(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】デッキプレート
(51)【国際特許分類】
E04B 5/40 20060101AFI20220620BHJP
E04B 2/86 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
E04B5/40 D
E04B2/86 601K
E04B2/86 601B
E04B2/86 611V
E04B2/86 611J
(21)【出願番号】P 2018003259
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390010098
【氏名又は名称】ケンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】矢口 滋
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072022(JP,A)
【文献】特開平04-161554(JP,A)
【文献】特開2015-160376(JP,A)
【文献】特開平06-192937(JP,A)
【文献】特開2002-173995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/40
E04B 2/86
D03D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート建造物の天井スラブまたは壁の構築に使用するデッキプレートにおいて、
前記デッキプレートが、前後方向へ延びる両側縁部および幅方向へ延びる両端縁部を有する所定面積の金属ベースと、前記金属ベースの上面に設置、固定され、該金属ベースの両端縁部の間に位置して前後方向へ延びる少なくとも1つの鉄筋トラスと、所定面積の壁紙またはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロスとから形成され、
前記金属ベースが、その両側縁部の間に所定間隔離間して形成されて前後方向へ延びるとともに該金属ベースの上面から上方へ凸となる複数の凸部と、その一方の側縁部に形成されて該一方の側縁部を該金属ベースの上面の側に向かって折り曲げることから作られた第1係合部と、その他方の側縁部に形成されて該他方の側縁部を該金属ベースの下面の側に向かって折り曲げることから作られた第2係合部とを有し、
前記壁紙または前記ガラスクロスが、前記金属ベースの下面全域に固着されて前記天井スラブの天井面または前記壁の壁面を形成する
とともに、前記凸部に入り込んだ状態で前記金属ベースの下面に固着され、前記一方の側縁部を前記金属ベースの上面の側に向かって折り曲げた前記第1係合部における該金属ベースの下面に固着され、前記他方の側縁部を前記金属ベースの下面の側に向かって折り曲げた前記第2係合部における該金属ベースの下面に固着されていることを特徴とするデッキプレート。
【請求項2】
前記鉄筋トラスが、前記金属ベースの上面から上方へ離間して前後方向へ延びる上端筋と、前記金属ベースの上面と前記上端筋との間に位置して前後方向へ延びる一対の下端筋と、前記金属ベースの上面と前記上端筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、前記ラチス筋の上端凸部が、前記上端筋に溶接固定され、前記ラチス筋の中間部が、前記下端筋に溶接固定され、前記ラチス筋の下端凹部が、前記凸部に溶接固定されている請求項1に記載のデッキプレート。
【請求項3】
鉄筋コンクリート建造物の天井スラブまたは壁の構築に使用するデッキプレートにおいて、
前記デッキプレートが、前後方向へ延びる両側縁部および幅方向へ延びる両端縁部を有する所定面積の金属ベースと、前記金属ベースの上面に設置、固定され、該金属ベースの両端縁部の間に位置して前後方向へ延びる少なくとも1つの鉄筋トラスと、前記金属ベースの下面全域に固着された所定面積および所定厚みのグラスウールと、所定面積の壁紙またはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロスとから形成され、
前記金属ベースが、その一方の側縁部に形成されて該一方の側縁部を該金属ベースの上面の側に向かって折り曲げることから作られた第1係合部と、その他方の側縁部に形成されて該他方の側縁部を該金属ベースの下面の側に向かって折り曲げることから作られた第2係合部とを有し、
前記壁紙また前記ガラスクロスが、前記グラスウールの下面全域に固着されて前記天井スラブの天井面または前記壁の壁面を形成する
とともに、前記一方の側縁部を前記金属ベースの上面の側に向かって折り曲げた前記第1係合部における該金属ベースの下面に固着され、前記他方の側縁部を前記金属ベースの下面の側に向かって折り曲げた前記第2係合部における該金属ベースの下面に固着されていることを特徴とするデッキプレート。
【請求項4】
前記金属ベースが、その両側縁部の間に所定間隔離間して形成されて前後方向へ延びるとともに該金属ベースの上面から上方へ凸となる複数の凸部を有し、前記鉄筋トラスが、前記金属ベースの上面から上方へ離間して前後方向へ延びる上端筋と、前記金属ベースの上面と前記上端筋との間に位置して前後方向へ延びる一対の下端筋と、前記金属ベースの上面と前記上端筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、前記ラチス筋の上端凸部が、前記上端筋に溶接固定され、前記ラチス筋の中間部が、前記下端筋に溶接固定され、前記ラチス筋の下端凹部が、前記凸部に溶接固定されている請求項3に記載のデッキプレート。
【請求項5】
前記ガラスクロスが、前記ガラス繊維を織り込んだ所定の幅寸法を有する縦織布と該ガラス繊維を織り込んだ所定の幅寸法を有する横織布とを織り込むことから作られ、所定の光反射率を有して前記天井スラブに設置された天井光源の光または前記壁に設置された壁光源の光を拡散する
請求項1ないし請求項4
いずれかに記載のデッキプレート。
【請求項6】
前記ガラスクロスが、所定厚みを有して吸音材としての機能を有するとともに断熱材としての機能を有する請求項1ないし請求項5いずれかに記載のデッキプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート建造物の天井スラブまたは壁の構築に使用するデッキプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
前後方向へ延びる両側縁部および幅方向へ延びる両端縁部を有する所定面積の鉄板と、鉄板の上面に設置されて前後方向へ延びる複数の鉄筋トラスと、鉄板の上面に位置して横方向へ延びていて前後方向へ所定寸法離間して並ぶ複数の横筋とを備えたデッキプレートが開示されている(特許文献1参照)。鉄板は、その上面から上方へ凸となって前後方向へ延びる複数の凸条を有する。鉄筋トラスは、横方向へ並ぶ一対の凸条の間であって鉄板の上面から上方に位置して前後方向へ延びる上端筋と、一対の凸条の間であって鉄板と上端筋との間に位置して前後方向へ延びる一対の下端筋と、一対の凸条の間であって鉄板と上端筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対のラチス筋とから形成されている。
【0003】
