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  • 特許-圧着名刺 図1
  • 特許-圧着名刺 図2
  • 特許-圧着名刺 図3
  • 特許-圧着名刺 図4
  • 特許-圧着名刺 図5
  • 特許-圧着名刺 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】圧着名刺
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B42D15/02 521
B42D15/02 501B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018109846
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019202525
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3103699(JP,U)
【文献】登録実用新案第3091242(JP,U)
【文献】特開平10-297149(JP,A)
【文献】実開昭61-87978(JP,U)
【文献】登録実用新案第3011752(JP,U)
【文献】登録実用新案第3101560(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D15/02
25/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線を介して連接された少なくとも3葉片を折り畳み対向面間を剥離可能に接着した圧着名刺において、名刺本体となる最外側の何れかの葉片を除いた他の葉片の折り畳みにより生じる対向面間を疑似接着手段により剥離可能に接着すると共に前記名刺本体となる葉片の表裏面には疑似接着手段が講じられていないことを特徴とした圧着名刺。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み剥離可能に一体化した圧着名刺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の名刺は、単に1枚の用紙の表裏面に情報が印刷されているのみであった。しかし最近圧着技術の発達により、例えば特開平10-297149号に開示される名刺が発明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-297149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記引用文献1の発明は複数の紙片を折り畳み剥離可能に疑似接着することで一体化した名刺であり、従来よりも大量の情報が記載できるようにしたものである。そして名刺として使用する紙片は他の紙片から切り取って、整理保管できるようになっている。
【0005】
前記名刺は剥離可能な接着を実現するための疑似接着層として、2層以上のフィルムを接着面の対向面間に介在させる方法或いはヒートシール剤を混入した接着剤や感圧接着剤を塗布する等の手段を用いるとしている。しかしながら前記手段は、整理保管のため分離した名刺が、貼着されているフィルムや接着剤のため著しくカールしてしまい保管がしづらくなる。またフィルムシートやヒートシール剤に被覆されている面に書き込みが出来なくなり、受け取った相手の必要な情報等をメモ代わりに走り書きすることもできない。
【0006】
さらに致命的な欠陥として、複数の紙片が一体化されているので剥離する以前に廃棄されたりそのまま保管されたりしてしまうことがある。即ちせっかくの大量情報が一切読まれることなく眠り続けることになる。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、一枚物の名刺と比較すると大量の情報の記載が可能であり、また名刺となる紙片の表面が疑似接着手段により覆われていないため鉛筆等の筆記具でも容易に走り書きすることが可能で、さらにカール等の変形がなく保管も容易であると共に、記載された大量の情報を確実に受取人が剥離展開して確認してしまう圧着名刺を提供することを目的としている。
【0008】
特に営業活動で大きなサイズで分厚く重量のある自社製品取り扱いパンフレットを持ち歩くには多大な不便が生じる。そんな状況で仮にコンパクトサイズで十分な情報量を有し、挨拶時の名刺としても使用できる本発明は、受取人側でも取り扱いが至便なため非常に重宝され製品の印象付けにも一役買うものである。またそれを使用する営業サイドは、今までより身軽いスタイルで広範囲に行動することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の圧着名刺は、折り線を介して連接された少なくとも3葉片を折り畳み対向面間を剥離可能に接着した圧着名刺において、名刺本体となる最外側の何れかの葉片を除いた他の葉片の折り畳みにより生じる対向面間を疑似接着手段により剥離可能に接着すると共に前記名刺本体となる葉片の表裏面には疑似接着手段が講じられていないことを特徴としている。
【0010】
疑似接着手段として例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレン等の基材の一方の面に公知の感熱接着剤層を形成し、残るもう一方の面に疑似接着層を形成したサーマルラミネート法に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートがある。この物は印刷物の疑似接着予定面に前記感熱接着剤層を介して剥離不能に被覆し、その後折り合わせて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離不能に接着するものであり、業界ではフィルム方式と称されている。
