
前記上部ブロック構造と前記下部ブロック構造とが連結される、
ことを特徴とする直動転がり支承。
【請求項3】
電気回路と、
を備え、
前記基礎板押し付け構造が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持ち、
前記電気回路が前記基礎板押し付け構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、
地震が発生したと判断すると前記電気回路が前記基礎板押し付け構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記基礎板押し付け構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させて転がりにより前記ブロック構造をレール構造に案内させる鉄球に作用する荷重を変化させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の直動転がり支承。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下一対の構造である上部構造と下部構造との間に設けられる直動転がり支承に係る。特に、地震の態様の変化に対応できる直動転がり支承に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生すると、建物、構造物等の対象構造物が水平、垂直に揺すられる。
地震等による加速度レベルが大きいと、対象構造物が損傷をうけたり、対象構造物の中にあるものが予想を越えて加速度を受けたり、予想を超える変位をうけたりする。
そこで、基礎から対象構造物へ伝達する振動エネルギーを減少させて振動を免震する免震装置、または対象構造物が振動した際に振動エネルギーを吸収し振動レベルを小さくして振動を制振する制振装置として各種の構造の装置が試されている。
構造とその構造を構成する要素の諸元を適正に設定することにより、所望の免震性能や制振性能を発揮できる。
例えば、直動転がり支承がその目的で用いられる。
【0003】
直動転がり支承は、主にリニアレール、リニアブロック、ゴムシム、フランジプレートで構成される。直動転がり支承構造はリニアガイドをゴムシムを介してガイド方向を直交させて組んだものである。直動転がり支承構造は、建造物の鉛直軸力を支えながら、少ない転がり摩擦抵抗で360°水平方向に可動する。
一般に、直動転がり支承は、免震機能のうち支持機構と周期調整機能のみを有しているため、別途復元材が必要となる。復元材には積層ゴムが用いられることがある。鉛直剛性の異なる部材を一つの免震装置に配置するため不陸が生じるという不都合があった。また、過大な変形を抑制するためには、ダンパーが必要になる。
さらに近年、長周期地震動の発生が懸念されており、これらの影響により直動転がり支承が長時間揺すられて、レール又はブロックが発熱することにより、摩擦抵抗が増加して水平性能を保持しにくくなる恐れがあった。
【0004】
従来の直動転がり支承として、特許文献1に公開されるダンパーが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、地震動や建造物に応じて適切な振動抑制効果が得られる直動転がり支承を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る上下一対の構造である上部構造と下部構造との間に設けられ構造物を支持する直動転がり支承を、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交し、上部構造を支持する基礎板構造である上部基礎板構造と、前記上部基礎板構造に支持され前記X軸方向に延びるレール構造である上部レール構造と、前記上部レール構造に前記X軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である上部ブロック構造と、下部構造に支持される基礎板構造である下部基礎板構造と、前記下部基礎板構造に支持され前記Y軸方向に延びるレール構造である下部レール構造と、前記下部レール構造に前記Y軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である下部ブロック構造と、板状の輪郭をもつ構造である中間板構造と、を備え、前記上部ブロック構造と前記下部ブロック構造とが前記中間板構造を挟んで連結される、ものとした。
【0007】
上記本発明の構成により、仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交する。上部基礎板構造は、上部構造を支持する基礎板構造である。上部レール構造は、前記上部基礎板構造に支持され前記X軸方向に延びるレール構造である。上部ブロック構造は、前記上部レール構造に前記X軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である。下部基礎板構造は、下部構造に支持される基礎板構造である。下部レール構造は、前記下部基礎板構造に支持され前記Y軸方向に延びるレール構造である。下部ブロック構造は、前記下部レール構造に前記Y軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である。中間板構造は、板状の輪郭をもつ構造である。前記上部ブロック構造と前記下部ブロック構造とが前記中間板構造を挟んで連結される。
その結果、地震が発生すると構造物が水平方向に移動できる。
【0008】
以下に、本発明の実施形態に係る直動転がり支承を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0009】
本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、電気回路と、を備え、前記中間板構造が板状の輪郭を形成し該輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を有し、前記電気回路が前記中間板構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、前記中間板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みが変化すると前記中間板構造の前記圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記中間板構造の圧電素子部材は、板状の輪郭を形成し該輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ。前記電気回路が前記中間板構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続される。前記中間板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みが変化すると前記中間板構造の前記圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる。