それらラチス筋は、上端筋に当接して凸状に曲折する上端凸部と、金属ベースの上面に当接して凹状に曲折する下端凹部とを有し、上端凸部から下端凹部に向かって横方向外方へ末広がりになっている。デッキプレートでは、それらラチス筋の上端凸部が上端筋にスポット溶接され、それらラチス筋の中間部が下端筋にスポット溶接され、それら横筋がそれらラチス筋の下端凹部に配置されて鉄板に作られた凸条にスポット溶接され、それらラチス筋の下端凹部が鉄板の上面とそれら横筋とに挟まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示のデッキプレートを利用して鉄筋コンクリート建造物の天井スラブを構築する場合、デッキプレートに複数の吊りボルトを設置し、その吊りボルトに化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付けなければならず、天井仕上げ工事が別途必要になり、そのための手間やコストがかかる。なお、吊りボルトを利用して天井仕上げ材を取り付けた吊り天井構造では、地震等による揺れが発生したときに天井仕上げ材が落下する天井落下事故が発生する場合がある。また、このデッキプレートを利用して鉄筋コンクリート建造物の壁を構築する場合、各種の壁材をデッキプレートの鉄板に取り付けなければならず、壁仕上げ工事が別途必要になり、そのための手間やコストがかかる。さらに、このデッキプレートは、それが鉄板と鉄筋トラスとから形成され、吸音機能や断熱機能が付与されることはないから、デッキプレートを使用して構築された天井スラブや壁に吸音効果や断熱効果を発揮させることができない。
【0006】
本発明の目的は、吊りボルトに化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付けることなく天井スラブを構築することができるとともに、壁材を取り付けることなく壁を構築することができ、天井仕上げ工事や壁仕上げ工事を省くことができるデッキプレートを提供することにある。本発明の他の目的は、地震等による揺れが発生したとしても、落下の危険がなく、天井落下事故の発生を防ぐことが可能な天井スラブを構築することができるデッキプレートを提供することにある。本発明の他の目的は、吸音機能および断熱機能を備え、吸音効果および断熱効果を発揮する天井スラブた壁を構築することができるデッキプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、鉄筋コンクリート建造物の天井スラブまたは壁の構築に使用するデッキプレートである。
【0008】
前記前提における本発明の第1の特徴は、デッキプレートが、前後方向へ延びる両側縁部および幅方向へ延びる両端縁部を有する所定面積の金属ベースと、金属ベースの上面に設置、固定され、金属ベースの両端縁部の間に位置して前後方向へ延びる少なくとも1つの鉄筋トラスと、所定面積の壁紙またはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロスとから形成され、金属ベースが、その両側縁部の間に所定間隔離間して形成されて前後方向へ延びるとともに金属ベースの上面から上方へ凸となる複数の凸部と、その一方の側縁部に形成されて一方の側縁部を金属ベースの上面の側に向かって折り曲げることから作られた第1係合部と、その他方の側縁部に形成されて他方の側縁部を金属ベースの下面の側に向かって折り曲げることから作られた第2係合部とを有し、壁紙またはガラスクロスが、金属ベースの下面全域に固着されて天井スラブの天井面または壁の壁面を形成するとともに、凸部に入り込んだ状態で金属ベースの下面に固着され、一方の側縁部を金属ベースの上面の側に向かって折り曲げた第1係合部における金属ベースの下面に固着され、他方の側縁部を金属ベースの下面の側に向かって折り曲げた第2係合部における金属ベースの下面に固着されていることにある。
【0009】
前記第1の特徴を有する本発明の一例としては、鉄筋トラスが、金属ベースの上面から上方へ離間して前後方向へ延びる上端筋と、金属ベースの上面と上端筋との間に位置して前後方向へ延びる一対の下端筋と、金属ベースの上面と上端筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、ラチス筋の上端凸部が、上端筋に溶接固定され、ラチス筋の中間部が、下端筋に溶接固定され、ラチス筋の下端凹部が、凸部に溶接固定されている。
【0010】
前記前提における本発明の第2の特徴は、デッキプレートが、前後方向へ延びる両側縁部および幅方向へ延びる両端縁部を有する所定面積の金属ベースと、金属ベースの上面に設置、固定され、金属ベースの両端縁部の間に位置して前後方向へ延びる少なくとも1つの鉄筋トラスと、金属ベースの下面全域に固着された所定面積および所定厚みのグラスウールと、所定面積の壁紙またはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロスとから形成され、金属ベースが、その一方の側縁部に形成されて一方の側縁部を金属ベースの上面の側に向かって折り曲げることから作られた第1係合部と、その他方の側縁部に形成されて他方の側縁部を金属ベースの下面の側に向かって折り曲げることから作られた第2係合部とを有し、壁紙またガラスクロスが、グラスウールの下面全域に固着されて天井スラブの天井面または前記壁の壁面を形成するとともに、一方の側縁部を金属ベースの上面の側に向かって折り曲げた第1係合部における該金属ベースの下面に固着され、他方の側縁部を金属ベースの下面の側に向かって折り曲げた第2係合部における金属ベースの下面に固着されていることにある。
【0011】
前記第2の特徴を有する本発明の一例としては、金属ベースが、その両側縁部の間に所定間隔離間して形成されて前後方向へ延びるとともに金属ベースの上面から上方へ凸となる複数の凸部を有し、鉄筋トラスが、金属ベースの上面から上方へ離間して前後方向へ延びる上端筋と、金属ベースの上面と上端筋との間に位置して前後方向へ延びる一対の下端筋と、金属ベースの上面と上端筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、ラチス筋の上端凸部が、上端筋に溶接固定され、ラチス筋の中間部が、下端筋に溶接固定され、ラチス筋の下端凹部が、凸部に溶接固定されている。
【0012】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の一例としては、ガラスクロスが、ガラス繊維を織り込んだ所定の幅寸法を有する縦織布とガラス繊維を織り込んだ所定の幅寸法を有する横織布とを織り込むことから作られ、所定の光反射率を有して天井スラブに設置された天井光源の光または壁に設置された壁光源の光を拡散する。
【0013】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、ガラスクロスが、所定厚みを有して吸音材としての機能を有するとともに断熱材としての機能を有する。
【発明の効果】
【0014】
第1の特徴を有する本発明のデッキプレートによれば、所定面積の壁紙またはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロスが金属ベースの下面全域に固着され、壁紙またはガラスクロスが天井スラブの天井面または壁の壁面を形成することで、壁紙やガラスクロスが鉄筋コンクリート建造物の天井スラブの天井面や壁の壁面に露出するから、その壁紙やそのガラスクロスを天井仕上げ材や壁仕上げ材として利用することができる。デッキプレートは、吊りボルトに化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材や壁地上げ材を取り付けることなく天井スラブや壁を構築することができ、天井仕上げ材や壁仕上げ材を別途設置するための天井仕上げ工事や壁仕上げ工事を省くことができるとともに、天井仕上げ工事や壁仕上げ工事のための手間やコストを省くことができる。デッキプレートは、吊りボルトによって化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付ける必要はないから、吊りボルトを利用して天井仕上げ材を取り付けた吊り天井構造と比較し、地震等による揺れが発生したとしても、落下の危険がなく、天井落下事故の発生を防ぐことが可能な天井スラブを構築することができる。デッキプレートは、各種複数の壁紙や各種複数のガラスクロスから希望のそれを選択することで、希望の壁紙やガラスクロスが露出する気に入った天井面や壁面を作ることができる。
