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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】農業機械
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20220620BHJP
   A01B 39/19 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A01B69/00 B
A01B39/19
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021207809
(22)【出願日】2021-12-22
(62)【分割の表示】P 2021540945の分割
【原出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022033208
(43)【公開日】2022-02-28
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2019151600
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516184218
【氏名又は名称】ドローン・ジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517144145
【氏名又は名称】株式会社DRONE iPLAB
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】海津 裕
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220654(JP,A)
【文献】特開2016-152775(JP,A)
【文献】特開2015-053894(JP,A)
【文献】特開2002-084813(JP,A)
【文献】特開2002-034305(JP,A)
【文献】中国実用新案第206948827(CN,U)
【文献】特開2011-120573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01B 39/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラからの制御信号に応答して動作する農業機械であって、
前記農業機械は、
前記制御信号に応答して動作する動力源と、
前記動力源の動作に応答して、前記農業機械の機体を移動させる機体移動部と、
除草のための爪と、
前記機体の後方に接続され、少なくとも浮力により前記機体の転倒を防止する転倒防止部と、を備え、
前記転倒防止部は、前記機体の後方のみに接続され、かつ、いずれの爪の位置よりも後方にて接続され、内部が中空の構造または内部に空気を含む素材であって浮力により前記機体の転倒を防止し、上下方向に移動制御されない、
ことを特徴とする農業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラの制御信号により動作する農業機械に関し、転倒防止部を有する農業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、農業においては、トラクタやコンバインなどの作業者が乗車可能な大型のものから、除草機や結束機などの作業者が持ち手で操作する小型のものまで、様々な用途、大きさの農業機械が使用されている。特許文献1には、持ち手による操作する結束機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-318169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記例示した農業機械は、いずれもハンドルや持ち手で作業者に操作されるものである。ここで、手動(例えばプロポーショナル等)または自動でコントローラを利用して農業機械を操作するような構成も考え得るが、特に停止状態から動作状態に移行する際に、機体上部で慣性力が働くため、重心によっては進行方向とは反対側(後方)に転倒することがあり得る。他方、農業機械が、例えば中耕機または中耕除草機である場合には、土や泥により進行を妨げられ、慣性等により進行方向(前方)に転倒することもあり得る。
【0005】
また、例えば中耕機または中耕除草機のような農業機械には、機体に爪車と呼ばれる構成が備えられている。これは、例えば動力源により回転するローラ状の車に櫛歯状に複数の爪が突設されたものであり、土や泥を耕したり、除草したりする構成である。従来、この爪車が機体の前後に設けられることもあったが、この場合、両爪車の形状や回転数は一般的に同じであり、中耕機能や除草機能が不十分であった。
【0006】