その結果、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電位差が電気回路にかかる。
【0010】
本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて前記電気回路が前記中間板構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記中間板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて前記電気回路が前記中間板構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記中間板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
その結果、他の支承との間の不陸の程度を減らす機能を実現できる。
【0011】
また、本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、前記基礎板構造が上下一対の板状の構造である第一基礎板構造と第二基礎板構造と該第一基礎板構造と該第二基礎板構造とに挟まれる板状の構造である第三基礎板構造とを有し、前記第三基礎板構造が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持ち、前記電気回路が前記第三基礎板構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、前記第三基礎板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みが変化する変形をすると前記第三基礎板構造の前記圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記基礎板構造が上下一対の板状の構造である第一基礎板構造と第二基礎板構造と該第一基礎板構造と該第二基礎板構造とに挟まれる板状の構造である第三基礎板構造とを有する。前記第三基礎板構造が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持つ。前記電気回路が前記第三基礎板構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続される。前記第三基礎板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みが変化する変形をすると前記第三基礎板構造の前記圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる。
その結果、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電流が電気回路に流れる。
【0012】
また、本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて、前記電気回路が前記第三基礎板構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記第三基礎板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて、前記電気回路が前記第三基礎板構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記第三基礎板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
その結果、構造体を支持する支承の間の不陸を解消する機能を実現することができる。
【0013】
また、本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、前記レール構造と前記基礎板構造との間に挟まれる板状の構造であるレール支持構造と、を備え、前記レール支持構造が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持ち、前記電気回路が前記レール基礎板構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、前記レール支持構造の前記圧電素子部材の板状の厚みが変化する変形をすると前記レール基礎板構造の前記圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記レール支持構造が前記レール構造本体と前記基礎板構造との間に挟まれる板状の構造である。前記レール支持構造の圧電素子部材は、板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ。前記電気回路が前記レール支持構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続される。前記レール支持構造の前記圧電素子部材の板状の厚みが変化する変形をすると前記レール支持構造の前記圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる。
その結果、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電流が電気回路に流れる。
【0014】
また、本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて、前記電気回路が前記前記レール支持構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記レール支持構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて、前記電気回路が前記前記レール支持構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記レール支持構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
その結果、構造体を支持する支承の間の不陸を解消する機能を与えることができる。
【0015】