【0015】
金属ベースがその両側縁部の間に所定間隔離間して形成されて前後方向へ延びるとともに金属ベースの上面から上方へ凸となる複数の凸部を有し、鉄筋トラスが前後方向へ延びる上端筋と前後方向へ延びる一対の下端筋と上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、ラチス筋の上端凸部が上端筋に溶接固定され、ラチス筋の中間部が下端筋に溶接固定され、ラチス筋の下端凹部が凸部に溶接固定され、壁紙またはガラスクロスが凸部に入り込んだ状態で金属ベースの下面に固着されているデッキプレートは、ラチス筋の下端凹部を金属ベースの凸部に溶接すると、溶接時の熱の作用で、凸部周辺に溶接跡が発生するが、壁紙またはガラスクロスが凸部に入り込んだ状態で金属ベースの下面に固着されることで、壁紙やガラスクロスによって溶接跡が覆い隠されるとともに壁紙やガラスクロスが天井スラブの天井面や壁の壁面に露出するから、選択された希望の壁紙やガラスクロスが露出する見端のよい天井スラブや壁を構築することができ、希望の壁紙やガラスクロスが露出する気に入った天井面や壁面を作ることができる。デッキプレートは、ラチス筋の下方凹部が金属ベースの凸部に溶接固定されることで、それらラチス筋を金属ベースに確実に固定することができ、鉄筋トラスと金属ベースとの固定が不用意に解除されることはなく、デッキプレートに打設されたコンクリートに曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それら力によってコンクリートが破損することはなく、デッキプレートとコンクリートとによって十分な強度を有する強固な天井スラブや壁を構築することができる。
【0016】
金属ベースがその両側縁部の間に所定間隔離間して形成されて前後方向へ延びるとともに金属ベースの上面から上方へ凸となる複数の凸部を有し、鉄筋トラスが前後方向へ延びる上端筋と前後方向へ延びる一対の下端筋と上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、ラチス筋の上端凸部が上端筋に溶接固定され、ラチス筋の中間部が下端筋に溶接固定され、ラチス筋の下端凹部が凸部に溶接固定され、壁紙またはガラスクロスが凸部を覆い隠すように金属ベースの下面に固着されているデッキプレートは、ラチス筋の下端凹部を金属ベースの凸部に溶接すると、溶接時の熱の作用で、凸部周辺に溶接跡が発生するが、壁紙またはガラスクロスが凸部を覆い隠すように金属ベースの下面に固着されることで、壁紙やガラスクロスによって溶接跡が覆い隠されるとともに壁紙やガラスクロスが天井スラブの天井面や壁の壁面に露出するから、選択された希望の壁紙やガラスクロスが露出する見端のよい天井スラブや壁を構築することができ、希望の壁紙やガラスクロスが露出する気に入った天井面や壁面を作ることができる。デッキプレートは、ラチス筋の下方凹部が金属ベースの凸部に溶接固定されることで、それらラチス筋を金属ベースに確実に固定することができ、鉄筋トラスと金属ベースとの固定が不用意に解除されることはなく、デッキプレートに打設されたコンクリートに曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それら力によってコンクリートが破損することはなく、デッキプレートとコンクリートとによって十分な強度を有する強固な天井スラブや壁を構築することができる。
【0017】
第2の特徴を有する本発明のデッキプレートによれば、所定面積および所定厚みのグラスウールが金属ベースの下面全域に固着され、所定面積の壁紙またはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロスがグラスウールの下面全域に固着され、壁紙またはガラスクロスが天井スラブの天井面や壁の壁面を形成することで、壁紙やガラスクロスが鉄筋コンクリート建造物の天井スラブの天井面や壁の壁面に露出するから、グラスウールと壁紙またはガラスクロスとを天井仕上げ材や壁仕上げ材として利用することができる。デッキプレートは、吊りボルトに化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材や壁地上げ材を取り付けることなく天井スラブや壁を構築することができ、天井仕上げ材や壁仕上げ材を別途設置するための天井仕上げ工事や壁仕上げ工事を省くことができるとともに、天井仕上げ工事や壁仕上げ工事のための手間やコストを省くことができる。デッキプレートは、吊りボルトによって化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付ける必要はないから、吊りボルトを利用して天井仕上げ材を取り付けた吊り天井構造と比較し、地震等による揺れが発生したとしても、落下の危険がなく、天井落下事故の発生を防ぐことが可能な天井スラブを構築することができる。デッキプレートは、各種複数の壁紙や各種複数のガラスクロスから希望のそれを選択することで、希望の壁紙やガラスクロスが露出する気に入った天井面や壁面を作ることができる。デッキプレートは、金属ベースの下面全域に固着された所定面積および所定厚みのグラスウールが吸音機能および断熱機能を有するから、デッキプレートに吸音機能および断熱機能を付与することができ、デッキプレートを利用して吸音効果および断熱効果を発揮する天井スラブを構築することができる。
【0018】
金属ベースがその両側縁部の間に所定間隔離間して形成されて前後方向へ延びるとともに金属ベースの上面から上方へ凸となる複数の凸部を有し、鉄筋トラスが前後方向へ延びる上端筋と前後方向へ延びる一対の下端筋と上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、ラチス筋の上端凸部が上端筋に溶接固定され、ラチス筋の中間部が下端筋に溶接固定され、ラチス筋の下端凹部が凸部に溶接固定されているデッキプレートは、ラチス筋の下端凹部を金属ベースの凸部に溶接すると、溶接時の熱の作用で、凸部周辺に溶接跡が発生するが、グラスウールが凸部を覆い隠すように金属ベースの下面に固着されることで、グラスウールによって溶接跡が覆い隠されるとともに壁紙またはガラスクロスが天井スラブの天井面や壁の壁面に露出するから、選択された希望の壁紙やガラスクロスが露出する見端のよい天井スラブや壁を構築することができ、希望の壁紙やガラスクロスが露出する気に入った天井面や壁面を作ることができる。デッキプレートは、ラチス筋の下方凹部が金属ベースの凸部に溶接固定されることで、それらラチス筋を金属ベースに確実に固定することができ、鉄筋トラスと金属ベースとの固定が不用意に解除されることはなく、デッキプレートに打設されたコンクリートに曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それら力によってコンクリートが破損することはなく、デッキプレートとコンクリートとによって十分な強度を有する強固な天井スラブや壁を構築することができる。
【0019】
金属ベースがその一方の側縁部に形成されて一方の側縁部を金属ベースの上面の側に向かって折り曲げることから作られた第1係合部とその他方の側縁部に形成されて他方の側縁部を金属ベースの下面の側に向かって折り曲げることから作られた第2係合部とを有し、壁紙またはガラスクロスが第1係合部と第2係合部とにおける金属ベースの下面に固着されているデッキプレートは、第1係合部と第2係合部とを係合させることで複数のデッキプレートを幅方向へ連結し、所定面積の天井スラブや所定面積の壁を構築するが、第1および第2係合部における金属ベースの下面に壁紙またはガラスクロスが固着されているから、天井スラブや壁において壁紙やガラスクロスが幅方向へ連続し、壁紙やガラスクロスが幅方向へ途切れることはなく、幅方向へ連続する壁紙やガラスクロスによって見端のよい天井スラブや壁を構築することができ、希望の壁紙やガラスクロスが露出する気に入った天井面や壁面を作ることができる。