そこで、本発明は、コントローラの制御信号により動作する農業機械においても前方または後方へ転倒し難い農業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、コントローラからの制御信号に応答して動作する農業機械であって、 前記農業機械は、前記制御信号に応答して動作する動力源と、前記動力源の動作に応答して、前記農業機械の機体を移動させる機体移動部と、前記機体の前方または後方に接続され、少なくとも浮力により前記機体の転倒を防止する転倒防止部と、を備える農業機械が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コントローラの制御信号により動作する農業機械においても進行方向前方または後方へ転倒し難い農業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1にかかる農業機械の側面図である。
図2】本発明の実施形態1にかかる農業機械の前面図である。
図3】本発明の実施形態1にかかる農業機械の背面図である。
図4】本発明の実施形態1にかかる農業機械の上面図である。
図5図1の制御部のハードウェア構成のブロック図の一例である。
図6】本発明の実施形態2にかかる農業機械の背面図である。
図7】本発明の実施形態3にかかる農業機械の側面図である。
図8】本発明の実施形態3にかかる農業機械の転倒防止部の背面側から見た断面図である。
図9】本発明の実施形態3にかかる農業機械の転倒防止部の側面側から見た断面図である。
図10】本発明の実施形態4にかかる農業機械の側面図である。
図11】本発明の実施形態4にかかる農業機械の転倒防止部の背面側から見た断面図である。
図12】本発明の実施形態4にかかる農業機械の転倒防止部の側面側から見た断面図である。
図13】本発明の実施形態5にかかる農業機械の上面図である。
図14】本発明の実施形態6にかかる農業機械の機体移動部の側面図である。
図15】本発明の実施形態6にかかる農業機械後方の機体移動部の変形例を示す背面図である。
図16】本発明の実施形態7にかかる農業機械の爪車の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による農業機械は、以下のような構成を備える。
[項目1]
コントローラからの制御信号に応答して動作する農業機械であって、
前記農業機械は、
前記制御信号に応答して動作する動力源と、
前記動力源の動作に応答して、前記農業機械の機体を移動させる機体移動部と、
前記機体の前方または後方に接続され、少なくとも浮力により前記機体の転倒を防止する転倒防止部と、
を備える、ことを特徴とする農業機械。
[項目2]
前記転倒防止部は、内部に空気を含む素材である、
ことを特徴とする項目1に記載の農業機械。
[項目3]
前記転倒防止部は、内部が中空の構造である、
ことを特徴とする項目1または2に記載の農業機械。
[項目4]
前記転倒防止部は、筒状である、
ことを特徴とする項目1乃至3に記載の農業機械。
[項目5]
前記転倒防止部は、球状または長球状である、
ことを特徴とする項目1乃至3に記載の農業機械。
[項目6]
前記転倒防止部は、底面が平坦である、
ことを特徴とする項目1乃至3に記載の農業機械。
[項目7]
前記転倒防止部は、横断面が底面側に突出して湾曲している、
ことを特徴とする項目1乃至3に記載の農業機械。
[項目8]
前記転倒防止部は、上向きに開口している、
ことを特徴とする項目1乃至3、6、7に記載の農業機械。
[項目9]
前記転倒防止部は、前記機体の前方に設けられる前方転倒防止部と、前記機体の後方に設けられる後方転倒防止部と、をさらに有する、
ことを特徴とする項目1乃至8に記載の農業機械。
[項目10]
前記前方転倒防止部及び前記転倒防止部は、少なくとも形状、大きさ、材質、浮力のいずれか1つが互いに異なる、
ことを特徴とする項目9に記載の農業機械。
[項目11]
進行方向からの流体抵抗を低減させる形状を有する流体抵抗低減部をさらに有する、
ことを特徴とする項目1乃至10に記載の農業機械。
[項目12]
前記機体の姿勢を検知するセンサをさらに備え、
前記動力源は、前記センサからのデータに基づき動作が制御される、
ことを特徴とする項目1乃至11に記載の農業機械。
[項目13]
前記動力源は、前記機体の左右に設けられ、それぞれ前記機体移動部に接続され、互いに異なる回転方向へ制御が可能である、
ことを特徴とする項目1乃至12に記載の農業機械。
[項目14]
前記機体移動部は、複数の爪を有する爪車であって、
前記爪車は、前記機体の前後にそれぞれ設けられ、
前記前方に設けられた爪車の爪の数が、前記後方に設けられた爪車の爪の数よりも多い、
ことを特徴とする項目1乃至13に記載の農業機械。
[項目15]
前記機体移動部は、複数の爪を有する爪車であって、
前記爪車は、前記機体の前後にそれぞれ設けられ、
前記前方に設けられた爪車の回転数が、前記後方に設けられた爪車の回転数よりも大きい、