本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、前記レール構造が軸方向に延びる平滑面であるレール平滑面を形成し、前記レール平滑面に接触して摺動できるレール摩擦部材と前記ブロック構造に支持され前記レール摩擦部材を前記レール平滑面に押し付けるレール押し付け構造とを有するレール摩擦構造と、を備える。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記レール構造が軸方向に延びる平滑面であるレール平滑面を形成する。レール摩擦構造は、前記レール平滑面に接触して摺動できるレール摩擦部材と前記ブロック構造に支持され前記レール摩擦部材を前記レール平滑面に押し付けるレール押し付け構造とを有する。
その結果、地震が発生し構造物が水平方向に相対移動するとレール摩擦部材とレール平滑面との間に発生する摩擦力が構造物の振動を減衰できる。
【0016】
本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、 前記レール押し付け構造が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持ち、前記電気回路が前記前記レール押し付け構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、地震が発生したと判断すると前記電気回路が前記レール押し付け構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記レール押し付け構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記レール押し付け構造の圧電素子部材は、板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ。前記電気回路が前記前記レール押し付け構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続される。地震が発生したと判断すると前記電気回路が前記レール押し付け構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記レール押し付け構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
その結果、圧電素子の一対の電極に印可する電圧を変化させてレール摩擦部材とレール平滑面との間に発生する摩擦力を調整できる。
【0017】
本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、前記基礎板構造が軸方向に延びる平滑面である基礎板平滑面を形成し、前記基礎板平滑面に接触して摺動できる基礎板摩擦部材と前記ブロック構造に支持され前記基礎板摩擦部材を前記基礎板平滑面に押し付ける基礎板押し付け構造とを有する基礎板摩擦構造と、を備える。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記基礎板構造が軸方向に延びる平滑面である基礎板平滑面を形成する。基礎板摩擦構造は、前記基礎板平滑面に接触して摺動できる基礎板摩擦部材と前記ブロック構造に支持され前記基礎板摩擦部材を前記基礎板平滑面に押し付ける基礎板押し付け構造とを有する。
その結果、地震が発生し構造物が水平方向に相対移動すると基礎板摩擦部材と基礎板平滑面との間に発生する摩擦力が構造物の振動を減衰できる。
【0018】
本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、前記基礎板押し付け構造が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持ち、前記電気回路が前記基礎板押し付け構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、地震が発生したと判断すると前記電気回路が前記基礎板押し付け構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記基礎板押し付け構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記基礎板押し付け構造の圧電素子部材は、が板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ。前記電気回路が前記基礎板押し付け構造の複数の該圧電素子の一対の電極に電気的に接続される。地震が発生したと判断すると前記電気回路が前記基礎板押し付け構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記基礎板押し付け構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる。
その結果、圧電素子の一対の電極に印可する電圧を変化させて基礎板摩擦部材と基礎板平滑面との間に発生する摩擦力を調整できる。
【0019】
また、本発明の実施形態に係る直動転がり支承は、前記ブロック構造の温度を検知する温度センサと、を備え、前記電気回路は前記温度センサの検知する前記ブロック構造の温度の値の変化に応じて前記圧電素子の一対の電極に印可する電圧の値を変化させる。
上記本発明に係る実施形態の構成により、温度センサは、前記ブロック構造の温度を検知する。前記電気回路は前記温度センサの検知する前記ブロック構造の温度の値の変化に応じて前記圧電素子の一対の電極に印可する電圧の値を変化させる。
その結果、ブロック構造の温度の値に応じて摩擦力を変化させる機能を実現させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る直動転がり支承は、その構成により、以下の効果を有する。
前記下部構造が前記下部基礎板構造を支持し、前記下部基礎板構造が前記Y軸方向に延びる前記下部レール構造を支持し、前記下部レール構造が前記下部ブロック構造をY軸方向に相対移動自在に案内し、前記下部ブロック構造が中間板構造を挟んで前記上部ブロック構造に連結され、前記上部レール構造が前記上部ブロック構造をX軸方向に相対移動自在に案内し、前記上部レール構造が前記上部基礎板構造に支持され、前記上部基礎板構造が上部構造を支持する様にしたので、地震が発生すると構造物が水平方向に移動できる。
前記中間板構造の圧電素子部材が板条の輪郭のなかに複数の圧電素子をもち、圧電素子部材の板状の厚みが変化すると圧電素子の一対の電極に電位差が生じ、電位差により電気回路に電流が流れる様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電位差が電気回路にかかる。
地震が発生し、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて前記中間板構造の前記圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記中間板構造の前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる様にしたので、他の支承との間の不陸の程度を減らす機能を実現できる。
