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特許7090786ネットワークの管理装置、当該管理装置における方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ネットワークの管理装置、当該管理装置における方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0213 20220101AFI20220617BHJP
   H04L 43/028 20220101ALI20220617BHJP
【FI】
H04L41/0213
H04L43/028
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021195631
(22)【出願日】2021-12-01
【審査請求日】2022-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 仁崇
(72)【発明者】
【氏名】坂元 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】立花 篤男
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107784006(CN,A)
【文献】米国特許第08799437(US,B1)
【文献】特開2008-071197(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0235971(US,A1)
【文献】日本アイ・ビー・エム株式会社,TCP/IPチュートリアルおよび技術解説書,2003年05月31日,第1版,pp. 558-560
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/0213
H04L 43/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置から取得する複数の管理情報から選択した複数の第1管理情報を示す第1要求メッセージを、停止条件が満たされるまで前記通信装置に繰り返し送信する送信手段と、
前記第1要求メッセージの応答として前記通信装置から第1応答メッセージを受信する受信手段と、
を備え、
前記停止条件は、前記第1応答メッセージに含まれる管理情報の総てが、前記複数の第1管理情報とは異なる場合にのみ満たされ
前記第1要求メッセージは、SNMP(Simple Network Management Protocol)のGetBulkRequest PDUであることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記停止条件は、前記第1応答メッセージに含まれる管理情報の内の少なくとも1つが前記複数の第1管理情報と同じ場合には満たされないことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記停止条件が満たされた場合、前記複数の管理情報から選択した少なくとも1つの第2管理情報を示す第2要求メッセージを前記通信装置に送信し、
前記少なくとも1つの第2管理情報は、前記複数の第1管理情報とは異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
通信装置から取得する複数の管理情報から選択した複数の第1管理情報を示す第1要求メッセージを、前記通信装置に繰り返し送信する送信手段と、
前記第1要求メッセージの応答として前記通信装置から第1応答メッセージを受信する受信手段と、
を備え、
前記送信手段は、前記複数の第1管理情報それぞれの前記通信装置からの取得数の最大値に基づき、前記第1要求メッセージを繰り返し送信する送信回数を決定し、
前記第1要求メッセージは、SNMP(Simple Network Management Protocol)のGetBulkRequest PDUであることを特徴とする管理装置。
【請求項5】
前記第1要求メッセージは、前記通信装置が前記第1応答メッセージに含める管理情報の数を判定するためのパラメータを有し、
前記送信手段は、前記最大値を前記パラメータの値で除した値に基づき前記送信回数を決定することを特徴とする請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記送信回数だけ前記第1要求メッセージを送信した場合、前記複数の管理情報から選択した少なくとも1つの第2管理情報を示す第2要求メッセージを前記通信装置に送信し、
前記少なくとも1つの第2管理情報は、前記複数の第1管理情報とは異なることを特徴とする請求項4又は5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記通信装置から取得する前記複数の管理情報の内の未取得の第3管理情報から1つの第1管理情報を選択し、前記1つの第1管理情報の取得数と、前記第1管理情報とは異なる前記第3管理情報の取得数との差に基づき、前記第1要求メッセージにおいて示される前記複数の第1管理情報を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記複数の第1管理情報の数はN(Nは2以上の整数)であり、