【0020】
ガラスクロスがガラス繊維を織り込んだ所定の幅寸法を有する縦織布とガラス繊維を織り込んだ所定の幅寸法を有する横織布とを織り込むことから作られ、所定の光反射率を有して天井スラブに設置された天井光源の光または壁に設置された壁光源の光を拡散するデッキプレートは、デッキプレートを利用して構築された天井スラブに天井光源を設置し、または、デッキプレートを利用して構築された壁に壁光源を設置し、その天井光源やその壁光源から光が放射された場合、所定の光反射率を有するガラスクロスによって光が乱反射し、天井光源や壁光源からの光が拡散するから、天井面や壁面からの間接光で明るさ感を増加させることが可能な天井スラブや壁を構築することができる。
【0021】
ガラスクロスが所定厚みを有して吸音材としての機能を有するとともに断熱材としての機能を有するデッキプレートは、金属ベースの下面全域に固着された所定面積および所定厚みのガラスクロスが吸音機能および断熱機能を有するから、デッキプレートに吸音機能および断熱機能を付与することができ、デッキプレートを利用して吸音効果および断熱効果を発揮する天井スラブや壁を構築することができるとともに、鉄筋コンクリート建造物の遮音性や保温性を向上させることができる。デッキプレートは、金属ベースとガラスクロスとの間にグラスウールが介在する場合、金属ベースの下面全域に固着された所定面積および所定厚みのグラスウールとグラスウールの下面全域に固着された所定面積および所定厚みのガラスクロスとが吸音機能および断熱機能を有するから、デッキプレートに優れた吸音機能および優れた断熱機能を付与することができ、デッキプレートを利用して優れた吸音効果および断熱効果を発揮する天井スラブや壁を構築することができるとともに、鉄筋コンクリート建造物の遮音性や保温性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図8】コンクリートを打設した状態で示す
図1のデッキプレートの正面図。
【
図9】他の一例として示すデッキプレートの正面図。
【
図10】コンクリートを打設した状態で示す
図9のデッキプレートの正面図。
【
図11】他の一例として示すデッキプレートの正面図。
【
図12】コンクリートを打設した状態で示す
図11のデッキプレートの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一例として示すデッキプレート10Aの斜視図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るデッキプレートの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、
図2は、
図1のデッキプレートの下面図であり、
図3は、デッキプレート10Aの上面図である。
図4は、デッキプレート10Aの正面図であり、
図5は、デッキプレート10Aの側面図である。
図6は、一例として示すガラスクロス14の正面図であり、
図7は、他の一例として示すガラスクロス14の正面図である。
図8は、コンクリート37を打設した状態で示すデッキプレート10Aの正面図である。
図8では、天井スラブ11aの天井面33aに天井光源38aが設置され、壁11bの壁面33bに壁光源38bが設置されている。
図1では、前後方向を矢印A、幅方向を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示す。
【0024】
デッキプレート10A(デッキプレート10B,10Cを含む)は、鉄筋コンクリート建造物の天井スラブ11aまたは壁11bの構築に使用される。デッキプレート10Aは、所定面積を有する前後方向へ長い金属ベース12と、金属ベース12の上面16に設置された鉄筋トラス13と、金属ベース12の下面18に固着された壁紙14aまたはガラスクロス14bとから形成されている。
図1では、金属ベース12に2つの鉄筋トラス13が設置されているが、鉄筋トラス13の数に特に制限はなく、構築する天井スラブ11aや壁11bの大きさや必要な鉄筋の量等に応じて1つの鉄筋トラス13や3つ以上の鉄筋トラス13が金属ベース12に設置されていてもよい。
【0025】
金属ベース12には、鉄板が使用されているが、鉄板の他に、アルミニウム板やステンレス板、チタン板等を使用することもできる。金属ベース12は、前後方向へ延びる両側縁部15a,15bと、幅方向へ延びる両端縁部16a,16bと、略フラットな上面17および略フラットな下面18とを有する。金属ベース12の上下面17,18には、メッキ処理が施されている。なお、金属ベース12の面積に特に限定はなく、構築する天井スラブ11aや壁11bの大きさに応じてその面積を自由に決定することができる。
【0026】
金属ベース12の一方の側縁部15aには、第1係合部19が作られ、他方の側縁部15bには、第2係合部20が作られている。第1係合部19は、金属ベース12の一方の側縁部15aの一部を金属ベース12の上面17の側に向かって折り曲げることから作られている。第2係合部20は、金属ベース12の他方の側縁部15bの一部を金属ベース12の下面18の側に向かって折り曲げることから作られている。各金属ベース12は、一方の金属ベース12の第1係合部19と他方の金属ベース12の第2係合部20とを係合させる(引っ掛ける)ことで、各金属ベース12を幅方向へつなげ、複数のデッキプレート10Aを連結した状態で横方向へ並べることができる。
【0027】
金属ベース12には、その上面17から上方へ凸となる複数の凸部21(突条)が形成されている。それら凸部21は、金属ベース12の両側縁部15a,15bの間に位置して幅方向へ等間隔離間(所定間隔離間)して並び、一方の端縁部16aから他方の端縁部16bに向かって前後方向へ延びている。それら凸部21は、金属ベース12の一部分を幅方向内方へ折り曲げ、金属ベース12の一部分をその上面17から上方へ向かって山折りにすることで作られている。それら凸部21は、上下方向への高さ寸法が3~10mmであり、
図4に示すように正面形状が円弧に成形されている。
【0028】
それら鉄筋トラス13は、金属ベース12の両側縁部15a,15bの間に配置されて幅方向へ等間隔離間(所定間隔離間)して並び、一方の端縁部16aから他方の端縁部16bに向かって前後方向へ延びている。鉄筋トラス13は、1本の上端筋22と2本(一対)の下端筋23と2本(一対)の第1および第2ラチス筋24a,24bとから組み立てられている。
【0029】
それら上端筋22は、鉄を延伸した鉄棒から作られている。上端筋22には、その周面に複数の節(リブ)を有する異形鉄棒(異形鉄筋)が使用されている。上端筋22は、幅方向に隣接する凸部21の間に位置し、金属ベース12の上面17から上方へ離間して前後方向へ直状に延びている。各鉄筋トラス13において幅方向へ並ぶ上端筋22の前後方向の長さ寸法は略同一であり、それら上端筋22が並行して並んでいる。
【0030】
それら下端筋23は、鉄を延伸した鉄棒から作られている。下端筋23には、その周面に複数の節(リブ)を有する異形金属棒(異形鉄筋)が使用されている。下端筋23は、幅方向に隣接する凸部21の間に位置(凸部21から内側へ所定寸法離間して位置)するとともに、それらラチス筋24a,24bの外側に位置し、上端筋22の下方であって上端筋22の幅方向両側に位置している。下端筋23は、金属ベース12の上面17から上方へ所定寸法離間して前後方向へ直状に延びている。各鉄筋トラス13において幅方向へ並ぶ下端筋23の前後方向の長さ寸法は略同一であり、それら下端筋23が並行して並んでいる。
【0031】