【0011】
前記フィルム方式には既述全面貼り方式以外に、予め疑似接着されているフィルムを折り畳まれた印刷物の間に挟み、加熱・加圧処理を施して対向面間を剥離可能に接着する挟み込み方式がある。
【0012】
また既述のフィルム方式以外の疑似接着手段として、例えば疑似接着性のUVニスを使用して印刷が完了した疑似接着予定面の表面に疑似接着性被膜を形成するものがある。また前記UVニスに代えてエマルジョンタイプの再剥離性接着剤を塗布するものがある。このような印刷完了後の用紙表面に疑似接着性の被膜を形成する方式を、業界では後糊方式と称している。
【0013】
さらに印刷前の用紙に例えば天然ゴムや合成ゴムを主体とした疑似接着剤を塗工して含侵させ、その後前記用紙の表面に印刷を施す手段がある。このような印刷前の用紙に疑似接着手段を形成する方式を業界では先糊方式と称している。因みに疑似接着フィルムシートを使用する疑似接着手段は業界でフィルム方式と称されている。何れの疑似接着手段においても疑似接着予定面同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すことにより、対向面同氏は剥離可能に接着する。
【0014】
本発明の圧着名刺を構成する葉片に使用される資材は、上質紙、マット紙、コート紙等の通常の印刷用紙を初め、合成紙、不織布、樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。
【0015】
本発明の圧着名刺を構成する葉片の数は少なくとも3葉片となる。最少の3葉片の場合2葉片が疑似接着手段により剥離可能に接着され、前記2葉片の何れかに折り線を介して連接され且前記2葉片から分離した1葉片がZ折り或いは巻き折り状態に折り畳まれたものとなる。4葉片以上の場合、蛇腹折り、巻き折り、観音折り或いはそれらの複合折りにより折り畳まれ剥離可能に積層された複数の葉片の、前記複数の葉片から分離した最外側の葉片と連接された1葉片により構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の圧着名刺の受取人は、剥離可能に折り畳まれた葉片を平面に展開して内部の各種情報を確認することができる。そして疑似接着手段が講じられていない名刺本体の1葉片を、例えば他の葉片群と連接する折り線に形成された切り取りミシンから切り離して保管することができる。
【0017】
前記切り離された名刺本体は、疑似接着手段が講じられていないのでカールすることはなく保管するに支障は起こらない。また疑似接着手段が講じられていない名刺本体の表裏面には、例えば名刺を受け取った日付や場所等を初め各種記録を走り書きすることができる。また通常の名刺としてファイルすることも可能で極めて至便である。
【0018】
また名刺本体以外の各葉片には会社案内や商品紹介、地図や写真等の各種情報を記載でき、受取人に単なる名刺以上の優れた広告宣伝媒体として多量で詳細な情報を提供することができる。そしてその情報を元に取引先等と話を展開することが可能になるため、高額でサイズの大きなカタログやパンフレット類を持ち歩く必要がなくなり極めて至便である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は本発明の圧着名刺M1及びM2の平面図、(B)は(A)の圧着名刺M1におけるI-I線断面図、(C)は(A)の圧着名刺M2におけるI-I線断面図である。
図2】(A)は圧着名刺M1を製造する圧着名刺用紙S1の表面図、(B)は裏面図である。
図3】(A)は疑似接着フィルムシートGが被覆された状態の圧着名刺用紙S1の平面図、(B)は裏面図である。
図4】(A)は圧着名刺M2を製造する圧着名刺用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
図5】(A)は疑似接着フィルムシートGが被覆された状態の圧着名刺用紙S2の平面図、(B)は裏面図である。
図6】(A)は3葉片を巻き折り状態に折り畳んだ圧着名刺M3の断面図、(B)は4葉片をDM折り状態に折り畳んだ圧着名刺M4の断面図、(C)は5葉片を混合折り状態に折り畳んだ圧着名刺M5の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面に沿って分かりやすく説明する。
[三つ折り(Z折り)圧着名刺M1]
図1(A)及び(B)は折り線を介して連接された3葉片が断面Z字状に折り畳まれた態様の圧着名刺M1を示す。このものは例えば図2(A)及び(B)に示す圧着名刺用紙S1から製造され、同図(A)に示すように、第一葉片1表面に会社名や本人の氏名、会社の住所や電話番号等の各種情報が記載されている。
【0021】
また図2(B)に示すように第一葉片1裏面には本社、工場、事業所或いは営業所等の各種情報が記載されている。そして第二葉片2及び第三葉片3裏面には会社案内や商品説明等の各種情報が記載されている。なお、第一葉片1は他の2葉片と折り線4に設けられている切取りミシンにより破断して分離することができる。
【0022】
既述の構成の圧着名刺用紙S1は長尺シート或いは枚葉シートに複数印刷され、図3に示すように疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが次々と被覆されると、折り畳まれた後に単体の圧着名刺用紙S1毎に切り出される。或いは切り出された後に折り畳まれて、対向する疑似接着予定面同士を例えば加圧或いは加熱・加圧処理を施すことにより剥離可能に接着される。