前記送信手段は、前記1つの第1管理情報の取得数との前記差が小さい順に(N-1)個の第1管理情報を前記第3管理情報から選択することで、前記第1要求メッセージにおいて示される前記複数の第1管理情報を決定することを特徴とする請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
前記1つの第1管理情報は、前記第3管理情報の内の取得数が最大又は最小の管理情報であることを特徴とする請求項8に記載の管理装置。
【請求項10】
1つ以上のプロセッサを有する装置の前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項1からのいずれか1項に記載の管理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
管理装置における方法であって、
複数の第1管理情報を示す第1要求メッセージを通信装置に送信することと、
前記第1要求メッセージの応答として前記通信装置から第1応答メッセージを受信することと、
前記第1応答メッセージに含まれる管理情報の内の少なくとも1つが前記第1要求メッセージにおいて示される前記複数の第1管理情報と同じ場合、前記第1要求メッセージを前記通信装置に送信することと、
前記第1応答メッセージに含まれる管理情報の総てが、前記第1要求メッセージにおいて示される前記複数の第1管理情報とは異なる場合、前記第1要求メッセージの送信を停止することと、
を含み、
前記第1要求メッセージは、SNMP(Simple Network Management Protocol)のGetBulkRequest PDUであることを特徴とする方法。
【請求項12】
管理装置における方法であって、
複数の管理情報を示す第1要求メッセージの送信回数を決定することと、
前記第1要求メッセージを通信装置に送信し、前記通信装置から第1応答メッセージを受信することを前記送信回数だけ繰り返すことと、
を含み、
前記送信回数は、前記第1要求メッセージにおいて示される前記複数の管理情報それぞれの前記通信装置からの取得数の最大値に基づき決定され
前記第1要求メッセージは、SNMP(Simple Network Management Protocol)のGetBulkRequest PDUであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを構成する通信装置から管理情報を取得する管理装置、当該管理装置における方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、ネットワークの管理装置が通信装置から様々な種別の管理情報を取得するためのプロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)を開示している。SNMPにおいて、通信装置が管理する管理情報の集合は、管理情報ベース(MIB:Management Information Base)と呼ばれる。MIBは、通信装置が管理する総ての管理情報を木構造で示すものであり、各管理情報は、木構造内の位置に応じた識別子で特定される。この識別子は、ОID(Object IDentifier)と呼ばれる。
【0003】
図1は、管理装置1が、ネットワーク3を構成する複数の通信装置の内の通信装置2からSNMPにより管理情報を取得している状態を示している。非特許文献1によると、管理装置1は、通信装置2からある管理情報を取得したい場合、通信装置2に当該管理情報の識別子を含む要求メッセージを送信する。要求メッセージを受信した通信装置2は、当該要求メッセージに含まれる識別子に対応する管理情報を含む応答メッセージを管理装置1に送信する。
【0004】
非特許文献1は、GetRequestメッセージ及びGetBulkRequestメッセージを含む複数の種類の要求メッセージを規定している。GetRequestメッセージは、非特許文献1においてはGetRequest PDUと表記されている。さらに、GetRequestメッセージは、GetRequest、GetRequestオペレーション、GetRequestコマンド、GetRequest信号等とも表記され得る。GetBulkRequestメッセージについても同様である。さらに、応答メッセージは、非特許文献1においてはResponse PDUと表記されている。なお、本開示においては、"メッセージ"との表記を統一して使用するが、"メッセージ"との表記は本発明の範囲を限定するものではない。
【0005】
GetRequestメッセージは、特定の管理情報を指定して、指定した特定の管理情報の取得を要求するメッセージである。一方、GetBulkRequestメッセージは、複数の管理情報(管理情報の束)を指定し、当該複数の管理情報の内の少なくとも1つの取得を要求するメッセージである。以下、図2を用いてGetRequestメッセージ及びGetBulkRequestメッセージによる管理情報の取得の簡単な例を説明する。図2は、通信装置2のMIBの一部の例を示している。なお、この例において、通信装置2は、IF#1~IF#4の4つのインタフェースを有し、各インタフェースにおいて、トラフィック量とバッファ量を管理情報として管理しているものとする。通信装置2が、同じ種別の管理情報(トラフィック量、バッファ量等)をインタフェース毎に管理している場合、図2に示す様に、各種別の管理情報に対応するノードに接続するリーフがインタフェースに対応する。