第1および第2ラチス筋24a,24bは、鉄を延伸した鉄棒から作られている。それらラチス筋24a,24bは、幅方向に隣接する凸部21の間に位置(凸部21から内側へ所定寸法離間して位置)するとともに、金属ベース12の上面17と上端筋22との間に位置している。第1および第2ラチス筋24a,24bは、金属ベース12の上面17と上端筋22との間で上下方向へ波状に曲折(起伏)を繰り返しながら前後方向へ延びている。
【0032】
それらラチス筋24a,24bは、上端筋22の側に位置して上方へ向かって凸となるように弧を画く上端凸部25と、金属ベース12の上面17の側に位置する下端凹部27と、上端凸部25および下端凹部27の間において前後方向へ傾斜して延びる中間部26とを有する。それらラチス筋24a,24bは、
図4に示すように、金属ベース12の上面17に対して垂直ではなく、金属ベース12の上面17に対して所定角度で傾斜し、上端凸部25から下端凹部27に向かって幅方向外方へ末広がりになっている。それらラチス筋24a,24bの傾斜角度について特に制限はなく、その傾斜角度を自由に変えることができる。
【0033】
各ラチス筋24a,24bの上下方向へ波状に曲折を繰り返す角度は一定であり、単位長さ(たとえば1m)当たりのラチス筋24a,24bの曲折を繰り返す回数は同一である。ラチス筋24a,24bの上下方向へ波状に曲折を繰り返す角度は自由に変えることができ、その角度を調節(単位長さ当たりのラチス筋24a,24bの曲折を繰り返す回数を調節)することで、ラチス筋24a,24bの上端凸部
25どうしの縦方向の離間寸法を調節することができ、ラチス筋24a,24bの下端凹部27どうしの縦方向の離間寸法を調節することができる。
【0034】
第1および第2ラチス筋24a,24bは、上端筋22を挟んで幅方向へ対称型に配置されている。したがって、幅方向に並ぶそれらラチス筋24a,24bの上端凸部25どうしの位置が一致し、中間部26どうしの位置が一致しているとともに、下端凹部27どうしの位置が一致している。それらラチス筋24a,24bは、前後方向に隣接する上端凸部25どうしの離間寸法が等しく、上端凸部25が前後方向へ等間隔で並んでいるとともに、前後方向に隣接する下端凹部27どうしの離間寸法が等しく、下端凹部27が前後方向へ等間隔で並んでいる。
【0035】
第1および第2ラチス筋24a,24bの上端凸部25は、上端筋22の幅方向両側(周面)に当接した状態で、上端凸部25のうちの上端筋22と交差する部分(交差箇所)が上端筋22にスポット溶接によって溶着(固定)されている。それらラチス筋24a,24bの中間部26は、それら下端筋23の内側に位置し、中間部26のうちの下端筋23と交差する部分(交差箇所)が下端筋23にスポット溶接によって溶着(固定)されている。
【0036】
第1および第2ラチス筋24a,24bの下端凹部27は、金属ベース12の上面17と並行するように幅方向外方へ折り曲げられ、幅方向外方へ向かって凸となるように弧を画いている。下端凹部27には、幅方向外方へ延びる屈曲部分28が形成されている。下端凹部27の曲折部分28は、金属ベース12の凸部21の上に位置し、その一部が凸部21から幅方向外方へ突出しつつ、凸部21と二点(二箇所)で交差している。曲折部分28のうちの凸部21と交差する部分が凸部21にスポット溶接によって溶着(固定)されている。
【0037】
それら鉄筋トラス13では、それらラチス筋24a,24bの下端凹部27が幅方向外方へ折り曲げられておらず、下端凹部27に屈曲部分28が作られていなくてもよい。この場合、ラチス筋24a,24bの下端凹部27が金属ベース12の凸部21の1箇所に交差当接し、凸部21の1箇所に交差する下端凹部27の交差箇所が凸部21にスポット溶接によって溶着(固定)される。
【0038】
上端筋22や下端筋23、ラチス筋24a,24bは、それらの太さについて特に制限はなく、構築する天井スラブ11の大きさや天井スラブ11に必要な鉄筋量等に合わせて上端筋22や下端筋23、ラチス筋24a,24bの太さを自由に変えることができる。上端筋22や下端筋23、ラチス筋24a,24bは鉄から作られているが、鉄以外の金属から作ることもできる。また、上端筋22や下端筋23、ラチス筋24a,24bが鉄から作られている場合は、それらにメッキ等の防錆処理が施されていてもよい。
【0039】
上端筋22とラチス筋24a,24bの上端凸部25とのスポット溶接や下端筋23とラチス筋24a,24bの中間部26とのスポット溶接では、図示はしていないが、電極と移動機構とを備えた自動溶接機が使用される。自動溶接機によるスポット溶接の一例は、上端筋22およびラチス筋24a,24bの上端凸部25を各電極で押圧し、下端筋23およびラチス筋24a,24bの中間部26を各電極で押圧しつつ、それら電極で上端筋22と上端凸部25とを挟み込むとともに、それら電極で下端筋23と中間部26とを挟み込み、それら電極に所定の電流を流す(所定の電圧を印可する)。
【0040】
それら電極から流れた電流は、上端筋22とラチス筋24a,24bの上端凸部25とに流れ、上端筋22および上端凸部25を加熱溶融するとともに、下端筋23とラチス筋24a,24bの中間部26とに流れ、下端筋23および中間部26を加熱溶融する。次に、それら電極が上端筋22および上端凸部25や下端筋23および中間部26から離間し、上端筋22および上端凸部25や下端筋23および中間部26が自然冷却され、上端筋22と上端凸部25とが溶着するとともに、下端筋23と中間部26とが溶着する。上端筋22と上端凸部25とをスポット溶接し、下端筋23と中間部23とをスポット溶接することで、鉄筋トラス13が作られる。
【0041】
それらラチス筋24a,24bの下端凹部27の屈曲部分28と金属ベース12の凸部21との自動溶接機によるスポット溶接では、屈曲部分28および凸部21を各電極で押圧しつつ、それら電極で屈曲部分28と凸部21とを挟み込み、それら電極に所定の電流を流す(所定の電圧を印可する)。それら電極から流れた電流は、屈曲部分28と凸部21とに流れ、屈曲部分28および凸部21を加熱溶融する。次に、それら電極が屈曲部分28および凸部21から離間し、屈曲部分28および凸部21が自然冷却され、屈曲部分28と凸部21とが溶着し、鉄筋トラス13が金属ベース12に固定される。
【0042】
壁紙14aには、既存のあらゆる壁紙14aを使用することができる。壁紙14aは、その厚み寸法は、0.3~3mmの範囲にある。ガラスクロス14bは、所定面積および所定厚みを有して吸音材としての機能を有するとともに断熱材としての機能を有する。ガラスクロス14bの厚み寸法は、0.3~4mmの範囲にある。ガラスクロス14bは、
図6に示すように、ガラス繊維(無色または有色)を織り込んだ所定の幅寸法を有する縦織布29とガラス繊維を織り込んだ所定の幅寸法を有する横織布30とを織り込む(製織)(平織り、綾織り、朱子織り、破れ斜紋織)ことから作られている。ガラスクロス14bは、光透過率が低く、高い光反射率を有する。なお、
図7に示すように、ガラスクロス14bが複数本のガラス繊維を束ねた縦ガラス繊維と複数本のガラス繊維を束ねた横ガラス繊維とを織り込む(製織)(平織り、綾織り、朱子織り、破れ斜紋織)ことから作られていてもよい。
【0043】
壁紙14aまたはガラスクロス14bは、金属ベース12の下面18に対向する対向面31に接着剤(図示せず)が塗布され、金属ベース12の凸部21に入り込んだ状態で金属ベース12の下面18全域(第1係合部19と第2係合部20とにおける金属ベース12の下面18および凸部21における金属ベース12の下面18を含む)に接着剤によって固着されている。なお、壁紙14aやガラスクロス14bは、金属ベース12に鉄筋トラス13を溶接固定した後、金属ベース12の下面18に固着される。接着剤としては、硬化時に体積変化が少ないエポキシ系接着剤とホットメルト接着剤とのいずれかを使用することが好ましいが、他の種類の接着剤であってもよい。壁紙14aまたはガラスクロス14bでは、金属ベース12の下面18に非対向の非対向面32(下面)が天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bを形成する。金属ベース12の下面18にガラスクロス14bが固着された場合、金属ベース12の下面18には、ガラスクロス14bによって所定面積の光反射面34が形成され、所定厚みの吸音層35および所定厚みの断熱層36が形成される。