ことを特徴とする項目1乃至14に記載の農業機械。
[項目16]
前記機体移動部は、複数の可動爪を有する爪車であって、
前記農業機械が前記機体の前方に進行する際には、前記爪車の接線に対して前記可動爪が第1の突設角度で設けられ、
前記農業機械が前記機体の後方に進行する際には、前記爪車の接線に対して前記可動爪が第2の突設角度で設けられ、
第2の突設角度が第1の突設角度よりも大きく、かつ、第2の突設角度が鈍角である、
ことを特徴とする項目1乃至15に記載の農業機械。
【0011】
<実施形態1の詳細>
以下、本発明の実施形態1にかかる農業機械について、特に水田用中耕除草機を具体例にして、図面を参照しながら説明する。なお、添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0012】
図1-4に示される構成を一例として、本実施の形態による農業機械100について説明する。ここで、便宜的に、農業機械100の前後方向(長さ方向)をx軸方向、横方向(幅方向)をy軸方向、上下方向(高さ方向)をz軸方向として説明する。図示されるように、農業機械100は、制御部110と枠部120、動力源130、機体移動部140(以下、具体例として爪車140という。)、爪150、転倒防止部160、流体抵抗低減部170を有している。なお、農業機械100全体を総称して、機体と呼称することがある。
【0013】
制御部110は、作業者が操作するコントローラ(不図示)からの制御信号を受信し、動力源130(例えば電気を燃料とするモータ、ガソリン等を燃料とするエンジン、または、モータとエンジンを協働させるハイブリッド型など)を動作させ、機体の前方または後方に機体を進行させることが可能である。
【0014】
ここで、図5では制御部110のハードウェア構成について例示する。制御部110は、制御部110または動力源130に電気や燃料などから発生するエネルギーを供給するエネルギー供給源220に接続されている。なお、エネルギー供給源220は、制御部110内部に備えられていてもよいし、外部から制御部110に接続されて備えられていてもよい。また、エネルギー供給源220は、エネルギーを蓄積する手段(例えばバッテリー)を備えていてもよい。
【0015】
また、制御部110は、少なくとも動力源制御部210を備える。そして、動力源制御部210は、送受信部211、処理部212、記憶部213、センサ類214を備える。
【0016】
制御部110は、1つ以上の外部のコントローラ(例えば、送受信機(プロポ)49、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを受け取るおよび/またはデータを送信するように構成された送受信部211を備える。送受信部211は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができるが、有線通信の場合、通信ケーブルを考慮して作業ルート等を検討する必要があるため、作業の利便性を考慮すると無線通信がより好ましい。
【0017】
処理部212は、送受信部211から受信したデータや、後述する記憶部213に記憶されたデータやセンサ類214からのデータを基にデータ処理を実施し、例えば動力源130に接続された制御線230を介して動力源130を制御するための制御信号を送信する。
【0018】
記憶部213は、1つ以上のステップを行うために制御部110が実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。また、記憶部213は、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。センサ類214から取得したデータは、記憶部213に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。
【0019】
センサ類214は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。特に、転倒防止の観点から慣性センサを少なくとも備えることが好ましく、例えば慣性センサのデータを用いて、処理部212により動力源130の動作を調節し(例えば、動力源130の負荷が大きくなった場合には、動力源130の駆動力を弱めるなど)、慣性などによる転倒を防止する。
【0020】
ここで、図1-4に戻り、農業機械100について説明する。枠部120は、制御部110や動力源130、爪車140、転倒防止部160、流体抵抗低減部170を支持している。なお、枠部120は、図1に図示されない構成をさらに支持するように構成されていてもよい。
【0021】
動力源130は、爪車140を動作させるものであり、その具体的な構成については、上述のとおり、例えば電気を燃料とするモータ、ガソリン等を燃料とするエンジン、または、モータとエンジンを協働させるハイブリッド型などの様々な形態であってよい。