【0006】
GetRequestメッセージには、MIBの木構造におけるリーフの識別子が含められる。例えば、管理装置1が図2のリーフ82の識別子を含むGetRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、IF#4のトラフィック量を示す応答メッセージを送信する。GetBulkRequestメッセージには、MIBの木構造におけるリーフではないノードの識別子が含められ得る。GetBulkRequestメッセージは、最大繰り返し回数(max-repetitiоns)パラメータを含む。例えば、管理装置1が図2のノード80の識別子(管理情報としてトラフィック量を指定することに対応)を含み、最大繰り返し回数パラメータが4のGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、IF#1~IF#4それぞれのトラフィック量を示す応答メッセージを送信する。
【0007】
また、例えば、管理装置1が図2のノード80の識別子を含み、最大繰り返し回数パラメータが2のGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、IF#1及びIF#2のトラフィック量を示す応答メッセージを送信する。続いて、管理装置1が同じGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、IF#3及びIF#4のトラフィック量を示す応答メッセージを送信する。
【0008】
さらに、GetBulkRequestメッセージには、複数のノードの識別子が含められ得る。例えば、管理装置1が図2のノード80及びノード81の識別子を含み、最大繰り返し回数パラメータが2のGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、IF#1及びIF#2のトラフィック量と、IF#1及びIF#2のバッファ量と、を示す応答メッセージを送信する。続いて、管理装置が同じGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置は、IF#3及びIF#4のトラフィック量と、IF#3及びIF#4のバッファ量と、を示す応答メッセージを送信する。
【0009】
この様に、GetBulkRequestメッセージを使用することで、管理装置1は、効率的に様々な種別の管理情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】J.Case,K.McCloghrie,M.Rose,S.Waldbusser,"Protocol Operations for version 2 of the Simple Network Management Protocol (SNMPv2)",Request for Comments 1448,1993年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
非特許文献1によると、通信装置2は、GetBulkRequestメッセージで示されるノードの配下にある総ての管理情報を送信すると、MIBの木構造に基づく順位に応じて他のノードの配下にある管理情報を送信する。例えば、図2の例において、管理装置1が、ノード80の識別子を含み、最大繰り返し回数パラメータが3のGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、まず、IF#1~IF#3のトラフィック量を含む応答メッセージを送信する。続いて、管理装置1が、同じGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、IF#4のトラフィック量と、トラフィック量とは異なる2つの管理情報を含む応答メッセージを送信する。なお、トラフィック量とは異なる2つの管理情報は、MIBの木構造に基づく順位に応じて決定される。
【0012】
非特許文献1によると、管理装置1は、GetBulkRequestメッセージで指定したノード80の識別子に対応する管理情報とは異なる少なくとも1つの管理情報を含む応答メッセージを受信すると、それまでに送信していたノード80の識別子を含み、最大繰り返し回数パラメータが3のGetBulkRequestメッセージの送信を停止する。
【0013】
ここで、通信装置2が、例えば、図3に示す様に、IF#1~IF#10の10個のインタフェースを有し、計12個の種別の管理情報OB#1~OB#8及びOB#A~OB#Dを管理しているものとする。但し、管理する管理情報の種別は、インタフェース毎に異なるものとする。図3において"〇"は、対応するインタフェースで対応する管理情報が管理されていることを示し、"×"は、対応するインタフェースで対応する管理情報が管理されていないことを示している。例えば、管理情報OB#1及びOB#2は、IF#1~IF#10の総てにおいて管理されている。一方、管理情報OB#3及びOB#4は、IF#1において管理されているが、IF#2~IF#10においては管理されていない。