【0044】
壁紙14aやガラスクロス14bが第1係合部19と第2係合部20とにおける金属ベース12の下面18に固着され、凸部21における金属ベース12の下面18に固着されているから、第1係合部19と第2係合部20とを係合させて複数のデッキプレート10Aを幅方向へ連結させたデッキプレート10Aの集合物において、壁紙14aやガラスクロス14bが幅方向へ途切れることはなく、壁紙14aやガラスクロス14bが幅方向へ連続する。なお、デッキプレート10Aでは、模様やデザイン、色合い、風合い等が異なる各種複数の壁紙14aから気に入ったそれを選択することができるとともに、色合いや織り方、光沢、風合い、厚み寸法等が異なる各種複数のガラスクロス14bから気に入ったそれを選択することができ、選択した壁紙14aやガラスクロス14bを金属ベース12の下面18に固着することができる。
【0045】
デッキプレート10Aを使用して鉄筋コンクリート建造物の天井スラブ11aを構築する一例としては、それらデッキプレート10Aの第1係合部19と第2係合部20とを係合させ、複数のデッキプレート10Aを横方向へ連結し、デッキプレート10Aの集合物を作る。次に、連結したデッキプレート10Aの集合物を鉄筋コンクリート建造物の横梁の間に配置固定する。デッキプレート10Aの集合物を建造物の横梁の間に固定した後、デッキプレート10Aの集合物の周囲に型枠(図示せず)を組み上げ、鉄筋トラスト13の上方から金属ベース12の上面17に向かって型枠内にコンクリート37を所定の被り寸法で打設し、コンクリート37を所定期間養生する。コンクリート37をデッキプレート10Aに打設すると、金属ベース12や鉄筋トラスト13がコンクリート37に埋没する。コンクリート37の養生期間が経過した後、型枠を取り外すことで天井スラブ11aが完成する。天井スラブ11aでは、壁紙14aやガラスクロス14bがその天井面33aに露出する。天井スラブ11aには、
図8に示すように、室内を照らす天井光源38a(LED光源や蛍光灯)が設置される。
【0046】
デッキプレート10Aを使用して鉄筋コンクリート建造物の壁11b構築する一例としては、それらデッキプレート10Aの第1係合部19と第2係合部20とを係合させ、複数のデッキプレート10Aを横方向へ連結し、デッキプレート10Aの集合物を作る。次に、連結したデッキプレート10Aの集合物を鉄筋コンクリート建造物の基礎の上に配置固定する。デッキプレート10Aの集合物を建造物の基礎の上に固定した後、デッキプレート10Aの集合物の周囲に型枠(図示せず)を組み上げ、金属ベース12の上面17に向かって型枠内にコンクリート37を所定の被り寸法で打設し、コンクリート37を所定期間養生する。コンクリート37をデッキプレート10Aに打設すると、金属ベース12や鉄筋トラスト13がコンクリート37に埋没する。コンクリート37の養生期間が経過した後、型枠を取り外すことで壁11bが完成する。壁11bでは、壁紙14aやガラスクロス14bがその壁面33bに露出する。壁11bには、
図8に示すように、室内を照らす壁光源38b(LED光源や蛍光灯)が設置される。
【0047】
図9は、他の一例として示すデッキプレート10Bの正面図であり、
図10は、コンクリート37を打設した状態で示すデッキプレート10Bの正面図である。
図10では、天井面33に天井光源38が設置され、壁11bの壁面33bに壁光源38bが設置されている。このデッキプレート10Bが
図1のそれと異なるところは壁紙14aまたはガラスクロス14bが凸部21を覆い隠すように金属ベース12の下面18に固着されている点にあり、その他の構成は
図1のデッキプレート10Aと同一であるから、
図1と同一の符号を付すとともに、
図1のデッキプレート10Aの説明を援用することで、このデッキプレート10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0048】
デッキプレート10Bは、所定面積を有する前後方向へ長い金属ベース12と、金属ベース12の上面17に設置された鉄筋トラス13と、金属ベース12の下面18に固着された壁紙14aまたはガラスクロス14bとから形成されている。鉄筋トラス13は、上端筋22および下端筋23と、第1および第2ラチス筋24a,24bとから形成されている。金属ベース12や鉄筋トラス13(上端筋22、下端筋23、第1および第2ラチス筋24a,24b)、壁紙14a、ガラスクロス14bは、
図1のデッキプレート10Aのそれらと同一である。
【0049】
デッキプレート10Bでは、第1および第2ラチス筋24a,24bの上端凸部25のうちの上端筋22と交差する部分(交差箇所)が上端筋22にスポット溶接によって溶着(固定)され、ラチス筋24a,24bの中間部26のうちの下端筋23と交差する部分(交差箇所)が下端筋23にスポット溶接によって溶着(固定)されている。第1および第2ラチス筋24a,24bの下端凹部27の曲折部分28は、凸部21の上に位置して凸部21と交差する部分が凸部21にスポット溶接によって溶着(固定)されている。
【0050】
壁紙14aまたはガラスクロス14bは、金属ベース12の下面18に対向する対向面31に接着剤が塗布され、金属ベース14の凸部21を覆い隠すように金属ベース12の下面18全域(第1係合部19と第2係合部20とにおける金属ベース12の下面18を含む)に接着剤によって固着されている。壁紙14aまたはガラスクロス14bは、凸部21における金属ベース12の下面18に固着されていない。なお、壁紙14aやガラスクロス14bは、金属ベース12に鉄筋トラス13を溶接固定した後、金属ベース12の下面18に固着される。壁紙14aまたはガラスクロス14では、金属ベース12の下面18に非対向の非対向面32が天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bを形成する。金属ベース12の下面18にガラスクロス14bが固着された場合、金属ベース12の下面18には、ガラスクロス14bによって所定面積の光反射面34が形成され、所定厚みの吸音層35および所定厚みの断熱層36が形成される。
【0051】
デッキプレート10Bでは、壁紙14aまたはガラスクロス14bが第1係合部19と第2係合部20とにおける金属ベース12の下面18に固着され、凸部21を覆い隠すように金属ベース12の下面18に固着されているから、第1係合部19と第2係合部20とを係合させて複数のデッキプレート10Bを幅方向へ連結させたデッキプレート10Bの集合物において、壁紙14aやガラスクロス14bが幅方向へ途切れることはなく、壁紙14aやガラスクロス14bが幅方向へ連続する。なお、デッキプレート10Bでは、模様やデザイン、色合い、風合い等が異なる各種複数の壁紙14aから気に入ったそれを選択することができるとともに、色合いや織り方、光沢、風合い、厚み寸法等が異なる各種複数のガラスクロス14bから気に入ったそれを選択することができ、選択した壁紙14aやガラスクロス14bを金属ベース12の下面18に固着することができる。デッキプレート10Bを使用して鉄筋コンクリート建造物の天井スラブ11aや壁11bを構築する手順は、デッキプレート10Aのそれと同一である。
【0052】