【0022】
また、左右の動力源130は、左右の爪車140を互いに異なる回転方向へ制御可能である。従来、左右の爪車は同じ回転方向にしか動作しなかったため、持ち手により進行方向を変更していたが、このような構成とすることにより、農業機械100の進行方向を変えたり、その場で回転したりすることが容易となる。
【0023】
爪車140は、例えば動力源130により回転するローラ状の車に、櫛歯状に複数の爪150が突設されたものであり、爪150は機体後方へ屈曲した形状である。爪車140は、例えばチェーン及び歯車(不図示)で動力源130と接続され、動力源130の動作に応答して回動し、機体を前方または後方に移動させる。なお、爪車140及び爪150の形状は、中耕機能または除草機能を有する形状であれば、これに限らない。
【0024】
転倒防止部160は、本発明の実施形態1にかかる農業機械100において、中心部が空洞(中空)である円筒状の形状である。そして、転倒防止部160が空気を多く含んでいて浮力を生じやすい素材(例えば、発泡素材など)により構成されている。これにより、例えば水田に張られた水に対して浮力が生じ、農業機械100が機体後方に転倒しそうな場合に機体を転倒しないように支持することが可能である。また、転倒防止部160自体の内部を中空としてもよく、この場合にも上記同様の効果を奏する。
【0025】
流体抵抗低減部170は、水等の流体抵抗を低減して農業機械100を進行しやすくする形状であればよく、例えば船底のような略V字形状または湾曲形状であってもよい。
【0026】
以上の構成、特に転倒防止部160によれば、例えば慣性等により機体の後方に転倒することを防止することができる。
【0027】
<実施形態2の詳細>
以下、本発明の実施形態2にかかる農業機械について、図6を参照しながら説明する。
【0028】
本発明の実施形態2にかかる農業機械100では、図6に示されるように、転倒防止部161は、球体の形状である。そして、転倒防止部161が空気を多く含んでいて浮力を生じやすい素材により構成されていてもよく、この構成は、実施形態1と同様の効果を奏する。また、転倒防止部161自体の内部が中空であってもよく、この構成も、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0029】
なお、転倒防止部161は、図6に示されるような球体に限らず、例えばy軸方向に延びる長球状であってもよいし、球体であればどのような形状であってもよい。
【0030】
<実施形態3の詳細>
以下、本発明の実施形態3にかかる農業機械について、図7を参照しながら説明する。
【0031】
本発明の実施形態3にかかる農業機械100では、図7に示されるように、転倒防止部162は、底面が広く平坦な部材(例えば板状)である。この形状により、浮力だけではなく、表面張力も大きくなるため、より高い転倒防止効果が得られる。また、転倒防止部162が空気を多く含んでいて浮力を生じやすい素材により構成されていてもよく、この構成は、実施形態1と同様の効果を奏する。また、転倒防止部162自体の内部が中空であってもよく、この構成も、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0032】
さらに、転倒防止部162は、立方体であってもよいが、例えば図8図9に示されるように、長さ方向の軸(x軸)に対して垂直な面の断面(いわゆる、横断面)の形状や幅方向の軸(y軸)に対して垂直な面の断面の形状が、上部に対して開口している形状であってもよく、この構成により、より高い転倒防止効果が得られる。
【0033】
<実施形態4の詳細>
以下、本発明の実施形態4にかかる農業機械について、図10を参照しながら説明する。
【0034】
本発明の実施形態4にかかる農業機械100では、図10に示されるように、転倒防止部163は、外形が流体抵抗低減部170と同一または類似の形状(例えば船底のような略V字形状または湾曲形状)である。この形状により、浮力だけではなく、機体後方に進む際にも流体抵抗を低減することもできる。また、転倒防止部163が空気を多く含んでいて浮力を生じやすい素材により構成されていてもよく、この構成は、実施形態1と同様の効果を奏する。また、転倒防止部163自体の内部が中空であってもよく、この構成も、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0035】
さらに、転倒防止部163は、上面部が平坦な形状であってもよいが、例えば図11図12に示されるように、長さ方向の軸(x軸)に対して垂直な面の断面の形状や幅方向の軸(y軸)に対して垂直な面の断面の形状が、上部に対して開口している形状であってもよく、この構成により、より高い転倒防止効果が得られる。
【0036】