【0014】
また、図3の網掛は、通信装置2では管理しているが、管理装置1が取得しない管理情報を示している。図3に示す様に、管理装置1は、管理情報OB#A~OB#Dを取得しないものとする。図3の"取得数"は、管理装置1が通信装置2から取得する管理情報の数を管理情報の種別毎に示している。図3において管理装置1が取得する管理情報(○であり、かつ、網掛けされていない管理情報)を以下では対象管理情報とも表記する。
【0015】
対象管理情報を取得するため、管理装置1が、図4に示す様に、管理情報OB#1~OB#4の識別子を含むGetBulkRequestメッセージを繰り返し送信するものとする。なお、最大繰り返し回数パラメータには1を設定するものとする。この場合、通信装置2は、図4の回数"1"に示す様に、1回目のGetBulkRequestメッセージに応答して、IF#1の管理情報OB#1~OB#4を含む応答メッセージを送信する。続いて、管理装置1が2回目のGetBulkRequestメッセージを送信すると、通信装置2は、IF#2の管理情報OB#1及びOB#2と、例えば、IF#1の管理情報OB#A及びOB#Bと、を含む応答メッセージを送信する。2回目の応答メッセージには、管理情報OB#3とOB#4が含まれないため、管理装置1は、このGetBulkRequestメッセージの送信を停止してしまう。なお、2回目の応答メッセージに管理情報OB#3とOB#4が含まれないのは、IF#2~IF#10では、管理情報OB#3及びOB#4が管理されていないからである。
【0016】
この様に、管理装置1は、上記のGetBulkRequestメッセージの繰り返しの送信では、IF#3~IF#10の管理情報OB#1及びOB#2を取得できないことになる。この場合、管理装置1は、取得できていない管理情報を判定し、取得できていない管理情報をGetRequestメッセージにより個別に、或いは、別のGetBulkRequestメッセージにより取得しなければならない。
【0017】
なお、例えば、管理情報OB#1及びOB#2の識別子を含むGetBulkRequestメッセージを使用すれば、IF#1~IF#10の管理情報OB#1及びOB#2を取得することができる。しかしながら、ネットワークを構成する通信装置2の数は膨大であり、個々の通信装置2のMIB構造を把握して、GetBulkRequestメッセージに含める管理情報の識別子を調整することは困難である。
【0018】
本発明は、取得対象の管理情報の取得漏れを抑えることができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様によると、管理装置は、通信装置から取得する複数の管理情報から選択した複数の第1管理情報を示す第1要求メッセージを、停止条件が満たされるまで前記通信装置に繰り返し送信する送信手段と、前記第1要求メッセージの応答として前記通信装置から第1応答メッセージを受信する受信手段と、を備え、前記停止条件は、前記第1応答メッセージに含まれる管理情報の総てが、前記複数の第1管理情報とは異なる場合にのみ満たされ、前記第1要求メッセージは、SNMP(Simple Network Management Protocol)のGetBulkRequest PDUであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、取得対象の管理情報の取得漏れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】システム構成図。
図2】MIBの一部の例を示す図。
図3】通信装置で管理する管理情報と、管理装置が取得する対象管理情報とを示す図。
図4図3の対象管理情報を取得する背景技術での例を示す図。
図5】一実施形態による対象管理情報を取得する処理の説明図。
図6】一実施形態による対象管理情報を取得する処理の説明図。
図7】一実施形態による対象管理情報を取得する処理の説明図。
図8】一実施形態による対象管理情報を取得する処理の説明図。
図9】一実施形態による管理装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0023】
<第一実施形態>
以下では、図1に示す様に、ネットワーク3を構成する複数の通信装置の内の通信装置2から、管理装置1が対象管理情報を取得する処理を例にして本実施形態の説明を行う。なお、通信装置2が管理する管理情報は、図3の通りであるものとし、対象管理情報は、通信装置2が管理する管理情報(○で示す)の内の、網掛けされていない管理情報であるものとする。
【0024】
本実施形態において、管理装置1は、停止条件が満たされるまで同じ要求メッセージの繰り返しの送信を継続する。停止条件は、応答メッセージに含まれる管理情報の総てが、要求メッセージに含めた識別子の管理情報と異なる場合に満たされる。一方、従来とは異なり、応答メッセージに含まれる管理情報に、要求メッセージに含めた識別子の管理情報と異なるものが含まれていても、応答メッセージに含まれる少なくとも1つの管理情報が要求メッセージに含めた識別子の管理情報と同じである場合、停止条件は満たされない。以下、図5及び図6を用いて具体的に説明する。