板状の輪郭のなかに整列される複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持つ第三基礎板部材が第一基礎板構造と第二基礎板構造とに挟まれ、前記圧電素子部材の板状の厚みが変化すると圧電素子の一対の端子に電位差が生じる様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電流が電気回路に流れる。
地震が発生し、構造物を支持する他の支承との間に不陸の程度に応じて記第三基礎板構造の圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる様にしたので、構造体を支持する支承の間の不陸を解消する機能を実現することができる。
前記レール支持構造が板状の輪郭のなかに整列される複数の圧電素子をもつ圧電素子部材を持ち、前記圧電素子部材の板状の厚みが変化すると圧電素子の一対の端子に電位差が生じる様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電流が電気回路に流れる。
地震が発生し、構造物を支持する他の支承との間に不陸の程度に応じてレール支持構造の圧電素子の一対の電極に電圧を印可して前記圧電素子部材の板状の厚みを変化させる様にしたので、構造体を支持する支承の間の不陸を解消する機能を与えることができる。
ブロック構造に支持されるレール押付け機構がレール摩擦部材をレール構造に形成されるレール平滑面に押付ける様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に相対移動するとレール摩擦部材とレール平滑面との間に発生する摩擦力が構造物の振動を減衰できる。
前記レール押し付け構造が圧電素子部材の板状の輪郭の中に複数の圧電素子をもち、複数の圧電素子の一対の電力に電圧を印可して圧電素子部材の板状の厚みを変化させる様にしたので、圧電素子の一対の電極に印可する電圧を変化させてレール摩擦部材とレール平滑面との間に発生する摩擦力を調整できる。
ブロック構造に支持される基礎板押付け機構が基礎板摩擦部材を基礎板構造に形成される基礎板平滑面に押付ける様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に相対移動すると基礎板摩擦部材と基礎板平滑面との間に発生する摩擦力が構造物の振動を減衰できる。
前記基礎板押し付け構造が圧電素子部材の板状の輪郭の中に複数の圧電素子をもち、複数の圧電素子の一対の電力に電圧を印可して圧電素子部材の板状の厚みを変化させる様にしたので、圧電素子の一対の電極に印可する電圧を変化させて基礎板摩擦部材と基礎板平滑面との間に発生する摩擦力を調整できる。
前記温度センサの検知する前記ブロック構造の温度の値の変化に応じて前記圧電素子の一対の電極に印可する電圧の値を変化させる様にしたので、ブロック構造の温度の値に応じて摩擦力を変化させる機能を実現させることができる。
従って、簡易な構造により動特性または振動特性を調整できる直動転がり支承を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一の実施形態に係る直動転がり支承の側面概念図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る直動転がり支承の平面概念図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る圧電素子部材その1の平面概念図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る圧電素子部材その1の断面図、側面概念図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る圧電素子部材その2の断面図、側面概念図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る圧電素子部材その3の断面図、側面概念図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係る直動転がり支承の側面概念図である。
図8】本発明の第二の実施形態に係る直動転がり支承の平面概念図である。
図9】本発明の第二の実施形態に係るレール摩擦構造の作用説明図である。
図10】構造物の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
本発明は、上下一対の構造である上部構造と下部構造との間に設けられ構造物を支持する直動転がり支承にかかるものである。
説明の便宜のため、直動転がり支承を建物に取り付ける場合を例に説明する。
上階構造Rは、建物の下部構造である。
下階構造Bは、建物の基礎構造である。
仮想のX軸と仮想のY軸とが水平面内で直交する。
【0023】
最初に、本発明の第一実施形態に係る直動転がり支承を、図を基に、説明する
図1は、本発明の第一の実施形態に係る直動転がり支承の側面概念図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る直動転がり支承の平面概念図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る圧電素子部材の平面概念図である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る圧電素子部材の断面図、側面概念図である。
【0024】
本発明の第一の実施形態にかかる直動転がり支承は、上部基礎板構造100xと上部レール構造210xと上部ブロック構造220xと下部基礎板構造100yと下部レール構造210yと下部ブロック構造220yと中間板構造300と電気回路400とで構成される。
【0025】
上部基礎板構造100xは、上部構造Rを支持する基礎板構造100である。
基礎板構造は、板状の構造である。
例えば、上部基礎板構造100xは、上部構造Rの下面にアンカーボルト140により固定される。
【0026】
下部基礎板構造100yは、下部構造Bに支持される基礎板構造100である。
基礎板構造は、板状の構造である。
例えば、下部基礎板構造100yは、下部構造Bの上面にアンカーボルト140により固定される。
【0027】
上部レール構造210xは、上部基礎板構造100xに支持されX軸方向に延びるレール構造210である。
例えば、上部レール構造210xは、下部基礎板構造100yの下面にボルト結合される。
上部ブロック構造220xは、上部レール構造210xにX軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造220である。
例えば、上部ブロック構造220xは、上部レール構造210xの下部に案内される。
