(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
F16K31/04 A
(21)【出願番号】P 2018006433
(22)【出願日】2018-01-18
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 秀
(72)【発明者】
【氏名】小城 力樹
(72)【発明者】
【氏名】小泉 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】大内 共存
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 威
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-151284(JP,A)
【文献】特開2006-226369(JP,A)
【文献】特開2014-161152(JP,A)
【文献】特開2016-106205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室及び弁座を有する弁本体と、
前記弁室に昇降可能に配在された弁体と、
前記弁本体に固着されたキャンと、
前記キャンの外部に装備されたステータ、及び、前記キャンの内部に回転可能に装備されたロータを有するモータと、
前記ロータの回転運動を前記弁体の昇降運動に変換するねじ送り機構と、を備え、
前記ねじ送り機構によって前記ロータが回転しながら昇降せしめられる電動弁であって、
前記ロータの上下長が、前記ステータのヨークの上下長に、前記ロータの最下降位置から最上昇位置までのフルリフト量を加えた長さ以上に設定され
、
前記ねじ送り機構が、前記弁本体に固定されたねじ軸受部材に設けられた雌ねじ部と、前記ロータの回転数を減速する遊星歯車減速機構に連結されたねじ駆動部材に設けられた雄ねじ部とで構成され、
前記ロータが前記ねじ駆動部材上に載置されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ねじ駆動部材又は前記ねじ駆動部材の前記ロータとの当接部分が金属製であり、前記ねじ駆動部材上に載置される前記ロータの太陽ギヤ部材が樹脂製であることを特徴とする請求項
1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記ロータを前記キャンの内部で回転可能に支持する支持部材が設けられ、
前記支持部材は、前記キャンに圧入されて固定されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記支持部材は、前記ロータの上側に位置せしめられ、前記ロータの中心部に挿入されたシャフトの上部を支持していることを特徴とする請求項
3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記支持部材は、前記ロータから隙間をあけて配在されていることを特徴とする請求項
3又は
4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記支持部材は樹脂製であることを特徴とする請求項
3から
5のいずれか一項に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に係り、例えば冷暖房システム等において流体(冷媒)の流量を制御する電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動弁の従来例を
図4に示す。図示従来例の電動弁1’は、基本的に、弁室14及びその内部に形成された弁座15を有する弁本体10と、ベースプレート31を介して弁本体10に固着された天井部付き円筒形状のキャン30と、キャン30の外部に装備されるステータ40及びキャン30の内部に装備されるロータ50からなるステッピングモータ63と、ロータ50の回転数を減速する遊星歯車減速機構60と、前記弁座15に接離して流体の通過量を制御する弁体21と、遊星歯車減速機構60の出力ギヤ57の回転運動をねじ送り機構27を介して直線運動に変換して弁体21を駆動するねじ駆動部材22と、から構成される。
【0003】
弁本体10には、弁室14に連通する弁口16が形成されるとともに、その弁口16側にパイプ11が接続され、弁室14の側面に形成された開口に連通するようにパイプ12が接続されている。また、弁本体10の弁室14の上部には、中心部下半部に雌ねじ部13aが形成されたねじ軸受部材13が嵌挿され、かしめにより弁本体10に固定されている(かしめ部17)。
【0004】
キャン30の外周部に嵌着されたステータ40は、ヨーク41、ボビン42、コイル43、樹脂モールド44等からなり、キャン30の内部に(上下動せずに)回転自在に支持されるロータ50は、磁性材料で作製された円筒形状のロータ部材51と樹脂材料で作製された太陽ギヤ部材(ピニオンギヤともいう)52とが一体に連結されて構成されている。太陽ギヤ部材52の中心部にはシャフト62が挿入され、そのシャフト62の上部は、キャン30の頂部内側に配置された支持部材61により支持されている。
【0005】