【0025】
図5及び図6は、図4と同様の図である。なお、以下の説明においては標記を簡略化するため、"GetBulkRequestメッセージ"を、単に、"要求メッセージ"と表記する。また、最大繰り返し回数パラメータは1に設定されるものとする。さらに、以下の説明では、要求メッセージに含める対象管理情報の識別子の数を4とする。管理装置1は、対象管理情報であるOB#1~OB#8から任意の4つを選択し、選択した対象管理情報の識別子を含む要求メッセージを繰り返し送信する。なお、本例では、図4と同様に、管理装置1がまず管理情報OB#1~OB#4を選択したものとする。したがって、管理装置1は、管理情報OB#1~OB#4の識別子を含む要求メッセージを繰り返し送信する。通信装置2は、1回目の要求メッセージに応答して、IF#1の管理情報OB#1~OB#4を含む応答メッセージを送信する。続いて、管理装置1が2回目の要求メッセージを送信すると、通信装置2は、IF#2の管理情報OB#1及びOB#2と、IF#1の管理情報OB#A及びOB#Bと、を含む応答メッセージを送信する。ここまでの処理は、図4と同じである。なお、図4の応答メッセージの"要求"は要求メッセージで要求した管理情報を示し、"非要求"は要求メッセージで要求していない管理情報を示している。
【0026】
2回目の応答メッセージは、要求メッセージで要求した管理情報OB#1及びOB#2を含むため、停止条件は満たされない。このため、管理装置1は、管理情報OB#1~OB#4の識別子を含む3回目の要求メッセージを送信し、通信装置2は、3回目の要求メッセージに応答して、IF#3の管理情報OB#1及びOB#2と、IF#2の管理情報OB#A及びOB#Bと、を含む応答メッセージを送信する。
【0027】
以下、同様に、管理装置1は要求メッセージの送信を繰り返す。図5に示す様に、管理装置1が10回目の要求メッセージを送信すると、通信装置2は、IF#10の管理情報OB#1及びOB#2と、IF#9の管理情報OB#A及びOB#Bと、を含む応答メッセージを送信する。続いて、管理装置1が11回目の要求メッセージを送信すると、通信装置2は、例えば、IF#1の管理情報OB#5及びOB#6と、IF#10の管理情報OB#A及びOB#Bと、を含む応答メッセージを送信する。応答メッセージに含まれる管理情報OB#5、OB#6、OB#A及びOB#Bの総ては、要求メッセージで指定した管理情報OB#1~OB#4とは異なるため停止条件が満たされる。したがって、管理装置1は、11回目の応答メッセージの受信により、管理情報OB#1~OB#4の識別子を含む要求メッセージの送信を停止する。
【0028】
図5に示す様に、管理装置1は、対象管理情報の内の管理情報OB#1~OB#4の総て(計22個)を取得する処理のために、11回、要求メッセージを送信している。なお、図5の例において、管理装置1は、11回目の応答メッセージで、IF#1の管理情報OB#5及びOB#6を取得している。IF#1の管理情報OB#5及びOB#6は、対象管理情報であるが、要求メッセージで要求したものではないため、管理装置1は、11回目の応答メッセージで取得したIF#1の管理情報OB#5及びOB#6を廃棄し得る。
【0029】
続いて、管理装置1は、対象管理情報の残りである管理情報OB#5~OB#8の取得を開始する。このため、図6に示す様に、管理装置1は、管理情報OB#5~OB#8の識別子を含む要求メッセージを繰り返し送信する。通信装置2は、1回目の要求メッセージに応答して、IF#1の管理情報OB#5~OB#8を含む応答メッセージを送信する。図3に示す様に、IF#1~IF#3の管理情報OB#5~OB#8を通信装置2は管理している。したがって、1回目から3回目の要求メッセージに応答して、通信装置2は、IF#1~IF#3の管理情報OB#5~OB#8を含む応答メッセージを送信する。
【0030】
管理装置1が4回目の要求メッセージを送信すると、通信装置2は、IF#4の管理情報OB#5及びOB#6と、例えば、IF#1の管理情報OB#C及びOB#Dを含む応答メッセージを送信する。4回目の応答メッセージに含まれる管理情報の一部は、要求メッセージにおいて要求したものとは異なるが、本実施形態においては停止条件を満たさないため、管理装置1は同じ要求メッセージの送信を継続する。
【0031】
管理装置1が8回目の要求メッセージを送信すると、通信装置2は、IF#8の管理情報OB#5及びOB#6と、IF#5の管理情報OB#C及びOB#Dを含む応答メッセージを送信する。管理装置1が9回目の要求メッセージを送信すると、通信装置2は、例えば、IF#6の管理情報OB#C及びOB#Dと、IF#7の管理情報OB#C及びOB#Dを含む応答メッセージを送信する。応答メッセージには、管理情報OB#5~OB#8が含まれないため、停止条件が満たされ、よって、管理装置1は、要求メッセージの送信を停止する。なお、この時点において、管理装置1は、対象管理情報の内の管理情報OB#5~OB#8の総て(計22個)を取得している。