エンドレスに連なった一連の鉄球がレール構造210に設けられたレール溝とブロック構造220に設けられたトンネル状の孔の中を転がり、上部ブロック構造220xが上部レール構造210xにX軸方向に相対移動できる。
【0028】
下部レール構造210yは、下部基礎板構造100yに支持されY軸方向に延びるレール構造である。
例えば、下部レール構造210yは、下部基礎板構造100yの上面にボルト結合される。
下部ブロック構造220yは、下部レール構造210yにY軸方向に相対移動自在に案内されるブロック構造である。
例えば、下部ブロック構造220yは、下部レール構造210yの上部に案内される。
エンドレスに連なった一連の鉄球がレール構造210に設けられたレール溝とブロック構造220に設けられたトンネル状の孔の中を転がり、下部ブロック構造220yが下部レール構造210yにY軸方向に相対移動できる。
【0029】
中間板構造300は、板状の輪郭をもつ構造である。
上部ブロック構造220xと下部ブロック構造220yとが中間板構造300を挟んで連結される。
中間板構造300は、圧電素子部材310を含む。
中間板構造300は、圧電素子部材310と一対の金属板部材320とで構成されてもよい。
圧電素子部材310は、一対の金属板部材320に上下から挟まれる。
圧電素子部材310は、板状の輪郭を形成し、輪郭の中に整列する複数の圧電素子310aをもつ。
【0030】
以下に、圧電素子部材の構造の3つのタイプを、図を基に説明する。
最初に、圧電素子部材の構造その1を説明する。
図3図4は、圧電素子部材310の構造その1を例示する。
圧電素子部材310は、複数の圧電素子310aと一対の仕切り板310bとで構成されてもよい。
複数の圧電素子310aが、一対の仕切り板310bに上下方向から挟まれてもよい。
中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると中間板構造300の圧電素子310aの一対の電極に電位差が生ずる
例えば、複数の圧電素子310aは、一対の仕切り板310bの間に整列する。
中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると中間板構造300の圧電ゴム板310cに内在する圧電素子に圧縮歪みまたは伸長歪みが生じて一対の電極に電位差が生ずる。
【0031】
次に、圧電素子の構造その2を説明する。
図5は、圧電素子部材310の構造その2を例示する。
圧電素子部材310は、圧電ゴム板310cで構成されてもよい。
圧電素子部材310は、圧電ゴム板310cと一対の仕切り板310bとで構成されてもよい。
圧電ゴム板310cは、ゴム製の厚板の中に圧電素子が埋め込まれたものであってもよい。
圧電ゴム板310cは、ゴム製の厚板に圧電素子を貼り付けられたものであってもよい。
一枚の 圧電ゴム板310cが、一対の仕切り板310bに上下方向から挟まれてもよい。
中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると中間板構造300の圧電ゴム板310cに内在する圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる
中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると中間板構造300の圧電素子310aに圧縮歪みまたは伸長歪みが生じて一対の電極に電位差が生ずる。
【0032】
次に、圧電素子の構造その3を説明する。
図6は、圧電素子部材310の構造その3を例示する。
圧電素子部材310は、圧電ゴム板310cで構成されてもよい。
圧電素子部材310は、圧電ゴム板310cと一対の仕切り板310bとで構成されてもよい。
圧電ゴム板310cは、ゴム製の厚板の中に圧電素子が埋め込まれたものである。
圧電ゴム板310cは、ゴム製の厚板に圧電素子が貼り付けられたものであってもよい。
複数の圧電ゴム板310cが、一対の仕切り板310bに上下方向から挟まれてもよい。
中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると中間板構造300の複数の圧電ゴム板310cに内在する圧電素子の一対の電極に電位差が生ずる
中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると中間板構造300の圧電ゴム板310cに内在する圧電素子に圧縮歪みまたは伸長歪みが生じて一対の電極に電位差が生ずる。
【0033】
電気回路400は、電気回路本体410と不陸検知センサ430とで構成されてもよい。
電気回路400は、中間板構造300の複数の圧電素子310aの一対の電極に電気的に接続される。
電気回路400は、中間板構造300の複数の圧電素子310aの一対の電極に電気的に接続されるコンデンサを持っていてもよい。
この様にすると、中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると中間板構造300の圧電素子310aに圧縮歪みまたは伸長歪みが生じて一対の電極に電位差が生じ、電気回路に電位差に起因してで電流が流れる。
不陸検知センサ430は造物を支持する他の支承との間に発生した不陸を検知するセンサである。
例えば、不陸検知センサ430は、支承毎に支承が支持する上部構造と下部構造との離間距離を検知する。
支承毎の上部構造と下部構造との離間距離に差が生じたときに、不陸検知センサ430は、不陸を検知する。
【0034】
地震が発生したと判断したとき、電気回路400が中間板構造300の圧電素子310aの一対の電極に電圧を印可して中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みを変化させる。
地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて電気回路400が中間板構造300の圧電素子310aの一対の電極に電圧を印可して中間板構造300の圧電素子部材310の板状の厚みを変化させてもよい。
例えば、他の支承のうちの特定の支承の支持する下部構造と上部構造の離間距離を基準として、直動転がり支承の支持する下部構造と上部構造の離間距離を基準に対して所定の値になる様にする。
この様にすると、複数の支承の支持する構造物の上部構造の不陸を抑制し、直動転がり支承が安定してX軸方向とY軸方向に移動できる。
【0035】
次に、本発明の第二の実施形態にかかる直動転がり支承を、図を基に、説明する。
図7は、本発明の第二の実施形態に係る直動転がり支承の側面概念図である。図8は、本発明の第二の実施形態に係る直動転がり支承の平面概念図である。図9は、本発明の第二の実施形態に係るレール摩擦構造の作用説明図である。
【0036】