【0023】
なお、前記製造方法の順序としては、個別に切り出され折り畳まれた圧着名刺用紙S1を最終的に剥離可能に接着する以外に、例えば圧着名刺用紙S1が上下方向に複数丁印刷されたシートをそのまま折り畳み、加圧或いは加熱・加圧処理を施した後に個別に切り出しても構わない。この点に付いては後述する四つ折り(W折り)圧着名刺M2でも同様である。
【0024】
この圧着名刺M1の受取人は、差し出す本人の基本情報或いは所属する会社の商品説明等の各種情報を、そのまま或いは疑似接着予定面においては被覆されている疑似接着フィルムシートGを透して視認することができる。そして第一葉片1と第二葉片2を連接する折り線4に設けられた切取りミシンから、第一葉片1を切り離し名刺のストックブック等に保管することができる。この名刺には筆記の障害となる疑似接着手段が講じられていない通常の用紙のため、受取人は受け取った日時や場所或いは重要な会社情報等を抜粋して各種筆記用具で書き残すことができる。また表裏面に疑似接着手段が講じられていないので保管の障害になるカールの問題も起こり得ない。
【0025】
[四つ折り(W折り)圧着名刺M2]
図1(A)及び(C)は折り線を介して連接された4葉片が断面W字状に折り畳まれた態様の圧着名刺M2を示す。このものは例えば図4(A)及び(B)に示す圧着名刺用紙S2から製造され、同図(A)に示すように、第一葉片11表面に会社名や本人の氏名、会社の住所や電話番号等の各種情報が記載されている。
【0026】
また図4(B)に示すように第一葉片11裏面には本社、工場、事業所或いは営業所等の各種情報が記載されている。そして第二葉片12、第三葉片13及び第四葉片14表裏面には会社の商品説明等他の各種情報が記載されている。なお、第一葉片11は他の3葉片と折り線15に設けられている切取りミシンにより破断して分離することができる。
【0027】
既述の構成の圧着名刺用紙S2は長尺シート或いは枚葉シートに複数印刷され、図5に示すように表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが次々と被覆されると、折り畳まれた後に単体の圧着名刺用紙S2毎に切り出される。或いは切り出された後に折り畳まれて、対向する疑似接着予定面同士を例えば加圧或いは加熱・加圧処理を施すことにより剥離可能に接着される。
【0028】
この圧着名刺M2の受取人は、差し出す本人の基本情報或いは所属する会社の商品説明等の各種情報を、そのまま或いは疑似接着予定面においては被覆されている疑似接着フィルムシートGを透して視認することができる。そして第一葉片11と第二葉片12を連接する折り線15に設けられた切取りミシンから、第一葉片11を切り離し名刺のストックブック等に保管することができる。この名刺には筆記の障害となる疑似接着手段が講じられていない通常の用紙のため、受取人は受け取った日時や場所或いは重要な会社情報等を抜粋して各種筆記用具で書き残すことができる。また表裏面に疑似接着手段が講じられていないので保管の障害になるカールの問題も起こり得ない。
【0029】
[その他の態様の圧着名刺M3、M4及びM5]
図6(A)、(B)及び(C)は、前記圧着名刺M1及びM2と異なる態様の圧着名刺の断面図である。同図(A)は第一葉片21、第二葉片22及び第三葉片23が折り線24及び25で連接された圧着名刺用紙を、第三葉片23が第一葉片21と第二葉片22の対向面間に包み込まれるように巻き折りしたもので、第二葉片22と第三葉片23の対向する疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが介在している。
【0030】
図6(B)は第一葉片31、第二葉片32、第三葉片33及び第四葉片34が折り線35、36及び37で連接された圧着名刺用紙を、最初に折り線36から第一葉片31及び第二葉片32と第四葉片34及び第三葉片33が対向するように折り畳み、その後第三葉片33と第四葉片34が対向するように折り線35及び37から二つ折りしたものである。そして第二葉片32及び第三葉片33と第三葉片33及び第四葉片34の対向する疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが介在している。
【0031】
図6(C)は前記図6(B)の第一葉片31に新たに名刺本体となる第一葉片41が折り線46を介して連接された5葉片が折り畳まれた態様となっている。この実施例の場合第二葉片42及び第五葉片45、第五葉片45及び第四葉片44、そして第四葉片44及び第三葉片43の対向する疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが介在している。
【0032】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。
例えば、葉片数は3葉片以上であればよく折り畳み形態に格別な制限はない。蛇腹折りや巻き折り或いは観音開き折りの何れでも構わず、それらの各種折り形態が混合となって折り畳まれていても構わない。要は折り畳まれた後に再外側の1葉片がフリーな状態で接着されていなければ良いのである。
【符号の説明】
【0033】
M1、M2、M3、M4、M5 圧着名刺
S1、S2 圧着名刺用紙
G 疑似接着フィルムシート
1、2、3、11、12、13、14、21、22、23、31、32、33、34、41、42、43、44、45 葉片
4、5、15、16、17、24、25、35、36、37、46、47、48、49 折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6