【0032】
以上、複数の異なる種別の管理情報を要求する同じ要求メッセージの送信を、応答メッセージに含まれる管理情報が総て異なることになるまで繰り返す。この構成により、要求メッセージで指定した複数の管理情報の取得漏れを抑えることができる。よって、取得できていない管理情報を判定する処理を省略することができる。なお、上記例では、最大繰り返し回数パラメータを1としたが、最大繰り返し回数パラメータの値は任意である。また、上記例では、要求メッセージに含める管理情報の識別子の数(管理情報の種別数)を4としたが、要求メッセージに含める管理情報の識別子の数は2以上の任意の数とすることができる。
【0033】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態においては停止条件が満たされると、管理装置1は要求メッセージの繰り返しの送信を停止していた。本実施形態では、要求メッセージに含める識別子の管理情報の取得数に基づき管理装置1は繰り返しの送信回数を設定する。以下、本実施形態について詳細に説明する。なお、第一実施形態と同様に、最大繰り返し回数パラメータは1であり、要求メッセージに含める管理情報の識別子の数を4とする。
【0034】
まず、管理装置1は、第一実施形態と同様に、管理情報OB#1~OB#4の識別子を含む要求メッセージを繰り返し送信する。このとき、管理装置1は、管理情報OB#1~OB#4の取得数を判定する。図3に示す様に、管理情報OB#1~OB#4の取得数は、それぞれ、10、10、1、1である。この場合、管理装置1は、取得数の最大値である10を送信回数とする。したがって、管理装置1は、管理情報OB#1~OB#4の識別子を含む要求メッセージを送信し、その応答メッセージを取得することを10回だけ繰り返す。図5より明らかな様に、10回の繰り返しにより、対象管理情報の内の管理情報OB#1~OB#4の総て(計22個)を取得できる。続いて、管理装置1は、対象管理情報の残りの管理情報OB#5~OB#8の識別子を含む要求メッセージを繰り返し送信する。図3に示す様に、管理情報OB#5~OB#8の取得数は、それぞれ、8、8、3、3である。したがって、管理装置1は、管理情報OB#5~OB#8の識別子を含む要求メッセージを送信し、その応答メッセージを取得することを8回だけ繰り返す。図6より明らかな様に、8回の繰り返しにより、対象管理情報の内の管理情報OB#5~OB#8の総て(計22個)を取得できる。
【0035】
以上、本実施形態では、第一実施形態と比較して要求メッセージの繰り返しの送信回数を1回だけ少なくすることができる。なお、例えば、最大繰り返し回数パラメータをn(nは2以上の整数)に設定する場合、送信回数は、取得数の最大値をnで除した回数となる。なお、取得数の最大値をnで除した値が整数ではない場合、少数点以下を切り上げた回数を送信回数とする。
【0036】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、1つの要求メッセージに含める複数の識別子を、各識別子に対応する管理情報の取得数に基づき判定する。なお、第一実施形態と同様に、最大繰り返し回数パラメータは1に設定され、要求メッセージに含める管理情報の識別子の数を4とする。
【0037】
管理装置1は、対象管理情報OB#1~OB#8の内の未取得の管理情報から1つの管理情報を選択する。最初に選択する管理情報は、未取得の管理情報の内、取得数が最大又は最小のものとすることができる。ここでは、対象管理情報OB#1~OB#8が総て未取得であり、取得数が最大の管理情報OB#1を選択したものとする。この選択した1つの管理情報は、要求メッセージに含める4つの管理情報の内の1つである。続いて、管理装置1は、選択した1つの管理情報の取得数と、他の未取得の管理情報それぞれの取得数との差を求める。図3より、管理情報OB#2~OB#8の取得数の、管理情報OB#1の取得数との差は、それぞれ、0、9、9、2、2、7、7である。管理装置1は、差の小さいものから順に3つの管理情報を選択し、この3つの管理情報を要求メッセージに含めると決定する。したがって、本例において、管理装置1は、要求メッセージに管理情報OB#1、OB#2、OB#5及びOB#6を含めると決定する。
【0038】
図7は、図5と同様の図である。但し、本実施形態において、管理装置1は、要求メッセージに管理情報OB#1、OB#2、OB#5及びOB#6を含めている。図5との比較から明らかな様に、1回目から8回目の総てにおいて、応答メッセージは、要求メッセージで要求した管理情報OB#1、OB#2、OB#5及びOB#6を含んでいる。図7に示す様に、管理装置1は、10回の要求メッセージの送信により、管理情報OB#1、OB#2、OB#5及びOB#6の総てを取得している。そして、管理装置1は、11回目の要求メッセージに対する応答メッセージを受信することで停止条件が満たされたと判定し、当該要求メッセージの送信を停止している。続いて、管理装置1は、図9に示す様に、残りの対象管理情報である、管理情報OB#3、OB#4、OB#7及びOB#8を含む要求メッセージを繰り返し送信する。図8に示す様に、管理装置1は、3回の要求メッセージの送信により、管理情報OB#3、OB#4、OB#7及びOB#8の総てを取得している。そして、管理装置1は、4回目の要求メッセージに対する応答メッセージを受信することで停止条件が満たされたと判定し、当該要求メッセージの送信を停止している。