本発明の第二の実施形態にかかる直動転がり支承は、上部基礎板構造100xと上部レール構造210xと上部ブロック構造220xと下部基礎板構造100yと下部レール構造210yと下部ブロック構造220yと中間板構造300と電気回路400とで構成される。
本発明の第二の実施形態にかかる直動転がり支承は、上部基礎板構造100xと上部レール構造210xと上部ブロック構造220xと下部基礎板構造100yと下部レール構造210yと下部ブロック構造220yと中間板構造300と電気回路400とレール摩擦構造500とで構成されてもよい。
本発明の第二の実施形態にかかる直動転がり支承は、上部基礎板構造100xと上部レール構造210xと上部ブロック構造220xと下部基礎板構造100yと下部レール構造210yと下部ブロック構造220yと中間板構造300と電気回路400と基礎板摩擦構造600とで構成されてもよい。
本発明の第二の実施形態にかかる直動転がり支承は、上部基礎板構造100xと上部レール構造210xと上部ブロック構造220xと下部基礎板構造100yと下部レール構造210yと下部ブロック構造220yと中間板構造300と電気回路400とレール支持構造230とで構成されてもよい。
本発明の第二の実施形態にかかる直動転がり支承は、上部基礎板構造100xと上部レール構造210xと上部ブロック構造220xと下部基礎板構造100yと下部レール構造210yと下部ブロック構造220yと中間板構造300と電気回路400とレール摩擦構造500とレール支持構造230と基礎板摩擦構造600で構成されてもよい。
【0037】
上部レール構造210xと上部ブロック構造220xと下部レール構造210yと下部ブロック構造220yの構造は、第一の実施形態にかかるものの構造と同じなので、説明を省略し、中間板構造300と電気回路400とレール摩擦構造500とレール支持構造230と基礎板摩擦構造600を順に説明する。
【0038】
中間板構造300は、板状の輪郭をもつ構造である。
中間板構造300は、ゴム製の板状の輪郭をもつ構造であってもよい。
中間板構造300の構造は、第一の実施形態にかかる直動転がり支承のものの構造と同じであってもよい。
【0039】
最初に、基礎板構造100を説明する。
基礎板構造100が上下一対の基礎板構造と第3基礎板構造130とで構成されても良い。
上下一対の基礎板構造は、第一基礎板構造110と第二基礎板構造120とである。
第三基礎板構造130は、第一基礎板構造110と第二基礎板構造120とに挟まれる。
第三基礎板構造130は、第一基礎板構造110と第二基礎板構造120とに上下方向に挟まれる。
図7に、下部基礎板構造100yが上下一対の基礎板構造と第3基礎板構造130とで構成される様子が示される。
【0040】
第3基礎板構造130は、圧電素子部材131で構成されてもよい。
圧電素子部材131の構造は、第一の実施形態にかかる直動転がり支承で説明したものと同じなので、説明を省略する。
電気回路400が第三基礎板構造130の複数の圧電素子の一対の電極に電気的に接続されてもよい。
第三基礎板構造130の圧電素子部材131の板状の厚みが変化する変形をすると第三基礎板構造130の圧電素子131aの一対の電極に電位差が生ずる。
地震が発生したと判断したとき、電気回路が第三基礎板構造130の圧電素子131aの一対の電極に電圧を印可して第三基礎板構造130の圧電素子部材131の板状の厚みを変化させてもよい。
地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて、電気回路400が第三基礎板構造130の圧電素子131aの一対の電極に電圧を印可して第三基礎板構造130の圧電素子部材131の板状の厚みを変化させてもよい。
【0041】
次に、レール支持構造230を説明する。
直動転がり支承は、レール支持構造230を備えていてもよい。
レール支持構造230は、レール構造210と基礎板構造100との間に挟まれる板状の構造であってもよい。
図7には、レール支持構造230が下部レール構造210yと下部基礎板構造100yとの間に挟まれる様子が示される。
レール支持構造230が圧電素子部材231を持っていてもよい。
圧電素子部材231は、板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ構造である。
圧電素子部材231は、複数の圧電素子231aと複数の圧電素子231aを挟む一対の仕切り板231bとで構成されてもうよい。
圧電素子部材231の構造は、第一の実施形態にかかる直道転がり支承の記載で説明したものと同じなので、説明を省略する。
電気回路400がレール支持構造230の複数の圧電素子231aの一対の電極に電気的に接続されてもよい。
レール支持構造230の圧電素子部材231の板状の厚みが変化する変形をするとレール支持構造230の圧電素子231aの一対の電極に電位差が生ずる。
地震が発生したと判断したとき、電気回路400がレール支持構造230の圧電素子231aの一対の電極に電圧を印可してレール支持構造230の圧電素子部材231の板状の厚みを変化させてもうよい。
地震が発生したと判断したとき、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて、電気回路400がレール支持構造230の圧電素子231aの一対の電極に電圧を印可してレール支持構造230の圧電素子部材231の板状の厚みを変化させてもよい。
【0042】
次に、レール摩擦構造500の構造を説明する。
レール構造210が、軸方向に延びる平滑面であるレール平滑面S1を形成してもよい。
レール平滑面S1は、レール構造210の基礎板構造100に取り付けられる面である取付面の反対側の面に形成されてもよい。
レール平滑面S1は、レール構造210の側面に形成されてもよい。
レール摩擦構造500は、レール摩擦部材510とレール押し付け構造520とで構成される。
レール摩擦部材510は、レール平滑面S1に接触して摺動できる摩擦部材である。
レール押し付け構造520は、ブロック構造220に支持されレール摩擦部材510をレール平滑面S1に押し付ける構造である。
図7には、下部ブロック構造220yに固定されるレール押し付け構造520がレール摩擦部材510を、下部レール構造210yに形成されるレール平滑面S1に押付ける様子が示される。
この様にすると、下部ブロック構造220yが下部レール構造210yに対してY軸に沿って相対移動する際に、下部ブロック構造220yに摩擦抵抗力が作用する。
【0043】
レール押し付け構造520が、圧電素子部材521を持っていてもよい。
レール押し付け構造520が、圧電素子部材521とレール弾性部材(図示せす)とが積層されたものであってもよい。
圧電素子部材521は、板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ部材である。