太陽ギヤ部材52の太陽ギヤ53は、出力ギヤ57の底面上に載置されたキャリア54に設けられたシャフト56に回転自在に支持される複数の遊星ギヤ55に噛み合う。遊星ギヤ55の上半分は、弁本体10の上部に固定された円筒部材18の上部にかしめにより取り付けられた環状のリングギヤ(内歯固定ギヤ)58に噛み合い、遊星ギヤ55の下半分は、環状の出力ギヤ57の内歯ギヤ57aに噛み合っている。リングギヤ58の歯数と出力ギヤ57の内歯ギヤ57aの歯数とはわずかに異なる歯数とされ、これにより、太陽ギヤ53の回転数が大きな減速比で減速されて出力ギヤ57に伝達される(このような歯車構成を、いわゆる不思議遊星歯車減速機構60という)。
【0006】
出力ギヤ57の底部中央には、ねじ駆動部材(ドライバともいう)22の上部に形成された段付き円筒形状の出力軸部29の上部が圧入され、この出力軸部29の上部には、シャフト62の下部が嵌め込まれている。また、ねじ駆動部材22の出力軸部29の上部上には、キャリア54が載置されている。
【0007】
ねじ軸受部材13の雌ねじ部13aには、ねじ駆動部材22の下部に形成された雄ねじ部22aが螺合されており、そのねじ駆動部材22は、出力ギヤ57(すなわち、ロータ50)の回転運動を雄ねじ部22aと雌ねじ部13aとからなるねじ送り機構27により軸線O方向(昇降方向)の直線運動(昇降運動)に変換する。ここで、出力ギヤ57はねじ駆動部材22に一体に連結され、出力ギヤ57(ロータ50)が回転すれば、出力ギヤ57とねじ駆動部材22は一体となって回転及び軸線O方向に直線運動(昇降)するとともに、出力ギヤ57の昇降に応じて、出力ギヤ57の底面上に載置されたキャリア53及び遊星ギヤ55も昇降する。ねじ駆動部材22の直線運動は、ボール23とボール受座24とからなるボール状継手25を介して軸状の弁体21に伝達され、弁体21は弁本体10の内部に固定された段付き円筒形状のばねケース19により案内されて軸線O方向に移動する。また、ばねケース19と弁体21との間には、圧縮コイルばね26が縮装されており、弁体21を常時開弁方向に付勢している。
【0008】
一方、固定部材であるリングギヤ58と太陽ギヤ部材52の間には、皿ばね70が装備されている。この皿ばね70は、固定部材であるリングギヤ58に支持されて太陽ギヤ部材52を常時シャフト62の支持部材61側に向けて押し上げ、該支持部材61に当接させているので、出力ギヤ57が下降してもロータ50自体は下降することがなく、ロータ50とステータ40との間の軸線O方向の位置が変化しない。
【0009】
かかる構成により、弁体21と弁座15との間の流路面積(弁開度)が変化し、弁口16を通過する冷媒の流量を制御することができる(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に所載の従来の電動弁では、ロータとステータとの間の位置関係が変化せず、トルクの低下が抑えられるものの、ロータが回転したときに、固定部材であるリングギヤに支持された皿ばねとロータの太陽ギヤ部材とが常時摺動するため、ロータ回転時の摺動抵抗が大きくなる懸念がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、従前の電動弁に対して大きな変更を加えることなく、トルクの低下を抑えつつ、ロータ回転時の摺動抵抗を確実に低減することのできる電動弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動弁は、基本的に、弁室及び弁座を有する弁本体と、前記弁室に昇降可能に配在された弁体と、前記弁本体に固着されたキャンと、前記キャンの外部に装備されたステータ、及び、前記キャンの内部に回転可能に装備されたロータを有するモータと、前記ロータの回転運動を前記弁体の昇降運動に変換するねじ送り機構と、を備え、前記ねじ送り機構によって前記ロータが回転しながら昇降せしめられ、前記ロータの上下長が、前記ステータのヨークの上下長に、前記ロータの最下降位置から最上昇位置までのフルリフト量を加えた長さ以上に設定され、前記ねじ送り機構が、前記弁本体に固定されたねじ軸受部材に設けられた雌ねじ部と、前記ロータの回転数を減速する遊星歯車減速機構に連結されたねじ駆動部材に設けられた雄ねじ部とで構成され、前記ロータが前記ねじ駆動部材上に載置されていることを特徴としている。
【0015】
更に好ましい態様では、前記ねじ駆動部材又は前記ねじ駆動部材の前記ロータとの当接部分が金属製であり、前記ねじ駆動部材上に載置される前記ロータの太陽ギヤ部材が樹脂製である。
【0016】
他の好ましい態様では、前記ロータを前記キャンの内部で回転可能に支持する支持部材が設けられ、前記支持部材は、前記キャンに圧入されて固定される。
【0017】
更に好ましい態様では、前記支持部材は、前記ロータの上側に位置せしめられ、前記ロータの中心部に挿入されたシャフトの上部を支持する。
【0018】
更に好ましい態様では、前記支持部材は、前記ロータから隙間をあけて配在される。
【0019】