【0039】
第一実施形態では、図5及び図6に示す様に、総ての対象管理情報を取得するために管理装置1は、合計20回、要求メッセージを送信していた。本実施形態では、図7及び図8に示す様に、管理装置1は、合計15回の要求メッセージの送信により、総ての対象管理情報を取得することができる。
【0040】
<第四実施形態>
本実施形態は、第三実施形態と第二実施形態とを組み合わせたものである。つまり、1つの要求メッセージで要求する管理情報を、その取得数に基づき決定し、この要求メッセージの送信回数を、含める管理情報の取得数の最大値に基づき決定するものである。例えば、図7及び図8の例で説明すると、図7の11回目と、図8の4回目が無くなり、よって、管理装置1は、合計13回の要求メッセージの送信により、総ての対象管理情報を取得することができる。
【0041】
<管理装置1の構成>
管理装置1は、例えば、1つ以上のプロセッサを有する装置に適切なプログラムを実行させることで実現することができる。当該装置は、例えば、コンピュータであり、1つ以上のプロセッサに加えて、プログラムを格納する記憶デバイスや、ユーザインタフェースを提供するための入出力回路や、通信インタフェース等を有し得る。図9は、例えば、当該コンピュータの1つ以上のプロセッサに適切なプログラムを実行させることで当該コンピュータに実現される、管理装置1の機能ブロック図である。
【0042】
格納部12は、各通信装置から取得する対象管理情報を示す情報を保持している。送信部10は、ある通信装置2から対象管理情報を取得する場合、通信装置2から取得する複数の対象管理情報から、要求メッセージに含める複数の管理情報を選択する。なお、選択する数は所定数とすることができる。送信部10は、選択した複数の管理情報を示す要求メッセージを繰り返し送信する。なお、第一実施形態において、送信部10は、停止条件が満たされるまで、選択した複数の管理情報を示す要求メッセージを繰り返し送信する。一方、第二実施形態において、送信部10は、選択した複数の管理情報の取得数の最大値に基づき、繰り返しの送信回数を決定する。受信部11は、送信部10が送信した要求メッセージの応答として、管理情報を含む応答メッセージを受信する。なお、停止条件が満たされた場合、或いは、決定した送信回数だけ要求メッセージを送信すると、送信部11は、通信装置2から取得する複数の対象管理情報の内の、未取得の対象管理情報から次の要求メッセージに含める1つ以上の管理情報を選択する。送信部11は、未取得の対象管理情報がなくなるまで、上記処理を繰り返す。
【0043】
なお、送信部10は、通信装置2から取得する複数の対象管理情報それぞれの取得数の差に基づき要求メッセージに含める管理情報を選択し得る。具体的には、要求メッセージに含める管理情報の数をN(Nは2以上の整数)とする。この場合、送信部10は、通信装置2から取得する複数の対象管理情報の内の未取得の管理情報から1つの管理情報を選択し、選択した1つの管理情報の取得数との差が小さい順に(N-1)個の管理情報を未取得の管理情報から選択することで、要求メッセージに含めるN個の管理情報を決定する。なお、選択する1つの管理情報は、未取得の管理情報の内の取得数が最大又は最小の管理情報とすることができる。
【0044】
なお、管理装置1は、単一装置により実現することも、相互に通信可能は複数の装置により実現することも可能である。また、1つ以上のプロセッサを有する装置の当該1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置を上記の管理装置1として機能させるプログラムが提供される。これらプログラムは、当該装置が有する1つ以上の記憶デバイスに格納され得る。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布され得る。
【0045】
上記構成により、取得対象の管理情報の取得漏れを抑えることができる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0046】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
10:送信部、11:受信部、12:格納部
【要約】
【課題】取得対象の管理情報の取得漏れを抑えることができる技術を提供する。
【解決手段】管理装置は、通信装置から取得する複数の管理情報から選択した複数の第1管理情報を示す第1要求メッセージを、停止条件が満たされるまで前記通信装置に繰り返し送信する送信手段と、前記第1要求メッセージの応答として前記通信装置から第1応答メッセージを受信する受信手段と、を備え、前記停止条件は、前記第1応答メッセージに含まれる管理情報の総てが、前記複数の第1管理情報とは異なる場合にのみ満たされる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9