圧電素子部材521の構造は、第一の実施形態にかかる直動転がり支承の記載で説明したものと同じなので、説明を省略する。
レール弾性部材(図示せず)は、弾性素材でできた板状部材である。
レール弾性部材(図示せず)は、組み立てられた状態で与圧縮され、所定のばね定数をもつ。
例えば、圧電素子部材521は、レール弾性部材(図示せず)を介してレール摩擦部材510を押す。
電気回路400がレール押し付け構造520の複数の圧電素子521aの一対の電極に電気的に接続さる。
地震が発生したと判断すると、電気回路400がレール押し付け構造520の圧電素子521aの一対の電極に電圧を印可してレール押し付け構造620の圧電素子部材521の板状の厚みを変化させる。
電気回路400は温度センサ420の検知するブロック構造220の温度の値の変化に応じて圧電素子521aの一対の電極に印可する電圧の値を変化させてもよい。
電気回路400は、温度センサ420の検知するブロック構造220の温度の値が大きくなると圧電素子521aの一対の電極に印可する電圧の値を大きくし、温度センサ420の検知するブロック構造220の温度の値が小さくなると圧電素子521aの一対の電極に印可する電圧の値を小さくしてもよい。
【0044】
次に、基礎板摩擦構造600の構造の説明をする。
基礎板構造100が軸方向に延びる平滑面である基礎板平滑面S2を形成してもよい。
基礎板平滑面S2は、基礎板構造100の上部構造Rまたは下部構造Bに取り付けられる面である取付面の反対側の面に形成されてもよい。
基礎板摩擦構造600は、基礎板摩擦部材610と基板押し付け構造620とで構成される。
基礎板摩擦部材610は、基礎板平滑面S2に接触して摺動できる摩擦部材である。
基礎板押し付け構造620は、ブロック構造220に支持され基礎板摩擦部材610を基礎板平滑面S2に押し付ける構造である。
図7には、上部ブロック構造220xに支持される基礎板押し付け構造620が基礎板摩擦部材610を上部基礎板構造100xが形成する基礎板平滑面S2に押付ける様子が示される。
この様にすると、上部ブロック構造220xが上部基礎板構造100xに対してX軸に沿って相対移動する際に、上部ブロック構造220xに摩擦抵抗力が作用する。
【0045】
基礎板押し付け構造620が、圧電素子部材621を持っていてもよい。
基礎板押し付け構造620が、圧電素子部材621と基礎板弾性部材(図示せず)とが積層されたものであってもよい。
圧電素子部材621は、板状の輪郭を形成し輪郭の中に整列する複数の圧電素子をもつ部材である。
圧電素子部材621の構造は、第一の実施形態にかかる直動転がり支承の記載で説明したものと同じなので、説明を省略する。
基礎板弾性部材(図示せず)は、弾性素材でできた板状部材である。
基礎板弾性部材(図示せず)は、組み立てられた状態で与圧縮され、所定のばね定数をもつ。
例えば、圧電素子部材521は、基礎板弾性部材(図示せず)を介して基礎板摩擦部材610を押す。
電気回路400が基礎板押し付け構造620の複数の圧電素子621aの一対の電極に電気的に接続さる。
地震が発生したと判断すると、電気回路400が基礎板押し付け構造620の圧電素子621aの一対の電極に電圧を印可して基礎板押し付け構造620の圧電素子部材621の板状の厚みを変化させる。
電気回路400は温度センサ420の検知するブロック構造220の温度の値の変化に応じて圧電素子621aの一対の電極に印可する電圧の値を変化させてもよい。
電気回路400は、温度センサ420の検知するブロック構造220の温度の値が大きくなると圧電素子621aの一対の電極に印可する電圧の値を大きくし、温度センサ420の検知するブロック構造220の温度の値が小さくなると圧電素子621aの一対の電極に印可する電圧の値を小さくしてもよい。
【0046】
以下に、直動転がり支承の摩擦構造の作用を、レール摩擦構造を例に、図を基に、説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る直動転がり支承の作用を示す。
左のグラフは、レール押し付け構造520がレール摩擦部材510をレール平滑面S1に押し付けないときにブロック構造220がレール構造210の上を往復した際の摩擦力の変化を示す。
右のグラフは、レール押し付け構造520がレール摩擦部材510をレール平滑面S1に押し付けたときにブロック構造220がレール構造210の上を往復した際の摩擦力を示す。
ここで、グラフの横軸はブロック構造220のレール構造210に対する相対移動距離を示し、グラフの縦軸はその際の摩擦力を示す。
電気回路400がレール押し付け構造520の圧電素子521aの一対の電極に電圧を印可しないと、レール押し付け構造520がレール摩擦部材510をレール平滑面S1に押し付ける。
電気回路400がレール押し付け構造520の圧電素子521aの一対の電極に電圧を印可すると、レール押し付け構造520がレール摩擦部材510をレール平滑面S1に押し付ける。
【0047】
以下に、直動転がり支承を建造物に導入する様子を示す。
図10は、直動転がり支承(「CLB」と呼称する。)が建物に導入される様子を示す。
通常は、建物の基礎に直動転がり支承が設置される。
また、直動転がり支承はTMDの支承として利用されることがある。
【0048】
本願発明の直動転がり支承を採用すると、従来の直動転がり支承の不具合点であった不陸を解消できる。
また、直動転がり支承にダンパーの機能を付加できる。
また、地震により長時間揺すられた場合でも、直動転がり支承の温度上昇を抑制でき、
良好な支持機能と周期調整機能とを維持できる。
【0049】
また、以上説明したように、本発明に係る直動転がり支承は、その構成により、以下の効果を有する。
下部構造Bが下部基礎板構造100yを支持し、下部基礎板構造100yがY軸方向に延びる下部レール構造210yを支持し、下部レール構造210yが下部ブロック構造220yをY軸方向に相対移動自在に案内し、下部ブロック構造220yが中間板構造300を挟んで上部ブロック構造220xに連結され、上部レール構造210xが上部ブロック構造220xをX軸方向に相対移動自在に案内し、上部レール構造210xが上部基礎板構造100xに支持され、上部基礎板構造100xが上部構造Rを支持する様にしたので、地震が発生すると構造物が水平方向に移動できる。
中間板構造300の圧電素子部材310が板状の輪郭のなかに複数の圧電素子310aをもち、圧電素子部材310の板状の厚みが変化すると圧電素子310aの一対の電極に電位差が生じ、電位差により電気回路400に電流が流れる様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電位差が電気回路にかかる。