更に好ましい態様では、前記支持部材は樹脂製である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロータの上下長(昇降方向の長さ)がフルリフト量分長く設定されるので、例えば、固定部材であるリングギヤと太陽ギヤ部材との間に皿ばねを装備した従来のものと比べて、部品点数を増やすことなく、トルクの低下が抑えられるとともに、ロータ回転時の摺動抵抗を確実に低減することでき、もって、回転(つまり、弁体の昇降)に要する駆動トルクを小さくできるとともに、体格の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る電動弁の一実施形態の全閉状態を示す縦断面図。
【
図2】本発明に係る電動弁の一実施形態の全開状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1及び
図2は、本発明に係る電動弁の一実施形態を示す縦断面図であり、
図1は全閉状態、
図2は全開状態を示している。また、
図3は、
図1及び
図2に示される電動弁の要部拡大縦断面図である。
【0024】
なお、各図面において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、誇張して描かれている場合がある。
【0025】
また、以下に示される本実施形態の電動弁において、前述した
図4に示される従来例の電動弁1’の各部に対応する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略し、以下では、相異点を重点的に説明する。
【0026】
本実施形態の電動弁1は、その基本構成は
図4に示される従来例の電動弁1’とほぼ同様であるが、主として、弁室14及び弁座15を有する弁本体10と、弁室14に昇降可能に配在された弁体21と、ベースプレート31を介して弁本体10に固着された天井部付き円筒形状のキャン30と、キャン30の外部に装備されるステータ40及びキャン30の内部に回転可能に装備されるロータ50からなるステッピングモータ63と、ロータ50の回転数を減速する遊星歯車減速機構60と、遊星歯車減速機構60の出力ギヤ57の回転運動を弁体21の直線運動(昇降運動)に変換するねじ送り機構27と、を備える。
【0027】
前記ねじ送り機構27は、前述のように、弁本体10の弁室14の上部に固定されたねじ軸受部材13の内周に形成された雌ねじ部13aと、ねじ駆動部材22の外周に形成された雄ねじ部22aとから構成される。
【0028】
前述した従来例の電動弁1’では、固定部材であるリングギヤ58と太陽ギヤ部材52の間に皿ばね70が装備され、太陽ギヤ部材52を常時シャフト62の支持部材61側に向けて押し上げ、出力ギヤ57が下降してもロータ50自体は下降しないようになっている。つまり、ロータ50が、皿ばね70によって、キャン30の内部に上下動せずに回転自在に支持されている。
【0029】
一方、本実施形態の電動弁1では、前記した皿ばね70が設置されておらず、
図3に拡大図示されているように、ロータ50の太陽ギヤ部材52の下端部が、ねじ軸受部材13の上面から若干浮かせて配置された出力ギヤ57の底面上に載置されたキャリア54に設けられた貫通穴54aを通して、出力ギヤ57の底部中央に圧入されたねじ駆動部材22の出力軸部29の上部上に載置されている。
【0030】
そのため、出力ギヤ57(ロータ50)が回転すれば、出力ギヤ57とねじ駆動部材22は一体となって回転及び昇降するとともに、出力ギヤ57及びねじ駆動部材22の昇降に応じて(出力ギヤ57及びねじ駆動部材22と一体となって)、出力ギヤ57の底面上に載置されたキャリア53及び遊星ギヤ55とともに、ロータ50も昇降する。
【0031】
この場合、ロータ50(太陽ギヤ部材52)が回転したときに、太陽ギヤ部材52の下端面と出力ギヤ57に連結されたねじ駆動部材22の出力軸部29の上面とが相対的に回転して摺動するが、例えば、ねじ駆動部材22をSUS等の金属製とする、あるいは、ねじ駆動部材22の太陽ギヤ部材52との当接部分(摺動面)を金属で構成することで(太陽ギヤ部材52は樹脂製)、摺動面の面精度向上や、太陽ギヤ部材52の樹脂材料の自己潤滑作用等の理由から、摺動抵抗を抑えることができる。
【0032】
また、本実施形態の電動弁1では、ロータ50がキャン30の内部で回転しながら上下動(昇降)するので、ロータ50とステータ40との間の相対位置の変化によるトルクの低下を抑えるために、ロータ50のロータ部材51の上下長(昇降方向(軸線O方向)の長さ)bが、ステータ40のヨーク(極歯)41の上下長aより、ロータ50(弁体21)の最下降位置(全閉位置、
図1参照)から最上昇位置(全開位置、
図2参照)までのフルリフト量以上長く設定されている。すなわち、ロータ50のロータ部材51の上下長bが、ステータ40のヨーク(極歯)41の上下長aに、ロータ50(弁体21)の最下降位置から最上昇位置までのフルリフト量を加えた長さ以上に設定されている。更に言い換えれば、ロータ50の最下降位置において、ロータ50のロータ部材51の上端がステータ40のヨーク41の上端より高く、ロータ50の最上昇位置において、ロータ50のロータ部材51の下端がステータ40のヨーク41の下端より低くなるように、ロータ50のロータ部材51の上下長bが設定されている。
【0033】