なお、転倒防止部163は、少なくとも流体抵抗を低減する効果がある形状であればよいため、上面部が平坦な形状であってもよいが、例えば図11図12に示されるように、長さ方向の軸(x軸)に対して垂直な面の断面の形状や幅方向の軸(y軸)に対して垂直な面の断面の形状が、上部に対して開口している形状であってもよく、この構成により、より高い転倒防止効果が得られる。
【0037】
<実施形態5の詳細>
以下、本発明の実施形態5にかかる農業機械について、図13を参照しながら説明する。
【0038】
本発明の実施形態5にかかる農業機械100では、機体前方に設けられた前方転倒防止部164及び機体後方に設けられた後方転倒防止部165を備えている。これにより、機体が前方及び後方の両方向に進行する場合に、前方及び後方の両方向に対しても転倒防止効果が得られる。より具体的な例示としては、図13に示されるように、実施形態1のような円柱状の後方転倒防止部165を備えるとともに、流体抵抗低減部170の一部に、同様に円柱状の前方転倒防止部164を備える。なお、前方転倒防止部164及び後方転倒防止部165の形態は、実施形態1-4に記載の形状を適宜選択して組み合わせてもよいし、流体抵抗低減部170を取り付けない構成としてもよい。また、主な進行方向や、機体の重心等により、転倒しやすい方向が決まっている場合には、前方転倒防止部164と後方転倒防止部165とが、少なくとも形状、大きさ、素材、浮力のいずれか1つを互いに異なっていてもよい。
【0039】
なお、実施形態1-5においては、コントローラによる動作制御について例示したが、持ち手での操作においても同様の課題(例えば、土や泥に進行を妨げられて、進行方向に転倒するなど)が生じる場合には、これについても適用可能である。
【0040】
また、実施形態1-5においては、水田用中耕除草機を例示したが、これに限らず、田畑用の中耕機であってもよく、その場合は浮力ではなく、物理的に転倒が抑えられればそれでよい。
【0041】
<実施形態6の詳細>
以下、本発明の実施形態6にかかる農業機械について、図14および/または図15を参照しながら説明する。
【0042】
本発明の実施形態6にかかる農業機械100では、図14に示されるように、前方爪車141の櫛歯状の爪151の数は、後方爪車142の櫛歯状の爪152の数より多い。これにより、爪車による除草効果が高まる。特に、図14の後方爪車142の構成に代えて、図15に例示されるように、後方の機体移動部が、例えば動力源130により回転するローラ状の車に、板状の複数の羽根153が突設された羽根車143であり、羽根153が機体後方へ屈曲した形状である場合、実質的な除草効果を奏するのは前方爪車141であるため、より高い除草効果が得られることとなる。なお、図14においては、説明を容易にするために、櫛歯状の爪151の数を、櫛歯状の爪152の2倍としたが、これに限らない。また、図15においては、説明を容易にするために、転倒防止部を図示していないが、本発明の実施形態6においては、転倒防止部の有無は何れの形態であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態に代えて、例えば動力源を前方爪車141と後方爪車142とで個別に複数設けたり、チェーンに接続される歯車のギア比を前後の爪車で変えたりするなどして、前方爪車141の回転数を、後方爪車142の回転数よりも多くするなどして、同様の効果を得てもよい。
【0044】
<実施形態7の詳細>
以下、本発明の実施形態7にかかる農業機械について、図16を参照しながら説明する。
【0045】
本発明の実施形態7にかかる農業機械100では、図16に示されるように、複数の可動爪154を有する爪車144を備える。具体的な動作例としては、機体前方に進んでいる際には、図16(a)に示されるように、固定部180を回転中心として、可動部181が長穴182をスライドして、爪車144の接線と可動爪154とがなす機体の前方側の角度である第1の突設角度θが鈍角となる。一方、機体後方に進んでいる際には、図16(b)に示されるように、固定部180を回転中心として、可動部181が長穴182をスライドして、爪車144の接線と可動爪154とがなす機体の後方側の角度である第2の突設角度θ’が鈍角となる。このように、機体前方に進む際には、除草効果が大きい突設角度に可動爪を保ちつつ、機体後方に進む際には、爪及び爪車にかかる抵抗を減らすように突設角度が鈍角となるように可動爪の位置を変化させる。なお、農業機械が水田中耕除草機である場合や、爪の形状が機体後方へ屈曲した形状である場合に、上述の効果が特に得られるが、これに限るものではない。
【0046】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
100 農業機械
110 制御部
120 枠部
130 動力源
140 機体移動部(爪車)
150 爪
160 転倒防止部
170 流体抵抗低減部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16