地震が発生し、構造物を支持する他の支承との間に発生した不陸の程度に応じて中間板構造の圧電素子の一対の電極に電圧を印可して中間板構造の圧電素子部材の板状の厚みを変化させる様にしたので、他の支承との間の不陸を減らす機能を実現できる。
板状の輪郭のなかに整列される複数の圧電素子をもつ圧電素子部材131を持つ第三基礎板部材130が第一基礎板構造110と第二基礎板構造120とに挟まれ、圧電素子部材131の板状の厚みが変化すると圧電素子231aの一対の端子に電位差が生じる様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電流が電気回路400に流れる。
地震が発生し、構造物を支持する他の支承との間に不陸の程度に応じて記第三基礎板構造130の圧電素子131aの一対の電極に電圧を印可して圧電素子部材131の板状の厚みを変化させる様にしたので、構造体を支持する支承の間の不陸を解消する機能を実現することができる。
レール支持構造230が板状の輪郭のなかに整列される複数の圧電素子231aをもつ圧電素子部材231を持ち、圧電素子部材231の板状の厚みが変化すると圧電素子231aの一対の端子に電位差が生じる様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に移動する際に上下振動により電流が電気回路に流れる。
地震が発生し、不陸検知センサの検知する値を基に、構造物を支持する他の支承との間に不陸の程度に応じてレール支持構造230の圧電素子231aの一対の電極に電圧を印可して圧電素子部材231の板状の厚みを変化させる様にしたので、構造体を支持する支承の間の不陸を解消する機能を与えることができる。
ブロック構造220に支持されるレール押し付け機構520がレール摩擦部材510をレール構造210に形成されるレール平滑面S1に押付ける様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に相対移動するとレール摩擦部材510とレール平滑面S1との間に発生する摩擦力が構造物の振動を減衰できる。
レール押し付け構造520が圧電素子部材521の板状の輪郭の中に複数の圧電素子521aをもち、複数の圧電素子521aの一対の電力に電圧を印可して圧電素子部材521の板状の厚みを変化させる様にしたので、圧電素子521aの一対の電極に印可する電圧を変化させてレール摩擦部材510とレール平滑面S1との間に発生する摩擦力を調整できる。
ブロック構造220に支持される基礎板押付け機構620が基礎板摩擦部材610を基礎板構造100に形成される基礎板平滑面S2に押付ける様にしたので、地震が発生し構造物が水平方向に相対移動すると基礎板摩擦部材610と基礎板平滑面S2との間に発生する摩擦力が構造物の振動を減衰できる。
基礎板押し付け構造620が圧電素子部材621の板状の輪郭の中に複数の圧電素子621aをもち、複数の圧電素子621aの一対の電力に電圧を印可して圧電素子部材621の板状の厚みを変化させる様にしたので、圧電素子621aの一対の電極に印可する電圧を変化させて基礎板摩擦部材610と基礎板平滑面S2との間に発生する摩擦力を調整できる。
温度センサ420の検知するブロック構造の温度の値の変化に応じて圧電素子521a、621aの一対の電極に印可する電圧の値を変化させる様にしたので、ブロック構造の温度の値に応じて摩擦力を変化させる機能を実現させることができる。
【0050】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない歯非で各種の変更が可能である。
構造物に作用する加速度の最大振幅値が変化するのに応じて、電気回路のインピーダンスを変化させてもよい。
構造物に作用する加速度の最大振幅値が変化するのに応じて、電気回路のコンデンサの静電容量を変化させてもよい。
圧電素子の一対の端子に発生する電位差により電気回路に発生する電流を蓄電器に蓄電し利用してもよい。
下部基礎板構造100yが、第一基礎板構造110と第二基礎板構造120と第三基礎板構造130とで構成される例で説明したが、これに限定されない。例えば、本構造を上部基礎板構造100xまたは両方に適応してもよい。
レール支持構造230が下部レール構造210yを支持する例で説明したが、これに限定されない。例えば、本構造を上部レール構造210xまたは両方に適応してもよい。
レール摩擦構造500を下部レール構造210yに適応する例で説明したがこれに限定されない。例えば、本構造を上部レール構造210xまたは両方に適応してもよい。
レール平滑面S1をレール構造210の基礎板構造100にい固定される面の反対側に設けたが、これに限定されない。例えば、レール平滑面S1をレール構造210の両側面にまたは両側面に設けても良い。
基礎板摩擦構造600を上部基礎板構造100xに設ける例で説明したが、これに限定されない。例えば、基礎板摩擦構造600を下部基礎板構造100yまたは両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
CLB 直動転がり支承
S1 レール平滑面
S2 基礎板平滑面
R 上部構造
B 下部構造
X X軸
Y Y軸
100 基礎板構造
100x 上部基礎板構造
100y 下部基礎板構造
110 第一基礎板構造
120 第二基礎板構造
130 第三基礎板構造
131 圧電素子部材
131a 圧電素子
131b 仕切り板
140 アンカーボルト
210 レール構造
210x 上部レール構造
210y 下部レール構造
220 ブロック構造
220x 上部ブロック構造
220y 下部ブロック構造
230 レール支持構造
231 圧電素子部材
231a 圧電素子
231b 仕切り板
300 中間板構造
310 圧電素子部材
310a 圧電素子
310b 仕切り板
310c 圧電ゴム板
320 金属板材
400 電気回路
410 電気回路本体
420 温度センサ
430 不陸検知センサ
500 レール摩擦構造
510 レール摩擦部材
520 レール押し付け構造
521 圧電素子部材
521a 圧電素子
521b 仕切り板
522 レール弾性部材
600 基礎板摩擦構造
610 基礎板摩擦部材
620 基礎板押し付け構造
621 圧電素子部材
621a 圧電素子
621b 仕切り板
622 基礎板弾性部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【文献】特開平08-240033号
【文献】特開平11-210821号
【文献】特開平05-044771号
【文献】特開2006-275137号
【文献】特開2001-018772号
【文献】特開平11-159188号
【文献】特開2001-304331号
【文献】特開平09-133179号
【文献】特開平11-303930号
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10