かかる構成により、ロータ50が回転しながら最下降位置から最上昇位置まで移動する間、ステータ40のヨーク41(の上下全長)の内側に、ロータ50のロータ部材51(の一部)が位置せしめられるので、トルクの低下が抑えられる。
【0034】
また、前述した従来例の電動弁1’では、ロータ50を構成する太陽ギヤ部材52の中心部に挿入されたシャフト62の上部を支持する支持部材61は、シャフト62の上部に外挿されてロータ50の太陽ギヤ部材52の上面上に載置されてキャン30の内側に配置されている。
【0035】
一方、本実施形態の電動弁1では、前記支持部材61は、キャン30の頂部内側に圧入されて(相対移動不能及び相対回転不能に)固定されている。
【0036】
詳しくは、前記支持部材61は、例えば樹脂材料で作製された厚肉円板で構成され、組付前の状態においてキャン30の内径より若干大きく設定されており、キャン30との嵌め合い代(圧入代)を若干潰すようにして板金製のキャン30の頂部内側に圧入されて配置固定される。前記ロータ50は、支持部材61の中央部に設けられた通し穴61aにシャフト62の上部を(回転可能に)内挿して、当該支持部材61の下側に配置される。その際、前記支持部材61は、ロータ50の上側(詳細には、最上昇位置にあるロータ50の上側)で当該ロータ50(の太陽ギヤ部材52)から所定の隙間Gをあけて(浮かせて)配置固定される。なお、前記支持部材61の位置決めを容易にするために、図示例のように、支持部材61をキャン30の天井部に当接させて配置してもよい。
【0037】
また、ロータ50に挿入されたシャフト62の下部は、弁本体10に固定されたねじ軸受部材13によって、詳細には、その上部が出力ギヤ57の底部中央に圧入され、その下部が弁本体10に固定されたねじ軸受部材13に挿入されたねじ駆動部材22の出力軸部29の上部に嵌め込まれることによって支持されている。
【0038】
なお、前記ねじ駆動部材22は、SUS等の金属製、セラミックス製、ガラス製等とすることができる。また、本例では、出力ギヤ57にねじ駆動部材22の出力軸部29が圧入されているが、インサート成形によって出力ギヤ57とねじ駆動部材22とを一部品として構成してもよい。
【0039】
かかる構成により、前記ロータ50は、太陽ギヤ部材52の上面が支持部材61の下面に摺接することなく、キャン30の内部で回転可能に支持される。
【0040】
かかる構成を有する本実施形態の電動弁1においても、前述した従来例の電動弁1’と同様、弁体21と弁座15との間の流路面積(弁開度)が変化し、弁口16を通過する冷媒の流量を制御することができる。
【0041】
このように、本実施形態の電動弁1では、ロータ50の上下長(昇降方向の長さ)がフルリフト量分長く設定されるので、例えば、固定部材であるリングギヤと太陽ギヤ部材との間に皿ばねを装備した従来のものと比べて、部品点数を増やすことなく、トルクの低下が抑えられるとともに、ロータ回転時の摺動抵抗を確実に低減することでき、もって、回転(つまり、弁体の昇降)に要する駆動トルクを小さくできるとともに、体格の小型化を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態の電動弁1では、ロータ50をキャン30の内部で回転可能に支持する支持部材61がキャン30に圧入されて固定されるので、ロータ50と支持部材61との摺動を抑制できるため、例えば、支持部材がロータの太陽ギヤ部材上に載置されてキャンの内側に配置された従来のものと比べて、ロータ回転時の摺動抵抗を確実に低減することでき、もって、回転(つまり、弁体の昇降)に要する駆動トルクを小さくできるとともに、体格の小型化を図ることができる。
【0043】
なお、本発明は、図示実施形態のような、ポペット型もしくはピストン型の弁体が最下降位置にあるとき、その弁体が弁座に着座して流体の流れが遮断されるタイプ以外に、様々なタイプの電動弁に採用し得ることは言うまでも無い。例えば、弁体が最上昇位置にあるとき、その弁体が弁口の裏面側に設けた弁座に着座して流体の流れが遮断される閉弁タイプの電動弁(この場合、弁軸と弁本体との間には弁体を閉弁方向に付勢する圧縮コイルばねが介装される)であってもよい。また、弁体が弁座に着座しつつ、弁体に設けられた連通穴や弁座に設けられたブリード溝等を介して所定量の通過流量が確保されるタイプの電動弁であってもよいし、弁体が最下降位置(通常なら全閉状態となる)にあるときに、弁体と弁座との間に所定の大きさの間隙が形成されて所定量の通過流量が確保される閉弁レスタイプの電動弁であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 電動弁
10 弁本体
13 ねじ軸受部材
13a 雌ねじ部
14 弁室
15 弁座
16 弁口
18 円筒部材
19 ばねケース
21 弁体
22 ねじ駆動部材
22a 雄ねじ部
26 圧縮コイルばね
27 ねじ送り機構
29 出力軸部
30 キャン
31 ベースプレート
40 ステータ
50 ロータ
51 ロータ部材
52 太陽ギヤ部材
57 出力ギヤ
60 不思議遊星歯車減速機構
61 支持部材
62 シャフト
63 ステッピングモータ
a ステータのヨークの上下長
b ロータのロータ部材の上下長