ガラスクロス14bを固着したデッキプレート10A,10Bを利用して作られた天井スラブ11aや壁11bは、その天井面33aやその壁面33bに露出するガラスクロス14bが吸音機能を有するから、室内の音がガラスクロス14bに吸収されて室内の音の音圧レベルが下がり、室内の音の他所への伝搬が抑制される。また、ガラスクロス14bが断熱機能を有するから、室内の暖気や冷気の外部への放出が抑制される。さらに、ガラスクロス14bが高い光反射率を有するから、天井光源38aや壁光源38bから照射された光がガラスクロス14bによって反射され、間接光が室内に拡散する。
【0053】
デッキプレート10A,10Bは、壁紙14aまたはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロス14bが金属ベース12の下面18全域に固着され、壁紙14aやガラスクロス14bが天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bを形成することで、壁紙14aやガラスクロス14aが鉄筋コンクリート建造物の天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bに露出するから、壁紙14aやガラスクロス14bを天井仕上げ材や壁仕上げ材として利用することができる。
【0054】
デッキプレート10A,10Bは、吊りボルトに化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付けることなく天井スラブ11aを構築することができ、壁仕上げ材を取り付けることなく壁11bを構築することができ、天井仕上げ材を別途設置するための天井仕上げ工事や壁仕上げ材を別途設置するための壁仕上げ工事を省くことができるとともに、天井仕上げ工事や壁仕上げ工事のための手間やコストを省くことができる。デッキプレート10A,10Bは、吊りボルトによって化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付ける必要はないから、吊りボルトを利用して天井仕上げ材を取り付けた吊り天井構造と比較し、地震等による揺れが発生したとしても、落下の危険がなく、天井落下事故の発生を防ぐことが可能な天井スラブ11aを構築することができる。
【0055】
第1および第2ラチス筋24a,24bの下端凹部27の曲折部分28を金属ベース12の凸部21に溶接すると、溶接時の熱の作用で、凸部21周辺に溶接跡が発生するが、デッキプレート10A,10Bは、壁紙14aやガラスクロス14bが凸部21に入り込んだ状態で金属ベース12の下面18に固着され、または、壁紙14aやガラスクロス14bが凸部21を覆い隠すように金属ベース12の下面18に固着されることで、壁紙14aやガラスクロス14bによって溶接跡が覆い隠されるとともに壁紙14aやガラスクロス14bが天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bに露出するから、各種複数の壁紙14aや各種複数のガラスクロス14bから希望のそれを選択することで、選択された希望の壁紙14aやガラスクロス14bが露出する見端のよい天井スラブ11aや壁11bを構築することができ、希望の壁紙14aやガラスクロス14aが露出する気に入った天井面33aや壁面33bを作ることができる。
【0056】
デッキプレート10A,10Bは、第1および第2ラチス筋24a,24bの下方凹部27の曲折部分28が金属ベース12の凸部21に溶接固定されることで、それらラチス筋24a,24bを金属ベース12に確実に固定することができ、鉄筋トラス13と金属ベース12との固定が不用意に解除されることはなく、デッキプレート10A,10Bに打設されたコンクリート37に曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それら力によってコンクリート37が破損することはなく、デッキプレート10A,10Bとコンクリート37とによって十分な強度を有する強固な天井スラブ11aや壁11bを構築することができる。
【0057】
デッキプレート10A,10Bは、デッキプレート10A,10Bを利用して構築された天井スラブ11aに天井光源38aを設置し、デッキプレート10A,10Bを利用して構築された壁11bに壁光源38bを設置し、その天井光源38aやその壁光源38bから光が放射された場合、所定の光反射率を有するガラスクロス14bによって光が乱反射し、天井光源38aや壁光源38bからの光が拡散するから、天井面33aや壁面33bからの間接光で明るさ感を増加させることが可能な天井スラブ11aや壁11bを構築することができる。デッキプレート10A,10Bは、金属ベース12の下面18全域に固着された所定面積および所定厚みのガラスクロス14bが吸音機能および断熱機能を有して吸音層35および断熱層36を形成するから、デッキプレート10A,10Bに吸音機能および断熱機能を付与することができ、デッキプレート10A,10Bを利用することで吸音効果および断熱効果を発揮する天井スラブ11aや壁11bを構築することができるとともに、鉄筋コンクリート建造物の遮音性や保温性を向上させることができる。
【0058】
図11は、他の一例として示すデッキプレート10Cの正面図であり、
図12は、コンクリート37を打設した状態で示すデッキプレート10Cの正面図である。
図12では、天井面33に天井光源38が設置され、壁11bの壁面33bに壁光源38bが設置されている。このデッキプレート10Cが
図1のそれと異なるところは金属ベース12の下面18と壁紙14aまたはガラスクロス14bとの間にグラスウール39が介在する点、壁紙14aまたはガラスクロス14bがグラスウール39の非対向面41(下面)に固着されている点にあり、その他の構成は
図1のデッキプレート10Aと同一であるから、
図1と同一の符号を付すとともに、
図1のデッキプレート10Aの説明を援用することで、このデッキプレート10Cのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0059】
デッキプレート10Cは、所定面積を有する前後方向へ長い金属ベース12と、金属ベース12の上面17に設置された鉄筋トラス13と、金属ベース12の下面18に固着されたグラスウール39と、グラスウール39の非対向面41(下面)に固着された壁紙14aまたはガラスクロス14bとから形成されている。鉄筋トラス13は、上端筋22および下端筋23と、第1および第2ラチス筋24a,24bとから形成されている。金属ベース12や鉄筋トラス13(上端筋22、下端筋23、第1および第2ラチス筋24a,24b)、壁紙14a、ガラスクロス14bは、
図1のデッキプレート10Aのそれらと同一である。
【0060】
デッキプレート10Cでは、第1および第2ラチス筋24a,24bの上端凸部25のうちの上端筋22と交差する部分(交差箇所)が上端筋22にスポット溶接によって溶着(固定)され、ラチス筋24a,24bの中間部26のうちの下端筋23と交差する部分(交差箇所)が下端筋23にスポット溶接によって溶着(固定)されている。第1および第2ラチス筋24a,24bの下端凹部27の曲折部分28は、凸部21の上に位置して凸部21と交差する部分が凸部21にスポット溶接によって溶着(固定)されている。
【0061】
グラスウール39は、所定面積および所定厚みを有して吸音材としての機能を有するとともに断熱材としての機能を有する。グラスウール39の厚み寸法は、5~20mmの範囲にある。グラスウール39は、金属ベース12の下面18に対向する対向面40に接着剤(図示せず)が塗布され、金属ベース12の下面18全域(第1係合部19と第2係合部20とにおける金属ベース12の下面18を除く)に接着剤によって固着されている。
【0062】
壁紙14aまたはガラスクロス14bは、グラスウール39に対向する対向面31に接着剤が塗布され、グラスウール39の金属ベース12の下面18に非対向の非対向面41全域(第1係合部19と第2係合部20とにおける金属ベース12の下面18を含む)に接着剤によって固着されている。なお、金属ベース12に鉄筋トラス13を溶接固定した後、グラスウール39が金属ベース12の下面18に固着され、壁紙14aやガラスクロス14bがグラスウール39の非対向面41に固着される。壁紙14aまたはガラスクロス14bの非対向面32が天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bを形成する。グラスウール39の非対向面41にガラスクロス14bが固着された場合、金属ベース12の下面18には、ガラスクロス14bおよびグラスウール39によって所定面積の光反射面34が形成され、所定厚みの吸音層35および所定厚みの断熱層36が形成される。
【0063】
デッキプレート10Cでは、壁紙14aまたはガラスクロス14bがグラスウール39の非対向面41に固着されているとともに第1係合部19と第2係合部20とにおける金属ベース12の下面18に固着されているから、第1係合部19と第2係合部20とを係合させて複数のデッキプレート10Cを幅方向へ連結させたデッキプレート10Cの集合物において、壁紙14aやガラスクロス14bが幅方向へ途切れることはなく、壁紙14aやガラスクロス14bが幅方向へ連続する。なお、デッキプレート10Cでは、模様やデザイン、色合い、風合い等が異なる各種複数の壁紙14aから気に入ったそれを選択することができるとともに、色合いや織り方、光沢、風合い、厚み寸法等が異なる各種複数のガラスクロス14bから気に入ったそれを選択することができ、選択した壁紙14aやガラスクロス14bをグラスウール39の非対向面41に固着することができる。デッキプレート10Cを使用して鉄筋コンクリート建造物の天井スラブ11aや壁11bを構築する手順は、デッキプレート10Aのそれと同一である。
【0064】
ガラスクロス14bを固着したデッキプレート10Cを利用して作られた天井スラブ11aや壁11bは、グラスウール39と天井面33aや壁面33bに露出するガラスクロス14bとが吸音機能を有するから、室内の音がグラスウール39やガラスクロス14bに吸収されて室内の音の音圧レベルが下がり、室内の音の他所への伝搬が抑制される。また、グラスウール39とガラスクロス14bとが断熱機能を有するから、室内の暖気や冷気の外部への放出が抑制される。さらに、ガラスクロス14bが高い光反射率を有するから、天井光源38aや壁光源38bから照射された光がガラスクロス14bによって反射され、間接光が室内に拡散する。
【0065】
デッキプレート10Cは、所定面積および所定厚みのグラスウール39が金属ベース12の下面18全域に固着され、壁紙14aまたはガラス繊維を織り込むことから作られた所定面積のガラスクロス14bがグラスウール39の非対向面全域(下面全域)に固着され、壁紙14aやガラスクロス14bが天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bを形成することで、壁紙14aやガラスクロス14aが鉄筋コンクリート建造物の天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bに露出するから、グラスウール39と壁紙14aやガラスクロス14bとを天井仕上げ材や壁仕上げ材として利用することができる。
【0066】
デッキプレート10Cは、吊りボルトに化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付けることなく天井スラブ11aを構築することができ、壁仕上げ材を取り付けることなく壁11bを構築することができ、天井仕上げ材を別途設置するための天井仕上げ工事や壁仕上げ材を別途設置するための壁仕上げ工事を省くことができるとともに、天井仕上げ工事や壁仕上げ工事のための手間やコストを省くことができる。デッキプレート10Cは、吊りボルトによって化粧合板や石膏ボード、アルミパネル等の天井仕上げ材を取り付ける必要はないから、吊りボルトを利用して天井仕上げ材を取り付けた吊り天井構造と比較し、地震等による揺れが発生したとしても、落下の危険がなく、天井落下事故の発生を防ぐことが可能な天井スラブ11aを構築することができる。
【0067】
第1および第2ラチス筋24a,24bの下端凹部27の曲折部分28を金属ベース12の凸部21に溶接すると、溶接時の熱の作用で、凸部21周辺に溶接跡が発生するが、デッキプレート10Cは、グラスウール39が凸部21を覆い隠すように金属ベース12の下面18に固着されることで、グラスウール39によって溶接跡が覆い隠されるとともに壁紙14aやガラスクロス14bが天井スラブ11aの天井面33aや壁11bの壁面33bに露出するから、各種複数の壁紙14aや各種複数のガラスクロス14bから希望のそれを選択することで、選択された希望の壁紙14aやガラスクロス14bが露出する見端のよい天井スラブ11aや壁11bを構築することができ、希望の壁紙14aやガラスクロス14aが露出する気に入った天井面33aや壁面33bを作ることができる。
【0068】
デッキプレート10Cは、第1および第2ラチス筋24a,24bの下方凹部27の曲折部分28が金属ベース12の凸部21に溶接固定されることで、それらラチス筋24a,24bを金属ベース12に確実に固定することができ、鉄筋トラス13と金属ベース12との固定が不用意に解除されることはなく、デッキプレート10Cに打設されたコンクリート37に曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それら力によってコンクリート37が破損することはなく、デッキプレート10Cとコンクリート37とによって十分な強度を有する強固な天井スラブ11aや壁11bを構築することができる。
【0069】
デッキプレート10Cは、デッキプレート10Cを利用して構築された天井スラブ11に天井スラブ11aに天井光源38aを設置し、デッキプレート10Cを利用して構築された壁11bに壁光源38bを設置し、その天井光源38aやその壁光源38bから光が放射された場合、所定の光反射率を有するガラスクロス14bによって光が乱反射し、天井光源38aや壁光源38bからの光が拡散するから、天井面33aや壁面33bからの間接光で明るさ感を増加させることが可能な天井スラブ11aや壁11bを構築することができる。デッキプレート10Cは、金属ベース12の下面18全域に固着された所定面積および所定厚みのグラスウール39とグラスウール39の非対向面41全域に固着された所定面積および所定厚みのガラスクロス14bとが吸音機能および断熱機能を有して吸音層35および断熱層36を形成するから、デッキプレート10Cに吸音機能および断熱機能を付与することができ、デッキプレート10Cを利用することで吸音効果および断熱効果を発揮する天井スラブ11aや壁11bを構築することができるとともに、鉄筋コンクリート建造物の遮音性や保温性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0070】
10A デッキプレート
10B デッキプレート
10C デッキプレート
11a 天井スラブ
11b 壁
12 金属ベース
13 鉄筋トラス
14a 壁紙
14b ガラスクロス
15a,b 両側縁部
16a,b 両端縁部
17 上面
18 下面
19 第1係合部
20 第2係合部
21 凸部
22 上端筋
23 下端筋
24a 第1ラチス筋
24b 第2ラチス筋
25 上端凸部
26 中間部
27 下端凹部
28 屈曲部分
29 縦織物
30 横織物
31 対向面
32 非対向面
33 天井面
34 反射面
35 吸音層
36 断熱層
37 コンクリート
38a 天井光源
38b 壁光源
39 グラスウール
40 対向面
41 非対向面(下面)